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特許7419630情報処理装置、気流計測システム、気流表示方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】情報処理装置、気流計測システム、気流表示方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G01P 13/00 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
G01P13/00 E
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2019238448
(22)【出願日】2019-12-27
(65)【公開番号】P2021107766
(43)【公開日】2021-07-29
【審査請求日】2022-12-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000114215
【氏名又は名称】ミネベアミツミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107766
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠重
(74)【代理人】
【識別番号】100070150
【弁理士】
【氏名又は名称】伊東 忠彦
(72)【発明者】
【氏名】高橋 充洋
【審査官】岡田 卓弥
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-43058(JP,A)
【文献】特開2013-50417(JP,A)
【文献】特開2002-22220(JP,A)
【文献】特開2013-15376(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01P13/00-13/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
センサの位置を示すセンサ位置情報を取得する情報取得部と、
前記センサが測定したデータを収集するデータ収集部と、
前記センサ位置情報と、前記センサによって測定された前記データと、に基づいて、一定の空間の気流を推定する気流推定部と、
推定された前記気流を示す表示データを生成する表示データ生成部と、
前記表示データを出力する出力部と、を備え
前記出力部は、前記センサを示すセンサマークと、前記センサマークを配置する領域を示す配置領域と、を含む表示データをさらに出力し、
前記情報取得部は、配置された前記センサマークによって示されるセンサ位置情報を取得する、
情報処理装置。
【請求項2】
前記気流推定部は、前記一定の空間における複数の地点の風速と風向とを推定し、
前記表示データ生成部によって生成される表示データは、前記複数の地点ごとに推定された前記風速と前記風向とを示すシンボルマークを含む
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記情報取得部は、物体の形状、大きさ及び位置を示す物体情報をさらに取得し、
前記気流推定部は、前記センサ位置情報と、前記センサによって測定された前記データと、前記物体情報と、に基づいて、前記気流を推定する、
請求項1又は2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
センサの位置を示すセンサ位置情報と、物体の形状、大きさ及び位置を示す物体情報とを取得する情報取得部と、
前記センサが測定したデータを収集するデータ収集部と、
前記センサ位置情報と、前記センサによって測定された前記データと、前記物体情報とに基づいて、一定の空間の気流を推定する気流推定部と、
推定された前記気流を示す表示データを生成する表示データ生成部と、
前記表示データを出力する出力部と、を備え
前記出力部は、前記物体を示す物体マークと、前記物体マークを配置する領域と、を含む表示データをさらに出力し、
前記情報取得部は、配置された前記物体マークによって示される物体情報を取得する、
情報処理装置。
【請求項5】
前記表示データ生成部によって生成される表示データは、前記センサを示すセンサマークと、前記センサによって測定された風速と風向とを示すシンボルマークと、を含む
請求項1からのいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記気流推定部は、推定した前記気流を示すデータを記憶部に格納し、
前記表示データ生成部は、前記記憶部に格納された前記気流を示すデータを取得して、推定された前記気流を示す表示データを含む動画データを生成し、
