(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】メタ亜ヒ酸塩を含む医薬組成物および製造方法
(51)【国際特許分類】
A61K 33/36 20060101AFI20240115BHJP
A61K 9/20 20060101ALI20240115BHJP
A61K 47/02 20060101ALI20240115BHJP
A61K 47/12 20060101ALI20240115BHJP
A61K 47/14 20170101ALI20240115BHJP
A61K 47/26 20060101ALI20240115BHJP
A61K 47/32 20060101ALI20240115BHJP
A61K 47/36 20060101ALI20240115BHJP
A61P 1/04 20060101ALI20240115BHJP
A61P 3/10 20060101ALI20240115BHJP
A61P 25/04 20060101ALI20240115BHJP
A61P 35/00 20060101ALI20240115BHJP
A61P 35/02 20060101ALI20240115BHJP
A61P 35/04 20060101ALI20240115BHJP
A61P 37/02 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
A61K33/36
A61K9/20
A61K47/02
A61K47/12
A61K47/14
A61K47/26
A61K47/32
A61K47/36
A61P1/04
A61P3/10
A61P25/04
A61P35/00
A61P35/02
A61P35/04
A61P37/02
(21)【出願番号】P 2021500320
(86)(22)【出願日】2019-03-21
(86)【国際出願番号】 AU2019050249
(87)【国際公開番号】W WO2019178643
(87)【国際公開日】2019-09-26
【審査請求日】2022-03-17
(32)【優先日】2018-03-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】AU
(73)【特許権者】
【識別番号】520363362
【氏名又は名称】コミファーム インターナショナル オーストラリア ピーティーワイ リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】520363373
【氏名又は名称】パナフィックス インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100092783
【氏名又は名称】小林 浩
(74)【代理人】
【識別番号】100120134
【氏名又は名称】大森 規雄
(74)【代理人】
【識別番号】100217663
【氏名又は名称】末広 尚也
(74)【代理人】
【識別番号】100104282
【氏名又は名称】鈴木 康仁
(72)【発明者】
【氏名】ヤン,ヨンジン
【審査官】愛清 哲
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2009/072779(WO,A1)
【文献】国際公開第2006/104292(WO,A1)
【文献】韓国公開特許第2002-0083458(KR,A)
【文献】米国特許出願公開第2009/0061022(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2012/0045520(US,A1)
【文献】特開平11-130437(JP,A)
【文献】特表2008-546640(JP,A)
【文献】特表2010-518022(JP,A)
【文献】特表2013-505242(JP,A)
【文献】特表2011-515481(JP,A)
【文献】Arsenic-Induced Cell Death in Liver and Brain of Experimental Rats,Basic & Clinical Pharmacology & Toxicology,98,2006年,pp.38-43
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 33/00-33/44
A61K 47/00-47/69
A61P 1/00- 1/18
A61P 3/00- 3/14
A61P 25/00-25/36
A61P 35/00-35/04
A61P 37/00-37/08
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
経口投与に適した医薬組成物であって、
(a)固体コアの0.1~5.0%w/wの量のメタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウム、ならびに以下の薬学的に許容される賦形剤:
(i)リン酸二カルシウム無水物、部分アルファ化デンプン、ケイ化微晶質セルロース、微晶質セルロース、硫酸カルシウム二水和物、ラクトース、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、またはこれらの混合物から選択される、固体コアの5~95%w/wの範囲の充填剤または希釈剤、
(ii)L-ヒドロキシプロピルセルロース、部分アルファ化デンプン、クロスポビドン、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、およびアルギン酸から選択される、固体コアの10~90%w/wの範囲の崩壊剤、
(iii)コロイド状二酸化ケイ素およびタルクから選択される、固体コアの0.1~5%w/wの範囲の流動促進剤、
(iv)フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、およびシリカから選択される、固体コアの0.1~5%w/wの範囲の滑沢剤、および
(V)ケイ化微晶質セルロース、部分アルファ化デンプン、L-ヒドロキシプロピルセルロース(低置換ヒドロキシプロピルセルロース)、ヒドロキシプロピルセルロース、コポビドン、アルファ化トウモロコシ(maize)デンプン、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される、固体コアの最大30%w/wの範囲の結合剤
を含む、固体コア、
ならびに
(b)アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、またはメタクリル酸エステルのコポリマー;セルロースアセテートフタレートポリマー;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートポリマー;ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート;ポリビニルアセテートフタレート;セルロースアセテートトリメリテート;およびこれらの組合せから選択される腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティングを含み、
前記薬学的に許容される賦形剤が、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化が最小限になるように選択され、
前記
腸溶性コーティングが、固体コアの9.5~14%w/wの重量増加をもたらし、
コーティング厚が、医薬組成物の厚さの6.5%~15%であり、
腸溶性コーティング錠剤の形態である、医薬組成物。
【請求項2】
前記固体コアにおける前記メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムの量が、前記固体コアの0.5~3.0%w/wである、請求項1に記載の医薬組成物。
【請求項3】
前記固体コアがメタ亜ヒ酸ナトリウムを含む、請求項1または2に記載の医薬組成物。
【請求項4】
前記充填剤または希釈剤が、前記固体コアの10~90%w/wの量で前記医薬組成物の前記固体コアに存在する、請求項1から3のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項5】
前記充填剤または希釈剤が、リン酸二カルシウム無水物、部分アルファ化デンプン、ケイ化微晶質セルロース、微晶質セルロース、ラクトース、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、またはこれらの混合物から選択される、請求項1から4のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項6】
前記充填剤または希釈剤が、リン酸二カルシウム無水物、部分アルファ化デンプン、またはこれらの混合物である、請求項5に記載の医薬組成物。
【請求項7】
前記崩壊剤が、前記固体コアの10~50%w/wの量で前記医薬組成物の前記固体コアに存在する、請求項1から6のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項8】
前記崩壊剤が、L-ヒドロキシプロピルセルロース、部分アルファ化デンプン、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、およびアルギン酸から選択される、請求項1から7のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項9】
前記崩壊剤が、L-ヒドロキシプロピルセルロース、部分アルファ化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、またはこれらの2つ以上の混合物である、請求項8に記載の医薬組成物。
【請求項10】
前記流動促進剤が、前記固体コアの0.3~4.0%w/wの量で前記医薬組成物の前記固体コアに存在する、請求項1から9のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項11】
前記流動促進剤が、コロイド状二酸化ケイ素である、請求項1から10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項12】
前記流動促進剤がタルクである、請求項1から10のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項13】
前記滑沢剤が、前記固体コアの0.3~4.0%w/wの量で前記医薬組成物の前記固体コアに存在する、請求項1から12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項14】
前記滑沢剤が、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、およびシリカから選択される、請求項1から13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項15】
前記滑沢剤がフマル酸ステアリルナトリウムである、請求項14に記載の医薬組成物。
【請求項16】
前記結合剤が、前記医薬組成物の前記固体コアの1~30%w/wの量で存在する、請求項1から15のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項17】
前記結合剤が、L-ヒドロキシプロピルセルロース(低置換ヒドロキシプロピルセルロース)、L-ヒドロキシプロピルセルロース(低置換ヒドロキシプロピルセルロース)とヒドロキシプロピルセルロースとの混合物、または部分アルファ化デンプンである、請求項1から16のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項18】
前記腸溶性コーティングが、前記固体コアの10~14%w/wの重量増加をもたらす、請求項1から17のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項19】
腸溶性コーティングポリマーが、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、またはメタクリル酸エステルのコポリマー;セルロースアセテートフタレートポリマー;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートポリマー;ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート;セルロースアセテートトリメリテート;およびこれらの組合せから選択される、請求項1から18のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項20】
前記腸溶性コーティングポリマーが、メタクリル酸とアクリル酸エチル(1:1)とのコポリマーである、請求項19に記載の医薬組成物。
【請求項21】
前記固体コアが、メタ亜ヒ酸ナトリウム、リン酸二カルシウム無水物、L-ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、コロイド状二酸化ケイ素、およびフマル酸ステアリルナトリウムを含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項22】
前記固体コアが、メタ亜ヒ酸ナトリウム、部分アルファ化デンプン、リン酸二カルシウム無水物、デンプングリコール酸ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、およびフマル酸ステアリルナトリウムを含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項23】
前記固体コアが、メタ亜ヒ酸ナトリウム、リン酸二カルシウム無水物、L-ヒドロキシプロピルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、およびフマル酸ステアリルナトリウムを含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項24】
前記固体コアが、メタ亜ヒ酸ナトリウム、リン酸二カルシウム無水物、部分アルファ化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、およびフマル酸ステアリルナトリウムを含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項25】
前記固体コアが、メタ亜ヒ酸ナトリウム、リン酸二カルシウム無水物、ケイ化微晶質セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、およびフマル酸ステアリルナトリウムを含む、請求項1から20のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項26】
前記医薬組成物が、前記固体コアの1.67%w/wのメタ亜ヒ酸ナトリウムを含み、6.5mmの固体コア直径、150mgの固体コア質量、および前記固体コアの12%w/wを加えた腸溶性コーティングを有する腸溶性コーティング錠剤である、請求項1から20のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項27】
疾患または状態が、固形悪性腫瘍、骨転移、転移性新生物疾患、原発性または転移性肺腫瘍、泌尿生殖器がん、白血病、疼痛、血液のがん、転移性がん、がん性疼痛、慢性疼痛、炎症、自己免疫性障害、免疫障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性血管障害、糖尿病性神経痛、膵島炎に関連する症状、および潰瘍性大腸炎から選択される、疾患または状態の治療に使用するための請求項1から26のいずれか一項に記載の医薬組成物。
