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特許7419566スペクトル・フィルタリングのためのシステム、機器、及び方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】スペクトル・フィルタリングのためのシステム、機器、及び方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/67 20060101AFI20240115BHJP
   H01L 21/66 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
G01N21/67 C
H01L21/66 P
【請求項の数】 23
(21)【出願番号】P 2022569492
(86)(22)【出願日】2022-04-13
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-05-30
(86)【国際出願番号】 US2022024679
(87)【国際公開番号】W WO2022221446
(87)【国際公開日】2022-10-20
【審査請求日】2022-11-15
(31)【優先権主張番号】63/174,126
(32)【優先日】2021-04-13
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】505350178
【氏名又は名称】ヴェリティー インストルメンツ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】110000855
【氏名又は名称】弁理士法人浅村特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】パイラント、クリス ディー.
(72)【発明者】
【氏名】マイケルズ、ティモシー シー.
(72)【発明者】
【氏名】コーレス、ジョン ディー.
【審査官】横尾 雅一
(56)【参考文献】
【文献】特表2020-513647(JP,A)
【文献】特開2003-287499(JP,A)
【文献】特開2004-253813(JP,A)
【文献】国際公開第2010/106712(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2004/0045934(US,A1)
【文献】特開2001-284322(JP,A)
【文献】米国特許第6564114(US,B1)
【文献】中国特許出願公開第101355012(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00 - G01N 21/74
H01L 21/64 - H01L 21/66
G01J 3/00 - G01J 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
スペクトル・データを処理する方法であって、
時間的に分離したスペクトル・データ・サンプルを受信するステップと、
前記時間的に分離したスペクトル・データ・サンプルのうちの中間の1つにおける1つ又は複数の異常信号を、前記スペクトル・データ・サンプルのうちの少なくとも1つの先行するものと少なくとも1つの後続するものとに基づいて識別するステップと
を含み、
前記識別するステップが、前記時間的に分離したスペクトル・データ・サンプルの要素におけるスペクトル・データの幅カウントを、カウント数に対応する幅カウント限界と比較するステップ、及び前記時間的に分離したスペクトル・データ・サンプルのうちの前記中間の1つの要素と、前記スペクトル・データ・サンプルのうちの前記少なくとも1つの先行するもの及び前記少なくとも1つの後続するものの対応する要素の平均との間にある差を、強度しきい値と比較するステップを含む、方法。
【請求項2】
時間的に分離した3つのスペクトル・データ・サンプルがあり、前記中間の1つは前記3つのうちの中央のものである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記スペクトル・データ・サンプルのうちの前記少なくとも1つの先行するものと前記少なくとも1つの後続するものとは、前記中間の1つにおける前記1つ又は複数の異常信号をブラケティングする、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記強度しきい値が予め決定される、請求項に記載の方法。
【請求項5】
前記強度しきい値が動的に設定される、請求項に記載の方法。
【請求項6】
前記差が前記強度しきい値より大きい場合に、前記幅カウントをインクリメントするステップをさらに含む、請求項に記載の方法。
【請求項7】
前記1つ又は複数の識別された異常信号を処理するステップをさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記処理するステップが、異常信号を含むと識別された前記時間的に分離したスペクトル・データ・サンプルの要素の前記1つ又は複数のカウント値のうちの少なくとも1つを修正するステップを含む、請求項に記載の方法。
【請求項9】
前記処理するステップが、前記異常信号を含むと識別された前記時間的に分離したスペクトル・データ・サンプルの要素に近接する追加の要素の少なくとも1つ又は複数のカウント値を修正するステップを含む、請求項に記載の方法。
【請求項10】
前記処理するステップが、異常信号を含むと識別された前記時間的に分離したスペクトル・データ・サンプルの要素の前記1つ又は複数のカウント値のうちの少なくとも1つを修正しないステップを含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記修正するステップが、前記時間的に分離したスペクトル・データ・サンプルのうちの前記中間の1つの要素と、前記スペクトル・データ・サンプルの前記少なくとも1つの先行するもの及び少なくとも1つの後続するものの対応する要素の平均との間にある差を、強度しきい値と比較するステップに基づいて実行される、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記方法のための少なくとも一部の論理が、組み込みプロセッサ、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)、又は両方の組み合わせにコードとして記憶される、請求項1に記載の方法。
【請求項13】
スペクトル・データを処理するための機器であって、
1つ又は複数の異常信号を識別するためのアルゴリズムに対応する動作命令を有するメモリと、
前記動作命令に従って1つ又は複数の動作を実行するように構成された1つ又は複数のプロセッサと
を備え、前記動作が、
時間的に分離したスペクトル・データ・サンプルを受信するステップと、
前記時間的に分離したスペクトル・データ・サンプルのうちの中間の1つにおける前記1つ又は複数の異常信号を、前記スペクトル・データ・サンプルのうちの少なくとも1つの先行するものと少なくとも1つの後続するものとに基づいて識別するステップと
を含み、
前記識別するステップが、前記時間的に分離したスペクトル・データ・サンプルのうちの前記中間の1つの要素と、前記スペクトル・データ・サンプルのうちの前記少なくとも1つの先行するもの及び少なくとも1つの後続のものの対応する要素の平均との間にある差を、カウント数に対応する強度しきい値と比較するステップを含む、機器。
【請求項14】
前記機器が分光器である、請求項1に記載の機器。
【請求項15】
前記識別するステップが、前記差が前記強度しきい値より大きい場合に、前記時間的に分離したスペクトル・データ・サンプルの要素におけるスペクトル・データの幅カウントをインクリメントするステップをさらに含む、請求項1に記載の機器。
【請求項16】
前記識別するステップが、前記幅カウントをカウント数に対応する幅カウント限界と比較するステップをさらに含む、請求項1に記載の機器。
【請求項17】
前記動作が、前記1つ又は複数の識別された異常信号を処理するステップをさらに含む、請求項1に記載の機器。
【請求項18】
前記処理するステップが、異常信号を含むと識別された前記時間的に分離したスペクトル・データ・サンプルの要素の前記1つ又は複数のカウント値のうちの少なくとも1つを修正するステップを含む、請求項17に記載の機器。
【請求項19】
前記処理するステップが、前記異常信号を含むと識別された前記時間的に分離したスペクトル・データ・サンプルの要素に近接する追加の要素の少なくとも1つ又は複数のカウント値を修正するステップをさらに含む、請求項18に記載の機器。
【請求項20】
前記修正するステップが、前記差に基づいて実行される、請求項18に記載の機器。
