(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】はめば歯車
(51)【国際特許分類】
F16H 55/12 20060101AFI20240115BHJP
F16H 1/12 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
F16H55/12 Z
F16H1/12
(21)【出願番号】P 2022519196
(86)(22)【出願日】2020-09-25
(86)【国際出願番号】 EP2020076975
(87)【国際公開番号】W WO2021058780
(87)【国際公開日】2021-04-01
【審査請求日】2022-04-27
(32)【優先日】2019-09-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】GB
(73)【特許権者】
【識別番号】515134368
【氏名又は名称】オカド・イノベーション・リミテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110003708
【氏名又は名称】弁理士法人鈴榮特許綜合事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100108855
【氏名又は名称】蔵田 昌俊
(74)【代理人】
【識別番号】100179062
【氏名又は名称】井上 正
(74)【代理人】
【識別番号】100199565
【氏名又は名称】飯野 茂
(74)【代理人】
【識別番号】100212705
【氏名又は名称】矢頭 尚之
(74)【代理人】
【識別番号】100219542
【氏名又は名称】大宅 郁治
(74)【代理人】
【識別番号】100153051
【氏名又は名称】河野 直樹
(74)【代理人】
【識別番号】100162570
【氏名又は名称】金子 早苗
(72)【発明者】
【氏名】ジョウ、ヨンジー
(72)【発明者】
【氏名】ザミット、ジョセフ
(72)【発明者】
【氏名】クラーク、ショーン
(72)【発明者】
【氏名】トーマス、ベン
(72)【発明者】
【氏名】シャープ、デイビッド
(72)【発明者】
【氏名】ジェルヤボフスキー、セルゲイ
(72)【発明者】
【氏名】ターナー、クリス
【審査官】小川 克久
(56)【参考文献】
【文献】特開平04-131553(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108061142(CN,A)
【文献】特開平10-196768(JP,A)
【文献】中国実用新案第201125999(CN,Y)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16H 55/12
F16H 1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
はめば歯車
(4)であって、
複数の歯を備える第1のはめば歯車部分
(41)と、
前記第1のはめば歯車部分
(41)と同じ数の歯を備える第2のはめば歯車部分
(42)とを備え、
前記第2のはめば歯車部分
(42)は、前記第1のはめば歯車部分
(41)から軸方向に離間して配置され、
前記第2のはめば歯車部分
(42)は、前記第1のはめば歯車部分
(41)と実質的に同じ円形ピッチを有し、
前記第2のはめば歯車部分
(42)の各歯は、前記第1のはめば歯車部分
(41)に対して前記円形ピッチの半分だけ回転方向にオフセットされ、
前記第1のはめば歯車部分
(41)の歯幅は、前記第1のはめば歯車部分
(41)の円形ピッチの実質的に半分であり、前記第2のはめば歯車部分
(42)の歯幅は、前記第2のはめば歯車部分
(42)の円形ピッチの実質的に半分である、はめば歯車
(4)。
【請求項2】
前記第2のはめば歯車部分
(42)と同じ歯数を備える第3のはめば歯車部分
(43)をさらに備え、
前記第3のはめば歯車部分
(43)は、前記第2のはめば歯車部分
(42)から軸方向に離間して配置され、
前記第3のはめば歯車部分
(43)は、前記第2のはめば歯車部分
(42)と実質的に同じ円形ピッチを有し、
前記第3のはめば歯車部分
(43)の各歯は、前記第2のはめば歯車部分
(42)に対して前記円形ピッチの半分だけ回転方向にオフセットされ、
前記第3のはめば歯車部分
(43)の歯幅は、前記第3のはめば歯車部分
(43)の円形ピッチの実質的に半分であることを特徴とする、請求項1に記載のはめば歯車
(4)。
【請求項3】
前記第3のはめば歯車部分
(43)と同じ歯数を備える第4のはめば歯車部分
(44)をさらに備え、
前記第4のはめば歯車部分
(44)は、前記第3のはめば歯車部分
(43)から軸方向に離間して配置され、
前記第4のはめば歯車部分
(44)は、前記第3のはめば歯車部分
(43)と実質的に同じ円形ピッチを有し、
前記第4のはめば歯車部分
(44)の各歯は、前記第3のはめば歯車部分
(43)に対して前記円形ピッチの半分だけ回転方向にオフセットされ、
前記第4のはめば歯車部分
(44)の歯幅は、前記第4のはめば歯車部分
(44)の円形ピッチの実質的に半分であることを特徴とする、請求項2に記載のはめば歯車
(4)。
【請求項4】
前記第4のはめば歯車部分
(44)と同じ歯数を有する第5のはめば歯車部分
(45)をさらに備え、
前記第5のはめば歯車部分
(45)は、前記第4のはめば歯車部分
(44)から軸方向に離間して配置され、
前記第5のはめば歯車部分
(45)は、前記第4のはめば歯車部分
(44)と実質的に同じ円形ピッチを有し、
前記第5のはめば歯車部分
(45)の各歯は、前記第4のはめば歯車部分
(44)に対して前記円形ピッチの半分だけ回転方向にオフセットされ、
前記第5のはめば歯車部分
(45)の歯幅は、前記第5のはめば歯車部分
(45)の円形ピッチの実質的に半分であることを特徴とする、請求項3に記載のはめば歯車
(4)。
【請求項5】
