(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】エッセンシャルオイルと抗菌性脂質とを含む抗菌性組成物
(51)【国際特許分類】
A61K 8/34 20060101AFI20240115BHJP
A61K 8/36 20060101ALI20240115BHJP
A61K 8/41 20060101ALI20240115BHJP
A61Q 5/02 20060101ALI20240115BHJP
A61Q 19/10 20060101ALI20240115BHJP
A61Q 5/12 20060101ALI20240115BHJP
A61Q 1/00 20060101ALI20240115BHJP
A61Q 19/00 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
A61K8/34
A61K8/36
A61K8/41
A61Q5/02
A61Q19/10
A61Q5/12
A61Q1/00
A61Q19/00
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022146304
(22)【出願日】2022-09-14
(62)【分割の表示】P 2019548880の分割
【原出願日】2018-02-19
【審査請求日】2022-09-14
(31)【優先権主張番号】PCT/CN2017/076923
(32)【優先日】2017-03-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(32)【優先日】2017-04-26
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】521042714
【氏名又は名称】ユニリーバー・アイピー・ホールディングス・ベスローテン・ヴェンノーツハップ
(74)【代理人】
【識別番号】100114188
【氏名又は名称】小野 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100119253
【氏名又は名称】金山 賢教
(74)【代理人】
【識別番号】100124855
【氏名又は名称】坪倉 道明
(74)【代理人】
【識別番号】100129713
【氏名又は名称】重森 一輝
(74)【代理人】
【識別番号】100137213
【氏名又は名称】安藤 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100143823
【氏名又は名称】市川 英彦
(74)【代理人】
【識別番号】100183519
【氏名又は名称】櫻田 芳恵
(74)【代理人】
【識別番号】100196483
【氏名又は名称】川嵜 洋祐
(74)【代理人】
【識別番号】100160749
【氏名又は名称】飯野 陽一
(74)【代理人】
【識別番号】100160255
【氏名又は名称】市川 祐輔
(74)【代理人】
【識別番号】100182132
【氏名又は名称】河野 隆
(74)【代理人】
【識別番号】100146318
【氏名又は名称】岩瀬 吉和
(74)【代理人】
【識別番号】100127812
【氏名又は名称】城山 康文
(72)【発明者】
【氏名】チュウ,チャン・チン
(72)【発明者】
【氏名】プ,ミンミン
【審査官】駒木 亮一
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-189656(JP,A)
【文献】特開2010-138122(JP,A)
【文献】特表平01-502907(JP,A)
【文献】特開2013-249293(JP,A)
【文献】特表2005-535667(JP,A)
【文献】特表2012-505851(JP,A)
【文献】特表2020-510035(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 8/00- 8/99
A61Q 1/00-90/00
JSTPlus/JMEDPlus/JST7580(JDreamIII)
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
Japio-GPG/FX
Mintel GNPD
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)チモール、またはテルピネオールから選ばれるエッセンシャルオイル活性成分0.01~5重量%と、
(ii)サピエン酸、パルミトレイン酸、スフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、6-ヒドロキシスフィンゴシンから選択される抗菌性脂質0.01~5重量%と、
(iii)
水を含む美容上許容可能なビヒクルと
を含む抗菌性組成物。
【請求項2】
前記抗菌性脂質が、サピエン酸、フィトスフィンゴシンおよびジヒドロスフィンゴシンから選ばれる、請求項1に記載される抗菌性組成物。
【請求項3】
チモールおよびテルピネオールを含む、請求項1または2に記載の抗菌性組成物。
【請求項4】
前記組成物がクリーム、ローション、ジェル、パウダー、軟膏、身体洗浄製品、手洗浄製品もしくは顔洗浄製品、シャンプー、毛髪コンディショナー、または石鹸バーである、請求項1から3のいずれか一項に記載の抗菌性組成物。
【請求項5】
前記美容上許容可能なビヒクルが界面活性剤を含む、請求項1から4のいずれか一項に記載の抗菌性組成物。
【請求項6】
ヒトの局所的な表面へ抗菌効果を提供する非治療的な方法であって、
所望の表面へ請求項1から5のいずれか一項に記載の抗菌性組成物を塗布する工程を含む、非治療的な方法。
【請求項7】
ニキビ、ふけを防止もしくは
処理するか、または一般衛生を維持するための、請求項
6に記載の非治療的な方法。
【請求項8】
(i)チモールまたはテルピネオールから選ばれるエッセンシャルオイル活性成分0.01~5重量%と、
(ii)サピエン酸、パルミトレイン酸、スフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、6-ヒドロキシスフィンゴシンから選択される抗菌性脂質0.01~5重量%と、
(iii)美容上許容可能なビヒクルと
を含む、ニキビまたはふけを
処理するのに使用するための抗菌性組成物。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は抗菌性組成物に関する。本発明はより詳細には、例えば、毛髪、身体、手また
は顔のケア用組成物などの抗菌効果を提供する、パーソナルケア組成物に関する。より詳
細には、ニキビまたはふけなどの問題の症状を防止するまたは緩和するため、相乗効果の
ある抗菌効果を提供するよう相互作用する活性成分を含む、クレンジング/ケア組成物に
関する。
【背景技術】
【0002】
本発明は、任意の身体部分の洗浄および/またはケアに有効である抗菌性組成物に関す
るが、特に毛髪および頭皮ケア、手指衛生または顔のケアおよびクレンジングに特に好適
である。
【0003】
尋常性ざ瘡としても知られるニキビは、一生のうちの一時期に、ほぼ全ての青年および
/または大人へ悪影響を及ぼす、一般的な皮膚状態である。ニキビは、異常な角質化、過
剰な皮脂産生、アンドロゲンの作用、微生物の増殖、および免疫過敏症を含む、複合的な
原因を有する。上記作用の1つ以上がニキビと相関関係があるにも関わらず、ニキビ誘発
因子およびニキビの病巣の形成につながる一連の正確な事態は完全に解明されてはいない
。ニキビと関連付けられてきたその他の因子は、フリーラジカルの存在と、その結果生じ
