(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】補正テーブル生成装置、補正テーブル生成方法、補正テーブル生成プログラム、及び液晶表示装置
(51)【国際特許分類】
G09G 3/36 20060101AFI20240116BHJP
G09G 3/20 20060101ALI20240116BHJP
H04N 5/74 20060101ALI20240116BHJP
H04N 13/125 20180101ALI20240116BHJP
H04N 13/341 20180101ALI20240116BHJP
H04N 13/363 20180101ALI20240116BHJP
H04N 13/398 20180101ALI20240116BHJP
【FI】
G09G3/36
G09G3/20 611D
G09G3/20 612U
G09G3/20 641P
G09G3/20 680C
G09G3/20 650M
H04N5/74 D
H04N13/125
H04N13/341
H04N13/363
H04N13/398
(21)【出願番号】P 2019186726
(22)【出願日】2019-10-10
【審査請求日】2022-08-31
(73)【特許権者】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100083806
【氏名又は名称】三好 秀和
(74)【代理人】
【識別番号】100101247
【氏名又は名称】高橋 俊一
(72)【発明者】
【氏名】中島 伸基
(72)【発明者】
【氏名】間ケ部 武
【審査官】西島 篤宏
(56)【参考文献】
【文献】国際公開第2016/042885(WO,A1)
【文献】特開2007-333770(JP,A)
【文献】特開2008-216972(JP,A)
【文献】特開2007-199470(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2006/0267893(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09G 3/00 - 3/38
H04N 5/74
H04N 13/125
H04N 13/341
H04N 13/363
H04N 13/398
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のフレームと第2のフレームとを交互に繰り返す測定用映像信号であり、前記第1及び第2のフレームにおける全画素を単一階調とし、前記第1及び第2のフレームの階調を順に異ならせた単一階調画像の測定用映像信号を発生する信号発生器と、
前記測定用映像信号を液晶プロジェクタによってスクリーンに投影した表示画像における前記第1のフレームに基づく表示画像と前記第2のフレームに基づく表示画像とのうちの一方のみの明るさレベルを検出する明るさ検出器と、
前記第1及び第2のフレームの階調の組を階調(x,y)とし、前記明るさ検出器が階調xの前記第1のフレームが前記スクリーンに投影されているときに検出した明るさレベルをa、前記明るさ検出器が階調yの前記第2のフレームが前記スクリーンに投影されているときに検出した明るさレベルをbとして、前記明るさ検出器が階調(x,y)に対応して検出した明るさレベルの組をβ(a,b)としたとき、階調xと階調yとが同じである階調の複数の組に対応する明るさレベルβ(a,b)と、a>bの関係を有する階調xと階調yとが異なる階調の複数の組に対応する第1の明るさレベル群の明るさレベルβ(a,b)と、a<bの関係を有する階調xと階調yとが異なる階調の複数の組に対応する第2の明るさレベル群の明るさレベルβ(a,b)とを含む明るさ検出テーブルを生成し、
前記第1のフレームの階調xが前記第2のフレームの階調yより大きいとき、前記第1の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβ(a,b)と、前記第1のフレーム及び前記第2のフレームの階調がxであるときの明るさレベルβ(x,x)との差分と、前記第2の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβ(b,a)と、前記第1のフレーム及び前記第2のフレームの階調がyであるときの明るさレベルβ(y,y)との差分とに基づく誤差D(a,b)が最小となる、階調xの前記第1のフレームが前記スクリーンに投影されているときの前記第2のフレームの階調yに影響されない本来の明るさレベルと、階調yの前記第2のフレームが前記スクリーンに投影されているときの前記第1のフレームの階調xに影響されない本来の明るさレベルとの組と最も近い最近傍明るさレベルβ(a,b)を探索し、
