IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ トーレ・アドバンスド・マテリアルズ・コリア・インコーポレーテッドの特許一覧

特許7419540自動車内装材用繊維集合体及びこれを含む自動車内装材
<>
  • 特許-自動車内装材用繊維集合体及びこれを含む自動車内装材 図1
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】自動車内装材用繊維集合体及びこれを含む自動車内装材
(51)【国際特許分類】
   D04H 1/55 20120101AFI20240115BHJP
   D04H 1/435 20120101ALI20240115BHJP
   D01F 6/62 20060101ALI20240115BHJP
   C08G 63/183 20060101ALI20240115BHJP
   B60R 13/02 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
D04H1/55
D04H1/435
D01F6/62 306P
C08G63/183
B60R13/02 Z
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022539448
(86)(22)【出願日】2020-12-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-02
(86)【国際出願番号】 KR2020019131
(87)【国際公開番号】W WO2021133116
(87)【国際公開日】2021-07-01
【審査請求日】2022-06-27
(31)【優先権主張番号】10-2019-0177032
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(31)【優先権主張番号】10-2019-0177036
(32)【優先日】2019-12-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】504092127
【氏名又は名称】トーレ・アドバンスド・マテリアルズ・コリア・インコーポレーテッド
【氏名又は名称原語表記】TORAY ADVANCED MATERIALS KOREA INCORPORATED
【住所又は居所原語表記】300,3gongdan 2-ro,Gumi-si,Gyeongsangbuk-do 39389 Republic of Korea
(74)【代理人】
【識別番号】110000578
【氏名又は名称】名古屋国際弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ハン ソン ジュン
(72)【発明者】
【氏名】イ ジュ ヒュン
(72)【発明者】
【氏名】キム ド ヒュン
【審査官】山本 晋也
(56)【参考文献】
【文献】韓国公開特許第10-2016-0079347(KR,A)
【文献】韓国公開特許第10-2019-0061561(KR,A)
【文献】特開昭63-203818(JP,A)
【文献】特表2002-523646(JP,A)
【文献】特開2018-154113(JP,A)
【文献】国際公開第2006/001439(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D04H
D01F
B60R
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
テレフタル酸を含む酸成分、及びエチレングリコールと下記化学式1で表示される化合物及び下記化学式2で表示される化合物を含み、ジエチレングリコールを含まないジオール成分が反応したエステル化化合物が重縮合されたコポリエステルを含む熱接着性繊維、及び融点が250℃より高いポリエステル系支持繊維を含み、前記熱接着性繊維及び前記支持繊維は、20:80~50:50の重量比で含まれることを特徴とする、自動車内装材用繊維集合体。
【化1】

【化2】
【請求項2】
前記化学式1で表示される化合物と前記化学式2で表示される化合物の含量の総和は、前記ジオール成分のうち30~45モル%で含まれることを特徴とする、請求項1に記載の自動車内装材用繊維集合体。
【請求項3】
前記ジオール成分のうち前記化学式1で表示される化合物の含量が前記化学式2で表示される化合物の含量よりさらに大きいことを特徴とする、請求項1に記載の自動車内装材用繊維集合体。
【請求項4】
前記ジオール成分のうち、前記化学式1で表示される化合物は、20~40モル%、前記化学式2で表示される化合物は、0.8~10モル%で含まれることを特徴とする、請求項1に記載の自動車内装材用繊維集合体。
【請求項5】
前記熱接着性繊維及び前記支持繊維は、30:70~40:60の重量比で含まれることを特徴とする、請求項1に記載の自動車内装材用繊維集合体。
【請求項6】
前記ジオール成分のうち、前記化学式1で表示される化合物は、30~40モル%、前記化学式2で表示される化合物は、0.8~6モル%で含まれることを特徴とする、請求項1に記載の自動車内装材用繊維集合体。
【請求項7】
400~2000Hzの周波数範囲内で平均吸音率が0.35以上であることを特徴とする、請求項1に記載の自動車内装材用繊維集合体。
【請求項8】
また、前記熱接着性繊維は、US EPA TO-14方法に基づいて測定したVOCs放出量が2600ppb以下であることを特徴とする、請求項1に記載の自動車内装材用繊維集合体。
【請求項9】
KS M ISO 36に基づいた接着強度が130~200N/25mmであることを特徴とする、請求項1に記載の自動車内装材用繊維集合体。
【請求項10】
KS F 2805に基づいた吸音率が下の条件を満足することを特徴とする、請求項1に記載の自動車内装材用繊維集合体。
(1)周波数1000Hzで吸音率0.53以上
(2)周波数2000Hzで吸音率0.73以上
【請求項11】
KS F 2805に基づいた吸音率が下の条件を満足することを特徴とする、請求項1に記載の自動車内装材用繊維集合体。