各歯が、軸方向に見たときにインボリュート歯車輪郭を有する、請求項1から4のいずれか一項に記載のはめば歯車
(4)。
【請求項6】
各歯が、半径方向に見たときに歯末のたけにおいて逃げを有する、請求項1から5のいずれか一項に記載のはめば歯車
(4)。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項に記載のはめば歯車
(4)と共に使用するためのラック
(6)であって、
複数の歯を備える第1の部分と、
前記第1の部分と同じ数の歯を備える第2の部分とを備え、
前記第2の部分は、前記第1の部分から横方向に離間して配置され、
前記第2の部分の各歯は、前記第1の部分に対して実質的にピッチの半分だけ長手方向にオフセットされ、
前記第1部分の歯幅は、前記第1部分のピッチの実質的に半分であり、前記第2部分の歯幅は、前記第2部分のピッチの実質的に半分である、ラック。
【請求項8】
再構成可能な物理トポロジーを有するクラスタ内の少なくとも1つの他の搬送装置と協働するように配置された搬送装置
(7)であって、
物品収容空間と、
前記少なくとも1つの他の搬送装置との相互作用によって前記クラスタ内で前記搬送装置
(7)の再配置を可能にするように配置された再配置ユニットとを備え、
前記再配置ユニットは、請求項1から
6のうちのいずれか一項に記載
のはめば歯車(4)である、搬送装置
(7)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2019年2月27日に出願された英国特許出願番号GB1913978.1号からの優先権を主張し、本出願のすべての内容は、参照によってここに組み込まれている。
【0002】
本発明は、一般に機械の分野に関し、より詳細には、2次元の噛み合いを可能にする特定のはめば歯車に関する。
【背景技術】
【0003】
はめば歯車(歯車とも呼ばれる)は、様々な目的のために機械の分野で一般に使用されている。しかしながら、基本的に、はめば歯車は、トルクを様々な方向に伝達するために使用される。はめば歯車は、別の歯付き部品(別のはめば歯車又はラックと呼ばれる直線状の歯付き部品など)と噛み合う歯(はめばとも呼ばれる)を含む。そのような装置は、動力源の速度、トルク及び/又は方向を変更するために使用されてもよい。はめば歯車がラックと共に使用されるとき、回転ではなく並進が生成される。
【0004】
特に興味深いケースは、第1の軸から第1の軸に垂直な第2の軸への動力の変換である。はめば歯車が並進する必要がない静的な場合には、ウォーム駆動及びベベル駆動が、90度にわたって動力を伝達するために一般に使用される。しかしながら、そのような装置は、はめば歯車が別の歯付き部品と係合したままで並進する必要がある場合、動作することができない。
【0005】
この問題を解決する1つの方法は、
図1に示すようなはすば歯車を使用することである。
図1において、第1のはすば歯車11は第2のはすば歯車12と噛み合っている。この点に関して、第2のはすば歯車12が移動するのを防止するために制動されるときに、第1のはすば歯車11は回転することができ、回転を使用してそれ自体を特定の方向に推進することができる。このようにして、第2のはすば歯車12を含む対応する軌道は、第1の歯車11の並進を容易にすることができる。はすば歯車では、歯すじが傾斜しており、これにより、平歯車よりも歯すじが強くなり、平歯車よりも噛み合い比が高いので雑音が小さくなる。動力伝達には、通常、はすば歯車が使用される。
【0006】
しかしながら、第2のはすば歯車12上で回転する第1のはすば歯車11の効果が第2のはすば歯車12上に軸方向の力をもたらすので、はすば歯車の使用は不利である。このような軸方向の力は、設計の複雑さを増すスラスト軸受の使用を必要とする。さらに、軸方向の力は、はめば歯車が上方及び横断方向の両方に移動しようとすることを意味する。1つの解決策は、第1のはすば歯車11を時計回り方向に回転させる一方で、第2のはすば歯車12を反時計回り方向に回転させ、それによって望ましくない力を相殺することである。
【0007】
しかしながら、この解決策は、はめば歯車の回転方向に一致させるために特定の歯パターンのラック、すなわち時計回り又は反時計回りのラックの使用を必要とする。これは、力のバランスが1つの移動方向においてのみ可能であることを意味する。
【0008】
図2に示されるように、複数のはすば歯車を備える装置30は、ラック33上に設けられ、1つ以上のはすば歯車の回転によってラック33を横切って並進するように配置される。この例では、装置30は、第1のはすば歯車31及び第2のはすば歯車32を備えている。第1及び第2のはすば歯車31及び32は、反対の回転方向であることに留意されたい。しかしながら、ラック33は、いずれかのホイールがその面上の任意の点で回転し、並進をもたらすことを可能にするように設けられる。見て分かるように、この特徴は、ラックに時計回り及び反時計回りの両方のらせんのための切り込みを設けることを必要とするが、余分な切り込みは、はめば歯車31とラック33との間の接触面積を減少させ、それによって力の伝達を減少させる。特に、ラック33の間隙は、各はすば歯車31とラック33との間の低い接触領域を強調する。
【0009】
これは、ラック33との十分な接触を維持するために、装置30上のはすば歯車の配置を制限し、そのような装置30の設計において望ましくない妥協をもたらす。
【0010】
したがって、はめば歯車とラック/他のはめば歯車との間の改善された係合機構が必要とされている。
【発明の概要】
【0011】
既知のはめば歯車設計における問題を考慮して、本発明は、垂直に動作するときにはめば歯車の向上した噛み合いを可能にする改良されたはめば歯車を提供することを目的とする。
【0012】
一般的に言えば、本発明は、はめば歯車の垂直な係合を可能にすると同時にそのようなはめば歯車の並進を可能にするために、特定の寸法及び歯形を有する多重はめば歯車設計を導入する。
【0013】
