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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】ダストフィルタ
(51)【国際特許分類】
   F02M 25/08 20060101AFI20240115BHJP
【FI】
F02M25/08 311J
F02M25/08 311H
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020115447
(22)【出願日】2020-07-03
(65)【公開番号】P2022013106
(43)【公開日】2022-01-18
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】000116574
【氏名又は名称】愛三工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000394
【氏名又は名称】弁理士法人岡田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】土屋 拓己
(72)【発明者】
【氏名】近藤 記裕
(72)【発明者】
【氏名】蔵田 恒之
【審査官】小関 峰夫
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-077642(JP,U)
【文献】実開昭63-019056(JP,U)
【文献】実開平02-115951(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F02M 25/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両のキャニスタに引き込まれる空気を濾過するダストフィルタであって、
第一部分と第二部分とを別体で備え、
前記第一部分は第一係合部を有し、前記第二部分は第二係合部を有し、
前記第二部分の前記第二係合部が前記第一部分の前記第一係合部に係合することにより前記第二部分が前記第一部分に取り付けられており、
前記第一部分は、濾過部材と、前記濾過部材を収容する収容室を有するケースとを含んでおり、
前記ケースは前記収容室内に浸入した液体を排出するための排水口を有し、
前記第二部分は前記第一部分に取り付けられることにより前記第一部分とともに前記排水口を覆うカバーを形成しており、
前記カバーは前記排水口よりも下方で外部に開口した出口を有し、
前記第一部分は前記第一係合部を一体に有するカバー上側部材を含み、このカバー上側部材は前記ケースの少なくとも一部と一体成形されるとともに前記排水口を囲っており、
前記第二部分は前記第二係合部を一体に有するカバー下側部材として構成されており、前記カバー上側部材に取り付けられることによって前記カバーが形成される、ダストフィルタ。
【請求項2】
請求項のダストフィルタであって、
前記カバー上側部材と前記カバー下側部材はそれぞれ壁部を有し、
前記カバー下側部材はそれらの壁部が互いに重なり合うように前記カバー上側部材の内側に嵌合しており、
前記カバー上側部材の前記壁部が前記カバー下側部材の前記壁部の下端縁近傍まで延びている、ダストフィルタ。
【請求項3】
請求項のダストフィルタであって、
前記カバー下側部材の前記壁部には前記カバー上側部材の壁部に向かって突出する線状の突起部が形成されている、ダストフィルタ。
【請求項4】
請求項のダストフィルタであって、
前記第一係合部は孔を有し、前記第二係合部はその孔に係合可能な爪を有し、
前記第二部分が前記第一部分に取り付けられたとき前記線状の突起部は孔よりも上側を通る、ダストフィルタ。
【請求項5】
請求項からのいずれかのダストフィルタであって、
重ね合わされた前記壁部の隙間の延長方向を覆うフランジが前記カバー下側部材の前記壁部に形成されている、ダストフィルタ。
【請求項6】
請求項のダストフィルタであって、前記フランジはその端縁に向かって下側に傾斜する上面を有する、ダストフィルタ。
【請求項7】
請求項からのいずれかのダストフィルタであって、
前記カバー上側部材は、前記排水口と前記カバー上側部材の前記壁部との間、あるいは前記排水口と前記出口との間で下方に延びる邪魔板または突出部を有する、ダストフィルタ。
【請求項8】
車両のキャニスタに引き込まれる空気を濾過するダストフィルタであって、
第一部分と第二部分とを別体で備え、
前記第一部分は第一係合部を有し、前記第二部分は第二係合部を有し、
前記第二部分の前記第二係合部が前記第一部分の前記第一係合部に係合することにより前記第二部分が前記第一部分に取り付けられており、
前記第一部分は、濾過部材と、前記濾過部材を収容する収容室を有するケースとを含んでおり、
前記ケースは前記収容室内に浸入した液体を排出するための排水口を有し、
前記第二部分は前記第一部分に取り付けられることにより前記第一部分とともに前記排水口を覆うカバーを形成しており、
前記カバーは前記排水口よりも下方で外部に開口した出口を有し、
前記排水口は前記収容室の底部に形成された少なくとも一つの穴であり、
前記カバーは少なくとも一つの邪魔板を内部に有し、
この少なくとも一つの邪魔板により各穴と前記出口とを直線的に直通させないような排水路が形成される、ダストフィルタ。
【請求項9】
請求項のダストフィルタであって、
前記第二部分は、前記第二係合部を一体に有するカバー第一部材と、このカバー第一部材にスナップフィット機構により取り付けられるカバー第二部材とから構成されており、カバー第一部材にカバー第二部材が取り付けられることにより前記カバーが形成される、ダストフィルタ。
【請求項10】
請求項のダストフィルタであって、
