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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】作業機
(51)【国際特許分類】
   A01B 63/16 20060101AFI20240115BHJP
   B62D 49/00 20060101ALI20240115BHJP
   A01B 33/16 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
A01B63/16 A
B62D49/00 K
A01B33/16
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2021002794
(22)【出願日】2021-01-12
(65)【公開番号】P2022108018
(43)【公開日】2022-07-25
【審査請求日】2023-06-23
(73)【特許権者】
【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
(74)【代理人】
【識別番号】110003041
【氏名又は名称】安田岡本弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】堀江 文治
(72)【発明者】
【氏名】小西 健斗
(72)【発明者】
【氏名】中出 一輝
(72)【発明者】
【氏名】田中 健輔
【審査官】坂田 誠
(56)【参考文献】
【文献】実開昭55-108812(JP,U)
【文献】実開平4-3516(JP,U)
【文献】特開平3-94601(JP,A)
【文献】特開平8-172810(JP,A)
【文献】実開昭54-62905(JP,U)
【文献】実開昭54-42604(JP,U)
【文献】特開2004-65024(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A01B 63/16
A01B 33/16
B62D 49/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
圃場を耕耘する耕耘部が支持された機枠と、
前記機枠に上下動可能に枢着され且つ耕耘深さを設定するゲージ輪を支持する支持枠と、
前記支持枠に枢着された屈折リンクと、
前記機枠に一端側が枢着され他端側が枢軸を介して前記屈折リンクに枢着された耕深調整ロッドと、
前記屈折リンクと前記耕深調整ロッドとを伸展状態から屈折させることで、前記ゲージ輪をフローティング状態にするフローティング機構と、
を備え、
前記フローティング機構は、
前記支持枠に設けられた摺動面と、
前記摺動面から突出する段部と、
前記屈折リンクに前記枢軸回りに回動可能に支持された作動部材とを有し、
前記作動部材を回動させて前記摺動面上を前記段部に向けて摺動させると共に該段部に当接させることで、当該作動部材によって前記枢軸を押し上げて前記屈折リンクと前記耕深調整ロッドとを屈折させる作業機。
【請求項2】
前記フローティング機構は、前記作動部材を前記段部に向かう作動方向とは反対の戻し方向に付勢する戻しバネを有し、
前記作動部材は、前記段部に当接した位置において、前記摺動面に対して、前記枢軸から前記摺動面に向かうにつれて前記作動方向に移行する傾斜状とされている請求項1に記載の作業機。
【請求項3】
前記機枠が昇降可能に装着される走行体を備え、
前記作動部材は、前記機枠を上昇させることによって、前記摺動面に対して前記耕深調整ロッド及び前記枢軸と共に持ち上げられて前記戻しバネの付勢力によって復帰する請求項2に記載の作業機。
【請求項4】
前記走行体に備えられた運転席から引動操作が可能な索体を備え、
前記支持枠は、前部が前記機枠に枢着された支持アームと、前記支持アームの後部に固定されていて前記ゲージ輪が取り付けられるツールバーとを有し、
前記フローティング機構は、前記作動部材と前記枢軸回りに一体回動する操作部を有し、
前記作動部材は、前記操作部が前記ツールバーに当接することにより前記戻し方向の移動が規制され、前記操作部が前記索体によって引動されることで前記作動方向に摺動する請求項3に記載の作業機。
【請求項5】
前記フローティング機構は、前記枢軸に軸心回りに回動可能に支持されていて前記操作部が固定された回動筒を有し、
前記摺動面は、前記回動筒の下方に配置され、
前記段部は、前記摺動面の前部に該摺動面から上方に突出するように設けられ、
前記作動部材は、前記摺動面と前記回動筒との間に配置されて前記回動筒に固定され、
前記操作部は、前記回動筒よりも下方に配置されていて、前方に引動されることで前記作動部材が前記段部の後方側から前方に移動するように前記作動部材を回動させる請求項4に記載の作業機。
【請求項6】
前記フローティング機構は、前記操作部を含む操作部材を有し、
前記操作部材は、前記屈折リンクの側方であって前記回動筒が配置された側の側方に前
記屈折リンクと間隔をあけて配置されると共に前記回動筒に固定され、
前記作動部材は、前記屈折リンクと前記操作部材との間に配置され、
