(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】情報をデータベースに登録する先進的な方法、システム及びデバイス
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/38 20120101AFI20240116BHJP
G06Q 10/10 20230101ALI20240116BHJP
G06Q 20/02 20120101ALI20240116BHJP
G06Q 20/06 20120101ALI20240116BHJP
G06Q 20/40 20120101ALI20240116BHJP
G06F 21/64 20130101ALI20240116BHJP
【FI】
G06Q20/38 318
G06Q10/10
G06Q20/02
G06Q20/06
G06Q20/40
G06F21/64
(21)【出願番号】P 2021512703
(86)(22)【出願日】2019-08-09
(86)【国際出願番号】 EP2019071458
(87)【国際公開番号】W WO2020052878
(87)【国際公開日】2020-03-19
【審査請求日】2022-07-08
(32)【優先日】2018-09-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】311007051
【氏名又は名称】シクパ ホルディング ソシエテ アノニム
【氏名又は名称原語表記】SICPA HOLDING SA
【住所又は居所原語表記】Avenue de Florissant 41,CH-1008 Prilly, Switzerland
(74)【代理人】
【識別番号】100107456
【氏名又は名称】池田 成人
(74)【代理人】
【識別番号】100128381
【氏名又は名称】清水 義憲
(74)【代理人】
【識別番号】100162352
【氏名又は名称】酒巻 順一郎
(72)【発明者】
【氏名】テヴォー, フィリップ
【審査官】上田 威
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-082266(JP,A)
【文献】特開2018-081686(JP,A)
【文献】特開2017-123692(JP,A)
【文献】特開2018-124924(JP,A)
【文献】特開2008-197694(JP,A)
【文献】特開2011-197883(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0174158(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0189753(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00 - 99/00
G06F 21/64
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
以降「アリス」と呼ぶ第一者と、以降「ボブ」と呼ぶ第二者との間の取引をデータベースに登録し、以降「キャロル」と呼ぶ第三者が、前記取引に関連する措置を実施することを可能にするための方法であって、
アリス及びキャロルの各々が、通信ネットワークを介して前記データベースと通信することが可能であり、前記通信ネットワークを介して送信されるデータに電子署名することが可能である電子デバイスを有し、
当該方法は、
アリスの電子デバイスによって、以降「取引レコード」と呼ぶレコードを作成するステップであり、前記レコードが、
以降「取引識別子」と呼ぶ、前記取引を識別するための識別子、
アリスを識別するための識別子、及び
以降「取引内容情報」と呼ぶ、前記取引の性質及び前記取引が有するとみなされる値のうちの少なくとも1つに関する情報、
を含む、ステップと、
アリスの電子デバイスによって、前記取引レコードに電子署名するステップ(s4)であり、結果もたらされる前記取引レコードを以降「TR
kA」と呼ぶ、電子署名するステップ(s4)と、
TR
kAを前記データベースに登録するステップ(s6)と、
キャロルの電子デバイスに、TR
kAが前記データベースに登録されたことを通知するステップ(s8)と、
TR
kAが、規則又は規則セットに従っており、アリスの電子デバイスによって電子署名されたことを判定するステップ(s10)と、
その後、キャロルの電子デバイスによって、TR
kAに電子署名するステップ(s12)であり、結果もたらされる前記取引レコードを「TR
kA,kC1」と呼ぶ、電子署名するステップ(s12)と、
TR
kA,kC1を前記データベースに登録するステップ(s14)と、
アリスの電子デバイスに、TR
kA,kC1が前記データベースに登録されたことを通知するステップ(s16)と、
キャロルの電子デバイスによって、措置を実施するステップ(s18)であり、前記措置が、TR
kA,kC1に含まれる前記取引内容情報に基づき、キャロルによる課税と関連付けられる、ステップ(s18)と、
を含み、
キャロルの電子デバイスによってTR
kAが電子署名されると(s12)、アリスと関連付けられる口座から、前記取引から生じるとみなされる付加価値に対する税を表す金額が自動的に引き落とされ、
TR
kAが、規則又は規則セットに従っていることを判定するステップ(s10)が、
キャロルの電子デバイスによって、前記アリスを識別するための識別子及び前記取引内容情報に基づいて、前記取引が前記規則又は規則セットを順守しているかを検証することを含む、方法。
【請求項2】
前記取引レコードが、
前記取引レコードがアリスの電子デバイスによって電子署名された(s4)こと、
TR
kAが前記データベースに登録された(s6)こと、
キャロルの電子デバイスが、TR
kAが前記データベースに登録されたことを通知された(s8)こと、
TR
kAが、前記規則又は規則セットに従っており、アリスの電子デバイスによって電子署名されたと判定された(s10)こと、
TR
kAがキャロルの電子デバイスによって電子署名された(s12)こと、
TR
kA,kC1が前記データベースに登録された(s14)こと、
アリスの電子デバイスが、TR
kA,kC1が前記データベースに登録されたことを通知された(s16)こと、及び
前記措置が実施された(s18)こと
のうちの少なくとも1つを示す状態変数をさらに含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記取引が、物体に関連し、前記物体が、前記取引識別子を表すか又は前記取引識別子に対応するコードによってマークされる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項4】
前記取引レコードが作成された(s2)後に、前記物体を前記コードによってマーキングするステップをさらに含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記物体にマークされた前記コードを読み取るステップ(s32a)と、
前記措置が、読み取られた前記コードによって表されるか又は読み取られた前記コードに対応する前記取引識別子によって識別される取引について実施されたか否か、及び
前記物体の性質が、読み取られた前記コードによって表されるか又は読み取られた前記コードに対応する前記取引識別子によって識別される前記取引の前記取引内容情報に一致するか否か
のうちの少なくとも1つを、前記データベースに問い合わせることによって判定するステップ(s34a)と
をさらに含む、請求項3又は4に記載の方法。
【請求項6】
前記取引が、サービスに関連し、前記サービスと関連付けられた文書が、前記取引識別子を表すか又は前記取引識別子に対応するコードによってマークされる、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項7】
前記取引レコードが作成された(s2)後に、前記文書を前記コードによってマーキングするステップをさらに含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記取引が、物体に関連し、前記物体が、前記取引識別子を表すか又は前記取引識別子に対応するコードによってマークされ、前記方法が、
前記サービスと関連付けられる前記文書にマークされた前記コードを読み取るステップ(s32b)と、
前記措置が、読み取られた前記コードによって表されるか又は読み取られた前記コードに対応する前記取引識別子によって識別される取引について実施されたか否か、及び
前記物体の性質が、前記読み取られたコードによって表されるか又は前記読み取られたコードに対応する前記取引識別子によって識別される前記取引の前記取引内容情報に一致するか否か
のうちの少なくとも1つを、前記データベースに問い合わせることによって判定するステップ(s34b)と
をさらに含む、請求項6又は7に記載の方法。
【請求項9】
前記取引が物体に関し、前記取引識別子が、
前記物体の特性、及び
前記物体に並置又は付着された素材ベースのセキュリティ要素の特性
のうちの少なくとも1つに基づいて生成される、以降「物体署名」と呼ぶ署名に対応する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項10】
前記物体署名を取得するステップ(s32c)と、
前記措置が、取得された前記物体署名に対応する前記取引識別子によって識別される取引について実施されたか否か、及び
前記物体の性質が、前記取得された物体署名に対応する前記取引識別子によって識別される前記取引の前記取引内容情報に一致するか否か
のうちの少なくとも1つを、前記データベースに問い合わせることによって判定するステップ(s34c)と