前記第一係合部と前記第二係合部のいずれか一方は互いに並行して延び逆向きに開いた一対の溝を有し、
前記第一係合部と前記第二係合部の他方は前記溝に対応する突出片を有し、
前記突出片を前記溝に嵌め合わせた状態で相対移動させることにより前記カバーを前記ケースに対して取り付けられる、ダストフィルタ。
【請求項11】
車両のキャニスタに引き込まれる空気を濾過するダストフィルタであって、
第一部分と第二部分とを別体で備え、
前記第一部分は第一係合部を有し、前記第二部分は第二係合部を有し、
前記第二部分の前記第二係合部が前記第一部分の前記第一係合部に係合することにより前記第二部分が前記第一部分に取り付けられており、
前記第一部分は、濾過部材と、前記濾過部材を収容する収容室を有するケースとを含んでおり、
前記ケースは前記収容室内に浸入した液体を排出するための排水口を有し、
前記第二部分は前記第一部分に取り付けられることにより前記第一部分とともに前記排水口を覆うカバーを形成しており、
前記カバーは前記排水口よりも下方で外部に開口した出口を有し、
前記第一係合部と前記第二係合部のいずれか一方は互いに並行して延び逆向きに開いた一対の溝を有し、
前記第一係合部と前記第二係合部の他方は前記溝に対応する突出片を有し、
前記突出片を前記溝に嵌め合わせた状態で相対移動させることにより前記カバーを前記ケースに対して取り付けられ、
各溝は底部に突起を有し、前記カバーが前記ケースに取り付けられたとき前記突出片がこの突起を押し潰すようになっている、ダストフィルタ。
【請求項12】
車両のキャニスタに引き込まれる空気を濾過するダストフィルタであって、
第一部分と第二部分とを別体で備え、
前記第一部分は第一係合部を有し、前記第二部分は第二係合部を有し、
前記第二部分の前記第二係合部が前記第一部分の前記第一係合部に係合することにより前記第二部分が前記第一部分に取り付けられており、
前記第一部分は、濾過部材と、前記濾過部材を収容する収容室を有するケースとを含んでおり、
前記ケースは前記収容室内に浸入した液体を排出するための排水口を有し、
前記第二部分は前記第一部分に取り付けられることにより前記第一部分とともに前記排水口を覆うカバーを形成しており、
前記カバーは前記排水口よりも下方で外部に開口した出口を有し、
前記第一係合部と前記第二係合部のいずれか一方は互いに並行して延び逆向きに開いた一対の溝を有し、
前記第一係合部と前記第二係合部の他方は前記溝に対応する突出片を有し、
前記突出片を前記溝に嵌め合わせた状態で相対移動させることにより前記カバーを前記ケースに対して取り付けられ、
各溝は側壁に切り欠きを有し、各突出片は前側部分と後側部分とに分割されており、
前記突出片の前記前側部分を前記切り欠きから前記溝に差し入れることができるようになっている、ダストフィルタ。
【請求項13】
請求項1から12のいずれかのダストフィルタであって、前記第一係合部と前記第二係合部のいずれか一方は弾性変形可能であり、この弾性変形によって前記第一係合部と前記第二係合部の他方に係合可能である、ダストフィルタ。
【請求項14】
請求項1から13のいずれかのダストフィルタであって、前記第二部分は前記第一部分に対して相対移動させることにより取り付けられ、前記第一部分と前記第二部分との間にはこの相対移動をガイドするガイド機構が設けられている、ダストフィルタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は車両のキャニスタに引き込まれる空気を濾過するダストフィルタに関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車などのエンジンを搭載した車両には、燃料タンクで発生した蒸発燃料を捕捉するキャニスタを備えている。キャニスタは大気通路を介して大気と連通しており、この大気通路にはパージ動作時などにキャニスタに引き込まれる空気を濾過するダストフィルタが設けられている。このようなダストフィルタは例えば特開2011-256760号公報に記載されている。このダストフィルタでは、濾過部材を収容するケースには、空気を取り込む大気ポートの他に、底部に水抜きのための排水口が設けられている。また、排水溝の箇所にはケースから斜め下方向に突出する樋状の排水ガイドが設けられている。したがって、例えば降雨時や洗車時に水が大気ポートからダストフィルタのケースに浸入しても、底部の排水口から排水ガイドを伝って外部に導かれ、ケースの中に溜まらないようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2011-256760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述の公報に記載されているダストフィルタでは、車両が水溜まりの上を走行したときに撥ね上げた水が排水ガイドから逆にケースの中に浸入してしまう可能性がある。また、高圧洗浄水を用いて車体の下部を洗う際にも同様のことが起こりうる。排水ガイドを逆流する水が多く、ケースの中の水位が上昇すると、内部に収容された濾過部材が浸水し、機能を損ねる可能性がある。したがって、排水口からの水抜き性能を確保しつつ、排水口からの水の浸入を抑制することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本技術のひとつの態様は、車両のキャニスタに引き込まれる空気を濾過するダストフィルタであって、第一部分と第二部分とを別体で備え、前記第一部分は第一係合部を有し、前記第二部分は第二係合部を有し、前記第二部分の前記第二係合部が前記第一部分の前記第一係合部に係合することにより前記第二部分が前記第一部分に取り付けられており、前記第一部分は、濾過部材と、前記濾過部材を収容する収容室を有するケースとを含んでおり、前記ケースは前記収容室内に浸入した液体を排出するための排水口を有し、前記第二部分は前記第一部分に取り付けられることにより前記第一部分とともに前記排水口を覆うカバーを形成しており、前記カバーは前記排水口よりも下方で外部に開口した出口を有する。これにより、ダストフィルタの水抜き性能を確保しつつ、排水口からの水の浸入を抑制することができる。また、カバーの少なくとも一部(前記第二部分)を別体としたことにより必要な車両のみにおいてカバーを構成することができる。
