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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-12
(45)【発行日】2024-01-22
(54)【発明の名称】媒体搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65H 5/06 20060101AFI20240115BHJP
   B65H 3/52 20060101ALI20240115BHJP
【FI】
B65H5/06 F
B65H3/52 330A
B65H5/06 D
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023548009
(86)(22)【出願日】2021-09-15
(86)【国際出願番号】 JP2021033975
(87)【国際公開番号】W WO2023042312
(87)【国際公開日】2023-03-23
【審査請求日】2023-07-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000136136
【氏名又は名称】株式会社PFU
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100114018
【弁理士】
【氏名又は名称】南山 知広
(74)【代理人】
【識別番号】100180806
【弁理士】
【氏名又は名称】三浦 剛
(72)【発明者】
【氏名】森川 修一
(72)【発明者】
【氏名】下坂 喜一郎
【審査官】大山 広人
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-068125(JP,A)
【文献】特開2005-151532(JP,A)
【文献】特開2012-001332(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65H 5/06
B65H 3/52
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を給送する給送ローラと、
前記給送ローラと対向して配置され、且つ、媒体給送方向の反対方向に回転可能に又は停止可能に設けられた分離ローラと、
媒体搬送方向において前記給送ローラ及び前記分離ローラの下流側に配置され、且つ、前記分離ローラが媒体給送方向の反対方向に回転又は停止している状態で前記給送ローラにより給送された媒体を搬送可能な第1搬送ローラ対と、
前記第1搬送ローラ対に含まれるローラのうちの一方のローラを他方のローラ側に押圧する第1押圧部と、
媒体搬送方向において前記第1搬送ローラ対の下流側に配置され、且つ、前記第1搬送ローラ対により搬送された媒体に所定の処理を実行する処理部と、
媒体搬送方向において前記処理部の下流側に配置され、且つ、前記処理部により前記所定の処理の実行中の媒体を搬送可能な第2搬送ローラ対と、
前記第2搬送ローラ対に含まれるローラのうちの一方のローラを他方のローラ側に押圧する第2押圧部と、を有し、
前記第2押圧部による押圧力は、前記第1押圧部による押圧力より小さくなるように設定され、
前記第1搬送ローラ対に含まれるローラのうちの少なくとも一方のローラと、前記第2搬送ローラ対に含まれるローラのうちの少なくとも一方のローラとは、同一のモータにより駆動され、
前記第2搬送ローラ対に含まれるローラのうちの少なくとも一方のローラのローラ径は、前記第1搬送ローラ対に含まれるローラのうちの少なくとも一方のローラのローラ径より大きくなるように設定される、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項2】
前記第2搬送ローラ対に含まれる二つのローラのローラ径は、同一の大きさに設定され、
前記第1搬送ローラ対に含まれる二つのローラのローラ径は、同一の大きさに設定される、請求項1に記載の媒体搬送装置。
【請求項3】
さらに、前記第2搬送ローラ対に含まれるローラのうちの少なくとも一方のローラのローラ硬度は、前記第1搬送ローラ対に含まれるローラのうちの少なくとも一方のローラのローラ硬度より小さくなるように設定される、請求項1または2に記載の媒体搬送装置。
【請求項4】
媒体を給送する給送ローラと、
前記給送ローラと対向して配置され、且つ、媒体給送方向の反対方向に回転可能に又は停止可能に設けられた分離ローラと、
媒体搬送方向において前記給送ローラ及び前記分離ローラの下流側に配置され、且つ、前記分離ローラが媒体給送方向の反対方向に回転又は停止している状態で前記給送ローラにより給送された媒体を搬送可能な第1搬送ローラ対と、
前記第1搬送ローラ対に含まれるローラのうちの一方のローラを他方のローラ側に押圧する第1押圧部と、
媒体搬送方向において前記第1搬送ローラ対の下流側に配置され、且つ、前記第1搬送ローラ対により搬送された媒体に所定の処理を実行する処理部と、
媒体搬送方向において前記処理部の下流側に配置され、且つ、前記処理部により前記所定の処理の実行中の媒体を搬送可能な第2搬送ローラ対と、
前記第2搬送ローラ対に含まれるローラのうちの一方のローラを他方のローラ側に押圧する第2押圧部と、を有し、
前記第2押圧部による押圧力は、前記第1押圧部による押圧力より小さくなるように設定され、
前記第1搬送ローラ対に含まれるローラのうちの少なくとも一方のローラと、前記第2搬送ローラ対に含まれるローラのうちの少なくとも一方のローラとは、同一のモータにより駆動され、
前記第2搬送ローラ対に含まれるローラのうちの少なくとも一方のローラのローラ硬度は、前記第1搬送ローラ対に含まれるローラのうちの少なくとも一方のローラのローラ硬度より小さくなるように設定される、
ことを特徴とする媒体搬送装置。
【請求項5】
前記第1押圧部による押圧力W1と、前記第2押圧部による押圧力W2は、
W1/W2≧1.3
を満たすように設定される、請求項1~4の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【請求項6】
前記分離ローラを前記給送ローラ側に押圧する分離ローラ押圧部をさらに有し、
前記第1押圧部による押圧力W1と、前記分離ローラ押圧部による押圧力W0は、
W1/W0≧3
を満たすように設定される、請求項1~5の何れか一項に記載の媒体搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、媒体搬送装置に関し、特に、二組の搬送ローラ対を有する媒体搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、スキャナ等の媒体搬送装置は、搬送ローラ対により搬送された媒体を撮像して画像を生成する。このような媒体搬送装置において、媒体が良好に搬送されない場合、媒体を撮像した画像に歪みが発生する可能性がある。
【0003】
シート材を搬送する2組以上の搬送ローラ対からなるシート材搬送装置が開示されている(特許文献1を参照)。このシート材搬送装置では、2組の搬送ローラ対にて、シート材を受け渡し時、搬送方向上流側の第1の搬送ローラ対の周速度を搬送方向下流側の第2の搬送ローラ対の周速度よりも小さくしている。また、このシート材搬送装置では、第1の搬送ローラ対の搬送力を、第2の搬送ローラ対の搬送力より大きくし、且つ、第2の搬送ローラ対のローラ材質を、弾性を有し、且つ、低摩擦係数の材質としている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開平6-321384号公報
