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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】管状治療具用骨格及び管状治療具
(51)【国際特許分類】
   A61F 2/07 20130101AFI20240116BHJP
【FI】
A61F2/07
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020556188
(86)(22)【出願日】2019-11-15
(86)【国際出願番号】 JP2019044809
(87)【国際公開番号】W WO2020101009
(87)【国際公開日】2020-05-22
【審査請求日】2022-10-17
(31)【優先権主張番号】P 2018215722
(32)【優先日】2018-11-16
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000200035
【氏名又は名称】SBカワスミ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉森 崇志
【審査官】木村 立人
(56)【参考文献】
【文献】特開昭63-230158(JP,A)
【文献】特開平4-256759(JP,A)
【文献】特開平6-86827(JP,A)
【文献】特表平7-508199(JP,A)
【文献】特開平10-99449(JP,A)
【文献】特表2002-500920(JP,A)
【文献】特表2002-521088(JP,A)
【文献】米国特許第10076433(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61F 2/07
A61F 2/82 ― 2/945
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筒形をなすように形状記憶された線状部材からなる管状治療具用骨格であって、
前記線状部材を軸方向に屈曲し、周方向に折り返す複数の屈曲部を有し、
前記複数の屈曲部のうちの2つの第1屈曲部は、前記周方向に離間し、前記筒形の第1母線を挟んで近接して配置され、
前記複数の屈曲部のうちの2つの第2屈曲部は、前記周方向に離間し、前記筒形の第2母線を挟んで近接して配置されており、
前記第1屈曲部の離間部分と、前記第2屈曲部の離間部分とは、径方向に対向しており、
前記第1母線及び前記第2母線を通る平面によって第1骨格部及び第2骨格部に区画した場合、前記第1骨格部及び前記第2骨格部には、それぞれ、前記軸方向の一方から他方に向かって前記第1屈曲部及び前記第2屈曲部が交互に形成されており、
前記2つの第1屈曲部は、前記第1骨格部及び前記第2骨格部のうち、一方の骨格部にて前記軸方向に隣り合う前記第1屈曲部どうしの間に他方の骨格部の前記第1屈曲部が位置するように、軸方向にずれて配置され、
前記2つの第2屈曲部は、前記第1骨格部及び前記第2骨格部のうち、一方の骨格部にて前記軸方向に隣り合う前記第2屈曲部どうしの間に他方の骨格部の前記第2屈曲部が位置するように、軸方向にずれて配置されている、
管状治療具用骨格。
【請求項2】
前記2つの第1屈曲部及び前記2つの第2屈曲部の離間部分は、それぞれ、前記軸方向に並んでいる、請求項1に記載の管状治療具用骨格。
【請求項3】
前記線状部材は、つづら折り形状に形成されており、
前記複数の屈曲部のうちの前記軸方向の端部に位置しない中央側の屈曲部であって、
前記2つの第1屈曲部のうち、前記軸方向の一方側に配置されている一の第1屈曲部は、前記軸方向の他方側に配置されている他の第1屈曲部の前記軸方向の一方側に連結されている前記第2屈曲部と、前記軸方向の位置が等しく、且つ、前記他の第1屈曲部は、前記一の第1屈曲部の前記軸方向の他方側に連結されている前記第2屈曲部と、前記軸方向の位置が等しい、
請求項1に記載の管状治療具用骨格。
【請求項4】
前記複数の屈曲部のうちの前記周方向に隣り合う前記第1屈曲部と前記第2屈曲部とを連結する複数の円弧部を有し、
前記複数の円弧部は、前記軸方向に並べて配置され、長さが等しい、請求項1から3のいずれか一項に記載の管状治療具用骨格。
【請求項5】
管状の本体部と、前記本体部の周面から径方向外側に向けて突出する分枝部と、を有する管状治療具であって、
前記分枝部は、皮膜部と、前記皮膜部に固定される骨格部と、を有し、
前記骨格部は、筒形をなすように形状記憶された線状部材からなり、前記線状部材を前記分枝部の軸方向に屈曲し、周方向に折り返す複数の屈曲部を有し、
前記複数の屈曲部のうちの2つの第1屈曲部は、前記周方向に離間し、前記筒形の第1母線を挟んで近接して配置され、
前記複数の屈曲部のうちの2つの第2屈曲部は、前記周方向に離間し、前記筒形の第2母線を挟んで近接して配置されており、
