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特許7419384加熱装置、そのための用途、オーム抵抗コーティング、コールドスプレーを用いたコーティングの堆積方法、及びそこで使用するための粒子のブレンド
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  • 特許-加熱装置、そのための用途、オーム抵抗コーティング、コールドスプレーを用いたコーティングの堆積方法、及びそこで使用するための粒子のブレンド 図1
  • 特許-加熱装置、そのための用途、オーム抵抗コーティング、コールドスプレーを用いたコーティングの堆積方法、及びそこで使用するための粒子のブレンド 図2
  • 特許-加熱装置、そのための用途、オーム抵抗コーティング、コールドスプレーを用いたコーティングの堆積方法、及びそこで使用するための粒子のブレンド 図3
  • 特許-加熱装置、そのための用途、オーム抵抗コーティング、コールドスプレーを用いたコーティングの堆積方法、及びそこで使用するための粒子のブレンド 図4A
  • 特許-加熱装置、そのための用途、オーム抵抗コーティング、コールドスプレーを用いたコーティングの堆積方法、及びそこで使用するための粒子のブレンド 図4B
  • 特許-加熱装置、そのための用途、オーム抵抗コーティング、コールドスプレーを用いたコーティングの堆積方法、及びそこで使用するための粒子のブレンド 図4C
  • 特許-加熱装置、そのための用途、オーム抵抗コーティング、コールドスプレーを用いたコーティングの堆積方法、及びそこで使用するための粒子のブレンド 図5
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】加熱装置、そのための用途、オーム抵抗コーティング、コールドスプレーを用いたコーティングの堆積方法、及びそこで使用するための粒子のブレンド
(51)【国際特許分類】
   C23C 24/02 20060101AFI20240115BHJP
【FI】
C23C24/02
【請求項の数】 19
(21)【出願番号】P 2021542294
(86)(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-01-19
(86)【国際出願番号】 IB2019058239
(87)【国際公開番号】W WO2020065612
(87)【国際公開日】2020-04-02
【審査請求日】2022-08-31
(31)【優先権主張番号】1815753.7
(32)【優先日】2018-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】521127631
【氏名又は名称】2ディー・ヒート・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100133765
【弁理士】
【氏名又は名称】中田 尚志
(72)【発明者】
【氏名】ルイス,ジョン・フレデリック
(72)【発明者】
【氏名】ラザフォード,マーカス・ウィリアム
(72)【発明者】
【氏名】キーティング,スティーブン・ジョージ
【審査官】中西 哲也
(56)【参考文献】
【文献】特開平02-224625(JP,A)
【文献】特表2018-502217(JP,A)
【文献】特表2018-524466(JP,A)
【文献】特開平05-299155(JP,A)
【文献】特開昭63-078476(JP,A)
【文献】特開2007-287378(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C23C 1/00-30/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱素子(62)を有する面(42)を持つ基材(40)を備えた加熱装置(60)であって、
前記加熱素子は、コールドスプレーまたは固相堆積によって前記基材(40)の前記面(42)上に堆積されたオーム抵抗コーティング(30)であって、2乃至300ミクロンの層(32)厚さを有し、及び、
i)少なくとも30重量%の、銅、アルミニウム、亜鉛、及びマンガンから選択される1又は複数の延性又は可鍛性金属(18)、及び
ii)金属(12)及び/又はメタロイド(14)の化合物又は塩(16)を含む電気抵抗粒子(20)、ここで、前記化合物が酸化物、炭化物、窒化物、及びホウ化物から選択され、前記塩がケイ化物及び二ケイ化物から選択される、
を含むオーム抵抗コーティングと、
AC又はDC電源(68)と接続するための、前記オーム抵抗コーティング上に配置された少なくとも1対の電気接点(64;66)と、を備え、
ここで、前記1又は複数の延性又は可鍛性金属(18)の溶融又は部分軟化を引き起こす温度よりも低い温度(T)で操作されるコールドスプレーまたは固相堆積により、前記1又は複数の延性又は可鍛性金属(18)は前記電気抵抗粒子(20)を前記基材(40)の前記面(42)に結合させてオーム抵抗コーティング(30)を形成し、
ここで、前記オーム抵抗コーティング(30)は、90%を超える密度及び10%未満の多孔度を有し、前記電気抵抗粒子(20)が前記延性又は可鍛性金属(18)中に埋め込まれていることを特徴とする、
加熱装置。
【請求項2】
ii)の前記金属(12)はニッケル、鉄、及び/またはクロムであり、前記メタロイド(14)はホウ素、ケイ素、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン、テルル、またはアスタチンであり、前記延性又は可鍛性金属(18)は亜鉛である、請求項1に記載の加熱装置。
【請求項3】
前記装置が、各々が共通の供給端子(64)を共有し、独立したリターン端子(66)を有する複数の加熱素子(62)を備える、請求項1又は2に記載の加熱装置。
【請求項4】
前記面(42)が、絶縁性バリア材料を含む、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項5】
前記絶縁性バリア材料が、セラミックである、請求項4に記載の加熱装置。
【請求項6】
前記基材(40)が、シート材料を含む、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項7】
前記シート材料が、建築パネルである、請求項6に記載の加熱装置。
【請求項8】
前記シート材料が、鋼材コア及びセラミック面を含み、または、ガラス又はミラーガラスシートである、請求項6又は7に記載の加熱装置。
【請求項9】
前記面が、150cm乃至20000cmの加熱表面積を有する、請求項1乃至8のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項10】
前記加熱素子が、自己制御型抵抗加熱素子である、請求項1乃至9のいずれか一項に記載の加熱装置。
【請求項11】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の加熱素子を備えた輸送手段または建築物。
