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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】通信中継装置
(51)【国際特許分類】
   H04B 7/08 20060101AFI20240115BHJP
   H04B 7/06 20060101ALI20240115BHJP
   H04W 16/28 20090101ALI20240115BHJP
【FI】
H04B7/08 810
H04B7/06 960
H04W16/28
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020043812
(22)【出願日】2020-03-13
(65)【公開番号】P2021145277
(43)【公開日】2021-09-24
【審査請求日】2022-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】598076591
【氏名又は名称】東芝インフラシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土井 敏則
【審査官】原田 聖子
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-518064(JP,A)
【文献】特開2019-080276(JP,A)
【文献】特表2003-529238(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/08
H04B 7/06
H04W 16/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線基地局と携帯通信端末装置との間の通信の中継を行う通信中継装置であって、
複数のアンテナ素子を含むアンテナブロックを複数含む指向性アンテナと、
前記指向性アンテナによって前記携帯通信端末装置から無線で受信する電気信号の着信電力を検出し、当該着信電力の検出結果に基づいて、前記携帯通信端末装置が存在する方向である端末方向を推定し、前記指向性アンテナによって受信する前記電気信号がPRACH信号である場合、複数の前記アンテナブロックのそれぞれから電波を発射する方向を第1速度で移動させて、前記端末方向を推定する方向推定部と、
前記指向性アンテナから電波を発射する方向を、前記方向推定部により推定する前記端末方向に向けるビームフォーミングを実行する制御部と、
を備え
前記制御部は、前記無線基地局から受信する信号が複数のストリームである場合、前記複数のストリームのそれぞれの電波を異なる前記アンテナブロックから発射し、前記複数のアンテナブロックのうち第1アンテナブロックから発射する電波を受信する前記携帯通信端末装置の前記端末方向が推定された場合、前記第1アンテナブロックから発射する電波を前記端末方向に向けるビームフォーミングを実行し、
前記方向推定部は、当該ビームフォーミングを実行後、前記第1アンテナブロックから電波を発射する方向を前記第1速度より遅い第2速度で移動させ、複数の前記アンテナブロックのうち前記第1アンテナブロックとは異なる第2アンテナブロックから電波を発射する方向を、前記第1速度で移動させ続ける、通信中継装置。
【請求項2】
前記指向性アンテナによって受信する前記電気信号を増幅する増幅部をさらに備え、
前記方向推定部は、前記増幅部により増幅される前記電気信号の着信電力を検出する請求項1に記載の通信中継装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記無線基地局から受信する信号が単一のストリームである場合、前記単一のストリームを前記複数のアンテナブロックから発射する請求項1または2に記載の通信中継装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、通信中継装置に関する。
【背景技術】
【0002】
5Gにおいて注目される技術の1つとしてビームフォーミングがある。ビームフォーミングは、複数のアンテナ素子を協調動作させ、任意の方向に電波のビームを形成することによって、カバレッジの拡大や、複数のユーザとの同時通信によるセル容量の拡大を実現する機能である。ビームフォーミングは、一般的には、超多素子のアンテナ(Massive MIMO)を用いて実現される。
【0003】
