(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】合成樹脂製容器
(51)【国際特許分類】
B65D 1/02 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
B65D1/02 221
(21)【出願番号】P 2019090850
(22)【出願日】2019-05-13
【審査請求日】2022-04-11
(73)【特許権者】
【識別番号】313005282
【氏名又は名称】東洋製罐株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002354
【氏名又は名称】弁理士法人平和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡部 高規
(72)【発明者】
【氏名】渡邉 大紀
(72)【発明者】
【氏名】石井 玲太
(72)【発明者】
【氏名】小宮 温
【審査官】加藤 信秀
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-001295(JP,A)
【文献】意匠登録第1367856(JP,S)
【文献】意匠登録第1494749(JP,S)
【文献】特開2017-024754(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0183156(US,A1)
【文献】米国特許第05988417(US,A)
【文献】特開2016-179847(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2008/0093329(US,A1)
【文献】国際公開第2017/102111(WO,A1)
【文献】米国特許出願公開第2003/0010743(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2007/0012649(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒状に形成された胴部を備え、
前記胴部は、周方向に沿って延設された把持用の凹溝部によって、上胴部と下胴部とに分けられ、
前記凹溝部は、縦断面円弧状の溝底部と、前記上胴部の下端縁にR面取り部を介して連接する上側傾斜面と、前記下胴部の上端縁にR面取り部を介して連接する下側傾斜面とを含み、
前記上側傾斜面及び前記下側傾斜面の軸方向に対する傾斜角度が、周方向に沿って変化することによって、前記溝底部の最も容器内方に位置する前記溝底部の最深部が、周方向に沿って所定の振幅を以て前記凹溝部の溝幅方向に周期的に変位し
、
前記溝底部の最深部が前記凹溝部の溝幅方向中央よりも下方に位置するとき、前記上側傾斜面の軸方向に対する傾斜角度は、前記下側傾斜面の軸方向に対する傾斜角度よりも小さく、
前記溝底部の最深部が前記凹溝部の溝幅方向中央よりも上方に位置するとき、前記上側傾斜面の軸方向に対する傾斜角度は、前記下側傾斜面の軸方向に対する傾斜角度よりも大きい
ことを特徴とする合成樹脂製容器。
【請求項2】
前記振幅の変動の幅が、前記凹溝部の溝幅の10~70%である請求項1に記載の合成樹脂製容器。
【請求項3】
前記溝底部の最深部が変位する一周期の中心角が、22.5~90°である請求項1又は2に記載の合成樹脂製容器。
【請求項4】
前記溝底部の縦断面における曲率半径が、4~17mmである請求項1~3のいずれか一項に記載の合成樹脂製容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、合成樹脂製容器に関し、特に、軸方向の荷重に対し、座屈変形する直前に発生するシワに対して耐性が高められ、荷重が解除した際にはシワなどの痕跡が残らない合成樹脂製容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ポリエチレンテレフタレートなどの熱可塑性樹脂を用いて有底筒状のプリフォームを形成し、次いで、このプリフォームを二軸延伸ブロー成形などによってボトル状に成形してなる合成樹脂製の容器が、各種飲料品、各種調味料等を内容物とする容器として広い分野で利用されている。
