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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】基板処理装置
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/677 20060101AFI20240115BHJP
   H01L 21/683 20060101ALI20240115BHJP
   H01L 21/304 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
H01L21/68 A
H01L21/68 N
H01L21/304 648A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021160369
(22)【出願日】2021-09-30
(65)【公開番号】P2023050321
(43)【公開日】2023-04-11
【審査請求日】2023-02-21
(73)【特許権者】
【識別番号】000002428
【氏名又は名称】芝浦メカトロニクス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100097205
【弁理士】
【氏名又は名称】樋口 正樹
(72)【発明者】
【氏名】大森 圭悟
(72)【発明者】
【氏名】今岡 裕一
【審査官】湯川 洋介
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-009987(JP,A)
【文献】特開2002-022359(JP,A)
【文献】特開2016-051821(JP,A)
【文献】特開2001-102289(JP,A)
【文献】特開2002-301438(JP,A)
【文献】特開2000-299268(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0031438(US,A1)
【文献】特開2020-173091(JP,A)
【文献】特開2020-167260(JP,A)
【文献】特開2021-022729(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
H01L 21/683
H01L 21/304
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体で処理された基板を搬送ローラによって搬送しながら処理する基板処理装置であって、
前記基板を搬送する搬送ローラと、
前記基板の導入口と前記搬送ローラとの間に設けられ、前記基板を前記搬送ローラに導く補助ローラと、
前記基板の搬送路に光ビームを照射して、前記基板を検出する検出器と、
を有し、
前記補助ローラは、搬送される前記基板の表面に接して前記基板の液分を除去する液切り部を備え、
前記検出器は、前記補助ローラの前記基板の搬送方向下流側で、前記基板の前記液切り部によって液分が除去される部分に前記光ビームを照射するように設けられたことを特徴
とする基板処理装置。
【請求項2】
導入口と搬出口との間に搬送ローラが設けられ、前記導入口から導入される基板を前記搬送ローラによって前記導入口と前記搬出口との間で往復動させながら液体により処理して、前記搬出口から搬出させる基板処理装置であって、
前記導入口と前記搬送ローラとの間に設けられ、前記基板の搬送路に光ビームを照射して前記基板を検出する第1検出器と、
前記搬出口と前記搬送ローラとの間に設けられ、前記基板の搬送路に光ビームを照射して前記基板を検出する第2検出器と、
前記導入口と前記搬送ローラとの間において、前記基板の搬送方向において前記第1検出器を挟むように配置された複数の補助ローラで構成される第1補助ローラユニットと、
前記搬出口と前記搬送ローラとの間において、前記基板の搬送方向において前記第2検出器を挟むように配置された複数の補助ローラで構成される第2補助ローラユニットと、を備え、
前記第1補助ローラユニットおよび前記第2補助ローラユニットのそれぞれを構成する補助ローラは、搬送される前記基板の表面に接して前記基板の液分を除去する液切り部を備え、
前記第1検出器は、前記基板の前記第1補助ローラユニットを構成する前記補助ローラの前記液切り部によって液分が除去される部分に前記光ビームを照射するように設けられ、
前記第2検出器は、前記基板の前記第2補助ローラユニットを構成する前記補助ローラの前記液切り部によって液分が除去される部分に前記光ビームを照射するように設けられたことを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
前記補助ローラの液切り部は、前記基板の表面に接して液分を吸収する吸液部材を備え
