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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】透析中分析方法及び透析用分析装置
(51)【国際特許分類】
   A61M 1/16 20060101AFI20240115BHJP
   A61B 5/022 20060101ALI20240115BHJP
   G06N 20/20 20190101ALI20240115BHJP
   G06N 3/02 20060101ALI20240115BHJP
   G06N 20/00 20190101ALI20240115BHJP
【FI】
A61M1/16 111
A61B5/022 400L
G06N20/20
G06N3/02
G06N20/00
【請求項の数】 5
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022009178
(22)【出願日】2022-01-25
(65)【公開番号】P2023066341
(43)【公開日】2023-05-15
【審査請求日】2022-01-25
(31)【優先権主張番号】110140157
(32)【優先日】2021-10-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】TW
(73)【特許権者】
【識別番号】504429600
【氏名又は名称】緯創資通股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】WISTRON CORPORATION
(74)【代理人】
【識別番号】100147485
【弁理士】
【氏名又は名称】杉村 憲司
(74)【代理人】
【識別番号】230118913
【弁護士】
【氏名又は名称】杉村 光嗣
(74)【代理人】
【識別番号】100181847
【弁理士】
【氏名又は名称】大島 かおり
(72)【発明者】
【氏名】葉 至欣
(72)【発明者】
【氏名】簡 至毅
(72)【発明者】
【氏名】郭 志峰
(72)【発明者】
【氏名】李 亭慧
【審査官】白土 博之
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-043003(JP,A)
【文献】特開2021-108908(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0045713(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 1/16
A61B 5/022
G06N 20/20
G06N 3/02
G06N 20/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
透析中分析方法であって、
処理装置が、少なくとも1つの入力特徴を取得する工程であって、前記少なくとも1つの入力特徴は、透析機に関連する操作パラメータ及び試験者に関連するデータの現在データと過去データとの分散関係を含み、前記分散関係は、2つの時点間の数値差を含む、工程と、
前記処理装置が、前記少なくとも1つの入力特徴に従って、少なくとも1つの予測モデルを介して将来データを予測する工程であって、前記将来データは、将来の時点での血圧情報及び透析中低血圧の予測結果を含む、工程と
を含み、
前記少なくとも1つの予測モデルが複数の予測モデルを含み、前記処理装置が、前記少なくとも1つの前記入力特徴に従って、前記少なくとも1つの予測モデルを介して前記将来データを予測する工程が、
前記処理装置が、前記予測モデルによって予測した前記将来データに従って最終将来データを決定する工程であって、前記最終将来データは、将来の時点での血圧情報及び透析中低血圧の予測結果を含む、工程を含み、
前記予測モデルは、複数の第1分類モデル及び複数の第2分類モデルを含み、前記処理装置が、前記予測モデルによって予測した前記将来データに従って最終将来データを決定する前記工程が、
前記処理装置が、前記複数の第1分類モデルによって予測した前記将来データにおける血圧情報を決定する工程と、
前記処理装置が、前記少なくとも1つの入力特徴及び前記血圧情報に従って、前記第2分類モデルによって予測した前記将来データにおける透析中低血圧の予測結果を決定する工程と、を含む、透析中分析方法。
【請求項2】
請求項1に記載の透析中分析方法であって
前記処理装置が、前記予測モデルによって予測した前記将来データに従って最終将来データを決定する前記工程が、
前記処理装置が、アンサンブル学習に基づいて前記予測モデルが予測した前記将来データの統計指標を決定する工程であって、前記予測モデルによって使用される機械学習アルゴリズムが異なる、工程を含む、透析中分析方法。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の透析中分析方法であって、前記分散関係が、限外濾過率の変化、導電率の変化、透析液温度の変化、血流量の変化、脱水率の差、静脈圧の差、透析時間の差、透析液流量の差、収縮期血圧の差及び脈拍の差の少なくとも1つを含み、前記分散関係が、tとt-1との間又はt-1とt-2との間のデータの変化であり、tが現在の時点であり、t-1及びt-2が過去の時点であり
