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▶ アンタレス・ファーマ・インコーポレーテッドの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】注射器
(51)【国際特許分類】
   A61M 5/32 20060101AFI20240115BHJP
   A61K 31/485 20060101ALI20240115BHJP
   A61L 31/02 20060101ALI20240115BHJP
   A61L 31/04 20060101ALI20240115BHJP
   A61L 31/14 20060101ALI20240115BHJP
   A61L 31/16 20060101ALI20240115BHJP
   A61M 5/20 20060101ALI20240115BHJP
   A61P 25/36 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
A61M5/32 510K
A61M5/32 502
A61K31/485
A61L31/02
A61L31/04 110
A61L31/14
A61L31/16
A61M5/20 510
A61P25/36
【請求項の数】 24
(21)【出願番号】P 2021503550
(86)(22)【出願日】2019-07-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-11-25
(86)【国際出願番号】 US2019043281
(87)【国際公開番号】W WO2020036717
(87)【国際公開日】2020-02-20
【審査請求日】2021-03-22
【審判番号】
【審判請求日】2023-02-07
(31)【優先権主張番号】62/702,661
(32)【優先日】2018-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】502142703
【氏名又は名称】アンタレス・ファーマ・インコーポレーテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(72)【発明者】
【氏名】トラバンティ,マイケル
(72)【発明者】
【氏名】マティックス,スティーブン・ダブリュー
【合議体】
【審判長】佐々木 正章
【審判官】佐々木 一浩
【審判官】安井 寿儀
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-502653(JP,A)
【文献】国際公開第2017/089259(WO,A1)
【文献】特表2014-525783(JP,A)
【文献】特表2017-527427(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 5/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、
前記ハウジングに取外し可能に結合されたキャップと、
薬剤容器から薬剤を発射するために前記薬剤容器を加圧するように構成されたラムを有するラム組立体であって、トリガ係合部材を含むラム組立体と、
前記薬剤容器から前記薬剤を発射するために前記ラムに力を加えるように前記ラムに関連付けられるエネルギー源と、
長手方向軸の周りに配置され、発射前構成と発射構成との間で移動可能であるトリガ部材であって、前記発射構成にあるときに前記薬剤容器から薬剤が発射され、被係合部材を有する、トリガ部材と、
前記ハウジングに移動可能に結合され、格納位置と注射前位置との間で移動可能である針ガードであって、前記キャップが前記ハウジングから取り外されると、前記格納位置から前記注射前位置へ移動する針ガードと、
前記被係合部材に係合可能に構成された係合部材を備えた端部キャップと
を備え、
前記端部キャップは、前記発射前構成において前記エネルギー源の動作に対抗して前記ラム組立体を軸方向について近位位置に保持するラム保持部材を備え、
前記針ガードの近位方向に向かう長手方向軸に沿った運動は、前記トリガ部材の回転運動を生じさせ、
前記トリガ部材が前記発射前構成から前記発射構成へ移動するには、前記トリガ部材が所定の閾値以上の回転モーメントにより前記端部キャップに対して前記長手方向軸の周りに回転されて、前記端部キャップの前記係合部材前記トリガ部材の被係合部材との係合が解除されることを要する、
注射器。
【請求項2】
前記薬剤容器に流体連通する針と、
前記針を少なくとも部分的に取り囲む針シールドと
をさらに備える、請求項1に記載の注射器。
【請求項3】
前記針シールドは、遠位方向へ前記キャップを通過して軸方向に延びる、請求項2に記
載の注射器。
【請求項4】
前記キャップは、端壁開口部を有する端壁を含む、請求項2に記載の注射器。
【請求項5】
前記針シールドの少なくとも一部分は、前記ハウジングに前記キャップが結合されたときに前記端壁開口部内にある、
請求項4に記載の注射器。
【請求項6】
前記キャップは、前記ハウジングから前記キャップが取り外されると前記針から前記針シールドを除去する針シールド除去装置を含む、
請求項2に記載の注射器。
【請求項7】
前記ハウジングから前記キャップが取り外されると、前記針ガードは前記注射前位置へ移動し、前記ハウジングから前記キャップが取り外されると、前記針シールドは前記針から除去される、
請求項6に記載の注射器。
【請求項8】
前記注射前位置に向かって前記針ガードを付勢するように構成された付勢要素をさらに備える、請求項1に記載の注射器。
【請求項9】
前記針ガードの端部は、前記格納位置においてよりも前記注射前位置において前記ハウジングからさらに離れる、
請求項1に記載の注射器。
【請求項10】
前記針ガードの端部は、注射時位置においてよりも前記格納位置において前記ハウジングからさらに離れる、
請求項1に記載の注射器。
【請求項11】
前記針ガードは、前記キャップの近位端が前記針の遠位端を越えて軸方向に移動される前に、前記注射前位置にある、
請求項6に記載の注射器。
【請求項12】
第1の距離は、前記針ガードが前記格納位置にあるときの、前記針ガードの遠位端と前記ハウジングの遠位端との間の距離を含み、
第2の距離は、前記針ガードが前記注射前位置にあるときの、前記針ガードの前記遠位端と前記ハウジングの前記遠位端との間の距離を含み、
前記第1の距離は、前記第2の距離よりも短い、
請求項1に記載の注射器。
【請求項13】
第3の距離は、前記針ガードが注射後位置にあるときの、前記針ガードの前記遠位端と前記ハウジングの前記遠位端との間の距離を含み、
前記第3の距離は、前記第2の距離以上である、
請求項12に記載の注射器。
【請求項14】
前記格納位置において、前記トリガ部材は前記発射前構成にあり、前記針ガードは前記ハウジングに対して部分的に引っ込められる、
請求項1に記載の注射器。
【請求項15】
記トリガ係合部材が解放されることで前記エネルギー源が前記ラムを始動することが可能になる、
請求項1に記載の注射器。
【請求項16】
前記エネルギー源は、前記針ガードが注射位置にあるときに、前記薬剤容器から薬剤を送達するように前記ラムに作用する、
請求項15に記載の注射器。
【請求項17】
前記針ガードは、前記トリガ部材に関連付けられる発射開始部材を含み、
前記針ガードは、前記ハウジングに対して前記注射前位置から注射位置へ近位方向に移動可能であり、
前記発射開始部材は、前記針ガードが近位方向に移動すると、前記発射前構成から前記発射構成へ前記トリガ部材を移動させる、
請求項1に記載の注射器。
【請求項18】
ラム保持部材は、前記トリガ係合部材を係合させることで、前記発射前構成において前記エネルギー源の動作に対抗して前記ラム組立体を軸方向について近位位置に保持する、
請求項1に記載の注射器。
【請求項19】
前記トリガ部材は、開口側壁によって画定される開口を含み、
前記発射構成において、前記ラムが前記開口側壁から解放され、前記エネルギー源が前記トリガ係合部材と前記ラム保持部材との間の係合を克服する、
請求項18に記載の注射器。
【請求項20】
前記ラム保持部材は突出部を含み、
前記突出部は前記トリガ係合部材に係合される膨張部および溝を含み、
前記トリガ部材の前記開口側壁は、前記発射前構成において、前記膨張部および前記溝を含む前記トリガ係合部材との係合を保持する、
請求項19に記載の注射器。
【請求項21】
注射中に前記薬剤容器を保持するように構成された容器支持体をさらに備え、
前記ラム組立体は、注射後に前記ラム組立体の移動を防止するために前記容器支持体に係合するように構成される、
請求項1に記載の注射器。
【請求項22】
前記針ガードは、注射後位置へ移動可能であり、
前記注射後位置は、針ガードの近位方向の移動が前記ラム組立体によってブロックされるときの位置である、
請求項1に記載の注射器。
【請求項23】
前記薬剤は、ナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含む、
請求項1に記載の注射器。
【請求項24】
前記薬剤はナロキソン塩酸塩を含む、
請求項1に記載の注射器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[0001]関連出願の相互参照
[0002]この出願は、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる「Naloxone Hydrochloride Injection in Pre-Filled Syringe」という名称の2018年7月24日に出願された米国仮特許出願第62/702,661号の利益および優先権を主張する。
【0002】
[0003]本開示は、注射器に関し、より詳細には、ナロキソンを含む薬剤を注射するための注射器に関する。
【背景技術】
【0003】
[0004]患者へ液体薬剤の注射を作動させるために自動化機構を使用する様々な注射装置が存在する。そのような装置の例は、(無針式および針支援式の両方の)ジェット注射器、ならびに(たとえば、従来の指で駆動する皮下シリンジ注射の機械式送達を提供する)従来の低圧力自動注射器を含む。注射を完了するのに使用される詳細な機構は様々であり得るが、ほとんどは、使用中に注射機構を駆動するのに使用できる運動エネルギーを蓄積する特徴を含む。さらに、多くの注射器は、注射が望まれるまで運動エネルギーが蓄積されたままであることを保証するように構成されたトリガ機構を含み、それにより、トリガの作動が注射機構を解放し、蓄積された運動エネルギーが注射機構を駆動して注射を行うことを可能にする。
【0004】
[0005]無針ジェット注射器の例は、たとえば、米国特許第5,599,302号および第4,790,824号に説明されている。これらの強力注射器は、ボタン作動式であり、ジェットが皮膚を通過できる十分な圧力の下で送達される精密な高速のジェットとして薬剤を投与する。そのような無針ジェット注射器における注射機構は、薬剤を注射するために必要な圧力がチャンバ内に発生するように、装置内の薬剤貯蔵チャンバに力を加えるものであり得る。
【0005】
[0006]たとえば、米国特許第4,553,962号および第4,378,015号、ならびに国際公開第97/14455号に説明されるような従来の自己注射器または自動注射器は、手動操作の皮下シリンジと同様の速度および手法で薬剤を注射する。説明された自己注射器または自動注射器は、薬剤容器および関連する針の移動によって薬剤を送達するために、ユーザの皮膚を貫通するように作動時に延びる針を有する。したがって、従来の低圧力の自己注射器および自動注射器において薬剤を送達する力を提供する機構は、針を延ばし、薬剤容器を変位させて、ユーザの皮膚への針の挿入を行い、薬剤容器内に移動可能に配置されたプランジャに力を加えて、薬剤が針を通して容器から発射されるようにするためにも用いられる。したがって、たとえばオーウェン・マムフォードにより製造される自動注射器は、薬剤を注射するために非常に低い圧力を使用し、この場合、典型的には薬剤が比較的低速の流れで針を通して注射される。他の自己注射器は、シンポニー注射器を含む。これは、ハウジングに窓を含み、注射器が使用されると、窓を通して黄色いラムが透明な薬剤容器の内側で視認可能である。
【0006】
[0007]さらに、より強い射出力を有し、最初に皮膚を貫通するために針を利用する針支援式ジェット注射器も開発されており、これは、従来の皮下注射器または低圧力自動注射器よりも浅い針挿入深さの範囲を可能にする。皮膚が針で突き通されると、ジェット機構が作動され、注射器内の薬剤を含む液体が加圧されて針を通して皮膚内に発射される。針支援式ジェット注射器内の注射機構は、薬物容器および針を前方に移動させて、皮膚を突き通し、容器内に移動可能に配置されたプランジャに必要な射出力を加えるように構成され得る。代替的に、針および薬物容器は、針および薬物容器を静止位置に維持しながら皮膚を貫通するように位置決めしてもよく、注射機構は、容器を加圧するような構造としてもよい。皮膚の外層が針により既に貫通されているため、注射器内の薬剤に加えられる圧力は、従来のジェット注射器の圧力よりも小さくすることができる。同様に、薬剤に加えられる圧力は、好ましくは、従来の自動注射器などの圧力より高くし、薬剤が皮膚を通るようにし、薬剤が実質的に身体内に留まるのに十分な深さで皮膚下の組織に分散または注射されるようにする。より高い圧力のさらなる利点は、より速い注射時間を含み、これは、患者の心的外傷を低減させ、また、注射部位から注射器を除去することでユーザが不注意で時期尚早に注射を中断する可能性を低減させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
[0008]輸送中の突然の動きに起因して、またはトリガ機構の偶発的な作動を含むユーザによる装置の誤った取扱いに起因して、トリガおよび注射機構に関連付けられる蓄積されたエネルギーによる偶発的な発射が発生し得る。注射機構の偶発的な発射は、装置から薬剤を発射させる可能性があり、これは注射装置のタイプによっては危険な高圧力で生じ得る。さらに、偶発的な発射は、皮膚を貫通するのに十分な力で注射針を装置に対して前方に移動させる可能性がある。
【0008】
[0009]また、注射器に組み込まれる多くの部品の寸法が、一般的に多くの注射器の設計を制限する。たとえば、多くの注射器は前方発射開始機構を利用しており、これは一般的に軸方向移動および注射器の後方に位置するトリガ構造との係合を必要とする。しかしながら、この構成では、一般的に、たとえば注射装置のサイズを縮小することや装置内の薬物容器を見ることができるなどの利点があり得るが、たとえば摺動可能な連結における部品間の摩擦、および部品の歪みによって、連結されたトリガ部品の固着が助長される。
【0009】
[0010]ナロキソンはオピオイド拮抗薬であり、呼吸抑制、鎮静、低血圧を含むオピオイドの作用を予防しまたは逆転させる。ナロキソンは、Narcanという商標名でナロキソン塩酸塩注射としてFDAにより1971年に承認された。
【課題を解決するための手段】
【0010】
[0011]いくつかの実施形態では、発明は注射器であり得る。注射器は、ハウジングと、ハウジングに取外し可能に結合されたキャップと、薬剤容器から薬剤を発射するために薬剤容器を加圧するように構成されたラムを有するラム組立体であって、トリガ係合部材を含むラム組立体と、薬剤容器から薬剤を発射するためにラムに力を加えるようにラムに関連付けられるエネルギー源と、軸の周りに配置され、発射前構成と発射構成との間で移動可能であるトリガ部材であって、発射構成にあるときに薬剤容器から薬剤が発射されるトリガ部材と、ハウジングに移動可能に結合され、格納位置と注射前位置との間で移動可能である針ガードであって、キャップがハウジングから取り外されると、格納位置から注射前位置へ移動する針ガードとを含む。
【0011】
[0012]いくつかの実施形態では、注射器は、薬剤容器に流体連通する針と、針を少なくとも部分的に取り囲む針シールドとを含むことができる。
[0013]いくつかの実施形態では、針シールドは、遠位方向へキャップを通過して軸方向に延びることができる。
【0012】
[0014]いくつかの実施形態では、キャップは、端壁開口部を有する端壁を含むことができる。
[0015]いくつかの実施形態では、針シールドの少なくとも一部分は、ハウジングにキャップが結合されたときに端壁開口部内にあることができる。
【0013】
[0016]いくつかの実施形態では、キャップは、ハウジングからキャップが取り外されると針から針シールドを除去することができる針シールド除去装置を含むことができる。
