IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ サイレンス・セラピューティクス・ゲーエムベーハーの特許一覧

特許7419252アンチセンス鎖の5’末端でビニルホスホネートを有するsiRNA
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】アンチセンス鎖の5’末端でビニルホスホネートを有するsiRNA
(51)【国際特許分類】
   C12N 15/113 20100101AFI20240115BHJP
   A61K 31/712 20060101ALI20240115BHJP
   A61K 31/7125 20060101ALI20240115BHJP
   A61K 31/713 20060101ALI20240115BHJP
   A61K 47/64 20170101ALI20240115BHJP
【FI】
C12N15/113 Z ZNA
A61K31/712
A61K31/7125
A61K31/713
A61K47/64
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2020554254
(86)(22)【出願日】2019-04-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-19
(86)【国際出願番号】 EP2019058615
(87)【国際公開番号】W WO2019193144
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2022-04-04
(31)【優先権主張番号】PCT/EP2018/058764
(32)【優先日】2018-04-05
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(31)【優先権主張番号】18197795.0
(32)【優先日】2018-09-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】519359952
【氏名又は名称】サイレンス・セラピューティクス・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】アドリエン・ヴァインガルトナー
(72)【発明者】
【氏名】ルーカス・ベトゲ
【審査官】田中 晴絵
(56)【参考文献】
【文献】特表2017-525705(JP,A)
【文献】Haraszti R et al,5'-Vinylphosphonate improves tissue accumulation and efficacy of conjugated siRNAs in vivo,Nucleic acids Research,2017年,45(13),7581-7592
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C12N 15/00-15/90
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
GenBank/EMBL/DDBJ/GeneSeq
UniProt/GeneSeq
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の鎖の少なくとも一部と、前記第1の鎖に少なくとも部分的に相補的な第2の鎖の少なくとも一部とを含む二重鎖領域を含む、細胞における標的遺伝子の発現を阻害するための核酸であって、前記第2の鎖が、15~30ヌクレオチド長であり、前記第1の鎖が、15~30ヌクレオチド長であり、阻害されるべき前記標的遺伝子から転写されるRNAの少なくとも一部に少なくとも部分的に相補的であり、
前記第1の鎖が、末端の5'(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドを有し;
前記末端の5'(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドが、ホスホジエステル結合によって前記第1の鎖における第2のヌクレオチドに連結され;
前記第1の鎖の偶数のヌクレオチドの全てが、2'-F修飾によって修飾され;
前記第1の鎖の奇数のヌクレオチドの全てが、2'-OMe修飾によって修飾され;
前記第1の鎖のヌクレオチド11~13に相当する位置における前記第2の鎖のヌクレオチドの全てが、2'-F修飾によって修飾され;及び
前記第1の鎖のヌクレオチド11~13に相当するヌクレオチド以外の前記第2の鎖のヌクレオチドの全てが、2'-OMe修飾によって修飾される、
核酸。
【請求項2】
前記第1の鎖が、1つよりも多いホスホジエステル結合を包含する、請求項1に記載の核酸。
【請求項3】
前記第1の鎖が、
i)前記鎖の5'末端における、少なくとも最初の3個のヌクレオチド、又は
ii)前記鎖の5'末端における、少なくとも最初の4個のヌクレオチド
間のホスホジエステル結合を含む、請求項1又は2に記載の核酸。
【請求項4】
前記第1の鎖が、
i)少なくとも1つのホスホロチオエート(ps)結合、又は
ii)1つよりも多いホスホロチオエート結合
を含む、請求項1から3のいずれか一項に記載の核酸。
【請求項5】
前記第1の鎖が、
i)前記鎖の3'末端における、最後の2個のヌクレオチド間のホスホロチオエート結合、又は
ii)前記鎖の3'末端における、最後の3個のヌクレオチド間のホスホロチオエート結合
を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の核酸。
【請求項6】
前記第1の鎖における他のヌクレオチド間の結合が、ホスホジエステル結合である、請求項5に記載の核酸。
【請求項7】
前記第2の鎖が、
i)前記鎖の3'末端における、最後の2個のヌクレオチド間の若しくは最後の3個のヌクレオチド間のホスホロチオエート結合、及び/又は
ii)前記鎖の5'末端における、最初の2個のヌクレオチド間の若しくは最初の3個のヌクレオチド間のホスホロチオエート結合
を含む、請求項1から6のいずれか一項に記載の核酸。
【請求項8】
前記末端の5'(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドが、RNAヌクレオチドである、請求項1から7のいずれか一項に記載の核酸。
【請求項9】
i)前記核酸の前記第1の鎖が、19~25ヌクレオチドの範囲の長さを有し、及び/又は
ii)前記核酸の前記第2の鎖が、19~25ヌクレオチドの範囲の長さを有する、
請求項1から8のいずれか一項に記載の核酸。
【請求項10】
細胞における標的遺伝子の発現を阻害するためのコンジュゲートであって、前記コンジュゲートが、核酸部及び1つ又は複数のリガンド部を含み、前記核酸部が、請求項1から9のいずれか一項に記載の核酸を含む、コンジュゲート。
【請求項11】
前記核酸の前記第2の鎖が、前記1つ又は複数のリガンド部にコンジュゲートされる、請求項10に記載のコンジュゲート。
【請求項12】
前記リガンド部が、
i)1つ又は複数のGalNAcリガンド、
ii)1つ又は複数のGalNAcリガンド誘導体、又は
iii)前記核酸の前記第2の鎖の5'末端でコンジュゲートされたGalNAc部分
を含む、請求項10又は11に記載のコンジュゲート。
【請求項13】
前記GalNAc部分が、リンカー部分を介して、前記核酸の前記第2の鎖の5'末端でコンジュゲートされる、請求項12に記載のコンジュゲート。
【請求項14】
請求項1から9のいずれか一項に記載の核酸又は請求項10から13のいずれか一項に記載のコンジュゲートと、生理学的に許容される添加剤とを含む組成物。
【請求項15】
疾患又は障害の予防又は治療における使用のための、請求項1から9のいずれか一項に記載の核酸又は請求項10から13のいずれか一項に記載のコンジュゲートを含む医薬組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アンチセンス鎖の5'末端でビニルホスホネートを有するsiRNAに関する。本発明は更に、疾患、障害及び症候群の治療のためのかかるsiRNAの治療的用途に関する。
【背景技術】
【0002】
発現されたmRNAに相補的に結合することが可能な二本鎖(Double-stranded)RNA(dsRNA)は、RNA干渉(RNAi)と称されるメカニズムによって遺伝子発現を阻止することが可能であることが示されている(Fireら、1998年、及びElbashirら、2001年)。短いdsRNAは、脊椎動物を含む多くの生物において遺伝子特異的な転写後サイレンシングを指示し、遺伝子機能を研究するための有用なツールとなっている。RNAiは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)に負荷されたサイレンシングトリガーに相同的なメッセンジャーRNAを破壊する配列特異的な多成分ヌクレアーゼであるRISC複合体によって媒介される。siRNA、アンチセンスRNA、及びマイクロRNA等の干渉RNA(iRNA)は、遺伝子サイレンシングによってタンパク質の形成を防止するオリゴヌクレオチドであり、すなわちmRNA分子の分解によってタンパク質の遺伝子翻訳を阻害する。遺伝子サイレンシング剤は、医学における治療的応用のためにすます重要になっている。
【0003】
しかしながら、インビボでRNA等の核酸の安定性及び活性を維持することは、特に、核酸を分解して、それらの活性を制限する細胞代謝酵素のために、治療的用途のための核酸分子を開発する分野の当業者にとって困難であることが分かっている。
【0004】
siRNA媒介遺伝子サイレンシングは、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)へのsiRNA負荷を必要とする。siRNA上の5'-ホスフェートは、効率的なRISC負荷にとって極めて重要であることが知られている。ホスファターゼ等の酵素は、siRNAの5'ホスフェートを除去して、RISCにあまり効率的に組み込まれておらず、したがって、サイレンシング活性が低減された脱リン酸化されたsiRNAを生じる。
【0005】
したがって、インビボでオリゴヌクレオチド、特に二本鎖siRNAの安定性及び活性を改善する手段は、ますます重要になっている。本発明において、予想外にも、本発明による核酸は、活性が増大されたことが見出された。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】米国特許第5,885,968号
【文献】国際公開第2017/174657号
【非特許文献】
【0007】
【文献】Hoevelmannら、Chem. Sci.、2016年、7、128~135頁
【文献】Prakash、Nucleic Acids Res.、2015年、43(6)、2993~3011頁
【文献】Haraszti、Nucleic Acids Res.、2017年、45(13)、7581~7592頁
【文献】Nairら、J. Am. Chem. Soc.、2014年、136(49)、16958~16961頁
【発明の概要】
【0008】
本発明は、第1の鎖の少なくとも一部と、第1の鎖に少なくとも部分的に相補的な第2の鎖の少なくとも一部とを含む少なくとも1つの二重鎖(duplex)領域を含む、細胞における標的遺伝子の発現を阻害するための核酸であって、前記第1の鎖が、阻害されるべき前記標的遺伝子から転写されるRNAの少なくとも一部に少なくとも部分的に相補的であり、第1の鎖が、末端の5'(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドを有し、
末端の5'(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドが、ホスホジエステル結合によって第1の鎖における第2のヌクレオチドに連結されることを特徴とする、核酸を提供する。
【0009】
本発明の核酸において、第1の鎖は、1つよりも多いホスホジエステル結合を包含しうる。
【0010】
本発明の核酸において、第1の鎖は、少なくとも末端の3個の5'ヌクレオチド間のホスホジエステル結合を含みうる。
【0011】
本発明の核酸において、第1の鎖は、少なくとも末端の4個の5'ヌクレオチド間のホスホジエステル結合を含みうる。
【0012】
本発明の核酸において、第1の鎖は、少なくとも1つのホスホロチオエート(ps)結合を包含しうる。
【0013】
本発明の核酸において、第1の鎖は、末端の2個の3'ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合又は末端の3個の3'ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を更に含みうる。第1の鎖における他のヌクレオチド間の結合は、ホスホジエステル結合でありうる。
【0014】
本発明の核酸において、第1の鎖は、1つよりも多いホスホロチオエート結合を包含しうる。
【0015】
本発明の核酸において、第2の鎖は、末端の2個の3'ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合又は末端の3個の3'ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含みうる。
【0016】
本発明の核酸において、第2の鎖は、末端の2個の5'ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合又は末端の3個の5'ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含みうる。
【0017】
本発明の核酸において、末端の5'(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドは、RNAヌクレオチドでありうる。
【0018】
好ましくは、末端の5'(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドは、RNAヌクレオチド、より好ましくは(vp)-Uである。
【0019】
本発明の核酸において、核酸の第1の鎖は、15~30ヌクレオチドの範囲の長さを有しうる。好ましくは、核酸の第1の鎖は、19~25ヌクレオチドの範囲の長さを有する。
【0020】
本発明の核酸において、核酸の第2の鎖は、15~30ヌクレオチドの範囲の長さを有しうる。好ましくは、核酸の第2の鎖は、19~25ヌクレオチドの範囲の長さを有する。
【0021】
本発明の核酸は、両末端で平滑末端でありうる。
【0022】
本発明は更に、核酸部と、リガンド部とを含む、細胞における標的遺伝子の発現を阻害するためのコンジュゲートであって、前記核酸部が、本明細書中のいずれかで規定される核酸を含む、コンジュゲートを提供する。
【0023】
本発明のコンジュゲートにおいて、核酸の第2の鎖は、リガンド部にコンジュゲートされうる。
【0024】
本発明のコンジュゲートにおいて、リガンド部は、例えば核酸の第2の鎖の5'末端でGalNAc部分を含む、1つ又は複数のGalNAcリガンド及びそれらの誘導体を含みうる。
【0025】
本発明のコンジュゲートにおいて、リガンド部は、リンカー部分と、ターゲティングリガンドとを含んでよく、ここで、リンカー部分は、ターゲティングリガンドを、核酸部に連結させる。
【0026】
本発明は更に、細胞におけるTMPRSS6遺伝子の発現を阻害するためのコンジュゲートを提供する。
【0027】
本発明は更に、本明細書中のいずれかで規定される核酸と、生理学的に許容される添加剤とを含む組成物を提供する。
【0028】
本発明は更に、本明細書中のいずれかで規定されるコンジュゲートと、生理学的に許容される添加剤とを含む組成物を提供する。
【0029】
本発明は更に、疾患又は障害の治療における使用のための本明細書中のいずれかで規定される核酸を提供する。
【0030】
本発明は更に、疾患又は障害の治療における使用のための本明細書中のいずれかで規定されるコンジュゲートを提供する。
【0031】
本発明は更に、疾患又は障害の治療における使用のための本明細書中のいずれかで規定される組成物を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0032】
図1】第1の鎖の5'末端でのビニルホスホネート及び第1の鎖の5'末端でのホスホジエステルヌクレオチド間結合を有するGalNAc siRNAコンジュゲートは、インビトロでTTR標的mRNAレベルの低減の改善をもたらす図である。
図2】第1の鎖の5'末端でのビニルホスホネート及び第1の鎖の5'末端でのホスホジエステルヌクレオチド間結合を有するGalNAc siRNAコンジュゲートは、インビトロでTMPRSS6標的mRNAレベルの低減の改善をもたらす図である。
図3】第1の鎖の5'末端でのビニルホスホネート及び第1の鎖の5'末端でのホスホジエステルヌクレオチド間結合を有するGalNAc siRNAコンジュゲートは、インビトロでALDH2標的mRNAレベルの低減をもたらす図である。
図4】第1の鎖の5'末端でのビニルホスホネート及び第1の鎖の5'末端でのホスホジエステルヌクレオチド間結合を有するGalNAc siRNAコンジュゲートは、インビトロでALDH2標的mRNAレベルの低減の改善をもたらす図である。
図5】第1の鎖の5'末端でのビニルホスホネート及び第1の鎖の5'末端でのホスホジエステルヌクレオチド間結合を有するGalNAc siRNAコンジュゲートは、酸性トリトソーム溶解産物において安定である図である。
図6】第1の鎖の5'末端でのビニルホスホネート及び第1の鎖の5'末端でのホスホジエステルヌクレオチド間結合を有するGalNAc siRNAコンジュゲートは、酸性トリトソーム溶解産物において安定である図である。
図7】第1の鎖の5'末端でのビニルホスホネート及び第1の鎖の5'末端でのホスホジエステルヌクレオチド間結合を有するGalNAc siRNAコンジュゲートは、酸性トリトソーム溶解産物において安定である図である。
図8】第1の鎖の5'末端でのビニルホスホネート及び第1の鎖の5'末端でのホスホジエステルヌクレオチド間結合を有するGalNAc siRNAコンジュゲートは、酸性トリトソーム溶解産物において安定である図である。
図9】第1の鎖の5'末端でのビニルホスホネート及び第1の鎖の5'末端でのホスホジエステルヌクレオチド間結合を有するGalNAc siRNAコンジュゲートは、インビボでTMPRSS6標的mRNAレベルの低減の改善をもたらす図である。
図10】第1の鎖の5'末端でのビニルホスホネート及び第1の鎖の5'末端でのホスホジエステルヌクレオチド間結合を有するGalNAc siRNAコンジュゲートは、インビボで6週にわたってTMPRSS6標的mRNAレベルの低減の改善をもたらす図である。
図11】第1の鎖の5'末端でのビニルホスホネート及び第1の鎖の5'末端でのホスホジエステルヌクレオチド間結合を有するGalNAc siRNAコンジュゲートは、インビトロでALDH2標的mRNAレベルの低減をもたらす図である。
図12】3'及び5'でGalNAcがコンジュゲートされるオリゴヌクレオチド前駆物質のオリゴヌクレオチド合成の図である。
図13a】オリゴヌクレオチドがコンジュゲートされた本明細書中でGNと称されるGalNAcリガンドの構造の図である。
図13b】オリゴヌクレオチドがコンジュゲートされた本明細書中でGN2と称されるGalNAcリガンドの構造の図である。
図13c】オリゴヌクレオチドがコンジュゲートされた本明細書中でGN3と称されるGalNAcリガンドの構造の図である。
図14】アンチセンス鎖の5'位でのビニル-(E)-ホスホネート2'-OMe-ウラシル及び最初の3個のヌクレオチド間の2つのホスホロチオエート結合を保有するTMPRSS6-siRNA(X0204)、アンチセンス鎖の5'位でのビニル-(E)-ホスホネート2'-OMe-ウラシル及び最初の3個のヌクレオチド間のホスホジエステル結合(X0205)、(X0139)又は四量体(X0140)若しくは樹状の三量体GalNAcクラスター(X0004)を保有するTMPRSS6-siRNA、或いは非ターゲティングGalNAc-siRNA(X028)による、表示した濃度での処理の24時間後の、又は未処理のままの(UT)初代マウス肝細胞におけるTMPRSS6遺伝子発現の阻害を示す図である。
図15】ヌクレアーゼ分解に対するsiRNA-コンジュゲート対あまり安定化されていない陽性対照の血清安定性を示す図である。
図16】3'モノ-GalNAcとコンジュゲートされた単鎖オリゴヌクレオチドであり、且つ本発明の例示的なコンジュゲートの合成における第2の鎖の出発材料であるA0268の合成を示す図である。
図17】5'の三分岐(tri-antennary)GalNAcとコンジュゲートされた単鎖オリゴヌクレオチドであり、且つ本発明の例示的なコンジュゲートの合成における第2の鎖の出発材料であるA0006の合成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
本発明は、二本鎖であり、且つ標的遺伝子の発現されるRNA転写物に誘導される核酸及びその組成物に関する。これらの核酸は、標的遺伝子産物の発現の低減が望ましい様々な疾患及び障害の治療において使用されうる。
【0034】
本発明の第1の態様は、第1の鎖の少なくとも一部と、第1の鎖に少なくとも部分的に相補的な第2の鎖の少なくとも一部とを含む少なくとも1つの二重鎖領域を含む、細胞における標的遺伝子の発現を阻害するための核酸であって、前記第1の鎖が、阻害されるべき前記標的遺伝子から転写されるRNAの少なくとも一部に少なくとも部分的に相補的であり、第1の鎖が、末端の5'(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドを有し、末端の5'(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドが、ホスホジエステル結合によって第1の鎖における第2のヌクレオチドに連結される、核酸に関する。
【0035】
ビニルホスホネート
末端の5'-(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドは、5'末端での天然ホスフェート基が、(E)-ビニルホスホネートで置き換えられたヌクレオチドである。5'-(E)-ビニルホスホネートは、架橋性の5'-酸素原子が、メチニル(-CH=)基で置き換えられた、ヌクレオチド鎖の5'末端でのホスフェートである:
【化1】
【0036】
5'-(E)-ビニルホスホネートは、5'ホスフェート模倣体(mimic)である。生物学的模倣体は、模倣されている元の分子と同じ機能を実行することが可能であり、且つ模倣されている元の分子に構造上非常に類似している分子である。本発明の状況において、5'-(E)-ビニルホスホネートは、通常の5'ホスフェートの機能を模倣し、例えば、効率的なRISC負荷を可能にする。更に、そのわずかに変更された構造のため、5'-(E)-ビニルホスホネートは、それを、ホスファターゼ等の酵素による脱リン酸化から保護することによって、5'末端のヌクレオチドを安定化することが可能である。
【0037】
本発明者らは驚くべきことに、ホスホジエステル結合によって第1の鎖における第2のヌクレオチドに連結された末端の5'-(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドを有するsiRNAが、より良好な遺伝子サイレンシング活性を有すること、すなわち、ホスホロチオエート結合によって第1の鎖における第2のヌクレオチドに連結された末端の5'-(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドを有するsiRNAと比較して、標的mRNA発現の減少をもたらすことを見出した。活性もまた、第1の鎖の5'末端で末端の5'-(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドを含まず、且つホスホロチオエート結合を含まない(すなわち、5'末端でホスホジエステル結合を含む)siRNA、及び第1の鎖の5'末端で末端の5'-(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドを含まないが、ホスホロチオエート結合を有するsiRNAと比較した(図1図4図9図11及び図14を参照されたい)。
【0038】
核酸
核酸とは、ヌクレオチドを含む2本の鎖を含み、遺伝子発現に干渉することが可能な核酸を意味する。阻害は、完全であってよく、又は部分的であってよく、標的を定めた様式における遺伝子発現の下方制御をもたらす。核酸は、2本の別々のポリヌクレオチド鎖、すなわち、ガイド鎖又はアンチセンス鎖でもありうる第1の鎖と、パッセンジャー鎖又はセンス鎖でもありうる第2の鎖を含む。第1の鎖及び第2の鎖は、「フォールディングして」、二本鎖分子を形成する自己相補的な同じポリヌクレオチド分子の一部でありうる。核酸は、siRNA分子でありうる。
【0039】
核酸は、リボヌクレオチド、修飾リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、又はヌクレオチド類似体を含みうる。核酸は、第1の鎖(当技術分野では、ガイド鎖又はアンチセンス鎖としても知られている)の全て又は一部と、第2の鎖(当技術分野では、パッセンジャー鎖又はセンス鎖としても知られている)の全て又は一部とによって形成される、二本鎖核酸部又は二重鎖領域を更に含みうる。二重鎖領域は、第1の鎖と第2の鎖との間に形成される最初の塩基対から始まり、第1の鎖と第2の鎖との間に形成される最後の塩基対で終わり、両端を含むものとして定義される。
【0040】
本発明において、5'-(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドは、5'-(E)-ビニルホスホネートRNAヌクレオチドでありうる。
【0041】
二重鎖
二重鎖領域とは、ワトソン-クリック塩基対形成、又は相補的な、若しくは実質的に相補的なオリゴヌクレオチド鎖間の二重鎖の形成を可能にする任意の他の様式のいずれかによって、互いと塩基対を形成する、2つの相補的又は実質的に相補的なオリゴヌクレオチドにおける領域を意味する。更に、二重鎖領域内では、100%相補性は必要とされず、二重鎖領域内では、実質的な相補性が許容可能である。実質的な相補性は、生物学的条件下でアニーリングすることが可能であるような鎖間の相補性を指す。2本の鎖が生物学的条件下でアニーリングすることが可能であるかどうかを経験的に決定するための技法は、当技術分野において周知である。代替的には、2本の鎖を合成し、生物学的条件下で一緒に添加して、それらが互いにアニーリングするかどうかを決定することができる。
【0042】
少なくとも1つの二重鎖領域を形成する第1の鎖及び第2の鎖の一部は、互いに完全に相補的であってよく、また少なくとも部分的に相補的である。
【0043】
相補性
核酸の長さに応じて、第1の鎖と第2の鎖との間の塩基相補性という観点での完全なマッチは、必ずしも必要であるとは限らない。しかしながら、第1の鎖及び第2の鎖は、生理学的条件下でハイブリダイズすることが可能でなければならない。
【0044】
少なくとも1つの二重鎖領域における第1の鎖と第2の鎖との間の相補性は、いずれの鎖においてもヌクレオチドのミスマッチ又はヌクレオチドの付加/欠失が存在しないという点で完全でありうる。代替的には、相補性は完全でなくてよい。相補性は、少なくとも70%、75%、80%、85%、90%又は95%でありうる。
【0045】
第1の鎖及び第2の鎖はそれぞれ、少なくとも15個、好ましくは少なくとも16個、より好ましくは少なくとも17個、更に好ましくは少なくとも18個、最も好ましくは少なくとも19個の近接ヌクレオチドを含む相補性の領域を含みうる。
【0046】
核酸は、第1の鎖の全て又は一部と標的核酸の一部との間の二重鎖領域の形成に関与する。第1の鎖と標的配列との間に形成される最初の塩基対から始まり、第1の鎖と標的配列との間に形成される最後の塩基対で終わり、両端を含むものとして定義される、第1の鎖と二重鎖領域を形成する標的核酸の一部は、標的核酸配列、又は単に標的配列である。第1の鎖と第2の鎖との間に形成される二重鎖領域は、第1の鎖と標的配列との間に形成される二重鎖領域と同じである必要はない。すなわち、第2の鎖は、標的配列とは異なる配列を有してよい。しかしながら、第1の鎖は、少なくとも生理学的条件下で、第2の鎖及び標的配列の両方と二重鎖構造を形成することが可能でなければならない。
【0047】
第1の鎖と標的配列との間の相補性は、完全であってよい(いずれの核酸においてもヌクレオチドのミスマッチ又はヌクレオチドの付加/欠失がない)。
【0048】
第1の鎖と標的配列との間の相補性は、完全でなくてよい。相補性は、約70%~約100%でありうる。より具体的には、相補性は、少なくとも70%、80%、85%、90%若しくは95%、又は中間値でありうる。
【0049】
第1の鎖と標的配列の相補的な配列との間の同一性は、約75%~約100%でありうる。より具体的には、核酸が、好ましくはRNAiによって標的遺伝子の発現を低減又は阻害することが可能である場合には、相補性は、少なくとも75%、80%、85%、90%若しくは95%、又は中間値でありうる。
【0050】
第1の鎖と標的配列との間の相補性が100%未満の核酸は、標的遺伝子の発現を、第1の鎖と標的配列との間の完全な相補性を有する核酸と同じレベルまで低減させることが可能でありうる。代替的には、第1の鎖と標的配列との間の相補性が100%未満の核酸は、標的遺伝子の発現を、完全な相補性を有する核酸によって達成される発現レベルの20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%であるレベルまで低減させることが可能でありうる。
【0051】
更なる態様において、本明細書中に記載する核酸は、細胞における標的遺伝子の発現を、核酸でありうる阻害剤の非存在下で観察されるレベルと比較して、少なくとも10%低減させうる。先述の態様のいずれかの好ましい特徴は全て、この態様にも適用される。特に、細胞における標的遺伝子の発現は、阻害剤(これは核酸でありうる)の非存在下で観察されるものよりも、90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、15%、及び中間値に低減されうる。
【0052】
長さ
核酸は、それぞれ19~25ヌクレオチド長である第1の鎖及び第2の鎖を含みうる。第1の鎖及び第2の鎖は、同じ長さであってよく、又は異なる長さであってよい。
【0053】
一実施形態において、核酸は、それぞれ15~30ヌクレオチド長、15~25ヌクレオチド長、17~25ヌクレオチド長、17~23ヌクレオチド長、23~24ヌクレオチド長、19~21ヌクレオチド長、21~23ヌクレオチド長である第1の鎖及び第2の鎖を含みうる。好ましくは、核酸は、それぞれ19~21ヌクレオチド長である第1の鎖及び第2の鎖を含みうる。第1の鎖及び第2の鎖は、これらの範囲内で、同じ長さであってよく、又は異なる長さであってよい。