【発明の概要】
【0005】
媒体搬送装置では、媒体を良好に搬送することが求められている。
【0006】
媒体搬送装置の目的は、媒体を良好に搬送することを可能とすることにある。
【0007】
実施形態の一側面に係る媒体搬送装置は、媒体を給送する給送ローラと、給送ローラと対向して配置され、且つ、媒体給送方向の反対方向に回転可能に又は停止可能に設けられた分離ローラと、媒体搬送方向において給送ローラ及び分離ローラの下流側に配置され、且つ、分離ローラが媒体給送方向の反対方向に回転又は停止している状態で給送ローラにより給送された媒体を搬送可能な第1搬送ローラ対と、第1搬送ローラ対に含まれるローラのうちの一方のローラを他方のローラ側に押圧する第1押圧部と、媒体搬送方向において第1搬送ローラ対の下流側に配置され、且つ、第1搬送ローラ対により搬送された媒体に所定の処理を実行する処理部と、媒体搬送方向において処理部の下流側に配置され、且つ、処理部により所定の処理の実行中の媒体を搬送可能な第2搬送ローラ対と、第2搬送ローラ対に含まれるローラのうちの一方のローラを他方のローラ側に押圧する第2押圧部と、を有し、第2押圧部による押圧力は、第1押圧部による押圧力より小さくなるように設定され、第1搬送ローラ対に含まれるローラのうちの少なくとも一方のローラと、第2搬送ローラ対に含まれるローラのうちの少なくとも一方のローラとは、同一のモータにより駆動され、第2搬送ローラ対に含まれるローラのうちの少なくとも一方のローラのローラ径は、第1搬送ローラ対に含まれるローラのうちの少なくとも一方のローラのローラ径より大きくなるように設定される。
【0008】
また、実施形態の一側面に係る媒体搬送装置は、媒体搬送方向において給送ローラ及び分離ローラの下流側に配置され、且つ、分離ローラが媒体給送方向の反対方向に回転又は停止している状態で給送ローラにより給送された媒体を搬送可能な第1搬送ローラ対と、第1搬送ローラ対に含まれるローラのうちの一方のローラを他方のローラ側に押圧する第1押圧部と、媒体搬送方向において第1搬送ローラ対の下流側に配置され、且つ、第1搬送ローラ対により搬送された媒体に所定の処理を実行する処理部と、媒体搬送方向において処理部の下流側に配置され、且つ、処理部により所定の処理の実行中の媒体を搬送可能な第2搬送ローラ対と、第2搬送ローラ対に含まれるローラのうちの一方のローラを他方のローラ側に押圧する第2押圧部と、を有し、第2押圧部による押圧力は、第1押圧部による押圧力より小さくなるように設定され、第1搬送ローラ対に含まれるローラのうちの少なくとも一方のローラと、第2搬送ローラ対に含まれるローラのうちの少なくとも一方のローラとは、同一のモータにより駆動され、第2搬送ローラ対に含まれるローラのうちの少なくとも一方のローラのローラ硬度は、第1搬送ローラ対に含まれるローラのうちの少なくとも一方のローラのローラ硬度より小さくなるように設定される。
【0009】
本実施形態によれば、媒体搬送装置は、媒体を良好に搬送することが可能となる。
【0010】
本発明の目的及び効果は、特に請求項において指摘される構成要素及び組み合わせを用いることによって認識され且つ得られるだろう。前述の一般的な説明及び後述の詳細な説明の両方は、例示的及び説明的なものであり、特許請求の範囲に記載されている本発明を制限するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】実施形態に係る媒体搬送装置100を示す斜視図である。
図2】媒体搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
図3】各ローラに加えられる力について説明するための模式図である。
図4】媒体Mの先端がニップ位置に到達した状態を示す模式図である。
図5】(A)、(B)は、押し込み力について説明するための模式図である。
図6】押圧力と搬送距離との関係について説明するための模式図である。
図7】押圧力と過送り率との関係を示すグラフである。
図8】押圧力と過送り率との関係を示すグラフである。
図9】媒体搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
図10】記憶装置140及び処理回路150の概略構成を示す図である。
図11】媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
図12】他の処理回路250の概略構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の一側面に係る媒体搬送装置、制御方法及び制御プログラムについて図を参照しつつ説明する。但し、本発明の技術的範囲はそれらの実施の形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された発明とその均等物に及ぶ点に留意されたい。
【0013】
図1は、イメージスキャナとして構成された媒体搬送装置100を示す斜視図である。媒体搬送装置100は、原稿である媒体を搬送し、撮像する。媒体は、用紙、薄紙、厚紙、カード又は封筒等である。媒体搬送装置100は、ファクシミリ、複写機、プリンタ複合機(MFP、Multifunction Peripheral)等でもよい。なお、搬送される媒体は、原稿でなく印刷対象物等でもよく、媒体搬送装置100はプリンタ等でもよい。
【0014】
媒体搬送装置100は、下側筐体101、上側筐体102、載置台103、排出台104、操作装置105及び表示装置106等を備える。図1において矢印A1は媒体搬送方向を示し、矢印A2は媒体搬送方向と直交する幅方向を示し、矢印A3は媒体搬送面と直交する高さ方向を示す。以下では、上流とは媒体搬送方向A1の上流のことをいい、下流とは媒体搬送方向A1の下流のことをいう。
【0015】
上側筐体102は、媒体搬送装置100の上面を覆う位置に配置され、媒体つまり時、媒体搬送装置100内部の清掃時等に開閉可能なように、ヒンジにより下側筐体101に回転可能に係合している。
【0016】
載置台103は、下側筐体101に係合し、給送及び搬送される媒体を載置する。排出台104は、上側筐体102に係合し、排出された媒体を載置する。なお、排出台104は、下側筐体101に係合してもよい。
【0017】
操作装置105は、ボタン等の入力デバイス及び入力デバイスから信号を取得するインタフェース回路を有し、利用者による入力操作を受け付け、利用者の入力操作に応じた操作信号を出力する。表示装置106は、液晶、有機EL(Electro-Luminescence)等を含むディスプレイ及びディスプレイに画像データを出力するインタフェース回路を有し、画像データをディスプレイに表示する。
【0018】
図2は、媒体搬送装置100内部の搬送経路を説明するための図である。
【0019】
媒体搬送装置100内部の搬送経路は、媒体センサ111、給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ114、第1従動ローラ115、撮像装置116、第2搬送ローラ117及び第2従動ローラ118等を有している。また、媒体搬送装置100は、第1モータ121、第1伝達機構122、第2モータ123及び第2伝達機構124等を有している。
【0020】
なお、給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ114、第1従動ローラ115、第2搬送ローラ117及び/又は第2従動ローラ118のそれぞれの数は一つに限定されず、複数でもよい。その場合、複数の給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ114、第1従動ローラ115、第2搬送ローラ117及び/又は第2従動ローラ118は、それぞれ幅方向A2に間隔を空けて並べて配置される。
