(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】接合構造
(51)【国際特許分類】
E04B 2/56 20060101AFI20240115BHJP
E04B 5/43 20060101ALI20240115BHJP
E04B 1/76 20060101ALI20240115BHJP
E04B 1/80 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
E04B2/56 622J
E04B2/56 611B
E04B2/56 622B
E04B2/56 604F
E04B5/43 G
E04B1/76 500Z
E04B1/80 100A
(21)【出願番号】P 2023042787
(22)【出願日】2023-03-17
【審査請求日】2023-07-05
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】307042385
【氏名又は名称】ミサワホーム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(72)【発明者】
【氏名】榎本 章宏
【審査官】小澤 尚由
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-124060(JP,A)
【文献】実開昭63-161802(JP,U)
【文献】特開2001-049766(JP,A)
【文献】特開平10-115032(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E04B 2/56
E04B 5/43
E04B 1/76
E04B 1/80
E04B 1/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鉄骨と建材との接合構造であって、
木製の継ぎ部材を備え、
前記鉄骨が、鉄骨本体と、前記鉄骨本体に溶接された継ぎ金具と、を有し、
前記鉄骨本体が鉄骨柱本体であり、
前記継ぎ金具が、前記鉄骨柱本体の側面に溶接されるとともに前記鉄骨柱本体の側面から張り出す鋼製のフランジであり、
前記建材が、建材本体と、前記建材本体の側面に接合された木製の側材と、を有し、
前記側材と前記継ぎ部材が前後に重なり合って、互いに接合され、
前記継ぎ部材がねじによって前記継ぎ金具に接合されている
ことを特徴とする接合構造。
【請求項2】
請求項
1に記載の接合構造であって、
前記フランジが、前記鉄骨柱本体の前面及び後面に対して斜めに、前記鉄骨柱本体の側面から張り出す
ことを特徴とする接合構造。
【請求項3】
請求項
2に記載の接合構造であって、
前記鉄骨が、前記鉄骨柱本体の側面に溶接されるとともに、前記フランジに対して平行に前記鉄骨柱本体の側面から張り出す鋼製の第二フランジを更に有し、
前記継ぎ部材が前記フランジと前記第二フランジの間に挟まれ、前記継ぎ部材が第二ねじによって第二フランジに接合され、
前記継ぎ部材が前記フランジと前記第二フランジの間から前記建材本体の側面の方へ張り出して、その張り出した部分が前記側材に接合されている
ことを特徴とする接合構造。
【請求項4】
請求項
3に記載の接合構造であって、
前記鉄骨が、前記フランジと前記第二フランジの間において前記鉄骨柱本体の側面、前記フランジ及び前記第二フランジに溶接され、前記フランジ及び前記第二フランジに対して垂直なスチフナを更に有する
ことを特徴とする接合構造。
【請求項5】
請求項
1又は2に記載の接合構造であって、
前記フランジ及び前記側材を覆って、前記ねじの頭部を覆い隠すカバーを更に備える
ことを特徴とする接合構造。
【請求項6】
請求項
5に記載の接合構造であって、
前記カバーは、前記ねじの頭部が収まる凹部を有する
ことを特徴とする接合構造。
【請求項7】
請求項
1に記載の接合構造であって、
前記継ぎ部材が前記側材と前記フランジの間に挟まれて、前記側材が第三ねじによって前記継ぎ部材に接合されている
ことを特徴とする接合構造。
【請求項8】
請求項
1又は7に記載の接合構造であって、
前記建材が
壁パネルであり、前記建材本体が木製の壁パネル本体
である
ことを特徴とする接合構造。
【請求項9】
請求項1又は7に記載の接合構造であって、
前記建材が木製架構であり、前記建材本体が木製の架構本体である
ことを特徴とする接合構造。
【請求項10】
請求項1又は7に記載の接合構造であって、
前記建材が扉であり、
前記建材本体が、鋼製のドア枠と、前記ドア枠を開閉可能に前記ドア枠に取り付けられた戸体と、を有し、
前記側材が前記ドア枠の側面に接合される
ことを特徴とする接合構造。
【請求項11】
請求項10に記載の接合構造であって、
前記鉄骨が、前記鉄骨柱本体の側面に溶接されるとともに、前記フランジに対して平行に前記鉄骨柱本体の側面から張り出す鋼製の第二フランジを更に有し、
前記継ぎ部材が前記フランジと前記第二フランジの間に挟まれ、前記継ぎ部材が第二ねじによって第二フランジに接合され、
前記継ぎ部材が前記フランジと前記第二フランジの間から前記ドア枠の側面の方へ張り出して、その張り出した部分が前記側材に接合されている
ことを特徴とする接合構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、接合構造に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、鉄骨造の架構及び木質壁を備える建物を開示する。木質壁は、架構によって囲われた領域に配置されている。木質壁は、その上及び下の鉄骨梁にセメント系硬化体を介して接合されている。木質壁は、その左及び右の鉄骨柱から間隔を置いて配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の技術では、木質壁と鉄骨柱の間における納まりが悪い。また、熱が木質壁と鉄骨柱の間の隙間を通って貫流することから、架構によって囲われた領域の断熱性が良くない。
そこで、本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、木質壁のような建材と鉄骨柱のような鉄骨との間における納まりを良くすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
以下の括弧書きで示された参照符号は
図1~
図15において参照される。
【0006】
請求項1に係る発明によれば、鉄骨(30,130,230)と建材(10,110R,210)の接合構造であって、
木製の継ぎ部材(40,140R,240)を備え、
前記鉄骨(30,130,230)が、鉄骨本体(31,131,231)と、前記鉄骨本体(31,131,231)に溶接された継ぎ金具(32,132R,232)と、を有し、
前記鉄骨本体が鉄骨柱本体(31,131,231)であり、
前記継ぎ金具が、前記鉄骨柱本体(31,131,231)の側面に溶接されるとともに前記鉄骨柱本体(31,131)の側面から張り出す鋼製のフランジ(32,132R,232)であり、
前記建材(10,110R,210)が、建材本体(11,111R,211,212)と、前記建材本体(11,111R,211,212)の側面に接合された木製の側材(17,117R,217)と、を有し、
前記側材(17,117R,217)と前記継ぎ部材(40,140R,240)が前後に重なり合って、互いに接合され、
前記継ぎ部材(40,140R,240)がねじ(62,162R,262)によって前記継ぎ金具(32,132R,232)に接合されている
ことを特徴とする接合構造が提供される。
【0007】
以上のような請求項1に係る発明によれば、建材(10,110R,210)を鉄骨本体(31,131,231)に直接溶接することができなくても、継ぎ金具(32,132R,232)が鉄骨本体(31,131,231)に溶接され、建材(10,110R,210)に接合された継ぎ部材(40,140R,240)がねじ(62,162R,262)によって継ぎ金具(32,132R,232)に接合されているため、建材(10,110R,210)を鉄骨本体(31,131,231)に接合することができる。継ぎ部材(40,140R,240,342)が鉄骨本体(31,131,231)と建材(10,110R,210)の間の継ぎ目に収まることから、建材(10,110R,210)と鉄骨本体(31,131,231)の間の納まりが良い上、建材(10,110R,210)と鉄骨本体(31,131,231)が強固に接合される。
継ぎ部材(40,140R,240)が鉄骨本体(31,131,231)と建材(10,110R,210)の間の継ぎ目に収まることから、その継ぎ目における熱貫流を抑えることができる。
【0009】