前記第2のフレームの階調yが前記第1のフレームの階調xより大きいとき、前記第2の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβ(a,b)と、前記第1のフレーム及び前記第2のフレームの階調がyであるときの明るさレベルβ(y,y)との差分と、前記第1の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβ(b,a)と、前記第1のフレーム及び前記第2のフレームの階調がxであるときの明るさレベルβ(x,x)との差分とに基づく誤差D(a,b)が最小となる、階調yの前記第2のフレームが前記スクリーンに投影されているときの前記第1のフレームの階調xに影響されない本来の明るさレベルと、階調xの前記第1のフレームが前記スクリーンに投影されているときの前記第2のフレームの階調yに影響されない本来の明るさレベルとの組と最も近い最近傍明るさレベルβ(a,b)を探索して、
前記最近傍明るさレベルβ(a,b)に対応する階調(x,y)を補正階調α(x,y)とした補正テーブルを生成する
制御装置と、
を備える補正テーブル生成装置。
【請求項2】
前記制御装置は、前記誤差D(a,b)を、
D(a,b)=(β(a,b)-β(x,x))
2+(β(b,a)-β(y,y))
2なる式で求める
請求項1に記載の補正テーブル生成装置。
【請求項3】
前記制御装置は、前記誤差D(a,b)を、
D(a,b)=(|β(a,b)-β(x,x)|)/β(x,x)+(|β(b,a)-β(y,y)|)/β(y,y)なる式で求める
請求項1に記載の補正テーブル生成装置。
【請求項4】
信号発生器によって、第1のフレームと第2のフレームとを交互に繰り返す測定用映像信号であり、前記第1及び第2のフレームにおける全画素を単一階調とし、前記第1及び第2のフレームの階調を順に異ならせた単一階調画像の測定用映像信号を発生して、液晶プロジェクタに供給し、
明るさ検出器によって、前記液晶プロジェクタが前記測定用映像信号をスクリーンに投影した表示画像における前記第1のフレームに基づく表示画像と前記第2のフレームに基づく表示画像とのうちの一方のみの明るさレベルを検出し、
前記第1及び第2のフレームの階調の組を階調(x,y)とし、階調xの前記第1のフレームが前記スクリーンに投影されているときに検出した明るさレベルをa、階調yの前記第2のフレームが前記スクリーンに投影されているときに検出した明るさレベルをbとして、階調(x,y)に対応して検出した明るさレベルの組をβ(a,b)としたとき、階調xと階調yとが同じである階調の複数の組に対応する明るさレベルβ(a,b)と、a>bの関係を有する階調xと階調yとが異なる階調の複数の組に対応する第1の明るさレベル群の明るさレベルβ(a,b)と、a<bの関係を有する階調xと階調yとが異なる階調の複数の組に対応する第2の明るさレベル群の明るさレベルβ(a,b)とを含む明るさ検出テーブルを生成し、
前記第1のフレームの階調xが前記第2のフレームの階調yより大きいとき、前記第1の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβ(a,b)と、前記第1のフレーム及び前記第2のフレームの階調がxであるときの明るさレベルβ(x,x)との差分と、前記第2の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβ(b,a)と、前記第1のフレーム及び前記第2のフレームの階調がyであるときの明るさレベルβ(y,y)との差分とに基づく誤差D(a,b)が最小となる、階調xの前記第1のフレームが前記スクリーンに投影されているときの前記第2のフレームの階調yに影響されない本来の明るさレベルと、階調yの前記第2のフレームが前記スクリーンに投影されているときの前記第1のフレームの階調xに影響されない本来の明るさレベルとの組と最も近い最近傍明るさレベルβ(a,b)を探索し、
前記第2のフレームの階調yが前記第1のフレームの階調xより大きいとき、前記第2の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβ(a,b)と、前記第1のフレーム及び前記第2のフレームの階調がyであるときの明るさレベルβ(y,y)との差分と、前記第1の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβ(b,a)と、前記第1のフレーム及び前記第2のフレームの階調がxであるときの明るさレベルβ(x,x)との差分とに基づく誤差D(a,b)が最小となる、階調yの前記第2のフレームが前記スクリーンに投影されているときの前記第1のフレームの階調xに影響されない本来の明るさレベルと、階調xの前記第1のフレームが前記スクリーンに投影されているときの前記第2のフレームの階調yに影響されない本来の明るさレベルとの組と最も近い最近傍明るさレベルβ(a,b)を探索し、
前記最近傍明るさレベルβ(a,b)に対応する階調(x,y)を補正階調α(x,y)とした補正テーブルを生成する
補正テーブル生成方法。
【請求項5】
コンピュータに、
信号発生器によって、第1のフレームと第2のフレームとを交互に繰り返す測定用映像信号であり、前記第1及び第2のフレームにおける全画素を単一階調とし、前記第1及び第2のフレームの階調を順に異ならせた単一階調画像の測定用映像信号を発生して、液晶プロジェクタに供給するステップと、