前記第1屈曲部の離間部分と、前記第2屈曲部の離間部分とは、径方向に対向しており、
前記第1母線及び前記第2母線を通る平面によって第1骨格部及び第2骨格部に区画した場合、前記第1骨格部及び前記第2骨格部には、それぞれ、前記軸方向の一方から他方に向かって前記第1屈曲部及び前記第2屈曲部が交互に形成されており、
前記2つの第1屈曲部は、前記第1骨格部及び前記第2骨格部のうち、一方の骨格部にて前記軸方向に隣り合う前記第1屈曲部どうしの間に他方の骨格部の前記第1屈曲部が位置するように、軸方向にずれて配置され、
前記2つの第2屈曲部は、前記第1骨格部及び前記第2骨格部のうち、一方の骨格部にて前記軸方向に隣り合う前記第2屈曲部どうしの間に他方の骨格部の前記第2屈曲部が位置するように、軸方向にずれて配置されており、
2つの前記離間部分の対向方向は、前記管状治療具の軸方向と一致している、
管状治療具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、管状治療具用骨格及び管状治療具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、大動脈に生じた大動脈瘤や大動脈解離などの治療に用いられる管状治療具として、分枝血管対応型のステントグラフトが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。特許文献1、2には、管状の本体部(本体107)と、本体部の周面から突出する分枝部(可動性外部結合部120)と、を有するステントグラフトが開示されている。
例えば、分枝血管対応型の主血管用ステントグラフトを主血管内に留置した状態で、分枝部に分枝血管用ステントグラフトを接続し、分枝血管内に分枝血管用ステントグラフトを留置することにより、主血管と分枝血管との血流の維持が図られる。
【0003】
分枝血管対応型のステントグラフトにおいては、シース内にステントグラフトを装填する際、分枝部が基準状態から分枝部の軸方向に圧縮されること、また、ステントグラフトをシースから放出する際、分枝部が圧縮状態から基準状態に復元して所定の形状を呈することが想定されている。特に、特許文献1、2では、分枝部の圧縮状態から基準状態への復元を補助するために、分枝部に骨格(特許文献1の環状支持ワイヤーフォーム140、特許文献2の結合部配備デバイス132)が配置されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特許第6131441号公報
【文献】特許第5824759号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、分枝部に配置される骨格の形状によっては、ステントグラフトを収縮してシース内に装填する際に、分枝部が捻れて圧縮されてしまい、シースへの装填が困難となる虞がある。また、分枝部が捻れた状態でステントグラフトがシースに装填された場合、分枝部の圧縮状態から基準状態への復元が適正に行われない虞がある。
【0006】
本発明の目的は、基準状態からの圧縮及び基準状態への復元を適正に行うことができ、シースへの装填作業及びシースからの放出作業を適正に行うことができる管状治療具用骨格及び管状治療具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る管状治療具用骨格は、
筒形をなすように形状記憶された線状部材からなる管状治療具用骨格であって、
前記線状部材を軸方向に屈曲し、周方向に折り返す複数の屈曲部を有し、
前記複数の屈曲部のうちの2つの第1屈曲部は、前記周方向に離間し、前記筒形の第1母線を挟んで近接して配置され、
前記複数の屈曲部のうちの2つの第2屈曲部は、前記周方向に離間し、前記筒形の第2母線を挟んで近接して配置されており、
前記第1屈曲部の離間部分と、前記第2屈曲部の離間部分とは、径方向に対向しており、
前記第1母線及び前記第2母線を通る平面によって第1骨格部及び第2骨格部に区画した場合、前記第1骨格部及び前記第2骨格部には、それぞれ、前記軸方向の一方から他方に向かって前記第1屈曲部及び前記第2屈曲部が交互に形成されており、
前記2つの第1屈曲部は、前記第1骨格部及び前記第2骨格部のうち、一方の骨格部にて前記軸方向に隣り合う前記第1屈曲部どうしの間に他方の骨格部の前記第1屈曲部が位置するように、軸方向にずれて配置され、
前記2つの第2屈曲部は、前記第1骨格部及び前記第2骨格部のうち、一方の骨格部にて前記軸方向に隣り合う前記第2屈曲部どうしの間に他方の骨格部の前記第2屈曲部が位置するように、軸方向にずれて配置されている
【0008】
本発明に係る管状治療具は、
管状の本体部と、前記本体部の周面から径方向外側に向けて突出する分枝部と、を有する管状治療具であって、
前記分枝部は、皮膜部と、前記皮膜部に固定される骨格部と、を有し、
前記骨格部は、筒形をなすように形状記憶された線状部材からなり、前記線状部材を前記分枝部の軸方向に屈曲し、周方向に折り返す複数の屈曲部を有し、