(3)周波数3000Hzで吸音率0.83以上
(4)周波数4000Hzで吸音率0.92以上
【請求項12】
請求項1~1のうちいずれか一項に記載の自動車内装材用繊維集合体を含むことを特徴とする、自動車内装材。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車内装材用繊維集合体に関し、より詳しくは、触感、吸音率、接着強度、反発弾性率及び加工性が非常に優れ、優れた耐熱性により経時変化が最小化され、VOCsの放出が顕著に低減して密閉された環境が具現される自動車に特に適合する自動車内装材用繊維集合体及びこれを含む自動車内装材に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、合成繊維は、融点が高く用途が制限される場合が少なくない。特に、繊維などの接着用途において芯などの用途やテープ状の織物の間に挿入して加圧接着する接着剤として用いられる場合には、加熱によって繊維織物自体が劣化し得、高周波ミシンのような特殊な装備を使わなければならないという煩わしさがあるので、このような特殊装備を利用せずとも通常の簡単な加熱プレスにより容易に接着することが要望されている。
【0003】
従来の低融点ポリエステル繊維は、マットレス、自動車用内装材又は各種不織布のパッティング用途に製造するときに用いられる相互繊維構造物において異種の繊維を接着する目的でホットメルト(Hot Melt)型バインダー繊維が幅広く用いられてきた。
【0004】
例えば、アメリカ登録特許第4,129,675号には、テレフタル酸(terephthalic acid:TPA)とイソフタル酸(isophthalic acid:IPA)を用いて共重合された低融点ポリエステルが紹介されており、また、大韓民国登録特許第10-1216690号には、接着性を改善させるためのイソフタル酸、ジエチレングリコールを含んで具現された低融点ポリエステル繊維を開示している。
【0005】
しかし、上のような従来の低融点ポリエステル繊維は、一定レベル以上の紡糸性及び接着性を有することができるが、剛直な改質剤の環構造によって熱接着後に硬い感じの自動車用内装材が具現される問題点がある。
【0006】
また、バインダー特性の発現のために、低い融点や低いガラス転移温度を有する方向に開発が進行されることによって、具現されたポリエステルの耐熱性が劣悪になって、夏期に40℃を超える貯蔵条件でも経時変化が顕著に発生し、貯蔵中に発生するポリエステル繊維間結合が発生して、貯蔵安定性も顕著に低下する問題がある。特に、夏期室外に駐車された自動車の室内温度は、60℃以上に上がることがあるが、このような条件で耐熱性が劣悪なポリエステル繊維の使用時に具現された内装材の経時変化も問題となり得る。
【0007】
一方、自動車は、通常的に外部と密閉された状態で運行され、特に、最近の微細ほこりなどの影響により一層密閉された状態での運行が増加している実情である。これによって、自動車の室内空間の空気の質が重要であるが、室内空間に搭載される内装材から揮発性有機化合物(VOCs)の放出問題が報告されており、放出された揮発性有機化合物により搭乗者の健康を害することが問題となっているのが実情である。
【0008】
したがって、触感、吸音率、接着強度、反発弾性率及び加工性が改善し、経時変化が最小化され、VOCsの放出が顕著に低減される自動車内装材に対する開発が求められているのが現状である。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、上記のような点を勘案して案出したものであって、触感、吸音率、接着強度
、反発弾性率及び加工性が非常に優れ、優れた耐熱性により経時変化が最小化され、VOCsの放出が顕著に低減して密閉された環境が具現される自動車に特に適合する自動車内装材用繊維集合体及びこれを含む自動車内装材を提供することに目的がある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、本発明は、テレフタル酸を含む酸成分、及びエチレングリコールと下記化学式1で表示される化合物及び化学式2で表示される化合物を含むジオール成分が反応したエステル化化合物が重縮合されたコポリエステルを含む熱接着性繊維、及び融点が250℃より高いポリエステル系支持繊維を含み、前記熱接着性繊維及び支持繊維は、20:80~50:50の重量比で含まれる自動車内装材用繊維集合体を提供する。
【0011】
【化1】
【0012】
【化2】
【0013】
本発明の一実施例によると、前記化学式1で表示される化合物と化学式2で表示される化合物の含量の総和は、前記ジオール成分のうち30~45モル%で含まれ得る。
【0014】
また、前記ジオール成分のうち化学式1で表示される化合物の含量(モル%)が化学式2で表示される化合物の含量(モル%)よりさらに大きくてもよい。
【0015】
また、前記ジオール成分は、ジエチレングリコールを実質的に含まなくてもよい。
【0016】
また、前記酸成分は、イソフタル酸を酸成分を基準として1~10モル%でさらに含むことができる。
【0017】
また、前記ジオール成分のうち前記化学式1で表示される化合物は、1~40モル%、前記化学式2で表示される化合物は、0.8~20モル%で含まれ得、より好ましくは、前記ジオール成分のうち前記化学式1で表示される化合物は、20~40モル%、前記化学式2で表示される化合物は、0.8~10モル%、さらに好ましくは、前記化学式1で表示される化合物は、30~40モル%、前記化学式2で表示される化合物は、0.8~6モル%で含まれ得る。
【0018】
また、前記コポリエステルは、ガラス転移温度が60~75℃、より好ましくは、65~72℃であってもよい。
【0019】
また、前記コポリエステルは、固有粘度が0.500~0.800dl/gであってもよい。
【0020】
また、前記熱接着性繊維及び支持繊維は、30:70~40:60の重量比で含まれ得る。
【0021】
また、400~2000Hz周波数の範囲内で平均吸音率が0.35以上であってもよい。
【0022】
