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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】車両の報知システム、報知プログラム
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240116BHJP
   G08G 1/0962 20060101ALI20240116BHJP
   B60W 50/14 20200101ALI20240116BHJP
【FI】
G08G1/16 C
G08G1/0962
B60W50/14
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2019099566
(22)【出願日】2019-05-28
(65)【公開番号】P2020194349
(43)【公開日】2020-12-03
【審査請求日】2021-08-25
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】100140486
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100170058
【弁理士】
【氏名又は名称】津田 拓真
(72)【発明者】
【氏名】伊東 悠太郎
【審査官】武内 俊之
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-087337(JP,A)
【文献】特開2010-237954(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08G 1/16
G08G 1/0962
B60W 50/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の周辺情報を取得する周辺情報取得部(34,35,36)と、
前記車両の周辺情報に基づいて複数の報知情報の優先度を設定する優先度設定部(32)と、
前記優先度設定部により設定された前記優先度に基づいて複数の前記報知情報を報知対象者に報知する報知部(37)と、を備え、
前記報知情報には、
前記車両の安全の確保を促す情報である第1報知情報と、
前記車両の燃費又は電費を改善することが可能な運転指示に関する情報である第2報知情報と、
前記運転指示に基づいて前記車両の運転が行われることにより前記車両の走行が一時的に不自然になっていることを認知させる情報である第3報知情報と、が含まれ、
前記優先度設定部は、
前記車両の周辺情報に基づいて前記第1報知情報を報知すべき状況であると判断した場合には、前記第1報知情報の優先順位を最も高く設定し、
前記車両の周辺情報に基づいて前記第1報知情報を報知すべき状況でないと判断した場合には、前記車両の走行が不自然な状態であるか否かを判断し、
前記車両の走行が不自然な状態でないと判断した場合には、前記第2報知情報の優先順位を最も高く設定し、
前記車両の走行が不自然な状態であると判断した場合には、前記第3報知情報の優先順位を最も高く設定し、
前記車両の前方を走行する車両を先行車両とするとき、前記車両に対する前記先行車両の相対距離が所定の距離閾値よりも長く、且つ前記車両に対する前記先行車両の相対速度が所定の速度閾値よりも速い場合には、前記車両の走行が不自然な状態であると判断し、
前記先行車両の相対距離が前記所定の距離閾値以下である場合、又は前記車両の相対速度が前記所定の速度閾値以下である場合には、前記車両の走行が不自然な状態でないと判断する
車両の報知システム。
【請求項2】
車両の周辺情報を取得する周辺情報取得部(34,35,36)と、
前記車両の周辺情報に基づいて複数の報知情報の優先度を設定する優先度設定部(32)と、
前記優先度設定部により設定された前記優先度に基づいて複数の前記報知情報を報知対象者に報知する報知部(37)と、を備え、
前記報知情報には、
前記車両の安全の確保を促す情報である第1報知情報と、
前記車両の燃費又は電費を改善することが可能な走行制御が前記車両において実行されている旨を示す情報である第2報知情報と、
前記車両の運転支援制御の実行により前記車両の走行が一時的に不自然になっていることを認知させる情報である第3報知情報と、が含まれ、
前記優先度設定部は、
前記車両の周辺情報に基づいて前記第1報知情報を報知すべき状況であると判断した場合には、前記第1報知情報の優先順位を最も高く設定し、
前記車両の周辺情報に基づいて前記第1報知情報を報知すべき状況でないと判断した場合には、前記車両の走行が不自然な状態であるか否かを判断し、
前記車両の走行が不自然な状態でないと判断した場合には、前記第2報知情報の優先順位を最も高く設定し、
前記車両の走行が不自然な状態であると判断した場合には、前記第3報知情報の優先順位を最も高く設定し、
前記車両の前方を走行する車両を先行車両とするとき、前記車両に対する前記先行車両の相対距離が所定の距離閾値よりも長く、且つ前記車両に対する前記先行車両の相対速度が所定の速度閾値よりも速い場合には、前記車両の走行が不自然な状態であると判断し、
前記先行車両の相対距離が前記所定の距離閾値以下である場合、又は前記車両の相対速度が前記所定の速度閾値以下である場合には、前記車両の走行が不自然な状態でないと判断する
車両の報知システム。
【請求項3】
前記周辺情報取得部は、前記車両の周辺情報として、前記車両の周辺に存在する周辺車両と前記車両との間の相対距離、相対速度、又はそれらから演算可能な指標値を取得し、
前記優先度設定部は、前記相対距離、前記相対速度、又は前記指標値に基づいて前記優先度を設定する
請求項1又は2に記載の車両の報知システム。
【請求項4】
前記周辺情報取得部は、前記車両の周辺情報として、前記車両の周辺に存在する周辺車両を除く物体と前記車両との間の相対距離、相対速度、又はそれらから演算可能な指標値を取得し、
前記優先度設定部は、前記相対距離、前記相対速度、又は前記指標値に基づいて前記優先度を設定する
請求項1又は2に記載の車両の報知システム。
【請求項5】
前記報知部は、複数の前記報知情報のうち、前記優先度が高いものほど、前記報知対象者に認知し易くなるように報知態様を変更する
請求項1~4のいずれか一項に記載の車両の報知システム。
【請求項6】
前記報知部は、前記報知態様の変更として、前記報知対象者の五感又は脳への伝達態様を変更するものであって、複数の前記報知情報のうち、前記優先度が高いものほど、より強い刺激を前記報知対象者の五感又は脳に与えるように報知態様を変更する
請求項5に記載の車両の報知システム。
【請求項7】
前記報知部は、前記報知態様の変更として、前記報知対象の視覚への伝達態様を変更するものであって、複数の前記報知情報のうち、前記優先度が高いものほど、視認性が高くなるように報知態様を変更する
請求項5に記載の車両の報知システム。
【請求項8】
前記報知対象者には、前記車両の運転者が含まれる
請求項1~7のいずれか一項に記載の車両の報知システム。
【請求項9】
前記報知部は、運転者が前記車両をマニュアル運転しているときに前記報知を行う
請求項8に記載の車両の報知システム。
【請求項10】
前記報知対象者には、前記車両の外部で前記車両を管理する管理者が含まれている
請求項1~9のいずれか一項に記載の車両の報知システム。
【請求項11】
少なくとも一つの処理部(32)に、
車両の周辺情報を取得させ、
前記車両の周辺情報に基づいて複数の報知情報の優先度を設定させ、
前記優先度に基づいて複数の前記報知情報を報知対象者に報知させ、
前記報知情報には、
前記車両の安全の確保を促す情報である第1報知情報と、
前記車両の燃費又は電費を改善することが可能な運転指示に関する情報である第2報知情報と、
前記運転指示に基づいて前記車両の運転が行われることにより前記車両の走行が一時的に不自然になっていることを認知させる情報である第3報知情報と、が含まれ、
