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  • 特許-画像形成装置、データ整合性判定方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】画像形成装置、データ整合性判定方法
(51)【国際特許分類】
   G06F 13/38 20060101AFI20240116BHJP
   H04N 1/00 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
G06F13/38 340Z
G06F13/38 340D
H04N1/00 C
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2019170098
(22)【出願日】2019-09-19
(65)【公開番号】P2021047667
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2022-08-29
(73)【特許権者】
【識別番号】000006150
【氏名又は名称】京セラドキュメントソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100167302
【弁理士】
【氏名又は名称】種村 一幸
(74)【代理人】
【識別番号】100135817
【弁理士】
【氏名又は名称】華山 浩伸
(72)【発明者】
【氏名】谷井 英雄
(72)【発明者】
【氏名】杉山 裕一
【審査官】田中 啓介
(56)【参考文献】
【文献】特開2003-060819(JP,A)
【文献】特開昭58-188398(JP,A)
【文献】特開2019-049933(JP,A)
【文献】特開平10-040122(JP,A)
【文献】特開2003-308287(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B41J5/00-5/52
B41J21/00-21/18
B41J29/00-29/70
G06F3/09-3/12
G06F11/08-11/10
G06F13/20-13/42
H04N1/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1プロセッサーと、
第2プロセッサーと、
バスによって前記第1プロセッサー及び前記第2プロセッサーと通信可能に接続されており、前記バスを介して前記バスに接続された記憶媒体及び前記第2プロセッサー間でデータを転送するデータ転送処理を実行するデータ転送部と、を備える画像形成装置であって、
前記第2プロセッサーは、駆動部に制御データを出力して前記駆動部を制御可能に構成されており、センサーから前記センサーの検出結果を示す検出データを取得して前記第2プロセッサーのレジスターに格納可能に構成されており、
前記データ転送部は、前記第1プロセッサーからの転送指示に応じて、前記バスを介して前記記憶媒体に格納された前記制御データを前記第2プロセッサーに転送する第1転送処理、及び、前記第1プロセッサーからの連続転送指示に応じて、前記バスを介して前記第2プロセッサーの前記レジスターに格納された前記検出データを所定時間ごとに連続して前記記憶媒体に転送する第2転送処理を実行し、
前記第1プロセッサーは、前記第2プロセッサーから連続して前記記憶媒体に転送される複数の前記検出データのうち所定の不整合検出データを除去する除去処理を実行し、
前記画像形成装置は、
前記データ転送部による転送前のデータと転送後のデータとの整合性を判定する整合性判定処理を実行する整合性判定部を更に備え、
前記整合性判定部は、
前記データが予め定められた第1タイプに対応する前記制御データである場合に前記整合性判定処理を実行し、前記データが前記第1タイプとは異なる第2タイプに対応する前記検出データである場合は前記整合性判定処理を実行しない、画像形成装置。
【請求項2】
前記整合性判定処理は、
前記データ転送部による転送前に生成された前記データの固有値と、前記データ転送部による転送後に生成された前記データの固有値とを比較して、各固有値が一致した場合に整合性有りと判定し、各固有値が不一致の場合に整合性無しと判定する、請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記固有値は、前記データのチェックサムである、請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記除去処理は、
前記第2転送処理によって連続して前記記憶媒体に転送される複数の前記検出データのうち所定の閾値範囲から外れた極端値を除去して、残りの前記検出データの平均値を求める処理、又は、前記第2転送処理によって連続して前記記憶媒体に転送される複数の前記検出データから最頻値又は中央値以外の前記検出データを除去する処理である、請求項1から3のいずれかに記載の画像形成装置。
【請求項5】
第1プロセッサーと、
第2プロセッサーと、
バスによって前記第1プロセッサー及び前記第2プロセッサーと通信可能に接続されており、前記バスを介して前記バスに接続された記憶媒体及び前記第2プロセッサー間でデータを転送するデータ転送処理を実行するデータ転送部と、を備える画像形成装置において実行されるデータ整合性判定方法であって、
前記データ転送部は、前記第1プロセッサーからの転送指示に応じて、前記バスを介して前記記憶媒体に格納された駆動部を制御するための制御データを前記第2プロセッサーに転送する第1転送処理、及び、前記第1プロセッサーからの連続転送指示に応じて、前記バスを介して前記第2プロセッサーのレジスターに格納されたセンサーの検出結果を示す検出データを所定時間ごとに連続して前記記憶媒体に転送する第2転送処理を実行し、
前記第1プロセッサーは、前記第2プロセッサーから連続して前記記憶媒体に転送されてきた複数の前記検出データのうち所定の不整合検出データを除去する除去処理を実行し、
前記データ整合性判定方法は、
前記データ転送部による転送前のデータと転送後のデータとの整合性を判定する整合性判定処理を実行する整合性判定ステップを含み、