[0017]いくつかの実施形態では、ハウジングからキャップが取り外されて、針から針シールドが除去されると、針ガードは注射前位置へ移動することができる。
【0014】
[0018]いくつかの実施形態では、針ガードの端部は、格納位置においてよりも注射前位置においてハウジングからさらに離れることができる。
[0019]いくつかの実施形態では、針ガードの端部は、注射位置においてよりも格納位置においてハウジングからさらに離れることができる。
【0015】
[0020]いくつかの実施形態では、針ガードは、キャップの近位端が針の遠位端を越えて軸方向に移動される前に、注射前位置にあり得る。
[0021]いくつかの実施形態では、格納位置において、トリガ部材は発射前構成にあることができ、針ガードはハウジングに対して部分的に引っ込められることができる。
【0016】
[0022]いくつかの実施形態では、針ガードは、発射前構成から発射構成へ近位方向にトリガ部材を移動させることができ、発射構成ではトリガ係合部材が解放されることでエネルギー源がラムを始動することが可能になる。
【0017】
[0023]いくつかの実施形態では、エネルギー源は、針ガードが注射位置にあるときに、薬剤容器から薬剤を提供するようにラムに作用することができる。
[0024]いくつかの実施形態では、針ガードは、トリガ部材に関連付けられる発射開始部材を含むことができ、針ガードは、ハウジングに対して注射前位置から注射位置へ近位方向に移動可能であることができる。発射開始部材は、針ガードが近位方向に移動すると、発射前構成から発射構成へトリガ部材を移動させることができる。
【0018】
[0025]いくつかの実施形態では、注射器は、端部キャップを含むことができる。端部キャップは、発射前構成においてエネルギー源の動作に対抗してラム組立体を軸方向について近位位置に保持するラム保持部材を含むことができる。
【0019】
[0026]いくつかの実施形態では、ラム保持部材は、トリガ係合部材を係合させることで、発射前構成においてエネルギー源の動作に対抗してラム組立体を軸方向について近位位置に保持することができる。
【0020】
[0027]いくつかの実施形態では、トリガ部材は開口を含むことができ、発射構成において、ラムが開口から解放されることができ、エネルギー源がトリガ係合部材とラム保持部材との間の係合を克服することができる。
【0021】
[0028]いくつかの実施形態では、ラム保持部材は突出部を含むことができ、突出部はトリガ係合部材に係合される膨張部および溝を含み、トリガ部材の開口は、発射前構成において、膨張部および溝を含むトリガ係合部材との係合を保持することができる。
【0022】
[0029]いくつかの実施形態では、注射器は、注射中に薬剤容器を保持することができる容器支持体を含むことができ、ラム組立体は、注射後にラム組立体の移動を防止するために容器支持体に係合するように構成され得る。
【0023】
[0030]いくつかの実施形態では、針ガードは、注射後位置へ移動可能であることができ、注射後位置は、針ガードの近位方向の移動がラム組立体によってブロックされるときの位置である。
【0024】
[0031]いくつかの実施形態では、薬剤は、ナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含むことができる。
[0032]いくつかの実施形態では、薬剤はナロキソン塩酸塩を含むことができる。
【0025】
[0033]いくつかの実施形態では、薬剤は、薬剤は、1mg/mLナロキソン塩酸塩を含むことができる。
[0034]いくつかの実施形態では、薬剤は、5mg/mLナロキソン塩酸塩を含むことができる。
【0026】
[0035]いくつかの実施形態では、薬剤は、0.4mLナロキソン塩酸塩溶液を含むことができる。
[0036]いくつかの実施形態では、ナロキソン塩酸塩溶液は水溶液とすることができる。
【0027】
[0037]本発明の上記および他の目的、特徴、および利点は、図面と併せて考慮される以下の非限定的な詳細な説明を検討することから明らかとなろう。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】[0038]本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置の断面図である。
図2】[0039]本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置のキャップの断面図である。
図3A】[0040]本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置の浮動トリガ部材の斜視図である。
図3B】[0041]本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置の、ラム保持位置における(図1に示す)3B,3C断面での断面図である。
図3C】[0042]本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置の、発射位置における(図1に示す)3B,3C断面での断面図である。
図4】[0043]本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置の部分断面図である。
図5A】[0044]本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置の端部ハウジング部の斜視図である。
図5B】[0045]本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置の端部ハウジング部の斜視図である。
図6A】[0046]本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置の端部ハウジング部および浮動トリガ部材の、保持位置における(図4に示す)6A,6B断面での断面図である。
図6B】[0047]本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置の端部ハウジング部および浮動トリガ部材の、発射位置における(図4に示す)6A,6B断面での断面図である。
図7A】[0048]本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置のスリーブの側面図である。
図7B】本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置のスリーブの斜視図である。
図8】[0049]本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置の針ガードの側面および斜視図である。
図9A】[0050]本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置のラム組立体、針ガード、浮動トリガ部材、スリーブの、未発射位置における側面図である。
図9B】本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置のラム組立体、針ガード、浮動トリガ部材、スリーブの、発射済位置における側面図である。
図10A】[0051]本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置のラム組立体の側面図である。
図10B】本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置のラム組立体の斜視図である。
図11】[0052]本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置のトリガ係合部材とラム保持部材との係合の近接図である。
図12】[0053]本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置のラム組立体の上面図である。
図13】[0054]本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置の分解図である。
図14A】[0055]本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置のトリガ部材の斜視図である。
図14B】[0056]本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置の断面図である。
図14C】[0057]本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置のトリガ部材の斜視図である。
図15A】[0058]本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置のラム組立体、針ガード、ハウジング端部/端部キャップ、およびトリガ部材の様々な側面図である。
図15B】本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置のラム組立体、針ガード、ハウジング端部/端部キャップ、およびトリガ部材の様々な側面図である。
図15C】[0059]本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置のトリガ部材の側面図である。
図15D】本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置のトリガ部材の側面図である。
図15E】[0060]本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置のラム組立体、針ガード、ハウジング端部/端部キャップ、およびトリガ部材の様々な側面図である。
図15F】本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置のラム組立体、針ガード、ハウジング端部/端部キャップ、およびトリガ部材の様々な側面図である。
図15G】[0061]本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置のトリガ部材の側面図である。
図15H】本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置のトリガ部材の側面図である。
図16A】[0062]トリガ前の位置における本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置の側面図である。
図16B】トリガ中の位置における本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置の側面図である。
図16C】トリガ後の位置における本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置の側面図である。
図17A】[0063]図16Aに示される端部キャップ、ラム組立体、およびトリガの一部分の断面図である。
図17B】[0064]図17Aに示される端部キャップ、ラム組立体、およびトリガの一部分の拡大断面図である。
図17C】[0065]図1に示される注射装置の端部キャップ、ラム組立体、およびトリガの断面図である。
図17D】[0066]図17Cに示される注射装置の端部キャップ、ラム組立体、およびトリガの拡大断面図である。
図18】[0067]本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置のトリガ係合部材とラム保持部材との係合の近接図である。
図19】[0068]本開示の例示的な実施形態によるシリンジを示す図である。
図20】[0069]40℃で1.5カ月間の製剤#6、#7、#8、#9、#11、および#12Aの安定性結果を示す棒グラフである。
図21】[0070]60℃で1.5カ月間の製剤#6、#7、#8、#9、#11、および#12Aの安定性結果を示す棒グラフである。
図22】[0071]60℃におけるナロキソン注射製剤#6(0.002%EDTA)、#8(0.1%メチオニン)、#12A(安定剤なし)の総不純物の変化を示すグラフである。
図23】[0072]40℃におけるナロキソン注射製剤#6(0.002%EDTA)、#8(0.1%メチオニン)、#12A(安定剤なし)の総不純物の変化を示すグラフである。
図24】[0073]40℃における異なるレベルのEDTAを有する1mg/mLのナロキソン注射製剤の総不純物の変化を示すグラフである。
図25】[0074]40℃における異なるレベルのEDTAを有する5mg/mLのナロキソン注射製剤の総不純物の変化を示すグラフである。
図26】[0075]60℃における異なるレベルのEDTAを有する1mg/mLのナロキソン注射製剤の総不純物の変化を示すグラフである。
図27】[0076]60℃における異なるレベルのEDTAを有する5mg/mLのナロキソン注射製剤の総不純物の変化を示すグラフである。
図28】[0077]本開示の例示的な実施形態の注射装置の斜視図である。
図29】[0078]図28の安全キャップの拡大断面図である。
図30】[0079]針が針シールド内にある図28の安全キャップの拡大断面図である。
図31】[0080]図28の注射装置の側面図である。
図32】[0081]内部部品を示すために安全キャップの一部が除去された図28の注射装置の側面図である。
図33】[0082]安全キャップが除去され針ガードが注射前位置にある図28の注射装置の側面図である。
図34】[0083]安全キャップが除去され針ガードがトリガ位置にある図28の注射装置の側面図である。
図35】[0084]安全キャップが除去され針ガードが注射位置にある図28の注射装置の側面図である。
図36】[0085]安全キャップが除去され針ガードが注射後位置にある図28の注射装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0029】
[0086]図面を通して、同じ参照番号および文字は、別段の記載がない限り、図示された実施形態の同様の特徴、要素、部品、または部分を示すために使用される。さらに、本開示は、ここで図を参照して詳細に説明されるが、例示的な実施形態に関連してそのようにされるのであって、図に示される特定の実施形態によって限定されるものではない。
【0030】
[0087]添付の図面を参照して、本発明の様々な実施形態が、より完全に以下に説明される。すべてではないがいくつかの本発明の実施形態が示される。実際に、本発明の様々な実施形態は、多くの異なる形態で具現化することが可能であり、明示的に説明される実施
形態に限定されると解釈されるべきではない。同様の番号は、全体を通して同様の要素を参照する。単数形(「a」、「an」、および「the」)は、文脈が別段に明示しない限り、単数形および複数形を含む。
【0031】
[0088]図1は、本開示の例示的な実施形態による例示的な注射装置100を示す。なお、本開示の文脈において、用語「遠位」および「近位」は、ユーザに保持されたときのユーザに対する注射装置の位置を参照して使用される。したがって、別の点より遠位に位置する点はユーザからさらに遠く(すなわち注射装置の注射端に向かう)、また逆も同様である。図面に示されるように、例示的な注射装置100は針支援式ジェット注射装置であるが、本明細書のいくつかの特徴を使用する代替的な実施形態が、無針ジェット注射器として、または低圧力自動注射器もしくは他の機械式注射器として構成され得ることは、当業者には理解されよう。いくつかの実施形態によれば、注射装置100は、使い捨ての針支援式ジェット注射器である。いくつかの実施形態では、注射装置100は、反復される注射に際して、複数のおよび/または変動する投薬を提供するように修正され得る。いくつかの実施形態によれば、注射装置100は、ロックアウト機能を有する使い捨ての針支援式ジェット注射器である。たとえば、注射装置100は、注射装置100内に貯蔵された薬剤のジェット注入を促進することができ、また、いったん薬剤が排出されるとユーザが注射装置100を使用しようとするのを防止するロック機能を含むことができる。一実施形態では、ロック機能は、注射装置100の使用ではなく薬剤の排出が行われると作動される。たとえば、ロック機能が作動されると、注射装置が注射のためにユーザにより実際に使用されたわけではないが、(たとえば、装置の輸送や取扱いなどの際に)発射機構が偶発的に作動されて薬剤が排出された場合でも、注射装置100がユーザによりその後に使用を試みられることを防止することができる。ロック機能を含む注射装置100の動作はさらに詳細に後述される。
