(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】マイクロパターンおよび/またはナノパターンをエンボス加工する装置および方法
(51)【国際特許分類】
B29C 59/02 20060101AFI20240115BHJP
H01L 21/027 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
B29C59/02 Z
H01L21/30 502D
(21)【出願番号】P 2022523347
(86)(22)【出願日】2019-11-19
(86)【国際出願番号】 EP2019081853
(87)【国際公開番号】W WO2021098953
(87)【国際公開日】2021-05-27
【審査請求日】2022-11-01
(73)【特許権者】
【識別番号】508333169
【氏名又は名称】エーファウ・グループ・エー・タルナー・ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】ヨナス カーン
(72)【発明者】
【氏名】ヴァルター ツォルバッハ
【審査官】坂本 薫昭
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-226877(JP,A)
【文献】特開2014-040070(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B29C
H01L 21/027
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンボス加工材料にパターンをエンボス加工する装置(1)であって、前記エンボス加工材料に前記パターンをエンボス加工するパターンスタンプ(4,4’,4’’,4’’’,4iv,4v,4vi,4vii,4viii)を有して
おり、前記パターンスタンプ(4,4’,4’’,4’’’,4iv,4v,4vi,4vii,4viii)は、エンボス加工中、および前記エンボス加工材料からの分離中に、一定の局所的な伸張状態に保持可能である装置(1)において、
前記装置(1)は、前記パターンスタンプ(4,4’,4’’,4’’’,4iv,4v,4vi,4vii,4viii)の前記パターンを前記エンボス加工材料に押し付けるエンボス加工ロール(6,6’,6’’,6’’’)を有しており、前記エンボス加工ロール(6,6’,6’’,6’’’)は、エンボス加工後に前記パターンスタンプ(4,4’,4’’,4’’’,4iv,4v,4vi,4vii,4viii)を持ち上げる連行体を有していることを特徴とする、装置(1)。
【請求項2】
前記エンボス加工ロール(6,6’,6’’,6’’’)は前記パターンスタンプ(4,4’,4’’,4’’’,4iv,4v,4vi,4vii,4viii)と共に、エンボス加工後に、終端位置(E)から新たなエンボス加工の始端点(S)へと戻るように分離軌道(2)において移動可能である、請求項1記載の装置(1)。
【請求項3】
エンボス加工材料にパターンをエンボス加工する方法であって、パターンスタンプ(4,4’,4’’,4’’’,4iv,4v,4vi,4vii,4viii)が前記エンボス加工材料に前記パターンをエンボス加工し、前記パターンスタンプ(4,4’,4’’,4’’’,4iv,4v,4vi,4vii,4viii)を、エンボス加工中、および前記エンボス加工材料からの分離中に、一定の局所的な伸張状態に保持する方法において、
前記パターンスタンプ(4,4’,4’’,4’’’,4iv,4v,4vi,4vii,4viii)の前記パターンを前記エンボス加工材料に押し付けるエンボス加工ロール(6,6’,6’’,6’’’)が設けられており、前記エンボス加工ロール(6,6’,6’’,6’’’)は、エンボス加工後に前記パターンスタンプ(4,4’,4’’,4’’’,4iv,4v,4vi,4vii,4viii)を持ち上げる連行体を有していることを特徴とする、方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、並列独立請求項に記載の形式の、マイクロパターンおよび/またはナノパターンをエンボス加工する装置および方法に関する。
【0002】
従来技術では、マイクロパターンおよび/またはナノパターンは、フォトリソグラフィによって、かつ/またはインプリントリソグラフィによって製造される。インプリントリソグラフィとは、マイクロメートルサイズおよび/またはナノメートルサイズのパターンをスタンプによって材料にエンボス加工する方法を意味する。この材料は、基材上に塗布されるエンボス加工材料である。このような形式のインプリント法は、多くのフォトリソグラフィ法よりも迅速かつ効果的かつ安価に実施できるので、近年ますます重要になってきている。さらにインプリントリソグラフィ法によって達成可能な解像度は、フォトリソグラフィによって得ることができる解像度に何ら劣るものではないことが示された。いわゆる「ファーストプリント(first print)」のようないくつかの場合には、従来のリソグラフィよりも良好なインプリントリソグラフィの解像度を得ることができる。
【0003】
公知の装置の殆どの実施の形態は、いわゆるマスクアライナ(英語:Mask Aligner)に組み込まれているか、または独立した装置として設計されているが、300mmよりも大きな基材を処理することはできない。アライナは、半導体産業においてフォトリソグラフィのために既に広く普及しているので、アライナは特に、特別なインプリント装置に特に適している。これにより、既に公知のマスクアライナ技術に基づき構成するまたはこの技術を拡張することができる拡張品または装着品を提供するのが、提供者にとっては有利であった。マスクアライナの利点はとりわけ、マスクアライナが、殆どの場合既に、基材の、ひいてはエンボス加工されるエンボス加工材料の、特に全面的な照明のために、光学システムを、特にランプハウスを有していることにある。
【0004】
改良されたもしくは拡張されたマスクアライナの他に、特別な実施の形態に合わせて、かつ特別な実施の形態のために構成された専用のインプリント装置もある。このような装置は主として、高い精度で基材にスタンプを位置合わせすることができる位置合わせ装置である。さらにこのような装置は、真空を生成するための手段、特別なディスペンスシステム等を有している。このようなインプリント装置でも、300mmを超える基材上のエンボス加工材料にエンボス加工をできるのは極めて稀である。
【0005】
表示装置、すなわちディスプレイ、特に湾曲したまたは平坦なスクリーンのためのパターンの製造を可能にするインプリント装置が存在している。
【0006】
インプリントリソグラフィの5つの公知技術がある:
・マイクロコンタクトプリントおよび/またはナノコンタクトプリント(μ/nCP)
・レプリカモールディング(REM)
・マイクロトランスファモールディング(μTM)またはナノインプリントリソグラフィ(NIL)
・毛細管マイクロモールディング(MIMIC)
・溶剤支援式マイクロモールディング(SAMIM)。
【0007】
インプリントスタンプは,大きく2つのグループに分けられることが公知である:硬質スタンプ(金属製、セラミック材料製、または体積性のガラスまたはプラスチック製)もしくはいわゆる軟質スタンプ(ポリマ製、シリコン製等)を使用することができる。
【0008】
エラストマースタンプは、マスタのネガ型として製作される。マスタスタンプは、相応に手間のかかるプロセスにより一度製作される、金属、ガラス、石英ガラス、プラスチック、またはセラミック製の硬質スタンプである。マスタから、任意の多数のエラストマースタンプを製作することができる。エラストマースタンプにより、大きな表面にわたってコンフォーマルで均一な接触が可能である。エラストマースタンプは、マスタスタンプから、かつエンボス加工製品から分離させなければならない。これは、機能化により、特にコーティングにより達成されるエラストマースタンプの僅かな表面エネルギの結果である。エラストマースタンプは、硬質スタンプよりも容易に基材から分離可能である。
【0009】
ソフトリソグラフィプロセスの自動化の実現のためには、エラストマースタンプを支持体によって支持する必要がある。現在は、様々な厚さのガラス支持基材が使用される。しかしながら、より厚いガラス基材を使用することにより、エラストマースタンプは少なくとも部分的にその柔軟性を失う。したがって、ガラス製支持体は、一方では、エラストマースタンプのために必要な安定性を与える十分に薄い、しかしながら他方では、必要な柔軟性を得るために十分に柔軟である、ガラス製の支持体である。
【0010】
エラストマースタンプの別の実施の形態は、エラストマー製のまたはポリマー製の層システムとして製作される:安定性、弾性、平坦度、粗さのような機械的特性は、支持体エラストマーによって主に規定することができる。スタンプのパターンは、スタンプの材料から、特にマスタの型取りによって形成される。
【0011】
マスタは、特にステップアンドリピートプロセス(S&R Prozess)によって製作することができる。これは、極めて大型のマスタを製作しなければならない場合にとりわけ好適である。この場合、マスタは別のマスタのマスタにより製作される。しかしながら専門用語では、軟質スタンプを形成するマスタを主にサブマスタと呼び、サブマスタを製作するためのマスタをマスタと呼ぶ。定義は変更されてよい。軟質スタンプを型取りするために使用される特に大面積のマスタ(もしくはサブマスタ)は、繰り返されるエンボス加工プロセス(ステップアンドリピートプロセス)によって製作することができ、このプロセスは、第1の個所でエンボス加工が行われ、次いでマスタのマスタ(もしくはマスタ)が移動させられて、その後少なくとももう1回エンボス加工が行われることを特徴とすることが開示されている。
【0012】
さらに、エラストマースタンプに直接エンボス加工するために、ステップアンドリピートプロセスでマスタを使用することが考えられる。これはとりわけ、エラストマースタンプが極めて大型である場合に好適である。この場合、マスタは第1の位置に移動して、ここでエラストマースタンプをエンボス加工し、次いで第1の位置とは異なる第2の位置に移動して再度エンボス加工を行う。このプロセスは、任意のサイズのエラストマースタンプが形成されるまで繰り返し続けられる。特に、エラストマースタンプの個別にエンボス加工された個所は、シームレスにエンボス加工することができる。