前記整合性判定ステップは、
前記データが予め定められた第1タイプに対応する前記制御データである場合に前記整合性判定処理を実行し、
前記データが前記第1タイプとは異なる第2タイプに対応する前記検出データである場合は前記整合性判定処理を実行しない、データ整合性判定方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像形成装置、及び画像形成装置におけるデータ通信時に実行されるデータ整合性判定方法に関する。
【背景技術】
【0002】
シリアルバスに接続されたスレーブデバイスごとに当該シリアルバスを介したデータ通信における通信プロトコルを切り替え可能なデータ通信装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
また、画像形成装置のメイン制御ボードに搭載されたCPUと、画像形成部などの機能部を制御するASICと、前記CPU及び前記ASIC間でデータを転送するデータ転送処理を実行するDMA(Direct Memory Access)コントローラーとを備える画像形成装置が知られている。ASICには、前記機能部に含まれるモーターなどの駆動部や、画像形成装置の種々の状態を検出するセンサーなどが接続されている。また、前記ASICは、CPUの指示に基づいて前記駆動部を制御可能であり、また、前記センサーによる検出結果を示す検出データを取得可能である。
【0004】
前記画像形成装置では、前記CPUと前記ASICとがシリアルバスを介して通信可能に接続されている。前記CPUは、前記ASICと通信を行い当該ASICが取得した前記検出データを受信する。また、前記CPUは、前記ASICと通信を行い前記駆動部の制御に用いられる制御データを前記ASICに送信する。
【0005】
従来、前記CPU及び前記ASICは、それぞれの間で通信を行う際に、データの転送前にデータのチェックサムを生成して当該データに付加し、データ転送後に転送されたデータのチェックサムを生成して、転送されたデータに含まれるチェックサムと比較することにより、転送前後におけるデータの整合性を判定する整合性判定処理を実行する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2005-196486号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、従来の画像形成装置では、データ転送処理が行われるごとに前記整合性判定処理が行われる。そのため、データ転送処理ごとに、前記CPUが、転送されたデータのチェックサムを生成する処理、及び整合性判定処理を行う必要があるため、前記CPUのリソースを割かざるを得ず、前記CPUの負荷が大きくなるという問題がある。
【0008】
本発明の目的は、転送されるデータのタイプに応じてデータ転送時の第1プロセッサー又は第2プロセッサーの負荷を軽減することが可能な画像形成装置、及び画像形成装置におけるデータ通信時に実行されるデータ整合性判定方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の一の局面に係る画像形成装置は、第1プロセッサーと、第2プロセッサーと、バスによって前記第1プロセッサー及び前記第2プロセッサーと通信可能に接続されており、前記バスを介して前記バスに接続された記憶媒体及び前記第2プロセッサー間でデータを転送するデータ転送処理を実行するデータ転送部と、を備える。前記画像形成装置は、前記データ転送部による転送前のデータと転送後のデータとの整合性を判定する整合性判定処理を実行する整合性判定部を有する。前記整合性判定部は、前記データのタイプが予め定められた第1タイプである場合に前記整合性判定処理を実行し、前記データのタイプが前記第1タイプとは異なる第2タイプである場合は前記整合性判定処理を実行しないように構成されている。
【0010】
本発明の他の局面に係るデータ整合性判定方法は、第1プロセッサーと、第2プロセッサーと、データ転送部と、を備える画像形成装置において実行されるデータ整合性判定方法である。前記データ転送部は、バスによって前記第1プロセッサー及び前記第2プロセッサーと通信可能に接続されており、前記バスを介して前記バスに接続された記憶媒体及び前記第2プロセッサー間でデータを転送するデータ転送処理を実行する。前記データ転送部による転送前のデータと転送後のデータとの整合性を判定する整合性判定処理を実行する整合性判定ステップを含む。前記整合性判定ステップは、前記データのタイプが予め定められた第1タイプである場合に前記整合性判定処理を実行し、前記データのタイプが前記第1タイプとは異なる第2タイプである場合は前記整合性判定処理を実行しない。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、転送されるデータのタイプに応じてデータ転送時の第1プロセッサー又は第2プロセッサーの負荷を軽減することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
図2図2は、本発明の実施形態に係る画像形成装置の構成を示す図である。
図3図3は、本発明の実施形態に係る画像形成装置で実行されるシリアル通信の処理手順を示す図である。
図4図4は、本発明の実施形態に係る画像形成装置で実行される通信制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定するものではない。
【0014】
まず、図1及び図2を参照して、本発明の実施形態に係る画像形成装置2の構成について説明する。図1は、画像形成装置2の構成を示すブロック図である。また、図2は画像形成装置2の構成を示す断面模式図である。
【0015】
