(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】異常診断装置
(51)【国際特許分類】
G08G 1/13 20060101AFI20240115BHJP
G08G 1/16 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
G08G1/13
G08G1/16 C
(21)【出願番号】P 2021518221
(86)(22)【出願日】2020-05-04
(86)【国際出願番号】 IB2020054182
(87)【国際公開番号】W WO2020225697
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2021-10-08
(31)【優先権主張番号】P 2019087220
(32)【優先日】2019-05-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】591245473
【氏名又は名称】ロベルト・ボッシュ・ゲゼルシャフト・ミト・ベシュレンクテル・ハフツング
【氏名又は名称原語表記】ROBERT BOSCH GMBH
(74)【代理人】
【識別番号】100177839
【氏名又は名称】大場 玲児
(72)【発明者】
【氏名】ブロイヒレ クリスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ファスベンダー ビヨン
【審査官】▲高▼木 真顕
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/083999(WO,A1)
【文献】特開2018-142921(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/00 - 99/00
G01C 21/00 - 21/36
G09B 29/00 - 29/10
G01S 7/48 - 7/51
G01S 17/00 - 17/95
G06T 1/00 - 1/40
G06T 7/00 - 7/90
G06V 10/00 - 20/90
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周囲の情報を検出する検出器(20)の異常を診断する異常診断装置(50)において、
測位装置(59)と、
地上に存在するもののデータを含むマップデータ(70)が格納された記憶装置(55)と、
前記マップデータ(70)と前記検出器(20)により取得される検出データとを比較して前記検出器(20)の異常の有無を診断する制御部(51)と、を備え、
前記制御部(51)は、前記マップデータ(70)との比較と併せて、他の検出器により取得される検出データと比較し
、前記マップデータ(70)との比較及び前記他の検出器との比較によりすべて異常有りと判定される場合に、前記検出器(20)の異常有りと確定する、
ことを特徴とする、異常診断装置。
【請求項2】
前記マップデータ(70)は、車外のマップデータ生成装置(1)から提供されるデータを用いて更新可能である、
ことを特徴とする、請求項
1に記載の異常診断装置。
【請求項3】
前記地上に存在するもののデータは、立体データを含む、
ことを特徴とする請求項
1又は2に記載の異常診断装置。
【請求項4】
前記制御部(51)は、
前記マップデータ(70)に含まれる所定のもののデータと、前記検出器(20)により取得される検出データと、の誤差に基づいて前記検出器(20)の異常の有無を診断する、
ことを特徴とする、請求項1~
3のいずれか1項に記載の異常診断装置。
【請求項5】
前記測位装置(59)が、全地球測位システム受信機を含む、
ことを特徴とする、請求項1~
4のいずれか1項に記載の異常診断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される検出器の異常を診断する異常診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、道路を走行する車両には、運転支援システムや自動運転を実現するために用いられる検出器が備えられている。かかる検出器としては、例えば、レーダセンサ、撮像センサ又はLidar等がある。これらの検出器の出力情報は、走行可能エリアや道路の他、他車両や歩行者等の障害物等を含む、車両の周囲の情報を観測するために用いられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特表2014-506325号公報