前記戻しバネは、前記作動部材の上方に配置されて前記屈折リンクと前記操作部材とにわたって設けられている請求項5に記載の作業機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、作業機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に開示された作業機が知られている。
特許文献1に開示された作業機は、トラクタの後方に装着されたロータリ耕耘装置を備えている。ロータリ耕耘装置は、圃場を耕耘する耕耘部が支持された機枠と、機枠に上下動可能に枢着された支持枠と、支持枠に支持されたゲージ輪と、支持枠に枢着された屈折リンクと、機枠に一端側が枢着され他端側が屈折リンクに枢着された耕深調整ロッドと、屈折リンクと耕深調整ロッドとを伸展状態から屈折させることでゲージ輪をフローティング状態にするフローティング機構とを有している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特公平8-17608号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、従来のフローティング機構を備えた作業機にあっては、フローティング機構の動作の円滑性の向上に改善の余地があった。
本発明は、前記問題点に鑑み、フローティング機構の動作の円滑性の向上を図ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の一態様に係る作業機は、圃場を耕耘する耕耘部が支持された機枠と、前記機枠に上下動可能に枢着され且つ耕耘深さを設定するゲージ輪を支持する支持枠と、前記支持枠に枢着された屈折リンクと、前記機枠に一端側が枢着され他端側が枢軸を介して前記屈折リンクに枢着された耕深調整ロッドと、前記屈折リンクと前記耕深調整ロッドとを伸展状態から屈折させることで、前記ゲージ輪をフローティング状態にするフローティング機構と、を備え、前記フローティング機構は、前記支持枠に設けられた摺動面と、前記摺動面から上方に突出する段部と、前記屈折リンクに前記枢軸回りに回動可能に支持された作動部材とを有し、前記作動部材を回動させて前記摺動面上を摺動しながら前記段部に向けて摺動させ且つ該段部に当接させることで、当該作動部材によって前記枢軸を押し上げて前記屈折リンクと前記耕深調整ロッドとを屈折させる。
【0006】
また、前記フローティング機構は、前記作動部材を前記段部に向かう作動方向とは反対の戻し方向に付勢する戻しバネを有し、前記作動部材は、前記段部に当接した位置において、前記摺動面に対して、前記枢軸から前記摺動面に向かうにつれて前記作動方向に移行する傾斜状とされている。
また、前記機枠が昇降可能に装着される走行体を備え、前記作動部材は、前記機枠を上昇させることによって、前記摺動面に対して前記耕深調整ロッド及び前記枢軸と共に持ち上げられて前記戻しバネの付勢力によって復帰する。
【0007】
また、前記走行体に備えられた運転席から引動操作が可能な索体を備え、前記支持枠は、前部が前記機枠に枢着された支持アームと、前記支持アームの後部に固定されていて前記ゲージ輪が取り付けられるツールバーとを有し、前記フローティング機構は、前記作動部材と前記枢軸回りに一体回動する操作部を有し、前記作動部材は、前記操作部が前記ツールバーに当接することにより前記戻し方向の移動が規制され、前記操作部が前記索体によって引動されることで前記作動方向に摺動する。
【0008】
また、前記フローティング機構は、前記枢軸に軸心回りに回動可能に支持されていて前記操作部が固定された回動筒を有し、前記摺動面は、前記回動筒の下方に配置され、前記段部は、前記摺動面の前部に該摺動面から上方に突出するように設けられ、前記作動部材は、前記摺動面と前記回動筒との間に配置されて前記回動筒に固定され、前記操作部は、前記回動筒よりも下方に配置されていて、前方に引動されることで前記作動部材が前記段
部の後方側から前方に移動するように前記作動部材を回動させる。
【0009】
また、前記フローティング機構は、前記操作部を含む操作部材を有し、前記操作部材は、前記屈折リンクの側方であって前記回動筒が配置された側の側方に前記屈折リンクと間隔をあけて配置されると共に前記回動筒に固定され、前記作動部材は、前記屈折リンクと前記操作部材との間に配置され、前記戻しバネは、前記作動部材の上方に配置されて前記屈折リンクと前記操作部材とにわたって設けられている。
【発明の効果】
【0010】
上記の作業機によれば、作動部材を回動させて摺動面上を摺動しながら段部に向けて摺動させ且つ該段部に当接させることで、当該作動部材によって枢軸を押し上げて屈折リンクと耕深調整ロッドとを屈折させるようにしたので、フローティング機構の動作の円滑性の向上を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】作業機の側面図である。
図2】耕耘深さ設定装置及びフローティング機構の側面図である。
図3】フローティングセット前の状態のフローティング機構の側面図である。
図4図3のX1-X1線矢視図である。
図5】フローティングセット途中のフローティング機構の側面図である。
図6】フローティングセット途中のフローティング機構の側面図である。
