(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】低粘度で応答の速い液晶組成物及び液晶ディスプレイにおける応用
(51)【国際特許分類】
C09K 19/42 20060101AFI20240115BHJP
C09K 19/12 20060101ALI20240115BHJP
C09K 19/30 20060101ALI20240115BHJP
C09K 19/18 20060101ALI20240115BHJP
C09K 19/54 20060101ALI20240115BHJP
G02F 1/137 20060101ALI20240115BHJP
G02F 1/13 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
C09K19/42
C09K19/12
C09K19/30
C09K19/18
C09K19/54 C
G02F1/137 500
G02F1/13 500
(21)【出願番号】P 2022537801
(86)(22)【出願日】2019-12-24
(86)【国際出願番号】 CN2019127721
(87)【国際公開番号】W WO2021127952
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-08-08
(73)【特許権者】
【識別番号】517081840
【氏名又は名称】北京八億時空液晶科技股▲ふん▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】BEIJING BAYI SPACE LCD TECHNOLOGY CO., LTD.
【住所又は居所原語表記】No.20 Dongliushui Road Yanshan, Fangshan District Beijing 102502, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002262
【氏名又は名称】TRY国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】高 偉偉
(72)【発明者】
【氏名】儲 士紅
(72)【発明者】
【氏名】陳 卯先
(72)【発明者】
【氏名】王 杰
(72)【発明者】
【氏名】陳 海光
(72)【発明者】
【氏名】姜 天孟
【審査官】井上 恵理
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2019/054107(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第102492430(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第101735823(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第104152155(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C09K 19/00-19/60
G02F 1/13
CAplus/REGISTRY(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
低粘度で応答の速い液晶組成物であって、原料成分は、
6~10重量%の一般式がIである化合物と、
9~14重量%の一般式がIIである化合物と、
12~17重量%の一般式がIIIである化合物と、
18~20重量%の一般式がIVである化合物と、
10重量%の一般式がVである化合物と、
4~10重量%の一般式がVIである化合物と、
27~33重量%の一般式がVIIである化合物と、を含み、
上記の7種類の化合物の構造は以下のとおりであり、
前記一般式がIである化合物の構造は以下のとおりであり、
R
1は、1~7個の炭素原子のアルキル基を表し、R
2は、1~7個の炭素原子のアルキル基を表し、
前記一般式がIIである化合物の構造は以下のとおりであり、
R
3は、1~7個の炭素原子のアルキル基を表し、R
4は、1~7個の炭素原子のアルキル基を表し、