【請求項12】
基材(40)の面(42)上にコールドスプレーまたは固相堆積によって堆積された層(32)を含むオーム抵抗コーティング(30)であって、前記層は、2乃至300ミクロンの厚さを有し、及び、
i)少なくとも30重量%の、銅、アルミニウム、亜鉛、及びマンガンから選択される1又は複数の延性又は可鍛性金属(18)、及び
ii)金属(12)及び/又はメタロイド(14)の化合物又は塩(16)を含む電気抵抗粒子(20)、ここで、前記化合物が酸化物、炭化物、窒化物、及びホウ化物から選択され、前記塩がケイ化物及び二ケイ化物から選択される、
を含み、
ここで、前記1又は複数の延性又は可鍛性金属(18)の溶融又は部分軟化を引き起こす温度よりも低い温度(T)で操作されるコールドスプレーまたは固相堆積により、前記1又は複数の延性又は可鍛性金属(18)は前記電気抵抗粒子(20)を前記基材(40)の前記面(42)に結合させてオーム抵抗コーティング(30)を形成し、
ここで、前記オーム抵抗コーティング(30)は、90%を超える密度及び10%未満の多孔度を有し、前記電気抵抗粒子(20)が前記延性又は可鍛性金属(18)中に埋め込まれていることを特徴とする、
オーム抵抗コーティング(30)。
【請求項13】
前記層(32)が、20乃至70ミクロンの厚さを有する、請求項12に記載のオーム抵抗コーティング(30)。
【請求項14】
前記層が、面積基準で前記基材(40)の前記面(42)の少なくとも10%を覆う、請求項12または13に記載のオーム抵抗コーティング(30)。
【請求項15】
前記層が、単一の又は複数の、分離された又は重なったトラック(44)として堆積される、請求項12乃至14のいずれか一項に記載のオーム抵抗コーティング(30)。
【請求項16】
請求項12乃至15のいずれか一項に記載のオーム抵抗コーティング(30)を基材(40)の面(42)上に形成する方法であって、
i)少なくとも30重量%の、銅、アルミニウム、亜鉛、及びマンガンから選択される1又は複数の延性又は可鍛性金属(18)、及び
ii)金属(12)及び/又はメタロイド(14)の化合物又は塩(16)を含む電気抵抗粒子(20)、ここで、前記化合物が酸化物、炭化物、窒化物、及びホウ化物から選択され、前記塩がケイ化物及び二ケイ化物から選択される、
を含むブレンド(10)を、
a)ブレンド成分(18;20)をコールドスプレー装置または固相堆積装置(50)に供給すること、及び
b)ブレンド粒子(22)を、ノズル(58)を通して前記ブレンド粒子(22)を加速する加熱(52)圧縮(54)超音速ガスジェット(56)を介して、前記1又は複数の延性又は可鍛性金属(18)の溶融又は部分軟化を引き起こす温度よりも低い温度(T)及び圧力(P)で、前記ノズルからある距離(D)に配置された前記基材(40)の前記面(42)に、前記ブレンド粒子(22)が前記面(42)に接着するように堆積して、前記面上に、90%を超える密度及び10%未満の多孔度を有し、前記電気抵抗粒子(20)が前記延性又は可鍛性金属(18)中に埋め込まれていることを特徴とするオーム抵抗コーティング(30)を形成すること、
によって前記ブレンド(10)を前記面(42)に接着させる工程を含む、
方法。
【請求項17】
前記温度が、前記延性又は可鍛性金属(18)に応じて決められる、100℃乃至1200℃の温度であり、前記圧力が、1乃至10atmであり、前記距離(D)が、1乃至30cmであり、前記粒子(20)が、15乃至35ミクロンの平均粒子サイズを有し、前記ガスが、空気、酸素、窒素、二酸化炭素、アルゴン、又はネオンである、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
請求項1乃至10のいずれか一項に記載の加熱装置(60)に電力を供給することを含む、空間(70)の加熱方法であって、前記加熱装置が5分間未満で>90℃まで加熱され、発生される前記熱が、主として赤外線放射熱エネルギーの形態である、加熱方法。
【請求項19】
前記加熱装置は、主電源によって作動される、または、1~110ボルトの範囲内でまたは30ボルト未満で作動する低電圧電源によって作動される、請求項18に記載の空間(70)の加熱方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱装置及びその用途に関する。本発明はまた、オーム抵抗コーティング、「コールドスプレー」を用いた基材上へのコーティングの堆積方法、及びそこで使用するための粒子のブレンドにも関する。
【0002】
この新規な加熱装置は、オーム抵抗コーティングを備えた加熱素子を含む。加熱装置及びコーティングは、本技術分野において「コールドスプレー」又は「固相」堆積と称される低コストの製造方法を用いて製造される。この方法は、(i)基材と衝突すると変形し、表面に接着する延性又は可鍛性金属、及び(ii)1若しくは複数の電気抵抗金属酸化物、炭化物、ケイ化物、二ケイ化物、窒化物、ホウ化物、又は硫化物を含む粒子、を含み、結合して基材上にオーム抵抗コーティングを生成する粒子の新規なブレンドを堆積する。延性又は可鍛性金属の電気抵抗粒子に対する典型的な比率は、2:1~1:2である。
【0003】
当業者であれば、図4a~4cと図5とを比較して、コールドスプレーによって生成されたコーティングと粒子の「溶融」によって生成されたコーティングとを区別することができ、なぜなら、顕微鏡下において、「コールドスプレー」コーティングは、粒子を溶融するプロセスから得られたコーティングよりも不均質性が低いからである。
【0004】
次に、加熱素子に、AC又はDC電源を用いて電気が供給されて、対象のコーティングをオーム抵抗加熱することができる。
【背景技術】
【0005】
表面コーティング加熱素子を、1又は複数の金属並びに/又は酸化物、炭化物、ケイ化物、二ケイ化物、窒化物、ホウ化物、及び硫化物を充分に高い温度まで、典型的には3000℃超まで加熱して半溶融相を介した堆積プロセスの実施を可能とする堆積技術を用いて製造するための様々な技術が知られている。そのようなプロセスでは、高い操作温度に起因して、基材が制限され、コストに影響し、多くの用途のための商品の製造が非常に高価なものとなってしまう。
【0006】
粉末又はワイヤのいずれかで供給される供給原料を用いるこれらの半溶融相での適用としては、とりわけ、様々なオキシ燃料燃焼ガスを用いる溶射、高速オキシ燃料技術(HVOF)、及びプラズマ溶射装置が挙げられ、これらはそれぞれ、段々と高い運転温度及び/又は投入運動エネルギーで運転される。これらの技術は、商業的に充分に確立されているが、特に、高温での適用であるために、製造プロセスによって基材内部に組み込まれた応力の制御されない開放から問題が発生し得ることから、用途が制限されている。これは、特に、表面長さ及び/又は表面積が大きい場合、すなわち、1メートル四方以上の大きさものが関係する場合、特に、基材が薄い場合に、不安定性及び湾曲を引き起こす可能性がある。確立された慣行及び実践は、水冷されるプラテン又はドライアイス浴などを用いて高温溶射プロセスの過程でそのような感受性の高い基材を冷却して、溶射されている物品を冷却することである。そのような処置は、常に実行可能というわけではなく、又は堆積プロセスに対して複雑さを付与するものである。その結果、生産性及び生産コストの両方が負の影響を受ける可能性があり、一方品質の悪い物品が製造されるリスクが高まる。
