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特許7419617把持操作器具及びこれを用いた把持操作器具セット並びにこれを用いたロボット
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】把持操作器具及びこれを用いた把持操作器具セット並びにこれを用いたロボット
(51)【国際特許分類】
   B25B 23/10 20060101AFI20240116BHJP
   B25J 9/06 20060101ALI20240116BHJP
   B23P 19/06 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
B25B23/10 A
B25B23/10 C
B25J9/06 A
B23P19/06 C
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023032756
(22)【出願日】2023-03-03
【審査請求日】2023-03-03
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】517098310
【氏名又は名称】株式会社メドメタレックス
(73)【特許権者】
【識別番号】523015301
【氏名又は名称】網野 博一
(74)【代理人】
【識別番号】100199369
【弁理士】
【氏名又は名称】玉井 尚之
(72)【発明者】
【氏名】網野 博一
【審査官】大光 太朗
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2017/106913(WO,A1)
【文献】特開2011-156615(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2015/0343623(US,A1)
【文献】特開2019-104092(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0190252(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25B 23/10
B25J 9/06
B23P 19/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
係止されるための被係止部を備える被係止体を係止し操作する把持操作器具であって、
前記被係止体を操作するハンドル部と、
前記ハンドル部から突出する軸部と、
前記被係止部と係合し、前記軸部の先端側に配設される第1係止部と、
前記第1係止部を前記被係止部に係止させた後に、前記軸部が先端側に移動するだけで
は前記被係止部に係止させることができず、かつ、前記軸部が所定の角度捩じられ、先端
側に移動させられることによって前記被係止部と係合する形状を備え、前記軸部に配設さ
れる第2係止部と、を有し、
前記第2係止部は前記軸部が捩じられた方向とは逆方向に戻ろうとして前記被係止体を
把持する把持操作器具。
【請求項2】
前記軸部は、前記第1係止部と連結する第1軸部と、前記第2係止部と連結する第2軸
部とを有し、
前記第1軸部及び前記第2軸部とは同芯であり、前記第1軸部及び前記第2軸部の一方
は、他方が貫通する筒状体であり、両軸部ともに前記ハンドル部に連結している請求項1
に記載の把持操作器具。
【請求項3】
前記軸部は、前記第1係止部と連結する第1軸部と、前記第2係止部と連結する第2軸
部とを有し、
前記第1軸部及び前記第2軸部とは同芯であり、前記第1軸部及び前記第2軸部の一方
は、他方が貫通する筒状体であり、
前記第1軸部または前記第2軸部のいずれかの軸部は前記ハンドル部に連結し、他方の
軸部は前記いずれかの軸部に連結している請求項1に記載の把持操作器具。
【請求項4】
前記被係止部が、前記被係止体に形成された凹所であり、前記第1係止部及び前記第2
係止部は前記凹所と係合する請求項1~3のいずれか1項に記載の把持操作器具。
【請求項5】
前記被係止部が、前記被係止体に形成された外側面であり、前記第1係止部及び前記第
2係止部は前記外側面と係合する請求項1~3のいずれか1項に記載の把持操作器具。
【請求項6】
前記被係止部が、前記被係止体に形成された凹所、及び前記被係止体に形成された外側
面であり、前記第1係止部及び前記第2係止部のいずれかの係止部が前記凹所と係合し、
他方の係止部が前記外側面と係合する請求項1~3のいずれか1項に記載の把持操作器具
【請求項7】
係止されるための被係止部を備える被係止体と、
被係止体を係止し操作する把持操作器具であって、
前記被係止体を操作するハンドル部と、
前記ハンドル部から突出する軸部と、
前記被係止部と係合し、前記軸部の先端側に配設される第1係止部と、
前記第1係止部を前記被係止部に係止させた後に、前記軸部を先端側に付勢するだけ
では前記被係止部に係止させることができず、かつ、前記ハンドル部を回して前記軸部を
所定の角度捩じり、前記先端側に付勢するとによって前記被係止部と係合する形状を備え
、前記軸部に配設される第2係止部と、を有し、前記第2係止部は前記軸部が捩じられた
方向とは逆方向に戻ろうとして前記被係止体を把持する把持操作器具と、
前記被係止体を着脱可能に固定する台板と、を有する把持操作器具セット。
【請求項8】
係止されるための被係止部を備える被係止体を係止し操作するロボットであって、
ロボット本体部と、当該ロボット本体部に連なるアーム部と、前記アーム部を制御する
制御部を備え、前記アーム部の先端に前記被係止体を係止する把持操作器具を備え、
前記把持操作器具は、
前記被係止体を操作するハンドル部と、
前記ハンドル部から突出する軸部と、
前記被係止部と係合し、前記軸部の先端側に配設される第1係止部と、
前記第1係止部を前記被係止部に係止させた後に、前記軸部が先端側に移動するだけで
は前記被係止部に係止させることができず、かつ、前記軸部が所定の角度捩じられ、先端
側に移動させられることによって前記被係止部と係合する形状を備え、前記軸部に配設さ
れる第2係止部と、を有し、前記第2係止部は前記軸部が捩じられた方向とは逆方向に戻
ろうとして前記被係止体を把持することを特徴とするロボット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、被係止体を係止し操作する把持操作器具並びにこれを用いたロボットに関
する。
【背景技術】
【0002】
様々な場面でねじやボルト等の被係止体を取り付けるあるいは外す作業が行われる。工
場などでの物品や装置の製造工程で、ねじの取り付けや取り外しの作業が行われることが
ある。あるいは、機器や設備の設置のために、被係止体を取り付け作業が行われる。ある
いは、機器や設備の交換や修理のために、ねじやボルト等の取り外し作業が行われる。こ
れらの作業においては、通常はドライバーなどの把持操作器具が使用される。
【0003】
ドライバーを用いたスクリュー等の取り付けや取り外しにおいては、ドライバーの先端
にスクリュー等をセットして作業が行われる。これは、手動で作業するドライバーであっ