る細胞損傷につながる酸化ストレスである。ニキビは通常、顔や首および背中など皮脂腺
が豊富な領域に発生することが確認されている。細菌であるプロピオニバクテリウムアク
ネス(P.acnes)は、ニキビの発生にも関連している。
【0004】
ニキビは多くの方法で治療されてきている。大半の治療は、顕著な変化が見られるまで
数週間から数カ月を要する。抗菌効果を有する過酸化ベンゾイルは軽度な場合の面皰に使
用されており、かつ他の面皰形成を防止するとも考えられている。非常に重篤なニキビの
場合、テトラサイクロン、エリスロマイシン、クリンダマイシンなどの抗生物質が使用さ
れている。抗生物質はまた、それぞれの機構で機能すると考えられているが、最も重要な
のは小胞内および小胞周辺の微生物の数が減少することである。抗生物質は、皮脂内の白
血球により産生された刺激性化学物質を低減するとも考えられている。これにより、炎症
反応を低減する。
【0005】
特にトイレの使用後および/または食物の摂取前に、抗菌性石鹸で手洗浄することはヒ
トの死亡率、罹病率を改善し、かつ一般的なクオリティ・オブ・ライフを向上するための
、最も効果的な方法の1つであることがわかっている。トリクロサンなどの塩素系抗菌剤
を含む、衛生および消毒用石鹸組成物は公知である。仮に使用者が、抗菌活性が低いかま
たは緩慢である石鹸を使用すると、使用者の皮膚の微生物除去が比較的不十分となる可能
性があり、更なる生物および/または無生物表面の汚染を引き起こし、病原体の拡散とそ
の結果生じる疾病を招き得る。したがって、向上した抗菌活性を有する手および身体洗浄
組成物を提供することは、消費者へ増強された健康およびクオリティ・オブ・ライフを提
供するためには最重要視される。
【0006】
ヘアケア組成物は一般的に、クレンジングの利点もしくはコンディショニングの利点、
またはそれら2つの組合せを提供する。こうした組成物は典型的に、一般的には毛髪また
は頭皮の洗浄を助け、望ましくない汚れ、粒子および脂肪分を含まない、1つ以上のクレ
ンジング界面活性剤を含む。
【0007】
加えて、ヘアケア組成物を通じ、ふけ予防の利点を提供してきた。ふけは、世界規模で
多くの人々に悪影響を及ぼす事項である。この症状は、死んだ皮膚細胞の塊が頭皮から剥
落することによって発現する。これらの塊の色は白色であり、審美的に不快な見た目をも
たらす。ふけに寄与する因子は、マラセチア属酵母(Malassezia yeast
)の特定のメンバーである。こうした酵母を抑制するため、毛髪クレンジングシャンプー
の形態でふけ予防製品が開発されてきた。既知のふけ予防シャンプーの例は、ふけ予防剤
と組み合わせたラウリルエーテル硫酸ナトリウム(エトキシ化陰イオン界面活性剤)を含
む。ヘアケアに用いられる一般的なふけ予防薬は、金属ピリチオン(例、亜鉛ピリチオン
(ZPTO))、オクトピロックス(商標登録)(ピロクトンオラミン)、アゾール抗菌
剤(例、クリンバゾール)、二硫化セレンおよびその組合せである。
【0008】
上記の問題を解決するための治療の大半には、合成化学薬品の使用が含まれる。多くの
人々は合成化学薬品の使用を好まない。その理由は、こうした化学薬品がヒトの身体には
刺激が強いものであると考えられているからである。一部の人々は、合成化学薬品は副作
用を引き起こすと考えている。したがって、ますます多くの人々が、例えばハーブ由来成
分に基づく活性成分といった、「自然の」材料の使用を好む。
【0009】
既知の抗菌性活性成分を含む組成物の使用により、上記の問題は大幅に緩和されている
が、自然源から誘導された活性成分の使用を確実に行う一方で、抗菌性活性成分の効果を
増強する必要が存在している。本発明者は、選ばれたエッセンシャルオイル活性成分と特
定の抗菌性脂質(AML)が組み合わされる場合、抗菌効果だけでなく、相乗的な抗真菌
効果を得ることが可能であることを見出した。本発明において特に有用であることがわか
っている抗菌性脂質は、サピエン酸、パルミトレイン酸、スフィンゴシン、ジヒドロスフ
ィンゴシン、6-ヒドロキシスフィンゴシンおよびフィトスフィンゴシンである。上記A
MLと組み合わせて効果があることがわかっているエッセンシャルオイル活性成分は、テ
ルピネオールまたはチモールである。
【0010】
中国特許第104800123(A)号明細書(Walch Guangzhou C
ommodity Co Ltd,2015)は、抗菌性石鹸ベースのシャワージェルお
よびその調製方法を開示している。該シャワージェルは、チモール、サリチル酸、植物抽
出物、エチルアルコール、プロピレングリコール、エリスリトール、ラウリン酸、ミリス
チン酸、パルミチン酸、水酸化カリウム、グリコールジステアレート、スルホコハク酸ジ
ヘキシルナトリウム、コカミドプロピルベタイン、ココイルグリシンナトリウム、ポリク
オタニウム-7、ポリグリセリン脂肪酸エステル組成物、エチレンジアミン四酢酸四ナト
リウム、塩化ナトリウム、クエン酸、精油、防腐剤および水といった成分を含む。抗菌性
の石鹸ベースのシャワージェルは皮膚に心地よく使いやすいものであり、微生物を効果的
に阻止し、かつ皮膚をしっとりさせることが可能である。またこのシャワージェルはとり
わけ、より厚い角皮を有する人々、脂肪の分泌が高い人々および皮膚掻痒症である人々に
塗布可能である。
【0011】
国際公開第13064360(A2)号明細書(Unilever)は、チモールまた
はテルピネオールと組み合わせたジカルボン酸もしくはトリカルボン酸またはその塩を含
む、液体パーソナル洗浄組成物を開示する。該組合せにより、即効的な相乗的抗菌効果を
提供する。
【0012】
国際公開第13083393(A1)号明細書(Unilever)は、界面を殺菌す
る方法および殺菌を行う抗菌性組成物を開示する。該組成物は、選ばれた抗菌性活性成分
、特定のポリマーおよび選択されたハイドロトロープを含む。
【0013】
我々の知る限り、選択されたエッセンシャルオイル活性成分と組み合わせた本発明で請
求されたAMLは、相乗的な抗菌活性を目的としては開示されてきていない。
【0014】
したがって、各成分と比較した際に相乗的な抗菌活性を示すパーソナルケア組成物を提
供することが、本発明の目的である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【文献】中国特許第104800123(A)号明細書
【文献】国際公開第13064360(A2)号明細書
【文献】国際公開第13083393(A1)号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0016】
本発明の第1の態様によれば、
(i)チモールまたはテルピネオールから選ばれるエッセンシャルオイル活性成分0.
01~5重量%と、
(ii)サピエン酸、パルミトレイン酸、スフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、
フィトスフィンゴシン、6-ヒドロキシスフィンゴシンから選択される抗菌性脂質0.0
1~5重量%と、
(iii)美容上許容可能なビヒクルと、を含む抗菌性組成物が存在する。
【0017】
本発明の第2の態様は、ヒトの局所的な表面へと抗菌効果を提供する非治療的な方法に
関する。これは、第1の態様の組成物を所望の表面上へと塗布する工程を含む。
【0018】
別の態様に従って、ヒトの局所的な表面へと抗菌効果を提供する治療的方法が開示され
る。これは、第1の態様の組成物を所望の表面上へと塗布する工程を含む。
【0019】
もう一つの態様に従って、
(i)チモールまたはテルピネオールから選ばれるエッセンシャルオイル活性成分0.
