(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】貯湯給湯装置
(51)【国際特許分類】
F24H 1/18 20220101AFI20240116BHJP
F24H 1/00 20220101ALI20240116BHJP
F24H 15/223 20220101ALI20240116BHJP
F24H 15/34 20220101ALI20240116BHJP
【FI】
F24H1/18 D
F24H1/00 A
F24H15/223
F24H15/34
(21)【出願番号】P 2019212898
(22)【出願日】2019-11-26
【審査請求日】2022-10-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000004709
【氏名又は名称】株式会社ノーリツ
(74)【代理人】
【識別番号】100089004
【氏名又は名称】岡村 俊雄
(72)【発明者】
【氏名】丸山 和久
(72)【発明者】
【氏名】岩橋 由典
(72)【発明者】
【氏名】大西 兼造
(72)【発明者】
【氏名】安原 孝典
【審査官】大谷 光司
(56)【参考文献】
【文献】特開2015-021717(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24H 1/18
F24H 1/00
F24H 15/223
F24H 15/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を加熱する主熱源機と、補助熱源機と、湯水を貯留する貯湯タンクと備えた貯湯給湯装置において、貯湯タンクに給水する給水通路と貯湯タンクから出湯する出湯通路とを備え、補助熱源機は給水通路から分岐され出湯通路に接続された補助加熱通路上に設けられており、
前記補助熱源機により加熱された湯水を出湯するときに、前記貯湯タンクの上部の湯水温度に基づいて補助熱源機で加熱した湯水の一部を貯湯タンクに押し込むか、貯湯タンクから湯水を吐き出して補助熱源機から出湯される湯水と混合して出湯するかを判定する制御手段であって、
貯湯タンクの上部の湯水温度が第1設定値以下のときは
補助熱源機で加熱した湯水の一部を貯湯タンクに押し込
んで貯湯タンクに貯留し、貯湯タンクの上部の湯水温度が前記第1設定値よりも高い第2設定値以上のときは貯湯タンクから湯水を吐き出させる制御手段を設けたことを特徴とする貯湯給湯装置。
【請求項2】
前記補助加熱通路に循環ポンプが介装されており、
前記制御手段は、前記貯湯タンクへの押し込みと貯湯タンクからの吐き出しとの変更は、前記循環ポンプの回転数を変更することで行い、貯湯タンクに湯水を押し込むときは回転数を段階的に増加させ、貯湯タンクから湯水を吐き出すときは回転数を段階的に減少させることを特徴とする請求項1に記載の貯湯給湯装置
。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貯湯給湯装置に関し、特に補助熱源機で加熱した湯水を出湯する際に、貯湯タンクへの押し込み量と、貯湯タンクからの吐き出し量を適切に制御可能にした貯湯給湯装置に関する。
【背景技術】
【0002】
貯湯給湯装置は、主熱源機と、上水を加熱する補助熱源機と、湯水を貯留する貯湯タンクと、貯湯タンクの下部から湯水を取り出して主熱源機を経由して貯湯タンクの上部に戻す加熱循環回路とを有する。貯湯タンクに貯留された湯水は給湯通路から混合弁を通って混合弁の下流側給湯通路へ供給される。
【0003】
貯湯タンクの湯水温度が低い場合や風呂を追い焚きする場合には補助熱源機を作動させてそこで加熱した湯水が出湯される。補助熱源機で加熱された湯水が供給される通路は給湯通路に接続されている。補助熱源機で加熱する湯水の流量は、補助熱源機に上水を供給する通路の循環ポンプの回転数で決まる。
【0004】