記データが、現在の透析操作前の血圧情報及び過去の透析操作の統計情報の少なくとも1つを含み
記透析中分析方法がさらに、
前記処理装置が、前記透析機の操作パラメータ及び/又は試験者に関連するデータを前記少なくとも1つの入力特徴に変換する工程であって、前記少なくとも1つの入力特徴は、前記少なくとも1つの予測モデルの入力形式に適合する工
前記処理装置が、将来の時点での前記血圧情報又は前記透析中低血圧の予測結果に従って警告通知を発する工程
を含む、透析中分析方法。
【請求項4】
請求項1~3のいずれか一項に記載の透析中分析方法であって、さらに、
前記処理装置が、前記少なくとも1つの予測モデルによって使用される複数の訓練データを再サンプリングして、前記将来データ及び対応する実際のデータに従って透析中低血圧の予測結果を予測する工程であって、前記処理装置が、前記訓練データ中の少なくとも1つの陽性サンプルと少なくとも1つの陰性サンプルの数を数比に従って調整することであって、
前記数比は、前記少なくとも1つの陽性サンプルと前記少なくとも1つの陰性サンプルの予想される数の比率であり、前記少なくとも1つの陽性サンプルは、前記実際のデータで発生した透析中低血圧に関連するサンプルであり、前記少なくとも1つの陰性サンプルは、前記実際のデータで発生していない透析中低血圧に関連するサンプルであり、
前記少なくとも1つの陽性サンプルと前記少なくとも1つの陰性サンプルの一方の少なくとも1つがコピーされている、及び/又は
前記少なくとも1つの陽性サンプルと前記少なくとも1つの陰性サンプルの他方の少なくとも1つが削除されている、調整することを含む、工程と、
前記処理装置が、再サンプリングされた訓練データに従って、新たな予測モデルを確立する工程と、
前記処理装置が、前記新たな予測モデルにより、前記将来データを再び予測する工程と
を含む、透析中分析方法。
【請求項5】
透析用分析装置であって、
コードを格納するように構成されている記憶装置と、
前記記憶装置に連結されている処理装置であって、
少なくとも1つの入力特徴を取得するコードであって、前記少なくとも1つの入力特徴は、透析機に関連する操作パラメータ及び試験者に関連するデータの現在データと過去データとの分散関係を含み、前記分散関係は、2つの時点間の数値差を含む、コード、及び
前記少なくとも1つの入力特徴に従って、少なくとも1つの予測モデルを介して将来データを予測するコードであって、前記将来データは、将来の時点での血圧情報及び透析中低血圧の予測結果を含む、コード、をロードして実行するように構成されている処理装置と
を含
前記少なくとも1つの予測モデルが複数の予測モデルを含み、
前記処理装置は、さらに、
前記予測モデルによって予測した前記将来データに従って最終将来データを決定することであって、前記最終将来データは、将来の時点での血圧情報及び透析中低血圧の予測結果を含むことと、
複数の第1分類モデルによって予測した前記将来データにおける血圧情報を決定することであって、前記予測モデルは、前記複数の第1分類モデル及び複数の第2分類モデルを含むことと、
前記少なくとも1つの入力特徴及び前記血圧情報に従って、前記第2分類モデルによって予測した前記将来データにおける透析中低血圧の予測結果を決定することと、
を実行するように構成される、透析用分析装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(背景)
本開示は、検出技法に関するものであり、特に、透析中分析方法及び透析用分析装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
(関連技術の説明)
透析中低血圧は、透析患者に最も多く見られる合併症であり、患者の生活の質に影響を与えるだけでなく、不整脈及び慢性又は急性の心血管及び脳血管虚血を容易に引き起こす可能性がある。透析中低血圧が発生した場合、医療従事者は直ちに患者の透析治療を中断し、血圧が下がり続けるのを避けるために臨床治療を行わなければならない。透析中低血圧が繰り返し発生すると、尿毒素クリアランス率の不足及び脱水症状を引き起こし、長期的には尿毒症及び心不全の原症状を悪化させることもあり、透析患者の死亡率を高めることになる。
【0003】
現在、世界的に見ても透析中低血圧の定義についてはまだ同意が得られておらず、低血圧早期警戒システムの開発の臨床的精度も問われている。医療従事者には、透析治療中に高い集中力を維持することが求められる。患者の脱水率及び透析温度を即座に処置することに加え、血圧の急激な変化に時間内に対応するには、やはり医療従事者の個人的な経験の蓄積が必要となる。しかしながら、現状ではパラメータ調整の基準が確立されていないため、誤判断の可能性がある。既存の透析中低血圧早期警戒メカニズムには、まだ不足している点があることがわかる。
【発明の概要】