前記出力部は、前記動画データを出力する、
請求項1からのいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか1項に記載の情報処理装置と一又は複数の前記センサとを含む気流計測システム。
【請求項8】
センサの位置を示すセンサ位置情報を取得する取得ステップと、
前記センサが測定したデータを収集するステップと、
前記センサ位置情報と、前記センサによって測定された前記データと、に基づいて、一定の空間の気流を推定するステップと、
推定された前記気流と、前記センサを示すセンサマークと、前記センサマークを配置する領域を示す配置領域とを表示するステップと、を備え
前記取得ステップは、配置された前記センサマークによって示されるセンサ位置情報を取得する、
気流表示方法。
【請求項9】
センサの位置を示すセンサ位置情報と、物体の形状、大きさ及び位置を示す物体情報とを取得する取得ステップと、
前記センサが測定したデータを収集するステップと、
前記センサ位置情報と、前記センサによって測定された前記データと、前記物体情報とに基づいて、一定の空間の気流を推定するステップと、
推定された前記気流と、前記物体を示す物体マークと、前記物体マークを配置する領域とを表示するステップと、を備え
前記取得ステップは、配置された前記物体マークによって示される物体情報を取得する、
気流表示方法。
【請求項10】
コンピュータに、
センサの位置を示すセンサ位置情報を取得する取得ステップと、
前記センサが測定したデータを収集するステップと、
前記センサ位置情報と、前記センサによって測定された前記データと、に基づいて、一定の空間の気流を推定するステップと、
推定された前記気流を示す表示データを生成するステップと、
前記表示データを出力する出力ステップと、
を実行させるためのプログラムであって、
前記出力ステップは、前記センサを示すセンサマークと、前記センサマークを配置する領域を示す配置領域と、を含む表示データをさらに出力し、
前記取得ステップは、配置された前記センサマークによって示されるセンサ位置情報を取得する、
プログラム。
【請求項11】
コンピュータに、
センサの位置を示すセンサ位置情報と、物体の形状、大きさ及び位置を示す物体情報とを取得する取得ステップと、
前記センサが測定したデータを収集するステップと、
前記センサ位置情報と、前記センサによって測定された前記データと、前記物体情報とに基づいて、一定の空間の気流を推定するステップと、
推定された前記気流を示す表示データを生成するステップと、
前記表示データを出力する出力ステップと、
を実行させるためのプログラムであって、
前記出力ステップは、前記物体を示す物体マークと、前記物体マークを配置する領域と、を含む表示データをさらに出力し、
前記取得ステップは、配置された前記物体マークによって示される物体情報を取得する、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理装置、気流計測システム、気流表示方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、空気等の流体の流向や流速を測定し、測定結果を表示する技術が開発されている。例えば、特許文献1には、風速データを数値化して風速データ表示部に表示し、風速データの大小に応じて風向データマークの大きさを異ならせて風向データ表示部に表示する端末装置が開示されている。
【0003】
また、特許文献2には、風向風速情報生成部が生成した風向、風速に関する気象情報に基づいて、特定地域の所与の位置における風向、風速を表示する表示部を含む風向風速情報提供システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2007-198809号公報
【文献】特開2013-050417号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の技術では、測定された箇所以外を含む一定の空間の気流の情報を出力することはできない。また、特許文献2に記載の技術では、屋内の気流の情報を出力することはできない。
【0006】
開示の技術は、上記事情に鑑みてなされたものであり、屋内における一定の空間の気流の情報を出力することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
開示の技術は、センサの位置を示すセンサ位置情報を取得する情報取得部と、前記センサが測定したデータを収集するデータ収集部と、前記センサ位置情報と、前記センサに測定された前記データと、に基づいて、一定の空間の気流を推定する気流推定部と、推定された前記気流を示す表示データを生成する表示データ生成部と、前記表示データを出力する出力部と、を備える情報処理装置である。
