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▶ マルコ システマナリセ ウント エントヴィックルング ゲーエムベーハーの特許一覧

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  • 特許-最小液体量を計量する方法および装置 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】最小液体量を計量する方法および装置
(51)【国際特許分類】
   G01F 13/00 20060101AFI20240115BHJP
【FI】
G01F13/00 321H
【請求項の数】 13
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022113795
(22)【出願日】2022-07-15
(65)【公開番号】P2023024941
(43)【公開日】2023-02-21
【審査請求日】2022-07-15
(31)【優先権主張番号】10 2021 120 658.8
(32)【優先日】2021-08-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】514297888
【氏名又は名称】マルコ システマナリセ ウント エントヴィックルング ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100086232
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 博通
(74)【代理人】
【識別番号】100092613
【弁理士】
【氏名又は名称】富岡 潔
(72)【発明者】
【氏名】マルティン ロイター
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2013/0064738(US,A1)
【文献】特表平6-507015(JP,A)
【文献】特開昭57-156771(JP,A)
【文献】特開2016-90363(JP,A)
【文献】実開昭55-108921(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01F 1/00-13/00
G01F17/00-22/02
G01N21/03-21/15
G01N 1/00- 1/44
A61M 3/00- 9/00
A61M31/00
A61M39/00-39/28
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
片側が開いている容器(34)、特にPCRチューブから最小液体量を計量する方法であって、
移送管(40)を容器(34)の内部にその底部まで導入し、
容器(34)を気密に密閉し、
圧縮空気を容器(34)に適用して、液体を容器(34)から移送管(40)を通して計量弁(10)の媒体空間(54)へと移送し、
計量バルブ(10)を開閉することにより最小量を計量する、
ステップを備え
計量バルブ(10)の気密性は、計量の前に、圧縮空気によって作用および輸送される液体を観察することによってチェックされる、最小液体量を計量する方法。
【請求項2】
液体が、媒体空間(54)に接線方向に導入されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
計量前に媒体空間(54)に存在する空気が、最初に圧縮され、続いて計量弁(10)を短時間開くことによって媒体空間(54)から排出されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
空気を排出するための計量弁(10)の開放継続時間は、所定の時間であるか、またはセンサによって決定されることを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
計量継続時間は、所定の時間であるか、またはセンサによって決定されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
請求項1~のいずれか一項に記載の方法を実行するための装置であって、
片側が開いている容器(34)、特にPCRチューブ用のホルダ(28)と、
媒体空間(54)を有する計量弁(10)と、
媒体空間(54)に接続されるとともに、容器(34)の内部に挿入するための自由端(42)を有する移送管(40)と、
容器(34)を密封閉鎖するための圧縮空気接続部(26)を有する閉鎖部(30)と、
を備え