【0006】
実施形態によっては、前記第一部分は前記第一係合部を一体に有するカバー上側部材を含み、このカバー上側部材は前記ケースの少なくとも一部と一体成形されるとともに前記排水口を囲っており、前記第二部分は前記第二係合部を一体に有するカバー下側部材として構成されており、前記カバー上側部材に取り付けられることによって前記カバーが形成される。これにより、水がカバーの上側からカバーの内部に浸入するのを抑制することができる。また、カバーの中の排水路などの構造をより自由に設計可能となる。
【0007】
実施形態によっては、前記カバー上側部材と前記カバー下側部材はそれぞれ壁部を有し、前記カバー下側部材はそれらの壁部が互いに重なり合うように前記カバー上側部材の内側に嵌合しており、前記カバー上側部材の前記壁部が前記カバー下側部材の前記壁部の下端縁近傍まで延びている。これにより、重なり合った壁部の隙間に下側から入り込んだ水がカバーの内部まで浸入するのを遅延させることができる。
【0008】
実施形態によっては、前記カバー下側部材の前記壁部には前記カバー上側部材の壁部に向かって突出する線状の突起部が形成されている。これにより、重なり合った壁部の隙間に下側から入り込んだ水がカバーの内部まで浸入するのを遅延させることができる。
【0009】
実施形態によっては、前記第一係合部は孔を有し、前記第二係合部はその孔に係合可能な爪を有し、前記第二部分が前記第一部分に取り付けられたとき前記線状の突起部は孔よりも上側を通る。これにより、特に水が係合部の孔から入った場合にそれがカバーの内部まで浸入するのを抑制できる。
【0010】
実施形態によっては、重ね合わされた前記壁部の隙間の延長方向を覆うフランジが前記カバー上側部材の前記壁部に形成されている。これにより、勢いの付いた水が重なり合った二つの壁部の隙間に直接浸入しようとするのを阻止することができる。
【0011】
実施形態によっては、前記フランジはその端縁に向かって下側に傾斜する上面を有する。これにより、壁部の外側面を伝って落ちる水がカバーから落ちるように促すことができる。
【0012】
実施形態によっては、前記カバー上側部材は、前記排水口と前記カバー上側部材の前記壁部との間、あるいは前記排水口と前記出口との間で下方に延びる邪魔板または突出部を有する。これにより、カバーの内部に浸入した水がカバー上側部材の天井面を伝って排水口の周囲に達するのを抑制することができる。
【0013】
実施形態によっては、前記第二部分は、前記第二係合部を一体に有するカバー第一部材と、このカバー第一部材にスナップフィット機構により取り付けられるカバー第二部材とから構成されており、カバー第一部材にカバー第二部材が取り付けられることにより前記カバーが形成される。これにより、カバーの中の排水路などの構造がより自由に設計可能となる。また、カバーが不要な場合はカバーを完全に取り外すことが可能であり、カバーの有無によらずケース側の部品を共通化することができる。
【0014】
実施形態によっては、前記第一係合部と前記第二係合部のいずれか一方は互いに並行して延び逆向きに開いた一対の溝を有し、前記第一係合部と前記第二係合部の他方は前記溝に対応する突出片を有し、前記突出片を前記溝に嵌め合わせた状態で相対移動させることにより前記カバーを前記ケースに対して取り付けられる。これにより、より簡単にカバーの取り付けが可能となる。
【0015】
実施形態によっては、各溝は底部に突起を有し、前記カバーが前記ケースに取り付けられたとき前記突出片がこの突起を押し潰すようになっている。これにより、取り付け状態でカバーが溝の深さ方向にがたつくのを抑制できる。
【0016】
実施形態によっては、各溝は側壁に切り欠きを有し、各突出片は前側部分と後側部分とに分割されており、前記突出片の前記前側部分を前記切り欠きから前記溝に差し入れることができるようになっている。これによりカバーを取り付ける際のスライド量を小さくでき、インレットパイプなど周辺の部材に干渉せず取り付けられる設計が可能となる。
【0017】
実施形態によっては、前記第一係合部と前記第二係合部のいずれか一方は弾性変形可能であり、この弾性変形によって前記第一係合部と前記第二係合部の他方に係合可能である。これにより、取り付け状態でカバーががたつくのを抑制できる。
【0018】
実施形態によっては、前記第二部分は前記第一部分に対して相対移動させることにより取り付けられ、前記第一部分と前記第二部分との間にはこの相対移動をガイドするガイド機構が設けられている。これにより、より簡単にカバーの取り付けが可能となる。
【0019】
実施形態によっては、前記排水口は前記収容室の底部に形成された少なくとも一つの穴であり、前記カバーは少なくとも一つの邪魔板を内部に有し、この少なくとも一つの邪魔板により各穴と前記出口とを直線的に直通させないような排水路が形成される。これにより、より確実に排水口からの水の浸入を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
図1】一つの実施形態としての自動車の燃料システムを示す図である。
図2】インレットパイプ(外形を鎖線で示す)に取り付けられた一つの実施形態としてのダストフィルタの斜視図である。
図3】ダストフィルタの下側に設けられたケースとカバーの係合部を示す下面図である。