【0007】
国際出願PCT/GB2005/003949号、国際出願PCT/GB2007/004999号、及び国際出願PCT/GB2009/050643号において、本出願者は、溶射技術を用いた電気加熱素子の製造について記載した。家庭用白物家電、商業用調理器具、及び超高真空設備を用いた巨大科学用途を例とする様々な物品の製造を意図する一方で、本出願者は、例えば、超スリム表面コーティング加熱素子の、特に軟鋼コアを片面又は両面の薄いセラミックコーティングと共に備える高級建築パネル上への用途に基づいて、大きい新規市場の機会を見出したものであり、そのようなコーティングは、適切な電気負荷の下で400℃などの高温まで加熱された場合であっても、高い絶縁抵抗強度を有する。
【0008】
現時点でのよく考えられた知識としては、脆性若しくは硬質の金属化合物又は塩(1又は複数の金属酸化物、並びに/又は炭化物、ケイ化物、二ケイ化物、窒化物、ホウ化物、及び硫化物など)は、半溶融相での適用以外のいかなる手段によっても基材上へ堆積することができないというものであり、なぜなら、研磨性である化合物又は塩は、そうでなければ、それらが堆積されることになる面を破損してしまうからである。実際、コールドスプレーでの適用を用いる場合に、続いて適用される延性金属粒子をより良好に「固定する」目的で、処理される面を調製し、洗浄するために脆性金属酸化物を低い割合で含めることは、許容される工業的実践である。本出願者は、それらを延性又は可鍛性金属と共に、延性又は可鍛性金属の融点よりも低い温度で共堆積させ、及び充分な延性又は可鍛性金属を、典型的には少なくとも30重量%、より特には少なくとも40重量%で用いて、1又は複数の金属酸化物、並びに/又は炭化物、ケイ化物、二ケイ化物、窒化物、ホウ化物、及び硫化物を基材の面に結合させることによって、この問題点を克服した。
【0009】
一般的技術水準は、2つの群のうちの1つに含まれる。
高温溶射技術(コールドスプレーではない)及び製品としては、以下が挙げられる。
国際公開第2016/084019号には、電気伝導性である第一の金属成分、第一の金属成分の電気絶縁性誘導体、及び加熱層の抵抗を安定化させる第三の成分を含む少なくとも1つの溶射された抵抗加熱層を含む抵抗ヒーターが開示されている。
【0010】
米国特許第3922386号には、溶融アルミニウム小滴を酸化性雰囲気中で溶射することによって製造される加熱素子が開示されている。
英国特許第2344042号には、予め酸化した粒子を加熱し、したがって、それらが半溶融状態となり、それらを基材上に堆積することによって抵抗加熱素子を製造する方法が開示されている。
【0011】
米国特許出願公開第2008/0075876号には、フレーム溶射を用いた電気加熱素子の形成方法が開示されている。
上記とは対照的に、以下の参考文献は、「コールドスプレー」技術及び製品に関する。
【0012】
国際公開第2014/184146号には、金属を、単独で、又は合金としてコールドスプレーすることが教示されている。この教示内容は、強磁性加熱効果を発生させて温度を凝固点以上に近づけ、その後、金属合金の組み合わせがそうなるように設計されている固有のキュリー点のために遮断されることに特化した内容である。様々な強磁性金属合金、特に、Cr、Al、Mnを含む又は含まないCu-Ni及びFe-Niが例示されている。
【0013】
国際公開第2005/079209号には、ナノ結晶層の製造が開示されている。それは、焼結成形体を製造するための金属及び合金の使用、並びにセラミックを用いたそれらの強化について教示している。
【0014】
米国特許出願公開第2018/0138494号は、コールドスプレープロセスを用いたカソード又はアノード材料の堆積に関する。
中国特許第107841744号には、充分に予備粉砕され、真空乾燥されたナノスケール粒子の、セラミックドープ金属をベースとする複合材料を製造するためのコールドスプレーの使用が開示されている。コールドスプレーの適用後、表面が高速摩擦処理に掛けられる。それは、オーム抵抗コーティング又は加熱装置の製造について教示するものではない。
【発明の概要】
【0015】
コールドスプレーに関するいずれの開示も、金属酸化物などの電気抵抗金属化合物又は塩の粒子を延性又は可鍛性金属と共堆積することによる加熱素子の形成について教示していない。
【0016】
本出願者は、驚くべきことに、現行の溶射による適用に用いられる一般的に市販されている粉末粒子を含む脆性若しくは硬質の金属化合物又は塩を、溶射による堆積に関して低い温度と見なされている温度(すなわち、それらの融点よりも低い温度)で、脆性若しくは硬質の金属化合物又は塩を1若しくは複数の延性又は可鍛性金属と共に、それらが固体として維持される温度で、制御された運動量で、延性又は可鍛性金属が表面と接触すると変形し、及び脆性若しくは硬質の金属化合物又は塩が、共堆積された延性金属又は適用されている表面をグリットブラストすることなく、延性又は可鍛性金属中に埋め込まれるように堆積することによって、堆積することが可能であることを見出した。得られるコーティングは、基材と接着する。
【0017】
これに関して、約419.5℃の融点を有する亜鉛を延性又は可鍛性金属として使用することが特に好ましいが、銅、アルミニウム、及びマンガンなどのこれよりも融点の高い延性又は可鍛性金属が用いられてもよい。
【0018】
コールドスプレーで堆積されたコーティングの外観は、半溶融相で堆積されたコーティングとは異なる。当業者であれば、コールドスプレーで堆積されたコーティングを、半溶融相で生成されたコーティングと区別することができ、なぜなら、それは、顕微鏡下において、不均質性が低い外観であり、多孔度も低いからである。
【0019】
本出願者は、これらの金属化合物又は塩を、延性又は可鍛性金属と一緒に基材の表面に適用することによって、例えば家屋、商業施設、及び工業施設における空間加熱の目的を含む様々な用途に用いることができる加熱装置を製造することができる。
【0020】
そのような用途における理想的な基材は、鋼材コアを薄いセラミックコーティングと共に備える建築パネルであり、Polyvision BVから入手されるものなどである。好ましいパネルとしては、Polyvision Flex 1又はFlex 2パネルとして販売されているパネルが挙げられる。
【0021】
好ましいコーティングとしては、酸化ニッケルと亜鉛とをブレンドすることによって製造されるコーティングが挙げられるが、他の多くの組み合わせの実証にも成功している。
他の加熱用途としては、自動推進機用途、特に電気及びハイブリッド動力列車分野における低ワットキャビン加熱器、防氷及び/又は除氷目的の航空宇宙用途、並びにコーティングがセメント質及び他の建築材料上に成される建築産業用途が挙げられる。
