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特許7419160電力量計の筐体および電力量計の組立方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】電力量計の筐体および電力量計の組立方法
(51)【国際特許分類】
   G01R 11/04 20060101AFI20240115BHJP
   G01R 22/06 20060101ALI20240115BHJP
   G01R 1/04 20060101ALI20240115BHJP
   H05K 5/02 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
G01R11/04 C
G01R22/06 130H
G01R1/04 B
H05K5/02 V
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020087543
(22)【出願日】2020-05-19
(65)【公開番号】P2021181935
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-05-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000205661
【氏名又は名称】大崎電気工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】中西 基晴
(74)【代理人】
【識別番号】100137039
【弁理士】
【氏名又は名称】田上 靖子
(72)【発明者】
【氏名】菊池 一博
(72)【発明者】
【氏名】小峯 正敏
(72)【発明者】
【氏名】伊東 大介
【審査官】青木 洋平
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-004545(JP,A)
【文献】特開2016-145711(JP,A)
【文献】特開2013-217868(JP,A)
【文献】特開2018-179771(JP,A)
【文献】実開昭53-095847(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01R 11/04
G01R 22/06
G01R 1/04
H05K 5/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
下部が開放された上側ケースと上部が開放された下側ケースとからなる電力量計の筐体であって、
前記上側ケースと前記下側ケースを脱着可能に互いに固定するための複数の固定部を備えており、
前記複数の固定部の各々は、前記上側ケースの内面に設けられた係合爪と、前記下側ケースの外面に設けられた、前記係合爪に係合可能な第1の係合凸部と、を含み、前記係合爪が前記第1の係合凸部に係合することにより、前記上側ケースと前記下側ケースが、前記電力量計の最終組立位置で固定されるように構成されており、
前記複数の固定部のうち一部の固定部は、さらに、前記下側ケースの外面に設けられた、前記係合爪に係合可能な第2の係合凸部を含み、前記第2の係合凸部は、前記第1の係合凸部より上方の位置に配置されている、筐体。
【請求項2】
請求項1に記載の筐体であって、
前記一部の固定部は、前記筐体の背面側に設けられており、残りの固定部は、前記筐体の前面側または側面側に設けられている、筐体。
【請求項3】
電力量計の組立方法であって、
下部が開放された上側ケースと、上部が開放された下側ケースと、を用意する工程であって、前記下側ケースの外面に、上下方向に整列して配置される第1の係合凸部及び前記第1の係合凸部より上方に位置する第2の係合凸部が設けられている、工程と、
前記上側ケースの内面に設けられた係合爪が前記第2の係合凸部に係合するまで、前記上側ケースを前記下側ケースに嵌合させる、工程と、
前記第2の係合凸部と前記係合爪との係合を解除することにより、前記上側ケースを前記下側ケースから分離する工程と、
前記係合爪が前記第1の係合凸部に係合するまで、再び前記上側ケースを前記下側ケースに嵌合させる、工程と、
前記上側ケース及び前記下側ケースに取り付けられた封印ねじを封印する工程と、を含む、組立方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電力量計の筐体に関する。さらに、本発明は、電力量計の組立方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、各産業分野において生産体制のグローバル化が進んでおり、電力量計についても海外工場における生産が行われている。しかし、電力量計の内蔵部品の一部が、国内工場で組み付けられる場合がある。電子式電力量計の場合、例えば、筐体(換言すれば、ケース)を海外で成形し、端子金具や開閉器を組み込み、日本へ輸送後、電子回路基板及び銘板を取り付け、封印を行い完成する。