【0032】
[0089]いくつかの例示的な実施形態によれば、注射装置100は、本明細書に記載される薬剤を含む任意の適切な液体薬物または薬剤を送達することができる。一実施形態では、薬剤は、本明細書に記載されるナロキソン製剤である。さらに、注射装置100は、公式な訓練を受けていない個人による注射の投与(たとえば、自己投与、または子に薬物を投与する親など、他の個々の家族の一員、もしくは公式に訓練された医療提供者ではない可能性がある他の介護者による投与)を可能にすることができる。したがって、注射装置100は、自己注射/介護者が投与する注射が有益となる状況で役に立つ可能性がある。
【0033】
[0090]一実施形態では、図1に示されるように、例示的な注射装置100は、外側ハウジング102およびハウジング端部/端部キャップ104を含むことができる。図1に示されるように、一実施形態では、ハウジング端部/端部キャップ104は、ハウジング102の近位端に結合される。注射装置100はさらに、外側ハウジング102内に収容される様々な部品および/または組立体を含むことができる。図1に示されるように、これらの部品は、ガード106、たとえばスリーブ116のような容器支持体、発射機構108、薬剤チャンバ110、針112、およびばね114を含むことができる。図1に示されるように、外側ハウジング102は単一部品とすることができ、あるいは代替的に、外側ハウジング102は、たとえばスナップフィット接続、プレスフィット接続、ねじ係合、接着、または溶接などを介して互いに結合できる複数部品の組立体とすることができる。
【0034】
[0091]図1に示されるように、一実施形態では、スリーブ116は、たとえばスナップフィット接続、プレスフィット接続、ねじ係合、接着、または溶接などを介して、少なくとも部分的に外側ハウジング102内に収容され、外側ハウジング102に装着される。図7Aおよび図7Bに示されるように、スリーブ116は、ハウジング102の開口部に係合するように構成された突出部1168を含むことができる。スリーブ116は薬剤チャンバ110を保持するように構成される。薬剤チャンバ110は、その遠位端において針112を含み得る。いくつかの例示的な実施形態では、薬剤チャンバ110は、たとえば、分離されたガラスアンプルおよび針、または予め充填されたシリンジを含んでもよく、スリーブ116それ自体が一体的な薬剤チャンバを含んでもよい。一実施形態では、薬剤チャンバ110にプランジャ118が設けられる。プランジャ118は、発射機構108のラム1232に関連付けられる。注射中、ラム組立体122は、発射機構108のエネルギー源120により付勢されて、プランジャ118を遠位に、薬剤チャンバ110内により深く変位させ、針112を通して薬剤を排出する。一実施形態では、針112は、ユーザの皮膚を貫通するように構成された注射端112a、および薬剤チャンバ110と流体連通した中空ボア112bを含むことで、注射中に薬剤チャンバ110からユーザへの薬剤の送達を促進する。図1は、発射前状態の注射装置100を示す。注射装置100の動作については、その様々な段階および位置を含めて、さらに詳細に後述される。
【0035】
[0092]また、図1に示されるように、注射装置100は、いくつかの実施形態では発射機構108も含む。一実施形態では、発射機構108は、ハウジング102内に摺動可能に装着されたラム組立体122、およびエネルギー源120を含む。例示的な実施形態では、エネルギー源120は、圧縮ばねを含むが、エラストマもしくは圧縮ガスばね、ガス発生器、または他の適切なエネルギー蓄積部材のような他の適切なエネルギー源を使用することもできる。図1では、ラム組立体122は発射前の最も近位の位置にある。注射中、ラム組立体122は、エネルギー源120により解放されたエネルギーによって遠位方向に付勢される。注射が完了すると、発射ラム組立体122は最も遠位の位置に配置される。この遠位位置では、ユーザがそれ以降注射を試みることができないように、ガード106がロックアウトされて針先端部を越えて延び、それゆえ針ガード106は鋭端の保護として機能することができる。ラム組立体122は、単一部品として示されているが、たとえばスナップフィット接続、プレスフィット接続、ねじ係合、接着、溶接、または他の適切な結合を介して互いに結合できる複数部品の組立体とすることができる。ラム組立体122は、好ましくは、薬剤チャンバ110内に貯蔵された薬剤を排出するために、注射装置100の発射を促進するように構成され得る様々な特徴を含む。本開示のいくつかの例示的な実施形態によれば、注射装置100のトリガ機構は、ラム組立体122と、保持部306を含むことができる浮動トリガ部材300と、ラム保持部材1042とを含むことができる。
【0036】
[0093]一実施形態では、図2に示されるように、注射装置100はキャップ200を含む。キャップ200は、外側ハウジング102の遠位端に取外し可能に取り付けることができる。一実施形態では、キャップ200は、スリーブ116の遠位端に取外し可能に取り付けることができる。キャップ200は、たとえば、ねじ係合を介してハウジング102の遠位端に取外し可能に取り付けることができる。ハウジング端部/端部キャップ104は、ハウジング102の近位端の一部(たとえば開口部)に係合して、ハウジング端部/端部キャップ104をハウジング102に結合するように構成された機能部(たとえば突出部)を含むことができる。キャップ200は、注射装置100に取り付けられたときに、ガード106に不注意に力が加えられることでは注射が引き起こされないことを保証することができる。一実施形態では、キャップ200は、2つの係合機能部を含む。図2に示されるように、キャップ200は、係合機能部202および204を含むことができる。係合機能部202および204は、注射装置100の他の機能部とねじ係合するように構成されたスレッド(ねじ山)とすることができる。たとえば、係合機能部202は、ハウジング102の遠位端にキャップ200を固定するように構成されてもよく、スリーブ116の遠位部分にねじ係合するように構成されてもよい。一実施形態では、係合機能部204は、ガード106の近位方向への変位を防止するために、ガード106の機能部(たとえばスレッド)にねじ係合するように構成されてもよい。
【0037】
[0094]図2に示されるように、キャップ200は、各種の規則的または不規則な形状を有し、その軸に沿って見て非円形の断面であってもよい。その初期の閉位置は、隣接するハウジングの部分の形状に整合するか、または実質的に一致する。一実施形態では、機能部202および204は、複数のスレッド開始点を有する複数のスレッドを含み、スレッド開始点の1つだけが、初期の閉位置でキャップをハウジングに揃えることができる。したがって、キャップが取り外され交換されると、ユーザにより間違った開始点が選択される可能性が生じ、その結果、キャップはもはや注射器ハウジングに整合せず、不正変更が示される。一実施形態では、3つのスレッドが使用されるため、取り外されて交換されたキャップが正しく嵌合しないことに基づいて即座に明らかになる3分の2の可能性がある。
【0038】
[0095]図1に示されるように、一実施形態では、ハウジング102は、スリーブ116をハウジング102に結合し固定するためにスリーブ116に係合するように構成された開口部を含み、また、注射装置100が発射されたかどうかについて視覚的に示すことができる少なくとも1つの窓を含む。たとえば、発射前の状態において、窓はユーザが薬剤チャンバ110を貯蔵された薬剤とともに視認できるようにし、発射後の状態において、窓は発射機構108の一部のような1つまたは複数の内部部品が視認されるようにしてもよい。そのような内部部品は、注射装置100が発射されたことをユーザに警告するように特に選択された色とすることができる。この色は、一実施形態では、存在するまたは有意に存在する他の色とははっきりと異なるまたは対比されるように、ユーザ(一実施形態では通常の視覚を有する)が発射の前に注射器において視認可能な他の色と十分に異なる色である。たとえば、一実施形態では、この色は、目立つように、発射前のまたはユーザの発射前により視認可能な注射装置100の他のすべての部品と異なる(たとえば完全に新しい色系統を導入する)。一実施形態では、発射の後に現れる新しい色は、色相環の非類似の部分からの色であり、または注射装置100において視認可能な色に対する反対色もしくは補色とすることができる。一実施形態では、新しい色は、赤または橙色などのように注意を表す。一実施形態における発射前状態での注射器における視認可能な色、さらに一実施形態においてはキャップ200が注射器上にあるとき、および/または、ないときを含むそのような色は、たとえば灰色および青である。一実施形態では、注射器が発射されると赤色が導入される。一実施形態では、この新しい色は、発射後であるが伸張位置においてガード106がロックアウトされる前に導入することができる。
【0039】
[0096]一実施形態では、注射装置100は、図3A図3B、および図3Cに示されるように、浮動トリガ部材300を含む。浮動トリガ部材300は、近位部分314および遠位部分316を有することができる。一実施形態では、浮動トリガ部材300は、開口部302を含むことができる。さらに、浮動トリガ部材300は、遠位部分316に開口部302を含むことができる。開口部302は、注射装置100の発射を促進する際にラム組立体122のトリガ係合部材1230を受容して係合するように構成された保持部306を含むことができる。開口部302は、一実施形態では、ラム組立体122のトリガ係合部材1230に係合して、それらが2つの位置のうちの1つに合わせられるように構成される。たとえば、第1の位置302a(たとえば保持位置)では、ラム組立体122のトリガ係合部材1230の位置を保持部306によって制止されるように合わせ、それにより発射機構108が薬剤を発射し排出するのを防止する。第2の位置302b(たとえば発射位置)では、開口部302が発射部304を含み、ラム組立体122のトリガ係合部材1230が、トリガ係合部材1230の位置を広がることができるように合わせ、それにより、発射機構108による発射が可能になる。図3Bは、第1の位置(302a)に合わせられたトリガ係合部材1230を示し、図3Cは、第2の位置(302b)に合わせられたトリガ係合部材1230を示す。さらに、開口部302(たとえば第1の位置302a)の保持部306は、一実施形態では、第1および第2の位置から浮動トリガ部材300の回転を促進するように湾曲する。浮動トリガ部材300の遠位部分316の外表面は、カム面308を含むことができる。一実施形態では、トリガ係合部材1230の一部が任意選択で残部320に係合し、浮動トリガ部材300が回転するとトリガ係合部材1230が残部320を解放して発射機構108による発射を可能にする。
【0040】
[0097]浮動トリガ部材300の近位部分314は、図6を参照して後でさらに説明されるリップ312を有するフランジ310を含むことができる。
[0098]一実施形態では、図1に示されるように、エネルギー源120(たとえば、ばね)がガード106から分離される。一実施形態では、近位端エネルギー源120がハウジング102に結合される。エネルギー源120がガード106から分離されることにより、浮動トリガ部材300の回転の見かけの摩擦が著しく低減される。次いで、これが、図9Aおよび図9Bを参照して後で説明されるように、伸張位置から発射位置へガード106を移動するために必要な力の大きさを実質的に低減させる。詳細には、エネルギー源120によって引き起こされる部品の圧縮が実質的に取り除かれ、それにより、注射装置100の使用中のガード106の移動に対する見かけの摩擦および抵抗の大きさを著しく低減させる。
【0041】
[0099]図1に示されるように、一実施形態では、注射装置100はまた、ハウジング端部/端部キャップ104を含む。ハウジング端部/端部キャップ104の一実施形態が図5Aに示される。図5Aに示されるように、一実施形態では、ハウジング端部/端部キャップ104は、本体部1040およびラム保持部材1042を含む。一実施形態では、ラム保持部材1042は突出部であり、発射機構108のトリガ係合部材に係合するように構成される。たとえば、図4に示されるように、一実施形態では、ラム保持部材1042は、ベル形の突出部であり、発射機構108の相補的な形状の機能部(たとえば突出部)1230aに係合される。図4に示されるように、例示的な実施形態では、ラム保持部材1042は、溝1042aおよび膨張部1042bを含むことができ、発射機構108の
機能部1230aは、注射装置100の発射を防止するために、膨張部1042bを保持するように溝1042aに整合するように構成することができる。一実施形態では、ラム保持部材1042、およびラム保持部材1042に係合する発射機構108の機能部1230aは、円形断面を含むことで、注射装置100の発射中にラム保持部材1042に対する発射機構108の機能の回転を可能にする。さらに、図5Aに示されるように、本体部1040は、ハウジング端部/端部キャップ104をハウジング102に結合するために、外側ハウジング102の開口部に係合するように構成された突出部1040aを含むことができる。図5Bは、ハウジング端部/端部キャップ104の別の実施形態を示す。
【0042】
[00100]例示的な実施形態では、ハウジング端部/端部キャップ104は、図5Aに示されるように、任意選択で係合部材1044を含む。図6Aおよび図6Bでさらに説明されるように、浮動トリガ部材300が第1の位置から第2の位置に回転すると、係合部材1044は浮動トリガ部材300のリップ312に係合する。係合部材1044およびリップ312を有するいくつかの実施形態では、浮動トリガ部材300が少なくとも部分的に第1の位置から第2の位置に移動するとき、係合部1044によって引き起こされる浮動トリガ部材300上の抵抗を克服するために閾値離脱力が必要とされる。いくつかの実施形態では、この離脱機能部は、浮動トリガ部材300の意図しない回転を防止するための安全装置として機能する。
【0043】
[00101]図7Aおよび図7Bに示されるように、一実施形態では、スリーブ116は、環状構造1160、カップリング構造1162、および本体部1164を含む。カップリング構造1162は、スリーブ116の遠位部分に配置することができ、また、キャップ200に解放可能に係合するように構成することができる。たとえば、図1および図2に見られるように、カップリング構造1162は、スリーブ116とキャップ200との間のねじ係合を提供するように構成されたスレッドを含むことができる。さらに、スリーブ116は、薬剤チャンバ110を固定するように構成された本体部1164を含むことができる。本体部1164は、溝1164aのようなガイドを含むことができ、ガイドは、ガード106の機能に係合して、ガード106の軸方向変位の位置を合わせてそれをガイドするように構成される。図13に示されるように、スリーブ116の近位端は、薬剤チャンバ110の近位部分を支持および固定するように構成された薬剤チャンバ支持体1166を含むことができる。たとえば、支持体1166は、シリンジの近位端を保持するように構成されたシリンジ支持体(たとえば、予め充填されたシリンジのフランジ)として構成し、発射中に力が加えられた際に薬剤チャンバ110を支持することができる。さらに、支持体1166は、エラストマまたはラバーを含むことができ、また注射中に薬剤チャンバ110の面に加えられた力を分散し、輸送中の衝撃または使用中の不注意の破損から薬剤容器を保護するように構成することができる。加えて、図7Aおよび図13に示されるように、スリーブ116は、突出部1168のような様々な機能部を含むことができ、これは、スリーブ116を外側ハウジング102に結合させるように構成される。たとえば、突出部1168は、軸対称にされ、外側ハウジング102の開口部102bに係合して、スリーブ116を外側ハウジング102に固定するように構成することができる。例示的な実施形態では、突出部1168は、脚部1170に配置することができ、脚部1170は、軸対称にされ、外側ハウジング102の機能部に係合するように構成することができる。加えて、スリーブ116は、脚部1174に配置されたロッキング突出部1172のようなロック機能を含んでもよい。これは軸対称であってもよく、発射機構108のガード106の機能部に係合するように構成されてもよい。その結果として、注射装置100をロックアウトして、既に発射した注射装置100をユーザが使用しようとするのを阻止することができる。
