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特許7419390円形編機から管状のニット製品をピックアップし、このニット製品に更なる作業を行うべく適合されたユニットに移すためのピックアップ装置
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】円形編機から管状のニット製品をピックアップし、このニット製品に更なる作業を行うべく適合されたユニットに移すためのピックアップ装置
(51)【国際特許分類】
   D04B 9/40 20060101AFI20240115BHJP
   D04B 15/88 20060101ALI20240115BHJP
   D04B 9/46 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
D04B9/40
D04B15/88
D04B9/46
【請求項の数】 15
(21)【出願番号】P 2021553361
(86)(22)【出願日】2019-11-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-06-15
(86)【国際出願番号】 EP2019081132
(87)【国際公開番号】W WO2020211968
(87)【国際公開日】2020-10-22
【審査請求日】2022-09-12
(31)【優先権主張番号】102019000005838
(32)【優先日】2019-04-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】IT
(73)【特許権者】
【識別番号】597009471
【氏名又は名称】ロナティ エッセ.ピ.ア.
(74)【代理人】
【識別番号】100114557
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 英仁
(74)【代理人】
【識別番号】100078868
【弁理士】
【氏名又は名称】河野 登夫
(72)【発明者】
【氏名】ロナティ,フランチェスコ
(72)【発明者】
【氏名】ロナティ,エットーレ
(72)【発明者】
【氏名】ロナティ,ファウスト
【審査官】▲桑▼原 恭雄
(56)【参考文献】
【文献】特表2011-514940(JP,A)
【文献】特表2006-503991(JP,A)
【文献】特開2002-028386(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04B 9/40
D04B 15/88
D04B 9/46
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
靴下類のための円形編機から管状のニット製品をピックアップし、前記ニット製品に更なる作業を行うべく適合されたユニットに移すためのピックアップ装置であって、
環状のピックアップ体に対して径方向に摺動可能なピックアップ要素を支持している前記ピックアップ体を備えており、前記ピックアップ体は、前記ピックアップ要素が靴下類のための円形編機の針と横方向に夫々対向するように前記円形編機の針シリンダの周りに同軸に配置可能であるように構成されており
前記ピックアップ要素が対向する前記円形編機の針と前記ピックアップ要素を係合させるか又は前記針から前記ピックアップ要素を外すべく、前記ピックアップ要素を前記ピックアップ体の芯に向かう方向又は前記軸芯から離れる方向に移動させるために前記ピックアップ要素に作用する作動手段が設けられており、
前記ピックアップ要素は、前記針に保持された編成ループをピックアップすべく適合されており、
前記ピックアップ体は、前記ピックアップ体が靴下類のための円形編機の針シリンダの周りに同軸に配置されるピックアップ位置から、前記ピックアップ体が前記円形編機の針シリンダに対して横方向に離隔した更なる作業のためのステーションに配置され、ニット製品に更なる作業を行うべく適合された前記ユニットが配置されているリリース位置まで、又はその逆に指令で移動可能であり、
前記ニット製品の更なる作業のための前記ステーションは、円筒面に沿って配置されて前記ニット製品と係合すべく構成された複数のスパイクを有する処理装置を備えており、
前記ピックアップ体は、前記リリース位置で前記円筒面と同軸に配置され
記円筒面は、前記芯の方を向いた前記ピックアップ要素の端部が前記リリース位置で前記ピックアップ体と共に配置される円筒面に対して、前記ピックアップ体の前記軸芯の方向に径方向に離隔していることを特徴とするピックアップ装置。
【請求項2】
前記ピックアップ体の芯の方を向いた前記ピックアップ要素の部は部を夫々有しており、前記座部は、前記針のヘッドの反対側で前記針のラッチの直近にある前記針の軸の領域と係合可能であり、
前記作動手段は、前記ピックアップ要素が前記ピックアップ体の芯に向かって摺動するために前記ピックアップ要素に作用する弾性手段と、前記弾性手段の作用とは対照的に前記ピックアップ要素が前記ピックアップ体の芯から離れる方向に摺動するために前記ピックアップ要素に作用する径方向プッシャとを有していることを特徴とする請求項1に記載のピックアップ装置。
【請求項3】
前記ピックアップ体は、前記ピックアップ体の芯が垂直であるように配置されて、アームに取り付けられており、
前記アームは、前記ピックアップ体を前記ピックアップ位置から前記リリース位置まで又はその逆に移動させるために、前記ピックアップ体の芯から離隔した垂直作動軸芯を中心として支持構造体に対して指令で回転可能であることを特徴とする請求項1又は2に記載のピックアップ装置。
【請求項4】
前記アームは、前記垂直作動軸芯に沿って指令で移動可能であることを特徴とする請求項3に記載のピックアップ装置。
【請求項5】
前記ピックアップ体は、前記ピックアップ要素を摺動自在に夫々収容している複数の径方向スロットを有しており、
前記ピックアップ体は、前記弾性手段の作用とは対照的に前記ピックアップ要素を前記ピックアップ体の芯から離れる方向に摺動させるために前記ピックアップ要素に指令で作用する前記径方向プッシャを支持しており、
前記ピックアップ体の芯に向かう前記ピックアップ要素のストロークを画定するための手段が設けられていることを特徴とする請求項に記載のピックアップ装置。
【請求項6】
前記ピックアップ体の芯の方を向いた前記ピックアップ要素の部は、上向きに開いたフックのように形成されており、
前記座部は、前記フックの後部に形成されていることを特徴とする請求項5に記載のピックアップ装置。
【請求項7】
