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特許7419545中枢神経系にアクセスするための医療用デバイス
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】中枢神経系にアクセスするための医療用デバイス
(51)【国際特許分類】
   A61B 17/34 20060101AFI20240115BHJP
【FI】
A61B17/34
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2022544199
(86)(22)【出願日】2021-01-22
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-03-23
(86)【国際出願番号】 US2021014672
(87)【国際公開番号】W WO2021150927
(87)【国際公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-09-20
(31)【優先権主張番号】62/964,394
(32)【優先日】2020-01-22
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】520306831
【氏名又は名称】ミネトロニクス ニューロ インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MINNETRONIX NEURO,INC.
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(74)【代理人】
【識別番号】100142907
【弁理士】
【氏名又は名称】本田 淳
(72)【発明者】
【氏名】ネルソン、ブライアン デール
(72)【発明者】
【氏名】エバンス、ドン ウィリアム エルドン
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2014/0275801(US,A1)
【文献】国際公開第2019/161305(WO,A1)
【文献】特表2013-523413(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0206008(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0060939(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 17/02
A61B 17/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
拡張可能アクセスポートであって、
ハウジングに結合された複数の爪を有する前記ハウジングと、
前記ハウジングに結合された作動部材と、
前記ハウジングと前記作動部材との間に配置されたスラストワッシャーと、を備え、
前記スラストワッシャーは、前記複数の爪の基端領域と係合するように構成された切り欠き領域を有しており、
前記作動部材は、前記複数の爪を第1の構成と拡張された構成との間で移行させるように構成されている、拡張可能アクセスポート。
【請求項2】
前記ハウジング及び前記作動部材は、環状を有しており、
前記複数の爪の各々の前記基端領域は、前記基端領域の先端が前記基端領域の基端よりも前記ハウジング及び前記作動部材の中心軸に近づくように傾斜する傾斜面を有する、請求項1に記載の拡張可能アクセスポート。
【請求項3】
前記作動部材は、前記傾斜面と係合するように構成された作動面を含む、請求項2に記載の拡張可能アクセスポート。
【請求項4】
前記ハウジングは、ねじ領域を含む、請求項1~のいずれか一項に記載の拡張可能アクセスポート。
【請求項5】
前記作動部材は、前記ねじ領域とねじ式に係合されるナットを含む、請求項に記載の拡張可能アクセスポート。
【請求項6】
前記複数の爪のうちの少なくともいくつかに沿って延びるスリーブをさらに備える請求項1~のいずれか一項に記載の拡張可能アクセスポート。
【請求項7】
前記スリーブは、生体適合性エラストマーを含む、請求項に記載の拡張可能アクセスポート。
【請求項8】
前記スリーブは、400~1200%まで伸長可能である、請求項に記載の拡張可能アクセスポート。
【請求項9】
前記スリーブは、600~1000%まで伸長可能である、請求項に記載の拡張可能アクセスポート。
【請求項10】
前記スリーブは、800%まで伸長可能である、請求項に記載の拡張可能アクセスポート。
【請求項11】
拡張可能アクセスポートであって、
ハウジングに結合された複数の爪を有する前記ハウジングであって、前記複数の爪は、傾斜面を有する基端領域を有する第1の爪を含む、前記ハウジングと、
