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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】自己包装スリーブおよびその組立方法
(51)【国際特許分類】
   B65D 65/40 20060101AFI20240115BHJP
   D07B 1/04 20060101ALI20240115BHJP
   F16L 57/00 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
B65D65/40 D
D07B1/04
F16L57/00 A
F16L57/00 Z
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020554422
(86)(22)【出願日】2019-04-03
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-08-26
(86)【国際出願番号】 US2019025507
(87)【国際公開番号】W WO2019195371
(87)【国際公開日】2019-10-10
【審査請求日】2022-01-26
(31)【優先権主張番号】16/150,140
(32)【優先日】2018-10-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】62/654,177
(32)【優先日】2018-04-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503170721
【氏名又は名称】フェデラル-モーグル・パワートレイン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】FEDERAL-MOGUL POWERTRAIN LLC
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 エミ
(72)【発明者】
【氏名】米重 勇生
(72)【発明者】
【氏名】山口 大樹
【審査官】植前 津子
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-528045(JP,A)
【文献】米国特許第03415713(US,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0056881(US,A1)
【文献】国際公開第2017/090443(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 65/00-65/46
D07B 1/04
F16L 57/00
H02G 3/04
D04H 1/498
B32B 1/00-43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
長手状の部材のルーティングおよび保護のための自己包装スリーブであって、
対向する両端の間で長手方向軸に沿って延在する対向する両エッジを有する長手状の壁を備え、前記対向する両エッジは、内部キャビティを定義するために長手方向軸に関する自己包装構成の中へと付勢されており、前記対向する両エッジは、長手状の部材の挿入または除去のために内部キャビティを露出させて、外部から適用される力の除去の際に自己包装構成に復帰させるために、前記外部から適用される力のもとで、互いに離れるように延長可能であり、前記壁は、撚り合わせられた繊維の不織層と、織り合わせられたフィラメントのテキスタイル層とを含み、そこでは、前記不織層は、前記テキスタイル層のフィラメントで絡ませられている前記不織層の繊維を介してテキスタイル層に固定されており、
前記壁は、前記スリーブの長手に沿って交互に並ぶ、複数の周囲に延在する第1バンド部と、複数の周囲に延在する第2バンド部とを有し、前記第1バンド部は、前記テキスタイル層の前記フィラメントと絡み合わせられている前記不織層の繊維と共に、針で刺されており、前記第2バンド部は、前記不織層の前記繊維が前記テキスタイル層の前記フィラメントと絡み合わせられないように、針で刺されていない、自己包装スリーブ。
【請求項2】
前記不織層および前記テキスタイル層のうち少なくとも1つは、前記長手方向軸に関する前記自己包装構成の中へと前記対向する両エッジを付勢するように熱硬化されている、請求項1に記載の自己包装スリーブ。
【請求項3】
前記不織層は、前記長手方向軸に関する前記自己包装構成の中へと前記対向する両エッジを付勢するように熱硬化されている、請求項2に記載の自己包装スリーブ。