補助熱源機で加熱して出湯する際、循環ポンプの回転数が不足する場合は、補助熱源機で加熱する湯水の流量が不足するため、貯湯タンクの低温の湯水も出湯されて補助熱源機で加熱された湯水と混合されて供給される。これを防ぐため、通常は、循環ポンプの回転数を大きめに設定し、補助熱源機で加熱された湯水の一部を貯湯タンクへ押し込むことで、出湯する湯水の温度低下を防いでいる。
【0005】
特許文献1には、貯湯タンクの貯湯の温度が低い場合に、補助熱源機で加熱した湯水に貯湯タンクからの湯水と混合して出湯する貯湯混合給湯モードを有する貯湯式給湯システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上記のように、補助熱源機で加熱された湯水の一部を貯湯タンクへ押し込む場合、貯湯タンクから補助熱源機へ湯水を流す通路があれば、補助熱源機から出る余分な湯水は給水と混じり、補助熱源機で再度加熱される。
【0008】
しかし、貯湯タンクから補助熱源機へ湯水を流す通路がない場合には、補助熱源機から出る余分な湯水は、貯湯タンクに流入して貯湯されることになる。その貯湯タンクに流れ込む量が積み重なると、主熱源機で加熱していないにもかかわらず貯湯タンクの貯湯量が多くなって自動的にタンク出湯に切り換わってしまい、ユーザーに違和感を与えることになる。しかも、主熱源機による貯湯の機会を減らすことになるため、省エネ性も悪化する。
【0009】
本発明の目的は、補助熱源機で加熱する際、貯湯タンクへの押し込み量と、貯湯タンクからの吐き出し量を適切に制御可能な貯湯給湯装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の貯湯給湯装置は、水を加熱する主熱源機と、補助熱源機と、湯水を貯留する貯湯タンクと備えた貯湯給湯装置において、貯湯タンクに給水する給水通路と貯湯タンクから出湯する出湯通路とを備え、補助熱源機は給水通路から分岐され出湯通路に接続された補助加熱通路上に設けられており、前記補助熱源機により加熱された湯水を出湯するときに、前記貯湯タンクの上部の湯水温度に基づいて補助熱源機で加熱した湯水の一部を貯湯タンクに押し込むか、貯湯タンクから湯水を吐き出して補助熱源機から出湯される湯水と混合して出湯するかを判定する制御手段であって、貯湯タンクの上部の湯水温度が第1設定値以下のときは補助熱源機で加熱した湯水の一部を貯湯タンクに押し込んで貯湯タンクに貯留し、貯湯タンクの上部の湯水温度が前記第1設定値よりも高い第2設定値以上のときは貯湯タンクから湯水を吐き出させる制御手段を設けたことを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、貯湯タンクの上部の湯水温度が第1設定値(例えば、給湯設定温度+3°)以下のときは補助熱源機で加熱した湯水の一部を貯湯タンクに押し込んで貯留するため、貯湯タンクからの出湯で出湯温度が低下するのを防止できる。
また、貯湯タンクの上部の湯水温度が前記第1設定値よりも高い第2設定値(例えば、給湯設定温度+10°)以上のときは貯湯タンクから湯水を吐き出させるため、貯湯タンクの貯湯量が増加してタンク出湯に切り換わることがなく、ユーザーに違和感を与えることがない。しかも、主熱源機による貯湯の機会を減らさないため、省エネ性が悪化するのを防止することができる。
【0012】
請求項2の貯湯給湯装置は、請求項1の発明において、前記補助加熱通路に循環ポンプが介装されており、前記制御手段は、前記貯湯タンクへの押し込みと貯湯タンクからの吐き出しとの変更は、前記循環ポンプの回転数を変更することで行い、貯湯タンクに湯水を押し込むときは回転数を段階的に増加させ、貯湯タンクから湯水を吐き出すときは回転数を段階的に減少させることを特徴としている。
【0013】