【請求項21】
前記1つ又は複数のプロセッサのうちの少なくとも1つが、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)を備える、請求項1に記載の機器。
【請求項22】
異常信号を識別するためのシステムであって、
処理ツールと、
前記処理ツール内で実行される半導体プロセスから光学データを受信し、前記光学データをスペクトル・データに変換する機器と
を備え、前記機器は、
1つ又は複数の異常信号を識別するためのアルゴリズムに対応する動作命令を有するメモリと、
前記動作命令に従って1つ又は複数の動作を実行するように構成された1つ又は複数のプロセッサと
を備え、前記動作は、
時間的に分離したスペクトル・データ・サンプルを受信するステップと、
前記時間的に分離したスペクトル・データ・サンプルのうちの中間の1つにおける前記1つ又は複数の異常信号を、前記スペクトル・データ・サンプルのうちの少なくとも1つの先行するものと少なくとも1つの後続するものとに基づいて識別するステップと
を含み、
前記識別するステップが、前記時間的に分離したスペクトル・データ・サンプルのうちの前記中間の1つの要素と、前記スペクトル・データ・サンプルのうちの前記少なくとも1つの先行するもの及び少なくとも1つの後続のものの対応する要素の平均との間にある差を、カウント数に対応する強度しきい値と比較するステップを含む、システム。
【請求項23】
非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶されたコンピュータ・プログラム製品であって、前記非一時的なコンピュータ可読媒体が、1つ又は複数のプロセッサに、それによって開始された場合に、
時間的に分離したスペクトル・データ・サンプルを受信するステップと、
前記時間的に分離したスペクトル・データ・サンプルのうちの中間の1つにおける1つ又は複数の異常信号を、前記スペクトル・データ・サンプルのうちの少なくとも1つの先行するものと少なくとも1つの後続するものとに基づいて識別するステップと
を含む動作を実行することによって、スペクトル・データを処理するように指示する一連の動作命令を含み、
前記識別するステップが、前記時間的に分離したスペクトル・データ・サンプルのうちの前記中間の1つの要素と、前記スペクトル・データ・サンプルのうちの前記少なくとも1つの先行するもの及び少なくとも1つの後続のものの対応する要素の平均との間にある差を、カウント数に対応する強度しきい値と比較するステップを含む、コンピュータ・プログラム製品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、本出願と共通して譲渡され、その全体が参照により本書に組み込まれる、Chris D. Pylantらによって2021年4月13日に出願された「SYSTEM, APPARATUS, AND METHOD FOR SPECTRAL FILTERING」と題する米国仮特許出願第63/174,126号の利益を主張するものである。
【0002】
本開示は、一般的に、光学分光システム及び使用方法に関し、より詳細には、半導体プロセス中に使用されるマルチチャンネル画像分光器から記録されるデータの改善されたスペクトル・フィルタリングに関する。
【背景技術】
【0003】
半導体プロセスの光学モニタリングは、エッチング、堆積、化学機械研磨、注入などのプロセスを制御するためのよく確立された方法である。発光分析(OES:Optical Emission Spectroscopy)及び光干渉による終点検知(IEP:Interferometric Endpoint)が、データ収集の2種類の基本的な動作モードである。OESの適用例では、モニターされているプロセスの状態や進行を示す原子種や分子種の変化を識別し、追跡するために、プロセスから、典型的にはプラズマから発せられた光が収集され、分析される。IEPの適用例では、典型的にはフラッシュランプなどの外部光源から光が供給され、被加工物の上に誘導される。被加工物からの反射によって、供給された光が被加工物の反射率という形で被加工物の状態を示す情報を伝える。被加工物の反射率を抽出し、モデル化することによって、特性の中でもとりわけ膜厚や加工寸法(feature size)/深さ/幅を把握することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】米国特許第7,049,156号明細書
【発明の概要】
【0005】
ここで、本開示の原理による実例を示す添付の図面と併せてなされる以下の説明を参照する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】半導体プロセス・ツール内のプラズマ又は非プラズマ・プロセスの状態をモニター及び/又は制御するためにOES及び/又はIEPを採用するためのシステムのブロック図である。
図2A】典型的な面状CCD(Charge-Coupled Device)センサの機能要素を一般的に示す概略図である。
図2B】CCDピクセル・アレイの感知部分に重ねられた一対の異常信号イベントと、CCDのシフト・レジスタ部分に重ねられた単一の異常信号イベントとを示す、図2Aの面状CCDセンサの概略図である。
図3A】本開示の一実施例による、典型的なOES光信号(スペクトル)のプロットである。
図3B】本開示の一実施例による、異常信号イベントの発生に起因する信号を含む、図3Aのプロットの波長領域の拡大部分である。
図3C】本開示の一実施例による、異常信号イベントが発生していないスペクトルを示す、図3Aのプロットの波長領域の拡大部分である。
図4】本開示の一実施例による、CCDデバイスからのスペクトル・データの一連の時系列収集を一般的に示す概略図である。
図5】本開示の一実施例による、分光器及び特定の関連システムのブロック図である。
図6】本開示の一実施例による、CCDデバイスからスペクトル・データを読み取り、スペクトル・データを処理して異常信号イベントの発生に起因する信号を修正する方法のフローチャートである。
図7】本開示の一実施例による、図6の方法の様々なステップを詳述するフローチャートである。
図8】本開示の一実施例による、図6の方法の様々なステップを詳述する第2のフローチャートである。
図9】本開示の一実施例による、スペクトル・データを処理して異常信号イベントの発生に起因する信号を修正した実例である。
図10】本開示の一実施例による、スペクトル・データを処理して異常信号イベントの発生に起因する信号を修正した実例である。
図11】本開示の一実施例による、スペクトル・データを処理して異常信号イベントの発生に起因する信号を修正した実例である。
図12】本開示の一実施例による、スペクトル・データを処理して異常信号イベントの発生に起因する信号を修正した実例である。
図13】本開示の一実施例による、スペクトル・データを処理して異常信号イベントの発生に起因する信号を修正した実例である。
図14】本開示の原理に従ってスペクトル・データ中の異常信号を識別し、処理するように構成されたコンピューティング・デバイスの一実例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下の説明において、本明細書の一部を構成する添付図面を参照し、本発明が実施され得る特定の実施例を例示的に示す。これらの実施例は、当業者が本発明を実施することが可能となるように十分に詳細に説明されており、他の実施例が利用され得ることは理解されるべきである。本発明の思想及び範囲から逸脱することなく、構造的、手順的及びシステム的な変更が行われ得ることも理解されるべきである。したがって、以下の説明は、限定的な意味で解釈されるべきではない。説明を明快にするために、添付の図面に示す同様の特徴は、同様の参照数字で示し、図面における代替的実施例に示すような同様の特徴は、同様の参照数字で示す。本発明の他の特徴は、添付の図面及び以下の詳細な説明から明らかになるであろう。図解の明快のために図面の特定の要素は縮尺通りに描かれていないことがあることに留意されたい。
【0008】
プロセス時間の短縮、加工寸法の微細化、及び構造の複雑化のための半導体プロセスの弛まぬ進歩は、プロセス・モニタリング技術に多大な要求を課している。例えば、FINFET(FIN Field-Effect Transistor)や3D NAND構造など、オングストローム単位の変動(数原子層)が決定的に重大である非常に薄い層に対する非常に高速なエッチング速度を正確にモニターするためには、より高速なデータ・レートが必要である。OESとIEPの両方の方法で、反射率と発光のいずれか又は両方のわずかな変化を検出することを助けるためには、より広い光の帯域幅とより大きな信号対雑音が必要とされる場合が多い。プロセス機器自体がより複雑で高額なものになるにつれ、コストやパッケージ・サイズも一定の圧力下にある。これらの要件は全て、半導体プロセスの光学モニタリングの性能を向上させることを求めている。OESの方法かIEPの方法かにかかわらず、多くの光学モニタリング・システムの重要な構成要素は、分光器及びそれらの半導体プロセスの制御やモニタリングのために受信した光学データを正確に電気データに変換する能力である。