【0003】
電子式電力量計の筐体は、例えば、上部が開放され、電子回路基板が固定される下側ケースと、下部が開放され、電子回路基板を覆うように下側ケースに固定される上側ケースと、を備えることができる。液晶表示板が、使用電力量を演算する電子部品と共に電子回路基板に取り付けられる。上側ケースと下側ケースとは、脱着可能に互いに固定される。従って、例えば、上側及び下側ケースの製造並びに端子金具等の取り付けを海外工場で行い、電子回路基板等の取り付けを含む最終組立工程を国内工場で行うことができる。この場合、いったん固定された上側ケースと下側ケースを、最終組立工程の前に分離する必要がある。しかし、従来、上側ケースと下側ケースとは、盗電等のいたずら防止の観点から、複数個所で強固に固定されるように構成されている。強固に固定された上側及び下側ケースを分離し、その後、再度の固定を行うことは、電力量計の組立作業を煩雑にする。最終組立工程に至るまで上側ケースと下側ケースを別々に保持することも考えられるが、運搬中にケースの紛失及び/又は破損等が生じるおそれがある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、電力量計の運搬及び組立作業を容易に行うことができる電力量計の筐体を提供することを課題の一つとしている。また、本発明は、電力量計の運搬及び組立作業を容易に行うことができる電力量計の組立方法を提供することを課題の一つとしている。
【課題を解決する手段】
【0005】
本発明の一実施形態によれば、下部が開放された上側ケースと上部が開放された下側ケースとからなる電力量計の筐体であって、上側ケースと下側ケースを脱着可能に互いに固定するための複数の固定部を備えており、複数の固定部の各々は、上側ケースの内面に設けられた係合爪と、下側ケースの外面に設けられた、係合爪に係合可能な第1の係合凸部と、を含み、係合爪が第1の係合凸部に係合することにより、上側ケースと下側ケースが、電力量計の最終組立位置で固定されるように構成されており、複数の固定部のうち一部の固定部は、さらに、下側ケースの外面に設けられた、係合爪に係合可能な第2の係合凸部を含み、第2の係合凸部は、第1の係合凸部より上方の位置に配置されている、筐体を提供することができる。
【0006】
また、本発明の一実施形態によれば、電力量計の組立方法であって、下部が開放された上側ケースと、上部が開放された下側ケースと、を用意する工程であって、下側ケースの外面に、上下方向に整列して配置される第1の係合凸部及び第1の係合凸部より上方に位置する第2の係合凸部が設けられている、工程と、上側ケースの内面に設けられた係合爪が第2の係合凸部に係合するまで、上側ケースを下側ケースに嵌合させる、工程と、第2の係合凸部と係合爪との係合を解除することにより、上側ケースを下側ケースから分離する工程と、係合爪が第1の係合凸部に係合するまで、再び上側ケースを下側ケースに嵌合させる、工程と、上側ケース及び下側ケースに取り付けられた封印ねじを封印する工程と、を含む、組立方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】本発明の一実施形態が適用される電力量計の全体概要を示す図である。
図2図1の下側ケースを単体で示す図である。
図3】下側ケースの後方斜視図である。
図4図1の上側ケースを単体で示す図である。
図5】最終固定位置における上側及び下側ケースの後方斜視図である。
図6】上側及び下側ケースの最終固定位置を説明する図である。
図7】上側及び下側ケースの最終固定位置を説明する図である。
図8】上側及び下側ケースの固定方法を説明する図である。
図9】上側及び下側ケースの固定方法を説明する図である。
図10】上側及び下側ケースの固定方法を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図1図10を参照して、本発明の一実施形態について説明する。なお、以下の説明はあくまでも一例を示すものであって、本願発明の技術的範囲を以下の実施形態に限定する趣旨ではない。また、図面では、同一または相当する構成要素には、同一の符号を付して重複した説明を省略する。
【0009】
一例として、本実施形態が適用される電力量計は、電子式電力量計であってよい。図1は、電子式電力量計100(以下、電力量計100)の全体概要を示す図である。電力量計100は、一例として、端子ブロック101に電気的に接続可能な計器部102を備えることができる。端子ブロック101は、配電線挿入口101aを介して図示されない配電線に接続される。電力量計100は、端子ブロック101が計器部102の下側に位置する向きで、家屋またはビル等の壁面に設置することができる。図1等では、電力量計100設置時の上下方向(換言すれば、鉛直方向)が矢印Dで示されている。以下の説明において、特に断りのない限り、上、下、前、後等の方向を示す用語は、電力量計100の設置状態に関して用いられる。