一方、ビルや地下鉄等の屋内のカバレッジの対策として使用されるDAS(Digital Assort System)システムは、1つの無線基地局から出力される信号を、複数の子機のそれぞれが有するアンテナから同一のビームにより発射することで、複数の子機のそれぞれが有するアンテナから発射するビームが届く範囲を1つのセルとして通信エリアを構築可能なシステムである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-153031号公報
【文献】特開2011-41001号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、DASシステムにおいて、1つの通信エリアを構築する複数の子機のそれぞれのアンテナから発射されるビームは基本的に同一であるため、アンテナ毎に異なるビームを生成して、当該ビームを、通信エリア内に存在する携帯通信端末装置に向けて発射することは困難である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態の通信中継装置は、無線基地局と携帯通信端末装置との間の通信の中継を行う通信中継装置であり、指向性アンテナと、方向推定部と、制御部と、を備える。指向性アンテナは、複数のアンテナ素子を含むアンテナブロックを複数含む。方向推定部は、指向性アンテナによって携帯通信端末装置から無線で受信する電気信号の着信電力を検出し、当該着信電力の検出結果に基づいて、携帯通信端末装置が存在する方向である端末方向を推定し、指向性アンテナによって受信する電気信号がPRACH信号である場合、複数のアンテナブロックのそれぞれから電波を発射する方向を第1速度で移動させて、端末方向を推定する。制御部は、指向性アンテナから電波を発射する方向を、方向推定部により推定する端末方向に向けるビームフォーミングを実行する。制御部は、無線基地局から受信する信号が複数のストリームである場合、複数のストリームのそれぞれの電波を異なるアンテナブロックから発射し、複数のアンテナブロックのうち第1アンテナブロックから発射する電波を受信する携帯通信端末装置の端末方向が推定された場合、第1アンテナブロックから発射する電波を端末方向に向けるビームフォーミングを実行する。方向推定部は、当該ビームフォーミングを実行後、第1アンテナブロックから電波を発射する方向を第1速度より遅い第2速度で移動させ、複数のアンテナブロックのうち第1アンテナブロックとは異なる第2アンテナブロックから電波を発射する方向を、第1速度で移動させ続ける。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本実施形態にかかる通信中継装置を適用した通信システムの一例を示す図である。
図2図2は、本実施形態にかかる通信システムが有する子機の機能構成の一例を示す図である。
図3図3は、本実施形態にかかる通信システムの子機が有する指向性アンテナから発射する電波のビームフォーミングの一例を説明するための図である。
図4図4は、本実施形態にかかる通信システムの子機が有する指向性アンテナから発射する電波のビームフォーミングの一例を説明するための図である。
図5図5は、本実施形態にかかる通信システムの子機が有する指向性アンテナから発射する電波のビームフォーミングの一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、添付の図面を用いて、本実施形態にかかる通信中継装置を適用した通信システムの一例について説明する。
【0009】
図1は、本実施形態にかかる通信中継装置を適用した通信システムの一例を示す図である。
【0010】
まず、図1を用いて、本実施形態にかかる通信システムの構成の一例について説明する。
【0011】
本実施形態にかかる通信システムは、ビルや地下鉄等の屋内、所謂、不感地帯のカバレッジ対策として使用されるDAS(Digital Assort System)システムに適用可能である。
【0012】
本実施形態にかかる通信システムは、図1に示すように、無線基地局1と、親機2と、子機3-1~3-3と、を有する。以下の説明では、子機3-1~3-3を区別せず、任意の子機を示す場合には、子機3と記載する。
【0013】
そして、親機2および子機3が、無線基地局1と携帯通信端末装置4との間の通信を中継している。ここで、携帯通信端末装置4は、携帯電話や、スマートフォン等である。
【0014】
本実施形態では、子機3が、通信中継装置の一例として機能する。無線基地局1と親機2との間は、同軸ケーブルで接続されている。また、親機2と子機3との間は、イーサネット(登録商標)ケーブルや光ケーブル等により接続されている。
【0015】
無線基地局1は、同軸ケーブルを介して、親機2との間で電気信号の送受信を行う。