以上のような請求項1に係る発明によれば、建材本体(11,111R,211,212)を鉄骨柱本体(31,131,231)に直接溶接することができなくても、鋼製のフランジ(32,132R,232)が鉄骨柱本体(31,131)の側面に溶接されるとともにその側面から張り出し、継ぎ部材(40,140R,240)がねじ(62,162R,262)によってフランジ(32,132R,232)に接合され、継ぎ部材(40,140R,240)と木製の側材(17,117R,217)が前後に重なり合って互いに接合されているため、その側材(17,117R,217)が建材本体(11,111R,211,212)の側面に接合されているため、建材本体(11,111R,211,212)を鉄骨柱本体(31,131,231)に接合することができる。継ぎ部材(40,140R)及び側材(17,117R,217)が建材本体(11,111R,211,212)と鉄骨柱本体(31,131,231)の間の継ぎ目に収まることから、建材本体(11,111R)と鉄骨柱本体(31,131,231)の間の納まりが良い上、建材本体(11,111R,211,212)と鉄骨柱本体(31,131)が強固に接合される。
【0010】
請求項2に係る発明によれば、請求項1に記載の接合構造であって、
前記フランジ(32)が、前記鉄骨柱本体(31)の前面及び後面に対して斜めに、前記鉄骨柱本体(31)の側面から張り出す
ことを特徴とする接合構造が提供される。
【0011】
以上のような請求項2に係る発明によれば、屋外の雪が、鉄骨柱本体(31)と建材本体(11)との継ぎ目が成す角部に留まりにくい。角部は、そこに吹き込んだ風を逃す。
【0012】
請求項3に係る発明によれば、請求項1に記載の接合構造であって、
前記鉄骨(30)が、前記鉄骨柱本体(31)の側面に溶接されるとともに、前記フランジ(32)に対して平行に前記鉄骨柱本体(31)の側面から張り出す鋼製の第二フランジ(33)を更に有し、
前記継ぎ部材(40)が前記フランジ(32)と前記第二フランジ(33)の間に挟まれ、前記継ぎ部材(40)が第二ねじ(63)によって第二フランジ(33)に接合され、
前記継ぎ部材(40)が前記フランジ(32)と前記第二フランジ(33)の間から前記建材本体(11)の側面の方へ張り出して、その張り出した部分が前記側材(17)に接合されている
ことを特徴とする接合構造が提供される。
【0013】
以上のような請求項3に係る発明によれば、継ぎ部材(40)がフランジ(32)と第二フランジ(33)の間に挟まれ、継ぎ部材(40)が第二ねじ(63)によって第二フランジ(33)に接合されているため、継ぎ部材(40)が鉄骨柱本体(31)に強固に連結され、強いては建材本体(11)が鉄骨柱本体(31)に強固に連結される。
【0014】
請求項4に係る発明によれば、請求項3に記載の接合構造であって、
前記鉄骨(30)が、前記フランジ(32)と前記第二フランジ(33)の間において前記鉄骨柱本体(31)の側面、前記フランジ(32)及び前記第二フランジ(33)に溶接され、前記フランジ(32)及び前記第二フランジ(33)に対して垂直なスチフナ(34)を更に有する
ことを特徴とする接合構造が提供される。
【0015】
以上のような請求項4に係る発明によれば、継ぎ部材(40)を安定してフランジ(32)及び第二フランジ(33)に接合することができる。
【0016】
請求項5に係る発明によれば、請求項1又は2に記載の接合構造であって、
前記フランジ(32)及び前記側材(17)を覆って、前記ねじ(62)の頭部を覆い隠すカバー(50)を更に備える
ことを特徴とする接合構造が提供される。
【0017】
以上のような請求項5に係る発明によれば、鉄骨柱本体(31)と建材本体(11)の間の継ぎ目がカバー(50)によって保護される。
【0018】
請求項6に係る発明によれば、請求項5に記載の接合構造であって、
前記カバー(50)は、前記ねじ(62)の頭部が収まる凹部(51)を有する
ことを特徴とする接合構造が提供される。
【0019】
以上のような請求項6に係る発明によれば、ねじ(62)の頭部が突き出ていても、カバー(50)が安定してフランジ(32)及び側材(17)を覆う。
【0020】
請求項7に係る発明によれば、請求項1に記載の接合構造であって、
前記継ぎ部材(140R)が前記側材(117R)と前記フランジ(132R)の間に
挟まれて、前記側材(117R)が第三ねじ(164R)によって前記継ぎ部材(140
R)に接合されている
ことを特徴とする接合構造が提供される。
【0021】
以上のような請求項7に係る発明によれば、継ぎ部材(140R)及び側材(117R
)が建材本体(111R)と鉄骨柱本体(131)の間の継ぎ目に収まることから、建材
本体(111R)と鉄骨柱本体(131)の間における納まりが良い上、建材本体(11
1R)が鉄骨柱本体(131)に強固に連結される。
【0022】
請求項8に係る発明によれば、請求項1又は7に記載の接合構造であって、
前記建材が壁パネル(10,110)であり、前記建材本体が木製の壁パネル本体(11,111R)である
ことを特徴とする接合構造が提供される。
【0023】
以上のような請求項8に係る発明によれば、壁パネル(10,110R)と鉄骨本体(
31,131)の間の納まりが良い上、壁パネル(10,110R)と鉄骨本体(31,
131)が強固に接合される。
【0024】
請求項9に係る発明によれば、請求項1又は7に記載の接合構造であって、
請求項1又は7に記載の接合構造であって、
前記建材が木製架構であり、前記建材本体が木製の架構本体である
ことを特徴とする接合構造が提供される。
【0025】
請求項10に係る発明によれば、請求項1又は7に記載の接合構造であって、
前記建材が扉(210)であり、
前記建材本体(211,212)が、鋼製のドア枠(211)と、前記ドア枠(211)を開閉可能に前記ドア枠(211)に取り付けられた戸体(212)と、を有し、
前記側材(217)が前記ドア枠(211)の側面に接合される
ことを特徴とする接合構造が提供される。
【0026】
請求項11に係る発明によれば、請求項10に記載の接合構造であって、
前記鉄骨(230)が、前記鉄骨柱本体(231)の側面に溶接されるとともに、前記フランジ(232)に対して平行に前記鉄骨柱本体(231)の側面から張り出す鋼製の第二フランジ(233)を更に有し、
前記継ぎ部材(240)が前記フランジ(232)と前記第二フランジ(233)の間に挟まれ、前記継ぎ部材(240)が第二ねじ(263)によって第二フランジ(233)に接合され、
前記継ぎ部材(240)が前記フランジ(232)と前記第二フランジ(233)の間から前記ドア枠(211)の側面の方へ張り出して、その張り出した部分が前記側材(217)に接合されている
ことを特徴とする接合構造が提供される。
【発明の効果】
【0028】
本発明によれば、鉄骨本体と建材の間における納まりが良い上、建材と鉄骨本体が強固に接合される。鉄骨本体と建材の間の継ぎ目における熱貫流を抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【
図1】
図1は、第1実施形態の接合構造の水平断面図である。
【
図2】
図2は、第1実施形態の接合構造の分解図である。
【
図5】
図5は、第2実施形態の接合構造の水平断面図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態の接合構造の分解図である。
【
図7】
図7は、第2実施形態の接合構造の正面図である。
【
図8】
図8は、第3実施形態の接合構造の水平断面図である。
【
図9】
図9は、第3実施形態の接合構造の分解図である。
【
図10】
図10は、第4実施形態の床構造の骨格を示す平面図である。
【
図13】
図13は、第4実施形態の床構造の鉛直断面図である。
【
図14】
図14は、第4実施形態の床構造の鉛直断面図である。
【
図15】
図15は、第4実施形態の床構造の断熱構造の分解図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、実施形態について説明する。実施形態の特徴及び技術的な効果は、以下の詳細な説明及び図面から理解される。ただし、本発明の範囲は、以下に開示された実施形態に限定されない。図面は例示のみのために提供されるため、本発明の範囲は図面の例示に限定されない。
【0031】
以下の説明において、「第一」及び「第二」などのような序数が共通の名称に付されている場合、序数はそれが付された対象を識別する目的でのみ用いられる。序数はそれが付された対象を特定の対象に限定しない上、序数はそれが付された対象の順番、順位、順序、階級、優先及び劣後などを特定しない。
【0032】
<第1実施形態>
(1) 接合構造の概要
図1は、接合構造1の水平断面図である。
図2は、接合構造1の分解図である。
図3及び
図4は、接合構造1の鉄骨柱30の二面図である。
図3(a)及び
図4(a)は鉄骨柱30の平面図であり、
図3(b)は鉄骨柱30を斜め後ろから見た図面であり、
図4(b)は鉄骨柱30を右斜め前から見た図面である。
【0033】
接合構造1は、木製の壁パネル10と鉄骨柱30が互いに接合された異種材接合構造である。接合構造1は、建物の外周の構成要素である。接合構造1は、例えば戸建て住宅又は集合住宅等の建物の1階又はそれ以上の階の外周に適用される。以下の説明において各部材の前面とは、建物の外側に向いた面をいい、各部材の後面とは、建物の内側に向いた面をいう。
