(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】ウエハマッピング装置およびロードポート装置
(51)【国際特許分類】
H01L 21/677 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
H01L21/68 A
(21)【出願番号】P 2019134715
(22)【出願日】2019-07-22
【審査請求日】2022-05-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001494
【氏名又は名称】前田・鈴木国際特許弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】阿部 知史
(72)【発明者】
【氏名】五十嵐 宏
(72)【発明者】
【氏名】小番 達裕
【審査官】渡井 高広
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-009876(JP,A)
【文献】特開平07-312375(JP,A)
【文献】特開2001-093958(JP,A)
【文献】特開2018-029210(JP,A)
【文献】特開2004-327911(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/677
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の検出軸を有する第1のセンサと、
前記第1の検出軸に対して傾いている第2の検出軸を有する第2のセンサと、
前記第1のセンサおよび前記第2のセンサを、前記第1の検出軸および前記第2の検出軸が検出対象であるウエハの1つ1つに順次交差するように、前記ウエハの配列方向に沿って移動させる移動手段と、を有し、
前記第1のセンサは第1の発光部と第1の受光部とを有し、前記第1の検出軸は、前記第1の発光部と前記第1の受光部とを結び、
前記第2のセンサは第2の発光部と第2の受光部とを有し、前記第2の検出軸は、前記第2の発光部と前記第2の受光部とを結び、
前記第1のセンサの前記第1の発光部と前記第1の受光部とは常に所定の間隔で配置され、前記第2のセンサの前記第2の発光部と前記第2の受光部とは常に所定の間隔で配置されるように、前記第1の発光部、前記第1の受光部、前記第2の発光部、前記第2の受光部は、相対的に移動不能に1つのマッピングフレームに対して固定的に設置されているウエハマッピング装置。
【請求項2】
前記第1の発光部と前記第2の受光部は、前記第1の検出軸または前記第2の検出軸が前記ウエハと交差する交差領域に対して一方側を前記配列方向に沿って移動し、
前記第1の受光部と前記第2の発光部は、前記交差領域に対して他方側を前記配列方向に沿って移動する請求項
1に記載のウエハマッピング装置。
【請求項3】
前記第1の発光部および前記第2の発光部の少なくともいずれか一方に、当該発光部から出射する光束の前記ウエハの配列方向の幅を絞るスリット部が設けられている請求項1または請求項2に記載のウエハマッピング装置。
【請求項4】
前記移動手段は、前記第1のセンサと前記第2のセンサとを一体に移動させる請求項1から請求項3までのいずれかに記載のウエハマッピング装置。
【請求項5】
前記第1の検出軸と前記第2の検出軸とは、前記配列方向に直交する方向から見て交差することを特徴とする請求項1から請求項4までのいずれかに記載のウエハマッピング装置。
【請求項6】
前記配列方向に直交する方向から見て、前記第1の検出軸と前記第2の検出軸とが交差してなす狭角は1~4度である請求項5に記載のウエハマッピング装置。
【請求項7】
前記第1の検出軸と前記第2の検出軸とは、前記配列方向から見て交差することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれかに記載のウエハマッピング装置。
【請求項8】
前記第1の検出軸および前記第2の検出軸が、前記配列方向に直交する面に対してなす狭角は0.5~2度である請求項1から請求項7までのいずれかに記載のウエハマッピング装置。
【請求項9】
前記第1のセンサおよび前記第2のセンサによる信号から前記ウエハの収容状態を検出する演算部を有し、
前記第1のセンサは前記第1の検出軸が前記ウエハのうち所定の1つに交差していることを示す第1検出信号を前記演算部に出力し、
前記第2のセンサは前記第2の検出軸が前記ウエハのうち前記所定の1つに交差していることを示す第2検出信号を前記演算部に出力し、
前記演算部は、前記第1検出信号と前記第2検出信号との長さの比を用いて、前記ウエハの収容状態を検出する請求項1から請求項8までのいずれかに記載のウエハマッピング装置。
【請求項10】