【0013】
剛性の支持体の使用により、エンボス加工プロセス後のスタンプと基材との自動的な分離は一般的に困難となり、これによりプロセスの自動化とインプリントリソグラフィの産業的な利用とは困難にしか行えない。
【0014】
スタンプの別の一般的な問題は、スタンプが主として限られたサイズしか有していないということにある。これにより、大面積のエンボス加工を行うのは容易ではない。連続的なエンボス加工の可能性は、ローラスタンプであるが、これについては本明細書ではこれ以上説明しない。マイクロメートルサイズおよび/またはナノメートルサイズのパターンの、大きな基材への、特にプレートへのエンボス加工のために、従来技術では、完成された装置または方法は殆どなく、とりわけ全くない。
【0015】
別の問題は、面からのスタンプの剥離にある。スタンプの剥離は、エンボス加工されたパターンとスタンプとが、スタンプの離型の際に損傷を受けないように精密にコントロールされて行われるべきである。
【0016】
特に大きな基材用のスタンプのさらなる問題は、エンボス加工するための、もしくはスタンプから基材を分離するための区間が、基材の特徴的な長さの区間の少なくとも2倍を要することにある。したがって、このような装置には、極めて大きな高価なクリーンルーム面積が必要である。換言すると、スタンプを剥離する際の問題は、エンボス加工面からスタンプを分離させるために必要なスペースが、直線的な持上げ動作に基づき分離が行われる場合、スタンプの長さまたは直径によってサイズが決まることにある。この方法は、換言すると、基材からの柔軟なスタンプの高い剪断力による剥ぎ取りである。
【0017】
したがって、直線的な持ち上げ動作のためのインプリント装置の分離機構は、基材からのスタンプの分離のためにスタンプ側が通過しなければならない、スタンプの長さ、スタンプの弾性、ならびに付着特性によって規定可能な、実験的に算出可能な区間を要する。このような区間は、変更される正接レバーによって規定することができる。正接レバーの長さは可変であるので、張設されるスタンプの長さは変化する。付加的な補正がなければ、スタンプの長さ変化により材料応力が変化し、これは、スタンプの寸法安定性における変化も意味している。
【0018】
分離機構の代替的な実施の形態は、分離を効率的に行うために変向ロールを使用する。スタンプの方向は、変向ロールに沿って変化するので、装置の所要スペースは、変向ロールを使用しない実施の形態と比較して減じることができる。スタンプの方向が変更される際には、力の作用が変化し、したがって、スタンプにおける応力テンソルの個々の成分が変化し、すなわち、スタンプの一定の寸法安定性は保証されない。
【0019】
エンボス加工工程全体の間のスタンプの一定の寸法安定性は、すべてのエンボス加工工程の基本的に重要な側面であるにもかかわらず、正接レバーによる分離機構でも、変向ロールによる分離機構でも、スタンプの一定の寸法安定性を保証することはできない。
【0020】
表面のマイクロパターン形成および/またはナノパターン形成のための従来技術はとりわけ、フォトリソグラフィおよび様々なエンボス加工技術を含む。エンボス加工技術は、硬質または軟質のスタンプによって行われる。近年では、とりわけエンボス加工リソグラフィ技術が定着してきていて、従来のフォトリソグラフィ技術に取って代わろうとしている。エンボス加工リソグラフィ技術のなかでもとりわけ、いわゆる軟質スタンプの使用が好適である。その理由は、容易なスタンプ製造、効果的なエンボス加工工程、各スタンプ材料の極めて良好な表面特性、低コスト、エンボス加工製品の再現可能性、とりわけエンボス加工中および離型中のスタンプの弾性的な変形の可能性にある。ソフトリソグラフィでは、10nm~1000μmよりも大きな範囲のパターンを製作するために、マイクロパターン形成もしくはナノパターン形成された表面を有するエラストマー製のスタンプが使用される。
【0021】
軟質スタンプを備えたインプリントリソグラフィの利点のほかに、スタンプの弾性に起因する同技術の欠点があり、したがってスタンプの寸法安定性は常に保証されるわけではない。これにより、スタンプのエンボス加工すべきパターンと比較して、型取りによりエンボス加工されたパターンの不正確さおよびゆがみが生じる。このような材料に基づく欠点は、本発明により、同様に少なくとも低減される。
【0022】
パターンのエンボス加工の間、およびエンボス加工材料からパターンスタンプを分離する間に、パターンスタンプには様々な応力がかけられ、これによりパターンスタンプのパターン間の距離が変化するので、エンボス加工材料に形成されるパターンの寸法安定性が最適でなくなるということが欠点として明らかになった。
【0023】
そこで本発明の課題は、従来技術の欠点を含まず、特に自動化と改善された寸法安定性のエンボス加工パターンを備えた基材の迅速な処理とを保証することができる、パターン、特にマイクロパターンおよび/またはナノパターンをエンボス加工するための改善された装置および改善された方法を提供することである。
【0024】
この課題は、並列独立請求項の対象により解決される。本発明の好適な別の構成は従属請求項に記載されている。明細書、請求の範囲、および/または図面に記載されている特徴のうちの少なくとも2つから成るすべての組み合わせも本発明の範囲にある。記載された数値範囲は、上記範囲内にある値も限界値として開示されているものとし、任意の組み合わせで特許請求可能であるものとする。
【0025】
本発明によれば、エンボス加工材料にパターンをエンボス加工する装置であって、エンボス加工材料にパターンをエンボス加工するパターンスタンプを有しており、パターンスタンプは、エンボス加工中、およびエンボス加工材料からの分離中に、一定の局所的な伸張状態に保持可能である、装置が提供される。
【0026】
さらに本発明によれば、エンボス加工材料にパターンをエンボス加工する方法であって、パターンスタンプがエンボス加工材料にパターンをエンボス加工し、このパターンスタンプを、エンボス加工中、およびエンボス加工材料からの分離中に、一定の局所的な伸張状態に保持する、方法が提供される。
【0027】
本発明の意味における「一定の」という特徴は、パターンスタンプの各個所における局所的な伸張が少なくともほぼ同じであることを意味している。これは、局所的な伸張が、平均値に関して最大100ppm変化することを意味する。
【0028】
好適には、パターンスタンプのパターンをエンボス加工材料に押し付けるエンボス加工ロールが設けられており、エンボス加工ロールは、エンボス加工後にパターンスタンプを持ち上げる連行体を有している。好適にはこれにより、付加的な分離装置を省くことができる。
【0029】
好適にはさらに、エンボス加工ロールがパターンスタンプと共に、エンボス加工後に、終端位置から新たなエンボス加工の始端点へと戻るように分離軌道に沿って移動可能である、もしくは移動させられる装置が設けられている。これにより好適には、中断なく次のエンボス加工工程を開始することができる。
【0030】
本発明は特に、マイクロパターンおよび/またはナノパターンをエンボス加工する装置であって、パターンスタンプを備えており、このパターンスタンプは、改善された取扱い性を有しており、このパターンスタンプは、改善された寸法安定性を備えており、この装置は構造的に省スペースに、基材からのパターンスタンプの分離を行うことができ、エンボス加工工程ではパターンスタンプの寸法安定性が維持される、装置に関する。
【0031】
さらなる本発明は、マイクロパターンおよび/またはナノパターンをエンボス加工する本発明によるさらなる装置であって、エンボス加工材料へのパターンの伝達を、流体またはエンボス加工ロールによる背面からの力作用なしにパターンスタンプの変形によってのみ行い、エンボス加工工程ではパターンスタンプの寸法安定性が維持される、装置に関する。
【0032】
本発明はさらに、マイクロパターンおよび/またはナノパターンをエンボス加工する方法であって、このエンボス加工法により、パターンスタンプからの基材の制御された分離によって、改善されたインプリント寸法安定性ならびにスタンプ寸法安定性が得られ、特に、エンボス加工の際および分離の際のパターンスタンプにおける材料応力が制御される、方法に関する。これにより、パターンスタンプの局所的な伸張は一定に維持され、したがってパターンスタンプの、特にエンボス加工パターンの寸法安定性の改善が達成される。
【0033】
本発明により、特に分離工程中のスタンプに対する力作用が制御され、これにより、パターンスタンプ、支持体、ならびにインプリントの負荷が低減される。制限された負荷により、エンボス加工品質が向上し、パターンスタンプの耐用期間が延長される。
【0034】
本発明により実施される分離装置による新規の分離工程は、従来の分離法よりも所要スペースが小さい。これにより特に、装置全体の設置面積を減じることができ、これはさらに、クリーンルームにおけるコストも削減する。
【0035】
本発明による装置の第1の実施の形態は、基材ホルダ、型取りすべきパターンスタンプ、パターンスタンプ用の取付エレメント、エンボス加工ロール、分離装置、および以下に記載するその他の構成要素から成る。
【0036】
装置はさらに、ガイド、測定システム、エネルギならびに媒体の供給源(CDA、真空、プロセスガス、冷水等)、位置決めおよび移動装置(駆動装置、ブレーキ、位置固定装置、クランプ、特に能動的な振動減衰フレーム等)、およびコンピュータとしてのおよび/またはFPGAとしての特に中央制御および/または調整ユニットを含む。
【0037】
さらに、本発明による方法には、エンボス加工材料によってコーティングされた基材が必須である。
【0038】
エンボス加工する装置には、少なくとも2つの生産的作動状態が割り当てられ得る:エンボス加工状態と分離状態とである。エンボス加工状態では、パターンスタンプが型取りされる。分離状態では、型取りされた基材からパターンスタンプが分離される。
【0039】
装置は、エンボス加工状態と分離状態とでは異なる構成要素を使用し、したがって、装置パラメータを分けることが合目的である。装置の特徴を、できるだけ上述した構成要素の順序で、これら構成要素の互いの関係の説明と共に記載する。