前記一般式がIIIである化合物の構造は以下のとおりであり、
R
5は、1~7個の炭素原子のアルキル基を表し、R
6は、1~7個の炭素原子のアルキル基を表し、
前記一般式がIVである化合物の構造は以下のとおりであり、
R
7は、1~7個の炭素原子のアルキル基を表し、R
8は、1~7個の炭素原子のアルキル基を表し、
前記一般式がVである化合物の構造は以下のとおりであり、
R
9は、1~7個の炭素原子のアルキル基を表し、R
10は、1~7個の炭素原子のアルキル基を表し、
前記一般式がVIである化合物の構造は以下のとおりであり、
R
11は、1~7個の炭素原子のアルキル基を表し、R
12は、1~7個の炭素原子のアルキル基を表し、
前記一般式がVIIである化合物の構造は以下のとおりであり、
R
13は、1~7個の炭素原子のアルキル基を表し、R
14は、1~7個の炭素原子のアルキル基を表す、ことを特徴とする液晶組成物。
【請求項2】
原料成分は、
8重量
%の一般式がIである化合物と、
9重量
%の一般式がIIである化合物と、
16重量
%の一般式がIIIである化合物と、
20重量
%の一般式がIVである化合物と、
10重量
%の一般式がVである化合物と、
6重量
%の一般式がVIである化合物と、
31重量
%の一般式がVIIである化合物と、を含む、ことを特徴とする請求項1に記載の液晶組成物。
【請求項3】
一般式がIである前記化合物は、トリフルオロ構造を含む極性化合物であり、一般式がIである前記化合物は、以下の化合物のうちの1つ又は2つから選択され、
一般式がIIである前記化合物は、2,3-ジフルオロベンゼン構造及びアルコキシ基を含む極性化合物であり、前記一般式がIIである前記化合物は、以下の化合物のうちの1つ又は複数から選択され、
一般式がIIIである前記化合物は、2,3-ジフルオロベンゼン構造及びアルコキシ基を含む極性化合物であり、前記一般式がIIIである前記化合物は、以下の化合物のうちの1つ又は複数から選択され、
一般式がIVである前記化合物は、2,3-ジフルオロベンゼン構造及びメトキシ架橋結合を含む極性化合物であり、前記一般式がIVである化合物は、以下の化合物のうちの1つ又は複数から選択され、
前記一般式がVである化合物は、2,3-ジフルオロベンゼン構造及びメトキシ架橋結合を含む極性化合物であり、前記一般式がVである化合物は、以下の化合物のうちの1つ又は複数から選択され、
一般式がVIである前記化合物は、エステル基及びジシアノ基構造を含む化合物であり、一般式がVIである前記化合物は、以下の化合物のうちの1つ又は複数から選択され、
一般式がVIIである前記化合物は、アセチレン結合及びラテラルフッ素置換基構造を含む化合物であり、一般式がVIIである前記化合物は、以下の化合物のうちの1つ又は複数から選択される、ことを特徴とする請求項1に記載の液晶組成物。
【請求項4】
原料成分は
、紫外線吸収剤をさらに含み、
前記紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール類、ベンゾフェノン類、トリアジン類、及びパラベン類のうちの1つ又は複数の混合物である、ことを特徴とする請求項1~
3のいずれか一項に記載の液晶組成物。
【請求項5】
原料成分は
、抗酸化剤をさらに含み、
前記抗酸化剤は、ヒンダードフェノール類、亜リン酸エステル類、及び複合タイプのうちの1つ又は複数の混合物である、ことを特徴とする請求項1~
3のいずれか一項に記載の液晶組成物。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか一項に記載の液晶組成物の調製方法であって、各原料成分を取り、融点の高いものから低いものの順に添加し、加熱撹拌条件下で溶解させ、十分に混合して均一にし、濾過及び不純物除去の後、前記液晶組成物得るステップを含む、ことを特徴とする方法。
【請求項7】
前記加熱の温度は、60~100℃である、ことを特徴とする請求項
6に記載の方法。
【請求項8】
液晶ディスプレイにおける請求項1~
5のいずれか一項に記載の低粘度で応答の速い液晶組成物の
使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶材料技術の分野に関し、具体的には、低粘度で応答の速い液晶組成物及び液晶ディスプレイにおける応用に関する。