【0004】
(技術的問題)
本開示は、透析中低血圧を事前に警告することができる透析中分析方法及び透析中分析装置を提供する。
【0005】
(問題解決)
本開示の一実施形態の透析中分析方法は、以下の工程を含む(ただし、これらに限定されない)。1つ又は複数の入力特徴を取得する。入力特徴には、透析機に関連する操作パラメータ及び試験者に関連するデータの現在データと過去データとの分散関係が含まれる。入力特徴に従って、1つ又は複数の予測モデルを介して将来データを予測する。将来データには、将来の時点での血圧情報及び透析中低血圧の予測結果が含まれる。
【0006】
本開示の一実施形態の透析用分析装置は、記憶装置と処理装置とを含む(ただし、これらに限定されない)。記憶装置は、コードを格納するように構成されている。処理装置は、記憶装置に連結される。処理装置は、コードをロードして実行し、以下の工程を実行するように構成される。1つ又は複数の入力特徴を取得する。入力特徴には、透析機に関連する操作パラメータ及び試験者に関連するデータの現在データと過去データとの分散関係が含まれる。入力特徴に従って、1つ又は複数の予測モデルを介して将来データを予測する。将来データには、将来の時点での血圧情報及び透析中低血圧の予測結果が含まれる。
【0007】
(発明の効果)
上記に基づいて、本開示の実施形態に係る透析中分析方法及び透析用分析装置は、予測精度を向上させるために、透析中低血圧に影響を与える新たな変数(例えば、現在データと過去データとの分散関係)をさらに考慮する。このようにして、患者に起こりつつある透析中低血圧を事前に予測することができ、さらに看護職員に適切な処置を行うように通知して、透析の中断の発生を抑えることができることにより、患者の死亡率を低下させ、医療の質を向上させることが可能となる。
【0008】
本開示の特徴及び利点をより理解しやすくするために、以下の具体的な実施形態を、添付の図面と併せて詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の一実施形態に係る分析装置の要素のブロック図である。
図2】本開示の一実施形態に係る透析中分析方法のフローチャートである。
図3】本開示の一実施形態に係る予測モデルを確立するための訓練データ分析の模式図である。
図4】本開示の一実施形態に係る最終将来データを決定するための模式図である。
図5】本開示の一実施形態に係る再サンプリングのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1は、本開示の一実施形態に係る分析装置100の要素のブロック図である。図1を参照すると、分析装置100には、記憶装置110及び処理装置130が含まれる(ただし、これらに限定されない)。分析装置100は、血液透析機、制御機器又は利用者の生理学的データを計算することができる任意の電子装置(例えば、スマートフォン、タブレットコンピュータ、サーバ、クラウドホスト若しくはコンピュータホスト)であってもよい。
【0011】
記憶装置110は、固定又は着脱可能ランダムアクセスメモリ(RAM)、読み取り専用メモリ(ROM)、フラッシュメモリ、ハードディスクドライブ(HDD)、ソリッドステートドライブ(SSD)又は同様の要素のいずれのタイプであってもよい。一実施形態では、記憶装置110は、コード、ソフトウェアモジュール、構成レイアウト、データ(例えば、生理学的パラメータ、生化学的試験パラメータ、基礎データ、操作パラメータ、特徴、各時点でのデータ収集、予測結果等)又はファイルを記録するように構成されており、その実施形態については後に詳述する。
【0012】
処理装置130は、記憶装置110に連結されている。処理装置130は、中央処理装置(CPU)、グラフィック処理装置(GPU)、他のプログラム可能な汎用若しくは特定目的超小型処理装置、デジタル信号処理装置(DSP)、プログラム可能制御装置、フィールドプログラム可能ゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、ニューラルネットワークアクセラレータ、他の同様の要素又は上記要素の組み合わせであってもよい。一実施形態では、処理装置130は、分析装置100の動作の全部又は一部を実行するように構成されており、記憶装置110によって記録された様々なコード、ソフトウェアモジュール、ファイル及びデータをロードして実行し得る。いくつかの実施形態では、処理装置130の機能は、ソフトウェア又はチップを介して実装され得る。
【0013】
一実施形態では、分析装置100には、さらにプロンプト装置150が含まれる。プロンプト装置150は、ディスプレイ、発光ダイオード(LED)、スピーカー、ブザー、通信トランシーバ、視覚若しくは聴覚効果を提供できる他の装置又はそれらの組み合わせであってもよい。いくつかの実施形態では、プロンプト装置150は、例えば、警告通知を表示する、光を点滅させる、警告音を発する、又は警告メッセージを送信するなどで警告するように構成される。しかしながら、警告の態様は、実際の要求に応じて変更されてもよく、本開示の実施形態に限定されない。
