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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】画像生成システム
(51)【国際特許分類】
   G06T 19/20 20110101AFI20240115BHJP
   H04N 7/18 20060101ALI20240115BHJP
   G06V 10/774 20220101ALI20240115BHJP
   G08B 17/103 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
G06T19/20
H04N7/18 D
G06V10/774
G08B17/103 A
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2020047351
(22)【出願日】2020-03-18
(65)【公開番号】P2021149378
(43)【公開日】2021-09-27
【審査請求日】2023-03-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000003403
【氏名又は名称】ホーチキ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107364
【弁理士】
【氏名又は名称】斉藤 達也
(72)【発明者】
【氏名】門馬 英一郎
(72)【発明者】
【氏名】小野 隆
(72)【発明者】
【氏名】中村 嘉夫
【審査官】岡本 俊威
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-88630(JP,A)
【文献】国際公開第2017/171005(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 19/00 - 19/20
H04N 7/18
G06V 10/774
G08B 17/02 - 17/12
G06T 7/00 - 7/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域の火災を検出するための機械学習に用いられる教師用画像を生成するための画像生成システムであって、
前記監視領域が撮像された撮像画像を仮想空間内に配置する第1配置手段と、
前記仮想空間内において、所定方法で生成された煙画像の向きを変えながら、当該煙画像を配置可能な第2配置手段と、
前記仮想空間内に設けられた仮想撮像手段によって撮像された画像であって、前記撮像画像及び前記煙画像を含む画像を、前記教師用画像として生成する生成手段と、
を備える、画像生成システム。
【請求項2】
前記撮像画像は、2次元画像であり、
前記第1配置手段は、前記仮想空間内において、前記撮像画像を垂直方向に略沿って配置し、
前記第2配置手段は、前記仮想空間内において、前記煙画像を前記撮像画像に略直交する仮想の水平軸線上に設けられた前記仮想撮像手段と前記撮像画像との相互間に配置する、
請求項1に記載の画像生成システム。
【請求項3】
前記第1配置手段は、前記撮像画像の外縁と前記教師用画像の外縁とが略一致するように、前記撮像画像を配置する、
請求項2に記載の画像生成システム。
【請求項4】
前記第2配置手段は、所定方法で取得された変更情報であって前記煙画像の向きを変えるための変更情報に基づいて、前記仮想空間内における前記煙画像の向きを変える、
請求項1から3のいずれか一項に記載の画像生成システム。
【請求項5】
前記煙画像の大きさ、形状、色彩、明るさ、位置、又は煙の濃度、上昇速度、若しくは向きを調整する調整手段を備える、
請求項1から4のいずれか一項に記載の画像生成システム。
【請求項6】
前記生成手段にて生成された前記教師用画像に含まれる前記煙画像の位置又は大きさに基づいて、当該教師用画像の適否を判定する判定手段を備える、
請求項1から5のいずれか一項に記載の画像生成システム。
【請求項7】
前記生成手段にて生成された前記教師用画像に基づいて、前記監視領域の火災の検出に関する機械学習を行う機械学習手段を備える、
請求項1から6のいずれか一項に記載の画像生成システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像生成システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、火災状況を示す画像を用いて、監視領域の火災を検出する技術が提案されている。この技術においては、まず、非火災時の監視領域を撮像した2次元の撮像画像の所定位置に、実際の煙を撮像した2次元の煙画像を重ねて合成することで教師用画像を生成する。そして、上記生成した教師用画像をもとに学習した火災判断部が監視領域の2次元の撮像画像を照合し、当該照合結果に基づいて監視領域の火災を検出する(例えば、特許文献1参照)。このような技術により、様々な火災状況を示す教師用画像を用いて、監視領域の火災を検出することが可能となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2018-088630号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、上記従来の技術においては、上述したように、非火災時の監視領域を撮像した2次元の撮像画像の所定位置に、実際の煙を撮像した2次元の煙画像を重ねて合成することで教師用画像を生成するので、例えば、上記撮像画像の撮像方向と煙画像の撮像方向とが一致していない場合には、教師用画像の煙の流れる方向等が不自然になることにより、実際の火災状況を高精度に再現した教師用画像を生成することが難しくなる可能性があることから、教師用画像の生成性を高める観点からは改善の余地があった。
【0005】