前記複数の爪の少なくともいくつかに沿って延びるスリーブであって、生体適合性エラストマーを含む前記スリーブと、
前記ハウジングに結合された作動部材であって、前記作動部材は、前記複数の爪を第1の構成と拡張された構成との間で移行させるように構成されており、前記作動部材は、前記傾斜面に係合するように構成された作動面を含む、前記作動部材と、
前記ハウジングと前記作動部材との間に配置されたスラストワッシャーと、を備え、
前記スラストワッシャーは、前記複数の爪の前記基端領域と係合するように構成された切り欠き領域を含み、
前記ハウジング及び前記作動部材は、環状を有しており、
前記基端領域の前記傾斜面は、前記基端領域の先端が前記基端領域の基端よりも前記ハウジング及び前記作動部材の中心軸に近づくように傾斜する、拡張可能アクセスポート。
【請求項12】
システムであって、
請求項1~10のいずれか一項に記載の拡張可能アクセスポートと、
シャフトおよびノーズコーンを含むオブチュレータと、
前記オブチュレータを受容するように構成された内腔を有するガイド部であって、前記ハウジングと嵌合するように構成された前記ガイド部と、を備えるシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本願は、2020年1月22日に出願された「中枢神経系にアクセスするための医療用デバイス」と題する米国仮特許出願第62/964,394に対する優先権の利益を主張し、その開示が参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
本開示は、医療用デバイス、および医療用デバイスの製造方法に関する。より詳しくは、中枢神経系にアクセスするための医療用デバイスに関する。
【背景技術】
【0003】
種々様々な医療用デバイスが医療用に開発されてきた。これらのデバイスのうちのいくつかは、アクセスシース、ガイドワイヤ、カテーテルなどを備えている。これらのデバイスは様々な異なる製造方法のうち任意の1つによって製造され、かつ様々な方法のうち任意の1つに従って使用されうる。既知の医療用デバイス及び方法のうち、各々がある一定の長所及び欠点を有している。代替的医療用デバイス並びに医療用デバイスを製造及び使用するための代替法を提供することが、現在もなお必要とされている。
【発明の概要】
【0004】
この開示は、医療用デバイスの構成、材料、製造方法、およびの使用代替物を提供する。拡張可能アクセスポートが開示される。拡張可能アクセスポートは、ハウジングに結合された複数の爪を有するハウジングと、ハウジングに沿って配置されたスラストワッシャーと、ハウジングに結合された作動部材であって、複数の爪を第1の構成と拡張された構成との間で移行させるように構成された作動部材と、を備える。
【0005】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、複数の爪は、傾斜面を有する基端領域を有する第1の爪を含む。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、スラストワッシャーは、基端領域と係合するように構成された切り欠き領域を含む。
【0006】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、作動部材は、傾斜面と係合するように構成された作動面を含む。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、スラストワッシャーは、ハウジングと作動部材との間に配置されている。
【0007】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、ハウジングは、ねじ領域を含む。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、作動部材は、ねじ領域とねじ式で係合するナットを含む。
【0008】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、複数の爪のうちの少なくともいくつかに沿って延びるスリーブをさらに備える。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、スリーブは、生体適合性エラストマーを含む。
【0009】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、スリーブは、400~1200%まで伸長可能である。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、スリーブは、600~1000%まで伸長可能である。
【0010】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、スリーブは、800%まで伸長可能である。