本発明によれば、複数の歯を備える第1のはめば歯車部分と、第1のはめば歯車部分と同じ数の歯を備える第2のはめば歯車部分とを備えるはめば歯車が提供される。第2のはめば歯車部分は、第1のはめば歯車部分から軸方向に離間して配置され、第2のはめば歯車部分は、第1のはめば歯車部分と実質的に同じ円形ピッチを有し、第2のはめば歯車部分の各歯は、第1のはめば歯車部分に対して円形ピッチの半分だけ回転方向にオフセットされ、第1のはめば歯車部分の歯幅は、第1のはめば歯車部分の円形ピッチの実質的に半分であり、第2のはめば歯車部分の歯幅は、第2のはめば歯車部分の円形ピッチの実質的に半分である。
【0014】
本発明はさらに、前述のはめば歯車と共に使用するためのラックを提供し、ラックは、複数の歯を備える第1の部分と、第1のはめば歯車部分と同じ数の歯を備える第2の部分とを備える。第2の部分は、第1の部分から横方向に離間して配置され、第2の部分の各歯は、第1の部分に対して実質的にピッチの半分だけ長手方向にオフセットされ、第1の部分の歯幅は、第1の部分のピッチの実質的に半分であり、第2の部分の歯幅は、第2の部分のピッチの実質的に半分である。
【0015】
本発明はさらに、再構成可能な物理トポロジを有するクラスタ内の少なくとも1つの他の搬送装置と協働するように構成された搬送装置であって、物品収容空間と、少なくとも1つの他の搬送装置との相互作用によってクラスタ内で搬送装置の再配置を可能にするように構成された再配置ユニットとを備える搬送装置を提供する。再配置ユニットは、前述のようなはめば歯車である。
【図面の簡単な説明】
【0016】
次に、本発明の実施形態が、添付図面を参照して、例としてのみ説明され、それにおいて、同様の参照番号は、同じ又は対応する部分を指し示す。
【
図1】
図1は、既知のシステムによる2つのはすば歯車の垂直係合のダイヤグラムである。
【
図2】
図2は、ラック上の装置の並進を可能にするためのラック上のはすば歯車の使用を示すダイヤグラムである。
【
図3】
図3は、はめば歯車形成の原理を理解するのに有用な標準的用語のダイヤグラムである。
【
図4】
図4は、本発明の第1の実施形態によるはめば歯車のダイヤグラムである。
【
図5】
図5は、本発明の第1の実施形態によるはめば歯車の軸方向図を、歯形の詳細な画像と共に示すダイヤグラムである。
【
図6】
図6は、本発明の第1の実施形態によるはめば歯車の半径方向図を、歯形の詳細な画像と共に示すダイヤグラムである。
【
図7】
図7は、本発明の第1の実施形態による修正されたはめば歯車のダイヤグラムである。
【
図8】
図8は、本発明の第1の実施形態による2つのはめば歯車の噛み合いのダイヤグラムである。
【
図9】
図9は、第2のはめば歯車と噛み合う第1のはめば歯車の軸方向図を示すダイヤグラムであり、各はめば歯車は、本発明の第1の実施形態によるものである。
【
図10】
図10は、第2のはめば歯車と噛み合う第1のはめば歯車の半径方向図を示すダイヤグラムであり、各はめば歯車は本発明の第1の実施形態によるものである。
【
図11】
図11は、本発明の第1の実施形態によるラックを示すダイヤグラムである。
【
図12】
図12は、本発明の第1の実施形態によるラック及びはめば歯車を備える搬送装置を示す。
【
図13】
図13は、本発明の第1の実施形態によるはめば歯車とその駆動配置とを備える搬送装置の面を示す。
【
図14】
図14は、本発明の第1の実施形態によるはめば歯車を備える搬送装置の断面図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0017】
第1の実施形態
図3は、標準的な平歯車、すなわちストレートカットはめば歯車の例示的な断面を示す。関連する用語について簡単な説明が提供されるが、はめば歯車の他の特定の寸法に関連する他の多くの用語が当技術分野には存在する。
【0018】
図3を参照すると、はめば歯車10は、以下のように定義される様々な寸法で印付けて示される。
【0019】
歯の数、N
歯車が歯をいくつの有するか、整数。
【0020】
接触の経路
経路の後に2つの噛み合う歯車の歯の間の接触点が続く。
【0021】
作用線、圧力線
2つの噛み合う歯車の歯の間の力が方向付けられる線。
それは、力ベクトルと同じ方向を有する。
一般に、作用線は、一対の歯の係合期間中に時々刻々と変化する。
しかし、インボリュート歯車の場合、歯から歯への力は常に同じ線に沿って方向付けられ、すなわち、作用線は一定である。
これは、インボリュート歯車の場合、接触経路も直線であり、実際の場合と同様に作用線と一致することを意味する。
【0022】
軸
歯車の回転軸;シャフトの中心線。
【0023】
ピッチ点
作用線が2つの歯車軸を結ぶ線と交差する点。
【0024】
ピッチ円、ピッチ線
軸を中心とし、軸に垂直であり、ピッチ点を通過する円。円弧歯厚、圧力角及びらせん角が規定される歯車上の予め定められた直径位置。
(動作する)ピッチ円は、回転のピッチ面と回転平面との交差曲線である。噛み合う歯車のピッチ円と滑りなく転動するのはこの仮想円である。これらは噛み合う歯車の輪郭である。多くの重要な測定が、この円上で及びこの円から行われる。
【0025】
歯末のたけ、a
ピッチ面から歯の最外点までの半径方向距離。
a=(Do-D)/2
【0026】
歯元のたけ、b
歯の深さからピッチ面までの半径方向距離。
b=(D-谷径)/2
【0027】
円形ピッチ、p
ピッチ円に沿って測定された、歯の1つの面から同じ歯車上の隣接する歯の対応する面までの距離。
【0028】
モジュール又はモジュラス、m
無理数を用いて円形ピッチを計算することは実際的ではないので、機械技術者は通常、代わりにそれを正則値で置き換えるスケーリング係数を使用する。
これは、歯車のモジュール又はモジュラスとして知られており、単に次のように定義される。
m=p/π
【0029】
モジュラスはまた、歯の数N及びはめば歯車の(ピッチ円に対応する)ピッチ直径dに関して表されてもよい。特に以下の通りである。
m = d / N
【0030】
圧力角、θ
歯が互いに力を及ぼす方向と2つの歯車の中心を結ぶ線との間の角度の補数である。