上記の構成によれば、貯湯タンクに湯水を押し込むときは回転数を段階的に増加させ、貯湯タンクから湯水を吐き出すときは回転数を段階的に減少させるため、循環ポンプの回転数の変化が出湯温度に影響を及ぼすことを避けることができ、ユーザーに違和感を与えることがない。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、本発明は種々の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【
図1】本発明の実施形態に係る貯湯給湯装置の構成図である。
【
図2】循環ポンプ回転数制御のフローチャートの一部である。
【
図3】上記循環ポンプ回転数制御のフローチャートの残部である。
【
図4】上記循環ポンプ回転数制御に含まれる割り込み処理のフローチャートである。
【
図5】変更実施形態に係る循環ポンプ回転数制御のフローチャートの一部である。
【
図6】変更実施形態に係る循環ポンプ回転数制御のフローチャートの残部である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を実施するための形態について図面に基づいて説明する。
最初に、貯湯給湯装置1について
図1に基づいて説明する。
この貯湯給湯装置1は、水をヒートポンプユニット2(主熱源機)で温めて貯湯タンク3に貯留しておき、この貯湯タンク3からカラン4や風呂(図示略)に供給可能であり、上水や貯湯タンク3から取り出した湯水を補助熱源機5で加熱してカラン4や風呂の外に風呂用熱交換器6に供給可能なものである。
【0019】
貯湯給湯装置1は、断熱材で覆われた貯湯タンク3、ヒートポンプユニット2、ガス燃焼式の補助熱源機5、中和器5a、制御ユニット8、この制御ユニット8に接続された操作リモコン9を有すると共に、配管や機器を含む種々の流路系統として、給水系統A、加熱循環系統B、カラン4に給湯する給湯系統C、風呂に注湯する注湯系統D、風呂用熱交換器6に湯水を供給する熱利用系統Eを有する。熱利用系統Eには、風呂水を追い焚きする追い焚き系統Gが付随的に設けられている。尚、貯湯タンク3には底部から頂部に亙る複数の温度成層の湯温を検出する5つのサーミスタ3a~3eが付設されている。
【0020】
次に、上記の各系統について説明する。但し、主要な機器についてのみ説明し、本願に直接関係しないサーミスタや水抜き栓等については説明を省略する。
給水系統Aは、給水元栓(図示略)、減圧弁11を設けた通路12、この通路12に連なる通路13、この通路13に設けた逆止弁14、通路13を貯湯タンク3に接続する通路15を有する。この通路15には水抜き通路16が接続され、この水抜き通路16の下流端には排水バルブ17が設けられている。
【0021】
加熱循環系統Bは、貯湯タンク3の底部からヒートポンプユニット2まで延びる往き通路18と、ヒートポンプユニット2と、ヒートポンプユニット2から貯湯タンク3の頂部へ延びる戻り通路19と、往き通路18に設けた貯湯ポンプ21と、往き通路18と戻り通路19を接続するバイパス通路20と、戻り通路19とバイパス通路20の接続部に設けた貯湯切換弁22(三方電磁弁)等を有する。
【0022】
給湯系統Cは、貯湯タンク3の頂部から延びる通路25と、この通路25に接続された通路26と、この通路26に接続された通路27と、通路25,26の接続部に設けた混合弁28と、通路26に設けた給湯水量センサ29と、通路26,27の接続部に設けた水量調整弁30等を有する。混合弁28には通路12から延びる通路31が接続され、この通路31には逆止弁32が設けられている。通路26,31を接続するバイパス通路33には高温回避電磁弁34が設けられている。
【0023】
通路25の上流端近傍部(貯湯タンク3の頂部近傍)には通路25内に突出するサーミスタ7が付設され、通路25のうちの混合弁28より上流側にはサーミスタ23が付設されている。給湯水量センサ29にはサーミスタ24が付設されている。
【0024】