拡張可能アクセスポートが開示される。拡張可能アクセスポートは、ハウジングに結合された複数の爪を有するハウジングと、複数の爪の少なくともいくつかに沿って延びるスリーブであって、生体適合性エラストマーを含むスリーブと、ハウジングに結合された作動部材であって、作動部材は、複数の爪を第1の構成と拡張された構成との間で移行させるように構成された作動部材と、を備える。
【0011】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、スリーブは、400~1200%まで伸長可能である。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、スリーブは、600~1000%まで伸長可能である。
【0012】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、スリーブは、800%まで伸長可能である。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、ハウジングに沿って配置されたスラストワッシャーをさらに備える。
【0013】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、スラストワッシャーは、ハウジングと作動部材との間に配置されている。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、複数の爪は、傾斜面を有する基端領域を有する第1の爪を含む。
【0014】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、スラストワッシャーは、基端領域と係合するように構成された切り欠き領域を含む。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、作動部材は、傾斜面と係合するように構成された作動面を含む。
【0015】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、ハウジングは、ねじ領域を含む。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、作動部材は、ねじ領域とねじ式で係合するナットを含む。
【0016】
拡張可能アクセスポートが開示される。拡張可能アクセスポートは、ハウジングに結合された複数の爪を有し且つねじ領域を有するハウジングと、ねじ領域に結合された作動ナットであって、複数の爪を第1の構成と拡張された構成との間で移行させるように構成された作動ナットと、ハウジングと作動ナットとの間に配置されたスラストワッシャーと、複数の爪の少なくともいくつかに沿って延びるスリーブであって、生体適合性エラストマーを含むスリーブと、を備える。
【0017】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、スリーブは、400~1200%まで伸長可能である。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、スリーブは、600~1000%まで伸長可能である。
【0018】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、スリーブは、800%まで伸長可能である。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、複数の爪は、傾斜面を有する基端領域を有する第1の爪を含む。
【0019】
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、スラストワッシャーは、基端領域と係合するように構成された切り欠き領域を含む。
上記の実施形態のうちいずれかの代替として、又は追加として、作動ナットは、傾斜面と係合するように構成された作動面を含む。
【0020】
システムが開示される。システムは、拡張可能アクセスポートを備え、拡張可能アクセスポートは、ハウジングに結合された複数の爪を有するハウジングと、ハウジングに沿って配置されたスラストワッシャーと、ハウジングに結合された作動部材であって、複数の爪を第1の構成と拡張された構成との間で移行させるように構成された作動部材と、を含む。システムは、シャフトおよびノーズコーンを含むオブチュレータと、オブチュレータを受容するように構成された内腔を有するガイド部であって、ハウジングと嵌合するように構成されたガイド部と、をさらに備える。
【0021】
いくつかの実施形態の上記した要約は、本開示の開示された各実施形態またはすべての実装を説明することを意図していない。以下の図面および詳細な説明は、これらの実施形態をより具体的に例示する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