【0010】
計器部102は、使用電力量を計測する電子部品等が内蔵される、樹脂製の筐体(換言すれば、ケース)105を有する。図1に示すように、本実施形態では、筐体105は、下側ケース106と、上側ケース108とを備える。なお、下側ケース106及び上側ケース108の具体的形状は、図示の例に限られない。
【0011】
筐体105は、下側ケース106と上側ケース108を脱着可能に互いに固定するための複数の固定部を備える。各固定部は、上側ケース108の内面に設けられる係合爪及び下側ケース106の外面に設けられ、係合爪に係合可能な少なくとも1つの係合凸部を備える。本実施形態では、4つの固定部が、筐体105の背面側及び側面側に設けられている。各固定部の詳細については後述する。
【0012】
図2は、図1に示される下側ケース106を単体で示す図である。図3は、下側ケース106の後方斜視図である。図示されるように、下側ケース106は、基板収容部109及び端子金具収容部110を含むことができる。基板収容部109は、鉛直方向Dに対して実質的に水平方向に延在する基板設置面部112を含むことができる。端子金具収容部110は、基板設置面部112の後部から下方に延在してよい。図3に具体的に示されるように、下側ケース106は、開放された上部開口114を有する。上部開口114を通して、基板収容部109の空洞部内に電子回路基板(図示せず)を受け入れることができる。電子回路基板は、その実装面が電力量計100の前側を向くように、基板支持部116によって基板設置面部112上で支持されてよい。端子金具収容部110には、図示されない端子金具が配置されることができる。端子金具は、端子ブロック101が計器部102に固定されるとき、端子ブロック101と電気的に接続されるように配置される。
【0013】
図2に示すように、下側ケース106は、ねじ穴118を有する。ねじ穴118には、上側ケース108と下側ケース106を固定する図示されない封印ねじが挿入される。封印ねじは、電力量計100の最終組立工程が完了したときに封印される。本実施形態では、封印ねじが封印されるとき、すなわち、電力量計100が最終組立位置にあるときの上側ケース108及び下側ケース106の位置を、最終固定位置と称する。
【0014】
例えば図3に示すように、下側ケース106の上部開口114は、側面部120により画定されている。側面部120は、基板設置面部112より上方に延在すると共に、下側ケース106の背面側で、端子金具収容部110の後壁を構成するように下方に延在することができる。
【0015】
側面部120は、その外側で周方向に延在する外周縁部122を含むことができる。最終固定位置において、外周縁部122は、後述する上側ケース108の内周縁部136と上下方向で接触可能であり、これにより、下側ケース106の空洞部を閉鎖するように構成されている。
【0016】
外周縁部122の下面に、係合凸部(換言すれば、第1の係合凸部)124が形成されている。係合凸部124は、後述する上側ケース108の係合爪138と共に、筐体105の側面側の固定部を構成する。図2及び図3において、係合凸部124は、下側ケース106の左右の一方の側にのみ示されている。しかし、係合凸部124は、下側ケース106の左右のそれぞれの側に設けることができる。係合凸部124及び係合爪138は、上側ケース108と下側ケース106を最終固定位置で固定するために使用される。
【0017】
図示の例では、係合凸部124はリブの形態を有している。しかし、係合凸部124は、係合爪138と係合可能な係合面を有していればよく、その具体的形状は、図示の例に限られない。
【0018】
また、下側ケース106は、その背面側に、係合凸部126を有している。係合凸部126は、後述する上側ケース108の係合爪140と共に、筐体105の背面側の固定部を構成する。係合凸部126として、本実施形態では、複数対(図示の例では2対)の係合凸部126a、126bが設けられている。しかし、他の実施形態では、一対の係合凸部126a、126bのみが設けられてもよい。各対において、係合凸部126a、126bは、互いに上下方向に整列して配置されている。下側に配置される第1の係合凸部126aは、上側ケース108と下側ケース106を最終固定位置で固定するために使用される。上側に配置される第2の係合凸部126bは、上側ケース108と下側ケース106を、最終固定位置とは異なる仮固定位置で固定するために使用される。図示の例では、係合凸部126は、リブの形態を有している。しかし、係合凸部126は、係合爪140と係合可能な係合面を有していればよく、その具体的形状は、図示の例に限られない。
