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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】LIDAR振動信号のマルチビーム処理
(51)【国際特許分類】
   G01S 17/34 20200101AFI20240116BHJP
   G01S 17/66 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
G01S17/34
G01S17/66
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2021555494
(86)(22)【出願日】2020-03-11
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-05-26
(86)【国際出願番号】 US2020022176
(87)【国際公開番号】W WO2020190596
(87)【国際公開日】2020-09-24
【審査請求日】2023-03-03
(31)【優先権主張番号】62/819,332
(32)【優先日】2019-03-15
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】16/814,673
(32)【優先日】2020-03-10
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516181066
【氏名又は名称】ディーエスシージー ソルーションズ,インコーポレイテッド
(74)【代理人】
【識別番号】100097456
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 徹
(72)【発明者】
【氏名】リチャード セバスティアン
(72)【発明者】
【氏名】ウィリアム サイモンズ
【審査官】飯村 悠斗
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2018/0252813(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2010/0089160(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2011/0116074(US,A1)
【文献】特開2016-151541(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01S 7/48- 7/51
G01S 17/00-17/95
G01H 1/00-17/00
G01P 1/00- 3/80
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体の表面上の振動速度場を決定するように構成されたコンピュータの処理回路によって、該表面から反射された複数のビームを受信するステップであって、該複数のビームのそれぞれが、経時的にそれぞれの振動速度値を生成する、該ステップ;
該処理回路によって、該複数のビームに対して類似グルーピング操作を実行し、該複数のビームのビームグループを生成するステップであって、該ビームグループの少なくとも1対のビームが、実質的に同じ振動速度値を生成し、該ビームグループは、異常振動速度値を生成する異常値ビームを含む、該ステップ;
該処理回路によって、該異常値ビームに対して正規化操作を実行し、正規化されたビームグループを生成するステップであって、該正規化操作が、該少なくとも1対のビームによって生成される振動速度値に基づいて行われる、該ステップ;及び
該処理回路によって、該正規化されたビームグループに対してビーム結合操作を実行し、該ビームグループのそれぞれについて新たな振動速度値を生成するステップであって、該新たな振動速度値が、該複数のビームのそれぞれによって生成される該振動速度値よりも正確である、該ステップ、を含む方法。
【請求項2】
前記類似グルーピング操作を実行するステップは、振動速度値を生成する前記ビームグループの1対のビームを、該1対のビームの第2のビームによって生成される振動速度値が、該1対のビームの第1のビームによって生成される振動速度値に応じて増加および減少するように定めるステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記正規化操作を実行するステップは、前記ビームグループの1つのビームによって生成される第1の振動速度値を第2の振動速度値に置き換えるステップであって、該第2の振動速度値が、該ビームグループの他のビームによって生成される振動速度値に基づいている、該ステップを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の振動速度値が、異常振動速度値である、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記正規化操作を実行するステップは、前記第2の振動速度値として、前記他のビームによって生成される前記振動速度値の中央値を生成するステップを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項6】
前記正規化操作を実行するステップは、前記第2の振動速度値として、前記ビームグループの前記他のビームによって生成される前記振動速度値のパーセンタイルで振動速度値を生成するステップを含む、請求項3に記載の方法。
【請求項7】
前記パーセンタイルは、前記ビームグループの前記他のビームによって生成される前記振動速度値のノイズの増加に伴って減少する、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
非一時的な記憶媒体を含むコンピュータプログラム製品であって、該コンピュータプログラム製品は、物体の表面上の振動速度場を決定するように構成されたコンピュータの処理回路によって実行されたときに、該コンピュータに方法を実行させるコードを含み、
該方法は、
該表面から反射された複数のビームを受信するステップであって、該複数のビームのそれぞれが、経時的にそれぞれの振動速度値を生成する、該ステップ;
該複数のビームに対して類似グルーピング操作を実行し、該複数のビームのビームグループを生成するステップであって、該ビームグループの少なくとも1対のビームは、実質的に同じ振動速度値を生成し、該ビームグループは、異常振動速度値を生成する異常値ビームを含む、該ステップ;
該異常値ビームに対して正規化操作を実行し、正規化されたビームグループを生成するステップであって、該正規化操作は、該少なくとも1対のビームによって生成される該振動速度値に基づいて行われる、該ステップ;及び
該正規化されたビームグループに対してビーム結合操作を実行し、該ビームグループのそれぞれについて新たな振動速度値を生成するステップであって、該新たな振動速度値が、該複数のビームのそれぞれによって生成された該振動速度値よりも正確である、該ステップ、を含む、前記コンピュータプログラム製品。
【請求項9】
前記類似グルーピング操作を実行するステップは、前記ビームグループの1対のビームの第2のビームによって生成される振動速度値が、該1対のビームの第1のビームによって生成される振動速度値と一致するようにリスケーリングするステップを含む、請求項8に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項10】