01~5重量%と、
(ii)サピエン酸、パルミトレイン酸、スフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、
フィトスフィンゴシン、6-ヒドロキシスフィンゴシンから選択される抗菌性脂質0.0
1~5重量%と、
(iii)美容上許容可能なビヒクルと、を含む、ニキビまたはふけを治療するのに使
用するための抗菌性組成物が開示される。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について、詳細に説明する。以下および他の態様、特徴および
利益は、以下の詳細な説明および付属の特許請求の範囲を読むことで当業者に明らかとな
るであろう。疑義を避けるために明記すれば、本発明の一態様の任意の特徴は発明の任意
のその他の態様で使用され得る。用語「含む(comprising)」は、「含む(i
ncluding)」を意味することを意図しているが、必ずしも「からなる(cons
isting of)」、「構成される(composed of)」というわけではな
い。言い換えれば、列挙された工程または項目は、網羅的である必要はない。以下の記載
で示される実施例は発明を明らかにすることを意図するものであり、それらの実施例それ
自体に対し、発明を制限することを意図したものではないことに留意されたい。同様に、
全ての百分率は特に指定しない限り重量/重量パーセントである。作業実施例および比較
例または明示的な指定がある場合を除き、材料の量または反応の条件、材料および/また
は使用の物理的特性を示す、本明細書および特許請求の範囲中の全ての数字は、用語「約
」によって修飾されていると理解されるべきである。形式「x~y」で表される数値範囲
は、xおよびyを含むものと理解される。特定の特徴に対し、複数の好適な範囲が形式「
x~y」で記されるとき、異なる端点を組み合わせた全ての範囲がやはり企図されている
ことが理解される。言い換えれば、任意の値の範囲を特定する際、任意の特定の上限値は
任意の特定の下限値と関連付けられ得る。
【0021】
本明細書で見出される本発明の開示は、特許請求の範囲が多数従属項または冗長である
ことなく見出されるべきであるという事実に関係なく、互いに多数従属形式であるような
、特許請求の範囲にて見出される、全ての実施形態を含むものであると考えるべきである
。
【0022】
本発明の特定の態様(例えば本発明の組成物)に対し特徴が開示される場合、同様の開
示はやはり本発明の任意の他の態様(例えば本発明の方法)に適用すると考えられるべき
である。
【0023】
本明細書で使用されるような「抗菌性組成物」とは、皮膚、毛髪および/または哺乳類
(特にヒト)の頭皮へと局所的に塗布するための組成物を含むことを意味する。かかる組
成物は、一般的に、数秒~最大24時間、身体の望ましい局所的な表面上へ塗布される。
塗布時間が例えば数秒~数分と低く、その後組成物が水ですすぎ落とされるか、または拭
き取られるとき、かかる組成物はクレンジング組成物または洗浄除去組成物として知られ
ている。組成物が例えば数分~最大24時間とより長く塗布され、一般に、通常のパーソ
ナル洗浄過程中に洗い流されるとき、かかる組成物はリーブオン組成物として知られてい
る。本発明による組成物は、洗浄除去型またはリーブオン型であり得る。2つのうち、好
ましいのは洗浄除去型である。組成物は、見た目、クレンジング、においの制御または一
般的な審美もまた向上するためにヒトの身体へ塗布される、任意の製品を含む。本発明の
組成物は、液体、ローション、クリーム、泡、スクラブ、ジェル、バー、シャンプー、コ
ンディショナー、手洗浄製品、顔洗浄製品または身体洗浄製品の形態であり得る。組成物
はより好ましくは、頭皮および/もしくは毛髪上のふけ症状を防止または改善するためか
、ニキビ防止の利点のためか、あるいは手またはヒトの身体の他の部位を消毒するために
使用される。
【0024】
本発明は、より詳細には抗菌性クレンジング組成物に関する。
【0025】
相乗的な抗菌活性を提供し、エッセンシャルオイル活性成分と組み合わせた抗菌性脂質
としては、サピエン酸、スフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシン、パルミトレイン酸、
フィトスフィンゴシン、6-ヒドロキシスフィンゴシンまたは多くのAMLのうちの1つ
との組合せが挙げられる。より好ましいAMLは、サピエン酸、フィトスフィンゴシンお
よびジヒドロスフィンゴシンであり、最も好ましくは、フィトスフィンゴシンおよびジヒ
ドロスフィンゴシンである。
【0026】
サピエン酸およびパルミトレイン酸は、一般的には精製された形態の抗菌剤へと添加さ
れる。こうした脂肪酸は化学合成され得るか、または自然源であり得、かつ遊離脂肪酸形
態またはエステル化された形態とすることができるが、好ましくは遊離形態である。こう
した脂肪酸およびその誘導体を含む天然物質は、植物種子の抽出物、魚油、獣脂および微
生物酵母を含むがこれに限定されない動物源または植物源が由来である。とりわけ、サピ
エン酸はツンベルギアアラタ(Thunbergia alata、トリグリセリドとし
て85重量%)の種子油の主要な構成要素として報告されていた。精製されたサピエン酸
またはサピエン酸を含む種子油抽出物は抗菌性組成物へ添加され得るが、サピエン酸が本
発明の組成物中に所望の濃度で存在していることを確認している。
【0027】
スフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、ジヒドロスフィンゴシンおよび6-ヒドロキ
シスフィンゴシンは、ヒトの皮膚上に存在するスフィンゴイド塩基である。これらはスフ
ィンゴイド塩基の形成を引き起こす好適な生物工学的工程を通し、砂糖などの材料から酵
母により化学合成または製造されることができる。スフィンゴイド塩基は、精製された形
態で抗菌性組成物へと添加され得る。あるいは、大量のスフィンゴイド塩基からなる発酵
ブロスが使用されてもよいが、本発明の組成物中に所望の濃度でスフィンゴイド塩基が存
在していることを確認する。
【0028】
AMLは、組成物の0.01~5重量%で含まれ、好ましくは0.1~2重量%で含ま
れる。
【0029】
本発明のAMLと組み合わせて効果のあるエッセンシャルオイル活性成分は、チモール
またはテルピネオールである。
【0030】
チモールは、精製された形態で抗菌性組成物に添加され得る。あるいは、チモールを含
むタイム油またはタイム抽出物が抗菌性組成物に添加され得るが、本発明の組成物中に所
望の濃度でチモールが存在していることを確認する。タイム油またはタイム抽出物は、タ
イム植物から得られる。タイム植物は、ティムス属に属する植物を指し、以下の種を含む
が、これらに限定されない:ティムス・ブルガリス(Thymus vulgaris)
、ティムス・ジギス(Thymus zygis)、ティムス・サツレオイデス(Thy
mus satureoides)、ティムス・マスティキナ(Thymus mast
ichina)、ティムス・ブルソネテッティ(Thymus broussonett
i)、ティムス・マロカヌス(Thymus maroccanus)、ティムス・パリ
ダス(Thymus pallidus)、ティムス・アルゲリエンシス(Thymus
algeriensis)、ティムス・セルピルム(Thymus serpyllu
m)、ティムス・プレゴイデ(Thymus pulegoide)、およびティムス・
シトリオドラス(Thymus citriodorus)。
【0031】
テルピネオールは好ましくはα-テルピネオール、β-テルピネオール、γ‐テルピネ
オールまたはその混合物から選択される。テルピネオールはα-テルピネオールがとりわ
け好ましい。テルピネオールは精製された形態で抗菌性組成物に添加され得る。あるいは
、テルピネオールを含むパイン油が抗菌性組成物に添加され得る。
【0032】
抗菌性組成物は、上記に列挙されたエッセンシャルオイル活性成分0.01~5%を含
み、好ましくは本発明の組成物の0.05~2.0重量%、より好ましくは0.1~1.