をさらに含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記取引がサービスに関し、前記取引識別子が、
前記サービスと関連付けられた文書の特性、及び
前記サービスと関連付けられる前記文書に並置又は付着された素材ベースのセキュリティ要素の特性
のうちの少なくとも1つに基づいて生成される、以降「サービス関連文書署名」と呼ぶ署名に対応する、請求項1又は2に記載の方法。
【請求項12】
前記取引が、物体に関連し、前記物体が、前記取引識別子を表すか又は前記取引識別子に対応するコードによってマークされ、前記方法が、
前記サービス関連文書署名を取得するステップ(s32d)と、
前記措置が、取得された前記サービス関連文書署名に対応する前記取引識別子によって識別される取引について実施されたか否か、及び
前記物体の性質が、取得された前記サービス関連文書署名に対応する前記取引識別子によって識別される前記取引の前記取引内容情報に一致するか否か
のうちの少なくとも1つを、前記データベースに問い合わせることによって判定するステップ(s34d)と
をさらに含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
以降「アリス」と呼ぶ第一者と、以降「ボブ」と呼ぶ第二者との間の取引をデータベースに登録し、以降「キャロル」と呼ぶ第三者が、前記取引に関連する措置を実施することを可能にするためのシステムであって、アリス及びキャロルの各々が、通信ネットワークを介して前記データベースと通信することが可能であり、前記通信ネットワークを介して送信されるデータに電子署名することが可能である電子デバイスを有し、
前記システムが、
アリスの電子デバイスによって、以降「取引レコード」と呼ぶレコードを作成(s2)するステップであり、前記レコードが、
以降「取引識別子」と呼ぶ、前記取引を識別するための識別子、
アリスを識別するための識別子、及び
以降「取引内容情報」と呼ぶ、前記取引の性質及び前記取引が有するとみなされる値のうちの少なくとも1つに関する情報、
を含む、ステップと、
アリスの電子デバイスによって、前記取引レコードに電子署名するステップ(s4)であり、以降結果もたらされる前記取引レコードを「TR
kA」と呼ぶ、電子署名するステップ(s4)と、
TR
kAを前記データベースに登録するステップ(s6)と、
キャロルの電子デバイスに、TR
kAが前記データベースに登録されたことを通知するステップ(s8)と、
TR
kAが、規則又は規則セットに従っており、アリスの電子デバイスによって電子署名されたことを判定するステップ(s10)と、
その後、キャロルの電子デバイスによって、TR
kAに電子署名するステップ(s12)であり、以降結果もたらされる前記取引レコードが「TR
kA,kC1」と呼ぶ、電子署名するステップ(s12)と、
TR
kA,kC1を前記データベースに登録するステップ(s14)と、
アリスの電子デバイスに、TR
kA,kC1が前記データベースに登録されたことを通知するステップ(s16)と、
キャロルの電子デバイスによって、措置を実施するステップ(s18)であり、前記措置が、TR
kA,kC1に含まれる前記取引内容情報に基づき、キャロルによる課税と関連付けられる、ステップ(s18)と、
を行うよう構成され、
キャロルの電子デバイスによってTR
kAが電子署名されると(s12)、アリスと関連付けられる口座から、前記取引から生じるとみなされる付加価値に対する税を表す金額が自動的に引き落とされ、
TR
kAが、規則又は規則セットに従っていることを判定するステップ(s10)が、
キャロルの電子デバイスによって、前記アリスを識別するための識別子及び前記取引内容情報に基づいて、前記取引が前記規則又は規則セットを順守しているかを検証することを含む、システム。
【請求項14】
以降「アリス」と呼ぶ第一者と、以降「ボブ」と呼ぶ第二者との間の取引をデータベースに登録するのに関与し、以降「キャロル」と呼ぶ第三者が、前記取引に関連する措置を実施することを可能にするのに関与するための電子デバイスであって、前記電子デバイスが、キャロルの電子デバイスとして使用可能であり、通信ネットワークを介して前記データベースと通信することが可能であり、前記通信ネットワークを介して送信されるデータに電子署名することが可能であり、
前記電子デバイスが、
以降「TR
kA」と呼ぶ取引レコードが前記データベースに登録されたことを通知される(s8)ステップであり、TR
kAが、
以降「取引識別子」と呼ぶ、前記取引を識別するための識別子、
アリスを識別するための識別子、及び
以降「取引内容情報」と呼ぶ、前記取引の性質及び前記取引が有するとみなされる値のうちの少なくとも1つに関する情報を含む、通知されるステップと、
TR
kAが、規則又は規則セットに従っており、アリスの電子デバイスによって電子署名されたことを判定するステップ(s10)と、
キャロルの電子デバイスによって、TR
kAに電子署名するステップ(s12)であり、結果もたらされる前記取引レコードを「TR
kA,kC1」と呼ぶ、電子署名するステップ(s12)と、
TR
kA,kC1を前記データベースに登録(s14)するステップと、
アリスの電子デバイスが、TR
kA,kC1が前記データベースに登録されたことを通知されるようにするステップ(s16)と、
措置を実施するステップ(s18)であり、前記措置が、TR
kA,kC1に含まれる前記取引内容情報に基づき、キャロルによる課税と関連付けられる、ステップ(s18)と、
を行うように構成され、
前記電子デバイスは、キャロルの電子デバイスによってTR
kAが電子署名されると(s12)、アリスと関連付けられる口座から、前記取引から生じるとみなされる付加価値に対する税を表す金額が自動的に引き落とされることを可能にするように構成されており、
TR
kAが、規則又は規則セットに従っていることを判定するステップ(s10)が、
キャロルの電子デバイスによって、前記アリスを識別するための識別子及び前記取引内容情報に基づいて、前記取引が前記規則又は規則セットを順守しているかを検証することを含む、電子デバイス。
【請求項15】
電子デバイス又は電子デバイスセット上で実行されると、前記電子デバイス又は電子デバイスセットに、請求項1~12のいずれか一項に記載の方法を実行させるように構成されているコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラ
ム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンピュータ科学の技術分野に関する。特に、本発明は、コンピュータ実装データベースにおける情報の登録、すなわち、記録に関する。
【発明の背景】
【0002】
現在よく知られているデジタル通貨ビットコインの中核構成要素として、ブロックチェーン技術が使用されている。ビットコインシステムにおいて、ブロックチェーンは、すべての取引の公開台帳として機能する(Satoshi Nakamoto「Bitcoin: A peer-to-peer electronic cash system.」(2008)、2017年3月2日にhttps://bitcoin.org/bitcoin.pdfから検索)。
【0003】
ブロックチェーン技術は、応用コンピュータ科学における、特に、データベース、暗号学、及びコンピュータネットワークの分野における研究を鼓舞した。これらの研究活動の一部は、コンピュータ実装データベースに取引を登録、すなわち、記録するための、信頼でき、セキュアで効率的なコンピュータ実施方法、システム、及びデバイスに関する様々な技術的課題の解決に焦点を当てている。
【発明の概要】
【0004】
上述の課題に対処又は少なくとも部分的に対処するために、本発明による方法、システム、及び電子デバイスが、独立請求項に定義されている。特定の実施形態が、従属請求項に定義されている。
【0005】
1つの実施形態において、以降「アリス」と呼ぶ第一者と、以降「ボブ」と呼ぶ第二者との間の取引をデータベースに登録し、以降「キャロル」と呼ぶ第三者が、取引に関連する措置が実施されるようにすることを可能にするための方法が提供される。アリス及びキャロルの各々は、通信ネットワークを介してデータベースと通信することが可能であり、通信ネットワークを介して送信されるデータに電子署名することが可能である電子デバイスを有する。方法は、以下のステップを含む。
【0006】
アリスの電子デバイスが、以降「取引レコード」と呼ぶレコードが作成されるようにする。取引レコードは、(i)以降「取引識別子」と呼ぶ、取引を識別するための識別子、(ii)アリスを識別するための識別子、及び(iii)以降「取引内容情報」と呼ぶ、取引の性質及び取引が有すると考えられる値のうちの少なくとも1つに関する情報を含む。次いで、アリスの電子デバイスが、取引レコードに電子署名する。結果もたらされる取引レコードは、以降「TRkA」と呼ぶ。次いで、TRkAがデータベースに登録される。
次いで、キャロルの電子デバイスが、TRkAがデータベースに登録されたことを通知される。TRkAは、規則又は規則セットに従っており、アリスの電子デバイスによって電子署名されたと判定される。次いで、キャロルの電子デバイスが、TRkAに電子署名する。結果もたらされる取引レコードは、以降「TRkA,kC1」と呼ぶ。次いで、TRkA,kC1がデータベースに登録される。
次いで、アリスの電子デバイスが、TRkA,kC1がデータベースに登録されたことを通知される。
次いで、キャロルの電子デバイスが、措置が実施されるようにし、措置は、TRkA,kC1に含まれる取引内容情報に基づいており、キャロルによる課税と関連付けられる。
【0007】
本方法の利点の1つは、本方法が、取引を記録するプロセスにおける待ち時間(すなわち、遅延)を低減することである。本方法の追加の利点が、以下の詳細な説明から明らかとなろう。