前記ピックアップ体の芯の方を向いた前記ピックアップ要素の部は、前記座部により、針の開いたラッチの自由端部と前記針の軸との間で前記針の軸と係合すべく構成されていることを特徴とする請求項6に記載のピックアップ装置。
【請求項8】
前記ピックアップ体の芯の方を向いた前記ピックアップ要素の部の反対側の端部が、前記ピックアップ体の芯と平行に延びて対応する径方向スロットから上向きに突出するヒールのように夫々形成されており、
前記ヒールのような端部は、前記ピックアップ体の芯の方を向いた肩部を形成しており、
前記径方向プッシャは、前記ピックアップ体の芯に対して反対方向に前記肩部に作用し、前記弾性手段は、前記肩部に対して前記ヒールの反対側に作用することを特徴とする請求項~7のいずれか1つに記載のピックアップ装置。
【請求項9】
前記弾性手段は、環状の延長部分を有して前記ピックアップ要素の周りで前記ピックアップ体に配置されているコイルばねによって構成されていることを特徴とする請求項~8のいずれか1つに記載のピックアップ装置。
【請求項10】
前記径方向プッシャは、環状の扇形のように夫々形成されており、前記ピックアップ体に対して径方向に向いた対応する方向に前記ピックアップ体によって摺動自在に夫々支持されており、
前記径方向プッシャは、前記ピックアップ体に対して軸方向に向いて前記ピックアップ体の芯の周りに互いに角度をつけて離隔した2つのピンと夫々一体になっており、
前記ピンは、前記ピックアップ体に対して対応する径方向プッシャを径方向に移動させ得るように方向付けられて前記ピックアップ体に対して同軸に固定された環状の固定板に形成されている互いに平行な対応する第1のスリットと摺動自在に係合し、
前記ピンは、前記ピックアップ体に対して同軸に配置された環状の可動板に形成された第2のスリットに更に係合し、
前記第2のスリットは、前記第1のスリットに対して傾いており、
前記可動板は、前記ピンを前記第1のスリットに沿って摺動させるために前記ピックアップ体に対して前記ピックアップ体の軸芯周りに回転可能であることを特徴とする請求項2,5~9のいずれか1つに記載のピックアップ装置。
【請求項11】
ストローク調節手段を有するリニアアクチュエータを備えた板作動手段を更に備えており、
前記ピックアップ体は、前記ピックアップ体の軸芯が垂直であるように配置されて、アームに取り付けられており、
前記アームは、前記ピックアップ体を前記ピックアップ位置から前記リリース位置まで又はその逆に移動させるために、前記ピックアップ体の軸芯から離隔した垂直作動軸芯を中心として支持構造体に対して指令で回転可能であり、
前記リニアアクチュエータは流体作動式シリンダを有しており、前記流体作動式シリンダは、前記アームに取り付けられており、前記流体作動式シリンダのピストンの軸で前記可動板に連結されており、
前記流体作動式シリンダは、前記可動板を前記ピックアップ体に対して前記ピックアップ体の軸芯回りに回転させるために作動可能であることを特徴とする請求項10に記載のピックアップ装置。
【請求項12】
歯を有する櫛状の周縁外形を有する円形の平面形状を有するプレッサを更に備えており、
前記プレッサは、前記ピックアップ要素間に周縁外形の歯で入り込むために、前記ピックアップ体と同軸に対向するように配置可能であり、前記ピックアップ体に対して軸方向に移動可能であることを特徴とする請求項1~2及び5~11のいずれか1つに記載のピックアップ装置。
【請求項13】
歯を有する櫛状の周縁外形を有する円形の平面形状を有するプレッサを更に備えており、
前記プレッサは、前記ピックアップ要素間に周縁外形の歯で入り込むために、前記ピックアップ体と同軸に対向するように配置可能であり、前記ピックアップ体に対して軸方向に移動可能であることを特徴とする請求項3又は4に記載のピックアップ装置。
【請求項14】
前記プレッサは、前記ピックアップ体を支持する前記アームと一体に又は前記ピックアップ体を支持する前記アームに対して前記垂直作動軸芯を中心として回転可能な対応するアームに取り付けられていることを特徴とする請求項13に記載のピックアップ装置。
【請求項15】
前記プレッサを支持する前記アームは、前記ピックアップ体を支持する前記アームと一体に又は前記ピックアップ体を支持する前記アームに対して前記垂直作動軸芯に沿って移動可能であることを特徴とする請求項14に記載のピックアップ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、靴下類等のための円形編機から管状のニット製品をピックアップし、このニット製品に更なる作業を行うべく適合されたユニットに移すためのピックアップ装置に関する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
靴下類等のための円形編機を用いて管状のニット製品を製造する分野では、場合によっては、編機で行われ得ない又は編機で行うには経済的に好都合ではない、製品に対する更なる作業を行うために、製品を製造すべく使用された前記編機から別の製造ユニットへと製品を移す必要がある。
【0003】
特に靴下類の製造分野では、近年、靴下類のつま先をソーイング又はリンキングによって自動的に閉じるための方法が開発されている。これらの方法の一部は、編機が別の靴下類製品を製造するために使用されている間に靴下類製品のつま先を更なる作業ステーションで閉じるように、製品を製造するために使用された編機から製品をピックアップして、製造する編機から離れた更なる作業ステーションに製品を移すことに基づいている。これらの方法は、靴下類製品を製造するために使用される編機で直接靴下類製品のつま先を閉じることに基づく他の方法に対して、編機の生産性を過度に不利にしないという利点を有する。
【0004】
靴下類製品、更に一般的には管状製品を製造すべく使用される編機から、製品の軸方向端部を閉じるステーション、より一般的には製品に更なる作業を行うステーションへと製品を一般的にピックアップ装置によって移す。ピックアップ装置は、ピックアップ要素によって編機の針から製品の編成ループを個々に取り、製品の移動中に編成ループを保持する。
【0005】
靴下類製品のつま先を閉じるための一部の方法では、ピックアップ装置が更なる作業の実行中に製品を支持すべく更に使用される一方、他の方法では、ピックアップ装置が、更なる作業を行うステーションに達すると、針によって既にピックアップされた編成ループを、更なる作業の実行中に製品を支持する機能を有する別の装置、例えば処理装置に移すので、ピックアップ装置は製品を移すためだけに使用される。この処理装置は、ピックアップ装置から受けた編成列の半分に属するループが同一の編成列の残り半分に属するループと対向するように、ピックアップ装置から受けた編成列の半分に属するループを配置し、互いに対向する対の編成ループを結合するソーイングヘッド又はリンキングヘッドの介入中、編成列の2つの半分を互いに対向する位置で支持する。
