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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】打込機
(51)【国際特許分類】
   B25C 1/00 20060101AFI20240116BHJP
   B25C 7/00 20060101ALI20240116BHJP
【FI】
B25C1/00 A
B25C7/00 Z
【請求項の数】 9
(21)【出願番号】P 2019177168
(22)【出願日】2019-09-27
(65)【公開番号】P2021053717
(43)【公開日】2021-04-08
【審査請求日】2022-02-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000005094
【氏名又は名称】工機ホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002066
【氏名又は名称】弁理士法人筒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】茂 哲仁
(72)【発明者】
【氏名】青木 良紀
【審査官】山内 康明
(56)【参考文献】
【文献】特開平08-052665(JP,A)
【文献】実開平04-079068(JP,U)
【文献】特開平10-254360(JP,A)
【文献】実開昭56-064065(JP,U)
【文献】実開平03-123687(JP,U)
【文献】登録実用新案第3071574(JP,U)
【文献】特開2014-034092(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2002/0117531(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B25C 1/00
B25C 7/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
留具を収容するマガジンと、
前記留具が前記マガジンから送られる射出部と、
前記射出部へ送られた前記留具を相手材に打ち込むように作動可能な打撃部と、
を有する、打込機であって、
前記マガジンは、
前記留具を収容する収容室と、
前記収容室を覆うカバーと、
前記カバーに設けられた窓部と、
ユーザに告知する情報が表記され、かつ、前記窓部及び前記窓部を囲む前記カバーの表面の少なくとも一部を覆うように前記カバーに取り付けられたシート部材と、を有し、
前記シート部材は、前記窓部を覆う範囲における少なくとも一部が、透視可能な透明度を有する透視可能部とされ、
ユーザが前記マガジンの外部から前記窓部と前記シート部材の前記透視可能部を通して前記収容室を目視可能である、打込機。
【請求項2】
前記カバーと前記シート部材との間に、前記窓部と前記シート部材の前記透視可能部と重なるように配置された透視フィルムが更に設けられ、
前記透視フィルムの硬度は、前記シート部材の硬度よりも高い、請求項1記載の打込機。
【請求項3】
前記シート部材の前記ユーザに告知する情報は、前記透視可能部に近接して記載され、前記収容室に収容されている前記留具の数を示す目盛を有する、請求項1または2記載の打込機。
【請求項4】
前記シート部材を前記カバーに固定する接着剤層が、前記シート部材と前記カバーとの間に更に設けられ、
前記接着剤層は、前記窓部に対応する箇所以外の箇所に設けられている、請求項1乃至3の何れか1項記載の打込機。
【請求項5】
前記マガジンは、前記収容室に収容された前記留具を前記射出部へ送る送り機構を有し、
前記透視可能部の透明度は、前記留具が前記射出部へ送られる方向で前記射出部に近いほど高い、請求項1乃至4の何れか1項記載の打込機。
【請求項6】
前記シート部材は、蓄光性を有する、請求項1乃至5の何れか1項記載の打込機。
【請求項7】
前記送り機構は、蓄光性を有する、請求項1乃至6の何れか1項記載の打込機。
【請求項8】
前記シート部材は、前記透視可能部よりも透明度が低い有色部を有し、
前記有色部の色と、前記送り機構の色とが異なる、請求項1乃至7の何れか1項記載の打込機。
【請求項9】