【請求項4】
前記テキスタイル層は熱硬化されていない、請求項3に記載の自己包装スリーブ。
【請求項5】
前記テキスタイル層は、前記長手方向軸に関する前記自己包装構成の中へと前記対向する両エッジを付勢するように熱硬化されている、請求項2に記載の自己包装スリーブ。
【請求項6】
前記不織層は熱硬化されていない、請求項5に記載の自己包装スリーブ。
【請求項7】
前記不織層および前記テキスタイル層は、前記長手方向軸に関する前記自己包装構成の中へと前記対向する両エッジを付勢するようにそれぞれ熱硬化されている、請求項2に記載の自己包装スリーブ。
【請求項8】
前記壁は、
前記不織層と前記テキスタイル層との間に挟まれた金属箔層を含み、前記テキスタイル層と絡み合わせられている前記不織層の前記繊維は、前記金属箔層を通過する、請求項1に記載の自己包装スリーブ。
【請求項9】
前記不織層、前記テキスタイル層、および前記金属箔層は、前記テキスタイル層の前記フィラメントと絡み合わせられている前記不織層の前記繊維を通じてのみ互いに固定されている、請求項8に記載の自己包装スリーブ。
【請求項10】
長手状の不織層を供給する工程と、
テキスタイル層を供給する工程と、
前記不織層および前記テキスタイル層を互いに重なり合う関係で敷く工程と、
対向する両端の間で長手方向に延在する前記不織層および前記テキスタイル層の対向する両エッジを有する多層壁を形成するように、前記不織層の繊維を、前記テキスタイル層のフィラメントと絡み合わせるように、前記不織層を針でパンチする工程と、
内部キャビティを定義するように互いにオーバーラップする関係へと付勢される対向する両エッジと共に管状の自己包装構成の中へと前記壁を熱硬化させる工程とを含み、
前記不織層の繊維を、前記テキスタイル層のフィラメントと絡み合わせられた状態にしつつ、前記不織層において複数の周辺に延在する第1バンド部を針で刺す工程と、前記第1バンド部の間に延在し、前記第1バンド部と交互に並ぶ、複数の周辺に延在する針で刺されていない第2バンド部を形成する工程とをさらに含み、前記第2バンド部の中の前記不織層の前記繊維は、前記テキスタイル層のフィラメントと絡み合わせられない、自己包装スリーブの組立の方法。
【請求項11】
谷を形成する前記第1バンド部およびピークを形成する前記第2バンド部を通じて回旋状の輪郭を有する前記壁を形成する工程をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記スリーブの内側表面を形成するように前記テキスタイル層を配置する工程と、前記スリーブの外側表面を形成するように前記不織層を配置する工程とをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
前記不織層と前記テキスタイル層との間に金属箔層を挟む工程と、前記テキスタイル層と絡み合わせられる前記不織層の前記繊維で前記金属箔層を貫通する工程とをさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項14】
前記テキスタイル層の前記フィラメントと絡み合わせられている前記不織層の前記繊維だけを通じて、前記不織層および前記テキスタイル層を互いに固定する工程をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項15】
互いにオーバーラップする関係へと前記壁の対向する両エッジを付勢するように、前記不織層および前記テキスタイル層のうち少なくとも1つにおいて熱硬化を付与し、前記不織層および前記テキスタイル層のうち他方においては熱硬化を付与しない工程をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記不織層において熱硬化を付与する工程をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記テキスタイル層において熱硬化を付与する工程をさらに含む、請求項15に記載の方法。
【請求項18】
互いにオーバーラップする関係へと前記壁の対向する両エッジを付勢するように、前記不織層および前記テキスタイル層の両方において熱硬化を付与し、前記不織層および前記テキスタイル層のうち他方においては熱硬化を付与しない工程をさらに含む、請求項10に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この出願は、2018年4月6日に出願された米国仮出願番号62/654,177および2018年10月2日に出願された米国特許出願番号16/150,140の利益を主張し、それらの出願は、その全体を参照することによって、ここに盛り込まれる。