前記液晶プロジェクタが前記測定用映像信号をスクリーンに投影した表示画像における前記第1のフレームに基づく表示画像と前記第2のフレームに基づく表示画像とのうちの一方のみの明るさレベルを検出するステップと、
前記第1及び第2のフレームの階調の組を階調(x,y)とし、階調xの前記第1のフレームが前記スクリーンに投影されているときに検出した明るさレベルをa、階調yの前記第2のフレームが前記スクリーンに投影されているときに検出した明るさレベルをbとして、階調(x,y)に対応して検出した明るさレベルの組をβ(a,b)としたとき、階調xと階調yとが同じである階調の複数の組に対応する明るさレベルβ(a,b)と、a>bの関係を有する階調xと階調yとが異なる階調の複数の組に対応する第1の明るさレベル群の明るさレベルβ(a,b)と、a<bの関係を有する階調xと階調yとが異なる階調の複数の組に対応する第2の明るさレベル群の明るさレベルβ(a,b)とを含む明るさ検出テーブルを生成するステップと、
前記第1のフレームの階調xが前記第2のフレームの階調yより大きいとき、前記第1の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβ(a,b)と、前記第1のフレーム及び前記第2のフレームの階調がxであるときの明るさレベルβ(x,x)との差分と、前記第2の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβ(b,a)と、前記第1のフレーム及び前記第2のフレームの階調がyであるときの明るさレベルβ(y,y)との差分とに基づく誤差D(a,b)が最小となる、階調xの前記第1のフレームが前記スクリーンに投影されているときの前記第2のフレームの階調yに影響されない本来の明るさレベルと、階調yの前記第2のフレームが前記スクリーンに投影されているときの前記第1のフレームの階調xに影響されない本来の明るさレベルとの組と最も近い最近傍明るさレベルβ(a,b)を探索するステップと、
前記第2のフレームの階調yが前記第1のフレームの階調xより大きいとき、前記第2の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβ(a,b)と、前記第1のフレーム及び前記第2のフレームの階調がyであるときの明るさレベルβ(y,y)との差分と、前記第1の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβ(b,a)と、前記第1のフレーム及び前記第2のフレームの階調がxであるときの明るさレベルβ(x,x)との差分とに基づく誤差D(a,b)が最小となる、階調yの前記第2のフレームが前記スクリーンに投影されているときの前記第1のフレームの階調xに影響されない本来の明るさレベルと、階調xの前記第1のフレームが前記スクリーンに投影されているときの前記第2のフレームの階調yに影響されない本来の明るさレベルとの組と最も近い最近傍明るさレベルβ(a,b)を探索するステップと、
前記最近傍明るさレベルβ(a,b)に対応する階調(x,y)を補正階調α(x,y)とした補正テーブルを生成するステップと、
を実行させる補正テーブル生成プログラム。
【請求項6】
補正テーブルを記憶する補正テーブル記憶部と、
入力された映像信号の各画素の階調を、前記補正テーブルを参照して補正する映像信号補正部と、
前記映像信号補正部によって補正された映像信号をスクリーンに投影して表示する液晶表示部と、
を備え、
前記補正テーブルは、
前記液晶表示部が、第1のフレームと第2のフレームとを交互に繰り返す測定用映像信号であり、前記第1及び第2のフレームにおける全画素を単一階調とし、前記第1及び第2のフレームの階調を順に異ならせた単一階調画像の測定用映像信号を表示したときの、表示画像における前記第1のフレームに基づく表示画像と前記第2のフレームに基づく表示画像とのうちの一方のみの明るさレベルが検出され、
前記第1及び第2のフレームの階調の組を階調(x,y)とし、階調xの前記第1のフレームが表示されているときに検出した明るさレベルをa、階調yの前記第2のフレームが表示されているときに検出した明るさレベルをbとして、階調(x,y)に対応して検出した明るさレベルの組をβ(a,b)としたとき、階調xと階調yとが同じである階調の複数の組に対応する明るさレベルβ(a,b)と、a>bの関係を有する階調xと階調yとが異なる階調の複数の組に対応する第1の明るさレベル群の明るさレベルβ(a,b)と、a<bの関係を有する階調xと階調yとが異なる階調の複数の組に対応する第2の明るさレベル群の明るさレベルβ(a,b)とを含む明るさ検出テーブルが生成され、
前記第1のフレームの階調xが前記第2のフレームの階調yより大きいとき、前記第1の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβ(a,b)と、前記第1のフレーム及び前記第2のフレームの階調がxであるときの明るさレベルβ(x,x)との差分と、前記第2の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβ(b,a)と、前記第1のフレーム及び前記第2のフレームの階調がyであるときの明るさレベルβ(y,y)との差分とに基づく誤差D(a,b)が最小となる、階調xの前記第1のフレームが前記スクリーンに投影されているときの前記第2のフレームの階調yに影響されない本来の明るさレベルと、階調yの前記第2のフレームが前記スクリーンに投影されているときの前記第1のフレームの階調xに影響されない本来の明るさレベルとの組と最も近い最近傍明るさレベルβ(a,b)が探索され、