注湯系統Dは、水量調整弁30から分岐した通路35と、この通路35から浴槽(図示略)まで延びる通路36と、通路35に設けた注湯電磁弁37及び注湯水量センサ38と、通路36に設けた風呂サーミスタ40等を有する。通路12から分岐して注湯電磁弁37まで延びる通路41の下流端に逆流防止弁42が接続され、この逆流防止弁42が注湯電磁弁37に接続され、逆流防止弁42からホッパー43まで延びるオーバーフロー通路44も設けられている。
【0025】
熱利用系統Eは、循環ポンプ46と、この循環ポンプ46から補助熱源機5まで延びて内部の熱交換器に接続された通路48と、ガス燃焼式の補助熱源機5と、この補助熱源機5内の熱交換器から延びる通路49と、この通路49から延びて風呂用熱交換器6を通過して下方へ延びる通路51と、通路51の下流端から循環ポンプ46まで延びる通路52と、通路51,52の接続部に設けられた風呂熱交出口電磁弁54等を有する。尚、通路48には循環水量センサ45が設けられている。
【0026】
尚、補助熱源機5に燃料ガスを導入するガス通路5bと、補助熱源機5にドレン通路5cを介して接続された中和器5aも設けられている。
【0027】
また、通路49,25を接続するバイパス通路49aと、このバイパス通路49aに設けられたタンク水比例弁55も設けられている。通路15,52を接続する接続通路15aには貯湯出口サーミスタ56が設けられている。接続通路15aをホッパー43に接続するオーバーフロー通路57には逃し弁59が設けられている。
尚、通路15aと、通路52のうちの通路15aより下流側部分と、通路48,49,49aが「補助加熱通路」に相当する。
【0028】
追い焚き系統Gは、通路36の上流端から風呂用熱交換器6まで延びる通路75と、風呂用熱交換器6から浴槽まで延びる通路76と、通路75に介装された風呂ポンプ77及び風呂水流スイッチ78及び水位センサ39等を有する。
ここで、上記の複数の流路系統に設けられた制御対象の機器(ポンプやバルブ等)は、制御ユニット8により制御され、センサ類の検出信号は制御ユニット8に供給される。
【0029】
ここで、本願は、補助熱源機5の出湯量を調整するための循環ポンプ回転数制御に特徴を有するものである。以下、
図2~
図4のフローチャートに基づいて、上記の循環ポンプ回転数制御について説明する。尚、この循環ポンプ回転数制御のフローチャートは制御ユニット8に予め格納されている。尚、
図2~
図4において、Si(i=1,2,・・・)は各ステップを示す。
【0030】
最初に、
図4の割り込み処理のフローチャートについて説明する。
この割り込み処理は、所定時間(例えば200ms)おきに実行されるインターバル割り込みである。最初に、S20において、サーミスタ12,23,24の検出温度を読み込んでメモリに記憶すると共に、給湯水量センサ29の検出流量を読み込んでメモリに記憶する。
【0031】
次に、S21において通路25を流れる流量Q1が演算される。
即ち、サーミスタ23の検出温度とサーミスタ12の検出温度とサーミスタ24の検出温度から通路25を流れる湯水と通路31から供給される上水の混合比率が演算され、次に給湯水量センサ29の検出流量と混合比率から通路25を流れる流量Q1が演算される。
【0032】
次に、S22において循環水量センサ45の検出流量Q2(これは補助熱源機5で加熱される湯水の流量である)が読み込まれ、次のS23においては流量差ΔQ=(Q2-Q1)が演算される。
ここで、ΔQが0のときは補助熱源機5で加熱された湯水の全部が通路25へ出湯され、
ΔQが0より大きいときは補助熱源機5で加熱された湯水の一部が貯湯タンク3へ押し込まれており、ΔQが0より小さいときは補助熱源機5で加熱された湯水に貯湯タンク3から吐き出した湯水を混合して通路25へ出湯されている。
【0033】
次に、
図2、
図3に基づいて、循環ポンプ回転数制御について説明する。
最初にS1において、補助熱源機3から出湯中か否か判定される。この判定は例えば、循環水量センサ45の検出流量が正か否かにより判定することができる。
