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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】デジタル無線システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/50 20180101AFI20240115BHJP
   H04W 74/06 20090101ALI20240115BHJP
【FI】
H04W76/50
H04W74/06
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020161622
(22)【出願日】2020-09-28
(65)【公開番号】P2022054524
(43)【公開日】2022-04-07
【審査請求日】2023-03-09
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(74)【代理人】
【識別番号】100097113
【弁理士】
【氏名又は名称】堀 城之
(74)【代理人】
【識別番号】100162363
【弁理士】
【氏名又は名称】前島 幸彦
(72)【発明者】
【氏名】立野 章博
【審査官】横田 有光
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-126112(JP,A)
【文献】特開昭61-171256(JP,A)
【文献】特開昭50-067510(JP,A)
【文献】特開2013-047941(JP,A)
【文献】特開2012-173797(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24- 7/26
H04W 4/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
単信方式によって双方向通信が行われる親局と子局とを具備し、前記親局において割込事由が発生したときに当該割込事由に基づく割込情報が前記親局から前記子局に対して送信されるデジタル無線システムであって、
前記子局は、前記親局との通信中に、当該通信の中断を示す中断信号を前記親局へ送信し、
前記親局は、前記中断信号の受信時に前記割込事由の発生の有無を判定し、
前記割込事由が発生していないと判定した場合には、前記子局に前記通信の再開を指示し、
前記割込事由が発生したと判定した場合には、前記子局に前記通信の中止を指示して前記子局に前記通信を中止させ、前記割込情報を前記子局に送信する、
ことを特徴とするデジタル無線システム。
【請求項2】
前記割込事由の発生の有無は前記親局が外部から緊急情報を入手したことによって判定されることを特徴とする請求項1に記載のデジタル無線システム。
【請求項3】
前記緊急情報には優先度が設定され、前記割込事由の発生の有無は、前記緊急情報における前記優先度に基づいて判定されることを特徴とする請求項2に記載のデジタル無線システム。
【請求項4】
前記親局は前記緊急情報を全国瞬時警報システム(J-ALERT)から入手することを特徴とする請求項2又は3に記載のデジタル無線システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、親局と子局との間において双方向のデジタル無線通信が行われるデジタル無線システムに関する。
【背景技術】
【0002】
親局と複数の子局との間で双方向のデジタル無線通信が行われるデジタル無線システムは、各種の用途で広く用いられており、このような用途の一つとして、防災無線拡声システム(防災行政無線システム)がある。防災無線拡声システムにおいては、各拡声器に対応して拡声子局(子局)が複数設けられ、基地局(親局)から発せられた放送信号(音声信号)を拡声子局が無線通信によって受信することによって、各拡声器から防災放送が行われる。このような防災無線拡声システムは、ARIB(Assosiation of Radio Industries and Business) STD-T86の無線通信規格において、60MHz帯の周波数を用いて確立されている。
【0003】
特に防災無線拡声システムにおいては防災放送に関する通信を親局から子局に対して行う際には緊急性が要求されるところ、一般的には、親局と子局との間や子局同士の間では防災放送(緊急情報)とは無関係の通信が行われている場合も多い。このため、親局は、例えば全国瞬時警報システム(J-ALERT)から緊急情報(例えば地震速報)を入手すると、このような緊急情報とは無関係の通信を一旦停止させ、全ての子局側に一斉にこの緊急情報に基づく指示を割込情報として受信させ、例えば地震に起因する津波警報を子局側で発報させる必要がある。
