(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】画像処理装置
(51)【国際特許分類】
G06T 1/20 20060101AFI20240115BHJP
【FI】
G06T1/20 A
(21)【出願番号】P 2020157793
(22)【出願日】2020-09-18
【審査請求日】2022-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】000003078
【氏名又は名称】株式会社東芝
(73)【特許権者】
【識別番号】317011920
【氏名又は名称】東芝デバイス&ストレージ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002907
【氏名又は名称】弁理士法人イトーシン国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】羽田 隆二
(72)【発明者】
【氏名】増田 篤司
【審査官】中田 剛史
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-055541(JP,A)
【文献】特開2015-080149(JP,A)
【文献】特開2013-214952(JP,A)
【文献】特開2016-040870(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 1/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに1ラインの画素数が異なる複数のカメラを有する撮像部に接続され、前記撮像部からの入力画素レートよりも2倍以上の動作周波数を有する画像処理装置であって、
FIFOメモリと、
前記複数のカメラから入力されるデータを保持する複数のラインバッファと、
前記複数のラインバッファに保持された前記データに対して所定の画像処理を施す画像処理回路と、
前記複数のラインバッファの少なくとも1つにおいて、前記所定の画像処理が完了する前に、前記データの上書きが発生するか否かを検出し、検出結果に応じた出力制御信号を出力するコントローラと、
前記出力制御信号に応じて、前記複数のラインバッファへの前記データの出力を停止し、出力を停止された前記データを前記FIFOメモリに保持させるように制御する制御回路と、
を有する画像処理装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記所定の画像処理が完了する前に、前記データの上書きが発生することを検出した場合、前記データを前記FIFOメモリに保持させるための前記出力制御信号を前記制御回路に出力し、
前記所定の画像処理が完了する前に、前記データの上書きが発生しないことを検出した場合、前記データを前記複数のラインバッファに保持させるための前記出力制御信号を前記制御回路に出力する請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像処理回路により前記所定の画像処理が施された前記データに歪み補正を行う歪み補正回路を有する請求項1又は請求項2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記複数のカメラから入力される前記データは、ライン単位のライン画素データである請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記複数のカメラから入力される前記データは、前記制御回路に同時入力される請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記複数のカメラから入力される前記データは、前記制御回路に逐次入力される請求項1から請求項4のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記複数のカメラから入力されるデータは、RAWデータであり、
前記画像処理回路は、前記RAWデータをRGBデータに変換する請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の画像処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、画像処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、運転支援システム及び監視カメラシステム等のような、多数のカメラを用いて構成されたシステムが知られている。
【0003】
多数のカメラを用いて構成されたシステムにおいては、多数のカメラ各々から出力されるデータに対して現像処理等の画像処理を施す必要があるため、カメラの総数に応じて画像処理回路(画像処理プロセッサ)の個数が増え、回路規模が増大する。そのため、複数のカメラから出力されたライン毎のライン画素データを、例えば1つの画像処理回路により時分割で処理することで、画像処理回路の個数を削減することが考えられる。
