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  • 特許-過負荷抑制装置 図1
  • 特許-過負荷抑制装置 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】過負荷抑制装置
(51)【国際特許分類】
   H02P 29/02 20160101AFI20240115BHJP
【FI】
H02P29/02
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020200349
(22)【出願日】2020-12-02
(65)【公開番号】P2022088093
(43)【公開日】2022-06-14
【審査請求日】2023-02-06
(73)【特許権者】
【識別番号】501137636
【氏名又は名称】東芝三菱電機産業システム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100108062
【弁理士】
【氏名又は名称】日向寺 雅彦
(74)【代理人】
【識別番号】100168332
【弁理士】
【氏名又は名称】小崎 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100146592
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100172188
【弁理士】
【氏名又は名称】内田 敬人
(72)【発明者】
【氏名】石田 なつみ
【審査官】柏崎 翔
(56)【参考文献】
【文献】実開昭59-141494(JP,U)
【文献】特開2019-216564(JP,A)
【文献】特開昭57-129187(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02P 29/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
材を処理する第1工程に設けられた第1負荷を運転および停止を繰り返す間欠駆動する誘導電動機を速度制御する可変速駆動装置に前記誘導電動機を励磁し、励磁を停止するための励磁信号を生成する過負荷抑制装置であって、
前記材のトラッキング情報を収集するトラッキング情報収集部と、
前記材の速度に関する情報を含む設定データ情報を収集する設定データ情報収集部と、
前記トラッキング情報および前記設定データ情報にもとづいて、前記材の前記第1工程への進入時刻および前記材の前記第1工程からの退出時刻を計算する速度パターン予測部と、
前記進入時刻および前記退出時刻にもとづいて、前記励磁信号を生成する励磁パターン作成部と、
を備え、
前記励磁パターン作成部は、
前記進入時刻よりも前の時刻から前記退出時刻までの期間では前記励磁信号をアクティブとし、
前記期間の他の期間では前記励磁信号を非アクティブとする過負荷抑制装置。
【請求項2】
前記進入時刻よりも前の時刻と前記進入時刻との間の第1期間は、前記誘導電動機の始動に要する始動期間を含む請求項1記載の過負荷抑制装置。
【請求項3】
材を処理する第1工程に設けられた第1負荷を運転および停止を繰り返す間欠駆動する誘導電動機を速度制御する可変速駆動装置に前記誘導電動機を励磁し、励磁を停止するための励磁信号を生成する過負荷抑制装置であって、
前記材のトラッキング情報を収集するトラッキング情報収集部と、
前記材の速度に関する情報を含む設定データ情報を収集する設定データ情報収集部と、
前記トラッキング情報および前記設定データ情報にもとづいて、前記材の前記第1工程への進入時刻および前記材の前記第1工程からの退出時刻を計算する速度パターン予測部と、
前記進入時刻および前記退出時刻にもとづいて、前記励磁信号を生成する励磁パターン作成部と、
を備え、
前記励磁パターン作成部は、
前記進入時刻よりも前の時刻から前記退出時刻までの期間では前記励磁信号をアクティブとするとともに、前記退出時刻以降の時刻と前記退出時刻との、0よりも長い第2期間では、前記励磁信号をアクティブとし、
前記期間および前記第2期間の他の期間では前記励磁信号を非アクティブとする過負荷抑制装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、誘導電動機の可変速駆動装置の過負荷抑制装置に関する。
【背景技術】
【0002】
製鉄所等のプラントでは、電動機を可変速駆動するために、直流-交流電力変換器(インバータ)と交流-直流電力変換器(コンバータ)を組み合わせた電力変換器が用いられる。
【0003】
誘導電動機可変速駆動装置では、始動時に、誘導電動機の界磁を立ち上げる必要があるため、起動指令に対して、遅れて動作する。そこで従来、負荷始動時の応答遅れを抑制するため、誘導電動機の運転停止時にも界磁電流成分の電流を供給する手法がある(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特公昭63-5998号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に示された手法は、停止時にも誘導電動機に界磁電流を流すことで、電動機を常に励磁させる手法である。この手法を適用した可変速駆動装置で誘導電動機を運転する場合に、過負荷警報が発報されやすくなることがある。