【0009】
したがって、本明細書に開示されるのは、光学データを表す電気データにおける異常信号を識別することによって光学データの改善された処理を提供するプロセス、システム、及び機器である。改善された処理はまた、光学データのより真実に近い表現を提供するために、アナログ信号領域又はデジタル信号領域のいずれかで異常信号、又は異常信号に関連するデータを修正することを含むことができる。この改善された処理は、半導体プロセスをより正確にモニターするために使用することができる。
【0010】
プロセス・ツール内の半導体プロセスの状態をモニター及び評価することに具体的に関連して、図1は、半導体プロセス・ツール110内のプラズマ又は非プラズマ・プロセスの状態をモニター及び/又は制御するためにOES及び/又はIEPを利用するプロセスシステム100のブロック図を示す。半導体プロセス・ツール110、又は単にプロセス・ツール110は、様々なプロセス・ガスを含み得るチャンバー135の、典型的には部分的に排気された容積内に、通常、ウェハー120と、場合によってはプロセス・プラズマ130とを封入する。プロセス・ツール110は、様々な箇所及び方向でチャンバー135内部の観察を可能にするための1つ又は複数の光学インターフェース、又は単にインターフェース、140、141及び142を含み得る。インターフェース140、141、及び142は、光学フィルター、レンズ、窓、開口部、ファイバー光学系など、これらに限定されない複数の種類の光学要素を含み得る。
【0011】
IEPの適用例では、光源150は、インターフェース140と直接又は光ファイバー・ケーブル・アセンブリ153を介して接続され得る。この構成に示されるように、インターフェース140は、ウェハー120の表面に対して垂直に向けられ、多くの場合、同ウェハー120について中心に置かれる。光源150からの光は、平行ビーム155の形態でチャンバー135の内部容積に入り得る。ビーム155はウェハー120から反射すると、再びインターフェース140によって受信され得る。一般的な適用例では、インターフェース140は、光コリメータであり得る。インターフェース140による受信後、光は、検出及びデジタル信号への変換のために、光ファイバー・ケーブル・アセンブリ157を介して分光器160に転送され得る。光は、照射光と検出光を含み得、例えば、深紫外(DUV:Deep UltraViolet)から近赤外(NIR:Near-InfraRed)までの波長域を含み得る。対象の波長は、波長域の任意のサブレンジから選択され得る。より大きな基板や、ウェハーの不均一性を理解することが関心事である場合には、ウェハー120に垂直に向けられた追加の光学インターフェース(図1に図示せず)が使用され得る。プロセス・ツール110は、他のモニタリング・オプションのために、異なる箇所に配置された追加の光学インターフェースを含むこともできる。
【0012】
OESの適用例では、インターフェース142は、プラズマ130からの発光を収集する方向に向けられ得る。インターフェース142は単にビューポートであり得るが、レンズ、ミラー、光学波長フィルターなどの他の光学系も追加で含み得る。光ファイバー・ケーブル・アセンブリ159は、検出及びデジタル信号への変換のために、収集された光を分光器160に誘導し得る。分光器160は、検出及び変換のために、図2A及び図2BのCCDセンサ200及びコンバータ250のようなCCDセンサとコンバータとを含むことができる。複数のインターフェースが、OES関連の光信号を収集するために個別に又は並行して使用され得る。例えば、図1に示すように、インターフェース141はウェハー120の表面付近からの発光を収集するように配置され得るが、インターフェース142はプラズマ130の大部分を観察するように配置され得る。
【0013】
多くの半導体プロセス適用例では、OESとIEPの両方の光信号を収集することが一般的であり、この収集は、分光器160の使用に関して複数の問題を生じる。OES信号は典型的には時間について連続であるのに対し、IEP信号は時間について連続か不連続のいずれか又は両方であり得る。プロセス制御では、多くの場合、OESもIEPも信号のわずかな変化を検出する必要があり、どちらかの信号に固有の変動があると、もう一方の信号の変化の観測を隠すことがあるので、これらの信号を混在させると多くの困難が生じる。信号種ごとに複数の分光器をサポートすることは、例えば、コスト、複雑さ、信号タイミングの同期、較正、及びパッケージングの不便により得策でない。
【0014】
分光器160による受信した光信号の検出及びアナログ電気信号への変換の後、そのアナログ電気信号は、典型的には、分光器160のサブシステム内で増幅及びデジタル化され、シグナル・プロセッサ170に送られる。シグナル・プロセッサ170は、例えば、産業用PC(Personal Computer)、PLC(Programmable Logic Controller)又は他のシステムであり得、1つ又は複数のアルゴリズムを採用して、例えば、特定の波長の強度又は2つの波長帯の比を表すアナログ又はデジタルの制御値などの出力180を生成する。別個のデバイスではなく、代わりにシグナル・プロセッサ170が分光器160に統合され得る。シグナル・プロセッサ170は、予め決定される波長での発光強度信号を分析し、プロセスの状態に関連するトレンド・パラメータを決定し、そしてその状態、例えば終点検出、エッチング深さ等にアクセスするために使用され得るOESアルゴリズムを採用し得る。IEPの適用例については、シグナル・プロセッサ170は、膜厚を決定するためのスペクトルの広帯域部分を分析するアルゴリズムを採用し得る。例えば、参照により本明細書に組み込まれる特許文献1を参照されたい。出力180は、プロセス・ツール110のチャンバー135内で起きている製造プロセスをモニター及び/又は修正するために、通信リンク185を介してプロセス・ツール110に転送され得る。
【0015】
示し、説明した図1の構成要素は、便宜上簡略化されており、一般的に知られている。共通の機能に加えて、分光器160又はシグナル・プロセッサ170はまた、スペクトル的異常信号を識別し、本明細書に開示される方法及び/又は機能に従ってこれらの信号を処理するように構成することができる。このように、分光器160又はシグナル・プロセッサ170は、スペクトル的異常信号を識別し、処理するためのアルゴリズム、処理能力、及び/又は論理を含むことができる。アルゴリズム、処理能力、及び/又は論理は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、又はそれらの任意の組み合わせの形態であり得る。アルゴリズム、処理能力、及び/又は論理は、1つのコンピューティング・デバイス内にあってもよいし、分光器160やシグナル・プロセッサ170などの複数のデバイス全体にわたって分散させることもできる。
【0016】
図2Aは、従来の面状CCDセンサ200の機能要素を一般的に示す概略図である。センサ200は、一般的に、日本の浜松からのCCDセンサS7031のように、1024(H)×122(V)などの個々のピクセルのアレイに分割され得るアクティブ・ピクセル領域210を含む。定義と明快性の問題として、本明細書で光センサを扱う際に「水平」と「垂直」を使用するときは、議論下の光センサの長軸と短軸をそれぞれ指していることに留意されたい。分光の適用例では、光センサの長軸/水平軸を波長分散の方向と一致させ、短軸/垂直軸をファイバーや光スリットなど、画定された光源又は照明開口の結像と関連付けることが一般的である。
【0017】
センサ200は、ピクセル領域210に隣接する水平シフト・レジスタ220も含む。光ファイバー・ケーブル・アセンブリ157や159からなどセンサ200に集積された光信号は、典型的には、ピクセル領域210の各ピクセル内の蓄積電荷を水平シフト・レジスタ220中に、矢印230で示すように垂直にシフトさせることによって読み取られる。アクティブ・ピクセル領域210の全て又は一部は、行単位でそのようにシフトさせられ得る。垂直シフトに続いて、矢印240で示すように水平シフトが実行され得る。水平シフト・レジスタ220の各ピクセルがシフトさせられる(図2Aにおいて右に)と、その信号内容は、コンバータ250によってアナログ信号ベースからデジタル信号ベースに、例えば、アナログ電気信号からデジタル電気信号に変換され得る。得られたデジタル・データの後続する対処及び処理は、分光器の内部でも外部でも行うことができ、平均化、カーブ・フィッティング、しきい値検出、フィルタリング、その他の数学的操作を含めることができる。
