(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】画像処理装置
(51)【国際特許分類】
A61B 6/00 20240101AFI20240115BHJP
【FI】
A61B6/00 350Z
(21)【出願番号】P 2021145495
(22)【出願日】2021-09-07
【審査請求日】2022-08-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 直人
【審査官】佐々木 創太郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-029720(JP,A)
【文献】国際公開第2009/157217(WO,A1)
【文献】特開2013-146537(JP,A)
【文献】特開2017-060737(JP,A)
【文献】特開2003-037777(JP,A)
【文献】特開2020-048836(JP,A)
【文献】特開2020-088654(JP,A)
【文献】特開2011-166422(JP,A)
【文献】特開2009-188624(JP,A)
【文献】特開平10-150571(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00 - 6/14
G06T 1/00 - 1/60
H04N 5/00 - 5/956
H04N 25/00 - 25/79
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像に存在する第1の欠損画素に連なる
行方向、列方向及び対角方向のうちのいずれか1つの方向の画素群を第1の画素群
として選択する選択手段と、
前記第1の画素群の中に第2の欠損画素が存在する場合には、前記第2の欠損画素に連なる第2の画素群の値を用いて、前記第2の欠損画素の値を補正する第1の補正手段と、
前記第1の補正手段により補正された値を含む前記第1の画素群の値を用いて、前記第1の欠損画素の値を補正する第2の補正手段と
を有する、画像処理装置。
【請求項2】
前記画像は、放射線検出器を用いて撮影された画像である、請求項1に記載の画像処理装置。
【請求項3】
前記画像に存在する欠損画素の値を補間により補正する補間手段を更に有し、
前記第1の補正手段と前記第2の補正手段は、前記補間手段により補正された画像を基に、補正する、請求項1又は2に記載の画像処理装置。
【請求項4】
前記選択手段は、前記第1の欠損画素に連なる行方向の画素群と列方向の画素群の中に存在する欠損画素のうちの欠損画素の数が少ない方向の画素群を前記第1の画素群として選択する、請求項1~3のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項5】
前記第1の補正手段は、前記第2の欠損画素に対して、前記第1の欠損画素とは反対方向に連なる第2の画素群の値を用いて、前記第2の欠損画素の値を補正する、請求項1~
4のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項6】
前記第1の補正手段は、前記第1の画素群の中に複数の第2の欠損画素が存在する場合には、前記複数の第2の欠損画素の中で、前記第1の欠損画素から遠い第2の欠損画素から順に逐次的に、第2の欠損画素の値を補正する、請求項1~
5のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項7】
前記選択手段は、2つ以上の第1の画素群を選択し、
前記第2の補正手段は、前記2つ以上の第1の画素群の値を用いて、前記第1の欠損画素の2つ以上の推定値をそれぞれ算出し、前記2つ以上の推定値を基に、前記第1の欠損画素の値を補正する、請求項1~
6のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項8】
前記第2の補正手段は、前記2つ以上の推定値の平均値又は順序統計量に基づく値により、前記第1の欠損画素の値を補正する、請求項
7に記載の画像処理装置。
【請求項9】
前記第1の補正手段及び前記第2の補正手段は、それぞれ、前記第1の画素群及び前記第2の画素群の値からトレンドを除去し、前記トレンドを除去した値を用いて補正を行う、請求項1~
8のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項10】
前記トレンドの除去は、前記第1の画素群又は前記第2の画素群の値を多項式で近似し、近似値を前記第1の画素群又は前記第2の画素群の値から減算する処理である、請求項
9に記載の画像処理装置。
【請求項11】
前記第1の補正手段は、前記第2の画素群の値を用いて、前記第2の欠損画素の推定値を算出し、
前記第2の補正手段は、前記第1の画素群の値を用いて、前記第1の欠損画素の推定値を算出し、
前記第2の画素群の値に基づく前記第2の欠損画素の補間値と前記第2の欠損画素の推定値との差の絶対値が第2の閾値より大きい場合には、前記第2の欠損画素の推定値が妥当でないと判定し、前記第1の画素群の値に基づく前記第1の欠損画素の補間値と前記第1の欠損画素の推定値との差の絶対値が第1の閾値より大きい場合には、前記第1の欠損画素の推定値が妥当でないと判定する判定手段を更に有する、請求項1~
10のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項12】
前記判定手段は、前記第2の画素群の値に基づき補間された前記第2の画素群の値と、前記第2の画素群の値との差に基づき、前記第2の閾値を算出し、前記第1の画素群の値に基づき補間された前記第1の画素群の値と、前記第1の画素群の値との差に基づき、前記第1の閾値を算出する、請求項
11に記載の画像処理装置。
【請求項13】
前記第2の欠損画素の推定値が妥当でないと判定された場合には、前記第2の欠損画素の推定値を前記第2の欠損画素の補間値に修正し、又は、前記第2の欠損画素の推定値の絶対値が前記第2の閾値になるように前記第2の欠損画素の推定値を修正し、前記第1の欠損画素の推定値が妥当でないと判定された場合には、前記第1の欠損画素の推定値を前記第1の欠損画素の補間値に修正し、又は、前記第1の欠損画素の推定値の絶対値が前記第1の閾値になるように前記第1の欠損画素の推定値を修正する修正手段を更に有する、請求項
11又は
12に記載の画像処理装置。
【請求項14】
前記第1の補正手段は、予測分析に基づき、前記第2の画素群の値を用いて、前記第2の欠損画素の値を補正し、
前記第2の補正手段は、予測分析に基づき、前記第1の補正手段により補正された値を含む前記第1の画素群の値を用いて、前記第1の欠損画素の値を補正する、請求項1~
13のいずれか1項に記載の画像処理装置。
【請求項15】
前記第1の補正手段及び前記第2の補正手段によるそれぞれの予測分析は、既知の値を用いて未知の値を線形写像により予測する自己回帰モデルによる予測分析である、請求項
14に記載の画像処理装置。
【請求項16】
請求項1~
15のいずれか1項に記載の画像処理装置と、
前記画像を撮影する放射線検出器と
を有する、放射線撮影システム。
【請求項17】
画像に存在する第1の欠損画素に連なる
行方向、列方向及び対角方向のうちのいずれか1つの方向の画素群を第1の画素群
として選択する選択ステップと、
前記第1の画素群の中に第2の欠損画素が存在する場合には、前記第2の欠損画素に連なる第2の画素群の値を用いて、前記第2の欠損画素の値を補正する第1の補正ステップと、
前記第1の補正ステップで補正された値を含む前記第1の画素群の値を用いて、前記第1の欠損画素の値を補正する第2の補正ステップと
を有する、画像処理装置の画像処理方法。
【請求項18】
コンピュータを、請求項1~
15のいずれか1項に記載された画像処理装置の各手段として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、画像処理装置、放射線撮影システム、画像処理装置の画像処理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
医療画像診断に用いる撮影システムとして、半導体材料によって形成されたFPD(フラットパネルディテクタ)と呼ばれる放射線検出器を用いた放射線撮影システムが知られている。このような放射線撮影システムは、医療分野において被写体を透過した放射線を画像化するデジタル撮影システムとして用いられる。
【0003】
FPDに配置される複数の画素の中に、FPDの製造工程上の問題などによって、常に異常な信号を出力する画素(以下、欠損画素と呼ぶ)が存在する場合がある。このような欠損画素は、撮影された画像上で異常な値となるため、欠損補正と呼ばれる補正処理を行うのが一般的である。なお、欠損補正の最も単純な方法は、周辺の正常画素の値を用いた補間であるが、この方法はナイキスト周波数の1/2以上となる信号成分を復元することができない。
【0004】
そこで、特許文献1には、予測分析によって周辺の統計的な性質から欠損画素の値を推定する方法が記載されている。この方法は、グリッドなどの高周波成分が重畳した撮影データにおいてもグリッド信号を含む信号成分を高い精度で予測可能である。また、特許文献2には、欠損画素の内外の画素値に基づいてグリッド縞を予測し、復元する方法が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2002-330341号公報
【文献】特開2012-29826号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1の方法は、欠損画素が1画素の幅であることを前提としており、欠損画素が大きな塊になる場合や周辺に密集する場合は考慮されておらず、このようなケースでは予測精度が悪くなるという課題がある。
【0007】
また、特許文献2の方法は、欠損画素が大きな塊になった場合も補正可能であるが、画素ピッチとグリッドの周期の関係を利用している。そのため、特許文献2の方法は、グリッドの製造ばらつきや面内ばらつき、取り付け角度等の影響で、その関係が崩れると、予測精度が悪くなるという課題がある。また、特許文献2の方法は、グリッド縞の予測を前提としており、グリッド縞以外の高周波成分を復元できないという課題がある。
【0008】
本開示の例示的な目的は、欠損画素の値の補正において、欠損画素が密集した場合でも精度良く補正できるようにすることである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