インボリュート歯車について、歯は常に作用線に沿って力を及ぼし、作用線はインボリュート歯車について、直線であり、したがって、インボリュート歯車について、圧力角は一定である。
【0031】
谷径
歯の基部で測定された歯車の直径。
【0032】
基礎円
インボリュート歯車では、歯形は基礎円のインボリュートによって生成される。
基礎円の半径は、ピッチ円の半径よりも幾分小さい。
【0033】
円弧歯厚
指定された基準円上の、歯車の歯の2つの側面の間の弧の長さ。
【0034】
歯幅
歯車の歯幅は、軸方向平面における歯の長さである。
二重らせんについては、間隙を含まない。
【0035】
ピッチ
ピッチは、1つの歯上の点と、隣接する歯上の対応する点との間の距離である。これは、横断方向、法線方向、又は軸方向の、線又は曲線に沿って測定される寸法である。制限なしに単一の単語ピッチを使用することは、曖昧である可能性があり、この理由のために、横方向円形ピッチ、標準ベースピッチ、軸方向ピッチなどの特定の指定を使用することが好ましい。
【0036】
歯底
歯底は、フィレット(fillet)に隣接する歯車の歯の空間の底部における表面である。
【0037】
歯先
歯先は、歯車の歯の頂部の(時には平坦な)表面である。
【0038】
クリアランス
歯車の歯元円とその対になる歯先円との間の距離。
【0039】
図4は、本発明の第1の実施形態によるはめば歯車4を示す。はめば歯車4は、同様の設計の他のはめば歯車4と共に使用するように設計されており、その結果、はめば歯車の軸が互いに垂直に配置されたときに効果的な噛み合いが達成される。このようにして、はめば歯車は、並進を可能にするように、他のはめば歯車の表面をラックとして有効に使用して互いにわたって並進することができる。さらに、はめば歯車4は、ラックと共に使用するために設計され、長手方向又は横方向、すなわち互いに垂直な方向のいずれかにおいてラックの表面にわたるはめば歯車の並進を可能にする。
【0040】
これを達成するために、はめば歯車4は、第1のはめば歯車部分41及び第2のはめば歯車部分42を備える。各はめば歯車部分は、はめば歯車上に通常見られる特徴、すなわち、一貫した歯形の等間隔の歯で形成される。これに関して、各はめば歯車部分は実質的に同一であるが、はめば歯車部分の方向は他のはめば歯車部分に対して異なる。
【0041】
図4は2つのはめば歯車部分を示しているが、2つより多いはめば歯車部分が単一のはめば歯車4に形成されてもよいことが想定される。例えば、後述するように、5つの歯車部分を一緒に形成して特定の利点を提供することができる。
【0042】
より詳細には、第1歯車部分41と第2歯車部分42とが一体的に形成されていてもよい。その機能を達成するために、第2のはめば歯車部分42の配置は、第1のはめば歯車部分41に対して注意深く選ばれる。第2のはめば歯車部分42及び第1のはめば歯車部分41は、同軸上で回転するように軸方向に取り付けられる。さらに、第2歯車部分42は、第1歯車部分41から軸方向に離間して配置されている。はめば歯車部分は、
図4に示すように、軸方向に互いに直接隣接して配置することができる。
【0043】
特に、第2のはめば歯車部分42は、第1のはめば歯車部分41に軸方向に隣接して配置される。さらに、第2のはめば歯車部分42は、軸方向に見たときに第1のはめば歯車部分41の歯末のたけが第2のはめば歯車部分42の歯元のたけと実質的に位置合わせされるように、共通軸を中心としてさらに回転される。
図4に示すように、第2のはめば歯車部分42の各歯は、第1のはめば歯車部分41に対して歯の半分だけ回転方向にオフセットされており、これにより、第2のはめば歯車(図示せず)が第1のはめば歯車4の回転方向に対して垂直に並進することが可能になる。このようにして、第1のはめば歯車4は、それを垂直に横切って(すなわち、第1のはめば歯車4の軸方向に)移動する第2のはめば歯車(図示せず)のためのラックを模倣するように設定されてもよい。
【0044】
図4に見られるように、第1のはめば歯車部分41及び第2のはめば歯車部分42は、それらのそれぞれの部分上に同じ数の歯を有する。さらに、各歯車部分は、実質的に同じ直径である。したがって、円形ピッチは歯車部間で実質的に同じである。
【0045】
第1のはめば歯車部分41に対する第2のはめば歯車部分42の回転オフセットに関して、このオフセットは、第2のはめば歯車部分42の歯が第1のはめば歯車部分41の歯と正確に位置ずれするように配置される。換言すれば、第2のはめば歯車部分42の歯は、円形ピッチの半分に実質的に等しい距離だけ第1のはめば歯車部分41に対して回転方向にオフセットして配置される。このようにして、第2のはめば歯車部分42の各歯の歯先の中央は、第1のはめば歯車部分41の各歯底の中央と位置合わせされる。
【0046】
また、第1歯車部分41及び第2歯車部分42のそれぞれの歯幅は、実質的に等しく、本発明の第1の実施形態による2つの歯車4が垂直に噛み合うことを可能にする距離であるように選択される。これを達成するために、各はめば歯車部分の歯幅は、円形ピッチの半分に等しくなるように選択される。前述したように、歯車部分の各々は、実質的に同じ円形ピッチを有するように選択される。別の方法で表現すると、各歯の歯幅は、πを乗じたモジュラスの半分に実質的に等しい。
【0047】
先の定義で説明したように、円弧歯厚は、歯のエッジ間の弧長である。等間隔の歯の場合、円弧歯厚は円形のピッチの半分に等しい。したがって、はめば歯車部分上の各歯の歯幅は、円弧歯厚に実質的に等しいと予想され、すなわち、各歯は、(軸方向に見たときに)その深さと実質的に同じ幅である。
【0048】
図5は、軸方向におけるはめば歯車4の図を示す。示されるように、第1のはめば歯車部分41と第2のはめば歯車部分42とは、歯の頂部が歯底の中間と一致するように、又はその逆となるように位置合わせされる。このようにして、歯の側面は、90度で噛み合う2つの平歯車の場合、並びにラック及びピニオンシステムの場合と同様に、摺動することなく軸方向負荷に対処することができる。
【0049】