0重量%を含む。
【0033】
本発明の特に好ましい態様によれば、組成物はチモールおよびテルピネオールの混合物
を含む。この好ましい態様において、チモールは組成物の0.01~2重量%、好ましく
は0.05~1重量%含まれ、テルピネオールは組成物の0.01~5重量%、好ましく
は0.1~2重量%含まれる。
【0034】
エッセンシャルオイル活性成分対抗菌性脂質の重量比は、最も効果的な抗菌作用のため
に、細胞レベルで1:1~3000:1の範囲であることが好ましい。
【0035】
Evonik Industriesは、スフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、コ
レステロールおよび脂肪酸を含むAMLの主要供給先である。
【0036】
理論に束縛されるものではないが、発明者は、AMLと組み合わせたエッセンシャルオ
イル活性成分の相乗的な抗菌効果は、微生物膜の破壊を経ると考えている。
【0037】
本発明では、抗菌性アルコール(1~7個の炭素原子を有する低分子量アルコール)は
実質的には存在しないことが好ましい。実質的に存在しないとは、アルコール濃度が抗菌
治療の活性に必要な量未満であることを意味する。好ましくは、抗菌性アルコールは1%
未満、より好ましくは0.1%未満で存在し、最も適切には本発明では存在しない。
【0038】
本発明の組成物は美容上許容可能なビヒクルを含む。一態様によれば、美容上許容可能
な担体は水を含む。別の好ましい態様によれば、担体は追加で界面活性剤を含む。美容上
許容可能なビヒクルは、組成物はクリーム、ローション、ジェル、パウダー、軟膏、身体
洗浄製品、手洗浄製品もしくは顔洗浄製品、シャンプー、ヘアコンディショナー、または
石鹸バーとして調製されることが可能であるようなものであり、好ましくは、シャンプー
、コンディショナー、身体洗浄製品、手洗浄製品または顔洗浄製品として調製されること
が可能であるようなものである。
【0039】
皮膚ケア
本発明の組成物は、皮膚ケアに使用され得る。この場合の美容上許容可能なベースは、
液体または固体材料であり得る。典型的には、ベースは、その中に含まれる全ての範囲を
含む組成物の総重量に対して10~99.9重量%、より好ましくは20~95重量%、
最も好ましくは40~85重量%の範囲で存在する。美容上許容可能な担体は水を含むこ
とがとりわけ好ましい。水は日焼け止め組成物の総重量に対し、好ましくは30~90重
量%の量、より好ましくは30~85重量%、最も好ましくは30~80重量%の量で含
まれる。水に加え、好適な担体の種類には、シリコーン、多価アルコール、炭化水素、ト
リグリセリドおよび増粘粉薬が挙げられる。
【0040】
本発明の皮膚ケア組成物は、皮膚への局所的な塗布に好適であるトナー、ローション、
クリーム、ムース、スクラブ、セラムまたはジェルを含む任意の形態であり得る。組成物
は、スキンローション、クリーム、制汗用化粧品、デオドラント、リップスティック、フ
ァンデーション、マスカラ、サンレスタナー(sunless tanner)および日
焼け止めローションなどのリーブオン製品であるか、またはシャワージェルおよびトイレ
用バー(toilet bar)のどちらかであることができる。組成物は、スキンロー
ションまたはクリームであることが好ましい。
【0041】
組成物は、共溶媒として作用する化粧オイルを含み得る。好適な化粧オイルには例えば
、脂肪族カルボン酸を有するアルコキシ化芳香族アルコールのエステル、トリカプリル酸
/カプリル酸グリセリルなどの脂肪族カルボン酸を有するポリグリコールまたはジオール
のエステル、脂肪族アルコールおよび脂肪酸のエステル、ベンジルアルコールのアルコキ
シ化誘導体およびその混合物が挙げられる。好ましくは化粧オイルはトリカプリル酸/カ
プリル酸グリセリルである。
【0042】
典型的には、かかる組成物は、0.01~10%の量の共溶媒を含み、より好ましくは
0.1~8%の量、最も好ましくは1~6%の量の共溶媒を含み、これは組成物の総重量
に基づき、かつその中に含まれる全ての範囲を含む。
【0043】
組成物は、無機性の日焼け止めなどの日焼け止め剤を追加で含み得る。例えば、酸化亜
鉛、二酸化チタン、酸化鉄、フュームドシリカなどのシリカである。かかる日焼け止め剤
の量は、日焼け止め組成物の0.1~5重量%で好ましくは組み込まれる。
【0044】
本発明の組成物は、ジベンゾイルメタン誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾフェノン誘
導体およびその混合物からなる群から選択される、UV-A日焼け止め剤を含み得る。好
ましい実施形態では、UV-A日焼け止め剤はジベンゾイルメタン誘導体を含むか、また
はジベンゾイルメタン誘導体であり、例えば、ブチルメトキシジベンゾイルメタン(Pa
rsol 1789という商品名のもとで販売される)である。
【0045】
典型的には、本発明の日焼け止め組成物は、UV-A日焼け止め剤の0.1~15重量
%を含み、より好ましくは0.1~10重量%を含み、最も好ましくは1~5重量%を含
み、これは、組成物の総重量に基づき、かつその中に含まれる全ての範囲を含む。
【0046】
本発明の組成物はまた、UV-B日焼け止め剤を含み得る。本発明の最適なUV-B日
焼け止め剤は、ベンゾフェノン、アントラニル酸塩、サリチル酸塩、シンナマート、樟脳
、ベンジリデンマロネート、トリアゾンおよびその誘導体からなる群から選択される。好
ましい実施形態では、UV-B日焼け止め剤は、シンナマート誘導体を含むか、またはシ
ンナマート誘導体であり、例えば、メトキシケイ皮酸エチルヘキシル(Parsol M
CXの商品名のもとで販売される)である。
【0047】
典型的には、組成物は、UV-B日焼け止め剤の0.1~20重量%を含み、より好ま
しくは0.5~18重量%を含み、最も好ましくは1~15重量%を含み、これは、組成
物の総重量に基づき、かつその中に含まれる全ての範囲を含む。
【0048】
美白剤はまた、本発明の組成物に組み込まれ得る。
【0049】
最も好ましい美白活性成分は、ビタミンB3化合物である。ビタミンB3化合物は、ナ
イカシン(nicacin)、ニコチン酸またはナイアシンアミドであり得、好ましくは
ナイアシンアミドであり得る。
【0050】
ナイアシンアミドは、ケラチノサイト由来のAMPの分泌物で知られている。したがっ
て、分泌されたAMPは、例えば頭皮上など、身体外面の免疫性向上をもたらす。よって
、本発明の組成物中のナイアシンアミドを使用することで、本発明の組成物のカビ防止活
性によってのみならず、ナイアシンアミドの使用を通じ微生物に対する頭皮の保護シール
ドへの増強効果を提供することにより、ふけ防止効果が増強されることが期待される。本
組合せは、例えば微生物に対して最大24時間など、より長時間続く保護を提供し得るこ
とが期待される。
【0051】