【0004】
前記のARIB STD T-86に準拠したデジタル無線通信においては、TDMA(時分割多元接続)が用いられており、上り下りの双方向の通信チャネルと、同じく双方向の制御チャネルが用いられている。このため、子局から親局に対する上り通信が行われている場合には、親局が緊急情報を受信した際に親局は制御チャネルを介した下り通信によってこの子局側に上り通信の強制切断指示を送信することができる。その後、親局は上記の割込情報をこの子局側に送信することができる。これによって、全ての子局に対して割込情報を迅速に受信させることができる。
【0005】
また、特許文献1には、ARB STD T-87に準拠したデジタル無線通信における子局がグループされた場合において、通信中のグループがあった場合においてこのグループに対して上記のような割込情報の送信ができなくなることを解消する技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2008-42361号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、前記のARIB STD T-86に代わり、ARIB STD T-115に準拠した防災行政無線システム(以下、無線システム)が普及してきた。この無線システムにおいては、前記のTDMA方式に代わり、SCPC(Single Channel Per Carrier)方式が採用されている。この場合には、上り通信と下り通信とを同時に行うことができないため、子局側から親局側への上り通信が行われている間には親局側から子局側への下り通信を行うことができない。このため、この間において親局が例えばJ-ALERTから緊急情報を受信した場合において、従来のように親局が子局側に強制切断指示を出すことができなかった。このため、親局が緊急情報を受信した場合に下り通信を用いた迅速な対応ができない場合があった。
【0008】
本発明は、このような状況に鑑みなされたもので、上記課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のデジタル無線システムは、単信方式によって双方向通信が行われる親局と子局とを具備し、前記親局において割込事由が発生したときに当該割込事由に基づく割込情報が前記親局から前記子局に対して送信されるデジタル無線システムであって、前記子局は、前記親局との通信中に、当該通信の中断を示す中断信号を前記親局へ送信し、前記親局は、前記中断信号の受信時に前記割込事由の発生の有無を判定し、前記割込事由が発生していないと判定した場合には、前記子局に前記通信の再開を指示し、前記割込事由が発生したと判定した場合には、前記子局に前記通信の中止を指示して前記子局に前記通信を中止させ、前記割込情報を前記子局に送信する。
本発明のデジタル無線システムにおいて、前記割込事由の発生の有無は前記親局が外部から緊急情報を入手したことによって判定されてもよい。
本発明のデジタル無線システムにおいて、前記緊急情報には優先度が設定され、前記割込事由の発生の有無は、前記緊急情報における前記優先度に基づいて判定されてもよい。
本発明のデジタル無線システムにおいて、前記親局は前記緊急情報を全国瞬時警報システム(J-ALERT)から入手してもよい。
【発明の効果】
【0010】
本発明によると、単信方式が採用された場合において、上り通信が行われている場合でも必要に応じて迅速に下り通信を行わせることができるデジタル無線システムを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施の形態に係るデジタル無線システムの構成を示す図である。
図2】実施の形態に係るデジタル無線システムの動作を示すフローチャートである。
図3】実施の形態に係るデジタル無線システムの動作において、緊急情報が受信された場合のシーケンス図である。
図4】実施の形態に係るデジタル無線システムの動作において、緊急情報が受信されなかった場合のシーケンス図である。
図5】実施の形態に係るデジタル無線システムの動作の変形例を示すフローチャートである。
【0012】
次に、本発明を実施するための形態を具体的に説明する。図1は、本発明の実施の形態に係るデジタル無線システムの構成を簡略化して示す図である。このデジタル無線システム1においては、親局10と子局20が用いられる。実際には子局20は多数が用いられているが、各子局20は同様の構成を具備するため、ここでは単一の子局20のみが記載されている。
【0013】