前記報知情報の優先度を設定させる際に、
前記車両の周辺情報に基づいて前記第1報知情報を報知すべき状況であると判断される場合には、前記第1報知情報の優先順位を最も高く設定させ、
前記車両の周辺情報に基づいて前記第1報知情報を報知すべき状況でないと判断され、且つ前記車両の走行が不自然な状態でない場合には、前記第2報知情報の優先順位を最も高く設定させ、
前記車両の周辺情報に基づいて前記第1報知情報を報知すべき状況でないと判断され、且つ前記車両の走行が不自然な状態である場合には、前記第3報知情報の優先順位を最も高く設定させ、
前記車両の前方を走行する車両を先行車両とするとき、前記車両に対する前記先行車両の相対距離が所定の距離閾値よりも長く、且つ前記車両に対する前記先行車両の相対速度が所定の速度閾値よりも速い場合には、前記車両の走行が不自然な状態であると判断させ、
前記先行車両の相対距離が前記所定の距離閾値以下である場合、又は前記車両の相対速度が前記所定の速度閾値以下である場合には、前記車両の走行が不自然な状態でないと判断させる
報知プログラム。
【請求項12】
少なくとも一つの処理部(32)に、
車両の周辺情報を取得させ、
前記車両の周辺情報に基づいて複数の報知情報の優先度を設定させ、
前記優先度に基づいて複数の前記報知情報を報知対象者に報知させ、
前記報知情報には、
前記車両の安全の確保を促す情報である第1報知情報と、
前記車両の燃費又は電費を改善することが可能な走行制御が前記車両において実行されている旨を示す情報である第2報知情報と、
前記車両の運転支援制御の実行により前記車両の走行が一時的に不自然になっていることを認知させる情報である第3報知情報と、が含まれ、
前記報知情報の優先度を設定させる際に、
前記車両の周辺情報に基づいて前記第1報知情報を報知すべき状況であると判断される場合には、前記第1報知情報の優先順位を最も高く設定させ、
前記車両の周辺情報に基づいて前記第1報知情報を報知すべき状況でないと判断され、且つ前記車両の走行が不自然な状態でない場合には、前記第2報知情報の優先順位を最も高く設定させ、
前記車両の周辺情報に基づいて前記第1報知情報を報知すべき状況でないと判断され、且つ前記車両の走行が不自然な状態である場合には、前記第3報知情報の優先順位を最も高く設定させ、
前記車両の前方を走行する車両を先行車両とするとき、前記車両に対する前記先行車両の相対距離が所定の距離閾値よりも長く、且つ前記車両に対する前記先行車両の相対速度が所定の速度閾値よりも速い場合には、前記車両の走行が不自然な状態であると判断させ、
前記先行車両の相対距離が前記所定の距離閾値以下である場合、又は前記車両の相対速度が前記所定の速度閾値以下である場合には、前記車両の走行が不自然な状態でないと判断させる
報知プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、車両の報知システム、及び報知プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、下記の特許文献1に記載の車両の報知システムがある。特許文献1に記載の報知システムは、報知情報が複数存在する場合、予め設定された重要度情報に基づいて、重要度が高い順に報知情報が運転者に伝えられるようになっている。これにより、運転者に重要な情報から順に認知させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2012-190152号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両の置かれている状況は、車両の周辺を走行する周辺車両の走行状況や、車両の周辺に存在する歩行者やガードレール等の道路上の物体に対する自車両の相対距離等に応じて時々刻々と変化する。そのため、特許文献1に記載の報知装置のように、複数の報知情報の優先順位が予め設定されていると、実際に運転者に報知される情報が、車両が実際に置かれている状況に適合しない可能性がある。
【0005】
本開示は、こうした実情に鑑みてなされたものであり、その目的は、より適切な報知情報を報知対象者に伝えることが可能な車両の報知システム及び報知プログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決する車両の報知システムは、車両の周辺情報を取得する周辺情報取得部(34,35,36)と、車両の周辺情報に基づいて複数の報知情報の優先度を設定する優先度設定部(32)と、優先度設定部により設定された優先度に基づいて複数の報知情報を報知対象者に報知する報知部(37)と、を備える。ユーザ報知情報には、ユーザ車両の安全の確保を促す情報である第1報知情報と、ユーザ車両の燃費又は電費を改善することが可能な運転指示に関する情報である第2報知情報と、ユーザ運転指示に基づいてユーザ車両の運転が行われることによりユーザ車両の走行が一時的に不自然になっていることを認知させる情報である第3報知情報と、が含まれる。ユーザ優先度設定部は、ユーザ車両の周辺情報に基づいてユーザ第1報知情報を報知すべき状況であると判断した場合には、ユーザ第1報知情報の優先順位を最も高く設定し、ユーザ車両の周辺情報に基づいてユーザ第1報知情報を報知すべき状況でないと判断した場合には、ユーザ車両の走行が不自然な状態であるか否かを判断し、ユーザ車両の走行が不自然な状態でないと判断した場合には、ユーザ第2報知情報の優先順位を最も高く設定し、ユーザ車両の走行が不自然な状態であると判断した場合には、ユーザ第3報知情報の優先順位を最も高く設定し、車両の前方を走行する車両を先行車両とするとき、車両に対する先行車両の相対距離が所定の距離閾値よりも長く、且つ車両に対する先行車両の相対速度が所定の速度閾値よりも速い場合には、車両の走行が不自然な状態であると判断し、先行車両の相対距離が所定の距離閾値以下である場合、又は車両の相対速度が所定の速度閾値以下である場合には、車両の走行が不自然な状態でないと判断する
上記課題を解決する他の車両の報知システムは、車両の周辺情報を取得する周辺情報取得部(34,35,36)と、車両の周辺情報に基づいて複数の報知情報の優先度を設定する優先度設定部(32)と、優先度設定部により設定された優先度に基づいて複数の報知情報を報知対象者に報知する報知部(37)と、を備える。ユーザ報知情報には、ユーザ車両の安全の確保を促す情報である第1報知情報と、ユーザ車両の燃費又は電費を改善することが可能な走行制御がユーザ車両において実行されている旨を示す情報である第2報知情報と、ユーザ車両の運転支援制御の実行によりユーザ車両の走行が一時的に不自然になっていることを認知させる情報である第3報知情報と、が含まれる。ユーザ優先度設定部は、ユーザ車両の周辺情報に基づいてユーザ第1報知情報を報知すべき状況であると判断した場合には、ユーザ第1報知情報の優先順位を最も高く設定し、ユーザ車両の周辺情報に基づいてユーザ第1報知情報を報知すべき状況でないと判断した場合には、ユーザ車両の走行が不自然な状態であるか否かを判断し、ユーザ車両の走行が不自然な状態でないと判断した場合には、ユーザ第2報知情報の優先順位を最も高く設定し、ユーザ車両の走行が不自然な状態であると判断した場合には、ユーザ第3報知情報の優先順位を最も高く設定し、車両の前方を走行する車両を先行車両とするとき、車両に対する先行車両の相対距離が所定の距離閾値よりも長く、且つ車両に対する先行車両の相対速度が所定の速度閾値よりも速い場合には、車両の走行が不自然な状態であると判断し、先行車両の相対距離が所定の距離閾値以下である場合、又は車両の相対速度が所定の速度閾値以下である場合には、車両の走行が不自然な状態でないと判断する
