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特許7419597プログラム、通信端末および通信システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】プログラム、通信端末および通信システム
(51)【国際特許分類】
   H04W 76/10 20180101AFI20240115BHJP
   H04W 4/00 20180101ALI20240115BHJP
   H04W 88/02 20090101ALI20240115BHJP
   H04W 92/08 20090101ALI20240115BHJP
   H04W 84/12 20090101ALI20240115BHJP
   H04W 84/10 20090101ALI20240115BHJP
【FI】
H04W76/10
H04W4/00 110
H04W88/02 110
H04W92/08 110
H04W84/12
H04W84/10 110
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2023132026
(22)【出願日】2023-08-14
(62)【分割の表示】P 2022152554の分割
【原出願日】2015-02-18
(65)【公開番号】P2023145808
(43)【公開日】2023-10-11
【審査請求日】2023-09-12
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000001007
【氏名又は名称】キヤノン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100125254
【弁理士】
【氏名又は名称】別役 重尚
(72)【発明者】
【氏名】岡村 晋太郎
(72)【発明者】
【氏名】越谷 元樹
【審査官】▲高▼木 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特許第7336578(JP,B2)
【文献】特開2015-001963(JP,A)
【文献】特開2014-107859(JP,A)
【文献】特開2011-087280(JP,A)
【文献】特開2014-090238(JP,A)
【文献】特開2005-210328(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H04B 7/24 - 7/26
H04W 4/00 - 99/00
3GPP TSG RAN WG1-4
SA WG1-4
CT WG1、4
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末に各工程を実行させるプログラムであって、
通信先として設定された画像処理装置との通信を行う複数の機能に対応する複数の選択オブジェクト及び前記通信先として用いる機器の設定処理に進むための第1の設定オブジェクトが配置された表示を表示部に表示させる工程と、
前記表示の表示後に、前記設定処理が行なわれていない場合に、機能を使用するために前記設定処理を促すメッセージ及び前記設定処理に進むための第2の設定オブジェクトを表示させる工程と、を有し、
前記第1の設定オブジェクトは前記通信先として用いる機器が未設定または未選択であることを示唆する情報を含むことを特徴とするプログラム。
【請求項2】
通信端末に各工程を実行させるプログラムであって、
通信先として設定された画像処理装置との通信を行う複数の機能に対応する複数の選択オブジェクト及び前記通信先として用いる機器の設定処理に進むための第1の設定オブジェクトが配置された表示を表示部に表示させる工程と、
前記表示の表示後に、前記設定処理が行なわれていない場合に、機能を使用するために前記設定処理を促すメッセージ及び前記設定処理に進むための第2の設定オブジェクトを表示させる工程と、を有し、
前記第1の設定オブジェクトは前記通信先として用いる機器の設定または未選択を示唆する情報を含むことを特徴とするプログラム。
【請求項3】
通信端末に各工程を実行させるプログラムであって、
通信先として設定された画像処理装置との通信を行う複数の機能に対応する複数の選択オブジェクト及び前記通信先として用いる機器の設定処理に進むための第1の設定オブジェクトが配置された表示を表示部に表示させる工程と、
前記表示の表示後に、前記設定処理が行なわれていない場合に、機能を使用するために前記設定処理を促すメッセージ及び前記設定処理に進むための第2の設定オブジェクトを表示させる工程と、を有し、
前記第2の設定オブジェクトは前記通信先として用いる機器の設定または選択を示唆する情報を含むことを特徴とするプログラム。
【請求項4】
通信端末に各工程を実行させるプログラムであって、
通信先として設定された画像処理装置との通信を行う複数の機能に対応する複数の選択オブジェクト及び前記通信先として用いる機器の設定処理に進むための第1の設定オブジェクトが配置された表示を表示部に表示させる工程と、
前記表示の表示後に、前記設定処理が行なわれていない場合に、機能を使用するために前記設定処理を促すメッセージ及び前記設定処理に進むための第2の設定オブジェクトを表示させる工程と、を有し、
前記画像処理装置は、印刷処理が可能であり、
前記選択オブジェクトとして、前記画像処理装置で前記印刷処理の設定を行うための設定ボタンが配置されることを特徴とするプログラム。
【請求項5】
通信端末に各工程を実行させるプログラムであって、
通信先として設定された画像処理装置との通信を行う複数の機能に対応する複数の選択オブジェクト及び前記通信先として用いる機器の設定処理に進むための第1の設定オブジェクトが配置された表示を表示部に表示させる工程と、
前記表示の表示後に、前記設定処理が行なわれていない場合に、機能を使用するために前記設定処理を促すメッセージ及び前記設定処理に進むための第2の設定オブジェクトを表示させる工程と、を有し、
前記画像処理装置は、スキャン処理が可能であり、