【発明の効果】
【0008】
屋内における一定の空間の気流の情報を出力することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第一の実施形態に係る気流計測システムの全体構成を示す概略図である。
図2】センサの外観の一例を示す図である。
図3】センサの本体部のハードウェア構成の一例を示す図である。
図4】情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
図5】情報処理装置の機能の一例を示す図である。
図6】第一の実施形態に係る気流表示処理の一例を示すフローチャートである。
図7】第一の実施形態に係るセンサ位置設定画面の一例を示す図である。
図8】第一の実施形態に係るセンサ表示の一例を示す図である。
図9】第一の実施形態に係る気流表示の一例を示す図である。
図10】第二の実施形態に係る気流データ記録処理の一例を示すフローチャートである。
図11】第二の実施形態に係る気流表示処理の一例を示すフローチャートである。
図12】第二の実施形態に係る気流表示の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(第一の実施形態)
以下に図面を参照して、第一の実施形態について説明する。
【0011】
図1は、第一の実施形態に係る気流計測システムの全体構成を示す概略図である。
【0012】
本実施形態の気流計測システム100は、センサ200と、通信端末300と、情報処理装置400と、を含む。
【0013】
センサ200は、複数のセンサ200-1、200-2、・・・、200-5を含む。なお、センサ200は、1つでも、複数のセンサ200-1、200-2等から構成されていても良い。
【0014】
本実施形態のセンサ200は、風向又は風速、もしくはその両方を検出するための気流センサと、気流センサによって検出されたデータを通信端末300へ送信する無線通信機能と、を有する。センサ200の詳細は、後述する。
【0015】
通信端末300は、センサ200と情報処理装置400との間の通信を中継するアクセスポイントとなる。
【0016】
情報処理装置400は、通信端末300を介して、センサ200からデータを収集する。また、情報処理装置400は、収集したデータを解析し、センサ200が設置された空間の空気の流れを解析する。
【0017】
また、情報処理装置400は、ネットワーク等を介して端末装置500と通信を行い、解析結果を端末装置500に出力する。
【0018】
また、図1の例では、通信端末300と情報処理装置400とを別々に設けるものとしたが、これに限定されない。通信端末300と情報処理装置400とは、1つの装置に含まれても良い。言い換えれば、通信端末300は、情報処理装置400に含まれて良い。
【0019】
本実施形態のセンサ200と通信端末300とは、例えば、無線通信を用いたメッシュネットワークを介して通信を行う。したがって、センサ200のそれぞれは、情報の受信元と送信先が決まっている。
【0020】
例えば、センサ200-1は、情報の受信元である通信端末300から、センサ200-3の気流センサ210が検出したデータの送信要求を受信すると、この送信要求を、情報の送信先であるセンサ200-2へ送信する。
【0021】
センサ200-2は、情報の受信元であるセンサ200-1から、センサ200-3の気流センサ210が検出したデータの送信要求を受信すると、この送信要求を、情報の送信先であるセンサ200-3へ送信する。
【0022】
センサ200-3は、情報の受信元であるセンサ200-1から、気流センサ210が検出したデータの送信要求を受信すると、センサ200-3の気流センサ210が検出したデータをセンサ200-2へ返す。センサ200-2は、このデータをセンサ200-1へ返し、センサ200-1は、このデータを通信端末300へ返す。
【0023】
気流計測システム100は、このような通信を繰り返し、各センサ200の気流センサ210によって検出されたデータを、情報処理装置400に収集する。
【0024】
また、本実施形態の気流計測システム100は、例えば、機械製造工場内の気流の管理や、植物を生育する植物工場内の気流の管理等に適用され得る。
【0025】
本実施形態によれば、空間における任意の箇所にセンサ200を設置することで、多点の気流の変化をモニタリングすることができる。また、本実施形態では、メッシュネットワークを用いるため、アクセスポイントを複数設ける必要がなく、遮蔽物等が存在する大規模な工場等であっても1つのシステムで多点の気流を計測することができる。
【0026】
図2は、センサの外観の一例を示す図である。
【0027】