【0008】
1つの実施形態において、第一者(「アリス」)と、第二者(「ボブ」)との間の取引をデータベースに登録し、第三者(「キャロル」)が、取引に関連する措置が実施されるようにすることを可能にするためのシステムが提供され、アリス及びキャロルの各々は、通信ネットワークを介してデータベースと通信することが可能であり、通信ネットワークを介して送信されるデータに電子署名することが可能である電子デバイスを有する。システムは、上述したようなステップを実施するように構成されている。
【0009】
本発明はまた、1つの実施形態において、そのような取引のデータベースにおける登録に関与し、第三者(「キャロル」)が、取引に関連する措置が実施されるようにすることを可能にすることに関与するための方法に関し、方法は、アリスの電子デバイス及びキャロルの電子デバイスの内のいずれか一方によって実行される。
【0010】
本発明はさらに、1つの実施形態において、そのような取引のデータベースにおける登録に関与し、第三者(「キャロル」)が、取引に関連する措置が実施されるようにすることを可能にすることに関与するための電子デバイスに関し、電子デバイスは、アリスの電子デバイス及びキャロルの電子デバイスの内のいずれか一方として使用可能である。
【0011】
本発明はまた、電子デバイス又は電子デバイスセット上で実行されると、電子デバイス又は電子デバイスセットに、上述した方法のうちのいずれか1つを実行させるように構成されているコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラム又はコンピュータプログラムセットに関する。
【0012】
いくつかの実施形態において、例えば従属請求項6に定義されているように、取引は、物体に関連し、物体は、取引識別子を表すか又は取引識別子に対応するコードによってマークされる。物体上にマークされたコードはその後、例えば、物体がアリスによって発送されるときに読み出すことができ、その後、物体の性質が、読み取られたコードによって表されるか又は読み取られたコードに対応する取引識別子によって識別される取引の取引内容情報に一致するか否かを、データベースに問い合わせることによって判定することができる。物体の性質は、例えば、物体の目視検査によって判定することができる。したがって、リアルタイム又は準リアルタイムに、取引を登録することができ、登録された取引が実際の取引に正確に対応する否かを後にチェックすることができる。
【0013】
本発明を、以下、添付の図面を参照しながらより十分に説明する。図面において、同様の参照符号は、異なる図面を通じて同様の要素を表し、図面には、本発明の顕著な態様及び特徴を示す。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】
図1は、本発明の1つの実施形態における方法のメッセージシーケンスチャートである。
【
図2】
図2は、本発明の4つのうち1つの実施形態における方法の4つのうち1つのフローチャートである。
【
図3】
図3は、本発明の4つのうち1つの実施形態における方法の4つのうち1つのフローチャートである。
【
図4】
図4は、本発明の4つのうち1つの実施形態における方法の4つのうち1つのフローチャートである。
【
図5】
図5は、本発明の4つのうち1つの実施形態における方法の4つのうち1つのフローチャートである。
【
図6a】
図6aは、本発明のさらなる実施形態における方法のメッセージシーケンスチャートを構成する、
図6bとともに読まれるべき図である。
【
図6b】
図6bは、本発明のさらなる実施形態における方法のメッセージシーケンスチャートを構成する、
図6aとともに読まれるべき図である。
【
図7】
図7は、本発明の1つの実施形態による方法のフローチャートである。
【
図8】
図8は、本発明の1つの実施形態における電子デバイスの例示的な実施態様の概略図である。
【詳細な説明】
【0015】
ここで、具体的な実施形態とともに本発明を説明する。これら具体的な実施形態は、当業者によりよい理解を与える役割を果たすが、添付の特許請求の範囲によって規定される本発明の範囲を限定するようには意図されていない。略語及びそれらの意味のリストが、便宜のために詳細な説明の終わりに与えられる。
【0016】
図1は、本発明の1つの実施形態における方法のメッセージシーケンスチャートである。本方法の目標は、第一に、第一者と第二者との間の取引をデータベースに登録、すなわち、記録することであり、第二に、第三者が、取引に関連する措置が実施されるようにすることを可能にすることである。第一者、第二者、及び第三者(又は、言い換えれば当事者)は、ただ便宜のためにそれぞれアリス、ボブ、及びキャロルと呼ぶ。
【0017】
データベースはコンピュータ実装データベースである。多くの形態のコンピュータ実装データベースを使用することができる。1つの実施形態において、データベースは分散型データベースである。1つの実施形態において、データベースは分散型台帳(共有台帳とも呼ばれる)である。1つの実施形態において、データベースは共有認可型台帳である。1つの実施形態において、データベースは、例えば、公開ブロックチェーンベースデータベース、又はプライベートブロックチェーンベースデータベース(例えば、プライベートコンソーシアムによって運営されるブロックチェーンなど)などのブロックチェーンベースデータベースである。1つの実施形態において、データベースは、ブロックチェーン(例えば、米国特許出願公開第2017/0033932号に記載されているような)によって安全確保されるデータベース(又は台帳)である。1つの実施形態において、データベースは特定の範囲まで不変である。これは、内容がデータベースに記録された後、前記内容を改変することが非常に困難であるか、又は、改変するための計算量が非常に多いことを意味する。
【0018】
アリス及びキャロルの各々は、通信ネットワークを介してデータベースと通信することが可能である電子デバイスを有する。例えば、パーソナルコンピュータ、ラップトップコンピュータ、携帯電話、スマートフォン、タブレットコンピュータ、携帯情報端末、ウェアラブルコンピュータ、ゲーミングデバイス、携帯音楽プレーヤ、セットトップボックス、及び/又はカメラなどの、多くの形態の電子デバイスを使用することができる。1つの実施形態において、アリスの電子デバイスとキャロルの電子デバイスとは、1つ又は複数の通信ネットワークを介して相互接続される。例えば、限定ではないが、インターネット及び/又は任意の種類の有線若しくはワイヤレス通信ネットワークなどの、多くの形態の通信ネットワークを使用することもできる。
【0019】
アリスの電子デバイス及びキャロルの電子デバイスの各々は、それぞれアリス及びキャロルの代わりにデータに電子署名することが可能である。例えば、アリス及びキャロルは鍵、すなわち、データにデジタル署名するために使用可能な鍵を有する。1つの実施形態において、アリスの鍵及びキャロルの鍵の各々は秘密鍵であり、アリス及びキャロルの各々は、公開鍵も有し、これらは両方とも、公開鍵暗号化システム又は非対称暗号化システムの枠組みにおいてともに使用可能である。
【0020】
1つの実施形態において、データに電子署名することは、例えば上記で言及したような秘密鍵などの鍵を使用してデータにデジタル署名することを含む。
【0021】
別の実施形態において、データに電子署名することは、鍵を使用することを伴わない。例えば、データに電子署名することは、例えばユーザ名及び対応するパスワード又は生体認証データなどの、何らかの種類のユーザ信用情報を入力するユーザの認証に続いて行われ得る。認証後、続いて、電子署名の形態としてデータを添付することができ、署名データは、認証が行われたことを示す。
【0022】
1つの実施形態において、取引は、製品又はサービスの販売を含む。例えば、アリスが売り手であり得、ボブが買い手であり得る。例えば、ボブは、アリスから購入した製品又はサービスに対する税(例えば、VAT又はGST)を支払う必要がある消費者であり得、キャロルは、税当局であり得る。アリスの電子デバイスは、ボブによる製品又はサービスに対する支払を受領すると、好ましくは税額が別個にリストされている購入領収書を送達するように動作可能であり得、そのように構成することができる。その上、アリスの電子デバイスは、銀行カード読み取り機(場合によっては無接触)として銀行カードによる(すなわち、ボブの銀行カード)による支払の動作を実施するか、又は、例えばスマートフォンのような、例えばNFC(「近距離無線通信」)プロトコルを介するボブのワイヤレスデータ転送携帯機器からの支払を受領するようにさらに動作可能であり得る。
【0023】
方法は、以下のステップs2、s4、s6、s8、s10、s12、s14、s16及びs18を含み、これらは
図1を参照してステップ毎に説明され得る。以下において、電子デバイスがステップを実施すると記載されているとき、ステップは、例えば、電子デバイス上で実行している1つ又は複数のコンピュータプログラムを用いることによって、又は、電子デバイスに含まれる1つ又は複数の集積回路(など)を用いることによって自動的に実行することができる。いくつかの実施形態において、本方法の1つ又は複数のステップについて、ユーザは、任意選択的に、ステップが遂行されるために何らかの入力を与える必要がある場合がある。
ステップs2
【0024】
ステップs2において、アリスの電子デバイスが、ここで「取引レコード」と呼ぶレコードが作成されるようにする。レコードは、データベースに記憶することができるデータ構造である。
【0025】
1つの実施形態において、取引レコードは、アリスの電子デバイスによって作成される。
【0026】
別の実施形態(