【請求項28】
請求項1から26のいずれか一項に記載の医薬組成物を製造する方法であって、以下のステップ:
(a)固体コアの0.1~5.0%w/wの量のメタ亜ヒ酸ナトリウムおよびメタ亜ヒ酸カリウムから選択される医薬活性成分(API)を、以下の薬学的に許容される賦形剤:
(i)リン酸二カルシウム無水物、部分アルファ化デンプン、ケイ化微晶質セルロース、微晶質セルロース、硫酸カルシウム二水和物、ラクトース、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、またはこれらの混合物から選択される、固体コアの5~95%w/wの範囲の充填剤または希釈剤、
(ii)L-ヒドロキシプロピルセルロース、部分アルファ化デンプン、クロスポビドン、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、およびアルギン酸から選択される、固体コアの10~90%w/wの範囲の崩壊剤、
(iii)コロイド状二酸化ケイ素およびタルクから選択される、固体コアの0.1~5%w/wの範囲の流動促進剤、
(iv)フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、およびシリカから選択される、固体コアの0.1~5%w/wの範囲の滑沢剤、および
(v)ケイ化微晶質セルロース、部分アルファ化デンプン、L-ヒドロキシプロピルセルロース(低置換ヒドロキシプロピルセルロース)、ヒドロキシプロピルセルロース、コポビドン、アルファ化トウモロコシ(maize)デンプン、およびヒドロキシプロピルメチルセルロースから選択される、固体コアの最大30%w/wの範囲の結合剤
とブレンドして、粉末ブレンドを形成するステップ、
(b)ステップ(a)で形成された粉末ブレンドを圧縮して、前記固体コアを形成するステップ、
および
(c)前記固体コアを、アクリル酸、アクリル酸エステル、メタクリル酸、またはメタクリル酸エステルのコポリマー;セルロースアセテートフタレートポリマー;ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートポリマー;ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート;ポリビニルアセテートフタレート;セルロースアセテートトリメリテート;およびこれらの組合せから選択される腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティングでコーティングするステップ
を含み、
前記薬学的に許容される賦形剤が、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化が最小限になるように選択され、
前記
腸溶性コーティングが、固体コアの9.5~14%w/wの重量増加をもたらし、
コーティング厚が、前記医薬組成物の厚さの6.5%~15%であり、前記医薬組成物が
腸溶性コーティング錠剤の形態である、方法。
【請求項29】
ステップ(a)が、2つのステップ:
(i)前記APIを前記充填剤の一部分とブレンドして、APIプレミックスを形成するステップ、および
(ii)前記流動促進剤、前記崩壊剤、前記滑沢剤、および前記結合剤を前記APIプレミックスとブレンドするステップ
を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
ステップ(a)が、3つのステップ:
(i)前記APIを前記充填剤の一部分とブレンドして、APIプレミックスを形成するステップ、
(ii)前記流動促進剤、前記崩壊剤、および前記結合剤を前記APIプレミックスとブレンドするステップ、次いで、
(iii)前記滑沢剤(任意選択でステップ(ii)の混合物の一部分と混合されている)を加え、次いでブレンドするステップ
を含む、請求項28に記載の方法。
【請求項31】
ステップ(a)および/またはステップ(b)が水または溶媒の添加を伴わない、請求項28から30のいずれか一項に記載の方法。
【請求項32】
疾患または状態が、固形悪性腫瘍、骨転移、転移性新生物疾患、原発性または転移性肺腫瘍、泌尿生殖器がん、白血病、疼痛、血液のがん、転移性がん、がん性疼痛、慢性疼痛、炎症、自己免疫性障害、免疫障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性血管障害、糖尿病性神経痛、膵島炎に関連する症状、および潰瘍性大腸炎から選択される、前記疾患または状態の治療のための経口医薬の製造における請求項1から26のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メタ亜ヒ酸のナトリウムまたはカリウム塩を含む医薬組成物、およびその医薬組成物の製造方法に関する。本発明は、医薬組成物を使用する治療方法にも関する。
【背景技術】
【0002】
がんは、世界中で重大な健康問題である。がんの検出および治療に進展が見られるが、ワクチン、または他の普遍的に成功している予防もしくは治療方法は現在利用可能ではない。この疾患の管理は、現在、早期診断と、外科手術、放射線療法、化学療法、およびホルモン療法などの様々な療法のうちの1つ以上が含まれうる積極的な治療との組合せに依存している。そのような療法は多くの患者に利益を提供しているが、高い死亡率が多くのがんに関して引き続き観察されている。改善された抗腫瘍剤の開発は、がんの予防および治療を推進する。
【0003】
残念なことに、がんは男性および女性の両方において主な死因であり、心疾患に次いで第2位である。がんとの戦いでは多数の技術が開発されており、この疾患の性質および原因を理解すること、ならびにその制御または治癒方法を提供することに、現在の研究主題が向けられている。
【0004】
数千の潜在的な抗がん剤が評価されてきたが、ヒトのがん治療は多くの複雑な問題を伴ったままであり、多くの場合、一連の最適以下の治療選択肢が提示される。このように、毒性がほとんど、または全くなく、取得または製造するのに安価であり、患者に十分耐容され、容易に投与される化学療法剤は、腫瘍専門医に現在利用可能な治療様式への望ましい追加となる。悪性腫瘍組織を選択的に感作して、健康組織への損傷が少ない低用量の放射線または療法で同じ治療効果を達成することを可能にする薬剤も望ましい。同様に、がんの発生または再発を予防する薬剤も望ましい。
【0005】
多くの化学療法薬が、静脈内用途で現在開発されている。しかし、抗がん剤による経口治療は、投与の容易さ、より良好な患者の服薬遵守、ならびに患者の費用の低減および生活の質の高まりという利点のために興味深いものである。例えば、患者は外来患者として経口治療を受けることができる。したがって、がん治療の経口薬は有望であり、過去に果たした役割より重要な役割を果たすことになる。
【0006】
ヒ素化合物は、がんを含む多種多様な疾患を治療する医薬品として使用されてきた。無機ヒ素化合物は毒性が高い。20世紀における急速な薬の進化によって、薬としてのヒ素の使用は急速に減っていった。ヒ素化合物に対する関心は、毎日の三酸化ヒ素(As2O3)単独の静脈内投与が、新たに診断された、および再発した、急性前骨髄球性白血病を有する大多数の患者に完全な応答を引き起こしたことを示したときに復活した。三酸化ヒ素の欠点は、毎日1~4時間の注入が6週間まで静脈内投与されることである。
【0007】
三酸化ヒ素が経口摂取されると、胃の中で塩化物イオンと結合し、塩化ヒ素(AsCl3)を生成する。塩化ヒ素は毒性があり、重篤な有害副作用を示す。経口摂取したときのヒ素化合物の固有の毒性のために、治療におけるヒ素化合物への関心は低いままである。しかし、経口製剤は患者への投与が容易であること、および患者のより良好な服薬遵守を促進することが認識されている。
【0008】
このように、がんおよびがん性疼痛などの疾患および状態の治療に使用される、経口投与に適したヒ素化合物を含む改善された医薬組成物の必要性が存在する。
【発明の概要】
【0009】
本発明者は、メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-O-Na+)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O-K+)を含み、経口投与に適切であり、胃を通過して小腸内(酸性度がpH6.5~7.5である)で溶解を開始する、腸溶性コーティング固体医薬組成物を開発した。
【0010】
第1の態様において、本発明は、経口投与に適した医薬組成物であって、以下:
(a)メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムおよび1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含み、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤が、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化が最小限になるように選択される、固体コア、
ならびに
(b)腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティング
を含み、
腸溶性コーティングの重量パーセントが、医薬組成物の総重量に対して約6%w/w~約20%w/wであり、コーティング厚が、医薬組成物の厚さの約6.5%~約15%である、
医薬組成物を提供する。
【0011】
例えば、上記の態様において、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤は、充填剤または希釈剤、崩壊剤、流動促進剤、滑沢剤、および結合剤から選択されうる。一部の実施形態において、固体コアは、これらの賦形剤の2つ以上、これらの賦形剤の3つ以上、これらの賦形剤の4つ以上、またはこれらの賦形剤のすべてを含んでもよい。このように、一部の実施形態において、固体コアは、充填剤または希釈剤、崩壊剤、流動促進剤、滑沢剤、および結合剤を含む。
【0012】
第2の態様において、本発明は、経口投与に適した医薬組成物であって、以下:
(a)メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウム、ならびに以下の薬学的に許容される賦形剤:
(i)約5~95%w/wの範囲の充填剤または希釈剤、
(ii)約10~90%w/wの範囲の崩壊剤、
(iii)約0.1~5%w/wの範囲の流動促進剤、
(iv)約0.1~5%w/wの範囲の滑沢剤、および
(v)任意選択で0~約30%w/wの範囲の結合剤
を含む、固体コア、
および
(b)腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティング
を含み、
薬学的に許容される賦形剤が、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化が最小限になるように選択され、
腸溶性コーティングの重量パーセントが、医薬組成物の総重量に対して約6%w/w~約20%w/wであり、
コーティング厚が、医薬組成物の厚さの約6.5%~約15%である、医薬組成物を提供する。
【0013】
一部の賦形剤は、多重機能を有することが当業者に理解される。本発明の医薬組成物に含まれる賦形剤が多重機能を有する場合、医薬組成物はこれらの機能を有する賦形剤を含むことが考慮され、例えば、賦形剤が結合剤と崩壊剤との両方として作用する場合、医薬組成物は結合剤および崩壊剤を含んでいると理解される。
【0014】
好ましくは、固体コア中の薬学的に許容される賦形剤は、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化の可能性を最小限にするために、低い水分レベルまたは低い水分活性を有する。このように、好ましくは本発明の医薬組成物は、高い水分レベルまたは高い水分活性を有する賦形剤を含有しない。
【0015】
医薬組成物は、腸溶性コーティング錠剤または腸溶性コーティングカプセル剤の形態でありうる。一部の実施形態において、医薬組成物は腸溶性コーティング錠剤である。一部の実施形態において、医薬組成物は腸溶性コーティングカプセル剤である。
【0016】
第3の態様において、本発明は、第1の態様の医薬組成物を製造する方法であって、以下のステップ:
(a)メタ亜ヒ酸ナトリウムおよびメタ亜ヒ酸カリウムから選択される医薬活性成分(API)を、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤とブレンドして、粉末ブレンドを形成するステップであって、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤が、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化が最小限になるように選択される、ステップ、
(b)ステップ(a)で形成された粉末ブレンドを圧縮して、固体コアを形成するステップ、
および
(c)固体コアを、腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティングでコーティングするステップ
を含み、
腸溶性コーティングの重量パーセントが、医薬組成物の総重量に対して約6%w/w~約20%w/wであり、コーティング厚が、医薬組成物の厚さの約6.5%~約15%である、
方法を提供する。
【0017】
第4の態様において、本発明は、第2の態様の医薬組成物を製造する方法であって、以下のステップ:
(a)メタ亜ヒ酸ナトリウムおよびメタ亜ヒ酸カリウムから選択される医薬活性成分(API)を、以下の薬学的に許容される賦形剤:
(i)約5~95%w/wの範囲の充填剤または希釈剤、
(ii)約10~90%w/wの範囲の崩壊剤、
(iii)約0.1~5%w/wの範囲の流動促進剤、
(iv)約0.1~5%w/wの範囲の滑沢剤、および
(v)任意選択で0~約30%w/wの範囲の結合剤
とブレンドして、粉末ブレンドを形成するステップ、
(b)ステップ(a)で形成された粉末ブレンドを圧縮して、固体コアを形成するステップ、
および
(c)固体コアを、腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティングでコーティングするステップ、を含み、
薬学的に許容される賦形剤が、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化が最小限になるように選択され、
腸溶性コーティングの重量パーセントが、医薬組成物の総重量に対して約6%w/w~約20%w/wであり、
コーティング厚が、医薬組成物の厚さの約6.5%~約15%である、
方法を提供する。
【0018】
第5の態様において、本発明は、疾患または状態の治療に使用される第1または第2の態様の医薬組成物を提供し、疾患または状態は、固形悪性腫瘍、骨転移、転移性新生物疾患、原発性または転移性肺腫瘍、泌尿生殖器がん、白血病、疼痛、血液のがん、転移性がん、がん性疼痛、慢性疼痛、炎症、自己免疫性障害、免疫障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性血管障害、糖尿病性神経痛、膵島炎に関連する症状、および潰瘍性大腸炎から選択される。
【0019】
第6の態様において、本発明は、対象において疾患および状態を治療する方法であって、第1または第2の態様の医薬組成物を対象に経口投与するステップを含み、疾患または状態が、固形悪性腫瘍、骨転移、転移性新生物疾患、原発性または転移性肺腫瘍、泌尿生殖器がん、白血病、疼痛、血液のがん、転移性がん、がん性疼痛、慢性疼痛、炎症、自己免疫性障害、免疫障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性血管障害、糖尿病性神経痛、膵島炎に関連する症状、および潰瘍性大腸炎から選択される、方法を提供する。