【0022】
本発明の第一の態様によると、加熱素子を有する面を持つ基材を備えた加熱装置が提供され、加熱素子は、コールドスプレーによって基材の面上に堆積されたオーム抵抗コーティングであって、2~300ミクロンの層厚さを有し、及び、
i)銅、金、鉛、アルミニウム、白金、ニッケル、亜鉛、マグネシウム、鉄、マンガン、クロム、チタン、バナジウム、ニオブ、インジウム、テルビウム、ストロンチウム、セリウム、及びルテチウムから選択される1若しくは複数の延性又は可鍛性金属、及び
ii)1又は複数の電気抵抗金属酸化物、炭化物、ケイ化物、二ケイ化物、窒化物、ホウ化物、又は硫化物を含む粒子、
を含み、1若しくは複数の延性又は可鍛性金属は、粒子を基材の面に結合させる、オーム抵抗コーティングと、
オーム抵抗コーティングの上に配置された少なくとも1対の電気接点と、を備え、
加熱素子は、作動中、AC又はDC電源と接続される。
【0023】
好ましくは、加熱装置は、各々が共通の供給端子を共有し、独立したリターン端子を有する複数の加熱素子を備える。
加熱素子は、機械的手段、はんだ付け、レーザーろう付け及びレーザー溶接、付加製造、延性金属の固相堆積によって、又は電気伝導性接着剤若しくはインクを用いることによって、AC又はDC電源と接続されてよい。接続は、それぞれの末端部で、及び加えて、その長さ方向に沿った中間点で行われてよい。
【0024】
1つの作動モードでは、電源は、主電源によって作動される。
好ましい作動モードでは、電源は、1~110ボルトの範囲内で、なおより好ましくは30ボルト未満で作動する低電圧電源である。
【0025】
好ましくは、基材面は、絶縁性バリア材料を含む。
特に好ましい実施形態では、絶縁性バリア材料は、セラミックを含む。
好ましくは、基材は、シート材料を含み、最も好ましくは、建築パネルである。
【0026】
シート材料は、鋼材コア及びセラミック面を含んでよい。
別の選択肢として、シート材料は、セラミック、ガラス、又はミラーガラスを含んでもよい。
【0027】
シートは、様々なサイズであってよく、150cm~20000cmの加熱表面積を含んでよい。
好ましくは、加熱素子は、自己制御型抵抗加熱素子である。
【0028】
コーティングは、保護層でそれを覆うことによって、「保護」されてもよい。保護層は、摩耗、又は例えば水、若しくは加熱素子に対して腐食性である物質の浸透に対して保護することができ、及びそのような熱い面との不慮の接触に対するある程度の保護を提供するための、又は通電素子との不慮の接触に起因する感電から保護するための、例えば、フィルム、シート、コーティング、又は適用されたスクリード(screed)の形態を取ってよい。
【0029】
加えて、保護/追加層は、低労力の拭き取り可能面として洗浄をより容易とするために用いられてよく、及び/又は熱制御コーティングであってもよい。
特に好ましい実施形態では、本発明の第一の態様の加熱素子を備えた輸送手段が提供される。
【0030】
別の特に好ましい実施形態では、本発明の第一の態様の加熱素子を備えた建築物が提供される。
加熱装置は、局所的な加熱を発生させるために、又は冷たい状態からの保護を提供するために用いられてもよい。
【0031】
単なる説明としての例としては、以下が挙げられる:
- 水平及び垂直の建築構造体、ソーシャルハウジングを含むすべての種類の家庭用住居、オフィス、店舗、及び小売りセンターを含む商業用建築物、スポーツ複合施設、並びに物流センター、ワークショップなどを含む工業施設、を含む;
- 橋、トンネル、遮蔽路、バス停及び列車の駅、シェルターなど、並びに指定された屋外喫煙エリア;
- 低温に曝露されやすい航空機用の外装パネル又は内装パネル;
- 列車用線路、より具体的にはポイント;
- 競技場の階段席及び階段、走路、前庭、道路、及び歩道;
- 標識及び広告用掲示板;
- 工業用冷蔵室及び冷凍室;並びに
- 洗車場、工場、空港、畜舎、農場及び家畜用建築物、競技場、流通、エキシビション、及びエンターテインメントセンター/複合施設、倉庫、並びに他の大面積/容積建築物。
【0032】
単なる説明としての建築構造体の例としては、以下が挙げられる:
- 壁;
- 天井;
- 支持柱;
- 床;
- 屋根(裏面及び表面-積雪/重量の積み上がり防止のため)、及び
- サウナ、加熱室、ピザ及びタンドール(tandori)オーブンを含む構造体内の機能性発熱ユニット。
【0033】
構造体は、多くの様々な材料から製造されてよい。処理することができる好ましい材料としては、例えば:
- コンクリートを含むセメント質、セラミック、及び類似の材料;
- アスファルト、ビチューメン、及び類似の油系材料;
- プラスチック及びポリマー;
- 複合材料;並びに
- 金属、絶縁金属面、及びエナメル、
などの建築材料が挙げられる。
【0034】
本発明はまた、本発明の第一の態様に従う加熱装置に電力を供給することを含む空間の加熱方法も提供する。
好ましくは、空間の加熱方法は、5分間未満でコーティングを>90℃まで加熱する。
【0035】
好ましくは、発生される熱は、主として赤外線放射熱エネルギーの形態である。
加熱出力は、ある程度、トラック構成によって制御することができる。トラックは、直列に、又は並列に、又は直並列に堆積されてよく、それによって、所望される単位面積あたりの加熱出力を発生させるのに必要とされる電気抵抗が作り出される。例としては、以下が挙げられる:
IR放射ルームヒーターの場合、例えば、典型的には1mあたり400~800ワット、
歩道、標識、階段席の場合、例えば、典型的には1mあたり200~300ワット、
建築構造体の場合、例えば、典型的には1mあたり40~100ワット、
航空機の翼の場合、例えば、典型的には1mあたり100~200ワット、
電気自動車タクシーのヒーターの場合、例えば、典型的には1mあたり400~800ワット。
【0036】
本発明の第二の態様によると、基材の面上に堆積された層を含むオーム抵抗コーティングが提供され、層は、2~300ミクロンの厚さを有し、及び、
i)銅、金、鉛、アルミニウム、白金、ニッケル、亜鉛、マグネシウム、鉄、マンガン、クロム、チタン、バナジウム、ニオブ、インジウム、テルビウム、ストロンチウム、セリウム、及びルテチウムから選択される1若しくは複数の延性又は可鍛性金属、及び
ii)1又は複数の電気抵抗金属酸化物、炭化物、ケイ化物、二ケイ化物、窒化物、ホウ化物、又は硫化物を含む粒子、
を含み、1若しくは複数の延性又は可鍛性金属は、粒子を基材の面に結合させる。
【0037】
最も好ましくは、層は、20~70ミクロンの厚さを有する。
好ましくは、層は、面積基準で基材の面の少なくとも10%を覆っている。
最も好ましくは、層は、面積基準で基材の面の少なくとも50%を覆っている。
【0038】
層は、単一の又は複数の、分離された又は重なったトラックとして堆積され得る。