図1には示さず)において、取引レコードは、アリスの電子デバイス自体によっては作成されない。その実施形態では、アリスの電子デバイスは、例えば、取引レコードを作成するのに必要なパラメータをデータベースに送信することができる。データベース、又は、データベースと関連付けられるか若しくはデータベースを管理するコンピュータプログラムが、このとき、取引レコードを作成する。例えば、データベースを管理するコンピュータプログラムは、取引レコードを作成するための命令セット、すなわち、プロトコルを含むことができる。次いで、取引レコード又はそのコピーが、署名(ステップs4による)のためにアリスの電子デバイスに送信される。
【0027】
取引レコードは、(i)ここで「取引識別子」と呼ぶ、取引を識別するための識別子、(ii)アリスを識別するための識別子、及び(iii)ここで「取引内容情報」と呼ぶ、取引の性質及び取引が有すると考えられる値のうちの少なくとも1つに関する情報を含むデータ構造である。識別子は一意の識別子であり、結果、それらは効果的に、それぞれ取引及びアリスの識別を実際に可能にする。
【0028】
1つの実施形態において、取引レコードは、いわゆる「スマートコントラクト」と呼ぶ場合があり、結果、取引レコードを作成することまた、スマートコントラクトを開始することと呼ぶ場合もある。1つの実施形態において、取引内容情報は、製品又はサービスの説明、その価格、及び、取引にて適用可能な、物品サービス税(GST)とも呼ばれる付加価値税(VAT)を含む。
ステップs4
【0029】
ステップs4において、アリスの電子デバイスが、例えば、アリスの鍵を使用して、取引レコードに電子署名する。結果もたらされる取引レコード、すなわち、電子署名された取引レコードは、ここでは「TRkA」と呼ぶ。取引レコードが電子署名されると、取引レコードを構成するデータ構造は、データ構造が電子署名も含むように拡張される。言い換えれば、TRkAは、少なくとも、元の取引レコード(TR)(その状態はその間に変化している場合がある)、及び、例えばアリスの鍵(kA)を使用したアリスの電子デバイスによる取引レコードの電子署名を含む。
ステップs6
【0030】
ステップs6(
図1においてはサブステップs6.1及びs6.2によって示す)において、TR
kAがデータベースに登録される、すなわち、記録される。1つの実施形態において、アリスの電子デバイスが、TR
kAがデータベースに登録されるようにする。
【0031】
1つの実施形態において、TRkAをデータベースに登録することは、例えば、署名ステップs4の自動的な帰結としてアリスの電子デバイス上で実行しているコンピュータプログラムなどによって、アリスの電子デバイスによって実施される。
【0032】
別の実施形態において、TRkAをデータベースに登録することは、アリスの電子デバイス自体によっては実施されず、署名ステップs4の自動的な帰結として別の電子デバイスに委任される。例えば、TRkAをデータベースに登録することは、データベースと関連付けられるコンピュータプログラムに委任することができる。
ステップs8
【0033】
ステップs8において、次いで、キャロルの電子デバイスが、TRkAがデータベースに登録されたことを通知される。
【0034】
1つの実施形態において(
図1には示さず)、TR
kAはキャロルの電子デバイスに送信される。TR
kAは、例えば、アリスの電子デバイスによって、データベースによって、又は、データベースと関連付けられるか若しくはデータベースを管理するコンピュータプログラムによって、キャロルの電子デバイスに送信することができる。例えば、データベースを管理するコンピュータプログラムは、TR
kAを送信するための命令セット、すなわち、プロトコルを含むことができる。しかしながら、本発明はこれらの実施態様に限定されるものではない。例えば、さらに別の実施態様において、TR
kAをキャロルの電子デバイスに送信する前に、ボブが、取引を承認することを要求され得る。
【0035】
キャロルの電子デバイスへのTRkAの送信は、任意のタイプのメッセージによって実施されてもよい。
【0036】
別の実施形態において、TR
kA自体がキャロルの電子デバイスに送信されるのではなく、TR
kAが利用可能である、すなわち、データベースに登録されたという情報のみが、キャロルの電子デバイスに送信される。そのように、キャロルの電子デバイスは、取引レコードが作成済みであり、アリスの電子デバイスによって電子署名済みであり、キャロルの電子デバイスによって電子署名される準備ができていることを通知される。TR
kAがデータベースに登録されたという情報は、例えば、アリスの電子デバイス(
図1には示さず)によって、データベース(
図1に示すような)によって、又は、データベースと関連付けられるか若しくはデータベースを管理するコンピュータプログラムによって、キャロルの電子デバイスに送信することができる。例えば、データベースを管理するコンピュータプログラムは、上記情報を送信するための命令セット、すなわち、プロトコルを含むことができる。
【0037】
TRkAがデータベースに登録されたというキャロルの電子デバイスへの通知は、任意のタイプのメッセージによって実施されてもよい。
ステップs10
【0038】
ステップs10において、TRkAは、規則又は規則セットに従っており、アリスの電子デバイスによって電子署名されたと判定される。
【0039】
ステップs10は、例えば、キャロルの電子デバイスによって(例えば、キャロルの電子デバイスにとってまだ利用可能でないとしても、データベースからTRkAをフェッチした後に)、データベースによって、又は、データベースと関連付けられるか若しくはデータベースを管理するコンピュータプログラムによって、実施することができる。ステップs10の実施は、或いは、さらに別のネットワーク要素に委任されてもよい。
【0040】
1つの実施形態において、ステップs10は、キャロルの電子デバイスが、TRkAがデータベースに登録されたと通知されたときに直ちに実施される。
【0041】
1つの実施形態において、TRkAが規則又は規則セットに従っていないこと、及び/又は、アリスの電子デバイスによって電子署名されていないことが判定された場合、例えば、プロセス全体を中断することができる。
ステップs12
【0042】
次いで、ステップs12においてTRkAは、例えば、キャロルの鍵を使用して、キャロルの電子デバイスによってさらに電子署名される。すなわち、キャロルの電子デバイスが、TRkAに電子署名する。結果もたらされる取引レコード、すなわち、さらに電子署名された取引レコードは、ここでは「TRkA,kC1」と呼ぶ。
【0043】
TRkA,kC1は、少なくとも、元の取引レコードTRkA(その状態はその間に変化している場合がある)、及び、例えばキャロルの鍵(kC)を使用したキャロルの電子デバイスによるTRkAの電子署名を含む。
ステップs14
【0044】
ステップs14(
図1においてはサブステップs14.1及びs14.2によって示す)において、TR
kA,kC1がデータベースに登録、すなわち、記録される。1つの実施形態において、キャロルの電子デバイスが、TR
kA,kC1がデータベースに登録されるようにする。
【0045】
1つの実施形態において、TRkA,kC1をデータベースに登録することは、例えば、署名動作s12の自動的な帰結としてキャロルの電子デバイス上で実行しているコンピュータプログラムなどによって、キャロルの電子デバイスによって実施される。
【0046】
別の実施形態において、TRkA,kC1をデータベースに登録することは、キャロルの電子デバイス自体によっては実施されず、署名ステップs12の自動的な帰結として別の電子デバイスによって実施される。
ステップs16
【0047】
ステップs16において、アリスの電子デバイスが、TRkA,kC1がデータベースに登録されたことを通知される。
【0048】
1つの実施形態において(
図1には示さず)、TR
kA,kC1はアリスの電子デバイスに送信される。TR
kA,kC1は、例えば、キャロルの電子デバイスによって、データベースによって、又は、データベースと関連付けられるか若しくはデータベースを管理するコンピュータプログラムによって、アリスの電子デバイスに送信することができる。しかしながら、本発明はこれらの実施態様に限定されるものではない。
【0049】
アリスの電子デバイスへのTRkA,kC1の送信は、任意のタイプのメッセージによって実施されてもよい。
【0050】
別の実施形態において、TR
kA,kC1自体がアリスの電子デバイスに送信されるのではなく、TR
kA,kC1が利用可能である、すなわち、データベースに登録されたという情報のみが、アリスの電子デバイスに送信される。そのように、アリスの電子デバイスは、取引レコードが作成されたことを通知される。TR
kA,kC1がデータベースに登録されたという情報は、例えば、キャロルの電子デバイス(
図1には示さず)によって、データベース(
図1に示すような)によって、又は、データベースと関連付けられるか若しくはデータベースを管理するコンピュータプログラムによって、アリスの電子デバイスに送信することができる。しかしながら、本発明はこれらの実施態様に限定されるものではない。
【0051】
TRkA,kC1がデータベースに登録されたというアリスの電子デバイスへの通知は、任意のタイプのメッセージによって実施されてもよい。
ステップs18
【0052】
ステップs18において、措置が、キャロルの電子デバイスによって実施されるようにされる。措置は、取引内容情報に基づく、すなわち、トリガされる措置は、取引内容情報に依存する。さらに、措置は、キャロルによる課税と関連付けられる。
【0053】
したがって、本方法は、結果として、取引内容情報に基づく措置が実施されるようにする(ステップs18)、取引をデータベースに記録するプロセス(ステップs2~s14)における待ち時間(すなわち、遅延)を低減する。したがって、本方法は、取引をリアルタイムで(すなわち、少ない待ち時間で)取引毎に監視するための技術的解決策を提供する。監視は、第三者、すなわちキャロルによって実施することができる。