【0054】
一実施形態において、核酸は、それぞれ19ヌクレオチド長である第1の鎖及び第2の鎖を含みうる。
【0055】
別の実施形態において、核酸は、それぞれ20ヌクレオチド長である第1の鎖及び第2の鎖を含みうる。
【0056】
更なる実施形態において、核酸は、それぞれ21ヌクレオチド長である第1の鎖及び第2の鎖を含みうる。
【0057】
核酸は、19個~25個のヌクレオチド塩基対からなる二重鎖領域を含みうる。二重鎖領域は、近接しうる17個、18個、19個、20個、21個、22個、23個、24個又は25個の塩基対からなりうる。
【0058】
第1の鎖の末端の5'-(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドは、任意のヌクレオチド(すなわち、A、G、C又はU)でありうる。好ましくは、第1の鎖の末端の5'-(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドは、Uでありうる。
【0059】
核酸は、両末端で平滑末端でありうる。
【0060】
核酸は、第1の鎖の5'末端を含む核酸の末端で、a)平滑末端であってよく、又はb)少なくとも1個のヌクレオチドの3'オーバーハングを有してよい。
【0061】
PO及びPS結合
本発明の核酸において、末端の5'-(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドは、ホスホジエステル結合によって第1の鎖における第2のヌクレオチドに連結される。第1の鎖は、1つよりも多いホスホジエステルヌクレオチド(すなわち、1つよりも多いヌクレオチド間ホスホジエステル結合)を含みうる。
【0062】
一実施形態において、第1の鎖は、少なくとも末端の3個の5'ヌクレオチド間のホスホジエステル結合を含む。別の実施形態において、第1の鎖は、少なくとも末端の4個の5'ヌクレオチド間のホスホジエステル結合を含む。
【0063】
一実施形態において、第1の鎖は、式(Ia)を含む:
(vp)-N(po)[N(po)]n- (Ia)
(式中、「(vp)」は、5'-(E)-ビニルホスホネートであり、「N」はヌクレオチドであり、「po」はホスホジエステル結合であり、nは、1から(第1の鎖におけるヌクレオチドの総数-2)、好ましくは、nは、1から(第1の鎖におけるヌクレオチドの総数-3)、より好ましくは、nは、1から(第1の鎖におけるヌクレオチドの総数-4)である)。
【0064】
したがって、一実施形態において、核酸が、19ヌクレオチド長である第1の鎖を含む場合、nは、1から(19-2)、好ましくは(19-3)、より好ましくは(19-4)であり、すなわち、nは、1~17、好ましくは1~16、より好ましくは1~15である。
【0065】
したがって、別の実施形態において、核酸が、20ヌクレオチド長である第1の鎖を含む場合、nは、1から(20-2)、好ましくは(20-3)、より好ましくは(20-4)であり、すなわち、nは、1~18、好ましくは1~17、より好ましくは1~16である。
【0066】
したがって、更なる実施形態において、核酸が、21ヌクレオチド長である第1の鎖を含む場合、nは、1から(21-2)、好ましくは(21-3)、より好ましくは(21-4)であり、すなわち、nは、1~19、好ましくは1~18、より好ましくは1~17である。
【0067】
一実施形態において、第1の鎖は、式(Ib)を含む:
(vp)-N(po)[N(po)]n[N(x)]m (Ib)
(式中、「(vp)」は、5'-(E)-ビニルホスホネートであり、「N」は、独立して、天然又は修飾リボヌクレオチド等の任意のヌクレオチドであり、「po」はホスホジエステル結合であり、nは、少なくとも1であり、n+m+1は、鎖におけるヌクレオチドの総数であり、xは、独立して、ホスホジエステル結合、ホスホロチオエート結合及びホスホジチオエート結合等の2個のヌクレオチド間の任意の結合である)。
【0068】
本発明の核酸はまた、第1の鎖において少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含みうる。
【0069】
ホスホロチオエートは、当該技術分野では一般的に、特にsiRNAが治療において使用されるべきである場合、分解に対してsiRNAを保護するためにsiRNA鎖の両端に必要であると考えられている。驚くべきことに、本発明者らは、5'ビニルホスホネートが鎖の5'末端に存在する場合、siRNAの活性は、鎖の5'末端でホスホロチオエートが存在しない場合により良好であることを見出した。当該技術分野において、かかるホスホロチオエート結合が安定性を増加させると一般的に考えられているため、これは驚くべきことである。したがって、アンチセンス鎖の5'でのホスホロチオエート結合を、5'ビニルホスホネートで置き換えること、それにより活性を増加させることが可能である。ホスホロチオエート結合が、ホスホジエステル結合と対比して不斉中心であるため、これは望ましい。
【0070】
本発明の核酸は、第1の鎖において1つよりも多いホスホロチオエート結合を含みうる。
【0071】
一実施形態において、第1の鎖は、末端の2個の3'ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含む。別の実施形態において、第1の鎖は、末端の3個の3'ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合(すなわち、2つのホスホロチオエート結合を規定する)を含む。これらの実施形態において、第1の鎖における他のヌクレオチド間の結合は、好ましくはホスホジエステル結合である。
【0072】
本発明の核酸の第2の鎖もまた、末端の2個、3個又は4個の3'ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含みうる。
【0073】
一実施形態において、第2の鎖は、末端の2個、3個又は4個の5'ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含む。
【0074】
一実施形態において、第2の鎖は、末端の3個の3'ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合及び末端の3個の5'ヌクレオチド間のホスホジエステル結合を含む。
【0075】
一実施形態において、第2の鎖は、末端の4個の3'ヌクレオチド間及び末端の4個の5'ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含む。
【0076】
一実施形態において、第2の鎖は、末端の3個の3'ヌクレオチド間及び末端の3個の5'ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含む。
【0077】
一実施形態において、第1の鎖は、末端の3個の3'ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含み、第2の鎖は、末端の3個の3'ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含む。この実施形態において、第1の鎖及び第2の鎖における他のヌクレオチド間の結合は、好ましくはホスホジエステル結合である。
【0078】
一実施形態において、第1の鎖は、末端の3個の3'ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含み、第2の鎖は、末端の4個の3'ヌクレオチド間及び末端の4個の5'ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含む。この実施形態において、第1の鎖及び第2の鎖における他のヌクレオチド間の結合は、好ましくはホスホジエステル結合である。
【0079】
一実施形態において、第1の鎖は、末端の3個の3'ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含み、第2の鎖は、末端の3個の3'ヌクレオチド間及び末端の3個の5'ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含む。この実施形態において、第1の鎖及び第2の鎖における他のヌクレオチド間の結合は、好ましくはホスホジエステル結合である。
【0080】
一実施形態において、核酸は、
(i)第1の鎖の5'末端で末端の5'(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドを有し、
(ii)第1の鎖及び第2の鎖上の末端の3個の3'ヌクレオチド間及び第2の鎖上の末端の3個の5'ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を有し、
(iii)第1及び/又は第2の鎖のヌクレオチド間の残りの結合は全て、ホスホジエステル結合である。
【0081】
一実施形態において、核酸は、RNAiを介して標的遺伝子の発現を阻害するsiRNAである。
【0082】
2'修飾
未修飾ポリヌクレオチド、特にリボヌクレオチドは、細胞内ヌクレアーゼによる分解を受けやすい場合があり、したがって、修飾/修飾ヌクレオチドは、本発明の核酸に包含されうる。
【0083】
第1の鎖の5'末端のヌクレオチド上の(E)-ビニルホスホネートに加えて、本発明の核酸の修飾に関して言及される。
【0084】
本発明の核酸の修飾は概して、自然RNA分子に固有のインビトロ及びインビボでの安定性並びに生物学的利用能を含むがこれらに限定されない潜在的な制限を克服するにあたり、強力なツールを提供する。本発明による核酸は、化学修飾によって修飾されうる。修飾核酸はまた、ヒトにおけるインターフェロン活性を誘導する可能性を最小限に抑えることができる。修飾は、核酸の、標的細胞への機能的送達を更に高めることができる。本発明の修飾核酸は、第1の鎖若しくは第2の鎖のいずれか又は両方の、1つ又は複数の化学的に修飾されたリボヌクレオチドを含みうる。リボヌクレオチドは、塩基、糖又はホスフェート部分の化学修飾を含みうる。リボ核酸は、ヌクレオチド若しくは塩基の類似体による置換又は挿入によって修飾されうる。
【0085】
本発明の核酸の第2の鎖及び/又は第1の鎖上の1個又は複数のヌクレオチドは、修飾されてよい。修飾ヌクレオチドは、糖基、特に2'-水酸基(OH)基の修飾を包含しうる。2'-OHは、多数の異なる「オキシ」若しくは「デオキシ」置換基で修飾されうるか、又は置き換えられうる。
【0086】
「オキシ」-2'ヒドロキシル基修飾の例としては、アルコキシ又はアリールオキシ(OR、例えば、R=H、アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール又は糖);ポリエチレングリコール(PEG)、O(CH2CH2O)nCH2CH2OR;2'ヒドロキシルが、例えばメチレン架橋により、同じリボース糖の4'炭素に結合されている「ロックド」核酸(LNA);O-AMINE(AMINE=NH2;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、又はジヘテロアリールアミノ、エチレンジアミン、ポリアミノ)及びアミノアルコキシ、O(CH2)nAMINE(例えば、AMINE=NH2;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、又はジヘテロアリールアミノ、エチレンジアミン、ポリアミノ)が挙げられる。
【0087】
「デオキシ」修飾としては、水素、ハロ;アミノ(例えば、NH2;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、ジヘテロアリールアミノ、又はアミノ酸);NH(CH2CH2NH)nCH2CH2-AMINE(AMINE=NH2;アルキルアミノ、ジアルキルアミノ、ヘテロシクリル、アリールアミノ、ジアリールアミノ、ヘテロアリールアミノ、又はジヘテロアリールアミノ)、-NHC(O)R(R=アルキル、シクロアルキル、アリール、アラルキル、ヘテロアリール又は糖)、シアノ;メルカプト;アルキル-チオ-アルキル;チオアルコキシ;並びに、例えばアミノ官能基で任意選択により置換されうるアルキル、シクロアルキル、アリール、アルケニル及びアルキニルが挙げられる。或る特定の実施形態の他の置換基としては、2'-メトキシエチル、2'-OCH3、2'-O-アリル、2'-C-アリル、及び2'-フルオロが挙げられる。
【0088】
本発明の核酸において、第1の鎖は、修飾ヌクレオチドを形成するように修飾されうる。特に、第2の鎖上の1個又は複数のヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドを形成するように修飾される。本発明の核酸において、修飾は、任意選択により2'-O-メチル(2'-OMe)又は2'-F-修飾から選択されるリボース糖の2'-OH基で修飾されてよい。
【0089】
本発明の核酸において、5'末端から番号付与して第1の鎖の奇数のヌクレオチドの1個又は複数、或いは全ては、リボース等の2'-OH基で第1の修飾を有する修飾ヌクレオチドであってよく、同様に5'末端から番号付与して第1の鎖の偶数のヌクレオチドの1個又は複数、或いは全ては、リボース糖の2'-OH基で第2の修飾を有する、異なって修飾されたヌクレオチドであってよく、ここで、第1の修飾及び第2の修飾は異なる。好ましくは、第1の修飾は、2'-OMeであり、第2の修飾は、2'-Fであるか、又はその逆である。
【0090】
好ましくは、本発明の核酸において、第1の鎖において2'-メトキシメチル修飾ヌクレオチドは存在しない。
【0091】
本発明の核酸は、1個の修飾ヌクレオチドを有しうるか、又は本発明の核酸は、約2個~4個の修飾ヌクレオチドを有しうるか、又は核酸は、約4個~6個の修飾ヌクレオチド、約6個~8個の修飾ヌクレオチド、約8個~10個の修飾ヌクレオチド、約10個~12個の修飾ヌクレオチド、約12個~14個の修飾ヌクレオチド、約14個~16個の修飾ヌクレオチド、約16個~18個の修飾ヌクレオチド、約18個~20個の修飾ヌクレオチド、約20個~22個の修飾ヌクレオチド、約22個~24個の修飾ヌクレオチド、24個~26個の修飾されたヌクレオチド、又は約26個~28個の修飾ヌクレオチドを有してよい。各事例において、前記修飾ヌクレオチドを含む核酸は、前記修飾ヌクレオチドを含まないことを除いては、同じ核酸と比較した場合に、その活性の少なくとも50%を保持する。核酸は、前記修飾ヌクレオチドを含まないことを除いては、同じ核酸と比較した場合に、その活性の55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%若しくは100%、又は中間値を保持してよく、或いは前記修飾ヌクレオチドを含まない同じヌクレオチドの活性の100%超を有してよい。
【0092】
修飾ヌクレオチドは、プリン又はピリミジンでありうる。プリンの少なくとも半分が修飾されてよい。ピリミジンの少なくとも半分が修飾されてよい。プリンの全てが修飾されてよい。ピリミジンの全てが修飾されてよい。修飾ヌクレオチドは、2'-OMe修飾ヌクレオチド、2'修飾ヌクレオチド、2'-デオキシ修飾ヌクレオチド、2'-アミノ修飾ヌクレオチド、又は2'-アルキル修飾ヌクレオチドからなる群から選択されうる。
【0093】
核酸は、修飾塩基を含むヌクレオチドを含んでよく、ここで塩基は、2-アミノアデノシン、2,6-ジアミノプリン、イノシン、ピリジン-4-オン、ピリジン-2-オン、フェニル、プソイドウラシル、2,4,6-トリメトキシベンゼン、3-メチルウラシル、ジヒドロウリジン、ナフチル、アミノフェニル、5-アルキルシチジン(例えば、5-メチルシチジン)、5-アルキルウリジン(例えば、リボチミジン)、5-ハロウリジン(例えば、5-ブロモウリジン)、6-アザピリミジン、6-アルキルピリミジン(例えば6-メチルウリジン)、プロピン、キューオシン(quesosine)、2-チオウリジン、4-チオウリジン、ワイブトシン、ワイブトキソシン、4-アセチルシチジン、5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジン、5'-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウリジン、ベータ-D-ガラクトシルクオシン、1-メチルアデノシン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアノシン、3-メチルシチジン、2-メチルアデノシン、2-メチルグアノシン、N6-メチルアデノシン、7-メチルグアノシン、5-メトキシアミノメチル-2-チオウリジン、5-メチルアミノメチルウリジン、5-メチルカルボニルメチルウリジン、5-メチルオキシウリジン、5-メチル-2-チオウリジン、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデノシン、ベータ-D-マンノシルクオシン、ウリジン-5-オキシ酢酸、及び2-チオシチジンから選択される。
【0094】
少なくとも1つの修飾は、2'-OMeであってよく、及び/又は少なくとも1つの修飾は、2'-Fであってよい。本明細書中に記載する更なる修飾が、第1及び/又は第2の鎖上に存在してよい。
【0095】
本発明の説明全体にわたって、「同じか、又は共通の修飾」は、メチル基又はフルオロ基等の基で修飾されたA、G、C又はUのいずれにしろ、任意のヌクレオチドに対するものと同じ修飾を意味する。同じヌクレオチドにおける同じ付加を意味するものとは解釈されない。例えば、2'-F-dU、2'-F-dA、2'-F-dC、2'-F-dGは全て、同じか、又は共通の修飾であるとみなされ、2'-OMe-rU、2'-OMe-rA、2'-OMe-rC、2'-OMe-rGも同様である。2'-F修飾は、2'-OMe修飾とは異なる修飾である。
【0096】
好ましくは、核酸は、それぞれ独立して、2'-OMe修飾及び2'-F修飾を含む群から選択される、修飾及び第2の又は更なる修飾を含みうる。核酸は、第1の修飾でありうる2'-OMeである修飾と、2'-Fである第2の修飾とを含みうる。
【0097】
本明細書中で使用する場合、遺伝子発現に関する「阻害する」、「下方制御する」、又は「低減する」という用語は、遺伝子の発現、或いは1つ若しくは複数のタンパク質又はタンパク質サブユニットをコードするRNA分子又は同等のRNA分子(例えば、mRNA)のレベル、或いは1つ若しくは複数のタンパク質又はタンパク質サブユニット又はペプチドの活性が、本発明の核酸の非存在下で、又はヒト転写物に対して既知の相同性がないsiRNA分子(本明細書中では非サイレンシング対照と称する)に関連して観察されるもの未満に低減されることを意味する。かかる対照は、本発明の分子と類似した様式でコンジュゲート及び修飾され、同じ経路によって標的細胞へ送達されうる。例えば、発現は、阻害剤(これは核酸でありうる)の非存在下で、又は非サイレンシング対照(これは、標的配列に非相補的な核酸でありうる)の存在下で観察されるものの90%、80%、70%、60%、50%、40%、30%、20%、15%又はそれ未満まで低減されうる。
【0098】
修飾パターン
核酸は、修飾ヌクレオチドを形成するように、修飾される第2の鎖及び/又は第1の鎖上の1個又は複数のヌクレオチドを含んでよく、ここで具体的には、修飾は、リボース糖の2'-OH基での修飾である。交互ヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドを形成するように修飾されうる。
【0099】
交互は、本明細書中に記載する場合、規則的に次から次へと出現することを意味する。換言すると、交互は、順番に繰り返し出現することを意味する。例えば、1個のヌクレオチドが修飾される場合、次の近接ヌクレオチドは修飾されず、その次に続く近接ヌクレオチドは修飾される等ということである。1個のヌクレオチドは、第1の修飾で修飾されてよく、次の近接ヌクレオチドは、第2の修飾で修飾されてよく、その次に続く近接ヌクレオチドは、第1の修飾で修飾される等ということであり、ここで、第1の修飾及び第2の修飾は異なる。
【0100】
本発明の核酸の第1の鎖の奇数のヌクレオチドの1個又は複数は修飾されてよく、ここで第1の鎖は、5'から3'に番号付与される。「奇数の」という用語は、本明細書中に記載する場合、2で割り切れない数を意味する。奇数の例は、1、3、5、7、9、11等である。本発明の核酸の第1の鎖の偶数のヌクレオチドの1個又は複数は修飾されてよく、ここで第1の鎖は、5'から3'に番号付与される。「偶数の」という用語は、本明細書中に記載する場合、2で割り切れる数を意味する。偶数の例は、2、4、6、8、10、12、14等である。本発明の核酸の第2の鎖の奇数のヌクレオチドの1個又は複数は修飾されてよく、ここで第2の鎖は、3'から5'に番号付与される。本発明の核酸の第2の鎖の偶数のヌクレオチドの1個又は複数は修飾されてよく、ここで第2の鎖は、3'から5'に番号付与される。
【0101】
第1の鎖及び/又は第2の鎖上の1個又は複数のヌクレオチドは、修飾ヌクレオチドを形成するように修飾されうる。第1の鎖の奇数のヌクレオチドの1個又は複数は修飾されてよい。第1の鎖の偶数のヌクレオチドの1個又は複数は、少なくとも第2の修飾によって修飾されてよく、ここで少なくとも第2の修飾は、1個又は複数の奇数のヌクレオチドに対する修飾とは異なる。1個又は複数の修飾された偶数のヌクレオチドの少なくとも1個は、1個又は複数の修飾された奇数のヌクレオチドの少なくとも1個に隣接しうる。
【0102】
第1の鎖における複数の奇数のヌクレオチドは、本発明の核酸において修飾されてよい。第1の鎖における複数の偶数のヌクレオチドは、第2の修飾によって修飾されてよい。第1の鎖は、共通の修飾によって修飾される隣接ヌクレオチドを含みうる。第1の鎖はまた、第2の異なる修飾によって修飾される隣接ヌクレオチドを含みうる。
【0103】
第2の鎖の奇数のヌクレオチドの1個又は複数は、第1の鎖上の奇数のヌクレオチドの修飾とは異なる修飾によって修飾されてよく、及び/又は第2の鎖の偶数のヌクレオチドの1個又は複数は、第1の鎖の奇数のヌクレオチドの同じ修飾によって修飾されてよい。第2の鎖の1個又は複数の修飾された偶数のヌクレオチドの少なくとも1個は、1個又は複数の修飾された奇数のヌクレオチドに隣接しうる。第2の鎖の複数の奇数のヌクレオチドは、共通の修飾によって修飾されてよく、及び/又は複数の偶数のヌクレオチドは、第1の鎖の奇数のヌクレオチド上に存在する同じ修飾によって修飾されてよい。第2の鎖上の複数の奇数のヌクレオチドは、第2の修飾によって修飾されてよく、ここで第2の修飾は、第1の鎖の奇数のヌクレオチドの修飾とは異なる。
【0104】
第2の鎖は、共通の修飾によって修飾される隣接ヌクレオチドを含んでよく、この修飾は、第1の鎖の奇数のヌクレオチドの修飾とは異なる第2の修飾でありうる。
【0105】
本発明の核酸において、第1の鎖における奇数のヌクレオチドはそれぞれ、また第2の鎖における偶数のヌクレオチドはそれぞれ、共通の修飾で修飾されてよく、偶数のヌクレオチドはそれぞれ、第1の鎖において第2の修飾で修飾されてよく、奇数のヌクレオチドはそれぞれ、第2の鎖において第2の修飾で修飾されてよい。
【0106】
本発明の核酸は、第2の鎖の未修飾ヌクレオチド又は異なって修飾されたヌクレオチドに対して、少なくとも1個のヌクレオチドだけシフトされた第1の鎖の修飾ヌクレオチドを有しうる。
【0107】
奇数のヌクレオチドの1個又は複数又はそれぞれは、第1の鎖において修飾されてよく、偶数のヌクレオチドの1個又は複数又はそれぞれは、第2の鎖において修飾されてよい。一方又は両方の鎖上の交互ヌクレオチドの1個又は複数又はそれぞれは、第2の修飾によって修飾されてよい。偶数のヌクレオチドの1個又は複数又はそれぞれは、第1の鎖において修飾されてよく、偶数のヌクレオチドの1個又は複数又はそれぞれは、第2の鎖において修飾されてよい。一方又は両方の鎖上の交互ヌクレオチドの1個又は複数又はそれぞれは、第2の修飾によって修飾されてよい。奇数のヌクレオチドの1個又は複数又はそれぞれは、第1の鎖において修飾されよく、奇数のヌクレオチドの1個又は複数は、第2の鎖において共通の修飾によって修飾されてよい。一方又は両方の鎖上の交互ヌクレオチドの1個又は複数又はそれぞれは、第2の修飾によって修飾されてよい。偶数のヌクレオチドの1個又は複数又はそれぞれは、第1の鎖において修飾されてよく、奇数のヌクレオチドの1個又は複数又はそれぞれは、第2の鎖において共通の修飾によって修飾されてよい。一方又は両方の鎖上の交互ヌクレオチドの1個又は複数又はそれぞれは、第2の修飾によって修飾されてよい。
【0108】
本発明の核酸は、鎖の一方又は両方に交互修飾の少なくとも2つの領域を含みうる。これらの交互領域は、最大約12個のヌクレオチドを含みうるが、好ましくは、約3個~約10個のヌクレオチドを含む。交互ヌクレオチドの領域は、本発明の核酸の一方又は両方の鎖の末端に位置しうる。核酸は、各末端(3'及び5')に交互ヌクレオチドの4個~約10個のヌクレオチドを含んでよく、これらの領域は、約5個~約12個の近接する未修飾ヌクレオチド又は異なって若しくは共通して修飾されたヌクレオチドによって分離されうる。
【0109】
第1の鎖の奇数のヌクレオチドは、修飾されてよく、偶数のヌクレオチドは、第2の修飾で修飾されてよい。第2の鎖は、共通の修飾で修飾される隣接ヌクレオチドを含んでよく、この修飾は、第1の鎖の奇数のヌクレオチドの修飾と同じでありうる。第2の鎖の1個又は複数のヌクレオチドもまた、第2の修飾で修飾されてよい。第2の修飾を有する1個又は複数のヌクレオチドは、互いに、また、第1の鎖の奇数のヌクレオチドの修飾と同じである修飾を有するヌクレオチドに隣接しうる。
【0110】
本発明の核酸は、共通の修飾で修飾される隣接ヌクレオチドを含む第1の鎖を含みうる。かかるヌクレオチドの1個又は複数は、第2の修飾で修飾されうる1個又は複数のヌクレオチドに隣接しうる。第2の修飾を有する1個又は複数のヌクレオチドは、隣接しうる。第2の鎖は、共通の修飾で修飾される隣接ヌクレオチドを含んでよく、この修飾は、第1の鎖の1個又は複数のヌクレオチドの修飾の1つと同じでありうる。第2の鎖の1個又は複数のヌクレオチドもまた、第2の修飾で修飾されてよい。第2の修飾を有する1個又は複数のヌクレオチドは、隣接しうる。
【0111】
1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23及び25と番号付与された(第1の鎖上では5'から3'に、また第2の鎖上では3'から5'に)ヌクレオチドは、第1の鎖上の修飾によって修飾されてよい。2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24と番号付与されたヌクレオチドは、第1の鎖上の第2の修飾によって修飾されてよい。1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23と番号付与されたヌクレオチドは、第2の鎖上の修飾によって修飾されてよい。2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24と番号付与されたヌクレオチドは、第2の鎖上の第2の修飾によって修飾されてよい。
【0112】
2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22及び24と番号付与されたヌクレオチドは、第1の鎖上の修飾によって修飾されてよい。1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23と番号付与されたヌクレオチドは、第1の鎖上の第2の修飾によって修飾されてよい。1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21、23と番号付与されたヌクレオチドは、第2の鎖上の修飾によって修飾されてよい。2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22、及び24と番号付与されたヌクレオチドは、第2の鎖上の第2の修飾によって修飾されてよい。
【0113】
明らかに、第1の鎖及び/又は第2の鎖が、の25ヌクレオチド長よりも短い、19ヌクレオチド長である場合、修飾されるべき20、21、22、23、24及び25と番号付与されたヌクレオチドは存在しない。したがって、当業者は、上記の説明がより短い鎖に適切に適用されることを理解されよう。
【0114】
第1の鎖上の1個又は複数の修飾ヌクレオチドは、共通の修飾を有する第2の鎖上の修飾ヌクレオチドと対形成されうる。第1の鎖上の1個又は複数の修飾ヌクレオチドは、異なる修飾を有する第2の鎖上の修飾ヌクレオチドと対形成されうる。第1の鎖上の1個又は複数の修飾ヌクレオチドは、第2の鎖上の未修飾ヌクレオチドと対形成されうる。第2の鎖上の1個又は複数の修飾ヌクレオチドは、第1の鎖上の未修飾ヌクレオチドと対形成されうる。換言すると、例えば、第2の鎖の交互領域における全ての修飾が、第1の鎖における同一の修飾と対形成されるか、又は代替的には、修飾は、他の鎖における異種の修飾(すなわち、第2の修飾又は更なる修飾)と対形成する1つの鎖の交互領域における共通の修飾を有する1個のヌクレオチドによって相殺されうるように、交互ヌクレオチドは、2つの鎖上でアラインされうる。別の選択肢は、鎖それぞれにおいて異種の修飾を有することである。
【0115】
第1の鎖上の修飾は、共通の修飾ヌクレオチドが互いと対形成されないように、第2の鎖上の修飾ヌクレオチドに対して1個のヌクレオチドだけシフトされうる。
【0116】
この実施形態において、第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドは、修飾されてよい。
【0117】
この実施形態の一態様において、第1の核酸の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドは好ましくは、2'-OMe修飾で修飾されず、第1の鎖の13位に相当する第2上のヌクレオチドは好ましくは、2'-OMe修飾で修飾されない。
【0118】
この実施形態の別の態様において、第1の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドは好ましくは、2'-OMe修飾で修飾されず、第1の鎖の11位に相当する第2上のヌクレオチドは好ましくは、2'-OMeで修飾されない。
【0119】
この実施形態の更なる態様において、第1の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドは好ましくは、2'-OMe修飾で修飾されず、第1の鎖の11位及び13位に相当する第2上のヌクレオチドは好ましくは、2'-OMeで修飾されない。
【0120】
