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特許7419090画像処理装置、画像処理方法及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】画像処理装置、画像処理方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   H04N 7/18 20060101AFI20240115BHJP
   G08B 25/00 20060101ALI20240115BHJP
   G06T 7/20 20170101ALI20240115BHJP
   G06Q 30/06 20230101ALI20240115BHJP
【FI】
H04N7/18 D
G08B25/00 510M
G06T7/20 300Z
G06Q30/06
H04N7/18 U
【請求項の数】 10
(21)【出願番号】P 2020018796
(22)【出願日】2020-02-06
(65)【公開番号】P2021125817
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2022-12-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】藤原 裕也
【審査官】長谷川 素直
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-045344(JP,A)
【文献】特開2009-246799(JP,A)
【文献】特許第6562437(JP,B1)
【文献】特開2017-004320(JP,A)
【文献】特開2008-217205(JP,A)
【文献】国際公開第2019/220589(WO,A1)
【文献】特開2011-192157(JP,A)
【文献】特開2016-021182(JP,A)
【文献】特開2010-244570(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04N 7/18
G08B 25/00
G06T 7/20
G06Q 30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
店舗内を撮像する撮像装置によって撮像された画像データを取得する取得手段と、
前記画像データを解析して、前記店舗内の人物の不審行動を検出する検出手段と、
前記検出手段によって検出された前記不審行動をする人物を登録する設定手段と、
前記検出手段によって検出された前記不審行動が、前記不審行動の変化に関する所定の条件を満たすか否かを判定するとともに、前記所定の条件を満たすと判定した場合に、前記不審行動をする人物を要注意人物として登録し、前記所定の条件を満たしていないと判定した場合に、前記設定手段によって登録された前記不審行動をする人物を削除する判定手段と、
を有し、
前記設定手段は、登録された前記不審行動をする人物に対して削除された回数をカウントし、
前記判定手段は、前記削除された回数が所定の閾値以上になった場合に、前記不審行動をする人物を前記要注意人物として登録する
ことを特徴とする画像処理装置。
【請求項2】
前記所定の条件が、前記不審行動をする人物の周囲の状況に応じて停止したことであることを特徴とする請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記設定手段は、登録されている前記不審行動をする人物のする前記不審行動に対して、前記判定手段によって前記所定の条件を満たすと判定された回数をカウントし、
前記判定手段は、前記判定された回数が所定の閾値以上になった場合に、前記不審行動をする人物を前記要注意人物として登録することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記検出手段は、前記画像データの人物の頭部の向きの変化に基づいて人物の首振り量を取得して、前記首振り量が所定の閾値以上である場合に、前記不審行動として検出することを特徴とする請求項1乃至3何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記所定の条件が、前記不審行動をする人物の周囲に発生した所定のイベントに応じて変化したことであることを特徴とする請求項1乃至4何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記所定のイベントが、前記不審行動をする人物とは異なる他の人物に関連することを特徴とする請求項5に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記所定のイベントが、警告音又は警告を通知する音声が発せられたことを特徴とする請求項5又は6に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記所定のイベントが、警告を通知する表示がされたことを特徴とする請求項5乃至7何れか1項に記載の画像処理装置。
【請求項9】
店舗内を撮像する撮像装置によって撮像された画像データを取得する取得ステップと、
前記画像データを解析して、前記店舗内の人物の不審行動を検出する検出ステップと、