【0002】
この発明は、通常、ワイヤ、ワイヤハーネス、管、導管などのような長手状の物品の周囲に、そのような長手状の物品を、熱、切断、擦傷、摩滅、衝突から保護し、および/または、振動、ノイズ、電磁的干渉および/または過酷さからの遮蔽を提供するために、フィットさせることができる保護用不織スリーブに関係する。
【背景技術】
【0003】
米国特許第7,523,532号および第7,754,301号は、ワイヤ、ワイヤハーネス、管、導管などのような長手状の物品を覆うことに用いるための不織スリーブを開示する。このような不織スリーブは、(応用に依存して変わりうる)所望の密度へと均一に圧縮され、そしてまた、自己カール形状へと付勢もされ、その結果、スリーブが、そのスリットエッジに沿って開くように強制され、かつ長手状の物品の周囲に位置づけられたとき、スリーブの解放が、スリーブを長手状の物品の周囲に自己カールさせて包装させることが、教示されている。このようなスリーブは、自己包装すること、不織材料からなることの優位性を有するが、高密度での自己カール特性は、かなり堅く、長手に沿ってのたわみに対して抵抗力のある製品を作り出すという効果を有するということに限度があり、そのスリーブが、蛇のような曲がりくねった屈曲を有する長手状のアイテム(たとえば湾曲したワイヤハーネス)を覆うために用いられるべきとき、課題を示す。さらに、前述したスリーブは、振動に対する保護およびノイズの減衰を提供するために有用であるが、一般的に、電磁気的干渉(EMI:electromagnetic interference)、無線周波干渉(RFI:radiofrequency interference)または静電放電(ESD:electrostatic discharge)に適していない。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
長手状部材のルーティングおよび保護のための自己包装スリーブが提供される。スリーブは、スリーブの対向する両端の間でスリーブの長手方向軸に沿って延在する対向する両エッジを有する長手状の壁を含む。対向する両エッジは、管状のキャビティを定義するために長手方向軸に関する自己包装構成の中へと付勢される。対向する両エッジは、長手状の部材の挿入または除去のためにキャビティを露出させて、外部から適用される力の除去の際に自己包装構成に復帰させるために、外部から適用される力のもとで、互いに離れるように延長可能である。壁は、撚り合わせられた繊維の不織層(不織は、典型的には、例として、限定無しに、繊維ガラス、フェルトなどを作ることに用いられるように、ウェブ形成プロセスの中で作られるものとして理解される周知の技術用語である)と、織り合わせられたフィラメントのテキスタイル層(織られたか、組紐で飾られたか、編まれたかのモノフィラメントおよび/またはマルチフィラメント)とを含み、そこでは、不織層は、テキスタイル層のフィラメントと絡み合わせられている不織層の繊維を介してテキスタイル層に固定されている。
【0005】
本開示のもうひとつの局面によれば、複数の、周囲に延在する、針で刺された第1バンド部は、テキスタイル層の織り合わせられたフィラメントとの絡み合いに押し込まれる不織層の繊維を介して形成され、それにより、針で刺されて高密度化される(針で刺されるプロセスの中で圧縮されることによって密度が増した)第1部分の結果としてのスリーブに、強化されたフープ強度を付与し、かつ、編み合わせられたテキスタイル層に不織層を添付するための補助的な固定機構の必要性を廃止し、第1バンド部の間に交代する関係で延在する、複数の、周辺に延在する、針で刺されていない第2バンド部は、針で刺されてテキスタイル層のフィラメントと絡み合わせられた不織層の繊維がなく形成され、それにより、針で刺すプロセスによって高密度化されていないことおよびテキスタイル層にロックされていないことによって、スリーブに対する高められた柔軟性を付与し、それによって、それに対するわずかなずれおよび曲げをなくすことができる。
【0006】
本開示のもうひとつの局面によれば、第1バンド部および第2バンド部は、壁に回旋状の輪郭を提供し、針で刺された第1バンド部は、壁のフープクラッシュ強度を高める圧縮された谷を形成し、かつ、針で刺されていない第2バンド部は、ピークを形成し、壁の継ぎ目に沿った開口なく、キンクすることもなく、曲がりくねった経路についてスリーブをルートづけすることを可能にするために、丸く柔軟でキンクのない状態に留まる壁の能力を高める。
【0007】