【0004】
しかしながら、上述のシステムは、画角及び/または有効画素数が異なる多様なカメラを有する構成となっており、ライン毎にラインバッファへの書き込み時間や画像処理時間が変動する。この場合、あるラインバッファに書き込まれたライン画素データに対して画像処理が完了する前に、ラインバッファに新たなライン画素データが書き込まれ、ラインバッファのデータが上書きされる虞がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特許第3586131号公報
【文献】特開2007-180635号公報
【文献】特表2013-524688号公報
【文献】特開2013-201753号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
実施形態は、画像処理が完了前にラインバッファのデータが上書きされることを回避することができる画像処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
実施形態の画像処理装置は、互いに1ラインの画素数が異なる複数のカメラを有する撮像部に接続され、前記撮像部からの入力画素レートよりも2倍以上の動作周波数を有する画像処理装置であって、FIFOメモリと、複数のラインバッファと、画像処理回路と、コントローラと、制御回路とを有する。複数のラインバッファは、複数のカメラから入力されるデータを保持する。画像処理回路は、複数のラインバッファに保持されたデータに対して所定の画像処理を施す。コントローラは、前記複数のラインバッファの少なくとも1つにおいて、前記所定の画像処理が完了する前に、前記データの上書きが発生するか否かを検出し、検出結果に応じた出力制御信号を出力する。制御回路は、出力制御信号に応じて、前記複数のラインバッファへのデータの出力を停止し、出力を停止されたデータをFIFOメモリに保持させるように制御する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】第1の実施形態の画像処理装置を含む画像処理システムの構成の一例を示す図である。
【
図2】画像処理が完了する前にラインバッファの上書きが発生する場合の動作を示す図である。
【
図3】画像処理が完了する前にラインバッファの上書きが発生しない場合の動作を示す図である。
【
図4】第1の実施形態の効果について説明するための図である。
【
図5】第2の実施形態の動作について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面を参照して実施形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態の画像処理装置を含む画像処理システムの構成の一例を示す図である。
図1に示すように、画像処理システム101は、撮像部1と、画像処理装置2と、DRAM3と、バス4とを有して構成されている。
【0010】
撮像部1は、例えば、互いに異なる画角及び/または有効画素数を有するn(n≧2)個のカメラCM1、CM2、・・・、CMnを備えて構成されている。なお、以下の説明では、カメラCM1、CM2、・・・、CMnの全部又は一部を示す場合、カメラCMと呼ぶ。
【0011】
撮像部1の各カメラCMは、CCDセンサやCMOSセンサ等のイメージセンサを有して構成されている。撮像部1は、各カメラCMで得られた1ライン分の画素データ(ライン画素データ)にどのカメラCMで得られたかを示すIDを付加し、パラレル伝送によって画像処理装置に出力する。画像処理装置2は、1ライン分のライン画素データに付加されたIDに基づいて、ライン画素データが複数のカメラCMのうち、どのカメラCMから出力されたライン画素データかを判別することができる。
【0012】
画像処理装置2は、撮像部1から1ライン分ずつ出力されるライン画素データを蓄積し、蓄積したライン画素データに画像処理を施すことによりフレーム画像データを生成し、生成したフレーム画像データをバス4を経由してDRAM3へ出力する。
【0013】
画像処理装置2は、制御部10と、FIFO11と、選択部12と、第1ラインバッファ13と、第2ラインバッファ14と、画像処理回路15と、選択部16と、第3ラインバッファ17と、第4ラインバッファ18と、歪み補正回路19とを有して構成されている。
【0014】
第1ラインバッファ13は、第1格納部13a及び第2格納部13bを備える。第2ラインバッファ14は、第1格納部14a及び第2格納部14bを備える。第3ラインバッファ17は、第1格納部17a及び第2格納部17bを備える。第4ラインバッファ18は、第1格納部18a及び第2格納部18bを備える。歪み補正回路19は、コントローラ20を備える。
【0015】