図1に示すように、画像形成装置2は、マスタープロセッサー4(本発明の第1プロセッサーの一例)と、DMA(Direct Memory Access)コントローラー5(本発明のデータ転送部の一例)と、メモリー6(本発明の記憶媒体の一例)と、シリアルデータバス8(本発明におけるバスの一例)と、一つ又は複数の機能部10と、スレーブプロセッサー12(本発明の第2プロセッサーの一例)とを備える。マスタープロセッサー4、DMAコントローラー5、メモリー6、及びスレーブプロセッサー12は、シリアルデータバス8を介して相互に通信可能に接続されている。なお、スレーブプロセッサー12は、機能部10に対応して設けられており、機能部10に属するセンサー16の信号を検出したり、モーターなどの駆動部17を制御する。なお、機能部10が複数設けられている場合は、複数の機能部10に対応して、スレーブプロセッサー12も複数設けられている。
【0016】
機能部10は、画像形成装置2が備える複数の機能のいずれかを実行する。例えば、画像形成装置2は画像形成機能を備えており、この場合、機能部10の一例は画像形成部43(図2参照)である。また、画像形成装置2は給紙機能を備えており、この場合、機能部10の一例は給紙部44(図2参照)である。なお、本実施形態では、後述するように、画像形成装置2は画像形成機能と、給紙機能とを備えるため、画像形成装置2は、これらの各機能に対応する2つの機能部10(画像形成部43及び給紙部44)を備えるといえる。
【0017】
画像形成部43は、上述した機能部10の具体例である。画像形成部43は、電子写真方式によって、印刷用紙などのシートに画像を形成する機能、即ち画像形成機能を実行可能である。図2に示すように、画像形成部43は、感光体ドラム51、帯電装置52、露光装置53、現像装置54、転写装置55、及び定着装置56を備える。帯電装置52は、感光体ドラム51の表面を所定の電位に帯電する。露光装置53は、画像データに基づいて、感光体ドラム51の表面にレーザー光を照射して露光する。現像装置54は、露光装置53によって形成された感光体ドラム51上の静電潜像を現像する。転写装置55は、現像装置54によって感光体ドラム51上に形成されたトナー像をシートに転写する。定着装置56は、シートを加熱および加圧して、当該シートに転写されたトナー像を当該シートに定着させる。
【0018】
給紙部44は、上述した機能部10の具体例である。給紙部44は、画像形成部43にシートを給紙する機能、即ち給紙機能を実行可能である。図2に示すように、給紙部44は、給紙カセット61、ピックアップローラー62、及び複数の搬送ローラー63を備える。給紙カセット61は、印刷に用いられるシートを収容するとともに、当該シートをピックアップローラー62との接触位置まで持ち上げる。ピックアップローラー62は、給紙カセット61に収容されたシートを画像形成装置2の内部に形成された搬送路60へ搬送する。複数の搬送ローラー63の各々は、搬送路60に設けられており、搬送路60に沿ってシートを搬送する。
【0019】
図1に示すように、機能部10は、複数の駆動部17と、当該複数の駆動部17に対応する複数のセンサー16とを備える。なお、以下の説明では、機能部10が二つの駆動部17と二つのセンサー16を備える例について説明するが、駆動部17及びセンサー16は、それぞれ三つ以上備えられていてもよく、また、一つずつ備えられていてもよい。
【0020】
例えば、画像形成部43が備える複数の駆動部17は、感光体ドラム51を回転させるドラムモーター、及び定着装置56に設けられるヒーターである。また、画像形成部43が備える複数のセンサー16は、前記ドラムモーターの回転数を検出するロータリーエンコーダー、及び前記ヒーターの温度を検出する温度センサーである。画像形成部43に設けられる駆動部17が、本発明における駆動部の一例である。
【0021】
また、給紙部44が備える複数の駆動部17は、給紙カセット61の底面に設けられる昇降可能なリフト板を駆動するリフトモーター、及びピックアップローラー62への回転駆動力の供給の有無を切り替えるクラッチである。また、給紙部44が備える複数のセンサー16は、前記リフト板の位置を検出可能なセンサー、及び前記搬送路における予め定められた位置でシートの有無を検出可能なシートセンサーである。給紙部44に設けられる駆動部17が、本発明における駆動部の一例である。
【0022】
なお、センサー16は、各駆動部17に関係するものである必要はない。センサー16は上述した例示に限定されず、例えば、画像形成装置2に設けられた扉又はカバーの開閉を検出するセンサーや、給紙カセット61の装着状態を検出するセンサー、搬送路60を搬送されるシートの有無を検出するセンサーなどのように、駆動部17に対応しないものであってもよい。
【0023】
なお、画像形成装置2は、原稿から画像データを読み取る画像読取機能を実行可能な画像読取部42(図2参照)を備えていてもよい。また、画像形成装置2は、画像読取部42によって読み取られる原稿を搬送する原稿搬送機能を実行可能な原稿搬送部41(図2参照)を備えていてもよい。この場合、画像読取部42及び原稿搬送部41は、それぞれ、上述した機能部10の具体例である。
【0024】
スレーブプロセッサー12には、複数の駆動部17及び複数のセンサー16が接続される。具体的に、図1に示すように、スレーブプロセッサー12には、機能部10に含まれる複数の駆動部17及び複数のセンサー16が接続される。スレーブプロセッサー12は、マスタープロセッサー4の制御の下、当該スレーブプロセッサー12に接続された複数の駆動部17に制御データを出力して各駆動部17を個別に制御可能である。また、スレーブプロセッサー12は、当該スレーブプロセッサー12に接続された複数のセンサー16の各々から当該センサー16による検出結果を示す検出データを取得可能である。スレーブプロセッサー12は、例えばASIC(Application Specific Integrated Circuit)である。
【0025】
スレーブプロセッサー12は、後述する整合性判定部13と、複数のレジスター14とを備える。複数のレジスター14には、それぞれ、レジスターアドレスが割り当てられている。複数のレジスター14は、スレーブプロセッサー12に接続された複数の駆動部17に対応している。レジスター14には、当該レジスター14に対応する駆動部17の制御に用いられる制御データが格納される。スレーブプロセッサー12は、レジスター14に格納された前記制御データに従って、当該制御データに対応する駆動部17を制御する。
【0026】