前記選択オブジェクトとして、前記画像処理装置で前記スキャン処理の設定を行うための設定ボタンが配置されることを特徴とするプログラム。
【請求項6】
前記メッセージ及び前記第2の設定オブジェクトは、前記複数の機能のうちの一の機能の利用前に前記表示部に表示されることを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項7】
前記表示の表示後に、前記設定処理が行なわれていない場合に、前記メッセージ及び前記第2の設定オブジェクトとともに、キャンセル指示を行うための表示を前記表示部に表示させることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項8】
前記設定処理は、前記通信先の候補となる機器を検索する工程を含むことを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項9】
前記設定処理は、前記通信先の候補となる機器の一覧を表示する工程を含むことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項10】
前記設定処理は、前記一覧の中から1つの画像処理装置を選択する工程を含むことを特徴とする請求項9に記載のプログラム。
【請求項11】
前記一覧は、複数の画像処理装置の識別情報を含むことを特徴とする請求項9または10に記載のプログラム。
【請求項12】
前記一覧は、受信した無線電波に基づく情報であることを特徴とする請求項9乃至11のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項13】
前記一覧は、受信したBLEのアドバタイジングパケットに基づく情報であることを特徴とする請求項9乃至12のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項14】
前記設定ボタンには、前記印刷処理を示す文字が含まれることを特徴とする請求項4に記載のプログラム。
【請求項15】
前記設定ボタンには、前記スキャン処理を示す文字が含まれることを特徴とする請求項5に記載のプログラム。
【請求項16】
前記通信は無線LAN通信であることを特徴とする請求項1乃至15のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項17】
前記無線LAN通信は、Wi-Fi規格に準拠した通信であることを特徴とする請求項16に記載のプログラム。
【請求項18】
前記通信先として設定される画像処理装置と前記無線LAN通信するための接続情報は、別のプロトコルの無線通信を介して取得されることを特徴とする請求項16または17に記載のプログラム。
【請求項19】
前記別のプロトコルの無線通信はBLE通信であることを特徴とする請求項18に記載のプログラム。
【請求項20】
前記プログラムは、前記通信端末にインストールされるアプリケーションであることを特徴とする請求項1乃至19のいずれか1項に記載のプログラム。
【請求項21】
画像処理装置と通信可能な通信端末であって、
通信先として設定された画像処理装置との通信を行う複数の機能に対応する複数の選択オブジェクト及び前記通信先として用いる機器の設定処理に進むための第1の設定オブジェクトが配置された表示を表示部に表示させる手段と、
前記表示の表示後に、前記設定処理が行なわれていない場合に、機能を使用するために前記設定処理を促すメッセージ及び前記設定処理に進むための第2の設定オブジェクトを表示させる手段と、を有し、
前記第1の設定オブジェクトは前記通信先として用いる機器が未設定または未選択であることを示唆する情報を含むことを特徴とする通信端末。
【請求項22】
画像処理装置と通信端末が通信可能な通信システムであって、
前記通信端末は、
通信先として設定された画像処理装置との通信を行う複数の機能に対応する複数の選択オブジェクト及び前記通信先として用いる機器の設定処理に進むための第1の設定オブジェクトが配置された表示を表示部に表示させる手段と、
前記表示の表示後に、前記設定処理が行なわれていない場合に、機能を使用するために前記設定処理を促すメッセージ及び前記設定処理に進むための第2の設定オブジェクトを表示させる手段と、を有し、
前記第1の設定オブジェクトは前記通信先として用いる機器が未設定または未選択であることを示唆する情報を含むことを特徴とする通信システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プログラム、通信端末および通信システムに関する。
【背景技術】
【0002】
MFP等のデータ通信装置とスマートフォンやタブレットPC等の携帯端末との間で各種データ通信が行われる際、MFPと携帯端末の通信設定に応じて様々な通信規格の無線通信が行われる。データ通信では、大容量データのデータ通信を行う場合には、Wi-Fiを用いたWi-Fi通信等が行われる。一方、機器同士が比較的近く、且つ小容量データのデータ通信を行う場合には、NFC(Near Field Communication)を用いたNFC通信等の近距離無線通信が行われる。近距離無線通信では、Bluetoothを用いた無線通信が広く普及しており、特に、省電力なデータ通信が実行可能なBLE通信が広く用いられる。データ通信が行われる際、用途に応じた適切な無線通信が選択され、選択された無線通信に対応して通信設定が切り替えられる(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
例えば、携帯端末からMFPに印刷処理を実行するための印刷ジョブを送信する際、NFC通信を用いた通信設定の切り替えが行われる。NFC通信では、NFC機能を有する機器同士を近付けるだけで当該機器同士の通信設定が容易に行われ、例えば、MFPに設けられたNFCモジュールに携帯端末をタッチすると、MFPと携帯端末のWi-Fi通信等の通信設定が行われる。これにより、携帯端末は、印刷ジョブが大容量データであっても、Wi-Fi通信を行ってMFPに当該印刷ジョブを送信可能である(例えば、特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2004-364145号公報