前記カバーは、アルミニウム合金製である、請求項1乃至8の何れか1項記載の打込機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、留具を収容するマガジンと、マガジンから送られる留具を打撃する打撃部と、を有する打込機に関する。
【背景技術】
【0002】
留具としての釘を収容するマガジンと、釘を打撃する打撃部としてのドライバブレードと、を有する打込機の一例が、特許文献1に記載されている。特許文献1に記載された打込機は、釘打機本体、ドライバブレード、ブレードガイド、マガジン、蓄圧室及びトリガを有する。ドライバブレードは、釘打機本体により支持されている。ピストンが、ドライバブレードに固定されている。ブレードガイドは、釘打機本体に設けられている。打込通路が、ブレードガイドに設けられている。マガジンは、ブレードガイドに連結されている。マガジンは、マガジン本体、第1カバー及び第2カバーを有する。第1カバーは軽金属製であり、窓が第1カバーに設けられている。第2カバーは、プラスチック製であり、かつ、透明である。釘がマガジン内に収容され、釘は、フィーダによって打込通路へ送られる。蓄圧室は、釘打機本体内に設けられている。トリガは、釘打機本体に取り付けられている。
【0003】
トリガが操作されると、ピストンが蓄圧室の空気圧で作動し、ドライバブレードが打込通路内で作動し、かつ、ドライバブレードは釘を打撃する。ユーザは、マガジンの外部から、窓及び第2カバーを通してマガジン内の釘の残量を視認可能である。また、第2カバーが設けられているため、窓からゴミ等が侵入することを防止できる。なお、マガジンのカバーに窓を設けた釘打機は、特許文献2にも記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2006-986号公報
【文献】実開平6-50768号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本願発明者は、異物がマガジン内に侵入しないように専用の部品を設けると、部品点数が増加する、という課題を認識した。
【0006】
本発明の目的は、異物がマガジン内に侵入することを抑制でき、かつ、部品点数が増加することを抑制可能な打込機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態の打込機は、留具を収容するマガジンと、前記留具が前記マガジンから送られる射出部と、前記射出部へ送られた前記留具を相手材に打ち込むように作動可能な打撃部と、を有する、打込機であって、前記マガジンは、前記留具を収容する収容室と、前記収容室を覆うカバーと、前記カバーに設けられた窓部と、ユーザに告知する情報が表記され、かつ、前記窓部を覆うように前記カバーに取り付けられたシート部材と、前記シート部材に設けられ、かつ、前記マガジンの外部からユーザが前記窓部を通して前記収容室を目視可能な透視可能部と、を有する。
【発明の効果】
【0008】
一実施形態の打込機によれば、カバーに取り付けられているシート部材が、異物がマガジン内に侵入することを抑制する。シート部材は、異物がマガジン内に侵入することを防止する専用の要素ではないため、部品点数の増加を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明の打込機の一実施形態を示す正面図である。
図2】打込機に設けたマガジンの一部を破断して示す正面図である。
図3】マガジンの具体例であり、図1のIII -III 線における左側面断面図である。
図4】マガジンの一部を拡大して示す正面図である。
図5図3のマガジンに貼り付けたラベルを示す正面図である。
図6】マガジンの他の具体例を示す左側面断面図である。
図7図6のマガジンに貼り付けたラベルを示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
本発明の打込機の一実施形態を、図面を参照して説明する。各図において、同様の構成は同じ符号を付してある。打込機のマガジンは、留具を1列に並べて直線状に送る構成である。ユーザは、マガジンの外部から留具の残量を目視できる。また、カバーに取り付けられているシート部材は、異物がマガジン内に侵入することを防止する専用の要素ではない。