る、請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記補助ローラの液切り部は、前記補助ローラの回転により基板の表面の液分を掃うブ
ラシを備える、請求項1または2に記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記補助ローラは、半円状の2つの部材を接合させることで構成される請求項1乃至請
求項4のいずれかに記載の基板処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施の形態は、搬送される基板の表面を処理する基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板処理装置では、液晶表示装置用のガラス基板や半導体ウェハ等の基板がローラコンベアによって搬送され、その搬送される基板の表面に処理液(エッチング液、洗浄液等)が供給されてその基板の表面が処理(ウェット処理)される。この種の基板処理装置では、ローラコンベアによって搬送される基板の所定搬送位置での有無を検出するために基板検出器が用いられる。
【0003】
基板検出器の一例として、振り子式センサがある。この振り子式センサは、振り子体が軸を中心に揺動するようになっている。その振り子体先端が搬送される基板の先端部によって押され、軸を支点に揺動して振り子体が傾いた状態になる。そして、搬送される基板の後端部が振り子体先端から外れると、振り子体は元の状態に戻る。このような振り子体の動きに応じて出力状態が変化するセンサの出力に基づいて、その基板が振り子式センサの設置位置(所定搬送位置)を通過したことを検出することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2016-58411号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、このような振り子式センサは、振り子体の機械的動作(揺動)によって搬送される基板が通過したことを検出するものであるので、その振り子体の機械的動作が鈍くなって、基板の後端部が振り子体から外れても、その振り子体が元に戻らないことが起こり得る。このようなことを起こすことなく振り子式センサを正常な状態に維持させるためには、メンテナンスの頻度を多くしなければならない。このようにメンテナンスの頻度を多くすると、基板の効率的な処理が損なわれてしまう。
【0006】
そこで、基板検出器として、上述したような機械的動作を伴わず、その機械的動作に起因した欠点のない光センサ(反射式、透過式)を用いることが考えられる。この光センサは、処理の対象となる基板の下面に対向するように設置されると、処理液(液体)での処理がなされた基板の下面から垂れる液分が光センサに付着して基板を誤動作してしまうおそれがある。また、基板の表面(下面)に付着した液分により基板を誤検出してしまうおそれがある。このように、光センサが誤動作したり、光センサが基板を誤検出してしまうと、基板の正常な処理に支障をきたしてしまう。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、基板の効率的な処理を損なうことなく、搬送される基板を正常に処理することのできる基板処理装置を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の実施の形態に係る基板処理装置は、液体で処理された基板を搬送ローラによって搬送しながら処理する基板処理装置であって、前記基板を搬送する搬送ローラと、前記導入口と前記搬送ローラとの間に設けられ、前記基板を前記搬送ローラに導く補助ローラと、前記基板の搬送路に光ビームを照射して、前記基板を検出する検出器と、を有し、前記補助ローラは、搬送される前記基板の表面に接して前記基板の液分を除去する液切り部を備え、前記検出器は、前記補助ローラの前記基板の搬送方向下流側で、前記液切り部によって液分が除去される部分に前記光ビームを照射するように設けられた構成となる。
【0009】
このような構成により、導入口から導入される液体で処理された基板は、その先端部分から順次補助ローラによって支持されつつ搬送ローラに導かれて、前記搬送ローラによって搬送されていく。基板が補助ローラを通過する際に、当該基板の補助ローラの液切り部に接する部分に付着した液分がその液切り部によって除去される。そして、その補助ローラの前記基板の搬送方向における下流側で、搬送される基板の前記液切り部にて液分が除去された部分に対向した光センサは、光ビームを照射する。
【0010】