【0044】
[00102]一実施形態では、環状構造1160は、スリーブ116を、薬剤チャンバ110(たとえばガラス薬剤チャンバ110)、発射機構108、およびガード106に係合するように構成された、いくつかの機能部を含む。たとえば、環状構造1160は、針112が受容される開口部を含むことができる。さらに、環状構造1160は、ガード106の脚部を受容するように構成され得る軸対称の開口部1178を含むことができる。加えて、環状構造1160は、薬剤チャンバ110の遠位部分を支持し、また発射機構108に係合して薬剤の排出中に発射機構108のさらなる軸方向変位を防止するように構成されてもよい。これらの部品の動作はさらに詳細に後述される。
【0045】
[00103]図1に示されるように、一実施形態では、注射装置100は、少なくとも部分的に外側ハウジング102内に摺動可能に装着されたガード106を含み、ガード106は、注射装置100の発射を作動させるためにトリガ部材300に係合するように構成される。図9Aおよび図9Bに示されるように、一実施形態では、ガード106は、伸張(たとえば、遠位、保護)位置および引込み(たとえば、近位)位置のそれぞれの間で、外側ハウジング102に対して摺動可能かつ移動可能である。一実施形態では、伸張位置においてガード106は針112を覆い、引込み位置において針112はガード106に覆われずに露出される。たとえば、図9Aは、ガード106を伸張位置で示し、図9Bは、ガード106を引込み位置で示す。図1に示されるように、一実施形態では、ガード106は、ばね114を介して伸張位置に向かって弾性的に付勢される。ばね114は、たとえば、スリーブ116の環状構造1160の遠位面とガード106の遠位端の内側面との間に配置されてもよい。
【0046】
[00104]例示的な実施形態では、ガード106は、遠位部分1060および脚部1062を含む。例示的な実施形態では、ガード106の遠位端は皮膚接触部材を含む。遠位部分1060は、針112が通過できる開口部、および突出部1060aを含む。例示的な実施形態では、ガード106がキャップ200の係合機能部204に係合されたときに近位方向に変位できないように、突出部1060aがキャップ200の係合機能部204に係合するように構成されてもよい。例示的な実施形態では、ガード106は停止面1070を含む。例示的な実施形態では、停止面1070は、ガード106の近位方向変位を制限するように、スリーブ116の環状構造1160の内側面に当接するように構成することができる。たとえば、ガード106が注射中にユーザにより加えられる力のもとで近位方向に変位するとき、停止面1070はスリーブ116の環状構造1160の内側面に接触し、それによってガード106はさらに近位方向へ変位することができなくなる。
【0047】
[00105]一実施形態では、ガード106の脚部1062は、環状構造1160の開口部1178に受容されるように構成される。さらに、脚部1062は、ガード106が軸方向に変位するときに脚部1062の位置を合わせ、またガイドするのを容易にするために、スリーブ116の溝1164aに係合するように構成されたリッジ(尾根部)1062aを含むことができる。図8の例示的な実施形態に示されるように、脚部1062はまた、脚部1062の近位端におけるカム面1064のような発射開始部材を含む。切欠き1062aは、ガード106の本体から脚部1062を離間することができる。例示的な実施形態では、脚部1062およびカム面1064は軸対称とすることができる。カム面1064は、注射装置100の発射を開始して薬剤チャンバ110に貯蔵された薬剤の注射を実行する際に、トリガ部材300に係合するように構成される。また、ガード106が伸張位置から引込み位置へ変位するときに脚部1062が発射機構108内に受容されやすいように、脚部1062の近位端は傾斜させられてもよい。図9Aおよび図9Bに示されるように、例示的な実施形態では、カム面1064は、浮動トリガ部材300のカム面308に係合するように構成される。一実施形態では、脚部1062は、傾斜面1068aをさらに含むばね1068の上に配置された突出部1066を含む。図13に示されるように、突出部1066は、伸張位置でガード106を付勢するばね114により加えられた力に対抗するように、スリーブ116の脚部1170の近位面に係合するように構成することができる。さらに、ガード106の脚部1062の傾斜面1068aは、スリーブ116の脚部1170の内側面に係合するように構成されてもよい。その結果、ガード106が伸張位置から引込み位置に変位するとき、ガード106の脚部1062の傾斜面1068aがスリーブ116の脚部1170の内側面に係合し、注射装置100の内側に向かってガード106の脚部1062のばね1068を付勢する。
【0048】
[00106]図9Aは、発射前の「使用準備完了(ready-to-use)」状態におけるガードのカム面1064と、浮動トリガ部材300のカム面308との係合を示す。図9Bは、トリガされた、または「ちょうど発射された(just-fired)」状態におけるガード106のカム面1064と浮動トリガ部材300のカム面308との係合を示す。ガード106が近位方向に移動すると、ガード106の軸方向運動が、カム面1064および308の係合を介して浮動トリガ部材300の回転運動に変換される。
【0049】
[00107]図10Aおよび図10Bに示されるような例示的な実施形態では、ラム1232を含むラム組立体122が、遠位部分1220および近位部分1222を含むことができる。これらは、エネルギー源120の座部として機能するように構成され得るリップ、棚のような機能部1224によって分離される。図13に示されるように、例示的な実施形態では、エネルギー源120としての圧縮ばねを、ハウジング102の近位端と機能部1224との間に配置することができる。図4に示されるように、例示的な実施形態では、ハウジング102は、エネルギー源120の座部として機能するように構成されたリップのような機能部102aを含む。機能部102aは、エネルギー源120がハウジング102内の機能部102aと接触したときに圧縮ばねの回転による摩擦を低減する要素として設計されるか、それらの要素を含むことができる。遠位部分1220を含むラム組立体122は、実質的に円筒形にされてもよく、スリーブ116およびガード106の少なくとも一部を同軸に受容するように構成されてもよい。また、遠位部分1220は、スリーブ116の脚部1170、およびガード106の突出部1066を受容するように構成された開口部1226を含むことができる。
【0050】
[00108]一実施形態では、近位部分1222は、脚部1228、ラム1232、およびトリガ係合部材1230を含む。トリガ係合部材1230は突出部として示されているが、代替的な実装形態も考えられる。トリガ係合部材1230は、発射前状態でラム保持部材に保持され、リガ係合部材の回転の際に解放され得る任意の機能部(たとえば、細長いタブ、薄いタブ、凹部、突起部、膨張部、スレッドなど)を含むことができる。
【0051】
[00109]図9Aおよび図9Bに示されるように、一実施形態では、ガード106のカム面1064、および浮動トリガ部材300のカム面308は、装置の発射のためにガード106を伸張位置から引込み位置に押圧するために必要な、選択された力および移動距離を達成するために、装置の長手方向軸に対して所定の角度に向けられる。いくつかの実施形態では、カム面は、軸に対して15°と75°との間の角度とされ、一実施形態では、約20°と45°との間の角度である。一実施形態では、カム面は軸に対して約30°の角度である。
【0052】
[00110]図10Aおよび図10Bに示されるように、脚部1228は、スリーブ116のロッキング突出部1172に係合するように構成された開口部1234を含む。これ以外の特定の送達体積を収容する開口部1234が、スリーブ116のロッキング突出部1172に係合するように遠位部分1220に構成されてもよいことが理解されるであろう。図10に示されるように、たとえば、スリーブ116のロッキング突出部1172は、注射装置100が発射された後にラム組立体122の開口部1234に係合され、注射装置100をロックアウトして、それ以降は針112を露出するガード106の引込みをユーザが開始できないようにする。ラム1232は、プランジャ118に関連付けられ、注射中に薬剤チャンバ110に含まれる薬剤を排出するためにエネルギー源120の力のもとでプランジャ118を遠位方向に変位させるように構成される。加えて、トリガ係合部材1230は、近位部分1222の近位端に配置され、浮動トリガ部材300の開口部302、およびハウジング端部/端部キャップ104のラム保持部材1042に係合するように構成することができる。トリガ係合部材1230と、開口部302およびラム保持部材1042との係合は、開口部302のトリガ係合部材1230の整合と同様に、注射装置100の発射を制御し、実行可能にすることができる。たとえば、トリガ係合部材1230は、ラム保持部材1042の溝1042aに係合するように構成された膨張部1230a、およびラム保持部材1042の膨張部1042bに係合するように構成された形状1230bを含むことができる。上述したように、トリガ係合部材1230およびラム保持部材1042は、好ましくは、注射装置100の発射中に浮動トリガ部材300の回転を可能にするために、円形断面を含む。図11は、トリガ係合部材1230(たとえば突出部)とラム保持部材1042の一実施形態との係合の実施形態の近接図である。
【0053】
[00111]いくつかの実施形態では、図17A、17B、17C、および17Dに示されるように、ラム組立体122のトリガ係合部材1230の膨張部1230aとハウジング端部/端部キャップ104のラム保持部材1042との係合が、ラッチ保持角度172を形成する。一実施形態では、ラッチ保持角度172は、軸170、およびラム保持部材1042の溝1042aの遠位部分とラム組立体122の膨張部1230aとの接触面によって規定される。いくつかの実施形態では、突出部1230およびラム保持部材1042は、係合されたとき、約10°、約11°、約12°、約13°、約14°、約15°、約16°、約17°、約18°、約19°、約20°、約21°、約22°、約23°、約24°、約25°、約26°、約27°、約28°、約29°、約30°、約31°、約32°、約33°、約34°、約35°、約36°、約37°、約38°、約39°、約40°、約41°、約42°、約43°、約44°、約45°、約46°、約47°、約48°、約49°、約50°、約51°、約52°、約53°、約54°、約55°、約56°、約57°、約58°、約59°、約60°、約61°、約62°、約63°、約64°、約65°、約66°、約67°、約68°、約69°、約70°、約71°、約72°、約73°、約74°、約75°、約76°、約77°、約78°、約79°、約80°、約81°、約82°、約83°、約84°、約85°、約86°、約87°、約88°、約89°、または上記の角度から決定可能な任意の範囲(たとえば、約39°から約41°もしくは約79°から約81°)のラッチ保持角度172を形成するような寸法および形状とされる。
【0054】
[00112]いくつかの実施形態では、発射前状態において、トリガ係合部材1230が、トリガ部材の開口部(たとえば、浮動トリガ部材300の開口部302またはトリガ部材1400の開口部1408(後でより詳細に説明される))の壁に係合され、ラム組立体122の膨張部1230aとハウジング端部/端部キャップ104のラム保持部材1042とが係合され、エネルギー源120がラム組立体122に作用する。一実施形態では、膨張部1230aとラム保持部材1042との係合が、エネルギー源120によってラム組立体122に加えられる遠位方向の力に対抗してラム組立体122を所定の位置に保持する。一実施形態では、発射前状態において、エネルギー源120が軸方向の力をラム組立体122に加え、その力がラム組立体122の突出部1230の膨張部1230aをラム保持部材1042の膨張部1042bに係合させる。一実施形態では、ラム組立体122のトリガ係合部材1230とラム保持部材1042との係合が、エネルギー源120からラム保持部材1042まで力を伝達する。一実施形態では、膨張部1230aは、膨張部1230aがラム保持部材1042に対して力を加えることがトリガ係合部材1230を広げ、トリガ部材の開口部(たとえば、浮動トリガ部材300の開口部302、またはトリガ部材1400の開口部1408)の壁に対して半径方向の力を加えるように構成される。一実施形態では、トリガ部材の開口部(たとえば、浮動トリガ部材300の開口部302、またはトリガ部材1400の開口部1408)の壁に対してトリガ係合部材1230が半径方向の力を与えることによって、トリガ部材(たとえば、浮動トリガ部材300またはトリガ部材1400)の任意の移動が摩擦力を受けるようになる。一実施形態では、トリガ部材とトリガ係合部材1230との間の摩擦力の大きさに影響する因子は、トリガ係合部材1230によってトリガ部材の開口部の壁に加えられる半径方向の力、およびトリガ係合部材1230とトリガ部材の開口部の壁との接触面間の相互作用の大きさを含む。一実施形態では、一般に、他のすべての変数を一定に保つ場合、トリガ係合部材1230によってトリガ部材の開口部の壁に加えられる半径方向の力の大きさが大きいほど、トリガ部材の移動によって発生する摩擦力が大きくなる。一実施形態では、一般に、他のすべての変数を一定に保つ場合、トリガ係合部材1230によるトリガ部材の開口部の壁に加えられる半径方向の力の大きさが小さいほど、トリガ部材の移動によって発生する摩擦力が小さくなる。一実施形態では、注射装置100を作動させるために、ユーザは、ガード106の遠位端に力を加えなければならず、その力がガード106をトリガ部材(たとえば、浮動トリガ部材300またはトリガ部材1400)に係合させ、注射装置100を作動させる。一実施形態では、ガード106の遠位端に加えられる力は、トリガ部材とトリガ係合部材1230との間の接触によって発生する摩擦力を克服するのに十分でなければならない。
【0055】