図5はまた、はめば歯車4の歯の軸方向からの歯形をより詳細に示している。特に、インボリュート歯形が、はめば歯車4の機能に最も有益であることが分かった。このようにして、はめば歯車4の挙動は、ラックアンドピニオンシステムの挙動を最もよく模倣する。
図5に見られるように、半径方向に配置された歯は、それぞれインボリュート歯車輪郭である。インボリュート方程式は次のように定義され:
x=a(cos(t)+t*sin(t))
y=a(sin(t)-t*cos(t))
円中心(0,0)及び半径aで、曲線は(a,0)で始まる。
【0050】
図5に示すように、各歯は、
図5に示すはめば歯車上で動作するときに、対応するはめば歯車の滑らかな動きを向上させるために、ルートクリアランス411を特徴とすることができる。
【0051】
図6は、半径方向におけるはめば歯車4の図を示している。さらに、歯形の図も示されている。見て分かるように、この図からの歯形は、
図5に示されるものとは異なる。したがって、はめば歯車4は、軸方向歯形と半径方向歯形との間に非対称性を含む。特に、軸方向に選ばれた歯形は、軸に垂直な方向に効果的な係合を可能にするように選ばれる。
【0052】
より具体的には、はめば歯車4を半径方向に見たときに見られる歯形は、はめば歯車を軸方向に見たときに使用されるインボリュート輪郭とは異なるように選択された。
図6に示される歯形は、輪郭が実質的に矩形である(軸方向にはめば歯車4を見たときに見られるインボリュート形状とは異なる)。さらに、ルートクリアランスは
図6の方向には提供されない。代わりに、歯車4を軸方向に見たときに存在する歯元のたけによって提供されるルートクリアランスは、追加の/より伝統的なルートクリアランスを形成する必要なしに、90度で噛み合う歯車4の滑らかな動きを可能にするのに十分である。このようにして、歯は、歯を横切って移動する第2のはめば歯車が滑らかな動きを経験するように、従来のラック及びピニオンシステムの輪郭を厳密に模倣する。軸方向にさらなるルートクリアランスを必要としないことによって、歯間の接触面積が最大化される。
【0053】
はめば歯車4を半径方向に見たときに各歯形の先端に向かってクリアランス412(レリーフとしても知られる)を設けることによって、改善された性能が達成できることがさらに見出された。特に、各歯の先細先端は、90度で噛み合うはめば歯車からの歯の係合を容易にすることが分かった。これについて、第1のはめば歯車と直交する第2のはめば歯車4がスムーズに転動するように、各歯の歯末のたけは、ラックに類似して形成されている。このようにして、歯形は、典型的に提供される半円形のルートクリアランスのないインボリュートラック輪郭のものに似ている(適切なルートクリアランスが垂直軸において既に提供されているため)。
【0054】
このようにして、ラック上で回転するはめば歯車4と、第2のはめば歯車4が第1のはめば歯車4に対して軸方向に垂直に回転するときとの両方で、連続的な接触及び力の伝達が首尾よく提供される。
【0055】
第1の実施形態のはめば歯車4は、はすば歯車と比較して大幅に改善された性能を提供することが分かった。特に、歯車4は、移動方向以外の方向に存在する望ましくない力を受けない。さらに、ラックと共に使用されるとき、使用されるラックは、
図2に示されるような大きな間隙を受けない。
【0056】
第1の実施形態によるはめば歯車4は、別のはめば歯車4によって垂直方向に横断されるとき、いかなる回転力も受けず、すなわち、その円周に対して接線方向に力を受けない。これにより、望ましくない力に対抗する際の複雑さが除去される。
【0057】
任意選択で、半径方向にはめば歯車を見たときに、各歯の根元でフィレットのサイズを大きくすることができる。このようにして、歯形413の比較的急峻な下側部分は、その根元において平滑化されてもよい。これにより、接触面積が増大し、力の伝達が改善される。
【0058】
図7は、2つより多くのはめば歯車部分を含むはめば歯車4の例を示す。特に、
図7に示されるはめば歯車4は、ラック又は同等のはめば歯車4と噛み合うときに改善された力伝達を提供する5つのはめば歯車部分41から45を備える。先に説明したように、各はめば歯車部分41-45は同一数の歯を含み、各々は実質的に同じ直径であり、それによって実質的に同様の円形ピッチがもたらされる。
図4に示されるはめば歯車4と同様に、各はめば歯車部分は、それに先行するはめば歯車部分に対して回転軸において、すなわち円形ピッチの半分だけオフセットされる。例えば、第2のはめば歯車部分42は、第1のはめば歯車部分41と比較して回転方向に円形ピッチの半分だけオフセットして配置されている。同様に、第3のはめば歯車部分43は、第2のはめば歯車部分42と比較して回転方向に円形ピッチの半分だけオフセットして配置されている。これにより、第3のはめば歯車部分43と第1のはめば歯車部分41とが軸回りに回転可能に位置合わせされる。同様に、第4のはめば歯車部分44と第2のはめば歯車部分42も回転方向に位置合わせされる。同様に、第5のはめば歯車部分45、第1のはめば歯車部分41、及び第3のはめば歯車部分43も回転方向に位置合わせされる。
【0059】
また、第1から第5のはめば歯車部分41から45のそれぞれの歯幅は実質的に同一であり、軸方向から見たときにはめば歯車4の円形ピッチの半分である。このようにして、はめば歯車4は、垂直に回転するはめば歯車4による効率的な横断のために軸方向に同等のラックを提供するように配置される。
【0060】
図8-10は、本発明の第1の実施形態による、2つのはめば歯車4の想定されるかみ合いのダイヤグラムを提供する。この例では、静止したままである第2の歯車52の上を回転する第1のはめば歯車51として説明する。このようにして、第2の歯車52は、第1のはめば歯車51が回転するラックを提供する。第1のはめば歯車51の軸は、その回転の結果として横方向に移動することが予想される。一方、この例では、第2のはめば歯車52の回転も並進も想定されない。
【0061】
より具体的には、