請求項1から請求項9までのいずれかに記載のウエハマッピング装置と、
前記ウエハを収容するポッドを載置する載置部と、
前記ポッドの蓋を開閉するドアと、を有するロードポート装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウエハマッピング装置およびロードポート装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ロードポート装置のようにウエハを受け渡しする装置には、ポッドなどに収容されるウエハの収容状態を検出するウエハマッピング装置が備えられる。ウエハマッピング装置は、ポッド内に収容されるウエハの数、位置を検出するとともに、ウエハが正常に収容されているかを検出する(特許文献1参照)。ウエハマッピング装置によって検出するウエハは、シリコンウエハやこれに処理を施したものの他、ガラス基板などの薄板状の材料が含まれる。
【0003】
一方、ウエハの大径化や薄型化が進み、また、半導体工場内での処理が多様化することにより、ウエハマッピング装置の検出対象であるウエハに、反りなどの変形が生じるケースが増えている。これにより、従来のマッピングデバイスでは、正常に収容されているウエハと、斜めに異常収容されているものの反りなどの変形が発生しているウエハとを適切に区別することができず、誤検出が生じるという問題が発生している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、ウエハに反りなどの変形が生じている場合であっても、ウエハの収容状態を適切に検出できるウエハマッピング装置およびこのようなウエハマッピング装置を備えるロードポート装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明のマッピング装置は、
第1の検出軸を有する第1のセンサと、
前記第1の検出軸に対して傾いている第2の検出軸を有する第2のセンサと、
前記第1のセンサおよび前記第2のセンサを、前記第1の検出軸および前記第2の検出軸が検出対象であるウエハの1つ1つに順次交差するように、前記ウエハの配列方向に沿って移動させる移動手段と、を有する。
【0007】
本発明に係るマッピング装置は、検出軸が互いに平行ではなく傾きを有する2つのセンサを用いてウエハを検出することにより、正常に収容されているウエハと、斜めに異常収容されているが反りなどの変形が発生しているウエハとを適切に区別することができる。すなわち、センサが一つだけである場合、斜めに異常収容されているウエハであっても、ウエハが所定の形状に変形している場合には、正常に収容されているウエハと同じように検出され、誤検出してしまう問題がある。しかしながら、検出軸の向きが異なる2つのセンサを用いる本発明では、斜めに異常収容されており、かつウエハに変形が生じているウエハに対しては、第1のセンサと第2のセンサで検出信号に差異が生じる。したがって、本発明に係るマッピング装置は、斜めに異常収容されているものの反りなどの変形が発生しているウエハを、正常に収容されるウエハと適切に区別することができる。また、本発明に係るウエハマッピング装置は、たとえウエハに変形が生じていても、ウエハの位置、数およびウエハが正常に収容されているか否かを、適切に検出することができる。
【0008】
また、たとえば、前記第1のセンサは第1の発光部と第1の受光部とを有し、前記第1の検出軸は、前記第1の発光部と前記第1の受光部とを結んでもよく、
前記第2のセンサは第2の発光部と第2の受光部とを有し、前記第2の検出軸は、前記第2の発光部と前記第2の受光部とを結んでもよい。
【0009】
第1のセンサおよび第2のセンサとしては、特に限定されないが、発光部と受光部とを有する光学式センサを用いることにより、シンプルで精度の高いウエハマッピング装置を実現できる。
【0010】
また、たとえば、前記第1の発光部と前記第2の受光部は、前記第1の検出軸または前記第2の検出軸が前記ウエハと交差する交差領域に対して一方側を前記配列方向に沿って移動してもよく、
前記第1の受光部と前記第2の発光部は、前記交差領域に対して他方側を前記配列方向に沿って移動してもよい。
【0011】
光学式の第1のセンサと第2のセンサについて、受光部と発光部とを互いにクロスさせて配置することにより、対応する発光部とは異なる発光部からの光が受光部に入射する問題を防止し、検出精度を高めることができる。また、第1センサと第2センサとを、近づけて配置することができるため、小型化の観点でも有利である。
【0012】
また、たとえば、前記移動手段は、前記第1のセンサと前記第2のセンサとを一体に移動させてもよい。
【0013】
移動手段は、第1のセンサと第2のセンサとを独立して移動させることができるものであってもよいが、第1のセンサと第2のセンサとを一体に移動させるものであってもよい。これにより、センサの移動手段およびセンサの位置検出を1つにまとめることができるため、装置を簡略化できる。