また、KS F 2805に基づいた吸音率として、(1)周波数1000Hzで吸音率が0.53以上、(2)周波数2000Hzで吸音率が0.73以上、(3)周波数3000Hzで吸音率が0.83以上、(4)周波数4000Hzで吸音率が0.92以上であってもよい。
【0023】
また、前記熱接着性繊維は、US EPA TO-14方法に基づいて測定したVOCs放出量が2600ppb以下、より好ましくは、2200ppb以下であってもよい。
【0024】
また、KS M ISO 36に基づいた接着強度が130~200N/25mmであってもよい。
【0025】
また、反発弾性率が45~60%であってもよい。
【0026】
また、本発明は、本発明による自動車内装材用繊維集合体を含む自動車内装材を提供する。
【発明の効果】
【0027】
本発明による内装材用繊維集合体は、触感、吸音率、接着強度、反発弾性率及び加工性に非常に優れる。また、優れた耐熱性により経時変化が最小化されることによって、夏期室外駐車時に高温の室内温度が形成される自動車内装材の用途に非常に適合する。ひいては、VOCsの放出が顕著に低減して、密閉された環境での運行が増加する自動車内装材に非常に適合するので、関連分野に広く応用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】本発明の一実施例に含まれる熱接着性繊維の断面模式図である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0029】
以下、本発明の実施例に対して本発明が属する技術分野において通常の知識を有した者が容易に実施できるように詳しく説明する。本発明は、様々な異なる形態で具現でき、ここで説明する実施例によって限定されない。
【0030】
本発明による自動車内装材用繊維集合体は、テレフタル酸を含む酸成分、及びエチレングリコールと下記化学式1で表示される化合物及び化学式2で表示される化合物を含むジオール成分が反応したエステル化化合物が重縮合されたコポリエステルを含む熱接着性繊と融点が250℃より高いポリエステル系支持繊維を20:80~50:50の重量比で含んで具現される。
【0031】
前記熱接着性繊維は、テレフタル酸を含む酸成分、及びエチレングリコールと下記化学式1で表示される化合物及び化学式2で表示される化合物を含むジオール成分が反応したエステル化化合物が重縮合されたコポリエステルを含んで形成された繊維であって、後述
するポリエステル系支持繊維の間を熱融着を通じて付着させる役目を行い、それ自体としても繊維集合体の形状具現及び機械的強度を担保する繊維である。
【0032】
【化3】
【0033】
【化4】
【0034】
まず、前記酸成分は、テレフタル酸を含み、それ以外にテレフタル酸ではない炭素数6~14の芳香族多価カルボン酸や、炭素数2~14の脂肪族多価カルボン酸及び/又はスルホン酸金属塩をさらに含むことができる。
【0035】
前記炭素数6~14の芳香族多価カルボン酸は、ポリエステルの製造のために用いられる酸成分であって、公知のものを制限なしに用いることができるが、好ましくは、ジメチルテレフタレート、イソフタル酸及びジメチルイソフタレートからなる群より選択されたいずれか一つ以上であってもよく、より好ましくは、テレフタル酸との反応安定性、取り扱い容易性及び経済的な側面からイソフタル酸であってもよい。
【0036】
また、炭素数2~14の脂肪族多価カルボン酸は、ポリエステルの製造のために用いられる酸成分であって、公知のものを制限なしに用いることができるが、これに対する非制限的な例として、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、スベリン酸、クエン酸、ピメリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ノナン酸、デカン酸、ドデカン酸及びヘキサデカン酸からなる群より選択されたいずれか一つ以上であってもよい。
【0037】
また、前記スルホン酸金属塩は、ソジウム3,5-ジカルボメトキシベンゼンスルホネートであってもよい。
【0038】
一方、前記酸成分としてテレフタル酸以外に具備され得る他の成分は、コポリエステルの耐熱性を低下させ得るので、好ましくは、含まない方が良い。特に、イソフタル酸、ジメチルイソフタル酸のような酸成分がさらに含まれる場合、コポリエステルの重縮合過程で発生するVOCsの含量、一例として、アセトアルデヒドの含量が増加し得る一方、コポリエステルの融点は一層低下して熱処理などを通じた後工程を通じて重合過程で発生したアセトアルデヒドを気化させて除去することも難しいので、結果的に、製造された繊維でアセトアルデヒドの含量が高いことがある。したがって、イソフタル酸をさらに含む場合、酸成分を基準として1~10モル%で具備され得、10モル%を超過して具備される場合、アセトアルデヒドの含量が過度に増加する恐れがあり、これによって、具現された熱接着性繊維は、自動車の内装材用途として適合しないことがある。
【0039】
次に、前記ジオール成分は、エチレングリコールと下記化学式1で表示される化合物及び化学式2で表示される化合物を含む。
【0040】
【化5】
【0041】
【化6】
【0042】
まず、前記化学式1で表示される化合物は、製造されるコポルリエステルの結晶化度、ガラス転移温度を低くして、優れた熱接着性能を発現するようにすることができる。また、繊維状に製造された後、染色工程で常圧の条件で染色を可能にして染色工程をより容易にし、染着特性に優れて洗濯堅牢度が向上し、繊維集合体の触感を向上させ得る。好ましくは、前記ジオール成分のうち前記化学式1で表示される化合物は、好ましくは、20~40モル%、より好ましくは、30~40モル%で含まれ得る。特に、化学式1で表示される化合物が20モル%以上具備される場合、後述する化学式2で表示される化合物とともに具現したコポリエステルが低温での熱接着特性が一層上昇して向上され得、コポリエステルをチップに製造するとき、乾燥時間が顕著に短縮され得、熱接着性繊維から放出されるVOCsの含量減少に上昇した効果を発現し得るという利点がある。
【0043】
