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▶ ユーシン イタリア ソチエタ ペル アツィオーニの特許一覧

(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】車両のドアパネル用ハンドル装置
(51)【国際特許分類】
   E05B 85/18 20140101AFI20240116BHJP
   B60J 5/04 20060101ALI20240116BHJP
   E05B 81/76 20140101ALI20240116BHJP
【FI】
E05B85/18 E
B60J5/04 H
E05B81/76
E05B85/18 C
E05B85/18 D
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020565752
(86)(22)【出願日】2019-05-24
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-10-07
(86)【国際出願番号】 EP2019063513
(87)【国際公開番号】W WO2019224371
(87)【国際公開日】2019-11-28
【審査請求日】2022-04-14
(31)【優先権主張番号】1854459
(32)【優先日】2018-05-25
(33)【優先権主張国・地域又は機関】FR
(73)【特許権者】
【識別番号】516180070
【氏名又は名称】ユーシン イタリア ソチエタ ペル アツィオーニ
(74)【代理人】
【識別番号】100083389
【弁理士】
【氏名又は名称】竹ノ内 勝
(74)【代理人】
【識別番号】100198317
【弁理士】
【氏名又は名称】横堀 芳徳
(72)【発明者】
【氏名】アントニー ゲラン
【審査官】砂川 充
(56)【参考文献】
【文献】特開平1-182478(JP,A)
【文献】国際公開第2017/153746(WO,A1)
【文献】特開2006-328899(JP,A)
【文献】特開平11-315657(JP,A)
【文献】特開2005-76376(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第0417565(EP,A1)
【文献】韓国登録特許第10-0931160(KR,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
E05B 85/16-85/18
E05B 81/76-81/78
B60J 5/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドアパネル(3)用ハンドル装置(1)であって、
- 前記ドアパネル(3)の内側から取り付けられるハンドル支持部(10)と、
- 前記ドアパネル(3)の外側から取り付けられ、前記ドアパネル(3)のクリアランス(30)から前記ハンドル支持部(10)に固定されている窓部(11)とを備えている自動車のドアパネル(3)用ハンドル装置(1)であって、
前記ハンドル支持部(10)は、ハンドル(2)を備えており、前記窓部(11)は、片手で前記ハンドル(2)にアクセスできるようにするための開口部(13)を含む前記ドアパネル(3)の内側のガイド(12)を介して延伸しており、
前記開口部(13)は、前記窓部(11)の前記ガイド(12)の上壁(11a)に設けられており、
前記窓部(11)は、前記ハンドル支持部(10)の相補的保持体(16a、16b)と係合するための保持体(15a、15b)を備えていることを特徴とするハンドル装置(1)。
【請求項2】
前記ハンドル(2)は、可動フラップ(20)により形成されていることを特徴とする請求項1に記載のハンドル装置(1)。
【請求項3】
前記可動フラップ(20)は、水平方向軸(100)の周りを回転するようにガイドされていることを特徴とする請求項2に記載のハンドル装置(1)。
【請求項4】
前記可動フラップ(20)は、垂直方向軸(200)に沿って配置された作動体(40)を介して、レバー(4)を作動させることができることを特徴とする請求項3に記載のハンドル装置(1)。
【請求項5】