画像処理装置は、画像に存在する第1の欠損画素に連なる行方向、列方向及び対角方向のうちのいずれか1つの方向の画素群を第1の画素群として選択する選択手段と、前記第1の画素群の中に第2の欠損画素が存在する場合には、前記第2の欠損画素に連なる第2の画素群の値を用いて、前記第2の欠損画素の値を補正する第1の補正手段と、前記第1の補正手段により補正された値を含む前記第1の画素群の値を用いて、前記第1の欠損画素の値を補正する第2の補正手段とを有する。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、欠損画素の値の補正において、欠損画素が密集した場合でも精度良く補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】放射線撮影システムの構成例を示す図である。
【
図2】画像処理装置の画像処理方法を示すフローチャートである。
【
図3】第1の欠損補正の処理手順を示すフローチャートである。
【
図4】第2の欠損補正の処理手順を示すフローチャートである。
【
図5】予測分析の処理手順を示すフローチャートである。
【
図6】放射線撮影システムの構成例を示す図である。
【
図7】予測分析の処理手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態による放射線撮影システム100の構成例を示す図である。放射線撮影システム100は、放射線撮影により得られた画像から欠損画素を補正する画像処理機能を有する。放射線撮影システム100は、放射線発生部101、放射線検出器104、データ収集部105、前処理部106、CPU108、記憶部109、操作部110、表示部111、画像処理装置112、および後処理部118を有する。これらの構成要素は、CPUバス107を介して、互いにデータ授受が可能である。
【0013】
画像処理装置112は、放射線検出器104により撮影された画像から欠損画素を補正するものであり、補間部113、選択部114、特定部115、第1の補正部116、および第2の補正部117を有する。
【0014】
記憶部109は、CPU108での処理に必要な各種のデータを記憶すると共に、CPU108のワーキングメモリとして機能する。CPU108は、記憶部109を用いて、操作部110からの操作に従った放射線撮影システム100の動作制御等を行う。これにより、放射線撮影システム100は、以下のように動作する。
【0015】
まず、操作者が操作部110を介して複数の撮影プロトコルの中から所望の1つを選択することで、放射線撮影システム100への撮影指示がなされる。ここで、撮影プロトコルは、所望の検査を行う際に使用される一連の動作パラメータセットのことであり、複数の撮影プロトコルを予め作成しておくことで、検査に応じた条件設定を簡便に行うことができる。撮影プロトコルの情報は、撮影部位や撮影条件(管電圧、管電流、照射時間など)、画像処理パラメータなど様々な設定が紐付けされている。
【0016】
上述の如く、操作者により入力された撮影指示は、CPU108によりデータ収集部105に伝えられる。CPU108は、撮影指示を受けると、放射線発生部101および放射線検出器104を制御して放射線撮影を実行させる。
【0017】
放射線撮影では、まず、放射線発生部101が、被写体103に対して、放射線ビーム102を照射する。放射線発生部101から照射された放射線ビーム102は、被写体103を、減衰しながら透過して、放射線検出器104に到達する。そして、放射線検出器104は、到達した放射線強度に応じた信号を出力する。なお、本実施形態では、被写体103は人体とする。よって、放射線検出器104から出力される信号は、被写体103を撮影したデータとなる。
【0018】
データ収集部105は、放射線検出器104から出力された信号を所定のデジタル信号に変換して、画像データとして前処理部106に供給する。前処理部106は、データ収集部105から供給された画像データに対して、オフセット補正やゲイン補正等の前処理を行う。CPU108は、この前処理部106で前処理が行われた画像データを、CPUバス107を介して、画像処理装置112に転送する。
【0019】
画像処理装置112は、転送された画像データに存在する欠損画素の値を補正するための画像処理を実行し、実行済み画像を記憶部109に保存する。後処理部118は、画像処理装置112にて処理された画像を、さらに診断に適した画像にするために、階調処理や強調処理などの各種処理を実行する。表示部111は、後処理部118で処理された画像を表示する。操作者が表示部111の表示画像を確認後、CPU108は、図示しないプリンタ等に画像を出力し、一連の撮影動作を終了する。
【0020】
次に、画像処理装置112の動作、すなわち撮影した画像データに存在する欠損画素の値を補正する動作について説明する。
【0021】
なお、補正の説明の前に、本実施形態で用いる自己回帰モデル(ARモデルとも呼ぶ)を用いた予測分析について、説明する。自己回帰モデルによる予測分析は、過去の信号値(既知)を使って、未来の信号値(未知)を線形写像にて予測する方法である。例えば、予測分析は、
図8(a)に示した信号s(t)に対して、未来の信号値801を、過去の信号値802を使って予測するものである。そのモデルは、下記の式(1)のように表される。
【0022】
【0023】