【0020】
第7の態様において、本発明は、疾患または状態の治療のための経口医薬の製造における第1または第2の態様の医薬組成物の使用を提供し、疾患または状態は、固形悪性腫瘍、骨転移、転移性新生物疾患、原発性または転移性肺腫瘍、泌尿生殖器がん、白血病、疼痛、血液のがん、転移性がん、がん性疼痛、慢性疼痛、炎症、自己免疫性障害、免疫障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性血管障害、糖尿病性神経痛、膵島炎に関連する症状、および潰瘍性大腸炎から選択される。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明の好ましい実施形態が、単なる例として下記に記載される。
【0022】
1.定義
本明細書において特に定義されない限り、以下の用語は、後に続く一般的な意味を有することが理解される。下記に参照される用語は、特に指示されない限り、用語が単独で使用される場合および用語が他の用語と組み合わせて使用される場合、後に続く一般的な意味を有する。
【0023】
用語「組成物」は、医薬活性成分(「API」)と賦形剤または担体を含む組成物および製剤を包含し、また、医薬活性成分が(他の担体を伴って、または伴うことなく)カプセル化担体により囲まれているカプセル剤を提供するため、担体としてカプセル化物質を有する組成物および製剤も包含する。医薬組成物では、賦形剤または担体は「薬学的に許容され」、これは生物学的理由または別の理由で望ましくないものではないことを意味し、すなわち、この物質は、任意の望ましくない生物学的効果を引き起こすことなく、または含有されている組成物中の他の構成成分のいずれかと有害な方法で相互作用することなく、患者に投与される医薬組成物に組み込むことができる。
【0024】
「薬学的に許容される塩」または「薬学的に許容される賦形剤または担体」の列挙などにおける「薬学的に許容される」とは、本明細書において生物学的理由または別の理由で望ましくないものではない物質を意味し、すなわち、この物質は、任意の望ましくない生物学的効果を引き起こすことなく、または含有されている組成物中の他の構成成分のいずれかと有害な方法で相互作用することなく、患者に投与される医薬組成物に組み込むことができる。
【0025】
用語「有効量」または「治療有効量」は、本発明の方法で使用されるときに妥当な利益/危険比に相当する、過度の有害な副作用(例えば、毒性、刺激、またはアレルギー応答)を有することなく望ましい治療応答を生じるのに十分な医薬活性成分の量を指す。例えば量は、増殖を遅延する、転移を遅延する、血管新生および/もしくはテロメアを阻害する、ならびに/またはがんの収縮を引き起こすのに有効でありうる。具体的な有効量または治療有効量は、治療される特定の状態、対象の年齢、体重、身体全体の健康状態、体調、性別および食事、治療の持続期間、併用療法の性質(存在する場合)、ならびに特定の状態の重症度などの要因によって変わる。
【0026】
本明細書で使用されるとき、用語「約」は、特定される値のわずかな変動、好ましくは特定される値の10パーセント以内を意味する。いずれにしても、用語「約」は、例えば使用される実験技術に応じて、比較的高度に変動が許容されることを意味することができる。特定される値の前記変動は当業者に理解されており、本発明の文脈の範囲内である。さらに、より簡潔な記載を提供するために、本明細書に提示される定量表現のうちのいくつかは、用語「約」で制限されていない。用語「約」が明示的に使用されているか否かにかかわらず、本明細書に提示されるあらゆる量は、実際の所定の値を指すことが意図され、そのような所定の値の実験および/または測定条件に起因する等価値および近似値を含むそのような所定値に対して、当該技術における通常の技能に基づいて合理的に推測される近似値を指すことも意図されることが理解される。
【0027】
特に記述されない限り、すべての量は重量パーセント(%w/w)として本明細書に表される。
【0028】
当然のことながら、本発明の医薬組成物の調製に使用される任意の物質は、薬学的に純粋であり、用いられる量において実質的に非毒性であるべきである。
【0029】
2.メタ亜ヒ酸塩の化学
メタ亜ヒ酸ナトリウムおよびメタ亜ヒ酸カリウムを三酸化ヒ素(As2O3)から合成することができる。例えば、メタ亜ヒ酸ナトリウムは、三酸化ヒ素(As2O3)を水酸化ナトリウム水溶液と反応させて、三価メタ亜ヒ酸ナトリウムを形成することによって合成することができる(下記のスキーム1の上部左側)。溶液を冷却し、メタ亜ヒ酸ナトリウムをろ過し、水を蒸発させる。次いで、形成されたメタ亜ヒ酸ナトリウムをメタノールで洗浄して、水を除去し、真空下でろ過し、次いで乾燥する。メタ亜ヒ酸カリウムは、水酸化ナトリウム水溶液の代わりに水酸化カリウム水溶液を使用して、メタ亜ヒ酸ナトリウムと同様の方法で調製することができる。
【0030】
しかし、メタ亜ヒ酸塩(O=As-O-の塩)における主な複雑な問題は、その種分化の化学およびメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-O-Na+)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O-K+)を含む経口剤形が胃の中で溶解する場合など、溶液中でいくつかの異なる形態に変換するその能力である。例えば、メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-O-Na+)は強酸中、強塩基中、および中性状態で容易に可溶性である。存在する形態は、溶液のpHおよびメタ亜ヒ酸ナトリウムの酸化傾向によって決まる(下記のスキーム1)。メタ亜ヒ酸カリウムはメタ亜ヒ酸ナトリウムと同様に挙動する。一般に、中性からアルカリ性条件がAs(III)(亜ヒ酸塩)の形成(または保持)に好ましい傾向があり、一方、酸性条件(とりわけ、胃の中など塩化物イオンの存在下)がAs(V)(ヒ酸塩)の形成に好ましい傾向がある。
【0031】
【0032】
加えて、メタ亜ヒ酸塩(O=As-O-)は、塩化物、金属イオン、もしくは水分(例えば、溶解媒体内または賦形剤内において、賦形剤、例えば、金属イオン、特に、鉄のイオンを有する賦形剤が酸化を触媒しうる)、または大気中の酸素が存在する場合、保管中にメタヒ酸塩に酸化されうる。メタ亜ヒ酸塩の酸化は低いpHで極めて急速に発生しうる。メタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-O-Na+)およびメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O-K+)は、両方とも吸湿性である。
【0033】
溶液中では、メタ亜ヒ酸ナトリウムの主な分解物は、酸化反応によって形成される五価メタヒ酸塩(AsO4
3-またはAs(V))種である。これは下記のボックス1に示されるように進行すると仮定されるが、理論上は、酸化(原子価の変化)は発生する酸素を吸収することなく(例えば、賦形剤との相互作用により、またはメタ亜ヒ酸ナトリウムもしくは組成物内に存在する金属イオンとの反応により)生じうる。
【0034】
【0035】
胃の中でのメタ亜ヒ酸ナトリウム(O=As-O-Na+)またはメタ亜ヒ酸カリウム(O=As-O-K+)の溶解によって生じるさらなる複雑な問題は、胃の中の塩化物イオンから塩化ヒ素(III)(AsCl3)が形成することである。メタ亜ヒ酸塩の酸化は、塩化物が存在するとより急速に発生しうる。塩化ヒ素(III)は、ヒトに有害であり、重篤な有害作用を引き起こす。
【0036】
本発明者は、メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムを含み、経口投与に適切であり、胃を通過して小腸内(酸性度がpH6.5~7.5の間である)で溶解を開始する、腸溶性コーティング固体医薬組成物を開発した。メタ亜ヒ酸塩形態からメタヒ酸塩形態への酸化の危険性(胃の中または保管中)、および胃の中の塩化物イオンによる毒性塩化ヒ素(III)の形成の危険性は、適切な賦形剤および単体、ならびに適切な厚さの適切な腸溶性コーティングを用いることによって最小限になる。小腸の中の腸溶性コーティング固体医薬組成物の溶解は、急速に発生しうる、または長時間(例えば、0.5、0.75、1、2、3、4、5、または6時間、好ましくは2時間以内)にわたって発生しうる。
【0037】
本発明の医薬組成物の好ましい実施形態が下記に記載される。本発明の医薬組成物は下記に記載される有効な方法によって製造されうる。
【0038】
3.本発明の医薬組成物
第1の態様において、本発明は、経口投与に適した医薬組成物であって、以下:
(a)メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムおよび1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含む固体コアであって、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤が、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化が最小限になるように選択される、固体コア、
および
(b)腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティング
を含み、
腸溶性コーティングの重量パーセントが、医薬組成物の総重量に対して約6%w/w~約20%w/wであり、コーティング厚が、医薬組成物の厚さの約6.5%~約15%である、医薬組成物を提供する。
【0039】
例えば、上記の態様において、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤は、充填剤または希釈剤、崩壊剤、流動促進剤、滑沢剤、および結合剤から選択されうる。一部の実施形態において、固体コアは、これらの賦形剤の2つ以上、これらの賦形剤の3つ以上、これらの賦形剤の4つ以上、またはこれらの賦形剤のすべてを含んでもよい。このように、一部の実施形態において、固体コアは、充填剤または希釈剤、崩壊剤、流動促進剤、滑沢剤、および結合剤を含む。
【0040】
第2の態様において、本発明は、経口投与に適した医薬組成物であって、以下:
(a)メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウム、ならびに以下の薬学的に許容される賦形剤:
(i)約5~95%w/wの範囲の充填剤または希釈剤、
(ii)約10~90%w/wの範囲の崩壊剤、
(iii)約0.1~5%w/wの範囲の流動促進剤、
(iv)約0.1~5%w/wの範囲の滑沢剤、および
(v)任意選択で0~約30%w/wの範囲の結合剤
を含む、固体コア、
ならびに
(b)腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティング
を含み、
薬学的に許容される賦形剤が、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化が最小限になるように選択され、
腸溶性コーティングの重量パーセントが、医薬組成物の総重量に対して約6%w/w~約20%w/wであり、
コーティング厚が、医薬組成物の厚さの約6.5%~約15%である、医薬組成物を提供する。
【0041】
医薬組成物は、腸溶性コーティング錠剤または腸溶性コーティングカプセル剤の形態でありうる。一部の実施形態において、医薬組成物は腸溶性コーティング錠剤である。一部の実施形態において、医薬組成物は腸溶性コーティングカプセル剤である。
【0042】
3.1 医薬活性成分(API)(メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウム)
本発明の医薬組成物において、医薬活性成分(API)は、メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムである。
【0043】
メタ亜ヒ酸ナトリウムおよびメタ亜ヒ酸カリウムは、高い純度(>98%のAs(III)および最小レベルのAs(V))で商業的に得ることができる。メタ亜ヒ酸ナトリウムおよびメタ亜ヒ酸カリウムは、吸湿性である。
【0044】
無機化合物であるメタ亜ヒ酸ナトリウムおよびメタ亜ヒ酸カリウムは、それぞれ、典型的な錠剤賦形剤(典型的な錠剤賦形剤は、通常、およそ1.2~1.6g/cm3の密度を有する有機物質である)と比較して、より高い粒子(真)密度(例えば、メタ亜ヒ酸ナトリウムではおよそ2.1~2.3g/cm3、およびメタ亜ヒ酸カリウムでは約8.76g/cm3)を有する。
【0045】
APIの粒径と賦形剤の粒径に差があるので、組成物中におけるAPIの分離の可能性は高い。好ましい粒径のAPIを使用することは、改善された粉末の混合およびブレンドの均一性をもたらす、圧縮時に粉末の分離を最小限にする、または排除する、および組成物中の含有物に十分な均一性を達成するので有利であることが、当業者に理解される。
【0046】
一部の実施形態において、APIの粒径は約50~150ミクロンである。一部の実施形態において、APIの粒径は約70~120ミクロンである。一部の実施形態において、APIの粒径は約90~100ミクロンである。
【0047】
一部の実施形態において、APIはメタ亜ヒ酸ナトリウムである。
【0048】
一部の実施形態において、APIはメタ亜ヒ酸カリウムである。
【0049】
一部の実施形態において、本発明の医薬組成物の固体コアにおけるAPIの量は、固体コアの約0.1~5.0%w/w、好ましくは固体コアの約0.5~3.0%w/w、より好ましくは固体コアの約1.0~2.5%w/w、さらにより好ましくは固体コアの約1.5~2.0%w/w、および最も好ましくは固体コアの約1.6~1.8%w/w、例えば、固体コアの約1.65%w/w、約1.66%w/w、約1.67%w/w、約1.68%w/w、約1.69%w/w、約1.70%w/w、約1.71%w/w、約1.72%w/w、約1.73%w/w、約1.74%w/w、または約1.75%w/wである。
【0050】
一部の実施形態において、APIの粒径および薬学的に許容される賦形剤の粒径は類似している。有利なことに、類似した粒径を有するAPIおよび賦形剤の使用は、改善された粉末の混合およびブレンドの均一性をもたらすことができ、圧縮時に粉末の分離を最小限にする、または排除することができ、組成物中の含有物に十分な均一性を達成することができる。
【0051】
一部の実施形態において、APIは微粉化されている。微粉化によりAPIの粒径を低減することは、APIが低レベルで存在する場合、剤形(例えば、錠剤)におけるブレンドの均一性および含有物の均一性を改善できることが当業者に理解される。
【0052】
一部の実施形態において、APIは微粉化されていない。吸湿性のAPI(例えば、メタ亜ヒ酸ナトリウムおよびメタ亜ヒ酸カリウム)の微粉化は、より高い表面積および反応性のために分解する危険性を増大させうることが当業者に理解される。
【0053】
3.2 薬学的に許容される賦形剤
一態様において、メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムに加えて、本発明の医薬組成物の固体コアは、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化が最小限になるように選択される1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤を含む。