センサ200は、気流センサ210と、本体部220とを有する。
【0028】
気流センサ210は、流向流速測定装置である。気流センサ210は、ほぼ円筒状の外枠を有し、内部には、空気等の流体の流向及び流速を検出するセンサ素子が実装されている。気流センサ210は、外部接続端子が本体部220に差し込まれることで、本体部220と導通する。
【0029】
図3は、センサの本体部のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0030】
本体部220は、演算処理装置221、通信装置222、温湿度センサ223、気圧センサ224、照度センサ225、UV(ultraviolet)センサ226、加速度センサ227、バッテリ228を有する。
【0031】
演算処理装置221は、気流センサ210とシリアルバスで接続されており、気流センサ210から出力されるデータを取得する。通信装置222は、データの受信元及びデータの送信先との通信を行う。
【0032】
温湿度センサ223は、センサ200が設置された空間の温度と湿度を検出する。温度と湿度は、センサ200が設置された空間の温度管理と湿度管理に用いられても良い。
【0033】
気圧センサ224は、センサ200が設置された空間の気圧を検出する。気圧は、例えば、気圧が影響する湿度の補正等に用いられても良い。
【0034】
照度センサ225は、センサ200が設置された空間の照度を検出する。UV(ultraviolet;紫外線)センサ226は、センサ200が設置された空間の紫外線の強度を検出する。
【0035】
加速度センサ227は、センサ200の加速度を検出する。本実施形態では、例えば、加速度センサ227によって検出された値によって、センサ200が設置された場所から落下したことを検出したりできる。バッテリ228は、センサ200を駆動させるための電力を供給する電力源である。
【0036】
尚、本実施形態の本体部220は、温湿度センサ223、気圧センサ224、照度センサ225、UVセンサ226、加速度センサ227を有するものとしたが、これに限定されない。本体部220は、演算処理装置221と通信装置222とバッテリ228を有していれば良く、気流センサ210以外のセンサは有していなくても良い。また、本実施形態の本体部220は、温湿度センサ223、気圧センサ224、照度センサ225、UVセンサ226、加速度センサ227のうち、いずれか1つ又は複数を有していても良い。
【0037】
図4は、情報処理装置のハードウェア構成の一例を示す図である。
【0038】
情報処理装置400は、それぞれバスBで相互に接続されている入力装置41、出力装置42、ドライブ装置43、補助記憶装置44、メモリ装置45、演算処理装置46及びインタフェース装置47を含むコンピュータである。
【0039】
入力装置41は、各種の情報の入力を行うための装置であり、例えばキーボードやポインティングデバイス等により実現される。出力装置42は、各種の情報の出力を行うためものであり、例えばディスプレイ等により実現される。インタフェース装置47は、LANカード等を含み、ネットワークに接続する為に用いられる。
【0040】
情報処理プログラムは、情報処理装置400を制御する各種プログラムの少なくとも一部である。情報処理プログラムは、例えば、記憶媒体48の配布やネットワークからのダウンロード等によって提供される。情報処理プログラムを記録した記憶媒体48は、CD-ROM、フレキシブルディスク、光磁気ディスク等の様に情報を光学的、電気的或いは磁気的に記録する記憶媒体、ROM、フラッシュメモリ等の様に情報を電気的に記録する半導体メモリ等、様々なタイプの記憶媒体を用いることができる。
【0041】
また、情報処理プログラムは、情報処理プログラムを記録した記憶媒体48がドライブ装置43にセットされると、記憶媒体48からドライブ装置43を介して補助記憶装置44にインストールされる。ネットワークからダウンロードされた情報処理プログラムは、インタフェース装置47を介して補助記憶装置44にインストールされる。
【0042】
補助記憶装置44は、情報処理装置400の有する各記憶部等を実現するものであり、情報処理装置400にインストールされた情報処理プログラムを格納すると共に、情報処理装置400による各種の必要なファイル、データ等を格納する。メモリ装置45は、情報処理装置400の起動時に補助記憶装置44から情報処理プログラムを読み出して格納する。そして、演算処理装置46はメモリ装置45に格納された情報処理プログラムに従って、後述するような各種処理を実現している。
【0043】
図5は、情報処理装置の機能の一例を示す図である。
【0044】
情報処理装置400は、情報取得部410と、データ収集部420と、気流推定部430と、表示データ生成部440と、出力部450と、記憶部460と、を備える。
