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特許7419162ホースコネクタ、及びホースコネクタを構成するプラグ部材
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  • 特許-ホースコネクタ、及びホースコネクタを構成するプラグ部材 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】ホースコネクタ、及びホースコネクタを構成するプラグ部材
(51)【国際特許分類】
   F16L 33/22 20060101AFI20240115BHJP
   F16L 19/04 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
F16L33/22
F16L19/04
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2020087929
(22)【出願日】2020-05-20
(65)【公開番号】P2021181815
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-03-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000227386
【氏名又は名称】日東工器株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100083895
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100175983
【弁理士】
【氏名又は名称】海老 裕介
(72)【発明者】
【氏名】原田 雄二
【審査官】礒部 賢
(56)【参考文献】
【文献】特表2005-537442(JP,A)
【文献】特開2013-177911(JP,A)
【文献】実開昭62-163393(JP,U)
【文献】特開2000-199592(JP,A)
【文献】特開2000-337576(JP,A)
【文献】特開平09-126375(JP,A)
【文献】特開2000-249276(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 19/00 - 21/08
F16L 33/00 - 33/34
F16L 37/00 - 39/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソケット部材と、該ソケット部材に挿入連結されるプラグ部材とを備えるホースコネクタであって、
該プラグ部材が、
前端、後端、及び該前端から該後端にまで延びる流体通路を有し、該前端にホース内に圧入されて該ホースを保持するホース保持部が形成されたプラグ本体部と、
該プラグ本体部の外表面から前方に向かって延びる内側部分、該内側部分から該プラグ本体部の径方向外側に折り返して延びる折り返し部分、及び該折り返し部分から後方に向かって延びて後端部で終端する外側部分、を有し、該内側部分は該プラグ本体部の外周面から径方向外側に間隔を空けて位置し、該外側部分は該内側部分から径方向外側に間隔を空けて位置していて、径方向での可撓性を有する係止部と、
を備え、
該ソケット部材が、前端、後端、及び該前端から該後端にまで延びて該後端の側から該プラグ部材を受け入れる挿入通路を有し、該挿入通路が、該プラグ本体部の該ホース保持部に保持されたホースの外周面と係合して該ホースを該ホース保持部との間で挟持するホース受面、該ホース受面よりも後方の位置で前方に面する後方係止受面、及び該後方係止受面よりも径方向内側且つ後方の位置に設けられた摺動内周面、を有しており、
該プラグ部材が該ソケット部材の該挿入通路内に挿入されるときに該係止部の該外側部分が該摺動内周面に摺動係合して該係止部が径方向内側に撓み、該係止部の該後端部が該摺動内周面を通過すると該係止部が径方向外側に弾性復元して該後端部が該後方係止受面に該プラグ本体部の長手軸線方向で対向する位置となって該プラグ部材が該ソケット部材に連結され、連結状態においては該後端部が該後方係止受面に係合することにより該プラグ部材が該ソケット部材から後方に抜けることが阻止されるようにされた、ホースコネクタ。
【請求項2】
該係止部の該内側部分の少なくとも一部が、該ホース受面よりも径方向内側に位置し、該折り返し部分が該ホース受面よりも後方の位置で径方向外側に折り返しているようにされた、請求項1に記載のホースコネクタ。
【請求項3】