本実施形態の画像処理装置2は、撮像部1からの入力画素レートよりも2倍以上の動作周波数を有しており、撮像部1から入力される複数のライン画素データを時分割で処理することができる。なお、以下の説明では、2つのカメラCM1、CM2から画素データが画像処理装置2に入力される場合について説明するが、3つ以上のカメラから画素データが画像処理装置2に入力される構成であってもよい。
【0016】
撮像部1のカメラCM1、CM2により撮像されたライン画素データは、1ライン毎にカメラCM1、CM2のIDとともに制御部10に入力される。カメラCM1、CM2により撮像されたライン画素データは、現像処理が施されていないRAWデータである。
【0017】
制御回路としての制御部10は、後述するreadyフラグ(出力制御信号)に応じて、入力されたライン画素データをFIFO11または選択部12に出力する。すなわち、制御部10は、readyフラグに応じて、ライン画素データを後段の画像処理回路15に供給するか、後段の画像処理回路15へのライン画素データの供給を停止し、FIFOメモリを構成するFIFO11に一時的に保持させるかを制御する。制御部10は、readyフラグがLレベルの場合、入力されたライン画素データをIDとともにFIFO11に出力する。一方、制御部10は、readyフラグがHレベルの場合、入力されたライン画素データを選択部12に出力する。
【0018】
選択部12は、IDに応じてライン画素データを第1ラインバッファ13または第2ラインバッファ14に出力する。選択部12は、カメラCM1を示すIDが入力されると、ライン画素データを第1ラインバッファ13に出力し、カメラCM2を示すIDが入力されるライン画素データを第2ラインバッファ14に出力する。
【0019】
第1ラインバッファ13の第1格納部13a及び第2格納部13bには、それぞれカメラCM1の1ライン分のライン画素データが格納される。すなわち、第1ラインバッファ13には、カメラCM1の2ライン分のライン画素データが書き込まれる。
【0020】
例えば、カメラCM1の1ライン目のライン画素データが第1ラインバッファに13に入力されると、第1格納部13aにカメラCM1の1ライン目のライン画素データが書き込まれ、カメラCM1の2ライン目のライン画素データが第1ラインバッファに13に入力されると、第2格納部13bに書き込まれる。そして、カメラCM1の3ライン目のライン画素データが第1ラインバッファに13に入力されると、第1格納部13aにカメラCM1の3ライン目のライン画素データが書き込まれ、カメラCM1の4ライン目のライン画素データが第1ラインバッファに13に入力されると、第2格納部13bに書き込まれる。このように、第1ラインバッファ13の第1格納部13a及び第2格納部13bには、カメラCM1のライン画素データが順次書き込まれる。
【0021】
同様に、第2ラインバッファ14の第1格納部14a及び第2格納部14bには、それぞれカメラCM2の1ライン分のライン画素データが格納される。すなわち、第2ラインバッファ14には、カメラCM2の2ライン分のライン画素データが書き込まれる。
【0022】
例えば、カメラCM2の1ライン目のライン画素データが第2ラインバッファに14に入力されると、第1格納部14aにカメラCM2の1ライン目のライン画素データが書き込まれ、カメラCM2の2ライン目のライン画素データが第2ラインバッファに14に入力されると、第2格納部14bに書き込まれる。そして、カメラCM2の3ライン目のライン画素データが第2ラインバッファに14に入力されると、第1格納部14aにカメラCM2の3ライン目のライン画素データが書き込まれ、カメラCM2の4ライン目のライン画素データが第2ラインバッファに14に入力されると、第2格納部14bに書き込まれる。このように、第2ラインバッファ14の第1格納部14a及び第2格納部14bには、カメラCM2のライン画素データが順次書き込まれる。
【0023】
画像処理回路15は、第1ラインバッファ13及び第2ラインバッファ14の少なくとも1つの格納部にライン画素データの書き込みが完了すると、書き込みが完了したライン画素データに対して画像処理を施す。画像処理回路15は、撮像部1からのRAWデータをRGBデータに変換して選択部16に出力する。
【0024】
ここで、第1ラインバッファ13及び第2ラインバッファ14の各格納部へのライン画素データの書き込みが同時に完了した場合は、画像処理回路15は画像サイズの小さい順に画像処理を開始する。なお、第1ラインバッファ13及び第2ラインバッファ14の各格納部へのライン画素データの書き込みが同時に完了した場合の画像処理を開始する順番は、これに限定されるものではなく、例えば、IDの小さいカメラCMからのライン画素データから画像処理を開始してもよい。
【0025】
選択部16は、RGBデータに変換された、カメラCM1のライン画素データを第3ラインバッファ17に出力し、カメラCM2のライン画素データを第4ラインバッファ18に出力する。
【0026】