図8は、第2のはめば歯車52と90度で噛み合う第1のはめば歯車51のシナリオを示す。見て分かるように、第1のはめば歯車51を軸方向に見たときに見られる歯形は、第2のはめば歯車52を半径方向に見たときに見られる歯形と係合している。したがって、第2のはめば歯車52の歯形は、標準ラックの歯形に最もよく似ているように構成されており、第1のはめば歯車51の並進のために用いられている。
【0062】
図9は、第2のはめば歯車52の回転軸に垂直な第1のはめば歯車51の回転軸と一致する方向からの噛み合いを示す。
図9のダイヤグラムでは、第1のはめば歯車51はページに対して左から右に移動することができ、一方、第2のはめば歯車52は静止したままである。見て分かるように、第1のはめば歯車51のインボリュート歯形(その軸方向に見て)は、第2のはめば歯車52のより直線的であるがテーパ状の歯末のたけである、歯形(その半径方向に見て)と係合している。
【0063】
図10は、今度は第1のはめば歯車51がページの中に又はページから外に、すなわち見る人に向かって又は見る人から離れるように移動するさらなるダイヤグラムを示す。この図では、第2のはめば歯車52は、そのインボリュート歯形を強調して軸方向に示されている。この例では、第2のはめば歯車52は静止して保持されているが、各はめば歯車は効果的に交換可能であり、すなわち両方とも前述した適切な軸方向及び半径方向の歯形を有し、次いで第1のはめば歯車51を静止して保持し、一方で第2のはめば歯車52を駆動して効果的に並進させることができる。第1の実施形態によるはめば歯車4の特定の利点は、他のはめば歯車4のためのラックを提供するだけでなく、動力を供給され、それによってラック上及び他のはめば歯車4上を並進することもできる静止歯車の能力である。
【0064】
図11は、本発明の第1の実施形態のはめば歯車4と共に使用するために配置された対応するラック6を示す。この例では、ラックは搬送装置のパネル上に示されており、その使用については後述する。図から分かるように、ラック6は、既存のラックとは異なる歯の特定の配置を有する。これは、歯車4と係合するように設けられている。
【0065】
特に、ラック6は、各々が複数の歯を含む少なくとも2つの部分から形成される。第1の部分及び第2の部分は、互いに隣接して配置される。ピッチは、ラック6上の1つの歯の始まりから次の歯の始まりまでの距離として測定することができる。したがって、ピッチは歯形とくぼみとからなる。第2の部分は、ピッチの半分だけ第1の部分から長手方向にオフセットされる。このようにして、第2の部分における各歯の中央は、第1の部分におけるくぼみの中央と実質的に位置合わせされる。
【0066】
さらに、第1の部分及び第2の部分における歯幅(すなわち、各歯の厚さ)は、実質的に同じである。さらに、第1の部分及び第2の部分の歯幅は、実質的にピッチの半分である。このようにして、はめば歯車4は、妨害されることなくラック6を横切って長手方向又は横方向に移動することができる。
【0067】
ラック6の歯形は、はめば歯車4との動作のために最適化されることができることが想定される。例えば、軸方向から見てはめば歯車4に使用される比較的真っ直ぐな歯形は、ラック6の長手方向軸及び横方向軸の両方に使用することができる。しかしながら、他の歯形が使用されてもよい。例えば、ラック6に使用される歯形は、インボリュート歯形を特徴とするはめば歯車と共に典型的に使用されるラックに見られるものを含むことが想定される。
【0068】
任意選択で、フィレットは、各歯の根元において横方向にサイズが増大されてもよい。このようにして、歯形の比較的急峻な下側部分は、その根元において横方向に平滑化されてもよい。これにより、接触面積が増大し、力の伝達が改善される。
【0069】
図11に示すラックは、各ラック内に5つの部品、すなわちラック上に横方向に配置された5列の歯を有するものとして示されている。このようにして、
図7に示すはめば歯車4をラック上で使用することができる。しかしながら、任意の数の部品が使用されてもよい。歯の複数の列の使用は、ラック上のより広い歯幅を可能にし、より少ない列と比較してより多くの力伝達を可能にするが、全幅は同じである。
【0070】
図12-
図14は、搬送装置7及び他の搬送装置7のクラスタで動作するように配置されたその構成要素を示す。このような搬送装置の概念は、2017年10月4日に出願され、2018年10月3日にPCT/EP2018/076928(WO2019068775A1として公開)として再出願されたOcado Innovation Limitedの英国特許出願第1716204.1号(それぞれOcado Innovation Limitedの参照番号000113 GB及び000113 WO)に記載されており、これらの出願の両方の内容は参照により本明細書に組み込まれる。要約すると、これらの出願は、再構成可能な物理トポロジーを有するクラスタ内の少なくとも1つの他の搬送装置と協働するように配置された搬送装置7の使用を開示する。搬送装置は、物品収容空間と、少なくとも1つの他の搬送装置との相互作用によってクラスタ内で搬送装置の再配置を可能にするように配置された再配置ユニットとを備える。
【0071】
このような搬送装置7が直面する特定の問題は、搬送装置7のクラスタの周りで搬送装置7を並進させる必要性である。これを達成するために、各搬送装置7は、搬送装置7を並進させる機構を備える4つの能動面を備える。このようにして、各面は、隣接する搬送装置7上の対応する面との相互作用を使用して、3次元での移動を可能にすることができる。これまでの機構の例は、クラスタの搬送装置7を移動させるために電磁石及びこれに類するものを使用する磁気機構が含まれる。しかしながら、これらは制御するのが難しく、比較的高価である。
【0072】
しかしながら、本発明の第1の実施形態のはめば歯車4を本発明の第1の実施形態のラックと共に用いることによって、コスト及び制御に関する従来の問題を排除することができる。
【0073】
