(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】安定性が向上したドネペジル含有経皮吸収製剤
(51)【国際特許分類】
A61K 31/445 20060101AFI20240115BHJP
A61K 9/70 20060101ALI20240115BHJP
A61K 47/20 20060101ALI20240115BHJP
A61K 47/22 20060101ALI20240115BHJP
A61P 25/28 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
A61K31/445
A61K9/70 401
A61K47/20
A61K47/22
A61P25/28
(21)【出願番号】P 2022568614
(86)(22)【出願日】2021-05-12
(86)【国際出願番号】 KR2021005930
(87)【国際公開番号】W WO2021230647
(87)【国際公開日】2021-11-18
【審査請求日】2022-11-10
(31)【優先権主張番号】10-2020-0057402
(32)【優先日】2020-05-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】KR
(73)【特許権者】
【識別番号】513131590
【氏名又は名称】ドン-ア エスティ カンパニー リミテッド
(73)【特許権者】
【識別番号】510239369
【氏名又は名称】株式会社 ケイ・エム トランスダーム
(74)【代理人】
【識別番号】110003579
【氏名又は名称】弁理士法人山崎国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100173978
【氏名又は名称】朴 志恩
(74)【代理人】
【識別番号】100118647
【氏名又は名称】赤松 利昭
(74)【代理人】
【識別番号】100123892
【氏名又は名称】内藤 忠雄
(74)【代理人】
【識別番号】100169993
【氏名又は名称】今井 千裕
(72)【発明者】
【氏名】ジャン、スン-ウー
(72)【発明者】
【氏名】シン、チャン-イェル
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヘ-スン
(72)【発明者】
【氏名】チャ、クワン-ホ
(72)【発明者】
【氏名】キム、ヒュン-ジュン
(72)【発明者】
【氏名】ヒュン、サン-ミン
(72)【発明者】
【氏名】後藤正興
【審査官】工藤 友紀
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2008/066180(WO,A1)
【文献】国際公開第2008/066185(WO,A1)
【文献】特表2022-514037(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61K 31/00-47/69
A61P 25/28
CAplus/REGISTRY/MEDLINE/EMBASE/BIOSIS(STN)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
支持層、薬物含有層及び剥離層で構成された認知症治療用ドネペジル経皮吸収製剤であって、
前記薬物含有層には、有効成分としてドネペジル又はその薬学的に許容される塩、粘着基剤、及び安定化剤の組み合わせとして(i
)茶カテキン、(+)-カテキン、没食子酸エピガロカテキン、アスコルビン酸およびイソアスコルビン酸の中から選択される安定化剤と
チオシアン酸塩との混合物、又は(ii
)茶カテキン、(+)-カテキン、および没食子酸エピガロカテキンからなる群から選択される安定化剤と
モノチオグリセロールとの混合物を含む、経皮吸収製剤。
【請求項2】
前記ドネペジルが、遊離塩基(free base)形態であることを特徴とする、請求項1に記載の経皮吸収製剤。
【請求項3】
前記安定化剤の組み合わせが
、茶カテキン、(+)-カテキン、没食子酸エピガロカテキン、アスコルビン酸およびイソアスコルビン酸からなる群から選択される安定化剤と
チオシアン酸塩との混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の経皮吸収製剤。
【請求項4】
前記チオシアン酸塩が、チオシアン酸カリウムであることを特徴とする、請求項1又は3に記載の経皮吸収製剤。
【請求項5】
前記安定化剤の組み合わせが、モノチオグリセロールをさらに含むことを特徴とする、請求項3に記載の経皮吸収製剤。
【請求項6】
前記安定化剤の組み合わせが
、茶カテキン、(+)-カテキンおよび没食子酸エピガロカテキンからなる群から選択される安定化剤と
モノチオグリセロールとの混合物であることを特徴とする、請求項1に記載の経皮吸収製剤。
【請求項7】
支持層、薬物含有層及び剥離層で構成されたドネペジル経皮吸収製剤の製造方法であって、
a)有機溶媒に、ドネペジル又はその薬学的に許容される塩、粘着基剤、及び安定化剤の組み合わせとして
(i)茶カテキン、(+)-カテキン、没食子酸エピガロカテキン、アスコルビン酸、およびイソアスコルビン酸からなる群から選択される安定化剤と
チオシアン酸塩との混合物、又は
(ii)茶カテキン、(+)-カテキンおよび没食子酸エピガロカテキンからなる群から選択される安定化剤と
モノチオグリセロールとの混合物を含む多様な成分を溶解させるステップと、
b)前記ステップで製造された溶液を剥離層に塗布して乾燥させ、薬物含有層を形成するステップと、
c)前記薬物含有層を前記支持層とラミネートするステップと、を含む、ドネペジル経皮吸収製剤の製造方法。
【請求項8】
前記有機溶媒が、酢酸エチル、トルエン、ヘキサン、2-プロパノール、メタノール、エタノール、塩化メチレン及びテトラヒドロフランの中から選択されることを特徴とする、請求項7に記載のドネペジル経皮吸収製剤の製造方法。
【請求項9】
前記ドネペジルが、遊離塩基(free base)形態であることを特徴とする、請求項7に記載のドネペジル経皮吸収製剤の製造方法。
【請求項10】
前記安定化剤の組み合わせが
、茶カテキン、(+)-カテキン、没食子酸エピガロカテキン、アスコルビン酸およびイソアスコルビン酸からなる群から選択される安定化剤と
チオシアン酸塩との混合物であることを特徴とする、請求項7に記載のドネペジル経皮吸収製剤の製造方法。
【請求項11】
前記チオシアン酸塩が、チオシアン酸カリウムであることを特徴とする、請求項7又は10に記載の経皮吸収製剤の製造方法。
【請求項12】
前記安定化剤の組み合わせが、モノチオグリセロールをさらに含むことを特徴とする、請求項10に記載のドネペジル経皮吸収製剤の製造方法。
【請求項13】
前記安定化剤の組み合わせが
、茶カテキン、(+)-カテキンおよび没食子酸エピガロカテキンからなる群から選択される安定化剤と
モノチオグリセロールとの混合物であることを特徴とする、請求項7に記載のドネペジル経皮吸収製剤の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、短期保管条件だけでなく、長期保管条件の下でもドネペジル類縁物質の生成を抑制させることにより安定性が向上したドネペジル含有経皮吸収製剤に関する。
【背景技術】
【0002】
アセチルコリン分解酵素阻害剤であるドネペジルは、アルツハイマー性認知症を治療するために開発された薬物であって、その代表的な市販製品としては、アリセプト経口用錠剤がある。初期の服用者は、副作用を考慮して4~6週間は5mgを服用し、この期間の間に臨床的反応を評価した後、10mgまで増量することができる。そして安定化剤1種、少なくとも3ヶ月間10mgを服用した患者に23mgに用量を増加させて投与可能である。しかし、ドネペジル含有経口用錠剤は、服用の際に、急激な血中濃度の上昇により悪心、嘔吐、下痢などの副作用が激しく、嚥下能力が低下した高齢患者の場合には服薬利便性の面で問題が生じるだけでなく、認知症患者の場合には自ら規則的な治療剤の服用が容易ではないため、患者のコンプライアンスが大きく低下するという限界を持っている。
【0003】
かかる問題点により、ドネペジル又はその塩を含有する認知症治療用経皮吸収製剤の開発に関する様々な研究が国内外で行われてきた。しかし、経皮吸収製剤は、通常、全身作用を得るために、製剤中に比較的高濃度でドネペジルを配合しなければならないが、ドネペジルは、熱/光/水分などの環境的な要因によって様々な類縁物質を発生させる問題があり、保管中の安定性を確保するのは難しい。よって、上述した問題点を解決することが可能な安定化剤の必要性が台頭し、これに関する研究が引き続き提示されてきた。
【0004】
一方、欧州医薬品庁(European Medicines Agency)から発行した「Guideline on quality of transdermal patches」によると、経皮吸収製剤での類縁物質は、医薬品規制調和国際会議(International Council for Harmonization of Technical Requirements for Pharmaceuticals for Human Use;ICH)から発刊したガイドライン、ICH Q3Bに基づいて類縁物質の基準を管理するように勧告している。ICH Q3Bにおける類縁物質は、1日投与量に応じて一般的な類縁物質設定基準が提示されており、主成分が分解されて生成される類縁物質のうちの特定の類縁物質の毒性程度に応じてその類縁物質の基準を上方又は下方調整することができる。
