(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】画像形成装置およびオートリセット制御方法
(51)【国際特許分類】
G06F 3/12 20060101AFI20240116BHJP
G03G 21/00 20060101ALI20240116BHJP
B41J 29/00 20060101ALI20240116BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240116BHJP
H04N 1/00 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
G06F3/12 354
G03G21/00 380
G03G21/00 386
B41J29/00 T
B41J29/38
G06F3/12 304
G06F3/12 357
H04N1/00 350
(21)【出願番号】P 2019104623
(22)【出願日】2019-06-04
【審査請求日】2022-05-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000001270
【氏名又は名称】コニカミノルタ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】古林 清彦
【審査官】橘 高志
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-064982(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 3/12
G03G 21/00
B41J 29/00
B41J 29/38
H04N 1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の画面が表示され、ユーザーによる操作がない状態が第1の所定時間経過した場合、前記第1の画面から第2の画面に遷移させるとともに、前記第1の画面で設定された設定値をデフォルト値にリセットするオートリセット機能を実行するオートリセット部と、
前記第1の画面
が、前記ユーザーが画像形成装置に対する設定を行うための設定画面である場合、前記オートリセット部に前記オートリセット機能を実行させる一方、前記第1の画面が、前記ユーザーが前記画像形成装置に関する状態の確認を行うための状態表示画面である場合、前記オートリセット部に前記オートリセット機能を実行させない制御部と、
を備える画像形成装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第1の画面が前記状態表示画面である場合、前記状態表示画面が表示されている状態が前記第1の所定時間より長い第2の所定時間経過したとき、前記状態表示画面から前記第2の画面に遷移させる、
請求項
1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記画像形成装置の付近に前記ユーザーが存在するか否かについて判定する存在判定部を備え、
前記制御部は、前記画像形成装置の付近に前記ユーザーが存在しないと判定された場合、前記第2の所定時間が経過したとき、前記状態表示画面から前記第2の画面に遷移させる一方、前記画像形成装置の付近に前記ユーザーが存在すると判定された場合、前記第2の所定時間が経過したとき、前記状態表示画面から前記第2の画面に遷移させない、
請求項
2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記状態表示画面は、前記ユーザーに実行指示された印刷ジョブの実行状態を表示する画面である、
請求項
3に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記設定画面において設定値が設定され前記状態表示画面に遷移した後に前記設定画面に遷移する場合、前記設定画面に遷移する前に、前記設定画面において設定された設定値をデフォルト値にリセットする、
請求項
1~
4の何れか1項に記載の画像形成装置。
【請求項6】
第1の画面が表示され、ユーザーによる操作がない状態が第1の所定時間経過した場合、前記第1の画面から第2の画面に遷移させるとともに、前記第1の画面で設定された設定値をデフォルト値にリセットするオートリセット機能を実行
するオートリセット部を有する画像形成装置において実行されるオートリセット制御方法であって、
前記第1の画面
が、前記ユーザーが前記画像形成装置に対する設定を行うための設定画面である場合、前記オートリセット部に前記オートリセット機能を実行させる一方、前記第1の画面が、前記ユーザーが前記画像形成装置に関する状態の確認を行うための状態表示画面である場合、前記オートリセット部に前記オートリセット機能を実行させない、