【背景技術】
【0002】
現在、液晶化合物は、情報表示の分野で広く応用され、同時に、光通信における応用でも一定の進歩が得られている。近年、液晶化合物の応用分野は、様々な表示デバイス、電気光学デバイス、電子部品、センサーなどに大きく拡大している。ネマチック液晶化合物は、フラットパネルディスプレイ、特にTFTアクティブマトリクスのシステムで最も広く使用されている。
【0003】
近年、液晶化合物の適用分野は、様々な表示デバイス、電気光学デバイス、電子部品、センサーなどに大きく拡大している。このため、多くの異なる構造が提案されており、特に、ネマチック液晶の分野において、ネマチック液晶化合物は、これまでフラットパネルディスプレイ及び調光分野に広く適用されてきた。表示技術に対する人々の要求も絶えず高まっており、既存の液晶化合物はもはや人々のニーズを満たすことができない。
【発明の概要】
【0004】
従来技術における上記の問題を解決するために、本発明は、広い光電曲線温度、低粘度、速い応答、大きな光学異方性、優れた相溶性を有する液晶組成物及び液晶ディスプレイにおける応用を提供する。本発明の液晶組成物は、十分に広いネマチック相温度範囲及び大きな光学異方性△nを有し、且つ比較的良好な紫外線抵抗性能を有すると同時に、良好な相溶性を有し、高分子材料と配合してPDLC(高分子分散型液晶、Polymer Dispersed Liquid Crystal)薄膜を作製し、散乱状態-透明状態の切換を実現することができ、さらにインテリジェントカーテン、カーテンウォール又は透明な表示デバイスに適用される。特に、本発明に記載の液晶組成物は、逆型PDLC薄膜にすることができ、通電されていないときに透明な状態を示すので、車載窓膜に特に適している。
【0005】
本発明が採用する技術的解決策は次のとおりである。
低粘度で応答の速い液晶組成物であって、原料成分は、
1~30重量部の一般式がIである化合物と、
1~40重量部の一般式がIIである化合物と、
1~50重量部の一般式がIIIである化合物と、
5~60重量部の一般式がIVである化合物と、
1~50重量部の一般式がVである化合物と、
1~40重量部の一般式がVIである化合物と、
5~60重量部の一般式がVIIである化合物と、を含み、
上記の7種類の化合物の構造は以下のとおりであり、
前記一般式がIである化合物の構造は以下のとおりであり、
R
1は、1~7個の炭素原子のアルキル基を表し、R
2は、1~7個の炭素原子のアルキル基を表し、
前記一般式がIIである化合物の構造は以下のとおりであり、
R
3は、1~7個の炭素原子のアルキル基を表し、R
4は、1~7個の炭素原子のアルキル基を表し、
前記一般式がIIIである化合物の構造は以下のとおりであり、
R
5は、1~7個の炭素原子のアルキル基を表し、R
6は、1~7個の炭素原子のアルキル基を表し、
前記一般式がIVである化合物の構造は以下のとおりであり、
R
7は、1~7個の炭素原子のアルキル基を表し、R
8は、1~7個の炭素原子のアルキル基を表す。
【0006】
前記一般式がVである化合物の構造は以下のとおりであり、
R
9は、1~7個の炭素原子のアルキル基を表し、R
10は、1~7個の炭素原子のアルキル基を表し、
前記一般式がVIである化合物の構造は以下のとおりであり、
R
11は、1~7個の炭素原子のアルキル基を表し、R
12は、1~7個の炭素原子のアルキル基を表し、
前記一般式がVIIである化合物の構造は以下のとおりであり、
R
13は、1~7個の炭素原子のアルキル基を表し、R
14は、1~7個の炭素原子のアルキル基を表す。
【0007】
さらに好ましくは、前記液晶組成物の原料成分は、
2~20重量部の一般式がIである化合物と、
5~25重量部の一般式がIIである化合物と、
5~45重量部の一般式がIIIである化合物と、
10~50重量部の一般式がIVである化合物と、
5~40重量部の一般式がVである化合物と、
1~20重量部の一般式がVIである化合物と、
10~50重量部の一般式がVIIである化合物と、を含む。
【0008】
さらに好ましくは、前記液晶組成物の原料成分は、