【0005】
米国薬局方では、ドネペジルが分解されて発生しうる類縁物質に対して基準を設定してドネペジル含有錠剤に対して管理をしており、基準を超過する類縁物質が発生する場合、類縁物質による毒性を考慮して使用を禁じている。
【0006】
主成分が分解されて発生する類縁物質を評価する方法は、一般的に、液体クロマトグラフ法によって評価し、液体クロマトグラフ法に使用される分析条件(カラム条件、移動相条件、吸収波長など)によって、分析可能な類縁物質の種類が異なる。米国薬局方では、ドネペジル類縁物質分析法として次の2つの方法を提示している。
【0007】
第一の方法(以下、「第1法」という。)では、ドネペジル類縁物質のうちのデスベンジルドネペジル(Desbenzyl donepezil)、ドネペジルオープンリング(Donepezil open ring)、ドネペジルN-オキシド(Donepezil N-oxide)を分析することができ、これらの3種の類縁物質に対してそれぞれ0.5%以下、その他の未知類縁物質に対しては0.2%以下に管理することを勧告している。第二の方法(以下、「第2法」という。)では、ドネペジル類縁物質のうちのデスベンジルドネペジル(Desbenzyl donepezil)、ドネペジルピリジンアナログ(Donepezil pyridine analog)、ドネペジル四級塩(Donepezil quaternary salt)、ドネペジルインデンアナログ(Donepezil indene analog)、デオキシドネペジル(Deoxydonepezil)を分析することができ、これらの5種の類縁物質に対してそれぞれ0.15%以内、その他の未知類縁物質に対しては0.1%以下、総類縁物質に対しては1.0%以内に管理することを勧告しており、ドネペジル含有製剤において前記5種の類縁物質が潜在的に発生する可能性がある場合には、第1法よりは第2法で類縁物質を管理することを勧告している。
【0008】
ドネペジル類縁物質の安定性を改善させるための研究は、米国特許公報第6,372,760号、韓国公開特許公報第10―2009-0086565号、韓国登録特許公報第10-0866720号、同第10-1408500号、同第10-1408454号及び韓国特許出願第2018-0167289号に掲載されている。
【0009】
米国特許公報第6,372,760号は、有機酸の添加によってドネペジルの安定性を向上させるものであり、韓国登録特許公報第10-0866720号は、高分子量の酸性物質と高分子量の塩基性物質の添加によってドネペジルの安定性を向上させるものであるが、前記従来技術は、経口剤、シロップ剤などの経口投与製剤を提案したものであり、経皮吸収製剤に対する安定化剤の適用を開示するものではない。
【0010】
韓国公開特許公報第10-2009-0086565号には、アスコルビン酸又はその金属塩又はエステル、イソアスコルビン酸又はその金属塩、エチレンジアミン四酢酸又はその金属塩、システイン、アセチルシステイン、2-メルカプトベンゾイミダゾール、3(2)-t-ブチル-4-ヒドロキシアニソール、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、テトラキス[3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオン酸]ペンタエリスリトール、3-メルカプト-1,2-プロパンジオール、酢酸トコフェロール、ルチン、クエルセチン、ヒドロキノン、ヒドロキシメタンスルフィン酸金属塩、メタ重亜硫酸金属塩、亜硫酸金属塩及びチオ硫酸金属塩よりなる群から選択される1種又は2種以上の安定化剤を用いて経皮吸収製剤におけるドネペジル類縁物質の生成を抑制することが開示されている。上記の従来技術によれば、1種又は2種以上の安定化剤は、類縁物質(Donepezil N-oxide、Desbenzyl donepezil)及び総類縁物質の生成を抑制することができるとしたが、短期苛酷条件(70℃、48時間)で米国薬局方規定の分析法のうちの第1法のみによって類縁物質を評価して、ドネペジルによって生成できる様々な類縁物質を長期間にわたって効果的に抑制したとは認め難いという欠点がある。
【0011】
韓国登録特許公報第10-1408500号及び同第10-1408454号には、イソアスコルビン酸、2-メルカプトベンゾイミダゾール、ヒドロキシメタンスルホン酸金属塩、ルチン、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、アスコルビン酸、及びメタ重亜硫酸金属塩などの安定化剤2種を組み合わせて使用して経皮吸収製剤におけるドネペジル類縁物質の生成を抑制することが開示されている。これらの従来技術によれば、単一の安定化剤では2種の類縁物質(ドネペジルN-オキシド(Donepezil N-oxide)、デスベンジルドネペジル(Desbenzyl donepezil))及び総類縁物質を効果的に抑制することができず、2種の安定化剤を組み合わせて使用する場合、ドネペジルの分解によって生成される類縁物質のうちの2種の類縁物質(ドネペジルN-オキシド(Donepezil N-oxide)、デスベンジルドネペジル(Desbenzyl donepezil))及び総類縁物質を抑制することができるとしたが、短期苛酷条件下で米国薬局方規定の分析法のうちの第1法のみによって類縁物質を評価して、ドネペジルによって生成できる様々な類縁物質を長期間効果的に抑制したとは認め難いという欠点がある。
【0012】
韓国特許出願第2018-0167289号には、チオシアン酸塩(好ましくは、カリウム塩)、モノチオグリセロール又はジメチルチオ尿素を使用するとき、単一の安定化剤のみでも経皮吸収製剤におけるドネペジル類縁物質の生成を抑制することが開示されている。上記の従来技術は、他の従来技術とは異なり、米国薬局方に規定されている分析法である第1法と第2法の両方を評価して、短期苛酷条件で適合した類縁物質の生成を抑制することができることを確認した。特に、他の従来技術(韓国登録特許公報第10-1408500号及び第10-1408454号)に開示されているドネペジル経皮吸収製剤は、米国薬局方に規定されている分析法である第1法及び/又は第2法の基準に適合していないことを明らかにしている。
【0013】
本発明者らは、上記の韓国特許出願第2018-0167289号に開示されているドネペジル含有経皮吸収製剤を商業化するために開発している中で、長期保管時の安定性の評価で米国薬局方規定の分析法である第1法と第2法の類縁物質の適合基準から外れて安定性が大きく低下するという事実を確認した(韓国特許出願第2018-0167289号に開示されている安定化剤ジメチルチオ尿素は、医薬品分野で許可されない物質であるので、本発明の開発候補群から排除した)。
【0014】
そこで、本発明者らは、韓国特許出願第2018-0167289号に開示されている安定化剤であるチオシアン酸塩、モノチオグリセロールを用いて短期保管だけでなく、長期保管しても安定性を維持することができるドネフェジル含有経皮吸収製剤を研究した結果、短期保管及び長期保管の条件においてもドネペジルが分解されて生成される様々な類縁物質を効果的に抑制することにより米国薬局方規定の第1法及び第2法の基準に適合した安定化剤を見出し、本発明に至った。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
本発明は、韓国特許出願第2018-0167289号に開示されている安定化剤であるチオシアン酸塩、モノチオグリセロールを用いて短期保管だけでなく、長期保管しても安定性を維持することができるドネペジル含有経皮吸収製剤を提供することを目的とする。
【0016】
また、本発明は、短期苛酷条件及び長期加速条件の試験で米国薬局方規定の第1法及び第2法の基準に適合したドネフェジル含有経皮吸収製剤を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の目的を達成するために、本発明は、支持層、薬物含有層及び剥離層で構成されたドネペジル経皮吸収製剤であって、薬物含有層には、粘着基剤、有効成分としてドネペジル又はその薬学的に許容される塩、 安定化剤としてチオシアン酸塩と茶カテキン、(+)-カテキン、没食子酸エピガロカテキン、アスコルビン酸又はイソアスコルビン酸の中から選択される安定化剤との混合物、又はモノチオグリセロールと茶カテキン、(+)-カテキン又は没食子酸エピガロカテキンの中から選択される安定化剤との混合物を含む、認知症治療用経皮吸収製剤を提供する。
【0018】
本発明は、具体的に、次の通りである。
【0019】