【0021】
下側筐体101の上面は、媒体の搬送路の下側ガイド101aを形成し、上側筐体102の下面は、媒体の搬送路の上側ガイド102aを形成する。下側ガイド101aは、媒体搬送面を形成する。
【0022】
媒体センサ111は、給送ローラ112及び分離ローラ113より上流側に配置される。媒体センサ111は、接触検出センサを有し、載置台103に媒体が載置されているか否かを検出する。媒体センサ111は、載置台103に媒体が載置されている状態と載置されていない状態とで信号値が変化する媒体信号を生成して出力する。なお、媒体センサ111は接触検知センサに限定されず、媒体センサ111として、光検知センサ等の、媒体の有無を検出可能な他の任意のセンサが使用されてもよい。
【0023】
給送ローラ112は、下側筐体101に設けられ、載置台103に載置された媒体を下側から順に分離して給送する。分離ローラ113は、いわゆるブレーキローラ又はリタードローラであり、上側筐体102に設けられ、給送ローラ112と対向して配置される。分離ローラ113は、媒体給送方向の反対方向に回転可能に又は停止可能に設けられる。媒体搬送装置100は、給送モードとして、媒体を分離しながら給送する分離モードと、媒体を分離せずに給送する非分離モードとを有する。給送モードは、利用者により操作装置105又は媒体搬送装置100と通信接続する情報処理装置を用いて設定される。給送モードが分離モードに設定されている場合、分離ローラ113は、媒体給送方向の反対方向に回転又は停止して媒体を分離する。一方、給送モードが非分離モードに設定されている場合、分離ローラ113は、媒体給送方向に回転する。なお、給送ローラ112が上側筐体102に、分離ローラ113が下側筐体101に設けられ、給送ローラ112は、載置台103に載置された媒体を上側から順に給送してもよい。
【0024】
第1搬送ローラ114及び第1従動ローラ115は、第1搬送ローラ対の一例であり、給送ローラ112及び分離ローラ113の下流側に、相互に対向して配置される。第1搬送ローラ114は、上側筐体102に設けられ、給送ローラ112及び分離ローラ113によって給送された媒体を撮像装置116に搬送する。第1従動ローラ115は、下側筐体101に、第1搬送ローラ114の下側に設けられ、第1搬送ローラ114に従動して回転する。即ち、第1搬送ローラ114及び第1従動ローラ115は、分離モードにおいて、分離ローラ113が媒体給送方向の反対方向に回転又は停止している状態で給送ローラ112により給送された媒体を搬送可能に設けられている。なお、第1搬送ローラ114が下側筐体101に設けられ、第1従動ローラ115が上側筐体102に設けられてもよい。
【0025】
撮像装置116は、処理部の一例であり、媒体搬送方向A1において、第1搬送ローラ114及び第1従動ローラ115の下流側に配置され、第1搬送ローラ114及び第1従動ローラ115により搬送された媒体に撮像処理を実行する。撮像処理は、所定の処理の一例である。撮像装置116は、媒体搬送路を挟んで相互に対向して配置された第1撮像装置116a及び第2撮像装置116bを含む。
【0026】
第1撮像装置116aは、主走査方向に直線状に配列されたCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)による撮像素子を有する等倍光学系タイプのCIS(Contact Image Sensor)によるラインセンサを有する。また、第1撮像装置116aは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第1撮像装置116aは、後述する処理回路からの制御に従って、搬送される媒体の表面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0027】
同様に、第2撮像装置116bは、主走査方向に直線状に配列されたCMOSによる撮像素子を有する等倍光学系タイプのCISによるラインセンサを有する。また、第2撮像装置116bは、撮像素子上に像を結ぶレンズと、撮像素子から出力された電気信号を増幅し、アナログ/デジタル(A/D)変換するA/D変換器とを有する。第2撮像装置116bは、後述する処理回路からの制御に従って、搬送される媒体の裏面を撮像して入力画像を生成し、出力する。
【0028】
なお、媒体搬送装置100は、第1撮像装置116a及び第2撮像装置116bを一方だけ配置し、媒体の片面だけを読み取ってもよい。また、CMOSによる撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサの代わりに、CCD(Charge Coupled Device)による撮像素子を備える等倍光学系タイプのCISによるラインセンサが利用されてもよい。また、CMOS又はCCDによる撮像素子を備える縮小光学系タイプのラインセンサが利用されてもよい。
【0029】
第2搬送ローラ117及び第2従動ローラ118は、第2搬送ローラ対の一例であり、撮像装置116の下流側に、相互に対向して配置される。第2搬送ローラ117は、上側筐体102に設けられ、第1搬送ローラ114及び第1従動ローラ115によって搬送され、撮像装置116によって撮像された媒体をさらに下流側に搬送し、排出台104に排出する。第2従動ローラ118は、下側筐体101に、第2搬送ローラ117の下側に設けられ、第2搬送ローラ117に従動して回転する。即ち、第2搬送ローラ117及び第2従動ローラ118は、撮像装置116により撮像処理の実行中の媒体を搬送可能に設けられている。なお、第2搬送ローラ117が下側筐体101に設けられ、第2従動ローラ118が上側筐体102に設けられてもよい。
【0030】
第1モータ121は、下側筐体101に設けられ、第1伝達機構122を介して給送ローラ112と接続される。第1モータ121は、後述する処理回路からの制御信号によって、給送ローラ112を回転させるための第1駆動力を発生させる。
【0031】
第1伝達機構122は、第1モータ121と、給送ローラ112の回転軸であるシャフトとの間に設けられた一又は複数のプーリ、ベルト、ギア等を含む。第1伝達機構122は、第1モータ121が発生させた第1駆動力を給送ローラ112に伝達する。
【0032】
第2モータ123は、モータの一例であり、上側筐体102に設けられ、第2伝達機構124を介して第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ117及び分離ローラ113と接続される。第2モータ123は、処理回路からの制御信号によって、第1搬送ローラ114、第2搬送ローラ117及び分離ローラ113を回転させるための第2駆動力を発生させる。
【0033】
第2伝達機構124は、第2モータ123と、分離ローラ113、第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ117の各回転軸である各シャフトとの間に設けられた一又は複数のプーリ、ベルト、ギア等を含む。特に、第1搬送ローラ114のシャフトと分離ローラ113のシャフトとの間には、分離ローラ113の回転方向及び回転速度を異ならせるための一又は複数のギアが設けられる。第2伝達機構124は、第2モータ123が発生させた第2駆動力を分離ローラ113、第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ117に伝達する。