ナイアシンアミドは、好ましくは組成物の0.01~5重量%、より好ましくは0.1
~3重量%で存在する。ビタミンB3およびその誘導体以外の好適な美白剤は、コウジ酸
、アルブチン、トラネキサム酸、胎盤抽出物、アスコルビン酸およびその誘導体、(例え
ば、リン酸アスコルビルマグネシウム、リン酸アスコルビルナトリウム、アスコルビルグ
ルコシドおよびテトラヘキシルデカン酸アスコルビル)、アロエ抽出物、乳酸アンモニウ
ム、アゼライン酸、クエン酸エステル、エラグ酸、グリコール酸、緑茶抽出物、ヒドロキ
ノン、レモン抽出物、リノール酸、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミ
ンAなどのビタミン、ジカルボン酸、レゾルシノール誘導体、乳酸のようなヒドロキシカ
ルボン酸およびその塩(例、乳酸ナトリウム)またはそれらの混合物である。典型的には
、美白剤はその中に含まれる全ての範囲を含む組成物の総重量に対して、0.1~10重
量%の量で存在し、より好ましくは0.2~5重量%、最も好ましくは0.3~3重量%
の量で存在する。
【0052】
皮膚ケア組成物は、物理的特性および挙動を増強させるために当該技術分野において一
般的である他の成分もまた含み得る。好適な成分には、これに限定されないが、湿潤剤、
増粘剤、乳白剤、結合剤、着色剤および顔料、pH調節剤、防腐剤、光学的諸特性、香料
、粘度調節剤、生物学的添加剤、緩衝剤、軟化剤、天然抽出物、抗炎症剤を含むエッセン
シャルオイルおよび皮膚有効剤、冷却剤、発汗抑制薬、老化防止剤、ニキビ防止剤、抗菌
剤および酸化防止剤が挙げられる。
【0053】
皮膚クレンジング
本発明の組成物は、例えば身体洗浄または顔洗浄といった皮膚ケアに使用され得る。抗
菌性組成物は、更に界面活性剤を含み得る。製品が液体形態であるとき、好ましい界面活
性剤は、C8~C22、好ましくはC8~C16の脂肪族アルコールエトキシレートなど
の非イオン界面活性剤であり、1個~8個のエチレンオキシド基を含む。界面活性剤は好
ましくは、第一級アルキル硫酸塩、第二級アルキルスルホン酸塩、アルキルベンゼンスル
ホン酸塩またはエトキシ化アルキル硫酸塩から選択される。組成物は更に、好ましくは天
然もしくは合成源および/またはスルホン酸のいずれか由来の、1個~3個のエチレンオ
キシド基を有するアルキルエーテル硫酸塩などの、陰イオン界面活性剤を含み得る。特に
、ラウリルエーテル硫酸ナトリウムが好ましい。アルキルポリグルコシドは組成物中にや
はり存在し得、好ましくはC6~C16間の炭素鎖長を有するものであり得る。
【0054】
したがって特に好ましい態様では、抗菌性組成物には、陰イオン界面活性剤、脂肪酸ア
ミド、アルキル硫酸塩、直鎖状アルキルベンゼンスルホン酸およびそれらの組合せの群か
ら選択される界面活性剤が挙げられる。
【0055】
界面活性剤が存在するとき、抗菌性組成物は好ましくは、組成物の1~90重量%の界
面活性剤を含む。
【0056】
界面活性剤が使用されるとき、特に好ましい界面活性剤は石鹸である。石鹸は、本発明
の抗菌性組成物のパーソナル洗浄用途に好適な界面活性剤である。石鹸は、好ましくはC
8~C24の石鹸、より好ましくはC10~C20の石鹸、最も好ましくはC12~C1
8の石鹸である。石鹸のカチオンは、アルカリ金属、アルカリ土類金属またはアンモニウ
ムである。好ましくは、石鹸のカチオンは、ナトリウム、カリウムまたはアンモニウムか
ら選択される。より好ましくは、石鹸のカチオンはナトリウムまたはカリウムである。
【0057】
典型的な脂肪酸の配合物は、石鹸の5~30重量%のココナッツ脂肪酸および70~9
5重量%の脂肪酸から成った。落花生、大豆、獣脂、パーム、パーム核などの他の好適な
油/脂肪に由来する脂肪酸もまた他の所望の比率で使用されてもよい。
【0058】
存在する場合、存在する石鹸は、好ましくは組成物の1~90重量%、好ましくは10
~85重量%、より好ましくは25~75重量%の量で存在する。
【0059】
好ましい組成物は、香料、顔料、防腐剤、柔軟化粧水、日焼け止め、乳化剤、ゲル化剤
および増粘剤などの他の既知の成分を含み得る。これらの成分の選択は、組成物の形式に
大きく左右されるだろう。
【0060】
水は好ましい担体である。水が存在するとき、好ましくは組成物の少なくとも1重量%
、より好ましくは少なくとも2重量%、更により好ましくは少なくとも5重量%で存在す
る。水が担体であるとき、好ましい液体組成物は10~99.8重量%の水を含む。液体
の抗菌性組成物は、特に手洗浄または顔洗浄用といった皮膚クレンジング用の皮膚殺菌液
として有用である。水が担体であるとき、好ましい固体組成物は5~30重量%の水を含
む。
【0061】
固体の抗菌性組成物は、好ましくは成形済固体の形態であり、より好ましくはバー形態
である。固体の抗菌性組成物はとりわけ、特に手洗浄または顔洗浄といった皮膚クレンジ
ングに有用である。
【0062】
別の態様によれば、無機粒状材料も好適な担体である。無機粒状材料が担体であるとき
、抗菌性組成物は固体形態である。好ましくは、無機粒状材料はタルクである。無機粒状
材料がタルクであるとき、固体の抗菌性組成物は、顔や身体に塗布するためのベビーパウ
ダーとして特に有用である。
【0063】
本発明の別の態様では、本発明の組成物は、個人衛生用ワイプで使用するために好適で
ある。
【0064】
シャンプー
本発明の特に好ましい態様によれば、組成物はシャンプーである。本発明の組成物、特
にシャンプーは、例えばアルキル硫酸塩および/またはエトキシ化アルキル硫酸塩界面活
性剤といった陰イオン界面活性剤と調合される。こうした陰イオン界面活性剤は、好まし
くは組成物の少なくとも1~20重量%の量、好ましくは2~16重量%の量、更により
好ましくは3~16重量%の量で存在する。好ましいアルキル硫酸塩はC8~18アルキ
硫酸塩であり、より好ましくはC12~18であるアルキル硫酸塩であり、好ましくはナ
トリウム、カリウム、アンモニウムまたは置換アンモニウムなどの可溶化性カチオンを有
する塩の形態である。
【0065】
好ましいアルキルエーテル硫酸塩は、以下の式:RO(CH2CH2O)nSO-3M
(式中、Rは8~18個(好ましくは12~18個)の炭素原子を有するアルキルまた
はアルケニルであり、nは少なくとも0.5より大きい平均値を有する数で、好ましくは
1~3の間、より好ましくは2~3の間であり、Mはナトリウム、カリウム、アンモニウ
ムまたは置換アンモニウムなどの可溶化性カチオンである)を有するものである。一例は
、ラウリルエーテル硫酸ナトリウム(SLES)である。0.5~3、好ましくは1~3
のエトキシ化平均度を有するSLESが、特に好ましい。
【0066】
本発明によるシャンプー組成物は、美容上許容可能であり、かつ毛髪への局所的な塗布
に好適である1つ以上の更なる陰イオンクレンジング界面活性剤を含み得る。
【0067】
更に好適な陰イオンクレンジング界面活性剤の例としては、アルカリルスルホン酸塩、