【0006】
製品を製造する編機から処理装置に製品を単に移すために使用される公知のタイプの一部のピックアップ装置では、編成ループを針からピックアップ要素に移すためのピックアップ要素と針との結合が通常、針のヘッドをピックアップ要素の端部に形成された座部に挿入することにより行われる。このため、ピックアップ装置は通常環状のピックアップ体を有しており、ピックアップ体は、針のヘッドが突出する針シリンダの端部と同軸に対向するように構成されており、ピックアップ体の軸芯と平行に方向付けられている複数のピックアップ要素を支持している。
【0007】
この種のピックアップ装置が、例えば欧州特許第0942086 号明細書に示されている。
【0008】
ピックアップ装置が更に知られており、例えば欧州特許第2250306 号明細書に記載されている。このようなピックアップ装置は環状のピックアップ体を備えており、ピックアップ体はピックアップ体に対して径方向に摺動可能なピックアップ要素を支持している。ピックアップ体は、ピックアップ要素が円形靴下類編機の対応する針に横方向に夫々対向するように、円形靴下類編機の針シリンダの周りに同軸に配置され得る。
【0009】
このタイプのピックアップ装置は、各ピックアップ要素が対向する針と各ピックアップ要素とを係合させるか又は針からピックアップ要素を外すように、ピックアップ要素をピックアップ体の軸芯に向かう方向又は軸芯から離れる方向に移動させるためにピックアップ要素に作用する作動手段を備えており、各ピックアップ要素は、針に保持された製品の編成ループをピックアップすべく適合されている。
【0010】
欧州特許第2250306 号明細書によれば、軸芯の方を向いたピックアップ要素の各々の端部は座部を有しており、座部は、針のヘッドに対して反対側の針のラッチの直近にある針の軸の領域と係合可能であり、作動手段は、ピックアップ要素を軸芯の方に摺動させるためにピックアップ要素に作用する弾性手段と、弾性手段の作用とは対照的にピックアップ要素を軸芯から離れる方向に摺動させるためにピックアップ要素に作用する径方向プッシャとを有している。
【0011】
更なる作業ステーションに、軸芯が垂直であるように配置された環状体を備えた処理装置が設けられている。環状体は下面に複数のスパイクを有しており、スパイクは、前記軸芯と一致する軸芯を有する仮想円筒面に沿って配置されており、前記軸芯と平行に延びている。スパイクは、ピックアップ装置のピックアップ要素間の間隔に相当する角度間隔に応じて軸芯を中心として互いに角度間隔を空けて均一に設けられている。実際には、各ピックアップ要素は処理装置のスパイクと組み合わされ、ピックアップ装置が更なる作業ステーションに配置されているとき、ピックアップ装置のピックアップ体は処理装置の環状体と同軸の位置をとり、ピックアップ要素が、スパイクが配置されている環の周りに配置されて、各ピックアップ要素がスパイクと径方向に並んでいる。
【0012】
本発明の意図は、靴下類等のための円形編機から管状のニット製品をピックアップし、ニット製品に更なる作業を行うべく適合されたユニットに移すためのピックアップ装置であって、比較的簡単に備えられて良好な精度で編機の針に連結され得る前記ピックアップ装置を提供することにより、上述された問題を解決することである。
【0013】
この意図の範囲内で、本発明は、動作中の高い信頼性を保証する装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
この意図、並びにこの目的及び以下でより明らかとなる他の目的は、独立請求項の定義に従って、靴下類等のための円形編機から管状のニット製品をピックアップし、このニット製品に更なる作業を行うべく適合されたユニットに移すためのピックアップ装置によって達成される。
【0015】
本発明の更なる特徴及び利点は、添付図面の非限定例で示した本発明に係るピックアップ装置の好ましいが排他的でない実施形態の説明からより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係るピックアップ装置を、ピックアップ装置のピックアップ体が靴下類等のための円形編機の針シリンダに対して上側且つ同軸に配置されている状態で示す軸方向断面略図である。
図1a図1の細部拡大図である。
図2図1に示された位置のピックアップ装置を示して、複数の部分を仮想線及び鎖線で示す拡大平面略図である。
図2a図2の細部拡大図である。
図3】本発明に係るピックアップ装置を、ピックアップ装置のピックアップ体が靴下類等のための編機に下降している状態で示す軸方向断面略図である。
図4図3に示された位置のピックアップ装置を示す拡大平面略図である。
図4a図4の細部拡大図である。
図5】製品を製造するために使用された編機からの製品のピックアップ中の本発明に係るピックアップ装置の動作、及び製品の更なる作業のためのステーションでの本発明に係るピックアップ装置の配置を示す概略図であり、より具体的には、編機の針とのピックアップ要素の係合前の、製品を製造すべく使用される編機の針シリンダの周りに配置されたピックアップ体を示す軸方向断面図である。
図6】製品を製造するために使用された編機からの製品のピックアップ中の本発明に係るピックアップ装置の動作、及び製品の更なる作業のためのステーションでの本発明に係るピックアップ装置の配置を示す概略図であり、より具体的には、編機の針とのピックアップ要素の係合を示す、図5と同様の軸方向断面図である。
図7】製品を製造するために使用された編機からの製品のピックアップ中の本発明に係るピックアップ装置の動作、及び製品の更なる作業のためのステーションでの本発明に係るピックアップ装置の配置を示す概略図であり、より具体的には、編機の針からピックアップ要素への編成ループの通過を示す軸方向断面図である。
図8】製品を製造するために使用された編機からの製品のピックアップ中の本発明に係るピックアップ装置の動作、及び製品の更なる作業のためのステーションでの本発明に係るピックアップ装置の配置を示す概略図であり、より具体的には、針の軸に支えられた、本発明に係るピックアップ装置のピックアップ要素を示す拡大側面図である。