S1の判定がYesのときは、S2においてサーミスタ7の検出温度Thと、前記割り込み処理で演算されている流量差ΔQが読み込まれる。
【0034】
次にS3において、Th≦(Ts+α)か否か判定される。尚、Tsは給湯設定温度(例えば、40°)であり、所定値αは例えば3°である。この(Ts+α)が第1設定値に相当する。S3の判定がYesのときはS4において流量差ΔQがΔQ≦a(例えばaは500cc/分)か否か判定される。
但し、図示省略したが、もしΔQが負の場合はΔQがaに近い値になるように、循環水量センサ45の検出流量と通路25を流れる流量Q1とに基づいて循環ポンプ46の回転数が調整される。
【0035】
S4の判定がNoの場合は、S5において循環ポンプ46の回転数を所定値b(例えば、bは200rpm)だけ低下させてからS4へ戻り、S4,S5を繰り返してS4の判定がYesになると、貯湯タンク3へ押し込む湯水量を段階的に徐々に増加させるためにS6~S9が実行される。
【0036】
S6においては、循環ポンプ46の回転数を所定値c(例えば、cは100rpm)だけ増加させ、次にS7においては、タイマーT1をリセット後スタートさせ、次にS8では循環ポンプ46の回転数が所定値K1(例えば、K1は3000rpm)以上になったか否か判定し、その判定がNoの場合は、S9においてタイマーT1の計時時間T1が所定時間d(dは、例えば1秒)以上か否か判定し、その判定がYesの場合はS6へ戻って、S6以降を繰り返し、S9の判定がNoの場合はS9を繰り返えす。その後、S8の判定がYesになった場合には、貯湯タンク3への押し込み量を増加させる制御を止めてリターンする。
【0037】
こうして、貯湯タンク3へ押し込む湯水の量を徐々に増加させていき、貯湯タンク3に適量の湯水(例えば、貯湯タンク3の頂部からサーミスタ3eのレベルまでの量)を貯湯することができる。尚、S8の判定に代えて、サーミスタ3eの検出温度が例えば前記の(Ts+α)以上になったことを条件としてリターンしてもよい。
【0038】
上記のように、貯湯タンク3へ押し込む湯水量を段階的に徐々に増加させることで、貯湯タンク3内の湯水量の増加速度を抑制し、貯湯タンク3に湯水が溜まり過ぎるのを防止することができる。
【0039】
他方、S3の判定がNoの場合は、
図3のS10へ移行し、S10においてサーミスタ7の検出温度Thが(Ts+β)以上か否か判定し、その判定がYesのときはS11へ移行する。尚、所定値βは例えば10°である。尚、前記の(Ts+β)が第2設定値に相当する。S10の判定がNoの場合はリターンする。上記のように、S3のαとS10のβの間に数度の間隔を空けるのは、ヒステリシスを持たせることで制御の安定性を高めるためである。
【0040】
次に、S11において、貯湯タンク3からの吐き出し流量である-ΔQ=(Q1-Q2)≦eか否か判定する。所定値eは、例えば、500cc/分である。
S11の判定がNoの場合は、S12において循環ポンプ46の回転数を所定値f(例えば、fは200rpm)だけ増加させることでQ2を増加させて-ΔQを減少させ、S12からS11へ戻り、-ΔQ≦eになる(貯湯タンク3からの吐き出し流量が所定値以下になる)と、貯湯タンク3からの吐き出し流量を段階的に徐々に増加させるために、S13~S16が実行される。
【0041】
S13では、循環ポンプ46の回転数を所定値g(例えば、gは100rpm)だけ低下させ、次にS14において、タイマーT2をリセット後にスタートさせ、次にS15において循環ポンプ46の回転数が所定値K2(例えば、K2は500rpm)以下になった否か判定し、その判定がNoのときはS16へ移行する。
【0042】
S16では、タイマーT2の計時時間T2が所定時間h(例えば、hは1秒)以上か否か判定し、その判定がNoのうちはS16を繰り返し、S16の判定がYesになると、S13へ戻ってS13以降を繰りかえす。その後、S15の判定がYesになると貯湯タンク3からの吐き出し量を増加させる制御を終了してリターンする。