前記ビーム結合操作を実行するステップは、前記正規化操作を実行後、前記1対のビームの前記第2のビームに対してアンスケーリング操作を行い、前記第2のビームによって生成される前記振動速度値を回復するステップを含む、請求項9に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項11】
前記類似グルーピング操作を実行するステップは、前記複数のビームの第1のビームと該複数のビームの第2のビームとの間の距離の中央値を生成するステップを含む、請求項8に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項12】
前記距離の中央値は、前記第1のビームと前記第2のビームによって生成される振動速度値の差の絶対値の中央値を含む、請求項11に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項13】
前記類似グルーピング操作を実行するステップは、前記ビームグループの第2のビームに対してタイムシフト操作を行い、前記ビームグループの第1のビームから減少した距離の中央値を有する、タイムシフトされた第2のビームを生成するステップを含む、請求項8に記載のコンピュータプログラム製品。
【請求項14】
メモリ:及び
該メモリに結合された制御回路を備え、
該制御回路は、
表面から反射された複数のビームを受信するように構成され、該複数のビームのそれぞれが、経時的にそれぞれの振動速度値を生成し;
該複数のビームに対して類似グルーピング操作を実行し、該複数のビームのビームグループを生成するように構成され、該ビームグループの少なくとも1対のビームは、実質的に同じ振動速度値を生成し、該ビームグループは、異常振動速度値を生成する異常値ビームを含み;
該異常値ビームに対して正規化操作を実行し、正規化されたビームグループを生成するように構成され、該正規化操作は、該少なくとも1対のビームによって生成される該振動速度値に基づいて行われ;かつ
該正規化されたビームグループに対してビーム結合操作を実行し、該ビームグループのそれぞれについて新たな振動速度値を生成するように構成され、該新たな振動速度値が、該複数のビームのそれぞれによって生成された該振動速度値よりも正確である、電子機器。
【請求項15】
前記複数のビームのそれぞれは、そのビームの測定された位相に基づいて、経時的にそれぞれの振動速度値を生成する、請求項14に記載の電子機器。
【請求項16】
さらにレーザ光源を備え、
前記複数のビームのそれぞれの前記測定された位相は、該レーザ光源から放射された入射ビームの既知の位相挙動に基づいて推定される、請求項15に記載の電子機器。
【請求項17】
前記正規化操作を実行するように構成された前記制御回路は、前記ビームグループの1つのビームによって生成される第1の振動速度値を第2の振動速度値に置き換えるようにさらに構成され、該第2の振動速度値が、該ビームグループの他のビームによって生成される振動速度値に基づいている、請求項14に記載の電子機器。
【請求項18】
前記第1の振動速度値が、異常振動速度値である、請求項17に記載の電子機器。
【請求項19】
前記正規化操作を実行するように構成された前記制御回路は、前記第2の振動速度値として、前記他のビームによって生成された前記振動速度値の中央値を生成するようにさらに構成されている、請求項17に記載の電子機器。
【請求項20】
前記正規化操作を実行するように構成された前記制御回路は、前記第2の振動速度値として、前記ビームグループの前記他のビームによって生成された前記振動速度値のパーセンタイルで振動速度値を生成するようにさらに構成されている、請求項17に記載の電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本出願は、「LIDAR振動信号のマルチビーム処理(MULTI-BEAM PROCESSING OF LIDAR VIBRATION SIGNALS)」と題された2020年3月10日出願の米国特許出願第16/814,673号に基づく優先権を主張し、かつその継続出願であり、この米国出願は、「LIDAR振動信号のマルチビーム処理(MULTI-BEAM PROCESSING OF LIDAR VIBRATION SIGNALS)」と題された2019年3月15日出願の米国仮特許出願第62/819,332号に基づく優先権を主張し、その開示内容は参照によりその全体が本明細書に組み込まれる。
【0002】
本出願はまた、「LIDAR振動信号のマルチビーム処理(MULTI-BEAM PROCESSING OF LIDAR VIBRATION SIGNALS)」と題された2019年3月15日出願の米国仮特許出願第62/819,332号に基づく優先権も主張する。
【背景技術】
【0003】
(技術分野)
本記述は、光検出と測距(LIDAR)を使用して物体の振動をモニタリングするためのシステム及び方法に関する。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
(背景)
LIDARの中には、例えばFMCW(Frequency-Modulated, Continuous-Wave)LIDARのように、表面上の各点で距離と速度を測定できるものがある。さらに、マルチビームLIDARの中には、シングルビームLIDARを使用するものよりも頻繁にこのような距離や速度の測定を行うことができるものもある。マルチビームLIDARを用いて距離や速度を測定する従来の方法では、複数のビームのそれぞれからのデータを結合し、例えば複数のビームからの測定値を平均化して、距離や速度の推定値を算出していた。
【図面の簡単な説明】
【0005】
(図面の簡単な説明)
図1図1は、本明細書に記載の改良された技術を実施することができる電子環境内で例示的なLIDARシステムを例示するブロック図である。
【0006】
図2A図2Aは、図1に例示されている電子環境内で追跡される例示的な物体を例示する線図である。
【0007】
図2B図2Bは、図1に例示されている電子環境内で追跡される例示的な物体を例示する線図である。
【0008】
図2C図2Cは、図1に例示されている電子環境内で追跡される別の例示的な物体を例示する線図である。
【0009】
図2D図2Dは、図1に例示されている電子環境内で追跡される他の例示的な物体を例示する線図である。
【0010】
図2E図2Eは、図1に例示されている電子環境内でさらに追跡される他の例示的な物体を例示する線図である。
【0011】
図3図3は、図1に例示されている電子環境内で実行される例示的な方法を例示するフローチャートである。
【0012】
図4A図4Aは、図1に例示されている電子環境内で受信した類似の時系列の例示的なセットを例示する線図である。
【0013】
図4B図4Bは、図1に例示されている電子環境内で受信した時系列の例示的なスケーリングを例示する線図である。
【0014】
図4C図4Cは、図1に例示されている電子環境内で受信した時系列の例示的な正規化を例示する線図である。
【0015】
図5図5は、図1に示した電子環境内の振動速度値を決定する例示的な処理を例示するフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
(詳細な説明)