この実施形態の一態様において、第1の鎖の5'末端から11位及び/又は13位に相当する第2の鎖上のヌクレオチドは、修飾されてよい。
【0121】
この実施形態の更なる態様において、第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドは好ましくは、2'-OMe修飾で修飾されず、第1の鎖の11位、又は13位、又は11位及び13位、又は11位~13位に相当する第2の鎖上のヌクレオチドは好ましくは、2'フルオロ修飾で修飾される。
【0122】
この実施形態の更なる態様において、第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドは好ましくは、2'フルオロで修飾され、第1の鎖の11位、又は13位、又は11位及び13位、又は11位~13位に相当する第2の鎖上のヌクレオチドは好ましくは、2'-OMe修飾で修飾されない。
【0123】
この実施形態の更なる態様において、第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドは好ましくは、2'フルオロで修飾され、第1の鎖の11位、又は13位、又は11位及び13位、又は11位~13位に相当する第2の鎖上のヌクレオチドは好ましくは、2'フルオロ修飾で修飾される。
【0124】
本発明の核酸又はコンジュゲートにおいて、第1の鎖及び/又は第2の鎖のヌクレオチドの50%超は、2'-OMe修飾を含んでよく、例えば、第1の鎖及び/又は第2の鎖の55%、60%、65%、70%、75%、80%若しくは85%超、又はそれ以上は、2'-OMe修飾を含み、好ましくは第1の鎖及び第2の鎖の両方の総ヌクレオチドのパーセントとして測定される。
【0125】
本発明の核酸又はコンジュゲートは、両方の鎖の総ヌクレオチドのパーセントとして、20%以下(例えば、15%以下又は10%以下)の第1の鎖及び/又は第2の鎖上の2'フルオロ修飾を含みうる。
【0126】
核酸の一態様において、第1の核酸のヌクレオチド11又はヌクレオチド13又はヌクレオチド11及び13又はヌクレオチド11~13に相当する位置における第2の鎖のヌクレオチドは、第4の修飾によって修飾される。好ましくは、第1の核酸のヌクレオチド11又はヌクレオチド13又はヌクレオチド11及び13又はヌクレオチド11~13に相当する位置におけるヌクレオチド以外の第2の鎖のヌクレオチドは全て、第3の修飾によって修飾される。好ましくは、第1の鎖のヌクレオチド2及び14又は偶数のヌクレオチド全ては、同じ核酸における第1の修飾で修飾される。更に、又は代替的には、第1の鎖の奇数のヌクレオチドは、第2の修飾で修飾される。第4の修飾は、好ましくは第2の修飾とは異なり、また好ましくは第3の修飾とは異なり、第4の修飾は、好ましくは第1の修飾と同じである。第2の修飾及び第3の修飾は、同じであることが好ましい。第1の修飾及び第4の修飾は、好ましくは2'-OMe修飾であり、第2の修飾及び第3の修飾は、好ましくは2'-F修飾である。第1の鎖上のヌクレオチドは、第1の鎖の5'末端でのヌクレオチド番号1から始まって連続して番号付与される。
【0127】
核酸の一態様において、第1の鎖の偶数のヌクレオチドは全て、第1の修飾によって修飾され、第1の鎖の奇数のヌクレオチドは全て、第2の修飾によって修飾され、第1の鎖の偶数のヌクレオチドに相当する位置における第2の鎖のヌクレオチドは全て、第3の修飾によって修飾され、第1の鎖の奇数のヌクレオチドに相当する位置における第2の鎖のヌクレオチドは全て、第4の修飾によって修飾され、ここで、第1の修飾及び第4の修飾は2'-Fであり、第2の修飾及び第3の修飾は2'-OMeである。
【0128】
核酸の一態様において、第1の鎖の偶数のヌクレオチドは全て、第1の修飾によって修飾され、第1の鎖の奇数のヌクレオチドは全て、第2の修飾によって修飾され、第1の鎖のヌクレオチド11~13に相当する位置における第2の鎖のヌクレオチドは全て、第4の修飾によって修飾され、第1の鎖のヌクレオチド11~13に相当するヌクレオチド以外の第2の鎖のヌクレオチドは全て、第3の修飾によって修飾され、ここで、第1の修飾及び第4の修飾は2'-Fであり、第2の修飾及び第3の修飾は2'-OMeである。好ましくは、この態様において、第2の鎖の3'末端のヌクレオチドは、逆位RNAヌクレオチドである(すなわち、ヌクレオチド、通常はそうであろうようにその5'炭素を介してではなく、その3'炭素を介して鎖の3'末端に連結される)。第2の鎖の3'末端のヌクレオチドが逆位RNAヌクレオチドである場合、逆位RNAヌクレオチドは、それが天然のヌクレオチド対応物と比較していかなる修飾も含まないという意味で、未修飾ヌクレオチドであることが好ましい。具体的には、逆位RNAヌクレオチドは、好ましくは2'-OHヌクレオチドである。
【0129】
一態様において、核酸は:
(i)第1の鎖の5'末端で末端の5'(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドを有し、
(ii)第1の鎖及び第2の鎖上の末端の3個の3'ヌクレオチド間及び第2の鎖上の末端の3個の5'ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を有し、
(iii)第1の鎖及び/又は第2の鎖のヌクレオチド間の残りの結合は全て、ホスホジエステル結合であり、
(iv)第1の鎖の偶数のヌクレオチドは全て、第1の修飾によって修飾され、第1の鎖の奇数のヌクレオチドは全て、第2の修飾によって修飾され、第1の鎖の偶数のヌクレオチドに相当する位置における第2の鎖のヌクレオチドは全て、第3の修飾によって修飾され、第1の鎖の奇数のヌクレオチドに相当する位置における第2の鎖のヌクレオチドは全て、第4の修飾によって修飾され、ここで好ましくは、第1の修飾及び第4の修飾は2'-Fであり、第2の修飾及び第3の修飾は2'-OMeである。
【0130】
一態様において、核酸は:
(i)第1の鎖の5'末端で末端の5'(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドを有し、
(ii)第1の鎖及び第2の鎖上の末端の3個の3'ヌクレオチド間並びに第2の鎖上の末端の3個の5'ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を有し、
(iii)第1の鎖及び/又は第2の鎖のヌクレオチド間の残りの結合は全て、ホスホジエステル結合であり、
(iv)第1の鎖の偶数のヌクレオチドは全て、第1の修飾によって修飾され、第1の鎖の奇数のヌクレオチドは全て、第2の修飾によって修飾され、第1の鎖のヌクレオチド11~13に相当する位置における第2の鎖のヌクレオチドは全て、第4の修飾によって修飾され、第1の鎖のヌクレオチド11~13に相当するヌクレオチド以外の第2の鎖のヌクレオチドは全て、第3の修飾によって修飾され、ここで好ましくは、第1の修飾及び第4の修飾は2'-Fであり、第2の修飾及び第3の修飾は2'-OMeである。
【0131】
末端修飾
オリゴヌクレオチドの3'末端及び5'末端は修飾されうる。かかる修飾は、分子の3'末端、又は5'末端、又は両方の末端に存在しうる。かかる修飾は、末端ホスフェート全体の修飾若しくは置き換え、又はホスフェート基の原子の1つ若しくは複数の修飾若しくは置き換えを包含しうる。例えば、オリゴヌクレオチドの3'末端及び5'末端は、標識部分、例えばフルオロフォア(例えば、ピレン、TAMRA、フルオレセイン、Cy3又はCy5色素)又は保護基(例えば、硫黄、ケイ素、ホウ素又はエステルに基づくもの)等の他の機能的分子実体にコンジュゲートされうる。機能的分子実体は、ホスフェート基及び/又はリンカーにより糖に結合させることができる。リンカーの末端原子は、ホスフェート基の連結原子、又は糖のC-3'若しくはC-5'のO、N、S若しくはC基に結合結しうるか、或いはこれらを置き換えうる。代替的には、リンカーは、ヌクレオチド代替物(例えば、PNA)の末端原子に結合しうるか、又はこれを置き換えることができる。これらのスペーサー又はリンカーとしては、例えば、-(CH2)n-、-(CH2)nN-、-(CH2)nO-、-(CH2)nS-、O(CH2CH2O)nCH2CH2OH(例えば、n=3又は6)、脱塩基糖、アミド、カルボキシ、アミン、オキシアミン、オキシイミン、チオエーテル、ジスルフィド、チオ尿素、スルホンアミド、又はモルホリノ、又はビオチン及びフルオレセイン試薬が挙げられる。3'末端は、-OH基でありうる。
【0132】
末端修飾の他の例としては、色素、インターカレート剤(例えば、アクリジン類)、架橋剤(例えば、ソラレン、マイトマイシンC)、ポルフィリン類(TPPC4、テキサフィリン、サフィリン)、多環式芳香族炭化水素(例えば、フェナジン、ジヒドロフェナジン)、人工エンドヌクレアーゼ、EDTA、親油性担体(例えば、コレステロール、コール酸、アダマンタン酢酸、1-ピレン酪酸、ジヒドロテストステロン、1,3-ビス-O(ヘキサデシル)グリセロール、ゲラニルオキシヘキシル基、ヘキサデシルグリセロール、ボルネオール、メントール、1,3-プロパンジオール、ヘプタデシル基、パルミチン酸、ミリスチン酸、O3-(オレオイル)リトコール酸、O3-(オレオイル)コレン(cholenic)酸、ジメトキシトリチル、又はフェノキサジン)及びペプチドコンジュゲート(例えば、アンテナペディアペプチド、Tatペプチド)、アルキル化剤、ホスフェート、アミノ、メルカプト、PEG(例えば、PEG-40K)、MPEG、[MPEG]2、ポリアミノ、アルキル、置換アルキル、放射標識マーカー、酵素、ハプテン(例えば、ビオチン)、輸送/吸収促進剤(例えば、アスピリン、ビタミンE、葉酸)、合成リボヌクレアーゼ(例えば、イミダゾール、ビスイミダゾール、ヒスタミン、イミダゾールクラスター、アクリジン-イミダゾールコンジュゲート、テトラアザマクロサイクルのEu3+錯体)が挙げられる。
【0133】
代替的な、又は更なる末端修飾は、活性を調節するため、又は分解に対する耐性を調節するためを含む多数の理由で付加されうる。活性を調節するのに有用な末端修飾としては、ホスフェート又はホスフェート類似体による5'末端の修飾が挙げられる。本発明の核酸は、第1又は第2の鎖上で、5'リン酸化されうるか、又は5'プライム末端でホスホリル類似体を包含しうる。5'-ホスフェート修飾は、RISC媒介遺伝子サイレンシングと適合するものを包含する。適切な修飾としては、5'-モノホスフェート((HO)2(O)P-O-5');5'-ジホスフェート((HO)2(O)P-O-P(HO)(O)-O-5');5'-トリホスフェート((HO)2(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5');5'-グアノシンキャップ(7-メチル化されているか、又はメチル化されていない)(7m-G-O-5'-(HO)(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5');5'-アデノシンキャップ(Appp)、及び任意の修飾又は未修飾のヌクレオチドキャップ構造(N-O-5'-(HO)(O)P-O-(HO)(O)P-O-P(HO)(O)-O-5');5'-モノチオホスフェート(ホスホロチオエート;(HO)2(S)P-O-5');5'-モノジチオホスフェート(ホスホロジチオエート;(HO)(HS)(S)P-O-5')、5'-ホスホロチオレート((HO)2(O)P-S-5'); 酸素/硫黄を置き換えられたモノホスフェート、ジホスフェート及びトリホスフェート類(例えば、5'-アルファ-チオトリホスフェート、5'-ガンマ-チオトリホスフェート等)の任意の更なる組み合わせ、5'-ホスホルアミデート類((HO)2(O)P-NH-5'、(HO)(NH2)(O)P-O-5')、5'-アルキルホスホネート類(R=アルキル=メチル、エチル、イソプロピル、プロピル等、例えば、RP(OH)(O)-O-5'-、(OH)2(O)P-5'-CH2-)、5'-アルキルエーテルホスホネート類、5'-ビニルホスホネート(R=アルキルエーテル=メトキシメチル(MeOCH2-)、エトキシメチル等、例えば、RP(OH)(O)-O-5'-)が挙げられる。
【0134】
本発明の核酸は、第1の鎖の5'末端で少なくとも1個の末端の5'(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドを含む。
【0135】
末端修飾はまた、分布をモニタリングするのに有用である場合があり、かかる場合では、付加されるべき基としては、フルオロフォア、例えば、フルオレセイン又はAlexa色素が挙げられうる。末端修飾はまた、取り込みを高めるのに有用である場合があり、これに関する有用な修飾としては、コレステロールが挙げられる。末端修飾はまた、RNA剤を別の部分に架橋するのに有用でありうる。
【0136】
アデニン、グアニン、シトシン及びウラシルは、RNAに見られる最も一般的な塩基である。これらの塩基は、特性が改善されたRNAを提供するように修飾されうるか、又は置き換えられうる。例えば、ヌクレアーゼ耐性オリゴリボヌクレオチドは、これらの塩基、又は合成及び天然の核酸塩基(例えば、イノシン、チミン、キサンチン、ヒポキサンチン、ヌブラリン(nubularine)、イソグアニシン(isoguanisine)又はツベルシジン(tubercidine))、及び上記修飾のいずれか1つを用いて調製されうる。代替的には、上記の塩基及び「ユニバーサル塩基」のいずれかの置換又は修飾類似体を用いることができる。例としては、2-アミノアデニン、アデニン及びグアニンの6-メチル及び他のアルキル誘導体、アデニン及びグアニンの2-プロピル及び他のアルキル誘導体、5-ハロウラシル及びシトシン、5-プロピニルウラシル及びシトシン、6-アゾウラシル、シトシン及びチミン、5-ウラシル(プソイドウラシル)、4-チオウラシル、5-ハロウラシル、5-(2-アミノプロピル)ウラシル、5-アミノアリルウラシル、8-ハロ、アミノ、チオール、チオアルキル、ヒドロキシル及び他の8-置換アデニン類及びグアニン類、5-トリフルオロメチル及び他の5-置換ウラシル類及びシトシン類、7-メチルグアニン、5-置換ピリミジン類、6-アザピリミジン類及びN-2、N-6及びO-6置換プリン類、例えば2-アミノプロピルアデニン、5-プロピニルウラシル及び5-プロピニルシトシン、ジヒドロウラシル、3-デアザ-5-アザシトシン、2-アミノプリン、5-アルキルウラシル、7-アルキルグアニン、5-アルキルシトシン、7-デアザアデニン、N6,N6-ジメチルアデニン、2,6-ジアミノプリン、5-アミノ-アリル-ウラシル、N3-メチルウラシル、置換1,2,4-トリアゾール類、2-ピリジノン、5-ニトロインドール、3-ニトロピロール、5-メトキシウラシル、ウラシル-5-オキシ酢酸、5-メトキシカルボニルメチルウラシル、5-メチル-2-チオウラシル、5-メトキシカルボニルメチル-2-チオウラシル、5-メチルアミノメチル-2-チオウラシル、3-(3-アミノ-3-カルボキシプロピル)ウラシル、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N<4>-アセチルシトシン、2-チオシトシン、N6-メチルアデニン、N6-イソペンチルアデニン、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、N-メチルグアニン、又はO-アルキル化塩基が挙げられる。
【0137】
本明細書中で使用する場合、「非対形成ヌクレオチド類似体」という用語は、6デスアミノアデノシン(ネブラリン)、4-Me-インドール、3-ニトロピロール、5-ニトロインドール、Ds、Pa、N3-MeリボU、N3-MeリボT、N3-Me dC、N3-Me-dT、N1-Me-dG、N1-Me-dA、N3-エチル-dC、N3-Me dCを含むがこれらに限定されない、非塩基対形成部分を包含するヌクレオチド類似体を意味する。幾つかの実施形態において、非塩基対形成ヌクレオチド類似体は、リボヌクレオチドである。他の実施形態において、非塩基対形成ヌクレオチド類似体は、デオキシリボヌクレオチドである。
【0138】
本明細書中で使用する場合、「末端官能基」という用語は、ハロゲン基、アルコール基、アミン基、カルボキシ基、エステル基、アミド基、アルデヒド基、ケトン基、エーテル基を含むが、限定されない。
【0139】
或る特定の部分は、第1の鎖又は第2の鎖の5'末端に連結されてよく、脱塩基リボース部分、脱塩基デオキシリボース部分、2'Oアルキル修飾を含む修飾脱塩基リボース及び脱塩基デオキシリボース部分;逆位脱塩基リボース及び脱塩基デオキシリボース部分並びにそれらの修飾、C6-イミノ-Pi;L-DNA及びL-RNAを含むミラーヌクレオチド;5'-OMeヌクレオチド;及び4',5'-メチレンヌクレオチドを包含するヌクレオチド類似体;1-(β-D-エリスロフラノシル)ヌクレオチド;4'-チオヌクレオチド、炭素環式ヌクレオチド;5'-アミノ-アルキルホスフェート;1,3-ジアミノ-2-プロピルホスフェート、3-アミノプロピルホスフェート;6-アミノヘキシルホスフェート;12-アミノドデシルホスフェート;ヒドロキシプロピルホスフェート;1,5-アンヒドロヘキシトールヌクレオチド;アルファ-ヌクレオチド;トレオ-ペントフラノシルヌクレオチド;非環式3',4'-セコヌクレオチド;3,4-ジヒドロキシブチルヌクレオチド;3,5-ジヒドロキシペンチルヌクレオチド、5'-5'-逆位脱塩基部分;1,4-ブタンジオールホスフェート;5'-アミノ;並びに架橋又は非架橋メチルホスホネート及び5'-メルカプト部分を包含する。
【0140】
他の修飾
5'(E)-ビニルホスフェート、リボース糖の2'-OH基での修飾及び上述の他の末端修飾の他に、本発明の核酸は、3'-末端デオキシ-チミン、モルホリノ修飾、ホスホルアミデート修飾、5'-ホスホロチオエート基修飾、5'ホスフェート修飾若しくは5'ホスフェート模倣体修飾及びコレステリル誘導体又はドデカン酸ビスデシルアミド基修飾からなる群から選択される更なる修飾を含んでよく、及び/又は、修飾ヌクレオチドは、ロックドヌクレオチド、脱塩基ヌクレオチド又は非天然塩基を含むヌクレオチドのいずれか1つでありうる。
【0141】
核酸は、塩基が、2-アミノアデノシン、2,6-ジアミノプリン、イノシン、ピリジン-4-オン、ピリジン-2-オン、フェニル、プソイドウラシル、2,4,6-トリメトキシベンゼン、3-メチルウラシル、ジヒドロウリジン、ナフチル、アミノフェニル、5-アルキルシチジン(例えば、5-メチルシチジン)、5-アルキルウリジン(例えば、リボチミジン)、5-ハロウリジン(例えば、5-ブロモウリジン)、6-アザピリミジン、6-アルキルピリミジン(例えば6-メチルウリジン)、プロピン、キューオシン、2-チオウリジン、4-チオウリジン、ワイブトシン、ワイブトキソシン、4-アセチルシチジン、5-(カルボキシヒドロキシメチル)ウリジン、5'-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウリジン、ベータ-D-ガラクトシルキューオシン、1-メチルアデノシン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアノシン、3-メチルシチジン、2-メチルアデノシン、2-メチルグアノシン、N6-メチルアデノシン、7-メチルグアノシン、5-メトキシアミノメチル-2-チオウリジン、5-メチルアミノメチルウリジン、5-メチルカルボニルメチルウリジン、5-メチルオキシウリジン、5-メチル-2-チオウリジン、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデノシン、ベータ-D-マンノシルキューオシン、ウリジン-5-オキシ酢酸及び2-チオシチジンから選択される、修飾ヌクレオチドを含むヌクレオチドを含みうる。
【0142】
ホスフェート基を置き換えることができる部分の例としては、シロキサン、カルボネート、カルボキシメチル、カルバメート、アミド、チオエーテル、エチレンオキシドリンカー、スルホネート、スルホンアミド、チオホルムアセタール、ホルムアセタール、オキシム、メチレンイミノ、メチレンメチルイミノ、メチレンヒドラゾ、メチレンジメチルヒドラゾ及びメチレンオキシメチルイミノが挙げられる。或る特定の実施形態において、置き換えは、メチレンカルボニルアミノ基及びメチレンメチルイミノ基を含みうる。
【0143】
ホスフェートリンカー及びリボース糖は、ヌクレアーゼ耐性ヌクレオチドによって置き換えられうる。
【0144】
例としては、モルホリノ、シクロブチル、ピロリジン及びペプチド核酸(PNA)ヌクレオシド代替物が挙げられる。或る特定の実施形態において、PNA代替物が使用されうる。
【0145】
糖基はまた、リボースにおける相当する炭素のものとは反対の立体化学的配置を保有する1つ又は複数の炭素を含有しうる。したがって、修飾ヌクレオチドは、アラビノース等の糖を含有しうる。
【0146】
修飾ヌクレオチドはまた、C-1'で核酸塩基が欠如している「脱塩基」糖を包含しうる。これらの脱塩基糖は、構成成分である糖原子の1つ又は複数に修飾を更に含有することができる。
【0147】
本発明の核酸は、脱塩基ヌクレオチドを含んでよい。「脱塩基」という用語は、本明細書中で使用する場合、1'位で、塩基を欠如するか、又は塩基に代わって他の化学基を有する部分、例えば3',3'-連結又は5',5'-連結デオキシ脱塩基リボース誘導体を指す。
【0148】
本明細書中に記載する更なる修飾が、第1の鎖及び/又は第2の鎖上に存在してよい。
【0149】
本発明の幾つかの代表的な修飾核酸配列を実施例に示す。これらの実施例は、代表的であり、限定的ではないと意図される。
【0150】
リガンド
本発明の核酸は、ターゲティングリガンドにコンジュゲートされて、コンジュゲートを形成しうる。
【0151】
本発明は、核酸部と、リガンド部とを含む、細胞における標的遺伝子の発現を阻害するためのコンジュゲートであって、前記核酸部が、本明細書中のどこかで規定されるような核酸を含む、コンジュゲートを更に提供する。
【0152】
本発明のコンジュゲートにおいて、核酸の第2の鎖は、リガンド部にコンジュゲートされうる。
【0153】
本発明のコンジュゲートにおいて、リガンド部は、例えば核酸の第2の鎖の5'末端でGalNAc部分又は幾つかのGalNAc部分を含む、1つ又は複数のGalNAcリガンド及びその誘導体を含みうる。
【0154】
幾つかリガンドは、エンドソーム溶解特性を有しうる。エンドソーム溶解性リガンドは、エンドソームの溶解、及び/又は、本発明の組成物若しくはその成分の、エンドソームから細胞の細胞質への輸送を促進する。エンドソーム溶解性リガンドは、pH依存性膜活性及び膜融合性を示すポリアニオン性ペプチド又はペプチド模倣体でありうる。エンドソーム溶解性成分は、pHの変化に応答して電荷の変化又はプロトン化を受ける化学基を含有しうる。エンドソーム溶解性成分は、直鎖状又は分岐状でありうる。
【0155】
リガンドは、例えば取り込みを高めるための治療用修飾因子;例えば分布をモニタリングするための診断用化合物又はレポーター基;架橋剤;及びヌクレアーゼ耐性付与部分を包含しうる。一般的な例としては、脂質、ステロイド、ビタミン、糖、タンパク質、ペプチド、ポリアミン、及びペプチド模倣体が挙げられる。リガンドとしては、タンパク質、炭水化物、又は脂質等の天然に存在する物質が挙げられうる。リガンドは、組換え又は合成の分子でありうる。
【0156】
また、リガンドとしては、ターゲティング基、例えば、細胞ターゲティング剤又は組織ターゲティング剤が挙げられる。ターゲティングリガンドは、レクチン、糖タンパク質、脂質又はタンパク質でありうる。
【0157】
リガンドの他の例としては、色素、インターカレート剤、架橋剤、ポルフィリン、多環式芳香族炭化水素、人工エンドヌクレアーゼ若しくはキレート剤、親油性分子、アルキル化剤、ホスフェート、アミノ、メルカプト、PEG、MPEG、アルキル、置換アルキル、放射標識マーカー、酵素、ハプテン、輸送/吸収促進剤、合成リボヌクレアーゼ、又はイミダゾールクラスターが挙げられる。
【0158】
リガンドは、タンパク質、例えば糖タンパク質又はペプチドでありうる。リガンドはまた、ホルモン又はホルモン受容体でありうる。また、これらには、脂質、レクチン、炭水化物、ビタミン、又は補因子等の非ペプチド種が含まれうる。
【0159】
リガンドは、例えば、細胞の細胞骨格を破壊することによって、核酸の、細胞への取り込みを増加させうる薬物等の物質でありうる。
【0160】
リガンドは、炎症応答を活性化させることによって、核酸の細胞への取り込みを増加させうる。かかるリガンドとしては、腫瘍壊死因子アルファ(TNF-アルファ)、インターロイキン-1ベータ、又はガンマインターフェロンが挙げられる。
【0161】
リガンドは、脂質又は脂質ベースの分子でありうる。脂質又は脂質ベース分子は、好ましくは血清タンパク質に結合する。好ましくは、脂質ベースのリガンドは、ヒト血清アルブミン(HSA)に結合する。脂質又は脂質ベースの分子は、コンジュゲートの分解に対する耐性を増加させ、標的細胞へのターゲティング若しくは輸送を増加させることができ、及び/又は血清タンパク質への結合を調節することができる。脂質ベースのリガンドは、コンジュゲートの、標的組織への結合を調節するのに使用されうる。
【0162】
リガンドは、ステロイドでありうる。好ましくは、リガンドは、コレステロール又はコレステロール誘導体である。
【0163】
リガンドは、標的細胞によって取り込まれる部分、例えばビタミンでありうる。例示的なビタミンとしては、ビタミンA、ビタミンE、ビタミンK、及びビタミンB群が挙げられる。ビタミンは、増殖性細胞によって取り込まれてよく、これは、核酸を、悪性又は非悪性の腫瘍細胞等の細胞に送達するのに有用でありうる。
【0164】
リガンドは、ヘリカル細胞透過剤等の細胞透過剤でありうる。好ましくは、かかる剤は両親媒性である。
【0165】
リガンドは、ペプチド又はペプチド模倣体でありうる。ペプチド模倣体は、天然のペプチドに類似した規定の三次元構造にフォールディングすることが可能な分子である。ペプチド又はペプチド模倣体リガンドは、天然に存在するペプチド若しくは修飾ペプチド、又は両方を包含しうる。ペプチド又はペプチド模倣体は、細胞透過ペプチド、カチオン性ペプチド、両親媒性ペプチド、又は疎水性ペプチドでありうる。ペプチド部分は、デンドリマーペプチド、拘束性ペプチド、又は架橋ペプチドでありうる。ペプチド部分は、疎水性膜移行配列を包含しうる。ペプチド部分は、細胞膜を横断してペプチド、オリゴヌクレオチド及びタンパク質等の大きな極性分子を運搬することが可能なペプチド、例えば、HIV Tatタンパク質の配列(GRKKRRQRRRPPQ)及びショウジョウバエ(Drosophila)のアンテナペディアタンパク質(RQIKIWFQNRRMKWKK)由来の配列でありうる。好ましくは、ペプチド又はペプチド模倣体は、細胞ターゲティングペプチド、例えば、アルギニン-グリシン-アスパラギン酸(RGD)-ペプチドである。
【0166】
リガンドは、例えば、微生物細胞又は哺乳動物細胞を透過することが可能な細胞透過ペプチドでありうる。
【0167】
リガンドは、薬物動態調節因子でありうる。薬物動態調節因子は、親油性物質(lipophiles)、胆汁酸、ステロイド、リン脂質類似体、ペプチド、タンパク質結合剤、PEG、ビタミン等でありうる。
【0168】
2つ又はそれ以上のリガンドが存在する場合、リガンドは、全てが同じ特性を有しうるか、全てが異なる特性を有してうるか、又は幾つかのリガンドが同じ特性を有する一方で、他方が異なる特性を有しうる。例えば、リガンドは、ターゲティング特性を有しうるか、エンドソーム溶解活性を有しうるか、又はPK調節特性を有しうる。好ましい実施形態において、リガンドは全て、異なる特性を有する。
【0169】
リガンドは、3'末端、5'末端、及び/又は内部位置で核酸にカップリングされうる。好ましくは、リガンドは、介在するテザー又はリンカーによって核酸にカップリングされる。
【0170】
幾つかの実施形態において、核酸は二本鎖核酸である。二本鎖核酸において、リガンドは、一方又は両方の鎖に結合されうる。幾つか実施形態において、二本鎖核酸は、センス鎖にコンジュゲートされたリガンドを含有する。他の実施形態において、二本鎖核酸は、アンチセンス鎖にコンジュゲートされたリガンドを含有する。
【0171】
リガンドは、核酸分子の核酸塩基、糖部分、又はヌクレオシド間結合にコンジュゲートされうる。プリン核酸塩基又はそれらの誘導体へのコンジュゲーションは、環内原子及び環外原子を含む任意の位置で起こりうる。ピリミジンヌクレオチド又はそれらの誘導体へのコンジュゲーションもまた、任意の位置で起こりうる。ヌクレオシドの糖部分へのコンジュゲーションは、任意の炭素原子において生じうる。ヌクレオシド間結合へのコンジュゲーションは、リン含有結合のリン原子で、又はリン原子に結合された酸素、窒素、若しくは硫黄原子で起こりうる。アミン又はアミドを含有するヌクレオシド間結合に関しては、コンジュゲーションは、アミン若しくはアミドの窒素原子で、又は隣接する炭素原子に起こりうる。
【0172】
リガンドは通常、炭水化物、例えば単糖、二糖、三糖、四糖又は多糖である。リガンドは、リンカー部分によって核酸にコンジュゲートされうる。リンカー部分は、一価、二価又は三価の分岐状構造でありうる。
【0173】
オリゴヌクレオチド、特に本発明の二本鎖核酸を、インビボで細胞に効率的に送達する手段は重要であり、特異的なターゲティング、及び細胞外環境、特に血清タンパク質からの実質的な保護を必要とする。特異的なターゲティングを達成する方法の1つは、ターゲティング部分又はリガンドを、核酸にコンジュゲートさせることである。ターゲティング部分は、核酸を必要とされる標的部位にターゲティングするのに役立ち、コンジュゲートされた分子が、例えばエンドサイトーシスによって細胞により取り込まれるように、所望の受容体部位に適切なターゲティング部分をコンジュゲートさせる必要がある。ターゲティング部分又はリガンドは、特異的な受容体をターゲティングすることが可能な任意の部分又はリガンドでありうる。
【0174】
例えば、アシアロ糖タンパク質受容体(ASGP-R)は、肝細胞において非常に豊富な高容量の受容体である。三分岐(triantennary)クラスターグリコシドの最初の開示の1つは、米国特許第5,885,968号においてであった。3つのGalNAcリガンドを有し、且つホスフェート基を含むコンジュゲートは既知であり、Dubberら(2003年)に記載されている。ASGP-Rは、D-Galよりも、N-アセチル-D-ガラクトシルアミン(GalNAc)に対して50倍高い親和性を示す。
【0175】
グリコシル化されたタンパク質又は他のオリゴ糖の末端のβ-ガラクトシルサブユニットを特異的に認識するレクチン(アシアロ糖タンパク質受容体;ASGPR)を発現する肝細胞(P.H.Weigelら、2002年)は、ガラクトース又はガラクトースアミンの、薬物物質への共有結合的カップリングにより、薬物を肝臓にターゲティングするのに使用されうる(S.Ishibashi,Sら、1994年)。更に、結合親和性は、ターゲティングユニットの繰返しによって達成される多価性効果により、著しく増加されうる(E. A. L. Biessenら、1995年)。