もし、化学式1で表示される化合物がジオール成分を基準として20モル%未満で含まれる場合、紡糸性に優れているが、接着可能温度が高くなるか、熱接着特性が低下し、使用される用途が制限され得るという恐れがある。また、具現される熱接着性繊維から放出されるVOCsの含量が増加する恐れがある。また、もし、化学式1で表示される化合物が40モル%を超過して具備される場合、熱接着性繊維への紡糸性が良くないので、商用化が難しいという問題点が発生し得、かえって結晶性が増大して熱接着特性が低下する恐れがある。
【0044】
前記化学式2で表示される化合物は、上述した化学式1で表示される化合物と共に製造されるコポリエステルの熱接着特性をさらに向上させながらも、化学式1で表示される化合物のガラス転移温度が顕著に低下することを防止して、40℃以上の貯蔵温度、夏期60℃以上に上がる自動車室内温度にもかかわらず経時変化を最小化し、貯蔵安定性を向上させ得る。熱接着性と関連して化学式2で表示される化合物は、化学式1で表示される化合物との混合使用に伴って、具現されるコポリエステルを用いた熱接着性繊維に適切な収縮特性を発現させ、このような特性発現によって熱接着時に点接着力を一層増加させることによって、より上昇した熱接着特性を発現することができる。
【0045】
好ましくは、前記ジオール成分うち前記化学式2で表示される化合物は、好ましくは、0.8~10モル%、より好ましくは、0.8~6モル%で含まれ得る。
【0046】
もし、化学式2で表示される化合物がジオール成分を基準として0.8モル%未満で含まれる場合、目的とする耐熱性の向上が難しくて貯蔵安定性が良くなく、経時変化が非常に大きくなり得るという恐れがある。また、具現される熱接着性繊維から放出されるVOCsの含量が増加する恐れがある。
【0047】
また、化学式2で表示される化合物が10モル%を超過して含まれると、上述した化学式1で表示される化合物とともに用いられることを考慮するとき、熱接着性繊維への紡糸性が良くないため、商用化が難しいという問題点が発生し得、場合によって、イソフタル酸まで追加で含む場合には、結晶性が十分に低下して接着性の向上が些細であり、追加されるイソフタル酸の含量が増加するとき、かえって結晶性が増大して目的とする温度での優れた熱接着特性が顕著に低下し得るなど発明の目的を達成できない恐れがある。また、繊維状に具現するとき、収縮性が顕著に大きく発現して繊維集合体や内装材への加工に困難があり得る。
【0048】
本発明の好ましい一実施例によると、前記化学式1で表示される化合物と化学式2で表示される化合物の含量の総和は、前記ジオール成分のうち30~45モル%で含まれることが好ましく、より好ましくは、33~41モル%で含まれ得る。もし、30モル%未満でこれらが含まれる場合、コポリエステルの結晶性が増加して高い融点が発現したり、軟化点を低い温度で具現することが難しくなったりし、熱接着可能温度が顕著に高くなり、低い温度では優れた熱接着特性が発現しないことがある。また、具現される熱接着性繊維から放出されるVOCsの含量が増加する恐れがある。
【0049】
また、もし、化学式2で表示される化合物が45モル%を超過して含まれる場合、重合反応性と紡糸性が顕著に低下する恐れがあり、製造されるコポリエステルの結晶性がむしろ増加して目的とする温度での高い熱接着特性を発現しにくいことがある。
【0050】
このとき、前記ジオール成分のうち上述した化学式1で表示される化合物が化学式2で表示される化合物よりさらに大きい含量(モル%)で含まれ得る。もし、化学式1で表示される化合物が化学式2で表示される化合物より少ないか同じ量で含まれる場合、目的とする熱接着特性を発現しにくく、高温で接着されなければならないので、展開される製品の用途に制限があり得る。また、過度な収縮特性の発現によって展開される製品への加工が困難となる恐れがある。
【0051】
一方、前記ジオール成分は、上述した化学式1で表示される化合物、化学式2で表示される化合物及びエチレングリコール以外に他の種類のジオール成分をさらに含むことができる。
【0052】
前記他の種類のジオール成分は、ポリエステルの製造に用いられる公知のジオール成分であり得るので、本発明は、これに特に限定されないが、これに対する非制限的な例として、炭素数2~14の脂肪族ジオール成分であってもよく、具体的に、1,3-プロパンジオール、1,4-ブタンジオール、1,6-ヘキサンジオール、プロピレングリコール、トリメチルグリコール、テトラメチレングリコール、ペンタメチルグリコール、ヘキサメチレングリコール、ヘプタメチレングリコール、オクタメチレングリコール、ノナメチレングリコール、デカメチレングリコール、ウンデカメチレングリコール、ドデカメチレングリコール及びトリデカメチレングリコールで構成された群から選択されるいずれか一つ以上であってもよい。
【0053】
ただし、目的とするレベルの熱接着特性と同時に耐熱性を兼ね備えるために、前記他の種類のジオール成分をさらに含まないことが好ましく、特に、ジエチレングリコールは、前記ジオール成分に含まれなくてもよい。もし、ジエチレングリコールがジオール成分に含まれる場合、ガラス転移温度の急激な低下を招いて、化学式2で表示される化合物を具備する場合にも、目的とするレベルの耐熱性を達成しないことがある。また、使用中に放出するVOCsの含量が大きく増加する恐れがある、一方、前記ジオール成分にジエチレングリコールが含まれないという意味は、コポリエステルの製造のための単量体として意図的にジエチレングリコールを投入しないことを意味し、酸成分及びジオール成分のエステル化反応、重/縮合反応で副産物として発生するジエチレングリコールまで含まないことを意味しない。ジエチレングリコールは、副産物として自然発生し得るので、本発明の一実施例によれば、コポリエステルを含んで形成された鞘部には、副産物として発生したジエチレングリコールが含まれ得、含まれたジエチレングリコールの含量は、コポリエステルチップ又はコポリエステル単独からなった鞘部の重量を基準として4重量%未満であってもよい。一方、副産物として発生するジエチレングリコールの含量が適正レベルを超過する場合、繊維へ紡糸時にパック圧を増加させ、頻繁な糸切れを誘発して紡糸性が顕著に低下し得、放出されるVOCsの含量、特に、アセトアルデヒドの放出量が顕著に増加する恐れがある。
