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特許7419366検定を行うデバイスに使用する磁気アセンブリ
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】検定を行うデバイスに使用する磁気アセンブリ
(51)【国際特許分類】
   B03C 1/00 20060101AFI20240115BHJP
   B03C 1/28 20060101ALI20240115BHJP
   H01F 7/02 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
B03C1/00 F
B03C1/00 B
B03C1/00 A
B03C1/00 H
B03C1/28 107
H01F7/02 D
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2021525615
(86)(22)【出願日】2019-11-12
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-02-01
(86)【国際出願番号】 GB2019053207
(87)【国際公開番号】W WO2020099861
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-09-26
(31)【優先権主張番号】1818412.7
(32)【優先日】2018-11-12
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】516247269
【氏名又は名称】ルミラディーエックス ユーケー リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100179947
【弁理士】
【氏名又は名称】坂本 晃太郎
(72)【発明者】
【氏名】アマン カーン
(72)【発明者】
【氏名】ブライアン マクギガン
【審査官】瀧 恭子
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2018/002668(WO,A1)
【文献】特表2018-502309(JP,A)
【文献】特開2006-245397(JP,A)
【文献】特開2015-054297(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2004/0004523(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B03C 1/00-1/32
H01F 7/00-7/02
G01N 1/00-1/44、
B01J 10/00-12/02;14/00-19/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
検定を行うデバイスに使用する磁気アセンブリにおいて、少なくとも2つの磁気要素間に介在する縦方向のシャフトを有する磁極片であって、前記少なくとも2つの磁気要素の各々はN磁極およびS磁極を有し、前記少なくとも2つの磁気要素は、各N磁極または各S磁極が前記シャフトに向かって内側に整列するように配向されており、また前記磁極片は、前記シャフトの一方の端部において、前記少なくとも2つの磁気要素の各々の横方向表面上に少なくとも部分的に延在するキャップを有する、該磁極片を備える、磁気アセンブリ。
【請求項2】
請求項1記載の磁気アセンブリにおいて、前記キャップは、ドームをなす凸状湾曲表面を有する、磁気アセンブリ。
【請求項3】
請求項1又は2記載の磁気アセンブリにおいて、前記磁極片は、前記キャップ側とは反対側の端部を有し、該反対側端部は、前記少なくとも2つの磁気要素のうち1つまたは複数の隣接面と同一平面である、磁気アセンブリ。
【請求項4】
請求項1又は2記載の磁気アセンブリにおいて、前記磁極片は、前記キャップ側とは反対側の端部を有し、該反対側端部は、前記少なくとも2つの磁気要素のうち1つまたは複数の隣接面からオフセットされている、磁気アセンブリ。
【請求項5】
請求項1~4のうちいずれか1項記載の磁気アセンブリにおいて、少なくとも1つの金属プレートを、前記2つの磁気要素のうち1つ又は複数の側面に配置し、前記側面は前記磁極片の外側に対面する、磁気アセンブリ。
【請求項6】
請求項1~5のうちいずれか1項記載の磁気アセンブリにおいて、前記少なくとも2つの磁気要素は、当該少なくとも2つの磁気要素各々と前記磁極片との間の引力を、前記少なくとも2つの磁気要素間の反発力よりも大きくするのに十分な磁場強度を有し、これにより、前記磁気アセンブリは磁力によって一緒に保持される、磁気アセンブリ。
【請求項7】
請求項1~6のうちいずれか1項記載の磁気アセンブリにおいて、前記少なくとも2つの磁気要素は、3マイクロメートル未満の粒度を有する材料で形成される、磁気アセンブリ。
【請求項8】
請求項1~7のうちいずれか1項記載の磁気アセンブリにおいて、前記少なくとも2つの磁気要素における前記N磁極または前記S磁極の整列変動は、5°未満である、磁気アセンブリ。
【請求項9】
請求項1~8のうちいずれか1項記載の磁気アセンブリにおいて、前記磁極片及び/又は前記少なくとも2つの磁気要素は、フェライト、鉄、コバルト、マグネタイト、ネオジム、ニッケル、パーマロイまたは他の強磁性材料のうち1つ又はそれ以上を含む、磁気アセンブリ。
【請求項10】
請求項1~9のうちいずれか1項記載の磁気アセンブリにおいて、前記少なくとも2つの磁気要素の各々は、5mm未満の幅、20mm未満の高さ、及び100mm未満の奥行を有する、磁気アセンブリ。
【請求項11】
請求項1~10のうちいずれか1項記載の磁気アセンブリにおいて、前記磁極片のシャフトは、5mm未満の幅、20mm未満の高さ、及び100mm未満の奥行を有する、磁気アセンブリ。
【請求項12】
請求項1~11のうちいずれか1項記載の磁気アセンブリにおいて、前記キャップは、断面が半円形又は半楕円形であり、また15mm未満の直径の長軸を有する、磁気アセンブリ。
【請求項13】
検定を行うデバイスにおいて、前記デバイスは、請求項1~12のいずれか1項に記載された磁気アセンブリと、インタロゲーションゾーンを有する検定検査プラットフォームと、及び回転可能に備え付けられた可動アームとを備え、前記磁気アセンブリは、前記回転可能に備え付けられた可動アームの回転が前記磁気アセンブリを格納位置と動作位置との間で移動させるよう、前記回転可能に備え付けられた可動アームに設けられる、デバイス。
【請求項14】
請求項13記載のデバイスにおいて、前記動作位置は前記インタロゲーションゾーンから第1距離に位置付け、前記格納位置は前記インタロゲーションゾーンから第2距離に位置付ける、また前記第1距離は前記第2距離よりも小さいものである、デバイス。
【請求項15】
請求項13又は14記載のデバイスにおいて、前記動作位置で、前記磁気アセンブリは前記インタロゲーションゾーンに沿って延在する、デバイス。
【請求項16】
請求項13~15のうちいずれか1項記載のデバイスにおいて、前記磁気アセンブリが前記格納位置にあるとき、前記磁気アセンブリを前記インタロゲーションゾーンから遮蔽するよう配置されたシールドを備える、デバイス。
【請求項17】
請求項13~16のうちいずれか1項記載のデバイスにおいて、前記磁気アセンブリは、前記動作位置にあるとき前記インタロゲーションゾーンに高磁場を発生し、また前記格納位置にあるとき前記インタロゲーションゾーンに低磁場を発生するよう構成されている、デバイス。
【請求項18】
前記磁気アセンブリが請求項1~12のうちいずれか1項記載の磁気アセンブリである、請求項13~17のうちいずれか1項記載のデバイス。
【請求項19】
請求項18記載のデバイスにおいて、前記磁気アセンブリは、前記磁気アセンブリが前記動作位置にあるとき前記キャップが前記インタロゲーションゾーンに隣接して位置付けられ、また前記磁気アセンブリが前記格納位置にあるとき前記キャップが前記インタロゲーションゾーンから離間する向きに指向させられるよう、前記回転可能に備え付けた可動アームに設けられる、デバイス。
【請求項20】
請求項18または19記載のデバイスにおいて、前記動作位置で、前記キャップは、前記インタロゲーションゾーンに整列し、また前記インタロゲーションゾーンの全範囲にわたり延在する、デバイス。
【請求項21】
請求項13~20のうちいずれか1項記載のデバイスにおいて、前記回転可能に備え付けた可動アームは、垂直平面内で回転するよう構成される、デバイス。
【請求項22】
請求項13~21のうちいずれか1項記載のデバイスを動作させる方法において、
前記磁気アセンブリを前記格納位置に格納するステップと、
サンプルを前記検定検査プラットフォームに供給するステップと、
前記磁気アセンブリを前記格納位置から前記動作位置へと操縦するよう、前記回転可能に備え付けた可動アームを回転させるステップと、
前記サンプル内における磁気粒子を前記インタロゲーションゾーンにおける検査ベッドに対して、前記磁気粒子の前記磁気アセンブリに向かう引力で留め置くステップと、
前記サンプルを排除するステップと、及び
検体の有無を検出するよう前記インタロゲーションゾーンを分析するステップと、
を備える、方法。
【請求項23】
請求項13~21のうちいずれか1項記載のデバイスを動作させる方法において、
前記磁気アセンブリを前記格納位置に格納するステップと、
前記磁気アセンブリを前記格納位置から前記動作位置へと操縦するよう、前記回転可能に備え付けた可動アームを回転させるステップと、
前記デバイス内における磁気粒子を前記インタロゲーションゾーンにおける検査ベッドに対して、前記磁気粒子の前記磁気アセンブリに向かう引力で留め置くステップと、
サンプルを前記検定検査プラットフォームに供給するステップと、
前記サンプルを排除するステップと、及び
検体の有無を検出するよう前記インタロゲーションゾーンを分析するステップと、
を備える、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、検定(アッセイ)を行う医療デバイスに使用するのに適する磁気アセンブリに関する。本発明は、動作位置内外に磁気アセンブリを操縦するための装置、当該装置を組み込んだデバイスおよび当該デバイスを動作させるための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
検定は、サンプルを検査して、検体と称される特定実体の存在、量または機能活性を評価するための分析手順である。検定は一般的に、医療、医薬、環境および生物学的な用途に使用される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