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、教師用画像の生成性を高めることが可能となる、画像生成システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の画像生成システムは、監視領域の火災を検出するための機械学習に用いられる教師用画像を生成するための画像生成システムであって、前記監視領域が撮像された撮像画像を仮想空間内に配置する第1配置手段と、前記仮想空間内において、所定方法で生成された煙画像の向きを変えながら、当該煙画像を配置可能な第2配置手段と、前記仮想空間内に設けられた仮想撮像手段によって撮像された画像であって、前記撮像画像及び前記煙画像を含む画像を、前記教師用画像として生成する生成手段と、を備える。
【0007】
請求項2に記載の画像生成システムは、請求項1に記載の画像生成システムにおいて、前記撮像画像は、2次元画像であり、前記第1配置手段は、前記仮想空間内において、前記撮像画像を垂直方向に略沿って配置し、前記第2配置手段は、前記仮想空間内において、前記煙画像を前記撮像画像に略直交する仮想の水平軸線上に設けられた前記仮想撮像手段と前記撮像画像との相互間に配置する。
【0008】
請求項3に記載の画像生成システムは、請求項2に記載の画像生成システムにおいて、前記第1配置手段は、前記撮像画像の外縁と前記教師用画像の外縁とが略一致するように、前記撮像画像を配置する。
【0009】
請求項4に記載の画像生成システムは、請求項1から3のいずれか一項に記載の画像生成システムにおいて、前記第2配置手段は、所定方法で取得された変更情報であって前記煙画像の向きを変えるための変更情報に基づいて、前記仮想空間内における前記煙画像の向きを変える。
【0010】
請求項5に記載の画像生成システムは、請求項1から4のいずれか一項に記載の画像生成システムにおいて、前記煙画像の大きさ、形状、色彩、明るさ、位置、又は煙の濃度、上昇速度、若しくは向きを調整する調整手段を備える。
【0011】
請求項6に記載の画像生成システムは、請求項1から5のいずれか一項に記載の画像生成システムにおいて、前記生成手段にて生成された前記教師用画像に含まれる前記煙画像の位置又は大きさに基づいて、当該教師用画像の適否を判定する判定手段を備える。
【0012】
請求項7に記載の画像生成システムは、請求項1から6のいずれか一項に記載の画像生成システムにおいて、前記生成手段にて生成された前記教師用画像に基づいて、前記監視領域の火災の検出に関する機械学習を行う機械学習手段を備える。
【発明の効果】
【0013】
請求項1に記載の画像生成システムによれば、監視領域が撮像された撮像画像を仮想空間内に配置する第1配置手段と、仮想空間内において、所定方法で生成された煙画像の向きを変えながら、当該煙画像を配置可能な第2配置手段と、仮想空間内に設けられた仮想撮像手段によって撮像された画像であって、撮像画像及び煙画像を含む画像を、教師用画像として生成する生成手段と、を備えるので、撮像画像の撮像方向と煙画像の撮像方向とが一致していない場合に、これら撮像方向が一致するように教師用画像を生成できる。よって、実際の火災状況を高精度に再現した教師用画像を様々なパターンで簡易に生成でき、教師用画像の生成性を高めることが可能となる。
【0014】
請求項2に記載の画像生成システムによれば、撮像画像が、2次元画像であり、第1配置手段は、仮想空間内において、撮像画像を垂直方向に略沿って配置し、第2配置手段は、仮想空間内において、煙画像を撮像画像に略直交する仮想の水平軸線上に設けられた仮想撮像手段と撮像画像との相互間に配置するので、撮像画像が2次元画像である場合に、実際の火災状況を高精度に再現した教師用画像を生成でき、教師用画像の生成性を高めることができる。
【0015】
請求項3に記載の画像生成システムによれば、第1配置手段が、撮像画像の外縁と教師用画像の外縁とが略一致するように、撮像画像を配置するので、教師用画像に撮像画像及び煙画像以外のものが含まれることを回避でき、教師用画像の生成性を高めることができる。
【0016】
請求項4に記載の画像生成システムによれば、第2配置手段が、所定方法で取得された変更情報に基づいて、仮想空間内における煙画像の向きを変えるので、変更情報に基づいて煙画像の向きを変えることができ、例えば画像生成システムのユーザ又は外部ユーザのニーズに応じた煙画像の向きの変更を行うことが可能となる。
【0017】
請求項5に記載の画像生成システムによれば、煙画像の大きさ、形状、色彩、明るさ、位置、又は煙の濃度、上昇速度、若しくは向きを調整する調整手段を備えるので、煙画像の大きさ、形状、色彩、明るさ、位置、又は煙の濃度、上昇速度、若しくは向きを調整でき、多様なパターンの教師用画像を生成しやすくなる。
【0018】
請求項6に記載の画像生成システムによれば、生成手段にて生成された教師用画像に含まれる煙画像の位置又は大きさに基づいて、当該教師用画像の適否を判定する判定手段を備えるので、教師用画像に含まれる煙画像の位置又は大きさに基づいて教師用画像の適否を判定でき、当該判定結果に基づいて適当な教師用画像を監視領域の火災検出に用いることが可能となる。
【0019】
請求項7に記載の画像生成システムによれば、生成手段にて生成された教師用画像に基づいて、監視領域の火災の検出に関する機械学習を行う機械学習手段を備えるので、教師用画像に基づいて監視領域の火災の検出に関する機械学習を行うことができ、当該学習結果を用いることにより監視領域の火災の検出精度を高めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】本発明の実施の形態1に係る画像生成システムを例示するブロック図である。
図2】実施の形態に係る画像生成処理のフローチャートである。
図3】教師用画像の生成状況を概念的に示す斜視図である
図4】煙画像の向きの変更を示す図であり、(a)は撮像画像の撮像方向を示す図、(b)は仮想空間内において煙画像の向きを変更した状態を示す図である。