本発明の薬物含有層に使用される前記ドネペジルは、アセチルコリンエステラーゼ阻害剤であって、遊離塩基(free base)形態であるドネペジル又はその薬学的に許容される塩を使用することができる。前記薬学的に許容される塩としては、薬学的に許容される遊離酸(free acid)によって形成された酸付加塩が有用である。好ましい酸付加塩は、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、亜硝酸又は亜リン酸などの無機酸類と、脂肪族モノ及びジカルボキシレート、フェニル置換されたアルカノエート、ヒドロキシアルカノエート、ヒドロキシアルカンジオアート、芳香族酸類、脂肪族及び芳香族スルホン酸類などの無毒性有機酸から得る。このような薬学的に無毒な塩類としては、硫酸塩、ピロ硫酸塩、重硫酸塩、亜硫酸塩、重亜硫酸塩、硝酸塩、リン酸塩、リン酸一水素、リン酸二水素、メタリン酸塩、塩化ピロリン酸エステル、臭化物、ヨウ化物、フッ化物、酢酸塩、プロピオン酸塩、デカン酸塩、カプリル酸塩、アクリル酸塩、ギ酸塩、イソ酪酸塩、カプリン酸塩、ヘプタン酸塩、プロピオン酸塩、シュウ酸塩、マロン酸塩、クエン酸塩、スベリン酸塩、セバシン酸塩、フマル酸塩、マレイン酸塩、ブチン-1,4-ジオアート、ヘキサン-1,6-ジオアート、安息香酸塩、クロロ安息香酸塩、メチル安息香酸塩、ジニトロ安息香酸塩、ヒドロキシ安息香酸塩、メトキシ安息香酸塩、フタル酸塩、テレフタル酸塩、ベンゼンスルホナート、トルエンスルホナート、クロロベンゼンスルホナート、キシレンスルホナート、酢酸フェニル、プロピオン酸フェニル、酪酸フェニル、クエン酸塩、乳酸塩、β-ヒドロキシ酪酸、グリコール酸塩、リンゴ酸塩、酒石酸塩、メタンンスルホン酸塩、プロパンスルホン酸塩、ナフタレン-1-スルホナート、ナフタレン-2-スルホナート、又はマンデル酸塩を使用することができるが、これらに限定されない。
【0020】
分散性及び経皮吸収性の観点から、本発明の薬物含有層には、遊離塩基形態のドネペジルが使用されることが好ましい。本発明の経皮吸収製剤中に含有されるドネペジルの含有量は特に制限されないが、薬物含有層におけるドネペジルの分散性及び経皮吸収性を考慮すると、ドネペジルの含有量は、好ましくは薬物含有層の重量に対して1~20重量%、より好ましくは1.5~15重量%、最も好ましくは2~10重量%であり得る。
【0021】
本発明において、 安定化剤は、(i)チオシアン酸塩と茶カテキン、(+)-カテキン、没食子酸エピガロカテキン、アスコルビン酸又はイソアスコルビン酸の中から選択される安定化剤との混合物、又は(ii)モノチオグリセロールと茶カテキン、(+)-カテキン又は没食子酸エピガロカテキンの中から選択される安定化剤との混合物であり、チオシアン酸塩と茶カテキン、(+)-カテキン、没食子酸エピガロカテキン、アスコルビン酸又はイソアスコルビン酸の中から選択される安定化剤との混合物は、安定化剤としてモノチオグリセロールをさらに含むことができる。
【0022】
本発明に使用される安定化剤であるチオンシアン酸塩は、酸化防止剤の成分である。チオシアン酸塩は、薬学的に許容される塩として使用することができ、薬学的に許容される無機塩としては、カリウム、ナトリウム、アンモニウム、カルシウム、マグネシウム、水銀、コバルト、鉛、銅、銀、リチウム、鉄、ニッケル、バリウム、カドミウム、亜鉛、セシウム、タリウムなどを使用することができ、有機塩としては、エチル、メチル、グアニジン、ベンジル、1-エチル-3-メチルイミダゾリウム、1-ブチル-3-メチルイミダゾリウム、テトラメチルアンモニウムなどを使用することができ、好ましくはチオシアン酸カリウムを使用することができる。
【0023】
本発明において、安定化剤は、薬物含有層に含有され、安定化剤の重量割合は、薬物含有層の物性に悪影響を提供しない限り、特に限定されない。安定化剤の割合の上限値の好ましい例は、薬物含有層(即ち、薬物含有層の形成に使用する組み合わせ物の固形分の総重量)に基づいて、その総量として5重量%を超えると、薬物含有層の粘着力などの物性が低下するおそれがあり、0.0005重量%を下回ると、十分な安定化効果が得られないおそれがある。したがって、安定化剤の重量割合は、薬物含有層に基づいて、好ましくは0.0005重量%~5重量%、より好ましくは0.005重量%~3重量%、特に好ましくは0.05重量%~2重量%であり、例えば、3種の安定化剤の混合時に、チオシアン酸塩は、ドネペジルの総重量に対して0.01重量%~50重量%含有され、安定化剤2種及び安定化剤3種の混合物は、チオシアン酸塩の総重量に対して1重量%~500重量%含有されることができる。
【0024】
本発明の粘着基剤において、粘着基剤は、特に限定されず、例えば、アクリル系粘着剤;ポリイソプレン、ポリイソブチレン、スチレン-ブタジエン、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、スチレン-ブタジエン-スチレンブロック共重合体などのゴム系粘着剤;シリコーン系粘着剤;ポリビニルアルコール、ポリビニルアルキルエーテル、ポリ酢酸ビニルなどのビニル系高分子粘着剤などを挙げることができる。
【0025】
本発明において、特に好ましい粘着基剤は、ゴム系粘着剤であるスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体である。スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体は、スチレン及びイソプレンからなる熱可塑性エラストマーであり、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体ゴム内のスチレン含有量及びジブロック(diblock)含有量によって融点、溶液粘度などのさまざまな性質が変化する。
【0026】
本発明に使用されるスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体は、特に限定されないが、好ましくは、日本医薬品添加物規格集2013年版に記載された「スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体の粘度測定方法」に基づいてスチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体の溶液粘度を測定したとき、溶液粘度の下限は、0.5Pa・s以上、好ましくは0.7Pa・s以上、さらに好ましくは0.9Pa・s以上であり、溶液粘度の上限は、特に限定されないが、2.0Pa・s以下、好ましくは1.8Pa・s以下である。
【0027】
薬物含有層中の粘着基剤の含有量があまり少ない場合には、薬物含有層の形状を維持し難く、あまり多い場合には、薬物の皮膚透過度が減少するという欠点がある。したがって、本発明の薬物含有層中の粘着基剤の含有量は、10重量%以上70重量%以下、より好ましくは15重量%以上65重量%以下、さらに好ましくは20重量%以上60重量%以下、特に好ましくは25重量%以上55重量%以下である。
【0028】
本発明が提供する経皮吸収製剤における粘着物組成物には、可塑剤を含有させてもよい。本発明に使用できる可塑剤としては、パラフィン系プロセスオイル、ナフテン系プロセスオイル、芳香族系プロセスオイル、オリーブ油、ツバキ油、トール油、ヒマシ油、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、ミネラルオイル、ミリスチン酸オクチルドデシル、プロピレングリコール、モノカプリル酸プロピレングリコールなどがあるが、これらに限定されない。これらの成分は、2種以上混合して使用してもよく、このような薬物含有層中の可塑剤の含有量は、経皮吸収製剤の十分な凝集力の維持を考慮して、10重量%以上80重量%以下、好ましくは20重量%以上75重量%以下、より好ましくは25重量%以上70重量%以下、さらに好ましくは30重量%以上65重量%以下である。
【0029】
本発明の薬物含有層には、経皮吸収製剤の粘着力を調整するために粘着付与樹脂を追加することができる。使用可能な粘着付与樹脂としては、ロジン誘導体、脂環族飽和炭化水素樹脂、脂肪族系炭化水素樹脂などを挙げることができ、本発明では、テルペン樹脂を代表的に使用したが、これに限定されない。
【0030】
しかし、粘着付与剤が薬物含有層に含有される場合、薬物含有層中の粘着付与剤の含有量は、皮膚刺激などを減少させるために、好ましくは20重量%以下である。その含有量は、好ましくは15重量%以下、より好ましくは10重量%以下、さらに好ましくは8重量%以下であり、粘着付与剤がないことが最も好ましい。つまり、パッチの皮膚接着力に関連して、粘着付与剤の含有量は、薬物含有層内のドネペジル、スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体、可溶化剤、並びに可塑剤の種類及び配合比に応じて調整できる。また、粘着付与剤の添加なしに十分な皮膚接着力を持つ場合、粘着付与剤は不要である。
【0031】
本発明における支持層の「支持体」は、特に限定されず、経皮吸収製剤などに汎用されるものを使用することができる。例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等の伸縮性又は非伸縮性織布又は不織布、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリウレタン、エチレン酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル等のフィルム又はポリオレフィン、ポリウレタンなどの発泡性支持体を挙げることができる。これらは、単独で使用してもよく、複数種が積層されたものを使用してもよい。
【0032】
また、支持体に静電気が蓄積されることを防止するために、支持体を構成する前記織布、不織布、フィルム等に帯電防止剤を含有してもよい。また、粘着剤層との良好な投錨性を得るために、支持体として不織布或いは織布、又はフィルムの積層体を用いることができる。支持体の厚さは、フィルムに対しては、通常10μm~100μm、好ましくは15μm~50μmであり、織布、不織布、発泡性支持体などの多孔性シートに対しては、通常50μm~2000μm、好ましくは100μm~1000μmである。
【0033】