式(1)において、an,iはn次のAR係数(予測係数)であり、e(t)は白色ノイズを表している。ここで、e(t)が0となるようなAR係数を算出できれば、式(1)は下記の式(2)となる。時刻tの信号s(t)を時刻tよりも前の既知の信号s(t-1),s(t-2),・・・,s(t-n)とAR係数の線形和で予測できことになる。
【0024】
【0025】
なお、式(2)では、e(t)が0となるAR係数を算出する必要があるが、AR係数の算出方法は後述する。
【0026】
ここで、画像に対して上記の予測分析をする場合は、二次元配列の画像データに対して、行方向、列方向、および対角方向のいずれかの方向に連続するデータを一次元信号s(t)とみなせば、同様のことが可能となる。例えば、
図8(b)のように、欠損画素803を中心に、いずれかの方向のサンプルデータを取り出せば、欠損画素803の周辺にある既知の画素値からAR係数を算出できる。なお、画像データの場合は、欠損画素803の位置を中心とし、前方のサンプル804および後方のサンプル805が既知であるため、いずれかのサンプルを用いて、AR係数を求めることができる。
【0027】
なお、
図8(b)は、欠損画素803の周辺の画素の値が既知の場合(正常画素である場合)を図示したものであるが、その周辺の画素も欠損画素である場合は、予測に用いる画素の値が本来の値とは異なるものとなっている。例えば、
図8(c)がその様子を示した図である。
図8(c)では、欠損画素806に加え、欠損画素806の周辺にも欠損画素807が存在する。欠損画素807の値は、
図8(b)で示した本来の値と異なるものとなっている。この場合では、信号波形が本来の信号波形とは異なり、予測精度が低下することとなる。
【0028】
そこで、本実施形態では、予測に用いる画素の中に欠損画素が有る場合は、その画素を先に予測し、信号波形を本来の波形に近似した後、補正対象である欠損画素の予測分析を行うことで、予測精度の低下を抑える。
【0029】
以上を踏まえ、本実施形態の補正の動作について、
図2~
図5に示すフローチャートを用いて具体的に説明する。
図2は、画像処理装置112の画像処理方法を示すフローチャートである。上述のごとく、CPU108は、前処理部106によって得られた画像データを、CPUバス107を介して、画像処理装置112に転送する。
【0030】
ステップS201では、補間部113は、上記の画像データを取得し、記憶部109に予め保持されている欠損画素情報を取得する。ここで、欠損画素は、出荷前の工場検査によって予め検出される。記憶部109は、その検出された欠損画素情報を保持しておくものとする。欠損画素情報のデータ形式は、特に限定されるものではないが、例えば、画像データと同じマトリクスであり、欠損画素を1とし、正常画素を0とする2値画像データ(以下、欠損マップと呼ぶ)である。
【0031】
次に、ステップS202では、補間部113は、すべての欠損画素に対して、ステップS202~S204のループ処理を繰り返す。ステップS203では、補間部113は、欠損画素の値を補間により補正する。この補正は、暫定的な欠損補正である。補間部113は、欠損マップが1となっている全ての画素(欠損画素)の値に対して、欠損画素の周辺の欠損マップが0となっている画素(正常画素)の値の補間を行うことによって、欠損画素の値の補正を行う。なお、具体的な補間方法は、特に限定されない。
【0032】
例えば、補間部113は、同じ距離だけ離れた正常画素の値の平均(線形補間)によって、欠損画素の値の補正を行う。具体的には、
図9(a)のように、補間部113は、補正対象の欠損画素を×として、欠損画素に対してそれぞれ同じ距離に属する画素(図で同じ数字を付している画素)をそれぞれ組みとする。そして、補間部113は、欠損画素に対して距離が近い画素から順に、正常画素があるか否かを判定し、その正常画素があった場合には、その正常画素の組みの値の平均値を欠損画素の補正値とする。例えば、欠損マップが
図9(b)の場合には、補間部113は、距離が1である正常画素901が2画素存在するため、この2画素の正常画素901の値の平均値を、欠損画素の補正値とする。また、欠損マップが
図9(c)の場合には、補間部113は、距離が1と2である正常画素が存在せず、距離が3である正常画素902が3画素存在するため、この3画素の値の平均値を、欠損画素の補正値とする。
図9(a)~(c)では、画像を5×5のマトリクスで表しているが、補間部113は、より広範囲を探索することで、大きな塊となった欠損画素についても、暫定的な補正が可能である。
【0033】
次に、画像処理装置112は、ステップS205~S210のループ処理を実行することで、予測分析による欠損補正を行う。具体的には、画像処理装置112は、全ての欠損画素に対して、ステップS206~S209の処理を実行する。なお、画像処理装置112は、補間部113で補正された画像を入力とし、記憶部109のワーキングメモリに欠損画素の補正結果を一時的に保存し、全ての欠損画像の補正が完了した後、入力データの更新を行う。
【0034】
以下、1つの欠損画素に対する動作について説明する。まず、ステップS206では、選択部114は、対象となる欠損画素の予測に用いる画素群を選択する。上述した通り、予測に用いる画素群は、行方向、列方向、対角方向のいずれかの方向に連続するデータであれば良い。本実施形態では、選択部114は、行方向と列方向のうちの欠損画素の少ない方向のデータを選択する。選択部114は、