検定分析には、技術的に熟練した技師による高度な専門機器の使用が必要となることが多い。こうした機器はまた、一般に、大型かつ複雑であり、結果的に、検定分析は、通常規模の大きな研究所でのみ利用可能である。こうした機器およびスタッフの性質に起因して、検定を行う利用可能性は極度に限定されている。そのため、検定分析が必要なサンプルは、遠隔の研究室に送って検査を受ける必要があり、これには多大な時間及び経済的コストを生ずる。
【0004】
医療用途では、この点は特に重要であり、これはすなわち、患者から採取したサンプルは、分析のために研究室に送る必要があり、またこれは、患者に対する診断および/または治療を遅延させるおそれがあり、潜在的に深刻な結果を招くおそれがあるためである。
【0005】
これは、若干の状況、例えば、高度に複雑な検査において必然かつ不可避であるが、より単純で日常的検査では、ポイント・オブ・ケア検査(POCT:Point-of-Care Testing)がより迅速かつ効率的な代替手段を提供する。
【0006】
POCTは、例えば、家庭または地域医療センターにおいて、患者ケアの時間および場所に配置されたデバイスを使用して、検定を実施するための手段を提供する。これにより、患者またはサンプルを輸送してさらに検査する必要がなく、検査結果を迅速に得ることができ、したがって、時間的にも経済的にも節約を生じ、患者の診断および治療をより迅速かつ効率的に行うことを可能にする。POCTの使用は限定的であり、また現在のところ、若干タイプの検査にしか適さない。POCTは、一般的に血液、尿または唾液などの液体サンプルの検査に使われ、一般的な例としては、妊娠検査および血糖検査がある。
【0007】
サンプルは検査ストリップ上に導入することができ、当該検査ストリップは、永続性を高めるためカセットの形態をしたプラスチックに封入して、内部に収納された前記サンプルを保護することができる。あるいは、検査ストリップは、スライドガラスまたは試験紙の形態とすることができる。検査ストリップは複数の毛細管チャンネルを含んでいてもよく、液体サンプルが検査ストリップに導入されるとき、前記液体は、毛細管現象または強制移動により毛細管チャンネルに沿って様々な検査領域に流動することができる。複数の毛細管チャネルは独立した測定を同時に実施することができる。検査ストリップは、前記流体が毛細管チャネルに沿って移動するときに、異なる化合物を異なる時間にサンプルに導入できるように、各毛細管チャネル内に複数のゾーンを有することができる。その後、検査機が検査ストリップに対して高感度分析を行うか、あるいは、ユーザーや患者に当該検体の存在または欠如を警告するよう、検査ストリップはスクリーンまたは色変化領域などの内在インジケータを有するよう構成することができる。
【0008】
検査ストリップを構成することができる様々な方法がある。「サンドイッチ検定」と称される一般的な構成は、検査ストリップ内に存在する捕捉粒子及び検出粒子を含む。捕捉粒子は当該検体を見つけ出すように配置され、検出粒子は蛍光などの視覚的インジケータを提供する。捕捉粒子および検出粒子は、捕捉粒子および検出粒子に物理的または化学的に付着した、抗体またはその他の結合剤(ペプチド、抗体フラグメント、核酸、ポリマー、分子、化学物質など)を有し、これが検体に特異的に結合することで、サンドイッチ検定を容易にする。検出抗体は、例えば、単一の分子、例えば、フルオロフォア(蛍光色素分子)に結合することもできる。捕捉抗体は、印加した磁場によって引き寄せられかつ保持されるのに十分な常磁性含有物を有している磁性粒子に付着している。捕捉抗体および検出抗体はサンドイッチ検定を形成するとともに、付着した分子または粒子は、それぞれ、磁場捕捉または蛍光検出を容易にする。このようにして、サンプルが検査ストリップに導入されるとき、検体が存在する場合、捕捉抗体は検体と結合してそれを磁場内で見つけ出し、また検出抗体も検体と結合して視覚的表示を生じ、これこの表示は、ユーザーが直接読み取る、又は分光光度法などの適切な測定技術を使用することによって分析することができる。サンドイッチ検定は、分析時間が短く、低コストであるため、一般的に使用されている。その他の検定形態としては、酵素ベースの検定が、この場合、検出可能な検体が検出粒子と相互に作用し、これによって、信号、例えば、蛍光強度の変化を検出することができる。
【0009】
このように、検査ストリップは、捕捉抗体を介して検体に結合する捕捉粒子として磁気ビーズを含むのが一般的であり、これにより、磁場をサンプルに印加することで、磁気ビーズが検査ストリップのベッドに引き寄せられて、その過程において、検体及び関連する検出粒子を留め置くことができる。このことは、次に、結合していないサンプルおよびその他の粒子を除去し、検定の感度を高め、結果の精度を向上させるため、検査ストリップを洗浄する、洗い流す、または排除することを可能にする。このような場合一般に、磁場を発生させるため、高出力ネオジム(一般には、N42~N55の等級)の永久磁石または大型コイル巻き電磁石を使用する。しかしながら、これら解決策の各々は多数の限界に直面する。
【0010】
永久ネオジム磁石は極めて高い磁場強度を示し、一般に、磁石の一方の極における表面で測定すると、600mTから700mT(ミリテスラ)に達する。これにより、サンプル排除中に検査ストリップ内の磁気ビーズを引き寄せて保持するための強力な引張力が得られる一方、磁石の関心対象表面全体を横切る、勾配及び関連の力ベクトルにおける変化の結果として、前記磁場強度の均質性に関連する制限があり、これが、検査ストリップの異なる領域の間でのばらつきおよび不一致を引き起こす原因となる。
【0011】
磁場強度が低い領域において、このことは、磁気ビーズが検査ストリップベッドに正確に付着しない結果となり、これにより、サンプル排除中に幾分かの検体が移動し、最終的な測定の精度に影響を与えるおそれがある。単一の磁石を使用する場合、材料品質および製造プロセスに関する制限により、低磁場強度の局在領域を生じ、常磁性粒子の不均一な形成または拡散を生ずる結果となる。
【0012】
複数の磁石を磁気アセンブリの一部として使用するとき、更なる問題は、磁場強度の均質性に存在する。磁石の粒度および構造における不一致および不連続性は、それぞれの磁場強度を異ならせ、更なる不均一性を生じさせる。
【0013】
さらに、ネオジム磁石は極めて強い磁力を示すため、その磁力が、試薬に含まれる捕捉粒子および検出粒子に対する検体の相互作用の反応速度論を阻害する恐れがある。したがって、完全な反応を確実に生じさせるためには、反応を生ずるときには磁石を検査ストリップから離して配置するが、検査ストリップの排除のためにはサンプル近くに位置決めすることが重要である。
【0014】
これは、マグネットを動作位置内外に操縦することで実現できる。しかしながら、磁気ビーズが適正に整列するように、磁石は精密に動かさなければならない。磁石の位置決めにおけるいかなる僅かな不精度も、検体および検出粒子の保持に不精度を生じるおそれがある。
【0015】
磁石を操縦する様態もまた重要である。磁石を水平平面における所定位置に移動する場合、磁石がサンプルに向かって移動するとき、磁気ビーズに作用する引力は、磁石が適正位置に到達する前に、当該ビーズを変位させ、潜在的に、不正確又は間違った結果を生ずる。代案として、磁石を所定位置に垂直方向に移動することができるが、磁石の高磁力に起因して、不使用時には、検査ストリップに対する磁石効果が無視できるほどに減少するように、磁石をかなりの距離まで移動しなければならない。このことは、診断装置のサイズおよび形状に関して実用上の問題を課す。
【0016】
加えて、比較的弱い磁場強度、例えば、検査ストリップの場所で測定した5mT~10mTの領域では、磁場の存在が弱すぎて、常磁性粒子を集めたり、変位させたりできない場合があるが、常磁性粒子の自由な移動を遅らせるのに十分な強さである場合もあり、これは、検定プロセスの結合フェーズにおける効率を低下させるおそれがある。
【0017】
上記問題は、サンプルを試薬と混合するとき相互作用段階中にサンプルを磁場から保護するが、必要に応じてサンプルを磁場に被曝させるためよう取り外すことができる、シールドを使用することによって軽減することができる。しかしながら、磁石とシールドとの間の磁力もまた、考慮しなければならない。磁石を近くに位置決めするとき、シールドは磁石に引き寄せられ、また、磁石をシールドから遠ざけるように(又はその逆に)移動するために必要な力は大きくなり得る。したがって、潜在的に、大型で高出力のモータが必要となり、装置に対して費用及び物理的サイズを付加することがあり得る。
【0018】
こうした物理的に大きな装置は、デバイスの使用に際して物流的問題を課し、またポイント・オブ・ケア検査に対して実用的でないものにするおそれがある。
【0019】
電磁石には、不使用時に磁力をスイッチオフすることができるという明確な利点があり、これは、初期反応又は培養期間中の干渉を回避するために、磁石をサンプルから遠ざける必要が無いことを意味している。電磁石の強度を変更する能力に起因して、複数の磁石の間で一定の場の強さを保証するように磁石を調整し、また不一致を回避することもまた比較的簡単である。さらに、サンプル領域全体にわたって、比較的均質な磁場を得ることができる。しかしながら、電磁石は、効率低下を被り、また、永久磁石と比較して、比較的弱い磁場強度を生ずるだけであり、大電力入力のときでさえ、一般に250mТの領域である。必要な大電力入力は大量の熱を発生し、その後の管理及び放熱が必要となり、さらに電力消費を増加させる。低い磁場強度では、可能な限り最大磁場強度を得るためには、電磁石の磁極をサンプルに極めて接近して位置決めするか、場合によっては接触させることすら、しなければならない。これは、ラジエータおよびヒートシンク等の、様々な熱管理デバイスは、サンプルに対する電磁石の必要な近接性を適応させなければならないことを意味する。さらにまた、サイズ制約に起因して、温度制御が最も重要な電磁石の先端部の近くにヒートシンクを組み込むことは潜在的に不可能である。このことは、したがって、電磁石を動作させることができる電力を制限する。
【0020】
しかしながら、ネオジウム磁石及び電磁石の双方における最大の欠点は、磁極での磁場の局在的な性質である。このことは、磁石の長さに沿って延びる、また磁石ビーズが引き寄せられる高磁場強度の狭い帯域(すなわち、磁力線)を生ずる結果となるおそれがある。幾つかのケースでは、円形の電磁石(例えば、円筒形のポールに巻きつけられたコイル)を使用すると、狭い円形の磁場を生じ、この磁場は高磁場強度の点源として局在化する。したがって、1度に分析できる領域のサイズが制限され、またそれ故に、サンプルの全領域をスキャンして分析するよう、捕捉フェーズ中にサンプルを移動させなければならない。しかしながら、サンプルを磁石に対して移動させることは、磁石ビーズに変位力を加えることになり、当該磁石ビーズを検査ストリップベッドに対して拘束することをより困難にするおそれがある。さらにまた、磁力線の双極的性質に起因して、インタロゲーションゾーンにおける磁場は帯域化し、事実上、高磁場強度の、2つの明確な磁力線を生ずる場合がある。このことは、さらに、サンプルを分析し、また得られた結果を定量化するにあたり、更なる問題を生じさせるおそれがある。