【0006】
このような過負荷警報を発報しやすい電動機は、熱延ラインの粗主機圧延機の圧下装置用のような、材料の圧延時に、頻繁に運転と停止を繰り返す用途の場合が多い。
【0007】
過負荷警報が発報されるということは、電動機の運転条件が厳しい状態になっていることを表しており、電動機の過熱や焼損防止のためには、誘導電動機の容量をより大きくする必要がある。
【0008】
本発明は上記問題点を解決するためになされたもので、運転と停止を繰り返す負荷を駆動する場合に誘導電動機の過負荷状態を抑制し、誘導電動機を保護する過負荷抑制装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の実施形態に係る過負荷抑制装置は、材を処理する第1工程に設けられた第1負荷を運転および停止を繰り返す間欠駆動する誘導電動機を速度制御する可変速駆動装置に前記誘導電動機を励磁し、励磁を停止するための励磁信号を生成する。この過負荷抑制装置は、前記材のトラッキング情報を収集するトラッキング情報収集部と、前記材の速度に関する情報を含む設定データ情報を収集する設定データ情報収集部と、前記トラッキング情報および前記設定データ情報にもとづいて、前記材の前記第1工程への進入時刻および前記材の前記第1工程からの退出時刻を計算する速度パターン予測部と、前記進入時刻および前記退出時刻にもとづいて、前記励磁信号を生成する励磁パターン作成部と、を備える。前記励磁パターン作成部は、前記進入時刻よりも前の時刻から前記退出時刻までの期間では前記励磁信号をアクティブとし、前記期間の他の期間では前記励磁信号を非アクティブとする。
【発明の効果】
【0010】
本実施形態では、運転と停止を繰り返す負荷を駆動する場合に誘導電動機の過負荷状態を抑制し、誘導電動機を保護する過負荷抑制装置が実現される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る過負荷抑制装置を例示する模式的なブロック図である。
図2】過負荷抑制装置の動作を説明するための模式的なタイミングチャートの例である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比率などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比率が異なって表される場合もある。
なお、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には、同一の符号を付して詳細な説明を適宜省略する。
【0013】
図1は、実施形態に係る過負荷抑制装置を例示する模式的なブロック図である。
図1に示すように、実施形態の過負荷抑制装置10は、制御用ネットワーク103を介して、計算機システム101およびプログラマブルロジックコントローラ(PLC)102に通信可能に接続されている。過負荷抑制装置10は、計算機システム101から設定データ情報を収集する。過負荷抑制装置10は、PLC102からトラッキング情報を収集する。
【0014】
設定データ情報には、圧延ライン中の材の圧延速度のデータがあらかじめ設定されている。圧延速度のデータは、速度指令値や、速度指令値に到達し、下降するまでの速度上昇率、速度下降率、あるいは速度指令値から次の速度指令値に移行する際の速度変化率等の情報を含んでいる。
【0015】
トラッキング情報は、圧延ラインを搬送される材の位置を表す情報であり、その材の製品識別番号に紐づけられている。より具体的には、圧延ラインに設けられた位置センサ等によって材がある工程に進入した時刻およびその工程から退出した時刻を表すことによって、その材のラインにおける位置を表すことができる。
【0016】
過負荷抑制装置10は、可変速駆動装置3に接続されている。可変速駆動装置3は、この例では、変圧器2を介して交流電源1に接続されている。可変速駆動装置3は、誘導電動機4に接続されている。
【0017】
過負荷抑制装置10は、可変速駆動装置3に励磁指令を送出する。励磁指令は、励磁信号を含んでおり、可変速駆動装置3は、励磁信号が“ON(アクティブ)”のときに励磁電流を流して誘導電動機4を励磁する。可変速駆動装置3は、励磁信号が“OFF(非アクティブ)”のときに励磁電流を遮断して誘導電動機4の励磁を停止する。
【0018】
可変速駆動装置3は、図示しないが、制御用ネットワーク103を介して、PLC102に接続されており、PLC102によって生成され補正された速度指令に応じた速度で誘導電動機4をリアルタイムで駆動する。後に詳述するように、過負荷抑制装置10は、可変速駆動装置3の速度パターンを予測して、PLC102がリアルタイムで生成する速度指令よりも早いタイミングで励磁指令を生成する。励磁指令の励磁信号は、ONに設定され、誘導電動機4を励磁し、誘導電動機4が停止する期間が長い場合には、OFFに設定されることによって、誘導電動機4の励磁を停止する。これによって、可変速駆動装置3による誘導電動機4の起動遅れを生じることなく、励磁電流による過負荷状態を回避することが可能になる。
【0019】
実施形態の過負荷抑制装置10の構成について説明する。