【0014】
以下、本開示の実施形態に係る方法を、分析装置100における様々な要素及びモジュールと併せて説明する。本方法の各工程は、実施状況に応じて調整可能であり、これに限定されるものではない。
【0015】
図2は、本開示の一実施形態に係る透析中分析方法のフローチャートである。図2を参照されたい。処理装置130は、1つ又は複数の入力特徴を取得する(工程S210)。具体的には、入力特徴は、血圧情報及び/又は透析中低血圧を後から評価するための入力データである。処理装置130は、入出力装置、記憶装置110、外部記憶装置若しくはネットワークを介して、入力特徴又は対応する生データを取得してもよい。
【0016】
一実施形態では、入力特徴には、(血液)透析機に関連する操作パラメータ及び/又は試験者(例えば、透析治療を受けている患者若しくはその他の利用者)に関連するデータの、測定された現在データと過去データとの分散関係が含まれる。
【0017】
例えば、表(1)は、透析機の操作パラメータを示す例である。
【表1】
【0018】
別の例として、表(2)(生理学的パラメータ関連)及び表(3)(生化学的試験結果関連)は、試験者の関連パラメータの例である。
【表2】
【0019】
【表3】
【0020】
現在データとは、現在の時点で測定された操作パラメータ、生理学的パラメータ、生化学的試験パラメータ及び/又はその他の監視パラメータのことを指す。現在の測定時点は、パラメータを処理する時点とは異なる可能性があることに留意すべきである。いくつかの実施形態では、最も近い測定時点が現在の時点として使用され得るが、これに限定されるものではない。
【0021】
一方、過去データとは、現在の時点よりも前の1つ又は複数の時点で測定された操作パラメータ、生理学的パラメータ、生化学的試験パラメータ及び/又はその他の監視パラメータを指す。すなわち、過去の時点は、現在の時点よりも前である。例えば、現在の時点が12時であれば、過去の時点は11時又は11時30分であってもよい。利用者の要求に応じて、2つの隣接する時点の間隔は、固定されていてもよいし、変化していてもよいことに留意すべきである。
【0022】
一実施形態では、臨床経験によれば、過去データと現在データとの分散関係が血圧の変化に影響を与える。分散関係は、2つの隣接する時点間の数値差であってもよい。例えば、分散関係には、2つの隣接する時点間の限外濾過率の変化、導電率の変化、透析液温度の変化及び/又は血流量の変化が含まれる。
【0023】
分散関係は、tとt-1との間又はt-1とt-2との間(tは現在の時点であり、t-1及びt-2は過去の時点である)のデータの変化であってもよい。例えば、図3は、本開示の一実施形態に係る予測モデルを確立するための訓練データ分析の模式図である。図3を参照されたい。現在の時点がtであり、過去の時点がt-1及びt-2であり、将来の時点がt+1であると仮定する。処理装置130は、現在の時点tと過去の時点t-1との収縮期血圧の変化△SBP(例えば、現在の収縮期血圧SBP-過去の収縮期血圧SBPt-1)及び/又は過去の時点t-1とt-2との収縮期血圧の変化△SBP(例えば、過去の収縮期血圧SBPt-1-過去の収縮期血圧SBPt-2)を取得若しくは計算し得る。同様に、処理装置130は、限外濾過率の変化として、過去の限外濾過率URt-1とURt-2との差、透析液温度の変化として、過去の透析液温度DTt-1とDTt-2との差及び/又は血流量の変化として、過去の血流量BFt-1とBFt-2との差を使用し得る。
【0024】
別の実施形態では、分散関係は、現在の時点tと過去の時点t-1との、過去の時点t-1と過去の時点t-2との若しくは2つの他の隣接する時点間の脱水率の差、静脈圧の差、透析時間の差、透析液流量の差、収縮期血圧の差及び/又は脈拍の差であってもよい。
【0025】
分散関係の特徴に加えて、一実施形態では、監視パラメータには、さらに過去データが含まれる。過去データには、現在の透析操作前の血圧情報及び/又は過去の透析操作の統計情報が含まれる。図3を例にとると、現在の透析操作前の血圧情報は、透析操作の開始前に測定された最初の過去の収縮期血圧SBPである。過去の透析操作の統計情報は、過去の収縮期血圧平均値SBPml、過去の拡張期血圧平均値DBPml及び過去又はそれより前の過去の透析操作の過去の脈拍平均値RPmlである。統計情報は、中央値、最頻値又はその他の統計指標であってもよく、本開示の実施形態に限定されないことにも留意されたい。加えて、過去データには、さらに現在の透析操作の過去の血圧及び過去の透析液温度などのパラメータが含まれてもよい。
【0026】
一実施形態では、入力特徴には、試験者の基礎データが含まれる。例えば、表(4)は、基礎データを示す例である。
【表4】
【0027】
基礎データには、さらに投薬記録及び/又は病歴が含まれる場合があることに留意されたい。
【0028】
一実施形態では、入力特徴には外部データが含まれる。例えば、気候、温度及び湿度などの環境パラメータである。
【0029】