前記検出ステップによって検出された前記不審行動をする人物を登録する設定ステップと、
前記検出ステップによって検出された前記不審行動が、前記不審行動の変化に関する所定の条件を満たすか否かを判定するとともに、前記所定の条件を満たすと判定した場合に、前記不審行動をする人物を要注意人物として登録し、前記所定の条件を満たしていないと判定した場合に、前記設定ステップによって登録された前記不審行動をする人物を削除する判定ステップと、
を含み、
前記設定ステップでは、登録された前記不審行動をする人物に対して削除された回数をカウントし、
前記判定ステップでは、前記削除された回数が所定の閾値以上になった場合に、前記不審行動をする人物を前記要注意人物として登録する
ことを特徴とする画像処理方法。
【請求項10】
請求項1乃至何れか1項に記載の画像処理装置の各手段としてコンピュータを機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理装置、画像処理方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小売店舗や大規模な商業店舗といった様々な施設における万引き被害が深刻化しており、これらの被害を軽減したいという店舗側のニーズがある。このようなニーズに対して、監視カメラで撮影した映像をリアルタイムで解析して万引きの疑いがある人物を検出する技術がある。特許文献1には、カメラで撮影した映像データから人物の位置、向き、視線方向等の特徴値を抽出し、それらの特徴値を分析して万引きの疑いがある人物を検出することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2007-213224号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の技術では、客が店員を見たことを検知することで万引きの疑いがある人物を検出している。そのため、万引きしていない人物が検出されてしまうケースが発生する可能性がある。
【0005】
本発明は、店舗内の不審な人物を精度よく見つけ出すことを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の画像処理装置は、店舗内を撮像する撮像装置によって撮像された画像データを取得する取得手段と、前記画像データを解析して、前記店舗内の人物の不審行動を検出する検出手段と、前記検出手段によって検出された前記不審行動をする人物を登録する設定手段と、前記検出手段によって検出された前記不審行動が、前記不審行動の変化に関する所定の条件を満たすか否かを判定するとともに、前記所定の条件を満たすと判定した場合に、前記不審行動をする人物を要注意人物として登録し、前記所定の条件を満たしていないと判定した場合に、前記設定手段によって登録された前記不審行動をする人物を削除する判定手段と、を有し、前記設定手段は、登録された前記不審行動をする人物に対して削除された回数をカウントし、前記判定手段は、前記削除された回数が所定の閾値以上になった場合に、前記不審行動をする人物を前記要注意人物として登録する。
【発明の効果】
【0007】
店舗内の不審な人物を精度よく見つけ出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】店舗の模式図である。
図2】画像処理装置及び撮像装置の機能及び構成を示すブロック図である。
図3】第1の実施形態に係る画像処理装置のハードウェア構成を示す図である。
図4】第1の実施形態に係る登録処理を示すフローチャートである。
図5】店舗内で不審行動をする客を説明する図である。
図6】店舗内で不審行動をする客を説明する図である。
図7】店舗内で不審行動をする客を説明する図である。
図8】第2の実施形態に係る登録処理を示すフローチャートである。
図9】第3の実施形態に係る登録処理を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、添付図面を参照して、本発明の好適な実施形態について説明する。
【0010】
<第1の実施形態>
図1は、店舗100を模式的に示す図である。本実施形態において店舗100には、客が出入りする店舗出入口101と、店員や客が清算を行うレジ102と、所定の間隔を隔てて設けられた商品棚103,104,105が配置されている。店舗100内には客106がいる。加えて、店舗100には店舗100内を撮影する複数の監視カメラ110,111,112,113が設置されている。監視カメラ110~113の画像データが画像処理装置201によって解析されることにより、客106の不審行動が検出される。なお店舗100内に設定される監視カメラ110~113の台数は、1台であっても複数台であってもよい。また監視カメラ110~113として、ネットワークカメラや、撮影機能を備えた端末装置等を用いてもよい。
【0011】
図2は、画像処理装置201及び撮像装置202の機能及び構成を示すブロック図である。ここに示す各ブロックは、ハードウェア的には、コンピュータのCPUをはじめとする素子や機械装置で実現でき、ソフトウェア的にはコンピュータプログラム等によって実現されるが、ここでは、それらの連携によって実現される機能ブロックを描いている。従って、これらの機能ブロックはハードウェア、ソフトウェアの組合せによっていろいろなかたちで実現できることは、本明細書に触れた当業者には理解されるところである。