【0021】
本発明の目的は、新規な磁気アセンブリを提供することによって、検定を行うデバイスに使用するための、従来技術および/または従来の永久磁石および電磁石に関連する、制限および/または欠点を回避および/または軽減することである。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の第1の態様によれば、検定を行うためのデバイスに使用される磁気アセンブリを提供し、前記磁気アセンブリは、少なくとも2つの磁気要素間に介在する縦方向のシャフトを有する磁極片を備え、少なくとも2つの磁気要素の各々は、N磁極およびS磁極を有し、前記少なくとも2つの磁気要素は、各N磁極または各S磁極が前記シャフトに向かって内側に整列するように配向されており、また前記磁極片は、前記シャフトの一方の端部において、前記少なくとも2つの磁気要素の各々の横方向表面上に少なくとも部分的に延在するキャップを有する、該磁極片を備える、磁気アセンブリ。
【0023】
したがって、本発明の第1の態様の実施形態は、前記キャップを通して磁場を優先的に方向付けるように構成された磁極片を有する磁気アセンブリを提供し、このキャップは、前記磁気アセンブリの磁極における磁束密度を低減するように配置され、前記キャップの領域の拡張領域にわたって高磁場強度を効果的に広げる。以下で詳しく説明するように、このような配置は検定を行うデバイスに有利に使用することができ、これはすなわち、キャップによって形成される高磁場強度の領域は、その後の検出および定量化のために、インタロゲーションゾーン全体にわたって個別磁性粒子を留め置くのに使用できるからである。これは、せいぜいインタロゲーションゾーン内の磁性粒子が高磁場強度の磁力線内に引き込まれ、バルク測定しか行えない上述の従来技術とは異なる。
【0024】
前記キャップは、ドーム状または円弧状の表面を形成するために、凸状湾曲表面を有することができる。前記キャップはシャフトと一体化することができる。前記キャップの主な機能は、(部分的なハルバッハ配列のように)磁場を優先的に上方に方向付けることであり、また、制御された磁路を生ずることによって磁場の戻り経路を制御することである。
【0025】
前記磁極片は、キャップ側とは反対側の端部を有し、該反対側端部は、前記少なくとも2つの磁気要素のうち1つまたは複数の隣接面と同一平面とすることができる。
【0026】
前記磁極片は、キャップ側と反対側の端部有し、該反対側端部は、前記少なくとも2つの磁気素子のうち1つまたは複数の隣接面からオフセットされているものとすることができる。いくつかの実施形態において、シャフトは、1つまたは複数の磁気要素よりも短いものとすることができる。このことは、磁場強度のより多くを、前記キャップを通して方向付けるのに役立てることができる。
【0027】
少なくとも1つの金属プレートを、少なくとも2つの磁気要素の1または複数の側面に配置することができ、前記側面は前記磁極片の外側に対面する。前記金属プレートは、前記磁極片から前記磁気要素の対応する反対側の磁極面に至る、磁場の戻り経路を拘束するための補助として使用することができる。前記金属プレートは、各磁石の上面または側面上に配置することができ、この場合、前記磁極片と各金属プレートとの間のギャップは、所望場所で磁場強度の損失がないことを保証するのに十分なものとする。前記金属プレートは、前記シャフトの高さ/長さと同一、又は前記シャフトの高さ/長さよりも短くすることができる。代案として、前記金属プレートは各磁気要素の磁極面に取り付けることもできる。この場合、前記金属プレートは、前記磁極片シャフトに関連する(および隣接する)磁極とは反対の磁極に取り付けることができる。この場合、磁気回路が検査ストリップ上の関心領域(すなわち、インタロゲーションゾーン)に関連する磁気アセンブリの端部に偏位するのを確実にするように、金属プレートの長さをカットすることが有益であり得る。前記金属プレートは、磁気アセンブリの全長(検査ストリップのチャネルにわたる方向)に延在することができる。いくつかの実施形態において、前記金属プレートが2つの磁気要素各々の自由極面に取り付けられている場合、前記金属プレートの長さを検査ストリップ面に垂直な寸法で切断するのが有益であることもあり得る。前記金属プレートは、それら自体を磁気付けするのではなく、強磁性体で作成することができる。概して、前記金属プレートは、そうでなければ取りそうな非集束経路から磁場を偏位かつ規制するのに十分な大きさであることが必要となる場合がある。前記金属プレートは、前記磁極片に関連する磁場整形および集中を妨げることがないように、大きすぎたり、シャフトに近すぎたりしないようにする必要がある。 Iいくつかの実施形態において、2つの金属プレートを対称的に配置して、磁気アセンブリの中心を検査チャネルの中心に合わせた状態で、検査ストリップ内のインタロゲーションゾーンに磁性粒子が均等に広がることを確実にする。
【0028】
前記少なくとも2つの磁気要素は、当該少なくとも2つの磁気要素各々と前記磁極片との間の引力を、前記少なくとも2つの磁気要素間の反発力よりも大きくするのに十分な磁場強度を有することができ、これにより、前記磁気アセンブリは磁力によって一緒に保持される。
【0029】
前記少なくとも2つの磁気要素は、3マイクロメートル未満、又は2マイクロメートル未満、又は1マイクロメートル未満、又は0.5マイクロメートル未満の粒度を有する材料で形成することができる。
【0030】
前記少なくとも2つの磁気要素における前記N磁極または前記S磁極の整列変動は、5°未満、又は2°未満、又は1°未満、又は0.5°未満とすることができる。
【0031】
前記磁極片及び/又は前記少なくとも2つの磁気要素は、フェライト、鉄、コバルト、マグネタイト、ネオジム、ニッケル、パーマロイまたは他の強磁性材料のうち1つ又はそれ以上を含むことができる。
【0032】
前記少なくとも2つの磁気要素の各々は、5mm未満の幅、20mm未満の高さ、及び100mm未満の奥行を有することができる。とくに、前記少なくとも2つの磁気要素の各々は、ほぼ3mm~4.5mmの幅、ほぼ8mmの高さ、及びほぼ30mmの奥行(又は長さ)を有することができる。
【0033】
前記磁極片のシャフトは、5mm未満の幅、20mm未満の高さ、及び100mm未満の奥行を有することができる。
【0034】
前記キャップは、断面が半円形又は半楕円形であり、また15mm未満の直径の長軸を有することができる。他の実施形態において、前記キャップは、断面が長方形、方形、三角形、正多角形又は不正多角形の形状を有することができる。
【0035】
検査ストリップ又はインタロゲーションゾーンの特定サイズ及び形状に適合するよう他の寸法を必要とすることができる。
【0036】
本発明の第2の態様によれば、検定を行うデバイスを提供し、このデバイスは、磁気アセンブリと、インタロゲーションゾーンを有する検定検査プラットフォームと、及び回転可能に備え付けられた可動アームとを備え、前記磁気アセンブリは、前記回転可能に備え付けられた可動アームの回転が前記磁気アセンブリを格納位置と動作位置との間で移動させるよう、前記回転可能に備え付けられた可動アームに設けられる。
【0037】
したがって、本発明の第2態様の実施形態は、上述した磁気アセンブリを、必要な時に迅速かつ容易に展開するよう回転可能なアームに組み込んで検定を行うデバイスを提供する。アームの回転がインタロゲーションゾーンに対する磁気アセンブリの向きを変化させ、またこれにより磁気アセンブリが発生する高磁場強度の方向も変化させるため、使用が不要であるときインタロゲーションゾーンにおける磁場強度を無視できる程度に減少するよう磁気アセンブリをインタロゲーションゾーンから大きな距離移動させる必要がない。したがって、小型で可搬式(例えば、ポイント・オブ・ケア)のデバイスを構成することができる。
【0038】
磁気アセンブリは本発明の第1態様によるものとすることができる。
【0039】
前記動作位置は前記インタロゲーションゾーンから第1距離に位置付けることができ、前記格納位置は前記インタロゲーションゾーンから第2距離に位置付けることができ、また前記第1距離は前記第2距離よりも小さいものとすることができる。
【0040】
前記動作位置で、前記磁気アセンブリは前記インタロゲーションゾーンに沿って延在することができる。
【0041】
デバイスは、さらに、前記磁気アセンブリが前記格納位置にあるとき、前記磁気アセンブリを前記インタロゲーションゾーンから遮蔽するよう配置されたシールドを備えることができる。
【0042】
前記磁気アセンブリは、前記動作位置にあるとき前記インタロゲーションゾーンに高磁場を発生し、また前記格納位置にあるとき前記インタロゲーションゾーンに低磁場を発生するよう構成することができる。
【0043】
前記磁気アセンブリは、前記磁気アセンブリが前記動作位置にあるとき前記キャップが前記インタロゲーションゾーンに隣接して位置付けられ、また前記磁気アセンブリが前記格納位置にあるとき前記キャップが前記インタロゲーションゾーンから離間する向きに指向させられるよう、前記回転可能に備え付けた可動アームに設けることができ、この場合、遮蔽ジオメトリに依存するが、前記キャップの向きは、検査ストリップが受ける合成磁場が十分弱くなるのを確実にすることに対して厳密にする必要はない。
【0044】
前記回転可能に備え付けた可動アームは、垂直平面内で回転するよう構成することができる。他の実施形態において、前記回転可能に備え付けた可動アームは、水平平面又は傾斜平面内で回転するよう構成することができる。
【0045】
本発明の第3態様によれば、本発明の第2態様のデバイスを動作させる方法を提供し、この方法は、
前記磁気アセンブリを前記格納位置に格納するステップと、
サンプルを前記検定検査プラットフォームに供給するステップと、
前記磁気アセンブリを前記格納位置から前記動作位置へと操縦するよう、前記回転可能に備え付けた可動アームを回転させるステップと、
前記サンプル内における磁気粒子を前記インタロゲーションゾーンにおける検査ベッドに対して、前記磁気粒子の前記磁気アセンブリに向かう引力で留め置くステップと、
前記サンプルを排除するステップと、及び
検体の有無を検出するよう前記インタロゲーションゾーンを分析するステップと、
を備える。
【0046】