オートリセット制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置およびオートリセット制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、電子写真プロセス技術を利用した画像形成装置(プリンター、複写機、ファクシミリ等)は、帯電した感光体に対して、画像データに基づくレーザー光を照射(露光)することにより静電潜像を形成する。そして、静電潜像が形成された感光体へ現像装置よりトナーを供給することにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。さらに、このトナー像を転写ニップにおいて用紙に転写し、トナー像が転写された用紙を定着ニップにおいて加熱、加圧して定着させることにより用紙にトナー像を形成する。
【0003】
画像形成装置では、ユーザーは、複写やファックス等の設定画面上において、用紙のサイズや向き、部数、倍率、濃度などの各種項目値を装置のデフォルト値(標準設定値)として設定することができる。そして、ユーザーがデフォルト値と異なる設定値で例えば複写を行う場合には、ユーザーは、所望の設定値に変更してから複写を行うことになる。
【0004】
画像形成装置には、操作画面が表示され、ユーザーによる操作がない状態が所定時間経過した場合、操作画面からデフォルト画面に遷移させるとともに、操作画面で設定された設定値をデフォルト値にリセットするオートリセット機能が搭載されている。このオートリセット機能の実行により、設定値がデフォルト値から変更されたまま、他のユーザーが意図しない複写を行うことを回避することができる。
【0005】
オートリセット機能に関連する技術として、オートリセット機能を無効にした状態で起動したい場合には、オートリセット機能が無効である無効モードで起動することが可能な画像形成装置が提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
ところで、パーソナルコンピューターよりプリントジョブを画像形成装置に送信し、ユーザー自身が送信した印刷ジョブがいつ出力されるかを画像形成装置の操作画面にて確認するために、ジョブステータス画面を開く場合がある。
【0008】
この場合、ユーザーは、印刷ジョブのステータスを確認している際に、そのステータスを見ているだけで操作はしないため、ユーザーの意図に反してオートリセット機能が実行されてしまい、デフォルト画面に戻ってしまうという問題があった。このとき、ユーザーは、印刷ジョブのステータスを確認するためには、ジョブステータス画面に再び入り直す必要があり、使い勝手が悪い。
【0009】
ここで、複写やファックス等の設定画面は、ユーザーに操作させる画面であるため、通常、ユーザーが使用している間は操作によりオートリセット機能によるリセットが働くことはない。その一方、ステータス確認画面は、そもそもユーザーにステータスを確認させる画面であるため、ユーザーによる操作が長時間行われないことも多い。
【0010】
なお、上記特許文献1に記載の技術を利用し、オートリセット機能が無効である無効モードで画像形成装置を起動することによって上記問題を解決することが考えられる。しかしながら、この場合、設定画面が表示され、ユーザーによる操作がない状態が所定時間経過した場合でも、オートリセット機能が実行されないため、設定値がデフォルト値から変更されたまま、他のユーザーが意図しない複写等を行ってしまう可能性があるという別の問題が発生する。
【0011】
本発明は、ユーザーの意図に沿ってオートリセット機能を実行することが可能な画像形成装置およびオートリセット制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る画像形成装置は、
第1の画面が表示され、ユーザーによる操作がない状態が第1の所定時間経過した場合、前記第1の画面から第2の画面に遷移させるとともに、前記第1の画面で設定された設定値をデフォルト値にリセットするオートリセット機能を実行するオートリセット部と、
前記第1の画面が、前記ユーザーが画像形成装置に対する設定を行うための設定画面である場合、前記オートリセット部に前記オートリセット機能を実行させる一方、前記第1の画面が、前記ユーザーが前記画像形成装置に関する状態の確認を行うための状態表示画面である場合、前記オートリセット部に前記オートリセット機能を実行させない制御部と、
を備える。
【0013】
本発明に係るオートリセット制御方法は、
第1の画面が表示され、ユーザーによる操作がない状態が第1の所定時間経過した場合、前記第1の画面から第2の画面に遷移させるとともに、前記第1の画面で設定された設定値をデフォルト値にリセットするオートリセット機能を実行するオートリセット部を有する画像形成装置において実行されるオートリセット制御方法であって、