アルキルコハク酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、アルキルエーテルスルホコハク酸塩、
N-アルキルサルコシネート、アルキルリン酸塩、アルキルエーテルリン酸塩、ならびに
アルキルエーテルカルボン酸およびその塩であり、特に塩はそれらのナトリウム塩、マグ
ネシウム塩、アンモニウム塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノール塩、トリエタノー
ルアミン塩である。アルキル基およびアシル基は通常、8~18個、好ましくは10~1
6個の炭素原子を含み、かつそれらは不飽和であり得る。アルキルエーテルスルホコハク
酸塩、アルキルエーテルリン酸塩ならびにアルキルエーテルカルボン酸およびその塩は、
分子当たり1~20個のエチレンオキシド単位またはプロピレンオキシド単位を含み得る
。
【0068】
本発明の組成物に使用するための典型的な陰イオンクレンジング界面活性剤は、オレイ
ルコハク酸ナトリウム、ラウリルスルホコハク酸アンモニウム、ラウリルエーテルスルホ
コハク酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルベンゼンスルホ
ン酸トリエタノールアミン、ラウリルエーテルカルボン酸およびN-ラウリルサルコシネ
ートナトリウムを含む。
【0069】
好適な好ましい追加の陰イオンクレンジング界面活性剤は、ラウリルエーテルスルホコ
ハク酸ナトリウム(n)EO(式中、nは1~3)、ラウリルエーテルカルボン酸(n)
EO(式中、nは10~20)である。
【0070】
任意の前述の陰イオンクレンジング界面活性剤の混合物もまた、好適であり得る。
【0071】
本発明の組成物は、好ましくは追加で両性界面活性剤を含み、好ましくはベタイン界面
活性剤を含み、好ましくはアルキルアミドプロピルベタイン界面活性剤(例えばコカミド
プロピルベタイン)を含む。好ましい実施形態においては、組成物はベタイン界面活性剤
0.1~10重量%を含み、好ましくは0.5~8重量%、より好ましくは1~5重量%
を含む。
【0072】
特にシャンプーなど、本発明の組成物からの活性成分の沈着を増強するため、カチオン
ポリマーは普通、組成物中に含まれる。本発明においても、追加の組成物は、カチオンポ
リマー0.01~2.0%を含むことが好ましい。カチオンポリマーは、好ましくはグア
ーヒドロキシプロピルトリモニウム塩化物である。グアーポリマーは主に、ガラクトマン
ナンポリマー鎖を含む。このポリマーは、グアーがどれだけ加水分解され、カチオン化さ
れたかによって、様々な分子量およびカチオン置換度で入手可能である。カチオンポリマ
ーは、組成物の重量に対し、好ましくは0.04~0.5重量%で存在し、より好ましく
は0.08~0.25重量%で存在する。
【0073】
本発明のシャンプー組成物のpHは、好ましくは4.0以上であり、より好ましくは5
.0~7.0の範囲である。
【0074】
特にふけ防止シャンプー向けの、本発明による組成物は、好ましくは1種以上のふけ防
止剤を追加で含む。好ましい薬剤は、形態亜鉛ピリオチン、アゾール化合物(例えばクリ
ンバゾールまたはケトコナゾール)、オクトピロックス、硫化セレンまたはその混合物を
選択される。本発明によれば、ふけ防止剤として亜鉛ピリオチンを含むことが望ましい。
【0075】
亜鉛ピリチオン(ZPTO)は、亜鉛1-ヒドロキシ-2-ピリジンチオンを省略した
ものである。
【0076】
ピリチオンの多原子価金属塩は、以下の一般式によって示される:
【化1】
【0077】
亜鉛ピリチオンの場合、Mすなわち金属カチオンは亜鉛である。
【0078】
亜鉛ピリチオンは、組成物の重量に基づき、好ましくは0.1~3.0重量%で存在し
、より好ましくは0.1~2.0重量%で存在する。ZPTOは粒状材料である。粒径は
、本発明の利点を得るうえで重要ではないが、ZPTOの粒径は好ましくは0.25~8
マイクロメートルであり、より好ましくは0.5~8.0マイクロメートルであり、更に
より好ましくは1.0~7.5マイクロメートルである。ZPTOは、Kolon Li
fe Science Inc.、Sino Lion(USA)Ltd、Lonzaお
よび他の供給先から市販されている。組成物中に追加で亜鉛化合物が存在することにより
、ピリチオンの金属塩のふけ防止効果を向上すると考えられている。好適な亜鉛化合物は
、酸化亜鉛、クエン酸亜鉛、マロン酸亜鉛、炭酸塩およびその組合せである。亜鉛化合物
は、好ましくは組成物の0.1~3重量%で存在し、より好ましくは0.1~1.5重量
%で存在する。
【0079】
本発明によるシャンプー組成物は、好ましくは追加でコナゾール殺真菌剤を含む。好ま
しくは、コナゾール殺真菌剤は形態ケトコナゾール、クリンバゾールまたはその混合物を
選択される。アゾール殺真菌剤は、好ましくは組成物の0.01~2重量%、より好まし
くは0.025~0.75重量%で含まれる。コナゾール殺真菌剤の存在により、亜鉛ピ
リチオンの沈着が向上すると考えられている。
【0080】
組成物は好ましくは追加でビタミンB3化合物を含む。好ましいビタミンB3化合物は
、ナイアシンアミドである。
【0081】
ナイアシンアミドは、好ましくは組成物の0.1~5重量%、より好ましくは0.5~
5重量%、更により好ましくは0.5~3重量%、最も適切には1.0~3.0重量%で
存在する。
【0082】
懸濁剤
好ましくは、本発明の組成物は更に懸濁剤を含む。好適な懸濁剤は、ポリアクリル酸、
アクリル酸の架橋ポリマー、疎水性モノマーとアクリル酸のコポリマー、カルボン酸含有
モノマーおよびアクリル酸エステルのコポリマー、アクリル酸およびアクリル酸塩エステ
ルの架橋コポリマー、ヘテロ多糖ガムならびに結晶性長鎖アシル誘導体から選択される。
長鎖アシル誘導体は、望ましくは、エチレングリコールステアレート、16~22個の炭
素原子を有する脂肪酸のアルカノールアミドおよびその混合物から選択される。エチレン
グリコールジステアレートおよびポリエチレングリコール3ジアステアレートは、好まし
い長鎖アシル誘導体である。これは、これらの物質が組成物に真珠光沢を付与することに
よる。ポリアクリル酸は、Carbopol 420、Carbopol 488または
Carbopol 493として市販されている。多官能性剤と架橋されるアクリル酸の
ポリマーはやはり使用され得、これらはCarbopol 910、Carbopol
934、Carbopol 941およびCarbopol 980として市販されてい
る。モノマーおよびアクリル酸エステルを含む、カルボン酸の好適なコポリマーの一例は
Carbopol 1342である。全てのCarbopol(商標)材料は、Good
richから入手可能である。
【0083】
アクリル酸およびアクリル酸塩エステルの好適な架橋ポリマーは、Pemulen T