したがって、本発明の第3態様は、検定を行う方法を提供し、この方法においては、サンプルを検定検査プラットフォームに供給した後、磁気アセンブリはインタロゲーションゾーンに近接する位置に単に回転し、これによりサンプルを所定位置に配置した後に至るまでは、サンプルは磁気アセンブリが発生する磁場に対して確実に曝露されないことになる。さらにまた、磁気アセンブリの回転運動は、キャップ領域における高磁場強度をインタロゲーションゾーンに向ける又は離間する(すなわち、不必要時)方向付けを迅速かつ容易に行うことを確実にする。回転可能に備え付けた可動アームの回転によってもたらされる磁気アセンブリのこの向き変化は、さらに、磁気アセンブリがインタロゲーションゾーンから離間移動しなければならない距離を、そうでない場合(すなわち、垂直方向又は水平方向の並進運動を使用するとき)に必要となる距離よりも少なくすることを可能にし、これにより格納位置にあるときのインタロゲーションゾーンにおける磁場強度を無視できるものにする。
【0047】
本発明の第4態様によれば、本発明の第2態様のデバイスを動作させる方法を提供し、この方法は、
前記磁気アセンブリを前記格納位置に格納するステップと、
前記磁気アセンブリを前記格納位置から前記動作位置へと操縦するよう、前記回転可能に備え付けた可動アームを回転させるステップと、
前記デバイス内における磁気粒子を前記インタロゲーションゾーンにおける検査ベッドに対して、前記磁気粒子の前記磁気アセンブリに向かう引力で留め置くステップと、
サンプルを前記検定検査プラットフォームに供給するステップと、
前記サンプルを排除するステップと、及び
検体の有無を検出するよう前記インタロゲーションゾーンを分析するステップと、
を備える。
【0048】
したがって、幾つかの事例において、磁気粒子は、サンプルが導入される前に検査ストリップにおける検査ベッドに留め置き、これにより検体のその後の検出を容易にするよう磁気粒子を均一又は予め規定した分布に維持することができる。
【0049】
幾つかの実施形態において、磁気アセンブリは、検査ストリップ位置で測定するとき、代表的には500mTを超える強力な磁場強度に対して、検査ストリップにおけるインタロゲーションゾーンの全幅にわたり有効な均一かつ一定のカバー範囲をもたらよう構成した永久磁気要素を備えることができる。
【0050】
とくに、磁気アセンブリは、磁気アセンブリの一方の側面に高磁場強度の領域が確立される(キャップ周りで)とともに、反対側の側面では磁場強度は低くなる(無視できる程度)指向性を磁場強度が有する構成にする。このような装備によって、動作位置では高磁場強度領域が検査ストリップにおけるインタロゲーションゾーンに指向する状態に磁気アセンブリは方向付けされ、また格納位置では低磁場強度領域が検査ストリップにおけるインタロゲーションゾーンに向けて方向付けされるよう、磁気アセンブリは回転することができる。このことは、最初にサンプル及び試薬が組み合わされるときの相互作用期間中における干渉を回避するよう、磁気アセンブリをサンプルから離間させる移動をしなければならない距離を短くすることができ、装置の物理的サイズを減少できることを意味する。格納位置で提示される低磁場強度は、さらに、必要とされる遮蔽量、及び磁気アセンブリとシールドとの間引力が減少することも意味する。したがって、磁気アセンブリをシールドから離間移動させるのに必要な力も減少し、より小さくパワーがより少ないモータの使用を可能にし、さらに、装置の物理的サイズを減少する。これらの特徴は、検定を行う携帯可能デバイスにとって、またとくにPOCTデバイスにとってこのような磁気アセンブリの使用をより適切にする。
【0051】
幾つかの実施形態において、提案された磁気アセンブリは、2つの磁気要素を備え、各磁気要素は中心コンポーネントのどちらかの側面に取り付ける。中心コンポーネントは強磁性磁極片で形成し、また磁気要素は、各磁気要素のN極(又はS曲)が中心コンポーネントに向かって互いに反対方向内方に対面するよう構成する。
【0052】
中心コンポーネントは、シャフトと、このシャフトの一方の端部に位置付けた円弧状、湾曲した、又はドーム状のキャップとを有する。キャップは、シャフト方向に直交する方向の各磁気要素における横方向表面上に延在する(すなわち、突き出る)。キャップは、したがって、キャップがシャフト及び各磁気要素の少なくとも一部分にオーバーハングするよう、シャフトの幅よりも大きい直径を有する。キャップのオーバーハング部分と各磁気要素との間にはギャップが生じても生じなくてもよい。
【0053】
キャップの湾曲表面は、磁力線を90°に至るまで転向させることができ、キャップのサイズ及び形状は磁力線の拡散及び帰還経路に影響を及ぼすことができる。磁力線のこの転向は、キャップの磁極真上の領域における磁束密度を減ずる効果を有し、このことは、磁極に対して側方に隣接する領域における磁場強度を増加させる。この磁場強度の拡散は、磁気要素の異成分から成る性質に起因する磁場のいかなる不連続性の相対的影響を減少させる効果も有する。
【0054】
本発明の態様は、検定を行うデバイスに使用する磁気アセンブリに関する。
【0055】
磁気アセンブリはポイント・オブ・ケア検査(POCT)デバイスに使用することができる。
【0056】
磁気アセンブリは、複数、例えば2つの磁気要素を備えることができる。磁気アセンブリは、さらに、サンドイッチ構成を生ずるよう2つの磁気要素間に介在させた強磁性材料又は磁極片を備えることができる。代案として、磁気アセンブリは、磁極片周りを包囲し、磁極片の両側の側面上に少なくとも2つの磁気要素(すなわち、セクション)を生ずるよう単一磁石を備えることができる。例えば、単一磁石を環状の形状にし、また強磁性材料の中心コアの周りに配置することができる。
【0057】
磁気アセンブリは、有利には、該アセンブリの一方の側面に高磁場強度を、また反対側の側面に低磁場強度を生ずるよう構成する。
【0058】
キャップは、少なくとも2つの磁気要素各々の横方向表面上に部分的又は全体的に延在させることができる。
【0059】
キャップは、磁気要素の全長にわたり延在させる、又は磁気要素の部分的長さに沿って延在させることができる。磁極片のシャフト及びドーム状キャップにおける断面は、ほぼマッシュルーム形状にすることができる。
【0060】
磁気アセンブリが中心磁極片コアの周りに配置した単一環状磁石を有する実施形態においては、キャップは、円形とし、また環状磁石を横切る半径方向に部分的又は全体的に延在することができる。
【0061】
シャフトは、磁気要素の奥行/長さに等しい奥行/長さを有することができる。代案として、シャフトは、磁気要素の奥行/長さより、大きい又は小さい奥行/長さを有することができる。
【0062】
シャフトは、磁気要素の高さにほぼ等しい高さを有することができる。代案として、シャフトの高さは、磁気要素の高さによりも大きい又は小さい高さを有することができる。
【0063】
キャップはシャフトの第1端部から突出することができる。第1端部とは反対側でキャップの遠位側にあるシャフトの第2端部は、磁気要素の面と同一平面にする、又はその面からオフセットすることができる。
【0064】
磁気要素は、5mm未満、又は4mm未満、又は3mm未満、又は2mm未満の幅を有することができる。
【0065】
磁気要素は、20mm未満、又は10mm未満、又は5mm未満、又は2mm未満の高さを有することができる。
【0066】
磁気要素は、200mm未満、又は100mm未満、又は50mm未満、又は20mm未満、10mm未満、又は5mm未満、又は2mm未満の奥行を有することができる。
【0067】
シャフトは、5mm未満、又は4mm未満、又は3mm未満、又は2mm未満、1mm未満の幅を有することができる。一実施形態において、シャフトは14mmの幅を有する。
【0068】
シャフトは、20mm未満、又は10mm未満、又は5mm未満、又は2mm未満、1mm未満の高さを有することができる。
【0069】
シャフトは、200mm未満、又は100mm未満、又は50mm未満、又は20mm未満、10mm未満、又は5mm未満、又は2mm未満の奥行を有することができる。
【0070】
キャップが半円形断面である実施形態において、半円形の直径は、15mm未満、10mm未満、又は5mm未満、又は2mm未満とすることができる。
【0071】
キャップが半楕円形断面である実施形態において、半楕円形の長軸直径は、15mm未満、10mm未満、又は5mm未満、又は2mm未満とすることができる。半楕円形の短軸直径は、10mm未満、又は5mm未満、又は2mm未満とすることができる。
【0072】
シャフトの幅は十分広くすることができ、また磁気要素の磁場強度は、シャフトの磁気容量に十分適合し、磁気要素と磁極片との間における引力が磁気要素間の反発力よりも大きくなるようにする。
【0073】
このように、磁気アセンブリは自己組み立てすることができ、また磁力によって互いに保持することができる。このようでない事例、又は安全性を高めるためには、磁気アセンブリは、反発力に打ち勝つため何らかの追加手段、例えば、接着剤によって互いに保持することができる。
【0074】
代表的磁気要素における粒度は直径が1~500マイクロメートルの間で変動し得る。幾つかの実施形態において、各磁気要素における粒度は直径2マイクロメートル未満又は直径1マイクロメートル未満である。
【0075】
代表的磁気要素間における磁極の方向の変動は15°にまで達し得る。幾つかの実施形態において、磁気要素間における磁極の方向の変動は2°未満である。
【0076】
磁気要素は、それ自体が永続的磁場を生ずる強磁性材料で製造、形成又は構成することができ、また、例えば、フェライト、鉄、コバルト、マグネタイト、ネオジム、ニッケルまたはパーマロイを含むことができる。
【0077】
磁極片は、強磁性材料又はフェリ磁性材料のような任意の適当な材料で製造、形成又は構成することができ、また、例えば、鉄、ニッケル又はコバルトを含むことができる。代案として、磁極片は、強磁性成分を含有する合金で形成することができる。幾つかの実施形態において、磁極片は磁性を有するものとすることができ、また磁化可能材料で形成することができる。
【0078】
随意的な金属キャップを少なくとも一方の磁気要素に及びS極側の端部に配置することができる。
【0079】
磁気アセンブリは、検定を行うデバイスの一部をなすものとすることができる。検定を行うデバイスは、ユーザーがデバイスを操作することができる対話型ディスプレイスクリーンを備える小型の対話型デバイスの形態とすることができる。このようなスクリーンは、タッチスクリーンとする、ボタンを有するものとする、又はその双方の組合せとすることができる。デバイスは、さらに、検査ストリップポートを備えることができ、このポートから検定カセット又は検査ストリップをデバイス内に挿入することができる。ハッチ又はドアが検査ストリップポートをカバーし、不使用時に内部コンポーネントを保護することができる。ハッチは、開放して検査ストリップポートを露呈させることができ、このポート内に検査ストリップを挿入する。検査ストリップを挿入した後、ハッチを閉じることができ、検査/検定を開始することができる。検査後にハッチを開き、また検査ストリップを取り出す。