【0034】
なお、第1従動ローラ115及び/又は第2従動ローラ118は、第2モータ123からの第2駆動力によって回転する搬送ローラでもよい。これにより、各ローラによる媒体の搬送力が大きくなり、第1搬送ローラ114と第1従動ローラ115の間の押圧力及び/又は第2搬送ローラ117と第2従動ローラ118の間の押圧力が小さくても、媒体搬送装置100は、媒体を良好に搬送できる。
【0035】
また、分離ローラ113は、第2伝達機構124を介して第2モータ123に接続されるのでなく、第1伝達機構122を介して第1モータ121に接続され、第1モータ121が発生させた第1駆動力により回転するように設けられてもよい。また、第1モータ121は、下側筐体101でなく、上側筐体102に配置されてもよい。また、第2モータ123は、上側筐体102でなく、下側筐体101に配置されてもよい。
【0036】
このように、第1搬送ローラ対に含まれるローラのうちの少なくとも一方のローラと、第2搬送ローラ対に含まれるローラのうちの少なくとも一方のローラとは、同一の第2モータ123により駆動される。これにより、媒体搬送装置100は、複数のローラにおいて、モータを共有することが可能となり、装置サイズ及び装置コストの低減を図ることが可能となる。
【0037】
第1モータ121が回転することにより、給送ローラ112は矢印A4の方向に回転する。また、給送モードが分離モードに設定されている場合、第2モータ123が回転することにより、分離ローラ113は、矢印A5の方向に回転又は停止し、第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ117はそれぞれ矢印A6、A7の方向に回転する。
【0038】
載置台103に載置された媒体は、給送ローラ112が矢印A4の方向、即ち媒体給送方向に回転することによって、下側ガイド101aと上側ガイド102aの間を媒体搬送方向A1に向かって搬送される。分離ローラ113は、給送モードが分離モードに設定されている場合、矢印A5の方向、即ち媒体給送方向の反対方向に回転又は停止する。給送ローラ112及び分離ローラ113の働きにより、載置台103に複数の媒体が載置されている場合、載置台103に載置されている媒体のうち給送ローラ112と接触している媒体のみが分離される。これにより、分離された媒体以外の媒体の搬送が制限される(重送の防止)。
【0039】
媒体は、下側ガイド101aと上側ガイド102aによりガイドされながら、第1搬送ローラ114と第1従動ローラ115の間に送り込まれる。媒体は、第1搬送ローラ114がそれぞれ矢印A6の方向に回転することによって、第1撮像装置116aと第2撮像装置116bの間に送り込まれる。撮像装置116により読み取られた媒体は、第2搬送ローラ117が矢印A7の方向に回転することによって排出台104上に排出される。
【0040】
図3は、分離ローラ113、第1従動ローラ115及び第2従動ローラ118に加えられる力について説明するための模式図である。
【0041】
図3に示すように、媒体搬送装置100は、分離ローラ押圧部材113a、第1押圧部材115a及び第2押圧部材118aをさらに有する。
【0042】
分離ローラ押圧部材113aは、一端が上側筐体102に、他端が分離ローラ113の回転軸であるシャフトに設けられ、分離ローラ113を給送ローラ112側に押圧する。分離ローラ押圧部材113aは、ねじりコイルばね等の弾性部材を含み、分離ローラ113を給送ローラ112側に押圧する押圧力W0を発生させる。なお、分離ローラ押圧部材113aは、板ばね等の他のばね部材、又は、ゴム部材等を含んでもよい。
【0043】
第1押圧部材115aは、第1押圧部の一例であり、一端が下側筐体101に、他端が第1従動ローラ115の回転軸であるシャフトに設けられ、第1従動ローラ115を第1搬送ローラ114側に押圧する。第1押圧部材115aは、ねじりコイルばね等の弾性部材を含み、第1従動ローラ115を第1搬送ローラ114側に押圧する側に押圧する押圧力W1を発生させる。なお、第1押圧部材115aは、板ばね等の他のばね部材、又は、ゴム部材等を含んでもよい。また、第1押圧部材115aは、第1搬送ローラ114を第1従動ローラ115側に押圧するように設けられてもよい。このように、第1押圧部材115aは、第1搬送ローラ対に含まれるローラのうちの一方のローラを他方のローラ側に押圧する。
【0044】
第2押圧部材118aは、第2押圧部の一例であり、一端が下側筐体101に、他端が第2従動ローラ118の回転軸であるシャフトに設けられ、第2従動ローラ118を第2搬送ローラ117側に押圧する。第2押圧部材118aは、ねじりコイルばね等の弾性部材を含み、第2従動ローラ118を第2搬送ローラ117側に押圧する側に押圧する押圧力W2を発生させる。なお、第2押圧部材118aは、板ばね等の他のばね部材、又は、ゴム部材等を含んでもよい。また、第2押圧部材118aは、第2搬送ローラ117を第2従動ローラ118側に押圧するように設けられてもよい。このように、第2押圧部材118aは、第2搬送ローラ対に含まれるローラのうちの一方のローラを他方のローラ側に押圧する。
【0045】
第2押圧部材118aによる押圧力W2は、第1押圧部材115aによる押圧力W1より小さくなるように設定される。
【0046】
また、第2搬送ローラ117のローラ径R3は、第1搬送ローラ114のローラ径R1より大きくなるように設定される。第2従動ローラ118のローラ径R4も、第1従動ローラ115のローラ径R2より大きくなるように設定される。なお、第2従動ローラ118のローラ径R4は、第1従動ローラ115のローラ径R2と同じに、又は、第1従動ローラ115のローラ径R2より小さくなるように設定されてもよい。
【0047】
第1従動ローラ115が第2モータ123からの第2駆動力によって回転する搬送ローラである場合、第1搬送ローラ114のローラ径R1及び第1従動ローラ115のローラ径R2は、それぞれ同一の大きさに設定されることが好ましい。同様に、第2従動ローラ118が第2モータ123からの第2駆動力によって回転する搬送ローラである場合、第2搬送ローラ117のローラ径R3及び第2従動ローラ118のローラ径R4は、それぞれ同一の大きさに設定されることが好ましい。これらにより、上側に配置されたローラによる搬送力と下側に配置されたローラによる搬送力とが同一となり、媒体搬送装置100は、搬送される媒体に対して剥離するような(せん断するような)力がかかることを抑制でき、媒体を良好に搬送することができる。
【0048】
この場合、第2搬送ローラ117のローラ径R3及び第2従動ローラ118のローラ径R4は、それぞれ第1搬送ローラ114のローラ径R1及び第1従動ローラ115のローラ径R2より大きくなるように設定される。なお、第1搬送ローラ114のローラ径R1及び第1従動ローラ115のローラ径R2は、それぞれ異なる大きさに設定されてもよい。また、第2搬送ローラ117のローラ径R3及び第2従動ローラ118のローラ径R4は、それぞれ異なる大きさに設定されてもよい。
【0049】
このように、第2搬送ローラ対に含まれるローラのうちの少なくとも一方のローラのローラ径は、第1搬送ローラ対に含まれるローラのうちの少なくとも一方のローラのローラ径より大きくなるように設定される。
【0050】
以下、下流側の第2従動ローラ118加えられる第2押圧部材118aによる押圧力W2を上流側の第1従動ローラ115に加えられる第1押圧部材115aによる押圧力W1より小さくすることの技術的意義について説明する。
【0051】