前記可動フラップ(20)は、手でアクセスすることができる電気制御要素(9)を搭載していることを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載のハンドル装置(1)。
【請求項6】
前記ハンドル装置(1)は、監視ユニット(5)を備えており、前記窓部(11)は、前記監視ユニット(5)のケース(14)を受け入れるようになっている、形状が対応する後部(11b)を備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれか1項に記載のハンドル装置(1)。
【請求項7】
前記監視ユニット(5)は、プリント回路基板であり、前記窓部(11)の前記後部(11b)と前記ケース(14)との間に位置決めされていることを特徴とする請求項6に記載のハンドル装置(1)。
【請求項8】
前記窓部(11)の前記開口部(13)に面する検出ゾーン(500)における手の有無を検出するための検出素子(6)を備えていることを特徴とする請求項1から7のいずれか1項に記載のハンドル装置(1)。
【請求項9】
前記検出素子(6)は、前記監視ユニット(5)に電気的に接続され、かつ前記開口部(13)に面する上壁(11a)の反対側にある下壁(11c)に配置された静電容量センサーであることを特徴とする請求項6または7と組み合わせた請求項8に記載のハンドル装置(1)。
【請求項10】
前記窓部(11)は、その前記ガイド(12)が延びる前面(11d)を備えており、前記監視ユニット(5)は、前記監視ユニット(5)から当該前面(11d)の反対側の面(11e)まで、前記窓部(11)の形状に合わせている高周波アンテナ(7)に電気的に接続されていることを特徴とする請求項6、7または9のいずれか1項に記載のハンドル装置(1)。
【請求項11】
前記ハンドル装置(1)は、前記開口部(13)に面して配置されている前記可動フラップ(20)によって支えられる発光素子(8)を備えていることを特徴とする請求項2から5のいずれか1項に記載のハンドル装置(1)。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ドアパネル用ハンドル装置の分野に関し、特に、自動車のドアパネル用ハンドル装置の分野に関する。
【0002】
本発明は、特に、ドアパネルに装備される「フラッシュ」タイプ、すなわち非突出型のハンドル装置の分野に関する。
【背景技術】
【0003】
「フラッシュ」タイプのハンドル装置は、可動ハンドル、特に滑動および/または旋回させられるハンドルの外面が、休止位置でドアパネルと同一面であることを特徴としている。このようなハンドル装置は、特に、自動車の美的外観、および必要に応じて、自動車の空気力学的性能を改善させることができる。
【0004】
一例として、特許文献1が特に知られている。これは、車体の外面と同一面であるハンドルを記載しており、ドアに固定されており、かつユーザが把持するレバーを受け入れるようになっているフレームを形成する窓部を備えている。レバーは、フレームと同一面である休止位置と、レバーの一部がフレームから突き出ている作動位置との間で、フレームに対して旋回しうるようになっている。このハンドル装置は、通常、その休止位置または作動位置において、レバーの変位を制御するモータを備えている。
【0005】
このようなハンドル装置では、レバーをその休止位置またはその作動位置にガイドするための、機械的および電気的要素の構成が複雑になってしまう。
【0006】
さらに、このハンドル装置では、ハンドルが風化作用を受け、その機械的要素が早期に劣化してしまうという欠点がある。
【0007】
さらに、このハンドル装置においては、車両のドアパネルは、2つの部分、すなわち、ドアパネルの外側から取り付けられたハンドルを含む第1部分と、ドアパネルの内側から取り付けられたハンドル支持部を含む第2部分とからなっているため、ハンドル装置の取り付けは、難しいものとなっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【文献】国際公開第2014/049026号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、当該ハンドルを風化作用から保護することができる単純化されたハンドル装置を提案することによって、前述の欠点の少なくとも1つを解消させることを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この目的のために、本発明の車両のドアパネル用ハンドル装置は、