図7】フローティングセット後のフローティング機構の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態について、図面を適宜参照しつつ説明する。
図1は、本実施形態に係る作業機1を示す概略側面図である。
図1に示すように、作業機1は、トラクタ(走行体)2と、トラクタ2の後方に装着されたロータリ耕耘装置(耕耘装置)3とを有する。トラクタ2は走行可能な車体4を有する。車体4の後部には、オペレータ(運転者)が着座する運転席5が搭載されている。
【0013】
なお、トラクタ2は、車体4に運転席5を包囲するキャビンを搭載したキャビン搭載型のトラクタであってもよいし、キャビンが搭載されていないキャビン無し仕様のトラクタであってもよい。
本実施形態においては、トラクタ2の運転席5に着座したオペレータの前側に向かう方向(図1の矢印A1方向)を前方、オペレータの後側に向かう方向(図1の矢印A2方向)を後方、図1の矢印K1方向を前後方向として説明する。また、オペレータの左側に向かう方向(図1の手前側)を左方、オペレータの右側に向かう方向(図1の奥側)を右方として説明する。
【0014】
また、前後方向K1に直交する方向である水平方向を機体幅方向として説明する。トラクタ2の車幅方向の中央部から右部、或いは、左部へ向かう方向を機体幅方向外方として説明する。つまり、機体幅方向外方は、トラクタ2の車幅方向の中心から機体幅方向に離れる方向である。機体幅方向外方とは反対の方向を、機体幅方向内方として説明する。つまり、機体幅方向内方は、機体幅方向においてトラクタ2の車幅方向の中心に近づく方向である。
【0015】
図1に示すように、トラクタ2の車体4は、原動機(図示省略)と、動力伝達ケース4Aとを有する。原動機は、例えば、ディーゼルエンジン等のエンジンである。なお、原動機は、電動モータであってもよいし、ディーゼルエンジン及び電動モータを有するハイブリッド型であってもよい。動力伝達ケース4Aは、例えば、フライホイールを収容するフライホイールハウジングと、フライホイールを介して伝達される原動機の動力を断続可能に伝達するクラッチを収容するクラッチハウジングと、クラッチを介して伝達される動力を変速する変速装置を収容するミッションケースとを直結して構成される。
【0016】
図1に示すように、トラクタ2は、車体4を走行可能に支持する走行装置6を有している。走行装置6は、例えば、車輪型の走行装置6であり、車体4の前部の左及び右側に設けた前輪と、車体4の後部の左及び右側に設けた後輪6Aとを有する。
車体4の背面下部には、PTO軸7が後方突出状に設けられている。PTO軸7は、ト
ラクタ2の動力(原動機の動力)を外部に取り出す出力軸である。また、車体4の後部の上部には、昇降シリンダ8によって駆動されて上下に揺動する一対の(左及び右の)リフトアーム9が設けられている。昇降シリンダ8は、油圧シリンダによって形成される。
【0017】
図1に示すように、車体4の後部には、ロータリ耕耘装置3を昇降可能に装着する装着機構10が取り付けられている。装着機構10は、三点リンク機構等のリンク機構11と、リンク機構11の後部に取り付けられた連結枠12とを有する。なお、本実施形態では、リンク機構11は、三点リンク機構で構成されているが、三点リンク機構に限定されることはなく、二点リンク機構等であってもよい。
【0018】
三点リンク機構11は、車体4上部に配置されたトップリンク11Aと、トップリンク11Aの下方に配置された一対の(左及び右の)ロワーリンク11Bとを有する。トップリンク11Aの前部は、車体4の背面に取り付けられたトップリンクブラケット4aに枢支連結されている。トップリンク11Aの後部は、連結枠12の上部の係合部12Aに枢支連結されている。
【0019】
各ロワーリンク11Bの前部は、車体4に枢支連結されている。各ロワーリンク11Bの後部は、連結枠12の下部に枢支連結されている。また、左のロワーリンク11Bの中途部と左のリフトアーム9とは、左のリフトロッド13によって連結されている。また、右のロワーリンク11Bの中途部と右のリフトアーム9とは、右のリフトロッド13によって連結されている。
【0020】
連結枠12に、ロータリ耕耘装置3が着脱可能に連結されている。したがって、一対のリフトアーム9を駆動して上下に揺動させることにより、一対のロワーリンク11Bが上下に揺動し、ロータリ耕耘装置3が昇降する。
図1に示すように、作業機1は、PTO軸7からの動力をロータリ耕耘装置3に伝達するドライブシャフト14を有している。ドライブシャフト14は、トラクタ2と連結枠12とにわたって設けられている。ドライブシャフト14は、ユニバーサルジョイントによって構成された一対の(前及び後の)ジョイント部14Aa、14Abと、前ジョイント部14Aaと後ジョイント部14Abとを連結する伸縮自在なジョイント軸14Bとを有する。前ジョイント部14AaはPTO軸7に連結され、後ジョイント部14Abは、連結枠12に設けられたジョイントホルダ15に回転可能に支持されている。
【0021】
図1に示すように、ロータリ耕耘装置3は、本実施形態では、サイドドライブ型のロータリ耕耘装置が例示されている。これに限定されることはなく、ロータリ耕耘装置3は、センタードライブ型のロータリ耕耘装置であってもよい。