図3に示すように、搬送される媒体Mの先端が第1搬送ローラ114及び第1従動ローラ115のニップ位置を通過した後、媒体Mは、第1搬送ローラ114及び第1従動ローラ115によって引っ張られる。この時、媒体Mは、給送ローラ112及び分離ローラ113のニップ位置において、分離ローラ113による媒体給送方向と反対方向A5に向かう力を受ける。したがって、第1押圧部材115aによる押圧力W1は、分離ローラ113による媒体給送方向と反対方向A5に向かう力に負けないように、ある程度大きくする必要がある。
【0052】
図4は、媒体Mの先端が第2搬送ローラ117及び第2従動ローラ118のニップ位置に到達した状態を示す模式図である。
【0053】
図4に示すように、搬送される媒体Mの先端が第2搬送ローラ117及び第2従動ローラ118のニップ位置に到達する時、媒体Mに対して、撮像装置116による撮像処理が実行されている。この時、第2押圧部材118aによる押圧力W2が大きすぎると、媒体Mの先端は、第2搬送ローラ117及び第2従動ローラ118のニップ位置にスムーズに進入せずに衝突してしまい、媒体Mが撓んでしまう可能性がある。その場合、撮像装置116によって生成された入力画像には、主走査方向及び/又は副走査方向において歪みが含まれる可能性がある。したがって、第2押圧部材118aによる押圧力W2は、媒体Mの先端が第2搬送ローラ117及び第2従動ローラ118のニップ位置に進入できるように、ある程度小さくする必要がある。
【0054】
図5(A)、(B)は、媒体Mの先端のニップ位置への押し込み力について説明するための模式図である。図5(A)は、第2搬送ローラ117及び第2従動ローラ118を側方から見た模式図であり、図5(B)は、第2従動ローラ118と媒体Mとが当接する位置Cにおける力の関係を示す模式図である。
【0055】
図5(A)に示すように、第2搬送ローラ117と第2従動ローラ118はニップを形成し且つ媒体Mはある程度の厚みを有するため、媒体Mの先端はニップ位置に進入する前に、ニップ位置より上流側の所定位置Cにおいて第2従動ローラ118に当接する。図5(B)に示すように、媒体Mの先端には、所定位置Cにおいて、媒体搬送方向A1に沿ったニップ位置への押し込み力Pと、媒体搬送方向と直交する高さ方向A3に沿った、第2押圧部材118aによる押圧力W2の反力Wとがかかる。図5(B)において、直線Lは、媒体搬送方向A1に対して、第2搬送ローラ117の中心位置と第2従動ローラ118の中心位置とを通過する直線と、第2搬送ローラ117の中心位置と所定位置Cとを通過する直線とがなす角度θだけ傾いた直線を示す。
【0056】
直線L上では、上流側に向けて、押し込み力Pによる力(Pcosθ)と、押し込み力Pによる媒体Mと第2従動ローラ118の間の摩擦力(μPsinθ)と、反力Wによる媒体Mと第2従動ローラ118の間の摩擦力(μWcosθ)とが発生する。ここで、μは、媒体Mと第2従動ローラ118の間の摩擦係数である。一方、直線L上では、下流側に向けて、反力Wによる力(Wsinθ)が発生する。媒体Mがニップ位置に適切に進入するためには、直線L上で上流側に向かう力が下流側に向かう力より大きくなる必要があるため、以下の式(1)が成立する必要がある。
Pcosθ+μPsinθ+μWcosθ>Wsinθ (1)
式(1)より、以下の式(2)が成立する必要がある。
P>W(sinθ-μcosθ)/(cosθ+μsinθ) (2)
【0057】
式(2)を成立させるためには、第2押圧部材118aによる押圧力W2の反力Wは小さいほど好ましく、第2押圧部材118aによる押圧力W2は小さいほど好ましい。特に、媒体搬送装置100は、第2押圧部材118aによる押圧力W2を小さくすることにより、カード等の厚みを有する媒体を良好に搬送させることが可能となる。
【0058】
また、第2搬送ローラ117及び第2従動ローラ118の押圧力W2は、媒体を排出することができる最低限の力を有していればよく、媒体搬送装置100は、押圧力W2を小さくすることにより、消費電力を低減させることが可能となる。
【0059】
上記したように、媒体搬送装置100では、第2押圧部材118aによる押圧力W2は、第1押圧部材115aによる押圧力W1より小さくなるように設定される。これにより、媒体搬送装置100は、分離ローラ113により媒体に加えられる分離力に反して媒体を良好に搬送しつつ、撮像装置116に媒体を適切に撮像させて良好な入力画像を取得することが可能となる。
【0060】
以下、第1押圧部材115aによる押圧力W1と、第2押圧部材118aによる押圧力W2と、分離ローラ押圧部材113aによる押圧力W0との関係について説明する。
【0061】
第2押圧部材118aによる押圧力W2を変更しながらA3サイズの用紙を搬送させて撮像する実験を行った結果、A3サイズの用紙をスムーズに排出させて歪みのない入力画像を取得するためには、押圧力W2を1.5[kgf]程度に設定する必要があった。
【0062】
一方、分離ローラにより媒体を上流側に戻す力として、一般に、500[gf]以上且つ900[gf]以下(4.9[N]以上且つ8.8[N]以下)の範囲の力が必要である。仮に、分離ローラの下流側に設けられた一又は複数の搬送ローラの幅方向のサイズ(ローラ幅)の合計が40mmである場合、搬送ローラにかかる負荷張力は0.12[N/mm]以上且つ0.22[N/mm]となる。
【0063】
「岡本紀明:ゴムローラによる摩擦駆動の接触力学 日本ゴム協会誌,74.8(2001)300」の図15には、ローラの紙搬送速度特性を示すグラフが示されている。このグラフには、それぞれ負荷張力が異なる複数のローラ毎に、対向するローラとの間の押圧力[N/mm]と、媒体の搬送速度の速度比(媒体の搬送速度をローラの周速度で除算した値)との関係が表されている。このグラフから、負荷張力が0.11[N/mm]であるローラにおいて、速度比を1に近い範囲内(0.99以上且つ1.01以下)にするためには、押圧力は0.4[N/mm]以上に設定する必要があることがわかる。即ち、押圧力が負荷張力の3.6倍(=0.4[N/mm]/0.11[N/mm])以上であれば、速度比は1に近い範囲内に保たれる。また、負荷張力が0.216[N/mm]であるローラにおいて、速度比を1に近い範囲内(0.99以上且つ1.01以下)にするためには、押圧力は0.8[N/mm]以上に設定する必要があることがわかる。即ち、押圧力が負荷張力の3.7倍(=0.8[N/mm]/0.216[N/mm])以上であれば、速度比は1に近い範囲内に保たれる。
【0064】
したがって、押圧力が負荷張力の4倍程度であれば、媒体の搬送速度の速度比が1に近い範囲内に保たれ、媒体の搬送速度はローラの周速度と略等しくなり、ローラによる媒体のスリップの発生が抑制される。上記したように、分離ローラによる媒体を上流側に戻す力として、一般に500[gf]以上且つ900[gf]以下の範囲の力が必要である。そのため、第1押圧部材115aによる押圧力W1が2.0[kgf]以上且つ3.6[kgf]以下であれば、媒体の搬送速度の速度比が1に近い範囲内に保たれ、ローラによる媒体のスリップの発生が抑制される。
【0065】
上記したように、A3サイズの用紙をスムーズに排出させて歪みのない入力画像を取得するためには、第2押圧部材118aによる押圧力W2を1.5[kgf]程度に設定する必要がある。そのため、第1押圧部材115aによる押圧力W1と、第2押圧部材118aによる押圧力W2は、以下の式(3)を満たすように設定されることが望ましい。
W1/W2≧2[kgf]/1.5[kgf]≒1.3 (3)