【0012】
画像処理装置201は、監視カメラ110~113等の撮像装置202とインターネット等のネットワーク(不図示)を介して接続される。撮像装置202は撮影した画像データを画像処理装置201に送信する。
画像処理装置201は、撮像装置202から画像データを取得する画像取得部203と、画像データから人物の不審行動を検出する検出部204と、画像処理装置201の各種動作設定を行う設定部205と、検出部204で検出した不審行動が継続しているか否か判定する判定部206と、不審行動をする人物の情報を記憶する記憶部207を有する。以下、画像処理装置201の各構成部について詳細に説明する。
【0013】
画像取得部203は撮像装置202で撮影した映像を画像データとして取得する。画像取得部203が取得手段に相当する。本実施形態において画像取得部203は撮像装置202から直接的に撮像装置202で撮影された画像データを取得しているが、撮像装置202から間接的に撮像装置202で撮影された画像データを取得してもよい。例えば画像取得部203は中継装置を介して画像データを取得してもよいし、録画済みの画像を蓄積したストレージ装置(不図示)から画像データを取得してもよい。また本実施形態では撮像装置202を画像処理装置201の外部の装置としているが、撮像装置202が画像取得部203と一体的に構成されて、画像処理装置201が内部に撮像装置202を有してもよい。
【0014】
検出部204は画像取得部203で取得された画像データを解析して不審行動を検出する。検出部204が検出手段に相当する。本実施形態において検出部204は画像データに基づいて不審行動をする人物を検出する。不審行動は様々に定義できるが、例えば自分の周りを必要以上に気にして見渡す行動である。この場合は、画像解析により人体及び頭部の向きを検出し、向きの変化から首振り状況を推定し、この首振り状況に基づく首振り量が規定値以上である場合に、不審行動として検出する等の方法がある。なお不審行動を検出する方法はこの方法に限られない。本実施形態では首振り動作を不審行動とした場合を想定して説明する。
【0015】
設定部205は検出部204で不審行動が検出された場合に、不審行動をする人物を記憶部207に登録する。また設定部205は、不審行動をする人物が要注意人物であるか否かを判定するための条件を設定する。設定部205が設定手段に相当する。判定するための条件とは、不審行動を決定するための所定の条件や、判定する際に用いられる各種の規定値等である。ここで判定するための条件は、1つであってもよいし、複数であってもよい。なお判定するための条件はユーザによって設定可能である。
【0016】
判定部206は設定部205で設定された条件を満たすか否かを判定するとともに、設定された条件を満たす場合、設定部205で登録された不審行動をする人物を要注意人物として記憶部207に登録する。一方で、判定部206は設定された条件を満たさない場合、設定部205で登録された不審行動をする人物を削除する。判定部206が判定手段に相当する。
記憶部207は、設定部205で登録された不審行動をする人物の情報、判定部206で設定された条件を満たすと判定された回数、設定部205で登録された不審行動をする人物に対して判定部206で削除された回数、判定部206で登録された要注意人物の情報等を記憶する。
【0017】
図3は、図2の画像処理装置201のハードウェア構成の一例を示す図である。画像処理装置201は、CPU301と、ROM302と、RAM303と、ハードディスクドライブ(HDD)304と、ディスクドライブ305と、ネットワークインタフェース306と、入力装置307と、表示デバイス308とを有する。
【0018】
CPU301は、画像処理装置201を統括制御する制御装置である。ROM302は、CPU301が画像処理装置201を制御するためのプログラムを記憶する。なお、ROM302に代えて、2次記憶装置が設けられてもよい。RAM303は、CPU301がROM302から読み出したプログラムを展開し、処理を実行するためのメモリである。またRAM303は、各種処理の対象となるデータを一時記憶するための記憶領域としても使用される。HDD304は画像データを格納する。
【0019】
CPU301は、HDD304から画像データを読み出す。なおCPU301が画像データをディスクドライブ305又はネットワークインタフェース306から取得する場合には、HDD304は設けなくてもよい。ディスクドライブ305は、CD、DVD、ブルーレイディスク、又はフレキシブルディスク内の画像データを読み出し、CPU301はディスクドライブ305を介して画像データを取得する。なお、CPU301が画像データをHDD304又はネットワークインタフェース306から取得する場合には、ディスクドライブ305は設けなくてもよい。
【0020】
ネットワークインタフェース306は、ネットワーク311に接続されており、ネットワーク311を介して通信を行う回路である。CPU301はネットワーク311を介して画像データを取得する。CPU301はネットワーク311を介して外部の警告装置に指示を送信する。表示デバイス308は、画像や領域枠を表示するディスプレイ等のデバイスである。入力装置307は、数値入力用のキーボード、表示デバイス308の表示領域の表示位置を指示するためのポインティングデバイス、マウス、及びタッチパネル等を有する。
