(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】排気ガス処理システム及び装置
(51)【国際特許分類】
H01M 10/52 20060101AFI20240115BHJP
H01M 50/358 20210101ALI20240115BHJP
F01N 3/22 20060101ALI20240115BHJP
F01N 3/18 20060101ALI20240115BHJP
F01N 3/05 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
H01M10/52 101
H01M50/358
F01N3/22 301P
F01N3/22 301S
F01N3/22 301T
F01N3/18 D
F01N3/05
(21)【出願番号】P 2022538993
(86)(22)【出願日】2020-12-11
(86)【国際出願番号】 CN2020135946
(87)【国際公開番号】W WO2021174951
(87)【国際公開日】2021-09-10
【審査請求日】2022-06-23
(31)【優先権主張番号】202010134792.7
(32)【優先日】2020-03-02
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】513196256
【氏名又は名称】寧徳時代新能源科技股▲分▼有限公司
【氏名又は名称原語表記】Contemporary Amperex Technology Co., Limited
【住所又は居所原語表記】No.2,Xingang Road,Zhangwan Town,Jiaocheng District,Ningde City,Fujian Province,P.R.China 352100
(74)【代理人】
【識別番号】100159329
【氏名又は名称】三縄 隆
(72)【発明者】
【氏名】▲陳▼ 小波
(72)【発明者】
【氏名】▲呉▼ 少基
(72)【発明者】
【氏名】柯 ▲劍▼煌
(72)【発明者】
【氏名】李 ▲ティン▼
【審査官】清水 祐樹
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2010/032313(WO,A1)
【文献】特開2009-289655(JP,A)
【文献】特開2015-125881(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102014212173(DE,A1)
【文献】特開2020-198738(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01M 10/52 - 10/667
H01M 50/20 - 50/392
B60L 1/00 - 3/12
B60L 7/00 - 13/00
B60L 15/00 - 58/40
F01N 3/05
F01N 3/22
F01N 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池パックの排気ガスを処理するための排気ガス処理システムであって、前記排気ガス処理システムは、
酸素と前記電池パックの排気ガスを混合し、混合ガスを形成するための混合装置と、
内部の触媒が前記混合ガスを触媒することに用いられる反応装置と、
触媒後の物質を排出するための排出装置と、
を含
み、
前記混合装置は第1キャビティーを含み、前記第1キャビティーは第1出口を含み、前記第1出口には圧力逃し弁が設置され、前記圧力逃し弁は、前記第1キャビティー内の前記混合ガスの圧力が所定の圧力に達すると開き、前記第1出口が開き、それにより前記混合ガスが第1出口を通って前記第1キャビティーから排出する、排気ガス処理システム。
【請求項2】
前記混合装置は
さらに、前記第1キャビティーに酸素を供給するための酸素供給部と、を含む、請求項1に記載の排気ガス処理システム。
【請求項3】
前記酸素供給部には、前記第1キャビティー内の排気ガスの含有量を監視するための第1センサと、前記酸素供給部を制御して酸素供給を開始又は停止させるためのトリガー部材と、が設置される、請求項2に記載の排気ガス処理システム。
【請求項4】
前記酸素供給部は、圧縮空気を貯蔵するためのガスボンベを含み、
前記トリガー部材は前記ガスボンベを開閉する、請求項3に記載の排気ガス処理システム。
【請求項5】
前記酸素供給部は酸素放出層を含み、
前記酸素放出層は前記電池パックの排気ガスの作用下で酸素を生成し、それにより、酸素と前記電池パックの排気ガスと混合される、請求項2~4のいずれか1項に記載の排気ガス処理システム。
【請求項6】
前記排気ガス処理システムは弁装置をさらに含み、
前記弁装置は前記電池パックの排気ガスが前記第1キャビティーに向かって流れる方向を導通し、且つ前記弁装置は、さらに前記混合ガスが前記第1キャビティーから前記電池パックに流れる方向を閉じる、請求項5に記載の排気ガス処理システム。
【請求項7】
前記酸素供給部は前記第1キャビティーの外側に位置し、且つ貫通孔を介して前記第1キャビティーに連通し、及び/又は、
前記酸素供給部は前記第1キャビティー内に位置する、請求項2~6のいずれか1項に記載の排気ガス処理システム。
【請求項8】
前記反応装置は第2キャビティー及び支持フレームを含み、前記支持フレームは複数の空洞部を含み、前記触媒は前記支持フレームに設置される、請求項1~