図4図3のダストフィルタをIV-IV線で切断した断面図であり、ダストフィルタに引き込まれる空気の流路を矢印で示す。
図5図3のダストフィルタをV-V線で切断した断面図であり、カバーの中に邪魔板で形成された排水路を矢印で示す。
図6】カバーの上側部材を取り外した下側部材の上面図である。
図7】カバーの上側部材を単独で示す斜視図である。
図8図3のケースとカバーの係合部をVIII-VIII線で切断した断面図であり、カバーの取り付け機構を示す。
図9】ケースにカバーを取り付ける前の断面図であり、カバーの突出片の挿入経路を矢印で示す。
図10】ケースとカバーの係合部を突出片に沿って切断した断面図である。
図11図10の溝の底部に設けられた突起(円XIで囲んだ部分)の拡大図である。
図12】別の実施形態としてのダストフィルタを示す斜視図である。
図13図12のダストフィルタの断面図である。
図14図12のダストフィルタのカバーの上側部材を単独で下側から見た斜視図である。
図15図12のダストフィルタのカバーの下側部材を単独で示す斜視図である。
図16図15の下側部材を図14の上側部材に組み付けるときの側面図である。
図17】下側部材に設けられたフランジの傾斜した上面を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本技術の各種実施例について図面を参照しながら説明する。図1は自動車等の車両に適用できる燃料システムを示している。燃料システムは、エンジン10と、エンジン10で燃焼される燃料を保持する燃料タンク12とを備える。エンジン10は、エアクリーナ16によって清浄化された空気を吸気管18を通して取り込む。燃料タンク12の中にはポンプモジュール14が設置され、吸気管18にはこのポンプモジュール14によって送出された燃料がインジェクタ20から噴射される。燃料タンク12には、給油口22から注入される燃料を燃料タンク12内に導くインレットパイプ24が接続される。給油口22はキャップ26で着脱可能に閉じられる。インレットパイプ24は通常は燃料タンク12から給油口22まで斜め上方に延びる。
【0022】
〔キャニスタ〕
図1に示すように、燃料システムは、燃料タンク12で発生した蒸発燃料を捕捉して大気に放出されることを防止するキャニスタ28を備える。キャニスタ28には活性炭などからなる吸着層がケース内に配置される。キャニスタ28はタンク側通路30を介して燃料タンク12と連通し、タンク側通路30から流入した蒸発燃料を吸着層で捕捉する。燃料タンク12の中にはフロート弁などからなるORVR弁32が設けられ、このORVR弁32を通過した蒸発燃料がキャニスタ28に送られる。
【0023】
キャニスタ28は、パージ通路34を介してエンジン10の吸気管18と連通する。パージ通路34には、パージ制御弁36が設けられる。パージ制御弁36は、例えば電子制御ユニット(ECU)37によって、エンジン10の運転状態に応じて開閉が制御される。パージ制御弁36が開いているときには、エンジン10の吸気負圧がパージ通路34を介してキャニスタ28内に作用する。これにより、キャニスタ28内の吸着層に吸着されていた蒸発燃料が脱離し、吸気管18を流れる吸気と共にエンジン10に導入されるため、エンジン10で燃焼させることができる。
【0024】
また、キャニスタ28は大気と連通する大気ポート38を有する。キャニスタ28のパージ動作の際には、大気から大気ポート38を通して空気(パージエア)がキャニスタ28内に導入される。パージ動作の他、例えば燃料消費や温度低下によっても燃料タンク12内に負圧がかかる。逆に、温度上昇や燃料揺動等によって蒸発燃料が発生すると燃料タンク12内に正圧がかかる。空気が大気ポート38を介してキャニスタ28内に導入されたり、キャニスタ28内の空気が大気ポート38を介して大気に放出されたりすることによって、燃料タンク12内の圧力変動が緩和される。
【0025】
〔ダストフィルタ〕
図2~4に示すように、燃料システムには、キャニスタ28に引き込まれる空気からダストなどの異物を取り除くためのダストフィルタ40(エアフィルタ)が設けられる。ダストフィルタ40は配管やホースで構成される適切な接続通路42を介してキャニスタ28と連通する(図1参照)。ダストフィルタ40は、濾過部材44と、この濾過部材44を収容する収容室46を有する例えば樹脂製のケース48とを備える。キャニスタ28のパージ動作時に接続通路42を通して引き込まれる空気はこのダストフィルタ40によって濾過され、ダストなどの異物が除去される。ケース48には、空気を取り込むために大気に開放される大気ポート50と、キャニスタ28に接続されるキャニスタ側ポート52とが設けられる。
【0026】
ダストフィルタ40は例えばインレットパイプ24の給油口22付近に装着される。ケース48はインレットパイプ24の側面にあてがうことができるように、例えば概して半円筒状に形成される。ダストフィルタ40がインレットパイプ24の傾斜部に装着される場合、ダストフィルタ40も軸を傾斜させた姿勢となる。ケース48は下側部材54と上側部材56とから構成し、スナップフィット機構58などの適切な組み付け機構で結合可能とすることができる。
【0027】
ダストフィルタ40は適切な保持部材60でインレットパイプ24に固定される。保持部材60は例えば半円筒状とし、保持部材60とケース48とでインレットパイプ24を抱きかかえることによりダストフィルタ40を固定できるよう構成される。保持部材60はケース48に対してスナップフィット機構62などの適切な組み付け機構により結合される。大気ポート50は例えばケース48の内周側に配置され、インレットパイプ24の側面との間には適切な隙間が確保される。
【0028】