【0040】
基材ホルダ
基材ホルダは、エンボス加工材料によってコーティングされた基材を固定することができる。このために、様々な固定機構を使用することができる。
【0041】
固定装置は、
・機械的な固定装置、特にクランプ、
・真空固定装置、特に個別に駆動制御可能な/調整された真空軌道、または互いに接続される真空軌道、
・電気的な固定装置、特に静電的な固定装置、
・電子制御可能および/または調整された固定装置、
・磁気的な固定装置、
・接着的な固定装置、特にいわゆるゲルパック固定装置、
・接着剤、特に駆動制御可能な表面を備えた固定装置、
であってよい。
【0042】
真空固定は、好適な固定形式である。真空固定装置は、好ましくは複数の真空軌道から成っていて、これらの真空軌道は、プローブホルダの表面から外に出ている。真空軌道は、好ましくは、個別に駆動制御可能および/または調整可能である。好ましくは、複数の真空軌道が目的に応じて統合されて、グループ化されて真空軌道セグメントを形成しており、これらの真空軌道セグメントは個別に駆動制御可能であって、したがって個別に排気することができる、または流体を通すことができる。もちろん、各真空セグメントは、他の真空セグメントから独立している。これにより、個別に駆動制御可能な真空セグメントを構成することができる。真空セグメントは、好ましくは、リング状に構成されている。これにより、目的に合わせて、半径方向対称な、特に内側から外側に向かって行われる基材の固定および/またはプローブホルダからの基材の切り離しが可能である。これは、回転対称の基材にとって有利である。
【0043】
方形の基材またはパネルのような他の形状を有する基材にとっては、基材の側面に対して平行に真空セグメントを分割することが好ましい。特に好適には、真空セグメントの構成もしくは接続方法が、各基材の形状と、形状的に一致するように構成されている。これにより、可変の基材形状のためにプローブホルダをフレキシブルに使用することができる。基材は、特にエンボス加工すべき平坦ではない面、もしくは自由形態の面を有することができる。
【0044】
基材は任意の形状を有していてよいが、好適には円形である。基材の直径は特に、工業的に規格化されている。ウェハに関して、工業的に一般的な直径は、1インチ、2インチ、3インチ、4インチ、5インチ、6インチ、8インチ、12インチ、および18インチである。しかしながら、本発明による実施の形態は基本的に、その直径にかかわらず、すべての基材を扱うことができる。方形の基材は、一般的にパネルと呼ばれる。
【0045】
パターンスタンプおよびパターンスタンプ用の取付装置
パターンスタンプは好適には以下の特徴的な特性を有している:スタンプ側は、型取りすべきパターンをネガ像として含んでいる。パターンスタンプの型取りでは、パターンスタンプの隆起部から、エンボス加工材料の凹部が生じる。したがって、スタンプ側の地形には、所望の地形のネガ型が含まれている。
【0046】
パターンスタンプの背面は、スタンプ側とは反対側に位置する面である。パターンスタンプの背面上でこれに沿って、好適にはエンボス加工ロールが転動する。
【0047】
パターンスタンプの少なくとも2つの対向する端部は、パターンスタンプを装置に取り付けるために用いられる。好適には、パターンスタンプの取付けのために、取付エレメントが使用される。
【0048】
特に好ましい実施の形態では、取付エレメントは、パターンスタンプに、一部は材料的に、また一部は機能的に組み込まれてよい。
【0049】
パターンスタンプは、そのスタンプ側が基材ホルダの方向に向くように、装置に取り付けられる。エンボス加工材料によってコーティングされた基材が基材ホルダに固定されることは前提である。
【0050】
実際の位置決めタスクは、スタンプのエンボス加工側を、エンボス加工材料によってコーティングされた基材に対して位置合わせすることである。これは、装置における基材ホルダに対する、パターンスタンプの取付け手段の位置決めにより達成される。装置の実施の形態は互いに異なっているので、ここでは、好適には、実際の位置決めタスク、エンボス加工タスク、および分離タスクに焦点を絞る。このために必要な装置パラメータは、装置の設計、構成、および作動の際に、パラメータから簡単に導くことができる。
【0051】
パターンスタンプは、基材に対して相対的に、もしくは合理的には基材ホルダに対して相対的に、相対運動によって位置合わせされ、これらは互いに調整される。
【0052】
テキストのさらなる部分で、様々なパラメータセットが開示される。多くのパラメータセットは、精度および正確性の統計的特徴に関する。
【0053】
精度とは、システムエラーであると理解される。システムエラーとは、サンプル量から統計的に算出されたパラメータの期待値の、母集団の実際値からの偏差である。精度が高いほど、偏差の値は小さくなり、すなわちシステムエラーは僅かになる。
【0054】
正確性とは、サンプル量の期待値を中心とした測定量のばらつきであると理解される。正確性が高いほど、ばらつきは僅かになる。
【0055】
パターンスタンプは、エンボス加工の前に、好適には取付エレメントによって一軸的に平坦に、エンボス加工材料の表面の上方に緊定されて位置している。好適にはパターンスタンプは基材に対して、10度未満、好適には6度未満、特に好適には3度未満、最適には1度未満の角度に調節され、理想的には基材に対して平行に調節される。
【0056】
エンボス加工前、パターンスタンプとエンボス加工材料との間の空間の間隔は、1mm未満、好ましくは500マイクロメートル未満、特に好ましくは50マイクロメートル未満である。特に好ましい実施の形態では、エンボス加工前、パターンスタンプとエンボス加工材料との間の空間の間隔は、10mm未満、特に好ましくは25マイクロメートル未満、極めて特に好ましくは10マイクロメートル未満、最適な場合には5マイクロメートル未満である。
【0057】
パターンスタンプは、好ましい実施の形態では、支持体によって補強することができ、換言すると支持することができる。支持体としては、薄い、光学的に均質な、機械的に等方性の材料を、特にフィルムを使用することができる。
【0058】
支持体の材料としては、以下の材料および/またはその組み合わせおよび/またはその混合物を使用することができる:
・ガラス(ホウケイ酸ガラス、フッ化ガラス、サファイアガラス)
・ポリジメチルシロキサン(PDMS)
・パーフルオロポリエーテル(PFPE)
・多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)
・ポリジメチルシロキサン(PDMS)
・オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)
・ポリ(オルガノ)シロキサン(シリコーン)
・熱可塑性物質
・デュロプラスト
・ポリマー
・エラストマー
・ポリイミド(PI)
・ポリエチレンテレフタレート(PET)
・ポリアミド、および/または
・炭素。
【0059】
上述したすべての材料は、繊維材料として使用することもできる。
【0060】
好ましい実施の形態では、特に、支持体は、特に、鋳造、射出成形、圧延、押出しブロー成形のような一次成形法で製作することができる。
【0061】
パターンスタンプのための材料は、以下の材料のうちの少なくとも1種を、またはその組み合わせを、および/またはその混合物を有している:
・ポリジメチルシロキサン(PDMS)
・パーフルオロポリエーテル(PFPE)
・多面体オリゴマーシルセスキオキサン(POSS)
・ポリジメチルシロキサン(PDMS)
・オルトケイ酸テトラエチル(TEOS)
・ポリ(オルガノ)シロキサン(シリコーン)
・熱可塑性物質
・デュロプラスト
・ポリマー
・エラストマー。
【0062】
特に組立てられたパターンスタンプの特に好適な実施の形態では、支持体は、空間的な形状設計によって、好適な機能的統合を達成することができる。少なくとも部分的に、取付エレメントは、支持体と共に、特に一次成形法で製作することができる。
【0063】
この実施の形態では、支持体の厚さは可変である。支持体は、型取りされるパターンスタンプの領域で、特に均一な第1の厚さを有する区分である一方の部分と、特に取付エレメントとして形成することができる可変の第2の厚さを有する別の区分である他方の部分とを有している。
【0064】
別の実施の形態では、センサ、特に力測定センサ、または光学屈折センサ、好ましくは複屈折センサ、偏光センサを、パターンスタンプの均一な第1の厚さの縁部領域に配置することができる。したがって、評価電子機器の電気的な接点および/または光学的な連結部は、取付エレメントに別の区分で支持体の体積に組み込まれる。
【0065】
このような好適な実施の形態では、上述のすべての構成要素(支持体、センサ、供給ライン、パターンスタンプ、接点)の伸張特性が互いに均等にされる。
【0066】
エンボス加工ロール
エンボス加工ロールは、好ましくは円筒状のまたはドラム状の(回転楕円体の)物体であり、明確に規定された回転軸線と周面とを有している。換言すると、エンボス加工ロールは、ローラであって、少なくとも片側で駆動される、少なくとも一方の端部でガイドされる、特に軸受されるローラである。エンボス加工ロールの軸受により、エンボス加工ロールは回転することができ、エンボス加工ロールのガイドにより、エンボス加工ロールはガイドに沿って並進運動することができる。
【0067】
特別な実施の形態では、エンボス加工ロールは、非平坦の基材をエンボス加工することができる回転楕円体のローラである。
【0068】
エンボス加工ロールの周面はエンボス加工するためにパターンスタンプの背面に接触させられて、パターンスタンプのエンボス加工側をエンボス加工材料に型取りする。
【0069】
周面の表面品質は、好適には、少なくとも研磨された、好適にはラップ仕上げされた品質で製作される。換言すれば、エンボス加工ロールは、好ましくは、使用される材料にかかわらず、「鏡面仕上げ」されている。
【0070】
エンボス加工ロールは、エンボス加工するために必要な運動を実施することができるように、少なくとも一方の端部で軸受されるもしくはガイドされる。
【0071】
