(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】お好み焼の製造方法
(51)【国際特許分類】
A23L 35/00 20160101AFI20240116BHJP
A23L 3/365 20060101ALI20240116BHJP
A21D 13/40 20170101ALN20240116BHJP
【FI】
A23L35/00
A23L3/365 A
A21D13/40
(21)【出願番号】P 2023131583
(22)【出願日】2023-07-24
【審査請求日】2023-07-24
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年2月27日にRSK山陽放送株式会社のテレビ番組 いまドキッ!にて放送
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用 令和5年4月14日発行の山陽新聞朝刊第6面にて公開
【権利譲渡・実施許諾】特許権者において、実施許諾の用意がある。
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523300078
【氏名又は名称】株式会社ティムコ
(72)【発明者】
【氏名】田原 匠
【審査官】関根 崇
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3076002(JP,U)
【文献】特開平02-156874(JP,A)
【文献】登録実用新案第3162171(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A23L
日経テレコン
(57)【特許請求の範囲】
【請求項3】
複数個分のお好み焼を製造した後、これらのお好み焼を急速冷凍し、真空包装する請求項1または請求項2に記載のお好み焼の製造方法
。
【請求項4】
前記真空包装したお好み焼を冷凍庫に入れた後、冷凍庫から取り出した真空包装された冷凍お好み焼を開封して皿に載せ、軽くラッピングフィルムを掛けて電子レンジで加熱調理を行う工程と、調理後のお好み焼を電子レンジから取り出して保温機に入れる工程と、分割されたお好み焼の一つを保温機から取り出して、顧客に提供する工程を有し、本工程を経ることで1工程につき分割した複数個分の片手で持って食べられるお好み焼を提供することができる
ようにした請求項3に記載のお好み焼の
製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、片手で持って食べられるお好み焼及びお好み焼の製造方法並びにお好み焼の提供方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、片手で持って食べられるお好み焼の一形態として、串状体固定体を包み込む形で成形、焼成されたお好み焼(特許文献1参照)、またはお好み焼をおにぎり風に成形し、海苔で巻いたもの(特許文献2参照)がある。特許文献1の串状体固定体を包み込む形で成形、焼成されたお好み焼は、専用の製造装置を使用して製造している。また、特許文献2のおにぎり風に成形したお好み焼は、一つ一つ成形、焼成し、これを海苔で包み込むことで製造している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
元来、お好み焼は、たこ焼き、ホットドッグ、焼き鳥などと並んで、お手軽な食べ物として位置づけられているが、お祭りの屋台、イベント会場、スタジアムなど屋外では他の軽食類に比べて見かける頻度は低い。これは一枚一枚ある程度時間をかける必要のある製造方法に加え、お皿とお箸を必要とする食べ方に起因している。
【0006】
前記、串状体固定体を包み込む形で成形、焼成されたお好み焼は前記のとおり製造には専用の製造装置が必要であり、例えば当該お好み焼事業に参入したいとしても、製造装置導入のために初期投資が膨らむことになり、事業の広がりという点では障壁となる可能性が高い。
【0007】
前記、おにぎり風に成形されたお好み焼は前記のとおり一つ一つ成形、焼成し、更には海苔で包み、その上からフィルムで包むという工程を経て製造されるため、大量生産には適していない。
【0008】