図9】製品を製造するために使用された編機からの製品のピックアップ中の本発明に係るピックアップ装置の動作、及び製品の更なる作業のためのステーションでの本発明に係るピックアップ装置の配置を示す概略図であり、より具体的には、針からピックアップ要素への編成ループの移行中の、針の軸に結合された、本発明に係るピックアップ装置のピックアップ要素を示す拡大側面図である。
図10】製品を製造するために使用された編機からの製品のピックアップ中の本発明に係るピックアップ装置の動作、及び製品の更なる作業のためのステーションでの本発明に係るピックアップ装置の配置を示す概略図であり、より具体的には、針の軸に結合された、本発明に係るピックアップ装置のピックアップ要素を横断面で示す拡大平面図である。
図11】製品を製造するために使用された編機からの製品のピックアップ中の本発明に係るピックアップ装置の動作、及び製品の更なる作業のためのステーションでの本発明に係るピックアップ装置の配置を示す概略図であり、より具体的には、製品を製造するために使用された編機の針からの、ピックアップ体による製品の離脱を示す軸方向断面図である。
図12】製品を製造するために使用された編機からの製品のピックアップ中の本発明に係るピックアップ装置の動作、及び製品の更なる作業のためのステーションでの本発明に係るピックアップ装置の配置を示す概略図であり、より具体的には、製品を製造するために使用された編機から製品を外している間のピックアップ体を示す軸方向断面図である。
図13】製品を製造するために使用された編機からの製品のピックアップ中の本発明に係るピックアップ装置の動作、及び製品の更なる作業のためのステーションでの本発明に係るピックアップ装置の配置を示す概略図であり、より具体的には、更なる作業ステーションに配置されて、製品を製造するために使用された編機から離隔した処理装置でのピックアップ体の配置を示す軸方向断面図である。
図14】製品を製造するために使用された編機からの製品のピックアップ中の本発明に係るピックアップ装置の動作、及び製品の更なる作業のためのステーションでの本発明に係るピックアップ装置の配置を示す概略図であり、より具体的には、製品をピックアップ体から処理装置に移している間の処理装置に配置されたピックアップ体を示す軸方向断面図である。
図15】製品を製造するために使用された編機からの製品のピックアップ中の本発明に係るピックアップ装置の動作、及び製品の更なる作業のためのステーションでの本発明に係るピックアップ装置の配置を示す概略図であり、より具体的には、製品が処理装置で外された後の、製品の更なる作業のためのステーションからのピックアップ体の離隔を示す軸方向断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明に係る装置は、参照番号100 で一般的に示されている、靴下類等のためのシングルシリンダ編機に適用して示されているが、靴下類等のためのダブルシリンダ円形編機の下側針シリンダに配置された針から製品101 をピックアップするため、又は靴下類等のためのダブルシリンダ円形編機の上側針シリンダに配置された針から製品をピックアップするためにも使用され得る。しかしながら、上側針シリンダに配置された針から製品をピックアップするために使用される場合、本発明に係る装置は、添付図面に示された構成に対して上下逆に設置される必要がある。
【0018】
図面を参照すると、本発明に係るピックアップ装置が機能すべく構成されている靴下類等のためのシングルシリンダ円形編機100 は、垂直方向に向いた軸芯121a を有する針シリンダ121 を備えている。複数の軸スロット122 が針シリンダ121 の側面に形成されており、針123 が軸スロット内に夫々収容されており、編地を形成すべく対応する軸スロット122 に沿って交互の運動で作動可能である。
【0019】
それ自体公知なように、針シリンダ121 内には、針シリンダ121 と同軸の吸込管124 が設けられている。この吸込管124 の上端部はゴブレット状に開いており、吸込管124 の延長部分の一部が針シリンダ121 の上端部から突出し得るように、吸込管124 は針シリンダ121 に対して軸芯121aに沿って移動可能である。
【0020】
針123 は、例えば簡略化のために図示されていない、針シリンダ121 の周りに配置されたカムによってそれ自体公知なように作動し、針シリンダ121 が前記カムに対して自軸121a回りに回転した結果、カムは、針シリンダ121 の側面から径方向に突出する針123 のヒール123aと係合可能である。実質的に公知のタイプの編機である編機100 は、簡略化のために更に説明されない。
【0021】
図面を参照すると、参照番号10によって一般的に示されている本発明に係るピックアップ装置はピックアップ体11を備えており、ピックアップ体11は環状であり、ピックアップ体11に対して径方向に摺動可能なピックアップ要素29を支持している。ピックアップ要素29が円形靴下類編機100 の対応する針123 に横方向に夫々対向するように、ピックアップ体11は、円形靴下類編機100 の針シリンダ121 の周りに同軸に配置され得る。
【0022】
ピックアップ装置10は、各ピックアップ要素29が対向する針123 と各ピックアップ要素29とを係合させるか又は針からピックアップ要素を外すように、ピックアップ要素29をピックアップ体11の軸芯11a に向かう方向又は軸芯11a から離れる方向に移動させるためにピックアップ要素29に作用する作動手段を備えており、各ピックアップ要素29は、以下でより明らかになるように、針123 に保持された製品101 の編成ループをピックアップすべく適合されている。
【0023】
軸芯11a の方を向いたピックアップ要素29の各々の端部29a は座部30を有しており、座部30は、針123 のヘッド123cに対して反対側のラッチ123dの直近にある針123 の軸123bの領域と係合可能であり、作動手段は、ピックアップ要素29を軸芯11a の方に摺動させるためにピックアップ要素29に作用する弾性手段と、弾性手段の作用とは対照的にピックアップ要素29を軸芯11a から離れる方向に摺動させるためにピックアップ要素29に作用する径方向プッシャ34とを有している。
【0024】
より具体的には、ピックアップ体11は、自軸11a が垂直であるように配置されており、水平に配置されているアーム12の端部に固定されている。アーム12は、反対側の端部で垂直軸芯13a を有するスリーブ13に連結されている。スリーブ13は、中空軸14の周りに同軸に嵌合されており、自軸13a を中心とした回転中、中空軸14と一体である。中空軸14は、自軸13a を中心として回転可能に支持構造体15によって支持されており、支持構造体15は、編機100 の支持構造体によって構成され得るか、又は編機100 の支持構造体と任意に関連付けられ得る独立した支持構造体によって構成され得る。