第3ラインバッファ17の第1格納部17a及び第2格納部17bには、RGBデータに変換されたカメラCM1のライン画素データが順次書き込まれる。第4ラインバッファ18の第1格納部18a及び第2格納部18bには、RGBデータに変換されたカメラCM2のライン画素データが順次書き込まれる。
【0027】
歪み補正回路19は、第3ラインバッファ17及び第4ラインバッファ18に格納されたライン画素データに対して歪み補正処理を行い、フレーム画像を生成してDRAM3に出力する。
【0028】
コントローラ20は、第1ラインバッファ13及び/又は第2ラインバッファ14を監視し、第1ラインバッファ13及び/又は第2ラインバッファ14の各格納部において、画像処理が完了する前にライン画素データの上書きが発生するか否かを検出する。コントローラ20は、第1ラインバッファ13及び/又は第2ラインバッファ14において、画像処理の完了前にライン画素データの上書きが発生することを検出すると、readyフラグをLレベルにして制御部10に出力する。
【0029】
制御部10は、Lレベルのreadyフラグが入力されると、第1ラインバッファ13及び/又は第2ラインバッファ14へのライン画素データの供給を停止する。そして、制御部10は、供給を停止したライン画素データ及びIDをFIFO11に出力し、FIFO11にライン画素データ及びIDを保持させる。
【0030】
その後、コントローラ20は、第1ラインバッファ13及び/又は第2ラインバッファ14において、画像処理の完了前にライン画素データの上書きが発生しないことを検出すると、readyフラグをHレベルにして制御部10に出力する。
【0031】
制御部10は、Hレベルのreadyフラグが入力されると、FIFO11からライン画素データをファーストインファーストアウトで読み出して選択部12に出力することで、第1ラインバッファ13及び/又は第2ラインバッファ14へのライン画素データの供給を再開する。
【0032】
次に、本実施形態の画像処理装置の動作について
図2及び
図3を用いて説明する。
図2は、画像処理が完了する前にラインバッファの上書きが発生する場合の動作を示す図である。
図3は、画像処理が完了する前にラインバッファの上書きが発生しない場合の動作を示す図である。
【0033】
カメラCM1とカメラCM2は、画角(挟角、広角)や画素数(2K、4K)等の違いから、1ラインの画素数が異なっている。本実施形態では、カメラCM1の1ラインの画素数がカメラCM2の1ラインの画素数よりも2倍程度多いものとして説明する。例えば、カメラCM1の1ラインの画素数が4000画素であり、カメラCM2の1ラインの画素数が2000画素である。
【0034】
第1ラインバッファ13には、カメラCM1からのライン画素データL1、L2、L3、L4、・・・、が入力され、第2ラインバッファ14には、カメラCM2からのライン画素データL1、L2、L3、L4、・・・、が入力される。
【0035】
まず、カメラCM1のライン画素データL1が第1ラインバッファ13の第1格納部13aに書き込まれ、カメラCM1のライン画素データL2が第1ラインバッファ13の第2格納部13bに書き込まれる。
【0036】
その後、カメラCM1のライン画素データL3が第1ラインバッファ13に入力されると、第1ラインバッファ13の第1格納部13aにカメラCM1のライン画素データL3が上書きされる。そして、カメラCM1のライン画素データL4が第1ラインバッファ13に入力されると、第1ラインバッファ13の第2格納部13bにカメラCM1のライン画素データL4が上書きされる。
【0037】
一方、カメラCM2のライン画素データL1が第2ラインバッファ14の第1格納部14aに書き込まれ、カメラCM2のライン画素データL2が第2ラインバッファ14の第2格納部14bに書き込まれる。
【0038】
その後、カメラCM2のライン画素データL3が第2ラインバッファ14に入力されると、第2ラインバッファ14の第2格納部14bにカメラCM2のライン画素データL3が上書きされる。そして、カメラCM2のライン画素データL4が第2ラインバッファ14に入力されると、第2ラインバッファ14の第2格納部14bにカメラCM2のライン画素データL4が上書きされる。
【0039】
画像処理回路15は、ライン画素データLの書き込みが完了した順に画像処理を開始する。
図2の例では、第2ラインバッファ14の第1格納部14aへのライン画素データL1の書き込みが最初に完了しているため、画像処理回路15は、時間t1において、第2ラインバッファ14の第1格納部14aに書き込まれたライン画素データL1に対して画像処理を開始する。
【0040】
次に、第1ラインバッファ13の第1格納部13aへのライン画素データL1の書き込みが完了している。画像処理回路15は、第2ラインバッファ14の第1格納部14aに書き込まれたライン画素データL1の画像処理が完了すると、時間t2において、第1ラインバッファ13の第1格納部13aに書き込まれたライン画素データL1に対して画像処理を開始する。
【0041】