濾過部材44は例えば襞状に折り畳まれた濾紙であり、適切な保持部材63を用いて収容室46の所定位置にセットされる。別の実施形態として、濾過部材44は発泡ウレタン樹脂からなるブロックであってもよい。濾過部材44が所定位置にセットされると、収容室46は濾過部材44によって下側の大気側空間64と上側のキャニスタ側空間66とに区画される。
【0029】
接続通路42が負圧になると大気から空気が大気ポート50を通してケース48に流入する。ケース48内では、空気は大気側空間64から濾過部材44を通過してキャニスタ側空間66に移動し、このとき濾過部材44によってダストが捕捉される。清浄になった空気は、キャニスタ側空間66から接続通路42を通してキャニスタ28に導入される。
【0030】
〔排水口〕
図4~6に示すように、ケース48の底部にはケース48の内部に浸入した水を排出するための排水口68が設けられる。排水口68は濾過部材44に対して大気側、つまりケース48の内部の収容室46の大気側空間64と連通する位置に設けられる。ダストフィルタ40がインレットパイプ24に装着された状態では、排水口68はケース48の内部の大気側空間64における最低部に位置する。雨天時や洗車時には大気ポート50から空気とともに水がケース48に浸入する可能性がある。そのような場合でも、水は大気側空間64の底部の排水口68からケース48の外に排出される。したがって、水がケース48の収容室46の底に溜まってダストフィルタ40の濾過性能が低下するのが抑制される。排水口68は例えば、ケース48の底面に開口する少なくとも一つの穴70a~70cである。
【0031】
穴70a~70cにはケース48から斜め下方に延びるガイド通路72を設けてもよい。このようなガイド通路72には、例えば先端を平面で切り落とすなどして、ダストフィルタ40のケース48の空気漏れ検査の際に排水口68を容易に塞ぐことのできる構造を設けることもできる。
【0032】
〔カバー〕
図2、5、6に示すように、ダストフィルタ40は、排水口68を覆ってケース48への水などの液体の浸入を防ぐカバー74を備える。カバー74は内部に排水路76が形成された中空の部材であり、排水口68よりも下方で外部に開口した出口78を有する。ケース48内に浸入した水は排水口68からこのカバー74の内部に排出され、排水路76を通して出口78から外部へ落下することができる。排水路76はケース48の排水口68を成す穴70a~70c(複数ある場合は各穴)と出口78とを直線的に直通させないような形状とする。これにより、排水路76の長さは穴70a~70cから出口78までの直線距離よりも大きくなる。そのような形状は例えばラビリンス形状である。このような排水路76の形状により、例えば車両を高圧洗浄する際に出口78から水や洗浄液の噴流が浸入しても、その勢いを弱めて排水口68に達するのを抑制することができる。なお排出路には分岐や合流があっても良い。
【0033】
図2、5、6、7に示すように、カバー74は下側部材80と上側部材(蓋部材)82とで構成することができる。上側部材82は下側部材80に対してスナップフィット機構84などの適切な機構により取り付けられるようにすることができる。このようにカバー74を二部材構成とすることにより、上述のような所望の排水路76を容易に形成できる。上側部材82には、必要に応じて、周囲の部材(例えばインレットパイプ24のテーパ部)に干渉するのを防ぐための陥没部86を設けることもできる。
【0034】
〔邪魔板〕
図5、6に示すように、カバー74は穴70a~70cと出口78を結ぶ直線を横切る邪魔板88a、88b、88cを内部に備える。邪魔板88a、88b、88cは下側部材80に形成する。この邪魔板88a、88b、88cによって、穴70a~70cと出口78とを直線的に直通させないような排水路76が形成される。この邪魔板88a、88b、88cによってカバー74の中の排水路76をラビリンス形状とすることができる。邪魔板88a、88b、88cは排水口68の穴70a~70cと出口78とが直線的に直通しないように配置される。図示しないが別の実施形態として、邪魔板を一つだけ設けることもできる。
【0035】
図5、7に示すように、上側部材82にも下側部材80に取り付けられたときに下側部材80の邪魔板88cと重なる別の邪魔板90を設けることができる。下側部材80の邪魔板88cと上側部材82の内面との間に組み付けのためのクリアランス(図示しない)があっても、この上側部材82の邪魔板があることにより、出口78から浸入して邪魔板88cの上側を超えてきた水流が排水口68に向かう勢いを抑えることができる。この邪魔板は、例えば、上側部材82の最も出口側の邪魔板88cよりも排水口68側に配置される。さらに、前述の上側部材82の陥没部86の壁は追加の邪魔板92として機能させることもできる。
【0036】
〔排水路の断面積〕
図5、6から分かるように、排水路76の断面積は狭小部となる排水口68の穴70a~70cの断面積よりも大きくする。穴が複数ある場合は好ましくは穴70a~70cの合計の断面積よりも大きくする。ダストフィルタ40を通してキャニスタ28に引き込まれたりキャニスタ28から排出されたりする空気は排水口68を通ることもあるため、排水口68の断面積を上記の通り設計することにより、カバー74による通気抵抗の低下を抑えることができる。
【0037】
〔邪魔板の斜面〕
図6に示すように、邪魔板88a、88b、88cは排水口側に傾斜路を形成する斜面94a、94b、94cを有する。この斜面94a、94b、94cは、例えば、ケース48の底面との交線が水平に対していずれかの側に傾くような面である。この斜面94a、94b、94cによって傾斜路が形成されることにより、上述の通り邪魔板88a、88b、88cで出口78からの水の浸入を抑制しつつも、排水口68からの水がカバー74の内部をスムーズに流下可能とすることができる。