R1またはPemulen TR2である。好適なヘテロ多糖ガムはキサンタンガムであ
り、例えばKelzan(商標登録)として入手可能である。
【0084】
任意の上記懸濁剤の混合物が使用され得る。アクリル酸塩および結晶性長鎖アシル誘導
体の架橋性ポリマーの混合物が好ましい。
【0085】
仮に含まれる場合、懸濁剤は、一般的には組成物の総重量に基づく懸濁剤0.1~10
重量%の量で、好ましくは0.5~6重量%で、より好ましくは0.5~4重量%で、本
発明のシャンプー組成物に存在するであろう。
【0086】
本発明の組成物は、性能および/または消費者の許容性を増強するため、他の成分を含
み得る。かかる成分としては、香料、染料および顔料、pH調節剤、真珠光沢または乳白
剤、粘度調製剤、防腐剤および植物性の薬剤などの天然毛髪栄養分、果物抽出物、砂糖誘
導体、アミノ酸が挙げられる。
【0087】
本発明の組成物は、好ましくは水性基剤である。水性基剤は、好ましくは多量の水を含
み、好ましくは組成物の70~95重量%である。
【0088】
ヘアコンディショナー
コンディショニングする利点が、本発明の組成物を通じて提供されることであるとき、
組成物はヘアコンディショナーと呼ばれる。典型的に、ヘアケア組成物中に使用される最
も一般的なコンディショニング剤は、鉱油などの水に溶解しない油性材料、トリグリセリ
ドおよびシリコーンポリマーなどの天然素材油である。コンディショニングする利点は、
フィルム形成する毛髪上へ沈着される油性材料により得られる。これにより、濡れたとき
にはくしで毛髪をよりすきやすいものとし、乾燥したときにより扱いやすい状態にできる
。特に有用なコンディショニング剤はシリコーン化合物であり、好ましくは不揮発性シリ
コーン化合物である。本明細書中で有利な組成物は、1つ以上のシリコーンを含み得る。
シリコーンは、分散した微粒子型または懸濁した微粒子型として見出されるコンディショ
ニング剤である。これらは毛髪上へと沈着することが意図されており、水で毛髪をすすい
だ後も残り続ける。好適なシリコーン油には、ポリアルキルシロキサン、ポリアリールシ
ロキサン、ポリアルキルアリールシロキサン、ポリエーテルシロキサンコポリマーおよび
その混合物が挙げられる。アミノシリコーンは、多くの場合シャンプー組成物に調合され
る。アミノシリコーンは、少なくとも1種の第一級アミン基、第二級アミン基、第三級ア
ミン基または四級化アンモニウム基を含むシリコーンである。高分子量シリコーンガムも
また使用することができる。別の有用な種類としては、ジメチコン/ビニル/ジメチコン
クロスポリマー(例:Dow Corning 9040および9041)などの架橋シ
リコーンエラストマーである。
【0089】
存在する場合の組成物中シリコーンの量は、ヘアケア組成物の約0.1~約10重量%
、好ましくは約0.1~約8重量%、より好ましくは約0.3~約5重量%で分布し得る
。
【0090】
本発明のコンディショナー組成物のpHは、好ましくは4.0以上、より好ましくは5
.0~7.0の範囲である。
【0091】
ヘアコンディショニング組成物は通常、陽イオン界面活性剤から選択され、単独または
混合状態で使用されるコンディショニング界面活性剤を含む。本発明による、コンディシ
ョナー組成物で使用するための好適な陽イオン界面活性剤は、塩化セチルトリメチルアン
モニウム、塩化ベヘニルトリメチルアンモニウム、塩化セチルピリジニウム、塩化テトラ
メチルアンモニウム、塩化テトラエチルアンモニウム、塩化オクチルトリメチルアンモニ
ウム、塩化ドデシルトリメチルアンモニウム、塩化ヘキサデシルトリメチルアンモニウム
、塩化オクチルジメチルベンジルアンモニウム、塩化デシルジメチルベンジルアンモニウ
ム、塩化ステアリルジメチルベンジルアンモニウム、塩化ジドデシルジメチルアンモニウ
ム、塩化ジオクタデシルジメチルアンモニウム、塩化タロウトリメチルアンモニウム、塩
化ジヒドロゲネートタロウジメチルアンモニウム(例えばAkzo NobelによるA
rquad 2HT/75)、塩化ココトリメチルアンモニウム、PEG-2-オレアン
モニウムクロリドおよび対応するその水酸化物である。更に好適な陽イオン界面活性剤は
、CTFA指定のQuaternium-5、Quaternium-31およびQua
ternium-18を有するそれらの材料を含む。任意の上記材料の混合物も好適であ
り得る。本発明による、コンディショナーに使用するためのとりわけ有用な陽イオン界面
活性剤は、塩化セチルトリメチルアンモニウムであり、市販されている例としては、Ho
echst CelaneseからのGENAMIN CTACである。本発明による、
コンディショナーに使用するためのとりわけ有用な別の陽イオン界面活性剤は、塩化ベヘ
ニルトリメチルアンモニウムであり、市販されている例としては、Clariantから
のGENAMIN KDMPである。更に別の好ましい陽イオン界面活性剤は、ステアラ
ミドプロピルジメチルアミンである。
【0092】
組成物で使用するための最も好ましい陽イオン界面活性剤は、ステアラミドプロピルジ
メチルアミン、塩化ベヘントリモニウムまたは塩化ステアリルトリメチルアンモニウムで
ある。本発明のコンディショナーでは、陽イオン界面活性剤の量は、一般的には組成物の
0.1~5重量%、好ましくは0.5~2.5重量%で分布することになる。
【0093】
本発明のヘアコンディショニング組成物はまた、好ましくは追加で脂肪族アルコールを
含む。コンディショニング組成物中の脂肪族アルコールおよび陽イオン界面活性剤を組み
合わせた利用は、とりわけ有用であると考えられている。これは、中に陽イオン界面活性
剤が分散されるラメラ相の形成につながるからである。
【0094】
代表的な脂肪酸アルコールは、8~22個の炭素原子、より好ましくは16~22個の
炭素原子を含む。脂肪族アルコールは通常、直鎖アルキル基を含む化合物である。好適な
脂肪族アルコールの例は、セチルアルコール、ステアリルアルコールおよびその混合物を
含む。これらの材料を使用することはまた、本発明の組成物の総合的なコンディション特
性に寄与するという点で有用である。
【0095】
本発明のコンディショナーの脂肪族アルコール量は、一般的には組成物の0.5~10
重量%、好ましくは0.1~8重量%、より好ましくは0.2~7重量%、最も好ましく
は0.3~6重量%で分布することになる。陽イオン界面活性剤対脂肪族アルコールの重
量比は、好ましくは1:1~1:10、より好ましくは1:1.5~1:8であり、最適
なものとしては1:2~1:5である。
【0096】
本発明はまた、所望の表面上に本発明の組成物を塗布する工程を含む、ヒトの局所的な
表面へ抗菌効果を提供する方法に関する。
【0097】
ニキビ、ふけを防止もしくはニキビを治療するためか、または一般衛生を維持するため
に、該方法は利用され得る。
【0098】
本発明はまた、身体の表面にて微生物または真菌類の増殖を抑制する方法に関する。癜