- ドアパネルの内側から取り付けられているハンドル支持部(10)と、
- ドアパネルの外側から取り付けられ、ドアパネルのクリアランスからハンドル支持部(10)に固定されている窓部(11)とを備える車両用、特に自動車のドアパネル用ハンドル装置に関するものである。
【0011】
本発明によれば、ハンドル支持部(10)は、ハンドルを備えており、窓部(11)は、片手でハンドルにアクセスできるようにするための開口部を有するドアパネルの内側のガイドを介して延びている。
【0012】
窓部(11)およびハンドル支持部(10)は、相対的な動きがないように、互いに固定されているので有利である。窓部(11)とは異なり、ハンドルはハンドル支持部(10)に対して移動可能である。窓部(11)は、ハンドルを視覚的に隠すことができるように、ドアパネルに固定して取り付けられるカバーを形成している。このようにして、窓部(11)は、ハンドルへのアクセスを確保しながら、ハンドルを保護することができる。ハンドルにアクセスするために、ユーザは、窓部(11)に手を挿入する。ボウル形状である窓部(11)のガイドは、ハンドルにアクセスするための窓部(11)を介してユーザの手をガイドすることができる。ハンドル装置を作動させると、ハンドルは、ドアパネルの内側に係合する。そのため、ユーザは、ハンドルが見えなくても、自然な開放動作で、ハンドルを作動させることができる。公知の従来技術とは異なり、ハンドルは、ドアパネルの内側に設けられている。
【0013】
さらに、有利なことに、この装置は、組立、および「フラッシュ」ハンドルに一般的に設けられている機械的および電気的要素を単純化することができる。
【0014】
本発明の有利な特徴によれば、開口部は、窓部のガイドの上壁に形成されている。
【0015】
開口部のこのような配置により、一方では、ドアパネルを開けるべくハンドルを把持できるように、ユーザが手を下から上へ向ける揺動運動を行えるようにし、他方では、ハンドルおよびハンドル装置のさまざまな構成要素を、風化作用から保護することができる。
【0016】
本発明によるハンドル装置は、有利なこととして、次にあげる改善策のうちの少なくとも1つを備えることができ、これらの改善策を形成する技術的特徴は、単独で、または組み合わせて取り込むことができる。これらの改善策としては、
- ハンドルは、可動フラップで形成されていること、
- 可動フラップは、水平方向軸の周りを回転するようにガイドされていること、
- 可動フラップは、垂直方向軸に沿って配置された作動体を介して、レバーを作動させることができること、
- 可動フラップは、手でアクセスすることができる電気制御要素を搭載していること、
- 窓部は、監視ユニットのケースを受け入れるようになっている、形状が対応する後部を備えていること、
- 監視ユニットは、プリント回路基板であり、窓部の後部とプリント回路基板のケースとの間に係合していること、
- ハンドル装置は、窓部の開口部に面する検出ゾーンにおける手の有無を検出するための素子を備えていること、
- 検出素子は、監視ユニットに電気的に接続され、かつ開口部に面する上壁の反対側にある下壁に配置された静電容量センサーであること、
- 窓部は、そのガイドが延びる前面を備えており、監視ユニットは、監視ユニットから当該前面の反対側の面まで、窓部の形状に合わせてある高周波アンテナに電気的に接続されていること、
- 窓部は、ハンドル支持部の相補的保持体と係合するために設けられている保持体を備えていること、
- ハンドル装置は、開口部に面して配置されている可動フラップによって支えられている発光素子を備えていることが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】ドアパネルに取り付けられたハンドル支持部および窓部で形成されている本発明によるハンドル装置の斜視図である。
図2】ドアパネルを除いた図1のハンドル装置の斜視図である。
図3図2に示すハンドル装置の背面図である。
図4】窓部の背面斜視図である。
図5】可動フラップによって形成されたハンドルを支えるハンドル支持部の分解図である。
図6A】ドアパネルを開けるためのユーザの手の動きを示す、本発明によるハンドル装置の断面図である。