本発明によるエンボス加工ロールは、10mmよりも大きな、好ましくは15mmよりも大きな、特に好ましくは30mmよりも大きな、極めて特に好ましくは70mmよりも大きな、最適には120mmよりも大きな周面直径を有する。より小さい基材もしくはより小さいパターンスタンプは、好ましくは、大面積の基材および/またはパネルより小さい直径のエンボス加工ロールによってエンボス加工される。
【0072】
エンボス加工ロールは、所定の出発位置からエンボス加工を実施し、このために、相応のサーボループ、測定システム、ならびに駆動装置が切り替えられ、制御される。エンボス加工ロールは、パターンスタンプがエンボス加工材料に接触するように、パターンスタンプを変位させる。このために、エンボス加工ロールの特に線形の力が、パターンスタンプの背面側の表面に加えられる。好適には、エンボス加工ロールは、エンボス加工材料の毛管力が、パターンスタンプを引きつけるために十分であるように、パターンスタンプを変位させる。
【0073】
パターンスタンプに加えられるエンボス加工ロールの力に対する、線形の力として計算される、パターンスタンプに加えられるエンボス加工材料の毛管力の力の比は、100:1であり、好ましくは50:1であり、特に好ましくは10:1である。毛管力と、エンボス加工ロールの線形の力と(場合によっては、付加的に重力と)の合力は、エンボス加工材料の一次成形作業を実施する。別の実施の形態では、エンボス加工ロールからパターンスタンプに加えられる力に対する、毛管力の力の比は2:1、特に好適には1:1、極めて特に好適には1:5、別の場合には1:10である。
【0074】
さらなる好適な実施に形態では、エンボス加工力は少なくとも部分的に調節可能であって、特に好適には制御可能であって、特に一定である。
【0075】
エンボス加工力の制御は、エンボス加工スタンプ背面の垂直方向での、エンボス加工ロールの制御された調節および再調節により行うことができる。この場合、0N~50000N、好適には0N~10000N、特に好適には0N~1000N、極めて特に好適には0N~150Nのエンボス加工力が、線形の力として加えられる。
【0076】
エンボス加工力への影響、特にエンボス加工力の制御は、可変に調節可能な、均一に分配されるエンボス加工ロールの質量によって行うことができる。エンボス加工ロールの質量の調節は、液体、金属ボール、砂等のようなエンボス加工材料の内部に付加的に供給される重量によって行うことができる。さらに、エンボス加工力への影響、特にエンボス加工力の制御は、パターンスタンプとエンボス加工材料との間の毛管力の調節によって影響を与えることができる。このために、粘性のパラメータには、溶剤含有量および/または温度および/または添加剤によって影響を与えることができる。
【0077】
エンボス加工材料の粘度は、0.01cP~10000cP、好適には1cP~500cP、特に好適には2cP~300cPである。
【0078】
エンボス加工材料の温度は(好ましくは基材および基材ホルダの温度も)、0℃~300℃、好ましくは15℃~120℃、特に好ましくは室温(特に20℃)~75℃である。
【0079】
エンボス加工時のエンボス加工材料の温度変動は、+/-5K未満、好ましくは+/-3K未満、特に好ましくは+/-1K未満、極めて特に好ましくは+/-0.5K未満、最適には+/-0.1K未満である。
【0080】
エンボス加工材料は、添加剤として、特に変性アクリレートをベースとする、フラックスおよび/またはラジカル消去剤および/またはラジカル還元剤および/または酸素防止剤を含有することができる。
【0081】
エンボス加工ロールは、第1の実施の形態では、少なくとも片側で駆動される、両端部でガイドされる、特に軸受されるローラである。好ましい剛性のローラの場合、外周面は好ましくは弾性材料によって形成される。エンボス加工ロールの弾性材料により、好適には、パターンスタンプに対する静止摩擦もしくは転がり摩擦が高められる。さらに、弾性材料を有するエンボス加工ロールの表面は、特に架橋ポリマー構造は、パターンスタンプの背面上に位置する極めて小さい粒子を、特に可逆的に拾い上げ、このような粒子がインプリントの結果に影響を与えないように、これらの粒子を埋め込む。
【0082】
特に、エンボス加工ロールは、信号の変化(色、複屈折、導電性)によって、エンボス加工の際に埋め込まれた粒子により必要となるクリーニングを知らせることができる。
【0083】
この明細書では、支持体を有していないパターンスタンプと、支持体を有しているパターンスタンプとが区別されないので、説明された特性および特徴は、支持体を有する実施の形態および支持体を有さない実施の形態について関連し得る。
【0084】
エンボス加工ロールの軸受は、好ましくは傾斜しないように固定されている。第1の実施の形態では、エンボス加工ロールは、一方では、互いに離間した少なくとも2つのガイドエレメントによって軸受されているので、軸受摩擦として常に転がり摩擦が生じる。駆動側は、軸受されていない側である。換言すると、エンボス加工ロールは、一方の側では、ガイド軌道に沿って走行することができるように、2つの軸受によって支持されていて、他方の側では、エンボス加工ロールは、力もしくは作動経路の結合のために特に取外し可能な連結部を有している。
【0085】
エンボス加工ロールの第2の実施の形態では、エンボス加工ロールの両端部が支持されて、同期的に駆動される。これにより、特にパターンスタンプ上での、エンボス加工ロールに沿った剪断力が最小限にされる。
【0086】
エンボス加工工程中に、パターンスタンプは、基材表面上のエンボス加工材料に型取りされる。エンボス加工ロールは、特に一定の速度で、パターンスタンプの長さに沿って転動することができる、または所定の速度プロフィールで走行することができる。特に、実施される一次成形は一定に保持される。これは、エンボス加工ロールの速度の可変性により、かつ/またはエンボス加工力もしくはエンボス加工圧の、好適には制御された作用の可変性により行うことができる。エンボス加工ロールは、好ましくは、パターンスタンプの背面に沿った転動運動を実施し、この場合、少なくとも部分的にエンボス加工材料の一次成形を行う。
【0087】
エンボス加工ロールのガイドは、装置の1つの実施の形態では、少なくとも1つの直線ガイド、好適には、少なくとも1つの角柱状の直線ガイドである。直線ガイドの案内直線は、好ましくは、全体長さに関して、500マイクロメートル未満、好ましくは100マイクロメートル未満、特に好ましくは10マイクロメートル未満、極めて特に好ましくは1マイクロメートル未満だけ、理想値から逸れている。
【0088】
エンボス加工ロールの別のガイドによっては、論理平面が規定される。好適には、規定されたこの平面、エンボス加工平面は、エンボス加工すべき基材表面と一致している。特に好適には、エンボス加工平面は、基材表面に対して平行に規定された、パターンスタンプの厚さ分だけずらされた平面である。
【0089】
装置の特に好適な実施の形態では、エンボス加工ロールのガイドが、2つの直線ガイドを有していて、これらの直線ガイドは、エンボス加工平面を調節および再調節することができるように、互いに+/-15度、好ましくは+/-10度、特に好ましくは+/-5度だけ調整可能である。調整部材は、直線ガイドの互いの平行度調節のための調節手段を含む。平行度は、1度よりも良好であり、好適には0.5度よりも良好であり、特に好適には0.1度よりも良好である。
【0090】
装置の本発明によるさらに好適な実施の形態では、エンボス加工ロールのガイドが、特に平坦ではないエンボス加工すべき基材表面の軌道として形成されている。エンボス加工ロールのガイドのこのように説明された実施の形態は、基材に対するエンボス加工ロールのほぼ平行なガイドを可能にし、これにより結果として、エンボス加工材料の特に一定の残留層厚さが生じる。装置を多面的に使用することができるように、エンボス加工ロールのガイドが特に自動化されて後から装備替え可能であるように構成されることが想定されている。この場合、エンボス加工ロールのガイドは、その都度理想的と思われる基材形状を結像する。
【0091】
エンボス加工ロールのガイドが、エンボス加工の際に、エンボス加工ロールをガイドするために使用される場合、ガイドは、エンボス加工のための制御カムとして機能し、換言すると、エンボス加工ロールはエンボス加工軌道を有している。
【0092】
エンボス加工軌道は、エンボス加工の際に、出発位置としてもしくは終端位置として規定される所定の位置を含むことができる。後述する方法は、出発位置からエンボス加工を開始し、終端位置でエンボス加工を終了する。
【0093】
エンボス加工工程の終了時に、エンボス加工ロールはまずは所定の終端位置に留まることができる、または規定された出発位置へと戻ることができる。
【0094】
別の実施の形態では、エンボス加工ロールは、エンボス加工工程中、受動的に回転させられ、すなわちエンボス加工ロールとパターンスタンプとの間の摩擦力は、エンボス加工ロールが特にわずかな滑りで、好適には滑りなしに、エンボス加工の際に、パターンスタンプの特徴となる長さを走行するために十分である。
【0095】
本発明による別の実施の形態では、エンボス加工ロールは、少なくとも2つの駆動装置を有している。駆動装置は、互いに独立的に制御されながら、好適には互いに目的に応じて並進運動および回転運動において同期しながらエンボス加工ロールを動かす。
【0096】
したがって、スキージングのようなエンボス加工工程が実施可能であり、または特にスリップ補正が可能であるので、エンボス加工ロールの回転数、結果として生じる角速度および送り速度を、制御された駆動構造において互いに調整することができ、合わせることができる。
【0097】
スリップ補正は、特に弾性的なエンボス加工ロールが、弾性的なパターンスタンプを、弾性的なエンボス加工材料内に押し込む際に、理想として算出された方法パラメータからどの程度ずれているかを示す尺度である。このずれは、滑りまたは付着として解釈することができ、すなわち、送り速度のもと算出される理想的な角速度よりも速いまたは遅い回転である。スリップ補正の程度は、実際の摩擦状態に関する情報を与える。好適には、スリップは、制御されたスリップ補正によって、最小限に保持される。
【0098】
分離手段および分離機構