前記複数の屈曲部のうちの2つの第1屈曲部は、前記周方向に離間し、前記筒形の第1母線を挟んで近接して配置され、
前記複数の屈曲部のうちの2つの第2屈曲部は、前記周方向に離間し、前記筒形の第2母線を挟んで近接して配置されており、
前記第1屈曲部の離間部分と、前記第2屈曲部の離間部分とは、径方向に対向しており、
前記第1母線及び前記第2母線を通る平面によって第1骨格部及び第2骨格部に区画した場合、前記第1骨格部及び前記第2骨格部には、それぞれ、前記軸方向の一方から他方に向かって前記第1屈曲部及び前記第2屈曲部が交互に形成されており、
前記2つの第1屈曲部は、前記第1骨格部及び前記第2骨格部のうち、一方の骨格部にて前記軸方向に隣り合う前記第1屈曲部どうしの間に他方の骨格部の前記第1屈曲部が位置するように、軸方向にずれて配置され、
前記2つの第2屈曲部は、前記第1骨格部及び前記第2骨格部のうち、一方の骨格部にて前記軸方向に隣り合う前記第2屈曲部どうしの間に他方の骨格部の前記第2屈曲部が位置するように、軸方向にずれて配置されており、
2つの前記離間部分の対向方向は、前記管状治療具の軸方向と一致している。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、管状治療具用骨格、及び管状治療具の分枝部の骨格部は、基準状態からの圧縮及び基準状態への復元を適正に行うことができるので、管状治療具のシースへの装填作業及びシースからの放出作業を適正に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1A図1Bは、ステントグラフト留置装置の構成を示す図である。
図2図2A図2Bは、第1のステントグラフトの構成を示す図である。
図3図3A図3Bは、第1のステントグラフトの分枝部の構成を示す断面図である。
図4図4A図4Cは、分枝骨格部の構成を示す図である。
図5図5は、第1のステントグラフトがシースに装填された際の分枝骨格部の状態を示す図である。
図6図6A図6Bは、第1及び第2のステントグラフトを血管内に留置させた状態を示す図である。
図7図7A図7Bは、変形例に係る分枝骨格部の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明に係るステントグラフトの一実施の形態を、図面を参照して詳細に説明する。
本実施の形態では、本発明を適用した第1のステントグラフト10を主血管V1に留置するとともに、第1のステントグラフト10に第2のステントグラフト50を接続して分枝血管V2に留置する場合について説明する(図6A図6B参照)。
【0012】
図1A図1Bは、ステントグラフト留置装置1の構成を示す図である。図1Aは、ステントグラフト留置装置1を分解した状態を示し、図1Bは、ステントグラフト留置装置1を組み立てた状態を示す。なお、図1A図1Bでは、発明の理解を容易にするため、ステントグラフト留置装置1を構成する各部材の大きさ(長さ、径寸法など)や形状などを模式的に図示している。
【0013】
ステントグラフト留置装置1は、第1のステントグラフト10を血管内に留置させる際に使用される。図1A図1Bに示すように、ステントグラフト留置装置1は、管状のシース20、シース20の内側に配置されシース20の軸方向(長手方向)に沿ってシース20内を進退可能に構成されたインナーロッド30、及び、シース20内に径方向に拡張可能な状態で収容される第1のステントグラフト10を備える。
【0014】
シース20は、例えば、可撓性を有する材料で形成された管状のシース本体部21と、シース本体部21の基端側(図1A図1Bでは右側)に設けられ、インナーロッド30をシース本体部21に対して固定したり解除したりするためのハブ22と、を有する。
【0015】
インナーロッド30は、例えば、棒状のロッド本体部31と、このロッド本体部31よりも小径に形成され、収縮状態にある第1のステントグラフト10を保持する保持部32と、インナーロッド30の先端部(遠位端部)に設けられた先端チップ33と、を有する。
【0016】
なお、図示を省略するが、ロッド本体部31、保持部32及び先端チップ33には、例えば、ガイドワイヤーを通すためのガイドワイヤー用ルーメンや、収縮状態にある第1のステントグラフト10を患部で拡張させるためのトリガーワイヤーを通すためのトリガーワイヤー用ルーメン等が、インナーロッド30の軸方向に沿って形成されている。
また、ロッド本体部31、保持部32及び先端チップ33は、例えば、樹脂や金属等の適度な硬度及び柔軟性を有する種々の材料から形成されるが、ここでは詳細な説明は省略する。
【0017】
なお、詳細な説明は省略するが、第2のステントグラフト50を血管内に留置させる際に使用されるステントグラフト留置装置(図示略)は、上記したステントグラフト留置装置1と基本的な構成は同様であり、シース20やインナーロッド30等の各部材の寸法等が第2のステントグラフト50用に最適化されている。