図6B】ドアパネルを開けるためのユーザの手の動きを示す、本発明によるハンドル装置の断面図である。
図6C】可動フラップが作動したときのレバーの動きを示す、ハンドル支持部の後部の一部の拡大図である。
図7A】ハンドル支持部へのロック機構の取り付けを示す、ハンドル支持部の後部の一部の拡大図である。
図7B】ハンドル支持部へのロック機構の取り付けを示す、ハンドル支持部の後部の一部の拡大図である。
図7C】ハンドル支持部へのロック機構の取り付けを示す、ハンドル支持部の後部の一部の拡大図である。
図7D】ハンドル支持部へのロック機構の取り付けを示す、ハンドル支持部の後部の一部の拡大図である。
図8】電気制御要素を備える本発明によるハンドル装置の詳細な斜視図である。
図9】電気制御要素の実施形態を示す図である。
図10】高周波アンテナに電気的に接続された監視ユニット、および窓部における手の有無を検出する検出素子の斜視図である。
図11】検出素子を装備した監視ユニットのケースの斜視図である。
図12】監視ユニットおよびそのケースを備える本発明によるハンドル装置の斜視図である。
図13】発光素子を備える可動フラップの斜視図である。
図14】発光素子の作動を示す、図6Aおよび図6Bと同様の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
本発明の他の態様、目的、および利点は、本発明の非限定的な実施例を示す、添付図面を参照して行う。その好ましい実施形態に関する以下の詳細な説明を読むことにより明らかになると思う。
【0019】
図1は、ハンドル2(図2を参照)を有するハンドル装置1の本発明の好ましい実施形態を示している。ハンドル装置1は、本明細書では車体パネルとして示されているドアパネル3のクリアランス30に面して組み立てられた2つの部分を備えている。ドアパネル3の内側から取り付けられる第1部分は、ハンドル装置1におけるハンドル支持部10を形成している。ドアパネルの内側は、ドアパネルの外側に対して、車両の客室に対応する部分となっている。ハンドル2は、ハンドル支持部10に、移動可能に取り付けられている。ドアパネル3の外側から取り付けられる第2部分には、窓部11が設けられている。
【0020】
窓部11は、平坦な前面11dを有しており、そこからガイド12が、ドアパネル3の内側に向かって延伸している。ガイド12は、ボウル形状をしており、ガイド12の上壁11aには、開口部13が設けられている。開口部13は、手を通すことができる大きさとなっている。
【0021】
第1組立工程では、ドアパネル3およびハンドル支持部10のそれぞれの孔に対応する一連の固定ネジ17(図5)を使用して、ハンドル2を支えるハンドル支持部10をドアパネル3に固定する。図2に示す第2組立工程では、窓部11をドアパネル3のクリアランス30より挿入し、ドアパネル3の内側に位置させる。組み立てられた状態では、ハンドル2は、窓部11のガイド12の開口部13に面しており、そのため、図6Aおよび図6Bに示すように、窓部11から片手でハンドル2を操作することができる。
【0022】
図3および図4に示すように、窓部11は、ハンドル支持部10の相補的保持体16a、16bと係合するために設けられた保持体15a、15bを支えている。より具体的には、ハンドル支持部10において、窓部11を所定の位置に保持するために、第1保持体15a、16aは、ハンドル支持部10に形成されたスロット16aと、これに係合するようになっている上部フィンガー15aとによって形成されている。この所定の位置により、開口部13をハンドル2に向けて配置することができる。第2保持体15b、16bは、ハンドル支持部10のノッチ16b(図5)と、これに挿入されるようになっている下部フィンガー15bによって形成されている。ドアパネル3の内側からハンドル支持部10にかけて補強プレート31が設けられている。補強プレート31は、ノッチ31bを有する連続するハウジング31aを含んでいる。補強プレート31をハンドル支持部10に配置すると、窓部11の第2保持体15bは、補強プレート31のノッチ31bから突出する。次に、補強プレート31が引っ張られる(補強プレート31のハウジング31aと窓部11の第2保持体15bとが一致するように、ハンドル支持部10に押し付けることによって)。このようにして、補強プレート31は、窓部11をハンドル支持部10にしっかりと取り付けることができる。