7のいずれか1項に記載の排気ガス処理システム。
【請求項9】
前記反応装置は、反応を行うために、加熱部材及び温度制御部材をさらに含む、請求項
8に記載の排気ガス処理システム。
【請求項10】
前記排気ガス処理システムは排出装置及び冷却部材をさらに含み、前記反応装置から排出された触媒後の物質は前記冷却部材を通過して前記排出装置から排出される、請求項1~
9のいずれか1項に記載の排気ガス処理システム。
【請求項11】
前記排出装置は触媒後の物質を排出するためのチャンネルを有し、
触媒後の物質の排出方向に沿って、前記チャンネルの断面積は徐々に増加する、請求項
10に記載の排気ガス処理システム。
【請求項12】
前記排気ガス処理システムは濾過装置をさらに含み、前記電池パックの排気ガスは前記濾過装置によって濾過された後、前記混合装置に入る、請求項1~
11のいずれか1項に記載の排気ガス処理システム。
【請求項13】
前記濾過装置は、濾過管、第1濾過部及び第2濾過部を含み、前記第1濾過部及び前記第2濾過部は前記濾過管内に設置され、且つ前記第1濾過部と前記第2濾過部のメッシュが異なる、請求項
12に記載の排気ガス処理システム。
【請求項14】
電池パックと、請求項1~
13のいずれか1項に記載の排気ガス処理システムとを含み、
前記電池パックは電気エネルギーを提供することに用いられる装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本願は2020年03月02日に提出された、名称が「排気ガス処理システム及び装置」である中国特許出願202010134792.7の優先権を主張し、該出願の全内容は援用により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本願の実施形態はエネルギー貯蔵デバイスの技術分野に関し、特に排気ガス処理システム及び装置に関する。
【背景技術】
【0003】
現在、電気自動車の安全事故が頻繁に発生しており、電気自動車の安全事故を引き起こす要因の1つは電池パックの熱暴走である。通常、電池パックの熱暴走は、主に発煙、発火や燃焼等の現象として現れる。熱暴走が発生すると、電池パックは短い時間で大量の排気ガスを発生させ、排気ガスの主な成分は水素(H2)、一酸化炭素(CO)及び各種のアルカン等の可燃性ガスであり、処理せずに周囲に直接排出されると、発火、ひいては爆発等の安全事故をさらに引き起こす恐れがあり、救助者を含む周囲の人々の身の安全を深刻に脅かし、すなわち、該電池パックの安全性は低い。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本願は、電池パックが熱暴走する時に発生した排気ガスを処理し、電池パックの安全性を向上させることができる排気ガス処理システム及び装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本願の実施例の第1態様は、
酸素と電池パックの排気ガスを混合し、混合ガスを形成するための混合装置と、
内部の触媒が混合ガスを触媒することに用いられる反応装置と、
触媒後の物質を排出するための排出装置とを含む、電池パックの排気ガスを処理するための排気ガス処理システムを提供する。
【0006】
本願は、排気ガス処理システムを設置することにより、電池パックが熱暴走した場合の排気ガスを処理し、可燃性排気ガスを不燃性物質(触媒後の物質)に変換することができる。
【0007】
1つの可能な形態では、混合装置は、第1キャビティーと、第1キャビティーに酸素を供給するための酸素供給部とを含む。
【0008】
本実施例では、排気ガス処理システムの混合装置に酸素供給部を増設することにより、混合装置に酸素を供給することができ、それにより、混合装置の第1キャビティーの酸素含有量を増加し、混合ガスの酸素含有量を増加し、更に反応装置における触媒効率及びレートを向上させるとともに、触媒効果を保証し、排気ガスの効率的な処理を実現し、電池パックの安全性を向上させる。
【0009】
1つの可能な形態では、酸素供給部には、第1キャビティー内の排気ガスの含有量を監視するための第1センサと、酸素供給部を制御して酸素供給を開始又は停止させるためのトリガー部材とが設置される。
【0010】
本実施例では、該酸素供給部は、第1センサによって第1キャビティー内の排気ガスの含有量を監視して排気ガスの含有量情報を取得し、監視された排気ガスの含有量に基づき酸素供給の割合を決定することができ、且つ排気ガスの含有量情報をトリガー部材に送信し、トリガー部材は設定された排気ガスの含有量に応じて酸素を供給し、トリガー部材は、受信した排気ガスの含有量情報に基づいて排気ガスの含有量が設定された排気ガスの含有量に達しないと判定する場合、酸素供給部を制御して酸素供給を継続し、第1キャビティー内の排気ガスの含有量を増加し、トリガー部材は、受信した排気ガスの含有量情報に基づいて排気ガスの含有量が設定された排気ガスの含有量に達していると判定する場合、酸素供給部を制御して酸素供給を停止する。第1キャビティー内において、排気ガスは酸素と十分に混合されて緩衝される。
【0011】
1つの可能な形態では、酸素供給部は、圧縮空気を貯蔵するためのガスボンベを含み、
トリガー部材はガスボンベを開閉する。
【0012】
ガスボンベは入力空気の体積を低減させることができる。
【0013】
1つの可能な形態では、酸素供給部は酸素放出層を含み、