【0054】
一部の実施形態において、薬学的に許容される賦形剤は、室温で少なくとも約1か月、好ましくは少なくとも約2か月、より好ましくは少なくとも約3か月、さらにより好ましくは少なくとも約4か月、最も好ましくは少なくとも約6か月間保管した後、約10%w/w未満、好ましくは約5%w/w未満、より好ましくは約2%w/w未満、さらにより好ましくは約1%w/w未満、および最も好ましくは約0.5%w/w未満のメタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムがメタヒ酸ナトリウムまたはメタヒ酸カリウムに酸化されるように選択される。
【0055】
別の態様において、メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムに加えて、本発明の医薬組成物の固体コアは、以下の薬学的に許容される賦形剤:
(i)充填剤または希釈剤、
(ii)崩壊剤、
(iii)流動促進剤、
(iv)滑沢剤、および
(v)任意選択で結合剤
を含む。
【0056】
一部の賦形剤は、多重機能を有することが当業者に理解される。本発明の医薬組成物に含まれる賦形剤が多重機能を有する場合、医薬組成物はこれらの機能を有する賦形剤を含むことが考慮され、例えば、賦形剤が結合剤としても崩壊剤としても作用する場合、医薬組成物は結合剤および崩壊剤を含んでいると理解される。
【0057】
一般に、固体コア中の1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤は、メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムと適合性がある。好ましくは、固体コア中の薬学的に許容される賦形剤は、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化の可能性を最小限にするために、低い水分レベルまたは低い水分活性を有する。このように、好ましくは本発明の医薬組成物は、高い水分レベルまたは高い水分活性を有する賦形剤を含有しない(そのような賦形剤、例えば、金属イオン、特に、鉄のイオンを有する賦形剤は、酸化を触媒しうる)。しかし、いくらかの利用可能な水分が十分な圧縮のために必要であるので、本発明の医薬組成物にとってこのことの実用性には限界があることを当業者は理解する。
【0058】
一部の実施形態において、APIの粒径および薬学的に許容される賦形剤の粒径は類似している。有利なことに、類似した粒径を有するAPIおよび賦形剤の使用は、改善された粉末の混合およびブレンドの均一性をもたらすことができ、圧縮時に粉末の分離を最小限にする、または排除することができ、固体コア中の含有物に十分な均一性を達成することができる。
【0059】
一部の実施形態において、可能であれば、主な高密度型賦形剤は、メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムの密度と釣り合うように選択され(メタ亜ヒ酸ナトリウムは推定真密度のおよそ2.1~2.3g/cm3を有し、メタ亜ヒ酸カリウムは推定真密度のおよそ8.76g/cm3を有する)、典型的な錠剤賦形剤は、有機物質であり、およそ1.2~1.6g/cm3の密度を有する。
【0060】
充填剤または希釈剤は、例えば、リン酸二カルシウム無水物(dibasic calcium phosphate anhydrous)、部分アルファ化デンプン、ケイ化微晶質セルロース、微晶質セルロース、硫酸カルシウム二水和物、ラクトース、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、またはこれらの混合物から選択されうる。一部の実施形態において、充填剤または希釈剤は、リン酸二カルシウム無水物、部分アルファ化デンプン、またはこれらの混合物である。一部の実施形態において、充填剤または希釈剤は、リン酸二カルシウム無水物である。一部の実施形態において、充填剤または希釈剤は部分アルファ化デンプンである。一部の実施形態において、希釈剤は、圧縮性希釈剤、例えば、ケイ化微晶質セルロース、微晶質セルロース、または部分アルファ化デンプンであってもよい。
【0061】
充填剤または希釈剤は、固体コアの約5~95%w/wの量で医薬組成物の固体コアに存在しうる。一部の実施形態において、充填剤または希釈剤は、固体コアの約10~90%w/w、例えば、固体コアの約10%w/w、固体コアの約15%w/w、固体コアの約20%w/w、固体コアの約25%w/w、固体コアの約30%w/w、固体コアの約35%w/w、固体コアの約40%w/w、固体コアの約45%w/w、固体コアの約50%w/w、固体コアの約55%w/w、固体コアの約60%w/w、固体コアの約65%w/w、固体コアの約70%w/w、固体コアの約75%w/w、固体コアの約80%w/w、固体コアの約85%w/w、または固体コアの約90%w/wの量で医薬組成物の固体コアに存在する。
【0062】
崩壊剤は、例えば、L-ヒドロキシプロピルセルロース、部分アルファ化デンプン、クロスポビドン、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム(sodium starch glycolate)、およびアルギン酸から選択されうる。デンプングリコール酸ナトリウムおよびクロスポビドンは、超崩壊剤(super disintegrant)である。一部の実施形態において、崩壊剤は、L-ヒドロキシプロピルセルロース、部分アルファ化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、またはこれらの2つ以上の混合物である。一部の実施形態において、崩壊剤はL-ヒドロキシプロピルセルロースである。一部の実施形態において、崩壊剤は部分アルファ化デンプンである。一部の実施形態において、崩壊剤はデンプングリコール酸ナトリウムである。
【0063】
崩壊剤は、固体コアの約10~90%w/w、例えば固体コアの約10~50%w/wの量で医薬組成物の固体コアに存在しうる。一部の実施形態において、崩壊剤は、固体コアの約15~85%w/w、例えば、固体コアの約15%w/w、固体コアの約20%w/w、固体コアの約25%w/w、固体コアの約30%w/w、固体コアの約35%w/w、固体コアの約40%w/w、固体コアの約45%w/w、固体コアの約50%w/w、固体コアの約55%w/w、固体コアの約60%w/w、固体コアの約65%w/w、固体コアの約70%w/w、固体コアの約75%w/w、固体コアの約80%w/w、または固体コアの約85%w/wの量で医薬組成物の固体コアに存在する。
【0064】
流動促進剤は、例えば、コロイド状二酸化ケイ素およびタルクから選択されうる。一部の実施形態において、流動促進剤はコロイド状二酸化ケイ素である。一部の実施形態において、流動促進剤はタルクである。
【0065】
流動促進剤は、固体コアの約0.1~5%w/wの量で医薬組成物の固体コアに存在しうる。一部の実施形態において、流動促進剤は、固体コアの約0.3~4%w/w、例えば、固体コアの約0.3%w/w、固体コアの約0.4%w/w、固体コアの約0.5%w/w、固体コアの約0.6%w/w、固体コアの約0.7%w/w、固体コアの約0.8%w/w、固体コアの約0.9%w/w、固体コアの約1.0%w/w、固体コアの約1.1%w/w、固体コアの約1.2%w/w、固体コアの約1.3%w/w、固体コアの約1.4%w/w、固体コアの約1.5%w/w、固体コアの約1.6%w/w、固体コアの約1.7%w/w、固体コアの約1.8%w/w、固体コアの約1.9%w/w、固体コアの約2.0%w/w、固体コアの約2.1%w/w、固体コアの約2.2%w/w、固体コアの約2.3%w/w、固体コアの約2.4%w/w、固体コアの約2.5%w/w、固体コアの約2.6%w/w、固体コアの約2.7%w/w、固体コアの約2.8%w/w、固体コアの約2.9%w/w、固体コアの約3.0%w/w、固体コアの約3.1%w/w、固体コアの約3.2%w/w、固体コアの約3.3%w/w、固体コアの約3.4%w/w、固体コアの約3.5%w/w、固体コアの約3.6%w/w、固体コアの約3.7%w/w、固体コアの約3.8%w/w、固体コアの約3.9%w/w、または固体コアの約4.0%w/wの量で医薬組成物の固体コアに存在する。
【0066】
滑沢剤は、例えば、フマル酸ステアリルナトリウム(sodium stearyl fumarate)、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、およびシリカから選択されうる。一部の実施形態において、滑沢剤はフマル酸ステアリルナトリウムである。一部の実施形態において、滑沢剤はステアリン酸マグネシウムである。一部の実施形態において、滑沢剤はステアリン酸である。一部の実施形態において、滑沢剤はタルクである。一部の実施形態において、滑沢剤はシリカである。
【0067】
滑沢剤は、固体コアの約0.1~5%w/wの量で医薬組成物の固体コアに存在しうる。一部の実施形態において、滑沢剤は、固体コアの約0.3~4%w/w、例えば、固体コアの約0.3%w/w、固体コアの約0.4%w/w、固体コアの約0.5%w/w、固体コアの約0.6%w/w、固体コアの約0.7%w/w、固体コアの約0.8%w/w、固体コアの約0.9%w/w、固体コアの約1.0%w/w、固体コアの約1.1%w/w、固体コアの約1.2%w/w、固体コアの約1.3%w/w、固体コアの約1.4%w/w、固体コアの約1.5%w/w、固体コアの約1.6%w/w、固体コアの約1.7%w/w、固体コアの約1.8%w/w、固体コアの約1.9%w/w、固体コアの約2.0%w/w、固体コアの約2.1%w/w、固体コアの約2.2%w/w、固体コアの約2.3%w/w、固体コアの約2.4%w/w、固体コアの約2.5%w/w、固体コアの約2.6%w/w、固体コアの約2.7%w/w、固体コアの約2.8%w/w、固体コアの約2.9%w/w、固体コアの約3.0%w/w、固体コアの約3.1%w/w、固体コアの約3.2%w/w、固体コアの約3.3%w/w、固体コアの約3.4%w/w、固体コアの約3.5%w/w、固体コアの約3.6%w/w、固体コアの約3.7%w/w、固体コアの約3.8%w/w、固体コアの約3.9%w/w、または固体コアの約4.0%w/wの量で医薬組成物の固体コアに存在する。
【0068】
存在する場合、結合剤は、例えば、ケイ化微晶質セルロース、微晶質セルロース、部分アルファ化デンプン、L-ヒドロキシプロピルセルロース(低置換ヒドロキシプロピルセルロース)、ヒドロキシプロピルセルロース、コポビドン(copovidone)(ポリビニルピロリドン)、アルファ化トウモロコシ(maize)デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デンプン、アカシア、トウモロコシデンプン、およびゼラチンから選択されうる。一部の実施形態において、結合剤はL-ヒドロキシプロピルセルロース(低置換ヒドロキシプロピルセルロース)である。一部の実施形態において、結合剤は、L-ヒドロキシプロピルセルロース(低置換ヒドロキシプロピルセルロース)とヒドロキシプロピルセルロースとの混合物である。一部の実施形態において、結合剤は部分アルファ化デンプンである。
【0069】
結合剤は、固体コアの約0~30%w/wの量で医薬組成物の固体コアに存在しうる。一部の実施形態において、結合剤は、固体コアの約1~30%w/w、例えば固体コアの約5~25%w/wの量で医薬組成物の固体コアに存在する。例えば、結合剤は、固体コアの約約5%w/w、固体コアの約10%w/w、固体コアの約15%w/w、固体コアの約20%w/w、固体コアの約25%w/w、固体コアの約30%w/wの量で医薬組成物の固体コアに存在しうる。
【0070】
本発明の医薬組成物は、任意選択で酸化防止剤をコアに含んでもよい。酸化防止剤は、(a)酸化還元電位を低下させること、(b)酸素を補足すること、または(c)フリーラジカル反応を停止させること(フリーラジカル阻害剤として作用すること)によって、還元剤として機能する。機構(a)および(b)は、メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムからメタヒ酸ナトリムまたはメタヒ酸カリウムへの分解に最も関連性がある。有利なことに、酸化防止剤は、組成物中のAs(III)からAs(V)への酸化を低減または防止するように作用する。
【0071】
固形コアに使用されうる酸化防止剤の例には、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、塩酸システイン、アスコルビン酸、没食子酸プロピル、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、およびブチルヒドロキシアニソール(BHA)が含まれる。
【0072】
酸化防止剤は、固体コアの約0.01~0.2%w/w、例えば、0.01%w/w、0.02%w/w、0.03%w/w、0.04%w/w、0.05%w/w、0.06%w/w、0.07%w/w、0.08%w/w、0.09%w/w、0.10%w/w、0.11%w/w、0.12%w/w、0.13%w/w、0.14%w/w、0.15%w/w、0.16%w/w、0.17%w/w、0.18%w/w、0.19%w/w、または0.20%w/wの量で固体コアに存在しうる。
【0073】
当然のことながら、当業者は、固体コア中のAPI(メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウム)、賦形剤、および他の成分の量が、固体コアの100%を構成するように調整されることを理解する。
【0074】
有利なことに、本発明の医薬組成物の固体コアは、上記に記載された適切な賦形剤の使用によって、良好なブレンド均一性および含有物均一性を有する。
【0075】
一部の実施形態において、本発明の医薬組成物の固体コアは、以下のうちの任意の1つまたは複数を含まない:ケイ化微晶質セルロース、微晶質セルロース、硫酸カルシウム二水和物、コポビドン(ポリビニルピロリドン)、クロスポビドン、ステアリン酸、タルク、およびメタ重亜硫酸ナトリウム。
【0076】
3.3 腸溶性コーティング
本発明の医薬組成物は、腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティングを含む。腸溶性コーティングは、当該技術において公知の適切なコーティング技術を使用して塗布することができる。腸溶性コーティング材料は、水または適切な有機溶媒のいずれかに分散または溶解されうる。
【0077】
腸溶性コーティングポリマーとして、例えば、以下のうちの1つまたは複数を別々に、または組み合わせて使用することができる:アクリル酸およびそのエステルまたはメタクリル酸もしくはそのエステルのコポリマー、ポリソルベート、セルロースアセテートフタレートポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ポリビニルアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、カルボキシメチルエチルセルロース、シェラック、または他の適切な腸溶性コーティングポリマーの溶液または分散体。
【0078】
一部の実施形態において、腸溶性コーティングは、メタクリレートベースコーティングであり、例えば、メタクリル酸とアクリル酸エチルとのコポリマーを含むものである。いくつかの有用な生成物が市販されている。
【0079】