【0023】
図1および図4に示すように、シール19が、窓部11とハンドル支持部10との間に配置されている。具体的には、シール19は、前面11dと反対側の窓部11の面11eと、当該反対側の面11eを受容するハンドル支持部10の受容部101との輪郭に沿うように設けられている。これにより、シール19は、窓部11とハンドル支持部10との間を確実にシールしている。
【0024】
図4では、窓部11のガイド12は、図10に示す監視ユニット5を設けるための長方形の後部11bを有している。窓部11の後部11bは、開放されているが、後部11bへのアクセスを防止するキャップを備えていることが好ましい。あるいは、窓部11を一体化することにより、後部11bは、閉鎖されるようになる。
【0025】
図5では、ハンドル装置1におけるハンドル支持部10を、より詳細に示している。ハンドル支持部10は、窓部11の挿入のために設けられた通路100’と、締結プレート102を使用して組み立てられたロック機構の組立穴100”を備える本体10aとから形成されている。ハンドル支持部10は、ハンドル装置1におけるハンドル2を受け入れるようになっており、これによりハンドル2は、ハンドル支持部10によって十分に支えられている。ハンドル装置1が作動すると、ハンドル2はドアパネル3の内側に係合する。非限定的な方法では、ハンドル2は、タブ22を含む可動フラップ20によって形成されている。ハンドル2のタブ22は、ドアパネル3の内側に延伸している。可動フラップ20は、ハンドル支持部10に枢動可能に取り付けられている。可動フラップ20は、ハンドル支持部10の端部にヒンジで取り付けられた長手方向ロッド103によって確実に旋回できるようになっている。ハンドル支持部10のドーム型上部113は、可動フラップ20が旋回できるようになっている。
【0026】
本発明の理解を容易にするために、図5に示すように、「水平方向」、「垂直方向」、および「横方向」を、それぞれ符号「100」、「200」、および「400」で示してある。
【0027】
図5および図8に示すように、可動フラップ20の端部には、長手方向を向く管状突起20a、20bが設けられている。長手方向ロッド103は、可動フラップ20の管状突起20a、20bを貫通している。長手方向ロッド103の端部は、ハンドル支持部10の円筒形ガイド104に受け入れられ、管状突起20a、20bは、ハンドル支持部10に対応して受け入れられている。こうして、長手方向ロッド103は、可動フラップ20の水平方向軸100の周りの回転をガイドしている。
【0028】
長手方向ロッド103は、可動フラップ20をその休止位置に戻すことができる角度作用を有するコイルバネ105を保持している。このために、コイルバネ105の一端は、ハンドル支持部10に当接し、その他端は、可動フラップ20に当接している。
【0029】
可動フラップ20の管状突起20aのうちの1つは、阻止アーム20cを備えている。阻止アーム20cは、それが取り付けられている管状突起20aの長手方向に対して直交している。阻止アーム20cは、可動フラップ20の移動終了位置において、可動フラップ20が停止できるようになっている。そのために、この移動終了位置では、阻止アーム20cは、ハンドル支持部10に当接し、可動フラップ20の回転を阻止している。
【0030】
可動フラップ20の別の管状突起20bは、制御アーム20dを含んでいる。制御アーム20dも、それが取り付けられている管状突起20bの長手方向に対して直角に延びている。制御アーム20dは、第1作動体40と呼ばれる作動体を介してレバー4が作動できるようにしている。第1作動体40は、垂直方向軸200に沿って位置決めされていることが好ましい。この第1作動体40は、本明細書では、両端にボールジョイントを有する縦方向のバーとされている。
【0031】
レバー4は、図6Cに示すように、ハンドル支持部10に固定するためのラグ106に取り付けるようになっている環状接続体41を備えている。この環状接続体41は、レバー4を回転させることができる。レバー4は、角部42を介して、環状接続体41から径方向に延びている。角部42に設けられた線状穿孔43(図6Bに示されている)は、縦状のバー40のストロークを調節することができる。