【0014】
また、たとえば、前記第1の検出軸と前記第2の検出軸とは、前記配列方向に直交する方向から見て交差してもよい。
【0015】
第1の検出軸と第2の検出軸とがこのように傾いていることにより、第1の検出軸がウエハに交差する領域と、第2の検出軸がウエハに交差する領域とを近づけることができる。これにより、ウエハが変形していることによる信号の差異を、より明確に検出できる。
【0016】
また、たとえば、前記配列方向に直交する方向から見て、前記第1の検出軸と前記第2の検出軸とが交差してなす狭角は1~4度であってもよい。
【0017】
第1の検出軸と第2の検出軸との狭角を所定の角度以上とすることにより、異常収容されているウエハを、正常に収容されているウエハに対して、より明確に区別できる。また、第1の検出軸と第2の検出軸との狭角を所定の角度以下とすることにより、過度の検出ばらつきを防止するともに、対象とするウエハ以外のウエハや障害物により、検出が阻害される問題を防止できる。
【0018】
また、たとえば、前記第1の検出軸と前記第2の検出軸とは、前記配列方向から見て交差してもよい。
【0019】
第1の検出軸と第2の検出軸とが、配列方向から見て交差していることにより、ウエハに反りなどの変形が生じていることを検出することができる。
【0020】
また、たとえば、前記第1の検出軸および前記第2の検出軸が、前記配列方向に直交する面に対してなす狭角は0.5~2度であってもよい。
【0021】
第1の検出軸および第2の検出軸が、配列方向に直交する面に対して水平ではなく、所定の角度を以上の角度をなすことにより、ウエハにより散乱した光が受光部に入射する問題を防止し、検出精度を向上させることができる。また、所定の角度以下とすることにより、過度な検出のばらつきを防止するともに、対象とするウエハ以外のウエハや障害物により、検出が阻害される問題を防止できる。
【0022】
また、たとえば、本発明に係るウエハマッピング装置は、前記第1のセンサおよび前記第2のセンサによる信号から前記ウエハの収容状態を検出する演算部を有してもよく、
前記第1のセンサは前記第1の検出軸が前記ウエハのうち所定の1つに交差していることを示す第1検出信号を前記演算部に出力してもよく、
前記第2のセンサは前記第2の検出軸が前記ウエハのうち前記所定の1つに交差していることを示す第2検出信号を前記演算部に出力してもよく、
前記演算部は、前記第1検出信号と前記第2検出信号との長さの比を用いて、前記ウエハの収容状態を検出してもよい。
【0023】
斜めに異常収容されているウエハでありながら、ウエハが変形していることによって、1つのセンサからの検出信号のみからでは、正常に収容されているウエハと同じような検出信号しか得られない場合がる。しかし、本発明の2つのセンサから得られる第1検出信号と第2検出信号とは、ウエハの収容状態およびウエハの変形に応じて、Z軸方向の長さの比が変化する。したがって、このような演算部は、斜めに異常収容されており、かつ、反りなどの変形が発生しているウエハを、正常に収容されるウエハと区別し、異常収容されているウエハとして適切な検出を行うことができる。
【0024】
本発明に係るロードポート装置は、ウエハマッピング装置と、
前記ウエハを収容するポッドを載置する載置部と、
前記ポッドの蓋を開閉するドアと、を有する。
【0025】
本発明に係るロードポート装置およびウエハマッピング装置は、どのような半導体処理装置または半導体工場で用いられてもよいが、たとえば、薄型、大径または変形しやすいウエハを取り扱う半導体工場で、特に好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係るウエハマッピング装置を有するロードポート装置の概略図である。
【
図2】
図2は、
図1に示すウエハマッピング装置に含まれるセンサ付近の要部拡大図である。
【
図3】
図3は、
図2に示されるセンサの一部を拡大した拡大図である。
【
図4】
図4は、
図1に示すウエハマッピング装置による検出動作における第1の段階を示す説明図である。
【
図5】
図5は、
図1に示すウエハマッピング装置による検出動作における第2の段階を示す説明図である。
【
図6】
図6は、
図1に示すウエハマッピング装置による検出動作における第3の段階を示す説明図である。
【
図7】
図7は、
図1に示すウエハマッピング装置における第1の検出軸と第2の検出軸とを説明した概念図である。
【
図8】
図8は、本発明に係るウエハマッピング装置による検出動作と検出信号の第1実施例を説明する概念図である。
【
図9】
図9は、本発明に係るウエハマッピング装置による検出動作と検出信号の第2実施例を説明する概念図である。
【
図10】