【0025】
歯車16が、中空軸14にキー止めされており、はすば歯車18と同軸に一体化されている歯車17と噛合する。はすば歯車18は、支持構造体15によって支持されている電気モータ20の出力軸に固定されているウォーム歯車19と係合する。
【0026】
基本的に、電気モータ20の作動により、アーム12は、アーム12のための垂直作動軸芯を構成する軸芯13a を中心として支持構造体15に対して回転する。そのため、以下でより明らかになるように、ピックアップ体11が編機100 の針シリンダ121 と同軸に配置されるピックアップ位置から、ピックアップ体11が例えばソーイングステーション又はリンキングステーションによって構成されている更なる作業ステーション102 に配置されて、製品101 に更なる作業を行うべく適合されたユニットが配置されているリリース位置まで、及びその逆にピックアップ体11が移動する。
【0027】
上述したピックアップ位置とリリース位置との間に設けられたスタンバイ位置又は中間位置でアーム12の回転を停止可能であることが好ましい。
【0028】
電気モータ20の作動に伴いピックアップ体11がとり得る3つの位置は、歯車17及びはすば歯車18を支持するブロックに設けられた基準点を検出する3つのセンサ21, 22, 23によって制御される。
【0029】
製品101 の更なる作業のためのステーション102 は、特に処理装置60を備えており、処理装置60は、円筒面に沿って配置されて製品101 と係合するように構成された複数のスパイク62を有している。
【0030】
本発明によれば、ピックアップ体11はリリース位置で、スパイク62が配置されている円筒面と同軸に配置される。
【0031】
スパイク62が配置されている円筒面は、ピックアップ体11がリリース位置にあるとき、軸芯11a の方を向いたピックアップ要素29の端部が配置される円筒面に対して、ピックアップ体11の軸芯11a の方向に径方向に離隔している。
【0032】
処理装置60は、軸芯61a が垂直であるように配置された環状体61を有している。環状体61は下面に複数のスパイク62を有しており、スパイク62は、軸芯61a と一致する軸芯を有する仮想円筒面に沿って配置されており、前記軸芯61a と平行に延びている。スパイク62は、軸芯61a を中心として互いに角度間隔を空けて均一に設けられている。
【0033】
角度間隔は、ピックアップ装置10のピックアップ要素29間の角度間隔に相当してもよいが、角度間隔は更に異なってもよく、更にピックアップ要素29の数に対して異なる数のスパイク62(好ましくはより少ない数のスパイク)が設けられてもよい。
【0034】
ピックアップ装置10が更なる作業ステーション102 に配置されるとき、ピックアップ装置10のピックアップ体11は、処理装置60の環状体61と同軸の位置に配置され、ピックアップ要素29は、スパイク62の環の周りに環に対して外側に配置される。
【0035】
スリーブ13は、スリーブ13に連結されたアーム12と共に、中空軸14に対して軸芯13a に沿って指令で移動可能である。より具体的には、スリーブ13は、垂直軸芯を有する雌ねじ24と一体化されており、ねじ軸25が雌ねじ24と係合して、中空軸14に固定されたブロックによって支持されている電気モータ27の出力軸と連結装置26によって連結されている。
【0036】
このようにして、電気モータ27の作動により、軸芯13a を中心としたアーム12の任意の角度位置でアーム12が上昇又は下降する。
【0037】
ピックアップ装置10のピックアップ体11は複数の径方向スロット28を有しており、径方向スロット28の各々の内部にピックアップ要素29が摺動自在に収容されている。
【0038】
各ピックアップ要素29は、特に図8図9及び図10に示されているように、ピックアップ体11の軸芯11a に対する径方向の面に配置された薄板体を有している。軸芯11a の方を向いた各ピックアップ要素29の端部は座部30を有しており、座部30は、軸芯11a の方に且つ前記軸芯11a と平行に開いており、つまり上側及び下側の両方に開いている。この座部30は、ピックアップ体11がピックアップ位置にあるとき、ピックアップ要素29が対向する針123 の軸123bと結合され得る。
【0039】
より具体的には、ピックアップ装置10のピックアップ体11は、編機100 の針123 の数と一致する数のピックアップ要素29を支持しており、前記ピックアップ要素29は、針シリンダ121 の軸芯121aを中心とした編機100 の針123 間の角度間隔に対応するように、ピックアップ体11の軸芯11a を中心として角度間隔を空けて設けられている。更にピックアップ体11は、垂直軸芯を有するセンタリングピン31を周縁領域で支持しており、電気モータ27によって作動可能なアーム12を下げることにより、センタリングピン31は、針シリンダ121 の横方向に編機100 の支持構造体に設けられている、簡略化のために図示されていない対応するセンタリング座部に挿入され得る。センタリングピン31と対応するセンタリング座部との結合によって、編機100 の針シリンダ121 に対するピックアップ体11及びピックアップ要素29の正確な配置が保証される。靴下類等のための最新の円型編機に通常設けられている適宜の制御要素によって、編機の支持構造体に対して針シリンダ121 を自軸121aを中心として正確に角度をつけて配置することが可能になり、従って、編機の各針123 を必要に応じて対応するピックアップ要素29の座部30と径方向に並べて配置することが可能になる。
【0040】
センタリングピン31は、軸芯13a を中心としたアーム12の回転を可能にすべくアーム12を上昇させることにより対応するセンタリング座部から外され得る。
【0041】
各ピックアップ要素29の面の内の1つが、対応する径方向スロット28の底部に置かれ、座部30が形成されている各ピックアップ要素の端部が軸芯11a の方向に対応する径方向スロット28から突出する。図示された実施形態のように、座部30が2つの互いに対向する壁によって横方向に画定され得るが、更に1つの壁によって一側のみ画定され得ることに注目すべきである。
【0042】
各ピックアップ要素29の端部29a は、上向きに開いたフックのように形成されており、座部30はフックの後部に形成されていることが好ましい。
【0043】