コーティングは、一定した寸法(均一な幅と厚さ)を有することができるような方法で堆積されてよく、又は任意の点若しくは領域での抵抗(及びその結果としての加熱効果)を、所望される場合に不均一な効果を実現することができるように制御可能であるような可変の方法で堆積されてもよい。これは、例えば堆積物の幅若しくは厚さを変更することによって変化させることにより、並びに/又は存在する電気抵抗金属化合物の、特には金属酸化物の配合及び/若しくはレベルを変化させることにより、又は隣接するトラック間の間隔を変化させることにより、トラックの形状若しくは構成を変化させて行うことができる。この方法により、例えば、構造体の周辺部において、例えばその中央部と比較してより大きい加熱効果を実現することが可能であり、又はインテリジェントセントラルコントロールユニットを介して接続された場合に、調整可能な加熱出力を得ることができるように、より広いヒーター面内に別々に制御可能である加熱ゾーンを提供することが可能である。調整可能なシステムは、季節による加熱の変動を受け入れることができ、又は日常的な使用の過程でのエネルギー効率を向上することができる。
【0039】
本発明の第三の態様によると:
i)少なくとも1つの延性又は可鍛性金属を、
ii)
a)1若しくは複数の金属及び/又は1若しくは複数のメタロイドと、その化合物又は塩;又は
b)1若しくは複数の金属若しくはメタロイドの化合物又は塩、
のいずれかを含む粒子
と共に含む、コールドスプレー又は固相堆積のためのブレンドが提供され;
少なくとも1つの延性又は可鍛性金属は、ブレンドが、1000℃未満の温度で堆積された場合に基材の面上にコーティングを形成することを可能とするのに充分な重量基準での量で存在する。
【0040】
好ましくは、1若しくは複数の金属若しくはメタロイドの化合物又は塩は、酸化物、炭化物、ケイ化物、二ケイ化物、窒化物、ホウ化物、又は硫化物のうちの1又は複数を含む。
【0041】
最も好ましくは、1若しくは複数の金属若しくはメタロイドの化合物又は塩は、酸化物である。
好ましくは、1又は複数の金属化合物は、銅、金、鉛、アルミニウム、白金、ニッケル、亜鉛、クロム、マグネシウム、鉄、マンガン、チタン、バナジウム、ニオブ、インジウム、テルビウム、ストロンチウム、セリウム、及びルテチウムを含む。
【0042】
最も好ましくは、1又は複数の金属化合物は、ニッケルを含む。
好ましくは、1又は複数のメタロイドは、ホウ素、ケイ素、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン、テルル、及びアスタチンから選択される。
【0043】
好ましくは、1若しくは複数の延性又は可鍛性金属は、金、銀、アルミニウム、銅、スズ、鉛、亜鉛、鉄、マンガン、白金、ニッケル、タングステン、及びマグネシウムから選択される。
【0044】
最も好ましくは、1若しくは複数の延性又は可鍛性金属は、亜鉛、又はニッケルとの混合物中の亜鉛である。
ブレンドは、重量基準で、10~90%の1若しくは複数の延性又は可鍛性金属を含んでよい。
【0045】
最も好ましくは、ブレンドは、40~60%の1若しくは複数の延性又は可鍛性金属を含む。
典型的には、以下のいずれか:
a)1若しくは複数の金属及び/又は1若しくは複数のメタロイドと、その化合物又は塩;又は
b)1若しくは複数の金属若しくはメタロイドの化合物又は塩、
を含む粒子は、0.1~150ミクロンの平均粒子サイズを有する。
【0046】
最も好ましくは、粒子は、5~35ミクロンの平均粒子サイズを有する。
特に好ましい実施形態では、粒子は、ニッケルの酸化物、鉄の酸化物、及び/又はクロムの酸化物を含む。
【0047】
1若しくは複数の金属及び/又は1若しくは複数のメタロイドと、その化合物又は塩は、例えば、金属粉末を、金属粉末が溶融状態となって制御可能な程度まで酸化(など)し、その後急冷され、単離され、乾燥されるように、熱堆積装置の加熱ゾーンに空気雰囲気(又は他の適切なガス)下で通すことによって得られる予め酸化(など)された粉末として得られ得る。
【0048】
電気抵抗金属酸化物(炭化物、ケイ化物、二ケイ化物、窒化物、ホウ化物、硫化物、並びに他の非金属、及び/若しくはメタロイド、又はそれらの組み合わせ)、及びその混合物は、好ましくは、温度の上昇と共に抵抗の上昇を呈するものから選択される。
【0049】
本発明の第四の態様によると、
i)少なくとも1つの延性又は可鍛性金属を
ii)
a)1若しくは複数の金属及び/又は1若しくは複数のメタロイドと、その塩を含む化合物又は塩;又は
b)1若しくは複数の金属若しくはメタロイドの化合物又は塩、
のいずれかを含む粒子;
と共に含むブレンドを堆積して、基材の面上にコーティングを形成する方法が提供され、
その方法は:
i)ブレンド成分をコールドスプレー装置に供給すること、及び
ii)ブレンド粒子を、ノズルを通してブレンド粒子を加速する加熱圧縮超音速ガスジェットを介して、ある温度及び圧力で、ノズルからある距離に配置された基材の面に、ブレンド粒子が面に接着するように堆積して、その上にコーティングを形成すること、
によってブレンドを面に接着させる工程を含む。
【0050】
温度は、100℃~1200℃であってよい。
最も好ましくは、温度は、600℃未満である。
さらにより好ましくは、温度は、1若しくは複数の延性又は可鍛性金属粒子の溶融又は部分軟化を引き起こす温度よりも低く、したがって、亜鉛が用いられる場合、温度は、400℃未満であるべきである。
【0051】
好ましくは、圧力は、1~10atmである。
好ましくは、方法は、真空なしで行われる。
好ましくは、距離は、1m未満であり、さらにより好ましくは、1~30cmである。
【0052】
好ましくは、粒子は、0.1~150ミクロンの平均粒子サイズを有し、より好ましくは、15~35ミクロンである。
好ましくは、ガスは、空気、酸素、窒素、二酸化炭素、アルゴン、又はネオンであるが、例えば溶接で用いられる他のガスが用いられる可能性もある。
【0053】
本発明の実施形態について、以降、添付の図面を参照してさらに記載する。
【図面の簡単な説明】
【0054】
図1図1は、少なくとも1つの延性又は可鍛性金属から、a)1若しくは複数の金属及び/又は1若しくは複数のメタロイドと、その化合物又は塩;又はb)1若しくは複数の金属若しくはメタロイドの化合物又は塩、のいずれかを含む粒子と共に形成されたブレンドの模式図である。
図2図2は、本発明の第三の態様の方法での使用に適する装置を示す。
図3図3は、基材上に堆積された本発明のコーティングの模式図である。
図4A図4a~図4cは、現行技術に従って、粒子が半溶融状態で堆積される溶射によって基材上に形成されたコーティングの、順に増加する倍率での顕微鏡画像である。
図4B図4a~図4cは、現行技術に従って、粒子が半溶融状態で堆積される溶射によって基材上に形成されたコーティングの、順に増加する倍率での顕微鏡画像である。
図4C図4a~図4cは、現行技術に従って、粒子が半溶融状態で堆積される溶射によって基材上に形成されたコーティングの、順に増加する倍率での顕微鏡画像である。
図5図5は、本発明に従って、粒子が固相状態で堆積されるコールドスプレーによって基材上に形成されたコーティングの顕微鏡画像である。