該挿入通路が、該係止部の該折り返し部分と該長手軸線方向で対向するように後方に面する前方係止受面を有し、該プラグ部材が該ソケット部材に対して前方に押されたときに該折り返し部分が該前方係止受面に係合することにより該ソケット部材に対する該プラグ部材の前方への変位が制限されるようにされた、請求項1又は2に記載のホースコネクタ。
【請求項4】
該挿入通路が、該長手軸線方向での該ホース受面と該後方係止受面との間の位置で周方向に面する周方向係止受面を有し、該係止部の側面が該周方向係止受面に周方向で係合することにより該ソケット部材に対する該プラグ部材の該周方向での回転が制限されるようにされた、請求項1乃至3のいずれか一項に記載のホースコネクタ。
【請求項5】
該ソケット部材が、該前端から該後方係止受面にまで該長手軸線方向に延びる工具挿入通路を有し、該工具挿入通路に工具を挿入することにより該係止部を径方向内側に撓ませて該プラグ部材を該ソケット部材から取り外せるようにされた、請求項1乃至4のいずれか一項に記載のホースコネクタ。
【請求項6】
該ソケット部材の該挿入通路が、該ソケット部材の該後端から前方に延びる係止溝を有し、該プラグ部材が、該プラグ本体部の該後端において該プラグ本体部の外周面から径方向外側に突出して前方に延びる係止突起を有しており、該プラグ部材が該ソケット部材に挿入連結されたときに該係止突起が該係止溝内に位置し、該係止突起が該係止溝に周方向で係合することにより、該プラグ部材が該ソケット部材に対して周方向に回転することが防止されるようにされた、請求項1乃至5のいずれか一項に記載のホースコネクタ。
【請求項7】
筒状のソケット部材に挿入連結されて該ソケット部材とともにホースコネクタを構成するプラグ部材であって、
前端、後端、及び該前端から該後端にまで延びる流体通路を有し、該前端にホース内に圧入されて該ホースを保持するホース保持部が形成されたプラグ本体部と、
該プラグ本体部の外表面から前方に向かって延びる内側部分、該内側部分から該プラグ本体部の径方向外側に折り返して延びる折り返し部分、及び該折り返し部分から後方に向かって延びて後端部で終端する外側部分、を有し、該内側部分は該プラグ本体部の外周面から径方向外側に間隔を空けて位置し、該外側部分は該内側部分から径方向外側に間隔を空けて位置していて、径方向での可撓性を有する係止部と、
を備え、
当該プラグ部材が該ソケット部材の挿入通路内に挿入されるときに該係止部の該外側部分が該挿入通路の摺動内周面に摺動係合して該係止部が径方向内側に撓み、該係止部の該後端部が該摺動内周面を通過したときに該係止部が径方向外側に弾性復元して該後端部が該摺動内周面から径方向外側に延びる係止受面に該プラグ本体部の長手軸線方向で対向する位置となって当該プラグ部材が該ソケット部材に連結され、連結状態においては該後端部が該係止受面に係合することにより当該プラグ部材が該ソケット部材から後方に抜けることが防止されるようにされた、プラグ部材。
【請求項8】
該係止部の該折り返し部分が該ホース保持部よりも後方の位置で径方向外側に折り返している、請求項7に記載のプラグ部材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ソケット部材とプラグ部材とからなるホースコネクタ、及び該ホースコネクタを構成するプラグ部材に関する。
【背景技術】
【0002】
ホースを機器に簡易且つ確実に接続するために、ホースコネクタが使用されることがある。例えば特許文献1に示されるホースコネクタは、ソケット状の固定部材とプラグ状の継手部材とからなり、継手部材の先端に設けられた圧入部にホースを取り付けて継手部材を固定部材に挿入することにより、ホースが継手部材と固定部材との間に挟持された状態で継手部材と固定部材とが連結されるようになっている。継手部材と固定部材の連結は、固定部材の外周面において径方向外側に突出した係合爪部と、継手部材の係合ばね部とが係合することによりなされる。このホースコネクタにおいては、継手部材と固定部材との連結および離脱を容易に行うことが可能となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2000-199592号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の従来のホースコネクタにおいては、その連結状態において、継手部材と固定部材とを固定するための係合爪部及び係合ばね部が外部に露出している。そのため、その部分に他の部材がぶつかるなどしたときに誤って連結が解除されてしまったり係合爪部や係合ばね部が破損して適切な固定ができなくなったりする虞がある。また、係合ばね部は必要な変位量を得るために平面状に長く延びた形状となっており、これによりホースコネクタ全体を小型化することが難しくなっている。