計量弁(10)からの個々の液滴の流出を検出するように構成されたセンサが設けられた、装置。
【請求項7】
閉鎖部(30)が、ホルダ(28)に固定して接続されることを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項8】
ホルダ(28)が、容器(34)を固定するためのスライダ(36)を有することを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項9】
移送管(40)が、閉鎖部(30)においてその中心からずらして配置され、面取りされた自由端(42)を有することを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項10】
計量弁(10)が、媒体空間(54)に接線方向に案内される入口チャネル(64)を有することを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項11】
計量弁(10)が、計量弁(10)の中心軸(M)に対して鋭角で媒体空間(54)内に案内される入口チャネル(64)を有することを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項12】
圧縮空気接続部(26)が、圧力調整弁(16)に接続されることを特徴とする請求項に記載の装置。
【請求項13】
移送管(40)内の液体の存在を検出するセンサが設けられることを特徴とする請求項に記載の装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、片側が開いた容器、特にPCRチューブから最小液体量を計量するための方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来技術から知られている一般的な計量システムは、媒体出口が下端に配置されているカートリッジから液体媒体を計量する。このようなカートリッジの典型的な容量は、10ml、30ml、またはそれよりも大きい。関連する計量弁の現在の設計は、カートリッジ接続部と計量弁の出口ノズルとの間の媒体チャネル内に比較的大きな容積を有する。この量は、特定の媒体の計量の最後に残り、その後のバルブのクリーニングで廃棄する必要がある最小量に相当する。カートリッジの取り付け後の計量システムと媒体チャネルの最初の充填では、媒体チャネルが媒体で完全に満たされ、空気の影響がなくなるのを確認するように、媒体チャネルおよびノズル出口を通して比較的大容量の媒体を流す必要がある。
【0003】
実験室技術の分野では、容器、例えばいわゆるPCRチューブから多数の他の容器に最小量の液体媒体を分配する必要がさらにあり、そのようなPCRチューブの体積は通常0.1mlまたは0.2mlとなる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、片側が開いた容器から最小量の液体を効率的に計量できる、すなわち他の容器に分離された液滴として分配できる方法および装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴によって、特に移送管が最初に容器の内部にその底部まで導入される方法によって満たされる。次に、容器を気密に閉じ、圧縮空気を作用させて、容器内に存在する液体が移送管を通って計量バルブの媒体空間に移送されるようにする。液体が媒体空間に存在する場合、計量バルブを開閉することによって、液体を液滴の形で計量する、すなわち他の容器に分配することができる。
【0006】
本発明による方法では、最小量の液体を非常に効果的な方法で容器から空にすることができ、液体を容器からほぼ完全に空にすることができる液滴の形で計量することができる。容器に圧縮空気を適用することによって、容器内に存在する液体を計量バルブの媒体空間まで輸送することができ、続いて計量弁を開閉することによって媒体空間から排出することができる。
【0007】
本発明の有利な実施形態は、明細書、図面、および従属請求項に記載されている。
【0008】
第1の有利な実施形態によれば、液体は媒体空間に接線方向に導入することができる。これは、圧力下で媒体空間に供給される液体が媒体空間内で円形に移動するか、または旋回するため、特に有利であることが証明されており、これは、媒体空間を通気するために計量弁が短時間開かれる通気プロセスにおいて特に有利である。
【0009】