【0054】
1つの実施形態において、取引レコードに電子署名することはまた、取引レコードにタイムスタンプを付すこと、すなわち、取引レコードデータ構造にタイムスタンプを追加することも伴う。
【0055】
1つの実施形態において、TRkAが規則又は規則セットに従っていると判定することs10は、キャロルの電子デバイスによって、アリスを識別するための識別子及び取引内容情報に基づいて、取引が規則又は規則セットを順守しているかを検証することを含む。これは、例えば、すべての必要な情報が取引レコードに含まれたこと、取引が認可されていること、及び、選択されているVAT率が正しいことを検証することを伴い得る。
【0056】
1つの実施形態において、取引レコードは、(a)取引レコードがアリスの電子デバイスによって電子署名されたこと(ステップs4)、(b)TRkAがデータベースに登録されたこと(ステップs6)、(c)TRkAがデータベースに登録されたことをキャロルの電子デバイスが通知されたこと(ステップs8)、(d)TRkAが規則又は規則セットに従っており、アリスの電子デバイスによって電子署名されたと判定されたこと(ステップs10)、(e)TRkAがキャロルの電子デバイスによって電子署名されたこと(ステップs12)、(f)TRkA,kC1がデータベースに登録されたこと(ステップs14)、(g)TRkA,kC1がデータベースに登録されたことをアリスの電子デバイスが通知されたこと(ステップs16)、及び(h)措置が実施されるようにされたこと(ステップs18)のうちの少なくとも1つを示す状態変数をさらに含む。1つの実施形態において、状態変数は、(a)~(h)の各々が真であるか又は偽であるかを示す。
【0057】
したがって、状態変数は、任意の権限のある当事者が、取引レコードの受信又は閲覧を受けて、上記の動作(a)~(h)のいずれが実施されたかを解明することを可能にする。言い換えれば、取引レコードの状態は、取引レコードの一部としてデータベースにログ記録される。
【0058】
1つの実施形態において、取引は、物体に関連し、物体は、取引識別子を表すか又は取引識別子に対応するコードによってマークされる。物体は、例えば、取引レコードが作成された直後に又はその後短時間でコードによってマークすることができる。コードは、例えば、物体の中核を取り囲むパッケージなど、物体の任意の部分にマークすることができる。
【0059】
物体は、例えば、限定ではなく、ビール、ワイン、酒類若しくは清涼飲料の瓶若しくは缶、タバコか葉巻のパック、小包若しくは箱、薬剤パック、香水瓶、又は、任意の他の物品税の対象となる商品、カード、チケット、ラベル、バンデロール、セキュリティフォイル、セキュリティスレッドなどのような、任意のタイプのものであってもよい。
【0060】
コードは、機械可読コードであり、例えば、一次元バーコード及びマトリックスバーコード(例えば、印刷データマトリックスコード又はQRコード[登録商標])のうちの少なくとも1つを含んでもよい。コードは、取引識別子を表すことができ、又は、取引識別子に対応することができる。コードと取引識別子との間の対応は、数学的関係(数学的に導出可能な対応)であり得るか、又は、データベースに記憶され得る(登録された対応)。
【0061】
取引が物体に関連し、物体が取引識別子を表すか又は取引識別子に対応するコードによってマークされる1つの実施形態において、本方法は、
図2のフローチャートによって示されるような、以下のステップをさらに含む。物体にマークされたコードが、例えば、バーコードリーダなどによって読み取られるs32a。次いで、(i)措置(ステップs18において参照されている)が、読み取られたコードによって表されるか又は読み取られたコードに対応する取引識別子によって識別される取引について実施されたか否か、及び(ii)物体の性質が、読み取られたコードによって表されるか又は読み取られたコードに対応する取引識別子によって識別される取引の取引内容情報に一致するか否かのうちの少なくとも1つが、データベースに問い合わせることによって判定されるs34a。
【0062】
1つの実施形態において、取引は、サービスに関連し、サービスと関連付けられた文書が、取引識別子を表すか又は取引識別子に対応するコードによってマークされる。文書は、例えば、取引レコードが作成された直後に又はその後短時間でなど、取引レコードが作成された後にコードによってマークすることができる。
【0063】
上記で言及したように、コードは、機械可読コードであり、例えば、一次元バーコード及びマトリックスバーコード(例えば、印刷データマトリックスコード又はQRコード)のうちの少なくとも1つを含んでもよい。
【0064】
取引がサービスに関連し、サービスと関連付けられた文書が取引識別子を表すか又は取引識別子に対応するコードによってマークされる1つの実施形態において、本方法は、例えば、バーコードリーダなどによる、
図3のフローチャートによって示されるような、以下のステップをさらに含む。サービスと関連付けられた文書にマークされたコードが読み取られるs32b。次いで、(iii)措置(ステップs18において参照されている)が、読み取られたコードによって表されるか又は読み取られたコードに対応する取引識別子によって識別される取引について実施されたか否か、及び(iv)物体の性質が、読み取られたコードによって表されるか又は読み取られたコードに対応する取引識別子によって識別される取引の取引内容情報に一致するか否かのうちの少なくとも1つが、データベースに問い合わせることによって判定されるs34b。
【0065】
1つの実施形態において、取引は物体に関し、取引識別子は、物体の特性、及び、物体に並置又は付着された素材ベースのセキュリティ要素の特性のうちの少なくとも1つに基づいて生成される、以降「物体署名」と呼ぶ署名に対応する。
【0066】
物体の例示的な性質に関する上記の所見は、本実施形態にも当てはまる。
【0067】
その実施形態において、方法は、
図4のフローチャートによって示されるような、以下のステップをさらに含むことができる。物体署名は、適切な読み取り機を使用して取得されるs32c。次いで、(v)措置(ステップs18において参照されている)が、取得された物体署名に対応する取引識別子によって識別される取引について実施されたか否か、及び(vi)物体の性質が、取得された物体署名に対応する取引識別子によって識別される取引の取引内容情報に一致するか否かのうちの少なくとも1つが、データベースに問い合わせることによって判定されるs34c。
【0068】
1つの実施形態において、取引はサービスに関し、取引識別子は、サービスと関連付けられた文書の特性、及び、サービスと関連付けられた文書に並置又は付着された素材ベースのセキュリティ要素の特性のうちの少なくとも1つに基づいて生成される、以降「サービス関連文書署名」と呼ぶ署名に対応する。
【0069】
その実施形態において、方法は、
図5のフローチャートによって示されるような、以下のステップをさらに含むことができる。サービス関連文書署名は、適切な読み取り機を使用して取得されるs32d。次いで、(vii)措置(ステップs18において参照されている)が、取得されたサービス関連文書署名に対応する取引識別子によって識別される取引について実施されたか否か、及び(viii)物体の性質が、取得されたサービス関連文書署名に対応する取引識別子によって識別される取引の取引内容情報に一致するか否かのうちの少なくとも1つが、データベースに問い合わせることによって判定されるs34d。
【0070】
ともに読まれるべきである
図6a及び
図6bは、本発明の4つの実施形態における方法のメッセージシーケンスチャートを構成する。本方法は、以下の追加のステップを含むという点において、
図1に示す方法とは異なる。
【0071】
第1の実施形態(例えば、
図2を参照して論じたもののような)において、取引が関係する物体が、コードによってマークされるs7(
図6a、ステップs7、「(i)コードマーキング」参照)。物体をコードによって物理的にマーキングするこのステップの後、物体のコードは後に読み取ることができs32、データベースに問い合わせることによって、トラック&トレース判定を実施することができるs34(
図6b、ステップs32~s34、「読み取り及びチェック」参照)。
【0072】
第2の実施形態(例えば、
図3を参照して論じたもののような)において、取引が関係するサービスと関連付けられた文書が、コードによってマークされるs7(
図6a、ステップs7、「(i)コードマーキング」参照)。文書をコードによって物理的にマーキングするこのステップの後、文書のコードは後に読み取ることができs32、次いで、データベースに問い合わせることによって、トラック&トレース判定を実施することができるs34(
図6b、ステップs32~s34、「読み取り及びチェック」参照)。
【0073】
第3の実施形態(例えば、
図4を参照して論じたもののような)において、取引が関係する物体の物体署名が生成されるs7(
図6a、ステップs7、「(ii)『物体署名』生成」参照)。物体署名、すなわち、物体の物理的署名が生成された後、物体署名を取得することができs32、次いで、データベースに問い合わせることによって、トラック&トレース判定を実施することができるs34(
図6b、ステップs32~s34、「読み取り及びチェック」参照)。
【0074】
第4の実施形態(例えば、
図5を参照して論じたもののような)において、取引が関係するサービスと関連付けられた文書のサービス関連文書署名が生成されるs7(