ても、電動で回転する電動ドライバーであっても同様である。
【0004】
スクリューなどの被係止体はドライバーによって回転可能な溝・穴等の被係止部を、頭
部に備えている。この被係止部にドライバーの先端があてがわれて、被係止体の取付けあ
るいは取り外しの作業が行われる。このとき、ドライバーの先端とスクリューの溝・穴等
とは、あてがわれているだけであるので、相互にきちんと繋がっているわけではない。作
業者が、スクリューとドライバーのそれぞれを手で把持して支えることで、ドライバーの
先端とスクリューの溝・穴等との接触を維持させる。このため、把持が難しかったり把持
力が足りなかったりすると、スクリューがドライバーの先端から落下してしまうことがあ
り、これを防止するために、種々の方策がとられてきた。
【0005】
特許文献1に記載の発明(図26参照)では、ドライバーの六角軸504の先端に取り
付けられたクロスビット503の周囲に筒形チャック502が配設され、その外側に筒形
ホルダ501が備えられている。筒形チャック502の遠位端は内側に曲げられ爪502
aが形成されている。スクリューをクロスビット503の端部に取り付けるとスクリュー
が爪502aに引っかかって、下に向けてもスクリューが落ちにくい構造となっている。
しかし、スクリューは引っかかっているだけなので、下向きの力(例えば移動の際の加速
度)がかかるとスクリューの落下のおそれがある。
【0006】
特許文献2に記載の発明(図27参照)では、ドライバーのグリップ部523には筒状
本体520が備えられ、筒状本体520内に移動部512が配設され、先端の先端部51
3の遠位端にスクリュー515が係止されている。図26に示される方向ではスクリュー
515は落下しないが、開口部521を下に向けるとスクリュー515の落下が容易に予
想される。
【0007】
特許文献3に記載の発明(図28参照)では、ドライバーの柄部610に連結するシャ
フトの遠位端に先端部603が設けられ、篏合部607がシャフトの中ほどに配設されて
いる。篏合部607には、環状支持部613と環状部611が備えられ、環状部611の
遠位端には磁性部609が取り付けられている。篏合部607をフランジ部617まで移
動させると、先端部603が磁性を帯び、先端部603に係止されているスクリューが磁
性を帯びる材質であれば磁性を帯びることになり、スクリューは磁力で係止され、落ちる
おそれが少なくなる。しかし、ドライバーに移動の際の加速度や衝撃がかかるとスクリュ
ーの落下が容易に予想される。また、磁性を帯びないステンレス製のスクリューには落下
防止の機能を果たさない。
【0008】
特許文献4に記載の発明(図29参照)では、把持部703と本体部702を有するド
ライバー701が示され、本体部702の遠位端の先端部704は、凹部742と凸部7
41が形成されている。凹部742には吸着性のある柔軟部材705が取り付けられてい
る。この柔軟部材705がスクリューの係止穴・溝に入り込んで、スクリューが落ちにく
くなる構造であるが、スクリューが落下しにくくなる機序が吸着性のある柔軟部材705
とスクリューの溝・穴との間の摩擦であるため、ドライバーに移動の際の加速度や衝撃が
かかるとスクリューの落下が容易に予想される。
【0009】
特許文献5に記載の発明(図30参照)では、ドライバー832の遠位端に第1刃部7
21、第2刃部722、第3刃部723、第4刃部724、空洞913、空洞923、突
起911、突起921が形成されている。スクリューの溝・穴にドライバー先端を押し込
むと、空洞913と空洞923が小さくなり、突起911と突起921がスクリューの溝
・穴に圧接し、第1刃部721、第2刃部722が膨らもうとするので、スクリューがド
ライバーから外れにくくなる。しかし、スクリューの溝・穴にドライバー先端を押し込む
力はばらつきがあり、力が弱いとスクリューがドライバーから外れるおそれがある。
【0010】
図31に示すスクリュー905とドライバーは脊椎の手術に用いられるものである。ド
ライバーのシャフト部901にはスリット903が、先端部902にはスリット904が
形成されている。スクリュー905には係止用の穴(トルクス(登録商標))906があ
けられ、先端部902は穴906よりも少し大きく作られている。穴906にドライバー
先端を押し込むとスリット903とスリット904があるので、ドライバー先端は穴90
6に入り込み、先端部が拡がろうとする力でスクリュー905がドライバーから外れにく
くなる。しかし、先端が拡がろうとする力のみでスクリューを係止しているため、ドライ
バーに移動の際の加速度や衝撃がかかるとスクリューの落下が容易に予想される。また、
このドライバーを用いてスクリューを締めこむために大きなトルクをかけると、ドライバ
ー先端の破損のおそれもある。
図30のスリットの代わりに、先端部902に先細のテーパーを付け、スクリュー90
5に嵌めて先端部902に衝撃を加えて係止させる方法も行われているが、加える衝撃力
にばらつきがあるため不確実となる。
【0011】
図32の把持操作器具1000は、ハンドル部1001、シャフト部1002、先端部
1003、ロッド1005、つまみ1007等から構成されており、ロッド先端部100
6は、図24のドライバーと同様にスリット1004が形成されている。図25の把持操
作器具1000ではさらにつまみ1007を回すと、雄ねじ1008と雌ねじ1009が
かみ合って、ロッド先端部1006を左方に移動させ、先端部1003を押し広げる。こ
の押し拡げによって、スクリューをしっかりと係止することが出来る。しかし、図23
ドライバーと同様に、このドライバーを用いてスクリューを締めこむために大きなトルク
をかけると、ドライバー先端の破損のおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【文献】実用新案登録第3131577号公報
【文献】特開2010-137332号公報
【文献】特開2010-42486号公報
【文献】特開2020-62713号公報
【文献】特開2020-66091号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
図25図31に示す従来のドライバーでは、ドライバー先端に係止するスクリューが
衝撃等により係止が外れて落下する可能性があり、確実にドライバーによるねじ込み開始
までスクリューが落下しない保証はない。例えば、整形外科や脊椎外科に分野におけるイ
ンプラントの設置に多くのスクリューが用いられる場合があり、このような場合において
は患者の術野にスクリューが落下すると手術中の患者の体内に落下し、医療事故につなが
る恐れがある。また、種々の産業分野においてもドライバーからのスクリュー等の被係止
体の落下の懸念が作業効率の低下や種々のトラブルの原因ともなる。
【0014】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、その目的は、スクリュー等の被係止
体を係止し操作するドライバー等の把持操作器具を所定の位置にまで移動する際に、ドラ
イバー等の把持操作器具からスクリュー等の被係止体の落下のおそれがない把持操作器具