【0080】
デバイスの内部コンポーネントは、ハウジング内に収納することができ、また上述した磁気アセンブリと、ハウジングにおける回動ポイントに回動可能に備え付けることができる可動アームと、磁気シールドと、検査中に検査ストリップを位置付ける検定検査プラットフォームと、検査ストリップに熱を加えるヒータと、検査ストリップとデバイスメーター(例えば、流体検出及び移動制御、インピーダンス測定又は電気化学的検定測定のための)との間における電気的インタフェースを生ずるためのストリップコネクタと、電気信号受信の際に偏向して検査ストリップに力を加えることができる、少なくとも1つの、例えば、1、2、3、4、6、8、10又は12個の圧電ベンダと(代案として、圧電ベンダは電気信号受信の際に印加した力を釈放するよう構成することができる)、及び検査ストリップに対して光学的分析を実施することができる光学ブロックとを有することができる。この光学ブロックは、カメラ及び光源から成るものとすることができる。デバイス外部に位置付けられる検査ストリップは、デバイス内部に位置付けられた検定検査プラットフォームへのアクセスが可能である。この検定検査プラットフォームは、検定分析を実施するインタロゲーションゾーンを有することができる。
【0081】
磁気アセンブリは可動アームに回転可能に備え付けられる。可動アームは、回動ポイントで検定を行うデバイスに回転可能に備え付けることができ、またこのような装備によって磁気アセンブリはデバイスに対して相対移動することができる。
【0082】
磁気アセンブリは、概してインタロゲーションゾーンのほぼ全体にわたり高磁場強度を生ずるようインタロゲーションゾーンの形状に適合する形状にすることができる。例えば、動作位置において、キャップは、インタロゲーションゾーンに整列することができ、またインタロゲーションゾーンの全範囲にわたり延在することができる(このことは、1つ又はそれ以上の検査チャンネルをカバーすることができる)。
【0083】
可動アームは磁気アセンブリを動作位置と格納位置との間で操縦することができる。動作位置において磁気アセンブリのキャップは第1方向に対面し、また格納位置において磁気アセンブリのキャップはほぼ反対方向の第2方向に対面することができる。第1方向はほぼインタロゲーションゾーンに向き、また第2方向はインタロゲーションゾーンからほぼ離間することができる。
【0084】
磁気シールドは、デバイス内に、又は可動アーム上又はその近傍に配置することができ、この配置は、磁気アセンブリが格納位置にあるとき磁気シールドがインタロゲーションゾーンを磁気アセンブリから遮蔽するように行う。磁気シールドは固定とすることができ、代案として、磁気シールドを検定検査プラットフォームに対して移動可能にすることができる。可動アームは磁気アセンブリを磁気シールドに対して操縦することができる。
【0085】
動作位置において、磁気アセンブリは、磁気シールドと検定検査プラットフォームとの間に介在して、磁気アセンブリがインタロゲーションゾーンに隣接することができる。格納位置において、磁気アセンブリはインタロゲーションゾーンから離れて位置付けられ、磁気シールドがインタロゲーションゾーンと磁気アセンブリとの間に依存することができる。
【0086】
動作位置において、磁気アセンブリは、高磁場強度がインタロゲーションゾーンに指向かつ近接するよう方向付けすることができる。格納位置において、磁気アセンブリは、高磁場強度がインタロゲーションゾーンから離反指向かつ離れて位置付けられるよう方向付けすることができる。この形態において、低磁場強度がインタロゲーションゾーンに向いて指向する。
【0087】
可動アームは、ヨー、ピッチ及びロールのうち1つ又はそれ以上の方向に回転可能にすることができる。とくに、可動アームは、垂直平面、水平平面、又は傾斜平面上で回転可能にすることができる。
【0088】
使用にあたり、検定は、ポートから検定検査プラットフォーム内に検査ストリップ(サンプル及び磁気ビードを含む試薬を有する)を挿入することによって行うことができる。この段階中、磁気アセンブリは格納位置に位置付けられ、またシールドは検定検査プラットフォームと磁気アセンブリとの間に位置付けられて、検査ストリップを磁気アセンブリの磁場から遮蔽することができる。磁気アセンブリは、さらに、キャップ領域における高磁場強度が検査ストリップから離反して指向するよう方向付けられる。これにより、培養段階中に検査ストリップにおけるサンプル及び試薬が弱く無視できる程度の磁場の領域と相互作用することができる。
【0089】
次に、磁気アセンブリを動作位置に操縦することができ、これにより磁気アセンブリがインタロゲーションゾーンに隣接することができる。磁気アセンブリは、高磁場強度領域が検査ストリップに向いて指向するよう方向付けすることができる。このことは、試薬内の磁気ビードを磁気アセンブリに引き寄せ、また検査ストリップのベースに留め置かせる(検体がサンプル内に存在する場合には検体及びこれに付着した検出粒子とともに)。このことは捕捉段階と称される。
【0090】
検査ストリップは、次にいかなる未結合粒子をも検査ストリップから除去するようフラッシュ洗浄、清掃又は排除することができる。このことは排除段階を称される。
【0091】
最終的に、随意的な測定システム(すなわち、光学ブロック)又は任意な他の適当な測定デバイス若しくは技術を用いて、蛍光粒子の光学的インタロゲーションによるものとすることができる。このことは測定段階と称される。
【0092】
測定段階が完了した後、磁気アセンブリは、次に動作位置から格納位置に操縦することができ、また検査ストリップを検定検査プラットフォームから取り出すことができる。
【0093】
他の実施形態において、検査ストリップを挿入することができ、製造中に検査ストリップ内に設けられる磁気粒子(すなわち、粒子の均一層又は予め規定した検査ベッドを維持する)をインタロゲーションゾーンに抑え込む高磁場強度を付与するよう磁気アセンブリを検査ストリップに隣接する動作位置に移動し、この後、サンプルを供給しかつインタロゲーションゾーンに移動し、これにより磁気粒子の均一層上で捕捉及びサンドイッチ反応が生ずるようにし、サンプル及び未結合粒子を除去するようインタロゲーションゾーンを排除し、光学的又は他の測定をインタロゲーションゾーン上で実施し、また磁気アセンブリを格納位置に移動しかつ検査ストリップをデバイスから取り外す。
【0094】
別の実施形態において、可動アームは、検定分析の異なる段階用にインタロゲーションゾーンにおける磁場強度を変更するため、磁気アセンブリを回転するよう移動することができる。
【0095】
本発明の別の態様を以下の番号付けした条項で詳述する。
1. 第1磁石、第2磁石、及び磁極片を有する磁気アセンブリを備える診断用リーダであって、
(i) 各磁石は長さを有し、長さの軸線は磁石の長さに整列し、また磁場軸線は長さ軸線にほぼ直交するよう方向付けられ、
(ii) 前記第1及び第2の磁石は、これら磁石間にギャップを画定し、各磁石の磁場におけるN極が他方の磁石に向かって方向付けられ、また
(iii) 磁極片は、前記ギャップの少なくとも一部分内に配置されるギャップ部分と、前記ギャップの外部に配置されかつ各磁石の横方向表面の少なくとも一部分をカバーするキャップ部分とを有する、診断用リーダ。
【0096】
2. 条項1記載の診断用リーダにおいて、各磁石の長さ方向軸線は、他方の磁石の長さ方向軸線に平行な状態に対して、15°の範囲内、10°の範囲内、5°の範囲内、2.5°の範囲内にある、診断用リーダ。
【0097】
3. 条項1又は2記載の診断用リーダにおいて、前記第1及び第2の磁石は、前記長さ方向軸線に沿って互いにほぼ平行である、診断用リーダ。
【0098】
4. 条項1~3のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、前記第1及び第2の各磁石は、互いに、また磁石の長さ方向軸線に直交する状態に対して5°の範囲内、2°の範囲内、1°の範囲内、0.5°の範囲内、0.25°の範囲内にある寸法に沿って幅及び高さを画定する、診断用リーダ。
【0099】
5. 条項4項記載の診断用リーダにおいて、各磁石の長さは、前記磁石の幅又は高さより大きい、診断用リーダ。
【0100】
6. 条項5項記載の診断用リーダにおいて、各磁石の長さは、前記磁石の幅よりも少なくとも約2倍、少なくとも約3倍、少なくとも約5倍大きい、診断用リーダ。
【0101】
7. 条項5又は6項記載の診断用リーダにおいて、各磁石の長さは、前記磁石の幅よりも約10倍未満、約7.5倍未満、約5倍未満で大きい、診断用リーダ。
【0102】
8. 条項4~7のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、各磁石の高さは、前記磁石の磁場軸線に直交する軸線に対して5°の範囲内、2°の範囲内、1°の範囲内、0.5°の範囲内、0.25°の範囲内で整列する、診断用リーダ。
【0103】
9. 条項8記載の診断用リーダにおいて、各磁石の高さは、前記磁石の幅よりも少なくとも約1.5倍、少なくとも約2倍、少なくとも約3倍大きい、診断用リーダ。
【0104】
10. 条項8又は9記載の診断用リーダにおいて、各磁石の高さは、前記磁石の幅よりも
約5倍以下、約4倍以下、約3.5倍以下で大きい、診断用リーダ。
【0105】
11. 条項1~10のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、前記第1及び第2の磁石のうち少なくとも一方又は双方は、少なくとも2つの別個の磁石とする、診断用リーダ。
【0106】
12. 条項1~11のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、前記磁極片は、1つ又はそれ以上の別個のコンポーネントとする、診断用リーダ。
【0107】
13. 条項1~12のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、前記磁石のうち少なくとも一方又は双方は、単一内部磁石である、診断用リーダ。
【0108】
14. 条項1~13のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、前記磁石のうち少なくとも一方又は双方は、立方体である、診断用リーダ。
【0109】
15. 条項14記載の診断用リーダにおいて、前記磁石のうち少なくとも一方又は双方は、直方体である、診断用リーダ。