図6a、ステップs7、「(iii)『サービス関連文書署名』生成」参照)。前記サービス関連文書署名、すなわち、文書の物理的署名が生成された後、サービス関連文書署名を取得することができs32、次いで、データベースに問い合わせることによって、トラック&トレース判定を実施することができるs34(
図6b、ステップs32~s34、「読み取り及びチェック」参照)。
【0075】
ステップs7は、アリスからステップs7を示すボックスまでの点線矢印によって示すように、アリス又はアリスのオペレータによって実行されるか又は少なくとも制御される。ステップs7は、ステップs2の後の任意の時点において実施されてもよい。ステップs32~s34は、キャロルからステップs32~s34を示すボックスまでの点線矢印によって示すように、キャロル又はその場のキャロルのオペレータによって実行されるか又は少なくとも制御される。
【0076】
1つの実施形態において、上記で参照した物体署名及び上記で参照したサービス関連文書署名のうちのいずれか一方は、素材ベースのセキュリティ要素を備える。素材ベースのセキュリティ要素とは、その特定の性質及び比率に関係するその特有の特性が、前記特有の特性を検出するだけで、マークされたアイテムを物質的に認証することを可能にする材料を含む要素である。この材料の特有の特性は、マーキングの材料署名を構成する。例えば、素材ベースのセキュリティ要素は、発光材料の形態で提供され得る。発光は、例えば紫外光又は赤外光などの、非可視光下で現れ得る。或いは、発光は、可視光の印加を受けて現れてもよい。発光材料は、上方変換発光材料又は下方変換発光材料であってもよい。発光材料は、特に崩壊半減期又は他の減衰時間材料特性と組み合わされるときは、リン光材料又は蛍光材料であってもよい。マーキングは、上記発光材料を(発光顔料として)含むインクによって印刷されてもよい。所与の素材ベースのセキュリティ要素を含むマーキングの材料署名を検出するには特定の読み取り機が必要であり得、例えば、蛍光インクの場合、読み取り機は、適切な励起光によってインクを照射し、次いで、インクによって放射される発光を検出し、例えば、この発光の減衰時間率(すなわち、物理特性)を検出及び測定することが可能でなければならない。
【0077】
図2~
図6を参照して示した実施形態は、取引をデータベースに登録する方法と組み合わせて、効率的なトラック&トレースソリューションの実施を可能にする。言い換えれば、物体、及び/若しくはサービスと関連付けられた文書上の物理的マーキング、又はその材料署名は、特に、データベースに問い合わせることによって取引の状態を解明することを可能にする。特に、措置が適法に実施されたか否かを特定することができ、及び/又は、物体の性質がデータベース内の情報に従って予測される物体の性質に一致するか否かを特定することもできる。これは、不正行為の検出を可能にすることができる。
【0078】
上述したステップs18の措置は、例えば、VAT又はGSTなどの、キャロルによる課税と関連付けられる。
【0079】
上記で言及したように、
図1を参照して示した本方法は、結果として、取引内容情報に基づく措置が実施されるようにする、取引をデータベースに記録するプロセスにおける待ち時間を低減する。したがって、本方法は、取引をリアルタイムで(すなわち、少ない待ち時間で)取引毎に監視するための技術的解決策を提供する。これは、ステップs18の措置が、例えば、VAT又はGSTなどの課税と関連付けられるときに、相当の付随的利点を有する。これは、以下のように説明することができる。
【0080】
本明細書の執筆時点において、ほとんどの国におけるVAT徴収は普通、各主体が適用可能な規則を適法に順守すると仮定して、すべての経済主体に委託されている。規則が順守されていることを確実にするために、税当局は監査を行っており、不正行為を思いとどまらせるために罰金及び罰則が使用されているが、大した成果は上がっていない。事実、VAT徴収プロセスには多くの主体が関係し、数百万(数十億とは言わないまでも)の取引があり、結果、税当局が不正行為を防止することは実質的に不可能である。さらに、従来のVAT徴収は、経理により生じる請求書のまとめと、それに従って経済主体が定期的にしか(例えば、毎月、毎四半期、又は毎年)VAT申告を出すことができない法的要件の両方によって引き起こされる固有の待ち時間によって影響を受ける。
【0081】
ステップs18の措置が課税と関連付けられる場合、
図1に関連して説明したソリューションは、信頼できない当事者、すなわち、売り手であり得るアリス、買い手であり得るボブ、及び税当局であり得るキャロルの間のVAT取引を記録、追跡、報告、決済及び監査するための技術的手段を提供する。これは、対応するVAT取引を取引毎に短い待ち時間で自動的に記録、追跡及び決済するように、従来のVAT請求書をデータベースへの取引レコードに置き換えることによって達成することができる。VATトランザクションは、例えば、ブロックチェーンベースのデータベース上で異なる当事者間のVATの決済を自動的に実行する、いわゆるスマートコントラクトに符号化することができる。
【0082】
1つの実施形態において、例えば、キャロルの鍵を使用してキャロルの電子デバイスによってTRkAが電子署名されると(ステップs12)、アリスと関連付けられる口座から、取引から生じると考えられる付加価値に対する税を表す金額が引き落とされる。言い換えれば、その実施形態において、キャロルの署名は、アリスの口座の引落しをトリガする。
【0083】
そのような実施形態は、不正行為(いわゆる事業者失踪型の不正(missing trader fraud)など)を犯す機会が低減されるように、VATなどの税を取引毎に、自動的に、且つ短い待ち時間で徴収する(又は計上する)ことができるという点で有利である。企業(通常は小規模)は、数週間又は数カ月の間にまったく異常な額の取引(その規模及び業種に関して)を突然に生成し、したがって、次の税の自己申告の提出の前に非常に多額のVATを税当局に対して負う(したがって、負った額を支払うことなく突然失踪することになる)ことは不可能である。上述した取引毎の方法及びシステムによって、税当局は、各企業が負うVATの水準をリアルタイムで確認することができ、企業が異常なVAT債権をため込む前に、可能性のある不正行為者を検出し、介入することが可能である。
【0084】
別の実施形態において、TRkA,kC1がアリスの電子デバイスに通知された場合にのみ、アリスと関連付けられる口座から、取引から生じると考えられる付加価値に対する税を表す金額が引き落とされ、通知前には引き落とされない。
【0085】
図7は、本発明のさらなる実施形態による方法のフローチャートである。方法は、以下のステップを含む。
【0086】
いわゆるスマートコントラクトテンプレートT200(すなわち、取引レコードを作成するためのテンプレート)(
図7のサブステップs2.1参照)及びスマートコントラクト識別子T390(すなわち、取引識別子)(
図7のサブステップs2.2参照)に基づいて、スマートコントラクト(すなわち、取引レコード)が作成されるT210。次いで、アリスがT220パラメータをスマートコントラクトに入力することができる(
図7のサブステップs2.3参照)。(これは、例えば
図1に関連して論じたステップs2に対応する)。
【0087】
次いで、アリスの電子デバイスが、スマートコントラクトに電子署名しT230(スマートコントラクトはTR
kAになる)、その後、例えば変更不可能台帳であり得るデータベースT380に電子署名を提出するT240。(これは、例えば
図1に関連して論じたステップs4及びs6に対応する)。
【0088】
次いで、スマートコントラクトのデータベースへの登録が、キャロルの電子デバイスに通知されるT250。(これは、例えば
図1に関連して論じたステップs8に対応する)。
【0089】
次いで、キャロルの電子デバイスが一致のチェックを実施しT260a、スマートコントラクトがアリスの電子デバイスによって適法に署名されたか否かを検証するT260。(これは、例えば
図1に関連して論じたステップs10に対応する)。判定T260が失敗した場合、プロセスは、例えば、ステップT220に戻ることができる。判定T260が成功した場合、キャロルの電子デバイスが、スマートコントラクトに電子署名しT270(スマートコントラクトはTR
kA,kC1になる)、これをデータベースに提出しT380(これは、例えば
図1に関連して論じたステップs12及びs14に対応する)、次いで、キャロルの電子デバイス(税当局)がアリスの税務口座から引落しを行うT280。
【0090】
次いで、スマートコントラクトのデータベースへの登録が、アリスの電子デバイスに通知されるT290。(これは、例えば
図1に関連して論じたステップs16に対応する)。その後、取引は完了したと見なされるT350/s18。
【0091】
上述したステップは、本方法及びシステムの「デジタル部分」T360を形成すると考えられ得る。並行して、「物理マーキング」部分T370も、
図7の右手側に示されている。その部分において、コードT400/s7.1(スマートコントラクト識別子)が、オブジェクトs7.2、請求書T410/s7.3、及びさらには対応する物体を含むパッケージs7.4にマークされ得る。(これは、例えば
図6aに関連して論じたステップs7に対応する)その後、例えば
図6bを参照して論じたように、トラック&トレースチェックを、税当局の代わりに実施することができるs32/s34。
【0092】