また、本発明の他の実施形態に係る基板処理装置は、導入口と搬出口との間に搬送ローラが設けられ、前記導入口から導入される基板を前記搬送ローラによって前記導入口と前記搬出口との間で往復動させながら液体により処理して、前記搬出口から搬出させる基板処理装置であって、前記導入口と前記搬送ローラとの間に設けられ、前記基板の搬送路に光ビームを照射して前記基板を検出する第1検出器と、前記搬出口と前記搬送ローラとの間に設けられ、前記基板の搬送路に光ビームを照射して前記基板を検出する第2検出器と、前記導入口と前記搬送ローラとの間において、前記基板の搬送方向において前記第1検出器を挟むように配置された複数の補助ローラで構成される第1補助ローラユニットと、前記搬出口と前記搬送ローラとの間において、前記基板の搬送方向において前記第2検出器を挟むように配置された複数の補助ローラで構成される第2補助ローラユニットと、を備え、前記第1補助ローラユニットおよび前記第2補助ローラユニットのそれぞれを構成する補助ローラは、搬送される前記基板の表面に接して前記基板の液分を除去する液切り部を備え、前記第1検出器は、前記基板の前記第1補助ローラユニットを構成する前記補助ローラの前記液切り部によって液分が除去される部分に前記光ビームを照射するように設けられ、前記第2検出器は、前記基板の前記第2補助ローラユニットを構成する前記補助ローラの前記液切り部によって液分が除去される部分に前記光ビームを照射するように設けられた構成となる。
【発明の効果】
【0011】
本発明の実施形態に係る基板処理装置によれば、光ビームを照射する検出器が、搬送される基板の補助ローラの液切り部にて液分が除去される部分に対向するように設けられているので、基板からの検出器への液分の垂れを防止することができるとともに、検出器が基板に付着した液分によって誤検出を起こすことを防止することができる。その結果、基板の効率的な処理を損なうことなく、搬送される基板を正常に処理することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置の基本的な構造を示す斜視図である。
図2図2は、本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置の基本的な構造を示す側面図である。
図3図3は、本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置にて用いられる補助ローラの外ローラ体の構造例を示す正面図である。
図4図4は、本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置にて用いられる補助ローラの外ローラ体の構造例を示す側面図である。
図5図5は、本発明の第1の実施形態に係る、基板が搬入口から搬入される状態の基板処理装置を示す斜視図である。
図6図6は、本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置にて用いられる補助ローラの他の例を示す斜視図である。
図7図7は、本発明の第2の実施形態に係る基板処理装置を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明の実施の形態について図面を用いて説明する。
【0014】
本発明の第1の実施形態に係る基板処理装置は、図1及び図2に示すように構成される。なお、図1は、基板処理装置の基本的な構造を示す斜視図であり、図2は、その基板処理装置の基本的な構造を示す側面図である。
【0015】
図1及び図2において、この基板処理装置は、基板W(例えば、ガラス基板)の表面を処理液(例えば、洗浄液)によって処理(洗浄処理)する前処理室200から続く処理室100を有している。前処理室200と処理室100とは仕切り壁120により仕切られている。仕切り壁120には導入口121が形成されており、前処理室200にて処理液で処理された基板Wが搬送ローラ50によって送られて導入口121から処理室100内に導入されるようになっている。処理室100には複数のローラを含む搬送機構が設けられており、導入口121を通して処理室100に導入される基板Wが搬送機構(複数のローラ)によって搬送される。そして、基板Wは、処理室100内を搬送されながら乾燥処理される。なお、乾燥処理ではなく、処理液を使用するウェット処理を行ってもよい。
【0016】
処理室100において基板Wを搬送する搬送機構は、複数のローラによって構成される搬送ローラ群10と、導入口121から導入される基板Wを搬送ローラ群10に導く補助ローラユニット20(補助ローラ21)とを含む。搬送ローラ群10は、基板Wの搬送方向Dに所定の間隔で配列され、それぞれが搬送方向Dに直交する水平方向に延びる複数の回転軸11のそれぞれに複数(図1では3つ)のローラ12が所定間隔をもって装着された構造となっている。回転軸11は、図示しない駆動源に接続されていて、回転軸11が回転することにより、ローラ12が回転する。補助ローラユニット20は、それぞれが支持ブロック22に回転自在に支持された複数(図1では4つ)の補助ローラ21が基板Wの搬送方向Dに直交する水平方向に所定間隔にて配列された構造となっている。