本発明は前記課題に鑑み成されたものであって、その目的はお好み焼を片手で持って食べるというスタイルを広めることで、顧客の潜在ニーズに応え、喚起することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するため、本発明は片手で持って食べられるお好み焼の製造方法、製造されたお好み焼、さらにその提供方法とした。
【0010】
片手で持って食べられるお好み焼は特殊な製造装置を用いることなく成形の仕方につぎの工夫を加えることで製造する。焼のり全型のサイズ大に成形、焼成したお好み焼の片面に薄く調味液を塗って焼のり全型を貼り付けた上でそれを裏返し、裏返したお好み焼に調味液を塗り、調味液を塗った面を内側にお好み焼を中央部で折り返し、折りたたんだお好み焼を長手方向に垂直に複数に分割することで、一度に複数個分の片手で持って食べられるお好み焼を製造することができる製造方法。
【0011】
前記製造方法において、一部手順を変更することにより外観の異なる片手で持って食べられるお好み焼を製造する。焼のり全型のサイズ大に成形、焼成したお好み焼の片面に薄く調味液を塗って焼のり全型を貼り付け、さらに貼り付けた焼のり全型に調味液を塗り、調味液を塗った面を内側にお好み焼を中央部で折り返し、折りたたんだお好み焼を長手方向に垂直に複数に分割することで、一度に複数個分の片手で持って食べられるお好み焼を製造することができる製造方法。
【0012】
前記二通りの製造方法にて製造されたお好み焼を急速冷凍し、真空包装した冷凍お好み焼。
【0013】
前記の真空包装した冷凍お好み焼の顧客への提供方法であって、保冷庫から取り出した真空包装した冷凍お好み焼を開封して皿に載せ、軽くラッピングフィルムを掛けて電子レンジで加熱調理を行う工程と、調理後のお好み焼を電子レンジから取り出して保温機に入れる工程と、分割されたお好み焼の一つを保温機から取り出して、顧客に提供する工程を有し、本工程を経ることで1工程につき複数個分の片手で持って食べられるお好み焼を提供することができることを特徴とするお好み焼の提供方法。
【発明の効果】
【0014】
本発明により、従来の製造方法と食べ易さに関する課題をクリアすることができ、スタジアムやイベント会場など、今まであるようでなかった軽食として位置づけられることが期待され、キッチンカーなど新たな参入を促すことにつながる可能性が期待できる。また片手で持って食べられる食品、いわゆるワンハンドフードは外国人には広く好まれるスタイルであり、外国人に敬遠されがちな外観の黒さへの対応もしておくことで、大阪万博開催を2年後に控えた現在、今後さらに高まるインバウンド需要に向けた期待は大きい。なお片手で持って食べられるお好み焼の提供方法においては使用する設備として、保冷庫、電子レンジ、保温機が必要であるが、いずれもコンビニエンスストアなどでは既設であり、またコンビニエンスストア以外での新規参入を考えたとしてもいずれも比較的安価に導入できる設備であって、導入の障壁は高くない。なお提供する量としては製造段階のお好み焼1食分を分割したものとなり、1食分の量は減ることになるが、お祭りの屋台、イベント会場、スタジアムなど屋外で食する場面で求められるのは量よりも食べ易さ、可搬性であって、買い手である顧客の欲求を満たす可能性は高いものと推測される。またこの発明により、片手で持って食べられるお好み焼の製造現場から提供現場への運搬性も高くなることから広く流通する可能性があり、提供現場における手間も最小限度に抑えられることにより、提供者にとっても利便性は高い。
【図面の簡単な説明】
【
図1】片手で持って食べられるお好み焼を焼き上げる際の製造工程1段階目を示す図である。
【
図2】片手で持って食べられるお好み焼を焼き上げる際の製造工程2段階目を示す図である。
【
図3】片手で持って食べられるお好み焼を焼き上げる際の製造工程3段階目を示す図である。
【
図4】表裏を逆転させた片手で持って食べられるお好み焼複数個分を示す図である。
【
図5】片手で持って食べられるお好み焼複数個分を急速冷凍、真空包装し、冷凍お好み焼を製造するフローを示す図である。
【
図6】片手で持って食べられるお好み焼の提供フローを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明に係る片手で持って食べられるお好み焼の製造方法は通常のお好み焼の製造方法と変わらず、小麦粉、水、卵および調味料を生地に、ここに野菜類を加えて混ぜ合わせ、肉類、魚介類などの具材を加えて鉄板上で焼き上げる。この際、鉄板上には