図1は、物体の運動の追跡が実施される例示的な電子環境100を例示する図である。電子環境100は、物体110上の振動速度場を測定するように構成されたLIDARシステム120を含む。
【0017】
物体110は、本明細書ではある未知の形状の剛体であると仮定する。いくつかの実施では、物体110は人間の顔である。いくつかの実施では、物体110は無生物である。物体110は、直線運動及び任意の軸を中心とする回転運動の両方の運動であると仮定する。図1に示される電子環境では、物体の姿勢に対して実質的に垂直に見える固有対称軸があることを理解されたい。
【0018】
さらに、物体110は、その動きが追跡されているときに振動を起こしている可能性があり、それに応じて、物体110の表面上に振動速度場が生成される。多くの場合、表面の少なくとも一部分の振動速度場を測定することが重要である。
【0019】
それにもかかわらず、マルチビームLIDARを使用して距離と速度の測定を行う上述の従来の方法は、表面の少なくとも一部分の振動速度場を測定するときに不正確な場合がある。例えば、表面が人間の顔である場合、複数のビームの一部は、髪の毛があるような非常に非平滑な領域の表面に入射する可能性がある。複数のビームの中には、表面を完全に外してしまうものもある。このようなビームは、振動速度の不連続性を示すことがあり、例えば、振動速度のスパイクやその他の異常値を有することがある。このような場合、従来の方法では、表面振動速度場の測定が不正確になる可能性がある。
【0020】
したがって、本明細書に記載されている改良された技術の主な目的は、指定された時間枠内で類似する振動速度値を有するビームを見つけ、指定された時間枠内で類似する振動速度値に基づいて、振動速度値の異常値を、所定の振動速度値に置き換えることである。有利には、振動速度値の異常値を類似するビームの振動速度値に基づいた値に置き換えることで、表面上の振動速度場のより正確なプロファイルが得られる。
【0021】
図1に示されているように、LIDARシステム120は、処理回路124、メモリ126、照明システム150、及び受信機システム160を含む単一統合ユニットである。いくつかの構成では、LIDARシステム120は、物体110に向けることができるハンドヘルドユニットの形態をとる。しかしながら、他の構成では、LIDARシステム120の構成要素は、異なるユニットに分散させてもよい(例えば、コンピューティング装置内にあってもよい処理回路124及びメモリ126は、照明システム150及び受信機システム160を含むハンドヘルド装置とは別個である)。
【0022】
処理回路124は、1つ以上の処理チップ及び/又はアセンブリを含む。メモリ126は、揮発性メモリ(例えば、RAM)、並びに1つ以上のROM、ディスクドライブ、及び半導体ドライブなどの不揮発性メモリの両方を含む。処理ユニット124とメモリ126のセットは、共に制御回路を形成し、この制御回路は、本明細書で説明される様々な方法及び機能を実行するように構成及び配置されている。
【0023】
いくつかの構成では、LIDARシステム120の1つ以上の構成要素は、メモリ126に格納された命令を処理するように構成されたプロセッサであってもよいし、又はこのようなプロセッサを含んでもよい。例えば、図1のメモリ126内に含まれるとして示されている、ビーム取得マネージャ130(及び/又はその一部)は、ビームグルーピングマネージャ140、ビーム正規化マネージャ140、及びビーム結合マネージャ174(及び/又はその一部)は、1つ以上の機能を実施するプロセスに関連した命令を実行するように構成されたプロセッサとメモリとの組み合わせとすることができる。
【0024】
ビーム取得マネージャ130は、物体の走査時に物体110から反射された電磁(EM)放射(例えば、レーザ光)のビームを受信する検出器180に応答して、ビームデータ132を生成するように構成されている。いくつかの構成では、ビームデータ132は、図1の座標系で定義されるz軸に沿ったオブジェクト110の位置データ(すなわち、(x,y)平面の外側で、xは水平として示され、yは垂直として示される)と、図1の座標系で定義される物体110の振動速度データと、を含む。
【0025】
ビームデータ132は、物体110から反射され、検出器180によって捕捉されたビームに関連する量を表す。図1に示すように、ビームデータ132は、ビーム識別子データ134およびビーム速度データ136を含む。また、図1には、ビームデータ132が評価される時間枠を定義する時間枠データ138が示されている。
【0026】
ビーム識別子データ134は、検出器180で受信した各ビームの識別子を表す。例えば、ビーム取得マネージャ130は、いくつかの実施では、検出器180で検出された各新しいビームに番号を割り当てるように構成されている。いくつかの実施では、ビームは識別子を有していない。
【0027】
ビーム速度データ136は、検出器180で受信した各ビームによって生成される振動速度値を、時間の関数として表す。振動速度値は、いくつかの実施では、表面112上のビーム点(例えば、192(1))における振動速度の大きさを表す。実用上の理由から、振動速度値は、所定のサンプルレート(例えば、8000Hz)で生成される。したがって、いくつかの実施では、ビームによって生成された振動速度値は、例えば、持続時間1/16秒の時間枠内の500個のサンプルで、振動速度値の時系列の形をとる。いくつかの実施では、振動速度値は、さらにビームの測定された位相に基づいている。測定された位相は、LIDARシステム120から放射された入射ビームの既知の位相挙動に基づいて推定されてもよい。
【0028】
LIDARシステム120は、時間枠138内のビームデータ132を解析する。例えば、サンプルレートが8000Hzで、時間枠138の継続時間が1/16秒の場合、各時間枠138には500個の時間サンプルが存在する。
【0029】
ビームグルーピングマネージャ140は、類似のビームのグループ、すなわち、時間枠138内の類似の振動速度挙動を有するビームを表す、ビームグループデータ142を生成するように構成される。振動速度挙動が似ているとは、グループ内のビームの振動速度が少なくとも時間的に追従していることを意味している。いくつかの実施では、ビームのグループは、すべてのビーム内で最小の距離となるビームペアを見つけることによって形成される。いくつかの実施では、距離は、時間枠138内の一時にそれぞれのビームによって生成された振動速度値の差の絶対値に基づいている。いくつかの実施では、距離は、時間枠138内の距離の中央絶対値に基づいている。いくつかの実施では、距離は、時間枠138内の距離の絶対値のパーセンタイルに基づいている。いくつかの実施では、パーセンタイル測定は、各ビームによって一時に生成されるそれぞれの速度をソートし、最小の振動速度値から何パーセントかの値を選択することで実行される。いくつかの実施では、使用されるパーセンタイルは、測定の難易度に基づいている(例えば、測定プロセスのノイズが増加するとパーセンタイルは減少し、その逆もある)。いくつかの実施では、測定状況が困難な場合に、50未満のパーセンタイルが使用されるため、時間枠138内の小さな共通の良質なセグメントのみを有する信号が使用される。いくつかの実施では、ペアリングが可能な限り正確になるように、測定状況が簡単な場合には、50より大きいパーセンタイルが使用される。いくつかの実施では、距離は、時間枠138内の一時における振動速度値の自乗差の絶対値に基づいている。