を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するためになされた本発明に係る把持操作器具は、先端に係止させられ
たスクリュー等の被係止体が、把持操作器具の移動中に先端から離れることがない機能を
有するものであって、従来のドライバー等の把持操作器具がこの点に関して確実なものが
なかったのに比して画期的機能を有するものである。
【0016】
本発明(1)は、係止されるための被係止部を備える被係止体を係止し操作する把持操
作器具であって、前記被係止体を操作するハンドル部と、前記ハンドル部から突出する軸
部と、前記被係止部と係合し、前記軸部の先端側に配設される第1係止部と、前記第1係
止部を前記被係止部に係止させた後に、前記軸部が先端側に移動するだけでは前記被係止
部に係止させることができず、かつ、前記軸部が所定の角度捩じられ、先端側に移動させ
られることによって前記被係止部と係合する形状を備え、前記軸部に配設される第2係止
部と、を有し、前記第2係止部は前記軸部が捩じられた方向とは逆方向に戻ろうとして前
記被係止体を把持する把持操作器具である。
【0017】
把持操作器具は、ねじ、ボルト、ビス等の被係止体を係止し操作する器具である。例え
ば、ドライバーはボルト等の被係止体を先端に取り付けてねじ込むという操作で機能を果
たす。被係止体は、例えば、スクリューであれば、頭部にドライバーと係止するための被
係止部があり、この被係止部は、マイナス溝、プラス溝、六角穴、トルクス穴、ボルト頭
部等の種々の形態をしている。
【0018】
本発明(1)では、ハンドル部と、前記ハンドル部から突出する軸部と、前記被係止部
と係合し、前記軸部の先端側に配設される第1係止部と、前記第1係止部を前記被係止部
に係止させた後に、前記軸部が先端側に移動するだけでは前記被係止部に係止させること
ができず、かつ、前記軸部が所定の角度捩じられ、先端側に移動させられることによって
前記被係止部と係合する形状を備え、前記軸部に配設される第2係止部と、を有し、前記
第2係止部は前記軸部が捩じられた方向とは逆方向に戻ろうとして前記被係止体を把持
るので、被係止体が操作時に把持操作器具の先端から外れることがない。
【0019】
本発明(2)は、前記軸部は、前記第1係止部と連結する第1軸部と、前記第2係止部
と連結する第2軸部とを有し、前記第1軸部及び前記第2軸部とは同芯であり、前記第1
軸部及び前記第2軸部の一方は、他方が貫通する筒状体であり、両軸部ともに前記ハンド
ル部に連結している本発明(1)の把持操作器具である。
【0020】
本発明(2)では、前記軸部は、前記第1係止部と連結する第1軸部と、前記第2係止
部と連結する第2軸部とを有し、前記第1軸部及び前記第2軸部とは同芯であり、前記第
1軸部及び前記第2軸部の一方は、他方が貫通する筒状体であり、両軸部ともに前記ハン
ドル部に連結し、軸部が第1係止部と連結する第1軸部と、第2係止部と連結する第2軸
部の2つの軸部を有しているので、被係止体を係止するバリエーションが増え、かつ、被
係止体が操作時に把持操作器具の先端から外れることがない。
【0021】
本発明(3)は、前記軸部は、前記第1係止部と連結する第1軸部と、前記第2係止部
と連結する第2軸部とを有し、前記第1軸部及び前記第2軸部とは同芯であり、前記第1
軸部及び前記第2軸部の一方は、他方が貫通する筒状体であり、前記第1軸部または前記
第2軸部のいずれかの軸部は前記ハンドル部に連結し、他方の軸部は前記いずれかの軸部
に連結している本発明(1)の把持操作器具である。
【0022】
本発明(3)では、前記軸部は、前記第1係止部と連結する第1軸部と、前記第2係止
部と連結する第2軸部とを有し、前記第1軸部及び前記第2軸部とは同芯であり、前記第
1軸部及び前記第2軸部の一方は、他方が貫通する筒状体であり、前記第1軸部または前
記第2軸部のいずれかの軸部は前記ハンドル部に連結し、他方の軸部は前記いずれかの軸
部に連結しているので、第1軸部と第2軸部の固定の仕方のバリエーションが増え、かつ
、被係止体が操作時に把持操作器具の先端から外れることがない。
【0023】
本発明(4)は、前記被係止部が、前記被係止体に形成された凹所であり、前記第1係
止部及び前記第2係止部は前記凹所と係合する本発明(1)~(3)のいずれかの把持操
作器具である。
【0024】
本発明(4)では、前記被係止部が、前記被係止体に形成された凹所であり、前記第1
係止部及び前記第2係止部は前記凹所と係合するので、被係止体には被係止部は凹所だけ
で良いので被係止体の係止部の構造が単純であっても被係止体が操作時に把持操作器具の
先端から外れることがない。
【0025】
本発明(5)は、前記被係止部が、前記被係止体に形成された外側面であり、前記第1
係止部及び前記第2係止部は前記外側面と係合する本発明(1)~(3)のいずれかの把
持操作器具である。
【0026】
本発明(5)では、前記被係止部が、前記被係止体に形成された外側面であり、前記第
1係止部及び前記第2係止部は前記外側面と係合するので、本発明(5)のような凹所を
被係止体が設けられない場合でも外側面を使って係止出来、被係止体が操作時に把持操作
器具の先端から外れることがない。
【0027】
本発明(6)は、前記被係止部が、前記被係止体に形成された凹所、及び前記被係止体
に形成された外側面であり、前記第1係止部及び前記第2係止部のいずれかの係止部が前
記凹所と係合し、他方の係止部が前記外側面と係合する本発明(1)~(3)のいずれか
の把持操作器具である。
【0028】
本発明(6)では、前記被係止部が、前記被係止体に形成された凹所、及び前記被係止
に形成された外側面であり、前記第1係止部及び前記第2係止部のいずれかの係止部が
前記凹所と係合し、他方の係止部が前記外側面と係合するので、被係止部として凹所と外
周面を使用することができる。これによって、被係止体が操作時に把持操作器具の先端か
ら外れることがない。
【0029】
本発明(7)は、係止されるための被係止部を備える被係止体と、
被係止体を係止し操作する把持操作器具であって、
前記被係止体を操作するハンドル部と、
前記ハンドル部から突出する軸部と、
前記被係止部と係合し、前記軸部の先端側に配設される第1係止部と、
前記第1係止部を前記被係止部に係止させた後に、前記軸部を先端側に付勢するだけ
では前記被係止部に係止させることができず、かつ、前記ハンドル部を回して前記軸部を
所定の角度捩じり、前記先端側に付勢することによって前記被係止部と係合する形状を備
え、前記軸部に配設される第2係止部と、を有し、前記第2係止部は前記軸部が捩じられ
た方向とは逆方向に戻ろうとして前記被係止体を把持する把持操作器具と、
前記被係止体を着脱可能に固定する台板と、を有する把持操作器具セットである。
【0030】
本発明(8)は、係止されるための被係止部を備える被係止体を係止し操作するロボッ
トであって、ロボット本体部と、当該ロボット本体部に連なるアーム部と、前記アーム部
を制御する制御部を備え、前記アーム部の先端に前記被係止体を係止する把持操作器具を
備え、前記把持操作器具は、前記被係止体を操作するハンドル部と、前記ハンドル部から
突出する軸部と、前記被係止部と係合し、前記軸部の先端側に配設される第1係止部と、