前記第1の画面が、前記ユーザーが前記画像形成装置に対する設定を行うための設定画面である場合、前記オートリセット部に前記オートリセット機能を実行させる一方、前記第1の画面が、前記ユーザーが前記画像形成装置に関する状態の確認を行うための状態表示画面である場合、前記オートリセット部に前記オートリセット機能を実行させない。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、ユーザーの意図に沿ってオートリセット機能を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】本実施の形態における画像形成装置の全体構成を概略的に示す図である。
【
図2】本実施の形態における画像形成装置の制御系の主要部を示す図である。
【
図3】本実施の形態における画像形成装置の動作例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。
【0017】
図1は、本実施の形態における画像形成装置1の全体構成を概略的に示す図である。
図2は、本実施の形態における画像形成装置1の制御系の主要部を示す図である。
【0018】
図1、2に示すように、画像形成装置1は、電子写真プロセス技術を利用した中間転写方式のカラー画像形成装置である。すなわち、画像形成装置1は、感光体上に形成されたC(シアン)、M(マゼンタ)、Y(イエロー)およびK(ブラック)の各色トナー像を中間転写体に一次転写し、中間転写体上で4色のトナー像を重ね合わせた後、用紙に二次転写することにより、画像を形成する。
【0019】
また、画像形成装置1には、CMYKの4色に対応する感光体を中間転写体の走行方向に直列配置し、中間転写体に一回の手順で各色トナー像を順次転写させるタンデム方式が採用されている。
【0020】
図1、2に示すように、画像形成装置1は、画像読取部10、操作表示部20、画像処理部30、画像形成部40、用紙搬送部50、定着部60および制御部100を備えている。制御部100は、本発明の「オートリセット部」、「制御部」および「存在判定部」として機能する。
【0021】
制御部100は、CPU(Central Processing Unit)101、ROM(Read Only Memory)102およびRAM(Random Access Memory)103等を備えている。CPU101は、ROM102から処理内容に応じたプログラムを読み出してRAM103に展開し、展開したプログラムと協働して画像形成装置1の各ブロックの動作を集中制御する。このとき、記憶部72に格納されているLUT(Look Up Table)等の各種データが参照される。記憶部72は、例えば不揮発性の半導体メモリ(いわゆるフラッシュメモリ)又はハードディスクドライブで構成される。
【0022】
制御部100は、通信部71を介して、LAN(Local Area Network)又はWAN(Wide Area Network)等の通信ネットワークに接続された外部の装置(例えばパーソナルコンピューター)との間で各種データの送受信を行う。制御部100は、例えば、外部の装置から送信された画像データを受信し、この画像データ(入力画像データ)に基づいて用紙に画像を形成する。通信部71は、例えばLANカード等の通信制御カードで構成される。
【0023】
画像読取部10は、ADF(Auto Document Feeder)と称される自動原稿給紙装置11及び原稿画像走査装置(スキャナー)12等を備えて構成される。
【0024】
自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された原稿Dを搬送機構により搬送して原稿画像走査装置12へ送り出す。自動原稿給紙装置11は、原稿トレイに載置された多数枚の原稿Dの画像(両面を含む)を連続して一挙に読み取ることができる。
【0025】
原稿画像走査装置12は、自動原稿給紙装置11からコンタクトガラス上に搬送された原稿D又はコンタクトガラス上に載置された原稿Dを光学的に走査し、原稿Dからの反射光をCCD(Charge Coupled Device)センサー12aの受光面上に結像させ、原稿画像を読み取る。画像読取部10は、原稿画像走査装置12による読取結果に基づいて入力画像データを生成する。この入力画像データには、画像処理部30において所定の画像処理が施される。
【0026】
操作表示部20は、例えばタッチパネル付の液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)で構成され、表示部21及び操作部22として機能する。表示部21は、制御部100から入力される表示制御信号に従って、各種操作画面及び各機能の動作状況等の表示を行う。操作部22は、テンキー及びスタートキー等の各種操作キーを備え、ユーザーによる各種入力操作を受け付けて、操作信号を制御部100に出力する。