【文献】特開2014-050015号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献2の技術において、MFPと携帯端末の通信設定を行うことができない場合がある。例えば、MFPと携帯端末のいずれか一方がNFC機能を有さないと、MFPと携帯端末の間でNFC通信が行えず、その結果、MFPと携帯端末の通信設定を容易に行うことができない。
【0006】
本発明の目的は、通信設定を容易に行うことができるプログラム、通信端末および通信システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明のプログラムは、通信端末に各工程を実行させるプログラムであって、通信先として設定された画像処理装置との通信を行う複数の機能に対応する複数の選択オブジェクト及び前記通信先として用いる機器の設定処理に進むための第1の設定オブジェクトが配置された表示を表示部に表示させる工程と、前記表示の表示後に、前記設定処理が行なわれていない場合に、機能を使用するために前記設定処理を促すメッセージ及び前記設定処理に進むための第2の設定オブジェクトを表示させる工程と、を有し、前記第1の設定オブジェクトは前記通信先として用いる機器が未設定または未選択であることを示唆する情報を含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、通信設定を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の実施の形態に係るデータ通信システムの構成を概略的に示すブロック図である。
図2図1における携帯端末の構成を概略的に示すブロック図である。
図3図1におけるMFPの構成を概略的に示すブロック図である。
図4図1のデータ通信システムで実行されるBLE通信を説明するためのシーケンス図である。
図5図1における携帯端末で実行されるジョブ送信処理の手順を示すフローチャートである。
図6図2における表示部で表示されるジョブ送信アプリの各種操作画面の一例であり、図6(a)はジョブ送信アプリのトップ画面を示し、図6(b)はBluetooth機能を有効にすることを通知する場合を示し、図6(c)はジョブ送信アプリが使用できないことを通知する場合を示し、図6(d)はジョブの送信先が設定されていないことを通知する場合を示し、図6(e)はジョブ送信アプリを終了する場合を示し、図6(f)はジョブの送信先を設定する場合を示す。
図7図1における携帯端末で実行されるリスト生成処理の手順を示すフローチャートである。
図8図1における携帯端末で実行される通信切替処理の手順を示すフローチャートである。
図9A図1における携帯端末で実行される通信設定処理の手順を示すフローチャートである。
図9B図1における携帯端末で実行される通信設定処理の手順を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら詳述する。
【0011】
本実施の形態では、情報処理装置としての携帯端末に本発明を適用した場合について説明するが、本発明の適用先は携帯端末に限られず、無線通信を行うことができる通信機器であれば本発明を適用することができる。
【0012】
図1は、本発明の実施の形態に係るデータ通信システム100の構成を概略的に示すブロック図である。
【0013】
図1において、データ通信システム100は、携帯端末101及びデータ通信装置としてのMFP102を備える。携帯端末101は、コントローラ103、無線LAN通信部104、Bluetooth通信部105、及びUI部106を備える。コントローラ103は、無線LAN通信部104、Bluetooth通信部105、及びUI部106の各構成要素と互いに接続されている。MFP102は、コントローラ107、無線LAN通信部108、Bluetooth通信部109、スキャナ部110、プリンタ部111、及びUI部112を備える。コントローラ107は、無線LAN通信部108、Bluetooth通信部109、スキャナ部110、プリンタ部111、及びUI部112の各構成要素と互いに接続されている。
【0014】
携帯端末101は、スマートフォン等の携帯電話、タブレット型パソコン、ノート型パソコン、及びPDA等である。コントローラ103は、当該コントローラ103に接続された各構成要素を制御する。無線LAN通信部104はWi-Fi通信等の無線LAN通信を行うためのアンテナを含む。例えば、携帯端末101は、無線LAN通信部104を介して無線LAN通信部108を有するMFP102とWi-Fi通信を行い、MFP102へ大容量データである印刷ジョブを送信する。Bluetooth通信部105はBluetoothを用いた無線通信を行うためのアンテナを含む。例えば、携帯端末101はBluetooth通信部105を介してBluetooth通信部109を有するMFP102とBLE通信を行い、MFP102から当該MFP102とのWi-Fi通信の接続を行うための通信設定情報を受信する。UI部106はユーザが携帯端末101を操作するためのユーザインターフェースユニットである。本実施の形態では、ユーザのUI部106の操作によってBLE通信を行う際に用いられる後述するジョブ送信アプリの各種設定が行われる。
【0015】
MFP102は、印刷、スキャン、コピー、及びFAX等の各種機能を有する。コントローラ107は、当該コントローラ107に接続された各構成要素を制御する。無線LAN通信部108はWi-Fi通信等の無線LAN通信を行うためのアンテナを含む。Bluetooth通信部109はBLE通信等のBluetoothを用いた無線通信を行うためのアンテナを含む。スキャナ部110は、コントローラ107から送信された制御信号に基づいてスキャン処理を行う。例えば、スキャナ部110は、図示しない原稿台に配置された原稿の画像情報を読み取り、読み取った画像情報に基づいて画像データを生成し、生成した画像データをコントローラ107へ送信する。プリンタ部111は、コントローラ107から送信された制御信号に基づいて印刷処理を行う。例えば、コントローラ107から送信された画像データに基づいて記録紙に印刷を行う。UI部112はユーザがMFP102を操作するためのユーザインターフェースユニットである。