腸溶性コーティングポリマーの製品は、商標名EUDRAGIT(登録商標)でRohm GmbH & Co.,Darmstadt、Germanyから市販されており、L100、100-55、およびS100が含まれる。有用なEUDRAGIT(登録商標)製品の例には、EUDRAGIT L100-55、EUDRAGIT S100、およびEUDRAGIT L30D-55が含まれる。EUDRAGIT L100-55はポリ(メタクリル酸-co-アクリル酸エチル)(1:1)である。EUDRAGIT S100は、メタクリル酸-メタクリル酸メチルコポリマー(1:2)である。EUDRAGIT L30D-55は、十二指腸への標的化送達のためpH5.5以上で可溶性になるpH依存性ポリマーの水性分散体である。メタクリル酸コポリマーのEUDRAGIT L30D-55は、メタクリル酸とアクリル酸エチルの1:1比のコポリマーであり、式(C5H2O2・C4H6O2)xを有する。
【0080】
ColorconからのAcryl-EZE(登録商標)は、水性アクリル腸溶系であり、錠剤、顆粒剤、およびビーズ剤などの固体剤形への腸溶性フィルムコーティングの塗布のために水に分散性である。有用なAcryl-EZE(登録商標)製品の例には、Acryl-EZE II white(493Z180022)およびAcryl-EZE Green(93O11863)が含まれる。
【0081】
腸溶性コーティングは、薬学的に許容される可塑剤をさらに含有して、腸溶性コーティングの柔軟性および硬度などの望ましい機械的特性を得ることができる。そのような可塑剤は、例えば、トリアセチン、クエン酸エステル、フタル酸エステル、セバシン酸ジブチル、セチルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリソルベート、または他の可塑剤であるが、これらに限定されない。例えば、ステアリン酸マグネシウム、二酸化チタン、タルクなどの粘着防止剤(anti-tacking agent)、および他の添加剤も腸溶性コーティングに含まれてもよい。
【0082】
一部の実施形態において、腸溶性コーティングは、固体コアの約7~17%w/wの重量増加、例えば、固体コアの約8~14%w/wの重量増加をもたらす。一部の実施形態において、腸溶性コーティングは、約8%w/wの重量増加、約8.5%w/wの重量増加、約9%w/wの重量増加、約9.5%w/wの重量増加、約10%w/wの重量増加、約10.5%w/wの重量増加、約11%w/wの重量増加、約11.5%w/wの重量増加、約12%w/wの重量増加、約12.5%w/wの重量増加、約13%w/wの重量増加、約13.5%w/wの重量増加、または約14%w/wの重量増加をもたらす。一部の実施形態において、腸溶性コーティングは、固体コアの約12%w/wの重量増加をもたらす。
【0083】
一部の実施形態において、固体コアは、サブコーティング(sub-coating)に適していることが当該技術において公知のポリマーを使用して、腸溶性コーティングでコーティングする前にサブコーティングされてもよい。
【0084】
3.4 本発明の医薬組成物の形態
本発明の医薬組成物は、固体であり、腸溶性コーティングされており、経口投与に適しており、例えば、腸溶性コーティング錠剤または腸溶性コーティングカプセル剤である。
【0085】
一部の実施形態において、本発明の医薬組成物は、約5~8mmの直径を有する固体コアを有する腸溶性コーティング錠剤である。直径は、固体コアの最大幅の直径である。一部の実施形態において、固体コアの直径は約5.5~7.5mmである。一部の実施形態において、固体コアの直径は約6.0~7mm、例えば、約6mm、約6.5mm、または約7mmである。好ましくは、本発明の医薬組成物は、6.5mmの直径を有する固体コアを有する腸溶性コーティング錠剤である。より好ましくは、本発明の医薬組成物は、6.5mmの直径を有する固体コアを有し、メタ亜ヒ酸ナトリウムを含む、腸溶性コーティング錠剤である。
【0086】
一部の実施形態において、腸溶性コーティング錠剤の固体コアの厚さは、約2mm~6mm、例えば、約2mm~5mmでありうる。腸溶性コーティング錠剤の固体コアの厚さは、固体コアの深さであり、すなわち、固体コアが平面上に置かれたときに測定される固体コアの高さである。一部の実施形態において、腸溶性コーティング錠剤の固体コアの厚さは、約3mm~4.5mmである。一部の実施形態において、腸溶性コーティング錠剤の固体コアの厚さは、約3.1mm~4.2mm、例えば、約3.1mm、約3.2mm、約3.3mm、約3.4mm、約3.5mm、約3.6mm、約3.7mm、約3.8mm、約3.9mm、約4.0mm、約4.1mm、または約4.2mmである。好ましくは、腸溶性コーティング錠剤の固体コアの厚さは、約3.4mm、約3.5mm、約3.6mm、約3.7mm、約3.8mm、または約3.9mmである。
【0087】
一部の実施形態において、本発明の医薬組成物は、約8.0~16mmの長さを有する固体コアを有する腸溶性コーティングカプセル剤である。一部の実施形態において、固体コアの長は約8.5~15mmである。一部の実施形態において、固体コアの長さは、約8.5mm~14.5mm、例えば、約8.5mm、約9.0mm、約9.5mm、約10.0mm、約10.5mm、約11.0mm、約11.5mm、約12.0mm、約12.5mm、約13.0mm、約13.5mm、約14mm、または約14.5mmである。好ましくは、本発明の医薬組成物は、約14.3mmの長さを有する固体コアを有する腸溶性コーティングカプセル剤である。より好ましくは、本発明の医薬組成物は、約14.3mmの長さを有する固体コアを有し、メタ亜ヒ酸ナトリウムを含む、腸溶性コーティングカプセル剤である。
【0088】
一部の実施形態において、腸溶性コーティングカプセル剤の固体コアの厚さは、約3mm~8mm、例えば、約4.0mm~7.0mmでありうる。腸溶性コーティングカプセル剤の固体コアの厚さは、固体コアの深さであり、すなわち、固体コアが平面上に置かれたときに測定される固体コアの高さである。一部の実施形態において、固体コアの厚さは、約4.5~6.5mm、例えば、約4.5mm、約4.6mm、約4.7mm、約4.8mm、約4.9mm、約5.0mm、約5.1mm、約5.2mm、約5.3mm、約5.4mm、約5.5mm、約5.6mm、約5.7mm、約5.8mm、約5.9mm、約6.0mm、約6.1mm、約6.2mm、約6.3mm、約6.4mm、または約6.5mmである。好ましくは、腸溶性コーティングカプセル剤の固体コアの厚さは、約5.31mmである。
【0089】
一部の実施形態において、固体コアの硬度は、約50N~約200N、例えば、約50~約150N、または約70~約120Nである。一部の実施形態において、固体コアの硬度は、約80N~約115N、例えば、約85N、約90N、約95N、約100N、約105N、または約110Nである。一部の実施形態において、固体コアの硬度は、少なくとも約50N、少なくとも約55N、少なくとも約60N、少なくとも約65N、少なくとも約70N、少なくとも約75N、少なくとも約80N、少なくとも約85N、少なくとも約90N、少なくとも約95N、少なくとも約100N、少なくとも約105N、少なくとも約110N、少なくとも約115N、少なくとも約120N、少なくとも約125N、少なくとも約130N、少なくとも約135N、少なくとも約140N、少なくとも約145N、少なくとも約150N、少なくとも約155N、少なくとも約160N、少なくとも約165N、少なくとも約170N、少なくとも約175N、少なくとも約180N、少なくとも約185N、少なくとも約190N、少なくとも約195N、または約200Nである。好ましくは、固体コアの硬度は、少なくとも約85N、より好ましくは少なくとも約90N、さらにより好ましくは少なくとも約100N、最も好ましくは少なくとも約110Nである。典型的には、固体コアの硬度は約210Nを超えない。
【0090】
一部の実施形態において、固体コアの摩損度は、約0.5%未満、好ましくは約0.45%未満、より好ましくは約0.4%未満、さらにより好ましくは約0.35%未満、最も好ましくは約0.3%未満である。一部の実施形態において、固体コアの摩損度は約0.25%未満である。一部の実施形態において、固体コアの摩損度は約0.2%未満である。一部の実施形態において、固体コアの摩損度は約0.15%未満である。一部の実施形態において、固体コアの摩損度は約0.1%未満、例えば約0.08%である。
【0091】
一部の実施形態において、固体コアの質量は約50mg~250mgである。一部の実施形態において、固体コアの質量は約80mg~220mgである。一部の実施形態において、固体コアの質量は約100mg~200mgである。一部の実施形態において、固体コアの質量は約120mg~180mgである。一部の実施形態において、固体コアの質量は、約140mg~160mg、例えば、約140mg、約145mg、約150mg、約155mg、または約160mgである。好ましくは、固体コアの質量は150mgである。
【0092】
一部の実施形態において、本発明の医薬組成物は、以下から選択される固体コアを含む。
・メタ亜ヒ酸ナトリウム、リン酸二カルシウム無水物、L-ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、コロイド状二酸化ケイ素、およびフマル酸ステアリルナトリウムを含む、固体コア、
・メタ亜ヒ酸ナトリウム、リン酸二カルシウム無水物粉末、部分アルファ化デンプン、リン酸二カルシウム無水物、デンプングリコール酸ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、およびフマル酸ステアリルナトリウムを含む、固体コア、
・メタ亜ヒ酸ナトリウム、リン酸二カルシウム無水物粉末、リン酸二カルシウム無水物、L-ヒドロキシプロピルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、およびフマル酸ステアリルナトリウムを含む、固体コア、
・メタ亜ヒ酸ナトリウム、リン酸二カルシウム無水物、部分アルファ化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、およびフマル酸ステアリルナトリウムを含む、固体コア、ならびに
・メタ亜ヒ酸ナトリウム、リン酸二カルシウム無水物、ケイ化微晶質セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、およびフマル酸ステアリルナトリウムを含む、固体コア。
【0093】
一部の実施形態において、本発明の医薬組成物は、固体コアの1.67%w/wのメタ亜ヒ酸ナトリウムを含み、約6.5mmの固体コア直径、150mgの固体コア質量、および固体コアの約12%w/wを付加する腸溶性コーティングを有する、腸溶性コーティング錠剤である。
【0094】
一部の実施形態において、本発明の医薬組成物は、固体コアの1.67%w/wのメタ亜ヒ酸ナトリウムを含み、約6.5mmの固体コア直径、150mgの固体コア質量、および約0.2mmのコーティング厚を有する腸溶性コーティングを有する、腸溶性コーティング錠剤である。
【0095】
一部の実施形態において、本発明の医薬組成物を投与した後に、医薬組成物は以下の溶解特性を有する:45分間で75%以上、好ましくは30分間で75%以上。
【0096】
一部の実施形態において、小腸の中の本発明の医薬組成物の溶解およびAPIの放出は、急速に発生する、または長時間(例えば、0.5、0.75、1、2、3、4、5、または6時間、好ましくは2時間以内)にわたって発生する。
【0097】
一部の実施形態では、腸溶性コーティングが溶解すると、固体コアは、約10分未満、好ましくは約8分未満、より好ましくは約6分未満、さらにより好ましくは約5分未満、および最も好ましくは約4分未満で崩壊する。
【0098】
本発明の医薬組成物は、好ましくは単位剤形で提供される。単位剤形はパッケージ化された調合剤であってもよく、パッケージは医薬組成物の別個の量を含有し、例えば、パケット錠剤またはカプセル剤である。また、単位剤形は、それ自体が錠剤もしくはカプセル剤であってもよく、またはこれらのうちの任意の適切な数がパッケージ形態であってもよい。パッケージ形態は、例えば、金属またはプラスチックホイル、例えばブリスターパック、例えば、酸素不浸透性また低浸透性のAlu-Aluブリスターで構成されてもよい。パッケージ形態には、投与説明書が添付されていてもよい。
【0099】
一部の実施形態において、本発明の医薬組成物は、周囲温度または室温で少なくとも3か月間、好ましくは少なくとも6か月間、より好ましくは少なくとも1年間、最も好ましくは18~24か月間保管されうる。一部の実施形態において、本発明の医薬組成物は(例えば、約2~8℃で)冷蔵されうる。
【0100】
3.5 投与量
メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムの適切な投与量は、当業者によって容易に決定することができる。
【0101】
対象に投与されるメタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムの適切な投与量レベルは、一般に、1日あたり対象の体重の約0.01~0.8mg/kg、例えば、1日あたり対象の体重の約0.05~0.7mg/kg、1日あたり対象の体重の約0.1~0.6mg/kg、または1日あたり対象の体重の約0.2~0.5mg/kgであり、1日あたり単回または多回用量で投与することができる。
【0102】
例えば、患者(例えば、がん患者)に投与されるメタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムの適切な投与量レベルは、約2.0~30mg/日/人、例えば、約2.5~20.0mg/日/人または約2.5~17.5mg/日/人でありうる。好ましくは、投与されるメタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムの投与量レベルは、約5.0~12.5mg/日/人、より好ましくは約10.0~12.5mg/日/人、例えば、5.0mg/日/人、5.5mg/日/人、6.0mg/日/人、6.5mg/日/人、7.0mg/日/人、7.5mg/日/人、8.0mg/日/人、8.5mg/日/人、9.0mg/日/人、9.5mg/日/人、10.0mg/日/人、10.5mg/日/人、11.0mg/日/人、11.5mg/日/人、12.0mg/日/人、または12.5mg/日/人である。
【0103】
任意の特定の対象への投与量の特定の用量レベルおよび頻度は変わりうること、ならびに対象の年齢、体重、身体全体の健康状態、性別および食事、投与の様式および時間、排出速度、薬物の組合せ、および特定の状態の重症度を含む様々な要因によって左右されることが理解される。
【0104】
本発明の医薬組成物は、食前(例えば、30分前)、食中、または食後(例えば、30分後)に摂取されうる。好ましくは、本発明の医薬組成物は食事の直後に摂取される。
【0105】
2.5mgのメタ亜ヒ酸ナトリウム(SMA)を有する本発明の錠剤による投与レジメンの例を下記に記載する:
- 5.0mgのSMA摂取:朝食の直後に1錠、夕食の直後に1錠、
- 7.5mgのSMA摂取:朝食の直後に2錠、夕食の直後に1錠、
- 10.0mgのSMA摂取:朝食の直後に2錠、夕食の直後に2錠。
【0106】
3.6 適用
本発明の医薬組成物は、様々な疾患および状態を治療する臨床適用に有用である。
【0107】
本発明の医薬組成物は、例えば、以下の疾患および状態を治療するために使用することができる:
・固形悪性腫瘍、例えば、結腸腫瘍、胃の腫瘍、乳房腫瘍、卵巣腫瘍、前立腺腫瘍、および腎腫瘍(結腸腫瘍、乳房腫瘍、前立腺腫瘍、および腎腫瘍からなる群に属する固形悪性腫瘍は、メタ亜ヒ酸ナトリウムによる治療に対して特に感受性がある);参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2003/086424号パンフレットを参照すること;