図5】教師用画像を例示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下に、本発明に係る画像生成システムの実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。まず、〔I〕実施の形態の基本的概念を説明した後、〔II〕実施の形態の具体的内容について説明し、最後に、〔III〕実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0022】
〔I〕実施の形態の基本的概念
まず、実施の形態の基本的概念について説明する。実施の形態は、概略的に、監視領域の火災を検出するために用いられる教師用画像を生成するための画像生成システムに関するものである。
【0023】
ここで、「監視領域」とは、監視の対象となる領域であって、例えば、建物の内部の領域、建物の外部の領域等を含む概念である。また、「建物」の具体的な構造や種類は任意であるが、例えば、戸建て住宅、アパートやマンションの如き集合住宅、オフィスビル、イベント施設、工場施設、商業施設、及び公共施設等を含む概念である。以下、実施の形態では、「監視領域」が「工場施設(具体的には、部品の保管施設)の内部の領域」である場合について説明する。
【0024】
また、「監視領域の火災を検出する」とは、例えば、火災の有無を検出すること、火災の種類(一例として、着炎火災、燻焼火災等)を検出すること等を含む概念である。
【0025】
また、この画像生成システムとして機能する機器の種類については任意であるが、例えば、端末装置、センタ装置等が該当する。このうち、「端末装置」とは、ユーザによって所持された装置であり、例えば、公知のデスクトップコンピュータ、ノートブックコンピュータ、タブレット型コンピュータ、又はスマートフォン等を含む概念である。また、「センタ装置」とは、管理施設等に設けられた装置であり、例えば、外部装置(例えば、端末装置等)と相互に通信できるように管理施設外に配置された1つのみの据え置き型のサーバコンピュータ、又は、分散配置された複数のクラウドコンピュータ等を含む概念である。以下、実施の形態では、端末装置である「デスクトップコンピュータ」が、「画像生成システム」として機能する場合について説明する。
【0026】
〔II〕実施の形態の具体的内容
次に、実施の形態の具体的内容について説明する。
【0027】
(構成)
まず、実施の形態に係る画像生成システムの構成について説明する。図1は、本発明の実施の形態に係る画像生成システムを例示するブロック図である。図1に示すように、画像生成システム1は、後述する図5の教師用画像DI(実施の形態では、2次元の静止画像)を生成するためのシステムであり、概略的に、操作部10、通信部20、表示部30、電源部40、及び画像生成装置50を備えている。なお、画像生成システム1は、例えば公知のデスクトップコンピュータによって構成することができるので、その詳細な説明は省略する。
【0028】
(構成-操作部)
操作部10は、画像生成装置50に対する操作入力を受け付ける操作手段である。この操作部10は、例えば、タッチパッド、リモートコントローラの如き遠隔操作手段、あるいはハードスイッチ等、公知の操作手段を用いて構成されている。
【0029】
(構成-通信部)
通信部20は、図示しない外部装置(例えば、管理施設に設けられたサーバ、後述する図3の撮像画像CIを撮像する撮像装置等)との間で通信を行うための通信手段であり、例えば、有線通信網や移動体無線通信網を用いて通信を行う公知の通信手段を用いて構成されている。
【0030】
(構成-表示部)
表示部30は、後述する画像生成装置50の制御部60の制御に基づいて各種の画像を表示する表示手段である。この表示部30の具体的な構成は任意であるが、例えば、公知の液晶ディスプレイや有機ELディスプレイの如きフラットパネルディスプレイ等を用いることができる。
【0031】
(構成-電源部)
電源部40は、商用電源(図示省略)から供給された電力又は当該電源部40に蓄電された電力を、画像生成システム1の各部に供給する電力供給手段である。
【0032】
(構成-画像生成装置)
画像生成装置50は、教師用画像DIを生成するための装置であり、図1に示すように、制御部60及びデータ記録部70を備えている。
【0033】
(構成-画像生成装置-制御部)
制御部60は、画像生成装置50を制御する制御手段であり、具体的には、CPU、当該CPU上で解釈実行される各種のプログラム(OSなどの基本制御プログラムや、OS上で起動され特定機能を実現するアプリケーションプログラムを含む)、及びプログラムや各種のデータを格納するためのRAMの如き内部メモリを備えて構成されるコンピュータである。
【0034】
また、この制御部60は、図1に示すように、機能概念的に、第1配置部61、第2配置部62、生成部63、及び調整部64を備えている。
【0035】
(構成-画像生成装置-制御部-第1配置部)
第1配置部61は、撮像画像CIを取得し、当該取得した撮像画像CIを仮想空間VS内に配置する第1配置手段である。
【0036】
ここで、「撮像画像CI」とは、監視領域を撮像した画像(静止画像、動画像)を意味する。この「撮像画像CI」は、例えば、公知の撮像装置(一例として、デジタルカメラ、デジタルビデオカメラ等)を用いて撮像した2次元画像又は3次元画像等を含む概念であるが、実施の形態では、公知の撮像装置を用いて撮像した2次元の静止画像として説明する。また、「仮想空間VS」とは、画像生成装置50において構築される3次元空間であって、教師用画像DIを生成するための空間を意味する。
【0037】
(構成-画像生成装置-制御部-第2配置部)
第2配置部62は、仮想空間VS内において、所定方法で生成された後述する図3の煙画像SIの向きを変えながら、当該煙画像SIを配置可能な第2配置手段である。
【0038】