過負荷抑制装置10は、トラッキング情報収集部12と、設定データ情報収集部14と、速度パターン予測部16と、励磁パターン作成部18と、を備える。
【0020】
トラッキング情報収集部12は、PLC102からトラッキング情報を収集する。設定データ情報収集部14は、計算機システム101から設定データ情報を収集する。
【0021】
速度パターン予測部16は、トラッキング情報および設定データ情報にもとづいて、制御対象としている誘導電動機4によって処理される工程での誘導電動機4の速度パターンを予測する。
【0022】
励磁パターン作成部18は、速度パターン予測部16によって生成された、誘導電動機4のための速度パターン予測にもとづいて、励磁パターンを生成する。励磁パターンは、励磁指令として出力され、この例では、ONおよびOFFが組み合わされた励磁信号である。励磁信号がONのときに、誘導電動機4が励磁され、励磁信号がOFFのときに誘導電動機4の励磁が停止される。
【0023】
過負荷抑制装置10の動作について説明する。
図2は、過負荷抑制装置の動作を説明するための模式的なタイミングチャートの例である。
図2の上の図は、速度パターン予測部16が生成する誘導電動機4のための速度パターン予測を表した図である。
図2の下の図は、励磁パターン作成部18が生成する励磁パターンを表す図である。
【0024】
図2に示すように、時刻t1において、速度の予測値が立ち上がる。時刻t1は、この例の誘導電動機4が処理する工程よりも前の工程に設けられた位置センサによって取得されるトラッキング情報にもとづいて速度パターン予測部16が計算する。誘導電動機4が処理する工程の位置と位置センサとの間の距離は既知であり、その距離における材の搬送速度も既知であるため、速度パターン予測部16は、時刻t1を計算することができる。
【0025】
時刻t1から時刻t2までの間では、計算機システム101にあらかじめ設定された速度の上昇率、定速走行期間、定速走行時速度および速度の下降率の情報を、速度パターン予測部16によって抽出し、速度パターンに適用する。時刻t2は、速度パターン予測部16によって、適用した速度パターンにもとづいて計算される。
【0026】
時刻t3から時刻t4までの期間および時刻t5から時刻t6までの期間については、時刻t1から時刻t2までの期間の場合と同様に、速度パターン予測部16は、トラッキング情報および設定データ情報にもとづいて、速度パターンを予測し、これら各時刻を計算する。
【0027】
励磁パターン作成部18は、速度パターン予測部16が時刻t1を算出すると、算出された時刻t1にもとづいて励磁信号をOFFからONに遷移させる。この場合には、時刻t1は、あらかじめわかっているため、時刻t1よりもΔtr(第1期間)分、早く励磁信号をONに遷移させる。Δtrは、誘導電動機4の始動時間に、トラッキング情報にもとづく時刻の計算の誤差等を考慮してあらかじめ設定され、励磁パターン作成部18に適用されている。
【0028】
励磁パターン作成部18は、あらかじめ算出された時刻t2にもとづいて、励磁信号をONからOFFに遷移させる。この場合には、時刻t2は、あらかじめわかっているため、励磁パターン作成部18は、時刻t2よりもΔtf(第2期間)分、遅く励磁信号をOFFに遷移させる。好ましくは、Δtfは、0であるが、トラッキング情報にもとづく時刻の計算の誤差等を考慮してあらかじめ設定され、励磁パターン作成部18に適用されている。Δtfは、Δtrと同じ値に設定されてもよいし、異なる値とされてもよい。
【0029】
ここで、この例では、先行する時刻t1から時刻t2までの速度パターンと、これに後続する時刻t3から時刻t4までの速度パターンが時間的に接近しており、時刻t2と時刻t3との期間Δtaが、ΔtrとΔtfの和である定数αよりも短い場合には、励磁信号をONからOFFへ遷移させ、その後励磁信号をOFFからONに遷移させることができない。そのため、この例では、時刻t2から時刻t3までの期間では、励磁パターン作成部18は、励磁信号をOFFに遷移させることなく、ONを維持する。
【0030】
時刻t3から時刻t4までの速度パターンにさらに後続する時刻t5から時刻t6までの速度パターンでは、時刻t4と時刻t5の期間ΔtbがΔtrとΔtfの和である定数αに比べて十分に長いため、励磁パターン作成部18は、時刻t4からΔtf分、遅れて励磁信号をONからOFFに遷移させる。励磁パターン作成部18は、時刻t5よりもΔtr分、早い時刻に励磁信号をOFFからONに遷移させる。なお、定数αは、ΔtrとΔtfの和とすることが好ましいが、ΔtrとΔtfよりも大きな値としてももちろんかまわない。定数αは、ΔtrとΔtfの和と等しくすることによって、より短い期間であっても、誘導電動機4の励磁を停止することができるので、誘導電動機4の一次電流のRMSをより小さく抑えることができる。
【0031】
誘導電動機4は、時刻t1、時刻t5よりもΔtr分、早く励磁電流が可変速駆動装置3から供給されるので、時刻t1、時刻t5には、運転が可能になる。
【0032】
誘導電動機4は、時刻t2から時刻t3の期間Δtaでは、定数αよりも十分長い期間がとれないので、励磁電流の通電が継続される。一方で、時刻t4から時刻t5までの期間Δtbでは、定数αよりも十分長い期間が確保されるため、誘導電動機4は、励磁電流の供給が遮断され、運転期間全体の誘導電動機4に供給される電流値の実効値(RMS)を抑制することができる。