前記第1係止部を前記被係止部に係止させた後に、前記軸部が先端側に移動するだけでは
前記被係止部に係止させることができず、かつ、前記軸部が所定の角度捩じられ、先端側
に移動させられることによって前記被係止部と係合する形状を備え、前記軸部に配設され
る第2係止部と、を有し、前記第2係止部は前記軸部が捩じられた方向とは逆方向に戻ろ
うとして前記被係止体を把持することを特徴とするロボットである。

【0031】
把持操作器具をロボットアームの先端に取り付けることによって、高速で移動し大きな
加速度がかかるロボットアームであってもロボットアームの先端から被係止体(ねじ等)
が落下するおそれがないので、例えば、種々のボルト等のねじを使う車両の製造ラインに
おける組立工程において完全自動化が可能となる。
【発明の効果】
【0032】
本発明によれば、スクリュー等の被係止体を係止し操作するドライバー等の把持操作器
具を所定の位置にまで移動する際に、ドライバー等の把持操作器具からスクリュー等の被
係止体の落下のおそれがない把持操作器具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
図1】本発明の実施形態1の把持操作器具(ドライバー)の斜視図である。
図2】本発明の実施形態1のドライバーの一部部分断面模式図である。
図3】本発明の実施形態1のドライバーを用いてスクリューを把持移動させる状態を示す模式図である。
図4】本発明の実施形態2のドライバーの一部部分断面模式図である。
図5】本発明の実施形態2のドライバーを用いてスクリューを把持移動させる状態を示す模式図である。
図6】本発明の実施形態3のドライバーの一部部分断面模式図である。
図7】本発明の実施形態4のドライバーの一部部分断面模式図である。
図8】本発明の実施形態4のドライバーを用いてスクリューを把持移動させる状態を示す模式図である。
図9】本発明の実施形態5のドライバーの一部部分断面模式図である。
図10】本発明の実施形態5のドライバーを用いてスクリューを把持移動させる状態を示す模式図である。
図11】本発明の実施形態6のドライバーの一部部分断面模式図である。
図12】本発明のスクリュー・ドライバーセットを示す模式図である。
図13図2に示す実施形態1のドライバーの変形例である。
図14図7に示す実施形態4のドライバーの変形例である。
図15】本発明の実施形態7の股関節ステムの把持操作器具の一部部分断面模式図である。
図16】本発明の実施形態8の股関節臼蓋シェルの把持操作器具の一部部分断面模式図である。
図17】本発明の実施形態9の軸部、係止部及び被係止体を模式的に示す斜視図である。
図18】本発明の各種把持操作器具と各種被係止体との関係例を模式的に示す概略図である。
図19】本発明の実施形態10のフレキシブルドライバーの斜視図である。
図20】本発明の実施形態11のアセタブラーリーマカップホルダーの斜視図である。
図21】本発明の実施形態12のステムホルダーの斜視図である。
図22】本発明の実施形態13のステムホルダーの斜視図である。
図23】本発明の実施形態14のドライバーの斜視図である。
図24】本発明の実施形態15の六角レンチの斜視図である。
図25】本発明の実施形態1の把持操作器具をアームの先端に備える実施形態16のロボットの模式図である。
図26】特許文献1に記載のドライバー先端を示す一部部分断面図である。
図27】特許文献2に記載のドライバーを示す。
図28】特許文献3に記載のドライバーを示す一部部分断面図である。
図29】特許文献4に記載のドライバーを示す。
図30】特許文献5に記載のドライバー先端を示す一部部分断面図である。
図31】従来技術の脊椎手術に用いられるドライバーの先端部分とスクリューの斜視図を示す。
図32】従来技術の脊椎手術に用いられるドライバーであって、図30のドライバーの改良タイプ示す。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下の実施形態は、
本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限す
ることを意図するものではない。
【0035】
<実施形態1>
図1図3に、本発明の把持操作器具の実施形態1を示す。
図1に示す把持操作器具1は、ハンドル部2と第1係止部3と、第2軸部6を備えてい
る。
【0036】
図2は、実施形態1の把持操作器具の一部部分断面模式図である。図2(A)において
、使用者が掴むハンドル部2と第1係止部3とこれらを連結する第1軸部4を備え、第1
軸部4が貫通する第2軸部6が示されている。第2軸部6の先端部分の第2係止部5は、
第1係止部3とは連結されておらず、ハンドル部2とのみ連結されている。
【0037】
被係止体10は、フィクスチャー(台板)Fに着脱可能に配置されており、被係止体1
0は、雄ねじ12が刻設され、中央に被係止部11が貫通している。被係止部11の穴深
さは、所定の深さdである。図2(B)は、被係止体10の上面図であり、被係止部11
がトルクス形状となっている。図2(C)は、第1係止部3の下面図であり、被係止部1
1にはめ合わすことができる形状になっている。第1係止部3の形状は、被係止部11の
形状と一致する必要はなく、例えば、トルクス形状の突起の一部が欠けた形状となってい
ても構わない。図2(D)は、第2係止部5のX-X断面図で、第2係止部5の外周もト
ルクス形状となっているが、第1係止部3のトルクス形状とは角度がθだけずれている。
従って、把持操作器具1を被係止体10にはめ合わせようとしても第2係止部5は被係止
部11に入らず、被係止体10を係止することはできない。
【0038】
図3は、実施形態1のドライバーを用いてスクリューを把持移動させる状態を示す模式
図である。図3(A)は、図2に示す状態で、図3(B)は、第1係止部3を被係止部1
1にはめ入れた状態を示す。第2係止部5の形状が角度θだけ第1係止部3に対してずれ
ているので、このままでは、ハンドル部2に下向きの力を加えて押し込もうとしても第2
係止部5は被係止部11に入ることができない。
【0039】
図3(B)の状態から、ハンドル部2を回旋させてトルクをかけると、第2係止部5と
第1係止部3のトルクス形状の角度位相差θが小さくなり、位相差がなくなると第2係止
部5が被係止部11に入り、図3(C)の状態になる。この状態から、ハンドル部2を上
方に移動させると、図3(D)に示すように、被係止体10はしっかりと把持操作器具1
に把持されて、被係止体10が把持操作器具1から外れることは確実に防止できる。
【0040】
<実施形態2>
図4及び図5に、本発明のドライバーの実施形態2を示す。
図4は、実施形態2の把持操作器具21の一部部分断面模式図である。図4(A)にお
いて、使用者が掴むハンドル部22と第1係止部23とこれらを連結する第1軸部24を
備え、第1軸部24が貫通する第2軸部26が示されている。第2軸部26の先端部分の
第2係止部25は、第1係止部23とは連結されておらず、ハンドル部22とのみ連結さ
れている。
【0041】
図4(A)の被係止体10は、図2に示す被係止体10と同じであるので説明を省略す