[00113]主ばね力が、その圧縮された発射前状態において、圧縮された主ばねの力が径方向よりも軸方向の方が大きいように抑止部品に対して作用する設計の実施形態では、その結果、潜在的により低いトリガ力が生じることになる。これは、前述のように主ばね力の圧縮された力が高ばね力である場合に、特に重要である。一実施形態では、発射前状態において、トリガ係合部材1230の膨張部1230aは、ラム保持部材1042に係合されたとき、ラム保持部材1042に対して軸方向の力と半径方向の力の両方を分散して加える。しかしながら、一実施形態では、膨張部1230aは、トリガ係合部材1230によってラム保持部材1042に向けられる半径方向の力に向かう力を付勢して、トリガ係合部材1230を外方に広げ、トリガ部材の開口部(たとえば、浮動トリガ部材300の開口部302、またはトリガ部材1400の開口部1408)の壁に係合させるように構成される。一実施形態では、ラッチ保持角度172は、ラム保持部材1042に加えられる軸方向の力および半径方向の力の大きさを決定する。一実施形態では、ラッチ保持角度172が増大すると、トリガ係合部材1230によってラム保持部材1042に加えられる半径方向の力が小さくなり、したがってトリガ係合部材1230が広がることで生じる摩擦力が減少する。一実施形態では、トリガ係合部材1230を広げるように作用する力が減少すると、トリガ部材の開口部(たとえば、浮動トリガ部材300の開口部302、またはトリガ部材1400の開口部1408)の壁に加えられる力が小さくなり、したがって、より大きなラッチ保持角度172を有する実施形態よりも、注射装置100を作動させるために必要とされる力が小さくなる。エネルギー源120が約19lbの荷重容量の高力ばねであり、ラッチ保持角度172が40°である一実施形態において、ユーザは、注射装置100を作動させるために、約2.5lb、約2.6lb、約2.7lb、約2.8lb、約2.9lb、約3.0lb、約3.1lb、約3.2lb、約3.3lb、約3.4lb、約3.5lb、約3.6lb、約3.7lb、約3.8lb、約3.9lb、約4.0lb、約4.1lb、約4.2lb、約4.3lb、約4.4lb、約4.5lb、約4.6lb、約4.7lb、約4.8lb、約4.9lb、約5.0lb、約5.1lb、約5.2lb、約5.3lb、約5.4lb、約5.5lb、約5.6lb、約5.7lb、約5.8lb、約5.9lb、約6.0lb、約6.1lb、約6.2lb、約6.3lb、約6.4lb、約6.5lb、約6.6lb、約6.7lb、約6.8lb、約6.9lb、約7.0lb、約7.1lb、約7.2lb、約7.3lb、約7.4lb、約7.5lb、約7.6lb、約7.7lb、約7.8lb、約7.9lb、約8.0lb、約8.1lb、約8.2lb、約8.3lb、約8.4lb、約8.5lb、約8.6lb、約8.7lb、約8.8lb、約8.9lb、約9.0lb、約9.1lb、約9.2lb、約9.3lb、約9.4lb、約9.5lb、約9.6lb、約9.7lb、約9.8lb、約9.9lb、約10.0lb、または上記のポンド質量から決定可能な任意の範囲(たとえば、約2.5lbから約3.5lbもしくは約3.4lbから約8.7lb)の摩擦力を克服する必要がある。エネルギー源120が約18lbの荷重容量を有する高力ばねであり、ラッチ保持角度172が80°である、別の実施形態では、ユーザは、注射装置100を作動させるために、約0.25lb、約0.30lb、約0.35lb、約0.40lb、約0.45lb、約0.50lb、約0.55lb、約0.60lb、約0.65lb、約0.70lb、約0.75lb、約0.80lb、約0.85lb、約0.90lb、約0.95lb、約1.00lb、約1.05lb、約1.10lb、約1.15lb、約1.20lb、約1.25lb、約1.30lb、約1.35lb、約1.40lb、約1.45lb、約1.50lb、約1.55lb、約1.60lb、約1.65lb、約1.70lb、約1.75lb、約1.80lb、約1.85lb、約1.90lb、約1.95lb、約2.00lb、約2.05lb、約2.10lb、約2.15lb、約2.20lb、約2.25lb、約2.30lb、約2.35lb、約2.40lb、約2.45lb、約2.50lb、約2.55lb、約2.60lb、約2.65lb、約2.70lb、約2.75lb、約2.80lb、約2.85lb、約2.90lb、約2.95lb、約3.00lb、約3.05lb、約3.10lb、約3.15lb、約3.20lb、約3.25lb、約3.30lb、約3.35lb、約3.40lb、約3.45lb、約3.50lb、約3.55lb、約3.60lb、約3.65lb、約3.70lb、約3.75lb、約3.80lb、約3.85lb、約3.90lb、約3.95lb、約4.00lb、約4.05lb、約4.10lb、約4.15lb、約4.20lb、約4.25lb、約4.30lb、約4.35lb、約4.40lb、約4.45lb、約4.50lb、約4.55lb、約4.60lb、約4.65lb、約4.70lb、約4.75lb、約4.80lb、約4.85lb、約4.90lb、約4.95lb、約5.00lb、または上記のポンド質量から決定可能な任意の範囲(たとえば、約0.25lbから約1.15lb、もしくは約2.10lb、から約3.80lb)の摩擦力に打ち勝てればよい。
【0056】
[00114]表1は、エネルギー源120が約18lbの荷重容量を有する高力ばねであり、ラッチ保持角度172が80°(設計A)および40°(設計B)である場合の、注射装置100を作動させるために摩擦力を克服するのに必要とされる例示的な力の値を示す。
【0057】
【表1】
【0058】
[00115]いくつかの実施形態では、ユーザは、注射装置100を作動させるために、摩擦力と、ばね114を介して伸張位置に向かってガード106を弾性的に付勢する力との両方を克服する必要がある。
【0059】
[00116]いくつかの実施形態では、エネルギー源120は、トリガ係合部材1230がトリガ部材の開口部(たとえば、浮動トリガ部材300の開口部302、またはトリガ部材1400の開口部1408)の壁にもはや係合されないときに、膨張部1230aとトリガ係合部材1230との係合を解除するために十分な力を発生させるように構成される。一実施形態では、トリガ係合部材1230がトリガ部材の開口部(たとえば、浮動トリガ部材300の開口部302、またはトリガ部材1400の開口部1408)の壁にもはや係合されないときに、膨張部1230aとトリガ係合部材1230との係合を解除するために必要とされる最小の軸方向の力は、約0.5lb、約1.0lb、約1.5lb、約2.0lb、約2.5lb、約3.0lb、約3.5lb、約4.0lb、約4.5lb、約5.0lb、約5.5lb、約6.0lb、約6.5lb、約7.0lb、約7.5lb、約8.0lb、約8.5lb、約9.0lb、約9.5lb、約10.0lb、約10.5lb、約11.0lb、約11.5lb、約12.0lb、約12.5lb、約13.0lb、約13.5lb、約14.0lb、約14.5lb、約15.0lb、約15.5lb、約16.0lb、約16.5lb、約17.0lb、約17.5lb、約18.0lb、または上記の負荷から決定可能な任意の範囲(たとえば、約2.5lbから約3.5lbもしくは約8.5lbから約9.5lb)である。他の実施形態では、部材1230がトリガ部材の開口部(たとえば、浮動トリガ部材300の開口部302、またはトリガ部材1400の開口部1408)の壁にもはや係合されないときに、膨張部1230aとトリガ係合部材1230との係合を解除するために必要とされる最小の軸方向の力は、ラム組立体122に作用するエネルギー源120によって発生する力の約10%、約15%、約20%、約25%、約30%、約35%、約40%、約45%、約50%、約55%、約60%、約65%、約70%、または上記のパーセンテージから決定可能な任意の範囲(たとえば、約15%から約20%もしくは約45%から約55%)である。
【0060】
[00117]一実施形態では、注射装置100は、ラム組立体122がハウジング端部/端部キャップ104に対して回転するのを防止する回転防止機構を含む。一実施形態では、回転防止機構は、ハウジング端部/端部キャップ104とラム組立体122の位置合わせを制御する。いくつかの実施形態では、ハウジング端部/端部キャップ104とラム組立体122の位置合わせが不適切であることにより、ラム組立体122のハウジング端部/端部キャップ104からの解放が妨げられるか、または薬剤送達が完了しない。一実施形態では、図18に示されるように、ハウジング端部/端部キャップ104が1つまたは複数の回転防止リブ1046を含む。他の実施形態では、ラム組立体122が1つまたは複数の回転防止リブ1236を有する。一実施形態では、トリガされる前に、ハウジング端部/端部キャップ104の回転防止リブ1046の位置がトリガ部材1400の溝1412内でラム組立体122の回転防止リブ1236に合わせられることで、ラム組立体122がハウジング端部/端部キャップ104に対して回転することが防止される。
【0061】
[00118]例示的な実施形態では、注射装置100は、発射前に「安全装置オン(safeties-on)」設定にあることが可能である。たとえば、発射前の「安全装置オン」設定において、注射装置100は発射前状態であり、キャップ200は注射装置100に取り付けられている。この構成において、ガード106は、ばね114の力のもとで針112を覆う伸張位置にあり、ラム組立体122は近位位置にあり、エネルギー源120はそのエネルギーを解放していない。さらに、この状態では、ラム組立体122のトリガ係合部材1230は、浮動トリガ部材300の開口部302に係合され、位置を開口部302の第1の位置302a(たとえば発射前状態)に合わせられる。さらに、トリガ係合部材1230は、ハウジング端部/端部キャップ104のラム保持部材1042に係合される。この位置において、ハウジング端部/端部キャップ104のラム保持部材1042を伴うトリガ係合部材1230は、エネルギー源120の力に対抗する。さらに、トリガ係合部材1230の位置が開口部302の第1の位置302aに合わせられることにより、開口部302の保持部306は、トリガ係合部材1230が広がって開いてエネルギー源120の力のもとでラム保持部材1042を解放するのを防止する。
【0062】
[00119]例示的な実施形態では、注射装置100は、発射前に「使用準備完了」状態にあることが可能である。たとえば、発射前の「使用準備完了」構成では、キャップ200が既に取り除かれているが、その一方でユーザは注射を開始していない。したがって、この状態では、薬剤はまだ薬剤チャンバ110内にあり、ガード106は針112を覆う伸張状態のままである。エネルギー源120は蓄積したエネルギーを解放しておらず、ラム組立体122のトリガ係合部材1230はラム保持部材1042に係合され、位置を浮動トリガ部材の開口部302の第1の位置(302a)に合わせられたままである。
【0063】
[00120]例示的な実施形態では、注射装置100は、トリガされた、または「ちょうど発射された」状態にあることが可能である。たとえば、トリガされた、または「ちょうど発射された」状態では、ガード106は、(たとえば、ガード106の遠位端に力を加えることにより)伸張位置から引込み位置に、近位方向に摺動可能に変位されており、それによって針112が露出する。エネルギー源120は、その蓄積されたエネルギーをちょうど解放し始めており(たとえば、例示的な圧縮ばねは圧縮されたままであり)、ラム組立体122は最も近位の位置のままである。注射装置100は、たとえば、ユーザによる使用の最初の段階でこの状態になり得る。たとえば、これは、注射を実行するために、ユーザが注射部位に対して注射装置100のガード106を押したときに観察することができる。したがって、注射部位に対して注射装置100のガード106を押す際にユーザにより加えられる力は、ばね114の力に抗してガード106を近位方向へ変位させることによってガード106を引込み位置に変位させ、針112を露出させて、注射部位でユーザの皮膚を貫通することができる。
【0064】
[00121]一実施形態では、このトリガされた状態において、ガード106は引込み位置に変位されており、ガード106のカム面1064が浮動トリガ部材300のカム面308に係合することによって浮動トリガ部材300をカム動作させる。このカム動作は、浮動トリガ部材300を回転させて、トリガ係合部材1230を開口部302の第1の位置から離脱させ、開口部302の第2の位置に合わせる。この位置では、トリガ係合部材1230は、開口部302の保持部306によって広がって開くことをもはや阻止されない。したがって、トリガ係合部材1230は、エネルギー源120の力のもとで広がって開き、膨張部1230aをハウジング端部/端部キャップ104のラム保持部材1042から解放させる。膨張部1230aのラム保持部材1042からの解放は、ラム組立体122がエネルギー源120により発生した力のもとでハウジング102に対して遠位方向に摺動可能に変位することを可能にする。一実施形態では、ラム組立体120の遠位方向変位は、スリーブ116の環状構造1160の近位面に当接するラム組立体120により阻止される。
【0065】
[00122]例示的な実施形態では、注射装置100は、「ちょうど注射された(just-injected)」状態にあることが可能である。この状態は、上述の膨張部1230aのラム保持部材1042からの解放、およびラム組立体122の遠位方向変位の後に続く。この状態において、エネルギー源120(たとえば圧縮ばね)はそのエネルギーを解放しており、それによりラム組立体122を遠位方向に変位させている。さらに、ガード106は引込み位置に押し込まれたままである。この状態は、注射装置100の使用中に観察することができ、トリガされた、または「ちょうど使用された(just-used)」状態の直後である。上述したように、浮動トリガ部材300のカム動作は、突出部1230を開口部302により規定される第2の位置に合わせ、トリガ係合部材1230が広がって開いて、エネルギー源120により解放される力のもとでラム保持部材1042を解放することを可能にする。したがって、エネルギー源120は、蓄積されたエネルギーの全部でないとしても少なくとも一部を解放しており(たとえば、圧縮ばねの圧縮が低減する)、ラム組立体122はラム1232と同様に遠位位置まで遠位方向に変位されている。ラム1232の遠位方向変位は、プランジャ118を遠位方向に付勢し、薬剤チャンバ110内の薬剤を針112を通してユーザに投与することで、薬剤をユーザに注射する。いくつかの実施形態ではこの状態において注射が完了するが、ガード106が針112を露出する引込み位置のままであるので、注射装置100は依然として注射部位に対して押される可能性がある。さらに、いくつかの実施形態では、ラム組立体122のこの遠位方向変位により、ラム組立体122がハウジング102の窓に表示される位置に配置される。例示的な実施形態では、ラム組立体122の遠位方向変位の後、ラム組立体122は、窓を完全に塞ぐように薬剤容器110とハウジング102との間に配置される。ラム組立体122だけが窓を通して視認可能になり、薬剤容器110はもはや視認されなくなる(たとえば、ラム組立体は薬剤容器110と窓との間に配置される)。さらに、ラム組立体122は、注射装置100が使用されたことをユーザに示す明確なインジケータとなる(上述のような)色を有することができ、この色は、発射の前に注射器の外側から視認可能な他の色と異なる。
【0066】
[00123]例示的な実施形態では、注射装置は、「ロックアウト(locked-out)」状態にあることが可能である。たとえば、「ロックアウト」状態は、ユーザが注射装置100を注射部位から除去した後に観察することができる。この状態において、ばね114の力に対して引込み位置にガード106を拘束するものがない。したがって、ガード106は、ばね114の力のもとで引込み位置から伸張位置に遠位方向に変位され、それによって針112を覆う。ガード106がばね114の力のもとで引込み位置から伸張位置へ遠位方向に移動すると、外側方向に付勢されたばね1068上に配置された突出部1066はスリーブ116の脚部1170の近位面と開口部1226の近位壁との間に形成された開口部に係合する。したがって、突出部1066と開口部1226の近位壁との関連付けは、ガード106が近位方向に変位するのを防止し、突出部1066と脚部1170の近位面との関連付けは、ガード106が遠位方向に変位するのを防止する。したがって、ガード106はロック位置にあり、それにより注射装置100をロックアウトして、針112が覆われ、ユーザが以降の注射を試みることができないように所定の位置にガード106がロックされるようにする。その後、ユーザは、注射装置100の遠位端上にキャップ200を戻して取り付けることができる。
【0067】
[00124]有利には、一実施形態では、この「ロックアウト」状態は、ガード106の変位には依存せず、むしろ、薬剤チャンバ110に貯蔵された薬剤の排出、および/またはラム組立体122の移動に依存する。たとえば、注射装置100は、ガード106が変位していなくても、薬剤が不注意に排出される状況でロックアウト状態になる。注射装置100は、エネルギー源120が作動され、ラム組立体122が遠位方向に変位し、ラム1232がプランジャ118を変位させ、それにより薬剤チャンバ110内の薬剤を排出させる場合に、ロックアウト状態になってもよい。
【0068】
[00125]例示的な実施形態では、注射装置100の部品の多くが、弾性のあるプラスチックもしくはポリマー、または金属で形成される。一実施形態では、ラム組立体122の突出部1230は、ラム組立体122を単一のモールドを使用して成形できるように配向される。たとえば、図10に示されるように、突出部1230(いくつかの実施形態では互いに軸対称である)は、脚部1228(いくつかの実施形態では互いに軸対称である)のようなラム組立体122の他の機能の配置に対して所定の角度で配置されてもよい。たとえば、図12に示されるように、単一のモールドがAで示されるラム組立体120の部分(すべての機能、部品、開口部など、1228Aを含む)を成形してもよく、単一のモールドがBで示されるラム組立体の部分(すべての機能、部品、開口部など、1228Bを含む)を成形してもよい。それゆえ、いくつかの実施形態では、突出部1230の各面が2つのモールドを分割する方向に沿ってアクセス可能であり、2つのモールドはそれらの分割および取外しを邪魔する分離方向に対して直交して面する突出部1230の凹部をもたずに、直線的に分割することができる。
【0069】