【0021】
以上のように、画像処理装置201のハードウェア構成は、一般的なPC(パーソナルコンピュータ)に搭載されるハードウェア構成要素と同様のハードウェア構成要素を有している。そのため、画像処理装置201で実現される各種機能を、PC上で動作するソフトウェアとして実装することが可能である。画像処理装置201は、CPU301がROM302に格納されるプログラムを実行することにより、画像処理装置201の種々の機能及び後述するフローチャートの処理を実現することができる。
【0022】
(登録処理)
図4は、第1の実施形態に係る画像処理装置201が撮像装置202で撮像された画像データを解析して不審行動をする人物を検出し、検出した人物を要注意人物として登録するための登録処理を示すフローチャートである。図4に示す処理は、画像処理装置201の画像取得部203が画像データの取得を開始した場合にスタートする。以下、図1の模式図を用いて説明する。
【0023】
ステップS401において、画像取得部203が、監視カメラ112から画像データを取得して、検出部204が、画像データを解析し、図1の客106の不審行動を検出したか否かを判定する。例えば、検出部204が、客106の首振り動作を検出したか否かを判定する。検出部204は客106の不審行動が検出されるまで待機する。検出部204が客106の不審行動を検出したと判定した場合、処理はステップS402に進む。
ステップS402において、設定部205が、ステップS401で検出された不審行動をした客106の情報を記憶部207に登録する。客106の情報とは、例えば氏名、住所、電話番号等の個人情報、顔、髪型、服装、身長等の外見の情報、および日時、位置の情報である。
【0024】
ステップS403において、判定部206が、ステップS402で登録された客106の不審行動が、不審行動を決定する条件を満たすか否かを判定する。本実施形態において不審行動を決定する条件とは、客106の周囲の状況に応じて、客106の不審行動が停止したことである。具体的には、画像データを解析して、客106が周囲の状況(人、音、又は光による変化)を認識したことに応じて不審行動をやめたか否かを判定する。客106が周囲の状況を認識したこととは、例えば客106の顔の向きの変化によって検出される。
なお判定部206は、客106の不審行動が停止したか否かを判定することに限られず、客106の不審行動が変化したか否かを判定してもよい。またステップS401で不審行動が検出されてから所定の時間内に、客106の不審行動が停止したか否かを判定してもよい。判定部206が客106の不審行動が停止した(客106が不審行動をやめた)と判定した場合、条件を満たすとして、処理はステップ404へ進む。判定部206が客106の不審行動が継続していると判定した場合、条件を満たしていないとして、処理はステップS401に戻る。
【0025】
ステップS404において、設定部205が、ステップS402で登録された客106が不審行動をやめた回数をカウントして記憶部207に記憶する。
ステップS405において、判定部206が、ステップS402で登録された客106が、要注意人物を決定するための条件を満たすか否かを判定する。本実施形態において要注意人物を決定する条件とは、不審行動をやめた回数が所定の規定値以上であることである。即ち、判定部206が、記憶部207に記憶される不審行動をやめた回数が所定の規定値以上であるか否かを判定する。判定部206が所定の規定値以上であると判定した場合、条件を満たすとして、処理はステップS406へ進む。判定部206が所定の規定値未満であると判定した場合、条件を満たしていないとして、処理はステップS401に戻る。
【0026】
ステップS406において、判定部206が、ステップS402で登録された客106の情報を要注意人物として記憶部207に登録する。そして一連の処理が終了する。
なおステップS403で、判定部206が、ステップS402で登録された客106の不審行動が、不審行動を決定する条件を満たすと判定した場合、客106の情報を要注意人物として記憶部207に登録してもよい。この場合はステップS404及びS405の処理は不要となる。
【0027】
以上説明したように、第1の実施形態の画像処理装置201及び撮像装置202によれば、不審行動をする客106が周囲の状況で不審行動をやめたか否かが判定される。更に不審行動をやめた回数が、所定の規定値以上である場合に、不審行動をする客106が要注意人物として登録される。これにより、単に商品を探すためにきょろきょろしているだけで、万引き等を行う意思のない客106が誤検出される恐れが低減される。即ち、店員や警備員の声掛け等の手間が軽減されて、円滑な業務遂行が実現される。一方で、万引き等を行う意思を持っているが、周囲にいる人物を警戒して不審行動をやめた要注意人物を検出することができる。即ち、犯罪を行う可能性が高い要注意人物に対して店員が声掛けをする等、犯罪を未然に防止するための対策を講じることが可能となる。
【0028】
<第2の実施形態>