【0018】
図2Aは第1のステントグラフト10の斜視図であり、図2Bは第1のステントグラフト10を分枝部10B側から見た平面図である。図3A図2BにおけるA-A断面図(分枝部10B側のみ)であり、図3B図2BにおけるB-B断面図(分枝部10B側のみ)である。
これらの図では、発明の理解を容易にするため、第1のステントグラフト10の拡張状態を模式的に示している。また、図3A図3Bでは、本体骨格部11を省略している。また、これらの図において、矢印D1は、第1のステントグラフト10の軸方向を示し(以下、「本体軸方向D1」と称する)、矢印D2は、分枝部10Bの軸方向(以下、「分枝軸方向D2」と称する)を示す。
【0019】
第1のステントグラフト10は、分枝血管対応型の主血管用ステントグラフトであり、主血管V1(図6A図6B参照)に留置される。図2A図2Bに示すように、第1のステントグラフト10は、管状の本体部10Aを有する。
【0020】
本体部10Aは、本体骨格部11と、本体骨格部11に沿って設けられた管状の本体皮膜部12とを有する。本体部10A(本体皮膜部12)の周面には、本体皮膜部12の内腔に通じる貫通孔(符号略)を有する分枝部10Bが設けられている。第1のステントグラフト10を主血管V1内に留置した状態で、分枝部10Bに第2のステントグラフト50を接続し、分枝血管V2内に第2のステントグラフト50を留置することにより、主血管V1と分枝血管V2との血流の維持が図られる(図6A図6B参照)。
【0021】
なお、本実施の形態では、第1のステントグラフト10が直管形状を有している場合を例示しているが、第1のステントグラフト10は、弓状に湾曲した形状(例えば、患者の大動脈弓の形状に対応した形状)を有していてもよいし、捻れるように迂曲した形状を有していてもよい。
【0022】
本体骨格部11は、径方向内側に収縮した収縮状態から、径方向外側に拡張して管状流路を画成する拡張状態へと変形可能に構成された自己拡張型のステント骨格である。本実施の形態では、本体骨格部11は、金属細線がジグザグ状に折り返されて管状に形成された5つの骨格片で構成されており、それぞれの内腔が連通するように骨格片が並設されることにより、全体として管形状を呈している。なお、隣接する骨格片同士は、連結部材で連結されてもよい。
【0023】
本体骨格部11を形成する金属細線の材料としては、例えば、ステンレス鋼、ニッケル-チタン合金、コバルト-クロム合金、チタン合金等に代表される公知の金属又は金属合金が挙げられる。なお、本体骨格部11は、金属以外の材料(例えば、セラミックや樹脂等)で形成されてもよい。
【0024】
本体皮膜部12は、本体骨格部11に沿って、本体骨格部11を覆うように配置され、上述した管状流路を画成する。本体皮膜部12を形成する材料としては、例えば、PTFE(ポリテトラフルオロエチレン)等のフッ素樹脂、ポリエチレンテレフタレート等のポリエステル樹脂等が挙げられる。本体皮膜部12は、例えば、糸による縫合、テープによる貼着、接着又は溶着等により、本体骨格部11に固定される。
なお、本体皮膜部12は、本体骨格部11の外周側に配置されてもよいし、本体骨格部11の内周側に配置されてもよいし、本体骨格部11を外周側と内周側から挟み込むように配置されてもよい。
【0025】
本体皮膜部12は、管壁の一部(図2A図2Bでは、本体軸方向D1における略中央)に、径方向内側に窪んだ凹部13を有している。凹部13の平坦な底面の略中央に、本体部10Aの径方向(分枝軸方向D2)において外側に突出するように分枝部10Bが形成されている。
【0026】
分枝部10Bは、筒形状を有し、第2のステントグラフト50(図6A図6B参照)が接続される接続部として機能する。分枝部10Bの筒形状は、円筒形状であってもよいし、先端側に向けて縮径するテーパー形状(円錐台形状)であってもよいし、角筒形状であってもよい。本実施の形態では、分枝部10Bが円筒形状を有する場合について示す。分枝部10Bは、例えば、主血管V1から分枝血管V2への血流によって、開口(符号略)の向きが変形可能な程度の柔軟性(フレキシビリティ)を有する。
【0027】
分枝部10Bは、本体皮膜部12と一体的に形成される分枝皮膜部15を有する。分枝皮膜部15は、例えば、本体皮膜部12と同じ材料で形成され、本体皮膜部12とともに一部材で構成される。なお、分枝皮膜部15は、本体皮膜部12とは別部材で構成され、本体皮膜部12に接合して形成されてもよい。この場合、分枝皮膜部15は、本体皮膜部12と同じ材料で形成されてもよいし、異なる材料で形成されてもよい。
【0028】