5~15重量部の一般式がIである化合物と、
5~15重量部の一般式がIIである化合物と、
10~30重量部の一般式がIIIである化合物と、
10~40重量部の一般式がIVである化合物と、
5~20重量部の一般式がVである化合物と、
1~10重量部の一般式がVIである化合物と、
15~40重量部の一般式がVIIである化合物と、を含む。
【0009】
さらに好ましくは、前記液晶組成物の原料成分は、
8重量部の一般式がIである化合物と、
9重量部の一般式がIIである化合物と、
16重量部の一般式がIIIである化合物と、
20重量部の一般式がIVである化合物と、
10重量部の一般式がVである化合物と、
6重量部の一般式がVIである化合物と、
31重量部の一般式がVIIである化合物と、を含む。
【0010】
一般式がIである前記化合物は、トリフルオロ構造を含む極性化合物であり、そのラテラルフッ素置換基は、相転移温度の低下に対する影響が比較的小さく、液晶組成物の広い温度システムを保証するだけでなく、粘度が低く、応答が速い。一般式Iである化合物は、主に、光学異方性が大きく、閾値が低い液晶組成物システムに適用される。前記一般式がIである化合物は、以下の化合物のうちの1つ又は2つから選択される。
【0011】
一般式がIIである前記化合物は、2,3-ジフルオロベンゼン構造及びアルコキシ基を含む極性化合物である。この構造は優れた相溶性を有する。この構造のベンゼン環の存在により、このタイプの化合物は大きな光学異方性を有し、シクロヘキサンの存在により、このタイプの化合物は高い透明点を有する。また、そのラテラルフッ素置換基は、相転移温度の低下に対する影響が比較的小さく、液晶組成物の広い温度システムを保証するだけでなく、粘度が低く、応答が速い。前記一般式がIIである化合物は、以下の化合物のうちの1つ又は複数から選択され、
【0012】
一般式がIIIである前記化合物は、2,3-ジフルオロベンゼン構造及びアルコキシ基を含む極性化合物である。この構造のラテラルフッ素置換基の存在により、液晶組成物は、粘度が低く、応答が速いという特性を有する。前記一般式がIIIである化合物は、以下の化合物のうちの1つ又は複数から選択され、
【0013】
一般式がIVである前記化合物は、2,3-ジフルオロベンゼン構造及びメトキシ架橋結合を含む極性化合物である。この構造のベンゼン環の存在により、このタイプの化合物は大きな光学異方性を有し、シクロヘキサンの存在により、このタイプの化合物は高い透明点を有する。また、そのラテラルフッ素置換基は、相転移温度の低下に対する影響が比較的小さく、液晶組成物の広い温度システムを保証するだけでなく、粘度が低く、応答が速い。前記一般式がIVである化合物は、以下の化合物のうちの1つ又は複数から選択され、
【0014】
一般式がVである前記化合物は、2,3-ジフルオロベンゼン構造及びメトキシ架橋結合を含む極性化合物である。この構造のベンゼン環の存在により、このタイプの化合物は比較的大きな光学異方性を有し、ラテラルフッ素置換基の存在により、液晶組成物は、粘度が低く応答が速いという特性を有する。前記一般式がVである化合物は、以下の化合物のうちの1つ又は複数から選択される。
【0015】
一般式がVIである前記化合物は、エステル基及びジシアノ基構造を含む化合物である。それにより、前記構造は、大きな誘電異方性を有し、液晶組成物が低閾値の特性を有することを保証する。前記一般式がVIである化合物は、以下の化合物のうちの1つ又は複数から選択され、
【0016】
一般式がVIIである前記化合物は、アセチレン結合及びラテラルフッ素置換基構造を含む化合物である。それにより、前記構造は、大きな光学異方性を有するだけでなく、低粘度、速い応答及び優れた相溶性を有する。前記一般式がVIIである化合物は、以下の化合物のうちの1つ又は複数から選択される。
【0017】
さらに好ましくは、前記液晶組成物の原料成分は、0.1~0.5重量部の紫外線吸収剤をさらに含む。
前記紫外線吸収剤は、ベンゾトリアゾール類、ベンゾフェノン類、トリアジン類、及びパラベン類のうちの1つ又は複数の混合物である。
【0018】
さらに好ましくは、前記液晶組成物の原料成分は、0.01~0.05重量部の抗酸化剤をさらに含む。