[00126]さらに、キャップ200は、穴/開口部なしに成形できるように、らせん状に構成することができる。たとえば、キャップ200は、キャップ200がモールドからねじ式に取り外されることを可能にするスレッド206を含むことができる。さらに、外側ハウジング102は、(たとえば、図1に示されるように)ユーザが注射装置100の内側の動作を視認できるように、また不具合がないかどうか確認できるように、半透明の材料を含むことができる。加えて、注射装置100は、注射装置100をより人間工学的に使用しやすくするため、およびユーザにとって快適にするために、リッジ、パッド、またはコンターなどの様々な把持要素を含むことができる。さらに、注射装置100は、注射を行うのに必要な工程を指示するためのステッカー、ブランドマーク、薬剤情報、数値、または矢印などのマーキング、およびブランドやロゴデザインのような広告マークの領域を含むことができる。
【0070】
[00127]本発明の例示的な実施形態が本明細書に開示されたが、多数の修正形態および他の実施形態が当業者によって考案され得ることが理解されよう。たとえば、様々な実施形態の特徴が他の実施形態で使用され得る。他の実施形態は、トリガ係合部材1230およびトリガ部材に対する作用によりラム組立体122を解放させるために異なる機構を含むことができる。たとえば、一実施形態では、注射装置100は、図14Aおよび図14Bに示されるように、トリガ部材1400を含む。一実施形態では、トリガ部材1400は、本体1402、および本体1402から延びる脚部1404を有する。一実施形態では、本体1402はリップ1410を含む。一実施形態では、リップ1410は、(より詳細に後述され図15Dで見られるように)ガード1500の面1504に係合するように構成される。いくつかの実施形態では、脚部1402は、脚部1404の遠位端から延びるタブ1406を有する。一実施形態では、タブ1406は、ガード1500に摺動可能に係合するような形状および寸法にされる。さらに、一実施形態では、トリガ部材1400は、本体1402を貫通して配置される開口部1408を含む。一実施形態では、開口部1408は、発射機構108のトリガ係合部材1230に係合するように構成される。一実施形態では、トリガ係合部材1230の膨張部1230aの係合により、注射装置が発射するのが防止される。一実施形態では、トリガ部材1400は、近位方向の軸方向運動により、開口部1408と突出部1230との係合を解除する。図14Cは、トリガ部材1400の別の実施形態を示す。いくつかの実施形態では、トリガ部材1400は、回転防止機構の一部として溝1412を含む。
【0071】
[00128]図15Aから図15Hに示されるように、一実施形態では、注射装置100はガード1500を含む。一実施形態では、ガード1500は脚部1502を含む。別の実施形態では、脚部1502は、脚部1502の近位端における面1504のような発射開始部材を有する。一実施形態では、面1504は、トリガ部材1400のリップ1410に係合するように構成される。一実施形態では、脚部1502は、環状構造1160の開口部1178に受容されるように構成される。一実施形態では、脚部1502はリッジ1506を含み、リッジ1506は、ガード1500が軸方向に変位されるときに、脚部1502の位置を合わせてガイドするのを容易にするために、スリーブ116の溝1164aに係合するように構成される。例示的な実施形態では、脚部1502および面1504は軸対称である。一実施形態では、面1504は、注射装置100の発射を開始して薬剤チャンバ110に貯蔵された薬剤の注射を実行する際に、発射機構108に係合するように構成される。一実施形態では、面1504は、ガード1500が伸張位置から引込み位置へ変位するときにトリガ部材1400のリップ1410に係合するような形状にされる。一実施形態では、脚部1502は開口1508を含む。一実施形態では、開口1508は、トリガ部材1400のタブ1406に係合するような寸法および形状にされる。一実施形態では、開口1508は、タブ1406が開口1508に摺動可能に係合することができる寸法および形状にされる。一実施形態では、図16Aおよび図16Bに示されるように、開口1508とタブ1406とが摺動可能かつ係合可能な構成であるとき、ガード1500は、トリガ部材1400の移動なしに所定の距離だけ軸方向に移動することができる。別の実施形態では、図16A図16B、および図16Cに示されるように、開口1508とタブ1406とが摺動可能かつ係合可能な構成であるとき、ガード1500がトリガ部材1400を移動させることなく所定の距離を軸方向に移動した後、所定の距離を越えたガード1500の軸方向移動はトリガ部材1400の軸方向移動を引き起こす。
【0072】
[00129]一実施形態では、開口1508は、開口1508内へのタブ1406のスナップフィットを可能にする寸法および形状にされる。一実施形態では、開口1508およびタブ1406がスナップフィット構成であるとき、ガード1500の軸方向移動が、トリガ部材1400の直接的な軸方向移動を引き起こし、トリガ部材1400も移動させなければガード1500が軸方向移動できなくなる。一実施形態では、近位方向でのトリガ部材1400の直接的な軸方向移動が、トリガ部材1400の開口部1408と発射機構のトリガ係合部材1230との係合を解除し、それが膨張部1230aとラム保持部材1042との係合を解除する。一実施形態では、ハウジング端部/端部キャップ104のラム保持部材1042とトリガ係合部材1230との係合の解除が、注射装置100に発射を実行させる。
【0073】
[00130]図示されないが、トリガ部材1400に配置された開口とタブとが摺動可能に、または直接的に連通できるように、タブまたは突起部がガード1500の脚部1502に配置され得ることも考えられる。
【0074】
[00131]他の実施形態は、ハウジングの外側でアクセス可能なスライドその他の要素を介するなどしてユーザが浮動トリガ部材300を直接的に回転させることによるもの、または指で押すボタンなど浮動トリガ部材を回転させる他の変換機構によるもののような、トリガ係合部材1230をトリガ部材から解放するための異なる機構を含むことができる。このように、添付の請求の範囲は、本発明の趣旨および範囲に含まれるすべてのそのような修正形態および実施形態を包含することを意図することが理解されよう。
【0075】
[00132]図28から図36を参照すると、一実施形態では、注射装置100は安全キャップ402を含むことができる。安全キャップ402は、注射装置100の遠位端に取外し可能に取り付けることができる。一実施形態では、安全キャップ402は、ねじ係合を介して注射装置100の遠位端に取外し可能に取り付けることができる。他の実施形態では、安全キャップ402は、スナップフィット、締まり嵌め、留め具、または接着剤を介して注射装置100に取外し可能に結合され得る。安全キャップ402は、注射装置100に対して安全キャップ402を引く、押す、またはねじることによって、注射装置100から除去され得る。安全キャップ402が注射装置100に取り付けられるとき、安全キャップ402は、注射装置100が不注意または偶発的にトリガされないことを保証するのに寄与する。たとえば、安全キャップ402は、(たとえば、製造中、輸送中、または意図された使用の前の)針406の意図されない露出を防止するように構成され得る。
【0076】
[00133]一実施形態では、安全キャップ402は、端壁421および端壁開口部403を含むことができる。端壁421および端壁開口部403は、針406が安全キャップ402内に配置されることを可能にするように構成され得る。安全キャップ402は、アーム410を含むことができる。アーム410は、針シールドの裏面に係合するように構成された係合機能部を含むことができる。アームは可撓性であり得る。
【0077】
[00134]図30を参照すると、一実施形態では、針シールド404は針406に連結され得る。針シールド404は、針406を保護するために針406の周りに配置され得る。たとえば、針シールド404は、針406を部分的に取り囲んで、針406が組立てまたは格納中に保護されることを保証することができる。いくつかの実施形態では、針シールド404は可撓性または弾性である。他の実施形態では、針シールド404は剛性であり、または針シールド404の少なくとも一部分が剛性である。安全キャップ402のアーム410は、キャップ402がハウジング419に結合され、針シールド404がアーム410によって画定される凹部内に移動されると、半径方向外方に撓むことができる。針406が安全キャップ402内に配置されたとき、針シールド404は針406の周りに配置され得る。
【0078】
[00135]さらに図30を参照すると、一実施形態では、針シールド404の少なくとも一部分は、安全キャップ402が注射装置100に取り付けられたとき、安全キャップ402の遠位端408を通って軸方向に延びる。たとえば、安全キャップ402が注射装置100に取外し可能に取り付けられたとき、針シールド404は針406の周りに配置されてよく、また、安全キャップ402内に配置されて、針シールド404が安全キャップ402の遠位端408から延出するようにしてもよい。いくつかの実施形態では、針シールド404の一部分は、注射装置100に安全キャップ402が結合されたときに端壁開口部403内にある。他の実施形態では、針シールド404は、注射装置100に安全キャップ402が結合されたときに端壁開口部403内にない。端壁開口部403は、端壁開口部403を画定する端壁421の一部分と針シールド404が係合するような大きさであってよい。針シールド404の一部分が端壁開口部403内にあるとき、針シールド404は圧縮可能であってよく、針シールド404は圧縮されてよい(たとえば、半径方向または軸方向に圧縮されてよい)。針シールド404が端壁開口部403内にあるとき、針シールド404は、端壁421と流体密シールを形成することができる。
【0079】
[00136]一実施形態では、安全キャップ402は針シールド除去装置405を含むことができる。針シールド除去装置405は、安全キャップ402の近位端407に配置され得る。針シールド除去装置405は、注射装置100から安全キャップ402が除去されている間、針406から針シールド404を除去するように構成され得る。たとえば、注射装置100が使用できる状態にある場合、安全キャップ402が除去され、それにより、針シールド404を除去して針406を露出させることができる。針シールド除去装置405はアーム410を含むことができる。
【0080】
[00137]図31から図36を参照すると、注射装置100は針ガード412を含むことができる。針ガード412は、注射装置100のハウジング419に移動可能に結合され得る。たとえば、針ガード412は、格納位置、注射前位置、注射位置、および注射後位置の間で移動可能とすることができる。付勢要素409は、針ガード412を伸張位置(図32)に向かって付勢することができる。一実施形態では、安全キャップ400が注射装置100に取り付けられたとき、針ガード412は、針ガード412が部分的に引っ込められた格納位置にあることができる。たとえば、安全キャップ402が注射装置100に取り付けられたとき、針ガード412の遠位端423は、安全キャップ402の底面415に当接して、針ガード412が付勢要素409からの力で完全に延びるのを防止することができる。
【0081】
[00138]図32を参照すると、針ガード412の遠位端423は、引込み位置においてハウジング419から距離dを延びることができる。距離dは、約1.016cm(約0.4インチ)、約1.27cm(約0.5インチ)、約1.524cm(約0.6インチ)、約1.778cm(約0.7インチ)、約2.032cm(約0.8インチ)、約2.286cm(約0.9インチ)、または約2.54cm(約1インチ)であり得る。針ガード412が格納位置にあり、したがって部分的に引っ込められたとき、トリガ部材300またはトリガ部材1400は発射前構成にあり得る。
【0082】
[00139]図33を参照すると、注射装置100から安全キャップ402が除去されたとき、針ガード412は、針ガード412が完全に延ばされた位置である注射前位置へ移動することができる。安全キャップ402がハウジング419から取り外されると、付勢要素409が針ガード412を移動させることができる。針ガード412の遠位端は、注射前位置においてハウジング419から距離dを延びることができる。距離dは、約1.016cm(約0.4インチ)、約1.27cm(約0.5インチ)、約1.524cm(約0.6インチ)、約1.778cm(約0.7インチ)、約2.032cm(約0.8インチ)、約2.286cm(約0.9インチ)、約2.54cm(約1インチ)、約2.794cm(約1.1インチ)、約3.048cm(約1.2インチ)、約3.302cm(約1.3インチ)、約3.556cm(約1.4インチ)、または約3.81cm(約1.5インチ)であり得る。
【0083】
[00140]一実施形態では、ハウジング419から安全キャップ402を分離すると同時に、針ガード412が注射前位置へ移動することになり得る。針ガード412が注射前位置にあるとき、針ガード412は完全に延ばされてよい。安全キャップ402を除去することにより、針406から針シールド404を除去することもできる。いくつかの実施形態では、ハウジング419から安全キャップ402を除去することは、同時に、針ガード412を注射前位置に移動させ、針406から針シールド404を除去する。針ガード412は、安全キャップ402の近位端407が針406の遠位端を越えて軸方向に移動される前に、注射前位置にあり得る。針ガード412が注射前位置にあって、針406から針シールド404が完全に除去される前に完全に延びることにより、針406との不注意な接触を防止することができる。一実施形態では、針ガード412が注射前位置にあるとき、針ガード412の遠位端423は、針ガード412が格納位置にあるときよりも、ハウジング419から遠くにあり得る。いくつかの実施形態では、距離dは距離dよりも長い。
【0084】
[00141]図34から図35を参照すると、針ガード412は、針ガード412の遠位端423に加えられる力によって、引っ込められ、または注射前位置から注射位置へ移動され得る。たとえば、針ガード412の遠位端423が注射部位などの表面に接触すると、力が針ガード412の遠位端423に加えられ、結果として針ガード412が引き込むことができる。針ガード412が注射前位置(図33)から注射位置(図35)へ移動されると、針ガード412は、トリガ部材(たとえば、トリガ部材300またはトリガ部材1400)を移動させて注射を引き起こすことができる。針ガード412は、針ガードが注射位置にある前に(たとえば、針ガードが図34のトリガ位置にあるときに)、トリガ部材を移動させて注射シーケンスを開始することができる。針ガード412がトリガ部材をトリガするとき、針ガード412の遠位端423はハウジング419から距離dにあり得る。いくつかの実施形態では、距離dは、約0.127cm(約0.05インチ)、約0.254cm(約0.1インチ)、約0.381cm(約0.15インチ)、約0.508cm(約0.2インチ)、または約0.635cm(約0.25インチ)であり得る。
【0085】
[00142]図35を参照すると、針ガード412は、針ガード412が引っ込められて針406を通して薬剤を注射するために針406を露出する注射位置に移動され得る。いくつかの実施形態では、針ガード412は、注射位置において完全に引っ込められる。針ガード412の遠位端423は、針ガードが注射位置にあるとき、距離dにあり得る。いくつかの実施形態では、距離dは、約0.0254cm(約0.01インチ)、約0.0762cm(約0.03インチ)、約0.127cm(約0.05インチ)、約1.905cm(約0.75インチ)、または約0.254cm(約0.1インチ)である。針ガード412が注射位置にあるとき、針ガード412の遠位端423はハウジング419に隣接することができる。距離dは距離dよりも長くてよい。一実施形態では、針ガード412が注射位置にあり、したがって完全に引っ込められたとき、トリガ部材は発射構成にあり得る。針ガード412が注射位置にあり、完全に引っ込めた結果、注射装置100から針406を通して薬剤が発射され得る。
【0086】