図10は、
図5に示す検出動作における第2の段階における検出軸の位置を示す説明図である。
【
図11】
図11は、本発明の変形例に係るウエハマッピング装置のセンサの一部を拡大した拡大図である。
【
図12】
図12は、本発明のウエハマッピング装置によるウエハの検出処理の一例を表すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明を、図面に示す実施形態に基づき説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係るウエハマッピング装置20(以下、単に「マッピング装置20」とも言う。)を有するロードポート装置10の概略斜視図である。後述するように、マッピング装置20は、ロードポート装置10に載置されるポッド12(
図4参照)内に収容されるウエハ14の収容状態を検知する。
【0028】
ロードポート装置10は、半導体工場において、EFEM(付図示)などに取り付けられて使用される。ロードポート装置10は、ポッド12(
図4参照)などに収容されて半導体工場内を搬送されるウエハを、ポッド12から所定の半導体処理装置に受け渡すためのインターフェース部として機能する。なお、ウエハを収容するポッド12としては、FOUP、FOSB、SMIFなどが挙げられるが、特に限定されない。
【0029】
図1に示すように、ロードポート装置10は、マッピング装置20の他に、ウエハ14を収容するポッド12を載置する載置部19、EFEMの開口を塞ぐように取り付けられるフレーム部16、ポッド12の蓋13とフレーム部16のフレーム開口とを開閉するドア15などを有する。なお、マッピング装置20は、ロードポート装置10に備えられるものに限定されず、ポッド12や、ポッド12以外のウエハを収容する棚などに対して、ウエハ14の収容状態を検知するのに用いられる。
【0030】
図1に示すように、マッピング装置20は、マッピングフレーム54を有する。マッピングフレーム54は、ウエハ14を検出するためのセンサ(第1のセンサ30、第2のセンサ40(
図2参照))を支持する部材であり、フレーム部16のY軸正方向側(フレーム部16に対して載置部19とは反対側)に設けられている。マッピングフレーム54は、枠状の形状を有しており、ドア15の近くであって、ドア15に干渉しないように配置されている。
【0031】
図1に示すように、マッピングフレーム54のフレーム上辺部54bには、センサ取付部55a、55bが設けられている。また、マッピングフレーム54は、下方に伸びるアーム部分54aを有している。アーム部分54aは、マッピングフレーム54を移動させる移動手段(第1移動手段22、第2移動手段24(
図4参照))に接続している。なお、ロードポート装置10およびマッピング装置20の説明では、上下方向をZ軸方向、Z軸に垂直であって載置部19がフレーム55に対して接近・離間する方向をY軸方向、Z軸およびY軸に垂直な方向をX軸方向とする。
【0032】
図2は、
図1に示すマッピングフレーム54のフレーム上辺部54bを拡大した部分拡大図である。マッピング装置20は、検出対象であるウエハ14の収容状態を検出する第1のセンサ30と第2のセンサ40とを有する。第1のセンサ30は、第1の発光部34と第1の受光部36とを有しており、第2のセンサ40は、第2の発光部44と第2の受光部46とを有している。
【0033】
図7は、第1のセンサ30と第2のセンサ40の配置を模式的に表す概念図である。
図7に示すように、第1のセンサ30は、第1の発光部34と第1の受光部36とを結ぶ第1の検出軸32を有する。また、第2のセンサ40は、第2の発光部44と第2の受光部46とを結ぶ第2の検出軸42を有する。第1のセンサ30および第2のセンサ40は、それぞれの検出軸32、42がウエハ14と交差することにより受光部36、46が受ける発光部34、44の光量が変化することを用いて、ウエハ14の収容状態を検出する。
【0034】
マッピング装置20が有する第1のセンサ30および第2のセンサ40は、光学式のセンサ(光電センサ)であるが、第1のセンサ30および第2のセンサ40としてはこれに限定されない。たとえば、マッピング装置20は、超音波センサ、磁気センサのような他の方式の透過型センサを用いてもよい。
【0035】
また、マッピング装置20が有する第1の発光部34および第2の発光部44としては、たとえば可視光LED、赤外線LED、紫外線LEDなどがあげられるが、LD(レーザーダイオード)などのLED以外の発光部を用いてもよく、特に限定されない。また、マッピング装置20が有する第1の受光部36および第2の受光部46としては、たとえばフォトトランジスタ、フォトダイオード、赤外線検出素子などがあげられるが、特に限定されない。
【0036】