酸素放出層は該電池パックの排気ガスの作用下で酸素を生成し、それにより、酸素が電池パックの排気ガスと混合される。
【0014】
酸素放出層を設置することにより、酸素放出効率を向上させ、第1キャビティー内の酸素の含有量を増加することができ、更に排気ガス処理システムの排気ガス処理効率を向上させる。
【0015】
1つの可能な形態では、排気ガス処理システムは弁装置をさらに含み、
弁装置は電池パックの排気ガスが第1キャビティーに向かって流れる方向を導通し、且つ弁装置はさらに混合ガスが第1キャビティーから電池パックに流れる方向を閉じる。
【0016】
該弁装置は混合装置の第1入口に設置されてもよく、それにより、電池パックの排気ガスは該弁装置を通って第1キャビティー内に入ることができ、同時に、該弁装置はさらに第1キャビティー内の混合ガスが弁装置を通って逆流することを防ぐことができる。
【0017】
1つの可能な形態では、酸素供給部は第1キャビティーの外側に位置し、且つ貫通孔を介して第1キャビティーに連通し、及び/又は、
酸素供給部は第1キャビティー内に位置する。
【0018】
1つの可能な形態では、第1キャビティーは第1出口を含み、第1出口には、混合ガスを第1キャビティーから排出するための圧力逃し弁が設置される。
【0019】
1つの可能な形態では、反応装置は第2キャビティー及び支持フレームを含み、支持フレームは複数の空洞部を含み、触媒は支持フレームに設置される。
【0020】
該第2キャビティーは触媒を収容することに用いられ、該触媒は、混合ガスにおける酸素と排気ガスの反応を触媒し、これらを上記触媒後の物質に変換することに用いられる。
【0021】
1つの可能な形態では、反応装置は、反応を行うために、加熱部材及び温度制御部材をさらに含む。
【0022】
加熱部材は、反応装置の第2キャビティー内の物質を加熱することに用いられ、該加熱部材は反応対象の混合ガスを加熱することができ、触媒を加熱することもでき、それにより、触媒反応を適切な温度で引き起こし、触媒の触媒効率を保証する。
【0023】
1つの可能な形態では、排気ガス処理システムは排出装置及び冷却部材をさらに含み、反応装置から排出された触媒後の物質は冷却部材を通過して排出装置から排出される。
【0024】
1つの可能な形態では、排出装置は触媒後の物質を排出するためのチャンネルを有し、
触媒後の物質の排出方向に沿って、チャンネルの断面積は徐々に増加する。
【0025】
断面積が変化するこのチャンネルは、排気ガス処理システムから排出される時の触媒後の物質の流動速度を低減させることができ、それにより、触媒後の物質が排出される時の衝撃を低減し、電池パックの安全性を更に向上させ、そして、周囲環境への影響を軽減することができる。
【0026】
1つの可能な形態では、排気ガス処理システムは濾過装置をさらに含み、電池パックの排気ガスは濾過装置によって濾過された後、混合装置に入る。
【0027】
該濾過装置は排気ガス中の粒子物質を濾過することができ、それにより、触媒反応の効率を向上させ、そして、触媒中毒の発生率を低減させることができる。いくつかの実施例では、粒子物質の濾過は、粒子物質が反応装置を詰め、圧力が高くなって爆発を引き起こすという状況を防止することができる。
【0028】
1つの可能な形態では、濾過装置は、濾過管、第1濾過部及び第2濾過部を含み、第1濾過部及び第2濾過部は濾過管内に設置され、且つ第1濾過部と第2濾過部のメッシュが異なる。
【0029】
該第1濾過部は排気ガス中の大きな顆粒状不純物を濾過することに用いることができ、第2濾過部は排気ガス中の小さいな顆粒状不純物を濾過することに用いることができ。
【0030】
本願の実施例の第2態様は、電池パックと、上記の排気ガス処理システムとを含み、
電池パックは電気エネルギーを提供することに用いられる、装置を提供する。
【0031】
本願の実施例では、排気ガス処理システムを設置することにより、電池パックが熱暴走した場合の排気ガスを処理し、可燃性排気ガスを不燃性物質(触媒後の物質)に変換することができ、それにより、電池パックの熱暴走による発火、ひいては爆発等の安全事故を減少し、電池パック及び該電池パックを電源として使用する装置の安全性を向上させる。
【0032】
理解されるべきであるように、以上の一般的な説明及び以下の細部説明は例示的なものに過ぎす、本願を制限するためのものではない。
【0033】
本願の実施例の技術的解決手段をより明確に説明するために、以下では、本願の実施例に使用される必要のある図面を簡単に説明するが、明らかに、以下の説明される図面は本願のいくつかの実施例に過ぎず、当業者であれば、創造的な労働を必要とせずにこれらの図面に基づいて他の図面を取得することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】本願の実施例に係るデバイスの1つの具体的な実施例における構造模式図である。
【
図2】
図1の電池パックの1つの具体的な実施例における分解図である。
【
図3】本願の実施例に係る電池パックと排気ガス処理システムの接続構造模式図である。
【
図4】
図3の混合装置の第1の具体的な実施例における構造模式図である。
【
図5】
図3の混合装置の第2の具体的な実施例における構造模式図である。
【
図6】
図3の混合装置の第3の具体的な実施例における構造模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
図面において、図は実際の縮尺で描かれていない。