図12に見られるように、搬送装置7の第1の面71及び第2の面72が示されている。第1の面71は、面を横切って水平に配置された2つのラック6を備え、ラック6は、垂直方向で配置されたはめば歯車4のための間隙を有し、すなわち、それらの回転軸が面を横切って水平に延びる。このような面は、クラスタ内の隣接する搬送装置7上に配置される対応する第2の面72と相互作用する。第2の面72(
図12に示す搬送装置7上の第1の面71に対して垂直に設置される)は、面上に垂直に配置された2つのラック6と、回転軸が垂直になるように配置されたはめば歯車4とを備え、したがって、歯車は概ね水平に配置される。第1の面71と第2の面72との相互作用は、上述したように、2つのはめば歯車4が互いに90度で噛み合うことを自然にもたらす。しかしながら、前述したようなはめば歯車4の革新的な設計により、一方のはめば歯車4を静止状態に保持することによって、噛み合うはめば歯車4を静止したはめば歯車4を横切って移動及び並進させ、次いではめば歯車4の両側でラック6と係合させることができる。このようにして、効率的な2次元並進を達成することができる。
【0074】
各歯車部分の直径、その幅、歯数等を考慮することにより、垂直に移動するはめば歯車に対して効率的な噛み合いを行うことができる。はめば歯車4が別のはめば歯車4の上を滑らかに、及びいずれかの側のラックと干渉することなく移動するために、それが移動するはめば歯車4は十分に広くなければならないか、又は移動するはめば歯車4は、移動するはめば歯車4の歯がラック6と接触しないことを確実にするために(より小さい半径を)十分に迅速に湾曲しなければならない。
【0075】
図13は、搬送装置7の面上の4つのはめば歯車4のための取り付け機構の例を示す。この例では、単一のモータ73を使用して、軸及びドライブトレインと共にはめば歯車4を駆動して、歯車4のそれぞれに原動力を伝達することができる。各はめば歯車4を別のはめば歯車4又はラック6と接触した状態に保つためにばね張力を使用することによって、はめば歯車4の正確な噛み合いを確実にするために、ばねセクションが(コンプライアント機構又はこれに類するものによって)そのような構造に含まれてもよい。
【0076】
図14は、単一の搬送装置7において面が別の面とどのように互いにぴったり合うかを示す、搬送装置7内部の断面図を示す。
【0077】
クラスタ内の個々の搬送装置7の制御に関して、面は、搬送装置7及び/又は搬送装置7のスタックと相互作用する。そのような制御ストラテジーは、2017年10月4日に出願され、2018年10月3日にPCT/EP2018/076933(WO2019068778A1として公開)として再出願されたOcado Innovation Limitedの英国特許出願第1716201.7号(それぞれOcado Innovation Limitedの参照番号000164 GB及び000164 WO)において扱われており、これらの出願のすべての内容は参照により本明細書に組み込まれる。この相互参照文献では、搬送装置7は搬送容器と呼ばれ、そのような用語は交換可能に使用されてもよいことが想定される。
【0078】
修正及びバリエーション
本発明の範囲から逸脱することなく、上述の実施形態に多くの修正及びバリエーションを行うことができる。
【0079】
はめば歯車4は、変形に抵抗するのに適した任意の種類の材料で作製することができる。
例えば、はめば歯車4及び/又はラック6は、特定の用途に応じて、プラスチック、金属、木材又は複合材料から作製することができる。1つの特定の例では、歯車4及び/又はラック6は、金属から作製され、次いで磁化されてもよい。このようにして、はめば歯車4とラック6とを互いに引き付けるようにすることができる。このようにして、搬送装置7に適用されたとき、搬送装置7は、ばらばらにならず、磁気引力によるより複雑なホイール設計なしに、滑りのない良好な牽引を提供する。
【0080】
磁気引力の代替として、静電引力が代わりに歯車4及び/又はラック6に適用されることができる。例えば、このアプローチは、プラスチックから形成されたはめば歯車4及び/又はラック6に対して特に良好に機能する。
【0081】
別の例では、はめば歯車4は、通信伝達機構及び/又は電力伝達機構が提供されるように配置されてもよい。このようにして、はめば歯車4の本体内に設けられた電子機器に電力及び/又は通信手段を供給することができる。例えば、(例えば、傾斜センサなどを用いてはめば歯車4の回転を測定するための)感知ユニットをはめば歯車4内に設けることができ、感知ユニットには電力を供給することができ、したがって通信伝達機構及び電力伝達機構によって情報を伝達することもできる。これを達成するために、はめば歯車4に、回転するはめば歯車4から電力/通信を伝達するために少なくとも1つのブラシと接触するスリップリングを設けることができる。
【0082】
図12は、搬送装置7上に実現された歯車4及びラック6を描いているが、範囲はそのような装置のみに限定されない。特に、はめば歯車4は、搬送装置7の基部に取り付けられてもよく、ラック6は、床及び/又は下にある搬送装置7の上部リップ/縁部に設置されてもよい。このようにして、搬送装置7は、同じZレベル(垂直レベル)上の他の何らかの搬送装置7なしに、X/Y方向に移動させることができる。
【0083】
図12は、はめば歯車4及びラック6の1つの可能な配置を示すが、他の配置も想定される。例えば、各搬送装置7により多くの歯車4及びラック6を追加してもよい。これにより、隣接する搬送装置7と完全に位置合わせされた位置だけでなく、1つの搬送装置7上への途中及び別の搬送装置上への途中での垂直移動が可能になる。このようにして、異なる寸法の搬送装置7が互いに相互作用することができる。
【0084】
本明細書に記載されるはめば歯車4は、露出される同じ歯形でベルトを形成してもよく、隣接する搬送装置7と相互作用することができてもよい。換言すれば、はめば歯車4のキャタピラ軌道を形成する。これは、搬送装置7間のより大きな接触を提供し、搬送装置7が多くのキャタピラ軌道で覆われる場合、これは、搬送装置7が、ちょうど完全に位置合わせされた位置よりもそれらの隣接するものに対してより多くの位置で移動することを可能にする。