る。図4(B)~(D)についても図2(B)~(D)と同じであるので説明を省略する
【0042】
図5は、実施形態2のドライバーを用いてスクリューを把持移動させる状態を示す模式
図である。図5(A)は、図4に示す状態で、図5(B)は、第1係止部23を被係止部
11にはめ入れた状態を示す。第2係止部25の形状が角度θだけ第1係止部23に対し
てずれているので、このままでは、ハンドル部22に下向きの力を加えて押し込もうとし
ても第2係止部25は被係止部11に入ることができない。
【0043】
図5(B)の状態から、ハンドル部22を回旋させてトルクをかけると、第2係止部2
5と第1係止部23のトルクス形状の角度位相差θが小さくなり、位相差がなくなると第
2係止部25が被係止部11に入り、図5(C)の状態になる。この状態から、ハンドル
部22を上方に移動させると、図5(D)に示すように、被係止体10はしっかりと把持
操作器具21に把持されて、被係止体10が把持操作器具21から外れることは確実に防
止できる。
【0044】
<実施形態3>
図6に、本発明のドライバーの実施形態3を示す。
図6は、実施形態3の把持操作器具31の一部部分断面模式図である。図6(A)にお
いて、使用者が掴むハンドル部32と第1係止部33とこれらを連結する第1軸部34が
示されている。第1軸部34は、ロッド34aとロッド34aの遠位端に有底筒状体34
bを備えている。第1軸部34が貫通する第2軸部36が備えられている。第2軸部36
の先端部分の第2係止部35は、第1係止部33とは連結されておらず、ハンドル部32
とのみ連結されている。
【0045】
図6(A)の被係止体10は、図2に示す被係止体10と同じであるので説明を省略す
る。図6(B)~(D)についても図2(B)~(D)と同じであるので説明を省略する
【0046】
<実施形態4>
図7及び図8に、本発明のドライバーの実施形態4を示す。
図7は、実施形態4の把持操作器具41の一部部分断面模式図である。図7(A)にお
いて、使用者が掴むハンドル部42と第1係止部43とこれらを連結する第1軸部44を
備え、第1軸部44を貫通する第2軸部46が示されている。
【0047】
第2軸部46の先端部分の第2係止部45は、第1軸部44には連結されておらず、ハ
ンドル部2とのみ連結されている。第1係止部43には被係止部16(外側面)と係合す
る穴43hがあけられている。第2係止部45には、被係止部16(外側面)と係合する
穴45hがあけられている。
【0048】
被係止体15は、フィクスチャー(台板)Fに着脱可能に配置されており、被係止体1
5は、雄ねじ17が刻設され、頭部に被係止部16(外側面)が形成されている。被係止
部16の軸方向長さは、所定の軸方向長さLである。図7(B)は、被係止体15の上面
図であり、被係止部16が六角形となっている。図7(C)は、第1係止部43の下面図
であり、被係止部16にはめ合わすことができる形状になっている。第1係止部43の形
状は、被係止部16の形状と一致する必要はなく、例えば、六角形の一部が変形した形状
となっていても、被係止部16と係合できれば構わない。図7(D)は、第2係止部45
の下面図で、第2係止部45の穴45hも六角形となっているが、穴43hの六角形とは
角度がθだけずれている。従って、把持操作器具41を被係止体15にはめ合わせようと
しても第2係止部45は被係止部16を係止できず、被係止体15を係止することはでき
ない。
【0049】
図8は、実施形態4の把持操作器具41を用いてスクリューを把持移動させる状態を示
す模式図である。図8(A)は、図7に示す状態で、図8(B)は、第1係止部43を被
係止部16にはめ入れた状態を示す。第2係止部45の形状が角度θだけ第1係止部43
に対してずれているので、このままでは、ハンドル部42に下向きの力を加えて押し込も
うとしても第2係止部45は被係止部16と係合することができない。
【0050】
図8(B)の状態から、ハンドル部42を回旋させてトルクをかけると、第2係止部4
5の六角形の角度位相差θが小さくなり、位相差がなくなると第2係止部45が被係止部
16と係合し、図8(C)の状態になる。この状態から、ハンドル部42を上方に移動さ
せると、図8(D)に示すように、被係止体15はしっかりと把持操作器具41に把持さ
れて、被係止体15が把持操作器具41から外れることは確実に防止できる。
【0051】
<実施形態5>
図9及び図10に、本発明のドライバーの実施形態5を示す。
図9は、実施形態5の把持操作器具51の一部部分断面模式図である。図9(A)にお
いて、使用者が掴むハンドル部52と第1係止部53とこれらを連結する第1軸部54を
備え、第1軸部54を貫通する第2軸部56が示されている。第2軸部56の先端部分の
第2係止部55は、第1軸部54とは連結されておらず、ハンドル部52とのみ連結され
ている。第1係止部53には被係止部16と係合する穴53hがあけられている。第2係
止部55には、被係止部16と係合する穴55hがあけられている。
【0052】
図9(A)の被係止体15は、図7に示す被係止体15と同じであるので説明を省略す
る。図9(B)~(D)についても図7(B)~(D)と同じであるので説明を省略する
【0053】
図10は、実施形態5の把持操作器具51を用いて被係止体15を把持移動させる状態
を示す模式図である。図10(A)は、図9に示す状態で、図10(B)は、穴53hを
被係止部16に係合した状態を示す。穴55hの形状が角度θだけ第1係止部53に対し
てずれているので、このままでは、ハンドル部52に下向きの力を加えて押し込もうとし
ても穴55hは被係止部16と係合することができない。
【0054】
図10(B)の状態から、ハンドル部52を回旋させてトルクをかけると、穴55hの
六角形の角度位相差θが小さくなり、位相差がなくなると第2係止部55が被係止部16
と係合し、図10(C)の状態になる。この状態から、ハンドル部52を上方に移動させ
ると、図10(D)に示すように、被係止体15はしっかりと把持操作器具51に把持さ
れて、被係止体15が把持操作器具51から外れることは確実に防止できる。
【0055】
<実施形態6>
図11に、本発明のドライバーの実施形態6を示す。
図11は、実施形態6の把持操作器具61の一部部分断面模式図である。図11(A)
において、使用者が掴むハンドル部62と第1係止部63とこれらを連結する第1軸部6
4が示されている。第1軸部64を貫通する第2軸部66が備えられている。第2軸部6
6は、ロッド66aとロッド66aの遠位端に有底筒状体66bを備えている。第2軸部
66の先端部分の第2係止部65は、第1軸部64とは連結されておらず、ハンドル部6
2とのみ連結されている。第1係止部63には被係止部16(外側面)と係合する穴63
hがあけられている。第2係止部65には、被係止部16(外側面)と係合する穴65h
があけられている。
【0056】
図11(A)の被係止体15は、図7に示す被係止体15と同じであるので説明を省略
する。図11(B)~(D)についても図7(B)~(D)と同じであるので説明を省略
する。
【0057】
図12は、ドライバー71と、ドライバー71の先端に取り付けられて使用されるスク