ロータリ耕耘装置3は、トラクタ2に三点リンク機構11を介して昇降可能に装着される機枠16と、機枠16に支持された耕耘部17とを有する。
【0022】
機枠16は、機体幅方向の中央に位置するギヤケース18と、ギヤケース18から左方に延びる左のサポートアーム19と、ギヤケース18から右方に延びる右のサポートアーム19と、左のサポートアーム19に取り付けられた伝動ケース20と、右のサポートアーム19に取り付けられたサイドフレームとを有する。
ギヤケース18には、PIC軸(入力軸)21が前方突出状に設けられている。PIC軸21は、後ジョイント部14Abにスプライン結合等によって連結されている。したがって、PTO軸7からの動力は、ドライブシャフト14を介してPIC軸21に伝達される。PIC軸21に伝達された動力は、ギヤケース18内のベベルギヤ伝動機構及び左のサポートアーム19内の伝動軸29を経て伝動ケース20内のチェーン伝動機構に伝達される。
【0023】
ギヤケース18の上部には、トップマスト22が固定されている。トップマスト22の前上部は、連結枠12の上部の係合部12Aにピン23を介して引っ掛けられている(係合している)。
左及び右のサポートアーム19には、それぞれブラケット部材24が固定されている。
耕耘部17は、伝動ケース20とサイドフレームとの下部間に設けられた回転軸25と、回転軸25に取り付けられた複数の耕耘爪26とを有する。回転軸25は、機枠16に、機体幅方向に延伸する軸心回りに回転可能に支持されている。回転軸25は、伝動ケース20内のチェーン伝動機構に伝達された動力によって、例えば、図1の矢印Y1方向に回転する。これにより、耕耘部17は、圃場27を耕耘する。詳しくは、耕耘部17は、耕耘爪26が回転軸25と共に回転して圃場27の土壌に突入して該土壌を耕起すると共に耕起した土壌を後方に放てきすることで圃場27を耕耘する。また、ロータリ耕耘装置3は、耕耘部17の上方を覆う主カバー28Aと耕耘部17の後方を覆う後部カバー28Bとを含む耕耘カバー28を有している。
【0024】
図1に示すように、ロータリ耕耘装置3(作業機1)は、耕耘深さを設定する(耕耘部17の沈み込みを規制する)耕耘深さ設定装置30を備えている。耕耘深さ設定装置30は、機枠16に上下揺動可能に枢着された支持枠31と、支持枠31に取り付けられていて耕耘深さを設定する(決定する)ゲージ輪32と、ゲージ輪32の高さを調整する高さ調整装置33とを有している。
【0025】
支持枠31は、一対の(左及び右の)支持アーム31Aと、一対の支持アーム31Aの後部に固定されたツールバー31Bとを有している。左の支持アーム31Aは、前部が左のブラケット部材24に支軸34を介して機体幅方向の軸心回りに回動可能に連結されている。右の支持アーム31Aは、前部が右のブラケット部材24に支軸34を介して機体幅方向の軸心回りに回動可能に連結されている。したがって、一対の支持アーム31Aは、支軸34を中心として上下に揺動可能である。
【0026】
ツールバー31Bは、角パイプによって形成され、一対の支持アーム31Aの後方に機体幅方向に延伸するように配置されていて、該一対の支持アーム31Aの後部に固定されている。
ゲージ輪32は、ツールバー31Bの機体幅方向の両側に配置されている。各ゲージ輪32は、ゲージ輪取付装置35に支持されている。各ゲージ輪取付装置35は、ホルダ35Aと、支柱部材35Bと、取付筒35Cと、ステー35Dとを有している。ホルダ35Aは、上下方向に延伸する軸心を有する筒部材によって形成されていてツールバー31Bの機体幅方向の端部側に取り付けられている。支柱部材35Bは、ホルダ35Aに上下位置調整可能に取り付けられている。取付筒35Cは、支柱部材35Bの下部に上下方向に延伸する軸心回りに回動自在に外嵌され(外側に嵌められ)ている。ステー35Dは、取付筒35Cの下部に固着されている。ゲージ輪32は、ステー35Dの下部に横軸35aを介して回転自在に取付けられている。
【0027】
高さ調整装置33は、支持枠31の上方に配置され、トップマスト22の後上部と支持枠31の後部(ツールバー31B)とにわたって設けられている。高さ調整装置33は、耕深調整ロッド36と、耕深調整ロッド36を操作する操作ハンドル37と、耕深調整ロッド36と支持枠31とを連結する連結装置38とを有している。
図2に示すように、耕深調整ロッド36は、カバー筒36Aと、ネジ杆36Bと、可動杆36Cとを有する。カバー筒36Aの上部は、トップマスト22に横軸部材36aを介して機体幅方向に延伸する軸心回りに回転自在に支持されている。つまり、耕深調整ロッド36の一端側は、機枠16に枢着されている。ネジ杆36Bは、カバー筒36A内に配置され、操作ハンドル37によって軸心回りに回転操作可能とされている。可動杆36Cは、カバー筒36Aの下端からカバー筒36A内に挿入され、上部の雌ネジ部36Caがネジ杆36Bに螺合(ネジ嵌合)している。したがって、操作ハンドル37を操作してネジ杆36Bを回転させると、雌ネジ部36Caがネジ杆36Bに対して螺進又は螺退する。雌ネジ部36Caが螺進すると可動杆36Cがカバー筒36A内に入っていき耕深調整ロッド36が収縮し、螺退すると可動杆36Cがカバー筒36Aから突出していき耕深調整ロッド36が伸長する。つまり、ネジ杆36Bを軸心回りに回転させることで耕深調整ロッド36が伸縮する。