【0043】
このように、貯湯タンク3からの吐き出し流量(-ΔQ)を段階的に徐々に増加させることで、出湯温度に影響を与えないようにすることができ、制御の安定性を確保することができる。
【0044】
以上説明した循環ポンプ回転数制御の作用、効果について説明する。
貯湯タンク3の上部の湯水温度が第1設定値(例えば、給湯設定温度Ts+3°)以下のときは補助熱源機5で加熱した湯水の一部を貯湯タンク3に押し込むため、貯湯タンク3からの出湯で出湯温度が低下するのを防止できる。
【0045】
また、貯湯タンク3の上部の湯水温度が前記第1設定値よりも高い第2設定値(例えば、給湯設定温度Ts+10°)以上のときは貯湯タンク3から湯水を吐き出させるため、貯湯タンク3の貯湯量が増加してタンク出湯に切り換わることがなく、ユーザーに違和感を与えることがない。しかも、ヒートポンプユニット2による貯湯の機会を減らさないため、省エネ性が悪化するのを防止することができる。
【0046】
貯湯タンク3へ押し込む際には、押し込む湯水量を段階的に徐々に増加させることで、貯湯タンク3内の湯水量の増加速度を抑制し、貯湯タンク3に湯水が溜まり過ぎるのを防止することができる。そして、貯湯タンク3から吐き出す際には吐き出し流量(-ΔQ)を段階的に徐々に増加させることで、出湯温度に影響を与えないようにすることができ、制御の安定性を確保することができる。
【0047】
このように、貯湯タンク3から補助熱源機5へ湯水を流す通路がない場合でも、貯湯タンク3に出入りする湯水の流量を調整することで、出湯温度の低下と、貯湯タンク3への溜めすぎを防ぐことができる。
【0048】
尚、種々の所定値a~hに例示で示した数値は、一例を示すものであり、これらの数値に限定されるものではない。
【変更実施形態】
【0049】
次に、変更実施形態に係る循環ポンプ回転数制御について
図5、
図6に基づいて説明する。この制御が開始されると、S30において、補助熱源機3から出湯中か否か判定される。この判定は、例えば循環水量センサ45の検出流量が正か否かにより判定することができる。S30の判定がYesのときは、S31においてサーミスタ7の検出温度Th1とサーミスタ3eの検出温度Th2が読み込まれる。
【0050】
次にS32において、Th1≦(Ts+i)か否か判定される。尚、Tsは給湯設定温度(例えば、40°)であり、所定値iは例えば3°であり、(Ts+i)が第3設定値に相当する。S32の判定がNoのときはS37へ移行し、S32の判定がYesのときはS33において循環ポンプ46の回転数が所定値jだけ増加される。尚、所定値jは、例えば100rpmである。
【0051】
次に、S34において、タイマーT3がリセット後スタートされ、次のS35においては、循環ポンプ46の回転数が所定値K3(K3は例えば3000rpm)以上か否か判定され、その判定がNoのときはS36へ移行してタイマーT3の計時時間T3が所定値k(例えば、kは1秒)以上か否か判定され、その判定がNoのうちはS36が繰り替えされ、S36の判定がYesになるとS33へ戻り、S33以降が繰りかえされる。
その後、S35の判定がYesになると、貯湯タンク3へ湯水を押し込む制御を止めてリターンする。
【0052】
このように、貯湯タンク3へ押し込む湯水量を段階的に徐々に増加させることで、貯湯タンク3内の湯水量の増加速度を抑制し、ヒートポンプユニット2の停止中に貯湯タンク3からの出湯(タンク出湯)に切換わってユーザーに違和感を与えるのを防止することができる。
【0053】
S32の判定がNoのときは
図6のS37へ移行する。
S37では、サーミスタ3eの検出温度Th2が(Ts+m)以上か否か判定する。
Tsは給湯設定温度(例えば、40°)であり、所定値mは例えば10°であり、(Ts+m)が第4設定値に相当する。