これにより、媒体搬送装置100は、第2搬送ローラ117によりA3サイズの用紙をスムーズに排出させて歪みのない入力画像を取得しつつ、第1搬送ローラ114による媒体のスリップの発生を抑制することが可能となる。
【0066】
また、分離ローラ押圧部材113aによる押圧力W0を変更しながら様々な種類の媒体を搬送させる実験を行った結果、媒体のジャム又は重送の発生を抑制するためには、押圧力W0が300[gf]以上且つ600[gf]以下である必要があった。そのため、第1押圧部材115aによる押圧力W1と、分離ローラ押圧部材113aによる押圧力W0は、W1の最小値(2.0[kgf])とW0の最大値(0.6[kgf])との関係から、以下の式(4)を満たすように設定されることが望ましい。
W1/W0≧2.0[kgf]/0.6[kgf]≒3 (4)
これにより、媒体搬送装置100は、分離ローラ113による媒体のジャム又は重送の発生を抑制しつつ、第1搬送ローラ114による媒体のスリップの発生を抑制することが可能となる。
【0067】
なお、第1押圧部材115aによる押圧力W1が大きすぎる場合、第1押圧部材115aを支持する下側筐体101に反力が発生し、下側筐体101に撓みが発生する。その場合、下側筐体101に設けられた各部品の位置が変動し、媒体搬送装置100は、媒体を良好に搬送できない可能性がある。また、第1押圧部材115aによる押圧力W1が大きすぎる場合、第1押圧部材115aは、第1従動ローラ115のシャフトを大きく押し上げてしまう。幅方向A2において第1従動ローラ115のシャフトの中央部に第1押圧部材115aが配置され、その外側に第1従動ローラ115が配置されている場合、シャフトの中央部が押し上げられることにより、第1従動ローラ115は下方に配置される。そのため、下側ガイド101aに対する第1従動ローラ115の突出量が小さくなり、搬送される媒体の先端が第1搬送ローラ114及び第1従動ローラ115のニップ部に進入しにくくなって、媒体のジャムが発生する可能性がある。
【0068】
媒体搬送装置100は、設計上及び加工上の部品のばらつきを考慮しつつ、第1押圧部材115aによる押圧力W1の上限値を設定することにより、下側筐体101及び第1従動ローラ115のシャフトにおける撓みの発生を抑制することが可能となる。
【0069】
第2押圧部材118aによる押圧力W2が小さい値に設定されることにより、第2搬送ローラ117及び第2従動ローラ118による搬送力が低下し、第2搬送ローラ117及び第2従動ローラ118により媒体が下流側に良好に引っ張られない可能性がある。これにより、第2搬送ローラ117及び第2従動ローラ118と、第1搬送ローラ114及び第1従動ローラ115との間で媒体Mの撓みが発生し、撮像装置116によって生成された入力画像に歪みが含まれる可能性がある。
【0070】
図6は、ローラにかかる押圧力と、ローラによる媒体の搬送距離との関係について説明するための模式図である。図6は、相互に対向する二つのローラD1、D2を側方から見た模式図である。
【0071】
図6に示す例では、上側のローラD1が、鉄等の硬度が高い部材で形成され、下側のローラD2が、ゴム等の硬度が低い部材で形成されている。この場合、下側のローラD2の上側部分が上側のローラD1により押圧されて、下側のローラD2が変形する。下側のローラD2の見かけ上の半径Rは、以下の式(5)で算出される(「川内政隆,紙送り装置とゴム材料,日本ゴム協会誌,62,11,p683-694(1989)」を参照)。
【数1】
ここで、rは、下側のローラD2の実際の半径である。hは、上側のローラD1の中心位置と下側のローラD2の中心位置を通る直線と直交する方向における、上側のローラD1と下側のローラD2のニップ部分の長さである。Bは、下側のローラD2のゴム部分の厚さである。ΔVは、上側のローラD1と下側のローラD2のニップ部分の面積である。
【0072】
式(5)に示すように、硬度が低い部材で形成されたローラD2の見かけ上の半径Rは、ローラD1とローラD2のニップ部分の面積ΔVに依存し、面積ΔVが大きいほどローラD2の見かけ上の半径Rが大きくなる。ローラD1とローラD2のニップ部分の面積ΔVはローラD1とローラD2の間で発生する押圧力に依存し、押圧力が大きいほど面積ΔVが大きくなる。したがって、ローラD1とローラD2の間で発生する押圧力が大きいほど、ローラD2の見かけ上の半径Rは大きくなり、ローラD2が一周した時の媒体の搬送距離が大きくなる。
【0073】
即ち、第2押圧部材118aによる押圧力W2が、第1押圧部材115aによる押圧力W1より小さくなるように設定されることにより、第2搬送ローラ117が一周した時の媒体の搬送距離は、第1搬送ローラ114が一周した時の媒体の搬送距離より小さくなる。そのため、第2搬送ローラ117及び第2従動ローラ118と、第1搬送ローラ114及び第1従動ローラ115との間で媒体Mの撓みが発生し、撮像装置116によって生成された入力画像に歪みが含まれる可能性がある。
【0074】
例えば、第2搬送ローラ117を駆動するモータと、第1搬送ローラ114を駆動するモータとを別個に設けて、第2搬送ローラ117を第1搬送ローラ114より高速に回転させることにより、媒体Mの撓みの発生は抑制される。しかしながら、その場合、媒体搬送装置の装置サイズ及び装置コストが増大する。
【0075】
上記したように、媒体搬送装置100では、第1搬送ローラ対に含まれる第1搬送ローラ114と、第2搬送ローラ対に含まれる第2搬送ローラ117とは、同一の第2モータ123により駆動される。また、媒体搬送装置100では、第2搬送ローラ対に含まれる第2搬送ローラ117のローラ径は、第1搬送ローラ対に含まれる第1搬送ローラ114のローラ径より大きくなるように設定される。
【0076】
これにより、媒体搬送装置100は、第1搬送ローラ114及び第2搬送ローラ117で一つの第2モータ123を共有しつつ、第2搬送ローラ117による媒体の搬送速度を第1搬送ローラ114による媒体の搬送速度より高くすることができる。また、媒体搬送装置100は、減速ギア等の特殊な構造を用いることなく、第2伝達機構124の構造を単純にしつつ、第2搬送ローラ117による媒体の搬送速度を第1搬送ローラ114による媒体の搬送速度より高くすることができる。したがって、媒体搬送装置100は、装置サイズ及び装置コストの増大を抑制しつつ、撮像位置での媒体の撓みの発生を抑制し、入力画像における歪みの発生を抑制することが可能となる。
【0077】
図7は、相互に対向する二つのローラの間にかかる押圧力と、その二つのローラによる過送り率との関係を示すグラフ700である。
【0078】
図7に示すグラフの横軸は、相互に対向する二つのローラの間にかかる押圧力[kgf]を示し、縦軸は、その二つのローラによる過送り率を示す。過送り率は、変形するローラの実際の半径rと、見かけ上の半径Rとにより、以下の式(6)で算出される。
(過送り率)=(R-r)/r (6)
【0079】
グラフ700に示すように、相互に対向する二つのローラの間にかかる押圧力が大きいほど、その二つのローラによる過送り率は大きくなる。例えば、第1搬送ローラ114及び第1従動ローラ115の押圧力W1が3[kgf]である場合、第1搬送ローラ114及び第1従動ローラ115の過送り率は約0.012となる。一方、第2搬送ローラ117及び第2従動ローラ118の押圧力W2が1.5[kgf]である場合、第2搬送ローラ117及び第2従動ローラ118の過送り率は約0.006となる。したがって、第1搬送ローラ114のローラ径d1と、第2搬送ローラ117のローラ径d2とを、以下の式(7)を満たすように設定することにより、媒体搬送装置100は、媒体の撓みの発生を抑制できる。