このデジタル無線システム1は、無線拡声システムとして機能する。このため、実際には複数の子局20は地上の複数の箇所に設置され、各々には拡声器(図示せず)が接続される。親局10と子局20とを接続する無線通信とは別の、他システム30とを接続する通信経路も親局10には用いられる。他システム30は例えば全国瞬時警報システム(J-ALERT)である。他システム30は、例えば通信衛星等を介して緊急情報(例えば地震速報)を親局10に対して送信することができる。親局10は、この緊急情報あるいはこれに基づく指示を各子局20に対して送信し、子局20がこれを受信して自身に接続された拡声器からこの緊急情報に基づく緊急放送を行う(例えば地震に伴う津波警報を発する)ことができる。
【0014】
また、各子局20は、このように緊急情報を受信することだけでなく、一般的な通信局としての機能も有する。すなわち、親局10側から子局20側に対して前記の緊急情報以外の一般的な他のデータを送信することができ、子局20側から親局10側に同様に一般的な他のデータを送信することもできる。このようなデータの送信をする場合として、例えば連絡通話を行うことがある。すなわち、このデジタル無線システム1においては、親局10と複数の子局20との間で双方向通信を行うことができ、子局20同士の間でも同様に双方向通信を行うことができる。
【0015】
ここで、このデジタル無線システム1(親局10と子局20の間の通信)は、ARIB STD T-115に準拠して動作する。このため、親局10、子局20は、この方式で無線通信を行うための送受信部11、送受信部21をそれぞれ具備する。図1においては、送受信部11、21以外の親局10、子局20における構成要素は単純化して示され、親局10、子局20においては、前記の連絡通話を行うための連絡通話器12、連絡通話器22がそれぞれ設けられる。また、親局10には、各種の操作を受け付け、各種の情報を表示させる親局操作卓13も設けられる。前記の他システム30から入手された緊急情報は親局操作卓13に入力し、親局10の管理者は親局操作卓13によってその情報を認識することができる。連絡通話器12、親局操作卓13、連絡通話器22には、上記の通話データや緊急情報を含む各種の情報を少なくとも一時的に記憶する揮発性メモリや不揮発性メモリが設けられる。親局10と他システム30の間の通信に関する機構は本願発明とは無関係であるためにその記載は省略されている。
【0016】
送受信部11と送受信部21との間の通信では、SCPC方式(単信方式)が採用される。このため、送受信部11(親局10)と送受信部21(子局20)は双方向で通信をすることができるが、上り通信(子局20から親局10側への通信)と下り通信(親局10から子局20側への通信)を同時に行うことができない。一方、子局20との間の通信状況に関わらず、他システム30が送信した緊急情報を親局10はリアルタイムで受信することができる。このため、従来のARIB STD T-86に準拠した防災行政無線システムと同様に親局20はこの緊急情報を常時入手することができるが、子局20が親局10に対して上り通信中である場合には、この上り通信を中止すべき旨の制御信号を子局20側に即時に送信することができない。このため、この場合にはこの緊急情報に基づく割込情報を子局20側に即時に送信することができない。
【0017】
ここで、このデジタル無線システム1においては、子局20側から親局10側に上り通信が行われているどの時点においても親局10におけるこのような緊急情報の受信がありうることを想定して、緊急情報による割込動作が可能となるような動作が行われる。ここでは、上り通信において、この上り通信が短期間中断される中断期間が設けられ、この中断期間の間に親局10が他システム30から緊急情報を受信したか否かが判定され、受信した場合には、直後にこの緊急情報に基づく割込情報が子局20に対して送信される。
【0018】
図2は、このようなデジタル無線システム1における動作を示すフローチャートである。また、図3は、このフローチャートにおいて、親局10が緊急情報を受信した場合(S5:Yes)における場合のシーケンス図であり、図4は、このフローチャートにおいて、親局10が緊急情報を受信しなかった場合(S5:No)における場合のシーケンス図である。これらにおいては、子局20から親局10側に対して行われる上り通信として連絡通話が行われているものとする。
【0019】
まず、図2において、子局20から親局10に対して連絡通話(上り通信)が開始される(S1)。これにより、図3、4において、子局20の連絡通話器22から送受信部21へ、デジタル無線通信によって送受信部21から親局10の送受信部へ、送受信部11から親局操作卓13、親局操作卓13から連絡通話部12に、順次通話データが流れる(S101)。
【0020】