【0017】
前処理室200と処理室100とを仕切る仕切り壁120によって、前処理室200の搬送方向Dにおける最下流位置に配置される搬送ローラ50と、処理室100における搬送ローラ群10の搬送方向Dにおける最上流側に配置されるローラ12との間隔が、搬送方向Dにおける搬送ローラ群10のローラ12同士の間隔と比較して大きくなる傾向にある。一方、基板W(例えば、液晶パネルのガラス基板)が適用される製品(例えば、液晶パネル)の軽量化にともなって当該基板Wの薄型化が進んでいる。そのため、前処理室200の搬送ローラ50から進んで仕切り壁120の導入口121を通して処理室100に導入される基板Wが撓んで、その基板Wの先端が搬送ローラ群10の搬送方向Dにおける最上流側に配置されたローラ12に衝突して欠けなどが発生するおそれがある。これは、前処理室200から処理室100との間には、仕切り壁120などがあるために、搬送ローラの間隔が大きくなってしまい、撓みによる基板先端の垂れ下がりが大きくなるためである。このような事情から、導入口121を通過する基板Wの先端が搬送ローラ列10に達する前にその基板Wを支えてその搬送ローラ群10に導くために補助ローラユニット20(補助ローラ21)が設けられている。
【0018】
補助ローラユニット20の各補助ローラ21は、搬送ローラ群10に含まれる各ローラ12より小径である。そして、各補助ローラ21は、図2に示すように、補助ローラ軸21aの外周に外ローラ体21bが装着された構造となっている。外ローラ体21bは、図3及び図4に示すように、補助ローラ軸21aを囲むように接合して1つのリング状になる2つの半リングブロック24a、24bを有し、それら半リングブロック24a、24bの外周にわたって液切り部25が設けられた構造となっている。液切り部25は、例えば、PVA(Polyvinyl Alcohol)やナイロン素材の毛束で構成されるブラシで形成される。液切り部25は、基板Wに接触して基板Wの下面に付着する液を除去できる材質であればよい。なお、ここでの液の除去とは、基板Wの下面に付着する液を完全に除去しなければならないわけではなく、少なくとも液切り部25が接触した範囲において、後述の光センサ30の受光量が安定する程度まで液分を除去できればよい。なお、半リングブロック24aには、半リングブロック24bと接合させるためのボルト26a、26bが通る貫通孔が形成されている。半リングブロック24bには、ボルト26a、26bが挿入されるボルト孔が形成されている。半リングブロック24a、24bは、リング状になって補助ローラ軸21aに装着された状態で、ボルト26a、26bによって補助ローラ軸21aに固定される。
【0019】
図1及び図2に戻って、補助ローラユニット20と搬送ローラ群10の搬送方向Dにおける最上流側に配置されたローラ12との間に、搬送される基板Wの下面に対向するように光センサ30が設けられている。更に具体的には、この光センサ30は、補助ローラユニット20の一方端、例えば、搬送方向Dに向って右側端に配置された補助ローラ21の搬送方向Dにおける下流側で、当該補助ローラ21から搬送方向Dに平行に延びる直線L(仮想線)に対向するように配置されている。光センサ30は、例えば、光ビーム(例えば、レーザ光)を照射する投光部と、基板Wからの反射光を受ける受光部とを備える、反射型の光センサである。投光部及び受光部は、搬送路を移動する基板Wを光ビームの投受光により検出することが可能に設けられている。この受光部により受光された反射光の光量(受光量)を検出信号として出力する。光センサ30からの検出信号によって、基板Wが検出されると、例えば、処理室100内に設けられたエアナイフ(不図示)から気体の吐出が開始される。
【0020】
上述したような構造の基板処理装置では、前処理室200で処理液(液体)にて処理された基板Wは、搬送ローラ50によって送られて導入口121を通して処理室100に導入される。この導入口121を通して処理室100に導入される基板Wは、図5に示すように、その先端部分から順次補助ローラユニット20(並列する複数の補助ローラ21)に支持されつつ搬送ローラ群10に導かれていく。ここで、導入口121から導入された基板Wが垂れるように撓んでその先端部分が各補助ローラ21の中腹部に当たったとしても、各補助ローラ21の外周に毛束やスポンジ等で形成された液切り部25が設けられているので、基板Wの先端部分に欠けが発生することを防止することができる。液切り部25がブラシである場合には、撓んだ基板Wの先端部分が補助ローラ21の中腹部に接触した場合、ブラシの毛束の間に差し込まれるようになるので、基板Wが欠けることを防止できる。また、ブラシの毛束自体にも弾性力があるので、基板Wが接触したときの衝撃を吸収することができる。つまり、液切り部25は、基板Wと補助ローラ21(半リングブロック24a、24b)との緩衝材としての役割も有する。補助ローラ21に接触した基板Wは、欠けることなく補助ローラ21を押しまわし、補助ローラ21に乗り上げるようにしたあと、搬送ローラ群10に導かれる。