【0005】
そこで本発明は、ソケット部材とプラグ部材とにより構成されるホースコネクタにおいて、ソケット部材とプラグ部材との固定箇所が外部に露出せず且つ構造的に小型化が容易なホースコネクタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち本発明は、
ソケット部材と、該ソケット部材に挿入連結されるプラグ部材とを備えるホースコネクタであって、
該プラグ部材が、
前端、後端、及び該前端から該後端にまで延びる流体通路を有し、該前端にホース内に圧入されて該ホースを保持するホース保持部が形成されたプラグ本体部と、
該プラグ本体部の外表面から前方に向かって延びる内側部分、該内側部分から該プラグ本体部の径方向外側に折り返して延びる折り返し部分、及び該折り返し部分から後方に向かって延びて後端部で終端する外側部分、を有し、該内側部分は該プラグ本体部の外周面から径方向外側に間隔を空けて位置し、該外側部分は該内側部分から径方向外側に間隔を空けて位置していて、径方向での可撓性を有する係止部と、
を備え、
該ソケット部材が、前端、後端、及び該前端から該後端にまで延びて該後端の側から該プラグ部材を受け入れる挿入通路を有し、該挿入通路が、該プラグ本体部の該ホース保持部に保持されたホースの外周面と係合して該ホースを該ホース保持部との間で挟持するホース受面、該ホース受面よりも後方の位置で前方に面する後方係止受面、及び該後方係止受面よりも径方向内側且つ後方の位置に設けられた摺動内周面、を有しており、
該プラグ部材が該ソケット部材の該挿入通路内に挿入されるときに該係止部の該外側部分が該摺動内周面に摺動係合して該係止部が径方向内側に撓み、該係止部の該後端部が該摺動内周面を通過すると該係止部が径方向外側に弾性復元して該後端部が該後方係止受面に該プラグ本体部の長手軸線方向で対向する位置となって該プラグ部材が該ソケット部材に連結され、連結状態においては該後端部が該後方係止受面に係合することにより該プラグ部材が該ソケット部材から後方に抜けることが阻止されるようにされた、ホースコネクタを提供する。
【0007】
当該ホースコネクタにおいては、連結状態において、プラグ部材の係止部がソケット部材の挿入通路内において後方係止受面に係合することにより連結状態が維持されるようになっており、プラグ部材とソケット部材との固定箇所である係止部と後方係止受面が外部に露出していない。そのため、他の部材が係止部にぶつかるなどして、不意に連結が解除されてしまったり係止部が破損してしまったりする虞がない。また、係止部が折り返した形状となっているため、後端部において必要とされる変位量を確保しながらも特に長手軸線方向での大きさを抑えることができる。これにより、ホースコネクタ全体を小さく構成することが可能となる。
【0008】
該係止部の該内側部分の少なくとも一部が、該ホース受面よりも径方向内側に位置し、該折り返し部分が該ホース受面よりも後方の位置で径方向外側に折り返しているようにすることができる。
【0009】
このような構成により、ホース受面の大きさに影響されずに係止部をより内側に配置することができ、プラグ部材の径方向でのサイズを小さく抑えることが可能となる。これにより、ホースコネクタ全体を小型化することも可能となる。
【0010】
該挿入通路が、該係止部の該折り返し部分と該長手軸線方向で対向するように後方に面する前方係止受面を有し、該プラグ部材が該ソケット部材に対して前方に押されたときに該折り返し部分が該前方係止受面に係合することにより該ソケット部材に対する該プラグ部材の前方への変位が制限されるようにすることができる。
【0011】
該挿入通路が、該長手軸線方向での該ホース受面と該後方係止受面との間の位置で周方向に面する周方向係止受面を有し、該係止部の側面が該周方向係止受面に周方向で係合することにより該ソケット部材に対する該プラグ部材の該周方向での回転が制限されるようにすることができる。
【0012】
該ソケット部材が、該前端から該後方係止受面にまで該長手軸線方向に延びる工具挿入通路を有し、該工具挿入通路に工具を挿入することにより該係止部を径方向内側に撓ませて該プラグ部材を該ソケット部材から取り外せるようにすることができる。
【0013】
該ソケット部材の該挿入通路が、該ソケット部材の該後端から前方に延びる係止溝を有し、該プラグ部材が、該プラグ本体部の該後端において該プラグ本体部の外周面から径方向外側に突出して前方に延びる係止突起を有しており、該プラグ部材が該ソケット部材に挿入連結されたときに該係止突起が該係止溝内に位置し、該係止突起が該係止溝に周方向で係合することにより、該プラグ部材が該ソケット部材に対して周方向に回転することが防止されるようにすることができる。