【0011】
図1に示す打込機10は、ハウジング11、打撃部12、マガジン13、電動モータ14、変換機構15、制御部16、電池パック17及び射出部23を有する。ハウジング11は、筒形状の本体部19と、本体部19に接続されたハンドル20と、本体部19に接続されたモータケース21と、を有する。ユーザは、ハンドル20を手で握る。装着部22がハンドル20及びモータケース21に接続されている。
【0012】
打撃部12は、本体部19内に配置されたスライダ26と、スライダ26に固定されたドライバブレード27と、を有する。本体部19内にガイドシャフトが設けられている。スライダ26は、ガイドシャフトに対して移動に取り付けられている。このため、打撃部12は、仮想線A1に沿った方向に往復作動が可能である。仮想線A1は、本体部19内に位置する工学上の直線である。
【0013】
射出部23は、本体部19の外に設けられ、射出部23は、本体部19に固定されている。射出部23は、ノーズ部と定義可能である。射出部23は、例えば金属製であり、射出部23は、図2に示す射出路24を有する。射出路24は、通路、孔、空間の何れでもよい。マガジン13から射出路24へ留具が送られる。打撃部12が作動すると、ドライバブレード27は射出路24で移動可能である。射出路24は、ドライバブレード27の姿勢をガイドし、かつ、マガジン13から送られる留具の打ち込み方向をガイドする。プッシュレバー74が、射出部23に取り付けられている。プッシュレバー74は、射出部23に対して仮想線A1に沿った方向に移動及び停止が可能である。プッシュレバー74は、相手材W1に接触及び離間が可能である。
【0014】
金属製のスプリング51が本体部19内に設けられている。スライダ26は、スプリング51の付勢力によって仮想線A1に沿った方向で射出部23に近づく向き、つまり、第1の向きで付勢されている。バンパが本体部19内に設けられており、第1の向きで作動するスライダ26がバンパに衝突すると、打撃部12が停止する。スライダ26がバンパに接触した状態における打撃部12の位置は、下死点である。
【0015】
電池パック17は、装着部22に対して取り付け及び取り外し可能である。電池パック17は、電動モータに電圧を印加するための電源の一例である。電池パック17は、収容ケース52と、収容ケース52内に収容した複数の電池セルとを有する。電池セルは、充電及び放電が可能な二次電池であり、電池セルは、リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、リチウムイオンポリマー電池、ニッケルカドミウム電池の何れかを用いることができる。
【0016】
図1に示す制御部16は、装着部22内に設けられており、制御部16は、入力ポート、出力ポート、演算処理部及び記憶部を有するマイクロコンピュータである。制御部16は、電動モータ14の回転及び停止を間接的に制御する。図1に示すトリガ53及びトリガスイッチがハンドル20に設けられている。ユーザがトリガ53に操作力を付加するとトリガスイッチがオンする。ユーザがトリガ53に加えた操作力を解除すると、トリガスイッチがオフする。インバータ回路が、モータケース21内に設けられている。インバータ回路は、オン及びオフが可能なスイッチング素子を複数備えている。
【0017】
位置検出センサが、モータケース21内に設けられている。位置検出センサは、例えば、電動モータ14の回転角度に基づいて、仮想線A1に沿った方向におけるスライダ26の位置を推定して信号を出力する。プッシュレバースイッチが、射出部23に設けられている。プッシュレバースイッチは、プッシュレバー74が相手材W1に押し付けられているか離間しているかを検出して信号を出力する。制御部16は、トリガスイッチの信号、プッシュレバースイッチの信号、位置検出センサの信号を処理し、かつ、インバータ回路を制御する。
【0018】
電動モータ14及び減速機28が、モータケース21内に設けられている。電動モータ14及び減速機28は、仮想線A2を中心として同心状に配置されている。仮想線A2は、便宜的に示した工学上の直線である。仮想線A2は、モータケース21内に位置する。打込機10を図1のように正面視すると、仮想線A2は仮想線A1と交差している。電動モータ14は、電池パック17から電圧が印加されると回転する。電動モータ14の回転力は、減速機28に伝達される。減速機28は、入力要素の回転速度に対して出力要素の回転速度を減速する。