各ピックアップ要素29の端部29a の反対側にある端部29b は、軸芯11a の方を向いた肩部32を形成するように、軸芯11a と平行に延びてピックアップ体11の対応する径方向スロット28の上側に突出するヒールのように形成されている。ピックアップ要素29を軸芯11a に向けて押圧する弾性手段は、軸芯11a に対してこのヒールの反対側を向いた側に作用する。前記弾性手段は、軸芯11a と一致する軸芯を有する環状のコイルばね33によって好ましくは構成されており、コイルばね30は、ピックアップ要素29の周りに配置されて、肩部32と反対のヒール状の端部29b の側に作用する。
【0044】
径方向プッシャ34はピックアップ体11に配置されており、コイルばね33の作用とは対照的にピックアップ要素29を軸芯11a から離れる方向に摺動させるように肩部32に指令で作用する。
【0045】
更に具体的には、ピックアップ体11は、軸芯11a と同心的に配置された環状の固定板35によって上部領域で閉じられている。5つの径方向プッシャ34がピックアップ体11の内部に配置され、環状の扇形のように形成されて、ピックアップ要素29の肩部32に対向する。これらの径方向プッシャ34の各々は、軸芯11a を中心として互いに角度間隔を空けて軸芯11a と平行に方向付けられている一対のピン36に固定されている。これらのピン36は、固定板35に形成されている第1のスリット37を摺動自在に貫通する。同一の径方向プッシャ34のピン36が係合する対の第1のスリット37は互いに平行であり、対応する径方向プッシャ34が軸芯11a に向かう方向及び軸芯11a から離れる方向に径方向に移動可能であるように方向付けられている。可動板38が固定板35の上側に配置されており、可動板38も環状であり、軸芯11a と同心状に配置されており、同一の軸芯11a を中心として回転可能であるようにピックアップ体11によって支持されている。可動板38を第2のスリット39が横断しており、ピン36毎に1つの第2のスリット39が設けられており、ピン36が第2のスリット39を摺動自在に夫々貫通する。ピックアップ体11及び固定板35に対する軸芯11a を中心とした可動板38の回転が、軸芯11a に向かう方向又は軸芯11a から離れる方向への径方向プッシャ34の移動を引き起こすように、第2のスリット39は、第1のスリット37に対して傾いている。
【0046】
可動板38は、ストローク調節手段を有するリニアアクチュエータに連結されている。
【0047】
好ましくは、リニアアクチュエータは、アーム12に取り付けられた複動流体作動式シリンダ40のピストンの軸を有しており、複動流体作動式シリンダ40は、ピックアップ体11に対して可動板38を軸芯11a を中心として回転させるように作動可能である。
【0048】
実際、流体作動式シリンダ40の作動によって、可動板38がピックアップ体11に対して軸芯11a を中心として一方向に回転すると、特に図2及び図2aに示されているように、コイルばね33の作用とは対照的に径方向プッシャ34、ひいてはピックアップ要素29を軸芯11a から離隔する。又は、反対方向に回転すると、特に図4及び図4aに示されているように、径方向プッシャ34を軸芯11a に近づけて、コイルばね33の動作によってピックアップ要素29を前記軸芯11a の方に移動させ得る。軸芯11a に向かうピックアップ要素29のストロークは、肩部32に対向して配置されてピックアップ体11の内部に形成された肩部41によって、又は径方向プッシャ34によって画定されている。
【0049】
各ピックアップ要素29が、コイルばね33の動作によって対応する針123 の軸123bと係合することに注目すべきである。この結果、対応する針123 の実際の径方向位置への軸芯11a の方向の各ピックアップ要素29のストロークの一種の適合がなされる。実際、ピックアップ要素29の特定の作動によって、針123 の不正確な径方向の配置を未然に防ぐことができ、ひいては正確な係合をどのような場合でも保証するので、対応する針123 との各ピックアップ要素29の結合があまり重要ではなくなる。更に、ピックアップ要素29の特定の作動は、全体としてピックアップ体11の軸方向の空間占有の優れた抑制を可能にすることに加えて、同数の針を備えているが、僅かに異なる直径を有する円筒面に沿って配置されている編機と共に同一のピックアップ装置10を使用することを更に可能にする。
【0050】
ピックアップ装置10はプレッサ42を更に備えており、プレッサ42は、プレッサ42の垂直方向に向いた軸芯42a の周りに配置された複数の歯を有する櫛のような周縁外形の円形の平面形状を有する。
【0051】
プレッサ42は、対応するアーム43の一端部に連結されており、アーム43は、図示された実施形態ではアーム12の上側に配置されている。アーム43は、反対側の端部で対応するスリーブ44に連結されており、スリーブ44はスリーブ13と同軸に配置されており、軸芯13a を中心として回転可能であるように且つスリーブ13に形成された円筒状座部45内で前記軸芯13a に沿って摺動可能であるように係合する。
【0052】
アーム43は、垂直軸芯を有する柱46の上端部に支えられており、柱46は、軸芯13a の周りに配置されており、スリーブ13により形成された対応する座部47内で軸方向に摺動可能であるように収容されている。アーム43は、アーム12に対する軸芯13a を中心としたアーム43の回転中に柱46上でのアーム43の摺動を低減するように、軸芯13a と一致する軸芯を有する軸受48により柱46に載置されている。
【0053】
柱46は、柱46と対応する座部47との間に配置されたばね49によって、アーム43に向かって、ひいては図示された実施形態では上方に押圧される。
【0054】
スリーブ13は流体作動式シリンダ50を支持しており、流体作動式シリンダ50は、垂直軸芯を有して、流体作動式シリンダ50のピストンの軸でスリーブ44に支えられている。実際には、流体作動式シリンダ50は、軸芯13a を中心とした回転中及び前記軸芯13a に沿った平行移動中にスリーブ13と一体になっており、ばね49の作用とは対照的に、スリーブ44の図示された実施形態では下方への平行移動、ひいてはアーム12に対するアーム43の軸芯13a に沿った平行移動をもたらすために作動可能である。
【0055】
アーム43は、アーム12の方を向いた側にピン51を有しており、ピン51は、垂直軸芯を有しており、アーム12に対するアーム43の軸芯13a に沿った平行移動によって、垂直軸を有してアーム12に形成された座部52に挿入され得るか又は前記座部52から引き出され得る。
【0056】