リュー72と、スクリュー72を着脱可能に取り付ける台板73を備えるスクリュー・ド
ライバーセットの実施形態を示す。スクリュー72と台板73との係止はねじ止めでも構
わない。このようなセットを準備することによって、非常に沢山のねじを使用し、使用中
にスクリュー72がドライバー71先端から外れることがあってはならない場合には有効
となる。
【0058】
図13は、図2に示す実施形態1のドライバーの変形例である。図13(A)において
、把持操作器具81は、使用者が掴むハンドル部82と第1係止部83とこれらを連結す
る第1軸部84を備え、第1軸部84が貫通する第2軸部86が示されている。第2軸部
86の先端部分の第2係止部85は、第1係止部3とは連結されておらず、ハンドル部2
とのみ連結されている。第1軸部84は、ハンドル部82とは連結されておらず、止めピ
ン87を用いて第2軸部86と連結させられている。このような構造とすることによって
、ハンドル部82を介さずに第1軸部84と第2軸部86とを連結することができる。
【0059】
被係止体10に関する説明、並びに図13(B)、(C)及び(D)に関しては、図2
の説明で上述した内容と同じなので省略する。
【0060】
図14は、図7に示す実施形態4のドライバーの変形例である。図14(A)において
、使用者が掴むハンドル部92と第1係止部93とこれらを連結する第1軸部94を備え
、第1軸部94を貫通する第2軸部96が示されている。
【0061】
第2軸部96の先端部分の第2係止部95は、第1軸部94には連結されておらず、ハ
ンドル部92とのみ連結されている。第1係止部93には被係止体15Aの外側面16A
と係合する穴93hがあけられている。第2係止部95には、被係止体15Aの頭部にあ
けられた凹所16Bと係合する。
【0062】
被係止体15Aは、フィクスチャー(台板)Fに着脱可能に配置されており、被係止体
15Aは、雄ねじ17Aが刻設され、頭部に被係止部である外側面16Aが形成されてい
る。外側面16Aの軸方向長さは、所定の軸方向長さLである。図14(B)は、被係止
体15Aの上面図であり、外側面16Aが六角形となっている。図7(C)は、第1係止
部93の下面図であり、外側面16Aにはめ合わすことができる穴93hが形成されてい
る。図7(D)は、第2係止部95の下面図で、凹所16Bにはめ合わすことができる6
角形となっているが、凹所16Bの六角形とは角度がθだけずれている。従って、把持操
作器具91を凹所16Bにはめ合わせようとしても第2係止部95は凹所16Bに入らず
、被係止体15Aを係止することはできない。
【0063】
図14に示す把持操作器具91が被係止体15Aを把持して操作する一連の作用は、図
8において説明をした内容と同様であるので、説明を省略する。
【0064】
<実施形態7>
図15は、本発明の実施形態7の股関節ステムの把持操作器具の一部部分断面模式図で
ある。図15(A)に示すように、把持操作器具101は、ハンドル部102、軸部10
4、軸部細径部106、第1係止部103、第2係止部105、先端突起107を備えて
いる。被係止体115は、股関節ステムである。被係止体115の肩部には係止と打ち込
みのための被係止部116と底穴117が形成されている。これまでの実施形態と異なっ
ているのは、第1係止部103と第2係止部105とが、軸部104に連なる軸部細径部
106の一本の軸に連結されている点である。
【0065】
図15(B)は、把持操作器具101を下方から見たときに図である。第1係止部10
3と第2係止部105とは角度θだけずれており、図15(C)に示す被係止部116に
は第2係止部105を嵌め入れることができない。第1係止部103を被係止部116に
嵌め入れた状態でハンドル部102を捩じって軸部細径部106を捩じり、角度θを小さ
くしていき、ハンドル部102を先端側に押すと第2係止部105が被係止部116に嵌
り込む。図15(D)及び図15(E)は、第2係止部105が被係止部116に嵌り込
んだ状態を示している。軸部細径部106は捩じられた状態なので、軸部細径部106は
戻ろうとしてコンタクトポイントPとPで第1係止部103と第2係止部105は被
係止部116の内壁を押圧するので、被係止体115が把持操作器具101から外れるこ
とはない。
【0066】
操作者は、被係止体115がついた把持操作器具101を手術の術野にもっていき患者
の大腿骨内に挿入し、ハンドル部102を操作してアライメントを決める。その後、ハン
マー(図示なし)でハンドル部102の頂部を槌打すると、先端突起107が底穴117
の底面を押圧するので、被係止体115(股関節ステム)を大腿骨にプレスフィットさせ
ることができる。この把持操作器具101により、ねじ止め等をせずに被係止体115を
ホールドできるので、手術を迅速に執り行うことができる。また、ねじ結合ではないので
、槌打時のねじの破損リスクもなくすることができる。
【0067】
<実施形態8>
図16は、本発明の実施形態8の股関節臼蓋シェルの把持操作器具の一部部分断面模式
図である。図16(A)に示すように、把持操作器具201は、ハンドル部202、軸部
204、軸部細径部206、第1係止部203、第2係止部205、先端突起207を備
えている。被係止体215は、股関節の臼蓋側シェルである。被係止体215の底面には
係止と打ち込みのための被係止部216と底穴217が形成されている。図15の実施例
と同様に、第1係止部203と第2係止部205とが、軸部204に連なる軸部細径部2
06の一本の軸に連結されている。
【0068】
図16(B)は、把持操作器具201を下方から見たときに図である。第1係止部20
3と第2係止部205とは角度θだけずれており、図16(C)に示す被係止部216に
は第2係止部205を嵌め入れることができない。第1係止部203を被係止部216に
嵌め入れた状態でハンドル部202を捩じって軸部細径部206を捩じり、角度θを小さ
くしていき、ハンドル部202を先端側に押すと第2係止部205が被係止部216に嵌
り込む。図16(D)及び図16(E)は、第2係止部205が被係止部216に嵌り込
んだ状態を示している。軸部細径部206は捩じられた状態なので、軸部細径部206は
戻ろうとして第1係止部203と第2係止部205は被係止部216の内壁を押圧するの
で、被係止体215が把持操作器具201から外れることはない。
【0069】
操作者は、被係止体215がついた把持操作器具201を手術の術野にもっていき患者
の臼蓋リーマでリーミングしてできた臼蓋の凹所に挿入し、ハンドル部202を操作して
アライメントを決める。その後、ハンマー(図示なし)でハンドル部202の頂部を槌打
すると、先端突起207が底穴217の底面を押圧するので、被係止体215(臼蓋シェ
ル)を臼蓋蚊にプレスフィットさせることができる。この把持操作器具201により、ね
じ止め等をせずに被係止体215をホールドできるので、手術を迅速に執り行うことがで
きる。また、ねじ結合ではないので、槌打時のねじの破損リスクもなくすることができる
【0070】
<実施形態9>
図17は、本発明の実施形態9の軸部、係止部及び被係止体を模式的に示す斜視図であ
る。軸部304に第1係止部303と第2係止部305が取り付けられている。第1係止