【0028】
図3図4に示すように、連結装置38は、ツールバー31Bに固定された連結ブラケット40と、連結ブラケット40と可動杆36C(耕深調整ロッド36)とを連結する屈折リンク41とを有している。連結ブラケット40は、ツールバー31Bの後部に固定されている。連結ブラケット40は、ツールバー31Bから上方に向かうにつれて後方に移行する傾斜方向に突出している。
【0029】
屈折リンク41は、ツールバー31Bの上方に配置されている。屈折リンク41は、上壁42と、一対の側壁43(第1側壁43A、第2側壁43B)とを有している。第1側壁43Aは、上壁42の機体幅方向の一端側(左側)から下方側に延びている。第2側壁43Bは、上壁42の機体幅方向の他端側(右側)から下方側に延びている。連結ブラケット40の上部は、屈折リンク41の側壁43間の後部に挿入され、一対の側壁43に機体幅方向に延伸する軸心を有する枢軸(第1枢軸)44を介して枢支連結されている。つまり、屈折リンク41は、連結ブラケット40を介して支持枠31に枢着されている。
【0030】
可動杆36Cの下部には、屈折リンク41に連結される連結部45が設けられている。連結部45は、屈折リンク41の側壁43間の前部に挿入され、一対の側壁43に機体幅方向に延伸する軸心を有する枢軸(第2枢軸)46を介して枢支連結されている。つまり、耕深調整ロッド36の他端側は第2枢軸46を介して屈折リンク41に枢着されている。
【0031】
上記構成の高さ調整装置33にあっては、屈折リンク41は、第2枢軸46の後方で連結ブラケット40に第1枢軸44を介して枢着され、第1枢軸44の前方で耕深調整ロッド36の連結部45と屈折リンク41とが第2枢軸46を介して枢着されていることから、屈折リンク41と耕深調整ロッド36とは屈伸可能とされている。詳しくは、屈折リンク41と耕深調整ロッド36とは、耕深調整ロッド36と屈折リンク41とが直線状となる伸展状態S1(図3参照)と、耕深調整ロッド36と屈折リンク41とが屈折した屈折状態S2(図7参照)とに状態変更可能である。さらに詳しくは、伸展状態S1とは、耕深調整ロッド36の軸線R1と、第1枢軸44の中心44aと第2枢軸46の中心46aとを結ぶ線R2とが直線状となる状態である。屈折状態S2とは、軸線R1と線R2とが屈折した状態である。
【0032】
図4に示すように、第2枢軸46は、屈折リンク41から機体幅方向外方(側方)に突出している。本実施形態では、第2枢軸46は、第2側壁43B(屈折リンク41)から右方に突出している。
上記構成の耕耘深さ設定装置30にあっては、高さ調整装置33がトップマスト22と支持枠31との間で突っ張った状態(耕深調整ロッド36と屈折リンク41とが伸展状態S1である状態)では、横軸部材36aと第1枢軸44との距離が変わらないので、機枠16に対して支持枠31が支軸34回りに上下動しない。つまり、機枠16に対してゲージ輪32が上下動しない。この状態でゲージ輪32が接地することで、耕耘部17の耕耘深さが決定(設定)される。そして、操作ハンドル37を操作してネジ杆36Bを回転させることで耕深調整ロッド36を伸縮させると、支持枠31が支軸34回りに上下動し、ゲージ輪32が上下動する。ゲージ輪32を上下動させる、つまり、ゲージ輪32の高さを変更すると、耕耘深さを変更することができる。
【0033】
図3図4に示すように、ロータリ耕耘装置3には、フローティング機構51が装備されている。フローティング機構51は、屈折リンク41と耕深調整ロッド36とを伸展状態S1から屈折させることで、ゲージ輪32をフローティング状態にする機構である。フローティング状態とは、機枠16に対して支持枠31及びゲージ輪32が自由に上下動する状態であって、ゲージ輪32による耕耘深さの設定機能が解除された状態である。
【0034】
例えば、耕耘作業をし始めるときに、ゲージ輪32による規制があると耕耘部17が土に十分に入っていかないことから所定の耕耘深さになるまでにある程度の距離が必要である。この距離を短くするため、耕耘作業をし始めるときにだけ、フローティング機構51によってゲージ輪32の作用を無くすことにより、耕耘部17が速やかに土に入っていくようにすることができる。
【0035】
図3図4に示すように、フローティング機構51は、回動筒52と、第1当接プレート53と、第2当接プレート54と、作動部材55と、操作部材56と、戻しバネ57とを有している。
回動筒52は、第2枢軸46の第2側壁43Bから突出した支持部46bに軸心回りに回動可能に外嵌されている。つまり、回動筒52は、第2枢軸46に軸心回りに回動可能に支持されている。
【0036】
図3図4に示すように、第1当接プレート53は、主壁53Aと、延出壁53Bとを有している。主壁53Aは、第2枢軸46よりも下方(支持部46b及び回動筒52の下方)に配置され、ツールバー31Bの上壁31Baの上面に固定されている。また、主壁53Aは、ツールバー31Bの上壁31Baから前方に突出する突壁53Cを有している。この主壁53Aの上面が、作動部材55を当接させ且つ摺動させる摺動面58とされている。この摺動面58は、第2枢軸46の下方に配置されていると共に支持枠31に設けられている。延出壁53Bは、主壁53Aの後端から下方に延出されていてツールバー31Bの後壁31Bbに固定されている。