一実施形態では、処理装置130は、透析機の操作パラメータ、試験者に関連する測定データ(例えば、生理学的パラメータ、生化学的試験パラメータ若しくは基礎データ)及び/又は外部データを、入力特徴に変換する。すなわち、変数変換である。入力特徴は、その後の評価のための予測モデルの入力形式に適合する。実施形態では、処理装置130は、フィールド定義/記述、数比処理、欠損値の判定、カテゴリーデータの統一的な数値形式(例えば、2進数、10進数若しくは16進数形式)への変換、分散関係の計算その他の変換を上記パラメータ又はデータに対して行い、入力特徴を生成し得る。例えば、表(5)、表(6)及び表(7)は、変換後の入力特徴を示す例である。
【0030】
【表5】
【0031】
【表6】
【0032】
【表7】
【0033】
一実施形態では、予測モデルの訓練中に、処理装置130は、上記パラメータ又はデータに対して外れ値処理を行い、不合理な範囲の外れ値を除外し得る。例えば、表(8)は、パラメータに対応する除外範囲を示す例である。
【表8】
【0034】
例えば、処理装置130は、脈拍が20のデータを削除する。
【0035】
図2を参照されたい。処理装置130は、1つ又は複数の予測モデルを介して、入力特徴に従って将来データを予測する(工程S230)。具体的には、将来データには、将来の時点での血圧情報及び透析中低血圧の予測結果が含まれる。図3を例にとると、将来の時点t+1は12時30分であり、現在の時点tは12時である。一実施形態では、将来の時点での血圧情報は、将来の収縮期血圧(図3に示すように、将来の収縮期血圧SBPt+1)である。いくつかの実施形態では、処理装置13は、血圧情報に基づいて低血圧閾値を決定及び/又は比較し、透析中低血圧を評価し得る。一実施形態では、透析中低血圧の予測結果は、透析中低血圧の発生確率である。別の実施形態では、透析中低血圧の予測結果は、透析中低血圧の発生又は透析中低血圧の発生なしという結果である。
【0036】
2011年に長庚大学医学部から発表された文書1「Dialysis Hypotension」(著者:Men-Tai Wu、Chih-Chao Yang、King-Kwan Lam、及びChien-Te Lee)では、透析中低血圧は収縮機能、拡張機能、血液量の変化、脈拍出力及び透析液温度などのパラメータと関連していることが示されており、注目に値する。2015年、Journal of Clinical Epidemiologyに掲載された文書2「Association of Mortality Risk with Various Definitions of Intradialytic Hypotension」では、さらにFall20Nadir90を、(透析前の収縮期血圧-透析中の最低血圧)≧20mm-Hgかつ透析中の最低血圧<90mm-Hgの低血圧閾値と定義している。
【0037】
一実施形態では、透析中低血圧を評価するための低血圧閾値は、文書2に基づいていてもよい。例えば、患者の透析前の収縮期血圧は120mm-Hgである。したがって、透析中に、収縮期血圧がFall20Nadir90条件を満たした場合(すなわち、収縮期血圧が90mm-Hg未満であり、かつ、透析前の収縮期血圧と20mm-Hg異なる場合)、同じことは、透析中血圧低下(低血圧)事象として記録されてもよい。しかしながら、透析中、測定された収縮期血圧が90mm-Hgを超える場合、同じことは、血圧低下のない(すなわち、透析中低血圧のない)正常な事象である。他の実施形態では、透析中低血圧の定義は、依然として実際の要求に従って変更されてもよく、本開示によって限定されない。
【0038】
一実施形態では、予測モデルは、1つ又は複数の機械学習アルゴリズムによって確立される。機械学習アルゴリズムは、回帰分析アルゴリズム、eXtreme勾配ブースティング(XGboost)アルゴリズム、light勾配ブースティングマシン(LightGBM)、ブートストラップ集約(Bagged)アルゴリズム、ニューラルネットワークアルゴリズム、最小絶対収縮選択演算子(LASSO)アルゴリズム、ランダムフォレストアルゴリズム、サポートベクトル回帰アルゴリズム又はその他のアルゴリズムであってもよい。機械学習アルゴリズムは、訓練データ/サンプルを分析してそこからルールを得て、そのルールによって未知のデータを予測するようにしてもよい。予測モデルは、学習後に構築された機械学習モデルであり、データを推論してそれに応じた評価を行う。
【0039】
予測モデルの訓練データは、入力特徴に対応するパラメータ又はデータ型と同一のものである、又は関連するものであることに留意すべきである。例えば、透析機の操作パラメータ、試験者の生理学的状態、基礎データ及び/又は外部データである。いくつかの実施形態では、訓練データには、さらに実際のデータ(すなわち、将来の血圧情報及び/又は透析中低血圧が実際に発生するかどうか)が含まれる。2017年にバーミンガム大学病院によって提供された文書3「Standard operation procedures (SOPs) for the management of a patient’s haemodialysis care」は、本開示の実施形態の入力特徴と予測される将来データとの相関関係を示している。