本開示は、添付の図面に関連して以下の詳細な説明を考慮すると、より完全に理解され得る。
図1図1は、例示的な拡張可能アクセスポートの透視図である。
図2図2は、例示的な拡張可能アクセスポートの透視図である。
図3図3は、例示的な拡張可能アクセスポートの透視図である。
図3A図3Aは、拡張可能アクセスポートの一部分の部分断面図である。
図4図4は、例示的な拡張可能アクセスポートの一部分を示す。
図5図5は、例示的な拡張可能アクセスポートの透視図である。
図6図6は、例示的な拡張可能アクセスポートの上面図である。
図7図7は、例示的な拡張可能アクセスポートの斜視図である。
図8図8は、例示的な拡張可能アクセスポートの一部の透視図である。
図9図9は、例示的な拡張可能アクセスポートの上面図である。
図10図10は、中枢神経系にアクセスするためのシステムの平面図である。
図11図11は、中枢神経系にアクセスするためのシステムの透視図である。
図12図12は、例示的なホルダーの斜視図である。
図13図13は、図12のホルダーの分解図である。
図14図14は、図12のホルダーの正面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本開示は、様々な修正形態および代替形態が可能であるが、その詳細は、例として図面に示されており、詳細に説明される。しかしながら、その意図は、記載された特定の実施形態に本発明を限定することではないことを理解されたい。それどころか、その意図は、本開示の趣旨および範囲に含まれるすべての修正、均等物、および代替物を網羅することである。
【0024】
以下の定義された用語については、請求項または本明細書の他の場所で異なる定義が与えられていない限り、これらの定義が適用されるべきである。
本明細書では、すべての数値は、明示的に示されているかどうかにかかわらず、「約」という用語で修飾されていると想定されている。「約」という用語は、一般に、当業者が列挙された値と同等であると考える(例えば、同じ機能または結果を有する)数値の範囲を指す。多くの場合、「約」という用語には、最も近い有効数字に四捨五入された数値が含まれてもよい。
【0025】
端点による数値範囲の列挙は、その範囲内のすべての数値を含む(例えば、1から5は、1、1.5、2、2.75、3、3.80、4、および5を含む)。
文脈からそうでないことが明らかに示されていなければ、「a」、「an」、および「the」の単数形は、複数形を含む。本明細書および添付の特許請求の範囲で使用される場合、「または」という用語は、内容が明確に他のことを指示しない限り、「および/または」を含む意味で概して使用される。
【0026】
本明細書における「一実施形態」、「いくつかの実施形態」、「他の実施形態」などへの言及は、記載された実施形態が1つまたは複数の特定の特徴、構造、および/または特性を含み得ることを示すことに留意されたい。しかしながら、そのような列挙は、すべての実施形態が特定の特徴、構造、および/または特性を含むことを必ずしも意味するわけではない。さらに、特定の特徴、構造、および/または特徴が、特定の実施形態に関連して記載される場合、そのような特徴、構造、および/または特徴は、反対に明示的に記載されない限り、明示的に記載されているか否かにかかわらず、他の実施形態と関連して使用されてもよいことを理解されたい。
【0027】
以下の詳細な説明は、図面を参照して読まれるべきであり、異なる図面の同様の要素には同じ番号が付されている。必ずしも縮尺通りではない図面は、例示的な実施形態を示しており、本発明の範囲を限定することを意図していない。
【0028】
脳の病変、血栓、腫瘍、および/または他の奇形は、治療が難しい場合がある。このような治療に関連する課題の少なくとも一部分は、対象側へのアクセスを得ることに関連している可能性がある。たとえば、脳内の血栓にアクセスするには、脳の領域を介して治療デバイスを案内する必要がある。これは、脳組織を通る比較的繊細な横断が必要になる場合がある。脳組織への外傷を減らし、脳の領域を画像化/視覚化する能力を高め、および/またはそうでなければ対象領域へのより良いアクセスを提供する方法で、脳の領域にアクセスすることが望ましい。本明細書に開示されるのは、中枢神経系および/または脳に沿った領域を含む身体領域への改善されたアクセスを提供するように構成された医療用デバイスである。そのようなデバイスを作製および使用するための方法も開示される。
【0029】