【0054】
上述した酸成分及びジオール成分は、ポリエステル合成分野における公知の合成条件を用いてエステル化反応及び重縮合を経てコポルリエステルに製造され得る。このとき、酸成分とジオール成分は、1:1.0~5.0、好ましくは、1:1.0~2.0のモル比で反応するように投入され得るが、これに制限されるものではない。
【0055】
一方、前記酸成分及びジオール成分は、上のような適正なモル比で一度に混合された後、エステル化反応及び重縮合を経てコポルリエステルに製造されるか、酸成分とジオール成分のうちエチレングリコールと化学式1で表示される化合物間のエステル化反応中に化学式2で表示される化合物を投入してエステル化反応及び重縮合を経てコポリエステルに製造され得、本発明は、これに対して特に限定しない。
【0056】
前記エステル化反応で触媒をさらに含むことができる。前記触媒は、通常、ポリエステルの製造時に用いられる触媒を用いることができ、これに対する非制限的な例として、金属アセテート触媒下で製造され得る。
【0057】
また、前記エステル化反応は、好ましくは、200~270℃の温度及び1100~1350トル(Torr)の圧力下で行われ得る。前記条件を満たさない場合、エステル化反応時間が長くなったり、反応性の低下によって重縮合反応に適合するエステル化化合物を形成できなかったりする問題が発生する問題点があり得る。
【0058】
また、前記重縮合反応は、250~300℃の温度及び0.3~1.0トル(Torr)の圧力下で行われ得、もし、前記条件を満たさない場合、反応時間の遅延、重合度の低下、熱分解の誘発などの問題点があり得る。
【0059】
このとき、重縮合反応時に触媒をさらに含むことができる。前記触媒は、ポリエステル樹脂の製造に用いられる公知の触媒である場合、制限なしに用いることができる。ただし、好ましくは、チタン系重合触媒であってもよく、より具体的に、下記化学式3で表示されるチタン系重合触媒であってもよい。
【0060】
【化7】
【0061】
前記化学式3で表示されるチタン系重合触媒は、水分子の存在下でも安定するため、水が多量に副生するエステル化反応以前に添加しても失活しないので、従来より短縮された時間内にエステル化反応及び重縮合反応が進行され得、これを通じて黄変による着色を抑制することができる。前記触媒は、収得されるコポリエステルの全体重量においてチタニウム原子換算で5~40ppmになるように含まれ得、これを通じてコポリエステルの熱安定性や色調がさらに良好になって好ましい。もし、チタニウム原子換算で5ppm未満で具備される場合、エステル化反応を適切に促進させにくいことがあり、もし、40ppmを超過して具備される場合、反応性は促進されるが、着色が発生する問題点があり得る。
【0062】
また、前記エステル化反応は、好ましくは、200~270℃の温度及び1100~1350トル(Torr)の圧力下で行われ得る。前記条件を満たさない場合、エステル化反応時間が長くなったり、反応性の低下によって重縮合反応に適合するエステル化化合物を形成できなかったりする問題が発生する問題点があり得る。
【0063】
また、前記重縮合反応は、250~300℃の温度及び0.3~1.0トル(Torr)の圧力下で行われ得、もし、前記条件を満たさない場合、反応時間の遅延、重合度の低下、熱分解の誘発などの問題点があり得る。
【0064】
一方、重縮合反応時に熱安定剤をさらに含むことができる。前記熱安定剤は、高温で熱分解を通じた色相の変色を防止するためのものであって、リン系化合物を用いることができる。前記リン系化合物は、一例として、リン酸、モノメチルリン酸、トリメチルリン酸、トリエチルリン酸などのリン酸類及びその誘導体を使用した方が良く、これらのうちでも、特にトリメチルリン酸又はトリエチルリン酸が効果に優れるので、より好ましい。前記リン系化合物の使用量は、最終的に収得されるコポリエステルの全体重量に対してリン原子換算で10~30ppmを用いることが好ましい。もし、リン系熱安定剤が10ppm未満で用いられる場合、高温熱分解を防止しにくいので、コポリエステルが変色し得、もし、30ppmを超過する場合、製造費用の観点から不利になり得、重縮合反応時に熱安定剤による触媒活性の抑制によって反応遅延現象が発生する問題点があり得る。
【0065】
また、コポリエステルは、補色剤をさらに含むことができる。前記補色剤は、繊維へと紡糸された後に進行される染色工程で染着される染料の色相をより強く、良くするための色調調整のためのものであって、繊維分野において公知のものを添加することができ、これに対する非制限的な例として、原着用染料、顔料、建染染料、分散染料、有機顔料などがある。ただし、好ましくは、ブルー及びレッド染料が混合されたものを用いることができる。これは、補色剤として一般的に使用されるコバルト化合物の場合、人体への有害性が大きく、好ましくないためであるのに対し、ブルー及びレッド染料が混合された補色剤は、人体に無害であるので好ましい。また、ブルー及びレッド染料を混合して使用される場合、色調を微細に制御できるという利点がある。前記ブルー染料は、一例として、so
lvent blue 104、solvent blue 122、solvent blue 45などがあり得、前記レッド染料は、一例として、solvent red
111、solvent red 179、solvent red 195などがあり得る。また、前記ブルー染料とレッド染料は、1:1.0~3.0の重量比で混合され得、これを通じて目的とする微細な色調制御に顕著な効果を発現するのに有利である。
【0066】
前記補色剤は、コポリエステルの全体重量を基準として1~10ppmで具備され得るが、もし、1ppm未満で具備される場合、目的とするレベルの補色特性を達成しにくいことかあり、10ppmを超過する場合、L値が減少して透明性が低下し、暗い色を帯びるという問題点があり得る。
【0067】
上述した方法を通じて製造されたコポリエステルは、固有粘度が0.5~0.8dl/gであってもよい。もし、固有粘度が0.5dl/g未満である場合、断面形成が容易でなはないなどの問題点があり得、固有粘度が0.8dl/gを超過する場合、パック(Pack)圧力が高いため紡糸性に問題点があり得る。