【0030】
いくつかの実施では、ビームグルーピングマネージャ140は、類似するビームのグループに属するように他のビームを選択するようにさらに構成される。いくつかの実施では、ビームグルーピングマネージャ140は、時間枠138内のグループ内に既に存在するビームと十分に高い類似性(例えば、距離)を有する他のビームをグループに追加する。
【0031】
いくつかの実施では、ビームグルーピングマネージャ140は、最も距離の小さいビームのペアが、時間枠138の振動速度値が実質的に同じとなるようなスケールファクタを求めるようにさらに構成される。いくつかの実施では、スケールファクタは、類似グループの各ビームによって生成された振動速度値に適用される。
【0032】
いくつかのビームでは、生成された振動速度値の少なくとも1つが異常値となる場合がある。例えば、表面112上でピックアップに適していない位置にあるビーム(例えば、モニタ対象の人の髪の毛に入射したビームや、表面112を外れたビーム)は、類似グループに選択されない。また、振動特性の異なる表面112の、モニタ領域から外れたビームは、別の類似グループに配置される。例えば、モニタされている人のチェック上にあるビームは、その人の首の上にあるビームとは異なる類似グループに配置されることがある。
【0033】
いくつかの実施では、異常値のビームを表す異常値ビームデータ144は、振動速度値のスパイク、すなわち異常値のビームによって生成される他の振動速度値の倍数(例えば、5倍、10倍、またはそれ以上)の振幅振動速度値の形態をとることがある。異常値は、異常値ビームのリスケーリング後、すなわち異常値ビームによって生成された振動速度値にスケールファクタを適用した後に測定される。いくつかの実施では、異常値はシングルビームベースで判断される。いくつかの実施では、異常値は類似グループ内の他のビームとの相対的な関係で判断される。
【0034】
ビーム正規化マネージャ170は、異常値ビームデータ144から異常値の振動速度値を適切な振動速度値に置き換えて、正規化ビームデータ172を生成するように構成されている。ビーム正規化マネージャ170は、類似グループのビームが生成する振動速度値がリスケールされた後に、異常値の振動速度値のこのような置き換えを行う。いくつかの実施では、ビーム正規化マネージャ170は、異常値のビームの振動速度値を、類似グループの振動速度値の中央値に置き換える。ビームによって生成される振動速度値は上述のようにスケーリングされているため、中央値が類似グループのあるビームから別のビームに移動しても、大きな不連続性は生じない。各ビームの中央値への寄与は、そのビームの異常値から(例えば、スペックルから)離れた領域に限定される。
【0035】
なお、異なる類似グループ内のビームの振動速度値は、スケーリングが異なり(例えば、異なるスケールファクタを有しており)、異なる中央値を有することがある。
【0036】
いくつかの実施では、異なる類似グループからの振動速度値が結合されてもよい。オーディオの振動信号では、脳が複数の成分の信号を扱うことに慣れているため、このような結合が有効である。ビーム結合マネージャ174は、複数のビームによって生成された振動速度値を結合して、新たな振動速度データ176を生成するように構成されている。いくつかの実施では、ビーム結合マネージャ174は、各類似グループ内のビームに対してアンスケーリング操作を行い、アンスケーリングされた振動速度値を生成する。異常値を有していないビームについては、アンスケーリング操作によって元の振動速度値が得られる。異常値を有しているビームについては、アンスケーリングによって、スケーリングされていない新たな振動速度値が得られる。いくつかの実施では、ビームグルーピングマネージャ140が、アンスケーリング操作を実行する。
【0037】
ビーム結合マネージャ174は、照明システム150のパラメータに基づいて、点192(1)、...、192(N)における振動速度の正確な時間連続値を表す、新たな振動速度データ176を生成する。 例えば、いくつかの実施では、レーザアレイ154がチャープビームを生成する場合、検出器180で検出されるビート周波数は以下の式で与えられる。
【数1】
ここで、Fjは時刻tkにおいてk番目の時間枠で検出されたj番目のビームのビート周波数、Rは往復の経路長又は距離、HZPMはチャープレート、LOは局部発振器の経路長、vは時刻tkにおける物体の速度、cは光の速度、F0はレーザアレイ154のレーザのキャリア周波数である。いくつかの実施では、各チャープに対して振動速度値が生成される。さらなる詳細は、「マルチビーム距離測定処理(MUTLIPLE BEAM RANGE MEASUREMENT PROCESS)」と題された2016年1月13日出願の米国特許出願第14/998,998に記載されており、その内容は参照によりその全体が組み込まれている。
【0038】
照明システム150は、物体110の表面112から反射される照明を生成するように構成及び配置されている。図1に示されているように、この照明は、z軸に沿って向けられた複数の放射線のビーム190(1)、...、190(N)の形態をとる。照明システム150は、レーザアレイ154を有する走査機構152、及びアパーチャ170を備える。
【0039】
走査/トラッキング機構152は、走査及び/又はトラッキング運動でレーザアレイ154を移動させるように構成及び配置されている。図1に示されているように、走査/トラッキング機構152は、レーザアレイ154内の各レーザを実質的にx方向及びy方向に沿って、すなわちビーム190(1)、...、190(N)の方向に対して直角に移動させるように構成されている。走査/トラッキング機構152は、全ての動きが1回の運動で行われるようにレーザアレイ154全体を移動させる。
【0040】
レーザアレイ154は、レーザ放射線、すなわち実質的にコヒーレントな準単色光のビーム(例えば、ビーム190(1)、...、190(N))のアレイを生成するように構成及び配置されている。多くの構成では、レーザアレイ154は、レーザの矩形アレイを含み、それぞれが、ある波長のレーザ放射線を生成する。矩形アレイ内の各レーザは、そのレーザによって生成されるビームが表面112から反射される、物体110の表面112上のサンプル点に対応する。いくつかの構成では、レーザアレイ154によって生成される各ビーム190(1)、...、190(N)の光の波長は1550nmである。この波長は、例えば人間の顔である物体に適しているという利点を有する。とはいえ、他の波長(例えば、1064nm、532nm)も同様に使用することができる。
【0041】
受信機システム160は、物体110の表面112から反射されるビームを受信し、この受信したビームから変位データセット140(1)、...、140(T)を生成するように構成及び配置されている。受信機システム160は、様々な公知の技術(例えば、ヘテロダイン検波)を使用してLIDARデータ142を生成することができ、これ以上は説明しない。受信機システムは、受信したビームを、受信機システム160がLIDARデータ142を生成することができる電気信号に変換するように構成及び配置された検出器180を含む。いくつかの構成では、検出器180は、光電子増倍管(PMT)又は電荷結合素子(CCD)のアレイを含む。
【0042】