さらに有利な実施形態によれば、計量前に媒体空間に存在する空気は、最初に圧縮され、続いて計量弁を短時間開くことによって媒体空間から排出される。圧縮空気を容器に適用することにより、容器内に存在する液体は、最初に移送管を介して移送され、実際には、加えられた圧力が媒体空間および移送管内に存在する空気をさらに圧縮するのに十分でなくなるまで移送される。その後、計量バルブを短時間開くと、その空気がシステムから逃げることができるため、移送管と媒体空間を備えたユニットが通気される。
【0010】
さらなる有利な実施形態によれば、空気を排出するための計量弁の開放継続時間は、所定の時間とすることができ、またはセンサによって決定することができる。したがって、計量バルブを開けてシステム内に存在する空気を逃がす必要があるが、液体を排出させない時間(例えば、約200ミリ秒)を、テストによって簡単に決定することができる。代替的または付加的に、センサ、例えば光学センサまたは超音波センサにより、移送管または計量バルブ内で液体がどれだけ進んだかを検出することも可能である。システムの通気を停止させるために、例えば光バリアまたは別のセンサによって、計量バルブからの液体の流出を検出することも可能である。
【0011】
さらなる有利な実施形態によれば、本発明による方法では、計量弁の気密性は、計量前に、移送管を通して、圧縮空気に作用し、圧縮空気によって輸送される液体の輸送がチェックされ、必要に応じて計量バルブを通してチェックされる点において、チェックされる。したがって、いくつかのテストを通じて、計量バルブが閉じられたときに、移送管内の液体が通常、所定の圧力で、移送管のどのポイントで停止するかを簡単に判断することができる。しかしながら、液体がこの状態で停止せず、媒体空間の方向に移動し続ける場合は、計量バルブがしっかりと閉じていないため、修理または交換する必要があることを示している。
【0012】
さらなる有利な実施形態によれば、計量継続時間を、所定の時間とすることができ、またはセンサによって決定することができる。したがって、所定の液体量が容器から完全にまたはほぼ完全に計量された後の持続時間は、その結果、経験値によって定義することができる。代替的または付加的に、計量ストロークが実行されたときに計量弁から液滴または空気が出るかどうかは、センサ、例えば計量弁の出口における光バリアによって決定することもできる。
【0013】
さらなる態様によれば、本発明は、上述の種類の方法を実行するのに特に適した装置に関し、その装置は、片側が開いた容器、特にPCRチューブ用のホルダを備える。媒体空間を有する計量弁がさらに設けられ、容器の内部に挿入するための自由端を有する移送管が媒体空間に接続されている。容器を密封閉鎖するために、圧縮空気接続部を有する閉鎖部が設けられており、それにより圧縮空気源による圧力を容器に作用させることができる。
【0014】
このような装置では、移送管の自由端が容器の内部に、好ましくはその底部にまで導入された後、容器をホルダに導入し、閉鎖部によって閉鎖するだけでよいので、最小量の計量を非常に効率的な方法で達成することができる。容器に圧力を加えた後、通気プロセスを早くも開始することができ、続いて計量を開始することができる。
【0015】
有利な実施形態によれば、容器を密封閉鎖するために、容器がホルダへの挿入後に気密に閉鎖されるように、閉鎖部をホルダに固定接続することができる。これにより、一方では費用効果の高い製造が可能になり、他方では効率的な操作が可能になる。
【0016】
さらに有利な実施形態によれば、ホルダは、容器を固定するためのスライダまたはラッチを有することができる。これにより、容器は、一方でスライダを作動させることによってホルダに簡単な方法で固定することができ、他方では、閉鎖部への密閉接続も同時に確立することができる。
【0017】
さらなる有利な実施形態によれば、移送管は、閉鎖部において中心からずらして配置されるか、または、移送管は、その自由端が容器の中心で終端せず、縁部において終端するように閉鎖部を通して案内される。これは、容器を完全に空にするために有利であり、特に容器が下部領域で円錐状に収束するように形成されている場合に有利であることが証明されており、これは多くの場合、PCRチューブの場合に当てはまる。
【0018】
さらなる有利な実施形態によれば、移送管は、面取りされた自由端を有することができ、これは、実質的に残留物のない容器の排出に有利な影響を与える。
【0019】
さらなる有利な実施形態によれば、計量弁は、媒体空間内に接線方向に案内される入口チャネルを有することができる。これにより、媒体空間に案内される液体の渦が達成され、システムの通気時に空気の排出にプラスの影響を与える。この点で、入口チャネルの媒体空間への開口部は、媒体空間の中心軸または計量弁の対称軸からずらして配置することができる。計量弁の入口チャネルはまた、計量弁の中心軸に対して鋭角で媒体空間に導かれ、それにより液体が(計量弁の出口開口部が下向きに向けられている場合)斜め上から媒体空間に導かれる。これは、通気および計量プロセスにも有利な効果をもたらす。