前記第2のフレームの階調yが前記第1のフレームの階調xより大きいとき、前記第2の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβ(a,b)と、前記第1のフレーム及び前記第2のフレームの階調がyであるときの明るさレベルβ(y,y)との差分と、前記第1の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβ(b,a)と、前記第1のフレーム及び前記第2のフレームの階調がxであるときの明るさレベルβ(x,x)との差分とに基づく誤差D(a,b)が最小となる、階調yの前記第2のフレームが前記スクリーンに投影されているときの前記第1のフレームの階調xに影響されない本来の明るさレベルと、階調xの前記第1のフレームが前記スクリーンに投影されているときの前記第2のフレームの階調yに影響されない本来の明るさレベルとの組と最も近い最近傍明るさレベルβ(a,b)を探索され、
前記第1及び第2のフレームの階調の組ごとに、前記最近傍明るさレベルβ(a,b)に対応する階調(x,y)が補正階調α(x,y)と設定されている
液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、補正テーブル生成装置、補正テーブル生成方法、補正テーブル生成プログラム、及び液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置によって映像信号を表示するとき、隣接するフレームに相関がない(または少ない)と、前のフレームの映像信号の階調が後のフレームの映像信号の階調に影響を与えて、クロストークが目立つことがある(特許文献1参照)。これは、液晶表示装置において、液晶の立ち上がり及び立ち下がりに所定の時間を要するためである。
【0003】
隣接するフレームに相関がない映像信号としては、例えば、左目画像信号のフレームと右目画像信号のフレームとを交互に繰り返すフレームシーケンシャル方式の立体映像信号(3D映像信号)、赤外光用の映像信号のフレームと可視光用の像信号のフレームとを交互に繰り返すフレームシーケンシャル方式の映像信号がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
液晶表示装置は、クロストークを少なくするよう映像信号を補正することが望まれる。そこで、本発明は、クロストークを少なくするよう映像信号を補正する補正テーブルを生成することができる補正テーブル生成装置、補正テーブル生成方法、及び補正テーブル生成プログラム、クロストークを少なくするよう映像信号を補正することができる液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1のフレームと第2のフレームとを交互に繰り返す測定用映像信号であり、前記第1及び第2のフレームにおける全画素を単一階調とし、前記第1及び第2のフレームの階調を順に異ならせた単一階調画像の測定用映像信号を発生する信号発生器と、前記測定用映像信号を液晶プロジェクタによってスクリーンに投影した表示画像における前記第1のフレームに基づく表示画像と前記第2のフレームに基づく表示画像とのうちの一方のみの明るさレベルを検出する明るさ検出器と、前記第1及び第2のフレームの階調の組を階調(x,y)とし、前記明るさ検出器が階調xの前記第1のフレームが前記スクリーンに投影されているときに検出した明るさレベルをa、前記明るさ検出器が階調yの前記第2のフレームが前記スクリーンに投影されているときに検出した明るさレベルをbとして、前記明るさ検出器が階調(x,y)に対応して検出した明るさレベルの組をβ(a,b)としたとき、階調xと階調yとが同じである階調の複数の組に対応する明るさレベルβ(a,b)と、a>bの関係を有する階調xと階調yとが異なる階調の複数の組に対応する第1の明るさレベル群の明るさレベルβ(a,b)と、a<bの関係を有する階調xと階調yとが異なる階調の複数の組に対応する第2の明るさレベル群の明るさレベルβ(a,b)とを含む明るさ検出テーブルを生成し、前記第1のフレームの階調xが前記第2のフレームの階調yより大きいとき、前記第1の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβ(a,b)と、前記第1のフレーム及び前記第2のフレームの階調がxであるときの明るさレベルβ(x,x)との差分と、前記第2の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβ(b,a)と、前記第1のフレーム及び前記第2のフレームの階調がyであるときの明るさレベルβ(y,y)との差分とに基づく誤差D(a,b)が最小となる、階調xの前記第1のフレームが前記スクリーンに投影されているときの前記第2のフレームの階調yに影響されない本来の明るさレベルと、階調yの前記第2のフレームが前記スクリーンに投影されているときの前記第1のフレームの階調xに影響されない本来の明るさレベルとの組と最も近い最近傍明るさレベルβ(a,b)を探索し、前記第2のフレームの階調yが前記第1のフレームの階調xより大きいとき、前記第2の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβ(a,b)と、前記第1のフレーム及び前記第2のフレームの階調がyであるときの明るさレベルβ(y,y)との差分と、前記第1の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβ(b,a)と、前記第1のフレーム及び前記第2のフレームの階調がxであるときの明るさレベルβ(x,x)との差分とに基づく誤差D(a,b)が最小となる、階調yの前記第2のフレームが前記スクリーンに投影されているときの前記第1のフレームの階調xに影響されない本来の明るさレベルと、階調xの前記第1のフレームが前記スクリーンに投影されているときの前記第2のフレームの階調yに影響されない本来の明るさレベルとの組と最も近い最近傍明るさレベルβ(a,b)を探索して、前記最近傍明るさレベルβ(a,b)に対応する階調(x,y)を補正階調α(x,y)とした補正テーブルを生成する制御装置とを備える補正テーブル生成装置を提供する。
【0007】
本発明は、信号発生器によって、第1のフレームと第2のフレームとを交互に繰り返す測定用映像信号であり、前記第1及び第2のフレームにおける全画素を単一階調とし、前記第1及び第2のフレームの階調を順に異ならせた単一階調画像の測定用映像信号を発生して、液晶プロジェクタに供給し、明るさ検出器によって、前記液晶プロジェクタが前記測定用映像信号をスクリーンに投影した表示画像における前記第1のフレームに基づく表示画像と前記第2のフレームに基づく表示画像とのうちの一方のみの明るさレベルを検出し、前記第1及び第2のフレームの階調の組を階調(x,y)とし、階調xの前記第1のフレームが前記スクリーンに投影されているときに検出した明るさレベルをa、階調yの前記第2のフレームが前記スクリーンに投影されているときに検出した明るさレベルをbとして、階調(x,y)に対応して検出した明るさレベルの組をβ(a,b)としたとき、階調xと階調yとが同じである階調の複数の組に対応する明るさレベルβ(a,b)と、a>bの関係を有する階調xと階調yとが異なる階調の複数の組に対応する第1の明るさレベル群の明るさレベルβ(a,b)と、a<bの関係を有する階調xと階調yとが異なる階調の複数の組に対応する第2の明るさレベル群の明るさレベルβ(a,b)とを含む明るさ検出テーブルを生成し、前記第1のフレームの階調xが前記第2のフレームの階調yより大きいとき、前記第1の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβ(a,b)と、前記第1のフレーム及び前記第2のフレームの階調がxであるときの明るさレベルβ(x,x)との差分と、前記第2の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβ(b,a)と、前記第1のフレーム及び前記第2のフレームの階調がyであるときの明るさレベルβ(y,y)との差分とに基づく誤差D(a,b)が最小となる、階調xの前記第1のフレームが前記スクリーンに投影されているときの前記第2のフレームの階調yに影響されない本来の明るさレベルと、階調yの前記第2のフレームが前記スクリーンに投影されているときの前記第1のフレームの階調xに影響されない本来の明るさレベルとの組と最も近い最近傍明るさレベルβ(a,b)を探索し、前記第2のフレームの階調yが前記第1のフレームの階調xより大きいとき、前記第2の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβ(a,b)と、前記第1のフレーム及び前記第2のフレームの階調がyであるときの明るさレベルβ(y,y)との差分と、前記第1の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβ(b,a)と、前記第1のフレーム及び前記第2のフレームの階調がxであるときの明るさレベルβ(x,x)との差分とに基づく誤差D(a,b)が最小となる、階調yの前記第2のフレームが前記スクリーンに投影されているときの前記第1のフレームの階調xに影響されない本来の明るさレベルと、階調xの前記第1のフレームが前記スクリーンに投影されているときの前記第2のフレームの階調yに影響されない本来の明るさレベルとの組と最も近い最近傍明るさレベルβ(a,b)を探索し、前記最近傍明るさレベルβ(a,b)に対応する階調(x,y)を補正階調α(x,y)とした補正テーブルを生成する補正テーブル生成方法を提供する。
【0008】