また、本発明において、剥離層は、経皮吸収製剤などに汎用される一般的な剥離ライナーを使用することができる。剥離ライナーとしては、グラシン紙、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリスチレン等の樹脂フィルム、アルミニウムフィルム、発泡ポリエチレンフィルム又は発泡ポリプロピレンフィルム等或いはこれらのうちの2種以上の積層物を使用することができ、しかも、シリコーン加工したものやフッ素樹脂で加工したもの、エンボス加工、親水性加工、疎水性加工などを施したもの等を使用することができる。当該剥離ライナーの厚さは、通常10μm~200μm、好ましくは15μm~150μmである。
【0034】
さらに、本発明の経皮吸収製剤は、添加物、溶解剤、経皮吸収促進剤、香味剤、着色剤などを含むことができる。
【0035】
本発明において、経皮吸収製剤の製造方法は、特に限定されず、通常の経皮吸収製剤の製造方法、例えば、韓国薬局方製剤総則の経皮吸収製剤の製造方法などの方法、すなわち粘着基剤、ドネペジル、安定化剤及び可塑剤などを溶媒に溶解又は分散させて組み合わせ、得られた溶液又は分散液を剥離層の表面上に塗布し、乾燥させた後、支持体をラミネートさせることにより製造することができる。本発明の一つの実施態様として、(1)有機溶媒にドネペジル及び本発明による安定化剤混合物を溶解させるステップと、(2)前記ステップで製造された溶液を剥離層に塗布して乾燥させ、薬物含有層を形成するステップと、(3)前記薬物含有層を支持層とラミネートするステップと、を含んでドネペジル経皮吸収製剤を製造することができる。
【0036】
本発明による製造方法に使用される溶媒には、例えば、酢酸エチル、トルエン、ヘキサン、2-プロパノール、メタノール、エタノール、塩化メチレン、テトラヒドロフランなどを挙げることができ、粘着基剤などを溶媒に溶解又は分散させるときに温度は特に限定されないが、温度が高いほど、溶媒蒸発の可能性が高くなり、また、温度に応じてドネペジルが分解されて類縁物質が多量生成され得るので、好ましくは80℃以下、より好ましくは60℃以下である。
【0037】
また、本発明において、上記の実施形態で得られた溶液又は分散液を剥離層の表面上に塗布する方法、乾燥させる方法、及び支持体ラミネート方法は、通常の経皮吸収製剤の製造方法によって製造することができる。
【発明の効果】
【0038】
本発明は、短期苛酷試験(70℃、48時間保管)、長期加速試験1(40℃、相対湿度75%、1ヶ月保管)及び長期加速試験2(40℃、相対湿度75%、3ヶ月保管)で類縁物質の経時変化を確認し、米国薬局方に規定されている第1法及び第2法の基準に適合したドネフェジル含有経皮吸収製剤を提供する。
【0039】
本発明によるドネペジル含有経皮吸収製剤は、短期苛酷条件だけでなく、長期加速条件でもドネペジルの分解を抑制することにより類縁物質の生成を減少させ、米国薬局方に規定されている第1法及び第2法の類縁物質管理基準に適合したものなので、長期保存安定性が向上したドネフェジル含有経皮吸収製剤を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0040】
以下、実施例及び試験例によって本発明をさらに詳細に説明する。これらの実施例及び試験例は、本発明を具体的に説明するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
【0041】
<実施例1乃至13>本発明による経皮吸収製剤
【0042】
スチレン-イソプレン-スチレンブロック共重合体16g、ミリスチン酸オクチルドデシル4.7g、テルペン樹脂2g、モノカプリル酸プロピレングリコール6.5g、及びドネペジル1.3gを酢酸エチル27gに溶かして、ドネペジルが含有された酢酸エチル溶液を得た。次いで、下記表1に記載された安定化剤に応じて総量0.13g(各1/n含有)をメタノール1gに溶かした後、前記酢酸エチル溶液に混合した。
【0043】
得られた溶液をシリコーンコーティングされたPETフィルムに塗布して、80℃のオーブンで30分間乾燥させた後、支持フィルム(Backing film)とラミネートして経皮吸収製剤を製造し、それぞれ実施例1~実施例13とした。
【0044】
【0045】
<比較例1>安定化剤を添加していない経皮吸収製剤
【0046】
安定化剤を添加せずに実施例1と同様の組成及び方法で経皮吸収製剤を製造し、比較例1とした。
【0047】
<比較例2~4>韓国特許出願第2018-0167289号に記載の安定化剤チオシアン酸カリウム及び/又はモノチオグリセロールを添加した経皮吸収製剤
【0048】
韓国特許出願第2018-0167289号に記載の安定化剤のうちのチオシアン酸カリウム又はモノチオグリセロールをそれぞれ又は混合して添加して実施例1と同様の組成及び方法によって経皮吸収製剤を製造し、比較例2~4とした。
【0049】
<比較例5~16>比較例2~4に韓国特許出願第2018-0167289号に記載のクエン酸、酒石酸又は/及び安息香酸を安定化剤として添加した経皮吸収製剤
【0050】
米国特許公報第6,372,760号に記載された安定化剤のうちのクエン酸、酒石酸又は安息香酸を含む経皮吸収製剤をそれぞれ比較例5~7とし、前記比較例2~4に米国特許公報第6,372,760号に記載の安定化剤のうちのクエン酸、酒石酸及び安息香酸の各1種の安定化剤をさらに添加して、実施例1と同様の組成及び方法で経皮吸収製剤を製造し、それぞれ比較例8~16とした。
【0051】
【0052】
<比較例17~20>韓国登録特許公報第10-1408500号に記載の安定化剤2種を添加した経皮吸収製剤
【0053】
韓国登録特許公報第10-1408500号に記載の安定化剤のうち、類縁物質であるドネペジルN-オキシド(Donepezil N-oxide)、デスベンジルドネペジル(Desbenzyl donepezil)、及び総類縁物質を最も効果的に抑制した下記表3に記載の安定化剤2種の4群を選択して添加することで、実施例1と同様の組成及び方法で経皮吸収製剤を製造し、比較例17~20とした。
【0054】
【0055】
<比較例21>安定化剤2種を添加した経皮吸収製剤
【0056】
韓国登録特許公報第10-1408454号に記載の安定化剤アスコルビン酸とメタ重亜硫酸ナトリウムをそれぞれ添加して実施例1と同様の組成及び方法で経皮吸収製剤を製造し、比較例21とした。
【0057】
<比較例22~49>韓国公開特許公報第10-2009-0086565号に記載の各種安定化剤を添加した経皮吸収製剤
【0058】
韓国公開特許公報第10-2009-0086565号に記載の安定化剤、及び各種安定化剤として下記表4に記載の安定化剤を添加して実施例1と同様の組成及び方法で経皮吸収製剤を製造し、比較例22~49とした。
【0059】
【0060】
<比較例50~67>チオシアン酸カリウムと韓国公開特許公報第10-2009-0086565号に記載の各種安定化剤を添加した経皮吸収製剤
【0061】
安定化剤として、チオシアン酸カリウムと、韓国公開特許公報第10-2009-0086565号に記載の安定化剤のうちの表5に記載の安定化剤とをそれぞれ混合添加して、実施例1と同様の組成及び方法で経皮吸収製剤を製造し、それぞれ比較例50~67とした。
【0062】
【0063】
<比較例68~86>モノチオグリセロールと韓国公開特許公報第10-2009-0086565号に記載の各種安定化剤を添加した経皮吸収製剤
【0064】
安定化剤として、モノチオグリセロール(韓国公開特許公報第10-2009-0086565号に記載の3-メルカプト-1,2-プロパンジオールと同一の化合物である)と韓国公開特許公報第10-2009-0086565号に記載の安定化剤のうちの表6に記載の安定化剤とをそれぞれ混合添加して、実施例1と同様の組成及び方法で経皮吸収製剤を製造し、それぞれ比較例68~86とした。
【0065】
【0066】
<比較例87~104>チオシアン酸カリウム及びモノチオグリセロールと韓国公開特許公報第10-2009-0086565号に記載の各種安定化剤を添加した経皮吸収製剤
【0067】
安定化剤としてチオシアン酸カリウム及びモノチオグリセロールと、韓国公開特許第10-2009-0086565号に記載の安定化剤のうちの表7に記載の安定化剤とをそれぞれ混合添加して、実施例1と同様の組成及び方法で経皮吸収製剤を製造し、それぞれ比較例87~104とした。
【0068】
【0069】
<実験例1>短期苛酷条件(70℃48時間)保管後の第1法による類縁物質の評価
【0070】
短期保管の際にドネペジル類縁物質を評価するために、実施例及び比較例で製造された経皮吸収製剤を70℃で48時間の短期苛酷条件で保管した後、次のとおりに第1法で類縁物質を評価した。
【0071】
1.類縁物質分析法第1法
【0072】
類縁物質分析法第1法の場合は、それぞれの経皮吸収製剤を酢酸エチルに60分間攪拌して溶かした後、メタノールを添加して60分間攪拌し、その後、5分間遠心分離した上澄み液を検液として、米国薬局方「ドネペジル錠剤」項の類縁物質分析法第1法によって評価した。標準液は、ドネペジル塩酸塩標準品を酢酸エチル:メタノール=15:85(体積比)で混合した溶媒を用いて0.8μg/mLとなるように製造して使用した。
【0073】
<第1法の液体クロマトグラフ条件>
【0074】
カラム:Inertsil ODS-2(4.6×150mm、C18、5μm)
【0075】
移動相:1-デカンスルホン酸ナトリウム2.5gを精製水650mLに添加して溶かした後、70%過塩素酸溶液1mLとアセトニトリル350mLを添加した液を移動相とする。
【0076】
カラム温度:35℃
【0077】
流速:1.4mL/min
【0078】
サンプル注入量:20μL
【0079】
紫外部吸光光度計:271nm
【0080】
類縁物質計算式
【0081】
類縁物質%=(Ru/Rs)×(Cs/Cu)×(1/F)×100
【0082】
Ru:検液中の各類縁物質のピーク面積
【0083】
Rs:標準液中のドネペジルのピーク面積
【0084】
Cs:標準液の濃度(mg/mL)
【0085】
Cu:検液の濃度(mg/mL)
【0086】
F:個々の類縁物質の相対的な補正係数
【0087】
【0088】
2.類縁物質の評価
【0089】
本発明による実施例及び比較例で製造された経皮吸収製剤を70℃48時間の短期苛酷条件で保管した後、第1法によって分析したドネペジル類縁物質生成量は、表8に示す。
【0090】
下記表8より、安定化剤が含まれていない比較例1の場合、第1法ではドネペジルが分解されて相対保持時間0.53(未知類縁物質)、1.2(Donepezil N-oxide)及び総類縁物質で多量の類縁物質が生成されるので、ドネペジル経皮吸収製剤は、類縁物質の生成を抑制することが可能な安定化剤が必要な製剤であることが分かる。
【0091】
韓国特許出願第2018-0167289号に記載の安定化剤であるチオシアン酸カリウム(比較例2)、モノチオグリセロール(比較例3)と前記2種の安定化剤(チオシアン酸カリウム/モノチオグリセロール)とを混合して含まれた経皮吸収製剤の場合、短期苛酷条件での類縁物質生成量が米国薬局方規定の第1法の基準に適合していることが示され、優れた安定性を確認した。
【0092】
米国特許公報第6,372,760号に記載の有機酸であるクエン酸、酒石酸及び安息香酸を用いた比較例5~7の場合は、相対保持時間1.2(Donepezil N-oxide)が米国薬局方規定の基準に適合していないが、これを比較例2~4にそれぞれ混合した比較例8~16の場合は、相対保持時間1.2(Donepezil N-oxide)を著しく減少させて短期苛酷条件で米国薬局方規定の第1法の基準に適合している。
【0093】
韓国登録特許公報第10-1408500号又は韓国登録特許公報第10-1408454号に記載の2種の安定化剤を混合した比較例17~比較例21の場合は、短期苛酷条件で類縁物質が米国薬局方規定の第1法の基準にすべて適合している。
【0094】
韓国公開特許公報第10-2009-0086565号に記載の安定化剤を添加した経皮吸収製剤である比較例22~44の場合は、比較例23(システイン)、比較例24(2-メルカプトベンゾイミダゾール)、比較例30(ヒドロキシメタンスルホン酸ナトリウム)及び比較例33(チオ硫酸ナトリウム)は、個々の類縁物質が短期苛酷条件で米国薬局方規定の第1法の基準に適合しているが、大部分の安定化剤を単独で添加するときに適合していない。
【0095】
また、韓国公開特許公報第10-2009-0086565号に記載の安定化剤と従来の公知の安定化剤とを2種混合した比較例45~49の場合は、比較例45(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール/茶カテキン)、比較例48(2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール/イソアスコルビン酸)及び比較例49(ブチルヒドロキシアニソール/イソアスコルビン酸)は、米国薬局方規定の第1法の基準に適合しており、比較例46(ブチルヒドロキシアニソール/茶カテキン)及び比較例47(チオ硫酸ナトリウム/茶カテキン)は、米国薬局方規定の第1法の基準に適合していない。
【0096】
韓国特許出願第2018-0167289号に記載の安定化剤であるチオシアン酸カリウムと韓国公開特許公報第10-2009-0086565号に記載の安定化剤1種とを混合して添加した経皮吸収製剤である比較例50~67の場合は、大部分の安定化剤が米国薬局方規定の第1法の基準に適合しているが、比較例53(チオシアン酸カリウム/ブチルヒドロキシアニソール)、比較例57(チオシアン酸カリウム/ヒドロキノン)、比較例62(チオシアン酸カリウム/没食子酸プロピル)及び比較例64(チオシアン酸カリウム/(+)-アルファ-トコフェロール)の場合は、個々の類縁物質が短期苛酷条件で米国薬局方規定の第1法の基準に適合していない。
【0097】
韓国特許出願第2018-0167289号に記載の安定化剤であるモノチオグリセロールと韓国公開特許公報第10-2009-0086565号に記載の安定化剤1種とを混合して添加した経皮吸収製剤である比較例68~86の場合は、大部分の安定化剤が米国薬局方規定の第1法の基準に適合しているが、比較例71(モノチオグリセロール/ブチルヒドロキシアニソール)と比較例82(モノチオグリセロール/(+)-アルファ-トコフェロール)の場合は、個々の類縁物質が短期苛酷条件で米国薬局方規定の第1法の基準に適合していない。
【0098】
また、韓国特許出願第2018-0167289号に記載の安定化剤であるモノチオグリセロール及びチオシアン酸カリウムと、韓国公開特許公報第10-2009-0086565号に記載の安定化剤1種とを混合して添加した経皮吸収製剤である比較例87~104の場合は、大部分の安定化剤が米国薬局方規定の第1法の基準に適合しているが、比較例90(チオシアン酸カリウム/モノチオグリセロール/ブチルヒドロキシアニソール)、比較例94(チオシアン酸カリウム/モノチオグリセロール/ヒドロキノン)、比較例99(チオシアン酸カリウム/モノチオグリセロール/没食子酸プロピル)及び比較例101(チオシアン酸カリウム/モノチオグリセロール/(+)-α-トコフェロール)の場合は、個々の類縁物質が短期苛酷条件で米国薬局方規定の第1法の基準に適合していない。
【0099】
これに対し、本発明による実施例1~13の場合は、個々の類縁物質が短期苛酷条件で米国薬局方規定の第1法の基準に適合していることが示され、優れた安定化効果を確認することができる。
【0100】
【0101】
1)RRT 0.33:デスベンジルドネペジル(Desbenzyl donepezi)、0.5%以内
【0102】
2)RRT 0.48:未知類縁物質、0.2%以内
【0103】
3)RRT 0.53:未知類縁物質、0.2%以内
【0104】
4)RRT 0.7:ドネペジルオープンリング(Donepezil open ring)、0.5%以内
【0105】
5)RRT 1.2:ドネペジルN-オキシド(Donepezil N-oxide)、0.5%以内
*赤色:不適合
【0106】
<実験例2>短期苛酷条件(70℃48時間)保管後の第2法による類縁物質の評価
【0107】
ドネペジル類縁物質を評価するために、実施例及び比較例で製造された経皮吸収製剤を70℃48時間の短期苛酷条件で保管した後、次のとおりに第2法で類縁物質を評価した。
【0108】
1.類縁物質分析法第2法
類縁物質分析法第2法の場合は、それぞれの経皮吸収製剤を酢酸エチルに60分間攪拌して溶かした後、0.1N塩酸:メタノールが25:75で混合された溶液を添加して60分間攪拌し、その後、5分間遠心分離した上澄み液を検液として、米国薬局方「ドネペジル錠剤」項の類縁物質分析法第2法に従って下記表10の基準に評価した。標準液は、ドネペジル塩酸塩標準品を、酢酸エチル:メタノール:0.1N塩酸=100:675:225(体積比)で混合した溶媒を用いて、10μg/mLとなるように製造して使用した。
【0109】
<第2法の液体クロマトグラフ条件>
【0110】
カラム:Capcellpak(4.6×250mm、C18、5μm)
移動相A:リン酸1mLを精製水1Lに添加した後、トリエチルアミンを用いてpHを6.5に調整した。得られた溶液を濾過した後、超音波洗浄機で気泡を除去して移動相として使用した。
【0111】
移動相B:アセトニトリル
【0112】
【0113】
カラム温度:50℃
【0114】
流速:1.5mL/min
【0115】
サンプル注入量:20μL
【0116】
紫外部吸光光度計:286nm
【0117】
類縁物質計算式
【0118】
類縁物質%=(Ru/Rs)×(Cs/Cu)×(1/F)×100
【0119】
Ru:検液中の各類縁物質のピーク面積
【0120】
Rs:標準液中のドネペジルのピーク面積
【0121】
Cs:標準液の濃度(mg/mL)
【0122】
Cu:検液の濃度(mg/mL)
【0123】
F:個々の類縁物質の相対的な補正係数
【0124】
【0125】
2.類縁物質の評価
【0126】
本発明による実施例及び比較例で製造された経皮吸収製剤を70℃48時間の短期苛酷条件で保管した後、第2法によって分析したドネペジル類縁物質生成量を表9に示す。
【0127】
下記表9より、安定化剤を含んでいない経皮吸収製剤(比較例1)は、第2法実験結果でドネペジルが分解されて相対保持時間0.49(Donepezil pyridine analog)、0.57(未知類縁物質)、1.08(未知類縁物質)及び総類縁物質における基準以上の類縁物質が生成されるので、安定化剤が必要な製剤であることが分かる。
【0128】
韓国特許出願第2018-0167289号に記載の安定化剤であるチオシアン酸カリウム(比較例2)、モノチオグリセロール(比較例3)と上記2種の安定化剤を混合して含まれた経皮吸収製剤(比較例4)の場合は、短期苛酷条件(70℃48時間保管)で類縁物質生成量が米国薬局方提案の第2法の基準に適合していることが示され、優れた安定性を確認した。
【0129】