図2A及び図2Bは、追跡システム120によって観察することができる(例えば、標的とする)例示的な物体210を例示している。物体210は、任意の形状を有することができるが、図2A及び2Bでは円として表されている。図2Aでは、時間T1において、物体210上の点220が、追跡システム120によって観察されている。時間T1において、点220は、(x、y)平面の(3、3)に位置する。図2Bに例示されているように、時間T2において、点220は、(x、y)平面の(4、3)に位置する。点の移動は、物体80の異なるタイプの運動の結果であり得る。例えば、物体220は、ある位置から別の位置に移動(並進運動)してもよいし、又は物体220は、(例えば、x-y平面のy軸に平行な軸を中心に)回転してもよい。
【0043】
図2C図2D、及び図2Eに示されているように、個人の頭又は顔290を、追跡システム120によって追跡又は観察することができる。具体的には、頭又は顔290の点又は位置292を観察することができる。図2Cに例示されているように、時間T1において、点292は、(x、y)平面の(3、2)に位置する。時間T2において、点292は、(4、2)にあることを観察することができる。点の移動は、異なるタイプの運動の結果であり得る。例えば、人又は個人は、図2Dに例示されているように、(例えば、y軸に平行な軸を中心に)頭を回転させてもよい。あるいは、人又は個人は、図2Eに例示されているように、(まったく回転しないで)頭を移動させてもよい。
【0044】
図3は、本明細書に記載される改良された技術を実行する例示的な方法300を例示している。方法300は、図1に関連して説明された構成によって実施することができ、この方法は、LIDARシステム120のメモリ126に存在させることができ、かつ処理回路124によって実行することができる。
【0045】
302において、LIDARシステム120は、表面112から反射された複数のビーム(例えば、ビーム190(1)、...、190(N))を受信する。複数のビームの各々は、経時的にそれぞれの振動速度値(例えば、ビーム速度データ136)を生成する。
【0046】
304において、LIDARシステム120は、複数のビームに対して類似グルーピング操作を行い、複数のビームのビームのグループを生成する。ビームのグループの少なくとも1対のビームは、実質的に同じ振動速度値を生成する。ビームのグループは、異常値の振動速度値を生成する異常値ビームを含んでいる。
【0047】
306において、LIDARシステム120は、異常値ビームに対して正規化操作を行い、正規化されたビームのグループを生成する。正規化操作は、少なくとも1対のビームによって生成された振動速度値に基づいて行われる。
【0048】
308において、LIDARシステム120は、正規化されたビームのグループに対してビーム結合操作を行い、表面の時間枠に対する新たな振動速度値を生成する。
【0049】
図4Aは、ビームが時系列の振動速度値410,420(図1)を生成する例示的なシナリオ400を例示している。図4Aに示すように、時系列410および420は、1/16秒の時間枠にわたって示されている。ここでは、時間枠の中に96個の時間サンプルがある。ビームグルーピングマネージャ140は、これらの2つのビームを類似グループに配置した。
【0050】
時系列410は、単純な連続した曲線として示され、時間サンプルは曲線に沿った点として表される。時系列420は、表面112の異なる部分(例えば、人間の髪の毛)のサンプルに起因する異常値430と同様に、変動が小さいとはいえ、曲線として表され、それゆえ異常値ビームとなる。異常値430の効果は、ビーム420に不連続性を生じさせ、時間枠の小さな部分での挙動の違いを生じさせることである。
【0051】
図4Bは、時系列420(図4A)の振動速度値をスケーリングして、振動速度の変動が時系列410のそれと実質的に一致する時系列460を生成する、例示的なシナリオ450を例示している。それにもかかわらず、時系列460を生成するために時系列420の振動速度値とともに異常値430(図4A)をスケーリングすると、異常値は同様にスケーリングされて、さらに大きな異常値470が生成される。
【0052】
上述したように、ビームグルーピングマネージャ140は、振動速度値でビーム410、460のペアを一致させるためのスケールファクタを生成するように構成されている。いくつかの実施では、ビームグルーピングマネージャ140は、異常値がある時間サンプルから離れた、時間枠内の様々な点における振動速度値の比に基づいて、そのようなスケールファクタを生成する。
【0053】
図4Cは、例示的な正規化シナリオ475を例示している。正規化シナリオ475では、ビーム正規化マネージャ170は、スケーリングされた異常値を、異常値が発生した時間サンプルに対応する類似グループのビームによって生成された他のすべての振動速度値の中央値に置き換える。いくつかの実施では、ビーム正規化マネージャ170は、スケーリングされた異常値を、類似グループのビームによって生成された他のすべての振動速度値のパーセンタイルに置き換える。いくつかの実施では、速度測定プロセスにノイズや難点が非常に多い場合、パーセンタイルは50より小さくなる。いくつかの実施では、速度測定プロセスにノイズやその他の難点がない場合、パーセンタイルは50より大きくなる。正規化の後、ビームはアンスケーリングされ(例えば、スケーリングされた振動速度値をスケールファクタで割ることにより)、結合の準備が整う。
【0054】
図5は、上述した改良された技術に従って、物体110の表面で振動速度値が決定される処理500を示す。処理500は、図1に関連して説明された構成によって実施することができ、この処理は、LIDARシステム120のメモリ126に存在させることができ、かつ処理回路124によって実行することができる。
【0055】
502において、ビーム取得マネージャは、表面112からの反射に応じ、検出器180でビーム190(1)、190(2)、...、190(N)を受信する。いくつかの実施では、検出器180は、各時間サンプルでビームから振動速度値を生成し、その値をビーム識別子(例えば、ビーム識別子データ134)とともにメモリに格納して、格納された振動速度値に関連するビームを識別する。いくつかの実施では、そのような識別子は使用されない。
【0056】
504において、ビームグルーピングマネージャ140は、時間枠138に従って、振動速度値をセグメントに細分化する。つまり、ビームに対するすべての操作は、指定された時間枠内のビームの振動速度値に応じて行われる。解析が実行された後、次の時間枠で新たな解析が行われ、以後同様に続く。本明細書に記載されている処理500は、リアルタイムで実行されてもよいことを理解されたい。
【0057】
506において、ビームグルーピングマネージャ140は、時間枠138内で類似する振動速度プロファイルを有するビームを決定し、類似グループを形成する。いくつかの実施では、ビームグルーピングマネージャ140は、最も近いビームペア(すなわち、上記で定義した最小の距離)を見つけ、次に、ジョイント処理のために十分に近いメンバーをグループに追加する。上述したように、反射特性や振動特性が異なる表面112の部分(例えば、頬と首)から反射されたビームは、異なる類似グループに配置される。
【0058】