図6図6は、本発明の第四の態様に従う加熱装置を示す。
【発明を実施するための形態】
【0055】
図1を参照すると、i)典型的には粒子としての、少なくとも1つの延性又は可鍛性金属(18)を、ii)a)1若しくは複数の金属(12)及び/又はメタロイド(14)と、その化合物又は塩(16)、又はb)1若しくは複数の金属若しくはメタロイドの化合物又は塩(16)、を含む粒子(20)と混合することによって製造された、コールドスプレー又は固相堆積のためのブレンド(10)が示される。
【0056】
ブレンド(10)は、予め混合されてから、本発明の方法で用いるためのコールドスプレー装置又は他の固相堆積装置に導入されてよく、又は別々に導入されて、in situで混合されてもよい。
【0057】
図2を参照すると、ブレンド(10)は、ブレンド粒子(22)が加熱(52)圧縮(54)された超音速ガスジェット(56)を通され、そこで温度(T)及び圧力(P)でノズル(58)を通して、ノズルから距離(D)に配置されている基材(40)の面(42)に向かって加速され、それによってブレンド粒子(22)が面(42)に接着してコーティング(30)を形成するように、コールドスプレー装置(50)に供給されてよい。
【0058】
その結果、コーティング(30)が得られ、図3を参照すると、ここでは、i)少なくとも1つの延性又は可鍛性金属(18)が、ii)a)1若しくは複数の金属(12)及び/又はメタロイド(14)と、その化合物又は塩(16)、又はb)1若しくは複数の金属若しくはメタロイドの化合物又は塩(16)、を含む粒子(20)を、基材(40)の面(42)に「結合」させるように作用している。
【0059】
本発明のコールドスプレーコーティングは、当業者であれば、堆積されるべき粒子を溶融する溶射技術によって生成されるコーティングと区別することができる。コールドスプレーコーティングは、溶射によるコーティングよりも低い不均質性及び多孔度を呈する。
【0060】
高延性材料を用いたHVOFによる溶射では、高延性成分のみを用いて特に高い温度及び速度で作業された場合、低多孔度で高密度の堆積を実現することができる。しかし、熱堆積技術(フレーム溶射など)又は溶射される組成物の大半は、非常に一定しないレベルの密度(50%~85%の範囲)(すなわち、15%~50%の多孔度レベル)という結果をもたらす。一般に、より高い密度レベルは、延性材料のレベルが特に高い領域(又はコーティング全体)で実現され、より低い密度(より高い多孔度)レベルは、(脆性)セラミック成分がより突出している領域で実現される。
【0061】
対照的に、脆性セラミックの種類の成分と共に現行の延性金属をコールドスプレーすることによって実現される密度レベルは、全体として>90%密度(<10%多孔度)のレベルをもたらす。
【0062】
実際、本発明のコーティングの多孔度は、10%未満、8%、6%、4%から低くは3%、2%、又は1%であり得る。
これは、図4a~4c(溶射コーティング)と図5aの本発明のコールドスプレーコーティングとの比較によって示される。
【0063】
図4aは、フレーム溶射された複合金属/金属酸化物堆積物の複雑なマイクロ構造を示す。溶射後の様々な相のランダムな分布及び分離が存在する。金属粒子(18)は、それらの後方散乱光反射が高いことから、白色として示されている。複合金属酸化物(20)は、灰色色調で現れており、一方濃い色の領域は、ボイド又は「中空部」であり、これらのコーティングの高い全体としての多孔度をもたらしている。
【0064】
溶融相による適用時に起こる高い(しかし一定しない)度合いの金属粒子の歪みは、高倍率でより明らかとなっている。粒子は、完全に「つぶれて平たくなった(splatted)」状態(フレーム内のより高い温度ゾーンへの曝露、及び/又はより短い飛行経路のために、衝突までに冷却される機会が少ないことによって)から、異なる度合いの変形を通して、一部のほとんど球状に維持されるものまで、様々である。最も歪んだ種は、フレーム中に存在する利用可能な周囲酸素ガスと反応して様々な度合いの酸化も受けることになり、「平たい状態(splats)」の中及び周囲の両方に非常に複雑なマイクロ構造も発現させる。
【0065】
図4bは、図4aからの面を、倍率を2.5×に上げて示す。非常に複雑なマイクロ構造は、金属(より明るい)ゾーン(18)及び金属酸化物(より灰色)ゾーン(20)内でより明らかである。ボイドは、やはりより暗い領域として示される。
【0066】
図4cは、5×の倍率でのコーティングを示す。金属領域(18)は、細孔を示し、金属酸化物シェル領域(20)で囲まれている。領域(18)の元素マッピングは、高いレベルのニッケル金属を、埋め込まれた酸化物粒子の存在と共に示しているが、酸化物粒子は、より高い濃度の鉄及びクロムの酸化物を含有し、これらはいずれも、溶融相の飛行時にフレーム中に存在する利用可能な酸素と優先的に反応するものと考えられる。同様に、金属酸化物相の壊れた外部シェル中に小金属粒子が多く存在することにも留意されたい。これは、明らかに、溶射堆積物の複雑さ、及び結果としての不均質性を示している。
【0067】
これらは、金属酸化物(20)粒子が延性金属(18)中に埋め込まれている図5の図に代表される固相堆積プロセスを起こすコールドスプレーによる適用プロセスを用いることから得られる不均質性が非常に低い構造と、良い対照を成し得る。
【0068】
分布は依然として不均質であるが、構成成分ゾーン(すなわち、電気伝導性延性金属ゾーン、及び電気非伝導性脆性金属酸化物又は金属塩ゾーン)は、溶融相への移行はまったく起こしておらず、したがって、それぞれの組成も化学的修飾を受けていない。そのようなコーティングを製造する際の課題は、コーティングされている基材及び/又は既に堆積されたいずれの材料に対しても単に「グリットブラスト」してしまうことのないように、用いられるコールドスプレーユニットの物理的適用条件を注意深く制御することである。これは、金属酸化物/金属塩の脆性の性質自体に起因しており、それらは通常、100%延性金属を堆積する場合に基材の面を洗浄するためのグリットブラスト粉末として用いられるものである。
【0069】
粉末混合及びコールドスプレーガンを通しての供給を定められた比率で注意深く制御することによって、本出願者は、均一な加熱性能を有する再現性のある組成物を実現することができる。
【0070】
例示的な方法では、ブレンド(10)は、例1~7のいずれかに示される通りであってよい。
5~35ミクロンの平均径を有する粒子が、空気のガス流中で600℃の温度まで加熱され、約5atmの圧力で装置から放出されて、8mm~300mmの距離を移動し、そこでセラミック面(42)上に堆積され、そこで厚さ約45ミクロンの層(32)のコーティング(30)を形成する。
【0071】
コーティング(30)は、制御された方法で堆積されて、機能性コンポーネントを例えば形成し得る1又は複数のトラック(44)を形成し得る。したがって、図6に示されるように、加熱装置(60)は、例えば酸化ニッケル及び亜鉛を含むコーティング(30)を備えた加熱素子(62)がトラックを形成する方法で堆積されたセラミック面(42)を有する鋼基材(40)を備える。加熱装置を加熱することができるように電源(68)に接続することができる1対の電気接点(64;66)が備えられる。