また、複数のレジスター14は、スレーブプロセッサー12に接続された複数のセンサー16に対応している。レジスター14には、当該レジスター14に対応するセンサー16によって取得された前記検出データが格納される。レジスター14に格納された前記検出データは、後述のDMAコントローラー5によって、メモリー6において予め定められたアドレスの記憶領域に転送される。前記記憶領域に前記検出データが転送されて記憶されると、マスタープロセッサー4は、当該検出データを必要に応じて処理する。なお、前記検出データが駆動部17の制御に用いられる前記制御データを生成するために必要なものである場合は、マスタープロセッサー4は、前記検出データがメモリー6に転送されると、その検出データに基づいて、当該検出データの取得元のセンサー16に対応する駆動部17に用いられる前記制御データを生成する。
【0027】
メモリー6は各種データを記憶する。例えば、メモリー6は、RAM(Random Access Memory)及びフラッシュメモリーのような半導体メモリーである。メモリー6には、スレーブプロセッサー12に送信される前記制御データが格納される。また、メモリー6には、スレーブプロセッサー12から受信される前記検出データが格納される。
【0028】
DMAコントローラー5は、シリアルデータバス8を介して、マスタープロセッサー4の指示の下で、メモリー6とスレーブプロセッサー12との間でデータ転送処理を実行する。具体的には、DMAコントローラー5は、マスタープロセッサー4からの転送指示に応じて、シリアルデータバス8を介してメモリー6とスレーブプロセッサー12との間でデータを転送するデータ転送処理を実行する。前記データ転送処理は、メモリー6に格納された前記制御データをスレーブプロセッサー12に転送する第1転送処理を含む。また、前記データ転送処理は、スレーブプロセッサー12のレジスター14に格納された前記検出データをメモリー6に転送する第2転送処理を含む。
【0029】
図1に示すように、メモリー6は、バッファー24を備える。バッファー24には、前記データ転送処理の実行要求(データ転送要求)を示す実行要求データが格納される。例えば、前記実行要求データは、転送対象データを識別する識別情報や、前記転送対象データに対するコマンド、前記転送対象データの転送元を示す転送元情報、転送対象データの転送先を示す転送先情報、及び転送対象データのサイズ(データ量、データサイズ)を示すデータ量情報などを含む。前記転送元情報は、例えば、転送対象データが格納されているメモリー6上の記憶領域を示すアドレス情報である。転送先情報は、例えば、転送対象データが転送先のデバイスにおいて格納される記憶媒体上の記憶領域を示すアドレス情報である。
【0030】
バッファー24は、複数の前記実行要求データを格納可能な記憶容量を備える。画像形成装置2では、画像形成装置2の稼働中に発生した前記実行要求データがバッファー24に蓄積される。
【0031】
例えば、前記第1転送処理の実行要求を示す前記実行要求データ(第1実行要求データ)には、転送対象データである前記制御データが格納されているメモリーアドレスを示す前記転送元情報、当該制御データが書き込まれるレジスターアドレスを示す前記転送先情報、及び当該制御データのデータ量を示す前記データ量情報が含まれる。
【0032】
また、前記第2転送処理の実行要求を示す前記実行要求データ(第2実行要求データ)には、転送対象データである前記検出データが格納されているレジスターアドレスを示す前記転送元情報、当該検出データが書き込まれるメモリーアドレスを示す前記転送先情報、及び当該検出データのデータ量を示す前記データ量情報が含まれる。
【0033】
なお、前記実行要求データは、複数の転送対象データを連続して転送する前記データ転送処理の実行要求を示すものであってもよい。即ち、前記実行要求データは、複数の前記識別情報、複数の前記コマンド、複数の前記転送元情報、複数の前記転送先情報、及び複数の前記データ量情報を含んでいてもよい。また、バッファー24は、メモリー6の外部に設けられていてもよい。
【0034】
マスタープロセッサー4は、シリアルデータバス8に接続された通信機器との間でシリアル通信を実行する。ここで、シリアル通信は、電気通信において伝送路上を一度に1ビットずつ、逐次的にシリアルデータを送る通信方式である。マスタープロセッサー4は、画像形成装置2に設定された通信プロトコルに従ってシリアル通信を行う。マスタープロセッサー4は、例えばCPU(Central Processing Unit)である。
【0035】
マスタープロセッサー4は、バッファー24に格納される前記実行要求データに基づいて、DMAコントローラー5を介してスレーブプロセッサー12との間でシリアル通信を実行する。なお、本実施形態では、マスタープロセッサー4とDMAコントローラー5とが別々の構成を例示するが、例えば、マスタープロセッサー4が、DMAコントローラー5によるデータ転送機能(データ転送部)を備えていてもよい。この場合、マスタープロセッサー4は、自らがスレーブプロセッサー12との間でシリアル通信を実行し、メモリー6とスレーブプロセッサー12との間で上述したデータ転送処理を実行する。
【0036】
ここで、図3を参照して、画像形成装置2で実行されるシリアル通信の処理手順について説明する。図3は、画像形成装置2で実行されるシリアル通信の処理手順がデータ処理主体及びクロック30と共に示された図である。
【0037】
マスタープロセッサー4は、バッファー24を監視し、バッファー24に前記実行要求データが格納された場合に、その実行要求データに基づいてシリアル通信を実行する。図3に示すように、マスタープロセッサー4は、シリアル通信を実行する前に、当該シリアル通信に対応する前処理を実行する。前記前処理では、シリアル通信で転送される転送対象データに対して画像形成装置2に設定された通信プロトコルに基づく制御情報が付加される。例えば、前記制御情報は、前記識別情報や、前記コマンド、前記転送先情報(アドレス情報)などを含む。
【0038】