【0018】
図2Bには、図2Aの面状CCDセンサ200が、CCDピクセル・アレイの感知部分に重ねられた一対の異常信号イベント260及び262と、CCDのシフト・レジスタ部分に重ねられた単一の異常信号イベント264と示されている。異常信号イベントとは、異常信号と呼ばれる、所望のデータ間隔数よりも短い継続時間を有する電気信号が発生する、異常で予期せぬイベントのことである。例えば、サンプリング・レート又は収集レートが1000Hzの場合、異常信号の継続時間は約1ms未満となり得る。したがって、異常信号の継続時間は適用例によって異なり得る。さらに、異常信号の物理的又は波長的な「幅」は、光センサ上の物理的な位置に対応するピクセル空間内の、又は補間された信号に関連付けられた波長空間内の、連続した要素などの要素数に対応し得る。例えば、異常信号イベント260及び262は、隣接する行及び列の複数の連続するピクセルまで広がることがあり、異常信号イベント264は、同じ行の複数のピクセルまで広がることがある。
【0019】
異常信号イベント260、262、及び264は、図3Bに関連して以下に説明するような異常信号を生成する。異常信号イベントは、宇宙線、放射性崩壊、光学的不安定性/外乱、及び/又は電気的不安定性など様々な原因に関連し得る。
【0020】
図3A、3B、及び3Cは、異常信号のイベント及び異常信号の処理のための本明細書に記載する方法のコンテキストを提供する。図3A図3B、及び図3Cの各々は、波長をX軸、信号カウントをY軸とするOES信号のプロットを示す。図3Aは、典型的なOES光信号(スペクトル)320のプロット300を示す。スペクトル320は、分子発光(400nm付近の広帯域構造)と原子発光(全体にわたって存在する狭いピーク)の両方に典型的な特徴を示している。図3Cは、270nmの波長付近の異常信号330を含む例示的なスペクトルのプロット310である図3Bのスペクトルとの比較を容易にするために、図3Aのスペクトル320の拡大部分(図3Aの破線楕円に対応)のプロット340を示す。異常信号330は、容易に原子輝線と誤認され、OES光信号データの誤った処理や分析につながり得る。異常信号330の特定の特性は、異常信号330の発生を識別し、特性解析し、補正するために使用され得る。異常信号の有用な特性は、時間的及び/又は空間的(波長)な発生頻度、大きさ、スペクトル幅、信号対雑音比、信号のアスペクト比、及び継続時間を含むが、これらに限定されない。異常信号は、典型的に、継続時間が短く、幅、すなわちピクセル空間(波長空間)での幅が狭く、大きさがスペクトルのノイズ・レベルより大きく、複数のサンプルにわたって発生する回数が限定的である。ノイズとは異なる異常信号は、これらのパラメータに従って、識別され、除去され、及び/又は軽減され得る。例えば、典型的なノイズよりも大きい大きさを有する異常信号を識別するためには、しきい値が使用され得、異常でない信号の特徴と比較して典型的に短い継続時間と一貫性のない発生頻度とに基づく時間ブラケティングも異常信号を識別するために使用され得る。
【0021】
本明細書で論じる実例では、異常信号イベントの継続時間は、図2A及び図2BのCCD200などの光学センサからの後続するスペクトル・データの取得の時間より短いと考えられる。スペクトル・データ取得レートが約1~1000Hzの場合、異常信号イベントは約1000~1msの継続時間を有すると考えられ得る。異常信号は、一信号収集のどの一部分でも発生し得るし、複数の信号データ収集にわたって続くこともできる。例えば、図4は、単一の信号収集460内で発生する異常信号465を示しているが、異常信号は、460と480、460と440、又は440と460と480のような連続する複数の信号収集にわたって続く可能性がある。スペクトル・データの収集を異常信号イベントの継続時間と調整することで、異常信号の処理及び補正のために、本明細書で説明する時間ブラケティング方法の使用をサポートする。このような知識があれば、異常信号は有利にブラケティングされ、対処され得る。
【0022】
図4は、CCDデバイス420からのスペクトル・データ440、460、及び480の一連の時系列収集を一般的に示す概略図400を示す。スペクトル・データは、スペクトル画像データ(例えば、2次元(2-d)アレイ)でもあり得るし、スペクトル・データ440、460、及び480の順序付けられた収集が要素の1つ又は複数の行を含む、ビニングされたスペクトル・データ(例えば、1次元(1-d)アレイ)でもあり得る。例えば、ビニングされたスペクトル・データは、CCDのシフト・レジスタの出力に対応することができる。CCDデバイス420は、例えば、CCD200であり得る。スペクトル・データ480は、CCDデバイス420から、最も新しい、すなわち時刻tに収集されたそのデータである。スペクトル・データ460は、CCDデバイス420から、スペクトル・データ480の時刻よりも前の時刻(1つ又は複数のデータ取得周期)すなわち時刻t-1に収集されたものである。示すように、スペクトル・データ440は、CCDデバイス420から、スペクトル・データ460の時刻よりも前(1つ又は複数のデータ取得周期)の時刻、すなわち時刻t-2に収集されたものである。スペクトル・データ460は異常信号イベントからの少なくとも1つの異常信号465を含み、これはスペクトル・データ460の収集と十分に同時期にスペクトル・データ460内にのみ発生し、スペクトル・データ440内にもスペクトル・データ480内にも発生していない。異常信号465は、例えば、図2Bの異常信号イベント260、262、264のうちの1つからであり得る。スペクトル・データ440及び480は、例えば、図3Cのスペクトルと関連付けられ得、スペクトル・データ460は、例えば、図3Bのスペクトルと関連付けられ得る。スペクトル・データ440、460、及び480は、例えば、符号なし16ビット値の1024要素又は2048要素のアレイとしてデジタル的に表現され得る。異常信号は、1次元アレイの1個、2個、5個などのいくつかの要素内、又は2次元アレイのn×m個の要素内に存在し得る。スペクトル・データ440、460及び480は、図1の分光器160などの光学機器の1つ又は複数の構成要素内にデジタル形式で存在し得る。
【0023】
図5は、本開示の一実施例による、分光器510と特定の関連システムとを含む光学システム500のブロック図である。分光器510は、半導体プロセスからの光信号の測定に有利になるように、本明細書に開示されたシステム、特徴、及び方法を組み込み得、図1の分光器160と関連し得る。分光器510は、光ファイバー・ケーブル・アセンブリ157又は159を介してなど、外部光学系530から光信号を受信し得、集積及び変換後に、図1の出力180など外部システム520にデータを送信し得、このデータは、例えば、動作モードの選択、又は本明細書で定義する集積タイミングの制御により、分光器510を制御するためにも使用され得る。分光器510は、サブミニチュア・アセンブリ(SMA)又はフェルール・コネクタ(FC)光ファイバー・コネクタ又は他のオプトメカニカル・インターフェースなどの光学インターフェース540を含み得る。スリット、レンズ、フィルター、グレーティングなどのさらなる光学構成要素545は、受信した光信号を形成、誘導、色分離し、集積及び変換のためにセンサ550に誘導するように作用し得る。センサ550は、図2のセンサ200又は図4のCCDデバイス420と関連し得る。センサ550の低レベルの機能は、FPGA(Field-Programmable Gate Array)560やプロセッサ570などの要素によって制御され得る。光から電気への変換に続いて、アナログ信号は、A/D(Analog/Digital)コンバータ580に誘導され、電気アナログ信号から電気デジタル信号に変換され得、その後、即刻又は後刻の使用及び外部システム520(図1のシグナル・プロセッサ170を参照のこと)などへの送信のためにメモリ590に記憶され得る。ある程度のインターフェースや関係は図5中に矢印で示しているが、全てのインタラクションや制御関係を示しているわけではない。図4のスペクトル・データ440、460、及び480は、メモリ/ストレージ590、FPGA560、プロセッサ570、及び/又は外部システム520のうちの1つ又は複数の範囲内で/によって、図6図13によって例示されるプロセス及び実例に従って、例えば、収集、記憶、及び/又は実行され得る。分光器510は電源595も含み、これは、分光器に典型的に含まれる従来の交流又は直流電源であり得る。
【0024】