【0176】
ASGPRは、末端のβ-ガラクトシル含有糖タンパク質の活発なエンドソーム輸送の媒介因子であり、したがってASGPRは、細胞内に送達される必要がある核酸のような薬物候補の標的を定めた送達に非常に適している(Akincら)。
【0177】
リガンドと称されうる糖類は、標的細胞上の少なくとも1つのタイプの受容体に関する親和性を有するように選択されうる。特に、受容体は、哺乳動物の肝臓細胞の表面上に存在し、例えば、肝臓のアシアロ糖タンパク質受容体(ASGP-R)である。
【0178】
糖は、N-アセチルガラクトースアミン、マンノース、ガラクトース、グルコース、グルコサミン及びフコースから選択されうる。糖類は、N-アセチルガラクトースアミン(GalNAc)でありうる。
【0179】
したがって、本発明における使用のためのリガンドは、(i)1つ又は複数のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)部分及びそれらの誘導体、並びに(ii)GalNAc部分を、任意の千十津の態様において規定されるような核酸又は配列にコンジュゲートさせるリンカーを含んでよい。リンカーは、一価又は二価又は三価又は四価の分岐状構造でありうる。ヌクレオチドは、本明細書中で規定されるように修飾されうる。
【0180】
「GalNAc」は、文献では一般的にN-アセチルガラクトサミンと称される、2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-D-ガラクトピラノースを指す。「GalNAc」又は「N-アセチルガラクトースアミン」に対する言及は、β型:2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノース及びα型:2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノースの両方を包含する。β型:2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノース及びα型:2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノースはともに、交換可能に使用されうる。好ましくは、本発明の化合物は、β型の2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノースを含む。
【0181】
リガンドは、GalNAcを含みうる。
【0182】
リガンドは、式(II):
[S-X1-P-X2]3-A-X3- (I)
(式中、
Sは、糖類を表し、好ましくは糖類は、N-アセチルガラクトサミンであり、
X1は、C3~C6アルキレン又は(-CH2-CH2-O)m(-CH2)2-(式中、mは1、2、又は3である)であり、
Pは、ホスフェート又は修飾ホスフェート、好ましくはチオホスフェート)であり、
X2は、アルキレン、は式(-CH2)n-O-CH2-(式中、n=1~6である)のアルキレンエーテルであり、
Aは、分岐ユニットであり、
X3は、架橋ユニットを表す)
の化合物を含んでよく、ここで、本発明による核酸は、X3に、ホスフェート又は修飾ホスフェート、好ましくはチオホスフェートを介して、好ましくはセンス鎖の5'末端でコンジュゲートされる。
【0183】
式(II)中、分岐ユニット「A」は、3つの糖類リガンドに適応するために3つに分岐することが好ましい。分岐ユニットは、リガンド及び核酸に共有結合される。分岐ユニットは、アルキル基、アミド基、ジスルフィド基、ポリエチレングリコール基、エーテル基、チオエーテル基及びヒドロキシアミノ基から選択される基を含む、分岐状脂肪族基を含みうる。分岐ユニットは、アルキル基及びエーテル基から選択される基を含みうる。
【0184】
分岐ユニットAは、
【化2】
(式中、A1は、それぞれ独立して、O、S、C=O又はNHを表し、nは、それぞれ独立して、1~20の整数を表す)
から選択される構造を有しうる。
【0185】
分岐ユニットは、
【化3】
(式中、A1は、それぞれ独立して、O、S、C=O又はNHを表し、nは、それぞれ独立して、1~20の整数を表す)
から選択される構造を有しうる。
【0186】
分岐ユニットは、
【化4】
(式中、A1は、O、S、C=O又はNHであり、nは、それぞれ独立して、1~20の整数を表す)
から選択される構造を有しうる。
【0187】
分岐ユニットは、構造:
【化5】
を有しうる。
【0188】
分岐ユニットは、構造:
【化6】
を有しうる。
【0189】
分岐ユニットは、構造:
【化7】
を有しうる。
【0190】
任意選択により、分岐ユニットは、炭素原子のみからなる。
【0191】
「X3」部は、架橋ユニットである。架橋ユニットは直鎖状であり、分岐ユニット及び核酸に共有結合される。
【0192】
X3は、-C1~C20アルキレン-、-C2~C20アルケニレン-、式-(C1~C20アルキレン)-O-(C1~C20アルキレン)-のアルキレンエーテル、-C(O)-C1~C20アルキレン-、-C0~C4アルキレン(Cy)C0~C4アルキレン-(式中、Cyは、置換若しくは無置換の5員又は6員のシクロアルキレン環、アリーレン環、ヘテロシクリレン環又はヘテロアリーレン環を表す)、-C1~C4アルキレン-NHC(O)-C1~C4アルキレン-、-C1~C4アルキレン-C(O)NH-C1~C4アルキレン-、-C1~C4アルキレン-SC(O)-C1~C4アルキレン-、-C1~C4アルキレン-C(O)S-C1~C4アルキレン-、-C1~C4アルキレン-OC(O)-C1~C4アルキレン-、-C1~C4アルキレン-C(O)O-C1~C4アルキレン-、及び-C1~C6アルキレン-S-S-C1~C6アルキレン-から選択されうる。
【0193】
X3は、式-(C1~C20アルキレン)-O-(C1~C20アルキレン)-のアルキレンエーテルでありうる。X3は、式-(C1~C20アルキレン)-O-(C4~C20アルキレン)-(式中、前記(C4~C20アルキレン)は、Zに連結される)のアルキレンエーテルでありうる。X3は、-CH2-O-C3H6-、-CH2-O-C4H8-、-CH2-O-C6H12-、及び-CH2-O-C8H16-、特に-CH2-O-C4H8-、-CH2-O-C6H12-及び-CH2-O-C8H16-(式中、各事例において、-CH2-基はAに連結される)からなる群から選択されうる。
【0194】
リガンドは、式(III):
[S-X1-P-X2]n3-A-X3- (III)
(式中、
Sは、糖類、好ましくはGalNAcを表し、
X1は、C3~C6アルキレン又はエチレングリコール基部(-CH2-CH2-O)m(-CH2)2-(式中、mは1、2、又は3である)を表し、
Pは、ホスフェート又は修飾ホスフェート、好ましくはチオホスフェートであり、
X2は、C1~C8アルキレンであり、
Aは、
【化8】
から選択される分岐ユニットであり、
X3は、架橋ユニットである)
の化合物を含んでよく、ここで、本発明による核酸は、X3に、ホスフェート又は修飾ホスフェート、好ましくはチオホスフェートを介してコンジュゲートされる。
【0195】
分岐ユニットAは、構造:
【化9】
を有しうる。
【0196】
分岐ユニットAは、構造:
【化10】
(式中、X3は、窒素原子に結合される)
を有しうる。
【0197】
X3は、C1~C20アルキレンでありうる。好ましくは、X3は、-C3H6-、-C4H8-、-C6H12-及び-C8H16-、特に-C4H8-、-C6H12-、及び-C8H16-からなる群から選択される。
【0198】
リガンドは、式(IV):
[S-X1-P-X2]3-A-X3- (IV)
(式中、
Sは、糖類、好ましくはGalNAcを表し、
X1は、C3~C6アルキレン又はエチレングリコール基部(-CH2-CH2-O)m(-CH2)2-(式中、mは1、2、又は3である)を表し、
Pは、ホスフェート又は修飾ホスフェート、好ましくはチオホスフェートであり、
X2は、式-C3H6-O-CH2-のアルキレンエーテルであり、
Aは、分岐ユニットであり、
X3は、-CH2-O-CH2-、-CH2-O-C2H4-、-CH2-O-C3H6-、-CH2-O-C4H8-、-CH2-O-C5H10-、-CH2-O-C6H12-、-CH2-O-C7H14-、及び-CH2-O-C8H16-(式中、各事例において、-CH2-基はAに連結される)からなる群から選択される式のアルキレンエーテルである)
の化合物を含んでよく、ここで、本発明による核酸は、X3に、ホスフェート又は修飾ホスフェート、好ましくはチオホスフェートを介してコンジュゲートされる。
【0199】
分岐ユニットは、炭素を含みうる。好ましくは、分岐ユニットは炭素である。
【0200】
X2は、式-C3H6-O-CH2-、すなわちC3アルコキシメチル、又は-CH2CH2CH2OCH2-のアルキレンエーテルを表す。
【0201】
リガンドの上記態様のいずれかに関して、Pは、修飾ホスフェート基を表す。Pは、
【化11】
(式中、Y1及びY2は、それぞれ独立して、=O、=S、-O-、-OH、-SH、-BH3、-OCH2CO2、-OCH2CO2Rx、-OCH2C(S)ORx、及び-ORX(式中、Rxは、C1~C6アルキルを表す)を表し、
【化12】
は、化合物の残部への結合を示す)
によって表されうる。
【0202】
修飾ホスフェートとは、酸素の1つ又は複数が置き換えられたホスフェート基を意味する。修飾ホスフェート基の例としては、ホスホロチオエート、ホスホロセレネート、ボラノホスフェート、ボラノホスフェートエステル、ホスホン酸水素、ホスホロアミデート、ホスホン酸アルキル又はホスホン酸アリール及びホスホトリエステルが挙げられる。ホスホロジチオエートは、ともに硫黄によって置き換えられた非連結酸素を有する。ホスフェート基における1つ、それぞれ、又は両方の非連結酸素は、独立して、S、Se、B、C、H、N、又はOR(Rは、アルキル又はアリールである)のいずれか1つでありうる。
【0203】
ホスフェートリンカーはまた、連結している酸素の、窒素での置き換え(架橋ホスホロアミデート)、硫黄での置き換え(架橋ホスホロチオエート)、及び炭素での置き換え(架橋メチレンホスホネート)によって修飾されうる。置き換えは、末端酸素で行われうる。非連結酸素の、窒素での置き換えが可能である。
【0204】
例えば、Y1は、-OHを表してよく、Y2は、=O若しくは=Sを表してよく、又は、
Y1は、-O-を表してよく、Y2は、=O若しくは=Sを表してよく、
Y1は、=Oを表してよく、Y2は、-CH3、-SH、-ORX、若しくは-BH3を表してよく、
Y1は、=Sを表してよく、Y2は、-CH3、ORX若しくは-SHを表してよい。
【0205】
当業者は、或る特定の場合において、Y1とY2との間に非局在化が存在することが理解されよう。
【0206】
好ましくは、修飾ホスフェート基は、チオホスフェート基である。チオホスフェート基としては、ビチオホスフェート(すなわち、Y1が=Sを表し、Y2が-S-を表す場合)及びモノチオホスフェート(すなわち、Y1が-O-を表し、Y2が=Sを表す場合、又はY1が=Oを表し、Y2が-S-を表す場合)が挙げられる。好ましくは、Pはモノチオホスフェートである。本発明者らは、ホスフェート基の代わりにチオホスフェート基を有するコンジュゲートが、インビボで作用の効力及び持続期間の改善を有することを見出した。
【0207】
Pはまた、エチルホスフェート(すなわち、Y1が=Oを表し、Y2がOCH2CH3を表す場合)でありうる。
【0208】
リガンドとも称されうる糖類は、標的細胞上の少なくとも1つのタイプの受容体に対する親和性を有するように選択されうる。特に、受容体は、哺乳動物の肝臓細胞の表面上に存在し、例えば、肝アシアロ糖タンパク質受容体(ASGP-R)である。
【0209】
上記態様のいずれかに関して、糖類は、ガラクトサミン、マンノース、ガラクトース、グルコース、グルコサミン及びフルクトースの1つ又は複数を有するN-アセチルから選択されうる。好ましくは、糖類は、2分子のN-アセチルガラクトサミン(GalNAc)である。本発明の化合物は、それぞれN-アセチルガラクトサミンであることが好ましい3つのリガンドを有しうる。
【0210】
「GalNAc」は、文献では一般的にN-アセチルガラクトサミンと称される、2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-D-ガラクトピラノースを指す。「GalNAc」又は「N-アセチルガラクトースアミン」に対する言及は、β型:2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノース及びα型:2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノースの両方を包含する。或る特定の実施形態において、β型:2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノース及びα型:2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノースはともに、交換可能に使用されうる。好ましくは、本発明の化合物は、β型の2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノースを含む。
【0211】
【化13】
2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-D-ガラクトピラノース
【0212】
【化14】
2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-β-D-ガラクトピラノース
【0213】
【化15】
2-(アセチルアミノ)-2-デオキシ-α-D-ガラクトピラノース
【0214】
式(IV)の上記化合物のいずれかに関して、X1は、エチレングリコール基部(-CH2-CH2-O)m(-CH2)2-(式中、mは1、2、又は3である)でありうる。X1は、(-CH2-CH2-O)(-CH2)2-でありうる。X1は、(-CH2-CH2-O)2(-CH2)2-でありうる。好ましくは、X1は、(-CH2-CH2-O)2(-CH2)2-である。代替的には、X1は、C3~C6アルキレンを表す。X1は、プロピレンでありうる。X1は、ブチレンでありうる。X1は、ペンチレンでありうる。X1は、へキシレンでありうる。好ましくは、アルキルは、直鎖状アルキレンである。特に、X1は、ブチレンでありうる。
【0215】
式(IV)の化合物に関して、X2は、式-C3H6-O-CH2-、すなわちC3アルコキシメチレン、又は-CH2CH2CH2OCH2-のアルキレンエーテルを表す。
【0216】
本発明は、下記の構造:
【化16】
【化17】
【化18】
【化19】
【化20】
(式中、Zは、本明細書中で先述で定義した核酸を表す)
の1つを有する、コンジュゲートされた核酸を更に提供する。
【0217】
好ましくは、核酸は、コンジュゲートされた核酸であり、ここで、核酸は、下記の構造:
【化21】
(式中、Zは、本明細書中で先述で定義した核酸を表す)
を有する三分岐リガンドにコンジュゲートされる。
【0218】
一態様において、核酸は、下記の構造:
【化22】
を有する三分岐リガンドにコンジュゲートされ、ここで、核酸は、リガンドのホスホネート基を介してリガンドに、a)第2の鎖の5'末端での最後のヌクレオチドに、b)第2の鎖の3'末端での最後のヌクレオチドに、又はc)第1の鎖の3'末端での最後のヌクレオチドにコンジュゲートされる。
【0219】
式(II)、(III)若しくは(IV)のリガンド又は本明細書中で開示する三分岐リガンドは、第1の(アンチセンス)鎖の3'末端で、及び/又は第2の(センス)鎖の3'及び/又は5'末端のいずれかで結合されうる。核酸は、式(II)、(III)若しくは(IV)の1つよりも多いリガンド又は本明細書中で開示する三分岐リガンドのいずれか1つを含みうる。しかしながら、式(II)、(III)若しくは(IV)の単一リガンド又は本明細書中で開示する三分岐リガンドのいずれか1つは、かかる単一リガンドが、標的細胞に対する核酸の効率的なターゲティングに十分であるため好ましい。好ましくは、当該事例において、リガンドが結合される核酸の末端での少なくとも2個の、好ましくは少なくとも最後の3個の、より好ましくは少なくとも最後の4個のヌクレオチドは、ホスホジエステル結合によって連結される。
【0220】
好ましくは、第1の(アンチセンス)鎖の5'末端は、この位置のリガンドが、核酸の生物学的活性を潜在的に妨害しうるため、式(II)、(III)若しくは(IV)のリガンド又は本明細書中で開示する三分岐リガンドのいずれか1つに結合されない。
【0221】
鎖の5'末端で式(II)、(III)若しくは(IV)の単一リガンド又は本明細書中で開示する三分岐リガンドのいずれか1つを有する核酸は、3'末端で同じリガンドを有する同じ核酸よりも容易であり、したがって、より安価である。したがって、好ましくは、式(II)、(III)若しくは(IV)の単一リガンド又は本明細書中で開示する三分岐リガンドのいずれか1つは、核酸の第2の鎖の5'末端に共有結合される(とコンジュゲートされる)。
【0222】
一実施形態は、第1の鎖の少なくとも一部と、第1の鎖に少なくとも部分的に相補的な第2の鎖の一部とを含む少なくとも1つの二重鎖領域を含む、細胞における標的遺伝子の発現を阻害するための核酸であって、前記第1の鎖が、阻害されるべき前記標的遺伝子から転写されるRNAの少なくとも一部に少なくとも部分的に相補的であり、第1の鎖が、末端の5'(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドを有し、
i)末端の5'(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドが、ホスホジエステル結合によって第1の鎖における第2のヌクレオチドに連結され、好ましくは、第1の鎖は、少なくとも末端の3個の5'ヌクレオチド間のホスホジエステル結合を含み、
ii)第1の鎖が、少なくとも1つのホスホロチオエート結合を含み、好ましくは、第1の鎖は、末端の2個の3'ヌクレオチド間の、より好ましくは末端の3個の3'ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含み、
iii)第2の鎖が、5'末端で、式(II)、(III)若しくは(IV)のリガンドに、好ましくは図13a図13b又は図13cに、より好ましくは図13cに示すようなリガンドにコンジュゲートされ、第2の鎖が、好ましくは、末端の2個、3個又は4個の3'ヌクレオチド間のみの、好ましくは3個の3'末端ヌクレオチド間のみのホスホロチオエート結合を含み、
iv)核酸のヌクレオチドの少なくとも1個、幾つか又は全てが、2'修飾ヌクレオチドであり、
v)ホスホロチオエート結合ではない両鎖のヌクレオチド間結合が、好ましくはホスホジエステル結合である、核酸である。
【0223】
本発明は、更なる態様として、第1の鎖の少なくとも一部と、第1の鎖に少なくとも部分的に相補的な第2の鎖の一部とを含む少なくとも1つの二重鎖領域を含む、細胞における標的遺伝子の発現を阻害するための核酸であって、前記第1の鎖が、阻害されるべき前記標的遺伝子から転写されるRNAの少なくとも一部に少なくとも部分的に相補的であり、第1の鎖が、末端の5'-(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドを有し、末端の5'-(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドが、ホスホジエステル結合によって第1の鎖における第2のヌクレオチドに連結され、核酸分子が、リガンドにコンジュゲートされる、核酸を提供する。
【0224】
核酸は、本明細書中に記載するリガンドにコンジュゲートされうる。第1の鎖及び/又は第2の鎖のヌクレオチドは、本明細書中に記載するように修飾されうる。
【0225】
リガンドは、GalNAcを含んでよく、図13a又は図13b又は図13c、好ましくは図13cに提示される構造を有してよい。
【0226】
本発明のコンジュゲートにおいて、リガンド部は、リンカー部分と、ターゲティングリガンドとを含んでよく、ここで、リンカー部分は、ターゲティングリガンドを、核酸部に連結させる。
【0227】
本発明はまた、核酸部と、リガンド部とを含む、細胞における標的遺伝子の発現を阻害するためのコンジュゲートであって、前記核酸部が、本明細書中のいずれかに定義される本発明による核酸を含み、前記リガンド部が、セリノール由来のリンカー部分と、細胞のインビボでのターゲティング用の、専らRNA鎖の一方若しくは両方の3'及び/又は5'末端にコンジュゲートされるターゲティングリガンドとを含み、ここで、第1のRNA鎖の5'末端はコンジュゲートされず、
(i)第2のRNA鎖が、5'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、(a)第2のRNA鎖はまた、3'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、且つ第1のRNA鎖の3'末端はコンジュゲートされないか、又は(b)第1のRNA鎖は、3'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、且つ第2のRNA鎖の3'末端はコンジュゲートされないか、又は(c)また、第2のRNA鎖及び第1の鎖はともに、3'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、或いは
(ii)第2のRNA鎖及び第1のRNA鎖はともに、3'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、第1のRNA鎖の5'末端はコンジュゲートされない、
コンジュゲートに関する。
【0228】
本発明は、核酸部と、リガンド部とを含む、細胞におけるTMPRSS6遺伝子の発現を阻害するためのコンジュゲートであって、前記核酸部が、本明細書中のいずれかに定義される本発明による核酸を含み、核酸の第1の鎖が、前記TMPRSS6遺伝子から転写されるRNAの少なくとも一部に少なくとも部分的に相補的であり、前記リガンド部が、セリノール由来のリンカー部分と、細胞のインビボでのターゲティング用の、専らRNA鎖の一方若しくは両方の3'及び/又は5'末端にコンジュゲートされるターゲティングリガンドとを含み、第1のRNA鎖の5'末端はコンジュゲートされず、
(i)第2のRNA鎖が、5'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、(a)第2のRNA鎖はまた、3'末端でもターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、且つ第1のRNA鎖の3'末端はコンジュゲートされ、或いは
(ii)前記第1の鎖が、修飾ヌクレオチドを複数の位置で包含し、第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドは、2'-OMe修飾で修飾されず、第1の鎖の11位、12位、及び13位に反対側の第2の鎖の位置(19量体では、5'末端から第2の鎖の7位、8位、及び9位に相当する)は、2'-OMe修飾で修飾されない
コンジュゲートを包含する。
【0229】
任意選択により、第1の鎖は、ヌクレオチド配列:
(vp)- mU fA mC fC mA fG mA fA mG fA mA fG mC fA mG fG mU (ps) fG (ps) mA(配列番号9)を含んでよく、及び/又は(好ましくは、及び)第2の鎖は、ヌクレオチド配列:
Ser(GN) (ps) fU (ps) mC (ps) fA mC fC mU fG mC fU mU fC mU fU mC fU mG fG (ps) mU (ps) fA (ps) Ser(GN)(配列番号10)を含んでよい。
【0230】
リンカー部分は、例えば、セリノール由来のリンカー部分又は本明細書中に記載する他のリンカータイプの1つでありうる。
【0231】
本発明の或る実施形態において、下記の模式的な構造を有するコンジュゲートが形成されるように、第2のRNA鎖(すなわち、センス鎖)は、5'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、第1のRNA鎖(すなわち、アンチセンス鎖)は、3'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、第2のRNA鎖(すなわち、センス鎖)の3'末端はコンジュゲートされない:
【化23】
【0232】
本発明の或る実施形態において、下記の模式的な構造を有するコンジュゲートが形成されるように、第2のRNA鎖(すなわち、センス鎖)は、5'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、第2のRNA鎖(すなわち、センス鎖)はまた、3'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、第1のRNA鎖(すなわち、アンチセンス鎖)の3'末端はコンジュゲートされない:
【化24】
【0233】
本発明の或る実施形態において、下記の模式的な構造を有するコンジュゲートが形成されるように、第2のRNA鎖(すなわち、センス鎖)及び第1のRNA鎖(すなわち、アンチセンス鎖)はともに、3'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、第2のRNA鎖(すなわち、センス鎖)の5'末端はコンジュゲートされない:
【化25】
【0234】
本発明の或る実施形態において、下記の模式的な構造を有するコンジュゲートが形成されるように、第2のRNA鎖(すなわち、センス鎖)は、5'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、また、第2のRNA鎖(すなわち、センス鎖)及び第1のRNA鎖(すなわち、アンチセンス鎖)はともに、3'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされる:
【化26】
【0235】
上記実施形態のいずれか1つにおいて、
【化27】
は、リガンドを核酸部の両端にコンジュゲートするリンカーを示し、リガンドは、GalNAc等のGalNAc部分であってよく、ここで、
【化28】
は、核酸部を表す。
【0236】
これらの模式図は、第1の鎖又は第2の鎖におけるヌクレオチドの数を限定すると意図されず、また図は、塩基の相補性に対するいかなる種類の限定又は任意の他の限定を表さない。
【0237】
リガンドは、単量体又は多量体(例えば、二量体、三量体等)でありうる。
【0238】
適切には、リガンドは単量体であり、したがって、単一のターゲティングリガンド部分、例えば単一のGalNA部分を含有する。
【0239】
代替的には、リガンドは、それぞれが単一のターゲティングリガンド部分に連結された、セリノール由来のリンカー部分等の2つのリンカー部分を含む。
【0240】
リガンドは、三量体リガンドであってよく、ここで、リガンドの一部は、それぞれが単一のターゲティングリガンド部に連結される、セリノール由来のリンカー部分等の3つのリンカー部分を含む。
【0241】
セリノール由来のリンカー部分等の2つ又は3つのリンカー部分は、例えば以下に示すように、順次連結されうる:
【化29】
(式中、nは、1又は2であり、Yは、S又はOである)。
【0242】
好ましくは、リガンドは単量体である。
【0243】
適切には、コンジュゲートされたRNA鎖は、更なるリンカーを包含するリンカー部分、好ましくはセリノール由来のリンカー部分を介してターゲティング部分にコンジュゲートされ、ここで、更なるリンカーは、飽和の未分岐状又は分岐状のC1~15アルキル鎖であるか、又は飽和の未分岐状又は分岐状のC1~15アルキル鎖を含み、任意選択により、1つ又は複数の炭素(例えば、1つ、2つ又は3つの炭素、適切には、1つ又は2つ、特に1つ)は、O、N、S(0)p(式中、pは、0、1又は2である)から選択されるヘテロ原子で置き換えられ(例えば、CH2基は、Oで、又はNHで、又はSで、又はSO2で置き換えられるか、又は鎖の末端にあるか、若しくは分岐上の-CH3基は、OHで、又はNH2で置き換えられる)、ここで、前記鎖は、任意選択により、1つ又は複数のオキソ基(例えば、1つの基等の1つ~3つの基)によって置換される。
【0244】
適切には、リンカー部分は、セリノール由来のリンカー部分である。「セリノール由来のリンカー部分」という用語は、下記の構造を含む:
【化30】
【0245】
前記構造のO原子は通常、RNA鎖に連結し、N原子は通常、ターゲティングリガンドに連結する。
【0246】
より適切には、更なるリンカーは、飽和の未分岐状C1~C15アルキル鎖を含み、ここで、1つ又は複数の炭素原子(例えば、1つ、2つ又は3つの炭素、適切には、1つ又は2つ、特に1つ)は、酸素原子によって置き換えられる。
【0247】
より適切には、更なるリンカーは、PEG鎖を含む。
【0248】
より適切には、更なるリンカーは、飽和の未分岐状C1~15アルキル鎖を含む。
【0249】
より適切には、更なるリンカーは、飽和の未分岐状C1~6アルキル鎖を含む。
【0250】
より適切には、更なるリンカーは、飽和の未分岐状C4又はC6アルキル鎖、例えばC4アルキル鎖を含む。
【0251】
或る実施形態において、
【化31】
は、式(V):
【化32】
(式中、n、Y及びL1は、以下で定義され、ホスホロ基のOは、RNA鎖の末端のオリゴヌクレオチドに結合される)
の連結部分である。
【0252】
したがって、或る実施形態において、ターゲティングリガンド部は、式(VI):
【化33】
(式中、n、Y及びL1は、以下で定義され、ホスホロ基のOは、RNA鎖の末端のオリゴヌクレオチドに結合される)
の連結部分である。
【0253】
適切には、
【化34】
は、式(VII):
【化35】
(式中、n、Y、R1及びLは、以下で定義され、Lは、ターゲティングリガンド、例えば、GalNAcに結合され、ホスホロ基のOは、RNA鎖の末端のオリゴヌクレオチドに結合される)
の連結部分である。
【0254】
適切には、ターゲティングリガンド部は、式(VIII):
【化36】
(式中、n、Y、R1及びLは、以下で定義され、ホスホロ基のOは、RNA鎖の末端のオリゴヌクレオチドに結合される)
の連結部分である。
【0255】
適切には、
【化37】
は、下記式(IX):
【化38】
(式中、n、Y及びL2は、以下で定義され、ホスホロ基のOは、RNA鎖の末端のオリゴヌクレオチドに結合される)
の連結部分である。
【0256】
適切には、ターゲティングリガンド部は、式(X):
【化39】
(式中、n、Y及びL2は、以下で定義され、ホスホロ基のOは、RNA鎖の末端のオリゴヌクレオチドに結合される)