【0016】
親機2は、同軸ケーブルおよび光ケーブル等を介して、無線基地局1と子機3との間での電気信号の送受信を中継する。
【0017】
子機3は、光ケーブル等を介して親機2から受信する電気信号(下り信号)を、指向性アンテナ300を介して、携帯通信端末装置4に無線により送信する。
【0018】
また、子機3は、指向性アンテナ300を介して、携帯通信端末装置4から無線により電気信号を受信し、当該受信する電気信号(上り信号)を、光ケーブル等を介して親機2に送信する。
【0019】
ところで、DASシステムにおいては、一般的に、1つの通信エリアを構築する複数の子機のそれぞれのアンテナから発射されるビームは基本的に同一であるため(言い換えると、無線基地局から子機へ出力される電気信号が同一であるため)、子機が有するアンテナ毎に異なるビームを生成して、当該ビームを、携帯通信端末装置に向けて発射することは困難である。そのため、子機のアンテナ単位で、当該アンテナから発射されるビームのビームフォーミングを実現することができず、通信品質およびキャパシティの改善を図ることが困難である。
【0020】
そこで、本実施形態では、子機3が有する指向性アンテナ300単位で、当該指向性アンテナ300から発射するビームのビームフォーミングを実現可能とする。これにより、携帯通信端末装置4が存在する位置に向けて、指向性アンテナ300からビームを発射することを可能となる。その結果、通信システムにおける通信品質およびキャパシティの改善、および通信システムにおけるスループットの向上を図ることができる。
【0021】
図2は、本実施形態にかかる通信システムが有する子機の機能構成の一例を示す図である。
【0022】
次に、図2を用いて、本実施形態にかかる通信システムが有する子機3の機能構成の一例について説明する。
【0023】
本実施形態では、子機3は、図2に示すように、指向性アンテナ300、増幅部301、方向推定部302、ビームフォーマー制御部303、およびビームフォーマー304を有する。
【0024】
指向性アンテナ300は、子機3から電波を発射する方向を制御可能なアンテナである。本実施形態では、指向性アンテナ300は、複数のアンテナ(例えば、平面アンテナ)を含み、当該複数のアンテナのそれぞれから発射する電波の位相を制御することにより、ビームフォーミングが実行可能なアンテナである。
【0025】
増幅部301は、指向性アンテナ300によって携帯通信端末装置4から無線で受信する電気信号を増幅する増幅部の一例である。本実施形態では、増幅部301は、LNA(Low Noise Amplifier)回路等であり、指向性アンテナ300によって無線で受信するRF信号(アナログ信号、電気信号の一例)を増幅する。また、本実施形態では、増幅部301は、増幅した電気信号に含まれるノイズ等を除去するフィルタを有する。また、本実施形態では、子機3は、増幅部301を有しているが、指向性アンテナ300によって無線で受信する電気信号のエネルギーが高い場合には、増幅部301を有していなくても良い。
【0026】
方向推定部302は、増幅部301により増幅される電気信号の着信電力を検出する。本実施形態では、方向推定部302は、増幅部301により増幅される電気信号(アナログ信号)をデジタル信号に変換し、当該デジタル信号に変換される電気信号のRSSI(Received Signal Strength Indicator)を、着信電力として検出する。本実施形態では、方向推定部302は、デジタル信号に変換される電気信号の着信電力を検出しているが、アナログの電気信号をデジタル信号に変換せずに、アナログ信号の着信電力を検出しても良い。また、本実施形態では、方向推定部302は、増幅部301により増幅される電気信号の着信電力を検出しているが、増幅部301を有しない場合(すなわち、指向性アンテナ300によって無線で受信する電気信号のエネルギーが高い場合)、指向性アンテナ300によって無線で受信する電気信号の着信電力を検出するものとする。
【0027】
また、方向推定部302は、電気信号の着信電力の検出結果に基づいて、携帯通信端末装置4が存在する方向である端末方向を推定する。本実施形態では、方向推定部302は、最大の着信電力が検出された方向を、携帯通信端末装置4が存在する端末方向として推定する。
【0028】
また、方向推定部302は、指向性アンテナ300によって受信する電気信号がPRACH信号である場合、指向性アンテナ400から電波を発射する方向を第1速度で移動させて、端末方向を推定する。
【0029】