図6は、実例としてCCDセンサ200又は420を含むCCDデバイスなどの光学センサからスペクトル・データを収集し、そのスペクトル・データを処理して異常信号イベントの発生に起因する異常信号を識別し、処理する方法600に関するフローチャートである。プロセス600の1つ又は複数のステップは、シグナル・プロセッサ170、又は図1及び図5の分光器160又は分光器510それぞれのプロセッサ又はFPGAなど、1つ又は複数のプロセッサの動作を指示するソフトウェアによって表されるアルゴリズムに対応することができる。方法600は、予備的アクションが実行され得る準備ステップ610で始まる。予備的アクションには、スペクトル・データ収集レートの事前決定、異常信号分類メトリクス及び異常信号補正パラメータの確立を含み得る。次に、ステップ620において、スペクトル・データが収集され得る。図7(一般的に異常信号の識別)及び図8(一般的に異常信号の修正)に関して説明したさらなる処理の詳細に従って、適切なプロセス・シーケンスを確立するためにスペクトル・データの1つ又は複数のセットが収集され得る。
【0025】
次に、ステップ630において、収集されたスペクトル・データに異常信号が存在する場合、収集されたスペクトル・データは、異常信号を識別、分類するために分析され得る。異常信号が識別されると、ステップ640において、異常信号を処理するか、何もしないなど別のアクションを行うかの決定がなされる。ステップ630及び640の少なくとも一部は、図7のプロセス700に従って実行され得る。異常信号の処理はステップ650において実行され、スペクトル・データが処理される。ステップ650の少なくとも一部は、図8のプロセス800のように実行され得る。処理には、異常信号の除去、修正、大きさの縮小などを含み得る。異常信号を有するスペクトル・データの要素数に基づき、何もしないことが適切なことがある。かくして、異常可能性のある信号と識別された空間的/波長的に広がった信号が、異常でないイベントを示すことがある。さらに、長時間継続する異常可能性のある信号は、異常信号ではなく、プロセス・チャンバーにおけるベースラインのシフトなど、別種の変化を示していることがある。したがって、このような信号の修正は、変化を隠し、異常でない信号の適切な識別を阻害する可能性がある。次に、ステップ660において、スペクトル・データは、プロセス・ツール110又は外部システム520などの別のデバイス又はシステムに出力され得る。ステップ620から660は、何度でもスペクトル・データの収集に対して繰り返され得る。方法600は、ステップ670において、収集された全てのスペクトル・データが処理されたときに終了する。
【0026】
図7は、図6の方法の様々なステップを詳述するプロセス700のフローチャートである。プロセス700の1つ又は複数のステップは、シグナル・プロセッサ170又は分光器160又は分光器510のプロセッサ又はFPGAなどの1つ又は複数のプロセッサの動作を指示するソフトウェアによって表されるアルゴリズムに対応することができる。プロセス700は、ステップ620などにおけるスペクトル・データの収集と、ステップ630などにおける異常信号を含み得るスペクトル・データ・アレイの個々の要素の識別とを略述している。プロセス700は、オフセット/ゲイン調整、ラジオメトリック補正、及びピクセル空間から波長空間への波長再サンプリングなどの他のスペクトル・データ処理又は分析とともに利用され得る。プロセス700は、ステップ705におけるスペクトル・データの収集で始まる。この例示的プロセスにおいて、インデックスA、B、及びCによって識別されるスペクトル・データ・アレイは、収集されたスペクトル・データの時間順序付けと関連し、この場合、図4に表されるスペクトル・データ440、460、及び480の一連の時系列収集に関連して説明したように、Cが最も新しく収集されたスペクトル・データ、Aが最も古く収集されたスペクトル・データ、BがAとCの中間で収集されたスペクトル・データである。様々な実例において、プロセス700の開始前のスペクトル・データ・アレイA、B及びCの内容は、重要ではない。本明細書で説明する実例において、プロセス700は、収集したスペクトル・データを異常信号について分析する前に、スペクトル・データを3セット収集し得る。初期及び後続する収集の間、スペクトル・データ及び/又は関連するインデックス(例えば、A、B、C)は、図7に略述されるステップに従ってローテーション/シフトさせられ得る。スペクトル・データ・アレイは、CCDデバイスから得られるデータに適した適切なサイズ(要素数)、データ型のものであり得る。例えば、1-dビニングされたデータのためにCCDの物理的な構成に応じた1024要素又は2048要素のアレイである。
【0027】
ステップ710において、最新に収集されたスペクトル・データは、Cと定義される。次に、ステップ720において、最新に収集されたスペクトル・データが最初又は2番目の収集データであるかの決定が行われる。はいの場合、プロセス700はステップ724に進み、スペクトル・データ・アレイAがスペクトル・データ・アレイBに設定され、スペクトル・データ・アレイBがスペクトル・データ・アレイCに設定される。スペクトル・データ・アレイBは、次に、ステップ728において、図6のステップ660に従った出力のためなど、さらなる使用のために戻され、方法700はステップ710に進む。この実例ではスペクトル・データ・アレイBである解析用の単一のスペクトル・データ・アレイのブラケティングのために、710、720、724、及び728のループを繰り返して3つのスペクトル・データ・アレイを得る。この実例では、3つの収集されたスペクトルが後続の処理に使用される場合、プロセス700は、3番目のスペクトルが収集されるまで、最も新しいスペクトル(ステップ724の後のインデックスBに関連付けられる)を戻す/出力する。プロセス700はステップ730に進み、「超過カウント(Exceed Count)」の内部カウンタが0に設定される。超過カウントは、本明細書では「幅カウント値(width count value)」又は単に「幅カウント(width count)」とも呼ばれ、ステップ750によって提起された条件を満たすスペクトル・データ・アレイの要素数を集計して信号の空間/波長幅を決定することにより、異常信号を識別し、異常信号と異常でない信号(本来のデータ状態変化)との差を決定するために使用されるパラメータである。
【0028】
プロセス700のこの時点で、3つのスペクトル・データ・アレイA、B、及びCは収集されており、スペクトル・データ・アレイBが幅カウントと「しきい値(Threshold)」(これは本明細書では「強度しきい値(intensity threshold value)」又は単に「強度しきい値(intensity threshold)」とも呼ぶ)とに基づいて異常信号を含んでいるかどうかを決定するために分析される。したがって、プロセス700は、2次元識別プロセスを使用し、強度しきい値と、本明細書では「幅カウント限界」とも呼ばれる「超過限界」とを使用して、信号の大きさ(信号カウント/強度)と空間/波長幅の両方が異常信号の定義範囲内にあるかどうかを決定する。図700に注釈したように、ステップ740、750、及び755は、スペクトル・データ・アレイの全ての要素について、「i」をスペクトル・データ・アレイの要素インデックスとして、例えば1024回又は2048回繰り返される。
【0029】
ステップ740において、スペクトル・データ・アレイAとスペクトル・データ・アレイCとの平均が決定される。「AC_mean」は,要素の合計に0.5を乗じること,すなわち,0.5×(A+C)で計算することができる。AC_meanは、スペクトル・データ・アレイのサイズと同等のサイズ(例えば1024要素や2048要素)のアレイ・オブジェクトによってデジタル的に表現され得る。異常信号がステップ750において部分的に識別される。異常可能性のある信号は、最も新しい3つの収集のスペクトル・データを比較することによって、例えば、要素ごとに、強度しきい値はプロセス700の構成可能なパラメータとして、B-0.5×(A+C)>強度しきい値という数量の計算によって識別され得る。強度しきい値は、一般的に、異常信号が基準値(例えば、AC_Mean)を超え得るスペクトル・データのカウント数又は強度に対応する値であり、少なくとも、期待される異常信号及び異常でない信号のノイズ・レベル、ダイナミック・レンジ及び他のメトリクスに関して定義され得る。強度しきい値は、プロセスのモニタリング又はスペクトル・データを受信するより前に予め設定することができる。強度しきい値はまた、能動的に受信しているスペクトル・データからのメトリクスの計算に基づいて、動的に設定し、又は調整することができる。
【0030】