また、後述するように、メモリー6に格納された前記制御データをスレーブプロセッサー12に転送する前記第1転送処理が実行される場合は、前記制御情報は、前記制御データのチェックサム(本発明の固有値の一例)を更に含む。言い換えると、バッファー24に格納された前記実行要求データが前記第1転送処理を実行するためのものである場合は、前記制御情報は、チェックサムを更に含む。つまり、この場合は、チェックサムが転送対象データ(前記制御データ)に付加される。
【0039】
一方、スレーブプロセッサー12のレジスター14に格納された前記検出データをメモリー6に転送する前記第2転送処理が実行される場合は、前記制御情報は、データ転送処理前にスレーブプロセッサー12に送信される。スレーブプロセッサー12は、前記実行要求データを受信すると、前記制御情報内の前記送信元情報に基づいて転送対象データである前記検出データを読み出し、前記制御情報を前記検出データに付加する。このときの前記制御情報は前記検出データのチェックサムを含まない。言い換えると、バッファー24に格納された前記実行要求データが前記第2転送処理を実行するためのものである場合は、前記制御情報は前記チェックサムを含まない。つまり、この場合は、チェックサムは転送対象データ(前記検出データ)に付加されない。
【0040】
前記コマンドは、転送先デバイスに対する命令を含む。前記アドレス情報は、転送対象データの転送先又は格納先を示す情報である。前記チェックサムは、誤り検出符号を含み、誤り検出に用いられる。即ち、前記チェックサムは、通信前後における転送対象データの整合性を確認するために用いられる。本実施形態では、前記チェックサムは、前記第1転送処理によって送信される前記制御データの固有値である。このチェックサムは、転送対象データである前記制御データの転送前のタイミングでマスタープロセッサー4がチェックサム生成処理を行うことによって生成され、前記制御データの転送後のタイミングでスレーブプロセッサー12がチェックサム生成処理を行うことによって生成される。具体的には、マスタープロセッサー4又はスレーブプロセッサー12は、当該制御データを予め定められた複数のブロックに区切り、各ブロックそれぞれを符号化して加算することによって前記制御データのチェックサムを生成する。
【0041】
シリアル通信では、前記制御情報及び転送対象データを含むシリアルデータ32が転送される。なお、前記前処理は、プリアンブル及びポストアンブルをシリアルデータ32に含める処理を含んでいてもよい。例えば、前記プリアンブルは、シリアル通信においてシリアルデータ32の先頭に配置する区切りビット列である。また、前記ポストアンブルは、シリアルデータ32の末尾に含める区切りビット列である。
【0042】
マスタープロセッサー4は、前記前処理の終了後に、前記実行要求データに基づいてDMAコントローラー5に対して前記データ転送処理の実行を指示する。これにより、図3に示すように、DMAコントローラー5によって、マスタープロセッサー4が生成するクロック30に同期したDMA転送、即ち前記データ転送処理が実行される。具体的に、マスタープロセッサー4からの指示を受けたDMAコントローラー5は、シリアルデータ32を転送元デバイスから転送先デバイスに転送する。なお、前記データ転送処理の実行を指示した後、マスタープロセッサー4は当該データ転送処理が終了するまで解放される。
【0043】
図3に示すように、DMAコントローラー5による前記データ転送処理が終了した後に、当該データ転送処理に対応する後処理が実行される。前記後処理は、画像形成装置2に設定された通信プロトコルに基づいて、マスタープロセッサー4又はスレーブプロセッサー12が行う。前記後処理は、例えば、前記転送対象データを受信したことを示す応答信号を両者間で送受信する応答信号処理や、通信前後の前記転送対象データの整合性を判定する整合性判定処理などを含む。
【0044】
前記整合性判定処理は、DMAコントローラー5による転送前のデータと転送後のデータとの整合性を判定する。具体的には、前記整合性判定処理は、転送前に生成されてシリアルデータ32に含まれるチェックサム(転送前チェックサム)と、前記シリアルデータ32が転送先デバイスに転送された後に前記転送先デバイスで改めて生成されたチェックサム(転送後チェックサム)とを比較し、前記転送前チェックサムと前記転送後チェックサムとが一致した場合に整合性有りと判定し、前記転送前チェックサムと前記転送後チェックサムとが不一致の場合に整合性無しと判定する。
【0045】
本実施形態では、後述するように、前記整合性判定処理は、前記制御データをスレーブプロセッサー12に転送する前記第1転送処理が実行される場合に実行される。一方、前記検出データをメモリー6に転送する前記第2転送処理が実行される場合は、前記整合性判定処理は実行されず、また、データ転送処理の前後で前記チェックサム生成処理が実行されることもない。
【0046】
転送先デバイスは、前記後処理の終了後に、受信したシリアルデータ32に含まれる前記コマンドに従って、転送対象データを指定されたアドレスに書き込む処理を実行する。
【0047】
ところで、データ転送処理が行われるごとに前記整合性判定処理が行われると、マスタープロセッサー4は、データ転送処理ごとに、前記転送対象データの前記チェックサムを生成するチェックサム生成処理、及び整合性判定処理を行う必要がある。そのため、データ転送処理前の前記前処理及びデータ転送処理後の前記後処理が行われるたびに、マスタープロセッサー4は、前記チェックサム生成処理を行い、前記後処理後に前記整合性判定処理を実行する必要があり、これらの各処理のために自身のリソースを割かざるを得ず、マスタープロセッサー4の負荷が大きくなる。
【0048】
これに対して、本実施形態では、スレーブプロセッサー12が後述する整合性判定部13(図1参照)を備えているため、転送対象データのタイプ(種類)に応じてデータ転送処理時のマスタープロセッサー4の負荷を軽減することが可能である。
【0049】
図1に示すように、マスタープロセッサー4は、通信処理部25を含む。また、スレーブプロセッサー12は、整合性判定部13を含む。
【0050】