これにより、子機3と携帯通信端末装置4との間で通信を開始する際に、高速に、携帯通信端末装置4が存在する方向に向かって電波を発射することができる。その結果、子機3と携帯通信端末装置4との間で通信を開始する際における、通信システムにおける通信品質およびキャパシティの改善、および通信システムにおけるスループットの向上を図ることができる。
【0030】
本実施形態では、方向推定部302は、指向性アンテナ400が有する複数のアンテナのそれぞれから発射される電波の位相を制御して、当該電波を発射する方向を第1速度で移動させる。そして、方向推定部302は、指向性アンテナ400から電波を発射した方向のうち、最大の着信電力が検出された方向を端末方向として推定する。
【0031】
また、方向推定部302は、後述するビームフォーマー304によるビームフォーミングの実行後、指向性アンテナ400から電波を発射する方向を、第2速度で移動させて、端末方向を推定する。
【0032】
ここで、第2速度は、第1速度より遅い速度である。本実施形態では、第2速度は、指向性アンテナ400から電波を発射する方向の移動による通信システムのスループットの低下が予め設定された値以下となる速度である。
【0033】
これにより、後述するビームフォーマー304によるビームフォーミングの実行後、携帯通信端末装置4が移動したとしても、携帯通信端末装置4の移動に対して、指向性アンテナ400から電波を発射する方向を追従させることができる。その結果、後述するビームフォーマー304によるビームフォーミングの実行後、携帯通信端末装置4が移動した場合における、通信システムにおける通信品質およびキャパシティの改善、および通信システムにおけるスループットの向上を図ることができる。
【0034】
ビームフォーマー制御部303は、方向推定部302により推定される端末方向に向かって指向性アンテナ300から電波が発射されるように、指向性アンテナ300から発射する電波の位相を算出する。
【0035】
ビームフォーマー304は、指向性アンテナ300から発射される電波の位相を、ビームフォーマー制御部303により算出される位相に制御する。これにより、ビームフォーマー304は、指向性アンテナ300から電波を発射する方向を、方向推定部302により推定される端末方向に向けるビームフォーミングを実行する。したがって、本実施形態では、ビームフォーマー制御部303およびビームフォーマー304が、制御部の一例として機能する。
【0036】
これにより、携帯通信端末装置4が存在する位置に向けて、指向性アンテナ300からビームを発射することを可能となる。その結果、通信システムにおける通信品質およびキャパシティの改善、および通信システムにおけるスループットの向上を図ることができる。
【0037】
図3~5は、本実施形態にかかる通信システムの子機が有する指向性アンテナから発射する電波のビームフォーミングの一例を説明するための図である。
【0038】
次に、図3~5を用いて、子機3が有する指向性アンテナ300から発射する電波のビームフォーミングの一例について説明する。
【0039】
例えば、子機3が有する指向性アンテナ300は、図3~5に示すように、4つのアンテナ(以下、アンテナブロックと言う)B1~B4を有する。以下の説明では、アンテナブロックB1~B4を区別せず、任意のアンテナブロックを示す場合には、アンテナブロックBと記載する。ここで、各アンテナブロックBは、16個のアンテナ素子(以下、パッチと言う)Pを含む。
【0040】
例えば、無線基地局1から受信する電気信号が4つのストリームである場合、ビームフォーマー304は、図3に示すように、4つのストリームのそれぞれの電波D1~D4を異なるアンテナブロックB1~B4から発射する。その後、指向性アンテナ300によってPRACH信号を受信した場合、方向推定部302は、アンテナブロックB1~B4のそれぞれから電波を発射する方向を第1速度で移動させて、端末方向を推定する。
【0041】
そして、例えば、アンテナブロックB3から発射する電波を受信する携帯通信端末装置4の端末方向が推定された場合、ビームフォーマー304は、アンテナブロックB3が有する複数のパッチPのそれぞれから発射する電波の位相を制御して、アンテナブロックB3から発射する電波を端末方向に向けるビームフォーミングを実行する。
【0042】
また、方向推定部302は、アンテナブロックB3から発射する電波を端末方向に向けるビームフォーミングを実行後、当該アンテナブロックB3から電波を発射する方向を第2速度で移動させる。また、方向推定部302は、他のアンテナブロックB1,B2,B4から電波を発射する方向については、当該アンテナブロックB1,B2,B4から発射する電波を受信する携帯通信端末装置4の端末方向が推定されるまで、第1速度で移動させ続ける。