[00143]図36を参照すると、針ガード412は、注射装置100が注射部位から除去されたとき、注射後位置へ移動することができる。針ガード412は、薬剤が発射された後、注射後位置へ移動することができる。注射装置100が注射部位から除去されたとき、バイアス要素409が針ガード412を注射後位置へ移動させることができる。針ガード412は、注射後位置において完全に延ばされ得る。針ガード412の注射後位置は、注射前位置と同様であってよい。針ガード412の遠位端423は、針ガード412が注射後位置にあるとき、ハウジング419から距離dにあり得る。いくつかの実施形態では、距離dは、約1.016cm(約0.4インチ)、約1.27cm(約0.5インチ)、約1.524cm(約0.6インチ)、約1.778cm(約0.7インチ)、約2.032cm(約0.8インチ)、約2.286cm(約0.9インチ)、または約2.54cm(約1インチ)であり得る。いくつかの実施形態では、距離dと距離dは等しい。他の実施形態では、距離dは距離dよりも長い。さらに他の実施形態では、距離dは距離dよりも長い。
【0087】
[00144]針ガード412が注射後位置にある結果、前述のように針ガード412がロックアウトされ得る。針ガード412がロックアウトされることにより、針ガード412が引っ込むのを防止することができる。注射後位置において針ガード412がロックアウトされることにより、針ガード412の軸方向移動を防止し、したがって針406の露出を防止することができる。さらに、針ガード412が注射後位置にあることにより、注射の繰り返し、または針406との不注意な接触を防止する。
【0088】
[00145]一実施形態では、注射器100によって投与される薬剤は、ナロキソン、またはその薬学的に許容される塩、溶媒和物、水和物、共結晶、またはプロドラッグを含む。一実施形態では、薬剤はナロキソン塩酸塩を含む。一実施形態では、薬剤はナロキソン塩酸塩脱水を含む。一実施形態では、薬剤は、ナロキソンまたはその薬学的に許容される塩を含む。
【0089】
[00146]一実施形態では、薬剤は、エデト酸二ナトリウム(EDTA)、D-グルコン酸δ-ラクトン、グルコン酸ナトリウムまたはグルコン酸カリウム、三リン酸ナトリウム、ヘキサメタリン酸ナトリウム、およびその薬学的に許容される塩からなる群から選択されるキレート剤をさらに含む。
【0090】
[00147]一実施形態では、薬剤は、エデト酸二ナトリウム(EDTA)をさらに含む。一実施形態では、薬剤は、約0.001から1% wt/v%、約0.002から1% wt/v%、約0.003から1% wt/v%、約0.004から1% wt/v%、約0.005から1% wt/v%、約0.006から1% wt/v%、約0.007から1% wt/v%、約0.008から1% wt/v%、約0.009から1% wt/v%、約0.01から1% wt/v%、約0.02から1% wt/v%、約0.03から1% wt/v%、約0.04から1% wt/v%、約0.05から1% wt/v%、約0.06から1% wt/v%、約0.07から1% wt/v%、約0.08から1% wt/v%、約0.09から1% wt/v%、約0.1から1% wt/v%、約0.2から1% wt/v%、約0.3から1% wt/v%、約0.4から1% wt/v%、約0.5から1% wt/v%、約0.6から1% wt/v%、約0.7から1% wt/v%、約0.8から1% wt/v%、約0.9から1% wt/v%、約0.01から0.1% wt/v%、約0.02から0.1% wt/v%、約0.03から0.1% wt/v%、約0.04から0.1% wt/v%、約0.05から0.1% wt/v%、約0.06から0.1% wt/v%、約0.07から0.1% wt/v%、約0.08から0.1% wt/v%、約0.09から0.1% wt/v%、約0.02から0.09% wt/v%、約0.03から0.08% wt/v%、約0.04から0.07% wt/v%、または約0.05から0.06% wt/v%の量のEDTAをさらに含む。
【0091】
[00148]一実施形態では、薬剤は、約0.001wt/v%、約0.002wt/v%、約0.003wt/v%、約0.004wt/v%、約0.005wt/v%、約0.006wt/v%、約0.007wt/v%、約0.008wt/v%、約0.009wt/v%、約0.01wt/v%、約0.02wt/v%、約0.03wt/v%、約0.04wt/v%、約0.05wt/v%、約0.06wt/v%、約0.07wt/v%、約0.08wt/v%、約0.09wt/v%、約0.1wt/v%、約0.15wt/v%、約0.20wt/v%、約0.25wt/v%、約0.30wt/v%、約0.35wt/v%、約0.40wt/v%、約0.45wt/v%、約0.50wt/v%、約0.55wt/v%、約0.60wt/v%、約0.65wt/v%、約0.70wt/v%、約0.75wt/v%、約0.80wt/v%、約0.85wt/v%、約0.90wt/v%、約0.95wt/v%、または約1wt/v%の量のEDTAをさらに含む。
【0092】
[00149]一実施形態では、薬剤は、1つまたは複数の張性調整剤、たとえば、デキストロース、グリセリン、マンニトール、塩化カリウム、塩化ナトリウム、またはこれらの組合せのうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0093】
[00150]一実施形態では、薬剤は、1つまたは複数のpH調整剤、たとえば、塩酸、クエン酸、酢酸、リン酸、またはこれらの組合せのうちの少なくとも1つをさらに含む。
[00151]一実施形態では、本明細書に記載される薬剤は、注射装置100によって、それを必要とするヒト被験者に投与される。別の実施形態では、本明細書に記載される薬剤は、付属書類Aに記載される注射装置によって、それを必要とするヒト被験者に投与される。
【0094】
[00152]ナロキソンは、化学的には、17-アリル-4,5α-エポキシ,3,14-ジヒドロキシモルフィナン-6-オンとして知られる。それは弱塩基であり、pKaは7.9、logPは1.92である実験式はC1921NOであり、分子量は327.38である。ナロキソンの構造式が以下に示される。
【0095】
【化1】
【0096】
[00153]ナロキソン塩酸塩は、ナロキソン塩酸塩注射剤の有効成分であり、ナロキソン塩酸塩二水和物として供給される。ナロキソン塩酸塩は、白色からわずかに灰色の粉末として生じ、水溶性であり、アルコールに溶けにくく、エーテルまたはクロロホルムにほとんど溶けない。ナロキソン塩酸塩二水和物は分子量が399.87であり、ナロキソン塩酸塩の分子量は363.84である。したがって、1.1mgのナロキソン塩酸塩二水和物は、1.0mgのナロキソン塩酸塩に相当する。
【0097】
[00154]一実施形態では、ナロキソン塩酸塩注射用の薬剤容器は、注射用の標準的パッケージングコンポーネントを含む。ナロキソン塩酸塩は、ラテックスフリーのソフト針シールドで保護された固定シリコン処理ステンレス鋼針が装着されたシリコン処理USPタイプI透明ガラスシリンジバレルに無菌的に充填される。薬剤容器は、ラテックスフリーの灰色クロロブチル・エラストマ・プランジャストッパからなる。開発安定性に使用されるシリンジおよびストッパが表5に示される。一実施形態では、22G 5/8”(1.5875cm)針を有するOmpiシリンジが、衣服を介する送達のために使用される。一実施形態では、27G 1/2”(1.27cm)針を有するScottシリンジが、衣服を介する送達のために使用される。図19にOmpiシリンジの図が示される。評価された2つのタイプのプランジャストッパは、West Pharmaceutical Servicesによるシリコン処理灰色クロロブチル・ストッパであり、品目10149656はB2-40フルロテック(flurotec)コーティングを含む。フルロテックコーティングを有するストッパは、非常に低い粒状レベルおよび効果的なバリアの利点を有し、薬物とクロージャとの間の相互作用を最小限にするが、フィルム剛性のため真空ストッパの使用を必要とする。
【0098】
[00155]一実施形態では、注射装置100および5030を含む本明細書に記載される注射器は、ナロキソン塩酸塩を含む薬剤を含む。一実施形態では、薬剤は、0.4mgまたは2mgのナロキソン塩酸塩の最終投与量を得るために、単回の0.4mL投与量で筋肉内または皮下注射により投与される注射用のナロキソン塩酸塩を含む無菌の非発熱性透明無色水溶液を含む。一実施形態では、ナロキソン塩酸塩組成物は、場合によっては衣服を介して緊急使用するために、22G 5/8”(1.5875cm)針を有する1mLの長い予め充填されたシリンジに含まれる。一実施形態では、薬剤は、ナロキソン塩酸塩注射剤のUSPモノグラフ(USP40、ナロキソン塩酸塩注射剤)に適合する。USP40は、注射用の水中のナロキソン塩酸塩の無菌の等張溶液としてナロキソン塩酸塩注射剤を定義する。それは、ナロキソン塩酸塩(C1921NO4.HCl)の表示量の90.0%より多く110.0%より少ない量を含む。ナロキソン塩酸塩注射剤は、光に敏感であり、光からの保護が必要である。一実施形態では、薬剤は表2によって定義される。
【0099】
【表2】
【0100】
【表3】
【0101】
[00156]注射装置100は、注射毎に約3mLまでの注射を提供することができるが、代替的な実施形態では、他の体積分が注射され得る。いくつかの実施形態では、注射装置100は、注射毎に1mLより多い注射を提供することができる。他の実施形態では、注射装置100は、約0.2mLから約0.3mLの範囲の注射を提供することができる。一実施形態では、注射装置100は、本明細書に記載される0.4mlナロキソン製剤の注射を提供することができる。
【0102】
[00157]一実施形態では、注射装置100は、水溶液に溶解された0.5mlまたは0.4mlの薬剤を、約0.1秒、約0.2秒、約0.3秒、約0.4秒、約0.5秒、約0.6秒、約0.7秒、約0.8秒、約0.9秒、約1.0秒、または上記の時間から決定可能な任意の範囲(たとえば、約0.5秒から約1.0秒もしくは約0.4秒から約0.6秒)で注射することができる。別の実施形態では、注射装置100は、油に溶解された0.5mlまたは0.4mlの薬剤を、約5秒、約6秒、約7秒、約8秒、約9秒、約10秒、約11秒、約12秒、約13秒、約14秒、約15秒、または上記の時間から決定可能な任意の範囲(たとえば、約6秒から約7秒もしくは約5秒から約15秒)で注射することができる。代替的な実施形態では、注射装置100は、粘着性物質を、およそ表1および表2に示されるような駆出時間で注射することができる。他の体積および時間は、上述の情報ならびに表4および表5から決定可能である。
【0103】
[00158]表4および表5は、注射装置100の一実施形態に関して、粘性油の薬剤の観測された注射時間を示す。
【0104】
【表4】
【0105】
【表5】
【0106】
[00159]例示的な実施形態によれば、注射装置100は、予め充填されたシリンジ内に貯蔵された薬剤を注射するように構成することができる。吹込みガラスプロセスにより製造された予め充填されたシリンジは、有意な寸法公差およびむらを有する可能性がある。したがって、注射装置100の特徴が、形状の不規則性に対応し、また、予め充填されたシリンジを注射装置100内に適切に位置決めおよび配置する役割を担うことができる。ポリマーで形成された予め充填されたシリンジなど他の薬剤容器も収容され得る。さらに、一実施形態では、注射装置100は、針支援式ジェット注射器として構成することができ、これは、約1000psiより小さい注射中のピーク圧力を提供し、一実施形態では500psiより小さく、別の実施形態では約400psiより小さい。一実施形態では、注射装置100は、約300psi、約325psi、約350psi、約375psi、約400psi、約425psi、約450psi、約475psi、約500psi、約525psi、約550psi、約575psi、約600psi、約625psi、約650psi、約675psi、約700psi、約725psi、約750psi、約775psi、約800psi、約825psi、約850psi、約875psi、約900psi、約925psi、約950psi、約975psi、約1000psi、約1025psi、またはピーク圧力から決定可能な任意の範囲(たとえば、約500psiから約650psi、もしくは約1000psiから約1025psi)の注射中のピーク圧力を提供することができる。注射の終わりに薬剤に加えられる圧力は、一実施形態では、少なくとも約80psiであり、別の実施形態では、少なくとも約90psiであり、別の実施形態では、少なくとも約100psiである。一実施形態では、注射の終わりに薬剤に加えられる圧力は、約50psi、約60psi、約70psi、約80psi、約90psi、約100psi、約110psi、約120psi、約130psi、または圧力から決定可能な任意の範囲(たとえば、約50psiから約60psi、もしくは約100psiから約110psi)である。一実施形態では、初期圧力は約330psiとすることができ、最終圧力は約180psiとすることができ、他の実施形態では、初期圧力は約400psiとし、注射の終わりで約300psiに低下させることができる。これらの例示的な圧力は、たとえば、約0.2mL/secから約1.20mL/secの流量をもたらし、一実施形態では約1.0mL/secの流量をもたらす。一実施形態では、流量は約0.2mL/secより大きい。一実施形態では、注射装置100は、射出が難しい薬剤の迅速な射出のために必要とされるような、エネルギー源、たとえば高力ばね(high force spring)を含むことができる。一実施形態では、エネルギー源は、約18lb(lb:ポンド)の荷重容量、約18.5lbの荷重容量、約19lbの荷重容量、約19.5lbの荷重容量、約20lbの荷重容量、約20.5lbの荷重容量、約21lbの荷重容量、約21.5lbの荷重容量、約22lbの荷重容量、約22.5lbの荷重容量、約23lbの荷重容量、または上記の荷重容量から決定可能な任意の範囲(たとえば、約18lbの荷重容量から約23lbの荷重容量、もしくは約18lbの荷重容量から約19lbの荷重容量)の高力ばねである。高力ばねは、薬物の迅速な送達が全用量の注射を保証するために重要な状況で所望されることがあり、これは、ユーザが時期尚早に注射器を注射部位から除去するのを防止することになる。薬剤は、高い粘度のため、または、それらの粘度と、29ゲージの予め充填されたシリンジのような微細な穴の針を使用して薬剤を送達する治療上の必要性との組合せのため、射出が難しい可能性がある。注射が難しい薬剤のためのこれらの例示的な高ばね力の結果として、約0.03mL/secから約1.0mL/secの流量が生じ得る。一実施形態では、本明細書に記載される注射器のばね力は、約5から23lbf、約6から22lbf、約7から21lbf、約8から20lbf、約9から19lbf、約10から18lbf、約11から17lbf、約12から16lbf、約13から15lbf、約13から14lbf、約5から20lbf、約6から20lbf、約7から20lbf、約8から20lbf、約9から20lbf、約10から20lbf、約11から20lbf、約12から20lbf、約13から20lbf、約14から20lbf、約15から20lbf、約16から20lbf、約17から20lbf、約18から20lbf、約19から20lbf、約5から19lbf、約6から19lbf、約7から19lbf、約8から19lbf、約9から19lbf、約10から19lbf、約11から19lbf、約12から19lbf、約13から19lbf、約14から19lbf、約15から19lbf、約16から19lbf、約17から19lbf、約18から19lbf、約5から18lbf、約6から18lbf、約7から18lbf、約8から18lbf、約9から18lbf、約10から18lbf、約11から18lbf、約12から18lbf、約13から18lbf、約14から18lbf、約15から18lbf、約16から18lbf、約17から18lbf、約5から17lbf、約6から17lbf、約7から17lbf、約8から17lbf、約9から17lbf、約10から17lbf、約11から17lbf、約12から17lbf、約13から17lbf、約14から17lbf、約15から17lbf、約16から17lbf、約5から16lbf、約6から16lbf、約7から16lbf、約8から16lbf、約9から16lbf、約10から16lbf、約11から16lbf、約12から16lbf、約13から16lbf、約14から16lbf、約15から16lbf、約5から15lbf、約6から15lbf、約7から15lbf、約8から15lbf、約9から15lbf、約10から15lbf、約11から15lbf、約12から15lbf、約13から15lbf、または約14から15lbfの間である。