【0027】
画像処理部30は、入力画像データに対して、初期設定又はユーザー設定に応じたデジタル画像処理を行う回路等を備えている。例えば、画像処理部30は、制御部100の制御下で、階調補正データ(階調補正テーブル)に基づいて階調補正を行う。また、画像処理部30は、入力画像データに対して、階調補正の他、色補正及びシェーディング補正等の各種補正処理、並びに圧縮処理等を施す。これらの処理が施された画像データに基づいて、画像形成部40が制御される。
【0028】
画像形成部40は、入力画像データに基づいて、Y成分、M成分、C成分及びK成分の各有色トナーによる画像を形成するための画像形成ユニット41Y、41M、41C、41K、及び中間転写ユニット42等を備えている。
【0029】
Y成分、M成分、C成分及びK成分用の画像形成ユニット41Y、41M、41C、41Kは、同様の構成を有する。図示及び説明の便宜上、共通する構成要素は同一の符号で示し、それぞれを区別する場合には符号にY、M、C又はKを添えて示すこととする。
図1では、Y成分用の画像形成ユニット41Yの構成要素についてのみ符号が付され、その他の画像形成ユニット41M、41C、41Kの構成要素については符号が省略されている。
【0030】
画像形成ユニット41は、露光装置411、現像装置412、感光体ドラム413、帯電装置414、及びドラムクリーニング装置415等を備えている。
【0031】
感光体ドラム413は、例えばアルミニウム製の導電性円筒体(アルミ素管)の周面に、アンダーコート層(UCL:Under Coat Layer)、電荷発生層(CGL:Charge Generation Layer)及び電荷輸送層(CTL:Charge Transport Layer)を順次積層することで構成された、光導電性を有する感光体である。感光体ドラム413は、例えば負帯電型の有機感光体(OPC:Organic Photo-conductor)である。
【0032】
帯電装置414は、光導電性を有する感光体ドラム413の表面を一様に負極性に帯電させる。帯電装置414は、ストロコロン帯電器である。
【0033】
露光装置411は、例えば半導体レーザーで構成され、感光体ドラム413に対して各色成分の画像に対応するレーザー光を照射する。レーザー光の照射により感光体ドラム413の電荷発生層で正電荷が発生し、電荷輸送層の表面まで輸送されると、感光体ドラム413の表面電荷(負電荷)が中和される。その結果、感光体ドラム413の表面には、周囲との電位差により各色成分の静電潜像が形成される。
【0034】
現像装置412は、各色成分の現像剤(例えば、小粒径のトナーとキャリアー(磁性体)とからなる二成分現像剤)を収容しており、感光体ドラム413の表面に各色成分のトナーを付着させることにより静電潜像を可視化してトナー像を形成する。現像装置412における現像ローラーは、回転駆動される円筒状の現像スリーブ412Aと、現像スリーブ412A内に内挿され、回転しないように現像装置412の筺体に固定された円柱状のマグネットローラーとからなる。
【0035】
マグネットローラーは、その周方向に沿って複数の磁石が配されてなり、その磁力によってキャリアーが現像スリーブ412Aの外周面上に担持されて搬送され、感光体ドラム413と対向する位置(現像位置)で起立して磁気ブラシが形成される。キャリアーに静電吸着されて搬送されてきたトナーが、当該現像位置において、現像スリーブ412Aと感光体ドラム413との電位差により感光体ドラム413側に移動し、その周面に形成された静電潜像が現像される。
【0036】
ドラムクリーニング装置415は、感光体ドラム413の表面に摺接されるドラムクリーニングブレードを有する。一次転写後に感光体ドラム413の表面に残存する転写残トナーは、ドラムクリーニングブレードによって掻き取られ、除去される。
【0037】
中間転写ユニット42は、中間転写ベルト421、一次転写ローラー422、複数の支持ローラー423、二次転写ローラー424、及びベルトクリーニング装置426等を備える。
【0038】
中間転写ベルト421は無端状ベルトで構成され、複数の支持ローラー423にループ状に張架される。複数の支持ローラー423のうちの少なくとも1つは駆動ローラーで構成され、その他は従動ローラーで構成される。例えば、K成分用の一次転写ローラー422よりもベルト走行方向下流側に配置されるローラー423Aが駆動ローラーであることが好ましい。これにより、一次転写部におけるベルトの走行速度を一定に保持しやすくなる。駆動ローラー423Aが回転することにより、中間転写ベルト421は矢印A方向に一定速度で走行する。
【0039】
中間転写ベルト421は、導電性および弾性を有するベルトであり、表面に高抵抗層を有する。中間転写ベルト421は、制御部100からの制御信号によって回転駆動される。