図10(a)のように、補正対象の欠損画素1001に対し、予測に用いるサンプル数をnとすれば、欠損画素1001を中心として、列方向に前方の2n個の画素1002と後方の2n個の画素1003をサンプルデータとして取り出す。また、選択部114は、欠損画素1001を中心として、行方向に前方の2n個の画素1004と後方の2n個の画素1005をサンプルデータとして取り出す。そして、選択部114は、両方向のサンプルデータに存在する欠損画素の個数を比較し、欠損画素が少ない方のサンプルデータを予測に用いる画素群v(t)として、記憶部109のワーキングメモリに保存する。なお、予測に用いるサンプル数nは、処理時間等を考慮して、経験的に定めれば良いが、本実施形態ではn=20とする。
【0035】
次に、ステップS207では、特定部115は、選択部114により選択された画素群v(t)に存在する欠損画素の位置を特定する。特定部115は、
図10(b)のように、欠損画素1006の前方のn個と後方のn個の画素の範囲を欠損画素の特定範囲とし、欠損マップから画素群v(t)に対応した欠損マップのデータ列(欠損画素が1、正常画素が0)を生成する。欠損画素1006の前方のn個と後方のn個の画素の範囲は、予測に用いるサンプルデータの範囲である。
【0036】
次に、ステップS208では、第1の補正部116は、特定部115で生成された欠損マップのデータ列で欠損画素(値が1)となっている画素の欠損補正を行う。
図3は、ステップS208の詳細を示すフローチャートである。
【0037】
まず、第1の補正部116は、
図10(b)のように、欠損マップのデータ列を参照して、画素群v(t)に存在する欠損画素(値が1)となっている全ての画素に対して、ステップS301~S306のループ処理を実行することで、欠損画素の値を補正する。
【0038】
まず、ステップS302では、第1の補正部116は、画素群v(t)に存在する補正されていない欠損画素のうち、補正対象の欠損画素から最も離れている画素を選択する。例えば、
図11(a)のように、第1の補正部116は、補正対象の欠損画素1101に対し、補正されてない欠損画素1102、1103、1104、1105がある場合、欠損画素1101から最も離れている欠損画素1102を選択する。なお、欠損画素1104と1105のように左右で同じ距離離れた最も遠い画素が2つ存在する場合、第1の補正部116は、どちらの画素を選択しても良い。
【0039】
次に、ステップS303では、第1の補正部116は、選択された欠損画素に連なる画素から、予測用のデータ列を生成する。第1の補正部116は、選択された欠損画素に対して、補正対象の欠損画素の方向とは逆方向に連なる画素を、予測用のデータ列として生成する。
図11(a)の欠損画素1102が選択された欠損画素である場合、第1の補正部116は、欠損画素1102に対して、補正対象の欠損画素1101とは逆の方向、すなわち左方向に連なるn個の画素の画素群1106を予測用のデータ列として生成する。また、第1の補正部116は、欠損画素1104が選択された欠損画素であるの場合、右方向に連なるn個の画素1107を予測用のデータ列として生成する。なお、以降の説明では、生成したデータ列w(t)を下記の式(3)のように記載する。
【0040】
【0041】
ここで、データ列w(t)が生成したデータ列である。データ列w(t)は、位置tにおける画素値を表している。また、w(n)が選択された欠損画素1102の値を表し、w(0)が選択された欠損画素1102から最も遠い画素の値を表している。
【0042】
次に、ステップS304では、第1の補正部116は、生成したデータ列w(t)を用いて、予測分析を行い、選択された欠損画素1102の値w(n)を推定する。ステップS305では、第1の補正部116は、選択された欠損画素1102の値を、求めた推定値w(n)に更新する。例えば、第1の補正部116は、
図11(b)のように、画素群v(t)の選択された欠損画素1102の値を推定値1108に置き換え、さらに、選択された欠損画素1102の欠損マップの値1109を0に置き換える。
【0043】
図5は、
図3のステップS304の予測分析の詳細を示すフローチャートである。ステップS501では、第1の補正部116は、生成したデータ列w(t)からトレンド成分を除去したデータ列を生成する。なお、トレンド成分の除去は、必須ではない。第1の補正部116は、予測分析の推定を安定させるために、トレンド成分の除去を前処理として行う。なお、本実施形態では、第1の補正部116は、データ列w(t)を一次式で近似し減算することで、トレンド成分を除去する。具体的には、第1の補正部116は、式(4)のJを最小とする多項式係数AおよびBを式(5)にて算出する。
【0044】
【0045】
【0046】
そして、第1の補正部116は、式(6)のように、データ列w(t)から、求めた多項式係数AおよびBによる近似式(A・t+B)をトレンド成分として除去し、データ列s(t)を求める。
【0047】
【0048】