【0019】
変換機構15が、ハウジング内に設けられている。変換機構15は、減速機28の出力要素の回転力を、スライダ26の作動力に変換するものである。変換機構15は、回転要素と、回転要素に設けられたピンと、を有する。ピンがスライダ26に係合していると、回転要素の回転力がスライダ26に伝達される。回転要素の回転力がスライダ26に伝達されると、スライダ26は、スプリング51の付勢力に抗して、射出部23から離間する向き、つまり、第2の向きで作動可能である。ピンがスライダ26から解放されていると、回転要素の回転力はスライダ26に伝達されない。回転要素の回転力がスライダ26に伝達されていなければ、スライダ26は、スプリング51の付勢力で第1の向きで作動可能である。
【0020】
マガジン13は、モータケース21及び射出部23により支持されている。マガジン13は、複数の釘25を1列に並べた状態で収容可能である。隣り合う釘25同士は、接着剤で接続されている。フィーダ29がマガジン13に設けられている。フィーダ29は、マガジン13に収容された釘25を、送り方向B1で射出路24へ送る。
【0021】
次に、打込機10の使用例を説明する。制御部16は、トリガスイッチまたはプッシュレバースイッチの少なくとも一方がオフであると、電動モータ14に対する電力の供給を停止させる。電動モータ14が停止していると、打撃部12は下死点で停止している。打撃部12が下死点で停止していると、送り方向B1で先頭に位置する釘25は、ドライバブレード27に接触し、かつ、射出路24の外で停止している。
【0022】
ユーザが、トリガ53に操作力を付加してトリガスイッチがオンし、かつ、プッシュレバー74の先端を相手材W1に押し付けると、プッシュレバースイッチがオンする。すると、制御部16は、電動モータ14を回転させる。電動モータ14の回転力は、減速機28で増幅されて変換機構15に伝達される。変換機構15の回転力がスライダ26に伝達されると、打撃部12が第2の向きで作動、つまり、上昇する。ドライバブレード27が射出路24から退避すると、送り方向B1で先頭に位置する釘25が、フィーダ29によって射出路24へ送られて停止する。
【0023】
変換機構15の回転力がスライダ26に伝達されなくなると、打撃部12が第1の向きで作動、つまり、下降する。変換機構15の回転力がスライダ26に伝達されなくなった時点における打撃部12の位置は、上死点である。打撃部12が上死点から下降すると、ドライバブレード27は、射出路24にある釘25を打撃する。打撃された釘25は、相手材W1に打ち込まれる。
【0024】
制御部16は、スライダ26が下降を開始した時点から、スライダ26がバンパに衝突するまでの間に、電動モータ14を停止する。このため、スライダ26はバンパに接触し、打撃部12は下死点で停止する。
【0025】
本実施形態におけるマガジン13は、次のように構成されている。マガジン13は、図2及び図3に示すように、本体30及びカバー31を有する。本体30は金属製であり、かつ、モータケース21及び射出部23に固定されている。本体30は、仮想線A2に沿って配置された帯状部材である。本体30は、2つのガイド溝32を有する。2つのガイド溝32は、仮想線A1に沿った方向に間隔をおいて配置されている。2つのガイド溝32は平行であり、かつ、仮想線B2に沿って配置されている。仮想線B2は、便宜的に示した工学上の直線であり、仮想線B2は、マガジン13内に位置する。仮想線B2は、仮想線A2と平行である。仮想線A1に沿った方向において、仮想線A2と仮想線B2とが間隔をおいて位置する。
【0026】
カバー31は、本体30に対して取り付け及び取り外しが可能である。カバー31は、不透明な材料、一例としてアルミニウム合金製である。カバー31は2つのレール33を有し、2つのレール33は平行である。レール33は、それぞれガイド溝32に単独で配置されている。カバー31が本体30に取り付けられた状態において、射出部23から最も離間した端部にグリップ34が固定されている。カバー31が本体30に取り付けられていると、ユーザは、グリップ34を掴んで操作力を付加し、カバー31をガイド溝32に沿って移動させることが可能である。レバーがカバー31に設けられており、ユーザがレバーを操作して、カバー31を本体30に対して移動可能な状態と、カバー31を本体30に固定した状態とを切り替え可能である。