【0040】
一次転写ローラー422は、各色成分の感光体ドラム413に対向して、中間転写ベルト421の内周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、一次転写ローラー422が感光体ドラム413に圧接されることにより、感光体ドラム413から中間転写ベルト421へトナー像を転写するための一次転写ニップが形成される。
【0041】
二次転写ローラー424は、駆動ローラー423Aのベルト走行方向下流側に配置されるバックアップローラー423Bに対向して、中間転写ベルト421の外周面側に配置される。中間転写ベルト421を挟んで、二次転写ローラー424がバックアップローラー423Bに圧接されることにより、中間転写ベルト421から用紙Sへトナー像を転写するための二次転写ニップが形成される。
【0042】
一次転写ニップを中間転写ベルト421が通過する際、感光体ドラム413上のトナー像が中間転写ベルト421に順次重ねて一次転写される。具体的には、一次転写ローラー422に一次転写バイアスを印加し、中間転写ベルト421の裏面側、つまり一次転写ローラー422と当接する側にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は中間転写ベルト421に静電的に転写される。
【0043】
その後、用紙Sが二次転写ニップを通過する際、中間転写ベルト421上のトナー像が用紙Sに二次転写される。具体的には、二次転写ローラー424に二次転写バイアスを印加し、用紙Sの裏面側、つまり二次転写ローラー424と当接する側にトナーと逆極性の電荷を付与することにより、トナー像は用紙Sに静電的に転写される。トナー像が転写された用紙Sは定着部60に向けて搬送される。
【0044】
ベルトクリーニング装置426は、二次転写後に中間転写ベルト421の表面に残留する転写残トナーを除去する。
【0045】
定着部60は、用紙Sの定着面、すなわちトナー像が形成されている面側に配置される定着面側部材を有する上側定着部60A、用紙Sの裏面すなわち定着面の反対の面側に配置される裏面側支持部材を有する下側定着部60B、および加熱源等を備える。定着面側部材に裏面側支持部材が圧接されることにより、用紙Sを挟持して搬送する定着ニップが形成される。
【0046】
定着部60は、トナー像が二次転写され、搬送されてきた用紙Sを定着ニップで加熱、加圧することにより、用紙Sにトナー像を定着させる。定着部60は、定着器F内にユニットとして配置される。
【0047】
上側定着部60Aは、定着面側部材である無端状の定着ベルト61、加熱ローラー62および定着ローラー63を有する。定着ベルト61は、加熱ローラー62と定着ローラー63とによって張架されている。
【0048】
下側定着部60Bは、裏面側支持部材である加圧ローラー64を有する。加圧ローラー64は、定着ベルト61との間で用紙Sを挟持して搬送する定着ニップを形成している。
【0049】
用紙搬送部50は、給紙部51、排紙部52、及び搬送経路部53等を備える。給紙部51を構成する3つの給紙トレイユニット51a~51cには、坪量やサイズ等に基づいて識別された用紙S(規格用紙、特殊用紙)が予め設定された種類毎に収容される。
【0050】
給紙トレイユニット51a~51cに収容されている用紙Sは、最上部から一枚ずつ送出され、レジストローラー53a等の複数の搬送ローラーを備えた搬送機構により画像形成部40に搬送される。このとき、レジストローラー53aが配設されたレジスト部により、給紙された用紙Sの傾きが補正されると共に搬送タイミングが調整される。そして、画像形成部40において、中間転写ベルト421のトナー像が用紙Sの一方の面に転写され、定着部60において定着工程が施される。定着工程によりトナー像が定着された用紙Sは、排紙ローラー52aを備えた排紙部52により画像形成装置1の外部に排紙される。
【0051】
ところで、画像形成装置1では、ユーザーは、複写やファックス等の設定画面上において、用紙Sのサイズや向き、部数、倍率、濃度などの各種項目値を装置のデフォルト値(標準設定値)として設定することができる。そして、ユーザーがデフォルト値と異なる設定値で例えば複写(コピー)を行う場合には、ユーザーは、所望の設定値に変更してから複写を行うことになる。
【0052】
画像形成装置1には、操作画面が表示され、ユーザーによる操作がない状態が所定時間経過した場合、操作画面からデフォルト画面に遷移させるとともに、操作画面で設定された設定値をデフォルト値にリセットするオートリセット機能が搭載されている。このオートリセット機能の実行により、設定値がデフォルト値から変更されたまま、他のユーザーが意図しない複写を行うことを回避することができる。
【0053】