【0003】
また、このような合成樹脂製容器にあっては、市場の要求に応えるべく多種多様の容器形状とされたものが知られている。例えば、特許文献1には、容器胴部に周方向に沿って凹溝部(ウェスト)を延設することによって、当該凹溝部に手指を掛けて容器を安定に把持できるようにした容器が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、この種の容器にあっては、内容物を充填密封して市場に供給するに際し、例えば、輸送、保管時に箱積み状態とされたときの積圧により、軸方向に荷重が加わったりしても、そのような荷重に耐えて、座屈変形してしまわないようにすることが望まれる。このため、特許文献1では、軸方向の荷重に対する座屈強度を高めるために、容器胴部(上部胴部)に、所定の縦断面形状とされた横溝を、上下に間隔をあけて複数設けるようにしている。
【0006】
しかしながら、特許文献1のように、複数の横溝を容器胴部に設けるとすると、市場の要求に応じて容器形状をデザインする上で、その自由度が損なわれてしまう。
【0007】
そこで、本発明者らは、容器胴部に周方向に沿って凹溝部を延設し、当該凹溝部に手指を掛けて容器を安定に把持できるようにした容器について、かかる容器が、軸方向の荷重によって、どのようにして座屈変形するかについて検討した。本発明者らが検討した容器の一例を
図7に示す。本発明者らの検討によれば、このような容器100にあっては、軸方向の荷重によって、凹溝部105が圧縮されて、凹溝部105の最深部に比べて周長(周方向に沿った長さ)が長い、凹溝部105の上方側の溝面と下方側の溝面とが、周方向に押し縮められるように変形するにつれて、
図8に示すように、凹溝部105の溝面に撓みによるシワが発生し、このシワを起点に座屈が進行するという知見が得られた。
【0008】
本発明者らは、このような知見に基づいて、さらなる検討を重ねた結果、上記の如き容器にあっては、周方向に押し締められるような変形を、特定の箇所に集中させないことで、軸方向の荷重によって容器が一旦変形したとしても、荷重を解除した際に元の形状に復元可能であるとともに、軸方向の荷重に対する座屈強度を高めることができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に係る合成樹脂製容器は、円筒状に形成された胴部を備え、前記胴部は、周方向に沿って延設された把持用の凹溝部によって、上胴部と下胴部とに分けられ、前記凹溝部は、縦断面円弧状の溝底部と、前記上胴部の下端縁にR面取り部を介して連接する上側傾斜面と、前記下胴部の上端縁にR面取り部を介して連接する下側傾斜面とを含み、前記上側傾斜面及び前記下側傾斜面の軸方向に対する傾斜角度が、周方向に沿って変化することによって、前記溝底部の最も容器内方に位置する前記溝底部の最深部が、周方向に沿って所定の振幅を以て前記凹溝部の溝幅方向に周期的に変位し、前記溝底部の最深部が前記凹溝部の溝幅方向中央よりも下方に位置するとき、前記上側傾斜面の軸方向に対する傾斜角度は、前記下側傾斜面の軸方向に対する傾斜角度よりも小さく、前記溝底部の最深部が前記凹溝部の溝幅方向中央よりも上方に位置するとき、前記上側傾斜面の軸方向に対する傾斜角度は、前記下側傾斜面の軸方向に対する傾斜角度よりも大きい構成としてある。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、軸方向の荷重によって容器が一旦変形したとしても、荷重を解除した際に元の形状に復元可能であるとともに、軸方向の荷重に対する座屈強度が高められた合成樹脂製容器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】本発明の実施形態に係る合成樹脂製容器の概略を示す斜視図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る合成樹脂製容器の概略を示す正面図である。
【
図3】