【0021】
第1の実施形態に係る基板処理装置では、上述したように基板の検出器として光センサを用いているので、振り子式センサのように、振り子体の機械的動作が鈍くなることによる基板の誤検出がない。また、処理液が振り子体に付着して乾燥し、固着することで振り子体が動かなくなることがあるが、光センサを用いた基板処理装置ではそのようなことがない。このように、光センサを用いているので、基板Wを誤検出することなく、効率的に処理することができる。
【0022】
補助ローラユニット20から搬送ローラ群10に向う基板Wの各補助ローラ21の外周に設けられた複数の液切り部25に接する部分に付着した液分は、それら複数の液切り部25によって除去される。複数の液切り部25のそれぞれが毛束で形成される場合、基板Wの表面に付着した液分がその表面から掃われて除去される。
【0023】
補助ローラユニット20の搬送方向Dに向って右側端に配置された補助ローラ21(複数の液切り部25)によって基板Wの下面に付着した液分が除去されるので、その補助ローラ21の搬送方向Dにおける下流側に設けられた光センサ30は、基板Wの下面から垂れる液分を受けることがない。また、光センサ30は、基板Wの液分が付着した部分に光ビームを照射することもない。これにより、光センサ30は、液分が付着して誤作動したり、液分の付着した基板Wを誤検出したりすることが防止される。そして、この光センサ30により、液体により処理された基板Wが導入口121を通して処理室100に導入したことを精度良く検出することができる。
【0024】
上述した第1の実施形態に係る基板処理装置によれば、液体で処理された基板Wの表面に付着した液分に影響されることなく、光センサ30によって精度良く基板Wを検出することができるので、基板Wの効率的な処理を損なうことなく、搬送される基板Wを正常に処理することができる。
【0025】
上述の説明では、液切り部25は、ブラシで形成されると説明したが、このような構成に限定されない。液切り部25は、例えば、スポンジ等の多孔質材(吸液部材)で形成してもよい。液切り部25が多孔質材で形成される場合には、基板Wの表面に付着した液分を吸収することにより除去する。また、多孔質材が有する柔軟性や弾性により、基板Wが接触したときの衝撃を吸収することができるので、多孔質材で形成された場合においても基板Wが欠けることを防止できる。
【0026】
また、液切り部25を有する補助ローラ21は、半リングブロック24a、24bが接合することで構成されている。液切り部25は、上述したようにブラシや多孔質材で形成されるため、経時的に変形や、劣化することがある。補助ローラ21を半円状の2つの部材(半リングブロック24a、24b)を接合して、1つのリング状になる構造とすることで、変形や劣化によって交換の必要が生じた際にも、補助ローラ軸21aへの取り外しや取り付けが容易となる。
【0027】
なお、補助ローラ21を複数(図1では4つ)配列して補助ローラユニット20を構成したが、このような構成に限定されない。補助ローラは、搬送される基板Wに接して当該基板Wの液分を除去する液切り部を有するものであれば特に限定されない。例えば、図6に示すように、搬送方向Dに直交する水平方向に延びる円柱状のローラ本体41の外周にスポンジ等で形成された液切り部42を装着した構造となる補助ローラ40を用いることもできる。
【0028】
つぎに本発明の第2の実施形態について説明する。第2の実施形態に係る基板処理装置は、図7に示すように構成される。図7は、第2の実施形態に係る基板処理装置の構造及びその内部の状態を示す側面図である。なお、図7において、第1の実施形態と同じ部分には同じ参照番号が付すとともに、その説明を省略する。
【0029】
第2の実施形態に係る基板処理装置の処理室1000において、搬送ローラ群60は、基板Wを往復搬送することが可能に設けられている。処理室1000内には、基板Wに処理液を供給する処理液吐出部71、72が、基板Wの搬送路に対向して、搬送路の上方及び下方のそれぞれに複数設けられる。処理液吐出部71、72は、例えば、シャワーノズルである。処理液吐出部71、72は、図示しない処理液供給機構に接続されていて、基板Wに処理液を供給することが可能に設けられている。処理液吐出部71は、基板Wの搬送路の上方に設けられ、基板Wの上面に対して処理液を供給する。処理液吐出部72は、基板Wの搬送路の下方に設けられ、基板の下面に対して処理液を供給する。