【0040】
一実施形態では、処理装置130は、複数の予測モデルによって予測した将来データに従って、最終将来データを決定する。予測モデルに使用される機械学習アルゴリズムは、同じでも異なっていてもよく、最終将来データには、将来の時点での血圧情報と透析中低血圧の予測結果も含まれる。例えば、図4は、本開示の一実施形態に係る最終将来データの決定の模式図である。図4を参照されたい。予測モデルには第1分類モデルが含まれ、i個の第1分類モデルML11~ML1i(iは1より大きい正の整数)が存在すると仮定する。第1分類モデルML11~ML1iは、同じ、関連する、又は類似の訓練データTDをサンプリングするが、異なる機械学習アルゴリズム(例えば、回帰分析、XGBoost、ニューラルネットワークシステム、ランダムフォレスト、LASSO、サポートベクトル回帰、ニューラルネットワーク等)に基づいて訓練を行った後、処理装置130は、第1分類モデルML11~ML1iを使用して、将来データP11~P1iをそれぞれ予測し、将来データP11~P1iに基づいて、最終将来データPにおける血圧情報を決定する。例えば、将来データP11~P1iの予測血圧PBP(すなわち、第1分類モデルML11~ML1iによって予測した血圧情報)の統計結果(例えば、算術平均、加重平均又は中央値)が決定される。予測血圧PBPは、最終将来データの1つとして使用され得る。
【0041】
一実施形態では、処理装置130は、アンサンブル学習に基づいて予測モデルが予測した将来データの統計指標を決定し、その統計指標を最終将来データとして使用する。予測モデルが使用する機械学習アルゴリズムは異なる。例えば、処理装置130は、多変量線形回帰、LASSO、ランダムフォレスト、サポートベクトル回帰及びニューラルネットワークに基づく予測モデルをそれぞれ用いて得られた将来データ(例えば、血圧値)を合計し、平均化して、最終将来データとして用いる。より具体的には、処理装置130は、バギングの概念を通じて平均化(又は投票)して、より安定した(例えば、分散が小さい)平均性能を得て、スタッキングの概念を通じて異なる予測モデルを結合して、予測する。バギングとは、文字通り、データを複数のバッグに分けて、そのバッグの結果を組み合わせることである。アルゴリズムとしては、訓練データを繰り返しサンプリングして(サンプリング後に戻す)、複数のサブセットを生成した後、複数のモデルを順次構築し、最終的にすべてのモデルの結果を統合する。回帰問題を予測する場合は、すべての結果を平均化してもよく、分類問題を予測する場合は、投票を採用して最も頻繁に出現した分類を判定してもよい。個々の予測モデルに比べて、複数のモデルを組み合わせることで、予測の精度を高めることができる。図4を例にとると、処理装置130は、アンサンブル学習を用いて、第1分類モデルML11~ML1iによって予測した将来データP11~P1iの予測血圧PBPの統計指標を決定する。
【0042】
実施形態では、将来データの血圧情報を予測するための1つ又は複数の第1分類モデルに加えて、本開示の実施形態は、さらに1つ又は複数の第2分類モデルを提供して、透析中低血圧の予測結果を予測する。第1分類モデルによって予測した血圧情報を直接使用して、Fall20Nadir90条件を用いる透析中低血圧を評価する場合、信頼区間における誤警報が多すぎる可能性があることは注目すべきである。したがって、透析機の操作パラメータ、試験者の生理学的状態、基礎データ及び/又は外部データに加えて、予測血圧情報を追加的に考慮する必要がある。処理装置130は、第1分類モデルによって予測した将来データにおける血圧情報を決定し、第1分類モデルによって予測した将来の時点における血圧情報を第2分類モデルの入力特徴に追加し(すなわち、第1分類モデルによって予測した血圧情報を、第2分類モデルの入力特徴の1つとして使用し)、新たに追加した将来の時点での血圧情報の入力特徴に従って、第2分類モデルで予測した将来データにおける透析中低血圧の予測結果を決定してもよい(すなわち、将来の時点で透析中低血圧が発生するか否かを予測する)。言い換えると、第2分類モデルの入力特徴には、透析機の操作パラメータ、試験者の生理学的状態、基礎データ及び/又は外部データに加えて、第1分類モデルで予測した将来の時点での血圧情報も含まれる。加えて、予測血圧情報を考慮した後、処理装置130は、Fall20Nadir90条件又は他の定義を使用して、透析中低血圧を評価してもよい。実施形態では、第2分類モデルを訓練する際に、まず、各サンプルの透析機の操作パラメータ、試験者の生理学的状態、基礎データ、外部データ及び血圧情報に基づいてラベリングを行ってもよい。透析中低血圧事象が発生したか否かをラベリングした後、第2分類モデルを訓練するための訓練サンプルとして、ラベリング中に、Fall20Nadir90条件又はその他の透析中低血圧の定義を用いて、各サンプルに透析中低血圧が発生したか否かを判定してラベリングを行ってもよい(訓練用の血圧情報には実際の血圧情報が含まれており、また、予測血圧情報が含まれていてもよい)。