【0045】
情報取得部410は、端末装置500からセンサ位置情報および物体情報を取得する。センサ位置情報および物体情報は、ユーザの操作によって端末装置500に入力された情報である。
【0046】
センサ位置情報は、各センサ200の位置を示す情報である。センサ位置情報は、例えば、XY平面における座標値を示す情報である。XY平面は、例えば気流を測定する床面からの高さにおける床面に並行な平面である。この気流を測定する床面からの高さは、床面から1m等のようにあらかじめ設定される。なお、センサ位置情報はセンサIDを含む。センサIDは、各センサ200を識別するための識別子である。
【0047】
物体情報は、気流の情報を出力する対象となる一定の空間において、気流に影響を与える物体の形状、大きさ及び位置を示す情報である。気流に影響を与える物体とは、例えば、壁、柱、大型機械、棚等の、気流を妨げる高さと大きさを有する物体である。
【0048】
データ収集部420は、各センサ200から出力されるデータを通信端末300が受信すると、このデータを収集する。各センサ200から出力されるデータは、例えば、風速と風向とを示すデータである。
【0049】
気流推定部430は、情報取得部410が取得したセンサ位置情報および物体情報と、データ収集部420が収集したデータと、を解析して、気流の情報を出力する対象となる一定の空間の空気の流れ(気流)を推定する。
【0050】
気流の推定結果は、例えば、空間内の複数の位置における風速と風向とを示すデータである。
【0051】
表示データ生成部440は、空間を示す枠線、各センサを示すマーク、収集されたデータおよび推定された気流を示す表示データを生成する。例えば、表示データ生成部440は、収集されたデータを示すシンボルマークの大きさを、当該データに含まれる風速の大きさに基づいて算出する。
【0052】
同様に、表示データ生成部440は、推定された気流を示すシンボルマークの色を、当該推定結果の風速の大きさに基づいて決定する。そして、表示データ生成部440は、算出および決定の結果に基づいて、表示データを生成する。
【0053】
出力部450は、表示データ生成部440が生成した表示データを出力する。具体的には、出力部450は、表示データを端末装置500に送信する。
【0054】
記憶部460は、各種の設定データが格納される。例えば、気流の情報を出力する対象となる一定の空間の大きさ及び形状を示す情報を記憶する。また、記憶部460は、気流推定部430が気流を推定するために必要な方程式、関数等のモデルデータを記憶する。
【0055】
また、記憶部460は、情報取得部410が取得した情報、データ収集部420が収集したデータ、気流推定部430が推定した結果を示すデータ、表示データ生成部が算出したサイズを示すデータ等を記憶する。
【0056】
次に、気流計測システム100の動作について、図面を参照して説明する。
【0057】
記憶部460には、あらかじめ計測に使用するセンサ200のセンサIDを示すデータが格納されている。各センサ200は、気流の情報を出力する対象となる一定の空間の各所に設置される。
【0058】
そして、端末装置500を介して、ユーザから気流の計測を開始する指示を受けると、情報処理装置400は、気流表示処理を開始する。
【0059】
図6は、第一の実施形態に係る気流表示処理の一例を示すフローチャートである。
【0060】
気流表示処理を開始すると、出力部450は、記憶部460からセンサIDを示すデータを取得して、端末装置500に出力する(ステップS11)。端末装置500は、受信したデータに基づいて、ユーザからセンサ位置を設定する操作を受けるためのセンサ位置設定画面を表示する。
【0061】
図7は、第一の実施形態に係るセンサ位置設定画面の一例を示す図である。
【0062】
センサマーク601は、センサ200を示すシンボルマークである。センサマーク601は、計測に使用するセンサ200の数だけ表示されている。表示される領域は、配置領域と、未配置領域と、に区切られている。
【0063】
配置領域は、センサマーク601および物体マーク611を配置する領域である。配置領域には、格子状の直線が表示され、XY座標値の示す位置がわかりやすくなっている。また、未配置領域は、配置領域に配置されていないセンサに対応するセンサマーク601が表示される領域である。
【0064】
センサマーク601は、センサIDを含む略円形のシンボルマークである。センサマーク601は、ユーザによるドラッグ&ドロップ等の操作を受けて、配置領域内の任意の位置に配置される。
【0065】
物体マーク611は、気流の情報を出力する対象となる一定の空間に存在する物体の形状、大きさ及び位置を示すシンボルマークである。物体マーク611は、ユーザの操作を受けて形状と大きさが決定され、配置領域内の任意の位置に配置される。なお、物体マーク611は、配置されなくても良いし、1つまたは2つ以上配置されても良い。