【0036】
ここでの図面は明細書に組み込まれ、本明細書の一部分を構成し、本願に合致する実施例を示し、明細書とともに本願の原理を解釈することに用いられる。
【0037】
本願の技術的解決手段をより良好に理解するために、以下、図面を参照しながら本願の実施例を詳細に説明する。
【0038】
明らかなように、説明される実施例は本願の実施例の一部に過ぎず、全ての実施例ではない。当業者が本願の実施例に基づいて創造的な労働を必要とせずに取得する全ての他の実施例は、本願の保護範囲に属する。
【0039】
本願の実施例で使用される用語は特定の実施例を説明するためのものに過ぎず、本願を制限するためのものではない。特に断らない限り、本願の実施例及び添付特許請求の範囲で使用される単数形の「1つ」、「前記」及び「当該」は複数形を含むことを意味する。
【0040】
理解すべきであるように、本明細書で使用される「及び/又は」という用語は、関連対象の関連関係を説明するためのものに過ぎず、3つの関係が存在していることを示す。例えば、A及び/又はBは、Aが単独で存在すること、AとBが同時に存在すること、及びBが単独で存在することの3つの状況を示す。また、本明細書の符号「/」は、一般的に前後の関連対象が「又は」の関係であることを示す。
【0041】
なお、本願の実施例で説明される「上」、「下」、「左」、「右」等の方位語は図面に示される角度から説明するものであり、本願の実施例に対する限定ではないと理解すべきである。また、文脈では、さらに理解されるように、1つの素子が別の素子「上」又は「下」に接続されることを記載するとき、それは別の素子「上」又は「下」に直接接続されてもよく、中間素子を介して別の素子「上」又は「下」に間接的に接続されてもよい。
【0042】
以下の説明に出現する方位語はいずれも図示されている方向であり、本願の具体的な構造を限定するものではない。本願の説明において、説明する必要がある点として、特に明確な規定及び限定がない限り、用語「取付」、「連結」、「接続」は、広義に理解すべきであり、例えば、固定して接続されてもよく、取り外し可能に接続され、又は一体的に接続されてもよい。直接連結されてもよく、中間媒体を介して間接的に連結されてもよい。当業者にとって、具体的な状況に応じて上記用語の本願での具体的な意味を理解することができる。
【0043】
本願の実施例は電池ユニットを電源として使用する装置、電池パック及び電池モジュールを提供し、装置は車両、船舶、小型飛行機等の移動デバイスであってもよく、装置は動力源を含んでもよく、該動力源は装置に駆動力を提供することに用いられ、且つ該動力源は装置に電気エネルギーを供給する電池モジュールとして配置されてもよい。該装置の駆動力は、全て電気エネルギーであってもよく、電気エネルギー及び他のエネルギー(例えば機械的エネルギー)を含んでもよく、該動力源は電池モジュール(又は電池パック)であってもよい。いくつかの実施例では、該装置は、また、電池キャビネット等のエネルギー貯蔵デバイスであってもよく、該電池キャビネットは、電気エネルギーを出力できるように、複数の電池モジュール(又は電池パック)を含んでもよい。従って、電池ユニットを電源として使用する装置であれば、いずれも本願の保護範囲に属する。
【0044】
図1に示すように、車両を例とし、本願の実施例の装置Dは新エネルギー自動車であってもよく、該新エネルギー自動車は純電気自動車であってもよく、ハイブリッド自動車又はレンジエクステンダー自動車であってもよい。該車両は電池パックM及び車両本体を含み、該電池パックMは車両本体に設置され、該車両本体に駆動モーターがさらに設置され、且つ駆動モーターは電池パックMに電気的に接続され、電池パックMは電気エネルギーを供給し、駆動モーターは伝動機構を介して車両本体の車輪に接続されることにより車両を駆動して走行させる。具体的には、該電池パックMは車両本体の底部に水平に設置されてもよい。
【0045】
図2に示すように、電池パックMは筐体M1及び本願の電池モジュールM2を含み、筐体M1は収容キャビティーM13を有し、電池モジュールM2は該収容キャビティーM13内に収容され、電池モジュールM2の数は1つ又は複数であってもよく、複数の電池モジュールM2は収容キャビティーM13内に配列される。筐体M1のタイプは制限されず、枠状筐体、円盤状筐体又は箱形筐体等であってもよい。具体的には、
図2に示すように、該筐体M1は電池モジュールM2を収容する下部筐体M12と、下部筐体M12に結合される上部筐体M11とを含んでもよい。
【0046】
電池パックが熱暴走すると、その内部の少なくとも1つの電池セルが熱暴走し、電池セルが熱暴走するとき、その内部の電解液は熱分解して、大量のガスを生成し、且つその内部の磁極片は金属破片又は磁極片材料を生成し、該金属破片及び磁極片材料はガスとともに電池セルから排出され、更に電池パックから排出され、電池パックの排気ガスになり、排気ガスの主な成分は水素(H2)、一酸化炭素(CO)及び各種のアルカン等の可燃性ガスであり、電池パックの熱暴走による発火、ひいては爆発等の安全事故を防止することができる。
【0047】
上記技術的課題を解決するために、本願の実施例は排気ガス処理システムを提供し、
図3に示すように、該排気ガス処理システムAは電池パックMの排気ガスを処理する。該排気ガス処理システムAは、混合装置1と、反応装置2と、排出装置3とを含み、該混合装置1は酸素と電池パックMの排気ガスを混合し、混合ガスを形成することに用いられ、反応装置2内の触媒26は混合ガスを触媒することに用いられ、排出装置3は触媒後の物質を排出することに用いられる。上記排気ガスは電池パックMが熱暴走する時に発生した排気ガスであり、且つ排気ガスはH