上記課題を解決する報知プログラムは、少なくとも一つの処理部(32)に、車両の周辺情報を取得させ、ユーザ車両の周辺情報に基づいて複数の報知情報の優先度を設定させ、ユーザ優先度に基づいて複数のユーザ報知情報を報知対象者に報知させる。ユーザ報知情報には、ユーザ車両の安全の確保を促す情報である第1報知情報と、ユーザ車両の燃費又は電費を改善することが可能な運転指示に関する情報である第2報知情報と、ユーザ運転指示に基づいてユーザ車両の運転が行われることによりユーザ車両の走行が一時的に不自然になっていることを認知させる情報である第3報知情報と、が含まれる。ユーザ報知情報の優先度を設定させる際に、ユーザ車両の周辺情報に基づいてユーザ第1報知情報を報知すべき状況であると判断される場合には、ユーザ第1報知情報の優先順位を最も高く設定させ、ユーザ車両の周辺情報に基づいてユーザ第1報知情報を報知すべき状況でないと判断され、且つユーザ車両の走行が不自然な状態でない場合には、ユーザ第2報知情報の優先順位を最も高く設定させ、ユーザ車両の周辺情報に基づいてユーザ第1報知情報を報知すべき状況でないと判断され、且つユーザ車両の走行が不自然な状態である場合には、ユーザ第3報知情報の優先順位を最も高く設定させ、車両の前方を走行する車両を先行車両とするとき、車両に対する先行車両の相対距離が所定の距離閾値よりも長く、且つ車両に対する先行車両の相対速度が所定の速度閾値よりも速い場合には、車両の走行が不自然な状態であると判断させ、先行車両の相対距離が所定の距離閾値以下である場合、又は車両の相対速度が所定の速度閾値以下である場合には、車両の走行が不自然な状態でないと判断させる
上記課題を解決する他の報知プログラムは、少なくとも一つの処理部(32)に、車両の周辺情報を取得させ、ユーザ車両の周辺情報に基づいて複数の報知情報の優先度を設定させ、ユーザ優先度に基づいて複数のユーザ報知情報を報知対象者に報知させる。ユーザ報知情報には、ユーザ車両の安全の確保を促す情報である第1報知情報と、ユーザ車両の燃費又は電費を改善することが可能な走行制御がユーザ車両において実行されている旨を示す情報である第2報知情報と、ユーザ車両の運転支援制御の実行によりユーザ車両の走行が一時的に不自然になっていることを認知させる情報である第3報知情報と、が含まれる。ユーザ報知情報の優先度を設定させる際に、ユーザ車両の周辺情報に基づいてユーザ第1報知情報を報知すべき状況であると判断される場合には、ユーザ第1報知情報の優先順位を最も高く設定させ、ユーザ車両の周辺情報に基づいてユーザ第1報知情報を報知すべき状況でないと判断され、且つユーザ車両の走行が不自然な状態でない場合には、ユーザ第2報知情報の優先順位を最も高く設定させ、ユーザ車両の周辺情報に基づいてユーザ第1報知情報を報知すべき状況でないと判断され、且つユーザ車両の走行が不自然な状態である場合には、ユーザ第3報知情報の優先順位を最も高く設定させ、車両の前方を走行する車両を先行車両とするとき、車両に対する先行車両の相対距離が所定の距離閾値よりも長く、且つ車両に対する先行車両の相対速度が所定の速度閾値よりも速い場合には、車両の走行が不自然な状態であると判断させ、先行車両の相対距離が所定の距離閾値以下である場合、又は車両の相対速度が所定の速度閾値以下である場合には、車両の走行が不自然な状態でないと判断させる
【0007】
この構成によれば、複数の報知情報の優先度が車両の周辺情報に基づいて設定されるため、車両の周辺情報に応じた優先度の高い報知情報が報知対象者に報知されるようになる。そのため、より適切な報知情報を報知対象者に伝えることが可能となる。
なお、上記手段、特許請求の範囲に記載の括弧内の符号は、後述する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一例である。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、より適切な報知情報を報知対象者に伝えることが可能な車両の報知システムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1図1は、第1実施形態の車両の概略構成を示すブロック図である。
図2図2は、第1実施形態のACCECUにより実行される処理の手順を示すフローチャートである。
図3図3(A),(B)は、アクセルペダルの解放時期を運転者に認知させるための表示例を示す図である。
図4図4は、第1実施形態のACCECUにより実行される処理の手順を示すフローチャートである。
図5図5は、第1実施形態のACCECUによる理想走行範囲に対する自車両の逸脱量の算出方法の一例を示すグラフである。
図6図6は、第1実施形態のACCECUにより用いられる車速と確率との関係を示すグラフである。
図7図7は、第2実施形態のACCECUにより実行される処理の手順を示すフローチャートである。
図8図8は、第3実施形態のACCECUにより実行される処理の手順を示すフローチャートである。
図9図9は、第3実施形態のACCECUにより用いられる、先行車両との相対距離と各報知情報の優先順位との関係を示すマップである。
図10図10は、第3実施形態の報知装置による報知態様の一例を示す図である。
図11図11は、他の実施形態のACCECUにより用いられる、先行車両との相対速度と各報知情報の優先順位との関係を示すマップである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、車両の報知システムの実施形態について図面を参照しながら説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
<第1実施形態>
図1に示されるように、車両10は、モータジェネレータ20の他、インバータ装置21と、バッテリ22と、クラッチ23とを備えている。本実施形態の車両10は、モータジェネレータ20の動力に基づいて走行する、いわゆる電気自動車である。
【0011】
バッテリ22は、充電及び放電の可能なリチウムイオン電池等の二次電池からなる。インバータ装置21は、バッテリ22に充電されている直流電力を交流電力に変換し、変換された交流電力をモータジェネレータ20に供給する。モータジェネレータ20は、インバータ装置21から供給される交流電力に基づき駆動し、第1動力伝達軸24を回転させる。第1動力伝達軸24は、クラッチ23を介して第2動力伝達軸25に連結されている。クラッチ23は、第1動力伝達軸24と第2動力伝達軸25とを連結することによりそれらの間の動力の伝達を可能とする接続状態と、第1動力伝達軸24と第2動力伝達軸25との連結を解除することによりそれらの間の動力の伝達を遮断する非接続状態とに遷移可能である。クラッチ23が接続状態である場合、モータジェネレータ20から第1動力伝達軸24に伝達される動力は、第2動力伝達軸25、ディファレンシャルギア26、及び駆動軸27を介して車両10の車輪28に伝達される。この動力に基づき車輪28が回転することで車両10が走行する。
【0012】
モータジェネレータ20は、車両10の制動時に回生発電を行う。すなわち、車両10の制動時に車輪28に作用する制動力は、駆動軸27、ディファレンシャルギア26、第2動力伝達軸25、クラッチ23、及び第1動力伝達軸24を介してモータジェネレータ20に入力される。モータジェネレータ20は、この車輪28から入力される動力に基づいて発電する。モータジェネレータ20により発電される電力は、インバータ装置21により交流電力から直流電力に変換されてバッテリ22に充電される。
【0013】
車両10は、EV(Electric Vehicle)ECU(Electronic Control Unit)31と、ACC(Adaptive Cruise Control)ECU32と、HMI(human machine interface)ECU33と、通信装置34と、ミリ波レーダ装置35と、撮像装置36と、報知装置37とを備えている。各ECU31~33は、CPUやROM、RAM等の記憶装置を有するマイクロコンピュータを中心に構成されており、記憶装置に予め記憶されているプログラムを実行することにより各種制御を実行する。本実施形態では、ACCECU32、HMIECU33、通信装置34、ミリ波レーダ装置35、撮像装置36、及び報知装置37により車両10の報知システム30が構成されている。