米国特許公報第6,372,760号に記載の有機酸であるクエン酸、酒石酸及び安息香酸を用いた比較例5~7の場合は、米国薬局方規定の第2法の基準に適合しておらず、前記安定化剤と比較例2~4の安定化剤とを混合した比較例8~16の場合にも、短期苛酷条件で類縁物質が米国薬局方規定の第1法の基準に適合している実験結果とは異なり、第2法の基準に全て適合していない。
【0130】
韓国登録特許公報第10-1408500号又は韓国登録特許公報第10-1408454号に記載の2種の安定化剤を混合した比較例17~比較例21の場合は、短期苛酷条件で類縁物質が米国薬局方規定の第1法の基準に適合している実験結果とは異なり、第2法の基準に全て適合していない。
【0131】
韓国公開特許公報第10-2009-0086565号に記載の安定化剤及び従来の公知の安定化剤を添加した経皮吸収製剤である比較例22~44の場合は、短期苛酷条件で一部の安定化剤を含む経皮吸収製剤は、類縁物質が米国薬局方規定の第1法の基準に適合している実験結果とは異なり、第2法の基準に全て適合していない。
【0132】
また、韓国公開特許公報第10-2009-0086565号に記載の安定化剤と従来の公知の安定化剤とを2種混合した比較例45~49もいずれも、第2法の基準に適合していない。
【0133】
韓国特許出願第2018-0167289号に記載の安定化剤であるチオシアン酸カリウムと韓国公開特許公報第10-2009-0086565号に記載の安定化剤1種とを混合して添加した経皮吸収製剤である比較例50~67の場合は、短期苛酷条件で類縁物質が米国薬局方規定の第1法の基準に殆ど適合している実験結果とは異なり、比較例67(チオシアン酸カリウム/ルチン)のみが米国薬局方規定の第2法の基準に適合しており、その他のすべては米国薬局方規定の第2法の基準に適合していない。
【0134】
韓国特許出願第2018-0167289号に記載の安定化剤であるモノチオグリセロールと韓国公開特許公報第10-2009-0086565号に記載の安定化剤1種とを混合して添加した経皮吸収製剤である比較例68~86の場合は、短期苛酷条件で類縁物質が米国薬局方規定の第1法の基準に殆ど適合している実験結果とは異なり、比較例68(モノチオグリセロール/エチレンジアミン四酢酸)、比較例70(モノチオグリセロール/2-メルカプトベンゾイミダゾール)、比較例72(モノチオグリセロール/ジブチルヒドロキシトルエン)、比較例74(モノチオグリセロール/ケルセチン二水和物)、比較例75(モノチオグリセロール/ヒドロキノン)、比較例78(モノチオグリセロール/亜硫酸ナトリウム)、比較例79(モノチオグリセロール/チオ硫酸ナトリウム)、比較例80(モノチオグリセロール/没食子酸プロピル)、比較例81(モノチオグリセロール/1,3-ブタンジオール)、比較83(モノチオグリセロール/アルファ-トコフェロールアセテート)、比較例85(モノチオグリセロール/ルチン)及び比較例86(モノチオグリセロール/イソアスコルビン酸)のみが米国薬局方規定の第2法の基準に殆ど適合しているだけであり、比較例69(モノチオグリセロール/システイン)、比較例71(モノチオグリセロール/ブチルヒドロキシアニソール)、比較例73(モノチオグリセロール/ペンタエリスリチルテトラ-ジ-t-ブチルヒドロキシヒドロシンナメート)、比較例76(モノチオグリセロール/ヒドロキシメタンスルホン酸ナトリウム)、比較例77(モノチオグリセロール/メタ重亜硫酸ナトリウム)、比較例82(モノチオグリセロール/(+)-アルファ-トコフェロール)及び比較例84(モノチオグリセロール/ベンゾトリアゾール)の場合は、米国薬局方規定の第2法の基準に適合していない。
【0135】
また、韓国特許出願第2018-0167289号に記載の安定化剤であるモノチオグリセロール及びチオシアン酸カリウムと韓国公開特許公報第10-2009-0086565号に記載の安定化剤1種とを混合して添加した経皮吸収製剤である比較例87~104の場合は、短期苛酷条件で類縁物質が米国薬局方規定の第1法の基準にほとんど適合している実験結果とは異なり、比較例104(モノチオグリセロール/チオシアン酸カリウム/ルチン)のみが米国薬局方規定の第2法の基準に適合しており、その他のすべては第2法の基準に適合していない。
【0136】
これに対して、本発明による実施例1~13の場合は、個々の類縁物質が短期苛酷条件で米国薬局方規定の第2法の基準に適合していることが示され、優れた安定化効果を確認することができる。
【0137】
【0138】
1)RRT 0.23:デスベンジルドネペジル(Desbenzyl donepezi)、0.15%以内
【0139】
2)RRT 0.48:ドネペジルピリジンアナログ(Donepezil pyridine analog)、0.15%以内
【0140】
3)RRT 0.57:未知類縁物質、0.1%以内
【0141】
4)RRT 0.68:ドネペジル四級塩(Donepezil quaternary salt、0.15%以内
【0142】
5)RRT 1.03:未知類縁物質、0.1%以内
【0143】
6)RRT 1.08:未知類縁物質、0.1%以内
【0144】
7)RRT 1.7:ドネペジルインデンアナログ(Donepezil indene analog)、0.15%以内
【0145】
8)RRT 2.1:デオキシドネペジル(Deoxydonepezi)、0.15%以内
*赤色:不適合
【0146】
本発明の実施例と比較例から、70℃48時間の短期苛酷条件で米国薬局方規定の類縁物質分析法の第1法及び第2法の基準に全て適合しているものは、本発明の実施例と比較例2~4(韓国特許出願第2018-0167289号に記載の安定化剤チオシアン酸カリウム及び/又はモノチオグリセロールを添加した経皮吸収製剤)、比較例67(チオシアン酸カリウム/ルチン)、比較例68(モノチオグリセロール/エチレンジアミン四酢酸)、比較例70(モノチオグリセロール/2-メルカプトベンゾイミダゾール)、比較例72(モノチオグリセロール/ジブチルヒドロキシトルエン)、比較例74(モノチオグリセロール/ケルセチン二水和物)、比較例75(モノチオグリセロール/ヒドロキノン)、比較例78(モノチオグリセロール/亜硫酸ナトリウム)、比較例79(モノチオグリセロール/チオ硫酸ナトリウム)、比較例80(モノチオグリセロール/没食子酸プロピル)、比較例81(モノチオグリセロール/1,3-ブタンジオール)、比較例83(モノチオグリセロール/アルファ-トコフェロールアセテート)、比較例85(モノチオグリセロール/ルチン)、比較例86(モノチオグリセロール/イソアスコルビン酸)及び比較例104(モノチオグリセロール/チオシアン酸カリウム/ルチン)で製造された経皮吸収製剤であった。
【0147】
<実験例3>長期加速条件(40℃相対湿度75%、1ヶ月保管)での類縁物質の評価
【0148】
ドネペジル経皮吸収製剤に対して長期保管による安定性を確認するために、前記実験例1及び2の短期苛酷条件における類縁物質の生成が米国薬局方規定の第1法及び第2法の基準に適合していると評価された実施例1~13、及び比較例2、3、4、67、68、70、72、74、75、78、79、80、81、83、85、86及び104を対象として40℃相対湿度75%の長期加速試験条件で1ヶ月間保管した後、前記実験例1の第1法及び第2法と同一の方法で類縁物質を評価した。その結果を表10及び表11に示す。
【0149】
1.第1法の分析による類縁物質の評価
【0150】
下記表10より、安定化剤を含んでいない経皮吸収製剤(比較例1)は長期加速試験条件(40℃相対湿度75%、1ヶ月保管)の第1法実験結果でドネペジルが分解されて相対保持時間0.53(未知類縁物質)、1.2(Donepezil N-oxide)及び総類縁物質における基準以上の類縁物質が生成されるので、安定化剤が必要な製剤であることが分かる。
【0151】
韓国特許出願第2018-0167289号に記載の安定化剤であるチオシアン酸カリウム(比較例2)の場合は、長期加速試験条件(40℃相対湿度75%、1ヶ月保管)の第1法の基準に適合していないが、モノチオグリセロールが含まれている経皮吸収製剤(比較例3)と、前記2種の安定化剤(チオシアン酸カリウム/モノチオグリセロール)を混合して含まれた経皮吸収製剤(比較例4)は、長期加速試験条件(40℃相対湿度75%、1ヶ月保管)の第1法の基準に適合している。
【0152】
韓国特許出願第2018-0167289号に記載の安定化剤であるチオシアン酸カリウムと韓国公開特許公報第10-2009-0086565号に記載の安定化剤であるルチンとを混合して添加した経皮吸収製剤である比較例67の場合、長期加速試験条件(40℃相対湿度75%、1ヶ月保管)の第1法の基準に適合している。
【0153】
韓国特許出願第2018-0167289号に記載の安定化剤であるモノチオグリセロールと韓国公開特許公報第10-2009-0086565号に記載の安定化剤1種とを混合して添加した経皮吸収製剤である比較例75(モノチオグリセロール/ヒドロキノン)及び比較例80(モノチオグリセロール/没食子酸プロピル)の場合は、短期苛酷条件で米国薬局方規定の第1法の基準に適合しているのとは異なり、長期加速試験条件(40℃相対湿度75%、1ヶ月保管)第1法の基準には適合していないが、比較例68(モノチオグリセロール/エチレンジアミン四酢酸)、比較例70(モノチオグリセロール/2-メルカプトベンゾイミダゾール)、比較例72(モノチオグリセロール)/ジブチルヒドロキシトルエン)、比較例74(モノチオグリセロール/ケルセチン二水和物)、比較例78(モノチオグリセロール/亜硫酸ナトリウム)、比較例79(モノチオグリセロール/チオ硫酸ナトリウム)、比較例80(モノチオグリセロール/没食子酸プロピル)、比較例81(モノチオグリセロール/1,3-ブタンジオール)、比較例83(モノチオグリセロール/アルファ-トコフェロールアセテート)、比較例85(モノチオグリセロール/ルチン)及び比較例86(モノチオグリセロール/イソアスコルビン酸)は、長期加速試験条件(40℃相対湿度75%、1ヶ月保管)で米国薬局方規定の第1法の基準に適合している。