ステップ750において、しきい値操作を通して異常可能性のある信号が識別された場合、プロセスはステップ755に進み、幅カウント(図7では超過カウントと表記)が1つインクリメントされ、異常可能性のある信号に関連する異常イベントは収集データの要素の幅カウント数にまで及ぶことを示している。その後、プロセス700は次の要素が分析されるステップ740に進む。異常可能性のある信号がステップ750において識別されない場合、プロセス700は、幅カウントを上げずにステップ740に進む。スペクトル・データ・アレイの全ての要素が処理されると、ステップ740、750、及び755のループが完了し、プロセス700はステップ760に進む。
【0031】
ステップ760において、幅カウントが幅カウント限界より大きいかどうかの決定が行われる。一般的に、幅カウントが幅カウント限界より大きい場合、期待される異常信号よりもスペクトル的に広い、異常可能性のある信号を示し、したがって異常でない信号として処理される。その場合、プロセス700はステップ764に進み、スペクトル・データ・アレイAはスペクトル・データ・アレイBに設定され、スペクトル・データ・アレイBはスペクトル・データ・アレイCに設定される。プロセス700は、次いでステップ768に進み、スペクトル・データ・アレイAが戻される。プロセス700は、次いで、分析のための新しいスペクトル・データ・アレイの取得のために、ステップ710に進む。
【0032】
ステップ760に戻り、幅カウントが幅カウント限界より大きくない場合、プロセス700はステップ770に進み、幅カウントが0に等しいかどうかの決定がなされる。一般的に、幅カウントがゼロに等しいとき、ステップ740、750、及び755のしきい値比較の間には、異常可能性のある信号が検出されなかったことを示す。そうであれば、プロセスはステップ764に進む。そうでない場合は、ステップ750で識別した異常可能性のある信号を、プロセス700の2次元識別プロセスに基づいて異常信号と識別し、ステップ780に進み、終了する。
【0033】
プロセス700によれば、このようにして異常可能性値を有すると識別されたスペクトル・データ・アレイ要素はカウントされ、さらなる分類基準の対象となり得る。例えば、プロセス700の構成可能な幅カウント・パラメータにより、異常可能性値を有する要素がスペクトル・データ・アレイB内で多数識別される場合、異常信号が、異常信号分類メトリクス及び/又は異常信号補正パラメータに従って「スペクトル的に狭い」として定義され、或いはスペクトル・データ・アレイA、B、C内に少数の要素に存在する場合には、異常可能性要素及びそれらの関連する値は異常でないとして再び特性解析され得る。スペクトル・データ・アレイA、B、C内で連続して発生するかどうかなど、異常要素の数や異常要素間の関係性に関する他の基準が、有用な分類のために使用され得る。基準は、スペクトル・データの収集前に予め決定してもよいし、収集されたスペクトル・データの分析を通して、実行時の動作中に決定してもよい。
【0034】
一般的に、処理中に、スペクトル・データ・アレイBは、例えばプロセス700によって識別された異常信号データを除去又は調整するように変更され得る。図8は、本開示の原理に従って異常信号データを修正するためのプロセス800の一実例の流れ図を示す。プロセス800の1つ又は複数のステップは、シグナル・プロセッサ170又は分光器160又は分光器510のプロセッサ又はFPGAなど1つ又は複数のプロセッサの動作を指示するソフトウェアによって表されるアルゴリズムに対応することができる。プロセス800は、プロセス700及び800がどのように協調して異常信号を識別及び修正することができるかの実例として、プロセス700のステップと関連付けられ得る。例えば、以前にプロセス700によってステップ750で異常値を含むと識別されたスペクトル・データ・アレイBの各要素は、ステップ820で、BがAC_MEANに変更されるその値を有し得る。ここでAC_MEAN=0.5×(A+C)である。一般的に、プロセス800は、プロセス700のステップ770と780との間に制定され得る。図8には示されていないが、図9図13の実例で表される一実施例では、異常値に関連する各要素を中心とする連続した要素のセットが、対応するAC_MEAN値に変更され得る。データを後続のシステム又は処理に出力する前に、CCDデバイス420などのデバイスからのスペクトル・データの新しい収集に対応するために、スペクトル・データ及び/又は関連インデックス(例えば、A、B、C)は、図8に略述されるプロセス700のステップに従ってローテーション/シフトさせられ得る。プロセス600、700、及び800による収集されたスペクトル・データの処理により、1収集周期分の信号遅延が生じることに留意されたい。他の処理方法は、信号遅延状態がより大きくなりも、より小さくなりもし得る。
【0035】
プロセス700は異常信号を識別する実例を提供し、プロセス800は異常信号を修正する実例を提供する。一実施例では、ステップ750のように、AC_MEAN=0.5×(A+C)と比較して強度しきい値を超える異常信号の要素のみが修正され得る。また、強度しきい値を超えていると識別された要素に近接する追加の要素も、強度しきい値を超えないことがある異常信号の部分を適切に確実に修正するために修正され得る。図9図12に示した実例を検討すると、それらの要素値にかかわらず、小さい要素インデックスをもつ要素と大きい要素インデックスをもつ要素とが追加で修正され得ることがわかる。このように修正される近接要素の数は、異常信号分類メトリクス及び/又は異常信号補正パラメータに従い得る。修正する近接要素の数は、固定することも、可変の範囲を有することもできる。例えば、小さい要素インデックスをもつ要素と大きい要素インデックスをもつ要素1~5個が変更され得る。図10は、要素1554における信号カウントが強度しきい値パラメータを超え、修正される一実例を提供している。さらに、要素1554の各側2つの要素(1552、1553、及び1555、1556)の信号カウントが修正される。この特定の実例では、要素1552における修正した信号カウントと受信した信号カウントは、本質的に同じである。換言すれば、異常信号イベントがこの要素の信号カウント値に大きな変動を生じさせなかったので、要素1552の信号カウントは実質的に同じままである。図9図12に見られる実例では、様々な強度しきい値が使用された。例えば、図12は、約200カウントから2000カウントまでの間にある強度しきい値の一実例を提供している。
【0036】
したがって、図9図13は、異常信号イベントの発生に起因する異常信号を識別し、修正するために処理されるスペクトル・データの実例である。スペクトル・データは、本明細書で論じたように、プロセス600、700、及び800の1つ又は複数のステップに従って処理することができる。図9図12の各々において、スペクトル・データは、図4に示すように、例えばCCDデバイスを介して収集された3つのスペクトル・データ・アレイA、B、及びCによって表される。さらに、図9~12は、既存の異常信号をもつ元のスペクトル・データと「補正された」信号トレースによって表される補正されたスペクトル・データとを含むスペクトル・データ・アレイBの詳細画像を含む。図9図12の各図において、プロットされた異常信号は、プロセス700のステップ750による処理に従って、強度しきい値を超えて検出された異常信号に対応する要素値の位置に、1つ又は複数のドットを含む。スペクトル・データ・アレイBの詳細画像で明らかなように、ドットは信号の離散的なサンプル点に対応する交点に位置する。
【0037】
図9において、スペクトル・データ・アレイBの4つの要素(4つのドットで表される)にまたがる異常信号910が、補正のために識別されている。異常信号910は、一般的に期待され、データ・インターバル数個分より大きい継続時間を有する持続的な特徴(原子輝線、分子輝線、広帯域発光など)として定義され得る「実在の」スペクトル特徴920とスペクトル的に一致している。異常信号910は、データ・アレイB内でのみ短い継続時間で発生することが観測されるが、基礎となる特徴920は、データ・アレイA、B、及びC内でより長い継続時間で発生することが観測されている。この実例における異常信号910の識別と補正は、スペクトル・データ・アレイBがCCDデバイスの物理的なピクセル要素に関連付けられる、いわゆる「ピクセル空間」において行われる。この場合、スペクトル・データは、2048個のピクセル要素をもつデバイスからのものであり、異常信号910はCCDデバイスの要素933から要素936で識別される。異常信号910の識別と補正は、いわゆる「波長空間」内でも行われ得、これは「ピクセル空間」のスペクトル・データを、例えば0.25nmや0.5nmなどの一定間隔の波長領域へ再マッピングするものである。「ピクセル空間」における異常信号データの識別及び補正は、スペクトル信号データの補間による複雑さを抑え得、図5の分光器500内の埋め込みプロセッサ内でより低い運用コストで実行され得る。