2、CO及び各種のアルカン等の可燃性ガスを含んでもよく、上記混合ガスとは酸素と電池パックMの熱暴走によって発生した排気ガスとが混合されて形成された混合ガスを指し、上記触媒後の物質とは、酸素と排気ガスが触媒反応した後の物質(二酸化炭素(CO
2)及び水(H
2O)等を含む)、残留酸素及び排気ガス等を指す。
【0048】
具体的には、
図3に示すように、該混合装置1は反応装置2に連通し、且つ電池パックMに連通し、それにより、電池パックMが熱暴走する時に発生した排気ガスは混合装置1に入ることができ、排気ガスは酸素と該混合装置1内に混合し混合ガスを形成した後、該混合ガスは反応装置2に入ることもでき、同時に、該反応装置2は排出装置3に連通し、それにより、混合ガスが反応装置2内に触媒された後、触媒後の物質は排出装置3を通って排出できる。いくつかの実施例では、上記各装置の連通とは、2つの装置が直接連通するか、又は他の部材を介して間接連通することを指す。
【0049】
本願の実施例では、排気ガス処理システムAを設置することにより、電池パックMが熱暴走した場合の排気ガスを処理し、可燃性排気ガスを不燃性物質(触媒後の物質)に変換することができ、それにより、電池パックMの熱暴走による発火、ひいては爆発等の安全事故のリスクを減少し、電池パックM及び該電池パックMを電源として使用する装置の安全性を向上させる。
【0050】
上記のように、上記該排気ガス処理システムAの反応装置2内に触媒反応が発生する過程で、触媒するために酸素と排気ガスを混合する必要があり、従って、触媒反応過程で酸素の濃度は触媒反応のレート及び効率に影響を与え、それにより、排気ガス処理システムAによる電池パックMの熱暴走によって発生した排気ガスの処理効率に影響を与える。
【0051】
1つの可能な形態では、
図3に示すように、該排気ガス処理システムAは濾過装置4を含んでもよく、電池パックMの排気ガスは該濾過装置4によって濾過された後、混合装置1に入ることができる。
【0052】
本実施例では、該濾過装置4は排気ガス中の粒子物質を濾過することができ、それにより触媒反応の効率を向上させ、そして、触媒中毒の発生率を低減させることができる。いくつかの実施例では、粒子物質の濾過は、粒子物質が反応装置2を詰め、圧力が高くなって爆発を引き起こすという状況を防止することができる。
【0053】
具体的には、該濾過装置4は電池パックMの内部に取り付けられてもよく、又は電池パックMの外側に取り付けられてもよく、電池パックMの排気ガスが濾過装置4を通ってから混合装置1に入ることを実現できればよい。
図3に示すように、該濾過装置4は電池パックMと混合装置1との間に取り付けられ、且つ電池パックM及び混合装置1に接続されてもよく、それにより、電池パックMの防爆弁Bから排出される排気ガスは濾過装置4によって濾過された後に混合装置1に入る。濾過装置4の具体的な取り付け方式及び濾過装置の形状は制限されない。
【0054】
より具体的には、
図3に示すように、該濾過装置4は、濾過管43、第1濾過部41及び第2濾過部42を含んでもよく、該濾過管43の両端はそれぞれ電池パックMの防爆弁B及び混合装置1に連通し、すなわち、電池パックMの防爆弁Bから排出される排気ガスは該濾過管43を通って混合装置1内に入ることができる。該第1濾過部41及び第2濾過部42は濾過管43内に設置されてもよく、且つ第1濾過部41と第2濾過部42のメッシュが異なる。
【0055】
例えば、第1濾過部41及び第2濾過部42は発泡アルミニウム等の多孔質構造であってもよく、ふるいであってもよく、該第1濾過部41は排気ガス中の大きな顆粒状不純物を濾過することに用いることができ、第2濾過部42は排気ガス中の小さな顆粒状不純物を濾過することに用いることができる。従って、該濾過装置4が電池パックMの外部(電池パックMの防爆弁Bと混合装置1との間)に位置する場合、該濾過装置4の第1濾過部41は電池パックMに接近し、第2濾過部42は混合装置1に接近し、且つ該第2濾過部42のメッシュは第1濾過部41のメッシュよりも高くてもよく、例えば、第1濾過部41のメッシュは10、第2濾過部42のメッシュは20であってもよい。
【0056】
1つの可能な形態では、
図3に示すように、該反応装置2は第2ハウジング21を含んでもよく、該第2ハウジング21は触媒26を収容するための第2キャビティー211を有し、該触媒26は、混合ガスにおける酸素と排気ガスの反応を触媒し、これらを上記触媒後の物質に変換することに用いられる。
【0057】
排気ガスと酸素が触媒26の触媒作用で触媒反応する時に、ガスの温度は少なくとも摂氏150度(℃)であり、この場合、触媒反応のレートと効率の両方は高い。従って、
図3に示すように、該反応装置2は加熱部材22、温度制御部材23及び第2センサ24をさらに含み、該加熱部材22は反応装置2の第2キャビティー211内の物質を加熱することに用いられ、該加熱部材22は反応対象の混合ガスを加熱することができ、触媒26を加熱することもでき、それにより、触媒反応を適切な温度で引き起こし、触媒の触媒効率を保証する。
【0058】