ここで、「煙画像SI」とは、煙が映り込んでいる画像(静止画像、動画像)を意味する。この「煙画像SI」は、例えば、公知の撮像装置を用いて実際の煙を単に撮像された2次元画像又は3次元画像、公知の撮像装置を用いて実際の煙を撮像した後に、公知の画像編集方法(一例として、クロマキー処理等)を用いて編集した2次元画像又は3次元画像、又は公知の画像シミュレーション装置(又はソフト)を用いて仮想の煙をシミュレーションする(模擬的に現出する)ことで形成した2次元画像又は3次元画像等を含む概念であるが、実施の形態では、上記仮想の煙をシミュレーションして形成した3次元の静止画像として説明する。
【0039】
(構成-画像生成装置-制御部-生成部)
生成部63は、後述する図3の仮想撮像部65によって撮像された画像であって、撮像画像CI及び煙画像SIを含む画像(2次元の静止画像)を、教師用画像DIとして生成する生成手段である。
【0040】
ここで、「仮想撮像部65」とは、仮想空間VS内に配置された撮像画像CI及び煙画像SIを含む画像を撮像する仮想撮像手段であり、後述する図3に示すように、仮想空間VS内に設けられる。
【0041】
(構成-画像生成装置-制御部-調整部)
調整部64は、煙画像SIの大きさ、形状、色彩、明るさ、位置、又は煙の濃度、上昇速度、若しくは向きを調整する調整手段である。
【0042】
ここで、「煙画像SIの大きさを調整する」とは、例えば、火災の規模等に応じて煙画像SIの大きさを調整することが該当する。また、「煙画像SIの形状を調整する」とは、例えば、気流の流速(例えば、気流の上昇速度等)又は向き等に応じて煙画像SIの形状を調整することが該当する。また、「煙画像SIの色彩を調整する」とは、例えば、火災の種類(一例として、着炎火災、燻焼火災)等に応じて煙画像SIの色彩を調整することが該当する。また、「煙画像SIの明るさを調整する」とは、例えば、仮想空間VS内に設けられた仮想の光源(図示省略)を用いて、火災発生の時間帯又は照明の配置状況等に応じて煙画像SIの明るさを調整することが該当する。また、「煙画像SIの位置を調整する」とは、例えば、火災発生位置等に応じて煙画像SIの位置を調整することが該当する。また、「煙画像SIの煙の濃度を調整する」とは、例えば、火災の種類等に応じて煙画像SIの煙の濃度を調整することが該当する。また、「煙画像SIの煙の上昇速度を調整する」とは、例えば、煙画像SIが動画像である場合に、火災の種類又は規模等に応じて煙画像SIの煙の上昇速度を調整することが該当する。また、「煙画像SIの煙の向きを調整する」とは、例えば、気流の向き又は撮像画像CIの撮像方向等に応じて煙画像SIの煙の向きを調整することが該当する。なお、この制御部60によって実行される処理の詳細については後述する。
【0043】
(構成-画像生成装置-データ記録部)
データ記録部70は、画像生成装置50の動作に必要なプログラム及び各種のデータを記録する記録手段であり、例えば、外部記録装置としてのハードディスク(図示省略)を用いて構成されている。ただし、ハードディスクに代えてあるいはハードディスクと共に、磁気ディスクの如き磁気的記録媒体、DVDやブルーレイディスクの如き光学的記録媒体、又はFlash Rom、USBメモリ、SDカードの如き電気的記録媒体を含む、その他の任意の記録媒体を用いることができる。
【0044】
(画像生成処理)
次に、このように構成された画像生成システム1における画像生成装置50の制御部60によって実行される画像生成処理について説明する。図2は、実施の形態に係る画像生成処理のフローチャートである(以下の各処理の説明ではステップを「S」と略記する)。図3は、教師用画像DIの生成状況を概念的に示す斜視図である。図4は、煙画像SIの向きの変更を示す図であり、(a)は撮像画像CIの撮像方向を示す図、(b)は仮想空間VS内において煙画像SIの向きを変更した状態を示す図である。図5は、教師用画像DIを例示した図である。
【0045】
画像生成処理は、教師用画像DIを生成するための処理である。また、この検索処理を実行するタイミングは任意であるが、実施の形態においては、画像生成システム1に電源が投入された後に起動される。
【0046】
画像生成処理が起動されると、図2に示すように、SA1において制御部60は、初期設定処理を実行する。ここで、「初期設定処理」とは、画像生成処理に関する初期設定を行うための処理である。
【0047】
この初期設定処理の具体的な処理内容については任意であるが、例えば以下の通りに実行してもよい。
【0048】
すなわち、まず、画像生成装置50において構築される仮想空間VSの方向(具体的には、X方向、Y方向、Z方向)の設定については、データ記録部70にあらかじめ記録された方向情報、操作部10を介して受け付けられた方向情報(例えば、デフォルトの方向情報)、又は通信部20を介して外部装置から取得した方向情報等に基づいて設定してもよい。一例として、X方向=左右方向、Y方向=前後方向、Z方向=上下方向に設定してもよい。その後、図3に示すように、表示部の画面上に生成された表示領域IAに上記仮想空間VSを表示してもよい。
【0049】
次に、仮想撮像部65の設置位置の設定については、表示領域IAに仮想撮像部65を表示した状態で、データ記録部70にあらかじめ記録された位置情報(例えば、デフォルトの位置情報)、あるいは、操作部10又は通信部20を介して受け付けられた位置情報等に基づいて設定してもよい。一例として、図3に示すように、仮想撮像部65の撮像方向が前後方向に沿うように、仮想空間VSの中央位置よりも前側の位置に設定してもよい。
【0050】
図2に戻り、SA2において第1配置部61は、撮像画像CI(具体的には、2次元の静止画像)を取得する。
【0051】
この撮像画像CIの取得方法については任意であるが、例えば、通信部20を介して外部装置から取得したり、又はデータ記録部70からあらかじめ記録された撮像画像CIを取得してもよい。