【0032】
レバー4の環状接続体41は、可動フラップ20の休止位置に対応する位置に向かってレバー4をガイドすることができる角度作用を有するコイルバネ107を保持している。
【0033】
レバー4は、横方向軸400の周りの環状接続体41によってガイドされていることが理解されると思う。横方向軸400は、水平方向軸100および垂直方向軸200のそれぞれに対して直交している。
【0034】
第1作動体40の一端は、レバー4の角部42に挿入され、線状穿孔43から出ている。第1作動体40の挿入された端部は、制御アーム20dの端部に形成されたスロット20d’に嵌合することにより、嵌合した端部は、少なくとも一方向に制御アーム20dを保持することができる。第1作動体40の反対側の端部は、この端部に設けられているボールジョイントに対して相補的な部分を備えている角部42に嵌合することにより、ボールジョイント接続を形成している。
【0035】
これにより、第1作動体40は、可動フラップ20およびレバー4に機械的負荷をかけることなく動くことができる。
【0036】
さらに、可動フラップ20によって保持されている電気制御要素9および発光素子8が示されているが、これらについては、後で詳細に説明する。
【0037】
図6Aおよび図6Bは、ドアパネル3を開けるための第1開扉モードを示している。この第1開扉モードは、可動フラップ20を使用して機械的に行われる。図6Aは、休止位置にある可動フラップ20を示しており、図6Bは、作動位置にある可動フラップ20を示している。手を窓部11に挿入する。窓部11は、ボウル形状をしており、上壁11aの開口部13に向かって手をガイドする。次に、手は、開口部13を通過し、指先が可動フラップ20のタブ22を探す。手の動きに伴ってタブ22を指で押すと、この目的のために設けた長手方向ロッド103を使って、可動フラップ20が水平方向軸100の周りを旋回する。次に、可動フラップ20は、ドアパネル3の内側に押し込まれる。このようにして、可動フラップ20の制御アーム20dに接続している第1作動体40は、レバー4を作動させ、レバー4は、その横方向軸400の周りを回転駆動する。
【0038】
図6Cは、レバー4をより詳細に示している。レバー4は、その角部42において、「ボーデンケーブル」とも呼ばれる可撓性制御ケーブル108の端部を受け入れるフック44を保持している。可撓性制御ケーブル108の反対側の端部は、ドアパネル3を開けるために、ドアパネル3のラベットトリガーのロックを解除することができる。
【0039】
阻止アーム20cおよび制御アーム20dは、互いに径方向にオフセットされている。アーム20c、20dのこの径方向のオフセットにより、レバー4の角度運動を監視することができ、これにより、可撓性制御ケーブル108のストロークを監視し、可撓性制御ケーブル108は、最大29mm変位できるようになる。
【0040】
図6Cは、後述するように、レバー4を電気的に作動させるようになっている電動アクチュエータ109も示している。
【0041】
この機械的第1開扉モードは、有利なことに、電動アクチュエータ109にバイアスをかけないようにすることができる。したがって、電動アクチュエータに欠陥がある場合における代替的解決策となり得る。
【0042】
図7Aおよび図7Bは、ロック機構110を備えるハンドル支持部10の後部を拡大して示している。窓部11の前面11dは、ハンドル支持部10の組立穴100”を介して、ロック機構110にアクセスするための穴11d’を備えている。ロック機構110を使用しない場合、ロック機構110へのアクセスを隠すために、カバーを設けることが好ましい。このカバーは、例えば、窓部11の穴11d’の形状に合わせて、丸みを帯びた形とすることができ、突出部分によって窓部11に枢動可能に取り付けることができる。
【0043】
図7Cおよび図7Dは、図7Bに示している、ハンドル支持部10の後部を拡大して示している。ロック機構110は、締結プレート102を使用して、ハンドル支持部10に組み立てられ、この締結プレート102は、その背後にあるロックの下流機構へのアクセスを阻止することにより、プロテクションとして機能している。さらに、ロック機構110のロックは、第2作動体112に接続されたロック解除アーム111を含んでいる。この第2作動体112は、ロック解除するために、ロック機構110のロック解除アーム111を、ドアパネル3のラベットラッチに接続する縦状のバーによって形成されている。