【0154】
また、韓国特許出願第2018-0167289号に記載の安定化剤であるモノチオグリセロール及びチオシアン酸カリウムと韓国公開特許公報第10-2009-0086565号に記載の安定化剤ルチンとを混合して添加した経皮吸収製剤である比較例104の場合は、長期加速試験条件(40℃相対湿度75%、1ヶ月保管)で米国薬局方規定の第1法の基準に適合している。
【0155】
これに対して、本発明による実施例1~13の場合は、長期加速試験条件(40℃相対湿度75%、1ヶ月保管)で米国薬局方規定の第1法の基準に全て適合していることが示され、優れた安定化効果を確認することができる。
【0156】
【0157】
1)RRT 0.33:デスベンジルドネペジル(Desbenzyl donepezil)、0.5%以内
【0158】
2)RRT 0.48:未知類縁物質、0.2%以内
【0159】
3)RRT 0.53:未知類縁物質、0.2%以内
【0160】
4)RRT 0.7:ドネペジルオープンリング(Donepezil open ring)、0.5%以内
【0161】
5)RRT 1.2:ドネペジルN-オキシド(Donepezil N-oxdie)、0.5%以内
*赤色:不適合
【0162】
2.第2法の分析による類縁物質の評価
【0163】
下記表11より、安定化剤を含んでいない経皮吸収製剤(比較例1)は長期加速試験条件(40℃相対湿度75%、1ヶ月保管)の第2法の実験結果でドネペジルが分解されて相対保持時間0.49(Donepezil pyridine analog)、0.57(未知類縁物質)及び総類縁物質における基準以上の類縁物質が生成されるので、安定化剤が必要な製剤であることが分かる。
【0164】
韓国特許出願第2018-0167289号に記載の安定化剤であるチオシアン酸カリウム(比較例2)及びモノチオグリセロール(比較例3)の場合は、長期加速試験条件(40℃相対湿度75%、1ヶ月保管)の第2法の基準に適合していないが、前記2種の安定化剤(チオシアン酸カリウム/モノチオグリセロール)を混合して含まれた経皮吸収製剤(比較例4)の場合は、長期加速試験条件(40℃相対湿度75%、1ヶ月保管)の第2法の基準に適合している。
【0165】
韓国特許出願第2018-0167289号に記載の安定化剤であるチオシアン酸カリウムと韓国公開特許公報第10-2009-0086565号に記載の安定化剤であるルチンとを混合して添加した経皮吸収製剤である比較例67の場合は、短期苛酷条件で米国薬局方規定の第2法の基準に適合しているのとは異なり、長期加速試験条件(40℃相対湿度75%、1ヶ月保管)の第2法の基準に適合していない。
【0166】
韓国特許出願第2018-0167289号に記載の安定化剤であるモノチオグリセロールと韓国公開特許公報第10-2009-0086565号に記載の安定化剤1種とを混合して添加した経皮吸収製剤である比較例68(モノチオグリセロール/エチレンジアミン四酢酸)、比較例70(モノチオグリセロール/2-メルカプトベンゾイミダゾール)、比較例72(モノチオグリセロール/ジブチルヒドロキシトルエン)、比較例74(モノチオグリセロール/ケルセチン二水和物)、比較例75(モノチオグリセロール/ヒドロキノン)、比較例78(モノチオグリセロール/亜硫酸ナトリウム)、比較例79(モノチオグリセロール/チオ硫酸ナトリウム)、比較例80(モノチオグリセロール/没食子酸プロピル)、比較例81(モノチオグリセロール/1,3-ブタンジオール)及び比較例83(モノチオグリセロール/アルファ-トコフェロールアセテート)の場合は、短期苛酷条件で米国薬局方規定の第2法の基準に適合しているのとは異なり、長期加速試験条件(40℃相対湿度75%、1ヶ月保管)の第2法の基準に適合していないが、比較例85(モノチオグリセロール/ルチン)及び比較例86(モノチオグリセロール/イソアスコルビン酸)は、長期加速試験条件(40℃相対湿度75%、1ヶ月保管)の第2法の基準に適合している。
【0167】
また、韓国特許出願第2018-0167289号に記載の安定化剤であるモノチオグリセロール及びチオシアン酸カリウムと韓国公開特許公報第10-2009-0086565号に記載の安定化剤ルチンとを混合して添加した経皮吸収製剤である比較例104の場合は、長期加速試験条件(40℃相対湿度75%、1ヶ月保管)の第2法の基準に適合している。
【0168】
これに対して、本発明による実施例1~13の場合は、長期加速試験条件(40℃相対湿度75%、1ヶ月保管)で米国薬局方規定の第2法の基準に全て適合していることが示され、優れた安定化効果を確認することができる。
【0169】
【0170】
1)RRT 0.23:デスベンジルドネペジル(Desbenzyl donepezil)、0.15%以内
【0171】
2)RRT 0.49:ドネペジルピリジンアナログ(Donepezil pyridine analog)、0.15%以内
【0172】
3)RRT 0.57:未知類縁物質、0.1%以内
【0173】
4)RRT 0.68:ドネペジル四級塩(Donepezil quaternary salt)、0.15%以内
【0174】
5)RRT 1.03:未知類縁物質、0.1%以内
【0175】
6)RRT 1.08:未知類縁物質、0.1%以内
【0176】
7)RRT 1.7:ドネペジルインデンアナログ(Donepezil indene analog)、0.15%以内
【0177】
8)RRT 2.1:デオキシドネペジル(Deoxydonepezil)、0.15%以内
*赤色:不適合
【0178】
<実験例4>長期加速条件(40℃相対湿度75%、3ヶ月保管)での類縁物質の評価
【0179】
ドネペジル経皮吸収製剤に対して長期保管による安定性を確認するために、前記実験例3で長期加速試験条件(40℃相対湿度75%、1ヶ月保管)における類縁物質の生成が米国薬局方規定の第1法及び第2法の基準に適合していると評価された実施例1~13、及び比較例4、85、86及び104を対象として40℃相対湿度75%の長期加速試験条件で3ヶ月間保管した後、前記実験例1の第1法及び第2法と同様の方法で類縁物質を評価した。その結果を表12及び表13に示す。
【0180】
1.第1法の分析による類縁物質の評価
【0181】
下記表12より、安定化剤を含んでいない経皮吸収製剤(比較例1)は長期加速試験条件(40℃相対湿度75%、3ヶ月保管)の第1法の実験結果でドネペジルが分解されて相対保持時間0.53(未知類縁物質)、1.2(ドネペジルN-オキシド)及び総類縁物質における基準以上の類縁物質が生成されるので、安定化剤が必要な製剤であることが分かる。
【0182】
韓国特許出願第2018-0167289号に記載の安定化剤であるチオシアン酸カリウムとモノチオグリセロールの両方を含む経皮吸収製剤(比較例4)は、長期加速試験条件(40℃相対湿度75%、3ヶ月保管)で米国薬局方規定の第1法の基準に適合していない。
【0183】
韓国特許出願第2018-0167289号に記載の安定化剤であるモノチオグリセロールと韓国公開特許公報第10-2009-0086565号に記載の安定化剤1種とを混合して添加した経皮吸収製剤のうち、比較例86(モノチオグリセロール/イソアスコルビン酸)は長期加速試験条件(40℃相対湿度75%、3ヶ月保管)で米国薬局方規定の第1法の基準に適合しており、比較例85(モノチオグリセロール/ルチン)は適合していない。
【0184】
また、韓国特許出願第2018-0167289号に記載の安定化剤であるモノチオグリセロール及びチオシアン酸カリウムと韓国公開特許公報第10-2009-0086565号に記載の安定化剤ルチンとを混合して添加した経皮吸収製剤である比較例104の場合にも、長期加速試験条件(40℃相対湿度75%、3ヶ月保管)で米国薬局方規定の第1法の基準に適合していない。
【0185】
これに対して、本発明による実施例1~13の場合、長期加速試験条件(40℃相対湿度75%、3ヶ月保管)で米国薬局方規定の第1法の基準に全て適合していることが示され、優れた安定化効果を確認することができる。
【0186】
【0187】
1)RRT 0.33:デスベンジルドネペジル(Desbenzyl donepezil)、0.5%以内
【0188】
2)RRT 0.48:未知類縁物質、0.2%以内
【0189】
3)RRT 0.53:未知類縁物質、0.2%以内
【0190】
4)RRT 0.7:ドネペジルオープンリング(Donepezil open ring)、0.5%以内
【0191】
5)RRT 1.2:ドネペジルN-オキシド(Donepezil N-oxide)、0.5%以内
*赤色:不適合
【0192】
2.第2法の分析による類縁物質の評価
【0193】
下記表13より、安定化剤を含んでいない経皮吸収製剤(比較例1)は長期加速試験条件(40℃相対湿度75%、3ヶ月保管)で米国薬局方規定の第2法の実験結果でドネペジルが分解されて相対保持時間0.49(ドネペジルピリジンアナログ(Donepezil pyridine analog))、0.57(未知類縁物質)及び総類縁物質における基準以上の類縁物質が生成されるので、安定化剤が必要な製剤であることが分かる。
【0194】