【0016】
図2は、図1における携帯端末101の構成を概略的に示すブロック図である。
【0017】
図2において、コントローラ103は、CPU201、RAM202、ROM203、記憶装置204、通話部205、表示コントローラ206、操作部コントローラ207、無線LANコントローラ208、通信部209、及びBluetoothコントローラ210を備える。これらはバス211を介して互いに接続されている。UI部106は、表示部212、タッチパネル213、及びキー214を備える。
【0018】
CPU201は携帯端末101全体を統括的に制御する。RAM202はCPU201の作業領域として用いられ、また、RAM202はCPU201によって用いられる各種演算データや各種プログラムを記憶する。ROM203は、CPU201によって用いられる各種プログラム、画像データ、及びMFP102とBLE通信を行う際に用いられる各種アプリケーションを格納する。記憶装置204は、SDカードやSSD等を含むメモリーデバイスであり、大容量のプログラムや各種データを格納する。通話部205は電話機能となる音声通話を行う。表示コントローラ206はUI部106の表示部212とデータ通信を行う。操作部コントローラ207はUI部106のタッチパネル213及びキー214とデータ通信を行う。無線LANコントローラ208は無線LAN通信部104を介して、例えば、Wi-Fi通信機能を有する各種機器とデータ通信を行う。通信部209は、図示しないUSBコネクタに接続された各種機器とデータ通信を行う。Bluetoothコントローラ210はBluetooth通信部105を介して、例えば、Bluetooth機能を有する各種機器とデータ通信を行う。また、Bluetoothコントローラ210は、例えば、ユーザのUI部106の操作によって設定された、Bluetooth機能を制御するための設定情報(以下、「BT設定情報」という。)に基づいて携帯端末101のBluetooth機能の設定を有効又は無効に設定する。表示部212は、表示コントローラ206から送信された制御信号に応じて各種操作画面を表示する。本実施の形態では、MFP102へ各種処理を実行するためのジョブを送信する際、当該ジョブの送信を行うための後述するジョブ送信アプリの操作画面が表示される。タッチパネル213及びキー214は、ユーザの当該タッチパネル213及びキー214の操作によって設定された各種設定情報を操作部コントローラ207に送信する。
【0019】
図3は、図1におけるMFP102の構成を概略的に示すブロック図である。
【0020】
図3において、MFP102は、図1に示すコントローラ107、無線LAN通信部108、Bluetooth通信部109、スキャナ部110、プリンタ部111、及びUI部112の他に、原稿検知部315を備える。コントローラ107は、CPU301、RAM302、ROM303、記憶装置304、画像処理部305、エンジンI/F306、スキャナI/F307、無線LANコントローラ308、操作部コントローラ309、Bluetoothコントローラ310、USBI/F311、ネットワークI/F312、及びFAXI/F313を備える。これらはバス314を介して互いに接続されている。
【0021】
CPU301はMFP102全体を統括的に制御する。RAM302は、CPU301の作業領域として用いられ、また、RAM302はCPU301によって用いられる各種演算データや各種プログラムを記憶する。RAM302は画像処理部305で画像処理された画像データを格納し、また、ROM303はCPU301によって用いられる各種プログラム、画像データ、及び設定データを格納する。記憶装置304は、HDDやSSD等を含むメモリーデバイスであり、大容量のプログラムや各種データを格納する。エンジンI/F306はプリンタ部111とデータ通信を行う。スキャナI/F307はスキャナ部110とデータ通信を行う。無線LANコントローラ308は無線LAN通信部108を介して、例えば、Wi-Fi通信機能を有する各種機器とデータ通信を行う。操作部コントローラ309はUI部112とデータ通信を行う。Bluetoothコントローラ310はBluetooth通信部109を介して、例えば、Bluetooth機能を有する各種機器とデータ通信を行う。USBI/F311は、図示しないUSBコネクタに接続された各種機器とデータ通信を行う。ネットワークI/F312はLAN316に接続された各種機器とネットワーク通信を行う。FAXI/F313は公衆回線網317に接続されたファクシミリ通信機能を有する他のMFPとファクシミリ通信を行う。原稿検知部315は、図示しない原稿台に原稿が配置されているか否かを検知し、原稿台に原稿が配置されていることを検知すると、CPU301に検知した結果を通知する。
【0022】
次に、データ通信システム100で実行されるBLE通信の手順について説明する。
【0023】
図4は、図1のデータ通信システム100で実行されるBLE通信を説明するためのシーケンス図である。
【0024】
図4において、まず、携帯端末101及びMFP102はいずれもパケットの通信を行わないスタンバイ状態である。その後、MFP102は、CPU301によってアドバタイジング・パケットの送信が指示されると、アドバタイジング状態に遷移し、アドバタイジング・パケットを不特定多数の送信先に同時送信(以下、「ブロードキャスト送信」という。)する(ステップS401)。アドバタイジング・パケットには、MFP102を特定する機種名(機器名)やアドレス情報、MFP102が送信する電波強度を示すTx Power Level、及びMFP102のUUID情報等が含まれる。次いで、MFP102は、一定の間隔で継続してアドバタイジング・パケットをブロードキャスト送信する(ステップS402)。本実施の形態では、ブロードキャスト送信されるアドバタイジング・パケットの種類は、不特定機器との接続を行うためのADV_INDが用いられる。