【0110】
16. 条項1~15のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、前記磁極片のギャップ部分は、前記第1及び第2の磁石間におけるギャップの容積の、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97.5%、又はほぼ全体を占める、診断用リーダ。
【0111】
17. 条項1~16のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、磁極片のギャップ部分は、各磁石の長さ方向軸線にほぼ整列する軸線に沿う第1及び第2の磁石間におけるギャップの長さの、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97.5%、又はほぼ全体に沿って延在する、診断用リーダ。
【0112】
18. 条項1~17のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、前記ギャップは、前記第1及び第2の磁石の長さの、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも95%、少なくとも97.5%、又はほぼ全体に沿って延在する、診断用リーダ。
【0113】
19. 条項1~18のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、前記ギャップは、前記第1及び第2の磁石の高さの、少なくとも50%、少なくとも75%、少なくとも85%、少なくとも95%、少なくとも97.5%、又はほぼ全体に沿って延在する、診断用リーダ。
【0114】
20. 条項1~19のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、前記第1及び第2の磁石は、前記ギャップによって全体的に離間する、すなわち、直接接触しない、診断用リーダ。
【0115】
21. 条項1~20のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、前記磁極片のギャップ部分は立方体である、診断用リーダ。
【0116】
22. 条項21記載の診断用リーダにおいて、前記磁極片のギャップ部分は直方体である、診断用リーダ。
【0117】
23. 条項1~22のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、前記磁極片のキャップ部分は、前記第1及び第2の磁石の長さの、少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも97.5%、又はほぼ全体に沿って延在する、診断用リーダ。
【0118】
24. 条項1~23のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、前記第1及び第2の磁石の磁場軸線に直交する軸線に沿う前記磁極片のキャップ部分の厚さは、前記ギャップの中点で最大である、診断用リーダ。
【0119】
25. 条項1~24のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、前記第1及び第2の磁石から離反する方向に対面する前記磁極片のキャップ部分における外表面は、凸状である、診断用リーダ。
【0120】
26. 条項25記載の診断用リーダにおいて、前記磁極片のキャップ部分における前記外表面の曲率半径は、少なくとも約0.75mm、少なくとも約1mm、少なくとも約1.5mm、又は少なくとも約1.75mmである、診断用リーダ。
【0121】
27. 条項25又は26記載の診断用リーダにおいて、前記磁極片のキャップ部分における外表面の曲率半径は、約5mm以下、約3.5mm以下、約2.5mm以下、又は約2mm以下である、診断用リーダ。
【0122】
28. 条項25~27のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、前記磁極片のキャップ部分における凸状外表面の曲率半径の中心点は、前記第1及び第2の磁石間における前記ギャップ内に配置される、診断用リーダ。
【0123】
29. 条項28記載の診断用リーダにおいて、前記磁極片のキャップ部分における凸状外表面の曲率半径の中心点は、前記第1及び第2の磁石間における前記ギャップに配置される、診断用リーダ。
【0124】
30. 条項25~29のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、前記磁極片のキャップ部分における凸状外表面の曲率半径の中心点に対して、前記磁極片のキャップ部分は、少なくとも約90°、少なくとも約100°、少なくとも約110°、又は少なくとも約120°の角度範囲を見込む、診断用リーダ。
【0125】
31. 条項25~30のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、前記磁極片のキャップ部分における凸状外表面の曲率半径の中心点に対して、前記磁極片のキャップ部分は、約150°以下、約140°以下、約130°以下、又は約125°以下の角度範囲を見込む、診断用リーダ。
【0126】
32. 条項25~31のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、前記磁極片のキャップ部分は切頂円筒形である、診断用リーダ。
【0127】
33. 条項25~32のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、前記キャップ部分の外表面は切頂楕円状である、診断用リーダ。
【0128】
34. 条項1~33のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、前記磁極片のキャップ部分はドーム形状である、診断用リーダ。
【0129】
35. 条項1~34のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、前記少なくとも2つの磁石各々は、10mm未満の幅、20mm未満の高さ及び100mm未満の長さを有する、診断用リーダ。
【0130】
36. 条項1~35のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、前記少なくとも2つの磁石各々は、少なくとも4mmの幅、少なくとも8mmの高さ及び少なくとも25mm未満の長さを有する、診断用リーダ。
【0131】
37. 条項1~36のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、前記ギャップ部分は、10mm未満、8mm未満、6mm未満、4mm未満、又は2mm未満の最大幅を有する、診断用リーダ。
【0132】
38. 条項1~37のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、前記ギャップ部分は、少なくとも2mm、少なくとも4mm、少なくとも6mm、少なくとも8mm、又は少なくとも10mmの最小幅を有する、診断用リーダ。
【0133】
39. 条項1~38のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、前記ギャップ部分は、その長さに沿って均一幅を有する、診断用リーダ。
【0134】
40. 条項1~39のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、(i) 前記磁気アセンブリは、前記第1磁石の外表面と前記第2磁石の外表面との間で各磁石の磁場軸線にほぼ平行な軸線で測った最大幅を画定し、(ii) 前記磁極片のキャップ部分は、各磁石の磁場軸線にほぼ平行な軸線で測った最大幅を画定し、及び(iii) 前記磁極片のキャップ部分の前記最大幅は、前記磁気アセンブリの最大幅の約95%以下、前記磁気アセンブリの最大幅の約85%以下、前記磁気アセンブリの最大幅の約75%以下、若しくは前記磁気アセンブリの最大幅の約65%以下であり、又は条項1~39のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、(i) 前記磁極片のキャップ部分は、前記第1及び第2の磁石各々における横方向表面の少なくとも約1%、少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約25%、若しくは少なくとも約50%をカバーし、(ii) 前記磁極片のキャップ部分は、前記第1及び第2の磁石各々における横方向表面の約60%以下、約50%以下、約30%以下、若しくは約10%以下をカバーする、診断用リーダ。
【0135】
41. 条項1~40のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、(i) 前記磁気アセンブリは、前記第1磁石の外表面と前記第2磁石の外表面との間で各磁石の磁場軸線にほぼ平行な軸線で測った最大幅を画定し、(ii) 前記磁極片のキャップ部分は、各磁石の磁場軸線にほぼ平行な軸線で測った最大幅を画定し、及び(iii) 前記磁極片のキャップ部分の前記最大幅は、前記磁気アセンブリの最大幅の少なくとも約65%、前記磁気アセンブリの最大幅の少なくとも約70%、前記磁気アセンブリの最大幅の少なくとも約75%、前記磁気アセンブリの最大幅の少なくとも約85%、若しくは前記磁気アセンブリの最大幅の少なくとも約90%である、診断用リーダ。
【0136】
42. 条項1~41のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、前記磁極片並びに/又は前記第1及び第2の磁石は、フェライト、鉄、コバルト、マグネタイト、ネオジム、ニッケル、パーマロイまたは他の強磁性材料のうち1つ又はそれ以上を含む、診断用リーダ。
【0137】
43. 条項1~42のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、前記第1及び第2の磁石は、当該第1及び第2の磁石と前記磁極片との間の引力を、前記第1及び第2の磁石間の反発力よりも大きくするのに十分な磁場強度を有し、これにより、前記磁気アセンブリは磁力によって一緒に保持される、診断用リーダ。
【0138】
44. 条項1~43のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、前記磁石の前記長さ方向軸線と磁場軸線とは、互いに直交する方向に、15°以内、10°以内、7.5°以内、5°以内、2.5°以内、又は1.5°以内にある、診断用リーダ。
【0139】