【0014】
EVECU31は、車両10のアクセルペダルの踏み込み量に応じた車両の目標動力値を演算するとともに、モータジェネレータ20の出力動力が目標動力値となるようにインバータ装置21の駆動を制御する。また、EVECU31は、車両10の制動時にモータジェネレータ20の回生発電により生成される電力がバッテリ22に充電されるようにインバータ装置21の駆動を制御する。
【0015】
通信装置34は、車両10の周囲を走行する周辺車両や、道路上に設けられている交通管理装置との双方向通信を可能とするための装置である。通信装置34は、周辺車両との通信により周辺車両の各種情報を取得したり、交通管理装置との通信により各種交通情報を取得したりする。交通情報には、信号機の設置場所や渋滞情報等が含まれている。通信装置34は、取得した各種情報をACCECU32に送信する。
【0016】
ミリ波レーダ装置35は、車両10の周辺に電波を発するとともに、その電波の反射波に基づいて、車両の周辺に存在する物体を検知する。ミリ波レーダ装置35により検知される物体には、車両の周辺を走行する車両の他、車両の周辺に存在する人や障害物等が含まれている。ミリ波レーダ装置35は、検知された物体の情報をACCECU32に送信する。
【0017】
撮像装置36は、車両10の周辺を所定の周期で撮像することにより車両10の周辺の画像データを生成する。撮像装置36は、生成された画像データをACCECU32に送信する。
なお、本実施形態では、通信装置34、ミリ波レーダ装置35、及び撮像装置36が、車両10の周辺情報を取得する周辺情報取得部に相当する。
【0018】
ACCECU32は、通信装置34を通じて周辺車両の各種情報や交通情報を取得する。また、ACCECU32は、ミリ波レーダ装置35から送信される物体の検知情報、及び撮像装置36から送信される車両10の周辺の画像データに基づいて、車両10に対する物体の相対位置や相対速度等の情報を取得する。ACCECU32は、取得可能なそれらの情報に基づいて車両10の運転支援制御を実行する。
【0019】
具体的には、ACCECU32は、例えば車両10に設けられた操作部が乗員により操作されることに基づいて、車両10の前方を走行する先行車両に追従するように車両10の走行を制御するACC(Adaptive Cruise Control)制御を実行する。ACCECU32は、ACC制御の実行の際に、車両10を先行車両に追従させるために必要な加速度を演算するとともに、演算された加速度を加速度指令値としてEVECU31に送信する。加速度指令値は、車両10を加速させる場合には正の値に設定され、車両10を減速させる場合には負の値に設定される。また、加速度及び減速度が大きいほど、加速度指令値の絶対値は大きい値に設定される。EVECU31は、ACCECU32から送信される加速度指令値が正の値及び負の値のいずれであるかに基づいて、車両10を加速させるか、減速させるかを判断する。EVECU31は、車両10を加速させる場合には、加速度指令値に対応した目標動力値を演算するとともに、演算された目標動力値に応じた動力がモータジェネレータ20から出力されるようにインバータ装置21の駆動を制御する。一方、EVECU31は、車両10を減速させる場合には、モータジェネレータ20において回生発電が行われるようにインバータ装置21の駆動を制御する。
【0020】
HMIECU33は、ACCECU32から送信される報知情報に基づいて、車両10に搭載された報知装置37を制御することにより、車両10の乗員に対して各種報知を行う。報知装置37としては、スピーカやディスプレイ等を用いることができる。本実施形態では、報知装置37が報知部に相当する。また、車両10の運転者を含め、車両10の乗員が報知対象者に相当する。
【0021】
次に、ACCECU32により実行される報知情報の設定手順について図2を参照して説明する。なお、ACCECU32は、車両10の運転支援制御が実行されていないときに、すなわち運転者が車両10をマニュアル運転しているときに、図2に示される処理を所定の周期で繰り返し実行する。
【0022】
図2に示されるように、ACCECU32は、まず、ステップS10の処理として、通信装置34、ミリ波レーダ装置35、及び撮像装置36により検出可能な情報に基づいて、先行車両を含め、車両10の周辺を走行する周辺車両の相対位置や相対速度等の情報を取得する。
【0023】
続いて、ACCECU32は、ステップS11の処理として、車両10が安全な状態であるか否かを判断する。具体的には、ACCECU32は、ミリ波レーダ装置35及び撮像装置36により検出可能な情報に基づいて先行車両の相対距離及び相対速度の情報を取得する。ACCECU32は、先行車両の相対距離が第1距離閾値Dth1以下であるか、又は先行車両の相対速度が第1速度閾値Vth1以下である場合には、車両10が安全な状態ではないと判断する。なお、先行車両の相対速度とは、車両10の絶対速度よりも先行車両の絶対速度の方が速い場合に正の値を示し、車両10の絶対速度よりも先行車両の絶対速度の方が遅い場合に負の値を示すものである。また、第1距離閾値Dth1及び第1速度閾値Vth1は正の値に設定されている。車両10が安全な状態ではない場合、ACCECU32は、ステップS11の処理で否定判断し、ステップS12の処理において、車両10の安全を確保するために必要な安全確保情報を報知情報として用いることを決定する。より詳細には、ACCECU32は、車両10が衝突する可能性がある旨の報知や、ブレーキペダルを踏み込むことを促す報知を報知装置37により行うことを決定する。
【0024】
なお、ステップS11に示される処理では、先行車両の相対距離及び相対速度に代えて、それらから演算可能な指標値を用いても良い。
ACCECU32は、ステップS12の処理を実行した後、ステップS14の処理として、ステップS12の処理で設定された報知情報をHMIECU33に送信する。この場合、HMIECU33は、報知装置37により、車両10が衝突する可能性がある旨の報知や、ブレーキペダルを踏み込むことを促す報知を行う。
【0025】
一方、ACCECU32は、ステップS11の処理において、先行車両の相対距離が第1距離閾値Dth1よりも長く、且つ先行車両の相対速度が第1速度閾値Vth1よりも速い場合には、車両10が安全な状態であると判断する。この場合、ACCECU32は、ステップS11の処理で肯定判断し、続くステップS13の処理として、車両10の走行が不自然な状態であるか否かを判断する。車両10の走行が不自然な状態とは、後述するステップS14の処理において報知装置37を通じて報知される運転方法に従って運転者が車両10を運転した結果、車両10の走行が不自然になる状態である。具体的には、ACCECU32は、先行車両の相対距離が第2距離閾値Dth2以下であるか、又は先行車両の相対速度が第2速度閾値Vth2以下である場合には、車両10の走行が不自然な状態ではないと判断する。この場合、ACCECU32は、ステップS13の処理で否定判断し、ステップS14の処理を実行する。
【0026】
ACCECU32は、ステップS14の処理として、車両10の電費を改善するための運転方法に関する情報の報知を報知装置37により行うことを決定する。具体的には、ACCECU32は、周辺車両の挙動に基づいて、車両10の電費を低減するために最適なアクセルペダルの解放時期を演算するとともに、演算された解放時期を、図3(A),(B)に示されるような視覚情報として報知装置37により表示するようにHMIECU33に指示する。図3(A),(B)に示されるように、報知装置37には、複数のゲージG1~G9の画像が表示されている。ACCECU32は、アクセルペダルの解放時期を演算した後、その解放時期から所定時間前の時点からゲージG1~G9を順次点灯させる。ACCECU32は、ゲージG9の点灯時期がアクセルペダルの解放時期に一致するように、図3(A)に示されるようにゲージG1~G9をこの順で順次点灯させる。そして、図3(B)に示されるようにゲージG9が点灯した時点で運転者がアクセルペダルを解放すれば、車両10の電費を最も低減することが可能となっている。