図2に示すように、フレーム上辺部54bには、2つのセンサ取付部55a、55bが、X軸方向に間隔を空けて設けられている。第1のセンサ30および第2のセンサ40は、その発光部34、44と受光部36、46とを、一方側のセンサ取付部55aと他方側のセンサ取付部55bに分けて配置される。これにより、各センサ30、40の受光部36、46と発光部34、44とは、X軸方向に所定の間隔を空けて配置される。
【0037】
また、
図3に示すように、一つのセンサ取付部55bには、一方のセンサ30、40の発光部34、44(
図3では第2のセンサ40の第2の発光部44)と、他方のセンサ30、40の受光部36、46(
図3では第1のセンサ30の第1の受光部36)とが対になって取り付けられている。すなわち、
図2に示すように、X軸負方向側のセンサ取付部55aには、第1の発光部34と第2の受光部46が固定されており、X軸正方向側のセンサ取付部55bには、第1の受光部36と第2の発光部44とが固定されている。このように配置された発光部34、44と受光部36、46は、マッピングフレーム54の上下動に伴い、Z軸方向に移動する。すなわち、
図8に示すように、センサ取付部55aに取り付けられる第1の発光部34と第2の受光部46とは、第1の検出軸32または第2の検出軸42がウエハ14に対して交差する交差領域E1に対して一方側であるX軸負方向側を、ウエハ14の配列方向であるZ軸方向に沿って移動する。また、センサ取付部55bに取り付けられる第1の受光部36と第2の発光部44とは、交差領域E1に対して他方側であるX軸正方向側を、ウエハ14の配列方向であるZ軸方向に沿って移動する。
【0038】
また、
図7に示すように、マッピング装置20において、第1の検出軸32と第2の検出軸42とは平行ではなく、第2の検出軸42は第1の検出軸32に対して傾いている。すなわち、
図2に示すように、センサ取付部55aに固定される第1の発光部34は第2の受光部46より下方に配置されており、センサ取付部55bに固定される第1の受光部36は第2の発光部44より上方に配置されている。このように、発光部34、44と受光部36、46を配置することにより、
図7に示すように、第1の検出軸32と第2の検出軸42とは、ウエハ14の配列方向であるZ軸に直交する方向(たとえばY軸方向)から見て交差する。
【0039】
図7に示すように、配列方向に直交する方向(Y軸方向)から見て、第1の検出軸32と第2の検出軸42とが交差してなす狭角θ3は、たとえば1~4度とすることができる。第1の検出軸32と第2の検出軸42との狭角θ3を所定の角度以上とすることにより、異常収容されているウエハ14を、正常に収容されているウエハ14に対して、より明確に区別できる。また、第1の検出軸32と第2の検出軸42との狭角θ3を所定の角度以下とすることにより、過度の検出ばらつきを防止するとともに、対象とするウエハ14以外のウエハ14や障害物により、検出が阻害される問題を防止できる。
【0040】
また、第1の検出軸32が配列方向に直交する面(XY平面、水平面)に対してなす狭角θ1と、第2の検出軸42が配列方向に直交する面(XY平面、水平面)に対してなす狭角θ2とは、たとえば0.5~2度とすることができる。第1の検出軸32および第2の検出軸42が、配列方向に直交する面に対して水平ではなく、所定の角度以上の角度をなすことにより、ウエハ14により散乱した光が受光部36、46に入射する問題を防止し、検出精度を向上させることができる。また、所定の角度以下とすることにより、過度の検出ばらつきを防止するとともに、対象とするウエハ以外のウエハや障害物により、検出が阻害される問題を防止できる。
【0041】
マッピング装置20では、
図7に示すように、配列方向に直交する方向(Y軸方向)から見て、第1の検出軸32と第2の検出軸42とが交差しているが、第1の検出軸32と第2の検出軸42との配置はこれに限定されない。すなわち、第2の検出軸42が第1の検出軸32に対して傾いていればどのような配置であってもよく、たとえば、
図7に示す第1の検出軸32が、第2の検出軸42に対してZ軸方向にオフセットしており第2の検出軸42に対して交差しない配置であってもかまわない。
【0042】
また、
図8に示すように、第1の検出軸32がウエハ14、14aと交差する領域と、第2の検出軸42がウエハ14、14aと交差する領域とは略一致する。また、配列方向に直交する方向から見て、第1の検出軸32と第2の検出軸42とは、ウエハ14、14aとの交差領域E1で交差している。これにより、第1の検出軸32と第2の検出軸42との間でウエハ14に交差する角度の差を大きくすることが可能となり、また、狭い間隔で配列されているウエハ14を好適に検出できる。なお、