508において、ビームグルーピングマネージャ140は、図4Bで説明したように、各類似グループ内のビームにそれぞれのスケーリングファクタを適用する。いくつかの実施では、類似グループ内のいくつかのビームは、他のビームに対して位相がずれている。これは、例えば、LIDARシステム120に対する、物体上の表面112の距離の変動から生じる可能性がある。このような実施では、ビームグルーピングマネージャ140は、そのようなビームにタイムシフトを適用して、類似グループ内の他のビームと時間的に整合させる。
【0059】
510では、ビーム正規化マネージャ170は、図4Cで上述したように、各類似グループの異常値ビームに対してそれぞれの正規化操作を行う。正規化操作は、スケーリングされたビームに対して行われることに留意されたい。異常値を置き換えるためにパーセンタイルの振動速度値を使用する場合、パーセンタイルは類似グループに依存する。しかし、いくつかの実施では、パーセンタイルを指定することができる。
【0060】
512において、ビーム結合マネージャ174は、スケーリングされたビーム振動速度値をそれぞれのスケールファクタで割ることにより、ビームをアンスケーリングする。いくつかの実施では、ビームが時間的にもシフトしている場合、ビーム結合マネージャ174は、そのようなビームを時間的にシフトし元の位相に戻す。
【0061】
514において、ビーム結合マネージャ174は、上述したように、物体全体の振動速度の値を生成するために、時間枠内で検出器で受信した全てのアンスケーリングされたビームに関するビーム振動速度値に対して結合操作を行う。もし、ビームがスケーリングされたままであれば、時間枠138内に不連続性があると、不正確な結果になる可能性がある。
【0062】
いくつかの実施では、単一の振動出力信号は、平均値のような単純な処理から形成される。いくつかの実施では、そのような信号は、より複雑なマルチビーム処理から形成される。どちらの方法でも、マルチビーム処理の利益が得られる。ビーム結合処理の前に、個々のビームがクリーンアップされている(すなわち、アンスケーリングされている)ため、この処理の利益が実現可能である。
【0063】
いくつかの実施では、異なるグループからのビーム信号が結合される。オーディオの振動信号では、首からの低音の振動と頬からの高音の振動というように、複数の構成要素の信号を扱うことに脳が慣れているため、信号に異常値からのバーストがない限りは、このような組み合わせが有効である。
【0064】
LIDARシステム120(例えば、位置補正マネージャ144)の構成要素(例えば、モジュール、プロセッサ(例えば、シリコン基板などの基板内で定義されたプロセッサ))は、1種類以上のハードウェア、ソフトウェア、ファームウェア、オペレーティングシステム、及び/又はランタイムライブラリなどを含み得る1つ以上のプラットフォーム(例えば、1つ以上の同様の又は異なるプラットフォーム)に基づいて作動するように構成することができる。いくつかの実施では、LIDARシステム120の構成要素は、装置のクラスタ(例えば、サーバファーム)内で作動するように構成することができる。
【0065】
いくつかの実施では、図1のLIDARシステム120に示されている構成要素の1つ以上の部分は、ハードウェアベースのモジュール(例えば、デジタル信号プロセッサ(DSP)、フィールドプログラマブルゲートアレイ(FPGA)、メモリ)、ファームウェアモジュール、及び/又はソフトウェアベースのモジュール(例えば、コンピュータコードのモジュール、コンピュータで実行することができる一連のコンピュータ可読命令)であってもよいし、又はこれらを含んでもよい。例えば、いくつかの実施では、LIDARシステム120の1つ以上の部分は、少なくとも1つのプロセッサ(不図示)によって実行されるように構成されたソフトウェアモジュールであってもよいし、又はこれを含んでもよい。いくつかの実施では、構成要素の機能性は、図1に示されているものとは異なるモジュール及び/又は異なる構成要素に含めることができる。
【0066】
いくつかの実施では、LIDARシステム120の1つ以上の構成要素は、メモリに格納された命令を処理するように構成されたプロセッサであってもよいし、又はこれを含んでもよい。例えば、位置補正マネージャ144(及び/又はその一部)は、1つ以上の機能を実施する処理に関する命令を実行するように構成されたプロセッサとメモリとの組み合わせであってもよい。
【0067】
図示されていないが、いくつかの実施では、LIDARシステム120(又はその一部)の構成要素は、例えば、データセンター(例えば、クラウドコンピューティング環境)、コンピュータシステム、及び/又は1つ以上のサーバ/ホスト装置などの内部で作動するように構成することができる。いくつかの実施では、LIDARシステム120(又はその一部)の構成要素は、ネットワーク内で作動するように構成することができる。このため、LIDARシステム120(又はその一部)は、1つ以上の装置及び/又は1つ以上のサーバ装置を含み得る様々な種類のネットワーク環境内で機能するように構成することができる。例えば、ネットワークは、ローカルエリアネットワーク(LAN)及び/又はワイドエリアネットワーク(WAN)などであってもよいし、又はこれらを含んでもよい。ネットワークは、例えば、ゲートウェイ装置、ブリッジ、及び/又はスイッチなどを用いて実施されるワイヤレスネットワーク及び/又はワイヤレスネットワークであってもよいし、又はこれらを含んでもよい。ネットワークは、インターネットプロトコル(IP)及び/又は専用プロトコルなどの様々なプロトコルに基づいて1つ以上のセグメントを含んでもよいし、かつ/又は一部を有してもよい。ネットワークは、インターネットの少なくとも一部を含んでもよい。
【0068】
いくつかの実施では、LIDARシステム120は、メモリを含んでもよい。メモリは、ランダムアクセスメモリ、ディスクドライブメモリ、及び/又はフラッシュメモリなどのいずれの種類のメモリであってもよい。いくつかの実施では、メモリは、追跡システム120の構成要素に関連付けられた2つ以上のメモリ構成要素(例えば、2つ以上のRAM構成要素又はディスクドライブメモリ)として実施してもよい。
【0069】
いくつかの実施では、LIDARシステムは、追跡している物体に対して1つのパターン又は複数のパターンで移動するように構成されたレーザ又はレーザビームを含むレーザシステムを含む。例えば、いくつかの実施では、LIDARシステム120の走査機構152は、追跡している物体に対して1つのパターン又は複数のパターンで移動するように構成された複数のレーザ又はビームを含む。
【0070】
例えば、いくつかの実施では、LIDARシステム120は、レーザビームを固定又は静止させる1つのモードと、レーザビームが形状などの1つのパターン又は複数のパターンで移動する第2のモードとを有し得る。いくつかの実施では、LIDARシステム120が第2のモードである場合、2つ以上のレーザビームは、1つのパターン又は複数のパターンで移動する。いくつかの実施では、異なるレーザビームは、異なるパターンで独立して移動してもよい。
【0071】
他の実施では、LIDARシステム120は、いくつかのレーザを含む、又は静止しているいくつかのレーザビーム、及び1つのパターン(又は複数のパターン)又は形状で移動するように構成された、いくつかのレーザビームを生成する。
【0072】