【0068】
また、前記コポリエステルは、ガラス転移温度が60~75℃であってもよく、これを通じて本発明の目的を達成するのにより有利であり得る。もし、ガラス転移温度が60℃未満である場合、コポリエステルを含んで具現された熱接着性繊維やこれを含んで具現された物品が夏期のような、例えば、40℃を超える温度条件でも経時変化が大きく、特に、夏期の自動車室内温度を考慮するとき、経時変化が顕著に増加し得る。また、熱接着性繊維を製造するとき、コポリエステルチップ間の結合の発生が増加し、これによって紡糸不良を引き起こす恐れもある。ひいては、繊維などに具現された後、収縮特性が過度に発現して、かえって接合特性が低下する恐れがある。また、チップ形成後に乾燥工程、繊維への紡糸後に後加工工程などに所要される熱処理の限界によって工程所要時間の長期化又は当該工程を円滑に行えない問題があり得る。
【0069】
また、もし、ガラス転移温度が75℃を超過する場合、熱接合特性が顕著に低下する恐れがあり、接合工程の実行温度が高温に制限される恐れがある。
【0070】
上述したコポリエステルは、単独で熱接着性繊維を形成することができる。または、上述したコポリエステルは、図1に示したように、前記芯部11を取り囲む鞘部12として具備されて芯鞘型の熱接着性線維10を形成してもよい。
【0071】
このとき、前記芯部11は、鞘部であるコポリエステルに比べて耐熱性及び機械的強度が大きい公知のポリエステルであってもよく、一例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレートなどであってのよいが、これに制限されるものではない。前記芯鞘型の熱接着性繊維は、一例として、8:2~2:8の重量比で芯部と鞘部を複合紡糸したものであってもよいが、これに制限されるものではなく、目的に応じて割合を適切に調節して紡糸することができる。前記複合繊維の紡糸条件、紡糸装置及び紡糸後の複合繊維に対する冷却、延伸などの工程は、当該技術分野における公知の条件、装置及び工程を利用したり、これを適切に変形したりして行われ得るので、本発明は、これに対して特に限定しない。また、一例として、前記複合繊維は、270~290℃の紡糸温度で紡糸したものであってもよく、紡糸後、2.5~4.0倍延伸したものであってもよい。
【0072】
一方、前記熱接着性繊維は、一例として、繊度が、1~15デニールであり、繊維長は、一例として、1~100mmであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0073】
また、前記熱接着性繊維は、US EPA TO-14方法に基づいたVOCs発生量
が2600ppb以下、より好ましくは、2200ppb以下であり、これを通じて、自動車内部のような密閉された環境内で人体に対する有害成分の発生量が顕著に少ないため、自動車内装材として非常に有用であり得、内装材の臭いを減らすことができる利点がある。
【0074】
次に、上述した熱接着性繊維とともに繊維集合体に具備される支持繊維に対して説明する。
【0075】
前記支持繊維は、熱接着性繊維との相溶性のためにポリエステル系成分を含んで具現されたものであって、繊維集合体の機械的強度、形状維持、耐熱性を担保する役目を行う。そのために、前記ポリエステル系成分は、融点が250℃より高い成分であってもよく、これを通じて、本発明の目的を達成するのに一層有利であり得る。
【0076】
前記支持繊維は、一例として、繊度が1~10デニールであり、繊維長は、一例として、1~100mmであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0077】
前記支持繊維は、融点が250℃を超える公知のポリエステル系成分である場合、制限なしに用いられ得、一例として、ポリエチレンテレフタレートであってもよいが、これに制限されるものではない。
【0078】
上述した熱接着性繊維と支持繊維は、20:80~50:50の重量比で繊維集合体を形成し、好ましくは、30:70~40:60の重量比であってもよい。もし、前記支持繊維が熱接着性繊維の重量を基準として4倍を超過する重量で具備される場合、繊維集合体の接合強度が減少し、接着特性が十分に発現されない問題点があり得る。また、前記支持繊維が熱接着性繊維の重量を基準として1倍未満の重量で具備される場合、繊維集合体の吸音率、触感、形態安定性が顕著に低下し、初期開綿性やカーディング性のような作業性が顕著に低下する恐れがあり、紡糸性が良くないため、商用化が難しい問題点、剛直な改質剤の環構造によって熱接着後に硬い感じの不織布又は織物が具現され得る恐れがある。
【0079】
前記熱接着性繊維と支持繊維を含む繊維集合体は、公知の反物の形態、例えば、織物、編物又は不織布であってもよいが、一例として、繊維の長さ方向を基準とした方向性がない不織布であってもよい。前記不織布は、乾式又は湿式の公知の不織布の製造方法を通じて製造されたものであってもよく、本発明は、これに対して特に限定しない。
【0080】
一例として、前記熱接着性繊維と支持繊維は、所定の長さを有する単繊維で製造された後、単繊維を混繊及び開繊した後に熱処理を経て繊維集合体で具現され得る。前記熱処理は、100~180℃、より好ましくは、120~180℃であってもよく、これを通じてより向上した接着特性を発現することができる。
【0081】
本発明の一実施例による自動車内装材用繊維集合体は、KS F 2805に基づいて測定された400~2000Hzの周波数範囲内で吸音率が0.35以上であってもよい。また、条件(1)で、周波数1000Hzで吸音率が0.53以上、より好ましくは、0.53~0.75であってもよい。また、条件(2)で、周波数2000Hzで吸音率が0.73以上、より好ましくは、0.73~0.85であってもよい。また、条件(3)で、周波数3000Hzで吸音率が0.83以上、より好ましくは、0.83~0.95であってもよい。条件(4)で、周波数4000Hzで吸音率が0.92以上、より好ましくは、0.92~0.99であってもよい。これを通じて、広い周波数帯域で高い吸音率を満足することによって、自動車用内装材で使用するとき、自動車外部の騷音と、自動車自体から発生する騷音が室内に伝達されることを最大限防止することができる。