次に、ステップS502では、第1の補正部116は、求めたデータ列s(t)からAR係数を算出する。冒頭で説明した通り、AR係数は、式(2)におけるan,iである。AR係数の算出方法は、様々なものがある。その中で、本実施形態では、第1の補正部116は、Burg法を用いて、AR係数を算出する。Burg法では、第1の補正部116は、式(2)の自己回帰モデルに対し、式(7)のように、前向き予測誤差fn(t)と後ろ向き予測誤差bn(t)を定義し、その2乗和の誤差関数Jnが最小となるAR係数an,iを、最小化問題を解くことで算出する。
【0049】
【0050】
ここで、n次のAR係数an,iとn-1次のAR係数an-1,iは、Levinsonの漸化式を用いることで、式(8)のようになる。
【0051】
【0052】
また、n次の前向き予測誤差fn(t)と後ろ向き予測誤差bn(t)とn-1次の前向き予測誤差fn-1(t)と後ろ向き予測誤差bn-1(t)は、式(9)で表される。ここで、an,nは、反射係数(またはPARCOR係数)と呼ばれる係数である。式(8)の関係を利用すれば、反射係数an,nからn次のAR係数を求めることができる。
【0053】
【0054】
なお、この反射係数an,nは、式(7)で示した誤差関数Jnを式(9)に代入し、その偏微分が0となる値、すなわち下記の式(10)を反射係数an,nについて解けば、求めることができる。
【0055】
【0056】
実際に、式(10)を解くと、以下の式(11)となり、n次の反射係数an,nは、n-1次の前向き予測誤差fn-1(t)と後ろ向き予測誤差bn-1(t-n)から推定できることが分かる。
【0057】
【0058】
以上のことより、第1の補正部116は、式(8)、(9)、(11)の関係を用いて、n次のAR係数an,iを再帰的に求めることができる。
【0059】
次に、ステップS503では、第1の補正部116は、求めた多項式係数A、BおよびAR係数an,iを用いて、推定値を算出する。第1の補正部116は、式(12)のように、対象の欠損画素の値を予測モデルに従い算出し、さらに除去したトレンド成分を加算することで、欠損画素の推定値w(n)を算出する。
【0060】
【0061】
ここで、kは、AR係数ak,iの次数であり、予測に用いる任意の次数をn以下の値で設定すれば良い。本実施形態では、k=5とする。
【0062】
以上により、
図3のステップS305では、第1の補正部116は、求めた推定値w(n)を、欠損画素の値として更新する。
【0063】
次に、
図2のステップS209では、第2の補正部117は、第1の補正部116により補正された画素群v(t)を用いて、補正対象の欠損画素1101の値の補正を行う。
【0064】
図4は、
図2のステップS209の詳細を示すフローチャートである。まず、ステップS401では、第2の補正部117は、対象の欠損画素1101の前方に連なる画素から、予測用のデータ列w(t)を生成する。具体的には、第2の補正部117は、
図10(b)の補正対象の欠損画素1006の前方のn個の画素の画素群1008から、予測用のデータ列w(t)を生成する。
【0065】
ステップS402では、第2の補正部117は、この予測用のデータ列w(t)を用いて、予測分析により推定値V1を算出する。ここで、予測分析は、先に説明した
図5のフローチャートと同じ処理のため、説明を省略する。
【0066】
ステップS403では、第2の補正部117は、
図10(b)のように、対象の欠損画素1006の後方に連なるn個の画素の画素群1009から、予測用のデータ列w(t)を生成する。
【0067】
ステップS404では、第2の補正部117は、この予測用のデータ列w(t)を用いて、予測分析により推定値V2を算出する。
【0068】
ステップS405では、第2の補正部117は、2つの推定値V1とV2の平均値を、欠損画素1006の値として更新する。
【0069】
画像処理装置112は、上記の
図2のステップS205~S210の処理を、全ての欠損画素に対して行い、欠損補正が完了する。
【0070】
以上のように、放射線検出器104は、画像を撮影する。
図2のステップS203では、補間部113は、画像に存在する欠損画素の値を補間により補正する。上記の画像は、放射線検出器104を用いて撮影された画像である。ステップS206では、選択部114は、画像に存在する第1の欠損画素1006に連なる第1の画素群1008および1009を選択する。
【0071】
選択部114は、第1の欠損画素1001に連なる行方向、列方向および対角方向のうちのいずれか1つの方向の画素群を第1の画素群として選択する。例えば、選択部114は、第1の欠損画素1001に連なる行方向の画素群と列方向の画素群の中に存在する欠損画素のうちの欠損画素の数が少ない方向の画素群を第1の画素群として選択する。
【0072】
ステップS208では、第1の補正部116は、第1の画素群1008および1009の中に第2の欠損画素1102が存在する場合には、第2の欠損画素1102の値を補正する。例えば、第1の補正部116は、予測分析に基づき、第2の欠損画素1102に連なる第2の画素群1106の値を用いて、第2の欠損画素1102の値を補正する。
【0073】
第1の補正部116は、第2の欠損画素1102に対して、第1の欠損画素1101とは反対方向に連なる第2の画素群1106の値を用いて、第2の欠損画素1102の値を補正する。第1の画素群1008および1009の中に複数の第2の欠損画素1102~1105が存在する場合がある。その場合、第1の補正部116は、複数の第2の欠損画素1102~1105の中で、第1の欠損画素1101から遠い第2の欠損画素から順に逐次的に、第2の欠損画素の値を補正する。