ここで、パーソナルコンピューターより印刷ジョブを画像形成装置1に送信し、ユーザー自身が送信した印刷ジョブがいつ出力されるかを画像形成装置1の操作画面にて確認するために、ジョブステータス画面を開く場合がある。
【0054】
この場合、ユーザーは、印刷ジョブのステータスを確認している際に、そのステータスを見ているだけで操作はしないため、ユーザーの意図に反してオートリセット機能が実行されてしまい、デフォルト画面に戻ってしまうという問題があった。このとき、ユーザーは、印刷ジョブのステータスを確認するためには、ジョブステータス画面に再び入り直す必要があり、使い勝手が悪い。
【0055】
複写やファックス等の設定画面は、ユーザーに操作させる画面であるため、通常、ユーザーが使用している間は操作によりオートリセット機能によるリセットが働くことはない。その一方、ステータス確認画面は、そもそもユーザーにステータスを確認させる画面であるため、ユーザーによる操作が長時間行われないことも多い。
【0056】
そこで本実施の形態では、制御部100は、第1の画面が表示され、ユーザーによる操作がない状態が第1の所定時間経過した場合、第1の画面から第2の画面(例えば、デフォルト画面)に遷移させるとともに、第1の画面で設定された設定値をデフォルト値にリセットするオートリセット機能を実行するか否かを、第1の画面の種類に応じて変更する制御を行う。
【0057】
具体的には、制御部100は、第1の画面が、ユーザーが画像形成装置1に対する設定を行う設定画面(例えば、印刷設定画面)である場合、オートリセット機能を実行させる。その一方、制御部100は、第1の画面が、画像形成装置1に関する状態を表示する状態表示画面である場合、オートリセット機能を実行させない。
【0058】
状態表示画面としては、ユーザーに実行指示された印刷ジョブの実行状態を表示するジョブステータス画面、コピー/プリント/スキャン等の実行カウント数を表示するカウンタ画面、消耗品の状態を表示する消耗品確認画面、画像形成装置1のIPアドレス、シリアルナンバー等を表示する装置情報表示画面、例えば警告情報としてトナーカートリッジの交換時期を示すメッセージ等を表示するインフォメーション画面などが挙げられる。
【0059】
図3は、本実施の形態における画像形成装置1の動作例を示すフローチャートである。なお、
図3に示す処理は、表示部21に操作画面が表示されている場合、所定時間(例えば、1秒)が経過する毎に実行される。
【0060】
まず、制御部100は、表示部21に表示されている操作画面(第1の画面)が設定画面であるか否かについて判定する(ステップS100)。判定の結果、操作画面が設定画面である場合(ステップS100、YES)、制御部100は、設定画面が表示され、ユーザーによる操作がない状態が第1の所定時間経過したか否かについて判定する(ステップS120)。
【0061】
判定の結果、第1の所定時間が経過していない場合(ステップS120、NO)、画像形成装置1は、
図3における処理を終了する。一方、第1の所定時間が経過している場合(ステップS120、YES)、設定画面からデフォルト画面(第2の画面)に遷移させるとともに、設定画面で設定された設定値をデフォルト値にリセットするオートリセット機能を実行させる(ステップS140)。ステップS140の処理が完了することによって、画像形成装置1は、
図3における処理を終了する。
【0062】
ステップS100の処理に戻って、操作画面が設定画面でない場合、すなわち、状態表示画面(例えば、ユーザーに実行指示された印刷ジョブの実行状態を表示するジョブステータス画面)である場合(ステップS100、NO)、制御部100は、状態表示画面が表示されている状態が第1の所定時間より長い第2の所定時間経過したか否かについて判定する(ステップS160)。第2の所定時間は、例えばユーザーが印刷ジョブの実行状態を十分確認することが可能な時間に設定される。
【0063】
判定の結果、第2の所定時間が経過していない場合(ステップS160、NO)、画像形成装置1は、
図3における処理を終了する。一方、第2の所定時間が経過している場合(ステップS160、YES)、制御部100は、画像形成装置1の付近にユーザー(例えば、印刷ジョブの実行を指示したユーザー)が存在するか否かについて判定する(ステップS180)。
【0064】
本実施の形態では、制御部100は、ユーザーが利用する携帯端末(例えば、スマートフォン)と画像形成装置1とが所定距離の範囲内に位置し、携帯端末と画像形成装置1との間で例えばBluetooth(登録商標)LE等の近距離通信が確立されたか否か(すなわちユーザー認証が成功したか否か)を確認する。そして、制御部100は、ユーザー認証が成功したことを確認した場合、画像形成装置1の付近にユーザーが存在すると判定する。一方、制御部100は、ユーザー認証が成功したことを確認しなかった場合、画像形成装置1の付近にユーザーが存在しないと判定する。
【0065】
ステップS180において、画像形成装置1の付近にユーザーが存在する場合(YES)、状態表示画面の表示は継続され、画像形成装置1は、
図3における処理を終了する。一方、画像形成装置1の付近にユーザーが存在しない場合(ステップS180、NO)、制御部100は、状態表示画面からデフォルト画面に遷移させる(ステップS200)。ステップS200の処理が完了することによって、画像形成装置1は、
図3における処理を終了する。
【0066】
以上詳しく説明したように、本実施の形態では、画像形成装置1は、第1の画面が表示され、ユーザーによる操作がない状態が第1の所定時間経過した場合、第1の画面から第2の画面(デフォルト画面)に遷移させるとともに、第1の画面で設定された設定値をデフォルト値にリセットするオートリセット機能を実行するオートリセット部(制御部100)と、第1の画面の種類に応じて、オートリセット機能を実行するか否かを変更するようにオートリセット部を制御する制御部(制御部100)とを備える。
【0067】
このように構成した本実施の形態によれば、第1の画面の種類に応じて、オートリセット機能を実行するか否かが変更される。具体的には、第1の画面が、ユーザーが画像形成装置1に対する設定を行う設定画面である場合、オートリセット機能は実行される。その一方、第1の画面が、画像形成装置1に関する状態を表示する状態表示画面である場合、オートリセット機能は実行されない。そのため、ジョブステータス画面(状態表示画面)においてユーザーが印刷ジョブのステータスを確認している際に、そのステータスを見ているだけで操作を行わなくても、ユーザーの意図に反してオートリセット機能が実行されることはなくなる。すなわち、ユーザーは、印刷ジョブのステータスを確認するためにジョブステータス画面に再び入り直す必要がなくなる。したがって、画像形成装置1によれば、ユーザーの意図に沿ってオートリセット機能を実行することができる。
【0068】
また、本実施の形態では、制御部100は、第1の画面が状態表示画面である場合、状態表示画面が表示されている状態が第1の所定時間より長い第2の所定時間経過したとき、状態表示画面から第2の画面に遷移させる。この構成により、例えばユーザーが印刷ジョブの実行状態を十分確認することが可能な時間(第2の所定時間)が経過した後まで、状態表示画面が不必要に表示され続けることを防止することができる。
【0069】
また、本実施の形態では、制御部100は、画像形成装置1の付近にユーザーが存在しないと判定された場合、第2の所定時間が経過したとき、状態表示画面から第2の画面に遷移させる一方、画像形成装置1の付近にユーザーが存在すると判定された場合、第2の所定時間が経過したとき、状態表示画面から第2の画面に遷移させない。この構成により、ユーザーが印刷ジョブの実行状態を十分確認することが可能な時間(第2の所定時間)が経過した後でも、画像形成装置1の付近にユーザーが存在する場合(ユーザーが印刷ジョブの実行状態を引き続き確認したい意図があると推定される場合)、ユーザーの意図に沿って状態表示画面を第2の画面に遷移させずに表示させ続けることができる。
【0070】
なお、上記実施の形態では、第2の所定時間が第1の所定時間より長い例について説明したが、本発明はこれに限らない。例えば、第2の所定時間は、第1の所定時間以下の時間であっても良い。
【0071】
また、上記実施の形態において、制御部100は、設定画面において設定値が設定され状態表示画面に遷移した後に当該設定画面に遷移する(戻る)場合、設定画面に遷移する前に、設定画面において設定された設定値をデフォルト値にリセットすることが望ましい。例えば、設定画面から状態表示画面に遷移する際、または、状態表示画面から設定画面に遷移する際に設定値をデフォルト値にリセットする。このような構成により、例えばユーザーがファックスの宛先(設定値)を設定した状態で印刷ジョブのステータスを確認し、その後、画像形成装置1の周辺から立ち去った場合に、他のユーザーが当該設定値のまま意図しないファックス送信(誤送信)を行うことを回避することができる。
【0072】
また、上記実施の形態では、何れも本発明を実施するにあたっての具体化の一例を示したものに過ぎず、これらによって本発明の技術的範囲が限定的に解釈されてはならないものである。すなわち、本発明はその要旨、またはその主要な特徴から逸脱することなく、様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0073】
1 画像形成装置
10 画像読取部
20 操作表示部
21 表示部
22 操作部
30 画像処理部
40 画像形成部
50 用紙搬送部
60 定着部
71 通信部
72 記憶部
100 制御部
101 CPU
102 ROM
103 RAM