本発明は、コンピュータに、信号発生器によって、第1のフレームと第2のフレームとを交互に繰り返す測定用映像信号であり、前記第1及び第2のフレームにおける全画素を単一階調とし、前記第1及び第2のフレームの階調を順に異ならせた単一階調画像の測定用映像信号を発生して、液晶プロジェクタに供給するステップと、前記液晶プロジェクタが前記測定用映像信号をスクリーンに投影した表示画像における前記第1のフレームに基づく表示画像と前記第2のフレームに基づく表示画像とのうちの一方のみの明るさレベルを検出するステップと、前記第1及び第2のフレームの階調の組を階調(x,y)とし、階調xの前記第1のフレームが前記スクリーンに投影されているときに検出した明るさレベルをa、階調yの前記第2のフレームが前記スクリーンに投影されているときに検出した明るさレベルをbとして、階調(x,y)に対応して検出した明るさレベルの組をβ(a,b)としたとき、階調xと階調yとが同じである階調の複数の組に対応する明るさレベルβ(a,b)と、a>bの関係を有する階調xと階調yとが異なる階調の複数の組に対応する第1の明るさレベル群の明るさレベルβ(a,b)と、a<bの関係を有する階調xと階調yとが異なる階調の複数の組に対応する第2の明るさレベル群の明るさレベルβ(a,b)とを含む明るさ検出テーブルを生成するステップと、前記第1のフレームの階調xが前記第2のフレームの階調yより大きいとき、前記第1の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβ(a,b)と、前記第1のフレーム及び前記第2のフレームの階調がxであるときの明るさレベルβ(x,x)との差分と、前記第2の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβ(b,a)と、前記第1のフレーム及び前記第2のフレームの階調がyであるときの明るさレベルβ(y,y)との差分とに基づく誤差D(a,b)が最小となる、階調xの前記第1のフレームが前記スクリーンに投影されているときの前記第2のフレームの階調yに影響されない本来の明るさレベルと、階調yの前記第2のフレームが前記スクリーンに投影されているときの前記第1のフレームの階調xに影響されない本来の明るさレベルとの組と最も近い最近傍明るさレベルβ(a,b)を探索するステップと、前記第2のフレームの階調yが前記第1のフレームの階調xより大きいとき、前記第2の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβ(a,b)と、前記第1のフレーム及び前記第2のフレームの階調がyであるときの明るさレベルβ(y,y)との差分と、前記第1の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβ(b,a)と、前記第1のフレーム及び前記第2のフレームの階調がxであるときの明るさレベルβ(x,x)との差分とに基づく誤差D(a,b)が最小となる、階調yの前記第2のフレームが前記スクリーンに投影されているときの前記第1のフレームの階調xに影響されない本来の明るさレベルと、階調xの前記第1のフレームが前記スクリーンに投影されているときの前記第2のフレームの階調yに影響されない本来の明るさレベルとの組と最も近い最近傍明るさレベルβ(a,b)を探索するステップと、前記最近傍明るさレベルβ(a,b)に対応する階調(x,y)を補正階調α(x,y)とした補正テーブルを生成するステップとを実行させる補正テーブル生成プログラムを提供する。
【0009】
本発明は、補正テーブルを記憶する補正テーブル記憶部と、入力された映像信号の各画素の階調を、前記補正テーブルを参照して補正する映像信号補正部と、前記映像信号補正部によって補正された映像信号をスクリーンに投影して表示する液晶表示部とを備え、前記補正テーブルは、前記液晶表示部が、第1のフレームと第2のフレームとを交互に繰り返す測定用映像信号であり、前記第1及び第2のフレームにおける全画素を単一階調とし、前記第1及び第2のフレームの階調を順に異ならせた単一階調画像の測定用映像信号を表示したときの、表示画像における前記第1のフレームに基づく表示画像と前記第2のフレームに基づく表示画像とのうちの一方のみの明るさレベルが検出され、前記第1及び第2のフレームの階調の組を階調(x,y)とし、階調xの前記第1のフレームが表示されているときに検出した明るさレベルをa、階調yの前記第2のフレームが表示されているときに検出した明るさレベルをbとして、階調(x,y)に対応して検出した明るさレベルの組をβ(a,b)としたとき、階調xと階調yとが同じである階調の複数の組に対応する明るさレベルβ(a,b)と、a>bの関係を有する階調xと階調yとが異なる階調の複数の組に対応する第1の明るさレベル群の明るさレベルβ(a,b)と、a<bの関係を有する階調xと階調yとが異なる階調の複数の組に対応する第2の明るさレベル群の明るさレベルβ(a,b)とを含む明るさ検出テーブルが生成され、前記第1のフレームの階調xが前記第2のフレームの階調yより大きいとき、前記第1の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβ(a,b)と、前記第1のフレーム及び前記第2のフレームの階調がxであるときの明るさレベルβ(x,x)との差分と、前記第2の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβ(b,a)と、前記第1のフレーム及び前記第2のフレームの階調がyであるときの明るさレベルβ(y,y)との差分とに基づく誤差D(a,b)が最小となる、階調xの前記第1のフレームが前記スクリーンに投影されているときの前記第2のフレームの階調yに影響されない本来の明るさレベルと、階調yの前記第2のフレームが前記スクリーンに投影されているときの前記第1のフレームの階調xに影響されない本来の明るさレベルとの組と最も近い最近傍明るさレベルβ(a,b)が探索され、前記第2のフレームの階調yが前記第1のフレームの階調xより大きいとき、前記第2の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβ(a,b)と、前記第1のフレーム及び前記第2のフレームの階調がyであるときの明るさレベルβ(y,y)との差分と、前記第1の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβ(b,a)と、前記第1のフレーム及び前記第2のフレームの階調がxであるときの明るさレベルβ(x,x)との差分とに基づく誤差D(a,b)が最小となる、階調yの前記第2のフレームが前記スクリーンに投影されているときの前記第1のフレームの階調xに影響されない本来の明るさレベルと、階調xの前記第1のフレームが前記スクリーンに投影されているときの前記第2のフレームの階調yに影響されない本来の明るさレベルとの組と最も近い最近傍明るさレベルβ(a,b)を探索され、前記第1及び第2のフレームの階調の組ごとに、前記最近傍明るさレベルβ(a,b)に対応する階調(x,y)が補正階調α(x,y)と設定されている液晶表示装置を提供する。
【発明の効果】
【0010】
本発明の補正テーブル生成装置、補正テーブル生成方法、及び補正テーブル生成プログラムによれば、クロストークを少なくするよう映像信号を補正する補正テーブルを生成することができる。本発明の液晶表示装置によれば、クロストークを少なくするよう映像信号を補正することができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】一実施形態の補正テーブル生成装置を示すブロック図である。
【
図2】一実施形態の補正テーブル生成装置の信号発生器が液晶プロジェクタに供給する測定用映像信号、液晶プロジェクタがスクリーンに投影する表示画像、一実施形態の補正テーブル生成装置の撮像装置によるスクリーンに撮像のオンオフを制御するオンオフ制御信号を示す図である。
【
図3】信号発生器が隣接する2フレームの階調の組み合わせを(0,0)から(255,255)まで変化させた測定用映像信号を液晶プロジェクタに供給し、撮像装置がスクリーンに投影された画像の明るさレベルを検出した明るさ検出テーブルを示す図である。
【
図4】
図3に示す各明るさレベルを隣接するフレームの階調に影響されない本来の明るさレベルとするための補正階調よりなる補正テーブルを示す図である。
【
図5】一実施形態の補正テーブル生成装置の動作、一実施形態の補正テーブル生成方法、制御装置が一実施形態の補正テーブル生成プログラムに基づいて実行する処理を示すフローチャートである。
【
図6】補正テーブルを用いてクロストークを少なくするよう映像信号を補正する一実施形態の液晶表示装置を示すブロック図である。
【
図7】一実施形態の液晶表示装置が画素単位で階調を補正する一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、一実施形態の補正テーブル生成装置、補正テーブル生成方法、補正テーブル生成プログラム、及び液晶表示装置について、添付図面を参照して説明する。
【0013】
まず、
図1~
図4を参照して、一実施形態の補正テーブル生成装置、補正テーブル生成方法、補正テーブル生成プログラムを説明する。
図1において、液晶プロジェクタ20は、映像信号補正部21、補正テーブル記憶部22、映像信号処理部23、映像投影部24を備える。液晶プロジェクタ20は、液晶表示装置の一例である。
【0014】
映像投影部24は、スクリーン30に投影する映像に応じて映像信号を変調する液晶パネル240を有する。液晶パネル240は、R信号を変調するR信号用の液晶パネル、G信号を変調するG信号用の液晶パネル、B信号を変調するB信号の液晶パネルを含む。液晶パネル240は、LCOS(Liquid Crystal On Silicon)と称される反射型液晶パネルであってもよい。
【0015】
当初、補正テーブル記憶部22には、補正テーブルは記憶されていない。以下に説明する補正テーブル生成装置によって補正テーブルが生成され、補正テーブル記憶部22に記憶される。
【0016】
補正テーブル生成装置は、信号発生器10、制御装置11、記憶部12、トランスミッタ13、撮像装置14を備える。トランスミッタ13は、撮像装置14による被写体の撮像をオンまたはオフするために設けられており、他の構成によって撮像装置14による被写体の撮像のオンまたはオフを制御すれば、トランスミッタ13を設けなくてもよい。