【文献】特開2019-507326号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車両の安全な走行を保証するためには、それぞれの検出器の作動状態を検出可能にすることが求められる。仮に、検出器が検出不能な状態になっている場合、車両のシステムは、そのような状態に対処する必要がある。例えば、車両のシステムは、システムのパフォーマンスを低下させたり、機能を停止させたりする必要がある。
【0005】
従来、検出器は、内部の信号及び観測結果に基づいて、自身の状態を検出している。例えば、車両の周囲環境が変化したり、あるいは車両の周囲環境が一定であったりすることに合わせて、周囲環境の検出が安定して取得されているかを判定している。仮に、検出される周囲環境が変化していない場合、あるいは周囲環境が″空″であると示される場合に、検出器の前面が汚れで覆われている等によって検出器が検出不能であると判定される。
【0006】
しかしながら、そのような従来の判定方法は、場合によって誤診断を生じる。例えば、従来の判定方法は、周囲環境が実際に変化していない場合や周囲に何も存在していない場合であっても、検出不能と判定する。このような誤診断は、例えば、車両が大きな河川や湖上の橋梁や、高さの低いガードレールを備えた橋梁を走行中に生じ得る。
【0007】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、車両に搭載される検出器の状態の診断結果の信頼性を向上可能な異常診断装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のある観点によれば、車両の周囲の情報を検出する検出器の異常を診断する異常診断装置であって、測位装置と、地上に存在するもののデータを含むマップデータが格納された記憶装置と、マップデータと検出器により取得される検出テータとを比較して検出器の異常の有無を診断する制御部と、を備え、制御部は、マップデータとの比較と併せて、他の検出器により取得される検出データと比較し、マップデータとの比較及び他の検出器との比較によりすべて異常有りと判定される場合に、検出器の異常有りと確定する異常診断装置が提供される。
【発明の効果】
【0009】
以上説明したように、本発明によれば、車両に搭載される検出器の状態の診断結果の信頼性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施の形態に係る異常診断装置の構成例を示す概略図である。
【
図2】同実施形態に係る異常診断装置による処理の一例を示すフローチャートである。
【
図3】レーダセンサにより検出されている物体を特定する処理の一例を示すフローチャートである。
【
図4】同実施形態に係る異常診断装置による異常判定処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0012】
<1.異常診断装置の構成例>
図1を参照して本実施形態に係る異常診断装置50の構成例を説明する。以下の実施形態では、車両の周囲環境を検出する検出器としてレーダセンサ20を例に採って説明する。車両は、駆動源として内燃機関を備えたエンジン車両、駆動源として電動モータを備えた電動車両、又は駆動源として内燃機関及び電動モータを備えたハイブリッド車両等、特に限定されるものではない。
【0013】
図1は、異常診断装置50を備えた車両のシステム構成を示す概略図を示す。異常診断装置50は、制御部51、記憶装置55、全地球測位システム(GPS)受信機59、ネットワーク通信モジュール61及びレーダセンサ20を含む。
【0014】
制御部51の一部または全部は、マイクロコントローラ、集積回路(ASIC)、FPGA(Field Programmable Gate Array)、マイクロプロセッサ又はその他任意の電子デバイス等で構成される。制御部51の一部又は全部は、ファームウェア等の更新可能なもので構成されていてもよく、CPU(Central Processing Unit)等からの指令によって実行されるプログラムモジュール等であってもよい。
【0015】
制御部51は、1つ又は複数のソフトウェアプログラムに対応する命令を実行するように構成されてもよい。
図1は、単一の制御部51を用いる異常診断装置50の例を示すが、制御部51は、複数の制御部が互いに通信可能に構成されていてもよい。記憶装置55、全地球測位システム(GPS)受信機59又はネットワーク通信モジュール61によって提供される機能の一部又は全部は、ハードウェア又はソフトウェアを使用して制御部51と統合されていてもよい。
【0016】