【0027】
なお、ACCECU32は、車両10の電費を低減するために最適なアクセルペダルの解放時期を図4に示される処理を実行することにより演算する。図4に示されるように、ACCECU32は、まず、ステップS20の処理として、ミリ波レーダ装置35及び撮像装置36により周辺車両の現在の状態量を取得する。周辺車両の現在の状態量には、周辺車両の相対距離、相対速度、及び相対加速度等が含まれている。
【0028】
ACCECU32は、ステップS20に続くステップS21の処理として、先行車両や隣接走行車両を含む周辺車両の将来の状態量を予測する。予測される周辺車両の状態量には、周辺車両の将来の相対位置、相対距離、相対速度、相対加速度の時系列的なデータ等が含まれている。具体的には、ACCECU32は、周辺車両の状態量の現在の値及び過去の値から演算式やモデル等を用いて、現在から所定時間経過後までの将来の状態量を予測する。これにより、ACCECU32は、現在から所定時間経過後までの周辺車両の挙動を予測することができる。
【0029】
なお、ステップS21の予測処理は、周辺車両の状態量の現在の値及び過去の値に限らず、その他の周辺車両の状態量に関する情報に基づいて実行してもよい。本予測は、過去の車両走行データを基に、周辺車両の挙動を所定の確率モデルで表現して、時系列波形として予想してもよいし、現在走行している地点を過去に走行した車両の走行データを統計的に処理して、ある地点における車両の減速や割り込み確率を算出してもよい。予想時間は、通常走行における加速度で走行車速として考え得る全車速まで至れるだけの時間とする。例えば、加速度の範囲は、「-1[G]」から「1[G]」の範囲に設定し、全車速は、「0[km/h]」から法廷制限車速とすればよい。
【0030】
ACCECU32は、ステップS21に続くステップS22の処理として、周辺車両の挙動に基づいて車両10を減速させる必要があるか否かを判定する。この判定処理は、具体的には以下のような手法により実行される。
N個の周辺車両が存在する場合、値iを「1≦i≦N」の範囲の整数と定義したとき、i番目の周辺車両の走行に対して車両10が所定の状態量b(t)で走行するとする。状態量b(t)は、例えば時間tを変数とする速度の関数である。そして、車両10が状態量b(t)で走行するとき、車両10に発生する制動エネルギが「Ebrk i(b(t))」で表せるとする。「Ebrk i(b(t))」は、現在から所定時間経過後までの期間に車両10を減速させた際に発生する制動エネルギの予測値である。
【0031】
また、i番目の周辺車両に対する車両10の追従性能は、図5に示されるように、車両10を先行車両に追従させる上で理想的な車間距離の範囲を理想走行範囲Sとすると、現在から所定時間経過後までの期間における理想走行範囲Sに対する車両10の予想位置の逸脱量yiにより評価することができる。理想走行範囲Sは、一点鎖線で示されるi番目の周辺車両の予想走行位置を基準に設定されており、周辺車両の予測走行位置から演算式等を用いて求めることができるようになっている。そして、車両10の追従性能評価値Ci(b(t))は、理想走行範囲Sに対する車両10の予想位置の逸脱量yiを用いて、以下の式f1により求めることが可能である。なお、式f1の「T」は、予測時間である。
【0032】
【数1】
以上により、N個の周辺車両に対する自車両の制動エネルギの期待値Ebrk(b(t))、及び追従性能評価値の期待値C(b(t))は、以下の式f2,f3により定義することができる。
【0033】
【数2】
なお、式f2,f3の「pi」は、i番目の周辺車両の挙動の発生確率である。詳しくは、i番目の周辺車両の挙動の予測結果には所定の不確かさが含まれていることを考慮して、本実施形態では、車両10が状態量b(t)で走行する際にi番目の周辺車両の状態量が出現する確からしさを示すパラメータとして確率piが用いられている。例えば、所定の時刻におけるi番目の周辺車両の車速は、図6に示されるような確率として表すことができる。
【0034】
上記の自車両の制動エネルギの期待値Ebrk(b(t))、及び追従性能評価値の期待値C(b(t))を用いることにより、以下の式f4で表されるような評価関数FE1を構成することができる。
【0035】
【数3】
なお、式f4の「k」は、制動エネルギ及び追従性能評価値のそれぞれの重み付け係数である。係数kは、「0≦k≦1」の範囲で設定される値である。本実施形態では、重み付け係数として、予め定められた値が用いられている。
【0036】
この評価関数FE1の値が最小となるように車両10の状態量b(t)を決定すれば、追従性能を確保しつつ、制動エネルギが抑制された車両10の状態量b(t)を求めることができる。換言すれば、追従性能を確保しつつ、電費を改善することの可能な車両10の状態量b(t)を求めることができる。
【0037】
以上の手法に基づいて、ACCECU32は、図4に示されるステップS22の判定処理を実行する。具体的には、ACCECU32は、制動エネルギEbrk i(b(t))の演算式として、例えば予め実験等により求められた演算式を用いる。
また、ACCECU32は、ステップS21の処理で取得した予測情報のうち、i番目の周辺車両の予測状態量に基づいて、i番目の周辺車両の予想走行軌跡を走行モデル等から演算する。また、ACCECU32は、演算されたi番目の周辺車両の予想走行軌跡に基づいて理想走行範囲Sを求めることにより、車両10の追従性能評価値Ci(b(t))の演算式を決定する。
【0038】
さらに、ACCECU32は、予め記憶装置に記憶されている走行モデルと、i番目の周辺車両の状態量とに基づいて、i番目の周辺車両の状態量の発生確率piを演算する。 このようにして、ACCECU32は、上記の式f4における制動エネルギEbrk i(b(t))の演算式、追従性能評価値Ci(b(t))の演算式、及び発生確率piを決定した後、評価関数FE1の値が最小となるように車両10の状態量b(t)を決定する。評価関数FE1の最小化にあたっては、車両10の挙動を複数通り考え、それらのそれぞれの時の評価関数の値を算出するとともに、それらのうち評価関数FE1の値が最小となる車両10の状態量b(t)を選んでもよいし、最適化手法を用いて決定してもよい。状態量b(t)は車両10の速度の関数であるため、以上の演算により、ACCECU32は、評価関数FE1の値が最小となるような、すなわち車両10の電費を最小となるような車両10の速度v(t)を得ることができる。速度v(t)は、現在からの経過時間tに応じた車両10の速度を示すもの、換言すれば車両10の速度プロフィールを示すものである。
【0039】
ACCECU32は、演算された速度v(t)に基づいて、車両10の減速が必要となる時期Taを予測する。例えば、ACCECU32は、速度v(t)の時間微分値である加速度が負の値になる時刻tを減速時期Taと判断する。ACCECU32は、減速時期Taが存在する場合には、図4に示されるステップS22の処理で肯定判定し、続くステップS24の処理として、車両10の減速が必要となるまでの猶予時間Tbを減速時期Taから演算するとともに、演算された猶予時間Tbを将来減速情報として設定する。この将来減速情報として設定される猶予時間Tbが、車両10の電費を低減するために最適なアクセルペダルの解放時期に相当する。一方、ACCECU32は、減速時期Taが存在しない場合には、ステップS22の処理で否定判定し、続くステップS23の処理として、車両10の将来減速情報には何の情報も設定しない。したがって、この場合には、アクセルペダルの解放時期が設定されないことになる。
【0040】
ACCECU32は、ステップS23の処理又はステップS24の処理を実行した後、ステップS25の処理として、設定された将来減速情報をHMIECU33に送信する。