以下、図5図8を参照して、第2の実施形態に係る画像処理装置201及び撮像装置202について説明する。上述の第1の実施形態では、不審行動を決定する条件が、客106の周囲の状況に応じて、客106の不審行動が停止したことであった。一方で、第2の実施形態では、不審行動を決定する条件が、客の周囲に発生した所定のイベントに応じて不審行動が変化したことである。第2の実施形態は、主にこの点で第1の実施形態とは異なる。そこで以下、第1の実施形態との相違点を中心に説明する。第2の実施形態のハードウェア構成及びソフトウェア構成は、第1の実施形態に係る画像処理装置201及び撮像装置202と同様である。従って、第1の実施形態と同様の部分については同じ符号を用いてその説明を省略する。
【0029】
以下、図5図7を用いて、客の周囲に発生した所定のイベントに応じて不審行動が変化することについて説明する。図5は不審行動をする客502の近くに人がいる場合の模式図である。監視カメラ503で検出した不審行動をする客502の付近に人物501が位置している。人物501の位置は少なくとも客502から直接見える場所の範囲内である。ここで、人物501は店員又は他の客であってもよいし、ドローン、又は案内ロボットのように遠隔操作又は自律動作可能な装置であってもよい。図5のような状況で、判定部206は、客502の不審行動が客502の付近に位置する人物501に関連して変化するか否かを判定する。
【0030】
図6は不審行動をする客602に対して店内放送をする場合の模式図である。監視カメラ603で検出した不審行動をする客602に聞こえる位置のスピーカ601により、音声による放送を行う。例えば、画像処理装置201のCPU301がネットワーク311を介してスピーカ601に指示を送信し、スピーカ601が警告音又は警告を通知する音声を発する。スピーカ601が警告音又は音声を発するタイミングとしては、例えば検出部204が客602の不審行動を検出したタイミングである。図6のような状況で、判定部206は、客602の不審行動がスピーカ601からの放送によって変化するか否かを判定する。
【0031】
図7は不審行動をする客に対して店内表示をする場合の模式図である。監視カメラ703で検出した不審行動をする客702が目視できる位置に設置されている表示装置701に注意、警告等の表示を行う。表示装置701は、液晶等の電子デバイスでもよいし、差し替え可能な紙媒体等による掲示でもよく、表示を変更可能なものであればよい。例えば、画像処理装置201のCPU301がネットワーク311を介して表示装置701に指示を送信し、表示装置701が表示を行う。または、画像処理装置201の表示デバイス308が表示を行ってもよい。表示装置701が表示を行うタイミングとしては、例えば検出部204が客702の不審行動を検出したタイミングである。図7のような状況で、判定部206は、客702の不審行動が表示装置701の表示によって変化するか否かを判定する。
【0032】
(登録処理)
図8は、第2の実施形態に係る登録処理を示すフローチャートである。図8に示す処理は、画像処理装置201の画像取得部203が画像データの取得を開始した場合にスタートする。以下、図5の模式図を用いて説明する。
まずステップS801、S802において、図4のステップS401、S402と同様の処理が実行される。ステップS801では、監視カメラ503で撮影された画像データから客502の不審行動が検出される。ステップS802では、記憶部207に客502の情報が登録される。
【0033】
次にステップS803において、判定部206が、ステップS802で登録された客502の不審行動が客502の周囲に発生した所定のイベントに応じて変化したか否かを判定する。ここでは、監視カメラ503で撮影された画像データを解析し、客502が人物501を目視したと認識した場合に、不審行動をする客502の行動が変化するか否かを判定する。行動が変化するとは、客502の不審行動が停止する、客502の顔の向きが変化する、客502の位置が変化する等である。例えば、客502の首振り動作の変化に基づいて、不審行動をする客502の行動が変化するか否かを判定してもよい。判定部206が不審行動が変化したと判定した場合、処理はステップS804へ進む。判定部206が不審行動が継続していると判定した場合、処理はステップS805へ進む。
【0034】
ステップS804において、判定部206が、ステップS802で登録された客502の情報を要注意人物として記憶部207に登録する。そして一連の処理が終了する。
一方でステップS805において、判定部206が、ステップS802で登録された客502の情報を削除する。そして一連の処理が終了する。
【0035】
以上、図8のフローチャートを図5の模式図を用いて説明した。一方で、図8のステップS803の処理を、所定のイベントに応じて変更することで、図6及び図7の模式図で示す状況についても説明可能である。
以下、図6の場合に、図8のフローチャートのステップS803で実行される処理について説明する。この場合、監視カメラ603で撮影された画像データを解析し、スピーカ601により放送を再生した場合に、不審行動をする客602の行動が変化するか否かを判定する。行動が変化するとは、上述のステップS803に記載されている内容と同様である。放送の内容は、店員や警備員に警戒を指示する内容でもよいし、客602に対して万引きのアナウンス又は警告する内容でもよい。また放送する方法は予め録音した音声を再生する方法でもよいし、その場でマイクを使用して通話する方法でもよい。