次に、第2ラインバッファ14の第2格納部14bへのライン画素データL2の書き込みが完了している。画像処理回路15は、第1ラインバッファ13の第1格納部13aに書き込まれたライン画素データL1の画像処理が完了すると、時間t3において、第2ラインバッファ14の第2格納部14bに書き込まれたライン画素データL2の画像処理を開始する。
【0042】
ここで、第2ラインバッファ14の第2格納部14bには、時間t4において、ライン画素データL4の書き込みが開始されている。この結果、画像処理回路15が第2ラインバッファ14の第2格納部14bに格納されているライン画素データL2の画像処理が完了する前に、第2格納部14bに新たなライン画素データL4の書き込みが開始される。この場合、画像処理回路15により現在行われている画像処理が正常に完了しない可能性が高くなる。
【0043】
そこで、コントローラ20がreadyフラグをLレベルにすることで、カメラCM2のライン画素データL4の供給を停止させる。制御部10は、Lレベルのreadyフラグが入力されると、カメラCM2のライン画素データL4をFIFO11に出力し、FIFO11に一時的に保持させる。
【0044】
図3に示すように、画像処理回路15がカメラCM2のライン画素データL2に対する画像処理を完了すると、コントローラ20は、ライン画素データの上書きが発生しないことを検知する。コントローラ20は、readyフラグをHレベルにすることで、カメラCM2のライン画素データL4の供給を再開させる。制御部10は、Hレベルのreadyフラグが入力されると、カメラCM2のライン画素データL4をFIFO11から読み出し、選択部12を介して第2ラインバッファ14に供給する。
【0045】
以上の処理により、画像処理回路15が第2ラインバッファ14の第2格納部14bのライン画素データL2に対して画像処理が完了した後、時間t5において、第2ラインバッファ14の第2格納部14bに新たなライン画素データL4の書き込みが開始される。
【0046】
この結果、本実施形態の画像処理装置2によれば、画像処理が完了前に第1ラインバッファ13及び/又は第2ラインバッファ14のライン画素データが上書きされることを回避することができる。
【0047】
図4は、第1の実施形態の効果について説明するための図である。
比較例では、2つのカメラCMからの画像データを非時分割で画像処理する場合、2つの画像処理回路が必要であった場合のものを示す。なお、
図4では、比較例(非時分割)の画像処理回路の個数、ロジック回路の面積、メモリ容量、チップ面積、及び、消費電力と、本実施形態(時分割)の画像処理回路の個数、ロジック回路の面積、メモリ容量、チップ面積、及び、消費電力とを比で表している。
【0048】
本実施形態では、2つのカメラCM1、CM2からの画像データを時分割で入力し、1つの画像処理回路15によりライン毎に時分割で画像処理を行う構成になっている。例えば、運転支援システムでは、車両の前方を撮影するためのフロントカメラ、車両の後方を撮影するためのバックカメラ、車両の左側方を撮影するための左サイドカメラ、及び、車両の右側方を撮影するための右サイドカメラを含む少なくとも4つのカメラを備える。本実施形態では、4つのカメラを備えている場合でも、2つの画像処理回路を有していればよい。
【0049】
そのため、本実施形態(時分割)の画像処理回路の個数は、比較例(非時分割)の画像処理回路の個数の50%に削減することができる。これに伴い、本実施形態のロジック回路の面積は、比較例のロジック回路の面積の50%に削減することができる。本実施形態と比較例でメモリ容量は変わらないが、ロジック回路の面積の削減に伴い、本実施形態のチップ面積は、比較例のチップ面積の約81%に削減することができる。また、ロジック回路の面積の削減に伴い、本実施形態の消費電力は、比較例の消費電力の83%に削減することができる。
【0050】
この結果、本実施形態によれば、比較例に比べてチップ面積を約19%小さくすることができるとともに、比較例に比べて消費電力を約17%削減することができる。
【0051】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態について説明する。
第1の実施形態では、撮像部1の複数のカメラCMからライン画素データが画像処理装置2に同時入力されていたが、第2の実施形態では、撮像部1の複数のカメラCMからライン画素データが画像処理装置2に逐次入力される。第2の実施形態の画像処理装置2の構成は、第1の実施形態と同様であるが、撮像部1のライン画素データの出力仕様が第1の実施形態と異なっている。
【0052】
図5は、第2の実施形態の動作について説明するための図である。
撮像部1のカメラCM1及びCM2により撮像されたライン画素データは、画像処理装置2に逐次入力される。第1の実施形態と同様に、カメラCM1からのライン画素データL1、L2、L3、L4、・・・、は、第1ラインバッファ13に入力され、カメラCM2からのライン画素データL1、L2、L3、L4、・・・、は、第2ラインバッファ14に入力される。