【0038】
図10において、スペクトル・データ・アレイBの1つの要素にかかる異常信号1010が識別され、補正されている。異常信号1010は、上述の方法による時間領域処理の使用によって、1020のような同様に狭い「実在の」スペクトル特徴から容易に区別される。既存の処理方法(zスコア、移動メジアン・フィルタなど)は、多くの場合、時間領域ではなく波長領域(一度に1つのスペクトル・データ・アレイ)全体で動作し、したがって、異常信号1010を同様のスペクトル形状の「実在の」特徴から区別することはかなり困難であることに留意されたい。「補正前」と「補正後」と名付けたデータを比較すると、確立された基準に従って識別された1つの要素(要素値の位置にドットで表示)に加えて、少なくとも3つの追加の近接要素(ドットで表示されていない)も補正されていることがわかる。プロセス700によって識別された要素の外側の補正され得る要素数は、追加の調整可能な近接又は隣接パラメータを介して制御され得る(例えば、強度しきい値を超える異常信号を含むように識別された要素の各側に2つの要素を追加して補正する)。隣接パラメータは、強度しきい値や幅カウント制限と同様に、識別及び処理機能のためにユーザが入力することができるパラメータである。3つのパラメータの各々は、識別及び/又は処理の前に予め決定することができ、又は異常信号の識別中及び/又は処理中に動的に設定/変更することができる。
【0039】
図11において、スペクトル・データ・アレイBの3つの要素にまたがる異常信号1110が識別され、補正後データで表されるように補正されている。異常信号1110は、上述の方法による時間領域処理の使用によって、1120のような同様に狭い「実在の」スペクトル特徴から容易に区別される。異常信号1110の非対称性は、識別や補正に悪影響を及ぼさない。
【0040】
図12において、スペクトル・データ・アレイBの5つの要素にまたがる大きな異常信号1210が識別され、補正されている。異常信号1210は、上述の方法による時間領域及びしきい値処理の使用によって、同様に狭い「実在の」スペクトル特徴及びスペクトル信号ノイズから容易に区別される。異常信号データの大きさは、識別や補正に悪影響を及ぼさないが、ノイズ・フロアを超える分類の低難度化につながる。
【0041】
図13において、典型的にはスペクトル・データ・アレイBであるスペクトル・データ・アレイの約10個の要素にまたがる複雑な異常信号1310が識別され、修正されている。異常信号1310は、対象のスペクトルの部分を囲む破線の楕円によって示されている。示されるスペクトル・データはキセノン・フラッシュランプからのものであり、異常信号1310は、フラッシュランプ内のアーク/放電の不安定及び/又は電極スパッタ・イベントによって引き起こされる異常信号イベントと関連し得る。プロット1300は、複雑な異常信号1310をもつスペクトル・データ・アレイを示し、プロット1301は、複雑な異常信号1310が修正されたスペクトル・データ・アレイを示している。1300及び1301の各プロットについて、X軸は波長、Y軸は強度又はカウントである。
【0042】
図14は、スペクトル・データ中の異常信号の識別や異常信号の処理など、本明細書で開示するプロセスに使用することができるコンピューティング・デバイス1400を示す。コンピューティング・デバイス1400は、本明細書で開示する分光器160又は510など、分光器又は分光器の一部とすることができる。コンピューティング・デバイス1400は、少なくとも1つのインターフェース1432と、メモリ1434と、プロセッサ1436とを含み得る。インターフェース1432は、例えば未処理スペクトル・データを受信し、例えば処理後スペクトル・データを送信するために必要なハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせを含む。インターフェース1432の一部はまた、アナログ電気信号又はデジタル電気信号を通信するために必要なハードウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせを含むことができる。インターフェース1432は、標準プロトコル又は独自プロトコルなどのプロトコルに従って(例えば、インターフェース1432は、I2C、USB、RS232、SPI、又はMODBUSをサポートし得る)、様々な通信システム、接続、バスなどを介して通信する従来のインターフェースであり得る。
【0043】
メモリ1434は、コンピューティング・デバイス1400に関連する様々なソフトウェア及びデジタル・データの態様を記憶するように構成される。さらに、メモリ1434は、例えば、スペクトル・データ中の異常信号を識別し、識別された異常信号を処理するために開始されると、プロセッサ1436の動作を指示する1つ又は複数のアルゴリズムに対応する一連の動作命令を記憶するように構成される。プロセス600、700、及び800は、アルゴリズムの代表的な実例である。この処理は、異常信号データの除去又は修正、又は別のアクションを含み得る。メモリ1434は、非一時的コンピュータ可読媒体(例えば、フラッシュ・メモリ及び/又は他の媒体)であり得る。
【0044】
プロセッサ1436は、コンピューティング・デバイス1400の動作を指示するように構成される。かくして、プロセッサ1436は、インターフェース1432及びメモリ1434と通信し、スペクトル・データ中の異常信号を識別し処理するように本明細書に記載された機能を実行するために必要な論理を含む。
【0045】
上述の機器、システム又は方法の一部は、様々な従来のデジタル・データ・プロセッサ又はコンピュータなどの中に具現化し又はそれらによって実行され得、コンピュータは、方法のステップの1つ又は複数を実行するようにプログラムされるか、又はソフトウェア命令のシーケンスの実行可能なプログラムを記憶する。そのようなプログラム又はコードのソフトウェア命令は、アルゴリズムを表し、非一時的デジタル・データ記憶媒体、例えば、磁気ディスク又は光学ディスク、ランダム・アクセス・メモリ(RAM:random-access memory)、磁気ハード・ディスク、フラッシュ・メモリ、及び/又は読出し専用メモリ(ROM:read-only memory)上に機械実行可能形式で符号化されて、様々な種類のデジタル・データ・プロセッサ又はコンピュータが、本明細書に記載した上述の方法、若しくは機能、システム又は機器のうちの1つ又は複数のステップのうちの1つ、複数又は全てを実行できるようにし得る。
【0046】
開示した実施例の一部は、機器、デバイスの一部を具現化し、又は本明細書に規定した方法のステップを実行する様々なコンピュータ実装の動作を実行するためのプログラム・コードをその上に有する非一時的コンピュータ可読媒体をもつコンピュータ・ストレージ製品に関連し得る。本明細書で使用する非一時的とは、一時的な伝搬信号を除く全てのコンピュータ可読媒体を指す。非一時的なコンピュータ可読媒体の実例は、ハード・ディスク、フロッピー・ディスク、磁気テープなどの磁気媒体、CD-ROM(Compact Disc Read Only Memory)ディスクなどの光学媒体、フロプティカル・ディスクなどの光磁気媒体、及びROMやRAMデバイスなど、プログラム・コードを記憶し実行するように特別に構成されたハードウェア・デバイスを含むが、これらに限定されない。プログラム・コードの実例は、コンパイラで生成されるような機械語コードと、インタープリタを使うコンピュータによって実行され得る高水準コードを含むファイルの両方を含む。構成されているとは、例えば、1つ又は複数のタスクを実行するために必要な論理、アルゴリズム、処理命令、及び/又は機能を備えて、設計されている、構築されている、又はプログラムされていることを意味する。
【0047】
上述、及びその他の変更は、本明細書に記載した光学測定システム及びサブシステムにおいて、本明細書の範囲から逸脱することなく行われ得る。例えば、いくつかの実例は半導体ウェハー・プロセス機器と関連して説明されているが、本明細書に記載した光学測定システムは、ロールツーロール薄膜処理、太陽電池製造又は高精度光学測定が必要とされ得る任意の応用機器など他の種類の処理機器に適合させられ得ることは理解され得る。さらに、本明細書で議論したいくつかの実施例は、イメージング分光器などの一般的な光分析デバイスの使用を説明するが、既知の相対感度をもつ複数の光分析デバイスが利用され得ることを理解されたい。さらに、本発明の態様を説明する際に本明細書で「ウェハー」という用語を使用したが、石英板、位相シフト・マスク、LED(Light-Emitting Diode)基板、及び他の非半導体プロセス関連基板などの他の種類の被加工物、並びに固体、気体、液体の被加工物を含む被加工物が使用され得ると理解されるべきである。