【0052】
SA3において第1配置部61は、SA2にて取得した撮像画像CIを、SA1にて設定された仮想空間VS内に配置する。
【0053】
この撮像画像CIの配置方法については任意であるが、実施の形態では、上記仮想空間VS内において撮像画像CIを垂直方向(上下方向)に略沿って配置すると共に、撮像画像CIの外縁と教師用画像DIの外縁とが略一致するように、撮像画像CIを配置する。
【0054】
具体的には、図3に示すように、撮像画像CIを表示領域IAに表示した状態で、撮像画像CIが所定位置(例えば、仮想撮像部65よりも後側の位置等)に位置するように、撮像画像CIを仮想撮像部65と相互に間隔を隔てて配置すると共に、撮像画像CIに略直交する仮想の水平軸線VH(例えば、前後方向に沿った仮想の水平軸線VH)上に、撮像画像CIを配置する(すなわち、撮像画像CIの撮像方向と仮想撮像部65の撮像方向とが一致するように配置する)。なお、上記間隔の設定方法については、例えば、撮像画像CIの外縁と教師用画像DIの外縁とが略一するように、撮像画像CIの大きさ又は仮想撮像部65の撮像倍率に基づいて設定してもよく、あるいは、操作部10を介して受け付けられた間隔情報又は通信部20を介して外部装置から取得した間隔情報に基づいて設定してもよい。
【0055】
このような配置により、教師用画像DIに撮像画像CI及び煙画像SI以外のものが含まれることを回避でき、教師用画像DIの生成性を高めることができる。
【0056】
図2に戻り、SA4において制御部60は、煙画像SI(具体的には、3次元の静止画像)を生成する。
【0057】
この煙画像SIの生成方法については任意であるが、実施の形態では、公知の画像シミュレーション装置(又はソフト)を用いて、SA1にて設定された仮想空間VS内において仮想の煙をシミュレーションすることで形成することにより、生成する。これにより、例えば、煙画像SIの煙の向きを仮想撮像部65の撮像方向に向けて傾斜するような向きにでき、実際の火災状況を再現した教師用画像DIを生成しやすくなる。ただし、これに限らず、例えば、データ記録部70からあらかじめ記録された煙画像SI、又は通信部20を介して外部装置から煙画像SIを取得することにより、生成してもよい。
【0058】
SA5において第2配置部62は、SA1にて設定された仮想空間VS内において、SA4にて生成された煙画像SIの向きを変えながら、当該煙画像SIを配置する。
【0059】
この煙画像SIの配置方法については任意であるが、実施の形態では、上記仮想空間VS内において、上記煙画像SIを、仮想撮像部65とSA3にて配置された撮像画像CIとの相互間に配置すると共に、所定方法で取得された変更情報に基づいて当該撮像画像CIの向きを変える。ここで、「変更情報」とは、煙画像の向きを変えるための変更情報であり、例えば煙画像を所定方向に向けて所定角度だけ傾斜させることを示す情報等が該当する。
【0060】
具体的には、図3図4(b)に示すように、煙画像SIを表示領域IAに表示した状態で、上記撮像画像CIの撮像方向が非水平方向である場合(例えば、図4(a)に示すように、建物の内部空間ISにおいて、撮像装置Cが監視領域を見下ろすように撮像したことで、上記撮像画像CIの撮像方向が水平方向に対して所定角度αだけ傾いた場合)には、当該煙画像SIを上記相互間の略中央位置に配置すると共に、取得された変更情報が煙画像SIを前方斜め下方向に向けて所定角度αだけ傾斜させる旨を示す場合に、上記煙画像SIの向きを上下方向に対して所定角度αだけ前方斜め下方向となる向きに変える。また、上記撮像画像CIの撮像方向が水平方向である場合には、当該煙画像SIを上記相互間の略中央位置に配置すると共に、取得された変更情報が煙画像SIの向きを変更しない旨を示す場合に、上記煙画像SIの向きを上下方向に維持する。
【0061】
なお、変更情報の取得方法については任意であるが、例えば、操作部10を介して受け付けられることにより取得してもよく、又は通信部20を介して外部装置から受信することにより取得してもよい。また、変更情報の設定方法については任意であるが、例えば、画像生成システム1のユーザ又は外部のユーザが撮像画像CIの撮像方向と水平方向とのズレを参照して決定した向きを示す情報を変更情報として設定してもよい。あるいは、公知の角度センサで検出した撮像画像CIの撮像方向を示す情報を変更情報として設定してもよい。
【0062】
このような配置により、撮像画像CIが2次元画像である場合に、実際の火災状況を高精度に再現した教師用画像DIを生成でき、教師用画像DIの生成性を高めることができる。
【0063】
図2に戻り、SA6において調整部64は、操作部10を介して煙画像SIを調整する指示(以下、「調整指示」と称する)が受け付けられたか否かを判定する。
【0064】
そして、調整部64は、調整指示が受け付けられたと判定された場合(SA6、Yes)にはSA7に移行し、調整指示が受け付けられていないと判定された場合(SA6、No)にはSA8に移行する。
【0065】
SA7において調整部64は、煙画像SIの大きさ、形状、色彩、明るさ、位置、又は煙の濃度、上昇速度、若しくは向きを調整する。
【0066】
この煙画像SIの調整方法については任意であるが、例えば、煙画像SIを表示領域IAに表示した状態で、データ記録部70からあらかじめ記録された調整情報(例えば、デフォルトの調整情報)、操作部10を介して受け付けられた調整情報、又は通信部20を介して外部装置から取得した調整情報に基づいて調整してもよい。
【0067】
ここで、「調整情報」とは、煙画像SIを調整するための情報であり、実施の形態では、煙画像SIの大きさを調整する第1調整情報、煙画像SIの形状を調整する第2調整情報、煙画像SIの色彩を調整する第3調整情報、煙画像SIの明るさを調整する第4調整情報、煙画像SIの位置を調整する第5調整情報、煙画像SIの煙の濃度を調整する第6調整情報、煙画像SIの煙の上昇速度を調整する第7調整情報、又は煙画像SIの煙の向きを調整する第8調整情報の少なくともいずれか1つを含むもの等が該当する。