図1は、中枢神経系にアクセスするための例示的な拡張可能アクセスポートまたはシース10の一部分の斜視図である。拡張可能アクセスポート10は、ハウジング12と、ハウジング12に結合された拡張可能導管14とを含み得る。概して、拡張可能導管14は、対象領域へのアクセスを提供するために、身体の開口部、空洞などに挿入されるように構成され得る。例えば、拡張可能導管14は、脳内の対象(例えば、病変、血栓、腫瘍など)へのアクセスを提供するために、患者の頭部の開口部を通して、頭蓋骨を通して、脳内に挿入されるように構成されてもよい。さらに、拡張可能導管14が「拡張可能(expandable)」であるため、拡張可能導管14は、対象部位(例えば、脳内)の近くに配置され、拡張され得る。その際、拡張可能導管14は、対象部位に隣接する脳組織を傷つけないように押し、動かし、および/または延ばすことができ、これにより、対象部位へのより良好なアクセス、(例えば、拡張可能導管14を通しての臨床医による直接的な視覚化を含む)視覚化などを提供することができる。
【0030】
拡張可能アクセスポート10は、いくつかの構造的特徴を含み得る。拡張可能導管14は、複数の爪16を含み得る。スリーブ18は、複数の爪16に沿って配置され得る。いくつかの例では、スリーブ18は、エラストマー材料(elastomeric material)および/または生体適合性エラストマー(biocompatible elastomer)を含み得る。例えば、スリーブ18は、(例えば、マサチューセッツ州ウィルミントンのAdvanSource Biomaterialsから市販されているCHRONOPRENE 5Aなどの)CHRONOPRENEなどの熱可塑性ゴムエラストマーを含み得る。いくつかの例では、スリーブ18は、約400~1200%まで、または約600~1000%まで、または約800%まで伸長する(elongating)ことができる。さらに、いくつかの例では、スリーブ18は、引き裂き(tearing)または穴の伝播(hole propagation)に対して実質的に抵抗性を有し得る。したがって、スリーブ18が約800%まで伸長されると、スリーブ18を貫通する比較的小さな穴は、穴での引き裂きおよび/または穴における伝播に抵抗する。
【0031】
ハウジング12は、キャップ(cap)28および先端開口部30を含み得る。作動部材26は、ハウジング12に結合され得る。作動部材26は、拡張可能導管14を(例えば、図1に示されるような)第1の構成と(例えば、図2に示されるような)第2の構成または拡張された構成との間で移行させるために使用され得る。この例では、作動部材26はナット(nut)の形態をとる。ナット26は、ハウジング12に沿ったねじ山(thread)の周りを回転することができる。そのようにする場合、ナットは、複数の爪16(例えば、および拡張可能導管14)を第1の構成と第2の構成との間で移行させるために、複数の爪16と係合する。
【0032】
1つまたは複数の調整機構、例えば、第1の調整機構22aおよび第2の調整機構22bは、キャップ28に結合され得る。第1の調整機構22a、第2の調整機構22b、または両方の形態は、変更し得る。例えば、いくつかの例では、第1の調整機構22aは、患者に対する拡張可能アクセスポート10の位置を調整するために使用されるねじ付き脚部82を含み得る。第1の調整機構22aはまた、拡張可能アクセスポート10を安定化システム(図示せず)に結合/固定するために使用される安定化バー52を含み得る。安定化バー52と共に使用され得るいくつかの例示的な安定化システムは、INTEGRA、MIZUHO、TEDAN SURGICALによって製造されたもの、ならびにGREENBERG、BUDDE、SUGITA、FUKUSHIMAなどを含むシステムを含み得る。第2の調整機構22bは、患者に対する拡張可能アクセスポート10の位置を調整するために使用される1つ又は複数のねじ付き脚部82を含み得る。単一のねじ付き脚部82、2つ以上のねじ付き脚部82、ねじ付き脚部82がない、単一の安定化バー52、2つ以上の安定化バー52、安定化バー52がないなどを含む他の調整機構も考えられる。
【0033】
図3は、拡張可能アクセスポート10の一部分を示している。この図では、ハウジング12のねじ領域64が見えるように作動部材26が取り除かれている。さらに、図3は、スラストワッシャー(thrust washer)66がハウジング12に沿って配置され得ることも示している。スラストワッシャー66は、通常、作動部材26とハウジング12との間に配置され、作動部材26が容易に回転できるように摺動力を減少させるのに役立つように構成されている。スラストワッシャー66は、切り欠き領域68を含み得る。複数の爪16の(例えば、傾斜面72を有する)基端領域70は、切り欠き領域68内に配置され、および/またはそうでなければ切り欠き領域68と係合され得る。切り欠き領域68の部分69はまた、隣接する複数の爪16の間でハウジング12の区画71と係合することによって、スラストワッシャー66を所定の位置に固定するのを助けることができる。
【0034】