いくつかの実施例では、触媒反応が酸化反応であり、反応過程で熱が放出されるため、加熱部材22は常に加熱する必要がない。触媒反応の高効率を保証すると同時に安全性を保証するために、第2キャビティー211内の温度を約300℃に制御してもよい。従って、反応する前に、加熱部材22によって触媒26を加熱し、また、第2センサ24によって触媒26の温度を監視し、温度制御部材23には予め設定された温度(例えば300℃)が記憶されている。第2センサ24は触媒26の温度が該予め設定された温度に達しないことを監視した場合、温度制御部材23によって加熱部材22を制御して加熱を継続させ、第2センサ24は触媒26の温度が予め設定された温度に達したことを監視した場合、温度制御部材23によって加熱部材22を制御して加熱を停止させる。上記過程で、触媒反応は自発的に行われ、且つその効率とレートとの両方は高い。
【0059】
1つの具体的な実施例では、
図3に示すように、該排気ガス処理システムAは排出装置3及び冷却部材31をさらに含み、反応装置2から排出された触媒後の物質は該冷却部材31を通過して排出装置3から排出できる。
【0060】
触媒反応の温度が高いため、反応装置2から排出される触媒後の物質の温度は高く、本実施例では、触媒後の物質を排出前に冷却することにより、電池パックMの安全性を更に向上させることができる。
【0061】
該冷却部材31には吸熱材料が設置されてもよく、該吸熱材料は触媒後の物質の熱を吸収し、温度を下げることができる。該吸熱材料は無機金属水和物塩等の材料、例えば、パラフィン-膨張グラファイトを含んでもよい。又は、該冷却部材31は水冷及び空冷の方式で冷却するように構成されてもよい。触媒後の物質の温度を下げることができる限り、放熱フィン等の構造であってもよい。
【0062】
具体的には、
図3に示すように、該排出装置3は触媒後の物質を排出するためのチャンネル33を有し、且つ触媒後の物質の排出方向に沿って、該チャンネル33の断面積は徐々に増加し、すなわち、反応装置2から排出装置3への方向に沿って、該チャンネル33の断面積は徐々に増加する。
【0063】
本実施例では、断面積が変化するこのチャンネル33は、触媒後の物質が排気ガス処理システムAから排出される時の流動速度を低減させることができ、それにより、触媒後の物質が排出される時の衝撃を低減し、電池パックMの安全性を更に向上させ、そして、周囲環境への影響を軽減することができる。
【0064】
より具体的には、
図3に示すように、該排出装置3には逆止弁32が設置されてもよく、該逆止弁32は単方向で導通し、その導通方向は反応装置2内の触媒後の物質の排出方向であり、該方向と反対の方向は閉じられる。従って、反応装置2中の触媒後の物質は該逆止弁32を通って排出でき、且つ該逆止弁32は外界物質が該逆止弁32を通って排気ガス処理システムAに侵入することを防ぐことができる。
【0065】
これに基づき、
図3に示すように、該混合装置1は、第1キャビティー111と、第1キャビティー111に酸素を供給するための酸素供給部12とを含んでもよい。
【0066】
従来のガソリン車の排気ガスのコストは窒素酸化物(NOX)、CO及び炭化水素等の可燃性ガスを含み、それらが直接排出されると環境に影響を与え、従って、ガソリン車には、通常、ガソリン車のエンジンから排出される排気ガスを処理するための排気ガス処理システムが設置される。該排気ガス処理システムは触媒を含み、該触媒の触媒作用下で硝化反応が発生し、排気ガスは酸素と反応して非汚染物質に変換されて排出される。ガソリン車の排気ガス処理システムは、通常、ガソリン車が通常動作する時に発生した排気ガスを処理することに用いられ、該排気ガスの濃度が高くなく、非常に短い時間内に排気ガスの含有量を最低に低減する必要がなく、触媒反応の過程で高い酸素濃度を必要としないため、必要な酸素はガソリン燃焼時に残留される酸素から由来し、酸素を追加せずに排気ガスの処理を完了することができる。
【0067】
電池パックMが熱暴走する時に発生した排気ガスの温度、濃度及び圧力はいずれも高く、適時に処理しないと、電池パックMの爆発を引き起こす恐れがある。従って、該電池パックMの排気ガス処理システムAは非常に短い時間内に排気ガスの含有量を安全レベルに低減する必要があり、これに基づき、排気ガスの処理過程に必要な酸素濃度が高く、従来のガソリン車用の排気ガス処理システムは本願の実施例における電池パックMに適用できない。
【0068】
本実施例では、排気ガス処理システムAの混合装置1に酸素供給部12を増設することにより、混合装置1に酸素を供給することができ、それにより、混合装置1の第1キャビティー111の酸素含有量を増加し、混合ガスの酸素含有量を増加し、更に反応装置2における触媒効率及びレートを向上させるとともに、触媒効果を保証し、排気ガスの効率的な処理を実現し、電池パックMの安全性を向上させる。
【0069】
具体的には、
図4に示すように、該酸素供給部12は、混合装置1の第1キャビティー111内の排気ガスの含有量を監視するための第1センサ13と、酸素供給部12を制御して酸素供給を開始又は停止させるためのトリガー部材14とを含んでもよい。第1センサ13とトリガー部材14は導線を介して接続される、及び/又は信号を介して接続される。
【0070】