【0068】
このような調整により、煙画像SIの大きさ、形状、色彩、明るさ、位置、又は煙の濃度、上昇速度、若しくは向きを調整でき、多様なパターンの教師用画像DIを生成しやすくなる。
【0069】
SA8において生成部63は、仮想撮像部65によって、SA3にて配置された撮像画像CIとSA5にて配置された煙画像SI(又はSA7にて調整された煙画像SI)とを含む画像(例えば、図5の画像)を撮像し、当該撮像した画像を教師用画像DIとして生成する。なお、SA8にて生成された教師用画像DIは、例えば、データ記録部70に記録されてもよく、あるいは、通信部20を介して外部装置に送信されてもよい。
【0070】
SA9において制御部60は、画像生成処理を終了するタイミング(以下、「終了タイミング」と称する)が到来したか否かを判定する。
【0071】
この終了タイミングが到来したか否かの判定方法については任意であるが、例えば、操作部10を介して所定操作が受け付けられたか否かに基づいて判定し、上記所定操作が行われた場合には終了タイミングが到来したと判定し、上記所定操作が行われていない場合には終了タイミングが到来していないと判定する。
【0072】
そして、制御部60は、終了タイミングが到来したと判定された場合(SA9、Yes)には画像生成処理を終了する。一方で、終了タイミングが到来していないと判定された場合(SA9、No)にはSA2に移行し、SA9にて終了タイミングが到来したと判定されるまでSA2からSA9の処理を繰り返し行う。
【0073】
なお、実施の形態では、SA2からSA9までのサイクルを繰り返す場合において、次回のサイクルで用いる撮像画像CI(又は煙画像SI)を前回のサイクルで用いた撮像画像CI(又は煙画像SI)と変更する場合には、操作部10を介して所定操作が行われることによって、SA1にて設定された仮想空間VS内において前回のサイクルで用いた撮像画像CI(又は煙画像SI)を削除した後に、SA2及びSA3(又は、SA4及びSA5)を実行してもよい。一方で、次回のサイクルで用いる撮像画像CI又は煙画像SIを前回のサイクルで用いた撮像画像CI(又は煙画像SI)と変更しない場合には、操作部10を介して所定操作が行われることによって、上記仮想空間VS内において前回のサイクルで用いた撮像画像CI(又は煙画像SI)を保持しながら、SA2及びSA3(又は、SA4及びSA5)を省略してもよい。
【0074】
このような画像生成処理により、撮像画像CIの撮像方向と煙画像SIの撮像方向とが一致していない場合に、これら撮像方向が一致するように教師用画像DIを生成できる。よって、実際の火災状況を高精度に再現した教師用画像DIを様々なパターンで簡易に生成でき、教師用画像DIの生成性を高めることが可能となる。
【0075】
(実施の形態の効果)
このように実施の形態によれば、監視領域が撮像された撮像画像CIを仮想空間VS内に配置する第1配置部61と、仮想空間VS内において、所定方法で生成された煙画像SIの向きを変えながら、当該煙画像SIを配置可能な第2配置部62と、仮想空間VS内に設けられた仮想撮像部65によって撮像された画像であって、撮像画像CI及び煙画像SIを含む画像を、教師用画像DIとして生成する生成部63と、を備えるので、撮像画像CIの撮像方向と煙画像SIの撮像方向とが一致していない場合に、これら撮像方向が一致するように教師用画像DIを生成できる。よって、実際の火災状況を高精度に再現した教師用画像DIを様々なパターンで簡易に生成でき、教師用画像DIの生成性を高めることが可能となる。
【0076】
また、撮像画像CIが、2次元画像であり、第1配置部61は、仮想空間VS内において、撮像画像CIを垂直方向に略沿って配置し、第2配置部62は、仮想空間VS内において、煙画像SIを撮像画像CIに略直交する仮想の水平軸線VH上に設けられた仮想撮像部65と撮像画像CIとの相互間に配置するので、撮像画像CIが2次元画像である場合に、実際の火災状況を高精度に再現した教師用画像DIを生成でき、教師用画像DIの生成性を高めることができる。
【0077】
また、第1配置部61が、撮像画像CIの外縁と教師用画像DIの外縁とが略一致するように、撮像画像CIを配置するので、教師用画像DIに撮像画像CI及び煙画像SI以外のものが含まれることを回避でき、教師用画像DIの生成性を高めることができる。
【0078】
また、第2配置部62が、所定方法で取得された変更情報に基づいて、仮想空間VS内における煙画像SIの向きを変えるので、変更情報に基づいて煙画像SIの向きを変えることができ、例えば画像生成システム1のユーザ又は外部ユーザのニーズに応じた煙画像SIの向きの変更を行うことが可能となる。
【0079】
また、煙画像SIの大きさ、形状、色彩、明るさ、位置、又は煙の濃度、上昇速度、若しくは向きを調整する調整部64を備えるので、煙画像SIの大きさ、形状、色彩、明るさ、位置、又は煙の濃度、上昇速度、若しくは向きを調整でき、多様なパターンの教師用画像DIを生成しやすくなる。
【0080】
〔III〕実施の形態に対する変形例
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0081】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、上述の内容に限定されるものではなく、発明の実施環境や構成の細部に応じて異なる可能性があり、上述した課題の一部のみを解決したり、上述した効果の一部のみを奏したりすることがある。
【0082】
(分散や統合について)