【0030】
導入口121から導入された基板Wは、処理室1000内を往復しながら、処理液吐出部71、72から供給された処理液により処理される。所定回数、往復して処理が完了した基板Wは、搬出口122から搬出されて、次の処理室に搬送される。なお、往路と復路で異なる処理液を供給し、異なる処理をするように構成してもよい。
【0031】
図7に示すように、導入口121と搬送ローラ群60の最上流側に配置されたローラ12との間に、搬送される基板Wの下面に対向するように第1光センサ30a(第1検出器)が設けられている。また、第1光センサ30aを挟むようにして、第1光センサ30aの上流側及び下流側の両方に、第1補助ローラユニット20aを構成する複数の補助ローラ21が設けられている。各補助ローラ21には、第1の実施形態の場合と同様に、液切り部が設けられている(図3及び図4参照)。第1光センサ30aは、基板Wの第1補助ローラユニット20aを構成する補助ローラ21の液切り部によって液分が除去される部分に光ビームを照射するように設けられている。なお、ここでの上流及び下流とは、往路(導入口121側から搬出口122側に向かって搬送するとき)における方向であって、基板Wを復路(搬出口122側から導入口121側に向かって搬送するとき)にて搬送している場合には、上流と下流は反対となる。
【0032】
搬送ローラ群60の最下流側に配置されたローラ12と搬出口122との間には、搬送される基板Wの下面に対向するように第2光センサ30b(第2検出器)が設けられている。また、第2光センサ30bを挟むようにして、第2光センサ30bの上流側及び下流側の両方に、第2補助ローラユニット20bを構成する複数の補助ローラ21が設けられている。第2補助ローラユニット20bを構成する各補助ローラ21も液切り部(図3及び図4参照)を備えている。第2光センサ30bは、基板Wの第2補助ローラユニット20bを構成する補助ローラ21の液切り部によって液分が除去される部分に光ビームを照射するように設けられている。
【0033】
第1光センサ30aは、導入口121から基板Wが導入されたことを検出する。また、第1光センサ30aは、復路で搬送されてきた基板Wが復路における最下流(図7における左側)に到達したことを検出する。第2光センサ30bは、往路で搬送されてきた基板Wが往路における最下流(図7における右側)に到達したことを検出する。また、第2光センサ30bは、処理室1000内での処理が完了した基板Wが搬出口122から搬出されたことを検出する。第1光センサ30a及び第2光センサ30bによる、基板Wの検出信号を基に、搬送ローラ群60の回転方向や、処理液吐出部71、72からの処理液の供給が制御される。

【0034】
第2の実施形態に係る基板処理装置においても、導入口121から搬送ローラ群60との間に、第1補助ローラユニット20a(複数の補助ローラ21)が設けられていることにより、導入口121から導入された基板Wが垂れるようにして撓んでその先端部分が各補助ローラ21の中腹部に当たったとしても、基板Wの先端部分に欠けが発生することを防止できる。
【0035】
また、第1光センサ30a及び第2光センサ30bに対して、その上流側と下流側に、液切り部を有する補助ローラ21(第1補助ローラユニット20a、第2補助ローラユニット20b)が設けられているので、基板Wを往復搬送しながら、処理を行ったとしても、往路及び復路の両方において、光センサ(第1光センサ30a、第2光センサ30b)によって基板Wを精度良く基板Wを検出することができる。このように、第2の実施形態に係る基板処理装置においても、光センサによって精度良く基板Wを検出することができるので、基板Wの効率的な処理を損なうことなく、搬送される基板Wを正常に処理することができる。
【0036】
以上、本発明の実施形態を説明したが、この実施形態は、一例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。上述したこれら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。この実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明に含まれる。
【符号の説明】
【0037】
10 搬送ローラ群
11 回転軸
12 ローラ
20 補助ローラユニット
21 補助ローラ
21a 補助ローラ軸
21b 外ローラ体
22 支持ブロック
24a、24b 半リングブロック
25 液切り部
26a、26b ボルト
30 光センサ
40 補助ローラ
41 ローラ本体
42 液切り部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7