図7に示す角度θ1と角度θ2は、同じ角度としてもよい。また、第1の検出軸32と第2の検出軸42とは、配列方向(Z軸方向)から見て交差していてもよいが、特に限定されない。さらに、第1の検出軸32と第2の検出軸42とは、軸同士が実際に(3次元で見て)交差していてもよいが、光の干渉を避けるために、第1の検出軸32と第2の検出軸42とはずらして配置されていてもよい。
【0043】
図4は、
図1に示すロードポート装置10およびマッピング装置20の動作の第1の段階を示す説明図であり、ロードポート装置10を側面(X軸負方向側)から見た図である。
図4に示すように、マッピング装置20は、第1のセンサ30および第2のセンサ40を移動させる第1移動手段22および第2移動手段24を有する。
【0044】
第1移動手段22は、第1のセンサ30および第2のセンサ40を、ウエハ14の配列方向であるZ軸方向に移動させる。第1移動手段22は、マッピングフレーム54を移動させる駆動源としてのエアシリンダや電磁モータなどを有するが、第1移動手段22としてはこれらに限定されない。また、第1のセンサ30および第2のセンサ40が取り付けられるマッピングフレーム54は、後述する第2移動手段24を介して、第1移動手段22に接続されている。なお、第1移動手段22には、第3移動手段60を介してドア15が接続されており、第1移動手段22は、ドア15をZ軸方向に移動させる移動手段を兼ねている。
図4および
図5に示すように、第3移動手段60は、ドア15を旋回させるか、またはY軸方向に平行移動させることにより、ポッド12の蓋13およびフレーム部16を開閉することができる。
【0045】
図2に示すように、第1のセンサ30および第2のセンサ40は、いずれも1つのマッピングフレーム55に固定されている。したがって、
図4に示す第1移動手段22は、第1のセンサ30および第2のセンサ40を一体に移動させる。ただし、マッピング装置20が有する第1移動手段22としてはこれに限定されず、第1移動手段22は、第1のセンサ30と第2のセンサ40とを個別に、独立して移動させることができるものであってもよい。
【0046】
第2移動手段24は、マッピングフレーム54に取付られる第1のセンサ30および第2のセンサ40を、Y軸方向に移動させることができる。第2移動手段24は、マッピングフレーム54を旋回させるか、もしくはマッピングフレーム54をY軸方向に平行移動させることにより、第1のセンサ30および第2のセンサ40をY軸方向に移動させる。
【0047】
図4~
図6を用いて、マッピング装置20における検出動作におけるロードポート装置10の動作を説明する。
図4は、マッピング装置20におけるウエハ14の検出動作における第1の段階を示している。
図4に示す第1の段階では、ロードポート装置10の載置部19に、ウエハ14を収容するポッド12が載置されているが、ポッド12の蓋13は閉じられており、ポッド12はロードポート装置10のフレーム部16に対して接続されていない。また、
図4に示す状態では、マッピング装置20自体は、検出動作を開始していない。
【0048】
図5は、マッピング装置20におけるウエハ14の検出動作における第2の段階を示している。
図5に示す第2の段階では、載置部19に載置されたポッド12がフレーム部16に対して接続されており、ドア15によってポッド12の蓋12が開放されている。ドア15は、
図4に示すようにフレーム部16に係合している状態でポッド12の蓋13と係合した後、
図5に示すように第3移動手段60がドア15をY軸正方向側に引き込むことにより、ポッド12の蓋13が開放される。
【0049】
さらに、マッピング装置20の第2移動手段24が、マッピングフレーム54を移動させ、マッピングフレーム54の上端付近に固定されている第1および第2のセンサ30、40を、ポッド12の内部に挿入する。
図5に示す状態では、第1および第2のセンサ30、40の検出軸32、42は、ポッド12における最上段の棚に収容されるウエハ14より高い位置に配置されている。ただし、
図10に示すように、第1および第2のセンサ30、40は、Z軸方向から見て検出軸32、42がウエハ14に重なる位置まで、ポッド12内に挿入されている。なお、第1および第2のセンサ30、40をポッド12の内部に挿入する動作において、第1移動手段22がマッピングフレーム54をZ軸方向に移動させ、第1および第2のセンサ30、40のZ軸方向の位置を調整してもよい。
【0050】
図6は、マッピング装置20におけるウエハ14の検出動作における第3の段階を示している。
図6に示す第3の段階では、第1移動手段22がマッピングフレーム54をZ軸方向に移動させることにより、
図5において最上段の棚に収容されるウエハ14より高い位置に配置されていたセンサ30、40を、
図6に示すように最下段の棚に収容されるウエハ14より低い位置まで移動させる。
【0051】