上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散や統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散又は統合して構成できる。本出願における「システム」とは、複数の装置によって構成されたものに限定されず、単一の装置によって構成されたものを含む。また、本出願における「装置」とは、単一の装置によって構成されたものに限定されず、複数の装置によって構成されたものを含む。例えば、画像生成装置50を、相互に通信可能に構成された複数の装置に分散して構成し、これら複数の装置の一部に制御部60を設けると共に、これら複数の装置の他の一部にデータ記録部70を設けてもよい。
【0083】
(形状、数値、構造、時系列について)
実施の形態や図面において例示した構成要素に関して、形状、数値、又は複数の構成要素の構造若しくは時系列の相互関係については、本発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。
【0084】
(撮像画像、煙画像、教師用画像について)
上記実施の形態では、撮像画像CIが2次元の静止画像であると説明したが、これに限らず、例えば、2次元の動画像であってもよい。これにより、撮像画像CIが2次元の静止画像である場合に比べて、教師用画像DIのロバスト性を高めることができ、教師用画像DIの生成性を一層高めることができる。
【0085】
また、上記実施の形態では、撮像画像CIが2次元画像であると説明したが、これに限らず、例えば、3次元画像であってもよい。この場合には、画像生成処理のSA5において、煙画像SIを、仮想撮像部65と撮像画像CIとの相互間に配置したり、又は、撮像画像CI内に配置してもよい。あるいは、撮像画像CIの代わりに、実際の監視範囲以外の画像(2次元(又は3次元)の静止画像又は動画像)を背景として、撮像画像CIと同じ位置に配置してもよい。例えば、さまざまな人工物、自然物を撮像した撮像画像CIを背景として煙画像SIを仮想撮像部65で撮像することにより、教師用画像DIを生成してもよい。このように生成された教師用画像DIに基づいて機械学習を行い、その学習結果を用いて監視範囲の火災を検出することにより、監視範囲内において元の撮像画像CIと異なる物体が置かれるなどの変化があった場合でも、火災の検出精度を高められることが期待される。
【0086】
また、上記実施の形態では、煙画像SIが、公知の画像シミュレーション装置(又はソフト)を用いて仮想の煙をシミュレーションすることで形成することにより、生成した3次元画像であると説明したが、これに限らず、例えば、公知の撮像装置を用いて実際の煙を単に撮像された2次元画像又は3次元画像、又は公知の撮像装置を用いて実際の煙を撮像した後に、公知の画像編集方法を用いて編集することにより、生成した2次元画像又は3次元画像であってもよい。この場合には、画像生成処理のSA7において、煙画像SIの大きさ、形状、色彩、明るさ、又は位置を調整することになる。
【0087】
また、上記実施の形態では、教師用画像DIが、2次元の静止画像であると説明したが、これに限らず、例えば、2次元の動画像、3次元の静止画像、又は3次元の動画像であってもよい。
【0088】
(画像生成装置について)
上記実施の形態では、画像生成装置50が、調整部64を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、調整部64を省略してもよい。この場合には、画像生成処理のSA6、SA7を省略できる。
【0089】
また、上記実施の形態では、画像生成装置50の制御部60が、第1配置部61、第2配置部62、生成部63、及び調整部64を備えていると説明したが、これに限らず、例えば、これらの構成要素に加えて、判定部又は機械学習部を備えてもよい。
【0090】
ここで、判定部は、生成部63にて生成された教師用画像DIに含まれる煙画像SIの位置又は大きさに基づいて、当該教師用画像DIの適否を判定する判定手段である。この判定部による教師用画像DIの適否を判定する方法については任意であるが、例えば、煙画像SIの中心位置が教師用画像DI内に含まれているか否か、又は教師用画像DIにおける煙画像SIが占める領域が閾値以下であるか否かに基づいて判定してもよい。そして、上記教師用画像DI内に含まれている場合、又は上記閾値以下である場合には、教師用画像DIが適当であると判定し、上記教師用画像DI内に含まれていない場合、及び上記閾値以下でない場合には、教師用画像DIが適当でないと判定してもよい。以上のような判定部により、教師用画像DIに含まれる煙画像SIの位置又は大きさに基づいて教師用画像DIの適否を判定でき、当該判定結果に基づいて適当な教師用画像DIを監視領域の火災検出に用いることが可能となる。
【0091】
また、機械学習部は、生成部63にて生成された教師用画像DIに基づいて、監視領域の火災の検出に関する機械学習(例えば、深層学習(ディープラーニング))を行う機械学習手段である。この機械学習部による機械学習を実行する方法については任意であるが、例えば、生成部63にて生成された教師用画像DI(火災時の画像)と、撮像画像CI(非火災時の画像)とを公知の多層式ニューラルネットワーク等に入力し、公知の機械学習方法(例えば、バックプロパゲーション法(誤差逆伝播法)等)を用いて多層式ニューラルネットワークの重みとバイアスを学習させてもよい。ここで、多層式ニューラルネットワークの具体的な構成については任意であるが、例えば、生成部63にて生成された教師用画像DIから抽出された火災を推定する特徴を示す特徴情報を生成する複数の畳み込み層を備えた畳み込みニューラルネットワークとして機能する特徴抽出部と、特徴抽出部にて生成された特徴情報に基づいて、画像の特徴値(火災か非火災かを推定する推定値)を出力する複数の全結合層を備えた全結合ニューラルネットワークとして機能する認識部とを備えて構成されてもよい。なお、この多層式ニューラルネットワークにより、例えば、監視領域に設けられた図示しない監視カメラで撮像された監視領域の画像を多層式ニューラルネットワークに入力すると、当該監視領域の画像に対応した推定値であって、火災又は非火災を推定する推定値を出力することできる。以上のような機械学習部により、教師用画像DIに基づいて監視領域の火災の検出に関する機械学習を行うことができ、当該学習結果を用いることにより監視領域の火災の検出精度を高めることが可能となる。