【0043】
図4を例にとると、処理装置130は、アンサンブル学習に基づいて、第1分類モデルML11~ML1iによって予測される将来データP11~P1iにおける予測血圧PBPを決定する。処理装置130は、第1分類モデルML11~ML1iに基づいて得られた予測血圧PBPの統計指標を、第2分類モデルML21~ML2j(jは1より大きい正の整数である)の入力特徴の1つとして用いる。j個の第2分類モデルML21~ML2jは、様々な機械学習アルゴリズム(例えば、回帰分析、XGBoost、ニューラルネットワークシステム、ランダムフォレスト、LASSO、サポートベクトル回帰、ニューラルネットワーク等)に基づいて確立されてもよい。次に、処理装置130は、第2分類モデルML21~ML2jにより予測した将来データにおける透析中低血圧の予測結果を、予測血圧PBPを含む入力特徴に従って、アンサンブル学習に基づいて再度決定する。例えば、アンサンブル学習の多数決で、透析中低血圧が発生するか否かを判定する。このようにして、最終予測Pが取得され得る。一実施形態では、各第2分類モデルが出力する透析中低血圧の予測結果は0又は1であり(0は透析中低血圧が発生しないことを表し、1は透析中低血圧が発生することを表す)、各第2分類モデルの予測結果の判定には、アンサンブル学習の多数決が用いられる。例えば、第2分類モデルの出力1の数が出力0の数よりも多い場合、処理装置130は、透析中低血圧が発生すると判定する。別の実施形態では、処理装置130は、予測血圧PBPを将来データとして最終予測Pに統合し得る。
【0044】
他の実施形態では、第1分類モデルは、将来の時点での血圧情報と透析中低血圧の予測結果との両方を予測し得ることに留意されたい。
【0045】
各予測モデルはまた、定期的に、又は特定の事象に基づいて再訓練され、それに応じてパラメータが調整される場合もある。加えて、医療データには、不均衡分類という問題が生じる場合がある。例えば、表(9)は、透析中低血圧の予測結果と実際のデータとの事象数の関係を示した例である。
【0046】
【表9】
【0047】
表(9)では、透析中低血圧が実際には発生しなかった事象の数(例えば、14821+605=15426)が、透析中低血圧が実際に発生した事象の数(例えば、870+1626=2496)よりも有意に多いため、同じものが「不均衡データ」に属している。
【0048】
「不均衡データ」を補正し、予測の精度及び感度を向上させるために、本開示の実施形態では、さらに訓練データを再サンプリングしてもよい。図5は、本開示の一実施形態に係る再サンプリングのフローチャートである。図5を参照されたい。処理装置130は、将来データと対応する実際のデータに従って、透析中低血圧を予測するための予測モデル(例えば、第2分類モデル)が使用する訓練データを再サンプリングし、再サンプリングされた訓練データに従って新たな予測モデルを確立する(工程S510)。例えば、処理装置130は、実際のデータにおける異なる予測結果の数が不均衡である(例えば、数の差又は数の比率が対応する閾値よりも大きい)か否かを判定する。加えて、再サンプリングは、特定の予測結果の対応する訓練サンプル/データをコピー及び/又は削除することであってもよい。
【0049】
一実施形態において、処理装置130は、数比に従って、訓練データにおける1つ又は複数の陽性サンプル及び1つ又は複数の陰性サンプルの数を調整してもよい。数比とは、陽性サンプルの数と陰性サンプルの数との予想される比率である。例えば、1:1、7:8又は10:12である。陽性サンプルとは、実際のデータで発生している透析中低血圧に関連する(つまり、透析中低血圧が実際に発生している)サンプルであり、陰性サンプルとは、実際のデータで発生していない透析中低血圧に関連する(つまり、透析中低血圧が実際には発生していない)サンプルである。言い換えれば、陽性サンプルは、訓練データにおいて、透析中低血圧が実際に発生することが分かっているサンプル(例えば、透析機の操作パラメータ、試験者の生理学的状態に関連するパラメータ、基礎データ等)である。陰性サンプルは、訓練データにおいて、透析中低血圧が実際には発生しないことが分かっているサンプル(例えば、透析機の操作パラメータ、試験者の生理学的状態に関連するパラメータ、基礎データ等)である。処理装置130は、再サンプリングされた陽性サンプルと陰性サンプルとの比率が、設定された数比と同じ又は近いものとなるように、訓練データを再サンプリングしてもよい。
【0050】
一実施形態では、処理装置130は、再サンプリングされた陽性サンプルと陰性サンプルとの比率が設定された数比と同じ若しくは近いものになるように、陽性サンプル及び/若しくは陰性サンプルをコピーし、並びに/又は陽性サンプル及び/若しくは陰性サンプルを削除してもよい。データをコピーすると、訓練データの2つ以上のサンプルが同じになり、データを削除すると、訓練データの量が減る。
【0051】