45. 条項1~44のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、(i) 前記リーダは、少なくとも1つの検出ゾーンを有する診断カートリッジを収容するよう構成され、及び(ii) 前記リーダは、前記磁気アセンブリによって発生する磁場が前記検出ゾーン内における磁気粒子を不動化できる作動位置、及び前記磁気アセンブリによって発生する磁場が前記検出ゾーン内における磁気粒子を不動化しない不作動位置に前記磁気アセンブリを移動するよう構成される、診断用リーダ。
【0140】
46. 条項45項記載の診断用リーダにおいて、前記診断カートリッジはほぼ平面状であり、前記作動位置では、前記第1及び第2の磁石各々の磁場軸線が、前記診断カートリッジによって画定される平面に平行な方向に、7.5°以内、5°以内、2.5°以内、又は1°以内にある、診断用リーダ。
【0141】
47. 条項46項記載の診断用リーダにおいて、前記不作動位置では、前記第1及び第2の磁石各々の磁場軸線と、前記診断カートリッジによって画定される平面との間における角度は、少なくとも50°、少なくとも60°、少なくとも75°、少なくとも90°、又は少なくとも110°である、診断用リーダ。
【0142】
48. 条項45~47のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、前記検出ゾーン内における液体の流動方向にほぼ整列する長軸線を有し、前記作動位置では、前記検出ゾーンの長軸線と、前記第1及び第2の磁石各々の長さ方向軸線とは、互いに直交する方向に、7.5°以内、5°以内、2.5°以内、1°以内、又は0.5°以内にある、診断用リーダ。
【0143】
49. 条項45~48のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、前記リーダは、前記診断カートリッジによって画定される平面にほぼ平行な軸線の周りに前記作動位置と前記不作動位置との間で前記磁気アセンブリを回転させるよう構成されている、診断用リーダ。
【0144】
50. 条項45~49のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、前記リーダは、前記第1磁石、前記第2磁石、又は前記磁極片に交差しない軸線の周りに前記作動位置と前記不作動位置との間で前記磁気アセンブリを回転させるよう構成されている、診断用リーダ。
【0145】
51. 条項45~50のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、前記作動位置では、前記磁極片のキャップ部分は、前記第1及び第2の磁石と前記診断カートリッジとの間に配置される、診断用リーダ。
【0146】
52. 条項45~51のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、前記作動位置では、前記第1及び第2の磁石各々の横方向表面は前記ギャップ上方に配置される、診断用リーダ。
【0147】
53. 条項45~51のうちいずれか1項記載の診断用リーダにおいて、前記作動位置では、前記第1及び第2の磁石各々の高さによって画定される軸線は、前記診断カートリッジの平面に直交する、診断用リーダ。
【0148】
疑義を回避するため、本発明の任意な態様におけるいかなる特徴も、本発明の任意な他の態様に適切に組み合わせて適用することができる。
【0149】
以下に本発明の実施形態を図面につき詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0150】
図1】本発明の第1実施形態による磁気アセンブリの断面図である。
図2図1の磁気アセンブリにおける随意的な金属プレートがない状態の斜視図である。
図3図1の磁気アセンブリに採用される単一磁気要素の斜視図である。
図4図1の磁気アセンブリに採用される磁極片の斜視図である。
図5a】格納位置にある図1の磁気アセンブリを備える検定を行うデバイスの内部コンポーネントの概略図を示す。
図5b図1の磁気アセンブリが動作位置に回転した状態にあり、図5aに類似の概略図を示す。
図5c図1の磁気アセンブリが図5bに示す動作位置にある状態における検査ストリップの平面図を示す。
図6a図5a及び5bに示すデバイスが格納位置にあるときのシールド、可動アーム及び磁気アセンブリの平面図を示す。
図6b】磁気アセンブリが動作位置にある状態の図6aと同様の平面図を示す。
図7】検査ストリップに隣接するときの磁気アセンブリを包囲する磁力線及び磁束密度の輪郭プロットを示す。
図8】格納位置にあるときの磁気アセンブリを包囲する磁力線及び磁束密度の輪郭プロットを示す。
図9a】本発明実施形態による検定を行うデバイスの閉鎖形態における斜視図である。
図9b図9aのデバイスが開放形態にあり、検査ストリップを挿入できる溝孔を示す斜視図である。
図10】キャップ直径を変化させたものに関する、磁気アセンブリ中心からの距離が増加する際の磁場強度変動をプロットしたグラフを示す。
図11】キャップ直径を変化させたものに関する、磁気アセンブリ中心からの距離が増加する際の検査ストリップ内における磁気ビードに加わる引力をプロットしたグラフを示す。
図12】材料が変化する際の有効磁気遮蔽をプロットしたグラフを示す。
図13】本発明実施形態により検定を行う方法のステップを示す。
【発明を実施するための形態】
【0151】
図面の詳細な説明
図1および2は、本発明の第1実施形態に係る、磁気アセンブリ1を示す。磁気アセンブリ1は、検定、例えば、ポイント・オブ・ケア検査を行うデバイスにおける使用に適している。
【0152】
磁気アセンブリ1は、2つの磁気要素2を備えている。磁気要素2の極性は矢印6によって示され、当該矢印6は、標準的な慣例にしたがって、各磁気要素2のN極を指し示している。
【0153】
磁気要素2の間に介在しているのは、強磁性材料の中央磁極片5である。磁極片5は縦方向のシャフト3及びキャップ4を有し、キャップ4は、図示のように、シャフト3の頂部に連結され、これにより磁極片5はほぼマッシュルーム形状である。キャップ4は、磁気要素2の横方向表面7上に部分的延びている(延在する)。キャップ4は、磁気要素2の全長(すなわち、奥行)にわたって延在する(図2に示す)。
【0154】
磁気要素2は、強磁性材料によって形成されている。本実施形態では、磁気要素2は、フェライトによって形成されている。他の実施形態において、磁気要素は、例えば、鉄、コバルト、マグネタイト、ネオジム、ニッケルまたはパーマロイによって形成することができる。
【0155】
磁極片5は、強磁性材料またはフェリ磁性材料によって形成することができる。本実施形態では、磁極片5は、鉄によって形成されている。他の実施形態では、磁極片5は、ニッケル、コバルト、または、鉄、ニッケルもしくはコバルトを含む強磁性合金によって形成することができる。
【0156】
図1はまた、2つの随意的な金属プレート8が含まれていることを示し、当該金属プレート8は、磁極片5から磁性要素2の対応する反対側の磁極面に至る、磁場の戻り経路を規制するように、各磁気要素2の側面における頂部部分に取り付けられる。このように、金属プレート8は、図示のように、磁気アセンブリ1のベースにおける磁場を最小化するのに役立つ。
【0157】
図3は個別の磁気要素2を示す。矢印6は磁気要素2のN極の方向を指し示している。磁極片5および磁気要素2は、明確化のために、図3では省略されている。このように、各個別の磁気要素2は立方体であることが分かる。
【0158】
図4は磁極片5を示し、当該磁極片5は、立方体形の縦方向シャフト3と、当該シャフト3の全長に沿って延びている、ドーム状または円弧状のキャップ4とを有する。磁気要素2は、明確化のために、図4では省略されている。
【0159】
図5aおよび5bは、本発明の一実施形態に係る、検定を行うデバイス(例えば、診断用リーダ)の内部コンポーネント10を、格納位置(図5a)及び動作位置(図5b)の両方で示す。内部コンポーネント10は、ハウジング(図示省略)の回動ポイント24に回動可能に取り付けられた可動アーム22と、可動アーム22の遠位端に取り付けられた磁気アセンブリ1と;格納位置にあるとき前記磁気アセンブリが配置される位置に設けられた磁気シールド26と、検査中に検査ストリップ12が配置される検定検査プラットフォーム11と、検査ストリップ12に対して熱を供給することができるヒータ13と、ストリップコネクタ18と,電気信号を受信する際に、偏向して検査ストリップ12に力を加える、一組の圧電ベンダ16のセット(代替的に、圧電ベンダ16は、電気信号を受信する際に加えた力を開放するよう構成することもできる。)と、及び検査ストリップ12で光学的な分析を行うよう構成された光学ブロック14と、を備える。光学ブロック14は、カメラ及び光源(図示せず)を備える。デバイスの外部に配置された検査ストリップポートは、当該デバイスの内部に配置された検定検査プラットフォーム11に対するアクセスを可能にする。検定検査プラットフォーム11は、検定分析が実施されるインタロゲーションゾーン15を有する。
【0160】
格納位置(図5a)では、可動アーム22が検定検査プラットフォーム11から離れて位置決めされ、これにより、磁気アセンブリ1(即ち、キャップ)は、インタロゲーションゾーン15から離れる向きに指向し、またシールド26内に配置される。動作位置(図5b)では、可動アーム22が回動ポイント24の周りを回転し、これにより、磁気アセンブリ1(即ち、キャップ)は、検定検査プラットフォーム11に隣接する位置に移動し、またインタロゲーションゾーン15に向かって指向する。いずれの位置でも、磁気アセンブリ1は、インタロゲーションゾーン15の全体に高い磁場強度を及ぼして、検査ストリップ12に存在する磁気粒子を検査ベッドに留め置く。
【0161】
圧電ベンダ16は、検査ストリップ12に存在するガス充填室(図示せず)と動作可能に関連付けられるよう構成されている。電気信号の受信の際に、圧電ベンダ6が偏向し、これにより前記ガス充填室を圧縮し、その結果、含まれたガスを排出し、これによって、検査ストリップ12のマイクロ流体チャネル内での液体サンプルの方向性移動を生ずる。電気信号の解除の際に、圧電ベンダ16は本来の形状に戻り、これによって、前記ガス充填室に加わる圧縮力が取り除かれて当該ガス充填室内に負圧を生じさせ、これによって、ガス充填室に向かって液体サンプルを引き戻し、検査ストリップ12のマイクロ流体チャネル内で液体サンプルに反対方向の方向性移動を生じさせる。このことは、本願人の先願である、国際公開第2018/002668号公報に記載されている。
【0162】
必要に応じて実装することができるヒータ13は、検定検査プラットフォーム11の全長に沿って設けられ、デバイスに存在しているときの検査ストリップ12を加熱して、液体サンプルの温度を上昇させるとともにその粘度を減少させる。このような装備によって、液体サンプルの流動性を高めることができる。