前記抗酸化剤は、ヒンダードフェノール類、亜リン酸エステル類、及びヒンダードフェノール類と亜リン酸エステル類の複合タイプのうちの1つ又は複数の混合物である。
【0019】
前記液晶組成物の調製方法は、各原料成分を取り、融点の高いものから低いものの順に添加し、加熱撹拌条件下で溶解させ、十分に混合して均一にし、濾過及び不純物除去の後、前記液晶組成物得るステップを含む。
【0020】
前記加熱の温度は、60~100℃である。
【0021】
液晶ディスプレイにおける前記低粘度で応答の速い液晶組成物の応用:
【0022】
本発明の低粘度で応答の速い液晶組成物の調製方法は、特に限定されるものではなく、従来の方法で2つ以上の化合物を混合して生産をすることができる。例えば、高温60~100℃下で異なる成分を混合し、互いに溶解させる方法によって調製することができる。ここで、液晶組成物を、その化合物のための溶媒に溶解させて混合し、次に減圧下で溶媒を留去する。あるいは、本発明の液晶組成物は、従来の方法によって調製することができる。例えば、含有量が少ない成分を、より高い温度で、含有量がより大きい主成分に溶解させるか、又は、それぞれに属する成分をアセトン、クロロホルム、メタノールなどの有機溶媒に溶解させ、次に、溶液を混合して溶媒を除去した後に、液晶組成物を取得する。
【0023】
本発明の有益な効果は以下の通りである。
(1)本発明の低粘度で応答の速い液晶組成物は、一般式がIである化合物、一般式がIIである化合物、一般式がIIIである化合物、一般式がIVである化合物、一般式がVである化合物、一般式がVIである化合物、及び一般式がVIIである化合物を原料として採用し、適切な比率で配合するものである。一般式Iと一般式IIで表される化合物は、大きな光学異方性、高い透明点、低粘度、及び速い応答の特性を有する。一般式IIIで表される化合物は、優れた相溶性、低粘度及び速い応答の特性を有する。一般式IV及び一般式Vで表される化合物は、上記の一般式I及び一般式IIで表される化合物と同様の特性を有する。一般式VIで表される化合物は、大きな誘電異方性、低閾値の特性を有する。一般式VIIで表される化合物は、大きな光学異方性及び高い透明点の特性を有する。各成分間の協同作用によって、本発明の液晶組成物は十分に広い温度範囲と速い応答速度を有し、また高い透明点、大きな光学異方性、低粘度、優れた相溶性などの特性を有し、低温環境条件に適応できる。従って、本発明によって提供される液晶組成物は、様々な表示デバイス及びPDLC装置表示に適しており、特にPDLC装置表示に適用される場合、より優れた性能を有する。
【0024】
(2)本発明の液晶組成物は、極性の強い誘電異方性、低閾値及び大きな光学異方性の化合物を含むと同時に、より低い粘度、より速い応答、及びより高い透明点の特性を有する。本発明の液晶組成物は、十分に広いネマチック相温度範囲及び大きな光学異方性△nを有し、且つ比較的良好な紫外線抵抗性能を有すると同時に、良好な相溶性を有し、高分子材料と配合してPDLC(高分子分散型液晶、Polymer Dispersed Liquid Crystal)薄膜を作製し、散乱状態-透明状態の切換を実現することができ、さらにインテリジェントカーテン、カーテンウォール又は透明な表示デバイスに適用される。特に、本発明により提供される液晶組成物は、逆型PDLC薄膜にすることができ、通電されていないときに透明な状態を示すので、車載窓膜に特に適している。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、具体的な実施例を参照しながら、本発明を詳細に説明する。以下の実施例は、本発明を説明するためのものであり、本発明の範囲を制限するものではない。
【0026】
特に明記しない限り、本発明におけるパーセントは重量パーセントである。Cpは、液晶組成物の透明点(単位:℃)を表す。△nは、光学異方性(20℃)を表す。△ε(△ε=ε∥-ε⊥)は、誘電異方性(25℃、1000Hz)を表し、ε∥及びε⊥はそれぞれ、平行及び垂直誘電率(25℃、1000Hz)を表す。Vthは、液晶組成物の閾値(単位:V)(テスト条件:25℃)を表す。ηは、液晶組成物の粘度(テスト条件:20℃)を表す。
【0027】