制御部51は、車速、及び、操舵角又は転舵角等の車両の走行状態の情報を取得可能になっている。これらの情報は、車速センサや舵角センサ等から直接入力されてもよく、CAN(Controller Area Network)等の通信バスを介して、車両に搭載された他の制御装置から入力されてもよい。
【0017】
GPS受信機59は、自身の地球上の現在の位置を決定するためにGPS信号を受信する。GPS受信機59は、測位装置の一態様である。ネットワーク通信モジュール61は、制御部51に接続され、制御部51が一つ又は複数の有線又は無線のデジタルネットワークを使用してデータを送受信することを可能にする。記憶装置55は、RAM(Random Access Memory)又はROM(Read Only Memory)等の記憶素子を含む。記憶装置55は、HDD(Hard Disk Drive)又はストレージ装置等の記憶装置を含んでもよい。
【0018】
記憶装置55は、マップデータ70を格納する。マップデータ70は、道路だけでなく、道路の車線の実際の位置や、道路又は道路に隣接する地上に存在するもののデータを含む。マップデータ70は、例えば、自動運転制御に用いられる地図データであり、図示しない自動運転コントローラは、当該マップデータ70を参照して、車両が安全に走行可能な走行位置を設定する。
【0019】
この場合の地上に存在するものとは、例えば、交通信号機や道路標識、ガードレール、道路上を交差する他の道路、高架橋、フェンスの支柱、障壁、陸橋、縁石、駐車している車両、マンホールの蓋等の、道路付近に存在する他の移動していない物体を含む。レーダセンサ20の異常診断を実行する本実施形態においては、地上に存在するもののデータは、立体データを含む。立体データとは、地上に存在するものの外形の一部又は全部を表すデータである。
【0020】
マップデータ70は、車外のマップデータ生成装置から提供されるデータを用いて更新可能になっている。マップデータ生成装置1は、例えば、複数の車両から送信される周囲環境データを取得し、マップデータ上のそれぞれの位置において地上に存在するものの立体データを更新して、システムを利用可能な車両に提供する。この場合に車両から送信される周囲環境データは、それぞれの車両において、レーダセンサ20等の周囲環境を検出する検出器により取得された物体のデータであってもよい。マップデータ70の更新は、定期的に又は不定期に行われてよい。
【0021】
レーダセンサ20は、レーダ波を照射する照射部と、レーダ波の反射波を受信する受信部とを有し、レーダ波と反射波とに基づいて物体を検出する検出器である。例えば、レーダセンサ20は、中距離レーダセンサ、ミリ波レーダセンサ等の適宜のレーダを照射可能な検出器であってよい。
【0022】
制御部51は、レーダセンサ20の異常の有無を診断する制御部としての機能を有する。制御部51は、マップデータ70とレーダセンサ20により取得される物体の検出データとを比較して、レーダセンサ20の異常の有無を診断する。具体的に、制御部51は、マップデータ70に含まれる立体データに対応して、レーダセンサ20により物体が検出されているか否かを判定することにより、レーダセンサ20の異常の有無を診断する。
【0023】
制御部51は、例えば、車両の位置の周囲に存在するマップデータ70に含まれる物体の立体データと、レーダセンサ20により検出される複数の検出点と、の誤差に基づいて、レーダセンサ20の異常の有無を診断してもよい。
【0024】
具体的に、制御部51は、GPS受信機59により特定されるGPS位置を特定し、マップデータ70上での車両の現在の位置を決定する。このとき、制御部51は、所定の誤差を設定して、マップデータ70上での車両の位置を決定してもよい。制御部51は、マップデータ70上での車両の位置を決定した後、車両の位置の周囲のあらかじめ設定された範囲内に存在する物体を特定する。
【0025】
また、制御部51は、レーダセンサ20により検出された物体の検出データを処理することにより、当該物体の絶対速度を算出する。例えば、制御部51は、レーダセンサ20により検出された物体と車両との相対速度を算出した後、車速及び操舵角又は転舵角の情報を用いて車両の速度を引くことによって、検出された物体野絶対速度を算出する。かかる絶対速度がゼロあるいは限りなく小さい値に設定された閾値(例えば0.5km/h)以下の場合に、制御部51は、検出された物体が地上に存在する静的な物体であると判定する。
【0026】