S32の所定値iとS37の所定値mの間に数度の間隔を空けるのは、ヒステリシスをもたせて制御を安定させるためである。S37の判定がNoのときはリターンし、S37の判定がYesのときはS38へ移行する。
【0054】
S37の判定がYesの場合は、貯湯タンク3の上部(例えば、頂部からサーミスタ3eのレベルまで)に(Ts+i)よりも高い温度である(Ts+m)よりも高温の湯水が貯留されているので、貯湯タンク3から吐き出す湯水の流量を段階的に徐々に増加させるために、S38~S41が実行される。
S38では、循環ポンプ46の回転数を所定値n(例えば、nは100rpm)だけ低下させ、次にS39ではタイマーT4がリセット後スタートされる。
【0055】
S40では、循環ポンプ46の回転数が所定値K4(例えば、K4は例えば400rpm)以下になったか否か判定される。S40の判定がNoのときはS41においてタイマーT4の計時時間T4が所定値p(例えば、pは1秒)以上になったか否か判定され、その判定がNoのうちはS41を繰り返し、S41の判定がYesになると、S38へ戻ってS38以降が繰りかえされる。その後S40の判定がYesになった場合には、貯湯タンク3から吐き出す流量を増加させる制御を終了してリターンする。
【0056】
このように、貯湯タンク3からの吐き出し流量(-ΔQ)を段階的に徐々に増加させることで、出湯温度に影響を与えないようにすることができ、制御の安定性を確保することができる。
【0057】
以上説明した循環ポンプ回転数制御の作用、効果について説明する。
貯湯タンク3の頂部の湯水温度が第3設定値(例えば、給湯設定温度Ts+3°)以下のときは補助熱源機で加熱した湯水の一部を貯湯タンクに押し込み、貯湯タンクの上部に前記第3設定値よりも高い第4設定値(例えば、給湯設定温度Ts+10°)以上の温度の湯水が貯湯されているときは貯湯タンクから湯水を吐き出させるため、貯湯タンクへの押し込み量と、貯湯タンクからの吐き出し量を適切に制御するため、貯湯タンク3からの出湯で出湯温度が低下するのを防止できる。
【0058】
そして、貯湯タンクの貯湯量が増加してタンク出湯に切り換わることがなく、ユーザーに違和感を与えることがない。しかも、ヒートポンプユニット2による貯湯の機会を減らさないため、省エネ性が悪化するのを防止することができる。
【0059】
貯湯タンク3へ押し込む際には、押し込む湯水量を段階的に徐々に増加させることで、貯湯タンク3内の湯水量の増加速度を抑制し、貯湯タンク3に湯水が溜まりすぎるのを防止することができる。
また、貯湯タンク3から吐き出す際には、吐き出し流量(-ΔQ)を段階的に徐々に増加させることで、出湯温度に影響を与えないようにすることができ、制御の安定性を確保することができる。
尚、種々の所定値i,j,k,m,n,pに例示で示した数値は、一例を示すものであり、これらの数値に限定されるものではない。
【0060】
次に、上記の実施例を部分的に変更する例について説明する。
1)貯湯給湯装置1には暖房用の熱源機と、それに付随する通路等が設けられる場合もある。
2)前記の貯湯給湯装置1は、貯湯給湯装置の一例を示すものであり、本発明は種々の貯湯給湯装置に適用することができる。例えば、ヒートポンプユニット2の代わりに燃料電池ユニットやガスエンジンを設ける場合もある。
【0061】
3)その他、当業者であれば、本発明の趣旨を逸脱することなく、前記実施例に種々の変更を付加した形態で実施可能であり、本発明はそのような変更形態をも包含するものである。
【符号の説明】
【0062】
1 貯湯給湯装置
2 ヒートポンプユニット(主熱源機)
3 貯湯タンク
3e,7,12,23,24 サーミスタ
5 補助熱源機
8 制御ユニット(制御手段)
9 操作リモコン
46 循環ポンプ
(Ts+α) 第1設定値
(Ts+β) 第2設定値
(Ts+i) 第3設定値
(Ts+m) 第4設定値