の連結部分である。
【0257】
適切には、
【化40】
は、式(XI):
【化41】
(式中、F、Y及びLは、以下で定義され、ホスホロ基のOは、RNA鎖の末端のオリゴヌクレオチドに結合される)
の連結部分である。
【0258】
適切には、ターゲティングリガンド部は、式(XII):
【化42】
(式中、F、Y及びLは、以下で定義され、ホスホロ基のOは、RNA鎖の末端のオリゴヌクレオチドに結合される)
の連結部分である。
【0259】
上記構造のいずれかにおいて、適切には、リガンドは、GalNAc及びガラクトース部分、特にGalNAc部分から選択される。代替的には、GalNAcは、別のターゲティングリガンド、例えば糖類によって置き換えられうる。
【0260】
本発明の或る実施形態において、第1のRNA鎖は、式(XIII):
【化43】
(式中、bは、好ましくは0又は1である)
の化合物であり、
第2のRNA鎖は、式(XIV):
【化44】
(式中、
c及びdは、独立して、好ましくは0又は1であり、
Z1及びZ2は、それぞれ第1のRNA鎖及び第2のRNA鎖のRNA部であり、
Yは、O又はSであり、
nは、0、1、2又は3であり、
L1は、リガンドが結合されるリンカーであり、
b+c+dは、好ましくは2又は3である)
の化合物である。
【0261】
好ましくは、式(XIII)及び式(XIV)中のL1は、式(XV):
【化45】
(式中、
Lは、
-(CH2)r-C(0)-(式中、r=2~12である)、
-(CH2-CH2-0)s-CH2-C(0)-(式中、s=1~5である)、
-(CH2)t-C0-NH-(CH2)t-NH-C(0)-(式中、tは、独立して、1~5である)、
-(CH2)u-C0-NH-(CH2)u-C(0)-(式中、uは、独立して、1~5である)、及び
-(CH2)v-NH-C(0)-(式中、vは、2~12である)
(式中、末端のC(O)は、存在する場合、式(XV)のXに結合される)
を含む群、又は好ましくはこれらからなる群から選択され、
或いはXが存在しない場合は、式(XV)のW1に結合され、或いはW1も存在しない場合には、式(XV)のVに結合され、
W1、W3及びW5は、独立して、存在しないか、或いは
-(CH2)r-(式中、r=1~7である)、
-(CH2)s-0-(CH2)s-(式中、sは、独立して、0~5である)、
-(CH2)t-S-(CH2)t-(式中、tは、独立して、0~5である)
を含む群、又は好ましくはこれらからなる群から選択され、
Xは、存在しないか、或いはNH、NCH3若しくはNC2H5を含む群、又は好ましくはこれらからなる群から選択され、
Vは、
【化46】
(式中、Bは、存在する場合、修飾核酸塩基又は天然核酸塩基である)
を含む群、又は好ましくはこれらからなる群から選択される)
を有する。
【0262】
適切には、第1のRNA鎖は、式(XVI):
【化47】
(式中、bは0又は1である)
の化合物であり、
第2のRNA鎖は、式(XVII):
【化48】
(式中、
c及びdは、独立して、0又は1であり、
Z1及びZ2は、それぞれ第1のRNA鎖及び第2のRNA鎖のRNA部であり、
Yは、O又はSであり、
R1は、H又はメチルであり、
nは、0、1、2又は3であり、
Lは、式(XVI)及び式(XVII)において同じであるか、又は異なり、
-(CH2)r-C(0)-(式中、r=2~12である)、
-(CH2-CH2-0)s-CH2-C(0)-(式中、s=1~5である)、
-(CH2)t-C0-NH-(CH2)t-NH-C(0)-(式中、tは、独立して、1~5である)、
-(CH2)u-C0-NH-(CH2)u-C(0)-(式中、uは、独立して、1~5である)、及び
-(CH2)v-NH-C(0)-(式中、vは、2~12である)
(式中、末端のC(O)は(存在する場合)、NH基に結合される)
からなる群から選択され、
b+c+dは、2又は3である)
の化合物である。
【0263】
一例では、bは0であり、cは1であり、dは1である。別の例では、bは1であり、cは0であり、dは1である。別の例では、bは1であり、cは1であり、dは0である。別の例では、bは1であり、cは1であり、dは1である。
【0264】
一例では、YはOである。別の例では、YはSである。
【0265】
一例では、R1はHである。別の例では、R1はメチルである。
【0266】
一例では、nは0である。
【0267】
一例では、Lは、-(CH2)r-C(O)-(式中、r=2~12である)である。好ましくは、r=2~6である。より好ましくは、r=4又は6、例えば4である。
【0268】
或る態様において、第1の鎖は、式(XVIII)
【化49】
(式中、
bは、好ましくは0又は1である)
の化合物であり、第2の鎖は、式(XIX):
【化50】
(式中、
c及びdは、独立して、好ましくは0又は1である)
の化合物であり、
Z1及びZ2は、それぞれ第1のRNA鎖及び第2のRNA鎖のRNA部であり、
Yは、独立して、O又はSであり、
R1は、H又はメチルであり、
nは、独立して、好ましくは0、1、2又は3であり、
Lは、式(XVIII)及び式(XIX)において同じであるか、又は異なり、Lが同じ式内で1回よりも多く存在する場合、式(XVIII)及び式(XIX)内で同じであるか、又は異なり、
-(CH2)r-C(0)-(式中、r=2~12である)、
-(CH2-CH2-0)s-CH2-C(0)-(式中、s=1~5である)、
-(CH2)t-C0-NH-(CH2)t-NH-C(0)-(式中、tは、独立して、1~5である)、
-(CH2)u-C0-NH-(CH2)u-C(0)-(式中、uは、独立して、1~5である)、及び
-(CH2)v-NH-C(0)-(式中、vは、2~12である)
(式中、末端のC(O)は、存在する場合、NH基(リンカーのものであり、ターゲティングリガンドのものではない)に結合される)
を含む群、又は好ましくはこれらからなる群から選択され、
b+c+dは、好ましくは2又は3である)
の化合物である。
【0269】
適切には、第1のRNA鎖は、式(XX):
【化51】
(式中、
bは、好ましくは0又は1である)
の化合物であり、
第2の鎖は、式(XXI):
【化52】
(式中、
c及びdは、独立して、好ましくは0又は1であり、
Z1及びZ2は、それぞれ第1のRNA鎖及び第2のRNA鎖のRNA部であり、
Yは、O又はSであり、
nは、0、1、2又は3であり、
L2は、式(XX)及び式(XXI)において同じであるか、又は異なり、b、c及びdでくくられた部分において同じであるか、又は異なり、
【化53】
からなる群から選択されるか、或いは
nは0であり、
L2は、
【化54】
であり、末端のOH基は、下記部分:
【化55】
(式中、
Fは、飽和の分岐状若しくは未分岐状(例えば、未分岐状)のC1~8アルキル(例えば、C1~6アルキル)鎖であり、炭素原子の1つは、前記酸素原子が別のヘテロ原子(例えば、O又はN原子)から少なくとも2つの炭素原子分だけ分離されている場合には、任意選択により、酸素原子で置き換えられ、
Lは、式(XX)及び式(XXI)において同じであるか、又は異なり、
-(CH2)r-C(0)-(式中、r=2~12である)、
-(CH2-CH2-0)s-CH2-C(0)-(式中、s=1~5である)、
-(CH2)t-C0-NH-(CH2)t-NH-C(0)-(式中、tは、独立して、1~5である)、
-(CH2)u-C0-NH-(CH2)u-C(0)-(式中、uは、独立して、1~5である)、及び
-(CH2)v-NH-C(0)-(式中、vは、2~12である)
(式中、末端のC(O)(存在する場合)は、NH基に結合される)
からなる群から選択され、
b+c+dは、好ましくは2又は3である)
が形成されるように存在しない)
の化合物である。
【0270】
上記式のいずれか1つにおいて、GalNAcが存在する場合、GalNAcは、本明細書中に記載するもの等の任意の他のターゲティングリガンドに代わって置換されうる。
【0271】
適切には、bは0であり、cは1であり、dは1であるか、bは1であり、cは0であり、dは1であるか、bは1であり、cは1であり、dは0であるか、又はbは1であり、cは1であり、dは1である。
【0272】
より適切には、bは0であり、cは1であり、dは1であるか、bは1であり、cは0であり、dは1であるか、又はbは1であり、cは1であり、dは1である。
【0273】
最も適切には、bは0であり、cは1であり、dは1である。
【0274】
一実施形態において、YはOである。別の実施形態において、YはSである。
【0275】
一実施形態において、R1は、H又はメチルである。一実施形態において、R1はHである。別の実施形態において、R1はメチルである。
【0276】
一実施形態において、nは0、1、2又は3である。適切には、nは0である。
【0277】
一実施形態において、Lは、
-(CH2)r-C(0)-(式中、r=2~12である)、
-(CH2-CH2-0)s-CH2-C(0)-(式中、s=1~5である)、
-(CH2)t-C0-NH-(CH2)t-NH-C(0)-(式中、tは、独立して、1~5である)、
-(CH2)u-C0-NH-(CH2)u-C(0)-(式中、uは、独立して、1~5である)、及び
-(CH2)v-NH-C(0)-(式中、vは、2~12である)
(式中、末端のC(O)は、NH基に結合される)
からなる群から選択される。
【0278】
適切には、Lは、-(CH2)r-C(O)-(式中、r=2~12である)である。適切には、r=2~6である。より適切には、r=4又は6、例えば4である。
【0279】
適切には、Lは、
【化56】
である。
【0280】
例となるF部分としては、(CH2)1~6、例えば、(CH2)1~4、例えばCH2、(CH2)4、(CH2)5若しくは(CH2)6、又はCH20(CH2)2~3、例えばCH20(CH2)CH3が挙げられる。
【0281】
適切には、L2は、
【化57】
である。
【0282】
適切には、L2は、
【化58】
である。
【0283】
適切には、L2は、
【化59】
である。
【0284】
適切には、L2は、
【化60】
である。
【0285】
適切には、nは0であり、L2は、
【化61】
であり、末端のOH基は、下記部分:
【化62】
(式中、Yは、本明細書中の他の箇所で定義される通りである)
が形成されるように存在しない。
【0286】
b、c及びdでくくられた部分内で、L2は通常、同じである。b、c及びdでくくられた部分間では、L2は、同じでありうるか、又は異なりうる。或る実施形態において、cでくくられた部分におけるL2は、dでくくられた部分におけるL2と同じである。或る実施形態において、cでくくられた部分におけるL2は、dでくくられた部分におけるL2と同じではない。或る実施形態において、b、c及びdでくくられた部分におけるL2は、例えば、リンカー部分がセリノール由来のリンカー部分である場合に同じである。
【0287】
セリノール由来のリンカー部分は、すなわち、L-セリン異性体、D-セリン異性体、ラセミセリン又は異性体の他の組合せに由来する任意の立体化学のセリノールに基づきうる。本発明の好ましい態様において、セリノール-GalNAc部分(SerGN)は、下記の立体化学:
【化63】
を有し、すなわち、L-セリン異性体に由来する(S)-セリノール-アミダイト又はコハク酸(S)-セリノール固体担持構成要素に基づく。
【0288】
好ましい態様において、核酸の第1の鎖は、式(XVIII)の化合物であり、核酸の第2の鎖は、式(XIX)の化合物であり、式中、
bは0であり、
c及びdは1であり、
nは0であり、
Z1及びZ2は、それぞれ核酸の第1の鎖及び第2の鎖であり、
YはSであり、
R1はHであり、
Lは、-(CH2)4-C(O)-(式中、Lの末端のC(O)は、リンカーのN原子(すなわち、ターゲティングリガンドの考えうるN原子ではない)に結合される)である。
【0289】
別の好ましい態様において、核酸の第1の鎖は、式(XIII)の化合物であり、核酸の第2の鎖は、式(XIV)の化合物であり、式中、
bは0であり、
c及びdは1であり、
nは0であり、
Z1及びZ2は、それぞれ核酸の第1の鎖及び第2の鎖であり、
YはSであり、
L1は、式(XV):
(式中、
W1は、-CH2-O-(CH2)3-であり、
W3は、-CH2-であり、
W5は存在せず、
Vは、CHであり、
Xは、NHであり、
Lは、-(CH2)4-C(O)-(式中、Lの末端のC(O)は、式(XV)におけるXのN原子に結合される)である)を有する。
【0290】
別の好ましい態様において、核酸の第1の鎖は、式(XIII)の化合物であり、核酸の第2の鎖は、式(XIV)の化合物であり、式中、
bは0であり、
c及びdは1であり、
nは0であり、
Z1及びZ2は、それぞれ核酸の第1の鎖及び第2の鎖であり、
YはSであり、
L1は、式(XV):
(式中、
W1、W3及びW5は存在せず、
Vは、
【化64】
であり、
Xは存在せず、
Lは、-(CH2)4-C(O)-NH-(CH2)5-CO-(式中、Lの末端のC(O)は、式(XV)におけるVのN原子に結合される)を有する。
【0291】
一実施形態において、標的を定めた細胞は、肝細胞である。
【0292】
一実施形態において、リンカー部分は、セリノール由来のリンカー部分であり、ターゲティングリガンドは、専ら核酸の第1の鎖及び第2の鎖の一方若しくは両方の3'及び/又は5'末端にコンジュゲートされ、ここで、第1のRNA鎖の5'末端はコンジュゲートされず、
(i)第2のRNA鎖は、5'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、(a)第2のRNA鎖はまた、3'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、且つ第1のRNA鎖の3'末端はコンジュゲートされないか、又は(b)第1のRNA鎖は、3'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、且つ第2のRNA鎖の3'末端はコンジュゲートされないか、又は(c)また、第2のRNA鎖及び第1の鎖はともに、3'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、或いは
(ii)第2のRNA鎖及び第1のRNA鎖はともに、3'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、第2のRNA鎖の5'末端はコンジュゲートされず、
(iii)前記第1の鎖は、修飾ヌクレオチドを複数の位置で包含し、第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドは、2'-OMe修飾で修飾されない(すなわち、それらは、2'-0Me以外の修飾を有するか、又は未修飾である)。
【0293】
本発明のコンジュゲートの一実施形態において、第2の鎖は、5'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、第2の鎖はまた、3'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、第1の鎖の3'末端はコンジュゲートされない。
【0294】
本発明のコンジュゲートの一実施形態において、第2の鎖は、5'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、第1の鎖は、3'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、第2の鎖の3'末端はコンジュゲートされない。
【0295】
本発明のコンジュゲートの一実施形態において、第2の鎖は、5'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、また、第2の鎖及び第1の鎖はともに、3'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされる。
【0296】
本発明のコンジュゲートの一実施形態において、第2の鎖及び第1の鎖はともに、3'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、第2の鎖の5'末端はコンジュゲートされない。
【0297】
逆位ヌクレオチド
本発明の核酸又はコンジュゲートの一実施形態において、第1の鎖及び第2の鎖の少なくとも1つの3'末端での末端のヌクレオチドは、逆位ヌクレオチドであり、末端のヌクレオチドの3'炭素及び隣接ヌクレオチドの3'末端を介して、隣接ヌクレオチドに結合され、及び/又は第1の鎖及び第2の鎖の少なくとも1つの5'末端での末端のヌクレオチドは、逆位ヌクレオチドであり、末端のヌクレオチドの5'炭素及び隣接ヌクレオチドの5'末端を介して、隣接ヌクレオチドに結合され、或いは核酸は、ホスホロジチオエート結合を含む。
【0298】
本発明の核酸は、鎖の末端の1つ又は複数で逆RNAヌクレオチドを含みうる。かかる逆位ヌクレオチドは、核酸に対して安定性を提供する。好ましくは、核酸は、第1の鎖及び/又は第2の鎖の3'末端で、及び/又は第2の鎖の5'末端で少なくとも逆位ヌクレオチドを含む。より好ましくは、核酸は、第2の鎖の3'末端で逆位ヌクレオチドを含む。最も好ましくは、核酸は、第2の鎖の3'末端で逆位RNAヌクレオチドを含み、このヌクレオチドは、好ましくは逆位Aである。逆位ヌクレオチドは、通常はそうであろうその5'炭素によるものではなく、その3'炭素により核酸の3'末端に連結されるか、又は通常はそうであろうその3'炭素によるものではなく、その5'炭素により核酸の5'末端に連結される。逆位ヌクレオチドは、好ましくはオーバーハングとしてではなく、他の鎖における相当するヌクレオチドの反対側に、鎖の末端にて存在する。したがって、核酸は、好ましくは逆位RNAヌクレオチドを含む末端で平滑末端である。逆位RNAヌクレオチドが、鎖の末端で存在することは、好ましくは、鎖のこの末端での最終ヌクレオチドが逆位RNAヌクレオチドであることを意味する。かかるヌクレオチドを有する核酸は、安定であり、合成しやすい。逆位RNAヌクレオチドは、それが天然のヌクレオチド対応物と比較していかなる修飾も含まないという意味では、未修飾ヌクレオチドであることが好ましい。具体的には、逆位RNAヌクレオチドは、好ましくは2'-OHヌクレオチドである。
【0299】
切断可能なリンカー
切断可能な連結基は、細胞外では安定であるが、標的細胞に入ると切断されるリンカーである。切断は、リンカーが一緒にまとまっている状態の2つの部分を遊離させる。
【0300】
好ましい実施形態において、本発明の核酸は、標的細胞中で、又は第1の基準条件(これは例えば、細胞内条件を模倣又は表すように選択されうる)下で、対象の血液中又は第2の基準条件(これは例えば、血液又は血清に見られる条件を模倣又は表すように選択されうる)下よりも少なくとも10倍又はそれ以上、好ましくは少なくとも100倍速く切断される、切断可能な連結基を含む。
【0301】
切断可能な連結基は、切断因子、例えばpH、酸化還元電位、又は分解性分子の存在の影響を受けやすい。分解性分子としては、酸化性若しくは還元性の酵素、還元剤(例えばメルカプタン)、エステラーゼ、エンドソーム又は酸性環境を作り出すことができる因子、一般酸として作用することによって酸切断可能な連結基を加水分解若しくは分解することができる酵素、ペプチダーゼ、及びホスファターゼが挙げられる。
【0302】
切断可能な連結基は、pHの影響を受けやすいジスルフィド結合でありうる。
【0303】
リンカーは、特定の酵素によって切断可能である切断可能な連結基を含みうる。リンカーに組み込まれる切断可能な連結基のタイプは、標的細胞に依存しうる。例えば、肝臓細胞が標的である場合、エステル基を含むリンカーが好ましい。ペプチダーゼが豊富な細胞、例えば肝臓細胞及び滑膜細胞等を標的とする場合は、ペプチド結合を含有するリンカーが使用されうる。
【0304】
一般的に、候補の切断可能な連結基の適合性は、分解性因子(又は条件)の、候補の連結基を切断する能力を試験することによって評価することができる。また、血液中で、又は他の非標的組織との接触時に切断に抵抗する能力について、候補の切断可能な連結基を試験することも望ましい。好ましい実施形態において、有用な候補の化合物は、細胞中で(又は細胞内条件を模倣するように選択されたインビトロ条件下で)、血液又は血清(又は細胞外条件を模倣するように選択されたインビトロ条件下)と比較して、少なくとも2、4、10、又は100倍速く切断される。
【0305】
一態様において、切断可能な連結基は、酸化還元切断可能な連結基でありうる。酸化還元切断可能な連結基は、ジスルフィド連結基でありうる。
【0306】
一態様において、連結基は、ホスフェートベースの切断可能な連結基でありうる。好ましい実施形態は、-O-P(O)(OH)-O-、-O-P(S)(OH)-O-、-O-P(S)(SH)-O-、-S-P(O)(OH)-O-、-O-P(O)(OH)-S-、-S-P(O)(OH)-S-、-O-P(S)(OH)-S-、-S-P(S)(OH)-O-、-O-P(O)(H)-O-、-O-P(S)(H)-O-、-S-P(O)(H)-O-、-S-P(S)(H)-O-、-S-P(O)(H)-S-、-O-P(S)(H)-S-である。好ましい実施形態は、-O-P(O)(OH)-O-である。
【0307】
一態様において、切断可能な連結基は、酸切断可能な連結基でありうる。好ましくは、酸切断可能な連結基は、pHが6.5又はそれ未満である環境で切断されるか、又は一般酸として作用することができる酵素等の因子によって切断される。酸切断可能な連結基の例としては、ヒドラゾン、エステル、及びアミノ酸のエステルが挙げられるが、これらに限定されない。酸切断可能な基は、一般式-C=NN-、C(O)O、又は-OC(O)を有しうる。好ましい実施形態は、エステルの酸素に結合した炭素(アルコキシ基)が、アリール基、置換アルキル基、又はジメチルペンチル若しくはt-ブチル等の三級アルキル基である連結基である。
【0308】
一実施形態において、切断可能な連結基は、エステルベースの切断可能な連結基でありうる。エステルベースの切断可能な連結基の例としては、アルキレン基、アルケニレン基及びアルキニレン基のエステルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0309】
一実施形態において、切断可能な連結基は、ペプチドベースの切断可能な連結基でありうる。ペプチドベースの切断可能な連結基は、オリゴペプチド(例えば、ジペプチド、トリペプチド等)及びポリペプチドをもたらすようにアミノ酸間に形成されるペプチド結合である。ペプチドベースの切断基は概して、アミノ酸間に形成されて、ペプチド及びタンパク質をもたらすペプチド結合(すなわち、アミド結合)に限定され、アミド官能基全体を含まない。ペプチドベースの切断可能な連結基は、一般式-NHCHRAC(O)NHCHRBC(O)-(式中、RA及びRBは、2つの隣接アミノ酸のR基である)を有する。
【0310】
脂質配合物
本明細書類中に記載する核酸は、脂質を用いてリポソームの形態で配合されうる。かかる配合物は、当技術分野ではリポプレックスとして記載されうる。脂質/リポソームを有する組成物は、本発明の核酸の、標的細胞への送達を補助するのに使用されうる。本明細書中に記載する脂質送達系は、コンジュゲートされたリガンドの代替物として使用されうる。本発明の核酸を、脂質送達系と、又はリガンドコンジュゲート送達系と共に使用する場合、本明細書中に記載する修飾が存在してよい。
【0311】
かかるリポプレックスは、
i)カチオン性脂質、又はその薬学的に許容される塩、
ii)ステロイド、
iii)ホスファチジルエタノールアミンリン脂質、
iv)PEG化脂質
を含む脂質組成物を含みうる。
【0312】
カチオン性脂質は、アミノカチオン性脂質でありうる。
【0313】
カチオン性脂質は、式(XXII):
【化65】
又はその薬学的に許容される塩
(式中、
Xは、O、S又はNHを表し、
R1及びR2は、それぞれ独立して、C4~C22直鎖状若しくは分岐状アルキル鎖又は1つ若しくは複数の二重結合を有するC4~C22直鎖状若しくは分岐状アルケニル鎖を表し、アルキル鎖又はアルケニル鎖は、任意選択により、介在するエステル、アミド又はジスルフィドを含有し、
XがS又はNHを表す場合、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、モノアミン若しくはポリアミン部分を表すか、又はR3及びR4は一緒にヘテロシクリル環を形成し、
XがOを表す場合、R3及びR4は、それぞれ独立して、水素、メチル、エチル、モノアミン若しくはポリアミン部分を表すか、又はR3及びR4は一緒にヘテロシクリル環を形成するか、又はR3が水素を表し、R4がC(NH)(NH2)を表す)
を有しうる。
【0314】
カチオン性脂質は、式(XXIII):
【化66】
又はその薬学的に許容される塩を有しうる。
【0315】
カチオン性脂質は、式(XXIV):
【化67】
又はその薬学的に許容される塩を有しうる。
【0316】
カチオン性脂質成分の含有量は、配合物の脂質含有量全体の約55モル%~約65モル%でありうる。特に、カチオン性脂質成分は、配合物の脂質含有量全体の約59モル%である。
【0317】
配合物は、ステロイドを更に含み、ステロイドは、コレステロールでありうる。ステロイドの含有量は、脂質配合物の脂質含有量全体の約26モル%~約35モル%でありうる。より具体的には、ステロイドの含有量は、脂質配合物の脂質含有量全体の約30モル%でありうる。
【0318】
ホスファチジルエタノールアミンリン脂質は、1,2-ジフィタノイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DPhyPE)、1,2-ジオレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DOPE)、1,2-ジステアロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSPE)、1,2-ジラウロイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DLPE)、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DMPE)、1,2-ジパルミトイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DPPE)、1,2-ジリノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DLoPE)、1-パルミトイル-2-オレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(POPE)、1,2-ジエルコイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DEPE)、1,2-ジスクアレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(DSQPE)及び1-ステアロイル-2-リノレオイル-sn-グリセロ-3-ホスホエタノールアミン(SLPE)からなる群から選択されうる。リン脂質の含有量は、組成物の脂質含有量全体の約10モル%でありうる。
【0319】
PEG化脂質は、1,2-ジミリストイル-sn-グリセロール、メトキシポリエチレングリコール(DMG-PEG)及びC16-セラミド-PEGからなる群から選択されうる。PEG化脂質の含有量は、配合物の脂質含有量全体の約1モル%~5モル%でありうる。
【0320】
組成物中のカチオン性脂質成分の含有量は、脂質配合物の脂質含有量全体の約55モル%~約65モル%、好ましくは脂質配合物の脂質含有量全体の約59モル%でありうる。
【0321】
組成物は、55:34:10:1、56:33:10:1、57:32:10:1、58:31:10:1、59:30:10:1、60:29:10:1、61:28:10:1、62:27:10:1、63:26:10:1、64:25:10:1、及び65:24:10:1から選択されうるi):ii):iii):iv)の成分のモル比を有しうる。
【0322】
組成物は、構造
【化68】
を有するカチオン性脂質、構造
【化69】
を有するステロイド、構造
【化70】
を有するホスファチジルエタノールアミンリン脂質、及び構造
【化71】
を有するPEG化脂質を含みうる。
【0323】
中性リポソーム組成物は、例えば、ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)又はジパルミトイルホスファチジルコリン(DPPC)から形成されうる。アニオン性リポソーム組成物は、ジミリストイルホスファチジルグリセロールから形成されうる一方で、アニオン性膜融合リポソームは、主にジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)から形成されうる。別のタイプのリポソーム組成物は、ホスファチジルコリン(PC)、例えば、ダイズPC、及び卵PC等から形成されうる。別のタイプは、リン脂質及び/又はホスファチジルコリン及び/又はコレステロールの混合物から形成される。
【0324】
正に帯電した合成カチオン性脂質であるN-[1-(2,3-ジオレイルオキシ)プロピル]-N,N,N-トリメチルアンモニウムクロリド(DOTMA)を使用して、核酸と自発的に相互作用して、組織培養細胞の細胞膜の負に帯電した脂質と融合することが可能な脂質-核酸複合体を形成する小さなリポソームを形成することができる。また、DOTMA類似体を使用して、リポソームを形成することができる。
【0325】
本明細書中に記載する脂質の誘導体及び類似体を使用して、リポソームを形成しうる。
【0326】
核酸を含有するリポソームは、種々の方法によって調製することができる。一例において、脂質成分を用いてミセルが形成されるように、リポソームの脂質成分を洗浄剤中に溶解させる。例えば、脂質成分は、両親媒性カチオン性脂質又は脂質コンジュゲートでありうる。洗浄剤は高い臨界ミセル濃度を有することができ、非イオン性でありうる。例示的な洗浄剤としては、コール酸塩、CHAPS、オクチルグルコシド、デオキシコール酸塩、及びラウロイルサルコシンが挙げられる。次いで、脂質成分を含むミセルに核酸調製物を添加する。脂質上のカチオン性基が核酸と相互作用し、核酸の周りで縮合してリポソームを形成する。縮合後、例えば透析によって洗浄剤を除去して、核酸のリポソーム調製物を得る。
【0327】
必要に応じて、縮合を補助する担体化合物は、例えば制御された添加によって、縮合反応中に添加されうる。例えば、担体化合物は、核酸以外のポリマー(例えば、スペルミン又はスペルミジン)でありうる。縮合に有利に働くようにpHを調節することができる。
【0328】
界面活性剤
核酸配合物は、界面活性剤を含みうる。一実施形態において、核酸は、界面活性剤を含むエマルジョンとして配合される。
【0329】