【0036】
以下、図7の場合に、図8のフローチャートのステップS803で実行される処理について説明する。この場合、監視カメラ703で撮影された画像データを解析し、表示装置701の表示を変更した場合に、不審行動をする客702の行動が変化するか否かを判定する。行動が変化するとは、上述のステップS803に記載されている内容と同様である。表示の内容は、店員や警備員が警戒しているといった内容でもよいし、客702に対して万引きに対する案内又は警告する内容でもよい。
【0037】
以上説明したように、第2の実施形態の画像処理装置201及び撮像装置202によれば、上述の第1の実施形態と同様の効果が得られるとともに、不審行動をする人物の行動が店舗内の様々な状況に応じて変化することを用いて、不審な人物をさらに精度よく見つけ出すことができる。
【0038】
<第3の実施形態>
以下、図9を参照して、第3の実施形態に係る画像処理装置201及び撮像装置202について説明する。上述の第2の実施形態では、不審行動を決定する条件が、客502,602,702の周囲に発生した所定のイベントに応じて不審行動が変化したことであった。第3の実施形態は、不審行動を決定する条件が、設定部205で登録された不審行動をする人物に対して判定部206で削除された回数が所定の閾値以上であることである。第3の実施形態は、主にこの点で第2の実施形態とは異なる。そこで以下、第2の実施形態との相違点を中心に説明する。第3の実施形態のハードウェア構成及びソフトウェア構成は、第1の実施形態に係る画像処理装置201及び撮像装置202と同様である。従って、第1の実施形態と同様の部分については同じ符号を用いてその説明を省略する。
【0039】
(登録処理)
図9は、第2の実施形態に係る登録処理を示すフローチャートである。図9に示す処理は、画像処理装置201の画像取得部203が画像データの取得を開始した場合にスタートする。以下、図1の模式図を用いて説明する。
まずステップS901、S902において、図8のステップS801、S802と同様の処理が実行される。ステップS901では、監視カメラ112で撮影された画像データから客106の不審行動が検出される。ステップS902では、記憶部207に客106の情報が登録される。
【0040】
次にステップS903において、判定部206が、ステップS902で登録された客106に対して、後述するステップS905で削除された回数が所定の閾値以上であるか否かを判定する。判定部206が削除された回数が所定の閾値以上であると判定した場合、処理はステップS904へ進む。判定部206が削除された回数が所定の閾値未満であると判定した場合、処理はステップS905へ進む。
【0041】
ステップS904において、判定部206が、ステップS902で登録された客106の情報を要注意人物として記憶部207に登録する。そして一連の処理が終了する。
一方でステップS905において、判定部206が、ステップS902で登録された客106の情報を削除する。そして一連の処理が終了する。
【0042】
以上説明したように、第3の実施形態の画像処理装置201及び撮像装置202によれば、上述の第1の実施形態と同様の効果が得られるとともに、不審行動を複数回以上繰り返す人物が要注意人物として登録される。即ち、不審行動が所定のイベントに応じて変化しないけれども、何度も不審行動を繰り返す店舗内の不審な人物をさらに精度よく見つけ出すことができる。
以上、第1~第3の実施形態において、判定部206により、要注意人物と判定された場合、不審人物と判定された場合よりも、より厳重な対策が実施される。
例えば、犯罪を行う可能性が高い要注意人物がいること、もしくは早急に要注意人物に対して声掛けを行う必要があることを監視者に認識させるための通知を、画像処理装置201が有する表示デバイス308上で行う。
また、例えば、上述のステップS803でスピーカ601から再生される音声や、表示装置701で表示される警告よりも厳しい内容の音声や警告がされる。具体的には、上述のステップS803でスピーカ601から再生される音声や、表示装置701で表示される警告が、「このエリアは監視されています」の場合、要注意人物に対しては、「万引きは犯罪です」といった音声や警告がなされる。
【0043】
以上、本発明を実施形態と共に説明したが、上記実施形態は本発明を実施するにあたっての具体化の例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその技術思想、又はその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
(その他の実施形態)
本発明は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0044】
100:店舗、201:画像処理装置、202:撮像装置、203:画像取得部、204:検出部、205:設定部、206:判定部、207:記憶部、301:CPU、302:ROM
図1
図2
図3
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図5
図6
図7
図8
図9