本開示のもうひとつの局面によれば、テキスタイル層は、所望の物理的特性をスリーブに提供するために、選択されたモノフィラメントおよび/またはマルチフィラメントの織られた層として形成されうるのであり、少なくともフィラメントのいくつかは、スリーブを、互いにオーバーラップする対向する両エッジを有し、自己包装された周辺が閉じた構成に維持することを容易にするために、熱硬化形状を呈するために熱硬化可能でありうる。
【0008】
本開示のもうひとつの局面によれば、テキスタイル層は、所望の物理的特性をスリーブに提供するために、モノフィラメントおよび/またはマルチフィラメントの組紐で飾られた層として形成されうるのであり、少なくともフィラメントのいくつかは、スリーブを、互いにオーバーラップする対向する両エッジを有し、自己包装された周辺が閉じた構成に維持することを容易にするために、熱硬化形状を呈するために熱硬化可能でありうる。
【0009】
本開示のもうひとつの局面によれば、テキスタイル層は、所望の物理的特性をスリーブに提供するために、モノフィラメントおよび/またはマルチフィラメントのニット層として形成されうるのであり、少なくともフィラメントのいくつかは、スリーブを、互いにオーバーラップする対向する両エッジを有し、自己包装された周辺が閉じた構成に維持することを容易にするために、熱硬化形状を呈するために熱硬化可能でありうる。
【0010】
本開示のもうひとつの局面によれば、テキスタイル層は、スリーブの内部に収容される長手状部材に直接当接する所望の保護部を提供するために、スリーブの内側表面を形成するように構成されうる。その保護部は、不織層が長手状部材に直接当接した場合に起こりがちな、長手状部材に引っ掛かることを避けることを含みうる。そして、不織層は、スリーブの外側表面を形成するように構成されてもよく、それにより、衝撃力を吸収することが可能であることを通じて、高められた衝撃耐性を提供し、その一方、不織層の繊維の相対的に密集して撚り合わせられた関係を通じて、高められた熱保護を提供し、そこでは、繊維は、求められる保護の特定の性質を提供するために選択されうる。
【0011】
本開示のもうひとつの局面によれば、少なくとも不織層の繊維のいくつかは、スリーブを、互いにオーバーラップする対向する両エッジを有し、自己包装された周辺が閉じた構成に維持することを容易にするために、熱硬化形状を呈するために熱硬化可能でありうる。
【0012】
本開示のもうひとつの局面によれば、スリーブの壁は、不織層とテキスタイル層との間に挟まれた金属箔層をさらに含みうるものであり、それにより、(EMI)、(RFI)および(ESD)に対するスリーブ保護と共に収容される長手部材に対する保護を提供し、そこでは、テキスタイル層と絡み合わせられた不織層の繊維は、補助的な固定機構を必要とすることなく、全ての層を互いにロックするために、金属箔層を通り抜ける。
【0013】
本開示のもうひとつの局面によれば、壁の全ての層は、テキスタイル層のフィラメントと絡み合わせられる不織層の繊維だけを通じて、互いに固定されうるものであり、それにより、接着剤またはその他のような高価な二次的な固定機構の必要性を排除する。
【0014】
本開示のもうひとつの局面によれば、もしただ1層のみが熱硬化可能である場合に、ただ1層のみがより高価な熱硬化性の繊維またはフィラメントあるいは、もし増大する自己包装能力のためにより大きな巻く力が求められる場合には、その両方を収容しなければならないことの結果としてコスト節約となるならば、壁の不織層およびテキスタイル層の少なくとも1つは、壁の対向する両エッジを互いにオーバーラップする関係へと付勢するために、熱硬化されうる。
【0015】
本開示のもうひとつの局面によれば、長手状部材をルートづけし、保護するために用いられる自己包装スリーブを組み立てる方法が提供される。その方法は、長手状の不織層およびテキスタイル層を供給することを含む。さらに、不織層およびテキスタイル層を互いに重なり合う関係に敷くこと、および、不織層の繊維をテキスタイル層のフィラメントと絡み合わせて、不織層およびテキスタイル層の対向する両エッジを有して対向する両端の間に長く延在する壁を形成するために、不織層を針でパンチングすることを含む。さらに、内部で保護されるべき長手状部材を受け入れるための内部管状キャビティを規定するための、自己包装される管状の構成へと壁を付勢するために、壁の中に付勢を付与するために、不織層および/またはテキスタイル層のうち少なくとも1つを熱硬化することを含む。
【0016】