ピン51と座部52との結合により、ピックアップ体11に対するプレッサ42の同軸配置が保証され、加えて、軸芯13a を中心とした回転中にアーム12及びアーム43、ひいてはプレッサ42及びピックアップ体11を相互に一体にする。
【0057】
座部52の入口が、アーム43の方を向いたアーム12の面に形成されたスロット53の閉じた端部で底部に形成されている。このスロット53は、軸芯13a を中心とした円形状の扇形のように形成されており、座部52によって占められた端部の反対側にある端部の1つで開口している。アーム12の上側のアーム43の間隔が最大である状態では、ピン51の下端部は、例えば図1及び図3に示されているように、座部52から外れているがスロット53と係合可能であるようなレベルにある。このようにして、アーム12の上側のアーム43の間隔が最大である状態では、アーム12は支持構造体15に対して軸芯13a を中心として回転可能であり、以下でより明らかになるように、ピン51がスロット53の開口した端部から出るので、アーム12はアーム43から一方向に外れる一方、ピン51がスロット53の前記開口した端部に入り、前記開口した端部と係合するので、反対方向への回転中、アーム12はアーム43と係合する。
【0058】
特に、プレッサ42がピックアップ体11と同軸の位置にあるとき、プレッサ42は、流体作動式シリンダ50の作動により、例えば図1図1a、図3図5及び図6に示されているように、プレッサ42がピックアップ体11から上向きに間隔を置いて配置されている上昇位置から、例えば図7図11及び図12に示されているように、プレッサ42がピックアップ要素29間に周縁外形の歯で入り込む下降位置まで移動可能である。
【0059】
当接部54が、軸芯13a を中心としたアーム43の回転中にアーム43がたどる軌道に沿って配置されており、上昇位置で、編機100 と更なる作業ステーション102 との間のアーム12の中間位置に実質的に相当する位置でアーム43の回転を停止して、アーム43が更なる作業ステーション102 にアーム12に追随するのを防止する。逆に、アーム12が更なる作業ステーション102 から編機100 まで軸芯13a を中心として回転し、アーム43が既に置き去りにされている中間位置に達するとき、ピン51はスロット53に入り、スロット53の端部で、つまりピン51が座部52と同軸であるとき、ピン51は、編機100 に向かう回転中、アーム43を伴う。
【0060】
軸芯11a の方を向いて編機100 の針と結合され得る各ピックアップ要素29の端部に設けられた座部30は、ピックアップ体11の軸方向の移動とスパイク62に対するピックアップ要素29の径方向の移動とによりスパイク62に同様に係合され得る。
【0061】
環状体61は、直径軸芯64を中心として相互に軸支されている2つの環状部分63a, 63bによってそれ自体公知なように構成され得る。環状部分63b によって構成されている2つの環状部分の一方は、環状部分63b の各スパイク62が環状部分63a の対応するスパイク62に対向するように環状部分63b の各スパイク62を移動させるべく、直径軸芯64を中心として他方の環状部分63a に対して指令で反転され得る。図示された実施形態では、2つの環状部分63a, 63bが同一平面上の位置にあるとき、スパイク62の先端部は下向きであり、環状部分63b は、環状部分63a と下方領域で対向するように直径軸芯64を中心として反転され得る。
【0062】
更に、更なる作業ステーション102 には、環状体151 が設けられており、軸芯61a と一致する軸芯を有する環状座部150 に同軸で収容され得る。環状体151 は、図示されていない流体作動式シリンダのピストンの軸に連結されており、流体作動式シリンダは、軸芯が軸芯61a と平行であるように設けられている。この流体作動式シリンダは、環状体151 を軸芯61a に沿って一方向又は反対方向に移動させるために作動可能である。
【0063】
環状体151 の上方に向いた面の周縁外形は、ピックアップ体11が更なる作業ステーション102 に移動するときにピックアップ装置10のピックアップ要素29間に挿入され得る歯を有する櫛形状であることが好ましい。
【0064】
本発明に係るピックアップ装置の動作は以下の通りである。
【0065】
製品101 は、靴下類等のための円形編機で、製品の製造を一軸方向端部から開始して反対側の軸方向端部で終了することにより製造される。
【0066】
編機100 が製品101 の製造を終了している間、ピックアップ装置10のピックアップ体11が編機100 と更なる作業ステーション102 との間の中間位置にあり、ピックアップ要素29がピックアップ体11の軸芯11a から離隔した位置にある状態で、ピックアップ装置10は配置されている。プレッサ42は、ピックアップ体11の上側にピックアップ体11と同軸に配置されており、ピックアップ体11に対して上昇する。
【0067】
形成された最終編成列の各編成ループは、編成ループを作成した針123 に保持される。簡略化のために示されていないダイヤルが、針シリンダ121 に対して上側且つ同軸に配置されており、ダイヤルと一体化されたカッタが製品101 を製造すべく使用された糸を切断した後、図5に示されているように、ピックアップ装置10のピックアップ体11を針シリンダ121 に対して上側且つ同軸に配置して、対応するプレッサ42をピックアップ体11に対して上側且つ同軸に配置することを可能にすべく、ダイヤルは針シリンダ121 から上方に離隔する。
【0068】
ピックアップ装置10は、ピックアップ体11が針シリンダ121 の上側にあるように配置されて、次に、センタリングピン31が編機100 の支持構造体に適切に設けられた座部に入るように電気モータ27の作動により軸芯121aと一致する軸芯11a に沿って下げられることに注目すべきである。
【0069】
針123 が、針作動カムによってまず、タック編位置に上昇し、次に針123 のヘッド123cがシンカ125 の下側にある状態に戻されて、その後、タック編位置に再度上昇するように、針シリンダ121 は、自軸121aを中心とした回転運動で作動し続け、形成された製品101 の最終編成列の編成ループが、対応する針123 のラッチ123dが開いた状態で対応する針123 のヘッド123c内に確実に保持されるように、吸込管124 を同時的に上昇させる。最後に、この場合も針作動カムに対する針シリンダ121 の回転によって、針123 は全て、吸込管124 と共にタック編位置に上昇する。このとき、針シリンダ121 の回転を停止させて、針シリンダ121 は、続く工程中の針シリンダ121 のランダムな回転又は偶発的な回転を排除するように機械的に固定される。針シリンダ121 のこの回転位置では、軸芯11a の方を向いた各ピックアップ要素29の端部29a は、対応する針123 の軸123bと径方向に並んでいる。