【0025】
一方、携帯端末101は、CPU201によってアドバタイジング・パケットのスキャンが指示されると、スキャニング状態に遷移し、ブロードキャスト送信されたアドバタイジング・パケットを受信する。スキャニング状態には、パッシブ・スキャン及びアクティブ・スキャンの2つのスキャンステートが存在する。スタンバイ状態からスキャニング状態に遷移した際、スキャンステートはパッシブ・スキャンである。携帯端末101は、パッシブ・スキャン時にブロードキャスト送信されたアドバタイジング・パケットを受信すると、受信したアドバタイジング・パケットを解析して当該アドバタイジング・パケットの送信先を特定する。携帯端末101は特定された送信先、例えば、MFP102に当該MFP102の詳細情報の送信を要求するためのスキャン・リクエスト(SCAN_REQ)を送信する(ステップS403)。このとき、携帯端末101のスキャンステートはパッシブ・スキャンからアクティブ・スキャンに遷移する。
【0026】
次いで、MFP102は携帯端末101から送信されたスキャン・リクエスト(SCAN_REQ)に応じてMFP102の詳細情報を含むスキャン・レスポンス(SCAN_RESP)を携帯端末101に送信する(ステップS404)。携帯端末101は、受信したスキャン・レスポンスに含まれるMFP102の詳細情報をROM203等に格納し、後述する図5の処理によって接続先をMFP102に決定し、イニシエイティング状態に遷移する。イニシエイティング状態に遷移した携帯端末101は、MFP102から送信されたアドバタイジング・パケットを受信すると、BLE通信の接続を要求するためのコネクト・リクエスト(CONNECT_REQ)をMFP102に送信する(ステップS405)。MFP102は、携帯端末101から送信されたコネクト・リクエスト(CONNECT_REQ)を受信すると、BLE通信の接続を行う。これにより、携帯端末101とMFP102のBLE通信が確立され、携帯端末101及びMFP102はコネクション状態に遷移して、本処理を終了する。
【0027】
次に、携帯端末101から印刷処理等の各種処理を実行するためのジョブを送信するジョブ送信処理について説明する。本実施の形態では、一例として、ジョブの送信を行うデータ通信手段としてWi-Fi通信を用いる場合について説明する。
【0028】
図5は、図1における携帯端末101で実行されるジョブ送信処理の手順を示すフローチャートである。
【0029】
図5の処理は、携帯端末101のCPU201がROM203及び記憶装置204に格納されたプログラムを実行することによって行われる。
【0030】
図5において、まず、CPU201は送信されるジョブの設定を行うためのジョブ送信アプリが起動中であるか否かを判別する(ステップS501)。ジョブ送信アプリが起動中であると、携帯端末101の表示部212に図6(a)に示すトップ画面601が表示される。トップ画面601には、ジョブ送信アプリで送信される各種ジョブの設定を行うための設定ボタン群602及びジョブの送信先を設定するためのデバイス選択ボタン603が表示される。
【0031】
ステップS501の判別の結果、ジョブ送信アプリが起動中であるとき、CPU201は、携帯端末101のBluetooth機能が有効であるか否かを判別する(ステップS502)。本実施の形態では、ユーザのUI部106の操作によって設定されたBT設定情報に基づいてBluetooth機能の有効又は無効が設定される。
【0032】
ステップS502の判別の結果、Bluetooth機能が有効であるとき、CPU201は、後述するステップS503及びS504の処理を行わずにステップS506の処理に進む。
【0033】
ステップS502の判別の結果、Bluetooth機能が無効であるとき、CPU201は、ユーザにBluetooth機能を有効に設定することを通知するための図6(b)に示す操作画面604を表示する(ステップS503)。次いで、CPU201は、操作画面604のBluetooth機能を有効に設定するための設定ボタン605が押下されたか否かを判別する(ステップS504)。
【0034】
ステップS504の判別の結果、設定ボタン605ではなく、Bluetooth機能の設定を有効に設定しないためのキャンセルボタン606が押下されたとき、CPU201は、表示部212にジョブ送信処理が実行できないことを通知するための図6(c)に示す操作画面607を表示する。その後、CPU201は、操作画面607のOKボタン608が押下されたか否かを判別する(ステップS505)。
【0035】
ステップS505の判別の結果、操作画面607のOKボタン608が押下されたとき、CPU201はステップS509の処理に進む。
【0036】
ステップS505の判別の結果、操作画面607の戻るボタン609が押下されたとき、CPU201はステップS504の処理に戻る。
【0037】
ステップS504の判別の結果、設定ボタン605が押下されたとき、CPU201は、Bluetooth機能を有効に設定し、ジョブ送信候補リストの生成の指示が行われたか否かを判別する(ステップS506)。ジョブ送信候補リストには、予め設定されたジョブ送信アプリに対応する複数の機器(以下、「アプリ対応機器」という。)のうちのBLE通信可能な機器を特定する機種名(機器名)がジョブの送信候補(以下、「ジョブ送信候補機器」という。)として記録される。本実施の形態では、例えば、トップ画面601において、ジョブの送信先を設定するためのデバイス選択ボタン603が押下された場合、又はジョブの送信先が設定されていないことを通知するための図6(d)の画面610において、ジョブの送信先を設定するためのデバイス選択設定ボタン611が押下された場合、CPU201はジョブ送信候補リストの生成の指示が行われたと判別する。