その後、子局20の送受信部21は、所定時間の経過を待つ(S2)。この所定時間(通信継続時間)は、例えば0.5secと予め設定することができる。この所定時間が経過したら(S2:Yes)、子局20の送受信部21は連絡通話を中断し、連絡通話を中断する旨の信号である中断信号を通話データの代わりに親局10の送受信部11に対して送信する(S3)。この中断信号は送受信部21から親局10の連絡通話部12まで伝達されるため(S102)、送受信部11、親局操作卓13、連絡通話部12はこの連絡通話が中断した旨を認識することができる(S4)。
【0021】
次に、図2において、親局10の親局操作卓13は、通話開始時から中断信号を受信した時点までの間となる判定期間において、他システム30から緊急情報を受信したか否かを判定する(S5)。ここで、緊急情報がこの間に受信されていた場合には、親局10の親局操作卓13は、送受信部11を介して、このような緊急情報が受信されたことによって子局20側に通話を中止させるための制御信号を子局20の送受信部21に送信し(S6)、これを送受信部21が受信して(S7)認識することにより、先に中断した(S3)通話を再開せずに中止させる(S8)(図3におけるS103)。
【0022】
その後、親局10側では、受信した緊急情報に基いて割込情報を作成する。割込情報は、例えば緊急情報が地震速報であった場合には津波警報の放送内容等であり、緊急情報と同一の内容であってもよい。親局10の親局操作卓13は、この割込情報を送受信部11を介して子局20の送受信部21に下り通信により送信し(S9)、子局20の送受信部21がこれを受信する(S10)(図3におけるS104)。これによって、子局20側では、この割込情報(緊急情報)に基づいて、例えば拡声器から緊急放送をすることができる。
【0023】
一方、図2において、通話開始時から中断信号を受信した時点までの間において、他システム30から緊急情報を受信しなかった場合(S5:No)には、親局操作卓13は、送受信部11を介して、このような緊急情報が受信されなかったために子局20側に連絡通話を再開させるための制御信号を送受信部21(子局20)に送信し(S11)、これを送受信部21が受信して(S12)認識することができる(図4におけるS105)。送受信部21は、これにより、先に中断した(S3)連絡通話を再開させる(S13)(図4におけるS106)。図2において、その後、所定時間経過の認識(S2)のためのタイマーをリセットしてから(S14)、再び所定時間の経過を待つ(S2)ことによって、上記の動作が繰り返される。すなわち、上記の動作は、上り通信の中断期間毎に繰り返される。この際、緊急情報が受信されたら(S5:Yes)、上記のように割込情報が子局20側に送信される。この場合における連絡通話が中断された中断期間は、概ね中断信号が発せられた時点(S3)から制御信号(連絡通話再開)を子局20が受信した時点(S12)までの間である。
【0024】
図2の動作において、親局10が他システム30から緊急情報を受信しなかった場合(S5:No)には、所定時間の経過までの連絡通話の継続(S2)、その後の連絡通話を中断及び中断信号の送信(S3)、親局10による中断信号の受信(S4)、緊急情報を受信したか否かの判定(S5)が同様に行われる。この場合の判定期間は、前回の中断信号の受信後における連絡通話の再開時(S13(S14))となる。この動作は、連絡通話が終了するまで繰り返される。
【0025】
この動作においては、子局20から親局側に連絡通話が行われていた場合においても、親局10側が緊急情報を受信したか否かのチェックは前記の所定時間(S2)の間隔で行われるため、親局10が緊急情報を受信してから子局20が割込情報(緊急情報)を受信するまでの待ち時間は最大でも概ねこの所定時間程度となる。すなわち、親局10側における緊急情報の受信の有無のチェックは概ねこの所定時間間隔で行われる。このため、この所定時間を短く設定すれば、この待ち時間も短くなり、子局20は緊急情報を迅速に認識することができる。ただし、所定時間を短くすると、通話を頻繁に中断することになるため、運用に支障が起きない時間を設定しておくことが好ましい。このように緊急情報が受信された場合においては、それまで子局20側から親局10側に対して行われていた連絡通話は中止される。
【0026】
一方、緊急情報の受信がない場合においても、前記の中断期間の間は連絡通話は中断される。しかしながら、図2において上記のような親局10側における緊急情報の受信の有無の判断(S5)及びこれによって制御信号(通話再開)を発する(S11)までに要する時間は、上記の所定時間と比べて無視できる程度に短い。このため、この中断時間は実質的には無視できる。あるいは、この中断時間における連絡通話の内容を子局20側で一時的に記憶して連絡通話の再開時(S13)に送信し、実質的に中断のない内容として親局10側に送信させることもできる。