【0034】
接合構造1は、壁パネル10、鉄骨柱30、複数の継ぎ部材40及びカバー50を備える。
【0035】
(2) 壁パネル
壁パネル10は木製の建材である。壁パネル10は壁パネル本体11及び側材17を有し、壁パネル本体11は矩形枠体12、面材13,14及び断熱材15を有し、側材17は角材18,19を有する。
【0036】
矩形枠体12が上下一対の木製の横框材及び左右一対の木製の縦框材を有し、これら横框材及び縦框材が矩形枠型に組まれることによって矩形枠体12が組み立てられている。木製の面材13,14が矩形枠体12の前面及び後面にそれぞれ貼り付けられ、第一面材13の建物の外側に向き、第二面材14が建物の内側に向いている。面材13,14が矩形枠体12によって囲われた領域に覆い被さり、その領域が中空となっている。グラスウール、ロックウール及び発泡樹脂などのような断熱材15がその中空に装填されている。壁パネル本体11の前面、つまり第一面材13の表面には、アルミニウム・亜鉛合金めっき鋼板16が貼り付けられている。なお、必要に応じて、壁パネル本体11が、矩形枠体12の内側において矩形枠体12に組み付けられた1又は複数の木製の補助桟材を有しもよい。
【0037】
側材17は木製である。側材17は、壁パネル本体11の側面、つまり、矩形枠体12の縦框の側面に接合されている。側材17は、壁パネル本体11の側面に沿って上下に延びている。
【0038】
側材17の第一角材18は、矩形状の水平断面形状を有した木製棒材である。側材17の第二角材19は、矩形状の水平断面形状を有した木製棒材である。第一角材18は、例えば接着剤、ビス及び釘などような接合材によって、第二角材19の側面に接合されている。第一角材18は第一角材19よりも細く、第一角材18の前後厚は第二角材19の前後厚よりも小さい。第一角材18の前面は第二角材19の前面と面一となっている。第一角材18の後面と第二角材19の後面との間には段差がある。
【0039】
第二角材19は、例えば接着剤、ビス及び釘などような接合材によって、壁パネル本体11の側面、つまり、矩形枠体12の縦框の側面に接合されている。第二角材19は、壁パネル本体11の側面に沿って上下に延びている。第二角材19の前後厚は壁パネル本体11の前後厚よりも小さい。第二角材19の後面は壁パネル本体11の後面、つまり第二面材14の表面と面一となっている。第二角材19の前面と壁パネル本体11の前面との間には段差がある。壁パネル本体11の前面とは、第一面材13の表面のことをいう。
【0040】
第二角材19よりも細い第一角材18が第二角材19の側面に接合されることによって、側材17がその側面に第一突部を有し、その第一突部が第一角材18に相当する。なお、角材18,19が互いに接合されているため角材18,19の間には継ぎ目が存在するが、角材18,19がシームレスに一体形成されていてもよい。
【0041】
(3) 鉄骨柱
鉄骨柱30は、鉄骨柱本体31、鋼製のフランジ32,33及び鋼製の複数のスチフナ34を有する。
【0042】
鉄骨柱本体31は、角形鋼管によって構成されている。つまり、鉄骨柱本体31は、その外側に前板31a,後ろ板31b及び側板31c,31dを有するとともに、その内側に板31a~31dによって囲われた中空31eを有する。
【0043】
フランジ32,33は、鉄骨柱本体31の側面、具体的には側板31dに溶接されている。フランジ32,33は、鉄骨柱本体31の側面から斜めに張り出している。フランジ32,33は、縦横に広がるよう帯板状に形成されている。フランジ32,33は、鉄骨柱本体31の側面に対して垂直な鉛直面から後方へ、つまり建物の内側の方へ傾斜している。つまり、フランジ32,33は、鉄骨柱本体31の前板31a及び後ろ板31bに平行な面から後ろ板31bの方へ傾斜している。フランジ32と鉄骨柱本体31の側面が成す鋭角は例えば67.5°である。フランジ32,33は、互いに平行である。フランジ32,33の間隔、具体的にはフランジ32の前面からフランジ33の後面までの距離は、側材17の第二角材19の前後厚に等しい。フランジ32,33は、継ぎ部材40をフランジ32,33に固定するタッピングねじ62,63が通される孔32a,33aを有する。
【0044】
複数のスチフナ34は、フランジ32,33の間において、間隔を置いて上下に配列されている。各スチフナ34は、水平であり、更に鉄骨柱本体31の中心軸に対して垂直である。各スチフナ34は、鉄骨柱本体31の側面及びフランジ32,33に溶接されている。スチフナ34のうち、フランジ32と鉄骨柱本体31の側面によって挟まれる角部が切り欠かれることによって、孔34aがその角部に形成されている。同様に、スチフナ34のうち、フランジ33と鉄骨柱本体31の側面によって挟まれる角部が切り欠かれることによって、孔34bがその角部に形成されている。これら孔34a,34bは例えばスチフナ34の溶接作業に利用され、例えば溶接トーチが孔34a,34bに挿入される。
【0045】
フランジ32,33は、鉄骨柱本体31と後述の継ぎ部材40を接合する継ぎ金具である。
【0046】
(4) 継ぎ部材
継ぎ部材40は木製である。継ぎ部材40はフランジ32とフランジ33の間に嵌め込まれるとともに、フランジ32,33との間から横に突き出ている。継ぎ部材40は、タッピングねじ62によってフランジ32に固定されているとともに、タッピングねじ63によってフランジ33に固定されている。継ぎ部材40は、壁パネル10の側材17に引っ掛かっているとともに、例えば接着剤、ビス及び釘などような接合材によって、壁パネル10の側材17に固定されている。
【0047】
継ぎ部材40は、木製の第三角材41及び木製の第四角材42を有する。
第三角材41は、直角台形型の水平断面形状を有する。第三角材41は、フランジ32とフランジ33の間に嵌め込まれる。第三角材41は、鉄骨柱本体31の側板31dに面接触する接触面41aと、フランジ32に面接触する接触面41bと、フランジ33に面接触する接触面41cと、突き当て面41dと、を有する。突き当て面41dは、フランジ32,33及びスチフナ34のエッジに揃っている。第三角材41は、タッピングねじ62によってフランジ32に固定されているとともに、タッピングねじ63によってフランジ33に固定されている。
【0048】
第四角材42は、矩形状の水平断面形状を有する。第四角材42の前後厚は、第三角材41の前後厚、つまり接触面41bから接触面41cまでの厚さよりも小さい。第四角材42は、例えば接着剤、ビス及び釘などような接合材によって、第三角材41のに固定されている。第三角材41よりも薄い第四角材42が第三角材41の突き当て面41dに接合されることによって、継ぎ部材40がその側面に第二突部を有し、その第二突部が第四角材42に相当する。なお、角材41,42が互いに接合されているため角材41,42の間には継ぎ目が存在するが、角材41,42がシームレスに一体形成されていてもよい。
【0049】
第四角材42は第三角材41の接触面41cから張り出しており、その張り出した部分はフランジ33のエッジに突き当てられている。
【0050】
継ぎ部材40の第四角材42と側材17の第一角材18が前後に重なり合い、第四角材42が第一角材18の後ろに引っ掛けられている。第四角材42は、例えば接着剤、ビス及び釘などような接合材によって、第一角材18に接合されている。第四角材42が側材17の第二角材19に突き当てられている。第四角材42が接着剤によって第二角材19に接着されてもよい。第一角材18が第三角材41の突き当て面41dに突き当てられている。第一角材18が接着剤によって第三角材41に接着されてもよい。第一角材18が第四角材42の接触面41bから張り出しており、その張り出した部分がフランジ32のエッジに突き当てられている。
【0051】
継ぎ部材40が側材17に接合された状態では、側材17の角材18,19の前面とフランジ32の前面が面一となっており、角材18,19及びフランジ32の前面が壁パネル本体11の前面から建物の内側へ奥まっている。
【0052】
(5) カバー
カバー50は、壁パネル本体11の前面から奥まった角材18,19及びフランジ32の前面を被覆して、タッピングねじ62の頭部を覆い隠す。カバー50はその後面に凹部51を有し、フランジ32の前面から突き出たタッピングねじ62の頭部がその凹部51に収まっている。
【0053】
カバー50は、合板52,53,54及び鋼板55を有する。合板52,53,54は上下方向に長尺な木製帯板である。第一合板52が第三合板54の片方のエッジに沿って接着剤によって第三合板54の後面に接着され、第一合板52が第三合板54の片方のエッジから張り出している。第二合板53が第三合板54のもう片方のエッジに沿って接着剤によって第三合板43の後面に接着され、第二合板53が第三合板54のもう片方のエッジから張り出している。第一合板52と第二合板53が第三合板54の幅方向において互いに離間し、第一合板52と第二合板53の間隔が凹部51となっている。
【0054】