さらに、本実施の形態では、分枝部10Bの基準状態からの圧縮、及び、圧縮状態から基準状態への復元を補助するために、分枝皮膜部15の周面に、分枝骨格部14が設けられている。「基準状態」とは、本体部10Aから分枝部10Bが突出して所定の形状(ここでは、円筒形状)を呈する状態であり、「圧縮状態」とは、第1のステントグラフト10をシース20内に装填する際に、主に分枝軸方向D2に圧縮された状態である。この分枝骨格部14に、本発明の管状治療具用骨格が適用されている。
【0029】
分枝骨格部14の一例を図4A図4Cに示す。図4Aは基準状態における分枝骨格部14を示す斜視図、図4Bは圧縮状態における分枝骨格部14を示す斜視図、図4Cは、基準状態における分枝骨格部14(図4A参照)を外形が円筒形状と想定した場合の母線L1で周方向に切り開いた展開図である。図4A図4Cにおいて、参照符号L1、L2は、分枝骨格部14の周面を形成する母線を示し、母線L1、L2は、分枝骨格部14の径方向に対向している。
【0030】
図4A図4Cに示すように、分枝骨格部14は、線状部材で構成され、全体として筒形状を呈する。分枝骨格部14は、2本の母線L1、L2を通る平面、すなわち、分枝骨格部14の中心軸を通る平面によって、第1骨格部141と第2骨格部142に区画される。
【0031】
分枝骨格部14は、基準状態(図4A参照)と圧縮状態(図4B参照)の間で変形可能に構成された自己拡張型のステント骨格である。分枝骨格部14は、例えば、本体骨格部11と同様の形状記憶材料で形成される。
なお、分枝骨格部14は、1本の線状部材で構成されてもよいし、複数本の線状部材をかしめ等により連結して構成されてもよい。また、分枝骨格部14は、複数本の線状部材を、それぞれ独立して分枝皮膜部15に固定して、全体として筒形状を呈するようにしてもよい。本実施の形態では、分枝骨格部14が一本の線状部材で構成され、端部同士がかしめ(図示略)により連結されている場合について示す。
【0032】
分枝骨格部14は、周方向に延在する円弧部A11~A15、A21~A25を有する。円弧部A11~A15、A21~A25は、それぞれ、軸方向に並べて配置されている。分枝骨格部14の円筒形状は、主に円弧部A11~A15、A21~A25によって規定される。
第1骨格部141において、軸方向に隣り合う円弧部A11とA12、A12とA13、A13とA14、A14とA15は、それぞれ、分枝軸方向D2に屈曲する屈曲部B11~B14によって連結されている。また、第2骨格部142において、軸方向に隣り合う円弧部A21とA22、A22とA23、A23とA24、A24とA25は、それぞれ、分枝軸方向D2に屈曲する屈曲部B21~B24によって連結されている。
すなわち、第1骨格部141及び第2骨格部142は、それぞれ、周方向に折り返されつつ、分枝軸方向D2に延びるつづら折り形状を有している。つづら折り形状を有する1つの部材で分枝骨格部14を構成することにより、分枝骨格部14は全体的に安定して変形する。したがって、第1のステントグラフト10をシース20に装填する際の分枝骨格部14の圧縮、及び第1のステントグラフト10をシース20から放出する際の分枝骨格部14の復元がより適切に行われる。
【0033】
円弧部A11~A15、A21~A25は、略半円形状を有しており、それぞれの長さは同じに設定されている。これにより、分枝骨格部14を分枝軸方向D2に圧縮したときに、円弧部A11~A15、A21~A25は、それぞれ整列するので(図2B参照)、分枝骨格部14の基準状態からの圧縮及び基準状態への復元が適正に行われる。したがって、第1のステントグラフト10をシース20に装填する際、分枝部10Bがきれいに折り畳まれるので、第1のステントグラフト10のシース20への装填作業及びシース20からの放出作業を適正に行うことができる。
言い替えると、円弧部A11~A15、A21~A25の長さが異なっている場合、分枝軸方向D2に圧縮したときに円弧部A11~A15、A21~A25が不揃いとなるため、第1のステントグラフト10をシース20に装填する際、分枝部10Bが捻れて折り畳まれてしまい、第1のステントグラフト10の装填作業及び放出作業が困難となるが、本実施の形態では、このような不具合を解消することができる。
【0034】
屈曲部B11~B14、B21~B24は、分枝骨格部14を構成する線状部材を分枝軸方向D2に屈曲し、周方向に折り返す。屈曲部B11~B14は、母線L1、L2を通る平面に対して一方側(図4A図4Cでは右側)に位置し、屈曲部B12~B24は、母線L1、L2を通る平面に対して他方側(図4A図4Cでは左側)に位置する。
2つの屈曲部B11とB21、B13とB23は、円筒形状の母線L1を挟んで近接して配置されており、屈曲部B12とB22、B14とB24は、筒形状の母線L2を挟んで近接して配置されている。つまり、分枝骨格部14は、母線L1、L2に対応する部分において、周方向に離間しており、線状部材が配置されていない(円筒形状の上面及び下面を除く)。
【0035】