本開示のもうひとつの局面によれば、その方法は、さらに、テキスタイル層のフィラメントと絡み合わせられる不織層の繊維を通じて、複数の周辺に延在する第1バンド部を形成すること、および、第1バンド部の間に、および、第1バンド部と交互に、延在する、複数の周辺に延在する第2バンド部を形成することを含みうる。そこでは、第2バンドがスリーブに、高められた柔軟性およびアンチ・キンク特性を提供するように、第2バンド部内の不織層の繊維は、テキスタイル層のフィラメントと絡み合わせられることはなく、一方、撚り合わせられた第1バンド部は、高められたフープ強度をスリーブに提供する。
【0017】
本開示のもうひとつの局面によれば、その方法は、圧縮され、高密度化されることを通じて谷を形成する撚り合わせられた第1バンド部と、圧縮されず高密度化されずに留まることを通じてピークを形成する撚り合わせられていない第2バンド部とを通じて、回旋状の輪郭を有する壁を形成することをさらに含み、高密度化され、撚り合わせられた第1バンド部が、壁のフープクラッシュ強度を高め、高密度化されておらず撚り合わせられていない第2バンド部が壁の、スリーブを曲がりくねった蛇のような経路およびコーナーにルートづけ可能なように曲げられたときに、壁の継ぎ目が開口することなく、丸く、高度に柔軟でキンクのない状態に留まる能力を高める。
【0018】
本開示のもうひとつの局面によれば、その方法は、テキスタイル層を織られた層として提供することをさらに含みうる。
【0019】
本開示のもうひとつの局面によれば、その方法は、テキスタイル層を組紐で飾られた層として提供することをさらに含みうる。
【0020】
本開示のもうひとつの局面によれば、その方法は、テキスタイル層をニット層として提供することをさらに含みうる。
【0021】
本開示のもうひとつの局面によれば、その方法は、所望の保護を提供し、かつ、保護されている長手部材との引っ掛かりを避けるために、スリーブの内側表面を形成するようにテキスタイル層をアレンジすることと、スリーブの、高度な衝撃耐性の熱的保護用の外表面を形成するように不織層をアレンジすることとをさらに含みうる。
【0022】
本開示のもうひとつの局面によれば、その方法は、EMI、RFIおよびESDの保護特性をスリーブに提供するために、不織層とテキスタイル層との間に金属箔層を挟み込むことと、高価な二次的な工程および固定機構の必要なしに交互に重ねられた関係の複数層をロックするために針で刺す工程の間に、金属箔層を不織層の繊維で突き通すこととを、さらに含みうる。
【0023】
本開示のもうひとつの局面によれば、その方法は、テキスタイル層のフィラメントと絡み合わせられた不織層の繊維だけを通じて壁の層を互いに固定することをさらに含むことができ、これにより、高価な二次的な固定機構および工程を避ける。
【0024】
本開示のもうひとつの局面によれば、その方法は、壁の両エッジを互いに重なり合う関係へと付勢するために、壁の不織層およびテキスタイル層のうち少なくとも1つまたは両方を熱硬化させることをさらに含みうる。
【0025】
本開示のこれらおよび他の局面、特徴および有利な点は、以下に続く、現在の好ましい実施形態およびベストモードの詳細な説明、添付されたクレーム、ならびに、付随する図面を参照することで、当業者にとって容易に明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本開示のひとつの局面に従って組み立てられたスリーブの斜視図である。
図2】概して図1の2-2線に沿って取られた断面図である。
図2A】本開示のもうひとつの局面に従って組み立てられたスリーブの、図2ときわめて同様の図である。
図3】キンクのないU字形状へと曲げられて示された、本開示のひとつの局面に従って組み立てられたスリーブの側面図である。
図4】本開示のひとつの局面に従ってスリーブを組み立てるために用いられる工程の概略図である。
図4A】本開示のもうひとつの局面に従ってスリーブを組み立てるために用いられる工程の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
図面をより詳細に参照すると、図1は、本開示のひとつの局面に従って組み立てられ、組立の中で熱硬化された結果として自己包装しているスリーブ10を図解する。スリーブ10は、スリーブの対向する両開放端20,22の間のスリーブ10の長手方向軸18に概して平行に延在しつつ対向して長く延在する両エッジ14,16を有する長手状で多層状の壁12を備える。対向する両エッジ14,16は、管状の内部キャビティ24を規定するために、自己包装された互いに重なり合う関係へと付勢される。対向する両エッジ14,16は、求められたときに、長手状の部材26の挿入または除去のために、内部キャビティ24を露出するように、および、外部から適用される力が取り除かれた際には自己包装構成へと自動的に復帰するように、外部から適用される力のもとで互いに離れるように延長可能である。