【0074】
ステップS209では、第2の補正部117は、予測分析に基づき、第1の補正部116により補正された値を含む第1の画素群1008および1009の値を用いて、第1の欠損画素1006の値を補正する。第1の補正部116と第2の補正部117は、補間部113により補正された画像を基に、補正する。
【0075】
選択部114は、2つ以上の第1の画素群1008および1009を選択する。その場合、第2の補正部117は、2つ以上の第1の画素群1008および1009の値を用いて、第1の欠損画素1006の2つ以上の推定値V1およびV2をそれぞれ算出し、2つ以上の推定値V1およびV2を基に、第1の欠損画素1006の値を補正する。例えば、第2の補正部117は、2つ以上の推定値V1およびV2の平均値または順序統計量に基づく値により、第1の欠損画素1006の値を補正する。
【0076】
図5のステップS501では、第1の補正部116および第2の補正部117は、それぞれ、第1の画素群および第2の画素群の値からトレンドを除去し、そのトレンドを除去した値から予測分析を行う。トレンドの除去は、第1の画素群または第2の画素群の値を多項式で近似し、近似値を第1の画素群または第2の画素群の値から減算する処理である。
【0077】
以上、本実施形態によれば、画像処理装置112は、予測に用いる画素に欠損画素がある場合は、その画素を先に予測し、信号波形を本来の波形に近似した後、補正対象である欠損画素の予測分析を行うことで、予測精度の低下を抑えることが可能となる。
【0078】
なお、本実施形態では、
図10(b)のように、欠損画素1006の予測に用いる画素の範囲を前方のn個と後方のn個の範囲としている。しかしながら、
図10(b)の画素1010と画素1011を参照して予測分析を行う場合があり、この画素1010と画素1011が欠損画素である場合、補間による暫定的な値を参照することになる。そこで、この範囲に欠損画素がある場合は、さらに外側の画素を参照して、逐次的に予測分析を行うようにしても良い。この場合は、補間部113による暫定的な補正は不要である。ただし、対象の欠損画素1006から離れるほど、予測係数に与える影響は小さくなるため、本実施形態のように、補間による暫定的な補正値でも大きな影響はなく、また逐次的に処理する回数を制限できるため、処理時間の観点でも好適である。
【0079】
(第2の実施形態)
図6は、第2の実施形態による放射線撮影システム600の構成例を示す図である。この放射線撮影システム600は、
図1の放射線撮影システム100に対し、判定部601および修正部602を追加したものである。画像処理装置112は、判定部601および修正部602を有する。これにより、画像処理装置112は、予測分析の推定結果の妥当性を判定し、妥当でない場合は推定結果の修正を行う。
【0080】
なお、第2の実施形態は、第1の実施形態に対し、予測誤差が大きいケースを考慮したものである。具体的には、予測分析は、定常信号を仮定したものであり、人体を撮影した放射線撮影システム600は、局所的に凡そ定常とみなすことができる。しかしながら、インプラントなどが存在する場合、画像上に急峻なエッジが発生し、上記の仮定が成り立たない場合がある。
【0081】
図12(a)は、急峻なエッジ1201が発生した信号w(t)を表す図である。このような非定常な信号w(t)の場合、本来の値1202と予測による推定値1203に大きな誤差が生じる場合がある。そこで、第2の実施形態では、画像処理装置112は、定常信号から推定され得る値と、予測による推定値に大きな差が有る場合には、妥当でないと判定し、推定値の修正を行う。
【0082】
以下に、第2の実施形態が第1の実施形態と異なる処理について説明する。なお、第2の実施形態は、第1の実施形態に対して、第1の実施形態の
図5で説明した予測分析の処理を異ならせるものであり、その他は同様である。
【0083】
図7は、
図3のステップS304の予測分析の詳細を示すフローチャートである。
図7は、
図5に対して、ステップS701~S704を追加したものである。
【0084】
ステップS501~S503では、第1の補正部116は、
図5のステップS501~S503と同様の処理を行い、推定値Vを算出する。
【0085】
次に、ステップS701~S703では、判定部601は、推定値Vが妥当であるか否かを判定する。ステップS701では、判定部601は、判定閾値を算出するために、信号w(t)と補間信号l(t)との差信号d(t)を算出する。具体的には、判定部601は、式(13)のように、予測に用いた信号w(t)に対して、各画素の値を両側の画素の値の平均値に置き換えた
図12(b)の補間信号l(t)を生成する。そして、判定部601は、式(13)のように、信号w(t)から補間信号l(t)を減算することにより、
図12(c)の差信号d(t)を算出する。
【0086】
【0087】
ここで、信号w(t)と補間信号l(t)の差信号d(t)を正弦波とみなせば、その差信号d(t)の最大値は、実効値RMSの√2倍となることが知られている。
図12(c)のように、判定部601は、差信号d(t)から推定される最大値を閾値THとし、信号w(t)の予測の推定値と補間信号l(t)の補間値との差1205の絶対値が閾値THを超える場合、正弦波から乖離した値、すなわち誤差が大きいとみなす。