【0044】
図8は、可動フラップ20によって形成されたハンドル2をより詳細に示している。可動フラップ20は、管状突起20a、20bの間で横方向に延在している中央部21を含んでおり、タブ22は、中央部21から延在している。可動フラップ20の中央部21およびタブ22は、図5に示すように、可動フラップ20に形成された通路20’から可動フラップ20に取り付けられた電気制御要素9を含む湾曲ゾーン23によって区切られている。本明細書における電気制御要素9は、電気スイッチの形状をしている。この電気制御要素9は、レバー4の電動アクチュエータ109を作動させることができる。有利なことに、可動フラップ20の湾曲ゾーンにより、ユーザの方に引くように、手で可動フラップ20を把持することができる。このような、可動フラップ20の湾曲ゾーン23における電気制御要素9の有利な配置により、ユーザは、容易にドアパネル3を開けることができる。
【0045】
次に、ドアパネル3を開けるための第2開扉モードについて説明する。この第2開扉モードは、電気制御要素9を使用して電気的に行われる。
【0046】
ドアパネル3を電気的に開けることは、次のように行われる。ユーザが手を窓部11に挿入し、この目的のために設けられた窓部11の開口部13を介して、可動フラップ20にアクセスするため、ユーザは、最初に、自分の手を自分自身の方に向けて、指で電気制御要素9を押し込む。こうして、ドアパネル3のロック解除を制御する。次に、電気制御要素9を押し込むと、ハンドル2をユーザの方に引いて、ドアパネル3を開けるために、ユーザの指が湾曲部分を押すようになる。
【0047】
電気制御要素9による電動アクチュエータ109の制御は、後でより詳細に説明する監視ユニット5を介して行われる。
【0048】
図9は、電気制御要素9の特定の実施形態を示している。電気制御要素9は、ハンドレバー91が移動可能に取り付けられた本体90を備えている。本体90は、支持部10に固定されている。ユーザがアクセス可能なハンドレバー91の面92は、直線状である。ハンドレバー91は、それぞれがバネ94に当接する2つの脚93によって本体90の内側に延びている。ハンドレバー91の脚93およびバネ94は、ハンドレバー91の中心を通る軸600に沿って互いに対称に配置されている。ハンドレバー91のガイドアーム95は、ハンドレバー91から横方向に延在し、電気制御要素9の本体90に当接している。マイクロスイッチ96は、ハンドレバー91の中央部91aの裏側に配置されている。マイクロスイッチ96は、ハンドレバーの中央部分91aと接触するプッシュロッド97を含んでいる。プッシュロッド97は、ハンドレバー91の対称軸600と交差するように配置されている。
【0049】
電気制御要素9がユーザの手によって作動すると、電気制御要素9のこの特定のモードでは、ハンドレバー91の中央部91a或いはハンドレバー91の端部91bに対するユーザの手の圧力に関係なく、マイクロスイッチ96は、プッシュロッド97によってトリガーすることができる。
【0050】
図10図12は、監視ユニット5を示している。監視ユニット5は、電気制御要素9および電動アクチュエータ109に電気的に接続されている。
【0051】
監視ユニット5は、好ましくは長方形のプリント回路基板の形態をしている。監視ユニット5はまた、窓部11内の手の有無を検出するために検出素子6に電気的に接続されている。監視ユニット5を収めるために、ケース14が設けられている。例として、検出素子6は静電容量センサーであり、それは平らな形状をしている。このケース14は、窓部11の後部11bによって支えられるように薄い長方形をしていることが好ましい。次に、ケース14を、形状が一致する窓部11の後部11b上に配置する。次に、監視ユニット5を、ケース14と窓部11の後部11bとの間に位置決めする。監視ユニット5を組み立てた状態では、検出素子6は、確実に保持されるように、ガイド12の下壁11c上に延在し、窓部11の第2保持体15bの間に収容されていることが好ましい。このようにして、検出素子6は、窓部11の開口部13に面することとなる。
【0052】