【0070】
このとき、図4及び図4aに示されているように、流体作動式シリンダ40が作動し、可動板38を回転させることによって、径方向プッシャ34を軸芯11a の方に移動させ、ひいては、コイルばね33によって加えられる推進力の作用によりピックアップ要素29を軸芯11a の方に移動させることができる。図6に示されているように、より具体的にはピックアップ要素29と針123 との結合のみを示す図8及び図10に示されているように、軸芯11a の方を向いた各ピックアップ要素29の端部は、対応する針123 のラッチ123dの真下の前記針123 の軸123bに座部30で支えられている。
【0071】
ピックアップ要素29が対応する針123 の軸123bと係合した後、ピックアップ体11は、電気モータ27の作動によって僅かに上昇するため、各ピックアップ要素29の端部29a は、座部30により、針123 の開いたラッチ123dの自由端部と前記針123 の軸123bとの間で針123 の軸123bと係合する。
【0072】
その後、吸込管124 が下げられて、流体作動式シリンダ50の作動によってプレッサ42は下降位置に移される。下降位置では、プレッサ42は、針123 間及びピックアップ要素29間に周縁外形の歯で入り込む。プレッサ42のこの軸方向移動の結果、編成ループは、図7及び図9に示されているように、針123 のラッチ123dの下側でピックアップ要素29のフック状の端部29a に押し込まれる。更に、ピン51は座部52に係合して、軸芯13a を中心とした回転中、アーム12及びアーム43を相互に一体にする。
【0073】
その後、ピックアップ装置10のピックアップ体11は、電気モータ27の作動により針シリンダ121 に対して自軸11a に沿ってプレッサ42と共に上昇する。図11に示されているように、この上昇により、ピックアップ要素29の端部29a が対応する針123 の開いたラッチ123dの下側にある状態で既に配置されているピックアップ要素29が対応する針123 のヘッド123cに向けて摺動するため、ラッチ123dが針123 のヘッド123cを閉じて、編成ループが針123 から外される。
【0074】
この工程で、吸込管124 は、製品101 の上昇を支援して、続く工程で針123 の周りに配置された編機の部分との接触から製品101 を保護するために再度上昇する。
【0075】
その後、電気モータ20の作動により、図12に示されているように、アーム12及びアーム43は、ピックアップ装置10のピックアップ体11及びプレッサ42を編機100 から編機100 と更なる作業ステーション102 との間の中間位置まで移すように軸芯13a を中心として回転する。この中間位置では、プレッサ42を支持するアーム43が座部52からピン51で外れるように流体作動式シリンダ50は非作動状態にされる。
【0076】
その後、図13に示されているように、ピックアップ体11の軸芯11a が軸芯61a にあるようにピックアップ体11が更なる作業ステーション102 に配置されるまで、電気モータ20により軸芯13a を中心としたアーム12の回転を完了する。軸芯13a を中心としたアーム12の回転を完了する際、アーム43の回転が当接部54によって阻止されて、スロット53がピン51に沿って摺動してピン51から外れるので、アーム43はアーム12に追随しないことに注目すべきである。任意には、この位置で、製品101 は、ピックアップ体11に対して下側且つ同軸に配置された管状体内に空気圧で吸い込まれ得る。
【0077】
次に、互いに同一平面上にある2つの環状部分63a, 63bの下側にあるピックアップ体11は、電気モータ27の作動によって上昇する。
【0078】
その後、環状体151 は軸芯61a に沿って上昇して、ピックアップ要素29間に周縁外形の歯で入り込み、スパイク62が編成品に入り込む。
【0079】
このとき、それ自体公知なように、例えば空気圧による吸込みによって、又は環状体61を通って軸方向に挿入され得る反転管によって製品101 に環状体61を軸方向に通過させることにより、製品101 は環状体61の上側で裏返され得る。
【0080】
その後、図15に示されているように、環状体151 は下降位置に戻されて、ピックアップ装置10のピックアップ体11は、電気モータ27の作動による下降、及び電気モータ20の作動による軸芯13a を中心とした回転により、更なる作業ステーション102 から離隔して中間位置に戻される。
【0081】
更なる作業ステーション102 では、例えば2つの環状部分の関連付けられないソーイング、環状部分63a の下側への環状部分63b の反転、及び、その後のソーイングによって、製品101 の作業をそれ自体公知なように継続して、製品101 の軸方向端部を閉じることができる。
【0082】
実際、本発明に係るピックアップ装置が対象とする意図及び目的を完全に達成していることが分かっている。
【0083】
本発明に係るピックアップ装置の更なる利点は、ピックアップ装置がピックアップ体の軸方向の空間占有を低減させることが可能であり、従って、ピックアップ装置がシングルシリンダ円形編機に使用される場合はダイヤルの上昇を最小限にし、ピックアップ装置がダブルシリンダ円形編機に使用される場合は上側針シリンダの上昇を最小限にすることができることにある。
【0084】
本発明に係るピックアップ装置の更なる利点は、ピックアップ装置が、針から製品をピックアップするため、又は異なる直径を有する異なる円筒面に応じて配置されたスパイクに製品を移すために使用され得ることにある。
【0085】
このように考案された装置は多くの調整及び変更を加えることができ、それら全ては添付の特許請求の範囲の保護範囲内にある。
【0086】
本出願が優先権を主張するイタリア特許出願第102019000005838 号明細書における開示内容は、参照として本明細書に盛り込まれる。
【0087】
任意の請求項に記載されている技術的特徴の後には参照符号が続いているが、これらの参照符号は、請求項の明瞭性を高めるためだけに含まれているものであり、従って、このような参照符号により一例として特定される各要素の解釈をいかなる形においても限定するものではない。
図1
図1a
図2
図2a
図3
図4
図4a
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15