【0066】
なお、配置領域は、気流の情報を出力する対象となる範囲を示す領域であっても良い。また、これらは異なる領域であっても良い。例えば、配置領域は、気流の情報を出力する対象となる範囲よりも狭い領域であっても良い。また、センサマーク601を配置する領域と、物体マーク611を配置する領域と、が異なっていても良い。
【0067】
図6に戻り、情報取得部410は、端末装置500からセンサ位置情報と物体情報とを取得する(ステップS12)。具体的には、センサ位置情報は、図7に示されたセンサマーク601の配置された位置の座標値を示す情報である。また、物体情報は、物体マーク611の形状、大きさ及び位置を示す情報である。
【0068】
次に、データ収集部420は、センサ200からデータを収集する(ステップS13)。具体的には、データ収集部420は、通信端末300を介して、各センサ200から出力されるデータを収集する。収集されたデータは、センサIDごとの風速と風向とを示すデータである。
【0069】
次に、気流推定部430は、ステップS12で取得された情報と、ステップS13で収集されたデータと、に基づいて、気流を推定する(ステップS14)。具体的には、気流推定部430は、空間内のあらかじめ決められた複数の地点における気流を推定する。例えば、格子状に区切られた各矩形領域の中心地点における気流を推定する。
【0070】
気流推定部430は、例えば、複数のセンサ200から収集したデータに基づいて、間の地点の各地点の気流を補間することによって、各地点の気流を推定する。
【0071】
なお、気流推定部430は、センサ200から取得した風向及び風速に基づいて気流を推定する例を示したが、その他の情報、例えば気圧、温湿度、照度等をセンサ200から収集して、風向及び風速に加えて、または風向及び風速に代えて、気圧、温湿度、照度等に基づいて、気流を推定しても良い。
【0072】
例えば、気流推定部430は、センサ200から近い地点から順に、気圧差を算出することによって、各地点の気流を推定する。また、気流推定部430は、ナビエ-ストークス方程式等の方程式を近似的、または一般的に解くことによって、各地点の気流を推定しても良い。
【0073】
続いて、表示データ生成部440は、表示データを生成する(ステップS15)。具体的には、表示データ生成部440は、収集されたデータを示すシンボルマークの大きさを、当該データに含まれる風速の大きさに基づいて算出する。
【0074】
記憶部460には、設定情報として、風速の大きさと表示サイズとの対応を示すデータが格納されている。当該データは、例えば、風速の大きさを表示サイズに変換する計算式を示すデータである。また、当該データは、風速の大きさを表示サイズとの対応表であっても良い。
【0075】
表示データ生成部440は、上述のデータを参照して、シンボルマークの表示サイズを算出する。
【0076】
また、表示データ生成部440は、気流推定部430の推定結果を示すシンボルマークの色を決定する。
【0077】
記憶部460には、設定情報として、風速の大きさと表示色との対応を示すデータが格納されている。当該データは、例えば、風速の大きさを色に変換する計算式を示すデータである。また、当該データは、風速の大きさを色との対応表であっても良い。
【0078】
表示データ生成部440は、上述のデータを参照して、推定結果を示すシンボルマークの色を決定する。
【0079】
表示データ生成部440は、各センサ200の測定結果を示すシンボルマークを、算出された表示サイズで生成し、各地点の推定結果を示すシンボルマークを、決定された色で生成する。また、表示データ生成部440は、空間を示す枠線、各センサを示すマーク等を示す表示データを生成する。
【0080】
次に、出力部450は、表示データを出力する(ステップS16)。具体的には、出力部450は、表示データ生成部440によって生成された、空間を示す枠線、各センサを示すマーク、収集されたデータを示すシンボルマーク、推定された気流を示すシンボルマーク等を含む表示データを出力する。
【0081】
そして、情報処理装置400は、処理終了の操作を受けたか否かを判定する(ステップS17)。情報処理装置400が、処理終了の操作を受けていないと判定すると(ステップS17:No)、データ収集部420は、ステップS13の処理に戻って実行する。
【0082】
情報処理装置400は、処理終了の操作を受けたと判定すると(ステップS17:Yes)、処理を終了する。
【0083】
端末装置500は、受信した表示データに基づいて、気流を表示する画面を表示する。
【0084】