【0082】
また、本発明の一実施例による自動車内装材用繊維集合体は、KS M ISO 36に基づいた接着強度が130~200N/25mm、より好ましくは、140~200N/25mmを満足することができる。このような接着強度を満足する繊維集合体は、優れた機械的強度を発現し、これを通じて同一加工温度でも接着性が有利なので加工時に成形性が容易であり得る。また、反発弾性率が45~60%であってもよく、これを通じて、自動車用内装材、特に、フロアカーペットに一層適合し得る。
【0083】
一方、上述した自動車内装材用繊維集合体は、単独又は再生デニム、メルトブローン不織布などをさらに含んで自動車内装材として具現され得る。前記自動車内装材は、公知の種類の内装材であってもよく、好ましくは、優れた吸音率、接着強度、耐熱性及び低いVOCs放出量を考慮して、フロアカーペット、ISOダッシュパッド、トランクマットなどに特に適合し得る。
【0084】
<発明の実施のための形態>
下記の実施例を通じて本発明をより具体的に説明するが、下記実施例が本発明の範囲を制限するものではなく、これは、本発明の理解を助けるためのものと解釈されなければならない。
【0085】
<実施例1>
ジオール成分として下記化学式1で表示される化合物38モル%と下記化学式2で表示される化合物3モル%、及び残余ジオール成分としてエチレングリコール59モル%を投入し、酸成分としてテレフタル酸100モル%を投入して、前記酸成分とジオール成分を1:1.2の割合で250℃で1140トル(torr)の圧力下でエステル化反応させてエステル反応物を得て、その反応率は、97.5%であった。形成されたエステル反応物を重縮合反応器に移送し、重縮合触媒として下記化学式3で表示される化合物15ppm(Ti元素基準)、熱安定剤としてトリエチルリン酸25ppm(P元素基準)を投入して、最終圧力0.5torrになるように徐々に減圧しつつ、285℃まで昇温して重縮合反応を行ってコポリエステルを製造し、その後、前記コポリエステルを通常の方法で横、縦、高さがそれぞれ2mm×4mm×3mmであるポリエステルチップに製造した。
【0086】
その後、前記コポリエステルを鞘部とし、固有粘度が0.65dl/gであるポリエチレンレーテフタレート(PET)を芯部とする芯鞘型複合繊維を製造するために、前記コポリエステルチップとPETチップをホッパーにそれぞれ投入後に溶融させて、芯鞘型紡糸口金にそれぞれ投入した後、275℃下で1000mpmの紡糸速度で芯部と鞘部が5:5の重量比になるように複合紡糸し、3.0倍延伸して、繊維長が51mmであり、繊度が4.0deである下記表1のような芯鞘型の熱接着性複合繊維を製造した。
【0087】
【化8】
【0088】
【化9】
【0089】
【化10】
【0090】
製造された芯鞘型複合繊維とポリエチレンテレフタレート(PET)単繊維(繊維長51mm、繊度4.0de)を5:5で混繊及び開繊した後、それぞれ120℃、140℃及び160℃の温度条件で熱処理して、坪量が35g/mである総3種類の湿式不織布を製造した。
【0091】
<実施例2~14>
実施例1と同一に実施して製造するが、下記表1、表2又は表3のようにコポリエステルを製造するための単量体の組成比を変更させ、下記表1、表2又は表3のような芯鞘型複合繊維を製造し、これを用いて繊維集合体を具現した。
【0092】
<比較例1~4>
実施例1と同一に実施して製造するが、下記表2のようにコポリエステルを製造するための単量体の組成比を変更させ、下記表2のようなポリエステルチップ及びこれを用いた芯鞘型複合繊維を製造し、これを用いて繊維集合体を具現した。
【0093】
<実験例1>
実施例及び比較例によって具現された3種の繊維集合体又は繊維集合体の製造中に中間物であるコポリエステルチップや、芯鞘型熱接着性複合繊維について下記の物性を評価し、その結果を下記表1~表3に示した。
【0094】
1.固有粘度
コポリエステルチップに対してオルソクロロフェノール(Ortho-ChloroPhenol)を溶媒として110℃、2.0g/25mlの濃度で30分間溶融した後、25℃で30分間恒温して、キャノン(CANON)粘度計が連結された自動粘度測定装置から分析した。
【0095】
2.ガラス転移温度、融点
示差熱分析装置を用いてコポリエステルのガラス転移温度及び融点を測定し、分析条件は、昇温速度を20℃/minとした。
【0096】
3.コポリエステルチップの乾燥時間
重縮合されたコポリエステル樹脂をチップ(chip)化した後、真空乾燥器で55℃、4時間間隔で水分率を測定し、測定の結果、水分率100ppm以下と測定されたときの時間を乾燥時間として示した。
【0097】
4.単繊維貯蔵安定性
製造された芯鞘型複合繊維500gに対して、温度40℃、相対湿度45%のチャンバーで圧力2kgf/cmを加えて3日間放置して、繊維間の融着状態を専門家10人が肉眼で観察し、その結果、融着が発生しない場合を10点、全部融着が発生した場合を0点として基準を定め0~10点で評価した後、平均値を計算した。その結果、平均値が9.0以上である場合、非常に優秀(◎)、7.0以上9.0未満の場合、優秀(○)、5.0以上7.0未満は、普通(△)、5.0未満は、悪い(x)で示した。
【0098】
5.紡糸作業性
紡糸作業性は、実施例及び比較例別に同一含量で紡糸された芯鞘型複合繊維に対して紡糸加工中にドリップ(口金を通過する繊維ストランドが一部融着したり、糸切れ後にストランドが不規則に融着したりして形成された塊りを意味する)発生数値をドリップ感知器を用いてカウントし、準備例1でのドリップ発生数値を100として基準を定め残りの準備例及び比較準備例で発生したドリップ個数を相対的な百分率で表示した。
【0099】
6.染着率の評価
芯鞘型複合繊維の重量を基準として2重量%のブルー(blue)染料を含む染液に対して、浴比1:50で90℃で60分間染着工程を行った後、日本のクラボウ(KURABO)社の色彩測定システムを用いて染色された複合繊維に対する可視領域(360~740nm、10nm間隔)の分光反射率を測定した後、CIE1976規格に基づく染着量の指標であるTotal K/S値を算出して、染料の色収得率を評価した。