そして、母線L1に沿って配置された屈曲部B21、B11、B23、B13で形成される離間部分と、母線L2に沿って配置された屈曲部B22、B12、B24、B14で形成される離間部分とは、分枝骨格部14の中心軸を挟んで径方向に対向して配置されている。すなわち、分枝骨格部14において、2つの屈曲部は、周方向に離間して配置され、この離間部分(母線L1又はL2に沿う部分)は、径方向に対向している。より具体的には、分枝骨格部14は、周方向に離間して配置された屈曲部で形成される離間部分を2つ有し、この2つの離間部分は、径方向に対向している。
【0036】
また、母線L1に関して、屈曲部B21、B11で形成される離間部分と、屈曲部B23、B13で形成される離間部分とは、分枝軸方向D2に並んで配置されている。同様に、母線L2に関して、屈曲部B22、B12で形成される離間部分と、屈曲部B24、B14で形成される離間部分とは、分枝軸方向D2に並んで配置されている。すなわち、分枝骨格部14において、2つの屈曲部は、周方向に離間して配置され、この離間部分(例えば、母線L1に関して、屈曲部B11、B21で形成される離間部分と屈曲部B13、B23で形成される離間部分)は、軸方向に並んでいる。より具体的には、分枝骨格部14は、周方向に離間して配置された2つの屈曲部で形成される離間部分を複数有し、この複数の離間部分は、軸方向に並んでいる。
【0037】
これにより、分枝部10Bにおいて、分枝骨格部14の離間部分(母線L1、L2に対応する部分)に径方向の力が作用しても、この力は分枝骨格部14には直接的に作用せず、分枝皮膜部15のみを変形させる。分枝骨格部14は、分枝皮膜部15の変形に追従して変形するだけであり、分枝軸方向D2に直交する面で切断したときの平面形状は安定する。
すなわち、分枝骨格部14の離間部分が、本体軸方向D1と一致するように、分枝骨格部14を配置することにより、第1のステントグラフト10をシース20に装填する際、本体軸方向D1の力が作用しても、分枝骨格部14は安定して変形し、分枝部10Bが過度に捻れることはなくなる。したがって、第1のステントグラフト10のシース20への装填作業を適正に行うことができ、また、第1のステントグラフト10のシース20からの放出作業も適切に行うことができる。
【0038】
加えて、屈曲部B11~B14、B21~B24は、分枝軸方向D2に屈曲しているので、分枝部10Bが圧縮状態から基準状態に復元する際、分枝軸方向D2において大きな復元力を発揮する。また、分枝骨格部14は、周方向に離間して配置された2つの屈曲部で形成される離間部分を複数有し、この複数の離間部分が分枝軸方向D2に並んでいるので、より大きな復元力を発揮することができる。これにより、第1のステントグラフト10がシース20から放出される際、圧縮されている分枝部10Bが分枝軸方向D2に立ち上がりやすくなるので、第1のステントグラフト10の放出作業を適切に行うことができる。
【0039】
なお、実際には、第1のステントグラフト10をシース20に装填する際、分枝部10Bには、本体軸方向D1に伸長する力ととともに、本体軸方向D1に直交する方向(分枝部10Bの径方向)に圧縮する力が作用するため、分枝軸方向D2の中間に配置されている円弧部A12~A14、A22~A24(円筒形状の上面及び下面を形成する円弧部A11、A15、A21、A25を除く円弧部)は、図5に示すように、交差した状態となり、分枝皮膜部15が少なからず捻れる。図5は、第1のステントグラフト10をシース20内に装填するときの分枝骨格部14を、分枝軸方向D2の先端側から見た平面図である。
【0040】
本実施の形態では、母線L1に沿って配置された屈曲部B21、B11、B23、B13及び母線L2に沿って配置された屈曲部B22、B12、B24、B14は、それぞれ、先端側から順に分枝軸方向D2にずれて配置されている。すなわち、母線L1又はL2を挟んで近接して配置されている屈曲部(例えば、屈曲部B12とB22)は、軸方向にずれている。
これにより、第1のステントグラフト10をシース20に装填する際、近接する屈曲部同士(例えば、屈曲部B21とB11)は干渉しないので、分枝皮膜部15に過度な捻れは生じにくく、分枝部10Bをきれいに折り畳むことができる。したがって、第1のステントグラフト10をシース20内にスムーズに装填することができる。
【0041】
図6A図6Bは、第1のステントグラフト10及び第2のステントグラフト50を血管内に留置させる方法を示す図である。図6A図6Bでは、第1のステントグラフト10を主血管V1の病変部位(例えば、大動脈瘤等が生じている部位)に留置するとともに、第2のステントグラフト50を病変部位の近傍において主血管V1から分枝する分枝血管V2に留置する場合について示している。第1のステントグラフト10の分枝部10Bに、第2のステントグラフト50が接続される。
【0042】
なお、第2のステントグラフト50の拡張状態における外径は、第1のステントグラフト10の分枝部10Bの内径と同等以上である。また、第2のステントグラフト50の構成は、分枝部10Bを具備しない点を除いて、第1のステントグラフト10と概略同様であるので、説明を省略する。