図8は、第一の実施形態に係るセンサ表示の一例を示す図である。
【0085】
端末装置500は、ユーザの操作によって、各センサから収集されたデータを表示する。具体的には、端末装置500は、センサマーク601に隣接する位置に、三角形状のシンボルマーク602を表示する。
【0086】
シンボルマーク602の表示サイズは、表示データ生成部440によって算出されたサイズとなっている。それによって、センサマーク601の中心からシンボルマーク602の頂点までの距離は、風速を示すようになっている。また、端末装置500は、センサマーク601の周囲のシンボルマーク602と反対側の位置に、風速の値を示すテキストを表示する。
【0087】
また、端末装置500は、風速の大きさを視認し易くするため、センサマーク601の周囲には、5(m/s)の風速を示す円周マーク603と、10(m/s)を示す円周マーク604と、を表示する。なお、円周マーク604の示す風速は、センサ200の検出できる風速の最大値であっても良く、円周マーク603の示す風速は、センサ200の検出できる風速の最大値の半分の値であっても良い。
【0088】
また、端末装置500は、センサマーク601の中心からシンボルマーク602の頂点に向かう方向が風向を示すように、シンボルマーク602を表示する。
【0089】
図9は、第一の実施形態に係る気流表示の一例を示す図である。
【0090】
端末装置500は、ユーザの操作によって、気流の推定結果を表示する。具体的には、端末装置500は、各地点の推定結果の風速と風向を示すシンボルマーク621を表示する。シンボルマーク621は、例えば矢印であって、矢印の向きが推定結果の風向を示す。また、シンボルマーク621の色は、風速を示す。例えば、赤色のシンボルマーク621の地点の風速は、青色のシンボルマーク621の地点の風速よりも大きいことを示している。
【0091】
端末装置500は、上述したセンサ200の測定データを示すシンボルマーク602と、気流の推定結果を示すシンボルマーク621と、のいずれかを表示するか、または両方合わせて表示するかを、ユーザの操作によって決定しても良い。
【0092】
本実施形態に係る気流計測システム100によれば、センサ200から収集したデータを、シンボルマーク602として視覚的に表示することができる。また、センサ200から収集したデータに基づいて、一定の空間の気流の推定結果を、シンボルマーク621として視覚的に表示することができる。
【0093】
また、ユーザは、表示された結果を確認して、設置された物体のレイアウトを変更したり、センサ200の位置を変更したりした場合に、簡単な操作によってセンサマーク601または物体マーク611の位置を変更して、気流の変化をすぐに確認することができる。
【0094】
(第二の実施形態)
以下に図面を参照して、第二の実施形態について説明する。第二の実施形態では、表示データを記録し、記録された表示データを後から表示する点が、第一の実施形態と相違する。以下の第二の実施形態の説明では、第一の実施形態との相違点について説明し、第一の実施形態と同様の機能構成を有するものには、第一の実施形態の説明で用いた符号と同様の符号を付与し、その説明を省略する。
【0095】
本実施形態に係る気流計測システム100の動作について、図面を参照して説明する。
【0096】
端末装置500を介して、ユーザから気流の計測を開始する指示を受けると、情報処理装置400は、気流データ記録処理を開始する。
【0097】
図10は、第二の実施形態に係る気流データ記録処理の一例を示すフローチャートである。
【0098】
気流データ記録処理を開始すると、出力部450は、記憶部460からセンサIDを示すデータを取得して、端末装置500に出力する(ステップS21)。端末装置500は、受信したデータに基づいて、ユーザからセンサ位置を設定する操作を受けるためのセンサ位置設定画面を表示する。
【0099】
情報取得部410は、端末装置500からセンサ位置情報と物体情報とを取得する(ステップS22)。具体的には、第一の実施形態と同様に、センサ位置情報は、図7に示されたセンサマーク601の配置された位置の座標値を示す情報である。また、物体情報は、物体マーク611の形状、大きさ及び位置を示す情報である。
【0100】
次に、データ収集部420は、センサ200からデータを収集する(ステップS23)。具体的には、データ収集部420は、通信端末300を介して、各センサ200から出力されるデータを収集する。収集されたデータは、センサIDごとの風速と風向とを示すデータである。
【0101】
データ収集部420は、データを記録する(ステップS24)。具体的には、データ収集部420は、ステップS22で取得されたセンサ位置情報および物体情報と、ステップS23で収集されたセンサIDごとの風速と風向とを示すデータと、を記憶部460に格納する。