風菌のような真菌類およびP.アクネスのような微生物に対し、該方法は特に効果的であ
る。該方法は、第1の態様の組成物を頭皮または個体の他の任意の身体表面に塗布する工
程を含む。あるいは、好ましくは、上記工程の後に水で表面をすすぐ。皮膚または毛髪/
頭髪上に組成物を塗布した後、すすぎ工程は一般的に1~5分以内に行われる。一態様に
よれば、本発明は非治療的な利点を提供する。
【0099】
本発明は、この後次の非限定例を参照することで例示されるであろう。
【0100】
[実施例]
[実施例1~8]
エッセンシャルオイル活性成分とAML化合物との相乗的相互作用を、P.アクネスに
対するFICアッセイを使用して測定した。本方法の概要は以下に詳述する。
【0101】
方法:P.アクネスに対するΣFICアッセイ
微生物調製
P.アクネス(ATCC 6919)は、強化クロストリジウム培地の寒天プレート(
RCMA、溶液A)に植えつけられ、37℃で72~96時間、嫌気ジャー内で嫌気的に
培養する。単一コロニーは強化クロストリジウム培地(RCM、溶液B)内で培養され、
37℃で72~96時間嫌気的に培養された。最終細胞密度は、RCMを用いて希釈する
ことにより5×107cells/ml前後に調整される。次に、接種材料は更に1:1
000でルリア-ベルターニ培地(LB、溶液C)に希釈され、5*104cells/
ml前後を得る。
【0102】
溶液A
強化クロストリジウム培地寒天(RCMA)
38g RCM(HopeBio)
15g 寒天(Oxoid)
脱イオン水を1000ml
オートクレーブ
溶液B
強化クロストリジウム培地(RCM)
38g RCM(HopeBio)
脱イオン水を1000ml
オートクレーブ
溶液C
ルリア-ベルターニ(LB)
10g トリプトン(Oxoid)
10g 塩化ナトリウム(SCR)
5g 酵母抽出物(Oxoid)
脱イオン水を1000ml
オートクレーブ
In-vitro感受性試験
エッセンシャルオイル活性成分は連続的に希釈され(2倍)、LBブロス培地内で10
~10,000ppmの範囲で調製した。AML化合物は連続的に希釈され(2倍)、L
Bブロス培地内で、サピエン酸およびパルミトレイン酸については15.6~1000p
pmの範囲で調製し、かつ他のAMLについては2~125ppmで調製した。
【0103】
エッセンシャルオイルおよびAML化合物の2つの成分は、20μlのAML化合物と
20μlエッセンシャルオイル溶液を混合することで96ウェルプレート内に調製された
。各ウェルの溶液は、LB内の160μlのP.アクネスと更に混合された。試験プレー
ト内の最終細胞密度は4*104cells/ml前後であり、96ウェルプレートの各
ウェルにおける活性成分の最終濃度を以下に示した。
【0104】
エッセンシャルオイル活性成分濃度(ppmにて):1000、500、250、12
5、62.5、31.3、15.6、7.8、3.9、2.0、1.0および0。
【0105】
脂肪酸AMLサピエン酸およびパルミトレイン酸化合物濃度(ppm):100、50
、25、12.5、6.25、3.13、1.56および0。スフィンゴシンAML化合
物濃度(ppmにて):12.5、6.3、3.1、1.6、0.8、0.4、0.2お
よび0。
【0106】
プレートは37℃で50時間、嫌気的に培養された。次いで、20μlのアラマーブル
ー(0.01%)が、各ウェルへと添加され、2~3日好気的に更に培養し、色の変化を
観察した。赤色は微生物の増殖を示し、色が変化しない青色は増殖が見られないことを示
す。加えて、試験化合物単独では、微生物を添加しない制御混合物入りのアラマーブルー
の色変化が生じないこともまた確認された。
【0107】
計算
最小発育阻止濃度(MIC)
MICは、試験条件下で、アラマーブルーの青色で示されるような完全な微生物増殖阻
害剤を提供する活性成分の絶対最小値濃度として定義される。
【0108】
サピエン酸、パルミトレイン酸、スフィンゴシン、フィトスフィンゴシンおよびジヒド
ロスフィンゴシンのMICは、それぞれ1~4ppm、1ppm、0.4ppm、0.2
ppmおよび0.2ppmであると測定された。チモールのMICは62.5ppmであ
り、テルピネオールのMICは1000ppmである。
【0109】
部分発育阻止濃度(FIC)
単離物および混合物中の抑制性抗菌剤の異なる挙動は、部分濃度(FC)および部分発
育阻止濃度(FIC)の考えを用いて広範にわたって考察されてきた。パラメータは以下
の通りに定義されることができる。
【0110】
FIC(要素a)= MIC(混合物中で試験される要素a)/MIC(単一活性成分として試験される要素)
相乗効果および相加性
単独で試験したとき、個々の要素の同等の総濃度に対し、得られた効果と同等である、より大きい、またはそれ未満であるかのいずれかによって、抗菌剤間の相互作用は付加的、相乗的または拮抗的であることができる。
【0111】
混合物中に存在する全ての要素についての部分MIC値を合計することにより、これら
の関係性は数学的に示され得、「部分発育阻止指数」を得る。付加性または拮抗性による
相乗効果を区別する、正確な限定的ΣFIC値を規定するという点では、学術または特許
文献中には一貫した取り組みが存在しない。本研究では、相乗的な挙動の根拠を示すよう
な、ΣFIC<0.9を有する任意の2成分の混合物を規定している進歩的な取り組みを
我々は採用してきた。
【0112】
ΣFIC=FIC(要素1)+FIC(要素2)
ΣFIC=1は、付加的な微生物の活性に対応する
ΣFIC>1は、拮抗性の微生物の活性に対応する
ΣFIC<0.9は、相乗的な微生物の活性に対応する
結果
実験を実施したエッセンシャルオイル活性成分(0~1000ppm)およびAML化
合物(0~100ppm)の濃度範囲に基づき、組合せのΣFICは、以下、表1で得ら
れる。
【表1】
【0113】
上記表中のデータは、チモールおよびテルピネオールのようなエッセンシャルオイル活
性成分と組み合わせる本発明の各抗菌性脂質は、相乗的な抗菌活性を表す。
【0114】
上述された実験は、invitroアッセイで実施され、相乗的抗菌剤の挙動を測定し
た。局所的な使用向けの組成物を調製するために使用される濃度は、大きく異なるであろ
うことが予想される。細胞レベルでの濃度と比較するとバルク内の濃度における相違点に
影響を及ぼす以下の理由により、濃度は1桁高い桁であり得る。組成物は、油相および水
相中にある望ましい活性成分の濃度に影響する非常に多くの追加成分を有するエマルショ
ンまたはゲルとして調合され得、これらは非常に異なり得る。
【0115】
それらは、分配係数、拡散速度、対流輸送速度および流動学的特性などの、非常に様々
である物理的ならびに流体力学的特性もまた有し得る。したがって、組成物として調合さ
れるとき使用されるべき濃度は、細胞レベルでの濃度と異なり得、実験が行われた際には
、通常の桁より1桁も高い桁であった。