【0072】
別の選択肢として、この装置は、共通の供給端子(64)を共有し、独立したリターン端子(66)を有する複数の加熱素子を備えていてもよい。
電源は、好ましくは、30V未満の低電圧電源である。
【0073】
加熱装置は、多くの異なる用途に用いることができるが、特に好ましい2つの用途は、自動車、トラック、列車、船舶、及び航空機などであるがこれらに限定されない輸送手段、並びに家、オフィス、病院、及び倉庫などであるがこれらに限定されない建築物である。
【0074】
本発明をさらに例示するために、いくつかの例示的ブレンド、及び加熱素子を形成するためのそれらの基材上への堆積の詳細について以下に記載する。
例1
粒子サイズ範囲が15~30μmである重量基準で75:23:2の混合物の亜鉛金属粉末(18)、ニッケル金属粉末(12)、及びアルミナ(16)粉末のブレンド(10)を、コールドスプレー又は固相装置を用いて、ガラス質エナメル(42)を施した鋼基材(40)上に、キャリアガスとして5.6barに圧縮し、約600℃に加熱した空気を用いて、4cm/秒のスプレー速度でおよそ0.45cm幅の平行素子トラックが堆積されるように、10mmの間隔で堆積した。20VのAC電源を堆積された素子トラックの長さ方向にわたって接続すると、素子トラックは、120℃に加熱され、4アンペアの電流を引き出した。
【0075】
例2
例1で用いたものと同じ亜鉛粉末、ニッケル粉末、及びアルミナのブレンドを、熱予備酸化したInconel 600合金(およそ10%の全体酸化レベルまで、及び45μm以下)と5.6barの圧力で1:1でブレンドし、12mmの間隔及び4cpsのスプレー速度を用いて、プラズマ溶射アルミナ鋼基材上へ、キャリアガスとして約600℃に加熱した圧縮空気を用いて、合計で約4.5cm幅まで隣接するトラックが堆積されるように堆積した。10VのAC電源を堆積された素子トラックの長さ方向にわたって接続すると、素子トラックは、60℃に加熱され、3アンペアの電流を引き出した。
【0076】
例3
例2に従うブレンドを、10cmの間隔及び8cpsのトラバース速度を用いて強化ガラス基材上に400℃でスプレーし、およそ0.45cm幅の平行素子として堆積した。
【0077】
例4
例2に従うブレンドを、8cmの間隔及び4cpsのトラバース速度を用いて、SiNセラミックブロック上に600℃及び5.6barの圧力でスプレーし、合計で約4.5cm幅まで隣接するトラックを製造した。
【0078】
例5
酸化ニッケル粉末(16)(15μm)と亜鉛金属粉末(18)との4:1ブレンドを、600℃及び4.4barの圧力で、8cmの間隔及び8cpsのトラバース速度を用いて、セラミックコーティングした鋼材建築パネル上にスプレーし、およそ0.45cm幅の平行素子トラックを堆積した。
【0079】
例6
亜鉛金属粉末(18)、ニッケル金属粉末(12)、及び例2で用いた熱予備酸化したInconel 600合金(16)のブレンドを、400℃及び5.6barの圧力で、8cmの間隔及び12cpsのトラバース速度を用いて、セラミックコーティングした鋼材建築パネル上にスプレーし、およそ0.45cm幅の平行素子トラックを堆積した。40VのDC電源を堆積された素子トラックの長さ方向にわたって接続すると、素子トラックは、110℃に加熱され、2アンペアの電流を引き出した。
【0080】
例7
例2で用いた熱予備酸化したInconel 600合金(16)と亜鉛金属粉末(18)との6:1のブレンドを、570℃及び5.6barの圧力で、8cmの間隔及び4cpsのトラバース速度を用いて、セラミックコーティングした鋼材建築パネル上にスプレーし、およそ0.45cm幅の平行素子トラックを堆積した。240VのAC主電源を堆積されたトラックの長さ方向にわたって接続すると、トラックは、250℃に加熱され、0.9アンペアの電流を引き出した。
[1]加熱素子(62)を有する面(42)を持つ基材(40)を備えた加熱装置(60)であって、
前記加熱素子は、コールドスプレーまたは固相堆積によって前記基材(40)の前記面(42)上に堆積されたオーム抵抗コーティング(30)であって、2乃至300ミクロンの層(32)厚さを有し、及び、
i)少なくとも30重量%の、銅、アルミニウム、亜鉛、及びマンガンから選択される1又は複数の延性又は可鍛性金属(18)、及び
ii)金属(12)及び/又はメタロイド(14)の化合物又は塩(16)を含む電気抵抗粒子(20)、
を含むオーム抵抗コーティングと、
AC又はDC電源(68)と接続するための、前記オーム抵抗コーティング上に配置された少なくとも1対の電気接点(64;66)と、を備え、
ここで、前記1又は複数の延性又は可鍛性金属(18)の溶融又は部分軟化を引き起こす温度よりも低い温度(T)で操作されるコールドスプレーまたは固相堆積により、前記1又は複数の延性又は可鍛性金属(18)は前記電気抵抗粒子(20)を前記基材(40)の前記面(42)に結合させてオーム抵抗コーティング(30)を形成し、
ここで、前記オーム抵抗コーティング(30)は、溶射によるコーティングよりも低い不均質性及び多孔度を示し、90%を超える密度及び10%未満の多孔度を有し、前記電気抵抗粒子(20)が前記延性又は可鍛性金属(18)の中にあることを特徴とする、
加熱装置。
[2]ii)の前記化合物が酸化物、炭化物、窒化物、及びホウ化物から選択され、前記塩がケイ化物及び二ケイ化物から選択される、[1]に記載の加熱装置。
[3]前記装置が、各々が共通の供給端子(64)を共有し、独立したリターン端子(66)を有する複数の加熱素子(62)を備える、[1]又は[2]に記載の加熱装置。
[4]主作動電源に接続される、[1]乃至[3]のいずれか一つに記載の加熱装置。
[5]1乃至110ボルトの範囲内で作動する低電圧電源に接続される、[1]乃至[3]のいずれか一つに記載の加熱装置。
[6]前記低電圧電源が、30ボルト未満で作動する、[5]に記載の加熱装置。
[7]前記面(42)が、絶縁性バリア材料を含む、[1]乃至[6]のいずれか一つに記載の加熱装置。
[8]前記絶縁性バリア材料が、セラミックである、[7]に記載の加熱装置。
[9]前記基材(40)が、シート材料を含む、[1]乃至[6]のいずれか一つに記載の加熱装置。
[10]前記シート材料が、建築パネルである、[9]に記載の加熱装置。
[11]前記シート材料が、鋼材コア及びセラミック面を含む、[9]又は[10]に記載の加熱装置。
[12]前記シート材料が、ガラス又はミラーガラスシートである、[9]に記載の加熱装置。
[13]前記面が、150cm乃至20000cmの加熱表面積を有する、[1]乃至[12]のいずれか一つに記載の加熱装置。
[14]前記加熱素子が、自己制御型抵抗加熱素子である、[1]乃至[13]のいずれか一つに記載の加熱装置。
[15][1]乃至[14]のいずれか一つに記載の加熱素子を備えた輸送手段。