・固形腫瘍(例えば、上皮組織、リンパ組織、結合組織、骨、または中枢神経系の固形腫瘍、例えば、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、神経膠芽種、または乏突起神経膠腫);骨転移;転移性新生物疾患(例えば、ホジキンリンパ腫、非ホジキンリンパ腫、濾胞性リンパ腫、びまん性リンパ腫、リンパ芽球性リンパ腫、大細胞型リンパ腫、または小細胞型リンパ腫を含むリンパ組織のがん);原発性または転移性肺腫瘍;前立腺、膀胱、腎臓および精巣のがんなどの泌尿生殖器がん;白血病(例えば、急性前骨髄球性白血病、急性骨髄性白血病、および急性リンパ芽球性白血病);参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2006/121280号パンフレットを参照すること;
・疼痛(がん性疼痛および非がん関連疼痛、例えば、内臓痛、手術後また周術期疼痛(peri-surgical pain)、中枢性疼痛、慢性疼痛、神経障害性疼痛、脊椎痛、感染症に関連する疼痛、外科手術手技に関連する疼痛、頭痛、熱傷、アンギナ、ヘルペス神経痛、歯の状態、糖尿病性神経障害、線維筋痛症、NSAID耐性状態、身体表現性障害、膀胱炎、筋肉傷害、月経困難症、変形性関節症、および卒中を含む);炎症(非がん関連炎症、例えば、喘息、肺疾患、自己免疫性疾患、関節炎、全身性エリテマトーデス、多発性硬化症、クローン病、潰瘍性大腸炎、慢性閉塞性肺、およびI型糖尿病に関連するものを含む)、自己免疫性障害および免疫障害(例えば、組織拒絶反応または臓器拒絶反応);糖尿病性網膜症;糖尿病性血管障害;糖尿病性神経痛;膵島炎に関連する症状、潰瘍性大腸炎;参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2008/097824号パンフレットを参照すること;
・がん、長いテロメアを有する染色体を含有するがん細胞に関連するがん(例えば、非小細胞肺がんなどの肺がん、および前立腺がん)が含まれる;参照により本明細書に組み込まれる国際公開第2009/120697号パンフレットを参照すること;
・血液のがん、転移性がん、がん性疼痛、または慢性疼痛。
【0108】
3.7 他の薬剤を伴う投与
一部の実施形態において、本発明の医薬組成物は1つまたは複数の他の薬剤と組み合わせて使用することができる。
【0109】
例えば、本発明の医薬組成物は、他の治療剤、例えば、鎮痛薬、麻酔薬、抗狭心症薬、抗真菌薬、抗生物質、抗がん薬(例えば、非ヒ素抗がん剤、例えば、マイトマイシンC、シスプラチン、パクリタキセル、およびドセタキセル)、抗炎症薬(例えば、イブプロフェンおよびインドメタシン)、駆虫薬、抗うつ薬、解毒薬、制吐薬、抗ヒスタミン薬、降圧薬、抗マラリア薬、微小管阻害剤(例えば、コルヒチンまたはビンカアルカロイド)、抗片頭痛剤、抗菌薬、抗精神病薬(antiphsychotics)、解熱薬、防腐薬、抗シグナル伝達剤(anti-signalling agent)(例えば、プロテインキナーゼC阻害剤または細胞内カルシウム動員阻害剤)、抗関節炎薬、抗トロンビン剤、抗結核薬、鎮咳薬、抗ウイルス薬、食欲抑制薬、心臓作用薬(cardioactive drug)、薬物依存症薬(chemical dependency drug)、瀉下薬、化学療法剤、冠血管、脳血管または末梢血管拡張薬、避妊剤、抑制薬、利尿薬、去痰薬、増殖因子、ホルモン剤、睡眠薬、免疫抑制剤、麻薬拮抗薬、副交感神経様作用薬、鎮静薬、刺激薬、交感神経様作用物質、毒素(例えば、コレラ毒素)、精神安定剤、および尿路感染症薬と共に投与することができる。
【0110】
本発明の医薬組成物と1つまたは複数の他の薬剤との組合せ投与は、同時、順次、または別個の投与でありうることが理解される。
【0111】
4.本発明の医薬組成物の製造方法
第3の態様において、本発明は、第1の態様の医薬組成物を製造する方法であって、以下のステップ:
(a)メタ亜ヒ酸ナトリウムおよびメタ亜ヒ酸カリウムから選択される医薬活性成分(API)を、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤とブレンドして、粉末ブレンドを形成するステップであって、1つまたは複数の薬学的に許容される賦形剤が、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化が最小限になるように選択される、ステップ、
(b)ステップ(a)で形成された粉末ブレンドを圧縮して、固体コアを形成するステップ、
および
(c)固体コアを、腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティングでコーティングするステップ、を含み、
腸溶性コーティングの重量パーセントが、医薬組成物の総重量に対して約6%w/w~約20%w/wであり、コーティング厚が、医薬組成物の厚さの約6.5%~約15%である、方法を提供する。
【0112】
第4の態様において、本発明は、第2の態様の医薬組成物を製造する方法であって、以下のステップ:
(a)メタ亜ヒ酸ナトリウムおよびメタ亜ヒ酸カリウムから選択される医薬活性成分(API)を、以下の薬学的に許容される賦形剤:
(i)約5~95%w/wの範囲の充填剤または希釈剤、
(ii)約10~90%w/wの範囲の崩壊剤、
(iii)約0.1~5%w/wの範囲の流動促進剤、
(iv)約0.1~5%w/wの範囲の滑沢剤、および
(v)任意選択で0~約30%w/wの範囲の結合剤
とブレンドして、粉末ブレンドを形成するステップ、
(b)ステップ(a)で形成された粉末ブレンドを圧縮して、固体コアを形成するステップ、
および
(c)固体コアを、腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティングでコーティングするステップ、を含み、
薬学的に許容される賦形剤が、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化が最小限になるように選択され、
腸溶性コーティングの重量パーセントが、医薬組成物の総重量に対して約6%w/w~約20%w/wであり、
コーティング厚が、医薬組成物の厚さの約6.5%~約15%である、方法を提供する。
【0113】
本発明の方法の一部の実施形態において、固体コアの調製は、水または溶媒の添加を伴わず、すなわち、水または溶媒は、固体コアの調製の最中に添加されない。このように、一部の実施形態において、上記に記載された第3および第4の態様のブレンドステップ(a)は、水または溶媒を用いることなく実施され、上記に記載された第3および第4の態様の圧縮ステップは、水または溶媒を用いることなく実施される。
【0114】
本発明の医薬組成物は、慣用の機器を使用して当該技術において公知の技術によって製造することができる。
【0115】
一般に、本発明の医薬組成物は、組成物の成分(APIおよび賦形剤)をブレンドして、ブレンド粉末を形成することによって調製することができる。APIの濃度は非常に低いことがあるので、2または3段階のブレンド過程(「APIプレミックス」および「メインミックス」を利用する)を利用して、ブレンド均一性を改善することができる。ブレンド時間は、成分によって変わりうる。滑沢剤を他の成分と同時にメインミックスに添加することができる、または後の別個のステップで添加して、過剰潤滑による複雑な問題(例えば、錠剤硬度の低減または溶解の問題)の可能性を避けることができる。一般に、ブレンドステップは、水または溶媒を用いることなく実施され、すなわち、水または溶媒はブレンドステップの最中に添加されない。ブレンドした後、ブレンド粉末を圧縮して、固体コアを形成する。一般に、圧縮ステップは、水または溶媒を用いることなく実施され、すなわち、水または溶媒は圧縮ステップの最中に添加されない。次いで固体コアを腸溶性ポリマーでコーティングする。
【0116】
したがって、本発明の方法の一部の実施形態において、ブレンドステップ(ステップ(a))が、2つのステップ:API(好ましくはスクリーニング/篩分けされている)を充填剤(および任意選択で酸化防止剤)の一部分とブレンドして、APIプレミックスを形成することを含む、第1のステップ;ならびに流動促進剤(好ましくはスクリーニング/篩分けされている)、崩壊剤、滑沢剤、および任意選択で結合剤をAPIプレミックスとブレンドすることを含む、第2のステップを含む。一部の実施形態において、ブレンドステップは、水または溶媒の使用を用いず、すなわち、水または溶媒はブレンドステップの最中に添加されない。
【0117】
本発明の方法の一部の実施形態において、ブレンドステップ(ステップ(a))は、以下の3つのステップ:API(好ましくはスクリーニング/篩分けされている)を充填剤(および任意選択で酸化防止剤)の一部分とブレンドして、APIプレミックスを形成することを含む、第1のステップ;流動促進剤(好ましくはスクリーニング/篩分けされている)、崩壊剤、および任意選択で結合剤をAPIプレミックスとブレンドして、メインブレンドを形成することを含む、第2のステップ;および滑沢剤(好ましくはメインブレンドの一部分と同時スクリーニング(co-screened)されている)をメインブレンドに加え、次いで得られた混合物をブレンドすることを含む、第3のステップを含む。一部の実施形態において、ブレンドステップは、水または溶媒の使用を用いず、すなわち、水または溶媒はブレンドステップの最中に添加されない。
【0118】
3段階ブレンドステップを利用する典型的な調製方法が下記にさらに詳細に記載される。典型的に、3段階ブレンドステップは水または溶媒を利用せず、すなわち、水または溶媒は3段階ブレンドステップの最中に添加されない。
【0119】
APIは、最初に篩(例えば、ハンドスクリーニング(hand screen))を介してスクリーニングされる。APIを含有するプレミックス(「APIプレミックス」)は、スクリーニングされたAPIを充填剤の一部分とブレンドすることによって調製される。酸化防止剤が成分のうちの1つである場合、酸化防止剤をAPIプレミックスにブレンドして、酸化防止剤とAPIの十分な混合を確実にすることができる。
【0120】
流動促進剤を篩でスクリーニングして、脱凝集させる。次いで、滑沢剤を除いて、篩分けされた流動促進剤を含む他のすべての成分を加え、APIプレミックスを粉末塊の真ん中に挟み込む。得られた混合物(「メインミックス」)をブレンドして、ブレンド粉末(「メインブレンド」)を形成する。
【0121】
滑沢剤を少量のメインブレンドと同時スクリーニングし、次いで同時スクリーニング混合物をメインブレンドに加える。この潤滑ステップは、過剰潤滑による複雑な問題(例えば、錠剤硬度の低減または溶解の問題)の可能性を避けるために別個に行ってもよい。
【0122】
得られた混合物を混合し、それによって粉末ブレンドを形成する。ブレンドした後、ブレンド粉末を圧縮して、固体コアを形成する。
【0123】
一部の実施形態において、固体コアの硬度は、約50N~約200N、例えば、約50~約150N、または約70~約120Nである。典型的には、標的硬度レベルは、少なくとも約80N、好ましくは少なくとも約85N、より好ましくは少なくとも約90N、および最も好ましくは少なくとも約100Nである。一部の実施形態において、固体コアの硬度は少なくとも約110Nである。
【0124】
一部の実施形態において、固体コアの硬度は、約80N~約115N、例えば、約85N、約90N、約95N、約100N、約105N、または約110Nである。一部の実施形態において、固体コアの硬度は、少なくとも約50N、少なくとも約55N、少なくとも約60N、少なくとも約65N、少なくとも約70N、少なくとも約75N、少なくとも約80N、少なくとも約85N、少なくとも約90N、少なくとも約95N、少なくとも約100N、少なくとも約105N、少なくとも約110N、少なくとも約115N、少なくとも約120N、少なくとも約125N、少なくとも約130N、少なくとも約135N、少なくとも約140N、少なくとも約145N、少なくとも約150N、少なくとも約155N、少なくとも約160N、少なくとも約165N、少なくとも約170N、少なくとも約175N、少なくとも約180N、少なくとも約185N、少なくとも約190N、少なくとも約195N、または約200Nである。好ましくは、固体コアの硬度は、少なくとも約85N、より好ましくは少なくとも約90N、さらにより好ましくは少なくとも約100N、および最も好ましくは少なくとも約110Nである。典型的には、固体コアの硬度は約210Nを超えない。
【0125】
固体コアは、サブコーティングに適していることが当該技術において公知であるポリマーを使用して、腸溶性コーティングでコーティングする前にサブコーティングされてもよい。
【0126】
固体コアは、例えば、腸溶性コーティング分散体をスプレーコーティングすることによって、腸溶性コーティングでコーティングされる。腸溶性コーティング分散体は、例えば、腸溶性コーティングポリマーを脱イオン水または有機溶媒に分散し、分散体を混合し、次いで篩を通してスクリーニングすることによって調製されうる。固体コア上の腸溶性コーティングの望ましい量または厚さは、当該技術において公知の標準的な方法によって、例えば、腸溶性コーティング分散体のスプレー速度を制御すること、固体コアがコーティングパンに置かれる時間の長さを制御すること、流入温度を制御すること、ドラム速度を制御すること、または噴霧化空気圧にする(atomising air pressure)ことによって達成される。
【実施例】
【0127】
本発明は以下の非限定的な実施例を参照して下記にさらに記載される。
【0128】
材料および方法
下記に例示される医薬組成物の製造に使用されるすべての材料は、商業供給者から購入した。
【0129】
メタ亜ヒ酸ナトリウム(「SMA」)は、Sigma Aldrich Fine Chemicalsから得た。供給されたとき、SMA原薬は、非常に高い純度(>98%のAs(III))および最小レベルのAs(V)を示した。下記の表1は、供給されたSMA原薬の特性を提示する。
【0130】
【0131】
下記の表2に列挙されている材料を使用して、2.5mgのメタ亜ヒ酸ナトリウム(「SMA」)腸溶性コーティング錠剤を調製した。可能であれば、高密度型の主要賦形剤を選択して、SMA(およそ2.1~2.3g/cm-3の推定真密度を有する無機物質であり、大部分の賦形剤と比較して非常に密度が高い)の密度と釣り合うようにした。
【0132】
【0133】
下記の表3に列挙されている機器を、SMA腸溶性コーティング組成物の調製および分析に使用した。
【0134】
【0135】
[製造実施例1]
医薬活性成分(API)としてメタ亜ヒ酸ナトリウム(「SMA」)を含む製剤化実施例1.1~1.4の腸溶性コーティング錠剤を、下記に記載される手順に従って調製した。
【0136】
一般に、下記に詳細に記載されるように、メタ亜ヒ酸ナトリウム(「SMA」)および賦形剤を一緒にブレンドして(水または溶媒を伴わない3段階ブレンド過程によって)、粉末ブレンドを形成した。次いで粉末ブレンドを圧縮して、錠剤の固体コアを形成した。次いで錠剤の固体コアを腸溶性コーティングでコーティングした。
【0137】
ブレンド
下記に記載されるブレンド過程を成分のブレンドに使用した。
【0138】
組成物のAPIおよび他の成分を分配し、計量した。APIの濃度は非常に低かったので、3段階のブレンド過程(「APIプレミックス」および「メインミックス」を利用する)を、ブレンド均一性の改善のために利用した。
【0139】