図2のA-A線を含む中心軸を通る平面で切断した端面を示す要部拡大端面図である。
【
図4】
図2のB-B線を含む中心軸を通る平面で切断した端面を示す要部拡大端面図である。
【
図5】
図2のC-C線を含む中心軸を通る平面で切断した端面を示す要部拡大端面図である。
【
図8】
図7に示す容器が、軸方向の荷重により変形した状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明の好ましい実施形態について、図面を参照しつつ説明する。
【0013】
図1は、本実施形態に係る合成樹脂製容器の概略を示す斜視図、
図2は、同正面図である。
図3は、
図2のA-A線を含む中心軸を通る平面で切断した端面を示す要部拡大端面図であり、図に向かって右側を容器1の内側として、本実施形態に係る合成樹脂製容器における凹溝部の縦断面形状の概略を示している。より具体的には、
図3は、溝底部5cの最深部6が容器1高さ方向の下方に位置する状態を示した要部拡大端面図である。
図4は、
図2のB-B線を含む中心軸を通る平面で切断した端面を示す要部拡大端面図であり、図に向かって右側を容器1の内側として、本実施形態に係る合成樹脂製容器における凹溝部の縦断面形状の概略を示している。より具体的には、
図4は、溝底部5cの最深部6が、容器1高さ方向における凹溝部5の中央に位置する状態を示した要部拡大端面図である。
図5は、
図2のC-C線を含む中心軸を通る平面で切断した端面を示す要部拡大端面図であり、図に向かって右側を容器1の内側として、本実施形態に係る合成樹脂製容器における凹溝部の縦断面形状の概略を示している。より具体的には、
図5は、溝底部5cの最深部6が容器1高さ方向の上方に位置する状態を示した要部拡大端面図である。
図6は、
図2のD-D端面図である。
なお、
図3、
図4、
図5、
図6に示す端面図では、容器1の肉厚を省略している。
【0014】
本実施形態において、容器1は、口部2、胴部3、及び底部4を備えており、胴部3が概ね円筒状に形成された、一般に、丸形ボトルと称される容器形状を有している。
【0015】
このような容器1は、熱可塑性樹脂を使用して射出成形や圧縮成形などにより有底筒状のプリフォームを成形し、このプリフォームを二軸延伸ブロー成形などにより所定の容器形状に成形することによって製造される。
【0016】
容器1を製造するにあたり、使用する熱可塑性樹脂としては、ブロー成形が可能な任意の樹脂を使用することができる。具体的には、ポリエチレンテレフタレート,ポリブチレンテレフタレート,ポリエチレンナフタレート,非晶ポリアリレート,ポリ乳酸,ポリエチレンフラノエート又はこれらの共重合体などの熱可塑性ポリエステル,これらの樹脂あるいは他の樹脂とブレンドされたものなどが好適である。特に、ポリエチレンテレフタレートなどのエチレンテレフタレート系熱可塑性ポリエステルが、好適に使用される。また、ポリカーボネート,アクリロニトリル樹脂,ポリプロピレン,プロピレン-エチレン共重合体,ポリエチレンなども使用することができる。
【0017】
口部2は、内容物の注ぎ口となる円筒状の部位である。かかる口部2の開口端側の側面には、図示しない蓋体を取り付けるためのねじ山が設けられている。
また、胴部3は、容器1の高さ方向の大半を占める部位であり、周方向に沿って延設された凹溝部5によって、口部2側に位置する上胴部3aと、底部4側に位置する下胴部3bとに分けられている。
【0018】
ここで、高さ方向とは、口部2を上にして容器1を水平面に正立させたときに、水平面に直交する方向であって、軸方向に一致する方向をいうものとし、
図2に示す状態で容器1の上下左右及び縦横の方向を規定するものとする。
【0019】
図示する例において、上胴部3aは、上方側が縮径して口部2に連続するように形成されている。
下胴部3bは、胴径Dが高さ方向に沿ってほぼ一定となるように形成されているとともに、下胴部3bの周面には、内容物を充填密封する際の内圧変化を吸収して、容器1の不均等な変形を抑制するために、内圧に応じて変形可能な複数(図示する例では八つ)の内圧調整パネルPが、周方向に沿って均等に設けられている。
【0020】