【0020】
さらなる有利な実施形態によれば、圧力調整弁を介した制御によって設定される所定の圧力が容器の内部に作用するように、圧縮空気接続部を圧力調整弁に接続することができる。
【0021】
さらに有利な実施形態によれば、移送管内の液体の存在を検出するセンサを設けることができる。このようなセンサは、透明または半透明の移送管内の液体を検出する光学センサであってもよい。センサの他の実施形態も可能であり、例えば、超音波センサまたはエアポケットを認識するための気泡センサさえも可能である。
【0022】
さらに有利な実施形態によれば、計量弁からの個々の液滴の流出を検出するように構成されたセンサを設けてもよい。このようなセンサは、例えば、計量バルブの出口に配置された光バリアの形で提供することができる。
【0023】
本発明を、有利な実施形態および添付の図面を参照しながら純粋に例示として以下に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1】容器挿入前の計量装置の斜視図である。
図2】容器が挿入された図1の装置を示す図である。
図3図1および図2の容器ホルダの詳細な部分断面図である。
図4図1および図2の装置の絞り弁の拡大断面図である。
図5図4の拡大断面図である。
図6図4のVI-VI線に沿った拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
図1は、片側が開いた容器、特にPCRチューブから最小液体量を計量するための計量装置を示す。この装置は、制御装置12を有する計量弁10を有し、計量弁10は、圧力調整弁16も配置されている基部14に固定されている。圧力調整弁16には、供給接続部18および20と、チューブ24を介してホルダ28の圧縮空気接続部26に接続された圧縮空気出口22と、が設けられており、ホルダ28は、PCRチューブを示す実施形態では、片側が開いた容器を収容するように構成される。
【0026】
図3は、図1のホルダ28の部分断面図および拡大図を示す。ホルダ28は、計量バルブ10および基部14に固定して接続され、レシーバ32が成形された閉鎖部30を備え、PCRチューブ34は、前記レシーバ32に下から差し込むことができる。この点に関して、ホルダ28のレシーバ32は、閉鎖部30がPCRチューブ34の内部を気密に閉じるように構成される。
【0027】
スライダ36は、PCRチューブ34をホルダ28に固定するための固定部材として提供され、PCRチューブ34がホルダ28のレシーバ32に差し込まれているとき、PCRチューブ34の周辺カラー38の下に押し込むことができる。この目的のために、スライダ36は、互いに平行に離間し、周辺カラー38の下側に押し込むことができる2つのタイン(tine)を備える。図1は、スライダ36が引き出された状態の装置を示し、図2は、図3の断面図に従って、PCRチューブ34が挿入され、スライダ36が押し込まれた、図1と同じ図を示す。
【0028】
図がさらに示すように、PCRチューブ34から液体を輸送するために、半透明で柔軟な移送管40が設けられ、前記移送管40の自由端42は、PCRチューブ34の底部まで延在する。移送管40の自由端42は、面取りされた方法で切断され、円錐状に収束するPCRチューブ34の内壁に接触する。さらに、移送管40は、ホルダ28および閉鎖部30を通して気密に案内され、実際には閉鎖部30またはレシーバ32に対して中心からずれて配置された位置において案内される。
【0029】
圧縮空気をPCRチューブ34の内部に適用できるようにするために、圧縮空気接続部26が閉鎖部30に固定され、チューブ24を通して供給される圧縮空気を、圧縮空気接続部26および閉鎖部30内の圧縮空気通路44を通してPCRチューブ34の内部に導くことができる。以下でより詳細に説明するように、圧縮空気をPCRチューブ34の内部に適用することによって、前記PCRチューブ34内に存在する液体を、移送管40を通して、図4および図5にその設計が拡大して示される計量弁10へと輸送することができる。
【0030】
図4は、下端が球形であり(図5参照)、弁座52に押し付けられて媒体空間54を密閉する弁針(valve needle)50を備えた計量弁10の一部の拡大断面図を示す。弁針50は、詳細には示されていない圧電駆動装置56によってそれ自体既知の方法で駆動され、ばね58によってベース位置に保持され、計量弁の中心軸Mに沿った力によって作用される。