鋼板55は、第三合板54の前面に貼り付けられている。鋼板55は、第三合板54の前面及び両エッジを覆う。鋼板55は、アルミニウム・亜鉛合金めっき加工されている。より具体的には、鋼板55はガルバリウム鋼板(登録商標)である。
【0055】
第一合板32は、タッピングねじ62の頭部よりも鉄骨柱本体31の側板31d寄りにおいて、例えばセメント系接着剤などのような異材接着剤によってフランジ32の前面に接着されている。第二合板53は、タッピングねじ62の頭部よりも壁パネル本体11寄りにおいて、フランジ32及び角材18,19の前面に面接触している。第二合板53はフランジ32の前面に接着されてもよい。第二合板53は角材18,19の前面に接着されてもよい。
【0056】
第三合板54の片方のエッジと鉄骨柱本体31の側板31dとの間の隙間には、詰め物58が充填されている。第三合板54のもう片方のエッジと壁パネル本体11の側面との間の隙間には、詰め物59が充填されている。詰め物58,59は例えば樹脂製又はセメント製であってよい。
【0057】
(6) 接合方法
接合構造1の製造方法、つまり鉄骨柱30と壁パネル10の接合方法について説明する。
【0058】
鉄骨柱30を準備する。つまり、フランジ32,33及び複数のスチフナ34を鉄骨柱本体31の側板31dに溶接し、スチフナ34をフランジ32,33に溶接する。
【0059】
壁パネル10を準備する。つまり、壁パネル本体11を組み立て、第二角材19を壁パネル本体11の側面に接合し、第一角材18を第二角材19に接合する。
【0060】
継ぎ部材40を準備する。つまり、第三角材41と第四角材42を互いに接合する。
【0061】
カバー50を準備する。つまり、鋼板55を第三合板54に貼り付け、合板52,53を第三合板54に接着する。
【0062】
鉄骨柱30を建物の基礎或いは鉄骨梁などのような設置箇所に立て込む、鉄骨柱30の上部に鉄骨梁を敷き込む。
鉄骨柱30の立て込みの前又は後に、継ぎ部材40の第三角材41をフランジ32,33の間に嵌め込み、第三角材41をタッピングねじ62によってフランジ32に固定し、第三角材41をタッピングねじ63によってフランジ33に固定する。
フランジ32,33の間への第三角材41の嵌め込みの前又は後に、継ぎ部材40の第四角材42を側材17の第一角材18の後ろに引っ掛けるとともに、側材17の角材18、19を継ぎ部材40の角材42,41にそれぞれ突き当てる。そして、第四角材42と第一角材18を互いに接合する。第四角材42と第二角材19を接着剤によって互いに接着してもよいし、第三角材41と第一角材18を接着剤によって互いに接着してもよい。
【0063】
第三角材41をフランジ32,33に固定後、且つ、第四角材42と第一角材18の接合後、カバー50を角材18,19及びフランジ32の前面に覆い被せる。この際、フランジ32の前面から突き出たタッピングねじ62の頭部を合板52,53の間の凹部51に収めて、タッピングねじ62の頭部を第三合板54によって覆い隠す。また、第一合板32を異材接着剤によってフランジ32の前面に接着する。第二合板33を異材接着剤によってフランジ32の前面に接着してもよい。第二合板33は角材18,19の前面に接着してもよい。
【0064】
第三合板54の片方のエッジと鉄骨柱本体31の側板31dとの間の隙間に詰め物58を充填する。第三合板54のもう片方のエッジと壁パネル本体11の側面との間の隙間に詰め物59を充填する。
【0065】
(7) 有利な効果
壁パネル本体11の材種が鉄骨柱本体31の材種と異なることから、壁パネル本体11を鉄骨柱本体31に直接溶接することができない。そうであっても、鋼製のフランジ32,33が鉄骨柱本体31の側面に溶接されるとともにその側面から張り出し、木製の継ぎ部材40がタッピングねじ62,63によってフランジ32,33に接合され、継ぎ部材40と木製の側材17が前後に重なり合って互いに接合されており、その側材17が壁パネル本体11の側面に接合されているため、壁パネル本体11が鉄骨柱本体31に取り付けられて固定される。継ぎ部材40及び側材17が鉄骨柱本体31の側面と壁パネル本体11の側面の間の継ぎ目に収まることから、壁パネル本体11と鉄骨柱本体31の間における納まりが良い上、壁パネル本体11が鉄骨柱本体31に強固に取り付けられる。
【0066】
継ぎ部材40及び側材17が鉄骨柱本体31の側面と壁パネル本体11の側面の間の継ぎ目に収まることから、その継ぎ目における熱貫流を抑えることができる。
【0067】
フランジ32,33が鉄骨柱本体31の前面及び後面に対して斜めに、鉄骨柱本体31の側面から張り出しており、壁パネル本体11がフランジ32,33に対して平行な方向に沿っている。屋外においては、鉄骨柱本体31と壁パネル本体11との継ぎ目が成す角部が出隅となっており、屋外の雪がその角部に留まりにくい。風が角部に当たって角部の両側に分かれやすく、鉄骨柱本体31及び壁パネル本体11が受ける風圧が軽減されることから、接合構造1が傷みにくい。
【0068】
継ぎ部材40がフランジ32,33の間に挟まれ、継ぎ部材40がタッピングねじ62,63によってフランジ32,33に接合されているため、継ぎ部材40が鉄骨柱本体31に強固に連結され、強いては壁パネル本体11が鉄骨柱本体31に強固に連結される。
【0069】
スチフナ34がフランジ32,33の間において鉄骨柱本体31及びフランジ32,33に溶接されているため、継ぎ部材40がフランジ32,33の間に挿入される際に継ぎ部材40がスチフナ34に支えられる。よって、タッピングねじ62,63によって継ぎ部材40をフランジ32,33に安定して接合することができる。
【0070】
屋外においてカバー50がフランジ32及び側材17を覆っているため、鉄骨柱本体31と壁パネル本体11の間の継ぎ目がカバー50によって保護される。また、タッピングねじ62の腐食及び劣化などが抑えられる。
【0071】
タッピングねじ62の頭部がカバー50の凹部51に収まっているため、ねじ52の頭部が突き出ていても、カバー50が安定してフランジ32及び側材17を覆う。
【0072】
接合構造1が建物の1階の外周に適用されおり、鉄骨柱本体31が建物に作用する荷重を負担する構造材として利用されている。そのため、この接合構造1は、建物の長寿命化に貢献する。この接合構造1を利用した長い寿命の建物は、地球上の限りある資源の無駄遣いの抑制に貢献するともに、廃材の発生の抑制に貢献する。
接合構造1の一部には木材が利用されているところ、樹木の生育から木材の製造までに至る使用エネルギー量及び排出二酸化炭素量は、鉄鋼などのような工業製品の原材料の採取から製造までに至る使用エネルギー量及び排出二酸化炭素量よりも少ない。従って、接合構造1は、世界的な二酸化炭素の排出量の抑制と、世界的な省エネルギーによる持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)との達成に一翼を担う。
【0073】
(8) 変形例
上記壁パネル10に代えて木製架構が継ぎ部材40、フランジ32,33及びスチフナ34を介して鉄骨柱本体31に接合されてもよい。この場合、側材17の角材19が木製の柱であってもよい。角材19が架構本体の側面に接合されるところ、角材19が直接される対象は、架構本体の柱と梁のどちらであってもよい。
【0074】
壁パネル本体11が木製でなくてもよく、例えば軽量気泡コンクリート製であってもよい。
壁パネル10及び木製架構以外の建材が継ぎ部材40、フランジ32,33及びスチフナ34を介して鉄骨柱本体31に接合されてもよい。
【0075】
<第2実施形態>
(1) 接合構造の概要
図5は、接合構造101の水平断面図である。
図6は、接合構造101の分解図である。
図7は、屋外から見た接合構造101の正面図である。
図7では、フランジ132Rを視認できるようにすべく、フランジ132Rに重なった継ぎ部材140R、側材117R、鋼板116R及び詰め物169Rの図示が省略されている。フランジ132Lについても同様である。
【0076】
接合構造101は、木製の壁パネル100R,100Lと鉄骨柱30が互いに接合された異種材接合構造である。接合構造101は、建物の外周の構成要素である。接合構造101は、例えば建物の1階の外周に適用される。以下の説明において各部材の前面とは、建物の外側に向いた面をいい、各部材の後面とは、建物の内側に向いた面をいう。
【0077】
接合構造101は、壁パネル100R,100L、鉄骨柱30、継ぎ部材140R,140L及びカバー150を備える。壁パネル100Rと鉄骨柱30の接合は、壁パネル100Lと鉄骨柱30の接合に対して左右対称である。そのため、以下では、壁パネル100Rと鉄骨柱30の接合について主に説明する。
【0078】
(2) 壁パネル
壁パネル100Rは木製の建材である。壁パネル100Rは壁パネル本体111R及び側材117Rを有し、壁パネル本体111Rは矩形枠体112R、面材113R,114R及び断熱材115Rを有し、側材117Rは角材118R,119Rを有する。
【0079】
壁パネル本体111Rが第1実施形態の壁パネル本体11と同様に組み立てられているため、矩形枠体112R、面材113R,114R及び断熱材115Rの詳細な説明を省略する。