【0088】
ステップS702では、判定部601は、式(14)のように、差信号d(t)の実効値RMSの√2倍を閾値THとして算出する。
【0089】
【0090】
ここで、判定部601は、実効値RMSを用いて閾値THを算出したが、これに限定されるものではない。例えば、判定部601は、実効値RMSの代わりに、差信号d(t)の2乗和の中央値を用いて、閾値THを算出することもできる。この場合、判定部601は、実効値RMSよりも異常値にロバストな閾値THを設定可能である。
【0091】
ステップS703では、判定部601は、信号w(t)の推定値Vと補間信号l(t)の補間値との差の絶対値が閾値THを超えているか否かを判定する。その差の絶対値が閾値THを超えている場合には、推定値Vが妥当でないので、処理はステップS704に進む。その差の絶対値が閾値THを超えていない場合には、推定値Vが妥当であるので、
図7のフローチャートの処理は終了する。
【0092】
ステップS704では、修正部602は、推定値Vの修正を行う。具体的には、修正部602は、式(15)のように、推定値Vから補間値l(n)を減算した値が閾値THより大きい場合には、補間値l(n)に閾値THを加算した値Vcを新たな推定値Vとして更新する。また、修正部602は、式(15)のように、推定値Vから補間値l(n)を減算した値が閾値-THより小さい場合には、補間値l(n)から閾値THを減算した値Vcを新たな推定値Vとして更新する。なお、修正部602は、推定値Vと補間値l(n)との差の絶対値が閾値TH以下である場合には、推定値Vを修正しない。
【0093】
【0094】
以上のように、
図2のステップS208では、第1の補正部116は、第2の画素群1106の値を用いて、第2の欠損画素1102の推定値を算出する。ステップS209では、第2の補正部117は、第1の画素群1008および1009の値を用いて、第1の欠損画素1006の推定値V1およびV2を算出する。
【0095】
図7のステップS702では、判定部601は、第1の補正部116に関し、第2の画素群1106の値に基づき補間された第2の画素群1106の値と、第2の画素群1106の値との差信号d(t)に基づき、第2の閾値THを算出する。また、判定部601は、第2の補正部117に関し、第1の画素群1008の値に基づき補間された第1の画素群1008の値と、第1の画素群1008の値との差信号d(t)に基づき、第1の閾値THを算出する。
【0096】
ステップS703では、判定部601は、第1の補正部116に関し、第2の画素群1106の値に基づく第2の欠損画素1102の補間値と第2の欠損画素1102の推定値との差の絶対値が第2の閾値THより大きい場合には、ステップS704に進む。その場合、判定部601は、第2の欠損画素1102の推定値が妥当でないと判定することを意味する。
【0097】
また、判定部601は、第2の補正部117に関し、第1の画素群1008の値に基づく第1の欠損画素1006の補間値と第1の欠損画素1006の推定値V1との差の絶対値が第1の閾値THより大きい場合には、ステップS704に進む。その場合、判定部601は、第1の欠損画素1006の推定値V1が妥当でないと判定することを意味する。
【0098】
ステップS704では、修正部602は、第1の補正部116に関し、第2の欠損画素1102の推定値が妥当でないと判定された場合には、第2の欠損画素1102の推定値の絶対値が第2の閾値THになるように第2の欠損画素1102の推定値を修正する。その場合、修正部602は、第2の欠損画素1102の推定値を第2の欠損画素1102の補間値に修正してもよい。
【0099】
修正部602は、第2の補正部117に関し、第1の欠損画素1006の推定値V1が妥当でないと判定された場合には、第1の欠損画素1006の推定値V1の絶対値が第1の閾値THになるように第1の欠損画素1006の推定値を修正する。その場合、修正部602は、第1の欠損画素1006の推定値V1を第1の欠損画素1006の補間値に修正してもよい。
【0100】
以上、本実施形態によれば、画像処理装置112は、予測の推定値Vの妥当性を判定し、推定値Vを修正することで、予測誤差が大きいケースにおいても、精度良く補正を行うことができる。
【0101】
(その他の実施形態)
本開示は、上述の実施形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサがプログラムを読み出し実行する処理でも実現可能である。また、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【0102】
以上、実施形態について説明したが、本開示はこれらの実施形態に限定されず、その要旨の範囲内で種々の変形および変更が可能である。
【符号の説明】
【0103】
100 放射線撮影システム、101 放射線出力部、102 放射線ビーム、103 被写体、104 放射線検出器、105 データ収集部、106 前処理部、107 CPUバス、108 CPU、109 記憶部、110 操作部、111 表示部、112 画像処理装置、114 選択部、115 特定部、116 第1の補正部、117 第2の補正部、118 後処理部