【0031】
図5がさらに示すように、計量バルブ10は、計量針50によって閉じることができ、最初は球形、次に円錐形、最後に円筒形である出口チャネル60を有する。
【0032】
特に図4が示すように、移送管40は、切断ねじ接続部62を介して計量弁10に接続され、計量弁10は、移送管40の内部を媒体空間54に接続する入口チャネル64を有する。この点で、図6は、入口チャネル64が接線方向に媒体空間54内に案内されることを示している。したがって、入口チャネル64の中心軸は計量バルブ10の中心軸Mと交差しないが、それらの2つの軸は互いにオフセットする。図4はまた、入口チャネル64が計量弁10の中心軸Mに対して鋭角で媒体空間54内に案内されることを示している。図示の実施形態では、計量弁10の出口チャネル60が垂直に下方に向けられているので、それにより移送管40からの液体は、上方から媒体空間54に斜めに導かれる。Oリング70は、弁インサート66とニードルガイド68との間に設けられて、媒体空間54を密閉する。
【0033】
上述の装置を使用することが可能な、片側が開いた容器から最小液体量を計量する方法を以下に説明する。
【0034】
まず、システムを完全に洗浄し、図1に示す状態にする。ここで、ホルダ28と移送管40の自由端42との間の移送管40の長さは、PCRチューブ20がホルダ28に固定されたときに自由端がPCRチューブ34の底部で立ち上がるように選択される。この目的のために、PCRチューブ34は最初に移送管40の自由端42上に接続され、次いで、PCRチューブ34を閉鎖部30に気密に固定またはロックするために、スライダ36を図1に示す位置から図2に示す位置に変位させることができるように、PCRチューブ34を、ホルダ28または閉鎖部30のレシーバ32に接続(plugged)される。この点で、最小量の液体、例えば0.1または0.2mlの体積がPCRチューブ34内に存在する。
【0035】
計量弁10に設けられた制御装置を介して、または外部制御を介して、計量弁10は続いて閉じられ、圧縮空気源(図示せず)によって利用可能にされた圧縮空気がチューブ24及び通路44を介してPCRチューブ34の内部へと導かれて、圧縮空気を前記PCRチューブ34に適用するように、圧力調整弁16が制御される。この点に関して、約0.5から2バール(bar)の間の低圧を最初に加えることができ、それによって、PCRチューブ内に存在する液体を毛管の薄い(capillary-thin)移送管40内で媒体空間54の近くまで運ぶことができる。この点で液体が移送管40内の特定の位置に残っている場合、これは、計量バルブ10が計量針50と弁座52との間で気密であることを示す。続いて、媒体空間54は、計量弁の一時的に規定された開口部によって液体で満たされることができ、それによって通気が同時に行われる。この点で、液体は媒体空間54に接線方向に流れ込み、最終的に計量弁10の出口チャネル60に到達する。気体と液体の粘度は著しく異なるので、計量弁から出る液体の量を最小限に制限することができ、一方、入口チャネル64全体および媒体空間54を同時に液体で完全に満たすことができる。
【0036】
この通気プロセスの後、計量弁10は、所望の方法で操作することができ、液滴は、弁針50のストロークおよび頻度に応じて、所望のサイズおよび頻度で計量することができる。
【0037】
計量プロセスの終了は、例えば、PCRチューブ34内に存在する液体量でどのくらいの数の液滴が計量できるかが分かっている場合に、制御によって予め決定することができる。しかしながら、移送管40を通して、または光学または音響センサを用いることにより計量バルブ10からの液体の排出を通して、液体の輸送を検出することも可能である。効果的なプロセス監視は、計量バルブの出口にあるセンサによっても行うことができ、つまり、計量中に、例えば計量が実際に行われたかどうかをリアルタイムで監視することができ、計量されなくなった最後の一滴または最初の一滴が計量バルブを出るときをも認識することができる。これにより、媒体の量が完全に計量されたときにシステム制御にフィードバックを与えることができる。
【0038】
さらに、計量弁10および/または移送管40に、それぞれの容量が媒体で満たされているかどうかを、または気泡が既に存在するかどうかを透過測定によって認識する、例えば超音波センサを備えた気泡センサが設けられている場合、有利であり得る。それにより、計量媒体が消費され、空気がチューブを通って流れるかどうかを自動化された方法で検出することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6