【0102】
次に、端末装置500を介して、記録されたデータを表示するための操作を受けると、情報処理装置400は、気流表示処理を開始する。
【0103】
図11は、第二の実施形態に係る気流表示処理の一例を示すフローチャートである。
【0104】
気流表示処理を開始すると、気流推定部430は、記憶部460からデータを取得する(ステップS31)。
【0105】
次に、気流推定部430は、取得されたデータに含まれるデータ、すなわちステップS22の処理で取得されたセンサ位置情報および物体情報と、ステップS23の処理で収集されたデータと、に基づいて、気流を推定する(ステップS32)。
【0106】
次に、表示データ生成部440は、表示データを生成する(ステップS33)。具体的には、表示データ生成部440は、計測を行った期間に相当する表示データを、時刻ごとに生成する。
【0107】
例えば、表示データ生成部440は、10分ごとの表示データを生成する。なお、表示データを生成する対象となる時刻の間隔は、あらかじめ設定情報として記憶部460に記憶されていても良い。
【0108】
次に、表示データ生成部440は、表示データを再生するための動画データを生成する(ステップS34)。具体的には、表示データ生成部440は、時刻ごとの表示データを連続して表示する動画データを生成する。
【0109】
ここで、生成される動作データの再生速度は、用途に合わせてあらかじめ設定情報として記憶部460に記憶されていても良い。例えば、夜間の建物内の気流を翌日に確認する場合には、データを計測された際の実際の時間よりも速い再生速度の動作データを生成することが望ましい。
【0110】
次に、出力部450は、動画データを出力する(ステップS35)。具体的には、出力部450は、ステップS34で生成された動画データを、端末装置500に送信する。
【0111】
図12は、第二の実施形態に係る気流表示の一例を示す図である。
【0112】
端末装置500は、受信した動画データを表示する。具体的には、端末装置500が表示する画面は、スライドバー631と、カーソル632と、を含む。
【0113】
スライドバー631は、動画データの再生時間を示すGUI(Graphical User Interface)である。ユーザがカーソル632を介してスライドバー631を操作すると、端末装置500は、操作にしたがって、動画データの再生速度を変更した表示や、指定された時刻の動画データに変更した表示を行う。
【0114】
本実施形態に係る気流計測システム100によれば、計測されたデータについて後から表示することができる。これによって、例えば、夜間の気流を翌日に確認することができる。また、再生速度を速くして動画データを再生することによって、例えば長時間の気流の変化を確認することができる。
【0115】
以上、本発明の好ましい実施の形態について詳説したが、本発明は、上述した実施の形態に制限されることはなく、本発明の範囲を逸脱することなく、上述した実施の形態に種々の変形及び置換を加えることができる。
【0116】
上述した各実施形態において、情報処理装置400が出力した表示データに基づいて、端末装置500が画面を表示する例を示したが、情報処理装置400がディスプレイ等を備え、備えられたディスプレイ等に画面を表示しても良い。その場合、上述した端末装置500が実行する処理を、情報処理装置400が実行する。
【0117】
上述した各実施形態において、気流を測定する床面からの高さがあらかじめ設定されている例を示したが、複数の高さの地点における気流を推定しても良い。その場合、センサの位置情報および物体情報を3次元座標で指定できるようにする。また、表示データ生成部440は、センサの測定データおよび気流の推定結果を3次元で表現する表示データを生成しても良い。
【0118】
上述した各実施形態において、シンボルマーク602が三角形状である例を示したが、方向がわかる形状であれば矢印等でも良い。また、シンボルマーク602の大きさによって風速の大きさを示す例を示したが、他の方法でも良い。例えば、シンボルマーク602の色、形状等によって風速の大きさを示しても良い。
【0119】
また、シンボルマーク621についても、同様に、大きさによって風速の大きさを示しても良いし、色、形状等によって風速の大きさを示しても良い。
【符号の説明】
【0120】
100 気流計測システム、200 センサ、210 気流センサ、220 本体部、300 通信端末、400 情報処理装置、410 情報取得部、420 データ収集部、430 気流推定部、440 表示データ生成部、450 出力部、460 記憶部、500 端末装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12