図4は、拡張可能アクセスポート10の一部分を示している。ここでは、爪16の先端74が圧着領域(クリンプ領域:crimp region)75を含み得ることが分かる。スリーブ18の端部77は、圧着領域75と係合し得る。例えば、端部77が圧着領域75に挿入され、圧着領域75が圧着され得る。これは、スリーブ18を複数の爪16に固定するのを助けることができる。
【0035】
図5~6は、第1の調整機構22aおよび第2の調整機構22bがキャップ28から取り外された拡張可能アクセスポート10を示している。ここでは、キャップ28は、第1の取り付け領域83aおよび第2の取り付け領域83bを含み得ることが分かる。少なくともいくつかの例では、第1の取り付け領域83aおよび第2の取り付け領域83bは、様々な調整機構がそれに取り外し可能に結合されることを可能にする。例えば、第1の取り付け領域83aおよび/または第2の取り付け領域83bは、キャップ28に取り外し可能に取り付けられる調整機構(例えば、第1の調整機構22a、第2の調整機構22b、またはその両方)を有するように構成されたフランジの形態をとり得る。調整機構22a/22bは、図7に示されるように、ばねまたは弾性部材33およびレバー部材35を含むばね解放取り付け/取り外し機構(spring-release attachment/detachment mechanism)を含み得る。いくつかの例では、弾性部材33は、(例えば、調整機構22a/22bを取り付け領域83a/83bに確実に取り付けることができるようにする)レバー部材35を保持するためのバネとしてまたはそのように使用されるOリングの形態をとる。レバー部材35は、弾性部材33を拡大または他の方法で拡張するために押し下げることができる。これにより、調整機構22a/22bを、必要に応じて、取り付け領域83a/83bから容易に確実に取り付け/取り外しすることができる。
【0036】
使用中、臨床医は、適切な数の調整機構をキャップ28(例えば、第1の取り付け領域83aおよび/または第2の取り付け領域83b)に取り付けることを選択することができる。調整機構の形態またはタイプは変更することができ、少なくともいくつかの例では、調整機構のタイプは、特定の医療介入のニーズに最も適合するように選択され得る。例えば、第1の調整機構22aは、図8に示されるように、第1の取り付け領域83aに取り付けられてもよい。この例では、調整機構は、第2の取り付け領域83bには取り付けられていない。企図される調整機構の変更をさらに示す図9は、拡張可能アクセスポート10のキャップ28(例えば、第1の取り付け領域83a)に取り付けられた別の調整機構22a’を示す。この例では、調整機構22a’は、安定化バー52を含むが、止めねじを含まない。他の変形も考えられる。
【0037】
図10~11は、ホルダー56と共に拡張可能アクセスポート10を含むシステム100を示す。ホルダー56は、管状本体58と、管状本体58に沿って配置されたフランジ60とを含み得る。いくつかの例では、ナットまたは把持領域80は、管状本体58に沿って配置され得る。ホルダー56は、管状本体58から延びるシャフト(shaft)76を含み、シャフト76にはノーズコーン(nose cone)78が結合され得る。シャフト76およびノーズコーン78は、ホルダー56が拡張可能アクセスポート10に挿入されることができるように構成され、ノーズコーン78は、拡張可能アクセスポート10の先端に配置され得る。いくつかの例では、ノーズコーン78は、概して非外傷性の形状を有し得る。例えば、ノーズコーン78は、先細の基端領域及び/又は先細の先端領域を含み得る。これにより、ノーズコーン78を、拡張可能アクセスポート10内に容易に挿入して貫挿させ、および/または拡張可能アクセスポート10から容易に取り除くことを可能にし得る。そうするとき、拡張可能アクセスポート10は、ノーズコーン78がそこを通過することを可能にする間に部分的に拡張または屈曲し得る。さらに、ノーズコーン78(および/または概してホルダー56)は、拡張可能導管14を拡張された構成に移行する必要なしに、拡張可能アクセスポート10に挿入またはそこから取り除かれることができる。
【0038】
図12~14は、本明細書において説明される拡張可能アクセスポート10と共に使用されることができる別のホルダー156を示している。図12に示されるように、ホルダー156は、オブチュレータ(閉塞具:obturator)158およびガイド部(guide)160を含み得る。オブチュレータ158は、基端に結合されたロック部(lock)180を含み得る。ロック部180は、その先端面に開口部181を有し得る。オブチュレータ158は、長手方向の軸x-xに対して横断方向にオブチュレータ158を完全に貫通する開口部または窓173を有し得る。窓173は、指針先端(pointer tip)(図示せず)がオブチュレータ158内に完全に着座していることを視覚的に確認できるようにすることができる。オブチュレータ158は、先細の先端シャフト176およびノーズコーン178を有し得る。