【0080】
側材117Rは木製である。側材117Rは、壁パネル本体111Rの側面、つまり、矩形枠体112Rの縦框の側面に接合されている。側材117Rは、壁パネル本体111Rの側面に沿って上下に延びている。
【0081】
側材117Rの第一角材118Rは、矩形状の水平断面形状を有した木製棒材である。側材117Rの第二角材119Rは、矩形状の水平断面形状を有した木製棒材である。第二角材119Rは、例えば接着剤、ビス及び釘などような接合材によって、第一角材118Rの後面に接合されている。第二角材119Rは第一角材118Rよりも細く、第二角材119Rの幅が第一角材118Rの幅よりも小さい。第二角材119Rの側面は第一角材118Rの側面と面一になっている。それら角材118R,119Rの側面は、例えば接着剤、ビス及び釘などような接合材によって、壁パネル本体111Rの側面、つまり、矩形枠体112Rの縦框の側面に接合されている。第二角材119R及び壁パネル本体111Rの前面は、アルミニウム・亜鉛合金めっきの鋼板116Rが貼り付けられている。
【0082】
(3) 鉄骨柱
鉄骨柱130は、鉄骨柱本体131、鋼製のフランジ132R,132Lを有する。
【0083】
鉄骨柱本体131は角形鋼管によって構成されている。鉄骨柱本体131の前板131aが建物の外側に向き、鉄骨柱本体131の後ろ板131bが建物の内側に向き、鉄骨柱本体131の側板131cが壁パネル100Lの側面に向き、鉄骨柱本体131の側板131dが壁パネル100Rの側面に向き、鉄骨柱本体131の中空131eが板131a~131dによって囲われている。
【0084】
鉄骨柱本体131の側板131dが第一角材118Rに突き当てられている。鉄骨柱本体131の側板131dが第二角材119Rから離間しており、鉄骨柱本体131の側板131dと第二角材119Rとの間の隙間には、詰め物169Rが充填されている。詰め物169Rは例えば樹脂製又はセメント製であってよい。
【0085】
フランジ132Rは、鋼製のアングルの二つのウエブのうち一方のウエブによって構成されている。具体的には、アングルの他方のウエブが鉄骨柱本体131の側板131dに面接触してその側板131dに溶接され、或いはビス等によって固定され、アングルの一方のウエブ(フランジ132Rに相当)が鉄骨柱本体131の側板131dに対して垂直に立っている。フランジ132Rは、鉄骨柱本体131の側面から張り出している。フランジ132Rは、縦横に広がるよう帯板状に形成されているとともに、鉄骨柱本体131の前板131a及び後ろ板131bに対して平行である。フランジ132Rの幅は、側材117Rの第一角材118Rの幅に等しい。フランジ132Rは、継ぎ部材140Rをフランジ132Rに固定するタッピングねじ162Rが通される孔133aRを有する。
【0086】
フランジ132Rのエッジは、壁パネル本体111Rの側面に突き当てられている。フランジ132Rは、壁パネル本体111Rの後面から奥まっている。フランジ132Rは、鉄骨柱本体131と後述の継ぎ部材140Rを接合する継ぎ金具である。
【0087】
フランジ132Rが鉄骨柱本体131の側板131dに取り付けられるのと同様にして、フランジ132Lが鉄骨柱本体131の側板131cに取り付けられている。フランジ132Lは、鉄骨柱本体131と後述の継ぎ部材140Lを接合する継ぎ金具である。
【0088】
(4) 継ぎ部材
継ぎ部材140Rは、矩形状の水平断面形状を有した木製の角材によって構成されている。継ぎ部材140Rは、フランジ132Rと鉄骨柱本体131の側板131dが成す入り隅に嵌め込まれている。継ぎ部材140Rは、鉄骨柱本体131の側板131dに面接触する接触面141aと、側材117Rの第一角材118Rに面接触する接触面141bと、フランジ132Rに面接触する接触面141cと、壁パネル本体111Rの側面に面接触する突き当て面141dと、を有する。突き当て面141dは、フランジ132Rのエッジに揃っている。
【0089】
継ぎ部材140Rの接触面141cがフランジ132Rの前面に突き当てられて、継ぎ部材140Rがタッピングねじ162Rによってフランジ132Rに固定されている。
【0090】
継ぎ部材140Rと側材117Rの第一角材118Rが前後に重なり合い、継ぎ部材140Rが第一角材118Rの後ろに引っ掛けられている。継ぎ部材140Rはビス164Rによって第一角材118Rに接合されている。釘又は接着剤がビス164Rの代わりに採用されてもよい。
【0091】
継ぎ部材140Rが壁パネル本体111Rの側面に突き当てられている。継ぎ部材140Rが接着剤によって壁パネル本体111Rの側面に接着されてもよい。
【0092】
(5) カバー
カバー150は、建物の内側において鉄骨柱本体131を覆い隠すとともに、建物の内側の空間を鉄骨柱本体131から断熱する。カバー150は、壁パネル本体111Rの後面から奥まったフランジ132Rの後面を被覆して、タッピングねじ162Rの頭部を覆い隠す。
【0093】
カバー150は、化粧板151、断熱材152、スタッド153R,154R,155R,153L,154L,155L及び化粧板156R,157R,156L,157Lを有する。カバー150が左右対称に設けられているため、主にカバー150の右部について説明し、カバー150の左部の説明を省略する。
【0094】
化粧板151は、上下左右に広がった帯板状に設けられている。化粧板151は、鉄骨柱本体131のの後ろ板131bから離れているとともに、後ろ板131bに対向している。
【0095】
スタッド153R,154R,155Rは、互いに平行に設けられているとともに、角柱状に組み立てられている。スタッド153Rは、化粧板151の右のエッジに沿って延びているとともに、化粧板151の前面に貼り付けられている。スタッド153R,154RはL字型に組まれている。つまり、スタッド154Rが、スタッド153Rの前面に貼り付けられて固定されているとともに、スタッド153Rの前面の右のエッジから右へ張り出している。スタッド154Rは、壁パネル本体111Rの後面に突き当てられてるとともに、フランジ132Rの後面から離間してフランジ132Rを被覆する。スタッド154Rは、タッピングねじ162Rの頭部を覆い隠す。スタッド154Rは、ビス158Rによって壁パネル本体111Rの矩形枠体112Rに固定されている。スタッド155Rは、スタッド153R,154Rが成す入り隅に嵌められている。スタッド155Rは、ビス159Rによってスタッド153Rに固定されている。
【0096】
右のスタッド153R,154Rが左のスタッド153L,154Lから右に離間している。鉄骨柱本体131が部分的に右のスタッド153R,154Rと左のスタッド153L,154Lの間に嵌め込まれている。
【0097】
断熱材152は、化粧板151と鉄骨柱本体131とスタッド153R,153Lによって囲われた空間に装填されている。断熱材152は、例えばグラスウール又はロックウールからなる。
【0098】
化粧板156Rがスタッド155Rの後面に貼り付けられている。化粧板156Rが化粧板151と面一になっている。化粧板157がスタッド154R,155Rの右側面に貼り付けられている。
【0099】
(6) 接合方法
接合構造101の製造方法、つまり鉄骨柱130と壁パネル110R,110Lの接合方法について説明する。
【0100】
鉄骨柱130を準備する。つまり、2体のアングルを鉄骨柱本体131の側板131c,131dにそれぞれ溶接することによって、アングルのウエブをフランジ132R,132Lとして鉄骨柱本体131の2つの側面から横へ突出させる。
【0101】
壁パネル110Rを準備する。つまり、壁パネル本体111Rを組み立て、角材118R,119Rを壁パネル本体111Rの側面に接合する。壁パネル110Lも同様に準備する。
【0102】
継ぎ部材140R,140Lを準備する。
化粧板151にスタッド153R,153Lを貼り付け、スタッド153R,153Lにスタッド154R,154Lを接合し、スタッド153R,154Lの間に断熱材152を装填する。スタッド155Rに化粧板156R,157Rを貼り付け、スタッド155Lに化粧板156L,157Lを貼り付ける。
【0103】
鉄骨柱130を建物の基礎或いは鉄骨梁などのような設置箇所に立て込む、鉄骨柱130の上部に鉄骨梁を敷き込む。
鉄骨柱130の立て込みの前又は後に、継ぎ部材140Rをタッピングねじ162Rによってフランジ132Rに固定する。同様に、継ぎ部材140Lをフランジ132Lに固定する。
フランジ132Rへの継ぎ部材140Rの取り付けの前又は後に、継ぎ部材140Rを側材117Rの第一角材118Rの後ろに引っ掛ける。そして、第一角材118Rをビス164Rによって継ぎ部材140Rに固定する。同様に、左の継ぎ部材140Lを壁パネル110Lに取り付ける。
【0104】
その後、化粧板151とスタッド153R,154R,153L,154Lと断熱材152からなる組立体を鉄骨柱130の後ろにセットして、鉄骨柱本体131を部分的に右のスタッド153R,154Rと左のスタッド153L,154Lの間に嵌め込み、スタッド154R,154Lを壁パネル110R,110Lの壁パネル本体の後面にそれぞれ突き当てる。この際、タッピングねじ162Rの頭がスタッド154Rによって覆われて隠される。