【0092】
(付記)
付記1の画像生成システムは、監視領域の火災を検出するための機械学習に用いられる教師用画像を生成するための画像生成システムであって、前記監視領域が撮像された撮像画像を仮想空間内に配置する第1配置手段と、前記仮想空間内において、所定方法で生成された煙画像の向きを変えながら、当該煙画像を配置可能な第2配置手段と、前記仮想空間内に設けられた仮想撮像手段によって撮像された画像であって、前記撮像画像及び前記煙画像を含む画像を、前記教師用画像として生成する生成手段と、を備える。
【0093】
付記2の画像生成システムは、付記1に記載の画像生成システムにおいて、前記撮像画像は、2次元画像であり、前記第1配置手段は、前記仮想空間内において、前記撮像画像を垂直方向に略沿って配置し、前記第2配置手段は、前記仮想空間内において、前記煙画像を前記撮像画像に略直交する仮想の水平軸線上に設けられた前記仮想撮像手段と前記撮像画像との相互間に配置する。
【0094】
付記3の画像生成システムは、付記2に記載の画像生成システムにおいて、前記第1配置手段は、前記撮像画像の外縁と前記教師用画像の外縁とが略一致するように、前記撮像画像を配置する。
【0095】
付記4の画像生成システムは、付記1から3のいずれか一項に記載の画像生成システムにおいて、前記第2配置手段は、所定方法で取得された変更情報であって前記煙画像の向きを変えるための変更情報に基づいて、前記仮想空間内における前記煙画像の向きを変える。
【0096】
付記5の画像生成システムは、付記1から4のいずれか一項に記載の画像生成システムにおいて、前記煙画像の大きさ、形状、色彩、明るさ、位置、又は煙の濃度、上昇速度、若しくは向きを調整する調整手段を備える。
【0097】
付記6の画像生成システムは、付記1から5のいずれか一項に記載の画像生成システムにおいて、前記生成手段にて生成された前記教師用画像に含まれる前記煙画像の位置又は大きさに基づいて、当該教師用画像の適否を判定する判定手段を備える。
【0098】
付記7の画像生成システムは、付記1から6のいずれか一項に記載の画像生成システムにおいて、前記生成手段にて生成された前記教師用画像に基づいて、前記監視領域の火災の検出に関する機械学習を行う機械学習手段を備える。
【0099】
(付記の効果)
付記1に記載の画像生成システムによれば、監視領域が撮像された撮像画像を仮想空間内に配置する第1配置手段と、仮想空間内において、所定方法で生成された煙画像の向きを変えながら、当該煙画像を配置可能な第2配置手段と、仮想空間内に設けられた仮想撮像手段によって撮像された画像であって、撮像画像及び煙画像を含む画像を、教師用画像として生成する生成手段と、を備えるので、撮像画像の撮像方向と煙画像の撮像方向とが一致していない場合に、これら撮像方向が一致するように教師用画像を生成できる。よって、実際の火災状況を高精度に再現した教師用画像を様々なパターンで簡易に生成でき、教師用画像の生成性を高めることが可能となる。
【0100】
付記2に記載の画像生成システムによれば、撮像画像が、2次元画像であり、第1配置手段は、仮想空間内において、撮像画像を垂直方向に略沿って配置し、第2配置手段は、仮想空間内において、煙画像を撮像画像に略直交する仮想の水平軸線上に設けられた仮想撮像手段と撮像画像との相互間に配置するので、撮像画像が2次元画像である場合に、実際の火災状況を高精度に再現した教師用画像を生成でき、教師用画像の生成性を高めることができる。
【0101】
付記3に記載の画像生成システムによれば、第1配置手段が、撮像画像の外縁と教師用画像の外縁とが略一致するように、撮像画像を配置するので、教師用画像に撮像画像及び煙画像以外のものが含まれることを回避でき、教師用画像の生成性を高めることができる。
【0102】
付記4に記載の画像生成システムによれば、第2配置手段が、所定方法で取得された変更情報に基づいて、仮想空間内における煙画像の向きを変えるので、変更情報に基づいて煙画像の向きを変えることができ、例えば画像生成システムのユーザ又は外部ユーザのニーズに応じた煙画像の向きの変更を行うことが可能となる。
【0103】
付記5に記載の画像生成システムによれば、煙画像の大きさ、形状、色彩、明るさ、位置、又は煙の濃度、上昇速度、若しくは向きを調整する調整手段を備えるので、煙画像の大きさ、形状、色彩、明るさ、位置、又は煙の濃度、上昇速度、若しくは向きを調整でき、多様なパターンの教師用画像を生成しやすくなる。
【0104】
付記6に記載の画像生成システムによれば、生成手段にて生成された教師用画像に含まれる煙画像の位置又は大きさに基づいて、当該教師用画像の適否を判定する判定手段を備えるので、教師用画像に含まれる煙画像の位置又は大きさに基づいて教師用画像の適否を判定でき、当該判定結果に基づいて適当な教師用画像を監視領域の火災検出に用いることが可能となる。
【0105】
付記7に記載の画像生成システムによれば、生成手段にて生成された教師用画像に基づいて、監視領域の火災の検出に関する機械学習を行う機械学習手段を備えるので、教師用画像に基づいて監視領域の火災の検出に関する機械学習を行うことができ、当該学習結果を用いることにより監視領域の火災の検出精度を高めることが可能となる。
【符号の説明】
【0106】
1 画像生成システム
10 操作部
20 通信部
30 表示部
40 電源部
50 画像生成装置
60 制御部
61 第1配置部
62 第2配置部
63 生成部
64 調整部
65 仮想撮像部
70 データ記録部
C 撮像装置
CI 撮像画像
DI 教師用画像
IA 表示領域
IS 内部空間
SI 煙画像
VH 仮想の水平軸線
VS 仮想空間
α 所定角度
図1
図2
図3
図4
図5