表(9)を例にとると、予想される数比が1:1であることが想定される。オーバーサンプリング法の場合、処理装置130は、陽性サンプルの少なくとも1つをランダムにコピーしてもよい。アンダーサンプリング法の場合、処理装置130は、陰性サンプルの少なくとも1つをランダムに削除してもよい。オーバーサンプリングとアンダーサンプリングを組み合わせた方法の場合、処理装置130は、数比0.5に従って、陽性サンプルをランダムにコピーし、陰性サンプルをランダムに削除してもよい。
【0052】
処理装置130は、再サンプリングされた訓練データを自ら再訓練してもよいし、再サンプリングされた訓練データを外部クラウドホストに提供して再訓練し、新たな予測モデルを構築してもよい。次いで、処理装置130は、現在の時点(予測モデルによる予測後の時点)に対応する入力特徴を新たな予測モデルに入力し、新たな予測モデルにより将来データを再度予測してもよい(工程S530)。例えば、処理装置130は、11時30分に対応する入力特徴を予測モデルに入力して、12時の将来データを予測する。処理装置130は、12時の実際のデータ(すなわち、透析中低血圧が実際に発生するか否か)が分かっている場合、12時に得られた実際のデータ並びに操作パラメータ、生理学的関連パラメータ及び外部データを訓練データとして用い、例えば、オーバーサンプリング法、アンダーサンプリング法又はオーバーサンプリングとアンダーサンプリングとを組み合わせた方法により再サンプリングを行い、新たな予測モデルを確立する。次に、処理装置130は、新たな予測モデルを用いて、12時の入力特徴に対応する将来データを判定する(例えば、12時30分の将来データを予測する)。
【0053】
いくつかの実施形態では、処理装置130は、さらに感度、偽脱落率(FOR)、特異度及び/又は偽陽性率(FPR)を採用して、予測モデルの結果を評価してもよい。感度とは、透析中低血圧が実際に発生した全ケースに対する、予測モデルが透析中低血圧の発生を予測したケースの割合である。したがって、感度が高いほど良い結果となる。偽脱落率とは、透析中低血圧が発生しないと予測した全ケースに対する、透析中低血圧が実際に発生したケースの割合である。したがって、偽脱落率が低いほど良い結果となる。特異度とは、透析中低血圧が実際には発生しなかった全ケースに対する、予測モデルが、透析中低血圧が発生しないと予測したケースの割合である。したがって、特異度が高いほど良い結果となる。また、偽陽性率とは、透析中低血圧が実際には発生しなかった全ケースに対する、透析中低血圧が予測されたケースの割合である。したがって、偽陽性率が低いほど良い結果が得られることになる。実験では、予測モデルと比較して、再サンプリングされた新たな予測モデルは、効果的に指標値を改善できることが証明された。
【0054】
将来データの予測に加えて、一実施形態では、処理装置130は、プロンプト装置150を介して、透析中低血圧の予測結果に従って警告通知を発してもよい。例えば、透析中低血圧事象が発生する予測結果又は発生確率が対応する閾値を超える予測結果であれば、処理装置130は、警告テキストを表示し、警告音を発し、又はナースカウンターにメッセージを送信してもよい。別の例として、透析中低血圧が発生しない予測結果又は発生確率が対応する閾値を超えない予測結果であれば、警告通知を発する必要はない。
【0055】
要約すると、本開示の実施形態の透析中分析方法及び透析用分析装置では、予測モデルと併せて、透析中血圧の変化に影響を与えるより多くの新しい変数(例えば、分散関係、過去データ等)を考慮して、将来の時点での血圧情報及び透析中低血圧の発生の有無を直接推定することができる。予測モデルの形式に適合させるために、元のデータ又はパラメータをさらに計算及び/又は変換して、モデルに適合する入力特徴とすることができる。予測モデルは、再サンプリングによって補正され、予測の精度、感度及び特異度が向上する。加えて、実用化の要求を満たすために、透析中低血圧の定義を調整してもよい。
【0056】
本開示は上記の実施形態で開示されているが、実施形態は本開示を限定することを意図していない。当業者は、本開示の趣旨及び範囲から逸脱することなく、いくつかの変更及び修正を行うことができる。本開示の保護範囲は、添付の特許請求の範囲によって定義されるものとする。
【産業上の利用可能性】
【0057】
本発明の透析中分析方法及び透析用分析装置は、医用生体工学の分野にも応用され得る。
【0058】
(引用符号リスト)
100:分析装置
110:記憶装置
130:処理装置
150:プロンプト装置
S210~S230、S510~S530:工程
t:現在の時点
t-1、t-2:過去の時点
t+1:将来の時点
△SBP1、△SBP2:収縮期血圧の変化
SBPt:現在の収縮期血圧
SBPt-1、SBPt-2、SBP:過去の収縮期血圧
URt-1、URt-2:過去の限外濾過率
DTt-1、DTt-2:過去の透析液温度
BFt-1、BFt-2:過去の血流量
SBPml:過去の収縮期血圧平均値
DBPml:過去の拡張期血圧平均値
RPml:過去の脈拍平均値
SBPt+1:将来の収縮期血圧
TD:訓練データ
ML11~ML1i、ML21~ML2j:モデル
PBP:予測血圧
:最終予測
図1
図2
図3
図4
図5