いくつかの例では、先端シャフト176およびノーズコーン178を含むオブチュレータ158は、単一のモノリシック要素(monolithic element)であってもよい。図13に示されるように、ロック部180は、ネジ接続を介してオブチュレータ158に結合され得る。オブチュレータ158の基端は、ロック部180上の雌ねじ(189:図14を参照)と嵌合する雄ねじ159を有し得る。ガイド部160およびオブチュレータ158は、オブチュレータ158がガイド部160の内腔(ルーメン:lumen)に挿入可能である別個の要素であり得る。ガイド部160は、アクセスポート10と嵌合するように構成され得る。図14の断面図に示されるように、ロック部180の開口部181は、基端からオブチュレータ158を部分的に通って延び、窓173と接続する内腔154と連通する。いくつかの例では、窓173は、ノーズコーン178の先端から約50mm~55mm、例えば52mmだけオフセットしている。いくつかの例では、Oリング190は、オブチュレータ158の内腔154の基端内に配置されており、指針先端(図示せず)を圧縮および固定し得る。
【0039】
シャフト176およびノーズコーン178は、ホルダー156が拡張可能アクセスポート10に挿入されることができるように構成され、ノーズコーン178は、拡張可能アクセスポート10の先端に配置され得る。いくつかの例では、ノーズコーン178は、概して非外傷性の形状を有し得る。例えば、ノーズコーン178は、先細の基端領域及び/又は先細の先端領域を含み得る。いくつかの例では、ノーズコーン178は、5mm~10mm、例えば6mmの直径を有し得る。これにより、ノーズコーン178を、拡張可能アクセスポート10内に容易に挿入して貫挿させ、および/または拡張可能アクセスポート10から容易に取り除くことを可能にし得る。そうするとき、拡張可能アクセスポート10は、ノーズコーン178がそこを通過することを可能にする間に部分的に拡張または屈曲し得る。さらに、ノーズコーン178(および/または概してホルダー156)は、拡張可能導管14を拡張された構成に移行する必要なしに、拡張可能アクセスポート10に挿入またはそこから取り除かれることができる。
【0040】
拡張可能アクセスポート10の様々な構成要素に使用されることができる材料は、一般に医療用デバイスに関連するものを含み得る。簡潔化の為に、以下の説明は、拡張可能アクセスポート10を対象として行う。しかしながら、これは、本明細書に開示される他の同様の医療用デバイスおよび/またはシステムにこの説明が適用されてもよいため、本明細書に記載されるデバイスおよび方法を限定することを意図しない。
【0041】
拡張可能アクセスポート10は、金属、金属合金、ポリマー(以下で、その例を説明する)金属‐ポリマー混合物、セラミクス、それらの組み合わせ、および類似物、またはその他の好適な材料から製造され得る。好適なポリマーの例には、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE : polytetrafluoroethylene)、エチレンテトラフルオロエチレン(ETFE:ethylene tetrafluoroethylene)、フッ化エチレンプロピレン(FEP:fluorinated ethylene propylene)、ポリオキシメチレン(POM : polyoxymethylene、例えば、DuPont社のDELRIN(登録商標))、ポリエーテルブロックエステル、ポリウレタン(例えば、ポリウレタン85A)、ポリプロピレン(PP : polypropylene)、ポリ塩化ビニル(PVC : polyvinylchloride)、ポリエーテル‐エステル(例えば、DSM Enginerring Plastics社から入手可能なARNITEL(登録商標))、エーテルまたはエーテルをベースとする共重合体(ブチレン/ポリ(アルキレンエーテル)フタレートおよびDuPont社から入手可能なHYTREL(登録商標)などのその他のポロエステルエラストーマーのうちの少なくともいずれか一方など)、ポリアミド(Bayer社から入手可能なDURETHAN(登録商標)、ElfAtochem社から入手可能なCRISTAMID(登録商標))、エラストーマポリアミド(elastomeric polyamides)、ブロックポリアミド/エーテル(block polyamide/ethers)、ポリエーテルブロックアミド(PEBAX(登録商標)という商標名で入手可能なPEBA)、エチレンビニルアセテート‐共重合体(EVA : ethylene vinyl acetate copolymers)、シリコーン(silicones)、ポリエチレン(PE)、マーレックス高密度ポリエチレン(Marlex high-density polyethylene)、マーレックス低密度ポチエチレン(Marlex