【0033】
過負荷抑制装置10は、たとえば、演算処理装置および記憶装置を備えたコンピュータ装置によって実現してもよい。過負荷抑制装置10をコンピュータ装置によって実現する場合には、記憶装置に格納されたプログラムの各ステップを演算処理装置が逐次実行することによって上述の動作および機能が実現される。図1等に示したトラッキング情報収集部12、設定データ情報収集部14、速度パターン予測部16および励磁パターン作成部18の各要素のすべてまたはその一部の動作および機能は、プログラムを構成するステップによって実現される。
【0034】
実施形態の過負荷抑制装置10の効果について説明する。
実施形態の過負荷抑制装置10は、トラッキング情報収集部12によって収集されたトラッキング情報を用いて、材の位置をトラッキングすることができる。そして、速度パターン予測部16によって、その材が制御対象の誘導電動機4によって駆動される機器や機械に到達する時刻を計算することができる。そのため、材が到達する時刻よりも誘導電動機4の起動に要する期間分、早く誘導電動機4を励磁することができる。
【0035】
過負荷抑制装置10は、設定データ情報収集部14によって、トラッキングしている材の到達時刻以降の速度情報を含むデータを収集することができる。そして、速度パターン予測部16は、トラッキングしている材の到達時刻以降の速度情報を含むデータを用いて、その材が制御対象の誘導電動機4によって駆動される機器や機械から退出する時刻を計算することができる。
【0036】
このように、過負荷抑制装置10は、トラッキングしている材が制御対象の誘導電動機4によって駆動される機器や機械に対する到達時刻および退出時刻をあらかじめ計算する。励磁パターン作成部18は、あらかじめ計算された材の到達時刻および退出時刻を用いて、制御対象の誘導電動機4を励磁するタイミングを励磁パターンとして生成することができる。
【0037】
従来、圧延プラント等の産業用途では直流電動機が多く利用され、他励式直流電動機を用いて、広範囲に精密な速度制御を実現していた。近年、製造する鋼材の高品質化、高機能化にともない、さらに高精度で精密な速度制御が要求されるようになり、誘導電動機等の交流電動機をベクトル制御等を利用した可変速駆動装置で速度制御する技術に置き換えが進められている。
【0038】
たとえば、熱間圧延ラインの粗主機圧延機の圧下装置等のように、材料を圧延時に頻繁に運転と停止を繰り返す間欠的な運転をする負荷の場合には、駆動電流の実効値(RMS)が厳しくなる傾向にある。誘導電動機は、他励式直流電動機のような界磁巻線をもたないため、磁束を発生させるための励磁電流は、主電源から供給される一次電流(駆動電流)に含まれる。一方で、誘導電動機は、始動時に界磁を立ち上げる必要があり、起動指令と実際に始動のタイミングを同じにすると、始動時の応答遅れを生ずる。これを回避するために、常時励磁電流を流す方法がとられる場合がある。
【0039】
上述したような速度制御等の高性能化等の要求により、他励式直流電動機から誘導電動機に置き換えを行った場合に、始動タイミング確保のために誘導電動機に常時励磁電流を流す方法をとると、駆動電流のRMSが他励式直流電動機の場合よりも励磁電流の分だけかさ上げされることになる。そのため、誘導電動機は、他励式直流電動機の場合よりも過負荷となりやすく、過熱、焼損等の事故を生じやすくなると考えられる。
【0040】
実施形態の過負荷抑制装置10では、材の進入時刻を計算して、材の速度パターンから材の退出時刻を計算することができる。そのため、過負荷抑制装置10は、計算された進入時刻よりも誘導電動機4の励磁に要する期間分、早く励磁を開始し、計算された退出時刻を確保できるように、励磁パターンを生成することによって、誘導電動機4の始動を保証しつつ、駆動電流のRMSの上昇を抑制することができる。そのため、過負荷抑制装置10は、誘導電動機4の過負荷状態を抑制して、過熱や焼損等の事故を防止することができる。
【0041】
他励式直流電動機から誘導電動機への置き換えを行った場合であっても、駆動電流のRMSの上昇にともなう電動機の大形化を回避することができる。
【0042】
以上説明した実施形態によれば、運転と停止を繰り返す負荷を駆動する場合に誘導電動機の過負荷状態を抑制し、誘導電動機の大型化を回避する過負荷抑制装置を実現することができる。
【0043】
以上、本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他のさまざまな形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明およびその等価物の範囲に含まれる。また、前述の各実施形態は、相互に組み合わせて実施することができる。
【符号の説明】
【0044】
1 交流電源、2 変圧器、3 可変速駆動装置、4 誘導電動機、10 過負荷抑制装置、12 トラッキング情報収集部、14 設定データ情報収集部、16 速度パターン予測部、18 励磁パターン作成部、101 計算機システム、102 PLC、103 制御用ネットワーク
図1
図2