レーザ又はビームは、任意のパターン又は形状で移動することができる。例えば、いくつかの実施では、レーザ又はビームは、楕円形状で移動するように構成されている。他の実施では、レーザ又はビームは、線、円形、正方形、長方形、三角形、又は任意の他の形状で移動するように構成されている。いくつかの実施では、レーザ又はビームが移動する形状又はパターンは、追跡している物体によって決定又は判断される。例えば、いくつかの実施では、レーザの移動のパターン又は形状は、追跡している物体の形状と同様であってもよい。例えば、個人の顔は一般的に楕円形状であるため、個人の顔を追跡する場合には、楕円形状又はパターンを使用することができる。
【0073】
本明細書に記載の様々な技術の実施は、デジタル電子回路、又はコンピュータハードウェア、ファームウェア、ソフトウェア、又はそれらの組み合わせで実施することができる。実施は、コンピュータプログラム製品として、すなわち、情報担体に、例えば、機械可読記憶装置(コンピュータ可読媒体、非一時的なコンピュータ可読記憶媒体、有形のコンピュータ可読記憶媒体)に、又はデータ処理装置、例えば、プログラマブルプロセッサ、コンピュータ、若しくは複数のコンピュータで処理するための、若しくは該データ処理装置の操作を制御するための伝播信号に具体的に具現されたコンピュータプログラムとして実施してもよい。上述のコンピュータプログラム(複数可)などのコンピュータプログラムは、コンパイラ型言語又はインタプリタ型言語を含む任意の形式のプログラミング言語で書き込んでもよく、かつスタンドアロンプログラム又はモジュール、コンポーネント、サブルーチン、若しくはコンピューティング環境での使用に適した他のユニットを含む任意の形式で展開してもよい。コンピュータプログラムを展開して、1台のコンピュータで、又は1つのサイトに配置された若しくは複数のサイトにわたって分散され、かつ通信ネットワークによって相互接続された複数台のコンピュータで処理することができる。
【0074】
方法のステップは、入力データに対して動作して出力を生成することで機能を果たすコンピュータプログラムを実行する1つ以上のプログラマブルプロセッサによって実施することができる。方法のステップは、特定用途論理回路、例えば、FPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)又はASIC(特定用途向け集積回路)によって実施してもよく、かつ装置を、該特定用途論理回路として実施してもよい。
【0075】
コンピュータプログラムを処理するのに適したプロセッサは、例として、汎用及び特定用途マイクロプロセッサの両方、及びあらゆる種類のデジタルコンピュータのいずれか1つ以上のプロセッサを含む。 一般に、プロセッサは、読み取り専用メモリ又はランダムアクセスメモリ、又はこれらの両方から命令及びデータを受信する。コンピュータの要素は、命令を実行する少なくとも1つのプロセッサ、並びに命令及びデータを格納する1つ以上のメモリ装置を含み得る。一般に、コンピュータはまた、データを格納する1つ以上の大容量記憶装置、例えば、磁気ディスク、光磁気ディスク、又は光ディスクを備えてもよいし、又はこれらにデータを受信する又は送信する、又は送受信するように動作可能に連結してもよい。コンピュータプログラム命令及びデータを具現するのに適した情報担体は、例として、半導体メモリ装置、例えば、EPROM、EEPROM、及びフラッシュメモリ装置;磁気ディスク、例えば、内部ハードディスク又はリムーバブルディスク;光磁気ディスク;並びにCD-ROM及びDVD-ROMディスクを含む、あらゆる形態の不揮発性メモリを含む。プロセッサ及びメモリは、特定用途論理回路によって補完してもよいし、又はその内部に設けてもよい。
【0076】
ユーザとの対話を提供するために、実施は、ユーザに情報を提示する表示装置、例えば、液晶ディスプレイ(LCD又はLED)モニタ、タッチスクリーンディスプレイ、並びにユーザがコンピュータに入力することができるキーボード及びポインティングデバイス、例えば、マウス又はトラックボールを備えるコンピュータ上で行うことができる。他の種類の装置を使用しても同様に、ユーザとの対話を提供することができ;例えば、ユーザに提供されるフィードバックは、感覚フィードバック、例えば、視覚フィードバック、聴覚フィードバック、又は触覚フィードバックなどの任意の形態にすることができ;そしてユーザの入力は、音響入力、音声入力、又は触覚入力を含む任意の形態で受信することができる。
【0077】
実施は、コンピューティングシステムで行うことができ、該コンピューティングシステムは、例えば、データサーバのようなバックエンドコンポーネントを含む、又はミドルウェアコンポーネント、例えば、アプリケーションサーバを含む、又はフロントエンドコンポーネント、例えば、ユーザが実施と対話することができる、グラフィカルユーザインタフェース若しくはウェブブラウザを有するクライアントコンピュータを含む、又はそのようなバックエンドコンポーネント、ミドルウェアコンポーネント、若しくはフロントエンドコンポーネントの任意の組み合わせを含む。コンポーネントは、任意の形式又は媒体のデジタルデータ通信、例えば、通信ネットワークによって相互接続してもよい。通信ネットワークの例としては、ローカルエリアネットワーク(LAN)及びワイドエリアネットワーク(WAN)、例えば、インターネットが挙げられる。
【0078】
いくつかの実施では、LIDARシステム120は、対象又は個人の移動する顔のミリメートル範囲の精度性能を達成することができる。しかしながら、いくつかの実施では、固体物体の速度の推定は、会話及び他の生物学的要素からの有意な速度成分を除去するために、多数のサンプルの処理を必要とする。0.05mm(50ミクロン)の振幅を有する500Hzの振動は、約16cm/秒の最大速度(2×π×500×5E-5=0.157m/秒)を有する。たとえ振動の振幅が、対象又は個人の顔の追跡処理にとって重要でない距離の変化であっても、瞬間速度は重要であり得、振動速度が除去され得る。いくつかの実施では、振動速度の除去は、除去すべき振動の期間よりも有意に長い速度データサンプルの処理、及びノイズ又はバイアスを回避するための配慮を必要とし得る。例えば、速度(例えば、z方向の速度)におけるノイズは、物体の回転又は物体のz速度を検出又は決定するための能力に影響を与える又はこの能力を低下させる可能性がある。 いくつかの実施では、振動ノイズ又は速度ノイズは、比較的小さく、その影響を除去するために平均化することができる。
【0079】
上記の実施のある特徴を本明細書に記載されるように例示してきたが、当業者であれば、多くの修正、置き換え、変更、及び均等物に想到するであろう。従って、添付の特許請求の範囲は、実施の範囲内であるとしてそのような修正及び変更の全てを網羅することを意図することを理解されたい。実施は、限定としてではなく単なる例として提示されたものであり、形態及び詳細の様々な変更が可能であることを理解されたい。本明細書に記載の装置及び/又は方法のどの部分も、相互排他的な組み合わせを除いて、あらゆる組み合わせで組み合わせることができる。本明細書に記載の実施は、記載された異なる実施の機能、構成要素、及び/又は特徴の様々な組み合わせ及び/又は部分的な組み合わせを含み得る。
本件出願は、以下の態様の発明を提供する。
(態様1)
物体の表面上の振動速度場を決定するように構成されたコンピュータの処理回路によって、該表面から反射された複数のビームを受信するステップであって、該複数のビームのそれぞれが、経時的にそれぞれの振動速度値を生成する、該ステップ;