low-density polyethylene)、線形低密度ポリエチレン(linear low density polyethylene)(REXELL(登録商標)、ポリエステル、ポリブチレンテレフタラート(PBT : polybutylene terephthalate)、ポリエチレンテレフタレート(PET:polyethylene terephthalate)、ポリトリメチレンテレフタレート(polytrimethylene terephthalate)、ポリエチレンナフタレート(PEN : polyethylene naphthalate)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK : polyetheretherketone)、ポリイミド(PI : polyimide)、ポリエーテルイミド(PEI : polyetherimide)、ポリフェニレンスルファイド(PPS : polyphenylene sulfide)、ポリフェニレンオキシド(PPO : polyphenylene oxide)、ポリパラフェニレンテレフタルアミド(poly paraphenylene terephthalamide)(KEVLAR(登録商標))、ポリスルフォン(polysulfone)、ナイロン、ナイロン‐12(EMSAmericanGrilon社から入手可能なGRILAMID(登録商標))、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)(perfluoro(propyl vinyl ether))(PFA)、エチレンビニルアルコール、ポリオレフィン、ポリスチレン、エポキシ、ポリビニリデンクロライド(PVdC)、ポリ(スチレン‐b‐イソブチレン‐b‐スチレン)(poly(styrene-b-isobutylene-b-styrene)(SIBSおよびSIBS50Aのうちの少なくともいずれか一方等)、ポリカーボネート、イオノマー、生体適合性ポリマー、その他の好適な材料、または混合物、組み合わせ、それらの共重合体、ポリマー/金属混合物などが含まれる。いくつかの実施形態では、シースは、液晶ポリマー(liquid crystal polymer : LCP)と混合可能である。例えば、混合物は、最大約6%のLCPを含むことができる。
【0042】
好適な金属、および金属合金の例には、304V,304L,316LVステンレス鋼といったステンレス鋼、軟鋼、線形弾性および超弾性ニチノールのうちの少なくともいずれか一方などのニッケル‐チタン合金、ニッケル‐クロム‐モリブデン合金(INCONEL(登録商標)625などのUNS:N06625、HASTELLOY(登録商標)C-22(登録商標)などのUNS:N06022、HASTELLOY(登録商標)C276(登録商標)などのUNS:N10276など)、ニッケル‐銅合金(MONEL(登録商標)400、NICKELVAC(登録商標)400、NICORROS(登録商標)400などのUNS:N04400など)、ニッケル‐コバルト‐クロム‐モリブデン合金(MP35-N(登録商標)などのUNS:R30035など)、ニッケル‐モリブデン合金(HASTELLOY(登録商標)ALLOYB2(登録商標)などのUNS:N10665)、その他のニッケル‐クロム合金、その他のニッケル‐モリブデン合金、その他のニッケル‐コバルト合金、その他のニッケル‐鉄合金、その他のニッケル‐銅合金、その他のニッケル‐タングステンまたはタングステン合金等のその他のニッケル合金、コバルト‐クロム合金、コバルト‐クロム‐モリブデン合金(ELGILOY(登録商標)、PHYNOX(登録商標)などのUNS:R30003など)、プラチナ富化ステンレス鋼(platinum enriched stainless steel)、チタン、それらの組み合わせ、および類似物、またはその他の任意の好適な材料が含まれる。
【0043】
米国特許出願公開第2019/0247087号明細書は参照により本願に組込まれる。
この開示は、多くの点で、単なる例示であることを理解されたい。本開示の範囲を超えることなく、詳細において、特に形状、大きさ、および複数のステップの並びに関して変更を行うことができる。これは、適切な範囲で、他の実施形態で使用されている1つの例示的な実施形態の特徴のいずれかの使用を含んでもよい。本発明の範囲は、もちろん、添付の特許請求の範囲が表現される言葉で定義される。
図1
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図3A
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図10
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図14