本実施例では、該酸素供給部12は、第1センサ13によって第1キャビティー111内の排気ガスの含有量を監視して排気ガスの含有量情報を取得し、監視された排気ガスの含有量に基づき酸素供給の割合を決定することができ、且つ排気ガスの含有量情報をトリガー部材14に送信し、トリガー部材14は設定された排気ガスの含有量に応じて酸素を供給し、トリガー部材14は、受信した排気ガスの含有量情報に基づいて排気ガスの含有量が該設定された排気ガスの含有量に達しないと判定する場合、酸素供給部12を制御して酸素供給を継続させ、第1キャビティー11内の排気ガスの含有量を増加し、トリガー部材14は、受信した排気ガスの含有量情報に基づいて排気ガスの含有量が設定された排気ガスの含有量に達していると判定する場合、酸素供給部12を制御して酸素供給を停止させる。第1キャビティー111内において、排気ガスは酸素と十分に混合されて緩衝される。
【0071】
図4に示すように、該混合装置1は第1ハウジング11を含み、該第1ハウジング11に上記第1キャビティー111が設置され、且つ該第1ハウジング11は第1入口112及び第1出口113をさらに含み、該第1入口112は排気ガス及び/又は酸素が第1キャビティー111に入ることに用いられ、第1出口113は混合ガスを該第1キャビティー111から排出することに用いられる。
【0072】
また、該第1出口113に圧力逃し弁16が設置されてもよく、該圧力逃し弁16に所定の圧力が設定され、第1キャビティー111内の混合ガスの圧力が該所定の圧力に達した場合、該圧力逃し弁16は開放し、それにより、第1出口113を開放し、混合ガスは第1出口113を通って第1キャビティー111から排出できる。
【0073】
従って、該圧力逃し弁16を設置することにより、酸素と排気ガスの第1キャビティー111での混合時間を増加することができ、それにより、両方を十分に混合し、且つ両方の混合の均一性を向上させる。いくつかの実施例では、酸素と排気ガスの混合の均一性を更に向上させるために、第1キャビティー111内に撹拌構造を設置してもよく、それにより、触媒効果を向上させる。
【0074】
より具体的には、
図4に示すように、該酸素供給部12は、圧縮空気を貯蔵するためのガスボンベ121を含んでもよく、トリガー部材14は該ガスボンベ121を開閉することができる。例えば、該ガスボンベ121は酸素含有量が40%の圧縮空気を貯蔵することができ、それにより、供給空気の体積を低減させることができる。
【0075】
本実施例では、該トリガー部材14はガスボンベ121の開口部位に設置されてもよく、それにより、該トリガー部材14によってガスボンベ121の開口部を制御する。電池パックが熱暴走し、排気ガスが混合装置1の第1キャビティー111内に排出されるとき、トリガー部材14は排気ガス信号を監視し、ガスボンベ121の開口部の開閉及び開閉する大きさを制御し、該開口部は第1キャビティー111に連通し、それにより、ガスボンベ121内の圧縮空気は、開口部から第1キャビティー111に入ることができ、ガスボンベ121の開口部が閉じられた後、トリガー部材14の作用下で該開口部は第1キャビティー111に連通しなくなり、ガスボンベ121内の圧縮空気が第1キャビティー111に入って第1キャビティー111に酸素を供給することができなくなる。
【0076】
図4に示される実施例では、該酸素供給部12(例えばガスボンベ121)は第1キャビティー111内に位置し、第1ハウジング11の内壁に接続されてもよい。勿論、
図5に示される実施例では、該酸素供給部12は第1キャビティー111の外側に位置してもよく、この場合、該酸素供給部12は外部ブラケット(図示せず)に取り付けられてもよく、又は、該酸素供給部12は第1ハウジング11の外壁に取り付けられてもよく、且つ第1ハウジング11の側壁に貫通孔114が設置され、該酸素供給部12は該貫通孔114を介して第1キャビティー111と連通する。
【0077】
別の可能な形態では、
図6に示すように、該酸素供給部12は酸素放出層122を含んでもよく、該酸素放出層122は電池パックの排気ガスと酸素を生成することができ、それにより、酸素が電池パックの排気ガスと混合される。酸素放出層122は電池パックの排気ガスと反応して酸素を生成するか、又は特定の条件(例えば加熱)において、排気ガスの触媒作用下で、酸素放出層122は酸素を放出する。
【0078】
本実施例では、該酸素放出層122の材料は過酸化ナトリウム(Na2O2)を含むが、これに限定されず、Na2O2は排気ガスにおけるCO2(排気ガスにおけるCO2の含有量が20%を超える)等の物質と反応して酸素を生成し、且つNa2O2の活性が高く、大量の酸素を迅速に生成することができる。
【0079】
具体的には、該混合装置1は少なくとも2層の酸素放出層122を含み、
図6に示される実施例では、該混合装置1は3層の酸素放出層122を含み、且つ3層の酸素放出層122は第1入口112から第1出口113への方向L(
図6の矢印によって示される)に沿って間隔をあけて設置され、隣接する酸素放出層122の間に仕切板123が設置され、該仕切板123によって各層酸素放出層122は分離され、それにより、酸素放出効率を向上させ、第1キャビティー111内の酸素の含有量を増加し、更に排気ガス処理システムの排気ガス処理効率を向上させる。
【0080】
図6に示すように、本実施例における酸素供給部12(酸素放出層122及び仕切板123を含む)は第1キャビティー111内に位置し、且つ酸素供給部12の内壁に取り付けられる。又は、該酸素供給部(酸素放出層及び仕切板を含む)は第1キャビティーの外側に位置してもよく(図示せず)、この場合、該混合装置1は別のキャビティーをさらに含んでもよく、該キャビティーは第1キャビティーの外側に位置し、且つ酸素供給部は該キャビティー内に位置し、このように、酸素放出層は酸素を生成した後、酸素は第1キャビティー内に入ることができる。