【0048】
本明細書で説明した例示的な実施例は、本発明の原理及び実際の適用を最も良く説明するために、当業者が企図される特定の用途に適するように様々な修正を伴う様々な実施例のために本発明を理解することができるように選択し、説明したものである。本明細書に記載された特定の実施例は、本発明の範囲及び趣旨を逸脱することなく、様々な変形及び環境下で実施することができるので、決して本発明の範囲を限定することを意図したものではない。したがって、本発明は、示された実施例に限定されることを意図するものではなく、本明細書に記載された原理及び特徴と相反しない最も広い範囲が与えられるべきである。
【0049】
図中のフローチャート及びブロック図は、本発明の様々な実施例によるシステム、方法、及びコンピュータ・プログラム製品の可能な実装のアーキテクチャ、機能性、及び動作を示すものである。この点で、フローチャート又はブロック図中の各ブロックは、特定の論理機能を実装するための1つ又は複数の実行可能な命令を含むコードのモジュール、セグメント、又は部分を表し得る。いくつかの代替的な実装では、ブロックに記された機能は、図に記された順序とは無関係に起こり得ることにも留意されたい。例えば、関係する機能性により、連続して示される2つのブロックは、実際には実質的に同時に実行されることもあれば、又はそのブロックは、時には逆の順序で実行されることもある。ブロック図及び/又はフローチャート図の各ブロック、並びにブロック図及び/又はフローチャート図中のブロックの組み合わせは、特定の機能又は行為を実行する特別な目的のハードウェアベースのシステム、又は特別な目的のハードウェアとコンピュータ命令の組み合わせによって実装することができることにも留意されたい。
【0050】
本明細書で使用する用語は、特定の実施例を説明することのみを目的とし、本発明を限定することを意図するものではない。本明細書で使用する際、単数形の「a」、「an」及び「the」は、文脈上明らかにそうでない場合を除き、複数形も含むことを意図している。本明細書で使用する場合、「comprises」及び/又は「comprising」という用語は、記載された特徴、整数、ステップ、動作、要素、及び/又は構成要素の存在を規定するが、1つ又は複数の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、構成要素、及び/又はそれらの群の存在又は追加を排除しないことはさらに理解されるであろう。
【0051】
当業者には理解されるように、本発明は、方法、システム、又はコンピュータ・プログラム製品として具現化され得る。したがって、本発明は、完全にハードウェアの実施例、完全にソフトウェアの実施例(ファームウェア、常駐ソフトウェア、マイクロコードなどを含む)、又はソフトウェアとハードウェアの態様を組み合わせた実施例の形態をとることができ、これらは全て本明細書において一般的に「回路」又は「モジュール」と呼ばれている。さらに、本発明は、媒体中に具現化されたコンピュータ使用可能なプログラム・コードを有するコンピュータ使用可能な記憶媒体上のコンピュータ・プログラム製品の形態をとり得る。
【0052】
本開示の様々な態様は、本明細書に開示される機器、システム、及び方法を含めて主張することができる。本明細書に開示する態様には、以下のものが含まれる。
A.スペクトル・データの処理方法であって、(1)時間的に分離したスペクトル・データ・サンプルを受信するステップと、(2)時間的に分離したスペクトル・データ・サンプルのうちの中間の1つにおける1つ又は複数の異常信号を、スペクトル・データ・サンプルのうちの少なくとも1つの先行するものと少なくとも1つの後続するものとに基づいて識別するステップとを含む、スペクトル・データの処理方法。
B.スペクトル・データを処理するための機器であって、(1)1つ又は複数の異常信号を識別するためのアルゴリズムに対応する動作命令を有するメモリと、(2)動作命令に従って1つ又は複数の動作を実行するように構成された、1つ又は複数のプロセッサとを備え、動作命令が、時間的に分離したスペクトル・データ・サンプルを受信するステップと、時間的に分離したスペクトル・データ・サンプルのうちの中間の1つにおける1つ又は複数の異常信号をスペクトル・データ・サンプルのうちの少なくとも1つの先行するものと、少なくとも1つの後続するものとに基づいて識別するステップとを含む、機器。
C.異常信号を識別するためのシステムであって、(1)処理ツールと、(2)処理ツール内で実行される半導体プロセスから光学データを受信し、光学データをスペクトル・データに変換する機器とを備え、機器は、(2A)1つ又は複数の異常信号を識別するためのアルゴリズムに対応する動作命令を有するメモリと、(2B)動作命令に従って1つ又は複数の動作を実行するように構成された1つ又は複数のプロセッサとを備え、動作命令は、時間的に分離したスペクトル・データ・サンプルを受信するステップと、時間的に分離したスペクトル・データ・サンプルのうちの中間の1つにおける1つ又は複数の異常信号を、スペクトル・データ・サンプルのうちの少なくとも1つの先行するものと、少なくとも1つの後続するものとに基づいて識別するステップとを含む、システム。
D.非一時的なコンピュータ可読媒体に記憶されたコンピュータ・プログラム製品であって、それによって開始されたときに、1つ又は複数のプロセッサに、(1)時間的に分離したスペクトル・データ・サンプルを受信するステップと、(2)時間的に分離したスペクトル・データ・サンプルのうちの中間の1つにおける1つ又は複数の異常信号を、スペクトル・データ・サンプルのうちの少なくとも1つの先行するものと、少なくとも1つの後続するものとに基づいて識別するステップとを含む動作を実行することによってスペクトル・データを処理することを指示する一連の動作命令を含む、コンピュータ・プログラム製品。
【0053】
態様A、B、C、及びDの各々は、以下の追加の要素のうちの1つ又は複数を組み合わせて有することができる。要素1:時間的に分離した3つのスペクトル・データ・サンプルがあり、中間の1つは3つのうちの中央のものである。要素2:スペクトル・データ・サンプルのうちの少なくとも1つの先行するものと少なくとも1つの後続するものとは、中間の1つにおける1つ又は複数の異常信号をブラケティングする。要素3:識別するステップは、時間的に分離したスペクトル・データ・サンプルの要素におけるスペクトル・データの幅カウントを、カウント数に対応する幅カウント限界と比較するステップを含む。要素4:識別するステップは、時間的に分離したスペクトル・データ・サンプルのうちの中間のものの要素と、スペクトル・データ・サンプルのうちの少なくとも1つの先行するもの及び少なくとも1つの後続するものの対応する要素の平均との間にある差を、強度しきい値と比較するステップをさらに含む。要素5:強度しきい値は予め決定される。要素6:強度しきい値は動的に設定される。要素7:差が強度しきい値より大きいとき、幅カウントをインクリメントするステップをさらに含む。要素8:1つ又は複数の識別された異常信号を処理するステップをさらに含む。要素9:処理するステップは、異常信号を含んでいると識別された要素の1つ又は複数のカウント値のうちの少なくとも1つを修正するステップを含む。要素10:処理するステップは、異常信号を含んでいると識別された要素に近接する追加の要素のうちの少なくとも1つ又は複数のカウント値を、隣接パラメータに基づいて修正するステップを含む。要素11:処理するステップは、異常信号を含んでいると識別された要素の1つ又は複数のカウント値のうちの少なくとも1つを修正しないステップを含む。要素12:修正するステップは、時間的に分離したスペクトル・データ・サンプルのうちの中間のものの要素と、スペクトル・データ・サンプルの少なくとも1つの先行するもの及び少なくとも1つの後続するものの対応する要素の平均との間にある差を、強度しきい値と比較するステップに基づいて実行される。要素13:方法のための少なくとも一部の論理が、組み込みプロセッサ、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)中にコードとして記憶されている、又は両方の組み合わせである。要素14:機器は分光器である。要素15:1つ又は複数のプロセッサのうちの少なくとも1つは、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGA)を備える。
図1
図2A
図2B
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14