検出素子6は、ドアパネル3を開けるための第3モードを行うことができる。この場合、ユーザが手を窓部11に挿入し、開口部13に面するようにすると、検出素子6は、例えば、静電容量センサーの場合、手の存在に起因するセンサーによって放出される磁場の乱れにより、手の存在を識別する。
【0053】
高周波アンテナ7も、図10図12に示している。このアンテナ7は、有利なことに、フレキシブルで窓部11の形状に合わせやすい。アンテナ7は、信号を受信することができるように、高周波アンテナ7が接続されている監視ユニット5から、窓部11の前面11dと反対側の面11eまで延在している。このような高周波アンテナ7は、ユーザが遠隔制御によってドアパネル3の開口部13を遠隔操作すると、高周波アンテナ7によって受信された高周波信号は、監視ユニット5に送られる電気信号に変換されるという、ドアパネル3を開けるための第4モードを行うことができる。次に、監視ユニット5は、レバー4を駆動する電動アクチュエータ109を電気的に制御する。
【0054】
図13および図14は、発光素子8が取り付けられている可動フラップ20を示している。発光素子8は、光投影ガイド80に向けられた光源によって形成される。発光素子8を受け入れるために、可動フラップ20の中央部91aに切り欠き部20”が設けられている。組み立てられた状態では、発光素子8は、窓部11の開口部13に面する可動フラップ20によって支えられている。
【0055】
発光素子8は、監視ユニット5に電気的に接続されている。発光素子8は、窓部11の開口部13に向かって光を放射する。有利なことに、これらの光は、窓部11のガイド12のボウル形状によって反射し、ドアパネル3の外側に放射される。このような発光素子8は、ドアパネル3の開状態または閉状態に関する表示をユーザに提供することは理解されると思う。例えば、ユーザが前述のドアパネル3を開けるためのモードの1つを行うと、発光素子8は緑の光を放射する。反対に、ドアパネル3を閉めるためのコマンドを受信すると、発光素子8は、赤い光を放射する。
【0056】
本発明は、上述した実施例に限定されるものではなく、本発明の範囲から逸脱することなく、これらの実施例に対して多数の調整を行うことができる。特に、本発明の異なる特徴、形態、変形、および実施形態は、それらが互いに互換性がないかまたは排他的でない限り、様々に組み合わせることにより、互いに関連付けることができる。特に、上述したすべての変形および実施形態は、互いに組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0057】
1 ハンドル装置
2 ハンドル
3 ドアパネル
4 レバー
5 監視ユニット
6 検出素子
7 高周波アンテナ
8 発光素子
9 電気制御要素
10 ハンドル支持部
10a 本体
11 窓部
11a 上壁
11b 後部
11c 下壁
11d 前面
11d’ 穴
11e 面
12 ガイド
13 開口部
14 ケース
15a 第1保持体
15b 第2保持体
16a 相補的保持体(第1保持体)
16b 相補的保持体(第2保持体)
17 固定ネジ
19 シール
20 可動フラップ
20’ 通路
20” 切り欠き部
20a 管状突起
20b 管状突起
20c 阻止アーム
20d 制御アーム
20d’ スロット
21 中央部
22 タブ
23 湾曲ゾーン
30 クリアランス
31 補強プレート
31a ハウジング
31b ノッチ
40 第1作動体
41 環状接続体
42 角部
43 線状穿孔
44 フック
80 光投影ガイド
90 本体
91 ハンドレバー
91a 中央部
91b 端部
92 面
93 脚
94 バネ
95 ガイドアーム
96 マイクロスイッチ
97 プッシュロッド
100 水平方向軸
100’ 通路
100” 組立穴
101 受容部
102 締結プレート
103 長手方向ロッド
104 円筒形ガイド
105 コイルバネ
106 ラグ
107 コイルバネ
108 可撓性制御ケーブル
109 電動アクチュエータ
110 ロック機構
111 ロック解除アーム
112 第2作動体
113 ドーム型上部
200 垂直方向軸
400 横方向軸
600 対称軸
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図7A
図7B
図7C
図7D
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14