該処理回路によって、該複数のビームに対して類似グルーピング操作を実行し、該複数のビームのビームグループを生成するステップであって、該ビームグループの少なくとも1対のビームが、実質的に同じ振動速度値を生成し、該ビームグループは、異常振動速度値を生成する異常値ビームを含む、該ステップ;
該処理回路によって、該異常値ビームに対して正規化操作を実行し、正規化されたビームグループを生成するステップであって、該正規化操作が、該少なくとも1対のビームによって生成される振動速度値に基づいて行われる、該ステップ;及び
該処理回路によって、該正規化されたビームグループに対してビーム結合操作を実行し、該ビームグループのそれぞれについて新たな振動速度値を生成するステップであって、該新たな振動速度値が、該複数のビームのそれぞれによって生成される該振動速度値よりも正確である、該ステップ、を含む方法。
(態様2)
前記類似グルーピング操作を実行するステップは、振動速度値を生成する前記ビームグループの1対のビームを、該1対のビームの第2のビームによって生成される振動速度値が、該1対のビームの第1のビームによって生成される振動速度値に応じて増加および減少するように定めるステップを含む、態様1に記載の方法。
(態様3)
前記正規化操作を実行するステップは、前記ビームグループの1つのビームによって生成される第1の振動速度値を第2の振動速度値に置き換えるステップであって、該第2の振動速度値が、該ビームグループの他のビームによって生成される振動速度値に基づいている、該ステップを含む、態様1に記載の方法。
(態様4)
前記第1の振動速度値が、異常振動速度値である、態様3に記載の方法。
(態様5)
前記正規化操作を実行するステップは、前記第2の振動速度値として、前記他のビームによって生成される前記振動速度値の中央値を生成するステップを含む、態様3に記載の方法。
(態様6)
前記正規化操作を実行するステップは、前記第2の振動速度値として、前記ビームグループの前記他のビームによって生成される前記振動速度値のパーセンタイルで振動速度値を生成するステップを含む、態様3に記載の方法。
(態様7)
前記パーセンタイルは、前記ビームグループの前記他のビームによって生成される前記振動速度値のノイズの増加に伴って減少する、態様6に記載の方法。
(態様8)
非一時的な記憶媒体を含むコンピュータプログラム製品であって、該コンピュータプログラム製品は、物体の表面上の振動速度場を決定するように構成されたコンピュータの処理回路によって実行されたときに、該コンピュータに方法を実行させるコードを含み、
該方法は、
該表面から反射された複数のビームを受信するステップであって、該複数のビームのそれぞれが、経時的にそれぞれの振動速度値を生成する、該ステップ;
該複数のビームに対して類似グルーピング操作を実行し、該複数のビームのビームグループを生成するステップであって、該ビームグループの少なくとも1対のビームは、実質的に同じ振動速度値を生成し、該ビームグループは、異常振動速度値を生成する異常値ビームを含む、該ステップ;
該異常値ビームに対して正規化操作を実行し、正規化されたビームグループを生成するステップであって、該正規化操作は、該少なくとも1対のビームによって生成される該振動速度値に基づいて行われる、該ステップ;及び
該正規化されたビームグループに対してビーム結合操作を実行し、該ビームグループのそれぞれについて新たな振動速度値を生成するステップであって、該新たな振動速度値が、該複数のビームのそれぞれによって生成された該振動速度値よりも正確である、該ステップ、を含む、前記コンピュータプログラム製品。
(態様9)
前記類似グルーピング操作を実行するステップは、前記ビームグループの1対のビームの第2のビームによって生成される振動速度値が、該1対のビームの第1のビームによって生成される振動速度値と一致するようにリスケーリングするステップを含む、態様8に記載のコンピュータプログラム製品。
(態様10)
前記ビーム結合操作を実行するステップは、前記正規化操作を実行後、前記1対のビームの前記第2のビームに対してアンスケーリング操作を行い、前記第2のビームによって生成される前記振動速度値を回復するステップを含む、態様9に記載のコンピュータプログラム製品。
(態様11)
前記類似グルーピング操作を実行するステップは、前記複数のビームの第1のビームと該複数のビームの第2のビームとの間の距離の中央値を生成するステップを含む、態様8に記載のコンピュータプログラム製品。
(態様12)
前記距離の中央値は、前記第1のビームと前記第2のビームによって生成される振動速度値の差の絶対値の中央値を含む、態様11に記載のコンピュータプログラム製品。
(態様13)
前記類似グルーピング操作を実行するステップは、前記ビームグループの第2のビームに対してタイムシフト操作を行い、前記ビームグループの第1のビームから減少した距離の中央値を有する、タイムシフトされた第2のビームを生成するステップを含む、態様8に記載のコンピュータプログラム製品。
(態様14)
メモリ:及び
該メモリに結合された制御回路を備え、
該制御回路は、
表面から反射された複数のビームを受信するように構成され、該複数のビームのそれぞれが、経時的にそれぞれの振動速度値を生成し;
該複数のビームに対して類似グルーピング操作を実行し、該複数のビームのビームグループを生成するように構成され、該ビームグループの少なくとも1対のビームは、実質的に同じ振動速度値を生成し、該ビームグループは、異常振動速度値を生成する異常値ビームを含み;
該異常値ビームに対して正規化操作を実行し、正規化されたビームグループを生成するように構成され、該正規化操作は、該少なくとも1対のビームによって生成される該振動速度値に基づいて行われ;かつ
該正規化されたビームグループに対してビーム結合操作を実行し、該ビームグループのそれぞれについて新たな振動速度値を生成するように構成され、該新たな振動速度値が、該複数のビームのそれぞれによって生成された該振動速度値よりも正確である、電子機器。
(態様15)
前記複数のビームのそれぞれは、そのビームの測定された位相に基づいて、経時的にそれぞれの振動速度値を生成する、態様14に記載の電子機器。
(態様16)
さらにレーザ光源を備え、
前記複数のビームのそれぞれの前記測定された位相は、該レーザ光源から放射された入射ビームの既知の位相挙動に基づいて推定される、態様15に記載の電子機器。
(態様17)
前記正規化操作を実行するように構成された前記制御回路は、前記ビームグループの1つのビームによって生成される第1の振動速度値を第2の振動速度値に置き換えるようにさらに構成され、該第2の振動速度値が、該ビームグループの他のビームによって生成される振動速度値に基づいている、態様14に記載の電子機器。
(態様18)
前記第1の振動速度値が、異常振動速度値である、態様17に記載の電子機器。
(態様19)
前記正規化操作を実行するように構成された前記制御回路は、前記第2の振動速度値として、前記他のビームによって生成された前記振動速度値の中央値を生成するようにさらに構成されている、態様17に記載の電子機器。
(態様20)
前記正規化操作を実行するように構成された前記制御回路は、前記第2の振動速度値として、前記ビームグループの前記他のビームによって生成された前記振動速度値のパーセンタイルで振動速度値を生成するようにさらに構成されている、態様17に記載の電子機器。

図1
図2A
図2B
図2C
図2D
図2E
図3
図4A
図4B
図4C
図5