すなわち、第1移動手段22は、第1のセンサ30および第2のセンサ40を、第1の検出軸32および第2の検出軸42が検出対象であるウエハ14の1つ1つに順次交差するように、配列方向であるZ軸方向に沿って移動させる。この際、第1のセンサ30および第2のセンサ40は、ウエハ14による遮蔽に伴い変化する検出信号を、
図6に示すマッピング装置20の演算部50に出力する。また、マッピング装置20は、センサ位置検出部52を有しており、センサ位置検出部52は、第1のセンサ30および第2のセンサ40のZ軸方向の位置を検出し、演算部50に出力する。
【0052】
演算部50は、第1のセンサ30および第2のセンサ40からの検出信号と、センサ位置検出部52からの位置情報などを用いて、ポッド12に収容されるウエハ14の収容状態を検出する。
【0053】
次に、
図8、
図9および
図12を用いて、マッピング装置20の演算部50によるウエハ14の正常収容・異常収容の判断の具体例について、さらに詳細に説明する。ただし、本発明はこれらの実施例のみには限定されない。
【0054】
図8は、
図2および
図7に示す第1のセンサ30および第2のセンサ40が、ポッド12内に異常配置されたウエハ14aを検出した際の検出例を説明する概念図である。
図8(a)は、第1のセンサ30の第1の検出軸32および第2のセンサ40の第2の検出軸42の配置と、検出対象であるウエハ14aの形状との関係を示したものである。
図8(b)は、
図8(a)で示すウエハ14aを検出した場合に、第1のセンサ30および第2のセンサ40から得られる検出信号を示したものである。
【0055】
図8(a)、(b)に示す例では、ポッド12内のウエハ14の一つであるウエハ14aが、ポッド12内の異なる高さの棚に斜めに収容されている場合を想定している。このような場合、仮にウエハ14aが湾曲していないとすれば、検出軸32、42がウエハ14aに交差していることを示す(検出軸32、42が交差領域E1を通る)検出信号のZ軸方向の位置が、ウエハ14が棚に水平に正常収容されていることを示す正規の位置範囲P1からずれる。これにより、演算部50は、ウエハ14aが、正常に収容されておらず、斜めに異常収容されていることを検出する。
【0056】
しかしながら、
図8(a)に示す第1の検出軸32とウエハ14aとの関係のように、検出対象であるウエハ14aが、交差領域E1において第1の検出軸32の交差角度が小さくなる方向に湾曲している場合、第1のセンサ30からの検出信号は、
図8(b)に示す状態になる。すなわち、このようなウエハ14aに対しては、第1のセンサ30がウエハ14aに交差していることを示す第1検出信号S11のZ方向の位置が、ウエハ14が棚に水平に正常収容されていることを示す正規の位置範囲P1の範囲内となる場合がある。そうすると、演算部50は、第1のセンサ30からの検出信号のみでは、ウエハ14aが異常収容されていることを検出できない。
【0057】
ここで、マッピング装置20は、
図8(a)、(b)に示すように、第1の検出軸32に対して傾いている第2の検出軸42を有する第2のセンサ40からの検出信号を用いて、ウエハ14aの異常収容を検出できる。すなわち、第2の検出軸42は、交差領域E1において検出対象であるウエハ14aに対して交差する角度が、第1の検出軸41とは異なる。したがって、第2のセンサ40がウエハ14aに交差していることを示す第2検出信号S21の長さLS21や、第2検出信号S21のZ方向の位置は、第1のセンサ30による第1検出信号S11のそれに対して、たとえウエハ14aが湾曲していたとしても、ウエハ14aが斜めに異常収容されていることに応じて変化する。これにより、マッピング装置20の演算部50は、
図8(b)に示すような、第1のセンサ30からの第1検出信号S11と、第2のセンサ40の第2検出信号S21との違いから、ウエハ14aが湾曲している状態においても、ウエハ14aが斜めに異常収容されていることを検出できる。
【0058】
図12は、所定の1つのウエハ14aが、ポッド12に正常収容されているか異常収容されているかを、演算部50が判断する処理の一例を示すフローチャートである。ステップS001において、演算部50は、ウエハ14aの収容状態が正常であるか否かを判断する一連の処理を開始する。
【0059】
ステップS002において、演算部50は、
図8(b)に示す第1検出信号S11が、正規の位置範囲P1の範囲内にあるか否かを判断する。ステップS002において、第1検出信号S11が正規の位置範囲P1の範囲内に無い場合、演算部50は、ステップS0005へ進み、ウエハ14aは異常収容であると判断する。これに対して、ステップS002において、第1検出信号S11が正規の位置範囲P1の範囲内にある場合は、演算部50はステップS003の処理へ進む。
【0060】
ステップS003において、演算部50は、