イオン化されていない界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。例としては、エチレングリコールエステル、プロピレングリコールエステル、グリセリルエステル等の非イオン性エステル、非イオン性アルカノールアミド、並びに脂肪アルコールエトキシレート、プロポキシ化アルコール、及びエトキシ化/プロポキシ化ブロックポリマー等のエーテルが挙げられる。
【0330】
水中に溶解又は分散されると負の電荷を帯びる界面活性剤は、アニオン性界面活性剤である。例としては、カルボキシレート、例えばセッケン、アシルアクリレート、アミノ酸のアシルアミド、アルキルサルフェート及びエトキシ化アルキルサルフェート等の硫酸のエステル、アルキルベンゼンスルホネート、アシルイセチオネート、アシルタウレート類及びスルホスクシネート等のスルホネート、並びにホスフェートが挙げられる。
【0331】
水中に溶解又は分散されると正の電荷を帯びる界面活性剤は、カチオン性界面活性剤である。例としては、四級アンモニウム塩及びエトキシル化アミンが挙げられる。
【0332】
正又は負の電荷のいずれかを帯びる能力を有する界面活性剤は、両性界面活性剤である。例としては、アクリル酸誘導体、置換アルキルアミド、N-アルキルベタイン、及びホスファチドが挙げられる。
【0333】
「ミセル」という用語は、本明細書中では、分子の疎水性部の全てが内向きになり、親水性部が周囲の水相と接触した状態になるよう、両親媒性分子が球状構造に配置される、特定のタイプの分子集合体として定義される。環境が疎水性である場合、逆の配置が存在する。ミセルは、核酸、アルカリ金属アルキルサルフェート、及び少なくとも1つのミセル形成化合物の水溶液を混合することによって形成されうる。
【0334】
例示的なミセル形成化合物としては、レシチン、ヒアルロン酸、ヒアルロン酸の薬学的に許容される塩、グリコール酸、乳酸、カモミール抽出物、キュウリ抽出物、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、モノオレイン、モノオレエート、モノラウレート、ボラージオイル、月見草オイル、メントール、トリヒドロキシオキソコラニルグリシン及びその薬学的に許容される塩、グリセリン、ポリグリセリン、リジン、ポリリジン、トリオレイン、ポリオキシエチレンエーテル及びそれらの類似体、ポリドカノールアルキルエーテル及びそれらの類似体、ケノデオキシコール酸塩、デオキシコール酸塩、並びにそれらの混合物が挙げられる。
【0335】
フェノール及び/又はm-クレゾールは、安定剤及び保存剤として作用するように混合ミセル組成物に添加されうる。グリセリン等の等張剤を添加してよい。
【0336】
核酸調製物は、微粒子等の粒子に組み込まれてよい。微粒子は、噴霧乾燥、凍結乾燥、蒸発、流動床乾燥、真空乾燥、又はこれらの方法の組合せによって生産することができる。
【0337】
医薬組成物
本発明はまた、本発明の核酸又はコンジュゲートされた核酸を含む医薬組成物を提供する。医薬組成物は、薬剤又は診断剤として、単独で、又は他の作用物質と組み合わせて使用されうる。例えば、本発明の核酸又はコンジュゲートされた核酸は、送達ビヒクル(例えば、リポソーム)及び担体、希釈剤等の添加剤と組み合わせることができる。保存剤及び安定剤等の他の作用物質を添加することもできる。核酸又はコンジュゲートされた核酸の送達に関する方法は当技術分野で既知であり、当業者の知識の範疇である。
【0338】
本発明の核酸又はコンジュゲートされた核酸はまた、他の治療用化合物と組み合わせて投与することができ、別々に又は同時に、例えば、複合単位用量として投与される。本発明はまた、生理学的/薬学的に許容される添加剤、例えば安定剤、保存剤、希釈剤、緩衝液等中に、本発明による核酸又はコンジュゲートされた核酸を含む医薬組成物を包含する。
【0339】
医薬組成物は、固体又は液体形態における投与のために特別に配合されうる。組成物は、経口投与、非経口投与(例えば、皮下、筋肉内、静脈内、又は硬膜外注射を含む)、局所適用、腟内若しくは直腸内投与、舌下投与、点眼投与、経皮投与、又は鼻腔投与用に配合されうる。皮下又は静脈内方法を使用した送達が好ましい。
【0340】
投与量
本発明の薬剤及び医薬組成物の投与量レベルは、当業者によりルーチンの実験によって決定することができる。一実施形態において、単位用量は、約0.01mg/kg(体重)~約100mg/kg(体重)の核酸を含有しうる。代替的には、用量は、10mg/kg(体重)~25mg/kg(体重)、又は1mg/kg(体重)~10mg/kg(体重)、又は0.05mg/kg(体重)~5mg/kg(体重)、又は0.1mg/kg(体重)~5mg/kg(体重)、又は0.1mg/kg(体重)~1mg/kg(体重)、又は0.1mg/kg(体重)~0.5mg/kg(体重)、又は0.5mg/kg(体重)~1mg/kg(体重)でありうる。投与量レベルはまた、例えば体表面積等の他のパラメーターによって算出されてよい。
【0341】
医薬組成物は、滅菌の注射用水性懸濁液又は水溶液であってよく、或いは凍結乾燥形態で存在してよい。一実施形態において、医薬組成物は、凍結乾燥されたリポプレックス又はリポプレックスの水性懸濁液を含みうる。リポプレックスは好ましくは、本発明の核酸を含む。かかるリポプレックスを使用して、本発明の核酸を、インビトロ又はインビボのいずれかで標的細胞に送達しうる。
【0342】
本発明の医薬組成物及び薬剤は、薬学的に有効な用量で哺乳動物対象に投与されうる。哺乳動物は、ヒト、イヌ、ネコ、ウマ、ウシ、ブタ、ヤギ、ヒツジ、マウス、ラット、ハムスター、及びモルモットから選択されうる。
【0343】
医学的用途
本発明の更なる態様は、疾患若しくは障害の治療又は防止における使用のための、本発明の核酸若しくはコンジュゲートされた核酸、又は本発明の核酸若しくはコンジュゲートされた核酸を含む医薬組成物に関する。本発明は、生理学的/薬学的に許容される添加剤、例えば安定剤、保存剤、希釈剤、緩衝液等中に、本発明による1つ又は複数のRNAi分子を含む医薬組成物を包含する。本発明の核酸若しくはコンジュゲートされた核酸、又は本発明の核酸若しくはコンジュゲートされた核酸を含む医薬組成物は、好ましくは、本発明の核酸によって標的とされる標的遺伝子の発現レベルを低減することが望ましい疾患若しくは障害の治療又は防止における使用のためである。
【0344】
医薬組成物は、滅菌の注射用水性懸濁液又は水溶液であってよく、或いは凍結乾燥形態で存在してよい。
【0345】
薬学的組合せ
薬学的に許容される組成物は、本発明による任意の実施形態における治療上有効な量の1つ又は複数の核酸を、単独で、或いは1つ又は複数の薬学的に許可能な担体、添加剤及び/又は希釈剤と共に配合されて含みうる。
【0346】
薬学的に許容される担体として機能しうる材料の例としては、(1)ラクトース、グルコース、及びスクロース等の糖、(2)トウモロコシデンプン及びジャガイモデンプン等のデンプン、(3)カルボキシメチルセルロースナトリウム、エチルセルロース、及び酢酸セルロース等のセルロース及びその誘導体、(4)トラガント末、(5)麦芽、(6)ゼラチン、(7)ステアリン酸マグネシウム、ラウリル硫酸ナトリウム及びタルク等の滑沢剤、(8)カカオバター及び坐薬ワックス等の添加剤、(9)ピーナッツ油、綿実油、ベニバナ油、ゴマ油、オリーブ油、トウモロコシ油及びダイズ油等の油類、(10)プロピレングリコール等のグリコール類、(11)グリセリン、ソルビトール、マンニトール及びポリエチレングリコール等のポリオール類、(12)オレイン酸エチル及びラウリン酸エチル等のエステル類、(13)寒天、(14)水酸化マグネシウム及び水酸化アルミニウム等の緩衝剤、(15)アルギン酸、(16)パイロジェンフリー水、(17)等張生理食塩水、(18)リンゲル溶液、(19)エチルアルコール、(20)pH緩衝溶液、(21)ポリエステル類、ポリカーボネート類及び/又はポリ酸無水物類、(22)ポリペプチド及びアミノ酸等の増量剤、(23)血清アルブミン、HDL及びLDL等の血清成分、並びに(22)医薬配合物に用いられる他の無毒の適合性物質が挙げられる。
【0347】
安定剤は、核酸剤を安定化させる作用物質、例えば、核酸と複合体を形成することができるタンパク質、キレート剤(例えばEDTA)、塩、RNA分解酵素阻害剤、及びDNA分解酵素阻害剤でありうる。
【0348】
幾つかの事例では、薬物の効果を延長するために、皮下又は筋肉内注射からの薬物の吸収を減速させることが望ましい。これは、難水溶性を有する結晶性材料又は非晶質材料の液体懸濁液の使用によって達成されうる。したがって、薬物の吸収速度は、その溶解速度に依存し、続いてこの溶解速度は、結晶サイズ及び結晶形態に依存しうる。代替的には、非経口投与される薬物形態の遅延吸収は、油ビヒクル中に薬物を溶解又は懸濁することによって達成される。
【0349】
阻害
本明細書中に記載する核酸は、細胞における標的遺伝子の発現を阻害することが可能でありうる。本明細書中に記載する核酸は、細胞における標的遺伝子の発現を部分的に阻害することが可能でありうる。阻害は、完全な、すなわち、本発明の核酸の非存在下における標的遺伝子発現の発現レベルの0%でありうる。標的遺伝子発現の阻害は、部分的であってよく、すなわち、本発明の核酸の非存在下での標的遺伝子発現の15%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%でありうる。阻害は、ヒト対象等の対象において使用される場合、4週、5週、6週、7週、8週、10週、11週、12週、13週、14週又は最長3か月にわたって持続しうる。本発明の核酸又は核酸組成物を含む組成物は、毎週、2週間毎、3週間毎、4週間毎、5週間毎、6週間毎、7週間毎、又は8週間毎に1度の使用のためのものでありうる。核酸は、皮下の、静脈内の、又は経口、直腸、若しくは腹腔内等の任意の他の適用経路を使用した使用のためのものでありうる。
【0350】
発現は、核酸が適用される細胞において測定されうる。代替的には、特に核酸が態様に投与される場合、レベルは、組織若しくは組織若しくは臓器の種々の群において、又は血液若しくは血漿若しくはリンパ等の体液中で測定されうる。阻害のレベルは、インビトロで核酸で処理した細胞における標的mRNAレベルに対する核酸の最大効果を示すという理由で選択した条件で測定されることが好ましい。阻害のレベルは、例えば、0.038nM~10μM、好ましくは1nm、10nm又は100nmの濃度で本発明の核酸による処理の24時間又は48時間後に測定されうる。これらの条件は、異なる核酸配列又は異なるタイプの核酸によって、例えば、未修飾であるか、若しくは修飾されているか、又はリガンドにコンジュゲートされているか、若しくはコンジュゲートされていない核酸によって異なりうる。阻害のレベルを決定するのに適した条件の例を実施例に記載する。
【0351】
本発明の核酸で処理されたか、又は本発明の核酸を受容する細胞及び/又は対照において、標的遺伝子発現は、未処理の細胞及び/又は対象と比較して、少なくとも約30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、98%、又は100%阻害されうる。阻害のレベルは、標的遺伝子発現又は過剰発現と関連付けられる疾患の治療を可能にしうるか、又は標的遺伝子産物の機能に対する更なる研究を可能にしうる。
【0352】
標的遺伝子
標的遺伝子は、TMPRSS6、ALDH2、LPA、第VII因子、Eg5、PCSK9、TPX2、apoB、SAA、TTR、RSV、PDGFベータ遺伝子、Erb-B遺伝子、Src遺伝子、CRK遺伝子、GRB2遺伝子、RAS遺伝子、MEKK遺伝子、JNK遺伝子、RAF遺伝子、Erkl/2遺伝子、PCNA(p21)遺伝子、MYB遺伝子、JU遺伝子、FOS遺伝子、BCL-2、ヘプシジン、活性化プロテインC、サイクリンD遺伝子、VEGF遺伝子、EGFR遺伝子、サイクリンA遺伝子、サイクリンE遺伝子、WNT-1遺伝子、ベータ-カテニン遺伝子、c-MET遺伝子、PKC遺伝子、NFKB遺伝子、STAT3遺伝子、サバイビン遺伝子、Her2/Neu遺伝子、トポイソメラーゼI遺伝子、トポイソメラーゼIIアルファ遺伝子、p73遺伝子における突然変異、p21(WAF l/CIPI)遺伝子における突然変異、p27(KIPI)遺伝子における突然変異、PPM ID遺伝子における突然変異、RAS遺伝子における突然変異、カベオリンI遺伝子における突然変異、MIB I遺伝子における突然変異、MTAI遺伝子における突然変異、M68遺伝子における突然変異、腫瘍抑制因子遺伝子における突然変異、及びp53腫瘍抑制遺伝子における突然変異でありうる。
【0353】
一実施形態において、標的遺伝子は、TMPRSS6である。
【0354】
一実施形態において、標的遺伝子は、TMPRSS6であり、第1の鎖は、
(vp)-UACCAGAAGAAGCAGGUGA(配列番号68)
を含み、及び/又は(好ましくは、及び)第2の鎖は、
UCACCUGCUUCUUCUGGUA(配列番号69)
を含む。
【0355】
別の実施形態において、標的遺伝子は、TMPRSS6であり、第1の鎖は、
(vp)-mU fA mC fC mA fG mA fA mG fA mA fG mC fA mG fG mU (ps) fG (ps) mA(配列番号9)
を含み、及び/又は(好ましくは、及び)第2の鎖は、
fU (ps) mC (ps) fA mC fC mU fG mC fU mU fC mU fU mC fU mG fG (ps) mU (ps) fA (配列番号70)
を含み、
式中、mA、mU、mC、及びmGはそれぞれ、2'-OMe RNAを表し、fA、fU、fC及びfGはそれぞれ、2'-デオキシ-2'-F RNAを表し、(ps)は、ホスホロチオエート結合を表し、(vp)-mUは、(E)-ビニルホスホネートmUを表す。
【0356】
別の実施形態において、標的遺伝子は、TMPRSS6でではない。
【0357】
一実施形態において、標的遺伝子は、TTRである。
【0358】
一実施形態において、標的遺伝子は、TTRであり、第1の鎖は、
(vp)-UUAUAGAGCAAGAACACUGUU(配列番号71)
を含み、及び/又は(好ましくは、及び)第2の鎖は、
AACAGUGUUCUUGCUCUAUAA(配列番号72)
を含む。
【0359】
別の実施形態において、標的遺伝子は、TTRであり、第1の鎖は、
(vp)-mUfU mAfUmAfGmAfGmCfAmAfGmAfAmCfAmCfUmG(ps)fU(ps)mU(配列番号3)
を含み、及び/又は(好ましくは、及び)第2の鎖は、
fA(ps)mA(ps)fCmAfGmUfGmUfUmCfUmUfGmCfUmCfUmAfU(ps)mA(ps)fA(配列番号73)
を含み、
式中、mA、mU、mC、及びmGはそれぞれ、2'-OMe RNAを表し、fA、fU、fC及びfGはそれぞれ、2'-デオキシ-2'-F RNAを表し、(ps)は、ホスホロチオエート結合を表し、(vp)-mUは、(E)-ビニルホスホネートmUを表す。
【0360】
一実施形態において、標的遺伝子は、ALDH2である。
【0361】
一実施形態において、標的遺伝子は、ALDH2であり、第1の鎖は、
(vp)-UCUUCUUAAACUGAGUUUC(配列番号74)
を含み、及び/又は(好ましくは、及び)第2の鎖は、
GAAACUCAGUUUAAGAAGA(配列番号75)
を含む。
【0362】
別の実施形態において、標的遺伝子は、ALDH2であり、第1の鎖は、
(vp)-mUfCmUfUmCfUmUfAmAfAmCfUmGfAmGfUmU(ps)fU(ps)mC(配列番号19)
を含み、及び/又は(好ましくは、及び)第2の鎖は、
mG(ps)mA(ps)mAmAmCmUfCfAfGmUmUmUmAmAmGmAmA(ps)mG(ps)mA(配列番号76)
を含み、
式中、mA、mU、mC、及びmGはそれぞれ、2'-OMe RNAを表し、fA、fU、fC及びfGはそれぞれ、2'-デオキシ-2'-F RNAを表し、(ps)は、ホスホロチオエート結合を表し、(vp)-mUは、(E)-ビニルホスホネートmUを表す。
【0363】
別の実施形態において、標的遺伝子は、ALDH2であり、第1の鎖は、
(vp)-mUfCmUfUmCfUmUfAmAfAmCfUmGfAmGfUmU(ps)fU(psmC(配列番号19)
を含み、及び/又は(好ましくは、及び)第2の鎖は、
fG(ps)mA(ps)fAmAfCmUfCmAfGmUfUmUfAmAfGmAfA(ps)mG(ps)fA(配列番号77)
を含み、
式中、mA、mU、mC、及びmGはそれぞれ、2'-OMe RNAを表し、fA、fU、fC及びfGはそれぞれ、2'-デオキシ-2'-F RNAを表し、(ps)は、ホスホロチオエート結合を表し、(vp)-mUは、(E)-ビニルホスホネートmUを表す。
【0364】
一実施形態において、標的遺伝子は、LPA及び/又は補体成分遺伝子(免疫系の補体系又は経路のタンパク質をコードする遺伝子)及び/又はALDH2及び/又はTMPRSS6、及び/又はTTR以外の遺伝子である。
【0365】
Swiss
本発明の更なる態様は、疾患若しくは障害を治療又は防止するための薬剤の製造における本発明の核酸に関する。
【0366】
治療方法
また、本発明には、本明細書中に記載する核酸又はコンジュゲートされた核酸を含む医薬組成物の、治療を必要とする個体への投与を含む、疾患若しくは障害を治療又は防止する方法が包含される。核酸組成物は、毎週2回、毎週、2週間毎、3週間毎、4週間毎、5週間毎、6週間毎、7週間毎、又は8週間毎に1回投与されうる。核酸又はコンジュゲートされた核酸は、皮下に、静脈内に、又は経口、直腸、若しくは腹腔内等の任意の他の適用経路を使用して、対象に投与されうる。
【0367】
一実施形態において、対象には、初期用量及び1つ又は複数の維持用量の核酸剤が投与される。維持用量(単数又は複数)は、初期用量と同じでありうるか、又はそれ未満、例えば、初期用量の1/2未満でありうる。維持用量は、例えば、2日毎、5日毎、10日毎、又は30日毎に1回以下で投与される。治療レジメンは、特定の疾患の性質、その重症度及び患者の全体的状態に応じて様々な期間、持続しうる。
【0368】
組合せ
一実施形態において、組成物は、複数の核酸剤種を含む。別の実施形態において、核酸剤種は、天然に存在する標的配列に関して別の種と重複せず、且つ隣接していない配列を有する。別の実施形態において、複数の核酸剤種は、異なる天然に存在する標的遺伝子に特異的である。別の実施形態において、核酸剤は、アレル特異的である。
【0369】
本発明の核酸又はコンジュゲートされた核酸はまた、他の治療用化合物と組み合わせて投与されてよく、又は他の治療用化合物と組み合わせた使用のためのものであってよく、別々に又は同時に、例えば、複合単位用量として投与される。
【0370】
製造方法
本発明の核酸又はコンジュゲートされた核酸は、化学合成、又はインビトロ(例えば、ランオフ転写)若しくはインビボでの核酸の発現を包含する、当技術分野でルーチンの方法を使用して、例えば、固相化学合成を使用して、又は発現ベクターを使用して、生産することができる。一実施形態において、発現ベクターは、標的細胞において本発明の核酸を生産することができる。本明細書中に記載する核酸の合成に関する方法は、当業者に既知である。
【0371】
提示
本発明の幾つかの態様は、下記の提示によって規定される:
【0372】
1.第1の鎖の少なくとも一部と、第1の鎖に少なくとも部分的に相補的な第2の鎖の一部とを含む少なくとも1つの二重鎖領域を含む、細胞における標的遺伝子の発現を阻害するための核酸であって、前記第1の鎖が、阻害されるべき前記標的遺伝子から転写されるRNAの少なくとも一部に少なくとも部分的に相補的であり、第1の鎖が、末端の5'(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドを有し、末端の5'(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドが、ホスホジエステル結合によって第1の鎖における第2のヌクレオチドに連結される、核酸。
【0373】
2.第1の鎖が、1つよりも多いホスホジエステル結合を包含する、提示1に記載の核酸。
【0374】
3.第1の鎖が、少なくとも末端の3個の5'ヌクレオチド間のホスホジエステル結合を含む、提示2に記載の核酸。
【0375】
4.第1の鎖が、少なくとも末端の4個の5'ヌクレオチド間のホスホジエステル結合を含む、提示3に記載の核酸。
【0376】
5.第1の鎖が、式(Ia):
(vp)-N(po)[N(po)]n- (Ia)
(式中、「(vp)」は、5'(E)-ビニルホスホネートであり、「N」はヌクレオチドであり、「po」はホスホジエステル結合であり、nは、1から(第1の鎖におけるヌクレオチドの総数-2)、好ましくは、nは、1から(第1の鎖におけるヌクレオチドの総数-3)、より好ましくは、nは、1から(第1の鎖におけるヌクレオチドの総数-4)である)
を含む、提示3に記載の核酸。
【0377】
6.第1の鎖が、少なくとも1つのホスホロチオエート(ps)結合を包含する、提示1から5のいずれかに記載の核酸。
【0378】
7.第1の鎖が、末端の2個の3'ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合又は末端の3個の3'ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を更に含む、提示6に記載の核酸。
【0379】
8.第1の鎖における他のヌクレオチド間の結合が、ホスホジエステル結合である、提示7に記載の核酸。
【0380】
9.第1の鎖が、1つよりも多いホスホロチオエート結合を包含する、提示6に記載の核酸。
【0381】
10.第2の鎖が、末端の2個の3'ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合又は末端の3個の3'ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含む、提示1から9に記載の核酸。
【0382】
11.第2の鎖が、末端の2個の5'ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合又は末端の3個の5'ヌクレオチド間のホスホロチオエート結合を含む、提示1から10に記載の核酸。
【0383】
12.末端の5'(E)-ビニルホスホネートヌクレオチドが、RNAヌクレオチドである、上述の提示のいずれか1つに記載の核酸。
【0384】
13.核酸の第1の鎖が、15~30ヌクレオチドの範囲の長さを有する、上述の提示のいずれかに記載の核酸。
【0385】
14.核酸の第1の鎖が、19~25ヌクレオチドの範囲の長さを有する、提示13に記載の核酸。
【0386】
15.核酸の第2の鎖が、15~30ヌクレオチドの範囲の長さを有する、上述の提示のいずれかに記載の核酸。
【0387】
16.核酸の第2の鎖が、19~25ヌクレオチドの範囲の長さを有する、提示15に記載の核酸。
【0388】
17.両末端で平滑末端である、上述の提示のいずれかに記載の核酸。
【0389】
18.第1の鎖上の1個又は複数のヌクレオチドが修飾されて、修飾ヌクレオチドを形成する、上述の提示のいずれかに記載の核酸。
【0390】
19.第2の鎖上の1個又は複数のヌクレオチドが修飾されて、修飾ヌクレオチドを形成する、提示18に記載の核酸。
【0391】
20.修飾が、任意選択により、2'-OMe又は2'-F修飾から選択される、リボース糖の2'-OH基での修飾である、提示18又は19に記載の核酸。
【0392】
21.第1の鎖の奇数のヌクレオチドの1個又は複数が、リボース糖の2'OH基で第1の修飾を有する修飾ヌクレオチドであり、第1の鎖の偶数のヌクレオチドの1個又は複数が、リボース糖の2'OH基で第2の修飾を有する異なって修飾されたヌクレオチドであり、第1の修飾及び第2の修飾は異なる、提示18から20に記載の核酸。
【0393】
22.第1の修飾が、2'-OMeであり、第2の修飾が、2'-Fであるか、又はその逆である、提示21に記載の核酸。
【0394】
23.第1の鎖において2'-メトキシエチル修飾されたヌクレオチドは存在しない、上述の提示のいずれかに記載の核酸。
【0395】
24.標的遺伝子がTMPRSS6である、上述の提示のいずれかに記載の核酸。
【0396】
25.第1の鎖が、
(vp)-UACCAGAAGAAGCAGGUGA(配列番号68)
を含み、及び/又は(好ましくは、及び)第2の鎖が、
UCACCUGCUUCUUCUGGUA(配列番号69)
を含む、提示24に記載の核酸。
【0397】
26.第1の鎖が、
(vp)-mU fA mC fC mA fG mA fA mG fA mA fG mC fA mG fG mU (ps) fG (ps) mA(配列番号9)
を含み、及び/又は(好ましくは、及び)第2の鎖が、
fU (ps) mC (ps) fA mC fC mU fG mC fU mU fC mU fU mC fU mG fG (ps) mU (ps) fA (配列番号70)
を含み、
式中、mA、mU、mC、及びmGはそれぞれ、2'-OMe RNAを表し、fA、fU、fC及びfGはそれぞれ、2'-デオキシ-2'-F RNAを表し、(ps)は、ホスホロチオエート結合を表し、(vp)-mUは、(E)-ビニルホスホネートmUを表す、提示25に記載の核酸。
【0398】
27.核酸部と、リガンド部とを含む、細胞における標的遺伝子の発現を阻害するためのコンジュゲートであって、前記核酸部が、提示1から26のいずれか1つにおいて規定される核酸を含む、コンジュゲート。
【0399】
28.核酸の第2の鎖が、リガンド部にコンジュゲートされる、提示27に記載のコンジュゲート。
【0400】
29.リガンド部が、例えば、核酸の第2の鎖の5'末端でGalNAc部分を含む、1つ又は複数のGalNAcリガンド及びそれらの誘導体を含む、提示27又は28に記載のコンジュゲート。
【0401】
30.リガンド部が、リンカー部分と、ターゲティングリガンドとを含み、リンカー部分が、ターゲティングリガンドを、核酸部に連結させる、提示27から29のいずれか1つに記載のコンジュゲート。
【0402】
31.リガンド部が、セリノール由来のリンカー部分であり、ターゲティングリガンドが、専ら核酸の第1の鎖及び第2の鎖の一方若しくは両方の3'及び/又は5'末端にコンジュゲートされ、第1のRNA鎖の5'末端はコンジュゲートされず、
(i)第2のRNA鎖が、5'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、(a)第2のRNA鎖はまた、3'末端でもターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、且つ第1のRNA鎖の3'末端はコンジュゲートされないか、又は(b)第1の鎖が、3'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、且つ第2の鎖の3'末端はコンジュゲートされないか、又は(c)また、第2の鎖及び第1の鎖はともに、3'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、或いは
(ii)第2の鎖及び第1の鎖はともに、3'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、第2の鎖の5'末端はコンジュゲートされず、及び
(iii)前記第1の核酸が、修飾ヌクレオチドを複数の位置で包含し、第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドは、2'-OMe修飾で修飾されない、提示30に記載のコンジュゲート。
【0403】
32.第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドが修飾される、提示31に記載のコンジュゲート。
【0404】
33.第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドは、2'-OMe修飾で修飾されず、第1の鎖の13位に相当する第2の鎖上のヌクレオチドは、2'-OMe修飾で修飾されない、提示32に記載のコンジュゲート。
【0405】
34.第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドは、2'-OMe修飾で修飾されず、第1の鎖の11位に相当する第2の鎖上のヌクレオチドは、2'-OMe修飾で修飾されない、提示32に記載のコンジュゲート。
【0406】
35.第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドは、2'-OMe修飾で修飾されず、第1の鎖の11位及び13位に相当する第2の鎖上のヌクレオチドは、2'-OMe修飾で修飾されない、提示32から34に記載のコンジュゲート。
【0407】
36.第1の鎖の5'末端から11位及び/又は13位に相当する第2の鎖上のヌクレオチドが修飾される、提示31から35のいずれかに記載のコンジュゲート。
【0408】
37.第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドは、2'-OMe修飾で修飾されず、第1の鎖の11位、又は13位、又は11位及び13位、又は11位~13位に相当する第2の鎖上のヌクレオチドが、2'フルオロ修飾で修飾される、提示32から36に記載のコンジュゲート。
【0409】
38.第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドが、2'フルオロで修飾され、第1の鎖の11位、又は13位、又は11位及び13位、又は11位~13位に相当する第2の鎖上のヌクレオチドが、2'-OMe修飾で修飾されない、提示32から37のいずれか1つに記載のコンジュゲート。
【0410】
39.第1の鎖の5'末端から2位及び14位にあるヌクレオチドが、2'フルオロで修飾され、第1の鎖の11位、又は13位、又は11位及び13位、又は11位~13位に相当する第2の鎖上のヌクレオチドが、2'フルオロ修飾で修飾される、提示32から38のいずれかに記載のコンジュゲート。
【0411】
40.第1の鎖及び/又は第2の鎖のヌクレオチドの50%超が、2'-OMe修飾を含み、例えば、第1の鎖及び/又は第2の鎖の55%、60%、65%、70%、75%、80%、若しくは85%超、又はそれ以上が、2'-OMe修飾を含み、好ましくは第1の鎖及び第2の鎖の両方の総ヌクレオチドのパーセントとして測定される、提示31から39のいずれか1つに記載のコンジュゲート。
【0412】
41.両方の鎖の総ヌクレオチドのパーセントとして、第1の鎖及び/又は第2の鎖上に20%以下(例えば、15%以下又は10%以下)の2'フルオロ修飾を含む、提示31から40のいずれか1つに記載のコンジュゲート。
【0413】