【0014】
本発明はさらに、
筒状のソケット部材に挿入連結されて該ソケット部材とともにホースコネクタを構成するプラグ部材であって、
前端、後端、及び該前端から該後端にまで延びる流体通路を有し、該前端にホース内に圧入されて該ホースを保持するホース保持部が形成されたプラグ本体部と、
該プラグ本体部の外表面から前方に向かって延びる内側部分、該内側部分から該プラグ本体部の径方向外側に折り返して延びる折り返し部分、及び該折り返し部分から後方に向かって延びて後端部で終端する外側部分、を有し、該内側部分は該プラグ本体部の外周面から径方向外側に間隔を空けて位置し、該外側部分は該内側部分から径方向外側に間隔を空けて位置していて、径方向での可撓性を有する係止部と、
を備え、
当該プラグ部材が該ソケット部材の挿入通路内に挿入されるときに該係止部の該外側部分が該挿入通路の摺動内周面に摺動係合して該係止部が径方向内側に撓み、該係止部の該後端部が該摺動内周面を通過したときに該係止部が径方向外側に弾性復元して該後端部が該摺動内周面から径方向外側に延びる係止受面に該プラグ本体部の長手軸線方向で対向する位置となって当該プラグ部材が該ソケット部材に連結され、連結状態においては該後端部が該係止受面に係合することにより当該プラグ部材が該ソケット部材から後方に抜けることが防止されるようにされた、プラグ部材を提供する。
【0015】
このとき、該係止部の該折り返し部分が該ホース保持部よりも後方の位置で径方向外側に折り返しているようにすることができる。
【0016】
このような構成により、ホース保持部やホース保持部に取り付けられたホースの径方向での大きさに影響されることなく、係止部をより内側に配置することができ、当該プラグ部材を特に径方向で小型化することが可能となる。またこれにより、当該プラグ部材が挿入連結されるソケット部材も小型化することが可能となる。
【0017】
以下、本発明に係るホースコネクタの実施形態を添付図面に基づき説明する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の第1の実施形態に係るホースコネクタの連結状態での断面図である。
図2図1のホースコネクタの分離状態を示す図である。
図3図1のホースコネクタの連結過程を示す第1の図である。
図4図1のホースコネクタの連結過程を示す第2の図である。
図5】専用工具を使用した連結解除操作を示す図である。
図6】本発明の第2の実施形態に係るホースコネクタの連結状態での断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の第1の実施形態に係るホースコネクタ1は、図1に示すように、ソケット部材10と、ソケット部材10に挿入連結されたプラグ部材12とからなる。ソケット部材10とプラグ部材12との間にホースHが挟持されて接続されている。
【0020】
プラグ部材12は、前端14aから後端14bにまで延びる流体通路16を有するプラグ本体部14と、プラグ本体部14の外表面14cの直径方向で対向する位置に設けられた一対の係止部18とを備える。プラグ本体部14は、直径の小さい前方部分20と、直径の大きい後方部分22とからなる。プラグ本体部14の前端14aには、前方部分20の外周面20aから拡径してその縦断面形状をジグザグ形状としたホース保持部24が形成されている。このホース保持部24をホースH内に圧入することによりホースHはプラグ部材12に保持される。係止部18は、それぞれ、プラグ本体部14の外表面14cにおける前方部分20と後方部分22との間の位置から前方(図で見て左方)に向かって延びる内側部分26と、内側部分26からプラグ本体部14の径方向外側に折り返して延びる折り返し部分28と、折り返し部分28から後方(図で見て右方)に延びて後端部32で終端する外側部分30とからなる。折り返し部分28は、ホース保持部24よりも後方で折り返しており、係止部18の全体がホース保持部24よりも後方に位置している。内側部分26はプラグ本体部14の前方部分20の外周面20aから径方向外側に間隔を空けて位置する。また外側部分30は内側部分26から径方向外側に間隔を空けて位置する。係止部18は、径方向での可撓性を有し、図示の状態から径方向内側に全体的に撓むようになっている。
【0021】