【0038】
〔ケースとカバーの係合部〕
図2、3に示すように、カバー74はケース48とは別体の部材とし、適切な取り付け機構でケース48に取り付け可能とすることができる。ケース48とカバー74にはそれぞれ一体成形された係合部(取り付け部)96、98を設け、カバー74の係合部98をケース48の係合部96に係合させることにより取り付けできる。例えば、カバー74を二部材構成とする場合、係合部98は下側部材80に設け、上側部材82をこの下側部材80にスナップフィット機構で取り付け可能とすることができる。
【0039】
〔ガイド機構〕
図3、5、8~10に示すように、カバー74はケース48に対して相対移動させることによりスライド式に取り付け可能とすることができる。そのために、カバー74とケース48には相対移動(スライド)をガイドするガイド機構を設ける。例えば、ケース48の係合部96は互いに並行して延び逆向きに開いた一対の溝100を設け、カバー74の係合部98には溝100に嵌合可能な一対の突出片102を設けることができる。一対の溝100は例えば図4に示すように互いに離反する向きに開いたものとすることができ、この場合、突出片102は係合部の基部116からスライド方向に延びる一対の支持部104から互いに対向する方向に突出させることができる。図示しないが別の実施形態として、一対の溝100は互いに対向する向きに開いたものとすることもできる。さらに別の実施形態として、カバー74に溝、ケース48に突出片を設けることもできる。各突出片102を対応する溝100に嵌合させた状態で溝100の方向にスライドさせることによりカバー74の移動がガイドされる。
【0040】
各溝100は外側の側壁に切り欠き106を設けて進行方向に見て前側部分108と後側部分110に分け、各突出片102は進行方向に見て前側部分112と後側部分114の二つに分割することができる。突出片102の前側部分を切り欠き106から溝100の中に差し入れ、カバー74をスライドさせると、突出片102の前側部分112と後側部分114がそれぞれ溝100の前側部分108と後側部分110に嵌合する。前側部分が溝100の末端からではなく途中から入るため、取り付けに要するカバー74のスライド量を抑えることができ、カバー74が周囲の部材(例えばインレットパイプ24)に干渉するのを防ぐことができる。溝100の後側部分110の側壁(幅w1)に対する突出片102の前側部分112と後側部分114(間隔w2)のクリアランスw2-w1は、溝100の切り欠き106(幅w3)に対する突出片102の前側部分112(幅w4)との間のクリアランスw3-w4よりも大きくすることができる。これにより、突出片102の前側部分112さえ溝100の切り欠き106に入れることができれば、作業者は溝100の後側部分110の側壁が正しく入るかについてあまり気を遣う必要がなくなる。特に、後述の可撓片が構造的に係合部の基部116だけでなく基部116から延びる支持部104にも接続部118を介して結合しているなどの理由により溝100の後側部分110の側壁がその接続部118によって視覚的に確認しづらい場合などには、上述のようなクリアランスの設計が有利である。
【0041】
〔可撓片と爪〕
図3、5、8、9に示すように、ケース48とカバー74の一方の係合部には弾性を有する可撓片を設け、この可撓片の弾性変形を用いて他方の係合部に係合可能とすることができる。例えば、ケース48の外面に斜面122を有する爪124を設け、取り付け部に基部116から延びる片持ち状の可撓片120を設ける。可撓片120は例えばU字形状とし、爪124に引っ掛けるための進行方向後向きの縁を有するものとする。カバー74をスライドさせていくと、可撓片120は撓みながら斜面122を上り、爪124に乗り上げる。カバー74が所定の位置まで来ると撓みが復帰して上記の可撓片120の縁が爪124に引っ掛かり、カバー74の取り付けが完了する。
【0042】
カバー74の係合部にも別の爪を設けることができる。例えば、取り付け部に基部116から延びる片持ち状の可撓片126を設け、この可撓片126に斜面128を有する爪130を設けることができる。カバー74をスライドさせていくと、爪130の斜面128がケース48の突出部132に当たることにより可撓片126が撓み、爪130がケース48の突出部132に乗り上げる。カバー74が所定の位置まで来ると爪130がケース48の突出部132に引っ掛かる。二つの爪124、130が引っ掛かるタイミングは同時となるように設計することができる。爪124、130はカバー74の取り付け状態でカバー74がスライド方向にがたつくのを抑える。
【0043】
上述のような爪や可撓片は、カバー74が誤った方法で組み付けられるのを防ぐために利用することもできる。例えば、突出片102の前側部分112を誤って溝100の後側部分110の後端から挿入しようとすると、カバー側の爪130がケース48側の爪124に当たるため、全く挿入できないか、少ししか挿入できない。
【0044】
〔溝の突起〕
図9~11に示すように、各溝100の底面には取り付け状態においてスライド方向に直交する方向(溝の深さ方向)にカバー74ががたつくのを防止するための突起134を設けることができる。カバー74をスライドさせて爪が引っ掛かる(取り付けが完了する)と、突出片102の先端が突起134を押し潰し、スライド方向に直交する方向のがたつきが弾性的に吸収される。一対の溝100の底面は取り付け時の進行方向に向かうにつれて互いに遠ざかるように傾斜させることができる。これに対応するように、溝100の底面に対向する突出片102の先端面も進行方向に向かうにつれて互いに離れるように傾斜させる。これにより、突出片102を溝100に入れ込む段階では溝100とのクリアランスを確保しつつ、スライドして取り付けを完了する段階では溝100の底面の突起134が効果を発揮するようにすることができる。