マスタープロセッサー4及びスレーブプロセッサー12は、不図示のROMに格納されている通信制御プログラムを実行する。これにより、マスタープロセッサー4は、通信処理部25として機能し、スレーブプロセッサー12は整合性判定部13として機能する。なお、前記通信制御プログラムは、CD、DVD、フラッシュメモリーなどのコンピューター読み取り可能な記録媒体に記録されており、前記記録媒体から読み取られて画像形成装置2に設けられる不揮発性の記憶装置にインストールされてもよい。
【0051】
通信処理部25は、前記制御データをスレーブプロセッサー12に送信する第1通信処理、及び、スレーブプロセッサー12によって取得される前記検出データを当該スレーブプロセッサー12から受信する第2通信処理を実行する。ここで、前記第1通信処理及び前記第2通信処理は、DMAコントローラー5によるデータ転送処理の前に行われる前記前処理、DMAコントローラー5にデータ転送処理を実行させる処理(実行指示処理)、DMAコントローラー5によるデータ転送処理の後に行われる前記後処理を含む。
【0052】
通信処理部25は、バッファー24を監視し、バッファー24に前記実行要求データが格納された場合に、その実行要求データに基づいて前記第1通信処理又は前記第2通信処理によるシリアル通信を実行する。
【0053】
具体的には、通信処理部25は、前記実行要求データを参照して、転送対象である前記制御データを示す識別情報が前記実行要求データに含まれている場合に、その実行要求データが前記第1通信処理(第1転送処理を含む)の実行要求を示す前記第1実行要求データであると判定する。そして、通信処理部25は、その実行要求データ内の前記転送元情報(アドレス情報)が示すメモリー6の記憶領域に前記制御データが含まれているかどうかを判定する。そして、通信処理部25は、前記制御データがメモリー6に含まれている場合に、前記第1通信処理を実行する。
【0054】
また、同様にして、通信処理部25は、前記実行要求データを参照して、転送対象である前記検出データを示す識別情報が前記実行要求データに含まれている場合に、当該実行要求が前記第2通信処理(第2転送処理を含む)の実行要求を示す前記第2実行要求データであると判定する。そして、通信処理部25は、その実行要求データ内の前記転送元情報(アドレス情報)が示すレジスター14の記憶領域に前記検出データが含まれているかどうかを判定する。そして、通信処理部25は、前記検出データがレジスター14に含まれている場合に、前記第2通信処理を実行する。
【0055】
整合性判定部13は、予め定められた条件を満たした場合に、DMAコントローラー5による転送前のデータと転送後のデータとの整合性を判定する前記整合性判定処理を実行する。
【0056】
本実施形態では、整合性判定部13は、通信処理部25によって前記第1通信処理が実行される場合に、つまり、前記制御データに対するデータ転送処理が実行される場合に、前記整合性判定処理を実行する。例えば、整合性判定部13は、前記通信処理部25によって前記メモリー6に前記制御データ又はその識別情報が含まれていると判定された場合に、前記整合性判定処理を実行する。一方、通信処理部25によって前記第2通信処理が実行される場合、つまり、前記検出データに対するデータ転送処理が実行される場合は、整合性判定部13は、前記整合性判定処理を実行しない。
【0057】
すなわち、整合性判定部13は、前記制御データをメモリー6からスレーブプロセッサー12に転送する前記第1転送処理が実行された場合に前記整合性判定処理を実行し、前記検出データをスレーブプロセッサー12からメモリー6に転送する前記第2転送処理が実行された場合は、前記整合性判定処理を実行せず、データ転送処理の前後で前記チェックサム生成処理を実行することもない。
【0058】
ここで、前記制御データは、駆動部17を制御するためのデータであり、本発明の第1タイプのデータに相当する。また、前記検出データは、センサー16の検出結果を示すデータであり、本発明の第2タイプのデータに相当する。すなわち、整合性判定部13は、転送対象データのデータタイプが駆動部17の制御に用いられる制御系タイプ(第1タイプ)である場合に、前記整合性判定処理を実行する。また、整合性判定部13は、転送対象データのデータタイプが駆動部17の制御に用いられない非制御系タイプ(第2タイプ)である場合に、前記整合性判定処理を実行しない。
【0059】
前記制御データは、駆動部17を駆動して画像形成動作や給紙動作を実行させるためのものである。そのため、前記制御データが転送前後においてノイズなどの影響により整合性を失った場合、画像形成動作や給紙動作が正常に行われなくなる。したがって、本実施形態では、このような不具合が生じないようにするために、転送対象データが前記制御データである場合は、マスタープロセッサー4やスレーブプロセッサー12に演算負荷が掛かるが、転送前後において前記チェックサム生成処理が行われ、転送後に前記整合性判定処理が行われる。
【0060】
これに対して、前記検出データは、スレーブプロセッサー12によってセンサー16から一定時間(例えば数ms)毎に連続して取得されるデータである。このように連続して取得される前記検出データは、必ずしも一つの検出データが完全である必要はなく、例えば、連続して取得される複数の検出データのうち所定の閾値範囲から外れた極端値(外れ値)を除去して、残りの検出データの平均値を求めるなどにより、正確な検出データを得ることができる。或いは、前記複数の検出データから最頻値や中央値を正確な検出データとして得てもよい。このように、マスタープロセッサー4は、スレーブプロセッサー12から連続してメモリー6に転送されてきた複数の前記検出データに対して、ノイズなどの影響を受けた検出データを除去する処理(除去処理)などを行っている。従って、仮に、前記検出データが転送前後においてノイズなどの影響により整合性を失ったとしても、不整合な検出データは前記除去処理によって除去される。そのため、前記検出データの整合性を判定する必要性は低い。従って、本実施形態では、転送対象データが前記検出データである場合は、マスタープロセッサー4やスレーブプロセッサー12に掛かる演算負荷を軽減するために、転送前後において前記チェックサム生成処理は行われず、前記整合性判定処理も行われない。
【0061】