エンボス加工されたエンボス加工材料からのパターンスタンプの分離は、エンボス加工材料の硬化後、または少なくともエンボス加工材料の硬化の開始後に行われる。エンボス加工材料からのパターンスタンプの効果的な分離のための条件として、パターンスタンプに対するエンボス材料の付着がわずかなこと、分離後のエンボス加工されたエンボス加工材料の形状安定性(英語 pattern fidelity)が、エンボス加工材料の変形が5%未満、好ましくは2%未満、特に好ましくは1%未満、理想的には0.01%未満であるように調整されていることが挙げられる。
【0099】
分離の際には、パターンスタンプと基材とは、相対運動により互いに離される。すなわち、効果的な分離を行うためには、基材またはスタンプのどちらが互いに対して持ち上げられるのかは問題ではない。好ましくはこの個所で、パターンスタンプが移動させられる。
【0100】
分離手段は、特に空間的なガイド、いわゆる、エンボス加工ロールのための分離軌道を含んでいてよい。
【0101】
エンボス加工工程後の規定された終端位置から、エンボス加工ロールは、分離軌道に沿って移動することができる。分離軌道は、換言すると制御カムであり、空間的な軌道である。分離軌道は、エンボス加工ロールを、少なくとも基材から、好ましくはパターンスタンプから離すようにガイドし、これによりエンボス加工ロールは基材から持ち上げられ、エンボス加工軌道に対して実質的に平行に、所定の出発位置へと戻される。
【0102】
エンボス加工ロールは相応に形成された連行体を有していて、この連行体はパターンスタンプの取付エレメントを収容し、分離軌道に沿って連行する。したがって、パターンスタンプは連行されて、エンボス加工材料から剥離される。
【0103】
換言すると、パターンスタンプは、大きな分離角度で分離が達成されるように、特に水平の位置から、連行体によって、特に最小空間に沿って、好適にはエンボス加工ロールと共に移動するように連行される。この場合、パターンスタンプ内の材料応力は一定に保持される。
【0104】
分離角度は、0度よりも大きく、好適には30度よりも大きく、特に好適には90度よりも大きく、極めて特に好適には120度よりも大きく、最適には160度よりも大きい。
【0105】
連行体は、パターンスタンプの取付エレメントとエンボス加工ロールとの間の形状接続的な結合を生成することができる。以下の構造的な基本的思想は、連行体の様々な実施の形態として、同様に(両端部は同一に形成されている)、またはエンボス加工ロールの両端部で連行体が異なるように混合形式で、使用することができる:
・ボールと平面との対、
・ボールとV溝のような複数の平面との対、
・円錐と円錐孔との対、
・円筒・U溝対、
・円筒・V溝対、または楔溝としても形成されている、
・円筒と円筒との対、
・平面上の角柱エレメント、
・角柱エレメント内の角柱エレメント、
・磁石と切替え可能な電磁石としても形成されている対応部材、
・バヨネット接続、
・制御カムと円筒(セルフロック式制御カム、螺旋)、および/または
・取外し可能なスナップ結合。
【0106】
連行体は、摩擦を介してエンボス加工ロールと摩擦接続的な結合を生じさせることができる。
【0107】
連行体により、エンボス加工ロールに対して、電磁石式および/または永久磁石式および/または静電式および/または真空技術式接続を生じさせることができる。エンボス加工ロールと連行体との間では、材料的な固体接触は好適には行われない。換言すると、連行体とエンボス加工ロールとは、流体の流れにより、または(電)磁石式のまたは静電式の連結により連結されてよく、相応に行われる作業により移動させることができる。
【0108】
コントロールされた剥離は、以下のパラメータを最適化することによって得られる:
・エンボス加工軌道に対する分離軌道の高さ、
・取付エレメントならびにパターンスタンプに加えられる、分離軌道上のエンボス加工ロールの制御された引っ張り力、
・分離軌道の長さ、
・分離軌道上のパターンスタンプの軌道(移動の制御カム)、
・硬化したエンボス加工材料からパターンスタンプを押し出すための静電応力、
・表面特性の選択/調整、特に相応のコーティングによる表面エネルギの低減、および/または
・個々の構成要素の熱機械時定数の認識のもとで、基材、エンボス加工材料、およびパターンスタンプの熱膨張の差を利用した、特にパターンジオメトリの目的に応じた変化を伴う剥離温度の制御および/または分離工程の熱的支援。分離工程をより迅速かつ効果的に行うために、熱機械勾配が使用される。
【0109】
例として、以下の分離工程が挙げられている:基材およびエンボス加工材料の急速な加熱により、基材およびエンボス加工材料は膨張させられる。加熱されないパターンスタンプは、等温状態の場合よりも僅かな力作用でエンボス加工材料から分離させることができる。
【0110】
基材からのパターンスタンプの分離が成功して終了した後、特に戻し機構がパターンスタンプをエンボス加工位置へと戻し、相応に固定する。
【0111】
代替的に、エンボス加工ロールがパターンスタンプをエンボス加工位置へとガイドし、パターンスタンプにさらに影響を与えることなく、所定の出発位置へと移動する。
【0112】
方法1
基材上のエンボス加工材料にパターンスタンプを型取りするための本発明による第1の方法では、以下の方法ステップが設けられている。
【0113】
エンボス加工材料により基材のコーティング、ならびに基材ホルダ上での基材の搬送および取付け、装置におけるパターンスタンプの取付け等は、準備段階の方法ステップとして理解され、詳細には記載されない。
【0114】
第1の方法ステップでは、エンボス加工ロールは、エンボス加工材料によって濡らされた基材にわたって走行し、パターンスタンプとエンボス加工材料との間の材料接続的な接触を確立する。
【0115】
第2の方法ステップでは、エンボス加工ロールは、パターンスタンプの特徴的な長さを走行し、パターンスタンプを、特に全面的にエンボス加工材料に型取りする。換言すると、エンボス加工ロールは、エンボス加工軌道に沿って走行する。
【0116】
第3の方法ステップでは、エンボス加工材料が架橋させられる。エンボス加工材料の硬化を、面全体として行うことができる。代替的に、後続のエネルギ源が硬化を連続的に開始させることができる。
【0117】
第4の方法ステップでは、エンボス加工ロールが、パターンスタンプの所定の終端位置に到達する。
【0118】
第5の方法ステップでは、エンボス加工ロールの連行体が、パターンスタンプに連結させられる。
【0119】
第6の方法ステップでは、エンボス加工ロールが、連結されたパターンスタンプと共に、分離軌道に沿って走行し、これにより、パターンスタンプは、特に硬化したエンボス加工材料から分離させられる。
【0120】
第7の方法ステップでは、パターンスタンプが完全にエンボス加工材料から分離させられる。その後、エンボス加工された基材がおろされる。
【0121】
第8の方法ステップでは、パターンスタンプとエンボス加工ロールとが、それぞれ出発位置へともたらされる。好適な実施の形態では、エンボス加工ロールは分離軌道を逆方向に進み、パターンスタンプをエンボス加工位置へと配置し、1つの連行体または複数の連行体を解除し、出発位置へと戻る。
【0122】
別の実施の形態では、連行体は解除されて、機構によってパターンスタンプをエンボス加工位置へともたらし、エンボス加工ロールは、所定の別の軌道を走行して、出発位置へと戻る。
【0123】
本発明による別の装置(変位させられるパターンスタンプ)
本発明による装置の第2の実施の形態は、本発明による装置の第1の実施の形態の発展形であり、パターンスタンプの制御された一定の伸張のための予荷重装置を有している。パターンスタンプは好適には支持体を有している。
【0124】
パターンスタンプは、特に制御された予荷重で、特に、コントロールされた、特に制御された一定の伸張状態で張設される。パターンスタンプの一定の伸張状態は、パターンスタンプ製作の間ならびにエンボス加工材料の型取りのためにパターンスタンプを使用している間、維持される。
【0125】
一定の伸張を維持できない場合には、一定の伸張からの偏差が、伸張値の200mmの基準長さあたり120マイクロメートル未満(100ppmを生じる)、好適には200mmの基準長さあたり1マイクロメートル未満(5ppmを生じる)、特に好適には300mmの基準長さあたり500ナノメートル未満(1.6ppmを生じる)極めて特に好適には300mmの基準長さあたり50ナノメートル未満(16ppbを生じる)であるように保たれる。
【0126】
これにより、エンボス加工パターンの改善された寸法安定性を保持することができる。特にこれにより、パターンスタンプの一定の局所的な伸張により、エンボス加工パターンの局所的な寸法安定性が維持される。換言すると、エンボス加工の際のもしくはパターンスタンプの分離の際の伸張の変化が最小限であるように努められ、これにより改善された寸法安定性が得られる。
【0127】
本発明に関しては、および本発明による基本的思想に関しては、一定の局所的な伸張は、パターンスタンプに予荷重をかける装置の、特に制御された予荷重の1対1の作用として理解される。
【0128】
特に、ポリマーまたはエラストマー製のパターンスタンプでは、制御された予荷重による一定の局所的な伸張を達成することができ、これにより、パターンスタンプの材料の緩和が考慮され、パターンスタンプの寸法安定性が改善され向上させられる。
【0129】
エンボス加工スタンプに沿った縦断面図では、取付点と可変のエンボス加工点とが、特に一定の長さの斜辺を有する直角三角形を形成する。所定のジオメトリ条件により、パターンスタンプの一定の伸張のための楕円軌道が規定される。
【0130】
パターンスタンプとエンボス加工ロールとがたどる楕円軌道と、エンボス加工のための平面との間の誤差は、5%未満、好ましくは3%未満、特に好ましくは1%未満である。これはジオメトリ条件の設計により、特に、取付け点の間隔を、エンボス加工長さの1.5倍、好ましくはエンボス加工長さの2倍、特に好ましくはエンボス加工長さの4倍とすることにより、達成される。
【0131】
楕円軌道の誤差を回避するために、本発明によれば、相応に湾曲させられた楕円形の基材を使用することが好適である。
【0132】