【0037】
図3に示すように、第2当接プレート54は、主壁53Aの突壁53C上に固定されている。第2当接プレート54の後部は、摺動面58から上方に突出する段部59とされている。詳しくは、段部59は、第2当接プレート54の後面である規制面59aと、第2当接プレート54の上面の一部(後部)である上面部59bとを含んで構成されている。言い換えると、規制面59aは、摺動面58に立設され、上面部59bは、規制面59aの上端から前方に延びる。本実施形態では、規制面59aは、摺動面58から該摺動面58に対して垂直上方に延びる。また、段部59は、摺動面58の前部に設けられている。
【0038】
図3図4に示すように、作動部材55は、回動筒52(第2枢軸46)の下方で且つ摺動面58の上方に配置されている。つまり、作動部材55は、摺動面58と回動筒52との間に配置されている。また、作動部材55は、図3に示す屈折リンク41と耕深調整ロッド36とが伸展状態S1である状態において伸展方向に沿って配置され(後方に向かうにつれて下方に移行する傾斜状に配置され)、且つ摺動面58の上方に間隔をあけて配置されている。
【0039】
図3図4に示すように、作動部材55は、第1プレート55Aと、第2プレート55Bと、当接部55Cとを有している。第1プレート55Aは、上面の前部が回動筒52に固定されている。第2プレート55Bは、第1プレート55Aの下面に重ね合わされて第2プレート55Bに取り付けられている。当接部55Cは、棒材(本実施形態では、丸棒材)で形成されている。また、当接部55Cは、第2プレート55Bの後端側に機体幅方向に延伸するように配置され、該第2プレート55Bの後端に固定されている。
【0040】
以上のように、作動部材55は、摺動面58と回動筒52との間で回動筒52に固定されていて第2枢軸46の軸心回りに回動筒52と共に回動可能である。言い換えると、作動部材55は、屈折リンク41に第2枢軸46回りに回動可能に支持されている。また、図3に示すように、当接部55Cは、摺動面58の後端上方に位置しており、作動部材55が、第2枢軸46回りに図3の矢印D1方向(作動部材55が段部59に向かう方向である作動方向D1)に回動することにより、摺動面58に当接可能で且つ摺動面58上を摺動可能である。
【0041】
なお、作動部材55の構成は、本実施形態のものに限定されることはなく、当接部55Cは、第2プレート55Bの一部分(後部)で形成されていてもよい。また、第1プレート55Aと第2プレート55Bとは一枚の板材によって形成されていてもよい。
図3図4に示すように、操作部材56は、屈折リンク41の側方であって回動筒52が配置された側の側方に間隔をあけて配置されている。本実施形態では、操作部材56は、屈折リンク41の右側方に配置されている。また、操作部材56は、作動部材55の右側方に配置されている。したがって、作動部材55は、屈折リンク41と操作部材56との間に配置されている。操作部材56は、固定部56Aと、第1延設部56Bと、第2延設部56Cと、第3延設部56Dと、操作部56Eと、当たり部56Fとを有している。
【0042】
図3に示すように(屈折リンク41と耕深調整ロッド36とが伸展状態S1であるときにおいて)、固定部56Aは、回動筒52の後方に位置し、回動筒52に固定されている。つまり、操作部材56は、回動筒52に固定されている。また、第1延設部56Bは、固定部56Aから下方に向かうにつれて前方に移行する傾斜方向に延びている。また、第2延設部56Cは、固定部56Aから後方に向かうにつれて下方に移行する傾斜方向に延びている。また、第3延設部56Dは、第2延設部56Cの後部から上方に向かうにつれて後方に移行する傾斜方向に延びている。また、操作部56Eは、第1延設部56Bの下部から下方に延びていて、第2枢軸46より下方で且つツールバー31Bの前方側に配置されている。また、当たり部56Fは、第3延設部56Dの上部から後方に向かうにつれて下方に移行する傾斜方向に延びている。
【0043】
以上のように、操作部材56は操作部56Eを含み、作動部材55と第2枢軸46回りに一体回動する。
図3図4に示すように、戻しバネ57は、引っ張りコイルバネによって形成され、作動部材55の上方に配置されている。また、戻しバネ57は、屈折リンク41と操作部材56とにわたって設けられている。詳しくは、戻しバネ57は、一端側が屈折リンク41の後部上端側に設けられたバネ掛け部材61に掛止され、他端側が第2延設部56Cの後部に設けられたバネ掛け部材62に掛止されている。戻しバネ57の軸線の延長線は第2枢軸46の下方を通る。したがって、戻しバネ57は、操作部材56及び作動部材55を、図3の矢印D2方向(作動方向D1とは反対の戻し方向D2)に付勢している。図3に示す状態(フローティング機構51を作動させる前の状態)で、操作部56Eがツールバー31Bに当接することで、操作部材56及び作動部材55の戻し方向D2の回動が規制される。