図2に示されるように、ACCECU32は、ステップS14の処理を実行した後、ステップS16の処理として、ステップS14の処理で設定された報知情報をHMIECU33に送信する。この場合、HMIECU33は、図4のステップS24の処理でACCECU32から送信される将来減速情報に基づいて、図3に示される報知装置37のゲージG1~G9を点灯させる。具体的には、HMIECU33は、将来減速情報に猶予時間Tbが含まれている場合には、その猶予時間Tbの経過後にゲージG9が点灯状態となるように、ゲージG1~G9を順次点灯させる。一方、HMIECU33は、将来減速情報に猶予時間Tbが含まれていない場合には、ゲージG1~G9を点灯させない。
【0041】
一方、ACCECU32は、ステップS13の処理において、報知装置37を通じて報知される運転方法に従って運転者が車両10を運転している状態であるときに、先行車両の相対距離が第2距離閾値Dth2よりも長く、且つ先行車両の相対速度が第2速度閾値Vth2よりも速くなった場合には、車両10の走行が不自然であると判断する。この場合、ACCECU32は、ステップS13の処理で肯定判断し、続くステップS15の処理として、運転指示に関する情報を報知情報として用いることを決定する。例えば、ACCECU32は、電費を改善するための運転指示に基づいて車両10の運転が行われているために車両10の走行が一時的に不自然になっていることを乗員に認知させるための報知を報知装置37により行うことを決定する。
【0042】
ACCECU32は、ステップS15の処理を実行した後、ステップS16の処理として、ステップS15の処理で設定された報知情報をHMIECU33に送信する。この場合、HMIECU33は、報知装置37により、車両10の電費を改善するために車両10の走行が一時的に不自然になっている旨を報知する。
【0043】
以上説明した本実施形態の車両10の報知システム30によれば、以下の(1)~(3)に示される作用及び効果を得ることができる。
(1)ACCECU32は、図2に示されるステップS11の処理において、安全に関する報知情報、及び運転方法に関する報知情報のいずれの報知情報を優先的に報知するかを決定する。具体的には、ACCECU32は、先行車両の相対距離が第1距離閾値Dth1以下であるか、又は先行車両の相対速度が第1速度閾値Vth1以下である場合には、運転方法に関する報知情報よりも、安全に関する報知情報の優先度を高くする。また、ACCECU32は、先行車両の相対距離が第1距離閾値Dth1よりも長く、且つ先行車両の相対速度が第1速度閾値Vth1よりも速い場合には、安全に関する報知情報よりも、運転方法に関する報知情報の優先度を高くする。このように、ACCECU32は、複数の報知情報の優先度を設定する優先度設定部として機能する。報知装置37は、ACCECU32により設定された優先度に基づいて、安全に関する報知情報、又は運転方法に関する報知情報を車両10の乗員に報知する。このような構成によれば、各報知情報の優先度が車両10の周辺情報に基づいて設定されるため、車両10の周辺情報に応じた優先度の高い報知情報が車両10の乗員に報知されるようになる。そのため、より適切な報知情報を車両10の乗員に伝えることができる。
【0044】
(2)報知情報には、車両10の安全を確保するために車両10の乗員に報知する安全確保情報が含まれている。ACCECU32は、図2に示されるステップS11の処理で否定判断した場合には、すなわち車両10の周辺情報に基づいて安全確保情報を報知すべき状況であると判断した場合には、安全確保情報の優先順位を最も高くする。このような構成によれば、車両10の安全を確保し易くなる。
【0045】
(3)報知情報には、車両10の電費を改善するための運転方法に関する情報が含まれている。このような構成によれば、車両10の電費を改善し易くなる。
(変形例)
次に、第1実施形態の車両10の報知システム30の変形例について説明する。
【0046】
本変形例の報知装置37は、アクセルペダルの解放時期に代えて、アクセルペダルの踏み込み量及びブレーキペダルの踏み込み量に関する情報を報知する。
具体的には、ACCECU32は、上記の式f4で示される評価関数FE1の値が最小となるような車両10の状態量b(t)を求めることにより、車両10の電費を最小化することが可能な車両10の速度v(t)の情報を取得する。ACCECU32は、演算した速度v(t)の情報から、アクセルペダルの踏み込み量A及びブレーキペダルの踏み込み量Bを演算する。これらの演算は、例えば以下のようにして行われる。
【0047】
車両10の速度を「v」とし、車両の重量を「m」とし、車両10の走行抵抗がf(v)により算出可能であるとする。このとき、車両10が出力すべき駆動力F(v)は、以下の式f5により演算可能である。
【0048】
【数4】
この駆動力F(v)に基づいて、車両10の駆動パワーPは、以下の式f6により演算可能である。
【0049】
【数5】
この式f6を用いることにより、ACCECU32は、電費を最小化することが可能な車両10の速度v(t)の情報から、電費を最小化することが可能な車両10の駆動パワーPを演算することができる。よって、予めアクセルペダルの踏み込み量Aと駆動パワーPとの関係を示す演算式A(P(t))、及びブレーキペダルの踏み込み量Bと駆動パワーPとの関係を示す演算式B(P(t))を実験等により求めておけば、式f6を用いて演算される駆動パワーPからアクセルペダルの踏み込み量A及びブレーキペダルの踏み込み量Bを以下の式f7,f8のように設定することができる。
【0050】
【数6】
ここで、駆動パワーPに対して設定される閾値Pthは、駆動パワーPに対して演算式A(P(t)),B(P(t))のいずれを用いるべきかを予め実験等により求めた上で、その境界となる駆動パワーPの値に設定される。
【0051】
ACCECU32は、式f7,f8により演算されるアクセルペダルの踏み込み量A及びブレーキペダルの踏み込み量Bの情報をHMIECU33に送信する。HMIECU33は、ACCECU32から送信されるアクセルペダルの踏み込み量A及びブレーキペダルの踏み込み量Bの情報を、例えば視覚情報として報知装置37により報知する。
【0052】
このような構成によれば、車両10の電費を改善することが可能な運転方法を、より的確に運転者に伝えることが可能となる。
<第2実施形態>
次に、車両10の報知システム30の第2実施形態について説明する。以下、第1実施形態の報知システム30との相違点を中心に説明する。
【0053】
本実施形態の報知システム30は、車両10の運転支援制御に関する情報を乗員に対して報知する点で、第1実施形態の報知システム30と異なる。また、ACCECU32は、ACC制御において、周辺車両の挙動に応じて車両10の走行をより的確に制御する。
具体的には、ACCECU32は、ACC制御の実行中、先行車両の減速が予測される場合には、車両10を予め減速させる予測減速制御を実行する。具体的には、ACCECU32は、通信装置34を通じて取得される交通情報に基づいて、先行車両が減速を開始するか否かを判定する。例えば、ACCECU32は、交通情報に含まれる信号機の設置場所に基づいて、現在の先行車両の位置と信号機の設置場所との間の距離が所定距離以下になったと判断したとき、先行車両が減速を開始すると判定する。ACCECU32は、先行車両が減速を開始すると判定した時、車両10を予め減速させる予測減速制御を実行することにより、車両10と先行車両との車間距離を確保する。
【0054】
また、ACCECU32は、ACC制御の実行中、車両10が衝突の可能性があると判定した場合には、車両10の安全を確保するために、車両10を強制的に減速又は停止させる等の衝突回避制御を実行する。具体的には、ACCECU32は、ミリ波レーダ装置35及び撮像装置36により取得可能な情報に基づいて先行車両の相対距離及び相対速度の情報を取得する。ACCECU32は、取得した先行車両の相対距離が所定の第1距離閾値Dth1以下であり、且つ先行車両の相対速度が所定の第1速度閾値Vth1以下である場合には、車両10が先行車両に衝突する可能性があると判定し、車両10を強制的に減速又は停止させる。