[16][1]乃至[14]のいずれか一つに記載の加熱素子を備えた建築物。
[17]基材(40)の面(42)上にコールドスプレーまたは固相堆積によって堆積された層(32)を含むオーム抵抗コーティング(30)であって、前記層は、2乃至300ミクロンの厚さを有し、及び、
i)少なくとも30重量%の、銅、アルミニウム、亜鉛、及びマンガンから選択される1又は複数の延性又は可鍛性金属(18)、及び
ii)金属(12)及び/又はメタロイド(14)の化合物又は塩(16)を含む電気抵抗粒子(20)、
を含み、
ここで、前記1又は複数の延性又は可鍛性金属(18)の溶融又は部分軟化を引き起こす温度よりも低い温度(T)で操作されるコールドスプレーまたは固相堆積により、前記1又は複数の延性又は可鍛性金属(18)は前記電気抵抗粒子(20)を前記基材(40)の前記面(42)に結合させてオーム抵抗コーティング(30)を形成し、
ここで、前記オーム抵抗コーティング(30)は、溶射によるコーティングよりも低い不均質性及び多孔度を示し、90%を超える密度及び10%未満の多孔度を有し、前記電気抵抗粒子(20)が前記延性又は可鍛性金属(18)の中にあることを特徴とする、
オーム抵抗コーティング(30)。
[18]ii)の前記化合物が酸化物、炭化物、窒化物、及びホウ化物から選択され、前記塩がケイ化物及び二ケイ化物から選択される、[17]に記載のオーム抵抗コーティング(30)。
[19]前記層(32)が、2乃至300ミクロンの厚さを有する、[17]または[18]に記載のオーム抵抗コーティング(30)。
[20]前記層(32)が、20乃至70ミクロンの厚さを有する、[19]に記載のオーム抵抗コーティング(30)。
[21]前記層が、面積基準で前記基材(40)の前記面(42)の少なくとも10%を覆う、[18]乃至[20]のいずれか一つに記載のオーム抵抗コーティング(30)。
[22]前記層が、面積基準で前記基材(40)の前記面(42)の少なくとも50%を覆う、[21]に記載のオーム抵抗コーティング(30)。
[23]前記層が、単一の又は複数の、分離された又は重なったトラック(44)として堆積される、[18]乃至[22]のいずれか一つに記載のオーム抵抗コーティング(30)。
[24]i)銅、アルミニウム、亜鉛、及びマンガンから選択される、少なくとも1つの延性又は可鍛性金属(18)を、
ii)1又は複数の金属(12)及び/又は1又は複数のメタロイド(14)と、その化合物又は塩(16)、を含む粒子(20)、
と共に含む、コールドスプレー又は固相堆積のためのブレンド(10)であって、
前記少なくとも1つの延性又は可鍛性金属(18)は、前記ブレンド(10)が、前記1又は複数の延性又は可鍛性金属(18)の溶融又は部分軟化を引き起こす温度よりも低い温度(T)で堆積された場合に、基材(40)の面(42)上にコーティング(30)を形成することを可能とするのに充分な少なくとも30重量%の量で存在する、
ブレンド(10)。
[25]ii)の前記化合物が酸化物、炭化物、窒化物、及びホウ化物から選択され、前記塩がケイ化物及び二ケイ化物から選択される、[24]に記載のブレンド(10)。
[26]前記1又は複数の金属(12)が、ニッケルである、[24]に記載のブレンド(10)。
[27]前記1又は複数のメタロイド(14)が、ホウ素、ケイ素、ゲルマニウム、ヒ素、アンチモン、テルル、及びアスタチンから選択される、[24]に記載のブレンド(10)。
[28]前記1又は複数の延性又は可鍛性金属(18)が、亜鉛である、[24]に記載のブレンド(10)。
[29]40乃至60%の前記1又は複数の延性又は可鍛性金属(18)を含む、[24]に記載のブレンド(10)。
[30]前記粒子(20)が、0.1乃至150ミクロンの平均粒子サイズを有する、[24]乃至[30]のいずれか一つに記載のブレンド(10)。
[31]前記粒子(20)が、5乃至35ミクロンの平均粒子サイズを有する、[30]に記載のブレンド(10)。
[32]前記粒子が、ニッケルの酸化物、鉄の酸化物、及び/又はクロムの酸化物を含む、[24]乃至[31]のいずれか一つに記載のブレンド(10)。
[33]i)少なくとも30重量%の、銅、アルミニウム、亜鉛、及びマンガンから選択される少なくとも1つの延性又は可鍛性金属(18)を、
ii)1又は複数の金属(12)及び/又は1又は複数のメタロイド(14)と、その化合物又は塩(16)、を含む粒子(20)、
と共に含むブレンド(10)を堆積して、基材(40)の面(42)上にオーム抵抗コーティング(30)を形成する方法であって、
a)ブレンド成分(18;20)をコールドスプレー装置または固相堆積装置(50)に供給すること、及び
b)ブレンド粒子(22)を、ノズル(58)を通して前記ブレンド粒子(22)を加速する加熱(52)圧縮(54)超音速ガスジェット(56)を介して、前記1又は複数の延性又は可鍛性金属(18)の溶融又は部分軟化を引き起こす温度よりも低い温度(T)及び圧力(P)で、前記ノズルからある距離(D)に配置された前記基材(40)の前記面(42)に、前記ブレンド粒子(22)が前記面(42)に接着するように堆積して、前記面上に、溶射によるコーティングよりも低い不均質性及び多孔度を示し、90%を超える密度及び10%未満の多孔度を有し、前記電気抵抗粒子(20)が前記延性又は可鍛性金属(18)中に埋め込まれていることを特徴とするオーム抵抗コーティング(30)を形成すること、
によって前記ブレンド(10)を前記面(42)に接着させる工程を含む、
方法。
[34]ii)の前記化合物が酸化物、炭化物、窒化物、及びホウ化物から選択され、前記塩がケイ化物及び二ケイ化物から選択される、[33]に記載の方法。
[35]前記温度が、前記延性又は可鍛性金属(18)に応じて決められる、100℃乃至1200℃の温度である、[33]または[34]に記載の方法。
[36]前記圧力が、1乃至10atmである、[33]乃至[35]のいずれか一つに記載の方法。
[37]真空なしで行われる、[33]乃至[36]のいずれか一つに記載の方法。
[38]前記距離(D)が、1m未満である、[33]乃至[37]のいずれか一つに記載の方法。
[39]前記距離が、1乃至30cmである、[38]に記載の方法。
[40]前記粒子(20)が、0.1乃至150ミクロンの平均粒子サイズを有する、[33]乃至[39]のいずれか一つに記載の方法。
[41]前記粒子(20)が、15乃至35ミクロンの平均粒子サイズを有する、[40]に記載の方法。
[42]前記ガスが、空気、酸素、窒素、二酸化炭素、アルゴン、又はネオンである、[33]乃至[41]のいずれか一つに記載の方法。
[43][1]乃至[14]のいずれか一つに記載の加熱装置(60)に電力を供給することを含む、空間(70)の加熱方法。
[44]5分間未満で前記加熱装置を>90℃まで加熱する、[43]に記載の空間の加熱方法。
[45]発生される前記熱が、主として赤外線放射熱エネルギーの形態である、[43]または[44]に記載の空間の加熱方法。
図1
図2
図3
図4A
図4B
図4C
図5
図6