【0027】
カバー31が本体30に取り付けられた状態において、本体30とカバー31との間に収容室35が設けられている。収容室35は、仮想線B2に沿った方向の長さを有する空間である。カバー31は収容室35を覆っている。釘25は、収容室35内において、仮想線B2に沿った方向で1列に並べて収容される。フィーダ29は、収容室35に配置され、かつ、プレート形状である。フィーダ29は、金属製、合成樹脂製、金属の表面を合成樹脂で被覆したもの、のうち何れでもよい。フィーダ29は、収容室35内で仮想線B2に沿った方向に移動可能である。フィーダ29は、収容室35に配置されている釘25のうち、送り方向B1で最後部に位置する釘25に接触する。送り方向B1は、仮想線B2に沿い、かつ、射出部23に近づく向きである。
【0028】
フィーダピース36がフィーダ29に設けられている。フィーダピース36とフィーダ29とは、互いに別々の部材である。フィーダピース36は、例えば合成樹脂製であり、かつ、円柱形状である。カバー31は、ガイド溝37を有し、フィーダピース36は、ガイド溝37内で仮想線B2に沿った方向に移動可能である。接続片38が、フィーダ29とフィーダピース36とを接続している。このため、フィーダ29とフィーダピース36とが、一体で仮想線B2に沿った方向に移動可能である。
【0029】
金属製のスプリング39が、ガイド溝37に設けられている。スプリング39は、フィーダピース36及びグリップ34に接触している。スプリング39の付勢力は、フィーダピース36を介してフィーダ29に伝達される。フィーダ29は、射出路24に近づく送り方向B1で付勢され、かつ、釘25に押し付けられる。
【0030】
窓部40が、カバー31に設けられている。窓部40は、ユーザが、マガジン13の外部からマガジン13の内部を目視するためのものである。窓部40は、カバー31を貫通している。窓部40は、仮想線B2方向で所定範囲に設けられている。所定範囲は、仮想線B2方向で釘25を収容可能な範囲以下である。仮想線B2に交差する方向における窓部40の幅は、例えば、5mm以下である。窓部40は、窓部40は、仮想線B2に沿って配置された穴またはスリットと定義可能である。カバー31のうち、マガジン13の外部に露出している箇所の表面に、図3及び図4に示すラベル41が取り付けられている。ラベル41は、情報をユーザに告知する機能を有する。カバー31よりも硬度が低い材料製である。ラベル41は、例えば、熱可塑性プラスチック製、具体的にはポリカーボネート製のシート部材である。
【0031】
ラベル41を図5のように正面視すると、ラベル41の外周形状は、略長方形である。ラべる41は、透視可能部42、複数の表記部43,44,45、残量表示部46及び有色部47を有する。複数の表記部43,44,45、残量表示部46及び有色部47は、ラベル41の表面に設けられている。ユーザは、複数の表記部43,44,45を目視可能である。複数の表記部43,44,45には、ユーザに告知する情報が、文字または記号で印刷されている。表記部43には、例えば、打込機10の製品番号、マガジン13に収容可能な釘25の長さ等が記載されている。表記部44には、例えば、打込機10の特徴、セールスポイント等が記載されている。表記部45には、例えば、打込機10の使用上の注意事項等が記載されている。
【0032】
透視可能部42は、ユーザがマガジン13の外部から窓部40及び収容室35を透視可能な透明度を有する。透視可能部42の外縁は、窓部40の外縁よりも外側に設けられている。仮想線B2に沿った方向において、透視可能部42の長さは、窓部40の長さを超えている。仮想線B2に対して交差する方向において、透視可能部42の幅は、窓部40の幅を超えている。透視可能部42は、仮想線B2に沿った方向に帯状に配置されている。
【0033】
残量表示部46は、透視可能部42と表記部43との間に設けられている。残量表示部46は、釘25の残量を数字で表している。図5に示す残量表示部46は、10本毎に間隔をおいて3個所設けた例である。