【0055】
さらに、ACCECU32は、ACC制御の実行中、上記の式f4で示される評価関数FE1の値が最小となるような車両10の状態量b(t)を求めることにより、車両10の電費を最小化することが可能な車両10の速度v(t)の情報を得る。ACCECU32は、この速度v(t)の情報に基づいて車両10の走行を制御することにより、電費を最小化することが可能な車両10の走行を実現する。具体的には、ACCECU32は、速度v(t)の時間微分値を演算することにより、車両10の目標加速度を求めた上で、この目標加速度を加速度指令値としてEVECU31に送信する。この加速度指令値に基づいてEVECU31がインバータ装置21を介してモータジェネレータ20を制御することにより、速度v(t)の情報に対応した車両10の走行を実現する。
【0056】
一方、ACCECU32は、ACC制御の実行中、図7に示される処理を所定の周期で繰り返し実行することにより報知情報の優先度を設定する。なお、図7に示される処理において、図2に示される処理と同一の処理には同一の符号を付すことにより重複する説明を割愛する。
【0057】
図7に示されるように、ACCECU32は、ステップS11の処理で否定判断した場合には、すなわち車両10が安全な状態ではないと判断した場合には、ステップS12の処理として、車両10の安全を確保するために必要な安全確保情報を報知情報として用いることを決定する。具体的には、ACCECU32は、車両10において運転支援制御を実行している場合には、上述の衝突回避制御が実行されることから、車両の走行制御が安全を確保するための衝突回避制御に遷移した旨を報知することを決定するか、あるいは何も報知しないことを決定する。
【0058】
ACCECU32は、ステップS12の処理を実行した後、ステップS16の処理として、ステップS12の処理で設定された報知情報をHMIECU33に送信する。この場合、HMIECU33は、報知装置37により、車両の走行制御が安全を確保するための衝突回避制御に遷移した旨を報知するか、あるいは何も報知しない。
【0059】
一方、ACCECU32は、ステップS11の処理で肯定判断した場合には、すなわち車両10が安全な状態であると判断した場合には、ステップS20の処理として、先行車両の走行状態に対して車両10の走行が不自然な状態であるか否かを判断する。車両10の走行が不自然な状態とは、先行車両と車両10との相対距離が広くなり過ぎている状態や、先行車両の相対速度が速くなり過ぎている状態である。上述の予測減速制御がACCECU32により実行されている場合には、先行車両と車両10との相対距離が広くなったり、先行車両の相対速度が速くなったりするため、結果的に車両10の走行が不自然な状態になる可能性がある。このような車両10の走行状態に車両10の乗員が違和感を覚える可能性がある。そこで、本実施形態のACCECU32は、このように車両10の走行が不自然な状態になった場合には、その状態が車両の走行制御に起因するものであることを車両10の乗員に報知することで、乗員の違和感を緩和するようにしている。
【0060】
具体的には、ACCECU32は、先行車両の相対距離が第2距離閾値Dth2よりも長く、且つ先行車両の相対速度が第2速度閾値Vth2よりも速い場合には、車両10の走行が不自然な状態であると判断する。第2距離閾値Dth2は第1距離閾値Dth1よりも大きい値に設定されている。また、第2速度閾値Vth2は第1速度閾値Vth1よりも大きい値に設定されている。ACCECU32は、車両10の走行が不自然な状態であると判断した場合には、ステップS20の処理で肯定判断し、続くステップS21の処理において、走行制御の意図に関する情報を報知情報として用いることを決定する。例えば、ACCECU32は、予測減速制御が実行されていることを乗員に認知させるための報知を報知装置37により行うことを決定する。
【0061】
ACCECU32は、ステップS21の処理を実行した後、ステップS16の処理として、ステップS21の処理で設定された報知情報をHMIECU33に送信する。この場合、HMIECU33は、報知装置37により、予測減速制御が実行されている旨を報知する。
【0062】
一方、ACCECU32は、先行車両の相対距離が第2距離閾値Dth2以下であるか、又は先行車両の相対速度が第2速度閾値Vth2以下である場合には、車両10の走行が不自然な状態ではないと判断する。この場合、ACCECU32は、ステップS20の処理で否定判断し、続くステップS14の処理として、車両10の電費を改善するための運転方法に関する情報の報知を報知装置37により行うことを決定する。具体的には、ACCECU32は、電費を最小化することが可能な速度v(t)を実現するための車両10の走行制御が実行されている旨の報知、または速度v(t)の情報そのものの報知を報知装置37により行うことを決定する。
【0063】
ACCECU32は、ステップS14の処理を実行した後、ステップS16の処理として、ステップS14の処理で設定された報知情報をHMIECU33に送信する。この場合、HMIECU33は、報知装置37により、電費を最小化するための車両10の走行制御が実行されている旨を報知するか、あるいは速度v(t)の情報そのものを視覚情報として報知する。
【0064】
以上説明した本実施形態の車両10の報知システム30によれば、以下の(4)に示される作用及び効果を更に得ることができる。
(4)報知情報には、車両の走行制御に関する情報が含まれている。これにより、車両の走行制御が自動的に行われることにより運転者に与える違和感を緩和することができる。
【0065】
<第3実施形態>
次に、車両10の報知システム30の第3実施形態について説明する。以下、第2実施形態の報知システム30との相違点を中心に説明する。
本実施形態の報知システム30は、各報知情報の優先度に応じて各情報の報知態様を変更する点で、第2実施形態の報知システム30と異なる。
【0066】
具体的には、本実施形態のACCECU32は、図7に示される処理に代えて、図8に示される処理を実行する。図8に示されるように、ACCECU32は、ステップS11の処理で肯定判断した場合には、すなわち車両10が安全な状態であると判断した場合には、ステップS30の処理として、各報知情報の優先順位を算出する。具体的には、ACCECU32は、図9に示されるマップを用いて各報知情報の優先順位を算出する。図9に示されるマップは、車両10と先行車両との相対距離を横軸とし、各報知情報の優先度P1~P3を縦軸として、それらの関係を示したものである。図9に示されるマップでは、安全に関する報知情報の優先度P1が実線で示され、走行制御の意図に関する報知情報の優先度P2が一点鎖線で示され、車両10の電費を改善するための運転方法に関する報知情報の優先度P3が二点鎖線で示されている。
【0067】
図9に実線で示されるように、安全に関する報知情報の優先度P1は、先行車両との相対距離が長くなるほど低くなるように設定されている。また、図9に一点鎖線で示されるように、走行制御の意図に関する報知情報の優先度P2は、先行車両との相対距離が長くなるほど高くなるように設定されている。さらに、図9に二点鎖線で示されるように、車両10の電費を改善するための運転方法に関する報知情報の優先度P3は、先行車両との相対距離が中域の距離で最も高くなるように設定されている。ACCECU32は、車両10と先行車両との相対距離から、図9に示されるマップを用いて、各報知情報の優先度P1~P3を演算する。
【0068】
図8に示されるように、ACCECU32は、ステップS30に続くステップS31の処理として、各報知情報の報知内容を確定する。