そして、スタッド154Lをビス158Rによって壁パネル本体111Rの後面に固定する。同様に、スタッド154Lを壁パネル110Lの壁パネル本体の後面に固定する。
【0105】
次に、スタッド153R,154Rが成す入り隅にスタッド155Rを嵌めて、化粧板157Rをスタッド154Rに当て、化粧板156Rを化粧板151と面一にする。そして、ビス159Rによってスタッド155Rをスタッド153Rに固定する。同様に、スタッド155L及び化粧板156L,157Lからなる組立体をスタッド153Lに固定する。
【0106】
次に、鋼板116Rを第二角材119R及び壁パネル本体111Rの前面に貼り付ける。左の壁パネル110Lに対しても同様に処理する。
次に、鉄骨柱本体131の側板131dと第二角材119Rとの間の隙間に詰め物169Rを充填する。鉄骨柱本体131の側板131cと左の壁パネル110Lとの間の隙間にも同様に処理する。
【0107】
(7) 有利な効果
鋼製のフランジ132Rが鉄骨柱本体131の側面に溶接されるとともにその側面から張り出し、木製の継ぎ部材140がタッピングねじ162Rによってフランジ132Rに接合され、継ぎ部材140と木製の側材117が前後に重なり合って互いに接合されており、その側材117が壁パネル本体111Rの側面に接合されている。そのため、壁パネル本体111Rの材種が鉄骨柱本体131の材種と異なっていても、壁パネル本体111Rが鉄骨柱本体131に取り付けられて固定される。継ぎ部材140R及び側材117Rが鉄骨柱本体131の側面と壁パネル本体111Rの側面の間の継ぎ目に収まることから、壁パネル本体111Rと鉄骨柱本体131の間における納まりが良い上、壁パネル本体111Rが鉄骨柱本体131に強固に取り付けられる。
【0108】
継ぎ部材140及び側材117が鉄骨柱本体131の側面と壁パネル本体111Rの側面の間の継ぎ目に収まることから、その継ぎ目における熱貫流を抑えることができる。
【0109】
カバー150が断熱材152を有し、断熱材152が屋内において鉄骨柱本体131を覆うため、鉄骨柱本体131における熱貫流を防止できる。
【0110】
(8) 変形例
上記壁パネル110Rに代えて木製架構が継ぎ部材140R及びフランジ132Rを介して鉄骨柱本体131に接合されてもよい。この場合、側材17が直接される対象は、架構本体の柱と梁のどちらであってもよい。
【0111】
壁パネル本体11が木製でなくてもよく、例えば軽量気泡コンクリート製であってもよい。
壁パネル110R及び木製架構以外の建材が継ぎ部材140R及びフランジ132Rを介して鉄骨柱本体131に接合されてもよい。
【0112】
<第3実施形態>
(1) 接合構造の概要
図8は、接合構造201の水平断面図である。
図9は、接合構造201の分解図である。
【0113】
接合構造201は、鋼製扉210と鉄骨柱230が互いに接合された構造である。接合構造201は、建物の外周の構成要素である。接合構造201は、例えば建物の1階の外周に適用される。以下の説明において各部材の前面とは、建物の外側に向いた面をいい、各部材の後面とは、建物の内側に向いた面をいう。
【0114】
接合構造201は、鋼製扉210、鉄骨柱230及び継ぎ部材240及びカバー250を備える。
【0115】
(2) 鋼製扉
鋼製扉210は鋼製の建材である。鋼製扉210はドア枠211、戸体212、化粧板215,216及び側材217を有する。
【0116】
ドア枠211は鋼製である。ドア枠211が上下一対の鋼製の横枠及び左右一対の鋼製の縦枠を有し、これら横枠及び縦枠が矩形枠型に組まれることによってドア枠211が組み立てられている。ドア枠211は、アルミニウム・亜鉛合金めっき加工されていてもよい。
【0117】
戸体212は鋼製である。戸体212がドア枠211の内側に配置されている。戸体212の側部がヒンジによってドア枠211の縦枠に連結されることによって、戸体212が、ドア枠211の内側を閉塞した閉じ状態と、ドア枠211の内側を開放した開き状態との間で開閉可能になっている。戸体212は、内開きと外開きのどちらであってもよい。戸体212は、アルミニウム・亜鉛合金めっきなどのようなめっき加工されてもよい。
【0118】
側材217は、矩形状の水平断面形状を有した木製角材である。側材217は、ドア枠211の側面に取り付けられている。側材217は、ドア枠211の側面に沿って上下に延びている。
【0119】
化粧板215,216は、側材217の後面及び側面にそれぞれ貼り付けられている。
【0120】
(3) 鉄骨柱
鉄骨柱230は、鉄骨柱本体231、鋼製のフランジ232,233を有する。
【0121】
鉄骨柱本体231は角形鋼管によって構成されている。鉄骨柱本体231の前板231aが建物の外側に向き、鉄骨柱本体231の後ろ板131bが建物の内側に向き、鉄骨柱本体231の側板231dがドア枠211の側面に向き、鉄骨柱本体231の側板231cがドア枠211の反対側に向き、鉄骨柱本体231の中空231eが板231a~231dによって囲われている。
【0122】
フランジ233は、第2実施形態におけるフランジ132Rと同様に、鋼製のアングルの二つのウエブのうち一方のウエブによって構成されている。フランジ233は、鉄骨柱本体231の側面から張り出している。フランジ233は、鉄骨柱本体231の前板231a及び後ろ板231bに対して平行な帯板状に成している。フランジ233は、継ぎ部材240をフランジ233に固定するタッピングねじ23が通される孔を有する。
【0123】
フランジ232は、第2実施形態におけるフランジ132Rと同様に、鋼製のアングルの二つのウエブのうち一方のウエブによって構成されている。フランジ232は、鉄骨柱本体231の側面から張り出している。フランジ232とフランジ233は互いに平行である。フランジ232は、フランジ233よりも建物の外側に配置されている。
【0124】
フランジ232,233は、鉄骨柱本体231と後述の継ぎ部材240を接合する継ぎ金具である。
【0125】
(4) 継ぎ部材
継ぎ部材240は、ほぼ矩形状の水平断面形状を有した木製の角材によって構成されている。継ぎ部材240は、フランジ232,233の間に嵌め込まれているとともに、フランジ232,233との間から横に突き出ている。継ぎ部材240は、タッピングねじ262によってフランジ232に固定されているとともに、タッピングねじ263によってフランジ233に固定されている。
【0126】
継ぎ部材240は、鉄骨柱本体231の側板231dに面接触する接触面241aと、フランジ232に面接触する接触面241bと、接触面241bと同一方向を向いた面241eと、フランジ233及び側材217に面接触する接触面241cと、ドア枠211の側面に面接触する突き当て面241dと、を有する。接触面241bと面241eの間には段差があり、接触面241bが面241eに対して一段低く、接触面241bが、面241eから凹んだ凹部の底になっている。フランジ232及びタッピングねじ262の頭部が凹部に収まっている。
【0127】
継ぎ部材240はビス、釘及び接着剤などのような接合材によって側材217に接合されている。
【0128】
(5) カバー
カバー250は、ドア枠211の前面から奥まった継ぎ部材240及びフランジ232の前面を被覆して、タッピングねじ262の頭部を覆い隠す。カバー250は合板252,254及び鋼板255を有する。
【0129】
合板252は、ドア枠211の前面から奥まった継ぎ部材240及びフランジ232の前面を被覆して、タッピングねじ262の頭部を覆い隠す。合板252は、継ぎ部材240に接着されていてもよい。合板254は、合板252の前面に接着されている。合板254は、合板252の幅よりも狭い幅を有する。鋼板255は合板254の前面に貼り付けられている。鋼板255は、合板254の前面及びエッジを覆う。鋼板255は、アルミニウム・亜鉛合金めっき加工されている。より具体的には、鋼板255はガルバリウム鋼板(登録商標)である。
【0130】
合板254の片方のエッジと鉄骨柱本体231の側板231dとの間の隙間には、詰め物258が充填されている。合板254のもう片方のエッジとドア枠211の側面との間の隙間には、詰め物259が充填されている。詰め物258,259は例えば樹脂製又はセメント製であってよい。
【0131】
(6) 接合方法
接合構造201の製造方法、つまり鉄骨柱230と鋼製扉210の接合方法について説明する。
【0132】
鉄骨柱230を準備する。つまり、2体のアングルを鉄骨柱本体231の側板131dに溶接することによって、アングルのウエブをフランジ232、233として鉄骨柱本体131の側面から横へ突出させる。
【0133】
鋼製扉210を準備する。つまり、側材217をドア枠211の側面に取り付け、化粧板215,216を側材217の後面及び側面にそれぞれ貼り付け、戸体212をドア枠211に取り付ける。なお、戸体212の取付を後に行ってもよい。また、化粧板215,216の貼り付けも後に行ってもよい。