42.第1の鎖及び第2の鎖の少なくとも1つの3'末端での末端のヌクレオチドが、逆位ヌクレオチドであり、且つ末端のヌクレオチドの3'炭素及び隣接ヌクレオチドの3'炭素を介して、隣接ヌクレオチドに結合され、及び/又は第1の鎖及び第2の鎖の少なくとも1つの5'末端での末端のヌクレオチドは、逆位ヌクレオチドであり、且つ末端のヌクレオチドの5'炭素及び隣接ヌクレオチドの5'炭素を介して、隣接するヌクレオチドに結合され、或いは核酸が、ホスホロジチオエート結合を含む、提示31から42のいずれか1つに記載のコンジュゲート。
【0414】
43.第2の鎖が、5'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、第2の鎖がまた、3'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、第1の鎖の3'末端はコンジュゲートされない、提示31から42に記載のコンジュゲート。
【0415】
44.第2の鎖が、5'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、第1の鎖が、3'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、第2の鎖の3'末端はコンジュゲートされない、提示31から42に記載のコンジュゲート。
【0416】
45.第2の鎖が、5'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、また、第2の鎖及び第1の鎖がともに、3'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされる、提示31から42に記載のコンジュゲート。
【0417】
46.第2の鎖及び第1の鎖がともに、3'末端でターゲティングリガンドにコンジュゲートされ、第2の鎖の5'末端はコンジュゲートされない、提示31から42に記載のコンジュゲート。
【0418】
47.リガンドが単量体リガンドである、提示31から46のいずれか1つに記載のコンジュゲート。
【0419】
48.コンジュゲートされた鎖が、更なるリンカーを包含するリンカー部分、好ましくはセリノール由来のリンカー部分を介してターゲティング部分にコンジュゲートされ、更なるリンカーが、飽和の未分岐状又は分岐状のC1~15アルキル鎖であるか、又は飽和の未分岐状又は分岐状のC1~15アルキル鎖を含み、任意選択により、1つ又は複数の炭素(例えば、1つ、2つ又は3つの炭素、適切には、1つ又は2つ、特に1つ)が、O、N、S(0)p(式中、pは、0、1又は2である)から選択されるヘテロ原子で置き換えられ(例えば、CH2基は、Oで、又はNHで、又はSで、又はSO2で置き換えられるか、又は鎖の末端にあるか、若しくは分岐上の-CH3基は、OHで、又はNH2で置き換えられる)、前記鎖が、任意選択により、1つ又は複数のオキソ基(例えば、1つの基等の1つ~3つの基)によって置換される、提示31から47のいずれか1つに記載のコンジュゲート。
【0420】
49.更なるリンカーが、飽和の未分岐状のC1~15アルキル鎖を含み、1つ又は複数の炭素(例えば、1つ、2つ又は3つの炭素、適切には、1つ又は2つ、特に1つ)は、酸素原子で置き換えられる、提示48に記載のコンジュゲート。
【0421】
50.更なるリンカーが、PEG鎖を含む、提示49に記載のコンジュゲート。
【0422】
51.更なるリンカーが、飽和の未分岐状のC1~15アルキル鎖を含む、提示48に記載のコンジュゲート。
【0423】
52.更なるリンカーが、飽和の未分岐状のC1~6アルキル鎖を含む、提示51に記載のコンジュゲート。
【0424】
53.更なるリンカーが、飽和の未分岐状C4又はC6アルキル鎖、例えばC4アルキル鎖を含む、提示52に記載のコンジュゲート。
【0425】
54.第1の鎖が、式(XXV):
【化72】
(式中、bは、0又は1である)
の化合物であり、
第2の鎖が、式(XXVI):
【化73】
(式中、
c及びdは、独立して、0又は1であり、
Z1及びZ2は、それぞれ第1鎖及び第2鎖であり、
Yは、O又はSであり、
R1は、H又はメチルであり、
nは、0、1、2又は3であり、
Lは、式(XVI)及び式(XVII)において同じであるか、又は異なり、
-(CH2)q-(式中、q=2~12である)、
-(CH2)r-C(0)-(式中、r=2~12である)、
-(CH2-CH2-0)s-CH2-C(0)-(式中、s=1~5である)、
-(CH2)t-C0-NH-(CH2)t-NH-C(0)-(式中、tは、独立して、1~5である)、
-(CH2)u-C0-NH-(CH2)u-C(0)-(式中、uは、独立して、1~5である)、及び
-(CH2)v-NH-C(0)-(式中、vは、2~12である)
(式中、末端のC(O)は(存在する場合)、NH基に結合される)
からなる群から選択され、
b+c+dは、2又は3である)
の化合物である、提示31から42に記載のコンジュゲート。
【0426】
55.bが0であり、cがは1であり、dが1である、提示54に記載のコンジュゲート。
【0427】
56.bが1であり、cが0であり、dが1である、提示54に記載のコンジュゲート。
【0428】
57.bが1であり、cが1であり、dが0である、提示54に記載のコンジュゲート。
【0429】
58.bが1であり、cが1であり、dが1である、提示54に記載のコンジュゲート。
【0430】
59.YがOである、提示54から58のいずれか1つに記載のコンジュゲート。
【0431】
60.YがSである、提示54から58のいずれか1つに記載のコンジュゲート。
【0432】
61.R1がHである、提示54から60のいずれか1つに記載のコンジュゲート。
【0433】
62.R1がメチルである、提示54から60のいずれか1つに記載のコンジュゲート。
【0434】
63.nが1である、提示54から62のいずれか1つに記載のコンジュゲート。
【0435】
64.Lが、-(CH2)r-C(O)-(式中、r=2~12である)である、提示51から63のいずれか1つに記載のコンジュゲート。
【0436】
65.r=2~6である、提示64に記載のコンジュゲート。
【0437】
66.r=4又は6、例えば4である、提示65に記載のコンジュゲート。
【0438】
67.細胞におけるTMPRSS6遺伝子の発現を阻害するためのコンジュゲートであって、第1の鎖が、
(vp)-mU fA mC fC mA fG mA fA mG fA mA fG mC fA mG fG mU (ps) fG (ps) mA(配列番号9)
を含み、及び/又は(好ましくは、及び)第2の鎖が、
Ser(GN) (ps) fU (ps) mC (ps) fA mC fC mU fG mC fU mU fC mU fU mC fU mG fG (ps) mU (ps) fA (ps) Ser(GN)(配列番号10)
を含み、
式中、mA、mU、mC、及びmGはそれぞれ、2'-OMe RNAを表し、fA、fU、fC及びfGはそれぞれ、2'-デオキシ-2'-F RNAを表し、(ps)は、ホスホロチオエート結合を表し、(vp)-mUは、(E)-ビニルホスホネートmUを表し、Ser(GN)は、セリノール由来のリンカー部分に結合されたGalNAc-C4ターゲティングリガンドを表す、コンジュゲート。
【0439】
68.提示1から26のいずれかの核酸又は提示27から67のいずれかのコンジュゲートと、生理学的に許容される添加剤とを含む組成物。
【0440】
69.疾患又は障害の治療における使用のための提示1から26のいずれかの核酸又は提示27から67のいずれかのコンジュゲート又は提示68に記載の組成物。
【実施例
【0441】
本明細書中では、本発明者らは、第1の鎖の5'末端での(E)-ビニルホスホネート(VP)で修飾され、それに加えて、第1の鎖の5'末端での第1のヌクレオチド、第2のヌクレオチド及び第3のヌクレオチド間のホスホロチオエート(PS)ヌクレオチド間結合又はホスホジエステルヌクレオチド間結合のいずれかを含有するGalNAc siRNAコンジュゲートの例を示す。第2の鎖の5'末端及び3'末端でのそれぞれ1つのセリノール連結GalNAc部分を有するsiRNAコンジュゲートの状況において、第1の鎖の5'末端で(I)PS、又は(II)PSを有さないVP、又は(III)PSを有するVPのいずれかを有するsiRNAコンジュゲートは、酸性トリトソーム溶解産物とともにインキュベートした場合に、等しく安定である。しかしながら、本発明者らは、第1の鎖の5'末端でVPを有し、且つPSを有さないGalNAc siRNAコンジュゲートによる標的遺伝子ノックダウンに関して、より良好な用量応答を示す。
【0442】
材料及び方法
プライマー:
fw TGGACACCAAATCGTACTGGAA
TTR rev CAGAGTCGTTGGCTGTGAAAAC
プローブ BHQ1-ACTTGGCATTTCCCCGTTCCATGAATT-FAM
fw CCGCCAAAGCCCAGAAG
TMPRSS6 rev GGTCCCTCCCCAAAGGAATAG
プローブ BHQ1-CAGCACCCGCCTGGGAACTTACTACAAC-FAM
fw GGCAAGCCTTATGTCATCTCGT
ALDH2 rev GGAATGGTTTTCCCATGGTACTT
プローブ BHQ1-TGAAATGTCTCCGCTATTACGCTGGCTG-FAM
fw AAAG AGGCCAGTCAAGCTGTTC
ApoB rev GGTGGGATCACTTCTGTTTTGG
プローブ BHQ1-CAGCAACACACTGCATCTGGTCTCTACCA-VIC
fw CACCGCCAAATTTAACTGCAGA
PTEN rev AAGGGTTTGATAAGTTCTAGCTGT
プローブ BHQ1 -TGCACAGTATCCTTTTGAAGACCATAACCCA-VIC
【0443】
細胞培養
初代マウス肝細胞(Thermo Scientific: GIBCO社Lot:#MC798)を解凍して、凍結保存培地を、5%FBS、1mMのデキサメタゾン、2mM GlutaMax、1% PenStrep、4mg/mlのヒト組換えインスリン、15mM Hepesと交換した。細胞密度を1ml当たり250,000個の細胞に調節した。ウェル1つ当たり100mlのこの細胞懸濁液を、コラーゲンで予めコーティングした96ウェルプレートに播種した。被験物質を、各濃度に関して同じ培地(5倍濃縮)で予め希釈して、この予め希釈したsiRNA又は培地のみ25mlを細胞に添加した。細胞を37℃及び5%CO2で培養して、RNA-溶解緩衝液S(Stratec社)を添加した。室温で15分インキュベートした後、製造業者のプロトコルに従って、RNA単離まで-80℃で保管した。
【0444】
TaqMan分析
mTTR及びApoB MultiPlex TaqMan分析のために、各処理置群に関する単離RNA 10μlを、600nM mTTR-プライマー、400nM ApoB-プライマー及び200nMの各プローブ並びに0.5ユニットのEuroscript II RTポリメラーゼを0.2ユニットのRNA分解酵素阻害剤とともに含有するPCRマスターミックス(TAKYON low Rox)10mlと混合した。384ウェルプレートにおいて、48℃で10分のRT工程、95℃で3分の初期変性、並びに95℃で10秒及び60℃で1分の40サイクルで、TaqMan分析を実施した。
【0445】
TMPRSS6&ApoB MultiPlex TaqMan分析のために、各処理群に関する単離RNA 10mlを、800nM TMPRSSR6プライマー、100nM ApoBプライマー及び200Mの各プローブ並びに0.5ユニットのEuroscript II RTポリメラーゼを0.2ユニットのRNA分解酵素阻害剤とともに含有するPCRマスターミックス(TAKYON low Rox)10mlと混合した。384ウェルプレートにおいて、48℃で10分の逆転写工程、95℃で3分の初期変性、並びに95℃で10秒及び60℃で1分の40サイクルで、TaqMan分析を実施した。
【0446】
トリトソーム安定性アッセイ
インビトロでの肝臓細胞のエンドソーム/リソソーム区画におけるRNA分解酵素の安定性を追跡するために、siRNAを、スプラーグドーリーラットの肝臓トリトソーム(Tebu-Bio社、CatN.: R0610.LT、lot: 1610405、pH: 7.4、2.827ユニット/ml)において0時間、4時間、24時間又は72時間インキュベートした。酸性化された環境を模倣するために、トリトソームを、低pH緩衝液(1.5M酢酸、1.5M酢酸ナトリウムpH4.75)と1:10で混合した。siRNA(20μM)10μl後に、この酸性化されたトリオソーム30μlと混合して、37℃で表示した時間、インキュベートした。インキュベーション後、Clarity OTX Starter Kit-Cartridges(Phenomenex社 CatNo: KSO-8494)を用いて、生体液に関する製造業者のプロトコルに従って、RNAを単離した。分離定量的半定量的分析のために、凍結乾燥したRNAを、H20 30μl中で再構成させて、4×ローディング緩衝液と混合して、20%TBE-ポリアクリルアミドゲル電気泳動(PAGE)に、5μlを負荷した。PAGEは、120Vで2時間実行して、臭化エチジウム染色、続くBiorad画像化システムを用いたデジタル画像によってRNAを可視化させた。
【0447】
【表1A】
【表1B】
【0448】
(実施例1)
第1の末端の5'末端でのビニルホスホネート及び第1の鎖の5'末端でのホスホジエステルヌクレオチド間結合を有するGalNAc siRNAコンジュゲートは、インビトロでTTR標的mRNAレベルの低減の改善をもたらす。
【0449】
全ての試験したコンジュゲートは、第2の鎖の5'末端及び3'末端でのそれぞれ1つのセリノールで連結されたGalNAc部分を含有する。siRNAは、交互2'-OMe/2'-Fで修飾され、別の言い方で言及するわけではないが、それらの5'及び3'末端でのそれぞれ2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有する。X0181は、第1の鎖の5'末端でのそれぞれ2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有する。X0430は、第1のヌクレオチドでのビニルホスフェート修飾及び第1の鎖の5'末端での2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有する。X0349は、第1のヌクレオチドでのビニルホスフェート修飾を含有し、第1の鎖の5'末端でのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有しない。X0181及びX0430と比較して、X0349は、インビトロでTTR標的遺伝子レベルの低減の改善を示す。「ut」は、他の試料がそれに対して標準化される未処理の試料を示す。「Luc」は、siRNAターゲティングルシフェラーゼ(X0028)を示し、これは、非ターゲティング対照として使用され、標的mRNAレベルを低減させない。
【0450】
マウス初代肝細胞において、実験を行った。96ウェルにつき25,000個の細胞を播種して、平板培養した直後に、0.001nM~10nMのGalNAcとコンジュゲートされたsiRNAで処理した。細胞を24時間溶解させて、総RNAを抽出して、TTR及びAPoB mRNAレベルを、Taqman qRT-PCRによって決定した。バーはそれぞれ、3回の技術的反復からの平均値±SDを表す。
【0451】
データを図1に示す。
【0452】
(実施例2)
第1の鎖の5'末端でのビニルホスホネート及び第1の鎖の5'末端でのホスホジエステルヌクレオチド間結合を有するGalNAc siRNAコンジュゲートは、インビトロでTMPRSS6標的mRNAレベルの低減の改善をもたらす。
【0453】
全ての試験したコンジュゲートは、第2の鎖の5'末端及び3'末端でのそれぞれ1つのセリノールで連結されたGalNAc部分を含有する。siRNAは、交互2'-OMe/2'-Fで修飾され、別の言い方で言及するわけではないが、それらの5'及び3'末端でのそれぞれ2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有する。X0322は、第1の鎖の5'末端での2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有する。X0431は、第1のヌクレオチドでのビニルホスホネート修飾及び第1の鎖の5'末端での2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有する。X0365は、第1のヌクレオチドでのビニルホスフェート修飾を含有し、第1の鎖の5'末端でのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有しない。X0322及びX0431と比較して、X0365は、インビトロでTMPRSS6標的遺伝子レベルの低減の改善を示す。「ut」は、他の試料がそれに対して標準化される未処理の試料を示す。「Luc」は、siRNAターゲティングルシフェラーゼ(X0028)を示し、これは、非ターゲティング対照として使用され、標的mRNAレベルを低減させない。
【0454】
マウス初代肝細胞において、実験を行った。96ウェルにつき25,000個の細胞を播種して、平板培養した直後に、0.01nM~100nMのGalNAcとコンジュゲートされたsiRNAで処理した。細胞を24時間溶解させて、総RNAを抽出して、TMPRSS6及びAPoB mRNAレベルを、Taqman qRT-PCRによって決定した。バーはそれぞれ、3回の技術的反復からの平均値±SDを表す。
【0455】
データを図2に示す。
【0456】
実施例1及び実施例2から、アンチセンス鎖の5'末端でのビニルホスホネートの存在により、siRNAの活性が増加することが明らかである。この活性は、第1の鎖の5'末端での最初の3個のヌクレオチド間の結合が、ホスホロチオエート結合ではなく、ホスホジエステル結合である場合に更に増加する。
【0457】
(実施例3)
第1の鎖の5'末端でのビニルホスホネート及び第1の鎖の5'末端でのホスホジエステルヌクレオチド間結合を有するGalNAc siRNAコンジュゲートは、インビトロでALDH2標的mRNAレベルの低減をもたらす。
【0458】
全ての試験したコンジュゲートは、第2の鎖の5'末端及び3'末端でのそれぞれ1つのセリノール連結されたGalNAc部分を含有する。siRNAは、交互2'-OMe/2'-Fで修飾され、別の言い方で言及するわけではないが、それらの5'及び3'末端でのそれぞれ2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有する。X0319は、第1の鎖の5'末端での2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有する。X0362は、第1のヌクレオチドでのビニルホスホネート修飾を含有し、第1の末端の5'末端でホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有しない。siRNAコンジュゲートはともに、インビトロでALDH2標的遺伝子を低減させる。「ut」は、他の試料がそれに対して標準化される未処理の試料を示す。「Luc」は、siRNAターゲティングルシフェラーゼ(X0028)を示し、これは、非ターゲティング対照として使用され、標的mRNAレベルを低減させない。
【0459】
マウス初代肝細胞において、実験を行った。96ウェルにつき25,000個の細胞を播種して、平板培養した直後に、0.1nM~100nMのGalNAcとコンジュゲートされたsiRNAで処理した。細胞を24時間溶解させて、総RNAを抽出して、ALDH2及びAPoB mRNAレベルを、Taqman qRT-PCRによって決定した。バーはそれぞれ、3回の技術的反復からの平均値±SDを表す。
【0460】
データを図3に示す。
【0461】
(実施例4)
第1の鎖の5'末端でのビニルホスホネート及び第1の鎖の5'末端でのホスホジエステルヌクレオチド間結合を有するGalNAc siRNAコンジュゲートは、インビトロでALDH2標的mRNAレベルの低減をもたらす。
【0462】
全ての試験したコンジュゲートは、第2の鎖の5'末端及び3'末端でのそれぞれ1つのセリノール連結されたGalNAc部分を含有する。siRNAは、交互2'-OMe/2'-Fで修飾され、別の言い方で言及するわけではないが、それらの5'及び3'末端でのそれぞれ2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有する。X0320は、第1の鎖の5'末端で2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有する。X0363は、第1のヌクレオチドでのビニルホスホネート修飾を含有し、第1の末端の5'末端でホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有しない。X0320と比較して、X0363は、インビトロでALDH2標的遺伝子レベルの低減の改善を示す。「ut」は、他の試料がそれに対して標準化される未処理の試料を示す。「Luc」は、siRNAターゲティングルシフェラーゼ(X0028)を示し、これは、非ターゲティング対照として使用され、標的mRNAレベルを低減させない。
【0463】
マウス初代肝細胞において、実験を行った。96ウェルにつき25,000個の細胞を播種して、平板培養した直後に、0.1nM~100nMのGalNAcとコンジュゲートされたsiRNAで処理した。細胞を24時間溶解させて、総RNAを抽出して、ALDH2及びAPoB mRNAレベルを、Taqman qRT-PCRによって決定した。バーはそれぞれ、3回の技術的反復からの平均値±SDを表す。
【0464】
データを図4に示す。
【0465】
実施例3及び実施例4の抗ALDH2 siRNAは、異なる配列を有する。これらの実施例により、第1の鎖の5'末端でのビニルホスホネート結合及びホスホロチオエート結合の存在が、配列に関わらず、siRNAの活性を改善することが示される。
【0466】
(実施例5)
第1の鎖の5'末端でのビニルホスホネート及び第1の鎖の5'末端でのホスホジエステルヌクレオチド間結合を有するGalNAc siRNAコンジュげーtpは、酸性トリトソーム溶解産物において安定である。
【0467】
全ての試験したコンジュゲートは、第2の鎖の5'末端及び3'末端でのそれぞれ1つのセリノール連結されたGalNAc部分を含有する。siRNAは、交互2'-OMe/2'-Fで修飾され、別の言い方で言及するわけではないが、それらの5'及び3'末端でのそれぞれ2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有する。X0181は、第1の鎖の5'末端での2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有する。X0430は、第1のヌクレオチドにあるビニルホスホネート修飾(「vp-mU」)及び第1の鎖の5'末端での2つのホスホロチオエート(「PS」)ヌクレオチド間結合を含有する。X0349は、第1のヌクレオチドでのビニルホスホネート修飾を含有し、第1の鎖の5'末端でホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有しない。GalNAc siRNAコンジュゲートは全て、少なくとも72時間安定である。一般に当該技術分野において、安定であるにはホスホロチオエートヌクレオチド間結合がsiRNAの末端にあることが必要とされると考えられているので、これは驚くべきことである。本発明者らは驚くべきことに、ビニルホスホネートの存在下では、ビニルホスホネートが位置する末端で、ホスホロチオエートヌクレオチド間結合は必要とされないことを見出した。したがって、ホスホロチオエートヌクレオチド間結合の数は、予想外にも、不安定な分子をもたらすことなく低減させることができる。かかる分子が不斉中心をあまり有さないため、これは好適である(ホスホロチオエートは立体中心である(stereogenic))。
【0468】
安定性を評価するために、5μMのsiRNAコンジュゲートを、酸性ラットトリトソーム抽出物(pH5)とともに、37℃で0時間、4時間、24時間、及び72時間インキュベートした。インキュベーション後、RNAを精製して、20%TBEポリアクリルアミドゲルで分離させて、臭化エチジウム染色によって可視化した。
【0469】
データを図5に示す。
【0470】
(実施例6)
第1の鎖の5'末端でのビニルホスホネート及び第1の鎖の5'末端でのホスホジエステルヌクレオチド間結合を有するGalNAc siRNAコンジュゲートは、酸性トリトソーム溶解産物において安定である。
【0471】
全ての試験したコンジュゲートは、第2の鎖の5'末端及び3'末端でのそれぞれ1つのセリノール連結されたGalNAc部分を含有する。siRNAは、交互2'-OMe/2'-Fで修飾され、別の言い方で言及するわけではないが、それらの5'及び3'末端でのそれぞれ2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有する。X0322は、第1の鎖の5'末端で2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有する。X0431は、第1のヌクレオチドでのビニルホスホネート修飾(「vp-mU」)及び第1の鎖の5'末端での2つのホスホロチオエート(「PS」)ヌクレオチド間結合を含有する。X0365は、第1のヌクレオチドでのビニルホスホネート修飾を含有し、第1の鎖の5'末端でホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有しない。GalNAc siRNAコンジュゲートは全て、少なくとも72時間安定である。
【0472】
安定性を評価するために、5μM siRNAコンジュゲートを、酸性ラットトリトソーム抽出物(pH5)とともに、37℃で0時間、4時間、24時間及び72時間インキュベートした。インキュベーション後、RNAを精製して、20%TBEポリアクリルアミドゲルで分離させて、臭化エチジウム染色によって可視化した。
【0473】
データを図6に示す。
【0474】
(実施例7)
第1の鎖の5'末端でのビニルホスホネート及び第1の鎖の5'末端でのホスホジエステルヌクレオチド間結合を有するGalNAc siRNAコンジュゲートは、酸性トリトソーム溶解産物において安定である。
【0475】
試験したsiRNAコンジュゲートはともに、第2の鎖の5'末端及び3'末端でのそれぞれ1つのセリノール連結されたGalNAc部分を含有する。siRNAは、交互2'-OMe/2'-Fで修飾され、別の言い方で言及するわけではないが、それらの5'及び3'末端でのそれぞれ2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有する。X0319は、第1の鎖の5'末端で2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有する。X0362は、第1のヌクレオチドでのビニルホスホネート修飾を含有し、第1の鎖の5'末端でホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有しない。GalNAc siRNAコンジュゲートはともに、少なくとも72時間安定である。
【0476】
安定性を評価するために、5μM siRNAコンジュゲートを、酸性ラットトリトソーム抽出物(pH5)とともに、37℃で0時間、4時間、及び72時間インキュベートした。インキュベーション後、RNAを精製して、20%TBEポリアクリルアミドゲルで分離させて、臭化エチジウム染色によって可視化した。
【0477】
データを図7に示す。
【0478】
(実施例8)
第1の鎖の5'末端でのビニルホスホネート及び第1の鎖の5'末端でのホスホジエステルヌクレオチド間結合を有するGalNAc siRNAコンジュゲートは、酸性トリトソーム溶解産物において安定である。
【0479】
試験したsiRNAコンジュゲートはともに、第2の鎖の5'末端及び3'末端でのそれぞれ1つのセリノール連結されたGalNAc部分を含有する。siRNAは、交互2'-OMe/2'-Fで修飾され、別の言い方で言及するわけではないが、それらの5'及び3'末端でのそれぞれ2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有する。X0320は、第1の鎖の5'末端での2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有する。X0363は、第1のヌクレオチドでのビニルホスホネート修飾を含有し、第1の鎖の5'末端でホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有しない。GalNAc siRNAコンジュゲートはともに、少なくとも72時間安定である。
【0480】
安定性を評価するために、5μM siRNAコンジュゲートを、酸性ラットトリトソーム抽出物(pH5)とともに、37℃で0時間、4時間、及び72時間インキュベートした。インキュベーション後、RNAを精製して、20%TBEポリアクリルアミドゲルで分離させて、臭化エチジウム染色によって可視化した。
【0481】
データを図8に示す。
【0482】
まとめると、実施例5~実施例8により、センス鎖の5'末端でホスホロチオエートヌクレオチド間結合を欠如するsiRNAの安定性は、4つの全く異なる配列を有するsiRNAを用いて同じ結果が得られるため、siRNAの配列によらないことが示される。
【0483】
(実施例9)
第1の鎖の5'末端でのビニルホスホネート及び第1の鎖の5'末端でのホスホジエステルヌクレオチド間結合を有するGalNAc siRNAコンジュゲートは、インビボでTMPRSS6標的mRNAレベルの低減の改善をもたらす。
【0484】
全ての試験したコンジュゲートは、第2の鎖の5'末端での三分岐GalNAc部分を含有する。siRNAは、交互2'-OMe/2'-Fで修飾され、別の言い方で言及するわけではないが、全てのコンジュゲートされない末端でのそれぞれ2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有する。X0027及びX0207は、第1の鎖の5'末端での2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有する。X0204は第1のヌクレオチドでのビニルホスホネート修飾及び第1の鎖の5'末端での2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有する。X0205は、第1のヌクレオチドでのビニルホスホネート修飾を含有し、第1の鎖の5'末端でホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有しない。X0205は、X0027、X0207及びX0204と比較して、インビボでTMPRSS6転写物レベルの低減の改善を示す。「PBS」は、PBSで処理した動物の一群を示す。