図1に示すように焼のり全型のサイズ(21cm×19cm)大にお好み焼1を成形しておく。焼き上がりを確認したら、
図2に示すように焼きあがったお好み焼2の片面に調味液3を薄く塗り、そこに焼のり全型4を貼付け、これを裏返す。次に
図3に示すように裏返したお好み焼に調味液3を均一に塗り、お好み焼5の中央部辺りにコテ6を押し当てて、折り返し用の線を加え、これを目印にお好み焼の下(鉄板側、焼のり全型が貼り付けられている面)を起こして二つに折りたたみ、これを長手方向に垂直にナイフ7で複数個分(ここでは6等分)に切り分けることにより、複数個分に切り分けたお好み焼8、すなわち片手で持って食べられるお好み焼9が複数個分製造される。
【0016】
(片手で持って食べられるお好み焼の変形)
本発明において前記の方法にて製造された片手で持って食べられるお好み焼は外側に焼のり全型が貼り付けられている状態であり、見た目が黒くなることから、外国人には敬遠されがちな外観になってしまう。これを解消するため、前記製造方法を一部変更し対応する。焼き上がり後、調味液3を薄く塗り、そこに焼のり全型4を貼付け、これを裏返すことなく焼のり全型4を貼り付けた面に調味液3を均一に塗り、調味液3を塗った面を内側にお好み焼5の中央部辺りにコテ6を押し当てて、折り返し用の線を加え、これを目印にお好み焼の下(鉄板側、焼のり全型が貼り付けられていない面)を起こして二つに折りたたみ、これを長手方向に垂直にナイフ7で複数個分(ここでは6等分)に切り分ける。これにより
図4に示すような焼のりを内側に折り込んだ表裏を逆転させたお好み焼10が製造され、カリフォルニアロールの様態にして見た目の印象を解消する。
【0017】
本発明において製造された片手で持って食べられるお好み焼は製造段階において、すでに複数個分に切り分けられており、これを
図5に示すようにそのまま急速冷凍機にて急速冷凍し、さらに急速冷凍されたお好み焼11を真空包装機12で真空包装する。これにより賞味期限を長くし、運搬性を高めて広く流通させることを可能とする。またすでに複数等分した状態で包装することで、開封調理後の手間を減らすことにつながる。
【0018】
本発明に係る片手で持って食べられるお好み焼の提供現場における提供方法について
図6を参照しつつ説明する。
〔1〕真空包装された冷凍お好み焼13を冷凍庫14から取り出す。
〔2〕真空包装の袋15を開け、冷凍状態のお好み焼を皿16に移す。
〔3〕〔2〕にラッピングフィルム17をかける。
〔4〕〔3〕を電子レンジ18に投入し調理する。(600Wで約8分、500Wで約10分)
〔5〕電子レンジ調理後のお好み焼19を取り出して、片手で持って食べられるお好み焼を保温機20内に並べ、顧客からの注文を待機する。
〔6〕注文を受けたら、保温機から片手で持って食べられるお好み焼21一切れを取り出し、耐油紙などで包み、提供する。
【符号の説明】
【0019】
1 成形したお好み焼の平面図
2 焼き上がったお好み焼
3 調味液
4 焼のり全型
5 焼のり全型を貼り付けたお好み焼
6 コテ
7 ナイフ
8 複数個分に切り分けられたお好み焼
9 片手で持って食べられるお好み焼
10 表裏を逆転させたお好み焼
11 急速冷凍されたお好み焼
12 真空包装機
13 真空包装された冷凍お好み焼
14 冷凍庫
15 開封後の真空包装袋
16 皿
17 ラッピングフィルム
18 電子レンジ
19 電子レンジ調理後のお好み焼
20 保温機
21 片手で持って食べられるお好み焼
【要約】
【課題】お好み焼を片手で持って食べるというスタイルを広めることで、顧客の潜在ニーズに応え、喚起するお好み焼を提供する。
【解決手段】片手で持って食べられるお好み焼9の製造方法であって、焼のり全型4のサイズ大に成形、焼成したお好み焼の片面に薄く調味液3を塗って焼のり全型4を貼り付けた上でこれを裏返し、裏返したお好み焼に調味液3を塗り、調味液3を塗った面を内側にお好み焼5を中央部で折り返し、折りたたんだお好み焼5を長手方向に垂直に複数に分割することにより、一度に複数個分を製造することができるお好み焼の製造方法。
【選択図】
図3