具体的には、ACCECU32は、運転者が車両10をマニュアル運転している場合には、安全に関する報知情報として、車両10が衝突する可能性がある旨の報知や、ブレーキペダルを踏み込むことを促す報知を報知装置37により行うことを決定する。また、ACCECU32は、車両10の運転支援制御が実行されている場合には、安全に関する報知情報として、車両の走行制御が安全を確保するための衝突回避制御に遷移した旨を報知することを決定する。
【0069】
一方、ACCECU32は、走行制御の意図に関する報知情報として、予測減速制御が実行されていることを乗員に認知させるための報知を報知装置37により行うことを決定する。
さらに、ACCECU32は、運転者が車両10をマニュアル運転している場合には、車両10の電費を改善するための運転方法に関する報知情報として、車両10の電費を低減するために最適なアクセルペダルの解放時期を図3に示されるような視覚情報として報知装置37により表示することを決定する。また、ACCECU32は、車両10の運転支援制御が実行されている場合には、車両10の電費を改善するための運転方法に関する報知情報として、電費を最小化することが可能な速度v(t)を実現するための車両10の走行制御が実行されている旨の報知、または速度v(t)そのものの情報の報知を報知装置37により行うことを決定する。
【0070】
ACCECU32は、ステップS31に続くステップS32の処理として、ステップS31で決定された各報知情報の報知内容と共に、各報知情報の報知態様をHMIECU33に送信する。ACCECU32は、各報知情報の報知態様として、優先度の高い報知情報ほど、より大きく表示されるようにHMIECU33に指示する。例えば、先行車両との相対距離が図9に示される「H1」である場合には、各報知情報の優先度P1~P3は「P3>P1>P2」の関係を満たすように設定される。この場合、ACCECU32は、図10に示されるように、車両10の電費を改善するための運転方法に関する報知情報の画像I1を最も大きくするとともに、安全に関する報知情報の画像I3、走行制御の意図に関する報知情報の画像I2の順で表示が小さくなるようにHMIECU33に指示する。これにより、HMIECU33は、図10に示されるような画像を報知装置37に表示する。
【0071】
一方、ACCECU32は、図8に示されるように、ステップS11の処理で否定判断した場合には、すなわち車両10が安全な状態であると判断した場合には、ステップS12の処理として、車両10の安全を確保するために必要な安全確保情報を報知情報として用いることを決定する。この場合、ACCECU32は、続くステップS32の処理として、安全確保情報のみを表示するようにHMIECU33に指示する。これにより、HMIECU33は、安全確保情報のみを報知装置37により報知する。
【0072】
以上説明した本実施形態の車両10の報知システム30によれば、以下の(5),(6)に示される作用及び効果を更に得ることができる。
(5)報知装置37は、複数の報知情報のうち、優先度が高いものほど、運転者に認知し易くなるように報知態様を変更する。このような構成によれば、より重要な情報が運転者に認知され易くなる。
【0073】
(6)報知装置37は、報知態様の変更として、図10に示されるように運転者の視覚への伝達態様を変更するものであって、複数の報知情報のうち、優先度の高いものほど、視認性が高くなるように報知態様を変更する。このような構成によれば、優先度の高い報知情報を、より確実に運転者に認知させることができる。
【0074】
<他の実施形態>
なお、各実施形態は、以下の形態にて実施することもできる。
・第3実施形態のACCECU32は、図9に示されるマップに代えて、図11に示されるようなマップ、すなわち車両10と先行車両との間の相対速度、及び各報知情報の優先度P1~P3の関係を示すマップを用いてもよい。
【0075】
・第3実施形態の報知装置37は、各報知情報の優先度に応じて視認性を変更する方法として、各報知情報の大きさを変更するという方法に代えて、色やデザイン等を変更してもよい。
・第3実施形態の報知装置37は、各報知情報の優先度に応じて視認性を変更するものに限らず、運転者の五感又は脳への伝達態様を変更するものであってもよい。この場合、報知装置37は、複数の報知情報のうち、優先度が高いものほど、より強い刺激を運転者の五感又は脳に与えるように報知態様を変更すればよい。五感への伝達態様としては、音や匂い等を用いることができる。また、安全に関する報知情報の優先度が高い状況では、車両10のハンドルやシートを振動させる、ハンドルやシートに電流を流す、シートベルトを締める、アクセルペダルやブレーキペダルに反力を与える等の方法を用いることができる。
【0076】
図2図7、及び図8に示されるステップS11の処理では、先行車両だけでなく、車両10の周辺に存在する周辺車両と車両10との間の相対距離や相対速度等に基づいて、車両10が安全か否かを判断してもよい。また、ステップS11の処理では、周辺車両を除く物体と車両10との間の相対距離や相対速度等に基づいて、車両10が安全か否かを判断してもよい。
【0077】
・報知装置37により行われる報知は、車両10の乗員だけでなく、車両10の外部で車両を管理する管理者に対して行われるものであってもよい。具体的には、管理者が操作する管理装置に対して車両10から報知情報を送信することにより、管理装置の報知部から管理者に対して各種報知を行う。
【0078】
・ACCECU32は、先行車両に追従するように車両10の走行を制御するACC制御を実行するものに限らず、例えばミリ波レーダ装置35や撮像装置36により取得可能な情報に基づいて車両10を自動的に走行させる、いわゆる自動運転を実行するものであってもよい。
【0079】
・各実施形態の構成は、電気自動車に限らず、内燃機関の動力に基づいて駆動する自動車にも適用可能である。このような自動車に各実施形態の構成を適用することで、電費に代えて、燃費を改善することが可能となる。
・本開示に記載のECU32,33及びそれらの制御方法は、コンピュータプログラムにより具体化された1つ又は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリを構成することによって提供された1つ又は複数の専用コンピュータにより、実現されてもよい。本開示に記載のECU32,33及びそれらの制御方法は、1つ又は複数の専用ハードウェア論理回路を含むプロセッサを構成することによって提供された専用コンピュータにより、実現されてもよい。本開示に記載のECU32,33及びそれらの制御方法は、1つ又は複数の機能を実行するようにプログラムされたプロセッサ及びメモリと1つ又は複数のハードウェア論理回路を含むプロセッサとの組み合わせにより構成された1つ又は複数の専用コンピュータにより、実現されてもよい。コンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されるインストラクションとして、コンピュータ読み取り可能な非遷移有形記録媒体に記憶されていてもよい。専用ハードウェア論理回路及びハードウェア論理回路は、複数の論理回路を含むデジタル回路、又はアナログ回路により実現されてもよい。
【0080】
・本開示は上記の具体例に限定されるものではない。上記の具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素、及びその配置、条件、形状等は、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
【符号の説明】
【0081】
10:車両
30:報知システム
32:ACCECU(優先度設定部)
34:通信装置(周辺情報取得部)
35:ミリ波レーダ装置(周辺情報取得部)
36:撮像装置(周辺情報取得部)
37:報知装置(報知部)
図1
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図11