【0045】
〔他の実施形態〕
以上に説明した図2の実施形態では、カバー74はケース48と別体で形成されていた。しかし、別の実施形態として図12図13に示すように、カバー274の一部をケース248と一体成形することもできる。例えば、カバー274を上側部材282と下側部材280とに分割して構成し、上側部材282をケース248の下側部材254と一体成形する。しかし別の見方をすれば、図2図12のいずれの実施形態の場合も、ダストフィルタ40のうちの濾過部材44やケースを含む第一部分に対し、残りの第二部分を別体で形成し、係合部を介してこの第二部分を第一部分に取り付けることにより排水口268を覆うダストフィルタ40のカバーを形成できるようにしたものと言える。したがって、第二部分はカバーの全部または一部を含む。
【0046】
図12図13に示すように、上側部材282と下側部材280とで形成されるカバー274は、内部に排水路76が形成された中空の部材であり、排水口268よりも下方で外部に開口した出口278を有する。ケース248内に浸入した水は排水口268からこのカバー274の内部に排出され、排水路76を通して出口278から外部へ落下することができる。カバー274の下側部材280には図5図6で説明したのと同様の邪魔板88a、88b、88cを設けることができる。
【0047】
カバー274を形成できるようにするため、基本的に、上側部材282は下向きに開いた部材であり、下側部材280は上向きに開いた部材である。カバー274の出口278は上側部材282と下側部材280の両者で形成されるようにしてもよい。上側部材282は排水口268を囲うように形成される。前述のように、上側部材282はケース248の下側部材254と一体成形されるため、結果的に排水口268はこの一体の部材を貫通するように形成される。排水口268は上側部材282の内部に向かって開口すると言うこともできる。カバー274の上側部材282がケース248の一部と一体成形されているため、例えば、傾斜したインレットパイプ24(図2参照)の下面を伝って下ってきた水がカバー274の上側からカバー274の内部に浸入するのを抑制することができる。排水口268は、ケース248の内部が負圧になったときでもカバー274の内部に浸入した水を吸い上げることがないよう、下側部材280の底面から可能な限り上方に離して配置するのが好ましい。
【0048】
〔カバーの壁部〕
図14図15に示すように、カバー274の上側部材282と下側部材280はそれぞれ壁部201、203を有する。そして下側部材280はこれらの壁部201、203が互いに重なるように上側部材282の内側に嵌合している。上側部材282の壁部201は下側部材280の壁部203の下端縁207の近傍まで延びるように設ける。また下側部材280の壁部203も可能な限り上側部材282の壁部201の上端縁205の近傍まで延びるように設けることができる。これにより、重なり合った壁部201、203の隙間に下側から入り込んだ水がカバー274の内部まで浸入するのを遅延させることができる。なお、図示しない別の実施形態として、邪魔板の配置や形状によっては、下側部材280が上側部材282の外側に嵌合するような設計とすることも可能である。
【0049】
〔係合部〕
図14図16に示すように、カバー274の上側部材282と下側部材280はそれぞれ組み付けのための係合部を一体に有する。例えば、上側部材282の係合部は壁部201に形成された少なくとも一つの孔332で構成し、下側部材280の係合部はその孔332に係合可能な壁部203に形成された爪330で構成することができる。図示した実施形態では、各側壁217、219に2つずつ孔332と爪330を設けている。下側部材280をスライドさせていくと、爪330の斜面328が上側部材282の壁部201の下端縁209に当たることにより上側部材282の壁部201が外側に撓み、爪330が壁部201の内側に潜り込む。下側部材280が所定の位置まで来ると壁部201の撓みが戻って爪330が孔332の縁に引っ掛かり、取り付けが完了する。孔332と下端縁209との間にはスリット213を設けることにより爪330を挿入しやすくすることもできる。孔332は可能な限り壁部201の下端縁209の近傍に設けることにより、爪330によって上側部材282の壁部201を撓ませやすくすることもできる。このために、複数の爪330を上側部材282の上面から異なる距離の位置に段違いに配置することもできる。さらに、爪330の向きが壁部201の下端縁209に対して斜めになっているときは、図16に示すように壁部201の下端縁209に切欠き215を設け、取り付けの際に爪330の斜面328が壁部201の下端縁209に線接触できるようにすることもできる。
【0050】
〔ガイド機構〕
図14図16に示すように、カバー274の下側部材280は上側部材282に対して相対移動させることによりスライド式に取り付け可能とすることができる。そのために、カバー274には下側部材280の相対移動(スライド)をガイドするガイド機構を設けることができる。例えば、上側部材282には溝300を設け、下側部材280には溝300に嵌合可能な直線状の突起部302を設けることができる。溝300は例えば図14に示すように上側部材282の側壁217の対向する内側面に設けることができ、この場合、直線状の突起部302は図15に示すように対応する側壁219の外側面に設けることができる。各突起部302を対応する溝300に嵌合させた状態で下側部材280を溝300の方向にスライドさせることにより、下側部材280の動きがガイドされる。図示しないが別の実施形態として、下側部材280に溝、上側部材282に直線状の突起部を設けることもできる。さらに別の実施形態として、ケース248の下側部材254の外側面に溝や直線状の突起部を設けることによってカバー274の下側部材280の動きをガイドすることも可能である。