(d2-d1)/d1≒0.012-0.006 (7)
【0080】
なお、媒体搬送装置100において、上流側のローラのローラ径と下流側のローラのローラ径とを異ならせる代わりに、上流側のローラのローラ硬度と下流側のローラのローラ硬度とを異ならせてもよい。その場合、第2搬送ローラ117のローラ硬度は、第1搬送ローラ114のローラ硬度より小さくなるように設定される。第2従動ローラ118のローラ硬度も、第1従動ローラ115のローラ硬度より小さくなるように設定される。なお、第2従動ローラ118のローラ硬度は、第1従動ローラ115のローラ硬度と同じに、又は、第1従動ローラ115のローラ硬度より大きくなるように設定されてもよい。
【0081】
第1従動ローラ115が第2モータ123からの第2駆動力によって回転する搬送ローラである場合、第1搬送ローラ114のローラ硬度及び第1従動ローラ115のローラ硬度は、それぞれ同一の大きさに設定されることが好ましい。同様に、第2従動ローラ118が第2モータ123からの第2駆動力によって回転する搬送ローラである場合、第2搬送ローラ117のローラ硬度及び第2従動ローラ118のローラ硬度は、それぞれ同一の大きさに設定されることが好ましい。これらにより、上側に配置されたローラによる搬送力と下側に配置されたローラによる搬送力とが同一となり、媒体搬送装置100は、搬送される媒体に対して剥離するような(せん断するような)力がかかることを抑制でき、媒体を良好に搬送することができる。
【0082】
この場合、第2搬送ローラ117のローラ硬度及び第2従動ローラ118のローラ硬度は、それぞれ第1搬送ローラ114のローラ硬度及び第1従動ローラ115のローラ硬度より小さくなるように設定される。なお、第1搬送ローラ114のローラ硬度及び第1従動ローラ115のローラ硬度は、それぞれ異なる大きさに設定されてもよい。また、第2搬送ローラ117のローラ硬度及び第2従動ローラ118のローラ硬度は、それぞれ異なる大きさに設定されてもよい。
【0083】
このように、第2搬送ローラ対に含まれるローラのうちの少なくとも一方のローラのローラ硬度は、第1搬送ローラ対に含まれるローラのうちの少なくとも一方のローラのローラ硬度より小さくなるように設定される。
【0084】
図8は、相互に対向する二つのローラの間にかかる押圧力と、その二つのローラによる過送り率との関係を示すグラフである。
【0085】
図8に示すグラフの横軸は、相互に対向する二つのローラの間にかかる押圧力[kgf]を示し、縦軸は、その二つのローラによる過送り率を示す。図8に示すグラフ800は、相互に対向する二つのローラのうちの一方の搬送ローラの、JIS-Aで規定されるゴム硬度が45°である場合の過送り率を示す。一方、図8に示すグラフ801は、相互に対向する二つのローラのうちの一方の搬送ローラの、JIS-Aで規定されるゴム硬度が60°である場合の過送り率を示す。
【0086】
図8に示すように、搬送ローラの硬度が小さいほど(柔らかいほど)、その搬送ローラによる過送り率は大きくなる。第2搬送ローラ117のローラ硬度が第1搬送ローラ114のローラ硬度より小さくなるように設定されることにより、媒体搬送装置100は、第2搬送ローラ117による媒体の搬送速度を第1搬送ローラ114による媒体の搬送速度より高くすることができる。したがって、媒体搬送装置100は、装置サイズ及び装置コストの低減を図りつつ、撮像位置での媒体の撓みの発生を抑制し、入力画像における歪みの発生を抑制することが可能となる。
【0087】
第1搬送ローラ114として硬度が60°のローラ(グラフ801)が使用され、且つ、第1搬送ローラ114にかかる押圧力W1が2[kgf]である場合、第1搬送ローラ114及び第1従動ローラ115の過送り率は約0.005となる。一方、第2搬送ローラ117として硬度が45°のローラ(グラフ800)が使用され、且つ、第2搬送ローラ117にかかる押圧力W2が1.1[kgf]である場合も、第2搬送ローラ117及び第2従動ローラ118の過送り率は約0.005となる。即ち、媒体搬送装置100は、第1搬送ローラ114と第2搬送ローラ117とのローラ硬度を異ならせることにより、第1搬送ローラ114と第2搬送ローラ117とにかかる押圧力による速度差の影響を排除することが可能となる。したがって、媒体搬送装置100は、第1搬送ローラ114と第2搬送ローラ117とのローラ硬度を異ならせることにより、媒体の撓みの発生を抑制することが可能となる。
【0088】
なお、上流側のローラのローラ硬度と下流側のローラのローラ硬度とを異ならせる場合、上流側のローラのローラ径と下流側のローラのローラ径は、それぞれ同一の大きさに設定されてもよい。逆に、上流側のローラのローラ径と下流側のローラのローラ径とを異ならせる場合、上流側のローラのローラ硬度と下流側のローラのローラ硬度は、それぞれ同一の大きさに設定されてもよい。
【0089】
また、媒体搬送装置100において、第2搬送ローラ117のローラ径が第1搬送ローラ114のローラ径より大きくなり、且つ、第2搬送ローラ117のローラ硬度が第1搬送ローラ114より小さくなるように設定されてもよい。
【0090】
上記したように、例えば、第1搬送ローラ114及び第1従動ローラ115の押圧力W1が3[kgf]である場合、第1搬送ローラ114及び第1従動ローラ115の過送り率は約0.012となる。一方、第2搬送ローラ117及び第2従動ローラ118の押圧力W2が1.5[kgf]である場合、第2搬送ローラ117及び第2従動ローラ118の過送り率は約0.006となる。図8に示すように、二つのローラの間の押圧力が1.5[kgf]であり且つローラのゴム硬度が45°である場合、その二つのローラの過送り率は約0.004となる。一方、二つのローラの間の押圧力が1.5[kgf]であり且つローラのゴム硬度が60°である場合、その二つのローラの過送り率は約0.007となる。したがって、第1搬送ローラ114として硬度が60°のローラを使用し、第2搬送ローラ117として硬度が45°のローラを使用することにより、二つのローラの過送り率の差を約0.003とすることができる。その場合、第1搬送ローラ114のローラ径d1と、第2搬送ローラ117のローラ径d2とを、以下の式(8)を満たすように設定することにより、媒体搬送装置100は、媒体の撓みの発生を抑制できる。
(d2-d1)/d1≒0.003 (8)
【0091】
図9は、媒体搬送装置100の概略構成を示すブロック図である。
【0092】
媒体搬送装置100は、前述した構成に加えて、インタフェース装置131、記憶装置140及び処理回路150等をさらに有する。
【0093】
インタフェース装置131は、例えばUSB等のシリアルバスに準じるインタフェース回路を有し、不図示の情報処理装置(例えば、パーソナルコンピュータ、携帯情報端末等)と電気的に接続して入力画像及び各種の情報を送受信する。また、インタフェース装置131の代わりに、無線信号を送受信するアンテナと、所定の通信プロトコルに従って、無線通信回線を通じて信号の送受信を行うための無線通信インタフェース装置とを有する通信部が用いられてもよい。所定の通信プロトコルは、例えば無線LAN(Local Area Network)である。通信部は、有線LAN等の通信プロトコルに従って、有線通信回線を通じて信号の送受信を行うための有線通信インタフェース装置を有してもよい。
【0094】