壁は、撚り合わせられた繊維30の外側不織層28と、織り合わせられたフィラメント34(フィラメント34は、熱硬化性および/または非熱硬化性の材料を含むいずれかの所望の材料のモノフィラメントおよび/またはマルチフィラメントであってもよく、織ること、組紐で飾ること、および、いずれかの所望のパターンを用いてニット編みすること、もし織られるとしたら、たとえば平織りまたはその他、を通じて織り合わせられてもよい。)の内側テキスタイル層32とを含み、そこでは、不織層28は、図4および図4Aに図解されたように、針パンチ工程を通じて、テキスタイル層32のフィラメント34と絡み合わせられつつ、不織層28の繊維30を通じてテキスタイル層32に固定される。このようにして、不織層28およびテキスタイル層32は、面倒で高価な接着剤または他のタイプのファスナー装置のような、高価な二次的な固定機構および工程の必要なしに、針で刺す工程だけを通じて互いに固定されうる。
【0028】
本開示のひとつの局面に従えば、図4に示すように、不織層28およびテキスタイル層32は、平坦な層として最初に組み立てられ、針パンチマシン38の複数の針36に面する不織層28を以て、互いに重なり合う関係へとフィードされる。針36は、不織層28における所望の針パターン(幅および密度)を達成するために、所望の数およびパターンに配列される。針パンチマシン38は、不織層28および下地となるテキスタイル層32を針36を以て突き通すように循環させられ、その際に、針36は、不織層28の複数の繊維30を、テキスタイル層32のフィラメント34との絡み合わせられた関係へと持ち込む。このようにして、不織層28およびテキスタイル層32は、ここでは、補助的な接合機構を望みに応じて用いることができると考えられているが、接着剤のような補助的な接合および固定機構を必要とすることなく、分離しないように互いに固定される。針で刺す工程は、層28,32の長さに沿って互いに交互に並ぶ、第1および第2の周囲に延在するバンド40,42を作り出すように行なわれる。第1バンド40は圧縮されて高密度化された針で刺された繊維30を有するように形成され、第2バンド42は、圧縮されず、高密度化されず、針で刺されていない繊維30を維持するように形成される。当業者は、第1および第2のバンド40,42は、仕上げスリーブ10に、所望の柔軟性、クラッシュ強度、衝撃耐性(クラッシュ保護)を付与するようにという望みに応じて、何らかの所望の幅(幅は、軸18に沿って長く延在する距離を意味することが意図される。)を有するように形成されうることを理解するだろう。多層壁12の材料を形成するように、平坦な不織およびテキスタイル層28,32が針で刺されて互いに重ねられる(固定される)際に、高められたフープ強度を提供する、第1バンド40を形成する針で刺された材料の谷Vと、高められた柔軟性を提供する、第2バンド42を形成する針で刺されていない材料のピークPと共に、壁12は、回旋状の輪郭をとり、管状のスリーブ10を形成するように、付勢された自己包装の管状の構成へと、その後に、包装されて熱形成され(熱硬化され)うる。カールした構成を取るように熱硬化する壁12の層28,32のうち少なくとも1つまたは両方と共に、スプリットは、継ぎ目44とも言及されるが、スリーブ10の長さに沿って延在し、壁12は、緩められた自己包装構成の中にあるとき、周囲を包囲された内部キャビティ24を提供する。層28,32のうちの1つだけが熱硬化可能な繊維およびフィラメントを含み、それぞれ、他方の層28,32がボイドとなりえ、このようにして、より高価な熱硬化可能な繊維およびフィラメントをそれぞれ無しとすることができるということが理解されるべきである。これに反して、壁12の自己包装能力を高めるために増大したカール力が求められる場所では、層28,32の両方が、熱硬化可能な繊維およびフィラメントをそれぞれ含んでよい。カールされる壁12と共に、内部キャビティ24は、一般的に管状であり、スリーブ10の中心長手軸18の全体に沿って容易にアクセス可能であり、たとえばワイヤまたはワイヤハーネスのような、長手状の部材26が、内部キャビティ24の中へ容易に配置しうるのであり、かつ、逆に、開けられたスプリット継ぎ目44を通じて、長手状の部材26を、導入する、または、除去するために十分な量による、自己閉鎖の、熱形成されたバイアス力に対抗して継ぎ目44を開けるために、壁12の少なくとも一部の範囲内で付与された熱硬化バイアスに対して互いに離れてスリーブ10の長く延在する自由端14,16を強制することを通じたサービスの間のように、内部キャビティ24から容易に除去可能である。