【0085】
前述のはめば歯車4は、各はめば歯車部分41及び42上に同じ数の歯を有して示され、歯のモジュールは、はめば歯車部分41及び42とラック6との間で同じであり、はめば歯車部分41及び42は同じ半径を有し、隣接するはめば歯車部分41及び42は回転方向に正確に円形ピッチの半分だけオフセットされ、はめば歯車部分41及び42は同じ幅である。これらのパラメータのそれぞれは、例えば、歯の数を変化させることによって修正されてもよく、本明細書に開示される本発明の概念を依然として適用してもよいことが想定される。
【0086】
より具体的には、各はめば歯車部分41及び42は異なる数の歯を有してもよく、各はめば歯車部分41及び42の歯とラック6の対応する部分とは異なるモジュールであってもよく、はめば歯車部分41及び42は同じ半径を有する必要はなく、隣接するはめば歯車部分41及び42は回転方向に円形ピッチの半分より大きい又はそれ未満の量だけオフセットされてもよく、歯車部分41及び42は同じ幅である必要はない。はめば歯車部分41及び42、並びにラック6に作られた面及びレリーフは、十分な力の伝達を可能にしながら、はめば歯車4及びラック6が意図されたように動作するための適切なクリアランスを提供するように適合されてもよい。すべての構成が有効であるとは限らないが、材料最適化の目的のために、又は1つのシステムにおける複数の構成の利点を実現するために、はめば歯車4及びラック6に対するそのような修正は、関連する用途に対して十分な力の伝達が達成可能であるという条件で、有用であることを証明できることが想定される。
【0087】
さらに、はめば歯車部分41及び42は、噛み合うように軸方向に正確に隣接して配置される必要はなく、軸方向における歯車部分41及び42の他の間隔は、対応するラック6に対する適切な修正を考慮して許容されてもよい。
【0088】
本発明の実施形態の前述の説明は、実例及び説明の目的で提示されている。本開示を開示したまさにその形態に網羅する又は限定することを意図してはいない。本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、修正及びバリエーションを行うことができる。
以下に、本願出願の当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[1] はめば歯車であって、
複数の歯を備える第1のはめば歯車部分と、
前記第1のはめば歯車部分と同じ数の歯を備える第2のはめば歯車部分とを備え、
前記第2のはめば歯車部分は、前記第1のはめば歯車部分から軸方向に離間して配置され、
前記第2のはめば歯車部分は、前記第1のはめば歯車部分と実質的に同じ円形ピッチを有し、
前記第2のはめば歯車部分の各歯は、前記第1のはめば歯車部分に対して前記円形ピッチの半分だけ回転方向にオフセットされ、
前記第1のはめば歯車部分の歯幅は、前記第1のはめば歯車部分の円形ピッチの実質的に半分であり、前記第2のはめば歯車部分の歯幅は、前記第2のはめば歯車部分の円形ピッチの実質的に半分である、はめば歯車。
[2] 前記第2のはめば歯車部分と同じ歯数を備える第3のはめば歯車部分をさらに備え、
前記第3のはめば歯車部分は、前記第2のはめば歯車部分から軸方向に離間して配置され、
前記第3のはめば歯車部分は、前記第2のはめば歯車部分と実質的に同じ円形ピッチを有し、
前記第3のはめば歯車部分の各歯は、前記第2のはめば歯車部分に対して前記円形ピッチの半分だけ回転方向にオフセットされ、
前記第3のはめば歯車部分の歯幅は、前記第3のはめば歯車部分の円形ピッチの実質的に半分であることを特徴とする、[1]に記載のはめば歯車。
[3] 前記第3のはめば歯車部分と同じ歯数を備える第4のはめば歯車部分をさらに備え、
前記第4のはめば歯車部分は、前記第3のはめば歯車部分から軸方向に離間して配置され、
前記第4のはめば歯車部分は、前記第3のはめば歯車部分と実質的に同じ円形ピッチを有し、
前記第4のはめば歯車部分の各歯は、前記第3のはめば歯車部分に対して前記円形ピッチの半分だけ回転方向にオフセットされ、
前記第4のはめば歯車部分の歯幅は、前記第4のはめば歯車部分の円形ピッチの実質的に半分であることを特徴とする、[2]に記載のはめば歯車。
[4] 前記第4のはめば歯車部分と同じ歯数を有する第5のはめば歯車部分をさらに備え、
前記第5のはめば歯車部分は、前記第4のはめば歯車部分から軸方向に離間して配置され、
前記第5のはめば歯車部分は、前記第4のはめば歯車部分と実質的に同じ円形ピッチを有し、
前記第5のはめば歯車部分の各歯は、前記第4のはめば歯車部分に対して前記円形ピッチの半分だけ回転方向にオフセットされ、
前記第5のはめば歯車部分の歯幅は、前記第5のはめば歯車部分の円形ピッチの実質的に半分であることを特徴とする、[3]に記載のはめば歯車。
[5] 各歯が、軸方向に見たときにインボリュート歯車輪郭を有する、[1]から[4]のいずれか一項に記載のはめば歯車。
[6] 各歯が、半径方向に見たときに歯末のたけにおいて逃げを有する、[1]から[5]のいずれか一項に記載のはめば歯車。
[7] [1]から[6]のいずれか一項に記載のはめば歯車と共に使用するためのラックであって、
複数の歯を備える第1の部分と、
前記第1の部分と同じ数の歯を備える第2の部分とを備え、
前記第2の部分は、前記第1の部分から横方向に離間して配置され、
前記第2の部分の各歯は、前記第1の部分に対して実質的にピッチの半分だけ長手方向にオフセットされ、
前記第1部分の歯幅は、前記第1部分のピッチの実質的に半分であり、前記第2部分の歯幅は、前記第2部分のピッチの実質的に半分である、ラック。
[8] 再構成可能な物理トポロジーを有するクラスタ内の少なくとも1つの他の搬送装置と協働するように配置された搬送装置であって、
物品収容空間と、
前記少なくとも1つの他の搬送装置との相互作用によって前記クラスタ内で前記搬送装置の再配置を可能にするように配置された再配置ユニットとを備え、
前記再配置ユニットは、[1]から[7]のうちのいずれか一項に記載にしたがう、搬送装置。