使用例としては、特に、いわゆるバーチャルリアリティグラス、テレビまたはコンピュータスクリーンのような湾曲したディスプレイが考えられる。同様に、本発明による技術を、双方向の車両ウィンドウのために、特にフロントガラスに組み込まれたディスプレイ(特に湾曲した形状)のために、またはレール車両やバス用の双方向のサイドウィンドウ(特に平坦な形状)のために、利用することもできる。
【0133】
エンボス加工ロールは、取付エレメント間でパターンスタンプに特に制御しながら予荷重をかける。パターンスタンプは、(エンボス加工の際に)181度未満、好ましくは120度未満、特に好ましくは90度未満、極めて特に好ましくは45度未満、最適には30度未満の接触角で、エンボス加工ロールに沿って湾曲する。
【0134】
さらなる好適な実施の形態では、パターンスタンプとエンボス加工ロールとの間の接触角は、5度未満、好適には3度未満、特に好適には1度未満である。
【0135】
大きな接触角は、エンボス加工ロールによってパターンスタンプをコントロールしながら分離する際に得られる。エンボス加工の際には、特に30度未満の、上述した小さな接触角が好適である。好ましくは、パターンスタンプは一軸で緊定される。
【0136】
装置の別の好適な実施の形態では、パターンスタンプの予荷重は、制御ループおよびアクチュエータ、特に線形アクチュエータによって、パターンスタンプに沿って調節されて、パターンスタンプの局所的な伸張が一定に保持される。この場合、取付点の相互間隔が、予荷重をかけられたパターンスタンプの楕円軌道が可変であるように、そしてエンボス加工ロールの任意の位置において常に、エンボス加工平面の正接点を規定するように、制御される。この場合、パターンスタンプの一定の伸張は維持される。したがって、平面、またはいわゆる自由曲面にエンボス加工を施すことができる。
【0137】
これは、制御チェーンまたは制御ループ内で弾性的なかつ/またはガイドされたエレメントを介して、各楕円および平面を構造的に近似させることにより達成される。特に好適な実施の形態では、エンボス加工材料上に型取りすべきパターンスタンプの偏平な形状は、制御された伸張を介して、および理論上直角のエンボス加工三角形の両辺の長さを目的に合わせて変更することにより、調節される。
【0138】
(エンボス加工前)パターンスタンプとエンボス加工材料との間の空間の間隔は、エンボス加工前に、5mm未満、好ましくは1000マイクロメートル未満、特に好ましくは500マイクロメートル未満、極めて特に好適には、100マイクロメートル未満である。
【0139】
特に好ましい別の実施の形態では、パターンスタンプとエンボス加工材料との間の空間の間隔は、50マイクロメートル未満、好ましくは20マイクロメートル未満、特に好ましくは10マイクロメートル未満、極めて特に好ましくは5マイクロメートル未満まで、さらに減じられる。空間の間隔は、パターンスタンプとエンボス加工材料との間の最小の間隔に関し、したがって特に、パターンスタンプの撓みおよび/または片持ちの懸吊および/または静電気的吸引の作用、ならびに一時的な装置振動の作用も考慮される。
【0140】
エンボス加工材料に対する、および基材に対する、パターンスタンプの相対的な接近運動により、エンボス加工材料とパターンスタンプとが接触させられる。
【0141】
エンボス加工材料の硬化は、同時に、好適には区分ごとに、特に好適には線状に、極めて特に好適には硬化ビームのギャップ投射により行われる。ギャップ投射は、ギャップランプまたは振動レーザービームとして解釈することができる。この場合、振動速度は、エンボス加工ロールの速度よりも少なくとも100倍、好適には少なくとも1000倍、特に好適には10000倍速いので、硬化放射は面状に作用し、互いに分離した線は硬化しない。
【0142】
装置の別の実施の形態では、エンボス加工材料の硬化が区分ごとに制御された時間間隔で行われる。硬化ビームが使用されるときと硬化ビームが使用されないときの時間間隔の継続時間は、エンボス加工材料およびパターンスタンプの熱負荷を最小限にすることを考慮して、反復法により求められる。このような制御は、パルス幅変調として当業者には公知である。しかしながら、他の公知の制御法を使用することもできる。
【0143】
本発明による装置の特に好適な実施の形態では、少なくともエンボス加工ロールと、硬化のための放射源とが1つのユニットに機能的に統合される。これにより、エンボス加工ロールユニットが形成される。
【0144】
エンボス加工ロールユニットは、少なくとも1つのエンボス加工ロールと、特に同様に形成された支持ロールと、投射装置を備えた放射源とを含むことができる。
【0145】
エンボス加工ロールのこのような好適な実施の形態では、エンボス加工ロールは、互いに離間する、二重に形成されたローラ対として形成されていて、これらのローラの間に硬化装置を有している。エンボス加工方向で走行する第1のロールは、エンボス加工ロールと見なされ、特に継続的に作動する硬化装置は、エンボス加工材料を架橋させ、支持ロールとしての後続のエンボス加工ロールによって、硬化したエンボス加工材料からのパターンスタンプのコントロールされた分離が可能である。
【0146】
エンボス加工ロールユニットは、別の実施の形態では、少なくとも1つのエンボス加工ロールと支持ロールとを含んでいてよい。支持ロールには、放射源、特に熱源を組み込むことができる。換言すると、エンボス加工ロールユニットの一方のロールは、エンボス加工ロールとして使用され、他方のロールは、熱硬化装置としての加熱ロールとして使用され、硬化装置としてエンボス加工ロールユニットに組み込まれている。別の実施の形態は、架橋放射のための放射源を、特にUV光源を含んでいてよい。この場合、支持ロールは架橋放射のために透過性に形成される。
【0147】
特に好適な実施の形態では、エンボス加工ロールユニットにおける支持ロールとエンボス加工ロールとは、パターンスタンプの応力状態を調節するために特に制御されて、互いの間隔を変更することができる。これらのロールが互いに近づけられると、これらのロールが互いに最大の間隔を置いて保持される場合よりも減じられて、パターンスタンプに予荷重がかけられる。作動機構としては、特に少ない遊びで、特に好適には遊びなしで予荷重のかけられた、両側に形成されたパンタグラフを使用することができる。しかしながら、自己保持能力を備える遊びのない任意の作動装置を使用することができる。
【0148】
パターンスタンプの予荷重を制御するために、パターンスタンプ内に、かつ/またはパターンスタンプ表面上に、歪みセンサを、特に歪みゲージを組み込むことができる。パターンスタンプの別の実施の形態では、歪みゲージがパターンスタンプ表面上に取り付けられる。さらに、パターンスタンプの張力のためのロードセルによって、特に複数の歪みゲージの実際値に合わせて調節することができる。パターンスタンプの測定された応力状態は、調整値として把握することができる。このための相関する調整された値として、ロール相互の調節された個々の位置または組み合わされた位置、および/またはエンボス加工ロールユニットの位置、および/またはパターンスタンプの保持装置の位置もしくは張力を使用することができる。
【0149】
制御の時定数は、好ましくは装置の最速の運動の時定数の好ましくは1/10、特に好ましくは1/100、特に好ましくは1/1000である。制御速度(作動部材の速度)は、装置の最速の運動と同じ速度である。制御装置は、特に、コンピュータプログラムならびにルーチンとして構成される。特に好ましくは、制御装置の構成は、精度(予荷重精度、位置決め精度、寸法安定性精度)および速さに基づき設計されているが、目標値から逸れた調整値の過剰な変動、過剰な超過は望ましくない。パターンスタンプの応力の目標値と実際値との差から導き出される調整パラメータは、エンボス加工工程の、および分離工程のすべての時点で、「高い揺れ」が、特に調和振動が遮断されるように設計されている。
【0150】
パターンスタンプの機械的応力は、0.001MPa~パターンスタンプの(および/または支持体の)各降伏点にあり、好適には1MPa~2MPaである。パターンスタンプの降伏点が、支持体の降伏点よりも小さい場合、上述したパラメータは、パターンスタンプに当てはまる。一般的に、機械的応力パラメータは、降伏点が低い方の材料に適用される。これにより、パターンスタンプの過剰な負荷を回避することができる。
【0151】
パターンスタンプの機械的応力は、特に好適には制御される。相前後してエンボス加工される2つの基材のエンボス加工の際のもしくは分離の際の時間経過において、パターンスタンプの機械的応力の偏差を可能な限り僅かにすることができる。換言すると、本発明によれば、エンボス加工工程および/または分離工程の間のパターンスタンプの予荷重は、変化し、制御される可変の予荷重を使用することができる。この場合、予荷重の偏差の最小化は、同じ方法ステップの繰り返し可能性に関連する。すなわち、エンボス加工される1つの基材の機械的応力は、エンボス加工される別の基材の機械的応力と可能な限り僅かな繰り返し誤差で実施することができる。同様のことは、エンボス加工された基材をパターンスタンプから分離する際の、可能な限り一定に保たれる機械的応力についてもあてはまる。
【0152】
機械的応力の誤差は、目標値、特に各方法ステップの目標値に対して、10%未満、好ましくは5%未満、特に好ましくは2%未満である。
【0153】
パターンスタンプの伸張(およびそれに関連する寸法安定性)の誤差は、寸法安定性の理想的な状態に関して、100ppm未満であり、好適には10ppm未満であり、特に好適には100ppb未満であり、極めて特に好適には10ppb未満であり、最適には5ppb未満である。
【0154】
エンボス加工ロールユニットを備えた本発明の装置によるエンボス加工であって、パターンスタンプの一定の局所的な伸張のためにパターンスタンプの予荷重が制御されて調節されるエンボス加工は、独立的な本発明の方法としてみなされる。
【0155】
本発明による別の装置(エンボス加工ロールを有さない準弾性のパターンスタンプ)
装置の特に好ましい第3の実施の形態は、少なくとも1つの基材ホルダ、型取りすべきパターンスタンプ、パターンスタンプ用の取付エレメント、および予荷重装置を有している。エンボス加工材料によってコーティングされた基材は、本発明の方法に必要である。記載するパターンスタンプの特性は、エンボス加工ロールを含むパターンスタンプに相応に転用することができる。
【0156】