韓国特許出願第2018-0167289号に記載のチオシアン酸カリウムとモノチオグリセロールの2種の安定化剤を含む経皮吸収製剤(比較例4)は40℃相対湿度75%、3ヶ月保管の条件で類縁物質が基準以上に生成されて米国薬局方規定の第2法の基準に適合していない。
【0195】
また、韓国特許出願第2018-0167289号に記載の安定化剤であるモノチオグリセロール及びチオシアン酸カリウムと韓国公開特許公報第10-2009-0086565号に記載の安定化剤ルチンとを混合して添加した経皮吸収製剤である比較例104の場合、長期加速試験条件(40℃相対湿度75%、3ヶ月保管)で米国薬局方規定の第2法の基準に適合していない。
【0196】
これに対して、本発明による実施例1~13の場合は、長期加速試験条件(40℃相対湿度75%、3ヶ月保管)で米国薬局方規定の第2法の基準に全て適合していることが示され、優れた安定化効果を確認することができる。
【0197】
【0198】
1)RRT 0.23:デスベンジルドネペジル(Desbenzyl donepezil)、0.15%以内
【0199】
2)RRT 0.49:ドネペジルピリジンアナログ(Donepezil pyridine analog)、0.15%以内
【0200】
3)RRT 0.57:未知類縁物質、0.1%以内
【0201】
4)RRT 0.68:ドネペジル四級塩(Donepezil quaternary salt)、0.15%以内
【0202】
5)RRT 1.03:未知類縁物質、0.1%以内
【0203】
6)RRT 1.08:未知類縁物質、0.1%以内
【0204】
7)RRT 1.7:ドネペジルインデンアナログ(Donepezil indene analog)、0.15%以内
【0205】
8)RRT 2.1:デオキシドネペジル(Deoxydonepezil)、0.15%以内
*赤色:不適合
【0206】
前記実験結果から、ドネペジル類縁物質分析法のうち、第1法と第2法のいずれか一方のみではドネペジルの保管安定性を確認することができないことが分かる。
【0207】
ドネペジルは、段階的に薬物を増量して長期間服用する認知症治療剤であって、類縁物質が含有された製剤を持続的に投与すると、未知類縁物質の毒性による潜在的な危険が発生する可能性があるので、ドネペジル経皮吸収製剤は、薬物の長期保管安定性のために、類縁物質を製剤内の許容基準値を設定して管理しなければならない。
【0208】
米国薬局方に規定されているドネペジル類縁物質は、第1法によって総3種の類縁物質、第2法によって総5種の類縁物質を確認することができ、第1法と第2法によって確認される類縁物質は、デスベンジルドネペジル(Desbenzyl Donepezil)を除いてはすべて異なる種類の類縁物質である。これらの類縁物質は、毒性を考慮して、製剤内の許容基準値を設定して管理している。
【0209】
本発明は、韓国特許出願第2018-0167289号に開示されている安定化剤であるチオシアン酸カリウム、モノチオグリセロールを含む安定化剤を用いて短期苛酷試験(70℃48時間保管)、長期加速試験1(40℃相対湿度75%、1ヶ月保管)及び長期加速試験2(40℃相対湿度75%、3ヶ月保管)で類縁物質の経時変化を確認し、米国薬局方規定の第1法及び第2法の基準に適合したドネペジル含有経皮吸収製剤を提供する。
【0210】
70℃、48時間の短期苛酷条件で米国薬局方規定の類縁物質分析法の第1法及び第2法の基準に全て適合しているものは、本発明の実施例、比較例2~4(チオシアン酸カリウム及び/又はモノチオグリセロール)、比較例67(チオシアン酸カリウム/ルチン)、比較例104(モノチオグリセロール/チオシアン酸カリウム/ルチン)である。
【0211】
ただし、韓国公開特許公報第10-2009-0086565号の実施例に開示されている安定化剤1、2種はいずれも、70℃、48時間の短期苛酷条件で米国薬局方規定の類縁物質分析法の第1法及び/又は第2法の基準に適合していないが、モノチオグリセロールと同じ化合物である3-メルカプト-1,2-プロパンジオールと任意に組み合わせた2種の安定化剤を含む経皮吸収製剤のうち、比較例68(モノチオグリセロール/エチレンジアミン四酢酸)、比較例70(モノチオグリセロール/2-メルカプトベンゾイミダゾール)、比較例72(モノチオグリセロール/ジブチルヒドロキシトルエン)、比較例74(モノチオグリセロール/ケルセチン二水和物)、比較例75(モノチオグリセロール/ヒドロキノン)、比較例78(モノチオグリセロール/亜硫酸ナトリウム)、比較例79(モノチオグリセロール/チオ硫酸ナトリウム)、比較例80(モノチオグリセロール/没食子酸プロピル)、比較例81(モノチオグリセロール/1,3-ブタンジオール)、比較例83(モノチオグリセロール/アルファ-トコフェロールアセテート)、比較例85(モノチオグリセロール)/ルチン)、比較例86(モノチオグリセロール/イソアスコルビン酸)で製造された経皮吸収製剤は、70℃、48時間の短期苛酷条件で米国薬局方規定の類縁物質分析法の第1法及び第2法の基準にすべて適合している。
【0212】
本発明に記載されている実験例3は、ドネペジル経皮吸収製剤に対して長期保管による安定性を確認するために、前記実験例1及び2の短期苛酷条件で類縁物質の生成が米国薬局方規定の第1法及び第2法の基準に適合していると評価された本発明の実施例及び比較例2、3、4、67、68、70、72、74、75、78、79、80、81、83、85、86及び104を対象として40℃相対湿度75%長期加速試験条件で1ヶ月間保管した後、類縁物質を評価したのである。
【0213】
本発明の実験例3において、韓国特許出願第2018-0167289号に記載の安定化剤であるチオシアン酸カリウムとモノチオグリセロールの両方を含む経皮吸収製剤(比較例4)のみが米国薬局方規定の基準に適合しているだけであり、比較例2(チオシアン酸カリウム)、比較例3(モノチオグリセロール)は、40℃相対湿度75%加速試験1ヶ月保管条件の長期加速試験で適合していない。また、韓国特許出願第2018-0167289号に記載の安定化剤であるモノチオグリセロール及びチオシアン酸カリウムと韓国公開特許公報第10-2009-0086565号に記載の安定化剤ルチンとを混合して添加した経皮吸収製剤である比較例104の場合にも、長期加速試験条件(40℃相対湿度75%、1ヶ月保管)で米国薬局方規定の類縁物質の第1法及び第2法の基準に適合している。
【0214】
ところが、韓国特許出願第2018-0167289号に記載の安定化剤であるモノチオグリセロール(韓国公開特許公報第10-2009-0086565号に記載の3-メルカプト-1,2-プロパンジオール)と韓国公開特許公報第10-2009-0086565号に記載の安定化剤1種とを任意に混合して添加した経皮吸収製剤のうち、比較例85(モノチオグリセロール/ルチン)及び比較例86(モノチオグリセロール/イソアスコルビン酸)の場合は、長期加速試験条件(40℃相対湿度75%、1ヶ月保管)で米国薬局方規定の類縁物質の第1法及び第2法の基準に適合しているだけであり、比較例68、70、72、74、75、78、79、80、81及び83の場合は、長期加速試験条件(40℃相対湿度75%、1ヶ月保管)で米国薬局方規定の類縁物質の第1法及び第2法の基準に適合していない。
【0215】
本発明に記載されている実験例4は、40℃相対湿度75%加速試験1ヶ月長期加速条件で類縁物質の生成が米国薬局方規定の基準に適合していると評価された本発明の実施例及び比較例4、85、86及び104に対して類縁物質を40℃相対湿度75%加速試験条件で3ヶ月保管した後、米国薬局方規定の類縁物質を評価して、類縁物質の経時変化を確認したのである。
【0216】
本発明の実験例4において、韓国特許出願第2018-0167289号に記載の安定化剤であるチオシアン酸カリウムとモノチオグリセロールの両方を含む経皮吸収製剤である比較例4(チオシアン酸カリウム/モノチオグリセロール)、韓国特許出願第2018-0167289号に記載の安定化剤であるモノチオグリセロール及びチオシアン酸カリウムと韓国公開特許公報第10-2009-0086565号に記載の安定化剤ルチンとを混合して添加した経皮吸収製剤である比較例104(チオシアン酸カリウム/モノチオグリセロール/ルチン)は、40℃相対湿度75%、1ヶ月以後、類縁物質の生成が増加して、3ヶ月保管時の米国薬局方規定の第1法及び第2法の基準に適合していない。
【0217】
ところが、韓国特許出願第2018-0167289号に記載の安定化剤であるモノチオグリセロール(韓国公開特許公報第10-2009-0086565号に記載の3-メルカプト-1,2-プロパンジオール)と韓国公開特許公報第10-2009-0086565号に記載の安定化剤1種とを任意に混合して添加した経皮吸収製剤のうち、比較例85(モノチオグリセロール/ルチン)は、米国薬局方規定の類縁物質の第1法及び第2法の基準に適合しておらず、比較例86(モノチオグリセロール/イソアスコルビン酸)は、米国薬局方規定の類縁物質の第1法の基準に適合しているが、米国薬局方規定の類縁物質の第2法の基準には適合していない。
【0218】
したがって、本発明は、短期苛酷試験(70℃48時間保管)、長期加速試験1(40℃相対湿度75%、1ヶ月保管)及び長期加速試験2(40℃相対湿度75%、3ヶ月保管)で米国薬局方規定の第1法及び第2法の基準に適合しているドネペジル含有経皮吸収製剤を提供し、本発明によるドネペジル含有経皮吸収製剤は、ドネペジルの分解を抑制することにより類縁物質の生成を減少させて長期保存安定性が向上したドネフェジル含有経皮吸収製剤を製造することができる。