上記の方法によって、税当局(すなわち、キャロル)は、任意の納税者(アリス)の税額控除状態をリアルタイムで(すなわち、短い待ち時間で)監視することが可能である。そうするために、データベース(例えば、ブロックチェーン台帳)を閲覧することができ、すべての先行する取引及びアリスからの有効な支払の結果として、アリスに割り当てられているすべての引落し操作を連結することが可能である。例えばアリスのような、不正行為の疑いのある任意の納税者について、税当局は、租税債務の最大限度(閾値など)を設定することができる。アリスがこの限度に達しており、新たな取引を為す(すなわち、新たな販売を請求する)ことを所望する場合、税当局は、さらなる取引を許容する前に何らかの措置に着手することができる。これらの措置は、例えば、アリスの施設に監査人を派遣すること、より高額の租税債務を保証するためにアリスからの保証(例えば銀行保証)を要求すること、支払によって現在の債務額を低減することなどを含み得る。さらに、一切のさらなる取引を阻止することが考慮され得る。
【0093】
さらに、各取引について、納税者の正式登録簿に売り手(アリス)が存在するかが税当局(キャロル)によってチェックされ得る。それらの法的単体(アリス)の代理として電子署名する者の署名権限付与についても、納税者の正式登録簿及び/又は商業登記に照らしてチェックされ得る。
【0094】
またさらに、スマートコントラクトにおいてアリスによって入力されたデータの妥当性もチェックされ得る。これは、例えば、(i)税区分(すなわち、適用される税率)が記載されている商品に対応するか否か(例えば、食品に適用可能である低減税率は高級嗜好品には必ずしも有効ではない)、(ii)アリスが納税者として登録されているか否か、及び(iii)取引の値が指定されているか否かを含み得る。
【0095】
さらに、電子署名が実際に有効であるか否かがチェックされ得る(すなわち、電子署名がアリスの認可された署名者に対応する)。
【0096】
またさらに、データベースに含まれるデータを分析することによって、納税者(アリス)から可能性のある不正行動を検出することが可能である。これは、以下のような特定のパターン又は特定のパターンの組み合わせを認識することによって行われる。
a.小企業
b.最近買収された企業
c.企業役員及び/又は経営者の最近の変化
d.(企業の規模に対する)取引の署名人の頻繁な変化
e.企業の通常の範囲外の事業(例えば、飲食店が電化製品を販売し始める)
f.急激に非常に重要になり始めている売上高
g.異なる国における購入(輸入)
h.期限が来ている税の支払遅延
【0097】
不正行為の疑いがある場合、税当局は、以下の異なる種類の措置をトリガすることができる。
i.単純に説明を要求する
j.企業施設を物理的に検査する
k.企業職員、取締役及び役員を物理的に監査する
l.アリスの施設の商品を物理的に検査する
【0098】
図8は、本発明による方法又はシステムにおける、例えばアリスの電子デバイス又はキャロルの電子デバイスとして使用することができる電子デバイス800の例示的な実施態様の概略図である。
【0099】
図8に示すように、電子デバイス800は、バス805、処理装置803、主記憶装置807、ROM808、記憶デバイス809、入力デバイス802、出力デバイス804、及び通信インターフェース806を含むことができるコンピューティングユニットを備える。バス805は、電子デバイス800の構成要間の通信を可能にする経路を含むことができる。
【0100】
処理ユニット803は、プロセッサ、マイクロプロセッサ、又は命令を解釈し実行することができる処理論理を含んでもよい。主記憶装置807は、情報及び処理ユニット803によって実行するための命令を記憶することができるRAM又は別のタイプの動的記憶デバイスを含んでもよい。ROM808は、静的情報及び処理ユニット803によって使用するための命令を記憶することができるROMデバイス又は別のタイプの静的記憶デバイスを含んでもよい。記憶デバイス809は、磁気及び/又は光学記録媒体並びにその対応するドライブを含むことができる。
【0101】
入力デバイス802は、キーパッド、キーボード、マウス、ペン、音声認識及び/又は生体認証機構などのような、オペレータが情報を処理ユニット803に入力することを可能にする機構を含むことができる。出力デバイス804は、ディスプレイ、プリンタ、スピーカなどを含む、オペレータに情報を出力する機構を含むことができる。通信インターフェース806は、電子デバイス800が他のデバイス及び/又はシステム(基地局、WLANアクセスポイントなど)と通信することを可能にする、任意のトランシーバ様の機構を含むことができる。例えば、通信インターフェース806は、ネットワークを介して別のデバイス又はシステムと通信するための機構を含むことができる。
【0102】
電子デバイス800は、本明細書に記載されている特定の動作又はプロセスを実施することができる。これらの動作は、処理装置803が、主記憶装置807、ROM808、及び/又は記憶デバイス809などのコンピュータ可読媒体に含まれるソフトウェア命令を実行するのに応答して実施され得る。コンピュータ可読媒体は、物理的又は論理的記憶装置として定義することができる。例えば、論理的記憶装置は、単一の物理的記憶装置内の、又は、複数の物理的記憶装置にわたって分散された記憶空間を含むことができる。主記憶装置807、ROM808及び記憶デバイス809の各々は、コンピュータ可読媒体を含むことができる。記憶デバイス809の磁気及び/又は光学記録媒体(例えば、可読CD又はDVD)もまた、コンピュータ可読媒体を含むことができる。ソフトウェア命令は、記憶デバイス809などの別のコンピュータ可読媒体から、又は、通信インターフェース806を介して別のデバイスから、主記憶装置807に読み出すことができる。
【0103】
主記憶装置809に含まれるソフトウェア命令は、処理装置803に、例えば機械可読コードの復号など、本明細書に記載されている動作又はプロセスを実施させることができる。或いは、ソフトウェア命令の代わりに又はソフトウェアと組み合わせて、配線回路が本明細書に記載されているプロセス及び/又は動作を実施するために使用されてもよい。したがって、本明細書に記載されている実施態様は、ハードウェア及びソフトウェアのいずれの特定の組み合わせにも限定されない。
【0104】
上記で参照した要素のいずれか1つは、ハードウェア、ソフトウェア、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、特定用途向け集積回路(ASIC)、ファームウェアなどに実装することができる。
【0105】
本発明は、詳細な実施例に基づいて記載されているが、詳細な実施例は、当業者によりよい理解を与える役割のみを果たし、本発明の範囲を限定するようには意図されていない。そうではなく、本発明の範囲は添付の特許請求の範囲によって規定される。
【0106】
略語:
ASIC 特定用途向け集積回路
FPGA フィールドプログラマブルゲートアレイ
GST 物品サービス税
kA アリスの鍵
kC キャロルの鍵
TR 取引レコード
VAT 付加価値税
【0107】
上記で開示した主題は限定的ではなく例示的であると考えられるべきであり、独立請求項によって規定される本発明のよりよい理解を与える役割を果たす。
[発明の項目]
[項目1]
以降「アリス」と呼ぶ第一者と、以降「ボブ」と呼ぶ第二者との間の取引をデータベースに登録し、以降「キャロル」と呼ぶ第三者が、前記取引に関連する措置を実施することを可能にするための方法であって、
アリス及びキャロルの各々が、通信ネットワークを介して前記データベースと通信することが可能であり、前記通信ネットワークを介して送信されるデータに電子署名することが可能である電子デバイスを有し、
当該方法は、
アリスの電子デバイスによって、以降「取引レコード」と呼ぶレコードを作成するステップであり、前記レコードが、
以降「取引識別子」と呼ぶ、前記取引を識別するための識別子、
アリスを識別するための識別子、及び
以降「取引内容情報」と呼ぶ、前記取引の性質及び前記取引が有するとみなされる値のうちの少なくとも1つに関する情報、
を含む、ステップと、
アリスの電子デバイスによって、前記取引レコードに電子署名するステップ(s4)であり、結果もたらされる前記取引レコードを以降「TR
kA
」と呼ぶ、電子署名するステップ(s4)と、
TR
kA
を前記データベースに登録するステップ(s6)と、
キャロルの電子デバイスに、TR
kA
が前記データベースに登録されたことを通知するステップ(s8)と、
TR
kA
が、規則又は規則セットに従っており、アリスの電子デバイスによって電子署名されたことを判定するステップ(s10)と、
キャロルの電子デバイスによって、TR
kA
に電子署名するステップ(s12)であり、結果もたらされる前記取引レコードを「TR
kA,kC1
」と呼ぶ、電子署名するステップ(s12)と、
TR
kA,kC1
を前記データベースに登録するステップ(s14)と、
アリスの電子デバイスに、TR
kA,kC1
が前記データベースに登録されたことを通知するステップ(s16)と、
キャロルの電子デバイスによって、措置を実施するステップ(s18)であり、前記措置が、TR
kA,kC1
に含まれる前記取引内容情報に基づき、キャロルによる課税と関連付けられる、ステップ(s18)と、
を含む、方法。
[項目2]
TR
kA
が、規則又は規則セットに従っていることを判定するステップ(s10)が、
キャロルの電子デバイスによって、前記アリスを識別するための識別子及び前記取引内容情報に基づいて、前記取引が前記規則又は規則セットを順守しているかを検証することを含む、項目1に記載の方法。
[項目3]
前記取引レコードが、
前記取引レコードがアリスの電子デバイスによって電子署名された(s4)こと、
TR
kA
が前記データベースに登録された(s6)こと、
キャロルの電子デバイスが、TR
kA
が前記データベースに登録されたことを通知された(s8)こと、
TR
kA
が、前記規則又は規則セットに従っており、アリスの電子デバイスによって電子署名されたと判定された(s10)こと、
TR
kA
がキャロルの電子デバイスによって電子署名された(s12)こと、
TR
kA,kC1
が前記データベースに登録された(s14)こと、