【0134】
継ぎ部材240を準備する。
カバー250を準備する。つまり、鋼板255を合板254に貼り付け、合板252を合板254に接着する。
【0135】
鉄骨柱230を建物の基礎或いは鉄骨梁などのような設置箇所に立て込む、鉄骨柱230の上部に鉄骨梁を敷き込む。
鉄骨柱230の立て込みの前又は後に、継ぎ部材240をフランジ232,233の間に嵌め込み、継ぎ部材240をタッピングねじ262によってフランジ232に固定し、継ぎ部材240をタッピングねじ263によってフランジ233に固定する。
【0136】
フランジ232,233の間への継ぎ部材240の嵌め込みの前又は後に、継ぎ部材40を側材217の前に引っ掛けるとともに、継ぎ部材240をドア枠211の側面に突き当てる。そして、継ぎ部材240と側材217を接合材によって互いに接合する。
【0137】
継ぎ部材240をフランジ232,233に固定後、且つ、継ぎ部材240と側材217の接合後、カバー250を継ぎ部材240及びフランジ232の前面に覆い被せる。この際、タッピングねじ262の頭部をカバー250によって覆い隠す。カバー250の合板252を継ぎ部材240に接着してもよい。
【0138】
合板254の片方のエッジと鉄骨柱本体231の側板31dとの間の隙間に詰め物258を充填する。合板254のもう片方のエッジとドア枠211の側面との間の隙間に詰め物259を充填する。
【0139】
(7) 有利な効果
鋼製のフランジ232,233が鉄骨柱本体231の側面に溶接されるとともにその側面から張り出し、木製の継ぎ部材240がタッピングねじ262,263によってフランジ232,233に接合され、継ぎ部材240と木製の側材217が前後に重なり合って互いに接合されており、その側材217がドア枠211の側面に接合されているため、鋼製扉210が鉄骨柱本体231に取り付けられて固定される。継ぎ部材240及び側材217が鉄骨柱本体231の側面とドア枠211の側面の間の継ぎ目に収まることから、ドア枠211と鉄骨柱本体231の間における納まりが良い上、鋼製扉210が鉄骨柱本体231に強固に取り付けられる。
【0140】
継ぎ部材240がフランジ232,233の間に挟まれ、継ぎ部材240がタッピングねじ262,263によってフランジ232,233に接合されているため、継ぎ部材240が鉄骨柱本体231に強固に連結され、強いては鋼製扉210が鉄骨柱本体231に強固に連結される。そのため、接合構造201は、鋼製扉210の開閉時の振動及び衝撃等に耐え得る。
【0141】
屋外においてカバー250がフランジ232及び継ぎ部材240を覆っているため、鉄骨柱本体231とドア枠211の間の継ぎ目がカバー250によって保護される。また、タッピングねじ262の腐食及び劣化などが抑えられる。
【0142】
継ぎ部材240の接触面241bが面241eに対して一段低く、接触面241cが面241eから凹んだ凹部の底になっており、その凹部にはフランジ232及びタッピングねじ262の頭部が収まっている。そのため、カバー250が安定してフランジ232及び継ぎ部材240を覆う。
【0143】
<第4実施形態>
(1) 床構造の概要
図10は、床構造300の骨格を示す平面図である。
図11は、
図10に示すXI-XIに沿った面を矢印方向に見て示した断面図である。
図12は、
図10に示すXII-XIIに沿った面を矢印方向に見て示した断面図である。
図13及び
図14は、床構造300の鉛直断面図である。
図13に示す断面の位置は、
図11に示す断面の位置と同一である。
図14に示す断面は、
図11及び
図12に示す断面に対して垂直である。
図15は、床構造300の断熱構造305の分解図である。
【0144】
床構造300は、建物の1階の床に適用されている。特に、床構造300は、建物の1階と上階の間で昇降する簡易リフト用かごの下方の床に適用される。簡易リフト用かごが下降して、床構造300上に着床する。そのため、床構造300は、簡易リフトのピットとも言える。なお、床構造300が1階の床ではなく、2階以上の階の床に適用されてもよい。また、床構造300は簡易リフトのピット以外に適用されてもよい。
【0145】
床構造300は、鉄骨梁391~394、複数の土台397、複数の床パネル398、一対の第二鉄骨梁330、第二床パネル380及び一対の断熱構造305を備える。
【0146】
(2) 鉄骨梁
鉄骨梁391~394が、基礎390上において格子状に組まれた床梁である。鉄骨梁391~394はH型鋼などによって構成されている。鉄骨梁391が基礎390上に設けられており、鉄骨梁392が鉄骨梁391に対して平行に基礎間に架設されている。鉄骨梁391,392の梁成は、鉄骨梁393,394の梁成よりも大きい。鉄骨梁393の一端がブラケット395により鉄骨梁391に連結され、鉄骨梁393の他端がブラケット396によって鉄骨梁392に連結されている。鉄骨梁394の両端も同様に鉄骨梁391,392にそれぞれ連結され、鉄骨梁393,394が互いに平行に鉄骨梁391,392の間に架設されている。鉄骨梁393,394の上面は鉄骨梁391,392の上面と面一になっている。これら鉄骨梁391~394によって囲まれた矩形状領域は、簡易リフト用かごが着床する領域となる。
【0147】
(3) 土台
土台397は木製である。土台397は鉄骨梁391~394上に設置されている。土台397は格子状に組まれている。
【0148】
(4) 床パネル
床パネル398は木製である。床パネル398は木製の矩形枠体、一又は複数の木製の補助桟材、一対の木製の面材及び断熱材を有する。矩形枠体は、4本の框材を矩形枠状に組み立てたものである。補助桟材は、矩形枠体の内側において矩形枠体に組み付けられている。面材は、矩形枠体によって囲われた領域に覆い被さるとともに、矩形枠体の上面及び下面にそれぞれ貼り付けられている。断熱材は、矩形枠体の内側に装填されている。
【0149】
床パネル398は鉄骨梁391~394によって囲まれた領域の外側において、土台397とその隣りの土台との間に設けられている。床パネル398は、建物の1階の床を構成する。
【0150】
(4) 第二鉄骨梁
2体の第二鉄骨梁330はH型鋼などによって構成されている。第二鉄骨梁330は、鉄骨梁393,394の間に配置されていて、ピットの下にある。第二鉄骨梁330の一端がブラケット337により鉄骨梁391に連結され、第二鉄骨梁330の他端がブラケット338によって鉄骨梁392に連結され、第二鉄骨梁330が互いに平行に鉄骨梁391,392の間に架設されている。第二鉄骨梁330の梁成は、鉄骨梁391~394の梁成よりも小さい。
第二鉄骨梁330の上面は鉄骨梁391~394の上面よりも一段低くなっている。
【0151】
一方の第二鉄骨梁330が鉄骨梁393に寄ってその鉄骨梁393に対して平行に設けられており、第二鉄骨梁330と鉄骨梁393の間に僅かな間隔375が存在するとともに、その第二鉄骨梁330の下面と鉄骨梁393の下面との間には段差がある。
他方の第二鉄骨梁330が鉄骨梁394に寄ってその鉄骨梁394に対して平行に設けられており、第二鉄骨梁330と鉄骨梁394の間に僅かな間隔376が存在するとともに、その第二鉄骨梁330の下面と鉄骨梁393の下面との間には段差がある。
【0152】
(5) 第二床パネル
第二床パネル380は木製である。第二床パネル380は木製の矩形枠体382、一又は複数の木製の補助桟材386、木製の面材383,384及び断熱材385を有する。矩形枠体382は、4本の框材を矩形枠状に組み立てたものである。補助桟材386は、矩形枠体382の内側において矩形枠体382に組み付けられている。面材383,384は、矩形枠体382によって囲われた領域に覆い被さるとともに、矩形枠体382の上面及び下面にそれぞれ貼り付けられている。断熱材385は、矩形枠体382の内側に装填されている。
【0153】
第二床パネル380は、鉄骨梁391~394によって囲まれた領域内において、第二鉄骨梁330上に敷設されているとともに第二鉄骨梁330間に架け渡されている。第二床パネル380の枠体382は、ボルトナット締結部によって第二鉄骨梁330の上フランジに固定されている。具体的には、ナットは第二鉄骨梁330の上フランジの下面に溶接され、ボルトが第二床パネル380の上から床パネル380及び上フランジの穴を通ってナットに締結されている。
【0154】
第二床パネル380はピットの下の床を構成し、下降した簡易リフト用かごが第二床パネル380上に載る。なお、床構造300が簡易リフトのピット以外に適用された場合、ユニットバスが第二床パネル380の上に設置され、床パネル398の床面がユニットバスの床面と面一となり、これら床面の間に段差がなくてもよい。
【0155】
(6) 断熱構造
2体の断熱構造305のうち一方は、一方の第二鉄骨梁330及び鉄骨梁393において、つまり第二床パネル380と床パネル398の間において、建物の外側と内側を断熱する。2体の断熱構造305のうち他方は、他方の第二鉄骨梁330及び鉄骨梁394において、つまり第二床パネル380と床パネル398の間において、建物の外側と内側を断熱する。