【0043】
第1のステントグラフト10及び第2のステントグラフト50を血管内に留置する場合、例えば、予め血管に挿通されたガイドワイヤーに沿ってステントグラフト留置装置1を血管内に導入し、先端部を所定の病変部位まで送達する。この状態でシース20を引き抜くことにより、第1のステントグラフト10をシース20から放出する。放出された第1のステントグラフト10は、自己拡張力により拡張し、主血管V1に密着して留置される(図6A参照)。このとき、第1のステントグラフト10のシース20からの放出に伴い、分枝部10Bに配置されている分枝骨格部14が拡張し、元の状態に戻る。分枝骨格部14が有する屈曲部B11~B14、B21~B24の作用により、分枝部10Bは、分枝軸方向D2に沿ってきれいに立ち上がる。また、円弧部A11~A15、A21~A25の作用により、分枝部10Bの平面形状は、円形状に戻る。したがって、分枝部10Bは、圧縮状態から基準状態へと適切に復元され、円筒形状を呈する。
【0044】
その後、例えば、第2のステントグラフト50を留置するためのガイドワイヤーを、分枝血管V2から第1のステントグラフト10の分枝部10Bの貫通孔を通してステントグラフト挿入部位(例えば、鼠径部)から引き出す。このガイドワイヤーに沿って、第2のステントグラフト50用のステントグラフト留置装置を血管内に導入し、先端部を第1のステントグラフト10の内部を通って分枝血管V2の所定の部位まで送達する。第1のステントグラフト10の分枝部10Bと第2のステントグラフト50が重複するように位置決めし、この状態でシース20を引き抜くことにより、第2のステントグラフト50をシース20から放出する。放出された第2のステントグラフト50は、自己拡張力により拡張し、分枝血管V2に密着して留置される(図6B参照)。
これにより、重複部分において、第1のステントグラフト10(分枝部10B)の内周面と第2のステントグラフト50の外周面が密着し、第1のステントグラフト10と第2のステントグラフト50が接続される。
なお、第2のステントグラフト50は、分枝血管V2を通って移送され、第1のステントグラフト10の分枝部10Bに内挿されてもよい。
【0045】
このように、本実施の形態に係る第1のステントグラフト10(管状治療具)は、管状の本体部10Aと、本体部10Aの周面から径方向外側に向けて突出する分枝部10Bと、を有する。分枝部10Bは、分枝皮膜部15(皮膜部)と、分枝皮膜部15に固定される分枝骨格部14(骨格部)と、を有する。分枝骨格部14は、筒形をなすように形状記憶された線状部材からなり、線状部材を分枝部10Bの軸方向に屈曲し、周方向に折り返す複数の屈曲部B11~B14、B21~B24を有する。複数の屈曲部B11~B15、B21~B25のうちの2つは、筒形の母線L1又はL2を挟んで近接して配置されている。
【0046】
これにより、例えば、第1のステントグラフト10のシース20への装填作業やシース20からの放出作業の際に、分枝骨格部14の離間部分(母線L1、L2に対応する部分)に径方向の力が作用しても、この力は分枝骨格部14には直接的に作用せず、当該分枝骨格部14の離間部分に逃がすことができる。例えば、分枝骨格部14の離間部分に径方向に作用する力は、分枝骨格部14の離間部分に対応する分枝皮膜部15に伝わり、分枝皮膜部15のみを変形させることとなる。
また、分枝骨格部14において、屈曲部B11~B14、B21~B24は、分枝軸方向D2に屈曲しているので、圧縮状態から基準状態に復元する際、分枝軸方向D2において大きな復元力を発揮する。これにより、第1のステントグラフト10がシース20から放出される際、圧縮されている分枝部10Bが分枝軸方向D2に立ち上がりやすくなるので、第1のステントグラフト10の放出作業を適切に行うことができる。
すなわち、分枝骨格部14は、平面形状が大きく崩れることなく、基準状態から適正に圧縮することができるとともに、圧縮状態から基準状態に適正に復元することができる。したがって、第1のステントグラフト10のシース20への装填作業を適正に行うことができるとともに、第1のステントグラフト10のシース20からの放出作業も適切に行うことができる。
【0047】
また、分枝骨格部14において、2つの屈曲部は、周方向に離間して配置され、この離間部分(母線L1又はL2に沿う部分)は、径方向(本体軸方向D1)に対向している。
また、分枝骨格部14において、2つの屈曲部は、周方向に離間して配置され、この離間部分(例えば、母線L1に関して、屈曲部B11、B21で形成される離間部分と屈曲部B13、B23で形成される離間部分)は、分枝軸方向D2に沿って並んでいる。
また、分枝骨格部14において、近接する2つの屈曲部(例えば、屈曲部B11とB21)は、分枝軸方向D2にずれている。
また、分枝骨格部14において、線状部材は、つづら折り形状に形成されている。