【0019】
図4は、図1に示される上側ケース108を単体で示す図である。上側ケース108は、閉鎖された上面部130を有し、上面部130の周囲で下方に延在する側面部132を有する。上側ケース108の下部は開放されている。上側ケース108は、下部開口134を通して、下側ケース106に配置された電子回路基板を覆うように、下側ケース106に外嵌するように構成されている。
【0020】
上側ケース108の側面部132は、その内側で周方向に延在する内周縁部136を含む。内周縁部136より下方に、係合爪138が形成されている。最終固定位置で、係合爪138は、下側ケース106の側面側の係合凸部124の下面と係合可能である。図4では、係合爪138は、上側ケース108の左右の一方の側にのみ示されている。しかし、係合爪138は、上側ケース108の左右のそれぞれの側に設けることができる。
【0021】
側面部132は、上側ケース108の背面側で大きな長さを有するように下方に延長されている。これにより、端子ブロック110が計器部102に固定されたとき、上側ケース108は、計器部102の背面側で端子ブロック110と下側ケース106との境界部を保護するガード部を提供することができる。これにより、当該境界部を通して端子ブロック110及び/又は計器部102に雨水等が侵入することを防止することができる。
【0022】
上側ケース108は、さらに、その背面側に係合爪140を有している。係合爪140は、最終固定位置で、下側ケース106の第1の係合凸部126aと係合する。また、係合爪140は、仮固定位置で、下側ケース106の第2の係合凸部126bと係合する。
【0023】
図5は、最終固定位置における上側ケース108及び下側ケース106の後方斜視図である。図5に示されるように、上側ケース108は、下側ケース106の外側に嵌合するように構成されている。図6及び図7は、最終固定位置を、より具体的に示す図である。理解の容易のため、図6では、上側ケース108の左半分が省略されている。図6に示すように、最終固定位置では、下側ケース106の外周縁部122が、上側ケース108の内周縁部136と接触してよく、これにより、下側ケース106(具体的には基板収容部109)の電子回路基板等が配置された空洞部が閉鎖される。このとき、下側ケース106の係合凸部124の下面には、上側ケース108の係合爪138(図6には図示せず)が係合するように構成されている。
【0024】
図7では、上側ケース108が部分的に省略され、電力量計100の背面側における上側ケース108と下側ケース106の係合状態が具体的に示されている。図7に示すように、最終固定位置では、上側ケース108の係合爪140と下側ケース106の第1の係合凸部126aとが係合している。
【0025】
次に、上側ケース108と下側ケースの106の固定を含む電力量計100の組立方法の一例を具体的に説明する。本実施形態では、電力量計100が組み立てられる際、上側ケース108と下側ケース106は、2つの固定位置、すなわち仮固定位置と最終固定位置を取ることができる。図8及び図9は、それぞれ、仮固定位置および最終固定位置を説明する、上側ケース108及び下側ケース106の側断面図である。
【0026】
上側ケース108と下側ケース106は、それぞれ、別個に製造された後、図8に示す仮固定位置で固定することができる。仮固定前に、例えば、下側ケース106に端子金具等が取り付けられてよい。その後、上側ケース108の係合爪140が下側ケース106の第2の係合凸部126bに係合するまで、上側ケース108を下側ケース106に嵌合させる。このとき、上側ケース108の係合爪140は、上側ケース108の材質の弾性によって、第2の係合凸部126bを乗り越え、第2の係合凸部126bの下面に係合する。最終固定位置と比べて、仮固定位置では、上側ケース108は下側ケース106に対して上側に位置し、従って、図8に示されるように、上側ケース108の内周縁部136は、下側ケース106の外周縁部122から離れた上方の位置にある。また、図8に示されない係合爪138(図4に示すように、筐体105の側面側で、内周縁部136の下方に設けられている)も外周縁部122より上方に位置し、従って、対応する係合凸部124とは係合しない。こうして、仮固定位置では、上側ケース108は、電力量計100の背面側でのみ下側ケース106に固定される。従って、上側ケース108を下側ケース106から容易に取り外すことができる。この状態で、例えば、電力量計100を、電子回路基板の取り付け等を含む最終組立工程のために、保持・運搬することができる。
【0027】