胴部3を上胴部3aと下胴部3bとに分ける凹溝部5は、縦断面円弧状の溝底部5cを含み、上側傾斜面5aが、上胴部3aの下端縁にR面取り部5dを介して連接し、下側傾斜面5bが、下胴部3bの上端縁にR面取り部5eを介して連接するように設けられている。換言すれば、図示する例において、凹溝部5は、高さ方向に沿って上から順に連接された、R面取り部5d、上側傾斜面5a、溝底部5c、下側傾斜面5b、R面取り部5eからなっている。
このようにして設けられた凹溝部5において、溝底部5cの最も容器内方に位置する部位が凹溝部5の最深部6となる。
なお、
図2中、最深部6は破線で示されている。
【0021】
このような凹溝部5を周方向に沿って延設することで、容器1を把持する際に、当該凹溝部5に手指(例えば、親指と人差し指)を掛けて、容器1を安定に把持することができる。
【0022】
凹溝部5の溝幅Wは、平均的な人の手の大きさを考慮して、指一本分程度の幅とするのが好ましく、例えば、18~35mmとすることができる。
【0023】
また、図示する例では、溝底部5cの最深部6が、周方向に沿って所定の振幅を以て凹溝部5の溝幅W方向に周期的に変位している。この際、上側傾斜面5a及び下側傾斜面5bの軸方向に対する傾斜角度α,βや、上側傾斜面5a及び下側傾斜面5bの形状が変化することによって、溝底部5cの最深部は、凹溝部5の溝幅W方向における位置を周期的に変化させて形成される。
例えば、
図3の要部拡大端面図は、溝底部5cの最深部6が容器1高さ方向の下方に位置した状態の凹溝部5を縦に切断した状態を示しているが、上側傾斜面5aの軸方向に対する傾斜角度αは、下側傾斜面5bの軸方向に対する傾斜角度βよりも小さく、上側傾斜面5aの縦断面は、R面取り部5dに隣接する直線状の部分を含み、下側傾斜面5bの縦断面は、ほぼ直線状となっている。同様に、
図5に示されるように、溝底部5cの最深部6が容器1高さ方向の上方に位置した状態では、上側傾斜面5aの軸方向に対する傾斜角度αは、下側傾斜面5bの軸方向に対する傾斜角度βよりも大きく、上側傾斜面5aの縦断面は、ほぼ直線状となり、下側傾斜面5bの縦断面は、R面取り部5eに隣接する直線状の部分を含む。これに対して、
図4に示されるように、溝底部5cの最深部6が容器1高さ方向の中央に位置した状態では、上側傾斜面5aの軸方向に対する傾斜角度αと下側傾斜面5bの軸方向に対する傾斜角度βは等しく、上側傾斜面5aの縦断面及び下側傾斜面5bの縦断面は、ほぼ直線状となっている。このように、上側傾斜面5a及び下側傾斜面5bは、最深部6の変位に追随するように、軸方向に対する傾斜角度α,βを変化させ、縦断面の形状に直線状や曲線状を含んで形成される。
【0024】
前述したように、
図7に示す容器100にあっては、軸方向の荷重によって、凹溝部105が圧縮されて、凹溝部105の最深部に比べて周長が長い、凹溝部105の上方側の溝面と下方側の溝面とが、周方向に押し縮められるように変形するにつれて、凹溝部105の溝面に撓みによるシワが発生し、このシワを起点に座屈が進行する。特に、周方向において特定の箇所に変形が集中すると、容器が完全に座屈する前に荷重を解除しても、容器1の凹溝部5にシワなどの変形した痕跡が残ってしまい、元の形状に復元することはできなくなってしまう。
これに対して、本実施形態によれば、溝底部5cの最深部6が、容器1胴部3の周方向に沿って所定の振幅を以て凹溝部5の溝幅W方向に周期的に変位するように凹溝部5を設けることで、荷重による変形が特定の箇所に集中することを抑制することができる。その結果、軸方向の荷重によって周方向に押し縮められるように変形したとしても、荷重を解除した際に元の形状に復元可能であるとともに、軸方向の荷重に対する座屈強度を高めることができる。
【0025】
このような凹溝部5では、座屈強度を高めるとともに、手指の収まりが良くなるように、上側傾斜面5a及び下側傾斜面5bの軸方向に対する傾斜角度α,βは、14~45°の範囲内とすることができる。
【0026】
また、周方向に押し締められるような変形を複数個所に分散させ、軸方向の荷重に対する座屈強度を高めるために、最深部6の振幅は、その変動の幅Amが、前記凹溝部5の溝幅Wの10~70%であると好ましい。