【0048】
また、第1のステントグラフト10(管状治療具)は、管状の本体部10Aと、本体部10Aの周面から径方向外側に向けて突出する分枝部10Bと、を有する。分枝部10Bは、分枝皮膜部15(皮膜部)と、分枝皮膜部15に固定される分枝骨格部14(骨格部)と、を有する。分枝骨格部14は、筒形をなすように形状記憶された線状部材からなり、線状部材を軸方向に並べて配置される複数の円弧部A11~A15、A21~A25を有し、複数の円弧部A11~A15、A21~A25のうち、軸方向に隣り合うもの同士は、周方向に折り返して連結され、長さが等しい。
これにより、分枝骨格部14を分枝軸方向D2に圧縮したときに、円弧部A11~A15、A21~A25は、それぞれ整列するので、分枝骨格部14の基準状態からの圧縮及び基準状態への復元を適正に行うことができる。したがって、第1のステントグラフト10をシース20に装填する際、分枝部10Bがきれいに折り畳まれるので、第1のステントグラフト10のシース20への装填作業及びシース20からの放出作業をより適正に行うことができる。
【0049】
以上、本発明者によってなされた発明を実施の形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0050】
例えば、実施の形態では、分枝骨格部14において、近接する2つの屈曲部が、軸方向にずれている場合について示したが、図7A図7Bに示すように、近接する2つの屈曲部(例えば、屈曲部B11とB21)は、周方向に対向していてもよい。この場合、第1骨格部141と第2骨格部142が対称構造となるので、分枝骨格部14の設計及び製造を容易化することができる。
【0051】
また例えば、分枝骨格部14に設けられる屈曲部及び円弧部の数は、分枝部10Bの高さや要求される復元力に応じて、適宜変更することができる。また、分枝骨格部14は、2つの屈曲部で形成される離間部分が、1つの母線のみに沿って配置されるようにしてもよい。例えば、円弧部を略円形状として、分枝軸方向D2につづら折り形状に形成することにより、2つの屈曲部で形成される離間部分を、1つの母線のみに沿って配置することができる。
【0052】
また、実施の形態では、第1のステントグラフト10が凹部13を有し、凹部13に1つの分枝部10Bが配置される形態について説明したが、一例であってこれに限られるものではない。例えば、第1のステントグラフト10が凹部13を有するか否かは適宜任意に変更可能であり、分枝部10Bは本体部10Aに対して複数設けられてもよい。
【0053】
また、図4A~4Cに示すように、分枝骨格部14は、筒形をなすように形状記憶された線状部材からなり、線状部材を分枝部10Bの軸方向に屈曲し、周方向に折り返す複数の屈曲部B11~B14、B21~B24を有し、複数の屈曲部B11~B14、B21~B24のうちの2つは、筒形の母線L1又はL2を挟んで近接して配置されていればよく、必ずしも複数の円弧部A11~A15、A21~A25を具備する必要はない。
同様に、分枝骨格部14は、筒形をなすように形状記憶された線状部材からなり、軸方向に並べて配置される複数の円弧部A11~A15、A21~A25を有し、複数の円弧部A11~A15、A21~A25のうち、軸方向に隣り合うもの同士は、周方向に折り返して連結され、長さが等しければよく、必ずしも複数の屈曲部B11~B14、B21~B24を具備する必要はない。
【0054】
さらに、実施の形態では、管状組織の一例として血管に留置されるステントグラフトについて説明したが、本発明は、血管以外の管状組織、例えば、胆管と十二指腸との分枝部分等に留置される管状治療具及び当該管状治療具の分枝部に配置される分枝骨格部(管状治療具用骨格)に適用することもできる。
また、本発明に係る管状治療具用骨格は、分枝部に設けられるような補助骨格部ではなく、管状治療具自体に適用してもよい。例えば、シースの延在方向に直交する方向に圧縮されてシースに装填される管状治療具に適用することができる。
【0055】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【0056】
2018年11月16日出願の特願2018-215722の日本出願に含まれる明細書、図面および要約書の開示内容は、すべて本願に援用される。
【符号の説明】
【0057】
1 ステントグラフト留置装置
10 第1のステントグラフト
10A 本体部
10B 分枝部
11 本体骨格部
12 本体皮膜部
13 凹部
14 分枝骨格部(管状治療具用骨格)
141 第1骨格部
142 第2骨格部
15 分枝皮膜部
50 第2のステントグラフト
V1 主血管
V2 分枝血管
A11~A16、A21~A26 円弧部
B11~B15、B21~B25 屈曲部
L1、L2 分枝骨格部の母線
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7