係合爪140と第2の係合凸部126bとの係合は、上側ケース108の背面側(例えば、ガード部)を下側ケース106から離れるように水平方向に引くことにより、解除することができる。係合解除後、上側ケース108を下側ケース106から分離する。その後、例えば下側ケース106に電子回路基板及び銘板を取り付け、その後、係合爪140が第1の係合凸部126aに係合するまで、上側ケース108を下側ケース106に嵌合する。このとき、係合爪140は、上側ケース108の材質の弾性によって、第2の係合凸部126b及び第1の係合凸部126aを乗り越えて、図9に示すように第1の係合凸部126aの下面に係合する。また、図9に示すように、最終固定位置では、上側ケース108の内周縁部136が下側ケース106の外周縁部122と接触してよい。また、筐体105の側面側では、上側ケース108の係合爪138が、下側ケース106の係合凸部124と係合する(図10参照)。その後、上側ケース108及び下側ケース106に封印ねじを取り付け、封印ねじを封印することにより、電力量計100の組立が完了する。
【0028】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、上記した発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。例えば、上記実施形態では、仮固定用の第2の係合凸部126bを含む固定部が、筐体105の背面側に設けられ、残りの固定部が、筐体105の側面側に設けられている。しかし、残りの固定部は、筐体105の前面側に設けられていてもよい。また、例えば、仮固定用の第2の係合凸部126bを含む固定部を、筐体105の側面側または前面側に設け、残りの固定部を、筐体105の背面側に設けてもよい。
【0029】
本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得るとともに、本発明にはその均等物が含まれることはもちろんである。また、上述した課題の少なくとも一部を解決できる範囲、または、効果の少なくとも一部を奏する範囲において、特許請求の範囲および明細書に記載された各構成要素の任意の組み合わせ、または、省略が可能である。
【0030】
本発明は、以下の態様を含む。
1.下部が開放された上側ケースと上部が開放された下側ケースとからなる電力量計の筐体であって、
上側ケースと下側ケースを脱着可能に互いに固定するための複数の固定部を備えており、
複数の固定部の各々は、上側ケースの内面に設けられた係合爪と、下側ケースの外面に設けられた、係合爪に係合可能な第1の係合凸部と、を含み、係合爪が第1の係合凸部に係合することにより、上側ケースと下側ケースが、電力量計の最終組立位置で固定されるように構成されており、
複数の固定部のうち一部の固定部は、さらに、下側ケースの外面に設けられた、係合爪に係合可能な第2の係合凸部を含み、第2の係合凸部は、第1の係合凸部より上方の位置に配置されている、筐体。
2.上記1.に記載の筐体であって、
一部の固定部は、筐体の背面側に設けられており、残りの固定部は、筐体の前面側または側面側に設けられている、筐体。
3.電力量計の組立方法であって、
下部が開放された上側ケースと、上部が開放された下側ケースと、を用意する工程であって、下側ケースの外面に、上下方向に整列して配置される第1の係合凸部及び第1の係合凸部より上方に位置する第2の係合凸部が設けられている、工程と、
上側ケースの内面に設けられた係合爪が第2の係合凸部に係合するまで、上側ケースを下側ケースに嵌合させる、工程と、
第2の係合凸部と係合爪との係合を解除することにより、上側ケースを下側ケースから分離する工程と、
係合爪が第1の係合凸部に係合するまで、再び上側ケースを下側ケースに嵌合させる、工程と、
上側ケース及び下側ケースに取り付けられた封印ねじを封印する工程と、を含む、組立方法。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明は、上側ケース及び下側ケースを含む電力量計に広く適用することができる。
【符号の説明】
【0032】
D 鉛直方向
100 電力量計
101 端子ブロック
101a 配電線挿入口
102 計器部
105 筐体
106 下側ケース
108 上側ケース
109 基板収容部
110 端子金具収容部
112 基板設置面部
114 上部開口
116 基板支持部
118 ねじ穴
120 側面部
122 外周縁部
124 係合凸部(第1の係合凸部)
126a 第1の係合凸部
126b 第2の係合凸部
130 上面部
132 側面部
134 下部開口
136 内周縁部
138 係合爪
140 係合爪

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10