APIを200μmの篩を通してスクリーニングした(ハンドスクリーニング)。篩分け時間は5~8分の間であった。
【0140】
APIを含有するプレミックス(「APIプレミックス」)は、スクリーニングしたAPIを、数グラム(500gバッチサイズでは20g、および700gバッチサイズでは30g)の充填剤と、適切な容器(500gバッチサイズでは100mlの容器、および700gのバッチサイズでは150ml)において、Turblaブレンダーにより49rpmで10分間ブレンドすることによって調製した。
【0141】
流動促進剤(コロイド状二酸化ケイ素)を500μmの篩を通してスクリーニングして、脱凝集した。次いで、滑沢剤(フマル酸ステアリルナトリウム)を除いて、篩分けされた流動促進剤を含む分配した他のすべての成分を2LのガラスTurbulaジャーに加え、APIプレミックスを粉末塊の真ん中に挟み込んだ。
【0142】
得られた混合物(「メインミックス」)を、Turbulaブレンダーを使用して49rpmで約10~約20分間ブレンドして、ブレンド粉末(「メインブレンド」)を形成した。
【0143】
滑沢剤(フマル酸ステアリルナトリウム)を500μmの篩の使用して少量のメインブレンドと同時スクリーニングし、次いで同時スクリーニングした混合物をメインブレンドに加えた。この潤滑ステップは、過剰潤滑による複雑な問題(例えば、錠剤硬度の低減または溶解の問題)の可能性を避けるために別個に行った。
【0144】
得られた混合物をTurbulaブレンダー中で49rpmで2分間混合し、それによって粉末ブレンドを形成した。粉末ブレンドを流れ特性について特徴決定した。
【0145】
圧縮
粉末ブレンドを、6.5mmの垂直凹面(NCCP)成形型を使用して、Manesty F3シングルパンチ錠剤プレスにより標的錠剤重量の150mgに圧縮した。Manesty F3は圧縮力のために単に汎用ユニット(AU)のみを有し、加えた力を直接測定することが不可能である。標的硬度レベルは90Nを超えていた。
【0146】
腸溶性コーティング
20%w/wの固形分の腸溶性コーティング分散体は、Acryl-EZE II white(493Z180022)を脱イオン水に分散することによって調製した。分散体は、パドル撹拌機を使用して、使用前に45分間およびコーティング過程の全体を通して撹拌した。分散体は、使用する前に250μmの篩を通してスクリーニングした。
【0147】
15”コーティングパン(Thai Coater)を平衡にして、錠剤の固体コアを投入する前に、点温度を設定した。バッチサイズが小さいので、「増量不活性物(bulking inerts)」をAPI固体コアに加えて、コーティングパンの装填要件を満たした。錠剤の固体コアを、コーティングする前に、乾燥パンにおいて10分間平衡にした。同じ温度および空気流を、加熱、コーティングおよび乾燥段階に使用した。コーティングした錠剤をコーティング後にパンで10分間乾燥した。試料を、8、10および12%w/wの重量増加の後に収集した。
【0148】
溶解試験
溶解試験は、500mLの媒質およびUSP Method 2(パドル)を使用し、最初にパドル速度の100rpmで実施した。6個の腸溶性コーティング錠剤の単一セット(n=6)を検査した。溶解媒質の試料を酸の中に2時間入れた後に引き出し、メタ亜ヒ酸ナトリウムのレベルを決定して、胃液への抵抗性を評価した。媒質をpH6.8のリン酸緩衝液に取り換えて、試料を15分の間隔で引き抜いて、溶解プロファイルを生成した。
【0149】
この方法は、腸溶性剤形の薬局方の方法(EP.2.9.3およびUSP<711>)に基づき、下記の表4に示される。
【0150】
【0151】
[製剤化実施例1.1]
医薬活性成分(API)としてメタ亜ヒ酸ナトリウム(「SMA」)を含む固体医薬組成物(P63)を、上記の製造実施例1に記載された方法を使用して調製した。
【0152】
組成物は700gスケールで製造した。ブレンド均一性および含有物均一性試料を収集して、主要ブレンド時間の20分後の均質性を評価した。
【0153】
下記の表5は、2.53mgのメタ亜ヒ酸ナトリウムを含む錠剤の固体コア(コーティングステップの前)の組成を提示する。(下記の表5.1は、2.50mgのメタ亜ヒ酸ナトリウムを含む錠剤の固体コア(コーティングステップの前)の可能な別の組成を提示する。)
【0154】
【0155】
ブレンドステップの後、粉末ブレンドは、Carr指数(29.3%)で示されるように良好な流れ特性を実証した。圧縮前の粉末ブレンドは以下の特性を有した;
・ゆるみ密度(aerated density):0.64g/cm3
・固め密度(tapped density):0.91g/cm3
・Carr指数:29.3%
・Hausner比:1.30
【0156】
粉末ブレンドは、非常に良好に圧縮され、重量のばらつき、および/または目に見える分離は、実行の全体にわたって観察されなかった。高い錠剤硬度(104.8N)および低い摩損度(0.08%)が達成され、崩壊時間(34秒)は、比較的素早かった。錠剤の固体コアの平均厚さは3.63mmであった。
【0157】
ブレンド均一性試料を20分間のブレンドの後に取り出し、含有量均一性試料を、圧縮実行の開始時、中間、および終了時に収集した。ブレンド均一性の結果は優れた均質性を示し、相対標準偏差(RSD)%値は1.3であった。圧縮実行の際(開始時、中間、および終了時)の錠剤の固体コアの含有量均一性は、良好な均質性を示し、最大許容値(AV値)の<7.4を達成した(AV値の<15が許容される)。
【0158】
圧縮ステップの後、錠剤の固体コアをAcryl-EZE II white(493Z180022)腸溶性コーティングポリマー系でコーティングし、製造実施例1に記載されたように調製した。コーティングパラメーターを下記の表6に示す。
【0159】
【0160】
腸溶性コーティング錠剤は許容される溶解プロファイルを示した(500mlの媒質、パドル速度の100rpm)。120分後、組成物は酸性媒質中(pH1.0)において無傷であり、0%のAPIを放出した。pH6.8で135分後、91%のAPIを放出した。pH6.8で150分後、98%のAPIを放出した。pH6.8で165分後、100%のAPIを放出した。
【0161】
腸溶性コーティング錠剤は、十分な胃液抵抗性を実証し、腸溶性剤形の45分間で75%以上の放出という暫定提案仕様(proposed preliminary specification)に合致した。
【0162】
下記の表5.1は、2.50mgのメタ亜ヒ酸ナトリウムを含む錠剤の固体コア(コーティングステップの前)の可能な別の組成を提示する。表5.1に記載される構成成分を有する固体コアは、表5に記載された構成成分を有する固体コアについて上記に記載された方法と類似した方法で調製することができる。
【0163】
【0164】
[製剤化実施例1.2]
医薬活性成分(API)としてメタ亜ヒ酸ナトリウム(「SMA」)を含む固体医薬組成物(P23)を、上記の製造実施例1に記載された方法を使用して調製した。
【0165】
組成物は、500gスケールで製造した。ブレンド均一性試料をメインブレンド時間の10分、15分、および20分後に収集した。ブレンドを圧縮して、錠剤の固体コアを形成し、次いで錠剤の固体コアをコーティングした。
【0166】
下記の表7は、2.50mgのメタ亜ヒ酸ナトリウムを含む錠剤の固体コア(コーティングステップの前)の組成を提示する。
【0167】
【0168】
ブレンドステップの後、粉末ブレンドは、Carr指数(26.37%)で示されるように良好な流れ特性を実証した。圧縮前の粉末ブレンドは以下の特性を有した:
・ゆるみ密度:0.67g/cm3
・固め密度:0.91g/cm3
・Carr指数:26.37%
・Hausner比:1.36
・安息角:24.32°
【0169】
ブレンド均一性試料をメインブレンド時間の10分、15分、および20分間ブレンドした後に収集した。組成物は、20分のブレンド時間で良好な均質性を示した。
【0170】
圧縮は、6.5mmNCCPツールを使用してManesty F3シングルパンチ機で実施した。固体コアの平均硬度は94.3Nであり、平均厚さは3.62mmであり、摩損度は0.33%であり、崩壊時間は39秒であった。
【0171】
固体コアの重量は、圧縮を実行した全体を通して一定しており、許容される固体コアが生成された。目に見える分離は観察されなかった。試料(10個の固体コアを2通り)を圧縮実行の開始時、中間、および終了時に収集し、含有量均一性の試験に移した。
【0172】
圧縮ステップの後、錠剤の固体コアをAcryl-EZE II white(493Z180022)腸溶性コーティングポリマー系でコーティングし、製造実施例1に記載されたように調製し、試料を8、10、および12%w/wの重量増加後に収集した。コーティングパラメーターを下記の表8に示す。
【0173】
【0174】
8%、10%および12%w/wの重量増加を有する腸溶性コーティング錠剤に溶解試験(500mlの溶解媒質、パドル速度の75rpm)を行って、腸溶性コーティングの適切なレベルを特定した。溶解結果を下記の表9に表す。
【0175】
【0176】
腸溶性コーティング錠剤は、120分後に酸性媒質中において無傷であった。腸溶性コーティング錠剤は、十分な胃液抵抗性を実証し、腸溶性剤形の45分間で75%以上の放出という暫定提案仕様に合致した。
【0177】
溶解結果に基づいて、12%w/wは最適のコーティング重量増加であることが見出された。
【0178】
[製剤化実施例1.3]
医薬活性成分(API)としてメタ亜ヒ酸ナトリウム(「SMA」)を含む固体医薬組成物(P31)を、上記の製造実施例1に記載された方法を使用して調製した。
【0179】
組成物は、500gスケールで製造した。ブレンド均一性試料をメインブレンド時間の10分、15分、および20分後に収集した。ブレンドを圧縮して、錠剤の固体コアを形成し、次いで錠剤の固体コアをコーティングした。結合剤および崩壊剤として作用するので、L-ヒドロキシプロピルセルロース(L-HPC、低置換ヒドロキシプロピルセルロースLH-B1グレード)を使用した。L-HPCは水に不溶性なので、これによって硬質錠剤を得ることが予想された。
【0180】
下記の表10は、2.50mgのメタ亜ヒ酸ナトリウムを含む錠剤の固体コア(コーティングステップの前)の組成を提示する。
【0181】
【0182】
ブレンドステップの後、粉末ブレンドは、Carr指数(23.68%)で示されるように良好な流れ特性を実証した。圧縮前の粉末ブレンドは以下の特性を有した:
・ゆるみ密度:0.58g/cm3
・固め密度:0.76g/cm3
・Carr指数:23.68%
・Hausner比:1.31
・安息角:27.96°
【0183】
ブレンド均一性試料をメインブレンド時間の10分、15分、および20分でブレンドした後に収集した。組成物は、20分のブレンド時間で良好な均質性を示した。
【0184】
圧縮は、6.5mmNCCPツールを使用してManesty F3シングルパンチ機で実施した。固体コアの平均硬度は104.3Nであり、平均厚さは3.52mmであり、摩損度は0.23%であり、崩壊時間は30秒であった。
【0185】
固体コアの重量は、圧縮を実行した全体を通して一定しており、許容される固体コアが生成された。目に見える分離は観察されなかった。試料(10個の固体コアを2連)を圧縮実行の開始時、中間、および終了時に収集し、含有量均一性の試験に移した。
【0186】
圧縮ステップの後、錠剤の固体コアをAcryl-EZE II white(493Z180022)腸溶性コーティングポリマー系でコーティングし、製造実施例1に記載されたように調製し、試料を8、10、および12%w/wの重量増加後に収集した。コーティングパラメーターを下記の表11に示す。
【0187】
【0188】
8%、10%および12%w/wの重量増加を有する腸溶性コーティング錠剤に溶解試験(500mlの溶解媒質、パドル速度の75rpm)を行って、腸溶性コーティングの適切なレベルを特定した。溶解結果を下記の表12に表す。
【0189】
【0190】
8%w/w重量増加腸溶性コーティング錠剤は、酸抵抗性試験に不合格であった。10%w/w重量増加腸溶性コーティング錠剤および12%w/w重量増加腸溶性コーティング錠剤は、十分な胃液抵抗性を実証し、腸溶性剤形の45分間で75%以上の放出という暫定提案仕様に合致した。
【0191】
溶解結果に基づいて、12%w/wは最適のコーティング重量増加であることが見出された。
【0192】
[製剤化実施例1.4]
医薬活性成分(API)としてメタ亜ヒ酸ナトリウム(「SMA」)を含む固体医薬組成物(P66)を、上記の製造実施例1に記載された方法を使用して調製した。
【0193】
組成物は700gスケールで製造した。ブレンド均一性および含有物均一性試料を収集して、主要ブレンド時間の20分後の均質性を評価した。
【0194】
下記の表13は、2.53mgのメタ亜ヒ酸ナトリウムを含む錠剤の固体コア(コーティングステップの前)の組成を提示する。
【0195】
【0196】
ブレンドステップの後、粉末ブレンドは、Carr指数(25.74%)で示されるように良好な流れ特性を実証した。圧縮前の粉末ブレンドは以下の特性を有した:
・ゆるみ密度:0.75g/cm3
・固め密度:1.01g/cm3
・Carr指数:25.74%
・Hausner比:1.35
【0197】
粉末ブレンドは、非常に良好に圧縮され、重量のばらつき、および/または目に見える分離は、実行の全体にわたって観察されなかった。高い固体コア硬度(87.4N)および低い摩損度(0.11%)が達成され、崩壊時間(2分52秒)は、比較的素早いものであった。固体コアの平均厚さは3.66mmであった。
【0198】
ブレンド均一性試料を20分間のブレンドの後に取り出し、含有量均一性試料を、圧縮実行の開始時、中間、および終了時に収集した。ブレンド均一性の結果は優れた均質性を示し、相対標準偏差(RSD)%値は2.1であった。圧縮実行の際(開始時、中間、および終了時)の固体コアの含有量均一性は、良好な均質性を示し、最大許容値(AV値)の<6.3を達成した(AV値の<15が許容される)。
【0199】
圧縮ステップの後、錠剤の固体コアをAcryl-EZE II white(493Z180022)腸溶性コーティングポリマー系でコーティングし、製造実施例1に記載されたように調製した。コーティングパラメーターを下記の表14に示す。
【0200】
【0201】
腸溶性コーティング錠剤は許容される溶解プロファイルを示した(500mlの媒質、パドル速度の100rpm)。120分後、組成物は酸性媒質中(pH1.0)において無傷であり、0%のAPIを放出した。pH6.8で135分後、21%のAPIを放出した。pH6.8で150分後、86%のAPIを放出した。pH6.8で165分後、96%のAPIを放出した。pH6.8で195分後、98%のAPIを放出した。
【0202】
腸溶性コーティング錠剤は、十分な胃液抵抗性を実証し、腸溶性剤形の45分間で75%以上の放出という暫定提案仕様に合致した。
【0203】
[製造実施例2]
下記の表15は、医薬活性成分(API)として2.5mgのメタ亜ヒ酸ナトリウムを含む腸溶性コーティング錠剤の組成を提示する。腸溶性コーティング錠剤は下記に記載される方法を使用して調製した。
【0204】
【0205】
一般に、下記に詳細に記載されるように、メタ亜ヒ酸ナトリウム(「SMA」)および賦形剤を一緒にブレンドして(水または溶媒を伴わない2段階ブレンド過程によって)、粉末ブレンドを形成した。次いで粉末ブレンドを圧縮して、錠剤の固体コアを形成した。次いで錠剤の固体コアを腸溶性コーティングでコーティングした。
【0206】
ブレンド
下記に記載されるブレンド過程を成分のブレンドに使用した。
【0207】