ソケット部材10は、前端10aから後端10bにまで延びる挿入通路34を有する筒状の部材である。挿入通路34は、プラグ本体部14のホース保持部24に保持されたホースHの外周面と係合するホース受面36と、ホース受面36よりも後方の位置に設けられた後方係止受面38と、後方係止受面38よりも径方向内側且つ後方の位置に設けられた摺動内周面40とを有する。ホース受面36は前方に向かって縮径するテーパ面となっており、ホースHをホース保持部24との間に挟持する。摺動内周面40は、ソケット部材10の後端10bから前方に向かって延びて、プラグ部材12の後方部分22の外周面22aを径方向で保持する。後方係止受面38は摺動内周面40から径方向外側に延びて前方に面するように形成されており、プラグ部材12の係止部18の後端部32と長手軸線Lの方向で対向する位置にある。挿入通路34にはさらに、ホース受面36から径方向外側に延びて後方に面する前方係止受面42が形成されている。前方係止受面42は、プラグ部材12の係止部18の折り返し部分28に長手軸線Lの方向で対向する位置にある。
【0022】
この実施形態に係るソケット部材10の挿入通路34は、具体的には図2に示すように、前端10aから後方に延びてホース受面36を画定する小径部分34aと、後端10bから前方に摺動内周面40を構成しながら該ホース受面36にまで延びる大径部分34bと、ソケット部材10の前端10aから後方に延びてホース受面36の後方位置において大径部分34bに連通する軸線方向孔34cとによって構成されている。軸線方向孔34cは、一対の係止部18に対応するように、直径方向で対向する位置に一対設けられている。後方係止受面38は、軸線方向孔34cの後端面により形成されている。また前方係止受面42は、大径部分34bの前端面により形成されている。
【0023】
当該ホースコネクタ1にホースHを接続する際には、図3に示すように、ソケット部材10とプラグ部材12が分離されている状態でホースHをソケット部材10の挿入通路34に前端10aの側から通して、プラグ部材12のホース保持部24に取り付ける。次に、プラグ部材12をソケット部材10の挿入通路34に後端10bの側から挿入していく。図4に示すようにプラグ部材12が挿入通路34内に挿入されると、係止部18の外側部分30が挿入通路34の摺動内周面40に摺動係合して係止部18が全体として径方向内側に撓む。このとき係止部18は、その一部がホース保持部24の後方位置でホース保持部24の最大外径部よりも径方向内側に位置するようになる。係止部18の後端部32が摺動内周面40を通過すると係止部18が径方向外側に弾性復元して、当該ホースコネクタ1は図1に示す連結状態となる。この連結状態においては、上述の通り、ホースHがホース保持部24とホース受面36との間に挟持されて、当該ホースコネクタ1に強固に保持される。また、弾性復元した係止部18の後端部32が後方係止受面38に長手軸線Lの方向で対向した位置となる。これにより、プラグ部材12がソケット部材10に対して後方に変位したときに係止部18の後端部32が後方係止受面38に係合して、プラグ部材12がソケット部材10から後方に抜けることが阻止される。プラグ部材12がソケット部材10に対して前方に押されたときには、通常はプラグ部材12のホース保持部24がホースHを介してホース受面36に係合することによりプラグ部材12がソケット部材10に対して前方に変位することが阻止される。しかしながら、例えばホースHの壁厚が薄い場合やホースHが軟らかく潰れやすい材料で形成されている場合などには、プラグ部材12が図示の位置よりもさらに前方に変位して係止部18の折り返し部がソケット部材10の前方係止受面42に係合することにより、ソケット部材10に対するプラグ部材12の前方への変位が制限される。
【0024】
挿入通路34は、後方係止受面38から前方に延びて周方向に面する周方向係止受面44をさらに有している。周方向係止受面44は、挿入通路34の軸線方向孔34cの内側面により形成されている。この周方向係止受面44に係止部18の外側部分30の側面が周方向で係合することにより、ソケット部材10に対するプラグ部材12の周方向での回転が制限されるようにもなっている。
【0025】