パターンスタンプは、パターンスタンプの機能的な分割を可能にする、少なくとも2つの領域から成っている:好適にはパターンスタンプの特徴的な長さのほぼ半分を中心として対称に配置された型取り領域と、好適にはパターンの少なくとも2つの端部に形成された保持領域とがある。
【0157】
パターンスタンプの型取り領域は、好適には、基材と合同の形状に形成されている。パターンスタンプの保持領域は、型取り領域を少なくとも2つの側で取り囲んでいる。
【0158】
型取り領域は、パターンスタンプの、型取りすべきパターン形成された表面を、スタンプ側に有している。型取り領域は、アライメントマーク、ヴァージョン番号、位置決め装置(アライナ)用の制御符号、および/またはバイナリコードとしてのまたはQRコードとしての感光装置を含むことができ、この場合、制御符号またはアライメントマークは、エンボス加工材料に結像される必要はない。パターンスタンプの別の実施の形態では、アライメントマーク、ヴァージョン番号、位置決め装置(アライナ)用の制御符号、および/または感光装置を、スタンプ側とは反対側に、特に変更不能に取り付けることができる。
【0159】
型取り領域は、好適には少なくとも光学的に均一かつ気泡を含まず、外部の影になることがなく、機械的に等方性に構成されている。パターンスタンプが支持体を含む場合には、パターンスタンプの特性は支持体にも関連する。支持体は、好適には均一な厚さを有している。
【0160】
パターンスタンプの別の実施の形態では、型取り領域は、パターンスタンプの型取りすべきパターンに加えて付加的に行われる支持体またはパターンスタンプの目的に応じたパターン形成によって、基材上にエンボス加工されるパターンの残留層厚さが最小化および/または均一化されるように、設計されている。好ましくは、残留層厚さのバリエーションは、50ナノメートル未満、特に好ましくは10ナノメートル未満、極めて特に好ましくは1ナノメートル未満で生成される。
【0161】
換言すると、エンボス加工されるパターンの、パターンに応じた残留層厚さは、調節可能である。
【0162】
エンボス加工後に除去プロセスを伴う用途では、一般的に、最小限の残留層厚さが好ましい。
【0163】
光学的な用途、特に回折光学素子、導波路(英語 Diffractive optical elements、 DOE)のためには、所定の調節可能な寸法安定性の残留層厚さが好ましい。
【0164】
ミリメートルのサイズオーダのパターンサイズにおける残留層厚さは、ナノメートルのサイズオーダのパターンサイズにおける残留層厚さよりも極めて大きくなり得ることは容易に理解可能である。
【0165】
保持領域と型取り領域との間の境界は、パターンスタンプの好適な実施の形態では、所定の線として形成されているのではなく、互いに係合する機能を含む区域として理解することができる。
【0166】
保持領域は、主要な役割として、装置におけるパターンスタンプの保持を担う。保持領域は、型取り領域と同じ材料特性を有していてよいが、形状および/または厚さおよび/または付加的な機能および/または剛性および/または情報量の点で、型取り領域とは異なっていてよい。
【0167】
第1の実施の形態では、保持領域は、少なくともほぼ同じ厚さおよび剛性を備えた型取り領域の材料的延長部である。
【0168】
第2の実施の形態では、保持領域は、型取り領域とは変更された厚さおよび相応に変更された剛性を備えた型取り領域の材料的延長部である。この実施の形態は、特に対称に半楔状または楔状に形成されているので、パターンスタンプには可能な限りノッチ応力なしに、調節可能な材料応力に合わせて予荷重をかけることができる。
【0169】
第3の実施の形態では、保持領域は、形成された固体ジョイントを備えた型取り領域の材料的延長部である。
【0170】
保持領域の第4の実施の形態では、保持領域の第2の実施の形態と第3の実施の形態との組み合わせを形成することができる。保持領域は、装置におけるパターンスタンプの取り付けのために、固体ジョイントと楔状のエレメントとを含んでいる。
【0171】
保持領域の第5の実施の形態は、横断面が楔状かつ非対称に形成されている。保持領域は、エンボス加工側に、少なくとも2つの平坦な支持面を有している。特に平坦に形成されたこれらの支持面は、パターンスタンプの型取り面に対して段付けされているので、パターンスタンプの型取り領域は、重力方向に向いて自由に支持された状態で、これらの支持面が載置される載置面には接触しない。換言すると、パターンスタンプは、縁部において支持面上で載置され、エンボス加工側は、支持面に接触せず、その上方で固有の剛性により保持される。
【0172】
保持領域およびエンボス加工領域の剛性は特に、特に、載置面上に、好適にはスタンプの両端部に位置する載置面上に自由に載置されるパターンスタンプが、剛性のプレートとして懸吊されているにもかかわらずその型取り領域で載置面に接触しない程度に、十分である。
【0173】
支持面は、パターンスタンプを、装置の外側で、簡単に汚染なく保管することができるように機能する。この実施の形態のさらなる利点は、パターンスタンプの予め規定された方向が、装置におけるパターンスタンプの組付け方向を規定することである。パターンスタンプの別の非対称性は、装置におけるパターンスタンプの1対1の状態および位置を保証するように利用することができる。このような措置は、キー・ロック原理を実施している。
【0174】
第5の実施の形態と、第2および/または第3の実施の形態との組み合わせは、特に好適とみなされる。
【0175】
装置におけるパターンスタンプの取付けは、特に形状接続的な取付エレメントによって行われる。取付け機能に加えて付加的に、取付エレメントとパターンスタンプとは互いに対応するようにさらに機能化される。特に非対称に配置された形状エレメントまたはパターンスタンプの非対称な構成によるキー・ロック原理の応用により、パターンスタンプの正しい組込み状態が特に正確に達成される。
【0176】
本発明によるパターンスタンプの設計は、特にシミュレーションおよび数値近似(有限要素法、FEM)の結果であって、エンボス加工材料の残留層厚さを最適にするためにシミュレーションされるエンボス加工法のパラメータは、パターンスタンプの寸法安定性および耐用期間に影響を与える。パターンスタンプが不均一に形成されている場合には、剛性、ならびに架橋、硬化ビームの光路長さ、または熱伝達が、数値的最適化にしたがって目的に応じて設計される。したがって、パターンスタンプのための複雑な可撓性のジョイントにより、パターンスタンプの均一で一定の予荷重と、ほぼ歪みのないエンボス加工パターンとが得られる。
【0177】
その結果、特に準弾性のパターンスタンプを開発し、シミュレーションし、製作することができ、パターンスタンプの材料伸張は好適には一定に保持され、パターンスタンプの相応に適合させた材料厚さおよび/または材料強度によって、パターンスタンプの型取り領域は、保持領域よりも高い平坦度および/またはエンボス加工の際の高い寸法安定性を有している。特にスタンプ材料/パターンスタンプの支持体材料から成る固体ジョイントにより、パターンスタンプの力作用によって、エンボス加工するためにパターンスタンプを変形させることができる。パターンスタンプは、特に力作用によってもしくは力作用なしに、パターンスタンプの休止状態、もしくは作用としてエンボス加工するためにパターンスタンプの予荷重をかけられた安定状態を含む2つの形状を有することができる。
【0178】
パターンスタンプは、好適には、パターンスタンプの中立繊維が、エンボス加工表面上に永続的に残るように設計されている。本発明によれば、型取り表面が、一定の引っ張り応力を受け、これは(パターンスタンプのパターン製作から始まる)エンボス加工工程の間に変化しないことが考えられる。このために装置を、相応に制御可能に構成することができる。
【0179】
これにより、パターンスタンプの伝達すべきエンボス加工パターンは、機械的応力なしに製作され、これにより最大の可変力は分離力となることが達成される。分離力は、エンボス加工パターンに対してほぼ垂直に作用するので、エンボス加工パターンおよびパターンスタンプの改善された寸法安定性が達成される。
【0180】
本発明による装置は、並進的かつ回転的自由度を有し、位置決めシステムを備えたスタンプホルダにパターンスタンプを収容する。パターンスタンプと、エンボス加工材料によってコーティングされた基材とは互いに接近させられる。エンボス加工は、位置決めシステムの接近運動によるパターンスタンプの屈曲により実施される。エンボス加工材料の硬化後のパターンスタンプの分離は、エンボス加工運動とは逆に行われる。
【0181】
換言すると、パターンスタンプの型取り作業は曲げ運動により行うことができ、この場合、好適には、スタンプ表面の背面には、重力以外の外的な力は作用しない。この場合、保持領域が、エンボス加工のために巨視的な運動を行う間に、特に型取り表面は、臨界的なパターン寸法の20%未満、好適には臨界的なパターン寸法の5%未満、特に好適には1%未満、極めて特に好適には臨界的なパターン寸法の0.1%未満、可逆的に変形する。これによりパターンスタンプの屈曲運動がエンボス加工のために利用される。エンボス加工の一次成形は、エンボス加工力と、通過する距離との組み合わせから成る。結果としての毛管力の作用ならびにパターンスタンプの曲げ運動が、一次成形を行う。
【0182】
したがって、この装置は、分離装置とエンボス加工ロールとを省くことができる。
【0183】
本発明のさらなる利点、特徴、詳細は、以下の好適な実施例の説明および図面により明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0184】
【
図1】本発明による装置の本発明による第1の実施の形態を示す概略的な構造図である。
【
図2a】第1の実施の形態における本発明による第2の装置の概略的な構造図である。
【
図2b】第2の実施の形態における本発明による第2の装置の概略的な構造図である。
【
図3】本発明による別の装置の概略的な構造図である。
【
図4a】パターンスタンプの概略的な構造図である。
【
図4b】本発明による装置における
図4aのパターンスタンプの使用を示す概略的な構造図である。
【
図5】本発明による装置における
図4bのパターンスタンプの使用を示す概略的な構造図である。
【