【0044】
図1に示すように、作業機1は、運転席5側と操作部56Eとにわたって設けられたロープ等の索体50を有している。索体50の一端側は、操作部56Eの下部に接続され、索体50の他端側は、運転席5側からオペレータによって引動操作可能である。したがって、作動部材55は、オペレータによって操作部56Eが索体50を介して引動されることで回動する。なお、索体50は、プッシュプルケーブル等のケーブルであってもよく、運転席5側から操作部56Eを引動操作できるものであればよい。
【0045】
上記構成のフローティング機構51にあっては、例えば、ロータリ耕耘装置3を持ち上げた状態で、図3に示す状態(伸展状態S1)から、オペレータが索体50を前方に引動操作して操作部56Eを前方に引動することにより、図5図6図7に示すように、作動部材55が作動方向D1に回動し、当接部55C(作動部材55)が摺動面58に当接すると共に該当接部55C(作動部材55)が摺動面58上を段部59に向けて摺動する。本実施形態では、当接部55C(作動部材55)は、摺動面58上を段部59の後方側から前方に摺動する。その後、当接部55C(作動部材55)は段部59(規制面59a)に当接する。当接部55C(作動部材55)が段部59に当接することで、作動部材55の作動方向D1への移動が規制される(図7参照)。また、図7に示すように、作動部材55が段部59に当接すると同時に当たり部56Fが第1当接プレート53の延出壁53B(ツールバー31B)に当接し、作動部材55の作動方向D1への移動を規制する。当たり部56Fが延出壁53B(ツールバー31B)に当接することで、作動部材55が段部59に当接するときの衝撃力を軽減することができる。
【0046】
図5図6図7に示すように、作動部材55が摺動面58上を段部59に向けて摺動する際及び作動部材55が段部59に当接した位置(当接部55Cが規制面59aと摺動面58とで形成されるコーナ部に配置された位置)において、作動部材55によって第2枢軸46が回動筒52と共に押し上げられることで屈折リンク41と耕深調整ロッド36とが屈折する。言い換えると、屈折リンク41の前部と耕深調整ロッド36の後部とが作動部材55によって持ち上げられて、屈折リンク41と耕深調整ロッド36とが屈折する。屈折リンク41と耕深調整ロッド36とが屈折することで、ゲージ輪32がフローティング状態(フリー)になる。
【0047】
また、当接部55C(作動部材55)が摺動面58に当接して該摺動面58上を段部59に向けて摺動する際、作動部材55は、図5に示すように、当初は、摺動面58に対して、第2枢軸46から摺動面58に向かうにつれて戻し方向D2に移行する傾斜状である。図例では、作動部材55は、水平状の摺動面58に対して下方に向かうにつれて後方に移行する傾斜状である。その後、図6に示すように、作動部材55は、摺動面58に対して垂直状態となる。その後、図7に示すように、作動部材55は、摺動面58及び段部59(規制面59a)に当接した位置において、摺動面58に対して、第2枢軸46から摺動面58に向かうにつれて作動方向D1に移行する傾斜状となる。図例では、作動部材55は、水平状の摺動面58に対して下方に向かうにつれて前方に移行する傾斜状となる。
【0048】
図7に示すように、作動部材55が段部59に当接した状態において、第2枢軸46の中心46aから作動部材55が摺動面58に当接する部分である当接部分65までの距離W1は、第2枢軸46の中心46aと摺動面58の間の摺動面58に直交する距離W2よりも長い。したがって、作動部材55が段部59に当接した位置では、戻しバネ57の付勢力は作動部材55が摺動面58を押圧する方向D3に作用する。しかし、戻しバネ57の付勢力は、作動部材55が耕深調整ロッド36及び屈折リンク41を持ち上げる力よりも小さいので、作動部材55は段部59に当接した位置に保持される。つまり、屈折リンク41と耕深調整ロッド36とが屈折した状態に保持され、ゲージ輪32がフローティング状態に保持される。この状態でロータリ耕耘装置3を降ろして、耕耘部17を回転駆動しながらトラクタ2を前進させると、耕耘部17が速やかに土に入っていく。
【0049】
本実施形態では、第2枢軸46より下方に位置する操作部56Eを索体50によって引動操作することにより、作動部材55を、段部59に向けて摺動面58上を摺動させると共に摺動面58上で該摺動面58から突出する段部59に当接させるようにしたので、ゲージ輪32をフローティング状態に切り換える際における操作力を軽くすることができる。
【0050】
ゲージ輪32のフローティング状態(フローティング機構51の機能)を解除するには、ゲージ輪32が接地した状態から、装着機構10を上昇させてロータリ耕耘装置3(機枠16)を持ち上げる。ロータリ耕耘装置3を持ち上げると、ゲージ輪32が接地したままの状態であると共にツールバー31Bは上がらず、耕深調整ロッド36と共に第2枢軸46及び回動筒52を介して作動部材55が上がるので、戻しバネ57の付勢力によって作動部材55が戻し方向D2に回動して元の位置に戻る。つまり、作動部材55が、図3に示す位置に自動的に復帰する。これにより、屈折リンク41と耕深調整ロッド36とが伸展状態S1になり、再び、ゲージ輪32による耕耘深さの設定が可能になる。