【0053】
カメラCM1からのライン画素データL1、L2、L3、L4、・・・、は、第1ラインバッファ13の第1格納部13a及び第2格納部13bに順次格納される。一方、カメラCM2からのライン画素データL1、L2、L3、L4、・・・、は、第2ラインバッファ14の第1格納部14a及び第2格納部14bに順次格納される。
【0054】
制御部10には、カメラCM2のライン画素データL1、カメラCM1のライン画素データL1、カメラCM2のライン画素データL2、カメラCM2のライン画素データL3、カメラCM2のライン画素データL4の順番でライン画素データが逐次入力される。
【0055】
そのため、
図5に示すように、カメラCM2のライン画素データL1が第2ラインバッファ14の第1格納部14aに書き込まれる。次に、カメラCM1のライン画素データL1が第1ラインバッファ13の第1格納部13aに書き込まれ、カメラCM2のライン画素データL2が第2ラインバッファ14の第2格納部14bに書き込まれる。
【0056】
その後、カメラCM2のライン画素データL3が第2ラインバッファ14の第1格納部14aに書き込まれ(上書きされ)、カメラCM2のライン画素データL4が第2ラインバッファ14の第2格納部14bに書き込まれる(上書きされる)。
【0057】
画像処理回路15は、第2ラインバッファ14の第1格納部14aにカメラCM2のライン画素データL1の書き込みが完了すると、時間t11において、カメラCM2のライン画素データL1の画像処理を開始する。
【0058】
次に、画像処理回路15は、第1ラインバッファ13の第1格納部13aにカメラCM1のライン画素データL1の書き込みが完了すると、時間t12において、カメラCM1のライン画素データL1の画像処理を開始する。
【0059】
カメラCM1のライン画素データL1の画像処理が完了する時間には、第2ラインバッファ14の第2格納部14bにカメラCM2のライン画素データL2の書き込みが完了している。そのため、画像処理回路15は、カメラCM1のライン画素データL1の画像処理が完了すると、時間t13において、カメラCM2のライン画素データL2の画像処理を開始する。
【0060】
ここで、第2ラインバッファ14の第2格納部14bには、時間t14において、ライン画素データL4の書き込みが開始されている。この結果、画像処理回路15が第2ラインバッファ14の第2格納部14bに格納されているライン画素データL2の画像処理が完了する前に、第2格納部14bに新たなライン画素データL4の書き込みが開始される。この場合、画像処理回路15により現在行われている画像処理が正常に完了しない可能性が高くなる。
【0061】
そこで、コントローラ20がreadyフラグをLレベルにすることで、カメラCM2のライン画素データL4の供給を停止させる。制御部10は、Lレベルのreadyフラグが入力されると、カメラCM2のライン画素データL4をFIFO11に出力し、FIFO11に一時的に保持させる。
【0062】
画像処理回路15がカメラCM2のライン画素データL2に対する画像処理が完了すると、コントローラ20がreadyフラグをHレベルにすることで、カメラCM2のライン画素データL4の供給を再開させる。制御部10は、Hレベルのreadyフラグが入力されると、カメラCM2のライン画素データL4をFIFO11から読み出し、選択部12を介して第2ラインバッファ14に供給する。
【0063】
以上の処理により、画像処理回路15が第2ラインバッファ14の第2格納部14bのライン画素データL2に対して画像処理が完了した後、時間t15において、第2ラインバッファ14の第2格納部14bに新たなライン画素データL4の書き込みが開始される。
【0064】
この結果、本実施形態の画像処理装置2によれば、第1の実施形態と同様に、画像処理が完了前に第1ラインバッファ13及び/又は第2ラインバッファ14のライン画素データが上書きされることを回避することができる。
【0065】
発明のいくつかの実施の形態を説明したが、これらの実施の形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施の形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施の形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0066】
1…撮像部、2…画像処理装置、3…DRAM、4…バス、10…制御部、11…FIFO、12,16…選択部、13…第1ラインバッファ、13a,14a,17a,18a…第1格納部、13b,14b,17b,18b…第2格納部、14…第2ラインバッファ、15…画像処理回路、17…第3ラインバッファ、18…第4ラインバッファ、19…歪み補正回路、20…コントローラ、101…画像処理システム。