【0156】
2体の断熱構造305は互いに対称である。そのため、一方の断熱構造305について詳細に説明する。
【0157】
断熱構造305は、継ぎ金具331,332,333、継ぎ部材341,342,343及び断熱材311,312,313を有する。断熱構造305は、第二鉄骨梁330と断熱材311を互いに接合する接合構造を有する。更に、断熱構造305は、第二鉄骨梁330と断熱材312を互いに接合する接合構造を有する。断熱構造305は、鉄骨梁393と断熱材312を互いに接合する接合構造を有する。
【0158】
継ぎ金具331は第二鉄骨梁330に備わっている。具体的には、第二鉄骨梁330の本体がH型鋼であり、継ぎ金具331が、第二鉄骨梁330の本体の上フランジとウエブによって挟まれる入り隅に溶接により取り付けられている。継ぎ金具331がチャネル型、つまりコ字型に形作られており、継ぎ金具331の溝部が第二鉄骨梁330の本体のウエブに向けられて、第二鉄骨梁330の本体のウエブが継ぎ金具331の溝部を被覆して塞いでいる。継ぎ金具331が薄く、ビス等が継ぎ金具331に打ち込まれやすい。
【0159】
継ぎ部材341は、矩形状の鉛直断面を有した木製の角材によって構成されている。継ぎ部材341は、第二鉄骨梁330の本体の上フランジの下において、ビス361によって継ぎ金具331の側面に固定されている。継ぎ部材341は、第二鉄骨梁330の軸方向に沿って延びている。継ぎ部材341の側面は、第二鉄骨梁330の本体の上フランジのエッジに揃っている。
【0160】
断熱材311は、発泡樹脂、グラスウール又はロックウールなどによって構成された建材である。断熱材311は、接着剤などのような接合材によって継ぎ部材341に接合されている。断熱材311の上端は、第二床パネル380の下面に突き当てられている。断熱材311の上端は、接着剤などのような接合材によって第二床パネル380の下面に接合されてもよい。
【0161】
継ぎ金具332は第二鉄骨梁330に備わっている。具体的には、第二鉄骨梁330の本体がH型鋼であり、継ぎ金具332が、第二鉄骨梁330の本体の下フランジの下面に溶接により取り付けられている。継ぎ金具332がチャネル型、つまりコ字型に形作られており、継ぎ金具332の溝部が第二鉄骨梁330の本体の下フランジに向けられて、第二鉄骨梁330の本体の下フランジが継ぎ金具332の溝部を被覆して塞いでいる。継ぎ金具332が薄く、ビス等が継ぎ金具332に打ち込まれやすい。
【0162】
継ぎ部材342は、矩形状の鉛直断面を有した木製の角材によって構成されている。継ぎ部材342は、タッピングねじ262によって継ぎ金具332の下面に固定されている。継ぎ部材342は、第二鉄骨梁330の軸方向に沿って延びている。
【0163】
継ぎ金具333は鉄骨梁393に備わっている。具体的には、鉄骨梁393の本体がH型鋼であり、継ぎ金具333が、鉄骨梁393の本体の下フランジの下面に溶接により取り付けられている。継ぎ金具333がチャネル型、つまりコ字型に形作られており、継ぎ金具333の溝部が鉄骨梁393の本体の下フランジに向けられて、鉄骨梁330の本体の下フランジが継ぎ金具332の溝部を被覆して塞いでいる。
【0164】
継ぎ金具333の下面は継ぎ金具332の下面と高さが揃っており、継ぎ金具333の下面は継ぎ金具332の下面と面一になっている。継ぎ金具333が薄く、ビス等が継ぎ金具333に打ち込まれやすい。
【0165】
継ぎ部材343は、矩形状の鉛直断面を有した木製の角材によって構成されている。継ぎ部材343は、タッピングねじ263によって継ぎ金具333の下面に固定されている。継ぎ部材343は、鉄骨梁393の軸方向に沿って延びている。継ぎ部材343の下面は継ぎ部材342の下面と高さが揃っており、継ぎ部材343の下面は継ぎ部材342の下面と高さと面一になっている。
【0166】
断熱材312は、発泡樹脂、グラスウール又はロックウールなどによって構成された建材である。断熱材312は、接着剤などのような接合材によって継ぎ部材342及び継ぎ部材343の下面に接合されている。断熱材312の両側部が接着剤などのような接合材によって断熱材311,313に接合されてもよい。
【0167】
断熱材313は、発泡樹脂、グラスウール又はロックウールなどによって構成された建材である。断熱材313は、接着剤などのような接合材によって継ぎ部材343に接合されている。また、断熱材313は、接着剤などのような接合材によって鉄骨梁393上の土台397の側面に接合されてもよい。断熱材313の上端は、床パネル398の下面に突き当てられている。断熱材313の上端は、床パネル398の下面に突き当てられている。断熱材313の上端は、接着剤などのような接合材によって床パネル398の下面に接合されてもよい。
【0168】
断熱材311~313がチャネル型、つまりコ字型に組まれている。断熱材311~313が成す溝部には、鉄骨梁393、第二鉄骨梁330、継ぎ金具331,332,333及び継ぎ部材341,342,343が収容されている。
【0169】
(6-2) 接合方法
鉄骨梁330,393と断熱材311,312,313の接合方法について説明する。
H型鋼の下フランジの下面に継ぎ金具332を接合して、H型鋼の上フランジとウエブによって挟まれる入り隅に継ぎ金具331を溶接する。これにより、第二鉄骨梁330を準備する。
H型鋼の下フランジの下面に継ぎ金具333を溶接する。これにより、鉄骨梁393を準備する。
【0170】
鉄骨梁393及び第二鉄骨梁330を互いに平行に鉄骨梁391,392の間に架設する。
【0171】
継ぎ部材341を第二鉄骨梁330の本体の上フランジの下においてビス361によって継ぎ金具331の側面に固定する。
継ぎ部材342をビス362によって継ぎ金具332の下面に固定する。
継ぎ部材343をビス363によって継ぎ金具333の下面に固定する。
【0172】
断熱材311を接着剤などのような接合材によって継ぎ部材341に接合する。
断熱材312を接着剤などのような接合材によって継ぎ部材342及び継ぎ部材343の下面に接合する。
断熱材313を接着剤などのような接合材によって継ぎ部材343及び土台397に接合する。
【0173】
(7) 有利な効果
段差が第二床パネル380と床パネル398の間にあるため、第二床パネル380と床パネル398の間における熱貫流が生じやすい。そうであっても、第二床パネル380と床パネル398の間における熱貫流が断熱構造305によって抑えられる。これは、第二床パネル380と床パネル398の間の部分が断熱材311,312,313によって下から覆われて、第二床パネル380と床パネル398の間の隙間が断熱材311,312,313によって密閉されるためである。
【0174】
鉄骨梁393,330のH型鋼の下フランジの下面の間には段差があることから、断熱材312をH型鋼の下面に取り付けづらい。そうであっても、継ぎ金具332,333の下面の高さが揃っているとともに継ぎ部材342,344の下面の高さが揃っていることは、断熱材312をH型鋼に安定して取り付けることに貢献する。
【0175】
継ぎ金具331,332,333は薄いため、継ぎ部材341,342,343をビス361,362,363によって継ぎ金具331,332,333に接合することができる。
【0176】
木製の継ぎ部材341,342,344があるため、断熱材311,312,313を鉄骨梁393,330のH型鋼に取り付けやすい。
【符号の説明】
【0177】
1:接合構造
10:壁パネル(建材)
11:壁パネル本体
17:側材
30:鉄骨柱(鉄骨)
31:鉄骨柱本体(鉄骨本体)
32:フランジ(継ぎ金具)
33:第二フランジ
34:スチフナ
40:継ぎ部材
50:カバー
51:(凹部)
62:ねじ
63:第二ねじ
101:接合構造
110R:壁パネル(建材)
111R:壁パネル本体
117R:側材
130:鉄骨柱(鉄骨)
131:鉄骨柱本体(鉄骨本体)
132R:フランジ(継ぎ金具)
140R:継ぎ部材
162R:ねじ,
164R:第三ねじ
201:接合構造
210:鋼製扉(建材)
211:ドア枠
212:戸体
217:側材
230:鉄骨柱(鉄骨)
231:鉄骨柱本体(鉄骨本体)
232:フランジ(継ぎ金具)
233:第二フランジ
240:継ぎ部材
262:ねじ
263:第二ねじ
312:断熱材(建材)
330:鉄骨梁(鉄骨)
332:継ぎ金具
333:継ぎ金具
393:鉄骨梁(鉄骨)
362:ビス(ねじ)
363:ビス(ねじ)
【要約】
【課題】本発明の目的は、建材と鉄骨との間における納まりを良くすることである。
【解決手段】鋼製のフランジ32,33が鉄骨柱本体31の側面に溶接されるとともに、鉄骨柱本体31の側面から斜めに張り出し、木製の継ぎ部材40がフランジ32,33の間に挟まれているとともにタッピングねじ62,63によってフランジ32,33に接合され、継ぎ部材40がフランジ32,33の間から張り出して、その張り出した部分と側材17が前後に重なり合って互いに接合され、側材17が壁パネル本体11の側面に接合されている。
【選択図】
図2