図8(b)に示す第1検出信号S11と第2検出信号S21の長さの比(LS11/LS21)を算出し、長さの比(LS11/LS21)が所定範囲内であるか否かを判断する。演算部50は、長さの比(LS11/LS21)が所定範囲内である場合は、ステップS0004へ進み、ウエハ14aは正常収容であると判断する。これに対して、演算部50は、長さの比(LS11/LS21)が所定範囲外である場合は、ステップS0005へ進み、ウエハ14aは異常収容であると判断する。第1検出信号S11が正規の位置範囲P1の範囲内にあり、かつ、長さの比(LS11/LS21)が所定範囲外である場合、
図8(a)に示すように、湾曲しているウエハ14aが、斜めに異常収容されている可能性が考えられるためである。
【0061】
演算部50は、ステップS004およびステップS005によりウエハ14aの収容状態に関する判断を行った後、ステップS006に進み一連の処理を終了する。演算部50は、
図4に示すポッド12に収容されるすべてのウエハ14について
図12に示す処理を行うことにより、ウエハ14の1つ1つに対して、収容状態を検出することができる。
【0062】
図9は、
図8と同様に、第1のセンサ30および第2のセンサ40が、ポッド12内に異常配置されたウエハ14bを検出した際の検出例を説明する概念図である。
図9(a)、(b)に示すように、ウエハ14bが上方向に凸面を形成するように湾曲している場合であっても、ウエハ14aが下方向に凸面を形成するように湾曲している場合と同様に、ウエハ14bの異常収容を検出できる。
【0063】
すなわち、
図9に示す例でも、第2のセンサ40がウエハ14bに交差していることを示す第2検出信号S21の長さLS21や、第2検出信号S21のZ方向の位置は、第1のセンサ30による第1検出信号S11のそれに対して、たとえウエハ14bが湾曲していたとしても、ウエハ14bが斜めに異常収容されていることに応じて変化する。マッピング装置20の演算部50は、
図9(b)に示すような、第1のセンサ30からの第1検出信号S11と、第2のセンサ40の第2検出信号S21との違いから、ウエハ14aが湾曲している状態においても、ウエハ14aが斜めに異常収容されていることを検出できる。
【0064】
以上のように、実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施形態のみに限定されるものではなく、他の実施形態や変形例を含むことは言うまでもない。たとえば、
図12を用いて説明した処理では、演算部50は、
図8に示す第1検出信号S11と第2検出信号S21の長さの比(LS11/LS21)に基づきウエハ14aの異常収容を検出したが、演算部50は、他の演算処理によってウエハ14aの異常収容を検出してもよい。
【0065】
たとえば、演算部50は、
図8に示す第1検出信号S11のZ軸方向の位置および第2検出信号S21のZ軸方向の位置のうち少なくとも一方が、正規の位置範囲P1の範囲内に無い場合に、ウエハ14aの異常収容を検出してもよい。また、演算部50は、第1検出信号S11の長さLS11と第2検出信号S21の長さLS21の差や、第1検出信号S11と第2検出信号S21と中心位置の違いに基づき、ウエハ14aの正常収容または異常収容を検出してもよい。
【0066】
図11は、変形例に係るマッピング装置に備えられるセンサ取付部155b、第1の発光部134および第2の受光部146を示す斜視図である。
図11に示すように、マッピング装置の第1の発光部134には、第1の発光部134から出射する光束のZ軸方向の幅を絞るスリット部163が設けられていてもよい。スリット部163のZ軸方向の開口幅は、これと直交する方向の開口幅より狭い。このようなスリット部163を第1の発光部134に設けることにより、たとえウエハ14の厚みが薄い場合であっても、第1の発光部134からの光束がウエハ14により適切に遮蔽され、マッピング装置は、好適にウエハ14の収容状態を検出できる。なお、スリット部163は、第2の発光部44に設けてもよい。
【符号の説明】
【0067】
10…ロードポート装置
12…ポッド
13…蓋
14、14a…ウエハ
15…ドア
16…フレーム部
19…載置部
20…ウエハマッピング装置
22…第1移動手段
24…第2移動手段
30…第1のセンサ
32…第1の検出軸
34、134…第1の発光部
36…第1の受光部
40…第2のセンサ
42…第2の検出軸
44…第2の発光部
46、146…第2の受光部
50…演算部
52…センサ位置検出部
54…マッピングフレーム
54a…アーム部分
54b…フレーム上辺部
55a、55b、155b…センサ取付部
60…第3移動手段
163…スリット部
S11…第1検出信号
S21…第2検出信号
LS11、LS21…長さ
LS11/LS21…長さの比
E1…交差領域
P1…正規の位置範囲