アリスの電子デバイスが、TR
kA,kC1
が前記データベースに登録されたことを通知された(s16)こと、及び
前記措置が実施された(s18)こと
のうちの少なくとも1つを示す状態変数をさらに含む、項目1又は2に記載の方法。
[項目4]
前記取引が、物体に関連し、前記物体が、前記取引識別子を表すか又は前記取引識別子に対応するコードによってマークされる、項目1~3のいずれか一項に記載の方法。
[項目5]
前記取引レコードが作成された(s2)後に、前記物体を前記コードによってマーキングするステップをさらに含む、項目4に記載の方法。
[項目6]
前記物体にマークされた前記コードを読み取るステップ(s32a)と、
前記措置が、読み取られた前記コードによって表されるか又は読み取られた前記コードに対応する前記取引識別子によって識別される取引について実施されたか否か、及び
前記物体の性質が、読み取られた前記コードによって表されるか又は読み取られた前記コードに対応する前記取引識別子によって識別される前記取引の前記取引内容情報に一致するか否か
のうちの少なくとも1つを、前記データベースに問い合わせることによって判定するステップ(s34a)と
をさらに含む、項目4又は5に記載の方法。
[項目7]
前記取引が、サービスに関連し、前記サービスと関連付けられた文書が、前記取引識別子を表すか又は前記取引識別子に対応するコードによってマークされる、項目1~3のいずれか一項に記載の方法。
[項目8]
前記取引レコードが作成された(s2)後に、前記文書を前記コードによってマーキングするステップをさらに含む、項目7に記載の方法。
[項目9]
前記サービスと関連付けられる前記文書にマークされた前記コードを読み取るステップ(s32b)と、
前記措置が、読み取られた前記コードによって表されるか又は読み取られた前記コードに対応する前記取引識別子によって識別される取引について実施されたか否か、及び
前記物体の性質が、前記読み取られたコードによって表されるか又は前記読み取られたコードに対応する前記取引識別子によって識別される前記取引の前記取引内容情報に一致するか否か
のうちの少なくとも1つを、前記データベースに問い合わせることによって判定するステップ(s34b)と
をさらに含む、項目7又は8に記載の方法。
[項目10]
前記取引が物体に関し、前記取引識別子が、
前記物体の特性、及び
前記物体に並置又は付着された素材ベースのセキュリティ要素の特性
のうちの少なくとも1つに基づいて生成される、以降「物体署名」と呼ぶ署名に対応する、項目1~3のいずれか一項に記載の方法。
[項目11]
前記物体署名を取得するステップ(s32c)と、
前記措置が、取得された前記物体署名に対応する前記取引識別子によって識別される取引について実施されたか否か、及び
前記物体の性質が、前記取得された物体署名に対応する前記取引識別子によって識別される前記取引の前記取引内容情報に一致するか否か
のうちの少なくとも1つを、前記データベースに問い合わせることによって判定するステップ(s34c)と
をさらに含む、項目10に記載の方法。
[項目12]
前記取引がサービスに関し、前記取引識別子が、
前記サービスと関連付けられた文書の特性、及び
前記サービスと関連付けられる前記文書に並置又は付着された素材ベースのセキュリティ要素の特性
のうちの少なくとも1つに基づいて生成される、以降「サービス関連文書署名」と呼ぶ署名に対応する、項目1~3のいずれか一項に記載の方法。
[項目13]
前記サービス関連文書署名を取得するステップ(s32d)と、
前記措置が、取得された前記サービス関連文書署名に対応する前記取引識別子によって識別される取引について実施されたか否か、及び
前記物体の性質が、取得された前記サービス関連文書署名に対応する前記取引識別子によって識別される前記取引の前記取引内容情報に一致するか否か
のうちの少なくとも1つを、前記データベースに問い合わせることによって判定するステップ(s34d)と
をさらに含む、項目12に記載の方法。
[項目14]
キャロルの電子デバイスによってTR
kA
が電子署名されると(s12)、アリスと関連付けられる口座から、前記取引から生じるとみなされる付加価値に対する税を表す金額が引き落とされる、項目1~13のいずれか一項に記載の方法。
[項目15]
以降「アリス」と呼ぶ第一者と、以降「ボブ」と呼ぶ第二者との間の取引をデータベースに登録し、以降「キャロル」と呼ぶ第三者が、前記取引に関連する措置を実施することを可能にするためのシステムであって、アリス及びキャロルの各々が、通信ネットワークを介して前記データベースと通信することが可能であり、前記通信ネットワークを介して送信されるデータに電子署名することが可能である電子デバイスを有し、
前記システムが、
アリスの電子デバイスによって、以降「取引レコード」と呼ぶレコードを作成(s2)するステップであり、前記レコードが、
以降「取引識別子」と呼ぶ、前記取引を識別するための識別子、
アリスを識別するための識別子、及び
以降「取引内容情報」と呼ぶ、前記取引の性質及び前記取引が有するとみなされる値のうちの少なくとも1つに関する情報、
を含む、ステップと、
アリスの電子デバイスによって、前記取引レコードに電子署名するステップ(s4)であり、以降結果もたらされる前記取引レコードを「TR
kA
」と呼ぶ、電子署名するステップ(s4)と、
TR
kA
を前記データベースに登録するステップ(s6)と、
キャロルの電子デバイスに、TR
kA
が前記データベースに登録されたことを通知するステップ(s8)と、
TR
kA
が、規則又は規則セットに従っており、アリスの電子デバイスによって電子署名されたことを判定するステップ(s10)と、
キャロルの電子デバイスによって、TR
kA
に電子署名するステップ(s12)であり、以降結果もたらされる前記取引レコードが「TR
kA,kC1
」と呼ぶ、電子署名するステップ(s12)と、
TR
kA,kC1
を前記データベースに登録するステップ(s14)と、
アリスの電子デバイスに、TR
kA,kC1
が前記データベースに登録されたことを通知するステップ(s16)と、
キャロルの電子デバイスによって、措置を実施するステップ(s18)であり、前記措置が、TR
kA,kC1
に含まれる前記取引内容情報に基づき、キャロルによる課税と関連付けられる、ステップ(s18)と、
を行うよう構成される、システム。
[項目16]
以降「アリス」と呼ぶ第一者と、以降「ボブ」と呼ぶ第二者との間の取引をデータベースに登録するのに関与し、以降「キャロル」と呼ぶ第三者が、前記取引に関連する措置を実施することを可能にするのに関与するための電子デバイスであって、前記電子デバイスが、アリスの電子デバイスとして使用可能であり、通信ネットワークを介して前記データベースと通信することが可能であり、前記通信ネットワークを介して送信されるデータに電子署名することが可能であり、前記電子デバイスが、
以降「取引レコード」と呼ぶレコードを作成(s2)するステップであり、前記取引レコードが、
以降「取引識別子」と呼ぶ、前記取引を識別するための識別子、
アリスを識別するための識別子、及び
以降「取引内容情報」と呼ぶ、前記取引の性質及び前記取引が有するとみなされる値のうちの少なくとも1つに関する情報を含む、ステップと、
前記取引レコードに電子署名するステップ(s4)であり、結果もたらされる前記取引レコードを「TR
kA
」と呼ぶ、電子署名するステップ(s4)と、
TR
kA
を前記データベースに登録(s6)するステップと、
キャロルの電子デバイスに、TR
kA
が前記データベースに登録されたことを通知するステップ(s8)と、
登録されたTR
kA
がTR
kA,kC1
として署名されており、前記データベースに登録されたという通知を受信するステップと
を行うように構成されている、電子デバイス。
[項目17]
以降「アリス」と呼ぶ第一者と、以降「ボブ」と呼ぶ第二者との間の取引をデータベースに登録するのに関与し、以降「キャロル」と呼ぶ第三者が、前記取引に関連する措置を実施することを可能にするのに関与するための電子デバイスであって、前記電子デバイスが、キャロルの電子デバイスとして使用可能であり、通信ネットワークを介して前記データベースと通信することが可能であり、前記通信ネットワークを介して送信されるデータに電子署名することが可能であり、
前記電子デバイスが、
以降「TR
kA
」と呼ぶ取引レコードが前記データベースに登録されたことを通知される(s8)ステップであり、TR
kA
が、
以降「取引識別子」と呼ぶ、前記取引を識別するための識別子、
アリスを識別するための識別子、及び
以降「取引内容情報」と呼ぶ、前記取引の性質及び前記取引が有するとみなされる値のうちの少なくとも1つに関する情報を含む、通知されるステップと、
TR
kA
が、規則又は規則セットに従っており、アリスの電子デバイスによって電子署名されたことを判定するステップ(s10)と、
キャロルの電子デバイスによって、TR
kA
に電子署名するステップ(s12)であり、結果もたらされる前記取引レコードを「TR
kA,kC1
」と呼ぶ、電子署名するステップ(s12)と、
TR
kA,kC1
を前記データベースに登録(s14)するステップと、
アリスの電子デバイスが、TR
kA,kC1
が前記データベースに登録されたことを通知されるようにするステップ(s16)と、
措置を実施するステップ(s18)であり、前記措置が、TR
kA,kC1
に含まれる前記取引内容情報に基づき、キャロルによる課税と関連付けられる、ステップ(s18)と、
を行うように構成されている、電子デバイス。
[項目18]
電子デバイス又は電子デバイスセット上で実行されると、前記電子デバイス又は電子デバイスセットに、項目1~14のいずれか一項に記載の方法を実行させるように構成されているコンピュータ可読命令を含むコンピュータプログラム製品。