【0051】
上記作業機1は、圃場27を耕耘する耕耘部17が支持された機枠16と、機枠16に上下動可能に枢着され且つ耕耘深さを設定するゲージ輪32を支持する支持枠31と、支持枠31に枢着された屈折リンク41と、機枠16に一端側が枢着され他端側が枢軸(第2枢軸46)を介して屈折リンク41に枢着された耕深調整ロッド36と、屈折リンク41と耕深調整ロッド36とを伸展状態S1から屈折させることで、ゲージ輪32をフローティング状態にするフローティング機構51と、を備え、フローティング機構51は、支持枠31に設けられた摺動面58と、摺動面58から突出する段部59と、屈折リンク41に枢軸46回りに回動可能に支持された作動部材55とを有し、作動部材55を回動させて摺動面58上を段部59に向けて摺動させると共に該段部59に当接させることで、当該作動部材55によって枢軸46を押し上げて屈折リンク41と耕深調整ロッド36とを屈折させる。
【0052】
この構成によれば、作動部材55を回動させて摺動面58上を摺動しながら段部59に向けて摺動させ且つ該段部59に当接させることで、当該作動部材55によって枢軸46を押し上げて屈折リンク41と耕深調整ロッド36とを屈折させるようにしたので、フローティング機構51の動作の円滑性の向上を図ることができる。
また、フローティング機構51は、作動部材55を段部59に向かう作動方向D1とは反対の戻し方向D2に付勢する戻しバネ57を有し、作動部材55は、段部59に当接した位置において、摺動面58に対して、枢軸46から摺動面58に向かうにつれて作動方向D1に移行する傾斜状とされている。
【0053】
この構成によれば、作動部材55が摺動面58上を摺動しながら段部59に向けて摺動し且つ該段部59に当接する構造のフローティング機構51において、作動部材55が戻しバネ57の付勢力によって戻るのを規制することができ、ゲージ輪32をフローティング状態に保持することができる。
また、機枠16が昇降可能に装着される走行体2を備え、作動部材55は、機枠16を上昇させることによって、摺動面58に対して耕深調整ロッド36及び枢軸46と共に持ち上げられて戻しバネ57の付勢力によって復帰する。
【0054】
この構成によれば、機枠16を上昇させることで、戻しバネ57の付勢力によって作動部材55を自動復帰させることができる。
また、走行体2に備えられた運転席5から引動操作が可能な索体50を備え、支持枠31は、前部が機枠16に枢着された支持アーム31Aと、支持アーム31Aの後部に固定されていてゲージ輪32が取り付けられるツールバー31Bとを有し、フローティング機構51は、作動部材55と枢軸46回りに一体回動する操作部56Eを有し、作動部材55は、操作部56Eがツールバー31Bに当接することにより戻し方向D2の移動が規制され、操作部56Eが索体50によって引動されることで作動方向D1に摺動する。
【0055】
この構成によれば、運転席5から索体50を介して操作される操作部56Eによって作動部材55の戻し方向D2の規制をすることができ、部材の兼用化を図ることができる。
また、フローティング機構51は、枢軸46に軸心回りに回動可能に支持されていて操作部56Eが固定された回動筒52を有し、摺動面58は、回動筒52の下方に配置され、段部59は、摺動面58の前部に該摺動面58から上方に突出するように設けられ、作動部材55は、摺動面58と回動筒52との間に配置されて回動筒52に固定され、操作部56Eは、回動筒52よりも下方に配置されていて、前方に引動されることで作動部材55が段部59の後方側から前方に移動するように作動部材55を回動させる。
【0056】
この構成によっても、フローティング機構51の動作の円滑性の向上を実現することができる。
また、フローティング機構51は、操作部56Eを含む操作部材56を有し、操作部材56は、屈折リンク41の側方であって回動筒52が配置された側の側方に屈折リンク41と間隔をあけて配置されると共に回動筒52に固定され、作動部材55は、屈折リンク41と操作部材56との間に配置され、戻しバネ57は、作動部材55の上方に配置されて屈折リンク41と操作部材56とにわたって設けられている。
【0057】
この構成によれば、フローティング機構51をコンパクトに構成することができる。
以上、本発明の一実施形態について説明したが、今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味及び範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【符号の説明】
【0058】
2 走行体
5 運転席
16 機枠
17 耕耘部
27 圃場
31 支持枠
31A 支持アーム
31B ツールバー
32 ゲージ輪
36 耕深調整ロッド
41 屈折リンク
46 枢軸(第2枢軸)
50 索体
51 フローティング機構
52 回動筒
55 作動部材
56 操作部材
56E 操作部
57 戻しバネ
58 摺動面
59 段部
D1 作動方向
D2 戻し方向
S1 伸展状態
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7