制御部51は、レーダセンサ20により検出された物体の複数の検出点を、マップデータ70上で特定された物体の立体データの情報と比較して、互いの誤差を求める。制御部51は、求められた誤差が所定値以上である場合に、レーダセンサ20に異常が生じていると判定してもよい。制御部51は、一回の判定結果ではなく、あらかじめ設定された回数以上、誤差が所定値以上であると判定した場合に、レーダセンサ20に異常が生じていると判定してもよい。
【0027】
<2.異常診断装置の動作例>
以下、本実施形態に係る異常診断装置50の動作例を説明する。
【0028】
(3.1.フローチャート)
図2は、異常診断装置50による処理の一例を示すフローチャートである。異常診断装置50による処理は、制御部51と、記憶装置55に記憶されている各種プログラムとの協働により実行される。
【0029】
まず、異常診断装置50の制御部51は、車外のマップデータ生成装置1から送信されるデータを用いて、記憶装置55にマップデータ70を格納する(ステップS11)。すでにマップデータ70が記憶装置55に格納されている場合には、マップデータ生成装置1から送信されるデータを用いて、マップデータ70が更新される。
【0030】
次いで、制御部51は、マップデータ70上での車両の位置を特定する(ステップS13)。具体的に、制御部51は、GPS受信機59が受信したGPS信号に基づいて車両のGPS位置を特定するとともに、マップデータ70上の車両の位置を決定する。上述したように、制御部51は、所定の誤差を設定してマップデータ70上の車両の位置を決定してもよい。
【0031】
次いで、制御部51は、マップデータ70上において、決定された車両の位置の周囲に存在する物体の候補を特定する(ステップS15)。例えば、制御部51は、診断対象となる検出器の種類や車両からの検出方向等に応じて、検出器により検出されうる物体の候補を特定してもよい。
【0032】
次いで、制御部51は、レーダセンサ20により取得された検出信号に基づいて、レーダセンサ20により検出されている物体を特定する(ステップS17)。例えば、制御部51は、
図3に示す例にしたがって、レーダセンサ20により検出されている物体を特定してもよい。ここでいう物体の特定は、レーダセンサ20により物体が検出されていないことを特定することも含む。
【0033】
まず、制御部51は、レーダセンサ20により、何らかの物体が検出されているか否かを判別する(ステップS31)。レーダセンサ20により物体が検出されていない場合(S31/No)、制御部51は、静的な物体が検出されていないと判定する(ステップS39)。一方、レーダセンサ20により物体が検出されている場合(S31/Yes)、制御部51は、レーダセンサ20により検出されている物体の絶対速度を決定する(ステップS33)。例えば、制御部51は、検出された物体と車両との距離の変化を時間で割ることによって物体と車両との相対速度を算出するとともに、相対速度から車速を引くことで、物体の絶対速度を決定してもよい。
【0034】
次いで、制御部51は、決定された絶対速度がゼロであるか、あるいは、あらかじめ設定された閾値(例えば、0.5km/h)以下であるか否かを判別する(ステップS35)。レーダセンサ20により検出された物体の絶対速度がゼロでないか、あるいは、あらかじめ設定された閾値を超えていると判定された場合(S35/No)、制御部51は、静的な物体が検出されていないと判定する(ステップS39)。一方、決定された絶対速度がゼロであるか、あるいは、あらかじめ設定された閾値以下である場合(S35/Yes)、制御部51は、静的な物体が検出されていると判定する(ステップS37)。
【0035】
図2に戻り、ステップS17において、レーダセンサ20により検出されている物体を特定した後、制御部51は、レーダセンサ20により取得される検出データとマップデータ70に含まれる物体の立体データとを比較して、レーダセンサ20の異常の有無を判定する(ステップS19)。
【0036】
図4は、レーダセンサ20の異常の有無を判定する処理の一例を示す。まず、制御部51は、レーダセンサ20により静的な物体が検出されているか否かを判別する(ステップS41)。静的な物体が検出されていない場合(S41/No)、ステップS15において特定されたマップデータ70上の車両の周囲に物体が存在しているか否かを判別する(ステップS53)。マップデータ70上において、車両の周囲に物体が存在する場合(S53/Yes)、制御部51は、レーダセンサ20の異常有りと判定する(ステップS51)。一方、マップデータ70上において、車両の周囲に物体が存在しない場合(S53/No)、制御部51は、レーダセンサ20の異常無しと判定する(ステップS49)。
【0037】