以下の各実施例では、液晶化合物における基構造は、表1に示されるコードによって表される。
【0028】
【0029】
次の化合物構造を例として挙げる。
は、2CZWO5として表される。
は、2CQUO2として表される。
【0030】
以下の各実施例では、前記液晶組成物の調製はすべて熱溶解法を採用し、以下のステップを含む。天秤を使用して重量パーセントで各原料成分を秤量する。秤量と添加の順序に特別な要件はない。通常、各原料成分を融点の高いものから低いものの順に秤量して混合し、60~100℃で加熱し撹拌して、各成分を均一に溶解させる。次に、濾過、回転蒸発、最後のパッケージングを経て、目標の液晶組成物を得る。
【0031】
以下の各実施例において、前記液晶組成物の各成分の重量パーセント及び得られた目標の液晶組成物の性能パラメータは、以下の表に示される。
実施例1
【0032】
表2-液晶組成物における各成分の重量パーセント及び液晶組成物の性能パラメータ
実施例2
【0033】
表3-液晶組成物における各成分の重量パーセント及び液晶組成物の性能パラメータ
実施例3
【0034】
表4-液晶組成物における各成分の重量パーセント及び液晶組成物の性能パラメータ
実施例4
【0035】
表5-液晶組成物における各成分の重量パーセント及び液晶組成物の性能パラメータ
実施例5
【0036】
表6-液晶組成物における各成分の重量パーセント及び液晶組成物の性能パラメータ
実施例6
【0037】
表7-液晶組成物における各成分の重量パーセント及び液晶組成物の性能パラメータ
実施例7
【0038】
表8-液晶組成物における各成分の重量パーセント及び液晶組成物の性能パラメータ
実施例8
【0039】
表9-液晶組成物における各成分の重量パーセント及び液晶組成物の性能パラメータ
実施例9
【0040】
表10-液晶組成物における各成分の重量パーセント及び液晶組成物の性能パラメータ
実施例10
【0041】
表11-液晶組成物における各成分の重量パーセント及び液晶組成物の性能パラメータ
実施例11
【0042】
本実施例と実施例1の違いは、原料成分に紫外線吸収剤V001がさらに含まれている点のみである。その他の原料成分及び液晶化合物の調製方法はいずれも実施例1と同じである。
【0043】
本実施例の液晶組成物の原料成分は、表12に示される。
【0044】
表12-液晶化合物における各原料成分の使用量
実施例12
【0045】
本実施例と実施例1の違いは、原料成分に0.03%のヒンダードフェノール抗酸化剤0001がさらに含まれている点のみである。その他の原料成分及び液晶化合物の調製方法はいずれも実施例1と同じである。
【0046】
本実施例の液晶組成物の原料成分は、表13に示される。
【0047】
表13-液晶化合物における各原料成分の使用量
〈比較例1〉
【0048】
表14-液晶組成物における各成分の重量パーセント及び液晶組成物の性能パラメータ
【0049】
本比較例の液晶化合物の調製方法は、実施例1と同じである。
【0050】
実施例1と比較例1で得られた液晶組成物の各性能パラメータ値をまとめて比較する。表15を参照されたい。
【0051】
表15-実施例1と比較例1で得られた液晶組成物の性能パラメータの比較
【0052】
表15からわかるように、比較例1と比較すると、実施例1で提供された液晶組成物の閾値電圧Vth、光学異方性△n、及び誘電異方性Δεは、実質的に一致しているが、実施例1で提供された液晶組成物の透明点Cpはより高く、粘度ηはより低く、対応する応答はより速い。それにより、本発明の液晶化合物は、極性の強い誘電異方性、低閾値及び大きな光学異方性の化合物を含むと同時に、より低い粘度、より速い応答、及びより高い透明点の特性をさらに含むことが示される。従って、本発明によって提供される液晶組成物は、様々な表示デバイス及びPDLC装置表示に適しており、特にPDLC装置表示に適用される場合、より優れた性能を有する。
【0053】
本発明は、上記の最良の実施形態に限らず、本発明の啓示の下で誰でも他の様々な形態の製品を得ることができるが、その形状又は構造に何らかの変更が加えられても、本出願のものと同じ又は類似する技術的解決策を有するものは、いずれも本発明の保護範囲に含まれる。