【0163】
サンプルの排除に続いて、当該サンプルの測定は光学ブロック14によって実施される。例えば、光学ブロック14は、インタロゲーションゾーン15内の検出粒子からの発光を検出および/または測定するように構成することができ、検出粒子は検体に結合しており、また磁気アセンブリ1の影響の下、磁気粒子によって前記検査ベッドに留め置かれる。磁気アセンブリ1は、インタロゲーションゾーン全体にわたって、高い磁場強度を及ぼすように構成されているので、個々の磁気粒子は、その場に留め置かれ、また従来技術のように、高い磁場の磁力線に引きずり込まれることはない。したがって、光学ブロック14は、問題となっている検体を示す個々の磁気粒子を検出および定量化することができる。
【0164】
図5cは、磁気アセンブリ1が図5bのような動作位置にある、検査ストリップ12の相対的な向きを示す。このように、磁気アセンブリ1は、検査ストリップ12をデバイス内に挿入する方向に対して直交する方向に延在することが分かる。この場合、検査ストリップは、サンプル入口32、及び4つの検査チャネル30を有する。チャネル30の各々は、インタロゲーションゾーン15でキャップ4の真上に配置される部分を有しており、当該部分は、インタロゲーションゾーン15を通る磁気粒子の均質分布を確実にする。
【0165】
図6aは、格納位置にある磁気アセンブリ1および可動アーム22を示し、図6bでは動作位置にある状態を示す。可動アーム22は、回動ポイント24において、検定を行うためのデバイス(図示せず)に回動可能に取り付け、可動アーム22を2つの位置の間で操縦することができる。格納位置(図6a)では、磁気アセンブリ1は、インタロゲーションゾーン(図示せず)から離れる向きに方向付けされ磁気シールド26の背後に配置される。動作位置(図6b)では、磁気アセンブリ1は、インタロゲーションゾーンに向かって方向付けされ、磁気シールド26の背後に配置されないため、インタロゲーションゾーンを磁気アセンブリ1の磁場に曝露する。
【0166】
図7は、動作位置にあるときの、磁気アセンブリ1を取り囲んでいる磁力線8を示す輪郭プロット図であり、この場合、磁気アセンブリ1は、検査ストリップ12に向かって、また当該検査ストリップ12に近接するように方向付けられる。さらに、磁気要素2、磁極片5のシャフト3およびキャップ4も示す。
【0167】
輪郭プロット図は、磁束密度が最も高い領域では磁力線8が互いにより接近し、磁束密度が最も低い領域では磁力線8がより離れるように構成されている。
【0168】
ドーム状のキャップ4の存在が、シャフト3の反対側端部に比べて、磁力線8をキャップ4の上方に再分布させることが分かる。磁力線8は、より大きい領域にわたって再分布され、当該領域は、磁束密度を減少させる効果を有している。このことは、インタロゲーションゾーンにある検査ストリップ12の全領域の、より大きな領域にわたって、磁場および磁場強度を均質化する効果を有している。
【0169】
図8は、格納位置にあるときの、磁気アセンブリ1を取り囲んでいる磁力線8を示す輪郭プロット図であり、この場合、磁気アセンブリ1がインタロゲーションゾーン(図示せず)から離れる向きに方向付けられて磁気シールド26の背後に配置される。さらに、磁気要素2、磁極片5のシャフト3およびキャップ4も示す。
【0170】
輪郭プロット図は、磁束密度が最も高い領域では磁力線8が互いにより接近し、磁束密度が最も低い領域では磁力線8がより離れるように構成されている。
【0171】
磁気シールドの効果は、明確に見ることができる。最も大きな磁束密度は、キャップ4の領域、及び磁気アセンブリ1を取り囲んでいるシールド26の領域内に生じ、一方極めて低い、または無視できる程度である。
【0172】
図9aおよび9bは、本発明の実施形態に係る、検定を行うデバイス100の外観を、閉じた構成(図9a)及び開いた構成(図9b)の双方で示す。デバイス100は、図5aおよび5bの内部コンポーネント10を備え、さらに、対話型ディスプレイスクリーン102及びハッチ104を備えており、当該ハッチ104は、開いたときに、検査ストリップ12を挿入可能な検査ストリップポート106へのアクセスを可能にする。検査ストリップポート106は、デバイス100の内部に配置された検定検査プラットフォーム(図示せず)へのアクセスを提供する。使用にあたり、デバイス100の電源をオンにし、ユーザーは、対話型ディスプレイスクリーン102を使用してデバイス100を制御し、実施すべき検査を選択および/または環境設定することができる。ハッチ104を開いて検査ストリップ12を検査ストリップポート106内に挿入する。ハッチ104をその後閉じて検査を開始することができる。検査は、自動的に、または、対話型ディスプレイスクリーン102を介するユーザー入力に従って、開始することができる。前記検査が完了した後、ハッチ104を開いて検査ストリップ12を検査ストリップポート106から取り外す。その後、異なる検査ストリップ12を挿入してさらに検査を行うことができる、又は、代わりに、ハッチ104を閉じて、対話型ディスプレイスクリーン102を使用してデバイス100を電源遮断する。
【0173】
図10は、キャップ4の幅を3mm、4mm、5mmとした場合の、磁極片5の中心からの距離の増加に伴う磁場強度の変化を示す。キャップの幅を増加させることは、磁場を再分布する効果を有し、それによって、磁極片5の中心でのピーク磁場強度が減少することがはっきりと分かる。
【0174】
図11は、キャップ4の幅が3mm、4mm、5mmのそれぞれの場合に、磁性粒子を検査ベッドに留め置くよう作用する相対的な引力を示す。キャップの幅が3mmの場合、引力は磁気アセンブリ1の中心からの距離に応じて大きく減少し、中心から1mm離れたところでの力は、中心から2mmのところでの力のほぼ2倍であることがはっきりと分かる。しかしながら、キャップの幅が大きくなるにしたがって、引力はより遠くに至るまでより均一になり、キャップの幅が5mmの場合、磁気アセンブリ1の中心から0mmと2mmの間における引力の変化は無視することができる。このように、キャップ4の幅を広げることは、磁場強度をインタロゲーションゾーンでより均等に広げることに役立つ。
【0175】
以下の表1は、磁気アセンブリ1の中心からの距離を様々に変えたときの、磁気アセンブリ1の中心に対する磁力により生ずる引力角度を示し、ここで、角度0°は磁気アセンブリ1の中心に向かって垂直下向きを意味し、正の角度は中心に向かう引張りを意味し、負の角度は中心から離れる方向の引張りを意味する。キャップの幅が3mmの場合、磁気アセンブリ1の中心から異なる距離での引力の方向は大きく変化するのに対し、キャップの幅が5mmの場合、中心から異なる距離での引力の角度はより一層一定であり、変化が著しく少ないことが分かる。
表1:キャップの中心からの様々な距離における引力の角度

【表1】
【0176】
図12は、シールド26に使用し得る、異なる材料の遮蔽(スクリーニング)効果を示す。金属-絶縁体-金属(MIM:Metal-Insulator-Metal)の遮蔽能力は、軟鉄またはスチールよりも比べて著しく低い(より大きな磁場強度をシールドに通過させることができる)ことが分かる。言い換えれば、図12は、比較的、軟鉄のシールド特性はスチールと一致しているが、MIM材料のシールド特性は比較的劣っていることを示している。しかしながら、許容される残留磁場(すなわち、磁気アセンブリが格納位置にあるときに検定に干渉しない磁場)に基づいて、磁場を遮蔽するため様々な材料を用いることができる。
【0177】
図13は、本発明の実施形態による検定を実施するときに必要となり得るステップを有する方法を概略的に示す。最初に、カセットまたは検査ストリップが、図9bに示す検査ストリップポート106を介して、ステップ1で検定検査プラットフォームに挿入する。挿入後、検査ストリップ12に供給されたサンプル及び試薬が混合され、ステップ2で、検体が検出粒子および捕捉粒子と結合することを可能にする。このことは、培養段階と称される。
【0178】
次に、磁気アセンブリ1を、ステップ3で可動(揺動)アーム22を動かすことによって、所定の位置に操縦し、これにより、磁気アセンブリ1は、シールド26の背後に位置して検査ストリップ12から離れた方向に向いている格納位置から、磁気アセンブリ1がシールド26の背後から移動して検査ストリップ12に向かって向きを変えた動作位置に移動する。
【0179】
磁気アセンブリ1を検査ストリップ12に向けて動かす際に、インタロゲーションゾーンの磁気捕捉粒子が検査ベッドに留め置かれるように、検査ストリップ12を、ステップ4において、磁気アセンブリ1の磁場に曝露させる。これは、捕捉段階と称される。
【0180】
次に、ステップ5において、検定の感度を高めるために、サンプルをフラッシュ洗浄または排除して未結合の粒子を除去する。これは、「排除(evacuation)段階」と称される。
【0181】
次に、ステップ6において、検体を検出および/または定量化するために、適切な測定技術を用いて(すなわち、分析物および磁気捕捉粒子と結合した検出粒子の発光を測定することによって)、検体測定が実施される。 一実施形態では、前記測定技術として分光光度法を用いる。他の実施形態では、カメラベースの技術または電気化学的測定技術が採用される。これは、測定段階と称される。
【0182】
その後、ステップ7において、揺動アーム22を回転させて、磁気アセンブリ1を検査ストリップ12から離れるように、動作位置から格納位置に操縦し、磁気アセンブリ1は、シールド26の背後の位置に配置され、検査ストリップ12から離れる方向に向けられる。
【0183】
カセットまたは検査ストリップ12は、その後、ステップ8において、デバイス100の検定検査プラットフォーム11から取り外される。
【0184】
上記方法のステップ1~8は、その後、必要に応じて、さらなるサンプルで繰り返すことができる。
【0185】
このように、本発明の実施形態では、上記の方法で説明したような検定を行うデバイス100で使用するための磁気アセンブリ1を提供し、これによって、磁気アセンブリ1が動作位置にあるときに、インタロゲーションゾーン全体の磁場強度がより均等に分布することにより、より正確な測定を行うことが可能となる。
【0186】
上述の説明では、例示的な実施形態を説明してきたが、当業者であれば、特許請求の範囲で定義された本発明の範囲内で、実施形態の多くの変形が可能であることを理解することができる。さらに、1つまたは複数の実施形態の特徴は、1つまたは複数の他の実施形態の特徴と混合して組み合わせることができる。
図1
図2
図3
図4
図5a
図5b
図5c
図6(a)】
図6(b)】
図7
図8
図9(a)】
図9(b)】
図10
図11
図12
図13