【0038】
ステップS506の判別の結果、ジョブ送信候補リストの生成の指示が行われたとき、CPU201は、図7のリスト生成処理を行って、ジョブ送信候補リストを生成する(ステップS507)(生成手段)。次いで、CPU201は、図8の通信切替処理を行って、ジョブ送信候補リストに基づいて決定されたジョブの送信先の機器(以下、「ジョブ送信先機器」という。)とBLE通信の接続を行い、BLE通信によって取得したWi-Fi通信の接続を行うための通信設定情報に基づいてジョブ送信先機器とのWi-Fiの通信設定を行う(ステップS508)。次いで、CPU201は、ユーザによってジョブ送信アプリの終了が指示されると、ジョブ送信アプリを終了する(ステップS509)。本実施の形態では、ユーザによってジョブ送信アプリの終了が指示されると、表示部212には、ジョブ送信アプリの終了の際のBluetooth機能の設定を行うための図6(e)に示す操作画面612が表示される。操作画面612のボタン613が押下されると、CPU201はBluetooth機能を有効に設定したままジョブ送信アプリを終了し、操作画面612のボタン614が押下されると、CPU201はBluetooth機能を無効に設定してジョブ送信アプリを終了する。その後、CPU201は、ステップS509の処理が完了すると、本処理を終了する。
【0039】
ステップS506の判別の結果、ジョブ送信候補リストの生成の指示が行われないとき、CPU201は、表示部212に操作画面610を表示し、操作画面610のキャンセルボタン615が押下されたか否かを判別する(ステップS510)。
【0040】
ステップS510の判別の結果、操作画面610のキャンセルボタン615ではなく、デバイス選択設定ボタン611が押下されたとき、CPU201はステップS506の処理に戻る。
【0041】
ステップS501の判別の結果、ジョブ送信アプリが起動中でないとき、CPU201は、ジョブ送信アプリを用いたジョブ送信処理を行わないと判断し、本処理を終了する。
【0042】
ステップS510の判別の結果、操作画面610のキャンセルボタン615が押下されたとき、CPU201はステップS509の処理を行って、本処理を終了する。
【0043】
図7は、図1における携帯端末101で実行されるリスト生成処理の手順を示すフローチャートである。
【0044】
図7において、まず、CPU201は、Bluetoothコントローラ210の動作ステートを図4に示すスタンバイ状態からスキャニング状態に設定する(ステップS701)。次いで、CPU201は、Bluetooth通信部105を介してアドバタイジング・パケットを受信したか否かを判別する(ステップS702)。ここで、アドバタイジング・パケットは、例えば、BLE通信可能な複数の機器から夫々ブロードキャスト送信される。本実施の形態では、複数の機器の各々からブロードキャスト送信されたアドバタイジング・パケットに対してステップS702及び後述するステップS703、S706の処理が行われる。
【0045】
ステップS702の判別の結果、アドバタイジング・パケットを受信したとき、CPU201は、受信されたアドバタイジング・パケットの送信先(以下、「パケット送信先」という。)がアプリ対応機器であるか否かを判別する(ステップS703)。ステップS703では、アドバタイジング・パケットに含まれる当該アドバタイジング・パケットの送信先を特定するアドレス情報、UUID情報、及びジョブ送信アプリで識別可能なデータに基づいて、受信されたアドバタイジング・パケットの送信先がアプリ対応機器であるか否かが判別される。
【0046】
ステップS703の判別の結果、パケット送信先がアプリ対応機器であるとき、CPU201は、Bluetoothコントローラ210を制御してパケット送信先に当該パケット送信先の詳細情報の送信を要求するためのスキャン・リクエスト(SCAN_REQ)を送信する。その後、CPU201は、Bluetoothコントローラ210を介してパケット送信先から送信されたスキャン・レスポンス(SCAN_RESP)を取得する(ステップS706)。スキャン・レスポンス(SCAN_RESP)には、パケット送信先を特定する機種名、パケット送信先で実行可能な各種処理の情報、例えば、印刷可能な用紙サイズ及び用紙種別の情報が含まれる。
【0047】
次いで、CPU201は、取得されたスキャン・レスポンス(SCAN_RESP)に基づいてジョブ送信候補リストを生成する(ステップS707)。すなわち、本実施の形態では、複数のアプリ対応機器のうちのスキャン・レスポンス(SCAN_RESP)を送信したパケット送信先に対応する機種名のみがジョブ送信候補リストに記録される。ステップS707では、例えば、CPU201がBluetoothコントローラ210を介してジョブ送信候補リストに記録された機種名に対応するパケット送信先から一定の期間アドバタイジング・パケットを受信されないと、当該パケット送信先に対応する機種名はジョブ送信候補リストから削除される。次いで、CPU201は、ユーザによってジョブ送信候補リストの更新が指示されたか否かを判別する(ステップS708)。
【0048】
ステップS708の判別の結果、CPU201は、ジョブ送信候補リストの更新が指示されたとき、ステップS702の処理に戻り、ジョブ送信候補リストの更新が指示されないとき、図5のステップS508の処理に進む。
【0049】
ステップS702の判別の結果、アドバタイジング・パケットを受信しないとき、又はステップS703の判別の結果、受信されたアドバタイジング・パケットの送信先がアプリ対応機器でないとき、CPU201は、ユーザによってジョブ送信アプリの終了が指示されたか否かを判別する(ステップS704)。
【0050】
ステップS704の判別の結果、CPU201は、ジョブ送信アプリの終了が指示されないとき、ステップS702の処理に戻り、ジョブ送信アプリの終了が指示されたとき、ジョブ送信アプリを終了し(ステップS705)、本処理を終了する。
【0051】