部303が先端側に配設されている。第2係止部305は第1係止部303よりも上方で
、第1係止部303に対する対称位置から角度θだけずれている。軸部304の下端には
先端突起307が形成されている。被係止体310の上面には中央穴部312があけられ
、図に示す被係止部311の凹部が形成され、中央部に中央穴底317が形成されている
【0071】
第1係止部303を被係止部311に嵌め入れた状態でハンドル部を捩じって軸部30
4を捩じり、角度θを小さくしていき、ハンドル部を先端側に押すと第2係止部305が
被係止部311に嵌り込む。この実施形態では、係止部は2つで、それらに対応する被係
止部も2つ対応しているが、2つ以上の例えば6つあってもよい。第1係止部と第2係止
部の個数も1つずつに限られることはなく、例えば、第1係止部が2つで第2係止部が1
つまたは2つでもよい。
【0072】
図18は、本発明の各種把持操作器具と各種被係止体との関係例を模式的に示す概略図
である。(A1)及び(A2)は軸部が1つで被係止部が1つの場合、(B1)~(C2
)は軸部が2つで被係止部が2つの場合、(D1)及び(D2)は、軸部が2つで被係止
部が1つの場合である。これは、例示的に示すものでこれらに限られることはない。
【0073】
図18では、把持操作器具351は、ハンドル部352,軸部354、第1係止部35
3、第2係止部355を備え、被係止体350は、被係止部356を有している。第1係
止部353が被係止部356に嵌め入れられているが、第2係止部355は位相がずれて
いるので、図18(A1)に示すように被係止部356に嵌め入れることができない。ハ
ンドル部352を捩じって位相差を小さくすると第2係止部355が被係止部356に入
り込み、把持操作器具351は被係止体350を図18(A2)に示すようにしっかりと
把持することができる。
【0074】
図18(B1)では、把持操作器具361は、ハンドル部362、第1軸部364、第
2軸部367、第1係止部363、第2係止部365を備え、被係止体360は、凹所3
66と外側面368を有している。第1係止部363が凹所366に嵌め入れられている
が、第2係止部365は位相がずれているので、図18(B1)に示すように外側面36
8を係止することができない。ハンドル部362を捩じって位相差を小さくすると第2係
止部365は外側面368と係止し、把持操作器具361は被係止体360を図18(B
2)に示すようにしっかりと把持することができる。
【0075】
図18(C1)では、把持操作器具371は、ハンドル部372、第1軸部374、第
1係止部373、第2軸部377、第2係止部375を備え、被係止体370は、凹所3
78と外側面376を有している。第1係止部373が外側面376と係止しているが、
第2係止部375は位相がずれているので、図18(C1)に示すように凹所378に嵌
め入れることができない。ハンドル部372を捩じって位相差を小さくすると第2係止部
375は凹所378に嵌め入れることができ、把持操作器具371は被係止体370を図
18(C2)に示すようにしっかりと把持することができる。
【0076】
図18(D1)では、把持操作器具381は、ハンドル部382、第1軸部384、第
1係止部383、第2軸部387、第2係止部385を備え、被係止体380は、外側面
386を有している。第1係止部383が外側面386と係止しているが、第2係止部3
85は位相がずれているので、図18(D1)に示すように外側面386と係止すること
ができない。ハンドル部382を捩じって位相差を小さくすると第2係止部385は外側
面386と係止することができ、把持操作器具381は被係止体380を図18(D2)
に示すようにしっかりと把持することができる。
【0077】
<実施形態10>
図19は、実施形態10のフレキシブルドライバーの斜視図であり、把持操作器具1は
スクリューを操作するドライバーであり、シャフト部に方向を自由に変えられるフレキシ
ブル部407が備えられている(図19(A)参照)。
先端(図19(B)参照)には第1係止部403、第2係止部405及び第2軸部40
6が備えられており、第1係止部403をスクリューの被係止部(図示なし)に嵌めた後
に、ハンドル部(図示なし)を捩じって押し込み第2係止部405を被係止部に嵌めると
、フレキシブルドライバー401の先端からスクリューが落下することがなくなる。
【0078】
<実施形態11>
図20は、実施形態11のアセタブラーリーマカップホルダーの斜視図であり、把持操
作器具411のアセタブラーリーマカップホルダーは、臼蓋をリーミングするアセタブラ
ーリーマカップを把持する器具である。
クロス棒417はアセタブラーリーマカップに取り付けられている被把持部である。ア
セタブラーリーマカップには、2つの第1係止部413が嵌り込む穴(図示なし)が2つ
設けられている。第1係止部413を2つの穴に嵌め入れ、その後、捩じるとクロス棒4
17が第2係止部415の凹所に嵌り込み、アセタブラーリーマカップホルダー411か
らアセタブラーリーマカップが落下することがなくなる。
第2係止部515は、第2軸部416とつながり、第1係止部515は、第2軸部41
6内部に備えられた第1係止部(図示なし)とつながっている。
【0079】
〈実施形態12〉
図21は、実施形態12のステムホルダーの斜視図であり、把持操作器具421には、
ハンドル部422、第1軸部424、第2軸部426が備えられ、第2軸部426はハン
ドル部422と連結し、第1軸部424は止めピン427によって、第2軸部426と連
結させられている。第1軸部424の先端には第1係止部423が備えられ、第2軸部4
26の先端には第2係止部425が備えられている(図22(A)参照)。
図21(B)は、先端部分の拡大図である。
図21(C)は、股関節用ステムに形成されて略正方形の被係止部428(凹所)に第1
係止部423を嵌め入れた所を示している。第2係止部425は、図に示すように所定の
角度ずれているので凹所428に嵌め入れることができない。
ハンドル部422を捩じり先端に向けて押圧することによって、第2係止部425が凹
所428に嵌り(図21(D)参照)、ステムホルダー421から股関節用ステムが落下
することがなくなる。
【0080】
〈実施形態13〉
図22は、実施形態13のステムホルダーの斜視図であり、把持操作器具431には、
ハンドル部432、第1軸部434、第2軸部436が備えられ、第2軸部436はハン
ドル部432と連結し、第1軸部434は止めピン438によって、第2軸部436と連
結させられている。第1軸部434の先端には第1係止部433が備えられ、第2軸部4
36の先端には第2係止部435が備えられている(図22(A)参照)。
図22(B)は、先端部分の拡大図である。
図22(C)は、股関節用ステムに形成されて略矩形の被係止部437(凹所)に第1係
止部433を嵌め入れた所を示している。第2係止部435は、図に示すように所定の角
度ずれているので凹所437に嵌め入れることができない。
ハンドル部432を捩じり先端に向けて押圧することによって、第2係止部435が凹