【0027】
また、図示する例では、最深部6は、上下にそれぞれ五個ずつ緩やかな頂点を有するように、凹溝部5溝幅W方向へ変位する周期が五周期繰り返されるように形成されている。この場合、胴部3横断面において、最深部6が変位する一周期の両端と胴部3の中心軸とを結んでできる一周期の中心角θの大きさは、72°となる(
図6参照)。
最深部6が凹溝部の溝幅方向に変位する周期は、図示する例に限定されず、容器1や凹溝部5の形状に応じて適宜設定することができるが、周方向に押し締められるような変形を複数個所に分散させ、軸方向の荷重に対する座屈強度を高めるために、最深部6が変位する一周期の中心角θが、22.5~90°であり、最深部6が連続して規則的な振幅で変位しているとより好ましい。
【0028】
また、縦断面円弧状の溝底部5cを含むように凹溝部5を設けることで、荷重が解除されたときに、軸方向に圧縮された凹溝部5が、弾性的に元の形状に復元し易くなるようにすることができる。このとき、弾性的な復元性が、より有効に発揮されるように、溝底部5cの縦断面における曲率半径は、4~17mmであるのが好ましい。
【0029】
このようにすることで、当該凹溝部5に手指(例えば、親指と人差し指)を掛けて、容器1を安定に把持するに際して、手指の収まりが良くなり、また、軸方向に荷重の荷重に対して、有効に凹溝部5の溝面を撓み難くすることができる。
【0030】
また、図示する例では、容器1の高さ方向中央部に対して上方寄りの位置に凹溝部5を延設しているが、凹溝部5を延設する位置は、当該凹溝部5に手指を掛けて、容器1をバランス良く安定して把持できれば特に限定されない。
【実施例】
【0031】
以下、具体的な実施例を挙げて、本発明をより詳細に説明する。
【0032】
[実施例]
図1~
図4に示す容器1について、容器1の高さH:約230mm、胴部3の最大胴径D:約80mm、凹溝部5の溝幅W:約28mm、溝底部5cの縦断面における曲率半径:約6mm、最深部6の振幅の変動の幅Am:約6mmとなるように、重量:約27gのポリエチレンテレフタレート製プリフォームを用いてブロー成形した。
【0033】
得られた容器1に、約800mLの水を充填密封して、軸方向の荷重を加えていったところ、荷重が増加しても凹溝部5の変形は抑制されており、荷重約150Nで、シワが凹溝部5の溝面に沿って発生し、荷重約260Nで上胴部3aの凹溝部5から座屈した。
また、容器1が周方向に押し締められるように変形した後、座屈する手前で、荷重を解除したところ、容器1は元の形状に復元し、凹溝部5に変形した痕跡は認められなかった。
【0034】
[比較例]
図5に示す容器100について、最深部6が周方向に沿って所定の振幅を以て凹溝部5の溝幅方向に周期的に変位している凹溝部としなかった以外は、実施例と同様にしてブロー成形した。
【0035】
得られた容器100に、約800mLの水を充填密封して、軸方向の荷重を加えていったところ、荷重を加えた初期から凹溝部105の変形が進み、荷重約220Nで、
図6に示すようなシワが凹溝部105の溝面に発生し、荷重約300Nで、凹溝部105から座屈した。
また、容器100が座屈する手前で荷重を解除したところ、凹溝部105の溝面にシワが残ってしまい、元の形状には復元しなかった。
【0036】
以上、本発明について、好ましい実施形態を示して説明したが、本発明は、前述した実施形態にのみ限定されるものではなく、本発明の範囲で種々の変更実施が可能であることはいうまでもない。
【0037】
例えば、図示する例は、本発明に係る合成樹脂製容器の一例であり、縦断面円弧状の溝底部5cを含む凹溝部5が、胴部3に周方向に沿って延設され、溝底部5cの最深部6が、周方向に沿って所定の振幅を以て凹溝部5の溝幅方向に周期的に変位していれば、これ以外の細部の構成は、図示する例に限定されることなく適宜変更することができる。
【符号の説明】
【0038】
1 容器
2 口部
3 胴部
3a 上胴部
3b 下胴部
4 底部
5 凹溝部
5a 上側傾斜面
5b 下側傾斜面
5c 溝底部
6 最深部