ステップS41において、レーダセンサ20により静的な物体が検出されている場合(S41/Yes)、制御部51は、検出された物体に対応するマップデータ70上の物体を特定する(ステップS43)。例えば、制御部51は、車両の位置に対して、レーダセンサ20により検出された物体の相対位置あるいは車両から検出された物体までの距離に基づいて、検出された物体に対応するマップデータ70上の物体を特定してもよい。
【0038】
次いで、制御部51は、レーダセンサ20により検出された静的な物体の複数の検出点を、マップデータ70上で特定された物体の立体データの情報と比較して、互いの誤差を求める(ステップS45)。例えば、制御部51は、マップデータ70上の物体の立体データに対する、車両のGPS位置及び車両からレーダセンサ20による検出点までの距離や方向等に基づいて特定される当該検出点の位置のずれを求めてもよい。
【0039】
次いで、制御部51は、求めた誤差が、あらかじめ設定された閾値未満であるか否かを判別する(ステップS47)。求めた誤差が閾値未満である場合(S47/Yes)、制御部51は、レーダセンサ20の異常無しと判定する(ステップS49)。一方、求めた誤差が閾値以上である場合(S47/No)、制御部51は、レーダセンサ20の異常有りと判定する(ステップS51)。
【0040】
一例として、
図5は、ある時刻における車両からの視界を示す。
図5において、視界には、車線71、陸橋73及び道路標識75が示されている。
図6は、この視界に対応するマップデータ70を表したものである。当該マップデータ70には、レーダセンサ20により検出されうる領域Xが示されている。
【0041】
レーダセンサ20に異常が無い場合、車両が車線71を走行中に、レーダセンサ20が道路標識75を検出し得る位置に来たときには、レーダセンサ20により、道路標識75に対応する検出データが取得される。一方、レーダセンサ20に異常が無い場合、車両が車線71を走行中に、レーダセンサ20が道路標識75を検出し得る位置に来たときにおいても、レーダセンサ20により、道路標識75に対応する検出データが取得されないか、あるいは、検出点と実際の道路標識の位置との誤差が大きくなる。したがって、制御部51は、レーダセンサ20の異常を判定することができる。
【0042】
なお、制御部51は、レーダセンサ20により取得される検出データをマップデータ70と比較することと併せて、車両に搭載された他の検出器により取得される検出データと比較して診断結果の信頼性を向上させてもよい。他の検出器としては、例えば、撮像センサ、Lidar、超音波センサ等が挙げられる。例えば、制御部51は、マップデータ70との比較及び他の検出器との比較によりすべて異常有りと判定される場合に、レーダセンサ20の異常有りと診断結果を確定してもよい。
【0043】
以上説明したように、本実施形態に係る異常診断装置50は、地上に存在するものの立体データを含むマップデータ70と、レーダセンサ20により取得される検出データとを比較してレーダセンサ20の異常の有無を診断する。このため、実際に存在する物体に応じて、レーダセンサ20が検出データを取得しているかを判定することによって、レーダセンサ20の異常診断結果の信頼性を向上させることができる。
【0044】
また、レーダセンサ20により取得される検出データと比較されるマップデータ70は、マップデータ生成装置1から送信されるデータを用いて更新されることから、信頼性の高いマップデータ70が用いられて、診断結果の信頼性を向上させることができる。
【0045】
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0046】
例えば、上記実施形態では、診断対象の検出器としてレーダセンサ20を例にとって説明したが、検出器はレーダセンサ20に限られない。診断対象の検出器は、撮像センサ、Lidar、超音波センサ等の、車両の周囲環境を検出する種々のセンサであってよい。
【0047】
また、上記実施形態では、測位装置としてGPS受信機59を備えた例を説明したが、本発明はかかる例に限定されない。測位装置は、車両の地球上の位置を測定可能な装置であればGPS受信機59に限られない。例えば、マップデータ生成装置に蓄積された周囲環境のデータを参照しつつ、レーダセンサ20等の車載センサにより検出される周囲環境に基づいて、車両の現在位置を測定する装置であってもよい。
【符号の説明】
【0048】
1・・・マップデータ生成装置、20・・・レーダセンサ、50・・・異常診断装置、51・・・制御部、55・・・記憶装置、59・・・GPS受信機、61・・・ネットワーク通信モジュール、70・・・マップデータ