【0107】
[00160]一実施形態では、注射装置100のばね力は、約5lbf、約6lbf、約7lbf、約8lbf、約9lbf、約10lbf、約11lbf、約12lbf、約13lbf、約14lbf、約15lbf、約16lbf、約17lbf、約18lbf、約19lbf、約20lbf、約21lbf、約22lbf、または約23lbfである。
【0108】
[00161]一実施形態では、注射装置100のばね力は、長さ4.8895cm(1.925インチ)で9.30lbf±5%、長さ2.6543cm(1.045インチ)で15.60lbf±5%である。一実施形態では、注射装置100のばね力は、長さ4.8895cm(1.925インチ)で9.41lbf±5%、長さ2.6543cm(1.045インチ)で15.60lbf±5%である。
【0109】
[00162]一実施形態では、使用される針は、22ゲージと29ゲージとの間とすることができる。いくつかの実施形態では、使用される針は25ゲージと28ゲージとの間であり他の実施形態では、およそ27ゲージであるが、他の要素が協働的に所望の注射をもたらすように構成される場合、代替的に他の針ゲージを使用することができる。いくつかの実施形態では、注射装置100が注射前に手動の針挿入で動作するように構成されているとき、折り曲がる危険なしに薄壁の針が使用され得る。水性薬剤を発射する特定のジェット注射器の実施形態では、発射機構、薬剤容器、針、およびエネルギー源は、針内の平均流速度が、少なくとも約1,000cm/sec、いくつかの実施形態では、少なくとも約1,300cm/secから最大約3,000cm/sec、他の実施形態では、最大約8,000cm/secで生じるように構成される。一実施形態では、注射中の平均流速度は、約1,300cm/secと約3,000cm/secとの間、または約2,000cm/secに到達するか、またはその前後の値になる。一実施形態では、注射中の平均流速度は、約500cm/sec、約1,000cm/sec、約1,500cm/sec、約2,000cm/sec、約2,500cm/sec、約3,000cm/sec、約3,500cm/sec、約4,000cm/sec、約4,500cm/sec、約5,000cm/sec、約5,500cm/sec、約6,000cm/sec、約6,500cm/sec、約7,000cm/sec、約7,500cm/sec、約8,000cm/sec、または平均流速度から決定可能な任意の範囲(たとえば、約1,000cm/secから約1,500cm/sec、もしくは約1,500cm/secから約2,000cm/sec)に到達するか、またはその前後の値になる。一実施形態では、注射中の平均流速度は約750cm/secより大きい。一実施形態では、注射中の平均流速度は約1250cm/secより大きい。一実施形態では、注射中の平均流速度は約5,000cm/secより小さい。一実施形態では、注射中の平均流速度は約3,000cm/secより小さい。一実施形態では、注射中の平均流速度は約2,000cm/secより小さい。ジェット注射を生じるのに使用される速度は、他のタイプの薬剤に応じて、たとえばそれらの粘度に基づいて変わる。いくつかの粘性薬剤の場合、例示的な高ばね力が使用されて、約100cm/secから最大約1000cm/secまでの流速度を生じ得る。より弱いエネルギー源および/またはより大きい針が、たとえば、従来の低圧力自動注射器の実施形態において、より遅い速度、ならびにより低い圧力および/または流量を得るために使用され得る。そのような実施形態は、ハウジングに対する皮膚接触部材の近位方向の移動のときに発射前状態から発射状態へ移動する際のトリガ係合部材と保持部との間の軸方向の回転から利点を得ることもできる。その例は、回転運動に関わらないトリガ設計に適用され得るばね装荷部品の間の摩擦の低減であるが、これに限定されない。
【0110】
[00163]本明細書のすべての引用文献のそれぞれは、その全体が参照により組み込まれる。米国特許第8,496,619号、第8,021,335号、第7,776,015号、および第6,391,003号、米国特許出願公開第2013/0303985号、第2013/0331788号、第2013/0317431号、米国特許出願第13/184,229号、ならびに米国仮特許出願第61/621,298号および第61/643,845号の開示全体は、本明細書に完全に説明されているかのように、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書で使用される「約」という語は、一般に、対応する数および数の範囲の両方を指すものと理解されたい。さらに、本明細書におけるすべての数値範囲は、範囲内の各整数全部を含むものと理解されたい。
【0111】
[00164]明確化のために当業者が認識するであろう他の要素を排除することも本発明の一部分を構成し得るが、本発明の図および説明の少なくとも一部が本発明の明確な理解に関連する要素に焦点を合わせるために簡略化されていることが理解されよう。しかしながら、そのような要素は当技術分野で周知であるので、またそれらは必ずしも本発明のより良い理解を促進しないので、そのような要素の説明は本明細書では提供されていない。
【0112】
実施例
HPLC法
[00165]開発分析および安定性において使用されるHPLC法は、安定性を示すと考えられる原薬についての修正された一形式のEP HPLC法である。この方法は表6に要約されている。ナロキソンは、開発HPLC法では19.5分の保有時間を示す。
【0113】
【表6】
【0114】
実施例1:ナロキソン塩酸塩注射剤の市販品の分析
[00166]ナロキソン塩酸塩注射剤のいくつかの市販品を入手し、外観、pH、オスモラリティ、アッセイ、および不純物について分析した。分析データが表7に示される。
【0115】
【表7】
【0116】
実施例2:製剤安定性
[00167]有効成分のナロキソン塩酸塩は、USPに記載されているように水に溶け、これは、ナロキソン塩酸塩1部が水10から30部に溶解できることを意味する。Olofsonらは、ナロキソン塩酸塩が5%(50mg/mL)で水に溶けることを報告した[Tetrahedron Lett,1567,1977]。Narcan Nasal Sprayは、精製水0.1mLに4mgのナロキソン塩酸塩を含有する(40mg/mL)。したがって、ナロキソン塩酸塩は、注射用の水中の1mg/mLおよび5mg/mLの製剤を調製するのに十分な溶解性を有する。
【0117】
[00168]ナロキソン塩酸塩原薬は非常に安定しており、15℃と30℃の間で許容される可動域を伴って25℃で密閉遮光容器内に保存されるUSPの推奨条件で保管された場合、Mallinckrodtにより供給された原料は5年間の再試験期間を有する。また、0.4mg/mL、1mg/mLの注射剤、40mg/mLの点鼻スプレーを含む市販される複数の水溶液製品を考慮すると、ナロキソン塩酸塩は水溶液中で安定することが期待される。
【0118】
[00169]基本的パッケージングコンポーネントとナロキソン注射剤の適合性を評価するために安定性試験が行われ、基本的パッケージングコンポーネントは、USPタイプ1シリコン処理ガラスを有する1mLロングシリンジ、ステンレス鋼シリコン処理針、ラテックスフリー・ポリイソプレン針シールド、およびUSPタイプクロージャとしてクロロブチル灰色エラストマで作られたプランジャストッパを含んでいた。安定性評価のために、シリンジは手動で充填されプランジャストッパで封入をした。また、追加の修正された製剤も安定性について検討され、記載されたジェネリック製剤に少量の安定剤および抗酸化剤を添加し、これらの成分によってナロキソン安定性が増強されるかどうかを調べた。表8に、組成および基本的パッケージングコンポーネントに関して安定性評価での製剤の数が示される。
【0119】
実施例3:基本的パッケージングコンポーネント
[00170]1mg/mLナロキソン塩酸塩および8.35mg/mL塩化ナトリウムと同じ組成の試験製剤#12A、#12Bおよび#12Cを、表9に記載されているようにシリンジとストッパの異なる組合せで安定性について調べた。表10に示されるように、3つの試験パッケージ構成について25℃で9カ月間の保管の後に総不純物の検出可能な増加が認めなかったことを考慮すると、ナロキソン塩酸塩注射剤で評価されたシリンジおよびストッパのタイプについて検出可能な不適合性は認められない。また、40℃で9カ月間の保管中に検出された総不純物のレベルは3つのパッケージ構成について同様であるので、さらに適合性が確認される。40℃では、総不純物は1.5カ月の保管後に2~3%に増加し、3カ月後に4~5%へと若干増加し、9カ月後に2~3%へと若干減少した。40℃での総不純物の増加は、製剤に関連し、市販品では許容できないと考えられる。この問題に対処するために、次節で論じられるように製剤最適化を用いて実験を行った。
【0120】
[00171]60℃における安定性データは、Ompiシリンジと品目2340 4432/50グレーB2-40コーティングWester RUの組合せが、表9に示された不純物の増加およびアッセイ値の低下のレベルを考慮すると、他の2つよりもナロキソン塩酸塩注射剤の安定性が良好であることを示す。
【0121】
実施例4:薬物濃度
[00172]試験製剤#12Aおよび#13は薬物濃度が異なり、1mg/mL対5mg/mLであるが、基本的パッケージングコンポーネントは同じであり、同じpHに維持され、塩化ナトリウム含量も同様である。表10で示されるように、2つの異なる濃度の製剤が25℃、40℃、および60℃で同等の安定性を示すように見える。両方の製剤は25℃で9カ月間保管されたとき安定しており、総不純物は保管中にわずかに減少した。しかしながら、40℃および60℃で1.5カ月間保管した後に不純物の有意な増加が観察され、合計パーセンテージ領域の3%を超え、また、不純物レベルは、保管中に、40℃で9カ月まで、60℃で6カ月までと異なる時間間隔で変動した。より安定性の良好な製剤を特定するために再製剤作業が必要とされることは明らかである。
【0122】
実施例5:安定性を改善するための再製剤
[00173]ナロキソン注射剤の安定性を改善するための製剤作業は、抗酸化剤および安定剤の選択を伴った。
【0123】
[00174]表11ならびに図21および図22は、同じナロキソン濃度および同じ基本的パッケージングコンポーネントを有する製剤#6、#7、#8、#9、#11、および#12Aの40℃および60℃で1.5カ月間の安定性結果を示す。安定性データから明らかなように、アスコルビン酸(F#9)またはモノチオグリセロール(F#11)の存在がナロキソンの優位な分解を引き起こし、クエン酸(F#7)の使用は検出可能な効果を示さず、エデト酸二ナトリウム(EDTA)(F#6)およびメチオニン(F#8)の添加は、添加なしの製剤F#12Aと比較してナロキソンの安定性を増強した。
【0124】
[00175]EDTAおよびメチオニンを含有する製剤(F#6およびF#8)を、これらの添加物を含まない製剤F#12Aと比較して、60℃で6カ月間まで、25℃および40℃で9カ月間まで、安定性についてさらに監視した。
【0125】
[00176]表12ならびに図23および図24に示されるように、EDTAおよびメチオニンの存在は、F#12Aと比較して、40℃および60℃で安定性を有意に改善し、安定性試験中に生成された不純物がはるかに少ない。
【0126】
【表8】
【0127】
【表9】
【0128】
【表10】
【0129】
【表11】
【0130】
【表12】
【0131】
実施例6:EDTAのレベルの検討
[00177]ナロキソンHCl注射剤の安定性改善に関するEDTAのレベルを評価するために、表13に記載されているように、1mg/mLと5mg/mLのナロキソンHCl濃度の両方について、EDTA濃度を0.002%から0.2%に増加させて8つの製剤を調製した。製剤を1mLロングOmpiシリンジに充填し、表5に記載されたWestプランジャストッパで閉じ、25、40、および60℃でその安定性試験を行った。
【0132】
【表13】
【0133】
[00178]25、40、60℃で6カ月間までのEDTAレベルの異なる修正された製剤の安定性データが表14および表15に示され、EDTAの安定化効果が明確に示される。1mg/mLおよび5mg/mLの両方の濃度については、0.002から0.2%のEDTAの存在は、25℃での保管中に総不純物の検出可能な増加を生じず、40℃で6カ月間の保管ではわずかな増加(0.1~0.3%)を生じた。図24および図25に示されるように、1mg/mLと5mg/mLの両方の製剤について、0.01%EDTAの使用で総不純物の増加が最も少なく見える。
【0134】
[00179]60℃で保管された安定性サンプルでは、不純物の増加は3カ月の保管後に初めて観察され、6カ月の保管後には顕著になり、0.1%および0.2%のEDTAレベルでより多くの不純物が観察された(図26および27)。したがって、0.01%~0.1%の間のEDTAレベルの選択が、ナロキソン塩酸塩注射剤の最適な安定性プロファイルを提供するのに適切であると考えられる。
【0135】
【表14】
【0136】
【表15】
【0137】
実施例7:製剤プロセス開発
[00180]プロトタイプ安定性データに基づいて、ナロキソン塩酸塩を含む薬剤は、安定性を高めるために0.01~0.1%の間のエデト酸二ナトリウムを含む。有効成分および不活性成分が水に極めて溶けやすいので、加熱を必要とせずに全成分を溶解するように混合することによって配合プロセスが行われる。配合手順は第三者製造業者への技術移転中に開発される。
【0138】
実施例8:ナロキソン塩酸塩注射剤USPの組成およびバッチ式
[00181]例示的なナロキソン塩酸塩注射剤USP安定化製剤の成分および組成が表16および表17に示される。各0.4mlの滅菌溶液は、注射用水中に0.4mg(1mg/mL)または2.0mg(5mg/mL)のナロキソン塩酸塩を含有する。それはまた、塩化ナトリウムおよびエデト酸二ナトリウムを含有する。pHは、塩酸塩または水酸化ナトリウムによって3.0から4.5に調整される。
【0139】
【表16】
【0140】
【表17】
【0141】
5リットルでのバッチ式が表18および表19に与えられる。
【0142】
【表18】
【0143】
【表19】
【0144】
実施例9:フィルタ適合性試験
[00182]ナロキソン塩酸塩のための無菌注射を調製する無菌工程は、除菌濾過工程からなる。Millipore Durapore(商標)の0.22μm親水性ポリフッ化ビニリデン(PVDF)フィルタは、水溶液との許容できる適合性、非常に高い流速、および滅菌保証のため、フィルタ膜が除菌濾過に一般的に使用されるので、主要な選択である。濾過中のナロキソンの吸収損失を評価するために試験を行った。1mg/mLナロキソン塩酸塩注射剤を、孔径0.22μmの親水性PVDF膜を有する直径33mmの滅菌シリンジフィルタを通して濾過し、HPLC分析のために濾過中に1mL、2mL、3mL、4mL、5mL、および10mLでサンプルを収集した。表20に示されるように、PVDFフィルタによるナロキソンの吸収は、最初の1mL溶液が濾過されていない溶液と一致するアッセイ値を有するため、最小限の吸収であった。また、不純物レベルは濾過中に一定に留まり、PVDFフィルタとのナロキソン溶液の適合性をさらに確認した。
【0145】
【表20】
【0146】
実施例10:バルク保持試験
[00183]ナロキソン塩酸塩注射剤1mg/mlおよび5mg/mlの実験室バッチのバルク保持試験を行い、72時間までの通常の製造保持時間中のナロキソンの安定性を調べた。製品サンプルを室温で24、48、および72時間保持した後、HPLC分析のために採取した。表21に示されるように、溶液を室温で72時間保持した後にナロキソンアッセイおよび総不純物に変化はなかった。
【0147】
【表21】
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9A
図9B
図10A
図10B
図11
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図15C
図15D
図15E
図15F
図15G
図15H
図16A
図16B
図16C
図17A
図17B
図17C
図17D
図18
図19
図20
図21
図22
図23
図24
図25
図26
図27
図28
図29
図30
図31
図32
図33
図34
図35
図36