記憶装置140は、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等のメモリ装置、ハードディスク等の固定ディスク装置、又はフレキシブルディスク、光ディスク等の可搬用の記憶装置等を有する。また、記憶装置140には、媒体搬送装置100の各種処理に用いられるコンピュータプログラム、データベース、テーブル等が格納される。コンピュータプログラムは、コンピュータ読み取り可能な可搬型記録媒体から、公知のセットアッププログラム等を用いて記憶装置140にインストールされてもよい。可搬型記録媒体は、例えばCD-ROM(compact disc read only memory)、DVD-ROM(digital versatile disc read only memory)等である。
【0095】
処理回路150は、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づいて動作する。処理回路は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。処理回路150として、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等が用いられてもよい。
【0096】
処理回路150は、操作装置105、表示装置106、媒体センサ111、撮像装置116、第1モータ121、第2モータ123、インタフェース装置131及び記憶装置140等と接続され、これらの各部を制御する。処理回路150は、媒体センサ111から受信した媒体信号に基づいて、第1モータ121、第2モータ123の駆動制御、撮像装置116の撮像制御等を行う。処理回路150は、撮像装置116から入力画像を取得し、インタフェース装置131を介して情報処理装置に送信する。
【0097】
図10は、記憶装置140及び処理回路150の概略構成を示す図である。
【0098】
図11に示すように、記憶装置140には、制御プログラム141及び画像取得プログラム142等が記憶される。これらの各プログラムは、プロセッサ上で動作するソフトウェアにより実装される機能モジュールである。処理回路150は、記憶装置140に記憶された各プログラムを読み取り、読み取った各プログラムに従って動作する。これにより、処理回路150は、制御部151及び画像取得部152として機能する。
【0099】
図11は、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を示すフローチャートである。
【0100】
以下、図11に示したフローチャートを参照しつつ、媒体搬送装置100の媒体読取処理の動作の例を説明する。なお、以下に説明する動作のフローは、予め記憶装置140に記憶されているプログラムに基づき主に処理回路150により媒体搬送装置100の各要素と協働して実行される。
【0101】
最初に、制御部151は、利用者により操作装置105又は情報処理装置を用いて媒体の読み取りの指示が入力されて、媒体の読み取りを指示する操作信号を操作装置105又はインタフェース装置131から受信するまで待機する(ステップS101)。
【0102】
次に、制御部151は、媒体センサ111から媒体信号を取得し、取得した媒体信号に基づいて、載置台103に媒体が載置されているか否かを判定する(ステップS102)。載置台103に媒体が載置されていない場合、制御部151は、一連のステップを終了する。
【0103】
一方、載置台103に媒体が載置されている場合、制御部151は、第1モータ121及び第2モータ123を駆動して、給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ114及び/又は第2搬送ローラ117を回転させる(ステップS103)。これにより制御部151は、各ローラに媒体を給送及び搬送させる。
【0104】
次に、制御部151は、撮像装置116に媒体を撮像させて、撮像装置116から入力画像を取得し、取得した入力画像を、インタフェース装置131を介して情報処理装置に送信することにより出力する(ステップS104)。
【0105】
次に、制御部151は、媒体センサ111から受信する媒体信号に基づいて載置台103に媒体が残っているか否かを判定する(ステップS105)。載置台103に媒体が残っている場合、制御部151は、処理をステップS104へ戻し、ステップS104~S105の処理を繰り返す。
【0106】
一方、載置台103に媒体が残っていない場合、制御部151は、給送ローラ112、分離ローラ113、第1搬送ローラ114及び/又は第2搬送ローラ117を停止させるように、第1モータ121及び第2モータ123を制御する(ステップS106)。そして、制御部151は、一連のステップを終了する。
【0107】
以上詳述したように、媒体搬送装置100は、下流側の搬送ローラ対による押圧力を上流側の搬送ローラ対による押圧力より小さくしつつ、下流側の搬送ローラ対のローラ径を上流側の搬送ローラ対のローラ径より大きくする。または、媒体搬送装置100は、下流側の搬送ローラ対による押圧力を上流側の搬送ローラ対による押圧力より小さくしつつ、下流側の搬送ローラ対のローラ硬度を上流側の搬送ローラ対のローラ硬度より小さくする。これにより、媒体搬送装置100は、複数の搬送ローラで第2モータ123を共有して装置サイズ及び装置コストの増大を抑制しつつ、媒体を良好に搬送することが可能となった。
【0108】
図12は、さらに他の実施形態に係る媒体搬送装置における処理回路250の概略構成を示す図である。処理回路250は、媒体搬送装置100の処理回路150の代わりに使用され、処理回路150の代わりに、媒体読取処理等を実行する。処理回路250は、制御回路251及び画像取得回路252等を有する。なお、これらの各部は、それぞれ独立した集積回路、マイクロプロセッサ、ファームウェア等で構成されてもよい。
【0109】
制御回路251は、制御部の一例であり、制御部151と同様の機能を有する。制御回路251は、操作装置105又はインタフェース装置131から操作信号を、媒体センサ111から媒体信号を受信する。制御回路251は、受信した各情報に基づいて第1モータ121及び第2モータ123を制御する。
【0110】
画像取得回路252は、画像取得部の一例であり、画像取得部152と同様の機能を有する。画像取得回路252は、撮像装置116から入力画像を取得し、インタフェース装置131に出力する。
【0111】
以上詳述したように、媒体搬送装置は、処理回路250を用いる場合においても、媒体を良好に搬送することが可能となった。
【0112】
以上、好適な実施形態について説明してきたが、実施形態はこれらに限定されない。例えば、媒体搬送装置は、印刷対象物等を媒体として搬送するプリンタでもよい。その場合、媒体搬送装置は、撮像装置116の代わりに印刷装置を有する。印刷装置は、撮像装置116が配置される位置に配置され、第1搬送ローラ114及び第1従動ローラ115により搬送された媒体に印刷処理を実行する。印刷処理は、所定の処理の一例である。媒体搬送装置は、搬送される媒体(印刷対象物)に撓みが発生することを抑制できるため、印刷対象物への印刷を良好に行うことが可能となる。
【符号の説明】
【0113】
100 媒体搬送装置、112 給送ローラ、113 分離ローラ、114 第1搬送ローラ、115 第1従動ローラ、115a 第1押圧部材、116 撮像装置、117 第2搬送ローラ、118 第2従動ローラ、118a 第2押圧部材
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
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図10
図11
図12