マスタープロセッサー4は、前記第1通信処理が実行されると判定した場合、つまり、前記制御データの転送処理が行われると判定した場合に、前記制御データの転送前の前記前処理において、前記チェックサム生成処理を実行して前記制御データのチェックサム(転送前チェックサム)を生成する。そして、その転送前チェックサムを含む前記制御情報を転送対象データである前記制御データに付加して、シリアルデータ32を生成する。その後に前記転送前チェックサム及び前記制御データを含むシリアルデータ32がDMAコントローラー5による前記第1転送処理によってスレーブプロセッサー12に転送される。スレーブプロセッサー12にシリアルデータ32が受信されると、スレーブプロセッサー12は、前記制御データの転送後の前記後処理において、前記チェックサム生成処理を実行して転送後の前記制御データのチェックサム(転送後チェックサム)を生成する。
【0062】
その後、整合性判定部13は、スレーブプロセッサー12によって受信されたシリアルデータ32に含まれる前記転送前チェックサムと、スレーブプロセッサー12に転送された後に改めて生成された前記転送後チェックサムとを比較し、前記転送前チェックサムと前記転送後チェックサムとが一致した場合に整合性有りと判定する。一方、整合性判定部13は、前記転送前チェックサムと前記転送後チェックサムとが不一致の場合に整合性無しと判定する。
【0063】
[通信制御処理]
以下、図4を参照しつつ、画像形成装置2においてマスタープロセッサー4及びスレーブプロセッサー12により実行される通信制御処理の手順とともに、当該通信制御処理において行われる本発明のデータ整合性判定方法について説明する。ここで、ステップS11、S12・・・は、マスタープロセッサー4及びスレーブプロセッサー12により実行される処理手順(ステップ)の番号を表している。なお、前記通信制御処理において、ステップS12~S14の各処理は上述した前処理に相当し、ステップS16~S18は上述した後処理に相当する。また、前記通信制御処理は、例えば、画像形成装置2において前記画像形成機能及び前記給紙機能が実行される場合に実行される。
【0064】
<ステップS11>
まず、ステップS11において、マスタープロセッサー4は、データ転送要求があるかどうかを判定する。マスタープロセッサー4は、バッファー24を監視し、バッファー24に新たに前記実行要求データが格納された場合に、前記データ転送要求があると判定し、前記バッファー24に新たな実行要求データが格納されなかった場合は、前記データ転送要求がないと判定する。マスタープロセッサー4は、前記データ転送要求があると判定すると(S11のYes)、ステップS12以降の手順に従って、バッファー24内の実行要求データに基づいてシリアル通信を実行する。一方、マスタープロセッサー4は、前記データ転送要求がないと判定すると(S11のNo側)、前記データ転送要求を待ち受ける。
【0065】
なお、ステップS11の判定処理は上述の処理例に限られない。例えば、DMAコントローラー5がバッファー24に新たに前記実行要求データが格納されたか否かを判定し、その判定結果をマスタープロセッサー4に通知することにより、マスタープロセッサー4は、データ転送要求があるかどうかを判定してもよい。
【0066】
<ステップS12>
ステップS12において、マスタープロセッサー4は、前記実行要求データを参照して、前記転送対象データが前記制御データであるか、或いはそれ以外のデータ(検出データ)であるかを判定する。本実施形態では、マスタープロセッサー4は、前記実行要求データを参照して、前記実行要求データに含まれる前記識別情報に基づいて、前記転送対象データのデータタイプを判定する。具体的には、マスタープロセッサー4は、前記実行要求データに含まれている前記識別情報に基づいて、転送対象データが制御系タイプの前記制御データであるか、或いは、前記制御データとは異なる非制御系タイプの前記検出データ(非制御系データ)であるかを判定する。ここで、前記制御データを示す前記識別情報が含まれていると判定されると(S12のYes)、処理はステップS13に進み、前記制御データを示す前記識別情報が含まれていないと判定されると(S12のNo)、処理はステップS14に進む。
【0067】
<ステップS13>
ステップS12において前記転送対象データが前記制御データであると判定されると、次のステップS13では、マスタープロセッサー4は、前記制御データを転送する前に、前記制御データのチェックサム(転送前チェックサム)を生成する。その後、処理はステップS14に進む。
【0068】
<ステップS14>
ステップS14では、マスタープロセッサー4は、前記制御情報及び前記転送対象データを含むシリアルデータ32(図3参照)を生成する処理を行う。ここで、前記転送対象データが前記制御データである場合は、ステップS13で生成された前記転送前チェックサムが前記制御情報に含められ、その制御情報が前記制御データに付加されたシリアルデータ32が生成される。一方、前記転送対象データが前記検出データ(非制御系データ)である場合は、マスタープロセッサー4は、前記制御情報をスレーブプロセッサー12へ送信し、スレーブプロセッサー12に、当該制御情報が前記検出データ(非制御系データ)に付加されたシリアルデータ32を生成させる。
【0069】
<ステップS15>
ステップS15では、マスタープロセッサー4は、DMAコントローラー5に対して転送指示を出力する。DMAコントローラー5は、前記転送指示を受けると、シリアルデータバス8を介してメモリー6とスレーブプロセッサー12との間でシリアルデータ32を転送するデータ転送処理を実行する。このデータ転送処理は、マスタープロセッサー4は関与しないので、このデータ転送処理の間、マスタープロセッサー4は当該データ転送処理とは別の処理を行うことができる。
【0070】
<ステップS16>
ステップS16では、マスタープロセッサー4は、ステップS15のデータ転送処理が終了したか否かを判定する。シリアルデータ32がスレーブプロセッサー12に転送されると、スレーブプロセッサー12はマスタープロセッサー4にシリアルデータ32を受信したことを示す応答信号を送信する。マスタープロセッサー4は、前記応答信号を受信することにより、前記データ転送処理が終了したか否かを判定する。また、シリアルデータ32がスレーブプロセッサー12からメモリー6に転送されてその転送が完了すると、スレーブプロセッサー12は、送信が終了したことを示す終了信号を送信する。マスタープロセッサー4は、前記終了を受信することにより、前記データ転送処理が終了したか否かを判定する。