図6】パターンスタンプの第3の実施の形態を示す概略的な構造図である。
【
図7】本発明による別の装置における
図6のパターンスタンプの使用を示す概略的な構造図である。
【0185】
図面では、同じ構成部分または同じ機能を有する構成部分には同じ符号が付与されている。
【0186】
図1は、エンボス加工するための本発明による装置1の本発明による第1の実施の形態の概略的な構造図を示している。パターンスタンプ4は、取付エレメント3によって一定の伸張状態で保持されている。パターンスタンプの、一定の、特に調節可能な伸張は、取付エレメント3の矢印で略示されている。このために装置1は、パターンスタンプ4における機械的な応力として一定の局所的な伸張を可能にする、特に制御された機械的な力を調節する。
【0187】
エンボス加工材料がコーティングされた図示されていない基材は、基材ホルダ5に取り付けられていて、パターンスタンプ4は、パターンスタンプ4がエンボス加工材料と接触した後、エンボス加工材料にて型取りされる。十分な一次成形加工のために、エンボス加工ロール6がパターンスタンプ4をエンボス加工材料内に押し込む。
【0188】
パターンスタンプ4を基材から分離するために、ここでは軌道として示されている分離装置2が使用される。
【0189】
分離装置2は、出発位置Sと終端位置Eとの間でエンボス加工軌道に構造的かつ材料的に接続されている。エンボス加工ロール6がSとEとの間の区間に位置している場合、パターンスタンプ4は型取りされ、エンボス加工される。エンボス加工ロール6が、EとSとの間でエンボス加工軌道外側の分離軌道に位置している場合、パターンスタンプ4を基材から分離させることができるように、図示されていない連行体が、パターンスタンプ4を相応に連行する。
【0190】
特に、分離工程を支援するために、基材ホルダ5も動くことができる。オプションとしての相対運動が矢印で略示されている。
【0191】
図2aは、第1の実施の形態における本発明による第2の装置の概略的な構造図を示している。パターンスタンプ4’は、取付エレメント3’によって、図示されていないエンボス加工するための装置において好適には定置に取付けられている。エンボス加工ロール6’は、一定の伸張状態のパターンスタンプ4’に予荷重をかけ、これによりパターンスタンプ4’は、エンボス加工材料がコーティングされた図示されていない基材をエンボス加工することができる。基材は、基材ホルダ5’上に取り付けられている。基材ホルダ5’は、接近可能であり、特に、制御しながら接近可能である。基材ホルダは、エンボス加工力を調節するために使用することができ、さらに、パターンスタンプ4’を基材から分離する際の垂直力を調節するために使用することができる。別の実施の形態では、基材ホルダ5’は接近可能ではなく、したがって別の接近運動が、パターンスタンプ、取付エレメント等によって実施される。
【0192】
図示した実施の形態は、湾曲した、好適には特に楕円状の基材表面のエンボス加工のために特に適している。このことは、基材ホルダ5’の湾曲によってシンボル的に示されている。
【0193】
図2bは、第2の実施の形態における本発明による第2の装置の概略的な構造図を示している。パターンスタンプ4’’は、取付エレメント3’’によって、図示されていないエンボス加工するための装置において取り付けられている。取付エレメント3’’は、図示されていない移動装置および測定装置に連結されているので、エンボス加工ロール6’’の作用に対してパターンスタンプ4’’の局所的な伸張を一定に保持することができ、
図2aの実施の形態の楕円誤差を修正することができる。エンボス加工ロール6’’は、一定の伸張状態のパターンスタンプ4’’に制御された応力で予荷重をかけ、これによりパターンスタンプ4’’は、エンボス加工材料がコーティングされた図示されていない基材をエンボス加工することができる。基材は、接近可能な、特に制御されて接近可能な基材ホルダ5’’上に取り付けられる。別の実施の形態では、定置の基材ホルダに対する接近運動が、相対運動として実施される。
【0194】
図3は、本発明によるエンボス加工ロールユニット7と、本発明による図示されていない装置の部分との概略的な構造図を示している。移動・調整・ガイドユニット10内に、エンボス加工ロール6’’’と、支持ロール8とが、図示されていない制御装置によって制御可能に組み込まれている。さらにエンボス加工ロールユニット7は、好適にはエンボス加工ロール6’’’と支持ロール8との間に配置された、エンボス加工材料を硬化させるための放射源9を含んでいる。特に、エンボス加工ロール6’’’と支持ロール8との間の隙間で、放射源9の放射が、特に一定の伸張状態で調節可能に予荷重をかけられたパターンスタンプ4’’’を通過して、図示されていないパターン形成されたエンボス加工材料に達する。図示されていない基材は、基材ホルダ5’’’上に取り付けられ、この場合、基材ホルダ5’’’を、制御しながら接近可能であるように形成することができる。
【0195】
エンボス加工ロールユニット7の別の実施の形態では、パターンスタンプ4’’’の予荷重は、エンボス加工ロール6’’’と支持ロール8との間の特に制御された距離変更により調節することができる。換言すると、エンボス加工ロール6’’’と支持ロール8とは、パターンスタンプ4’’’を、可変の面に沿って少なくともほぼ平坦に緊定する。これにより、
図1、
図2a、
図2bの本発明による装置の楕円誤差をさらに修正することができ、寸法安定性を向上させることができる。
【0196】
図4aは、組み込まれた取付エレメント3ivを含むパターンスタンプ4ivの概略的な構造図を示しており、この場合、型取り領域Aならびに相応の機能を備えた保持領域Hが図示されている。パターンスタンプ4ivは、パターンスタンプ4ivを形状接続的に取り付けるために、キー・ロック原理により形成された縁部領域を保持領域Hに有している。特に、図示されていない装置は、取付エレメント3ivを拘束することなくクランプすることができ、これによりパターンスタンプ4ivは、すべての方法ステップにおいて一定の予荷重で負荷される。
【0197】
図4bは、図示されていない装置における組み込まれた取付エレメント3vを含むパターンスタンプ4vの概略的な構造図を示しており、この場合、パターンスタンプ4vは特に制御されて一定の伸張状態に維持される。図示されていない基材は、接近可能な基材ホルダ5v上に取り付けられている。型取り領域Aを備えたパターンスタンプ4vと基材ホルダ5vとの相対運動により、パターンスタンプ4vはエンボス加工材料に接触させられ、これによりパターンスタンプ4vはエンボス加工材料にて型取りされる。組み込まれた取付エレメント3vは、特に寄生力なしに、好適には拘束することなく、特に好適には、キー・ロック原理により装置内にパターンスタンプ4vを取り付けることができる。さらなる実施の形態では、基材ホルダ5vは定置であってよく、さらなる必要な運動は、パターンスタンプを備えた装置が実施する。
【0198】
図5は、組み込まれた取付エレメント3viを含むパターンスタンプ4viの別の実施の形態の概略的な構造図を示している。パターンスタンプ4viにおける材料応力の急激な移行をほぼ回避するために、パターンスタンプ4viの保持領域には、少なくとも半楔状に、好適には楔状に(図示せず)形成された縁部領域が形成される。これにより、好適には、ノッチ応力のない実施の形態が得られる。
【0199】
好適な実施の形態は、パターンスタンプ4viの二重の非対称構造により達成することができる。特に、組込み状態の上下を構造的特徴により区別することができるように、かつ装置への反転した組込み間違いを回避するために、パターンスタンプ4viの非対称性が利用される。
【0200】
パターンスタンプ4viの別の非対称性は、パターンスタンプの左右逆の組込み状態を阻止するように、別の、特に平面上の座標方向「左右」を特徴付けることができる。
【0201】
パターンスタンプ4viの二重の非対称構造形式のこのような実施の形態は、本発明によるすべてのパターンスタンプにおいて利用することができる。キー・ロック原理の応用により、すべての本発明によるパターンスタンプの単一の非対称構造形式または二重の非対称構造形式を実現することができる。
【0202】
図6は、パターンスタンプ4viiの第3の実施の形態の概略的な構造図を示している。この実施の形態は、
図4aおよび
図5に示した実施の形態に類似のものである。パターンスタンプ4viiは、好適には材料により一体化された固体ジョイントFを有している。したがって、パターンスタンプ4viiは、様々な強度を有することができるが、この場合、特にローラを使用しないエンボス加工工程のために、平坦な型取り領域を有していてよい。
【0203】
図7は、本発明による図示されていない装置の部分としての、
図6のパターンスタンプの第3の実施の形態の概略的な構造図を示している。図示されていない装置は、制御されて位置決め可能かつ移動可能な取付エレメント3viiiによって、一定の伸張状態のパターンスタンプ4viiiを、特に可変に制御可能な予荷重によって、図示されていない基材のエンボス加工材料に型取りすることができる。基材ホルダ5viiiは基材を取り付けることができ、制御しながら動かすことができる。
【0204】
別の実施の形態では、定置の基材ホルダ5viiiが使用され、パターンスタンプ4viiiと基材との間の相対運動は、パターンスタンプによって実施される。
【0205】
パターンスタンプ4viiiは、様々な強度ならびに固体ジョイントによって、ほぼ平坦な型取り領域を形成することができ、この場合、エンボス加工工程は、好適にはエンボス加工ロールなしに、パターンスタンプの固体ジョイントF(これについては
図6参照)の屈曲により行うことができる。
【符号の説明】
【0206】
1 エンボス加工のための装置
2 分離装置
3,3’,3’’,3’’’,3iv,3v,3vi,3viii パターンスタンプ用の取付エレメント
4,4’,4’’,4’’’,4iv,4v,4vi,4vii,4viii パターンスタンプ
5,5’,5’’,5’’’,5v,5viii 基材ホルダ
6,6’,6’’,6’’’ エンボス加工ロール
7 エンボス加工ロールユニット
8 支持ロール
9 放射源
10 移動・調整・ガイドユニット
S 出発位置
E 終端位置
H 保持領域
A 型取り領域
F 固体ジョイント