【0027】
上記の例では、他システム30から親局10が緊急情報を受信した場合(S5:Yes)に割込情報が子局20側に送信される(S9)ものとしたが、割込情報が他の要件によって発せられるものとすることもできる。例えば、親局10の管理者による親局操作卓13の操作の有無を、緊急情報を受信したか否か(S5)の代わりに、子局20側に連絡通話を中止させて割込情報を受信させるための判定条件とすることもできる。すなわち、割込情報の送信のトリガとなる割込事由としては、親局10側における各種のものを適宜設定することができる。また、割込情報としては、緊急情報の具体的内容(地震速報、気象情報、軍事情報等)や子局20側で緊急に行わせるべき動作の内容に応じて、各種のものを設定することもできる。
【0028】
上記の例では、親局10が緊急情報を受信した場合には連絡通話が中止されて割込情報が子局20側に送信された。しかしながら、例えば子局20が親局10側に対して行っている連絡通話の内容によっては、子局20側が割込情報(緊急情報)を受信することよりも、連絡通話を継続させることが好ましい場合もある。このために、緊急情報、連絡通話にそれぞれ優先度を設定し、これらの優先度の関係に応じて、連絡通話を中止させて割込情報を送信させるか、あるいは割込情報の送信はさせずに連絡通話を継続させるか、を選択させることもできる。
【0029】
図5は、この場合の動作を示すフローチャートである。図5において、親局10の親局操作卓13は、受信した連絡通話(S1)の内容や、予め子局20側でこの連絡通話に対して優先度を付与しておくことにより、この連絡通話の優先度を認識する(S21)。その後、時間経過の認識(S2)、子局20側から連絡通話の中断信号の送信(S3)、その親局10側での受信(S4)、親局10側での緊急情報の受信の有無の認識(S5)については、図2の場合と同様である。ただし、ここでは、前記のように緊急情報には優先度が設定されているため、緊急情報が入手された場合(S5:Yes)には、親局操作卓13は、この優先度を認識する(S22)。
【0030】
親局10の親局操作卓13あるいは送受信部11は、連絡通話の優先度と緊急情報の優先度とを比較し、緊急情報の優先度の方が高い場合には連絡通話を中止させて割込情報を送信させ(割込を行わせる)、連絡通話の優先度の方が高い場合には割込情報の送信をさせずに連絡通話を継続させる(割込を行わせない)判断をする(S23)。割込を行わせる場合(S23:Yes)には、図2における制御信号(連絡通話中止)の送信(S6)以降の動作が同様に行われ、割込を行わせない場合(S23:No)には、図2における制御信号(連絡通話再開)の送信(S11)以降の動作が同様に行われる。これによって、緊急情報を親局10が受信した場合であっても、受信した緊急情報、連絡通話の優先度に応じて上記の動作が選択されて行われる。上記の判定(S23)を親局操作卓13に対する管理者の操作によって行わせることもできる。これによって、緊急情報の送信と連絡通話のうちより優先度の高い方が選択されて実行される。
【0031】
図5の例では、優先度に応じた割込動作の有無の判定は親局10側で行われたが、この判定を子局20側で行わせることもできる。この場合には、例えば図2において緊急情報の入手があった場合(S5:Yes)に、制御信号(連絡通話中止)送信(S6)前に、緊急情報の優先度を制御信号として子局20側に送信し、子局20側で上記と同様の判定をし、割込動作が不要であると判定された場合には連絡通話を再開させ、割込動作が必要であると判定された場合には、連絡通話を中止させればよい。
【0032】
また、緊急情報、連絡通話にそれぞれ優先度を設定していたが、緊急情報にのみ優先度を設定しておいてもよい。親局10は、S23において、緊急情報の優先度が所定値よりも高い場合、連絡通話中止の制御信号を子局20へ送信し、緊急情報の優先度が所定値よりも低い場合、連絡通話再開の制御信号を子局20へ送信する。
【0033】
上記の例では、子局から親局に対する上り通信の例として連絡通話が用いられたが、上り通信の内容は内容は任意である。この際、上り通信を継続的に行う時間が長くなる場合において、上記の構成は特に有効である。
【0034】
以上、本発明を実施形態をもとに説明した。この実施形態は例示であり、それらの各構成要素の組み合わせにいろいろな変形例が可能なこと、またそうした変形例も本発明の範囲にあることは当業者に理解されるところである。
【符号の説明】
【0035】
1 デジタル無線システム
10 親局
11、21 送受信部
12、22 連絡通話器
13 親局操作卓
20 子局
30 他システム
図1
図2
図3
図4
図5