【0051】
〔線状の突起部〕
図15図16に示すように、カバー274の下側部材280の壁部203にはカバー274の上側部材282の壁部201に向かって突出する線状の突起部231が形成されている。この線状の突起部231は、例えば、壁部203の全体、すなわち両側の側壁219と後壁223とにわたって連続して延びるように配置することができる。これにより、重なり合った壁部201、203の隙間に下側から入り込んだ水がカバー274の内部まで浸入するのを遅延させることができる。線状の突起部231は、二つの壁部201、203の重なりの範囲内で任意の位置に配置することができる。しかし、線状の突起部231は、例えば下側部材280が上側部材282に取り付けられたとき係合部の孔よりも上側を通るようにすることができる。これにより、特に水が係合部の孔から入った場合にそれがカバー274の内部まで浸入するのを抑制できる。また、係合部の爪には線状の突起部231と同じ高さの基部233を設け、線状の突起部231の途中部分をこの基部233と一体的に形成してもよい。これにより、この基部233でも水の浸入を抑制できる。
【0052】
〔フランジ〕
図12図15に示すように、カバー274の上側部材282の壁部201には、重なり合った二つの壁部201、203の隙間の下方延長を覆うフランジ227を設けることもできる。フランジ227は例えば、上側部材282の壁部の下端縁に沿って、壁部203の全体(両側の側壁219と後壁223)にわたって連続して延びるように設けることができる。これにより、勢いの付いた水が重なり合った二つの壁部201、203の隙間に直接浸入しようとするのを阻止することができる。図17に示すように、フランジ227の上面229はフランジ227の端縁に向かって下側に(角度θだけ)傾斜させることができる。これにより、上側部材282の壁部201の外側面を伝って落ちる水がカバー274から落ちるように促すことができる。図示したフランジ227は上面229の傾斜のために端縁に向かって厚さが薄くなっている。しかし、図示しない別の実施形態として、フランジ227の厚さを一定にしたままでも、フランジ227自体を傾斜させることにより上面を傾斜させることもできる。さらに別の実施形態として、上側部材282の壁部201の下端縁209に上記のフランジ227と並行する別のフランジを設けることもできる。
【0053】
〔突出部〕
図13に示すように、カバー274の上側部材282には、排水口268と上側部材282の壁部201との間に、下方に延びる突出部または邪魔板を設けることができる。例えば、排水口268と上側部材282の後壁221との間に、下方に延びる突出部225を設けることができる。これにより、上側部材282の後壁221の内側から浸入して上側部材282の天井面を伝ってきた水が排水口268の直近まで到達するのを阻止し、下側部材280の床面に落下させることができる。また、排水口268とカバー274の出口278との間にも邪魔板90を設けることができる。これにより、カバー274の出口278から水が邪魔板88cを越えてカバー274の奥まで浸入するのを抑制できる。
【0054】
以上、具体的な実施例を説明したが、本技術はこれらの実施例に限定されるものではなく、当業者であれば本技術の目的を逸脱することなく様々な置換、改良、変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0055】
10 エンジン
12 燃料タンク
14 ポンプモジュール
16 エアクリーナ
18 吸気管
20 インジェクタ
22 給油口
24 インレットパイプ
26 キャップ
28 キャニスタ
30 タンク側通路
32 ORVR弁
34 パージ通路
36 パージ制御弁
38 大気ポート
40 ダストフィルタ
42 接続通路
44 濾過部材
46 収容室
48、248 ケース
50 大気ポート
52 キャニスタ側ポート
54、254 ケースの下側部材
56 ケースの上側部材
58 スナップフィット機構
60 保持部材
62 スナップフィット機構
63 保持部材
64 大気側空間
66 キャニスタ側空間
68、268 排水口
70a~70c 穴
72 ガイド通路
74、274 カバー
76 排水路
78、278 出口
80、280 カバーの下側部材
82、282 カバーの上側部材
84 スナップフィット機構
86 陥没部
88a~88c 邪魔板
90 邪魔板
92 邪魔板
94a~94c 斜面
96 ケースの係合部
98 カバーの係合部
100 溝
102 突出片
104 支持部
106 切り欠き
108 溝の前側部分
110 溝の後側部分
112 突出片の前側部分
114 突出片の後側部分
116 基部
118 接続部
120 可撓片
122 斜面
124 爪
126 可撓片
128 斜面
130 爪
132 突出部
134 突起
201 上側部材の壁部
203 下側部材の壁部
205 壁部の上端縁
207 壁部の下端縁
209 壁部の下端縁
211 壁部の上端縁
213 スリット
215 切欠き
217 上側部材の側壁
219 下側部材の側壁
221 上側部材の後壁
223 下側部材の後壁
225 突出部
227 フランジ
229 フランジの上面
231 突起部
233 爪の基部
300 溝
302 突起部
328 斜面
330 爪
332 孔
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17