【0034】
有色部47は、透視可能部42と表記部45との間に設けられている。有色部47の透明度は、透視可能部42の透明度よりも低い。有色部47は、ユーザによる透視が不要である。有色部47の色は、フィーダピース36の色とは異なる。例えば、有色部47の色は、フィーダピース36の色に対して反対色とすることが可能である。つまり、有色部47の色は、色相環でフィーダピース36の色とは、正反対に位置する色である。また、有色部47の色を、仮想線B2に沿った方向の位置の変化に対して連続的に変化させたグラデーションとすることも可能である。
【0035】
図3のように、接着剤層48が、ラベル41の裏面に設けられている。接着剤層48がカバー31の表面に接着されて、ラベル41がカバー31に固定、つまり、貼り付けられている。接着剤層48は、透視可能部42以外の箇所に設けられている。接着剤は、アクリル系、ゴム系、シリコーン系等のうちの何れでもよい。また、接着剤は、永久接着タイプまたは剥離可能タイプの何れでもよい。なお、接着剤は、ラベル41をカバー31に固定可能であればよく、粘着剤を含む。
【0036】
ユーザは、マガジン13の外部から、ラベル41の透視可能部42及び窓部40を介して、フィーダピース36及び収容室35を目視可能である。このため、仮想線B2に沿った方向におけるフィーダピース36の位置を目視可能である。そして、フィーダピース36の位置と、残量表示部46とに基づいて、マガジン13内の釘25の残量を間接的に認識可能である。なお、釘25を直接目視して、マガジン13内の釘25の残量を認識することも可能である。
【0037】
また、ラベル41は窓部40を塞いでいる。したがって、マガジン13の外部の異物が、窓部40から収容室35に侵入することを防止できる。また、ラベル41は、情報をユーザに告知するためにカバー31に貼り付けられた要素である。つまり、ラベル41は、窓部40を塞ぐための専用のシール部材ではない。言い換えると、ラベル41は、情報告知機能と、シール部材としての機能とを兼備している。したがって、打込機10の部品点数が増加することを抑制でき、打込機10の製造コストが上昇することを抑制できる。さらに、ラベル41は樹脂製フィルムであるため、打込機10の重量が増加することを抑制できる。
【0038】
また、接着剤層48は、図5のようにラベル41を正面視すると、窓部40及び透視可能部42に対応する箇所以外の箇所に設けられている。したがって、ユーザの視界が接着剤層48により遮られることを防止できる。さらに、ラベル41に有色部47が設けられているため、仮想線B2に沿った方向におけるフィーダピース36の位置の視認性が向上する。また、透視可能部42が汚れて透明度が低下した場合は、ラベル41を剥がして新しいラベル41をカバー31に貼ればよい。
【0039】
さらに、透視可能部42は、仮想線B2に沿った方向において、射出部23に近づくことに伴い、透明度が高く設定されている。透視可能部42の透明度は、段階的に変化していてもよいし、無段階に変化していてもよい。したがって、釘25の残量が減少するほど、視認性が向上する。
【0040】
マガジン13の他の具体例は、図6に示されている。カバー31において、ラベル41が貼り付けられている表面から窪んだ凹部49が設けられている。凹部49は、図7のように、窓部40の外縁を囲んで設けられている。凹部49に透明のフィルム50が設けられている。フィルム50は、透光性の材料、例えば合成樹脂製であり、フィルム50の硬度は、ラベル41の硬度よりも高い。フィルム50は、窓部40を覆っている。フィルム50は、カバー31に対して接着剤により固定されていてもよいし、カバー31に固定されていなくてもよい。ユーザは、マガジン13の外部から、透視可能部42、フィルム50及び窓部40を介して、フィーダピース36及び収容室35を目視可能である。
【0041】
さらに、図5及び図7に示すラベル41は、全体が蓄光性を有してもよい。また、ラベル41の一部、例えば、有色部47が蓄光性を有してもよい。さらにまた、フィーダピース36の全部または表面が蓄光性を有してもよい。例えば、ラベル41、有色部47、フィーダピース36を蓄光材料製とすればよい。蓄光材料は、光エネルギを蓄積し、再発光する機能を有する。蓄光材料は、蓄光塗料、蓄光テープの何れでもよい。ラベル41、有色部47、フィーダピース36の少なくとも1つが発光すると、ユーザによる視認性が向上する。