【0100】
7.接着強度
3種の繊維集合体それぞれを横、縦及び厚さがそれぞれ100mm×20mm×10mmである試験片に具現して、KS M ISO 36方法に基づいてUTM(universal testing machine)を用いて接着強度を測定した。
【0101】
一方、熱処理時に過度な収縮によって形態が変形した場合、接着強度を評価せず、「形態変形」と評価した。
【0102】
8.ソフト触感
3種の繊維集合体のうち140℃の温度条件で熱処理されて製造された繊維集合体に対して10人の同業界の専門家からなるグループによる官能検査を行い、評価結果、8人以上がソフトであると判断する場合、優秀(◎)、6~7人は良好(○)、5~4人は普通(△)、4人未満は不良(x)に区分した。
【0103】
【表1】
【0104】
【表2】
【0105】
【表3】
【0106】
表1~表3を通じて確認できるように、
比較例は、乾燥時間が顕著に延長されるか(比較例1~3)、紡糸作業性が顕著に良くないか(比較例2、比較例3)、単繊維貯蔵安定性が非常に悪くなるか(比較例2、比較例3)、温度別の接着強度評価で形態が変形(比較例4)したことが確認できて、すべて
の物性を同時に満足させることができないことが確認できるが、実施例は、すべての物性を優れたレベルで発現していることが確認できる。
【0107】
一方、実施例においても、化学式1で表示される化合物より化学式2で表示される化合物の含量がさらに多く含まれた実施例13は、他の実施例に比べて温度別の接着強度評価で形態が変形して、目的とする物性を達成するのに適していないことが確認できる。
【0108】
<実施例15~29>
実施例1と同一に実施して製造するが、下記表4のようにコポリエステルの製造のための単量体の組成比を変更させてコポリエステルを製造し、これを用いて下記表4のような繊維集合体を製造した。このとき、繊維集合体を製造するための熱処理温度は、140℃とした。
【0109】
<比較例5>
実施例1と同一に実施して製造するが、下記表4のようにコポリエステルの製造のための単量体の組成比を変更させてコポリエステルを製造し、これを用いて下記表4のような繊維集合体を製造した。このとき、繊維集合体を製造するための熱処理温度は、140℃とした。
【0110】
<実験例2>
実施例15~29及び比較例5によって具現された熱接着性繊維、具現された繊維集合体又は繊維集合体の製造中に中間物であるコポリエステルチップに対して下記の物性を評価して、その結果を下記表4に示した。
【0111】
1.固有粘度
実験例1と同じ方法で固有粘度を測定した。
【0112】
2.揮発性有機化合物(VOCs)含量
US EPA TO-14 Methodによって測定した。
【0113】
3.ソフト触感
実験例1と同じ方法で触感を評価した。
【0114】
【表4】
【0115】
表4を通じて確認できるように、
実施例15~29の場合、比較例5に比べて熱接着性繊維のVOCs発生量が少ないため、これを具備した繊維集合体が自動車内装材用に非常に適合することが分かる。
【0116】
<実施例30~33>
実施例21と同一に実施して製造するが、熱接着性繊維とPET支持繊維の混合割合を下記表5のように変更して繊維集合体を製造した。このとき、繊維集合体を製造するための熱処理温度は、165℃とした。
【0117】
<比較例6>
実施例30と同一に実施して製造するが、熱接着性繊維の組成とPET繊維の混合割合を下記表5のように変更して繊維集合体を製造した。
【0118】
<比較例7~8>
実施例21と同一に実施して製造するが、熱接着性繊維の組成とPET繊維の混合割合を下記表5のように変更して繊維集合体を製造した。このとき、繊維集合体を製造するための熱処理温度は、165℃とした。
【0119】
<実験例3>
実施例30~33、比較例6~8による繊維集合体に対して下記の物性を評価し、下記表5に示した。
【0120】
1.初期開綿性
Lab.Carding機を用いてWeb製造するときの初期の開綿程度を確認して内部専門家が相対的な開綿程度の評価を行い、評価結果を非常に優秀(◎)、優秀(○)、普通(△)、不良(x)と評価した。
【0121】
2.カーディング性
Lab.Carding機を用いてWeb製造するときの作業性を内部専門家が相対的な作業性を比較して評価を行い、評価結果を非常に優秀(◎)、優秀(○)、普通(△)、不良(x)と評価した。
【0122】
3.接着強度
実験例1と同一に、KS M ISO 36方法に基づいてUTM(universal testing machine)を用いて接着強度を測定した。
【0123】
4.加工性
不織布の評価時に初期開綿性、カーディング性、加工工程Speedなどの工程作業性を評価した項目で内部専門家が相対的な作業性を比較して評価を行い、評価結果を非常に優秀(◎)、優秀(○)、普通(△)、不良(x)と評価した。
【0124】
5.平均吸音率及び周波数別吸音率
KS F 2805によって測定した。
【0125】
6.反発弾性率
一定の高さから試験片に鉄球を落として反発して跳ね返った高さを測定した(JIS K-6301、単位:%)。試験片は、一辺の長さが50mm以上及び厚さ50mm以上の正四角形で製作し、重さ16g、直径16mmの鋼鉄ボールを500mmの高さで試験片に落下させて最大反発高さを測定した後、3個の試験片それぞれで1分以内に連続して最小3回以上の反発値を測定して中央値を反発弾性率(%)とした。
【0126】
【表5】
【0127】
表5を通じて確認できるように、
本発明の実施例による繊維集合体は、比較例による繊維集合体に比べて初期開綿性、カーディング性、接着強度、反発弾性率、加工性に優れると同時に吸音率にも優れることによって、自動車内装材用に適合することが確認できる。
【0128】
本発明の一実施例に対して説明したが、本発明の思想は、本明細書に提示される実施例によって制限されず、本発明の思想を理解する当業者は、同一の思想の範囲内で、構成要素の付加、変更、削除、追加などにより他の実施例を容易に提案することができるが、それも本発明の思想範囲内に含まれる。
図1