図8は、図1における携帯端末101で実行される通信切替処理の手順を示すフローチャートである。
【0052】
図8において、まず、トップ画面601において、設定ボタン群602のいずれか、例えば、印刷処理の設定を行うための設定ボタン616がユーザによって押下されると(ステップS801でYES)、CPU201は、ユーザのUI部106の操作に基づいて印刷処理を実行するための印刷設定情報を設定する(ステップS802)。次いで、CPU201は、印刷設定情報の設定が完了しているか否かを判別する(ステップS803)。
【0053】
ステップS803の判別の結果、印刷設定情報の設定が完了しているとき、CPU201は、図9A及び図9Bの通信設定処理を行って、BLE通信を用いて決定されたジョブ送信先機器にステップS802で設定された印刷設定情報に基づいて生成された印刷ジョブ(以下、「設定印刷ジョブ」という。)を送信する(ステップS804)。ステップS804では、BLE通信を用いて決定されたジョブ送信先機器に設定印刷ジョブを送信するために、Wi-Fi通信の通信設定が行われる。次いで、CPU201は、BLE通信の通信設定を解除し、BLE通信を中止する(ステップS805)。次いで、CPU201は無線LAN通信部104を介したWi-Fi通信によって設定印刷ジョブをMFP102に送信する(ステップS806)。次いで、CPU201は、MFP102から設定印刷ジョブを受信したことを示す通知を取得すると(ステップS807でYES)、Wi-Fi通信の通信設定を解除し、Wi-Fi通信を中止して(ステップS808)、図5のステップS509の処理に進む。
【0054】
ステップS803の判別の結果、印刷設定情報の設定が完了していないとき、CPU201は、ユーザによってジョブ送信アプリの終了が指示されたか否かを判別する(ステップS809)。
【0055】
ステップS809の判別の結果、ユーザによってジョブ送信アプリの終了が指示されないとき、CPU201はステップS803の処理に戻る。
【0056】
ステップS809の判別の結果、ユーザによってジョブ送信アプリの終了が指示されたとき、CPU201は本処理を終了する。
【0057】
図9A及び図9Bは、図1における携帯端末101で実行される通信設定処理の手順を示すフローチャートである。
【0058】
ここで、設定印刷ジョブは印刷処理に用いられる各種印刷設定情報が含まれる大容量データであるので、設定印刷ジョブの送信には、通信速度が遅いNFC通信等の近距離無線通信は適さない。そのため、携帯端末101からMFP102へ設定印刷ジョブを送信するために、大容量データの通信に適した無線通信、例えば、Wi-Fi通信を行うための通信設定を行う必要がある。Wi-Fi通信の通信設定を容易に行うために、例えば、NFC通信によってMFP102から携帯端末101へ通信設定情報を送信し、送信された通信設定情報に基づいてWi-Fi通信の通信設定を行うことが考えられるが、NFC通信は広く普及しておらず、多数の機器はNFC通信機能を有さない。これにより、例えば、携帯端末101とMFP102のいずれか一方がNFC機能を有さないと、携帯端末101とMFP102の間でNFC通信が行えず、その結果、携帯端末101とMFP102の通信設定を容易に行うことができない。
【0059】
これに対応して、本実施の形態では、広く普及されたBLE通信を用いて携帯端末101とジョブ送信候補機器の距離が算出され、算出された距離に基づいてジョブ送信候補機器のうちのいずれか1つの機器がジョブ送信先機器に決定され、決定されたジョブ送信先機器から携帯端末101へWi-Fi通信の通信設定情報が送信される。
【0060】
図9A及び図9Bにおいて、まず、CPU201は、BLE通信を用いて算出されるジョブ送信候補機器との距離に基づいてジョブ送信先機器を決定する「近付いて接続モード」が設定されているか否かを判別する(ステップS901)。
【0061】
ステップS901の判別の結果、「近付いて接続モード」が設定されていないとき、CPU201は、ユーザのUI部106の操作によってジョブ送信先機器が設定されると(ステップS902でYES)、ステップS908の処理に進む。本実施の形態では、例えば、ユーザによってトップ画面601のデバイス選択ボタン603が押下されると、表示部212にジョブ送信先機器を設定するための図6(f)に示す操作画面617が表示される。操作画面617には、ステップS707で生成されたジョブ送信候補リストに対応する機種名が表示される。ステップS902では、操作画面617に表示された複数の機種名のうちいずれか1つをユーザが選択すると、当該選択された機種名に対応するジョブ送信候補機器がジョブ送信先機器に決定される。
【0062】
ステップS901の判別の結果、「近付いて接続モード」が設定されているとき、CPU201は、後述するステップS905で用いられるジョブ送信先機器を決定するための規定値を設定する(ステップS903)。規定値は、携帯端末101を所持するユーザがジョブ送信先機器を操作可能な距離に基づいて設定され、本実施の形態では、例えば、30cm~1mに設定される。ステップS903では、ROM203に予め格納された規定値が設定されるが、ユーザによるUI部106の操作に基づいて規定値が設定されてもよい。次いで、CPU201は、図7のステップS707で生成されたジョブ送信候補リストに記録された機種名に対応するジョブ送信候補機器の各々から送信されたアドバタイジング・パケットの電波強度を測定する(ステップS904)。次いで、CPU201は、当該送信されたアドバタイジング・パケットに含まれるTx Power Levelを取得し、測定された電波強度及び取得されたTx Power Levelに基づいて携帯端末101と各ジョブ送信候補機器の距離を算出する(ステップS905)(算出手段)。ステップS905では、MFP102から送信されるアドバタイジング・パケットに含まれるTx Power Levelを閾値として、当該Tx Power Levelと携帯端末101が受信した電波の強さに基づいてステップS904で測定した電波強度(以下、「受信電波強度」という。)とを比較し、比較した結果に基づいて携帯端末101とジョブ送信候補機器の距離が測定される。次いで、CPU201は、ジョブ送信候補機器のうちの携帯端末101との距離がステップS903で設定された規定値より短い機器(以下、「規定値達成機器」という。)が存在するか否かを判別する(ステップS906)。