【0042】
さらに、透視可能部42の外縁が、窓部40の外縁よりも外側に位置するように、透視可能部42の面積が設定されていると、ラベル41をカバー31に貼り付ける位置がずれたとしても、ユーザは、透視可能部42を介して窓部40を目視可能である。
【0043】
さらに、カバー31が凹部49を有し、フィルム50は凹部49に配置されている。このため、フィルム50がカバー31の表面から突出することを防止できる。したがって、ラベル41をカバー31の表面に貼る場合に、ラベル41がカバー31の表面から浮き上がることを防止できる。
【0044】
さらに、有色部47の色は、フィーダピース36の色とは異なる。特に、有色部47の色は、フィーダピース36の色に対して反対色であると、ユーザによる視認性が向上する。また、有色部47の色が、仮想線B2に沿った方向の位置の変化に対して連続的に変化したグラデーションであると、ユーザによる視認性が向上する。
【0045】
実施形態で開示した事項の技術的意味の一例は、次の通りである。ラベル41は、シート部材の一例である。釘25は、留具の一例である。フィルム50は、透視フィルムの一例である。残量表示部46は、目盛の一例である。フィーダ29、フィーダピース36及びスプリング39は、送り機構の一例である。
【0046】
打込機は、図面を用いて開示された実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、留具の送り方向における窓部、透視可能部の長さ、留具の送り方向に対して交差する方向における窓部、透視可能部の幅は、任意に設定可能である。また、シート部材は、ラベル、フィルム、ステッカー、シールの何れでもよい。シート部材の材質は、合成樹脂製、金属製の何れでもよい。また、マガジンの本体と、射出部とが別部材で構成され、本体が射出部に固定されている構造の他、マガジンの本体と、射出部とが同一部材で一体化されている構造でもよい。
【0047】
打撃部を第1の向きで作動させる第1付勢機構は、金属製のスプリングに代えて、ガススプリングまたは磁石を用いることも可能である。磁石は、永久磁石または電磁石の何れでもよい。打撃部が磁性材料製、例えば鉄製であると、打撃部は磁石の磁気吸引力で移動する。また、電動モータに電圧を印加する電源は、直流電源または交流電源の何れでもよい。
【0048】
さらに、第1付勢機構は、ハウジング内に設けられた蓄圧室、打撃部に空気圧を加える圧力室、蓄圧室の圧縮空気を圧力室に供給する経路を備えていてもよい。そして、ハウジングの外部からエアホースを介して蓄圧室に圧縮空気が供給され、トリガに操作力が付加されると、蓄圧室の圧縮空気が経路を通って圧力室に送られ、打撃部が第1の向きで作動する。さらに、第1付勢機構が圧力室である場合、打撃部を第2の向きで付勢する第2付勢機構は、圧縮空気の圧力により、打撃部を第2の向きで移動させる戻し室である。
【0049】
送り機構の一部を構成する付勢部材として、金属製のスプリングを用いることが可能である。金属製のスプリングは、圧縮スプリングまたは引張スプリングの何れでもよい。送り機構は、一部または全部が有色または蓄光材料製であればよい。例えば、フィーダを有色とすること、または、フィーダを蓄光材料製とすること、も可能である。さらに、フィーダと残量表示部との位置により、留具の残量を認識可能である。
【0050】
留具は、軸形状の釘、プレート形状の釘、頭部を有する釘、頭部のない釘、アーチ形状のタッカ、鋲等の何れでもよい。釘は、頭部を1個有する固定用の釘、または、頭部を2個有する仮止め用の釘の何れでもよい。
【符号の説明】
【0051】
10…打込機、12…打撃部、13…マガジン、23…射出部、25…釘、29…フィーダ、31…カバー、35…収容室、36…フィーダピース、39…スプリング、40…窓部、41…ラベル、42…透視可能部、46…残量表示部、47…有色部、48…接着剤層、50…フィルム
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7