当該ホースコネクタ1においては、連結状態においてプラグ部材12の係止部18が、挿入通路34内に位置しておりソケット部材10によって周囲から覆われて外部に露出していない。そのため、他の部材がぶつかるなどして係止部18が変位したり破損したりする虞がない。また、係止部18が長手軸線Lの方向で折り返した形状となっているため、長手軸線Lの方向での大きさを抑えながらも、後端部32の径方向での変位量を大きく取ることが可能となる。さらには、係止部18の折り返し部分28は、ホース保持部24やホース受面36よりも後方の位置で径方向外側に折り返すように形成されているため、係止部18の径方向での位置はホース保持部24やホース受面36の径方向での大きさによって制限されない。本発明とは異なり係止部を長手軸線Lの方向に真っ直ぐに延びた形状としてその先端に径方向外向きの係止爪を設けるようにした場合には、その先端における径方向での変位量を十分に取るためには本発明の係止部18よりも長手軸線Lの方向に長い形状としなければならない。その場合にはホース保持部24が長い係止部と重ならないようにより前方に配置するか、又は長い係止部がホース保持部24から径方向で十分に間隔を空けてホース保持部24の外側を通るようにより径方向外側に配置する必要がある。そのようにした場合には、プラグ部材は長手軸線Lの方向又は径方向により大きな形状となる。本発明においては、係止部18が上述のような折り返した形状となっていることにより、ホース保持部24を前方に遠い位置とすることなく係止部18をより径方向内側に配置することができる。これにより、プラグ部材12を長手軸線Lの方向および径方向で小さな形状とすることが可能となる。
【0026】
当該ホースコネクタ1は、連結状態において係止部18がソケット部材10によって覆われているため、作業者は手で係止部18を径方向内側に押すことができない。また、後方係止受面38は長手軸線Lに対して直角方向に延びており且つ係止部18の後端部32の端面も同じく直角方向に延びているため、プラグ部材12を後方に変位させて係止部18の後端部32を後方係止受面38に押し付けても、係止部18は径方向内側に撓まない。よって、当該ホースコネクタ1は、一旦連結状態とすると、通常の操作では連結を解除することができないため、誤って連結が解除されてしまうことがない。しかしながら、メンテナンス時やホースの交換時などに、プラグ部材12とソケット部材10との連結を解除したい場合もある。その場合には、図5に示すように、ソケット部材10の前端10aから後方係止受面38にまで長手軸線Lの方向に延びる軸線方向孔34cにより形成された工具挿入通路46に細長い専用工具48を挿入する。そうすると、専用工具48が係止部18の外側部分30に当たり、係止部18を径方向内側に撓ませることができる。このようにして係止部18を撓ませることにより、係止部18の後端部32が後方係止受面38に係合しない位置となり、プラグ部材12をソケット部材10から取り外すことが可能となる。
【0027】
本発明の第2の実施形態に係るホースコネクタ101においては、図6に示すように、ソケット部材110の挿入通路134に後端110bから前方に延びる係止溝150が形成されている。またプラグ部材112は、プラグ本体部114の後端114bにおいて外周面114cから径方向外側に突出して前方に延びる係止突起152を有している。プラグ部材112をソケット部材110に挿入する際に係止突起152と係止溝150との位置を合わせることにより、プラグ部材112とソケット部材110との回転方向位置を適切な位置に合わせることができる。また、連結状態においては、係止突起152が係止溝150に周方向で係合することにより、ソケット部材110に対してプラグ部材112が回転することが防止されるようになっている。プラグ部材112がソケット部材110に対して前方に変位した際には、係止突起152が係止溝150の前端面150aに係合してプラグ部材112の前方への変位が制限されるようにもなっている。なお、プラグ部材112の回転及び前方変位の制限は、第1の実施形態のように、係止部118が挿入通路134の各部に係合することによりなされるようにしてもよいし、係止部118と係止突起152の両方によってなされるようにしてもよい。
【符号の説明】
【0028】
1 ホースコネクタ
10 ソケット部材
10a 前端
10b 後端
12 プラグ部材
14 プラグ本体部
14a 前端
14b 後端
14c 外表面
16 流体通路
18 係止部
20 前方部分
20a 外周面
22 後方部分
22a 外周面
24 ホース保持部
26 内側部分
28 折り返し部分
30 外側部分
32 後端部
34 挿入通路
34a 小径部分
34b 大径部分
34c 軸線方向孔
36 ホース受面
38 後方係止受面
40 摺動内周面
42 前方係止受面
44 周方向係止受面
46 工具挿入通路
48 専用工具
101 ホースコネクタ
110 ソケット部材
110b 後端
112 プラグ部材
114 プラグ本体部
114b 後端
114c 外周面
118 係止部
134 挿入通路
150 係止溝
150a 前端面
152 係止突起
H ホース
L 長手軸線
図1
図2
図3
図4
図5
図6