【0043】
すなわち、ビームフォーマー304は、無線基地局1から受信する電気信号が複数のストリームである場合、当該複数のストリームのそれぞれの電波を異なるパッチPから発射する。これにより、1つの子機3から異なる複数の電波を発射することができるので、通信システムにおけるスループットを向上させることができる。
【0044】
また、例えば、無線基地局1から受信する電気信号が3つのストリームである場合、ビームフォーマー304は、図4に示すように、3つのストリームのそれぞれの電波D5~D7のうち、電波D5をアンテナブロックB1,B2から発射し、電波D6をアンテナブロックB3から発射し、電波D7をアンテナブロックB4から発射する。その後、指向性アンテナ300によってPRACH信号を受信した場合、方向推定部302は、アンテナブロックB1~B4のそれぞれから電波を発射する方向を第1速度で移動させ、端末方向を推定する。
【0045】
そして、例えば、アンテナブロックB1,B2から発射する電波を受信する携帯通信端末装置4の端末方向が推定された場合、ビームフォーマー304は、図4に示すように、アンテナブロックB1,B2が有する複数のパッチPのそれぞれから発射する電波の位相を制御して、アンテナブロックB1,B2から発射する電波を端末方向に向けるビームフォーミングを実行する。
【0046】
この場合、2つのアンテナブロックB1,B2から発射する電波を端末方向に向けることができるので、推定された端末方向に位置する携帯通信端末装置4との通信のスループットを向上させることができる。
【0047】
また、方向推定部302は、アンテナブロックB1,B2から発射する電波を端末方向に向けるビームフォーミングを実行後、当該アンテナブロックB1,B2から電波を発射する方向を第2速度で移動させる。また、方向推定部302は、他のアンテナブロックB3,B4から電波を発射する方向については、当該アンテナブロックB3,B4から発射する電波を受信する携帯通信端末装置4の端末方向が推定されるまで、第1速度で移動させ続ける。
【0048】
また、例えば、無線基地局1から受信する電気信号が1つのストリームである場合、ビームフォーマー304は、図5に示すように、当該1つのストリームの電波D8をアンテナブロックB1~B4から発射する。その後、指向性アンテナ300によりPRACH信号を受信した場合、方向推定部302は、アンテナブロックB1~B4のそれぞれが発射する電波D8を発射する方向を第1速度で移動させ、端末方向を推定する。
【0049】
そして、例えば、アンテナブロックB1~B4から発射する電波を受信する携帯通信端末装置4の端末方向が推定された場合、ビームフォーマー304は、図5に示すように、アンテナブロックB1~B4が有する複数のパッチPのそれぞれから発射する電波の位相を制御して、アンテナブロックB1~B4から発射する電波を端末方向に向けるビームフォーミングを実行する。
【0050】
つまり、ビームフォーマー304は、無線基地局1から受信する電気信号が単一のストリームである場合、当該単一のストリームの単一の電波を複数のアンテナブロックBから発射する。
【0051】
この場合、4つのアンテナブロックB1~B4から発射する電波を端末方向に向けることができるので、推定された端末方向に位置する携帯通信端末装置4との通信のスループットをさらに向上させることができる。
【0052】
また、方向推定部302は、アンテナブロックB1~B4から発射する電波を端末方向に向けるビームフォーミングを実行後、当該アンテナブロックB1~B4から電波を発射する方向を第2速度で移動させる。
【0053】
このように、本実施形態にかかる通信システムによれば、DASシステムにおいて、携帯通信端末装置4が存在する位置に向けて、子機3の指向性アンテナ300からビームを発射することを可能となる。その結果、DASシステムにおける通信品質およびキャパシティの改善、およびDASシステムにおけるスループットの向上を図ることができる。
【0054】
本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。この新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0055】
1 無線基地局
2 親機
3 子機
4 携帯通信端末装置
300 指向性アンテナ
301 増幅部
302 方向推定部
303 ビームフォーマー制御部
304 ビームフォーマー
B アンテナブロック
P パッチ
図1
図2
図3
図4
図5