組成物のAPIおよび他の成分を分配し、計量した。APIの濃度は非常に低かったので、2段階のブレンド過程(「APIプレミックス」および「メインミックス」を利用する)を、ブレンド均一性の改善のために利用した。
【0208】
APIを106μmの篩を通してスクリーニングした(篩分け時間は約5~8分であった)。
【0209】
リン酸二カルシウム(calcium phosphate dibasic)の一部分を、篩分けしたAPIに加え、得られた混合物を30分間ブレンドして、「APIプレミックス」をもたらした。
【0210】
次いでAPIプレミックスを残りのリン酸二カルシウム(calcium phosphate dibasic)、ならびに他の賦形剤(ケイ化微晶質セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、およびフマル酸ステアリルナトリウム)とブレンドして、「メインミックス」をもたらした。メインミックスを増圧器バーで4分間ブレンドして、粉末ブレンドをもたらした。
【0211】
圧縮
粉末ブレンドを、0.25インチ成形型を使用してKey International錠剤機により標的錠剤重量の150mg±5%(142.5~157.5mgの範囲)に圧縮した。固体コアを除塵した(de-dust)。
【0212】
最終固体コアは、有意な摩損率を示さず(0.00%)、硬度は156.9N(16kp)であった。
【0213】
腸溶性コーティング
25%w/wの固形分の腸溶性コーティング分散体は、Acryl-EZE green粉末を脱イオン水に分散することによって調製した。分散体を約30分間(均質になるまで)撹拌した。
【0214】
除塵した固体コアに分散体を約10~12%w/wの重量増加でスプレーコーティング(350g/分)した。パンの速度は約6~8rpmであった。コーティング錠剤をコーティング後に乾燥した。
【0215】
任意の従来技術の出版物が本明細書において参照される場合、そのような参考文献は、出版物がオーストラリアまたは任意のその他の国において当該技術の共通する一般知識の一部を形成することの容認を構成しないことが、理解されるべきである。
【0216】
以下の特許請求の範囲および上述の発明の説明において、明示的言語または必然的含意に起因して文脈から必要とされる以外は、単語「含む(comprise)」、または「含む(comprises)」もしくは「含んでいる(comprising)」などの変形は包括的な意味で使用され、すなわち、記述される特徴が存在することを特定するが、本発明の様々な実施形態におけるさらなる特徴の存在または追加を除外しない。
本発明は以下の態様を包含する。
[1]
経口投与に適した医薬組成物であって、
(a)メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウム、ならびに以下の薬学的に許容される賦形剤:
(i)約5~95%w/wの範囲の充填剤または希釈剤、
(ii)約10~90%w/wの範囲の崩壊剤、
(iii)約0.1~5%w/wの範囲の流動促進剤、
(iv)約0.1~5%w/wの範囲の滑沢剤、および
(V)任意選択で0~約30%w/wの範囲の結合剤
を含む、固体コア、
ならびに
(b)腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティングを含み、
前記薬学的に許容される賦形剤が、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化が最小限になるように選択され、
前記腸溶性コーティングの重量パーセントが、医薬組成物の総重量に対して約6%w/w~約20%w/wであり、
コーティング厚が、医薬組成物の厚さの約6.5%~約15%である、医薬組成物。
[2]
前記固体コアにおける前記メタ亜ヒ酸ナトリウムまたはメタ亜ヒ酸カリウムの量が、前記固体コアの約0.1~5.0%w/wである、[1]に記載の医薬組成物。
[3]
前記固体コアがメタ亜ヒ酸ナトリウムを含む、[1]または[2]に記載の医薬組成物。
[4]
前記充填剤または希釈剤が、前記固体コアの約10~90%w/wの量で前記医薬組成物の前記固体コアに存在する、[1]から[3]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[5]
前記充填剤または希釈剤が、リン酸二カルシウム無水物、部分アルファ化デンプン、ケイ化微晶質セルロース、微晶質セルロース、硫酸カルシウム二水和物、ラクトース、リン酸水素カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウム、またはこれらの混合物から選択される、[1]から[4]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[6]
前記充填剤または希釈剤が、リン酸二カルシウム無水物、部分アルファ化デンプン、またはこれらの混合物である、[5]に記載の医薬組成物。
[7]
前記崩壊剤が、前記固体コアの約10~50%w/wの量で前記医薬組成物の前記固体コアに存在する、[1]から[6]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[8]
前記崩壊剤が、L-ヒドロキシプロピルセルロース、部分アルファ化デンプン、クロスポビドン、ジャガイモデンプン、トウモロコシデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、およびアルギン酸から選択される、[1]から[7]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[9]
前記崩壊剤が、L-ヒドロキシプロピルセルロース、部分アルファ化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、またはこれらの2つ以上の混合物である、[8]に記載の医薬組成物。
[10]
前記流動促進剤が、前記固体コアの約0.3~4.0%w/wの量で前記医薬組成物の前記固体コアに存在する、[1]から[9]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[11]
前記流動促進剤が、コロイド状二酸化ケイ素およびタルクから選択される、[1]から[10]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[12]
前記流動促進剤がコロイド状二酸化ケイ素である、[11]に記載の医薬組成物。
[13]
前記滑沢剤が、前記固体コアの約0.3~4.0%w/wの量で前記医薬組成物の前記固体コアに存在する、[1]から[12]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[14]
前記滑沢剤が、フマル酸ステアリルナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、タルク、およびシリカから選択される、[1]から[13]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[15]
前記滑沢剤がフマル酸ステアリルナトリウムである、[14]に記載の医薬組成物。
[16]
前記固体コアの約1~30%w/wの量で結合剤をさらに含み、前記結合剤が、ケイ化微晶質セルロース、微晶質セルロース、部分アルファ化デンプン、L-ヒドロキシプロピルセルロース(低置換ヒドロキシプロピルセルロース)、ヒドロキシプロピルセルロース、コポビドン(ポリビニルピロリドン)、アルファ化トウモロコシ(maize)デンプン、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デンプン、アカシア、トウモロコシデンプン、およびゼラチンから選択される、[1]から[15]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[17]
前記結合剤が、L-ヒドロキシプロピルセルロース(低置換ヒドロキシプロピルセルロース)、L-ヒドロキシプロピルセルロース(低置換ヒドロキシプロピルセルロース)とヒドロキシプロピルセルロースとの混合物、または部分アルファ化デンプンである、[16]に記載の医薬組成物。
[18]
前記腸溶性コーティングが、前記固体コアの約7~17%w/wの重量増加をもたらす、[1]から[17]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[19]
腸溶性コーティングポリマーが、アクリル酸およびそのエステルまたはメタクリル酸もしくはそのエステルのコポリマー、ポリソルベート、セルロースアセテートフタレートポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレートポリマー、ヒドロキシプロピルメチルセルロースアセテートスクシネート、ポリビニルアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、カルボキシメチルエチルセルロース、およびシェラックから選択される、[1]から[18]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[20]
前記腸溶性コーティングポリマーが、メタクリル酸とアクリル酸エチル(1:1)とのコポリマーである、[19]に記載の医薬組成物。
[21]
前記固体コアが、メタ亜ヒ酸ナトリウム、リン酸二カルシウム無水物、L-ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、コロイド状二酸化ケイ素、およびフマル酸ステアリルナトリウムを含む、[1]から[20]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[22]
前記固体コアが、メタ亜ヒ酸ナトリウム、リン酸二カルシウム無水物粉末、部分アルファ化デンプン、リン酸二カルシウム無水物、デンプングリコール酸ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、およびフマル酸ステアリルナトリウムを含む、[1]から[20]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[23]
前記固体コアが、メタ亜ヒ酸ナトリウム、リン酸二カルシウム無水物粉末、リン酸二カルシウム無水物、L-ヒドロキシプロピルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、およびフマル酸ステアリルナトリウムを含む、[1]から[20]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[24]
前記固体コアが、メタ亜ヒ酸ナトリウム、リン酸二カルシウム無水物、部分アルファ化デンプン、デンプングリコール酸ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、およびフマル酸ステアリルナトリウムを含む、[1]から[20]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[25]
前記固体コアが、メタ亜ヒ酸ナトリウム、リン酸二カルシウム無水物、ケイ化微晶質セルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、コロイド状二酸化ケイ素、およびフマル酸ステアリルナトリウムを含む、[1]から[20]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[26]
前記医薬組成物が、前記固体コアの1.67%w/wのメタ亜ヒ酸ナトリウムを含み、約6.5mmの固体コア直径、150mgの固体コア質量、および前記固体コアの約12%w/wを加えた腸溶性コーティングを有する腸溶性コーティング錠剤である、[1]から[20]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[27]
疾患または状態が、固形悪性腫瘍、骨転移、転移性新生物疾患、原発性または転移性肺腫瘍、泌尿生殖器がん、白血病、疼痛、血液のがん、転移性がん、がん性疼痛、慢性疼痛、炎症、自己免疫性障害、免疫障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性血管障害、糖尿病性神経痛、膵島炎に関連する症状、および潰瘍性大腸炎から選択される、疾患または状態の治療に使用するための[1]から[20]のいずれか一項に記載の医薬組成物。
[28]
[1]から[20]のいずれか一項に記載の医薬組成物を製造する方法であって、以下のステップ:
(a)メタ亜ヒ酸ナトリウムおよびメタ亜ヒ酸カリウムから選択される医薬活性成分(API)を、以下の薬学的に許容される賦形剤:
(i)約5~95%w/wの範囲の充填剤または希釈剤、
(ii)約10~90%w/wの範囲の崩壊剤、
(iii)約0.1~5%w/wの範囲の流動促進剤、
(iv)約0.1~5%w/wの範囲の滑沢剤、および
(v)任意選択で0~約30%w/wの範囲の結合剤
とブレンドして、粉末ブレンドを形成するステップ、
(b)ステップ(a)で形成された粉末ブレンドを圧縮して、固体コアを形成するステップ、
および
(c)前記固体コアを、腸溶性ポリマーを含む腸溶性コーティングでコーティングするステップ
を含み、
前記薬学的に許容される賦形剤が、メタ亜ヒ酸塩からメタヒ酸塩への酸化が最小限になるように選択され、
前記腸溶性コーティングの重量パーセントが、前記医薬組成物の総重量に対して約6%w/w~約20%w/wであり、
コーティング厚が、前記医薬組成物の厚さの約6.5%~約15%である、方法。
[29]
ステップ(a)が、2つのステップ:
(i)前記APIを前記充填剤の一部分とブレンドして、APIプレミックスを形成するステップ、および
(ii)前記流動促進剤、前記崩壊剤、前記滑沢剤、および任意選択で前記結合剤を前記APIプレミックスとブレンドするステップ
を含む、[28]に記載の方法。
[30]
ステップ(a)が、3つのステップ:
(i)前記APIを前記充填剤の一部分とブレンドして、APIプレミックスを形成するステップ、
(ii)前記流動促進剤、前記崩壊剤、および任意選択で前記結合剤を前記APIプレミックスとブレンドするステップ、次いで、
(iii)前記滑沢剤(任意選択でステップ(ii)の混合物の一部分と混合されている)を加え、次いでブレンドするステップ
を含む、[28]に記載の方法。
[31]
ステップ(a)および/またはステップ(b)が水または溶媒の添加を伴わない、[28]から[30]のいずれか一項に記載の方法。
[32]
対象において疾患および状態を治療する方法であって、[1]から[26]のいずれか一項に記載の医薬組成物を前記対象に経口投与するステップを含み、前記疾患または状態が、固形悪性腫瘍、骨転移、転移性新生物疾患、原発性または転移性肺腫瘍、泌尿生殖器がん、白血病、疼痛、血液のがん、転移性がん、がん性疼痛、慢性疼痛、炎症、自己免疫性障害、免疫障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性血管障害、糖尿病性神経痛、膵島炎に関連する症状、および潰瘍性大腸炎から選択される、方法。
[33]
疾患または状態が、固形悪性腫瘍、骨転移、転移性新生物疾患、原発性または転移性肺腫瘍、泌尿生殖器がん、白血病、疼痛、血液のがん、転移性がん、がん性疼痛、慢性疼痛、炎症、自己免疫性障害、免疫障害、糖尿病性網膜症、糖尿病性血管障害、糖尿病性神経痛、膵島炎に関連する症状、および潰瘍性大腸炎から選択される、前記疾患または状態の治療のための経口医薬の製造における[1]から[26]のいずれか一項に記載の医薬組成物の使用。