所437に嵌り(図22(D)参照)、ステムホルダー431から股関節用ステムが落下
することがなくなる。
凹所437が浅い場合、第1係止部433と第2係止部435を配設する軸方向の位置
は同一とする必要があり、本図に示すように第1係止部433と第2係止部435とは面
一になっている。このような場合は、第2軸部436を少し傾けて第1係止部433が被
係止部437に少しひっかかるように操作して第1係止部433と第2係止部435を同
時に被係止部437に嵌め入れるようにする。
【0081】
〈実施形態14〉
図23は、実施形態14のドライバーの斜視図であり、把持操作器具441には、ハン
ドル部442、第1軸部444、第2軸部446が備えられ、第2軸部446はハンドル
部442と連結し、第1軸部444は止めピン448によって、第2軸部446と連結さ
せられている。第1軸部444の先端には第1係止部443が備えられ、第2軸部446
の先端には第2係止部445が備えられている(図23(A)参照)。
図23(B)は、被係止体440(スクリュー)とドライバー441の先端部分の拡大
図である。被係止体440の頭部には、十字溝の被係止部447が形成されている。第1
係止部443が十字溝447に嵌り込むが、第2係止部445は第1係止部443とは位
相が所定の角度ずれているので、十字溝447に嵌め入れることはできない。
ハンドル部442を捩じり先端に向けて押圧することによって、第2係止部445が十
字溝447に嵌り込み、ドライバー441からスクリュー440が落下することがなくな
る。
【0082】
〈実施形態15〉
図24は、実施形態15の六角レンチの斜視図であり、把持操作器具451には、ハン
ドル部452、第1軸部(図示なし)、第2軸部456が備えられ、第2軸部456はハ
ンドル部452と連結し、第1軸部(図示なし)は内部で第2軸部456と連結させられ
ている。第1軸部の先端には第1係止部453が備えられ、第2軸部456の先端には第
2係止部455が備えられている。
これまでの説明と同様の操作をすることによって、被係止体(図示なし)の頭部に形成
された六角穴に第1係止部453と第2係止部455が嵌め入れられることによって、六
角レンチ451からボルト等の被係止体(図示なし)が六角レンチ451から落下するこ
とがなくなる。
【0083】
〈実施形態16〉
図25(A)は、本発明の実施形態1の把持操作器具をアームの先端に備える実施形態
16のロボットの模式図であり、図25(B)はロボット460に取り付けられた把持操
作器具1である。図25(B)は、図2に示す実施形態1の把持操作器具と同じ構造なの
で説明を省略する。ロボット460は、ロボット本体461につながる第1アーム462
、第2アーム463、第3アーム464、及び465回転軸部465を備えている。第1
アーム462~第3アーム464及び回転軸部465をまとめてアーム部とも呼ぶ。
【0084】
アーム部を制御する制御部470が第1アーム462につながり、アーム部の動きを制
御する。第1アーム462は、軸Xのまわりに回転aの動きをし、第1アーム462と第
2アーム463との間は支軸Aで連結し、第2アーム463は支軸Aのまわりに回転bの
動きが可能となっている。第2アーム463と第3アーム464との間は支軸Bで連結し
、第3アーム464は支軸Bのまわりに回転cの動きが可能となっている。第3アーム4
64の先端には回転軸部465が備えられ、回転軸部465は軸Yのまわりに回転dの動
きが可能となっている。
【0085】
回転軸部465の先端側面には把持操作器具1が取り付けられており、把持操作器具1
の先端には被係止体10が係止されている。ロボット460のアーム部がどのような高速
運動を行ったとしても被係止体10が把持操作器具1から離れて落下等することがないの
で、車両の組み立てラインや手術支援ロボット等にも利用することができる。
【産業上の利用可能性】
【0086】
以上説明したように、本発明の被係止体を係止し操作する把持操作器具は、スクリュー
等の被係止体の落下のおそれがない把持操作器具として好適に用いることができる。
【符号の説明】
【0087】
1、21、31、41、51、61、71、81、91、101、201、351、3
61、371,381、401、411、421、431、441、451;把持操作器

2、22、32、42、52、62、82、92、102、202、352、362、
372、382、422、432、442、452;ハンドル部
3、23、33、43、53、63、83、93、103、203、303、353、
363。373、383、403、413、423、433、443、453;第1係止

4、24、34、44、54、64、84、94、364、374、384、424、
434、444;第1軸部
5、25、35、45、55、65、85、95、105、205、305、355、
365、375、385、405、415、425、435、445、455;第2係止

6、26、36、46、56、66、86、96、367、377、387、406、
416、426、436、446、456;第2軸部
10、15、15A、115、215、310、350、360、370、380、4
40;被係止体
11、16、116、216、311、356、428、437、447;被係止部
12、17、17A;雄ねじ
16A、368、376、386;外側面
16B、366、378、;凹所
34a、64a;ロッド
34b、64b;有底筒状体
43h、45h、53h、55h、63h、65h、93h;穴
87、427、438、448;止めピン
104、204、304、354;軸部
106、206;軸部細径部
107、207、307;先端突起
117、217;底穴
312、317;中央穴部
407;フレキシブル部
417;クロス棒
460;ロボット
461;ロボット本体
462;第1アーム
463;第2アーム
464;第3アーム
465;回転軸部
470;制御部
d;所定の深さ
F;フィクスチャー(台板)
L;所定の軸方向長さ
、P;コンタクトポイント
【要約】
【課題】スクリュー等の被係止体を係止し操作するドライバー等の把持操作器具を所定の
位置にまで移動する際に、ドライバー等の把持操作器具からスクリュー等の被係止体の落
下のおそれがない把持操作器具を提供すること
【解決手段】係止されるための被係止部11を備える被係止体10を係止し操作する把持
操作器具1であって、前記被係止体を操作するハンドル部2と、前記ハンドル部から突出
する軸部4,6と、前記被係止部と係合し、前記軸部の先端側に配設される第1係止部3
と、前記第1係止部を前記被係止部に係止させた後に、前記軸部を先端側に付勢するだけ
では前記被係止部に係止させることができず、かつ、前記ハンドル部を回して前記軸部を
所定の角度捩じり、前記先端側に付勢することによって前記被係止部と係合する形状を備
え、前記軸部に配設される第2係止部5と、を有する。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20
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図30
図31
図32