【0485】
C57BL/6雄マウス(n=6)を、0.3mg/kg及び1mg/kgのGalNAcコンジュゲートで皮下にて処理した。処理の7日後に、肝臓切片を調製して、総RNAを組織から抽出して、TMPRSS6及びPTEN mRNAレベルを、TaqMan qRT-PCRによって決定した。
【0486】
データを図9に示す。
【0487】
(実施例10)
第1の鎖の5'末端でのビニルホスホネート及び第1の鎖の5'末端でのホスホジエステルヌクレオチド間結合を有するGalNAc siRNAコンジュゲートは、インビボで6週にわたってTMPRSS6標的mRNAレベルの低減の改善をもたらす。
【0488】
試験したコンジュゲートは、第2の鎖の5'末端での三分岐GalNAc部分を含有する。siRNAは、交互2'-OMe/2'-Fで修飾され、別の言い方で言及するわけではないが、全てのコンジュゲートされない末端でのそれぞれ2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有する。X0027は、第1の鎖の5'末端での2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有する。X0205は、第1のヌクレオチドでのビニルホスホネート修飾を含有し、第1の鎖の5'末端でホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有しない。X0027及びX0205は、第1の鎖の1位及び第2の鎖の19位で異なる核酸塩基を含有する一方で、残りの核酸塩基配列は同一である。X0027と比較して、X0205は、インビボでTMPRSS6標的遺伝子レベルの初期低減の改善及びインビボで作用の持続期間の改善を示す。「PBS」は、PBSで処理した動物の一群を示す。
【0489】
C57BL/6雄マウス(n=6)を、1mg/kgのGalNAcコンジュゲートで皮下にて処理した。処理の10日、20日及び41日後に、肝臓切片を調製して、総RNAを組織から抽出して、TMPRSS6及びACTB mRNAレベルを、TaqMan qRT-PCRによって決定した。
【0490】
データを図10に示す。
【0491】
(実施例11)
第1の鎖の5'末端でのビニルホスホネート及び第1の鎖の5'末端でのホスホジエステルヌクレオチド間結合を有するGalNAc siRNAコンジュゲートは、インビトロでALDH2標的mRNAレベルの低減をもたらす。
【0492】
全ての試験したコンジュゲートは、第2の鎖の5'末端及び3'末端でのそれぞれ1つのセリノール連結されたGalNAc部分を含有する。siRNAは、別の言い方で言及するわけではないが、それらの5'及び3'末端でのそれぞれ2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有する。X0320及びX0363は、交互2'-OMe/2'-Fで修飾される。X0477及びX0478は、第1の鎖においては交互2'-OMe/2'-Fで、第2の鎖の1位~6位及び10位~19位では2'-OMeで、また第2の鎖の7位~9位では2'-Fで修飾される。X0320及びX0477は、それらの第1の鎖の5'末端で2つのホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有する。X0363及びX0478は、第1のヌクレオチドでのビニルホスホネート修飾を含有し、第1の鎖の5'末端でホスホロチオエートヌクレオチド間結合を含有しない。X0320と比較して、X0363は、ALDH2 mRNAレベルをより低減させた。X0477と比較して、X0478は、ALDH2 mRNAレベルをより低減させた。「ut」は、他の試料がそれに対して標準化される未処理の試料を示す。「Luc」は、siRNAターゲティングルシフェラーゼ(X0028)を示し、これは、非ターゲティング対照として使用され、標的mRNAレベルを低減させない。
【0493】
マウス初代肝細胞において、実験を行った。96ウェルにつき20,000個の細胞を播種して、平板培養した直後に、1nM~100nMのGalNAcとコンジュゲートされたsiRNAで処理した。細胞を24時間溶解させて、総RNAを抽出して、ALDH2及びACTB mRNAレベルを、Taqman qRT-PCRによって決定した。バーはそれぞれ、3回の技術的反復からの平均値±SDを表す。
【0494】
データを図11に示す。
【0495】
実施例11により、X0478のアンチセンス鎖の5'末端でのビニルホスホネート及び第2の鎖の2'ヌクレオチド修飾パターンの組合せが、予想外にも、標的遺伝子のより高い下方制御を引き起こしたことが示される。
【0496】
(実施例12)-合成
一般的な合成スキーム
例となる化合物は、以下に記載する方法及び当業者に既知の方法に従って合成することができる。スキームは、特定のコンジュゲートの合成を示すのに対して、他の特許請求されるコンジュゲートが類似の方法によって調製されうることが理解されよう。オリゴヌクレオチド鎖及びリンカー構成要素の構築は、例えば、ホスホルアミダイト方法論を適用する固相合成によって実施されうる。固相合成は、lcaa CPGを負荷した塩基又は修飾構成要素から始まりうる。ホスホルアミダイト合成カップリングサイクルは、1)DMT除去、2)所要のDMTで遮蔽したホスホルアミダイト及びベンジルチオテトラゾール(BTT)でありうる活性化因子を使用した鎖伸長、3)伸長されていないオリゴヌクレオチド鎖のキャッピング、続くヨウ素(ホスホジエステル結合が望ましい場合)又はEDITH(ホスホロチオエート結合が望ましい場合)のいずれかによるP(III)の、P(V)への酸化、そして再びキャッピング(Cap/Ox/Cap又はCap/Thio/Cap)からなる。GalNAcコンジュゲーションは、GalNAc-カルボン酸構成要素の、必要数のアミノ修飾リンカー構成要素が結合された事前に構築及び精製されたオリゴヌクレオチドへのペプチド結合形成によって達成されうる。必要な構成要素は、市販されているか、又は以下に記載するように合成される。最終単鎖生成物を全て、AEX-HPLCによって分析して、それらの純度を証明した。純度は、最終生成物のAEX-HPLC分析のUV追跡における帰属された生成物シグナル下のUV面積のパーセントであるFLP%(完全長生成物の%)で付与される。各々の単鎖生成物の同一性は、LC-MS分析によって証明した。
【0497】
シントン合成
スキーム1:DMT-セリノール(TFA)リンカーシントンの合成
【化74】
i)トリフルオロ酢酸エチル、NEt3、MeOH、0℃、16時間、2:86%、5:90%、ii)DMTCl、ピリジン、0℃、16時間、74%、iii)LiBH4、EtOH/THF(1/1、v/v)、0℃、1時間、76%、iv)2-シアノエチル-N,N-ジイソピロピルクロロホスホルアミダイト、EtN/Pr2、CH2Cl2、56%、v)無水コハク酸、DMAP、ピリジン、RT、16時間、38%、vi)HBTU、DIEA、アミノ-lcaa CPG(500A)、RT、18時間、29%(26μmol/gの負荷)。
【0498】
(S)-DMT-セリノール(TFA)-ホスホルアミダイト7は、文献で公開された方法(Hoevelmannら、Chem. Sci.、2016年、7、128~135頁)に従って、(L)-セリンメチルエステル誘導体1から合成することができる。
【0499】
(S)-DMT-セリノール(TFA)-スクシネート6は、DMAP等の触媒の存在下で、中間体5を無水コハク酸を用いて変換することによって作製することができる。
【0500】
制御多孔質ガラス(CPG)担体等の固体担体への6の負荷は、HBTU等のカップリング試薬を使用した、アミノ修飾された自然CPG担体(500A)等の固体担体へのペプチド結合形成によって達成されうる。(S)-DMT-セリノール(TFA)-スクシネート6及びHBTU等のカップリング試薬を、CH3CN等の溶媒中に溶解する。ジイソプロピルエチルアミン等の塩基を、溶液に添加して、反応混合物を2分間攪拌する。自然アミノ-lcaa-CPG担体(500A、3g、アミン含有量:136μmol/g)等の固体担体を反応混合物に添加して、懸濁液が生じる。懸濁液を、リストアクション(wrist-action)振盪機で室温にて16時間、穏やかに振盪した後、濾過して、DCM及びEtOH等の溶媒で洗浄する。担体を真空下で2時間乾燥させる。無水酢酸/ルチジン/N-メチルイミダゾールとともに室温で攪拌することによって、担体上の未反応のアミンをキャッピングすることができる。担体の洗浄を上記のように繰り返してよい。固体担体を真空下で乾燥させて、固体担体10を得る。
【0501】
スキーム2:GalNAcシントン9の合成
【化75】
(vii)TMSOTf、DCM、ヘキサノール、viii)2工程にわたってRuCl3、NaIO4、DCM、CH3CN、H2O、46%。GalNAcシントン9の合成は、Nairら(2014年)に記載されるような方法に従って、市販の過アセチル化(per-acetylated)ガラクトースアミン8から始まって調製することができる。
【0502】
単鎖セリノール由来のGalNAcコンジュゲートの合成
スキーム3:セリノール由来のリンカーに関するオリゴヌクレオチド合成の一般的な手順
【化76】
【0503】
3'モノ-GalNAcとコンジュゲートされたヌクレオチド(例えば、化合物A2064)のオリヌクレオチド合成は、図16に概要され、スキーム3に要約される。合成は、例となる化合物A0264と同様に(S)-DMT-セリノール(TFA)-スクシネート-lcaa-CPG 10を使用して開始される。更なるセリノール構成要素が必要とされる場合、(S)-DMT-セリノール(TFA)アミダイト(7)は、適切な固相合成サイクルにおいて使用される。例えば、化合物A0329を作製するためには、塩基配列が完全に構築された後に、更なるセリノールアミダイトカップリングで、鎖構築を終了させる。更に、5'モノ-GalNAcとコンジュゲートされたオリゴヌクレオチドのオリゴヌクレオチド合成は、その有名な配列の適切なヌクレオシドを負荷した固体担体から開始されうる。例となる化合物A0220では、これは、2'fAでありうる。オリゴヌクレオチド鎖は、その配列に従って構築され、必要に応じて、構成要素(S)-DMT-セリノール(TFA)-アミダイト(7)が使用される。鎖伸長の完了時に、最終的なカップリングされたアミダイト構成要素の保護DMT基を、ホスホルアミダイト合成サイクルの工程1)に見られるように除去する。
【0504】
最終的な合成機工程の完了時に、40%メチルアミン水処理等のアミンによる処理によって、単鎖を固体担体から切り出すことができる。任意の残存保護基もまた、この工程で除去され、メチルアミン処理はまた、セリノールアミノ官能基を遊離させる。続いて、粗製生成物を、それぞれAEX-HPLC及びSECによって精製して、更なるGalNAcコンジュゲーションのための前駆物質オリゴヌクレオチドを得た。
【0505】
スキーム4:セリノール由来の前駆物質オリゴヌクレオチドのGalNAcコンジュゲーション合成
【化77】
【0506】
固相合成後、GalNAc-コンジュゲーションは、HBTU等のペプチドカップリング試薬によるGalN(Ac4)-C4-酸(9)の予備活性化(pre-activation)によって達成された。次に、予備活性化した酸9を、11(例えば、A0264)におけるアミノ基と反応させて、中間体GalN(Ac4)-コンジュゲートを形成した。メチルアミン処理によって、GalNAc-部分における水酸基を保護するアセチル基を切り出して、所望の例となる化合物12(例えば、A0268)が得られ、これをAEX-HPLC及びSECによって更に精製した。
【0507】
単鎖非セリノール由来のGalNAcコンジュゲートの合成
セリノール以外のアミノ修飾された構成要素は、各種供給業者から市販されており、セリノールに代わって使用されて、GalNAcコンジュゲーションを可能にする反応性アミノ基を提供することができる。例えば、以下のTable 1(表2)に示す市販の構成要素を使用して、10-1~10-3等のアミノ修飾因子を負荷したCPGを使用すること、続いて上述するような配列構築、及び最終的に13-1、13-2又は13-4等のアミノ修飾因子ホスホルアミダイトのカップリングによって、非セリノール由来のアミノ修飾された前駆物質オリゴヌクレオチド14(スキーム5A)を提供することができる。
【0508】
例えば、14(A0653)を作製するために、GlyC3Am-CPG(10-2)を、GlyC3Am-アミダイト13-2と併用した。構造的に異なる修飾因子を使用して、14を作製することができ、例えば、A0651に関しては、C7Am-CPGを、第2のアミノ修飾としてC6Am-アミダイトと併用した。類似の様式で、市販のアミノ修飾因子を負荷したCPG 10-5及びアミノ修飾されたホスホルアミダイト13-5を使用して、アミノ修飾された前駆物質分子14(A0655)を合成することができる。
【0509】
【表2】
【0510】
スキーム5:オリゴヌクレオチド合成に関する一般的な手順
【化78】
【0511】
続いて、得られた前駆物質オリゴヌクレオチド14を、GalN(Ac4)-C4-酸(9)とコンジュゲートさせて、所望の例となる化合物15を得ることができる(スキーム6)。
【0512】
スキーム6:前駆物質オリゴヌクレオチドのGalNAcコンジュゲーション合成
【化79】
【0513】
単鎖三分岐GalNAcコンジュゲートの合成
三分岐GalNAc-クラスターとコンジュゲートされたsiRNAのオリゴヌクレオチド合成を図17に概要する。オリゴヌクレオチド鎖構築は、塩基を負荷した担体、例えば、例となる化合物A0006で見られるように5'DMT-2'FdA(bz)-スクシネート-lcaa-CPGを使用して開始される。1)DMT除去、2)所要のDMTで遮蔽したホスホルアミダイトを使用した鎖伸長、3)伸長されていないオリゴヌクレオチド鎖のキャッピング、続くヨウ素又はEDITH(ホスホロチオエート結合が望ましい場合)のいずれかによるP(III)の、P(V)への酸化、そして再びキャッピング(Cap/Ox/Cap又はCap/Thio/Cap)からなるホスホルアミダイト合成カップリングサイクルを、生成物の完全長に達するまで繰り返す。三価の三分岐GalNAcクラスターのカラム上でのコンジュゲーションのために、必要な三価の分岐状アミダイトC4XLT-phosを使用して。同じ合成サイクルを適用し、続いて、GalNAcアミダイトST23-phosを使用して、再度合成サイクルを行った。この最終的な合成機工程の完了時に、オリゴヌクレオチドを固体担体から切り出して、メチルアミン処理によって更なる保護基を除去しうる。続いて、粗製生成物を、AEX-HPLC及びSECによってそれぞれ精製した。
【0514】
二本鎖形成の一般的な手順
二本鎖コンジュゲートを得るために、個々の単鎖を、H2O中に濃度60 OD/mLで溶解させる。個々のオリゴヌクレオチド溶液はともに、反応容器に一緒に添加することができる。反応モニタリングのために、滴定を実施することができる。第1の鎖は、260nmでのUV吸収によって決定した場合に、第2の鎖よりも25%過剰で添加する。反応混合物を、例えば80℃に5分間加熱した後、RTにまで徐々に冷却する。二本鎖形成は、イオン対形成逆相HPLCによってモニタリングされうる。残留単鎖のUV面積から、第2の鎖の必要とされる量を算出して、反応混合物に添加することができる。反応液を、再び例えば80℃に加熱して、RTにまで徐々に冷却する。10%未満の残留単鎖が検出されるまで、この手順を繰り返しうる。
【0515】
上記プロセス(スキーム1~スキーム6を含む)は、GalNAcを別のターゲティングリガンド、例えば、糖類で置き換えるように、容易に適応されうる。
【0516】
上記態様のいずれかにおいて、固相合成後のコンジュゲーションに代わって、予め形成されたセリノール(GN)-ホスホルアミダイトを作製して、これをカラム上のコンジュゲーションに使用することが可能である。
【0517】
例となる化合物は、以下に記載するような方法及び当業者に既知の方法に従って合成した。オリゴヌクレオチド鎖及びリンカー構成要素の構築は、ホスホルアミダイト方法論を適用する固相合成によって実施した。GalNAcコンジュゲーションは、GalNAc-カルボン酸構成要素の、必要数のアミノ修飾されたリンカー構成要素が結合された、予め構築及び精製されたオリゴヌクレオチドへのペプチド結合形成によって達成された。
【0518】
オリゴヌクレオチド合成、脱保護及び精製、続く当該技術分野で既知の標準的な手順
オリゴヌクレオチドは全て、標準的なホスホルアミダイト化学を使用して、AKTA oligopilot合成機で合成した。市販の固体担体及び2'-O-メチルRNAホスホルアミダイト、2'フルオロ、2'デオキシRNAホスホルアミダイト(全て標準的な保護、ChemGenes社、LinkTech社)及び市販の3'-アミノ修飾因子TFAアミノC-6 lcaa CPG 500Å(Chemgenes社)を使用した。過アセチル化されたガラクトースアミン8は、市販されている。
【0519】
補助的な試薬は、EMP Biotech社から購入した。乾燥アセトニトリル及びベンジルチオテトラゾール(BTT)中のホスホルアミダイトの0.1M溶液を活性化因子(アセトニトリル中0.3M)として使用した。カップリング時間は15分であった。Cap/Ox/Cap又はCap/Thio/Capサイクルを適用した(Cap:Ac20/NMI/ルチジン/アセトニトリル、酸化剤:ピリジン/H2O中0.1MのI2)。ホスホロチオエートは、標準的な市販のチオール化試薬(EDITH、Link technologies社)を使用して導入した。DMT切断は、トルエン中の3%ジクロロ酢酸による処理によって達成された。プログラムされた合成サイクルの完了時に、ジエチルアミン(DEA)洗浄を実施した。オリゴヌクレオチドは全て、DMT-オフモードで合成した。
【0520】
セリノール由来のリンカー部分の結合は、適切な合成サイクルにおける塩基が負荷された(S)-DMT-セリノール(TFA)-スクシネート-lcaa-CPG 10又は(S)-DMT-セリノール(TFA)ホスホルアミダイト7(合成は、文献Hoevelmannら、Chem. Sci.、2016年、7、128~135頁に記載されるように実施した)のいずれかの使用によって達成された。三分岐GalNAcクラスター(ST23/C4XLT又はST23/C6XLT)は、各々の三重体(trebler)アミダイト誘導体(C4XLT-phos又はC6XLT-phos)、続くGalNAcアミダイト(ST23-phos)の逐次カップリングによって導入された。
【0521】
C4XLT(C4XLT-phos)、C6XLT(C6XLT-phos)並びにST23(ST23-phos)のホスホルアミダイト誘導体の合成は、国際公開第2017/174657号に記載されるように実施することができる。(vp)-mU-phosの合成は、Prakash、Nucleic Acids Res.、2015年、43(6)、2993~3011頁及びHaraszti、Nucleic Acids Res.、2017年、45(13)、7581~7592頁)。
【0522】
ビニルホスホネート-mU部分の結合は、最終的な合成サイクルにおける(vp)-mU-phos(合成は、Prakash、Nucleic Acids Res.、2015年、43(6)、2993~3011頁及Nucleic Acids Res.、2017年、45(13)、7581~7592頁に記載されるように実施した)の使用によって達成された。(vp)-mU-phosは、更なる合成伸長に適した水酸基を提供せず、したがって、DMT基を保有しない。したがって、(vp)-mU-phosのカップリングは、合成の終結をもたらす。ホスホネートを遮蔽するメチルエステルの除去のために、完全に構築されたオリゴヌクレオチドを保有するCPGを、減圧下で乾燥させて、ディスクフリットを備えた固相ペプチド合成用の20mLのPPシリンジ反応器(Carl Roth GmbH社)に移した。続いて、CPGを、室温でCH2Cl2中のTMSBr 250μL及びピリジン177μLの溶液10mLと接触させて、反応器をルアーキャップで密封した。反応容器を30分かけてわずかに攪拌して、過剰な試薬を廃棄して、残留CPGをアセトニトリル10mlで2回洗浄した。更なる下流のプロセシングは、任意の他の例となる化合物から変更しなかった。
【0523】
単鎖を、40%メチルアミン水処理によって、CPGから切り出した。得られた粗製オリゴヌクレオチドは、塩化ナトリウム勾配を使用してAKTA Pure HPLC Systemでイオン交換クロマトグラフィ(Resource Q、6ml、GE Healthcare社)によって精製された。画分を含有する生成物をプールして、サイズ排除カラム(Zetadex、EMP Biotech)で脱塩して、凍結乾燥させた。
【0524】
個々の単鎖を、H2O中に濃度60 OD/mLで溶解させた。個々のオリゴヌクレオチド溶液はともに、反応容器に一緒に添加した。より簡素な反応モニタリングのために、滴定を実施した。第1の鎖は、260nmでのUV吸収によって決定した場合に、第2の鎖よりも25%過剰で添加した。反応混合物を、80℃に5分間加熱した後、RTにまで徐々に冷却した。二本鎖形成は、イオン対形成逆相HPLCによってモニタリングした。残留単鎖のUV面積から、第2の鎖の必要とされる量を算出して、反応混合物に添加した。反応液を、再び80℃に加熱して、RTにまで徐々に冷却した。10%未満の残留単鎖が検出されるまで、この手順を繰り返した。
【0525】
化合物2~化合物10の合成
化合物2~化合物5及び(S)-DMT-セリノール(TFA)-ホスホルアミダイト7を、文献で公開された方法(Hoevelmannら、Chem. Sci.、2016年、7、128~135頁)に従って合成した。
【0526】
(S)-4-(3-ビス(4-メトキシフェニル)(フェニル)メトキシ)-2-(2,2,2-トリフルオロアセトアミド)プロポキシ)-4-オキソブタン酸(6)
ピリジン中の5の溶液に、無水コハク酸を、続いてDMAPを添加した。得られた混合物を室温で一晩攪拌した。TLCによって判断した場合、出発材料は全て消費された。反応液を濃縮した。粗製材料を、シリカゲルにおいて、DCM中勾配0%~5%(+1%トリエチルアミン)を使用してクロマトグラフィを行い、6を1.33g得た(収率=38%)。m/z(ESI-): 588.2(100%)、(C30H29F3NO8[M-H]-に関する計算値588.6)。1H-NMR:(400 MHz、CDCl3) δ[ppm]=7.94(d, 1H, NH)、7.39~7.36(m, 2H, CHアリール)、7.29~7.25(m, 7H, CHアリール)、6.82~6.79(m, 4H, CHアリール)、4.51~4.47(m, 1H)、4.31~4.24(m, 2H)、3.77(s, 6H, 2xDMTr-OMe)、3.66~3.60(m, 16H, HNEt3 +)、3.26~3.25(m, 2H)、2.97~2.81(m, 20H, NEt3)、2.50~2.41(4H, m)、1.48~1.45(m, 26H, HNEt3 +)、1.24~1.18 (m, 29H, NEt3)。
【0527】
(S)-DMT-セリノール(TFA)-スクシネート-lacc-CPG(10)
(S)-DMT-セリノール(TFA)-スクシネート(159mg、270μmol)及びHBTU(113mg、229μmol)を、CH3CN(10ml)中に溶解させた。ジイソピロピルエチルアミン(DIPEA、94mL、540μmol)を溶液に添加して、混合物を2分間回旋させた後、自然アミノ-lcaa-CPG(500A、3g、アミン含有量:136μmol/g)を添加した。懸濁液を、リストアクション振盪機で室温にて16時間、穏やかに振盪した後、濾過して、DCM及びEtOHで洗浄した。固体担体を真空下で2時間乾燥させた。無水酢酸/ルチジン/N-メチルイミダゾールとともに室温で攪拌することによって、担体上の未反応のアミンをキャッピングした。担体の洗浄を上記のように繰り返した。固体を真空下で乾燥させて、固体担体10を得た(3g、26μmol/gの負荷)。
【0528】
GalNAcシントン(9)
GalNAcシントン9の合成は、Nairら、J. Am. Chem. Soc.、2014年、136(49)、16958~16961頁に記載されるように、2工程にわたって収率46%で実施した。
【0529】
特徴となるデータは、公開されているデータと合致した。
【0530】
オリゴヌクレオチドの合成
単鎖オリゴヌクレオチドは全て、上述の図12図16及び図17における反応条件に従って合成した。
【0531】
最終単鎖生成物を全て、AEX-HPLCによって分析して、それらの純度を証明した。純度は、最終生成物のAEX-HPLC分析のUV追跡における帰属された生成物シグナル下のUV面積のパーセントであるFLP%(完全長生成物の%)で付与される。各々の単鎖生成物(非修飾、アミノ修飾された前駆物質、C4XLT/ST23又はC6XLT/ST23 GalNAcとコンジュゲートされたオリゴヌクレオチド)の同一性は、LC-MS分析によって証明した。
【0532】
【表3】
【0533】
セリノール由来のリンカーを有するコンジュゲートの合成
GalNAcシントン(9)のコンジュゲーションは、ペプチドカプリング試薬を使用した、各々のオリゴヌクレオチド鎖11のセリノールアミノ官能基へのカップリングによって達成された。したがって、各々のアミノ修飾された前駆物質分子11を、H2O(500 OD/mL)中に溶解した後、DMSO(DMSO/H2O、2/1、v/v)を、続いて、DIPEA(総容量の2.5%)を添加した。別々の反応容器中で、2当量(アミノ修飾された前駆物質オリゴヌクレオチド11におけるアミノ官能基1つにつき)のカルボン酸成分を、DMSO中で8当量のDIPEAの存在下で2当量のHBTUと反応させることによって、GalNAc(Ac4)-C4-酸(9)の予備活性化を実施した。2分後、予備活性化させた化合物9を、各々のアミノ修飾された前駆物質分子の溶液に添加した。30分後、LCMS又はAEX-HPLCによって、反応の進行をモニタリングした。コンジュゲーション反応の完了時に、10×iPrOH及び0.1×2M NaClの添加によって粗製生成物を沈殿させて、遠心分離及びデカンテーションによって収集した。GalNAc部分におけるアセチル化された水酸基を遊離させるために、得られたペレットを40%MeNH2(500 ODにつき1ml)中に溶解させて、RTで15分後に、H2O(1:10)で希釈して、最終的に、陰イオン交換及びサイズ排除クロマトグラフィによって、再度精製して、凍結乾燥させて、最終生成物12を得た。
【0534】
【表4】
【0535】
二本鎖形成
二本鎖形成は、上述する方法に従って実施された。二重鎖純度は、IP-RP-HPLCのUV追跡における帰属された生成物シグナル下のUV面積のパーセントである二本鎖%で付与される。
【0536】
【表5】
【0537】
(実施例13)
第1の鎖の5'位での2'-OMe-アデニンを置き換える2'-OMe-ウリジン又は5'-(E)-ビニルホスホネート-2'-OMe-ウリジンを有するGalNAc siRNAコンジュゲートによる、初代マウス肝細胞におけるTMPRSS6発現の低減。
【0538】
コラーゲンで予めコーティングした96ウェルプレート(Thermo Fisher Scientific社、#A1142803)に、ウェル1つにつき30,000細胞の細胞密度でマウス初代肝細胞を播種して、100nM~0.1nMの範囲の濃度のsiRNAコンジュゲートで処理した。処理の24時間後、細胞を溶解させ、製造業者のプロトコルに従ってInviTrap(登録商標)RNA Cell HTS 96 Kit/C24×96プレップ(Stratec社#7061300400)を用いて、RNAを抽出した。TMPRSS6及びハウスキーピングmRNA(PtenII)の転写物レベルを、TaqMan分析によって定量化した。
【0539】
【表6】
【0540】
【表7】
【0541】
インビトロでの用量応答
アンチセンス鎖の5'位でのビニル-(E)-ホスホネート2'OMe-ウラシル及び最初の3個のヌクレオチドの間の2つのホスホロチオエート結合を保有するTMPRSS6-siRNA(STS12209V4L4)、アンチセンス鎖の5'位でのビニル-(E)-ホスホネート2'OMe-ウラシル及び最初の3個のヌクレオチドの間のホスホジエステル結合を保有するTMPRSS6-siRNA(STS12209V5L4)、5'位での最初の3個のヌクレオチドの間の2'-O-メチル-ウラシル及び2つのホスホロチオエート結合を保有するTMPRSS6-siRNA(STS12209L4)、又は参照としての5'位での最初の3個のヌクレオチドの間の2'-O-メチル-ウラシル又は2'-OMe-アデニン及び2つのホスホジエステル結合を保有するTMPRSS6-siRNA(STS12209V1L4及びSTS122009L4)若しくは非ターゲティングGalNAc-siRNA(STS18001)による、表示した濃度での処理の24時間後の、又は未処理のままの(UT)初代マウス肝細胞における標的遺伝子発現。
【0542】
結果を図14に示す。この図により、第1の鎖の5'末端でのビニルホスホネートは、好ましくは第1の鎖の5'末端でのホスホジエステル結合と組み合わせて、標的遺伝子の発現の低減の増加をもたらすことが確認される。
【0543】
血清安定性
50%FCS中37℃で4時間(4h)若しくは3日間(3d)インキュベートしたか、又は未処理のままの(0h)siRNAコンジュゲートの血清安定性。続いて、フェノール/クロロホルム/イソアミルアルコール抽出によってRNAを抽出した。TBE-ポリアクリルアミドゲル電気泳動、及びSybrGoldでRNAを染色することによって、分解を可視化した。
【0544】
結果を図15に示す:ヌクレアーゼ分解に対するsiRNA-コンジュゲート対あまり安定化されていな陽性対照の血清安定性。
【0545】
【表8A】
【表8B】
【表8C】
【表8D】
【表8E】
【0546】
上記で列挙した配列は、例えば、GalNAc又は(ps)結合等のリンカー又はリガンドとともに開示されうる。これらは、任意であるが、好ましい配列表の配列の一部を成す。
【0547】
【表9A】
【表9B】
【表9C】
【0548】
この略記表に示すような略記が、本明細書中で使用されうる。略記のリストは完全ではない場合があり、更なる略記及びそれらの意味が、本文書全体にわたって見出されてよい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13a
図13b
図13c
図14
図15
図16
図17
【配列表】
0007419252000001.app