【0063】
ステップS906の判別の結果、規定値達成機器が存在するとき、CPU201は、規定値達成機器をジョブ送信先機器に決定する(ステップS907)(決定手段)。次いで、CPU201は、ジョブ送信先機器にBLE通信の接続を要求するためのコネクト・リクエスト(CONNECT_REQ)を送信する(ステップS908)。次いで、CPU201は、ジョブ送信先機器とBLE通信の接続が完了したか否かを判別する(ステップS909)。
【0064】
ステップS909の判別の結果、ジョブ送信先機器とBLE通信の接続が完了したとき、CPU201はジョブ送信先機器にWi-Fi通信の通信設定情報を要求する通知を送信する(ステップS910)(送信制御手段)。次いで、CPU201はジョブ送信先機器から当該ジョブ送信先機器のWi-Fi通信の通信設定情報を取得しているか否かを判別する(ステップS911)。
【0065】
ステップS911の判別の結果、ジョブ送信先機器から当該ジョブ送信先機器のWi-Fi通信の通信設定情報を取得しているとき、取得された通信設定情報に基づいてジョブ送信先機器とのWi-Fi通信の通信設定を行う(ステップS912)。次いで、CPU201は、ジョブ送信先機器とのWi-Fi通信の接続が完了したか否かを判別する(ステップS913)。
【0066】
ステップS913の判別の結果、ジョブ送信先機器とのWi-Fi通信の接続が完了したとき、CPU201は図8のステップS805の処理に進む。
【0067】
ステップS906の判別の結果、CPU201は、規定値達成機器が存在しないとき、ユーザによってジョブ送信アプリの終了が指示されたか否かを判別し(ステップS914)、ジョブ送信アプリの終了が指示されないとき、ステップS904の処理に戻る。
【0068】
ステップS909の判別の結果、CPU201は、ジョブ送信先機器とBLE通信の接続が完了しないとき、ユーザによってジョブ送信アプリの終了が指示されたか否かを判別し(ステップS915)、ジョブ送信アプリの終了が指示されないとき、ステップS908の処理に戻る。
【0069】
ステップS911の判別の結果、CPU201は、ジョブ送信先機器から当該ジョブ送信先機器のWi-Fi通信の通信設定情報を取得していないとき、ユーザによってジョブ送信アプリの終了が指示されたか否かを判別し(ステップS916)、ジョブ送信アプリの終了が指示されないとき、ステップS911の処理に戻る。
【0070】
ステップS914、S915、又はS916の判別の結果、ジョブ送信アプリの終了が指示されたとき、CPU201は本処理を終了する。
【0071】
上述した図9A及び図9Bの処理によれば、BLE通信を用いて携帯端末101と各ジョブ送信候補機器の距離が算出され、算出された距離に基づいてジョブ送信候補機器のうちのいずれか1つの機器がジョブ送信先機器に決定され、ジョブ送信先機器から携帯端末101へWi-Fi通信の通信設定情報が送信される。これにより、携帯端末101及びジョブ送信先機器のい・BR>EBR>クれもNFC通信機能を有さなくても、ユーザ自身がデータ通信の通信設定を行うことなく、ジョブ送信先機器から送信されたWi-Fi通信の通信設定情報に基づいて携帯端末101とジョブ送信先機器のWi-Fi通信の通信設定が行われるので、携帯端末101とジョブ送信先機器の通信設定を容易に行うことができる。
【0072】
また、上述した図9A及び図9Bの処理によれば、ユーザがジョブ送信先機器を操作可能な距離を示す規定値が予め設定され、ジョブ送信候補機器のうちの規定値達成機器、例えば、MFP102がジョブ送信先機器に決定される。ここで、MFP102は、携帯端末101を所持するユーザが操作可能な位置に存在する機器であるので、MFP102が規定値達成機器である場合は、当該ユーザがMFP102を操作する場合に他ならない。これにより、ユーザがMFP102を操作する場合にのみ、携帯端末101とMFP102のBLE通信が接続されるので、必要以上に携帯端末101とMFP102のデータ通信が行われることを防止することができる。
【0073】
さらに、上述した図9A及び図9Bの処理によれば、ジョブ送信候補機器のうちのユーザによって選択された機器がジョブ送信先機器に決定される。これにより、ユーザによって選択されたジョブ送信先機器から携帯端末101へBLE通信によってWi-Fi通信の通信設定情報が送信されるので、ユーザの意思を反映させることができ、もって、ユーザの使いやすさを損なうことなく、携帯端末101とジョブ送信先機器の通信設定を容易に行うことができる。
【0074】
上述した図8図9A、及び図9Bの処理では、印刷処理の実行に本発明を適用した場合について説明したが、本発明の適用先は印刷処理の実行に限られず、携帯端末101から送信されるジョブに基づいて実行される処理、例えば、スキャン処理の実行でも本発明を適用することができる。スキャン処理の実行に本発明を適用した場合でも、上述した本実施の形態と同様の効果を奏する。
【0075】
本発明は、上述の実施の形態の1以上の機能を実現するプログラムを、ネットワーク又は記憶媒体を介してシステム又は装置に供給し、そのシステム又は装置のコンピュータにおける1つ以上のプロセッサーがプログラムを読み出して実行する処理でも実現可能である。また、本発明は、1以上の機能を実現する回路(例えば、ASIC)によっても実現可能である。
【符号の説明】
【0076】
101 携帯端末
102 MFP
104,108 無線LAN通信部
105,109 Bluetooth通信部
106 UI部
201 CPU
212 表示部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9A
図9B