【0071】
<ステップS17>
前記データ転送処理が終了したと判定されると、次のステップS17において、データを受信したマスタープロセッサー4又はスレーブプロセッサー12は、シリアルデータ32内の前記制御情報を参照して、当該制御情報に前記転送前チェックサムが含まれているか否かを判定する。前記転送対象データが前記制御データである場合は、スレーブプロセッサー12がステップS17の判定処理を行い、前記転送対象データが前記検出データである場合は、マスタープロセッサー4がステップS17の判定処理を行う。
【0072】
ステップS17において、前記転送前チェックサムが前記制御情報に含まれていると判定されると(S17のYes)、ステップS18において、スレーブプロセッサー12は上述した前記整合性判定処理を実行する。一方、前記転送前チェックサムが前記制御情報に含まれていないと判定されると(S17のNo)、ステップS19に進み、前記整合性判定処理が実行されないまま、前記実行要求データを削除する処理が行われる。
【0073】
なお、ステップS17の判定処理は上述の処理例に限られない。例えば、マスタープロセッサー4は、シリアルデータ32内の前記転送対象データが前記識別情報に基づいて前記制御データであると判定した場合に、前記制御情報に前記転送前チェックサムが含まれていると判定してもよい。一方、前記転送対象データが前記識別情報に基づいて前記検出データであると判定した場合に、前記制御情報に前記転送前チェックサムが含まれていないと判定してもよい。
【0074】
<ステップS18>
ステップS18では、スレーブプロセッサー12は、上述した前記整合性判定処理を実行して、データ転送処理の前後において、転送対象データ間に整合性があるか否かを判定する処理を行う。つまり、スレーブプロセッサー12は、前記制御データをスレーブプロセッサー12に転送する前記第1転送処理が実行された場合に前記整合性判定処理を実行する。ステップS18は、本発明の整合性判定ステップの一例である。
【0075】
具体的には、スレーブプロセッサー12は、スレーブプロセッサー12に転送された前記制御データのチェックサム(転送後チェックサム)を生成するチェックサム生成処理を行う。その後、転送前に生成されてシリアルデータ32に含まれる前記転送前チェックサムと、スレーブプロセッサー12が生成した前記転送後チェックサムとを比較する。そして、スレーブプロセッサー12は、前記転送前チェックサムと前記転送後チェックサムとが一致した場合に転送前と転送後の各データに整合性が有ると判定し、前記転送前チェックサムと前記転送後チェックサムとが不一致の場合に整合性が無いと判定する。
【0076】
<ステップS19>
次のステップS19では、ステップS18においてデータの整合性があると判定された場合に、スレーブプロセッサー12は、マスタープロセッサー4に、整合性があることを示す信号とともに、前記実行要求データを削除するコマンドを送信する。このコマンドを受けることにより、マスタープロセッサー4は、バッファー24内の当該通信制御処理に対応する前記実行要求データを削除する。また、ステップS17においてチェックサムが無いと判定された場合に、マスタープロセッサー4は、当該通信制御処理に対応する前記実行要求データを削除する。なお、ステップS18において、整合性が無いと判定された場合は、データ転送前後において、転送対象データである前記制御データが壊れていることを意味するため、データを再転送するために、ステップS11に戻り、ステップS11以降の処理が繰り返される。
【0077】
このように、画像形成装置2では、転送対象データが前記制御データである場合だけ、当該制御データのチェックサムを生成するチェックサム生成処理、及び前記整合性判定処理が行われ、転送対象データが前記検出データである場合は前記チェックサム生成処理及び前記整合性判定処理が行われない。したがって、前記チェックサム生成処理及び前記整合性判定処理が実行されなかった分だけマスタープロセッサー4又はスレーブプロセッサー12の負荷を軽減することが可能である。
【0078】
なお、上述の実施形態では、整合性判定部13がスレーブプロセッサー12に設けられた構成を例示したが、例えば、整合性判定部13は、マスタープロセッサー4に設けられていてもよい。この場合、マスタープロセッサー4が前記整合性判定処理を行うために、前記制御データの転送前に生成された前記転送前チェックサムをマスタープロセッサー4のレジスターに記憶させておき、また、前記制御データの転送後に生成された前記転送後チェックサムをスレーブプロセッサー12からマスタープロセッサー4に転送させる処理が行われる。
【0079】
また、上述の実施形態では、本発明の記憶媒体の一例としてメモリー6を例示して、メモリー6とスレーブプロセッサー12との間のデータ転送処理について例示したが、本発明はこの処理例に限られない。例えば、マスタープロセッサー4のレジスターとスレーブプロセッサー12との間で行われるデータ転送処理についても本発明は適用可能である。この場合、マスタープロセッサー4のレジスターが本発明の記憶媒体の一例である。
【符号の説明】
【0080】
2 :画像形成装置
4 :マスタープロセッサー
5 :DMAコントローラー
6 :メモリー
8 :シリアルデータバス
10 :機能部
12 :スレーブプロセッサー
13 :整合性判定部
14 :レジスター
16 :センサー
17 :駆動部
24 :バッファー
25 :通信処理部
30 :クロック
32 :シリアルデータ
41 :原稿搬送部
42 :画像読取部
43 :画像形成部
44 :給紙部
51 :感光体ドラム
52 :帯電装置
53 :露光装置
54 :現像装置
55 :転写装置
56 :定着装置
60 :搬送路
61 :給紙カセット
62 :ピックアップローラー
63 :搬送ローラー
図1
図2
図3
図4