【0029】
図2の実施形態において、不織層28およびテキスタイル層32は、以下に議論されているように、さらなる層が求められるのでなければ、多層状のスリーブ10の全体を形成する。こうして、スリーブ10の組立は、保護またはたとえばカーリングのような他の機能を提供する材料の追加的な層の必要性を無くす。不織層28の材料は、少なくとも部分において、熱形成可能な繊維状材料の何らかのタイプおよび組合せで提供されてよい。材料は、たとえばポリエステルのように、摩滅耐性があって、柔軟で、回復力があって、音響減衰する重合材料として選択されてよい。不織層28の中に盛り込まれるために選択された、典型的に選択された繊維材料は、限定なく、ポリエチレンテレフタレート(PET)であってもよい。材料は、(たとえば、刻まれた廃棄織物、古着屋の古着、アジアのボール紙、などの)重合または非重合フィラー材料のいずれかの数およびタイプと組み合わせられた(例として、かつ、限定なく、PETのような)ベース重合材料を含んでよい。スリーブ10は、内部キャビティ24の中で、長手状の部材26と引っ掛かること、ガタガタ鳴ること、および、キーキー鳴ること、または、テキスタイル層32を通じてのその他の不所望な厳しさおよび/またはノイズを抑制しつつ、摩滅、振動、熱条件、および、主に不織層28を通じての衝撃によるダメージに対抗して長手状の部材26を保護するために、よく適している。さらに、不織層28が第1バンド40においてテキスタイル層32へと針で刺され、第2バンド42において針で刺されないことの結果として、スリーブ10は、図3に図解されるように、継ぎ目44を開けさせることなく、壁12にキンクを引き起こすことなく、曲がりくねった経路および鋭いコーナーにルートづけられうる。針で刺された繊維30の第1バンド40は、高密度化され、壁に対する高められたクラッシュ(フープ)強度を与える一方、針で刺されていない繊維30の第2バンド42は、針で刺されることによって高密度化されないので、スリーブ10に対する柔軟性を与え、これによって、高められたフープ強度と高められた柔軟性との相乗効果を提供し、長手状の部材26の周りに完全に包装された状態を維持するための壁12の能力を危うくすることなく、スリーブ10を、意図されたように機能できるようにする。さらに、スリーブ10を組み立てることに用いられた材料および工程は、製造においても使用においても経済的である。
【0030】
図2Aおよび図4Aに示されるように、提供された本開示のもうひとつの局面に従って組み立てられたスリーブ110は、上で用いられたのと同じ参照符号を100だけずらして、同様の特徴を特定するために用いられる。スリーブ110は、不織層128を含む壁112、テキスタイル層132、および、不織層128とテキスタイル層132との間に挟まれた、アルミニウムまたは他の適切な金属材料の金属箔層のような、金属箔層46を備える。壁112は、壁12について上で議論したのと同様に組み立てられるが、針で刺す工程を実行するのに先立って、上で議論したように、箔層46が外側の不織層128と内側のテキスタイル層132との間に挟まれる。好ましくは、これらの各々の外側表面は、互いに同一平面上に揃えられるように、互いに覆っている各層128,46,132と共に、上で議論したように、軸方向に交互に並ぶ第1および第2のバンド140,142を形成するための、針で刺す工程が行なわれる。図4Aに最も良く示されているように、不織層128の針で刺された繊維130は、金属箔層46を貫通してテキスタイル層132のフィラメント134と絡み合う。このようにして、各層128,46,132は、上で議論されたように、求められれば追加的な固定機構を用いることもできるが、さらなる固定機構を必要とすることなく、互いに固定される。もちろん、もしさらなる固定機構が避けられれば、コストは下げられる。不織層128、金属箔層46およびテキスタイル層132の固定された積層を形成する際に、壁112は、管状スリーブ112を形成するように、壁112の対向する両エッジ114,116を互いにオーバーラップするように、永久に付勢するように、熱形成されてもよい。ここにある開示を参照した当業者が理解するであろうように、金属箔層46の存在は、電磁気的干渉と同様に、熱効果に対抗して保護を高める。
【0031】
明らかに、本発明の多くの調整およびバリエーションは、上記教示に照らして可能である。全ての請求項の全ての特徴および全ての実施の形態は、組合せが互いに矛盾しない限りは、互いに組み合わせることができる。それゆえに、本発明は、特筆されない限りは、付加される請求項の範囲内で、実施されうるものと理解されるべきである。
図1
図2
図2A
図3
図4
図4A