【0081】
より具体的には、
図6に示される実施例では、該排気ガス処理システムは弁装置15をさらに含んでもよく、該弁装置15は混合装置1の第1入口112に設置されてもよく、それにより、電池パックの排気ガスは該弁装置15を通って第1キャビティー111内に入ることができ、また、該弁装置15は、第1キャビティー111内の混合ガスが弁装置15を通って逆流することを防ぐことができる。
【0082】
具体的には、該弁装置15は、具体的には、逆止弁であってもよく、該逆止弁は単方向で導通し、且つ
図6の矢印によって示される方向を導通し(排気ガスが電池パックから混合装置に流れる方向を導通する)、
図6の矢印によって示される方向の反対の方向を閉じる(排気ガスが混合装置から電池パックに流れる方向を閉じる)ことができ、従って、該逆止弁は上記弁装置15の単方向導通の作用を実現することができる。又は、該弁装置15はさらに制御弁であってもよく、該制御弁は単方向で導通するように構成されてもよく、且つその導通方向は
図6の矢印によって示される方向であり、
図6の矢印によって示される方向の反対の方向は閉じられる。
【0083】
いくつかの実施例では、
図6に示すように、該混合装置1は圧力逃し弁16をさらに含んでもよく、該圧力逃し弁16は第1出口113に設置されてもよく、該圧力逃し弁16に所定の圧力が設定され、第1キャビティー111内の混合ガスの圧力が該所定の圧力に達した場合、該圧力逃し弁16は開放し、それにより、第1出口113を開放し、混合ガスは第1出口113を通って第1キャビティー111から排出できる。
【0084】
従って、本実施例では、該混合装置1は、弁装置15及び圧力逃し弁16を設置することにより、弁装置15と圧力逃し弁16との間の第1キャビティー111を、酸素と排気ガスを十分に混合するための緩衝空間とする。
【0085】
以上の各実施例では、
図7に示すように、該反応装置2は、第2ハウジング21、触媒床層25、支持フレーム27及びガスケット29を含んでもよく、触媒は触媒床層25に設置され、該支持フレーム27は触媒床層25を支持することに用いられ、且つ該触媒支持フレーム27は複数の空洞部28を含む。該ガスケット29は第2ハウジング21と支持フレーム27との間に位置し、両方の間の作用力を緩衝することができる。
【0086】
該支持フレーム27は顆粒状又はハニカム状であってもよい。1つの具体的な実施例では、ハニカム状の支持フレームの材質は金属であってもよく、その外側に活性塗膜がコーティングされてもよく、該活性塗膜の材料はセラミックであってもよく、触媒は活性塗膜の表面に担持される。該活性塗膜により、該支持フレーム27と触媒は適切な接触比表面積及び細孔構造の活性を有する。活性塗膜の材料はγ型アルミナ(γ-Al2O3)であってもよく、該活性塗膜により、触媒の内表面積は20000平方メートル/1リットル(m2/L)に増加することができ、触媒の触媒効率が大幅に向上する。
【0087】
具体的には、触媒の活性成分は希土類金属、一般金属及び貴金属であってもよい。本願の実施例における触媒はパラジウム、白金及びロジウムの3種類の貴金属を含んでもよく、三者は原子クラスタの形態でアルミナ塗膜(支持フレーム27の活性塗膜)に高度に分散し、三者は相互に協力して、排気ガスと酸素の反応を触媒する。また、該触媒は助剤をさらに含み、助剤は、一般的にアルカリ金属、アルカリ土類金属及び遷移金属等の酸化物で構成され、不活性成分ではないが、触媒を支援する作用を奏することができ、一般的には、酸化セリウム、酸化ランタン、酸化ネオジム及び酸化プラセオジムであり、そのうち、酸化セリウムはより一般的なものである。混合ガスが反応装置に入ると、その中のCOとH2は貴金属の触媒作用及び酸素の関与により、CO2及びH2O等の無毒で不燃性のガスに変換される。
【0088】
上記は本願の好適な実施例に過ぎず、本願を制限するものではなく、当業者であれば、本願に対して様々な修正や変更を行うことができる。本願の精神及び原則内に行われた任意の修正、均等な置換や改良等は、いずれも本願の保護範囲に含まれるものとする。
【0089】
好適な実施例を参照して本願を説明したが、本願の範囲を逸脱することなく様々な改良を行うことができ、且つ、その部材を同等物で置き換えることができる。特に、構造上の矛盾がない限り、各実施例に係る各技術的特徴はすべて任意に組み合わせることができる。本願は明細書に開示されている特定の実施例に限定されず、特許請求の範囲に属するすべての技術的解決手段を含む。
【符号の説明】
【0090】
D-デバイス
M-電池パック
M1-筐体
M11-上部筐体
M12-下部筐体
M13-収容キャビティー
M2-電池モジュール
A-排気ガス処理システム
B-防爆弁
1-混合装置
11-第1ハウジング
111-第1キャビティー
112-第1入口
113-第1出口
114-貫通孔
12-酸素供給部
121-ガスボンベ
122-酸素放出層
123-仕切板
13-第1センサ
14-トリガー部材
15-弁装置
16-圧力逃し弁
2-反応装置
21-第2ハウジング
211-第2キャビティー
22-加熱部材
23-温度制御部材
24-第2センサ
25-触媒床層
26-触媒
27-支持フレーム
28-空洞部
29-ガスケット
3-排出装置
31-冷却部材
32-逆止弁
33-チャンネル
4-濾過装置
41-第1濾過部
42-第2濾過部、
43-濾過管