【0017】
撮像装置14の代わりに、照度計またはフォトダイオードを用いてもよい。補正テーブル生成装置は、後述するようにスクリーン30に投影された画像の明るさを検出する明るさ検出器を備えればよい。撮像装置14、照度計、フォトダイオードは明るさ検出器の例である。
【0018】
制御装置11は、パーソナルコンピュータで構成することができる。記憶部12は、パーソナルコンピュータが備えるメモリであってもよい。制御装置11は、コンピュータの中央処理装置(CPU)のようなプロセッサであってもよい。
【0019】
信号発生器10は、制御装置11による制御によって、
図2の(a)に示すように、フレームf0(第1のフレーム)とフレームf1(第2のフレーム)とを交互に繰り返す測定用映像信号を発生して、液晶プロジェクタ20に供給する。信号発生器10はパーソナルコンピュータで構成されていてもよい。信号発生器10及び制御装置11がパーソナルコンピュータで構成されていてもよい。また、信号発生器10は液晶プロジェクタ20に内蔵されていてもよい。
【0020】
信号発生器10が発生する測定用映像信号は例えば輝度信号及び色差信号よりなる。フレームf0及びf1は、いずれもフレーム内の全ての画素の階調が同一である単一階調画像である。信号発生器10が発生する測定用映像信号が8ビットであるとすると、フレームf0及びf1は階調0~255のいずれかの階調の単一階調画像である。
【0021】
信号発生器10は、フレームf0の階調を0から255まで順に変化させ、フレームf1の階調を0から255まで順に変化させて、(0,0)~(255,255)の全ての組み合わせの測定用映像信号を発生する。信号発生器10は、フレームf0の1つの階調とフレームf1の1つの階調との組み合わせを所定時間(所定フレーム数)だけ繰り返し、組み合わせを順に異ならせる。
【0022】
補正テーブルの生成前に補正テーブル記憶部22には補正テーブルが記憶されていないため、映像信号補正部21は、信号発生器10より供給された測定用映像信号を補正せず、映像信号処理部23に供給する。映像信号処理部23は、入力された測定用映像信号に公知の各種の信号処理を施し、R、G、及びB信号を生成して映像投影部24に供給する。映像信号処理部23は、測定用映像信号に含まれる同期信号を分離して、トランスミッタ13に供給する。
【0023】
映像投影部24は、入力されたR、G、及びB信号を液晶パネル240によって変調してスクリーン30に投影する。これによって、スクリーン30には、
図2の(b)に示すように、フレームf0の単一階調画像に基づく表示画像F0とフレームf1の単一階調画像に基づく表示画像F1との組み合わせが所定時間ごとに順に変化する画像が表示される。
【0024】
撮像装置14は、スクリーン30に投影された画像を撮像して、画像の明るさを検出する。トランスミッタ13は、入力された同期信号に基づき、
図2の(c)に示すように、撮像装置14による撮像を、表示画像F0と表示画像F1との一方の期間でオン、他方の期間でオフとするオンオフ制御信号を撮像装置14に供給する。
図2の(c)に示す例では、スクリーン30に表示画像F0が表示されている状態で撮像をオン、表示画像F1が表示されている状態で撮像をオフとしているが、逆であってもよい。
【0025】
撮像装置14は、フレームf0及びf1の階調(0,0)~(255,255)の各組み合わせにおける表示画像F0を、少なくも1フレームずつ撮像して明るさを検出すればよい。
【0026】
図3は、撮像装置14がフレームf0及びf1の階調(0,0)~(255,255)の各組み合わせにおける表示画像F0を撮像したときに検出した明るさレベルβよりなる明るさ検出テーブルを示している。例えば、明るさレベルβ(0,0)はフレームf0及びf1として階調(0,0)を表示して表示画像F0を撮像したときの明るさレベル、明るさレベルβ(1,0)はフレームf0及びf1として階調(1,0)を表示して表示画像F0を撮像したときの明るさレベルを示している。
【0027】
図2の(a)に示すようにフレームf0とフレームf1とが交互に繰り返されると、フレームf0の映像信号の階調がフレームf1の映像信号の階調に影響を与え、フレームf1の映像信号の階調がフレームf0の映像信号の階調に影響を与える。例えば、フレームf0及びf1の階調が(1,0)であるときにフレームf0の階調がフレームf1の階調に与える影響と、フレームf0及びf1の階調が(0,1)であるときにフレームf1の階調がフレームf0の階調に与える影響とは同じである。
【0028】
図3に示す任意の明るさレベルβをβ(a,b)とすると、aとbとが同一であるハッチングを付した明るさレベルβよりも下側のa>bの関係を有する明るさレベルβは、フレームf0の階調がフレームf1の階調に影響を与えるときに、フレームf0及びf1の本来の明るさを探索するための第1の明るさレベル群である。ハッチングを付した明るさレベルβよりも上側のa<bの関係を有する明るさレベルβは、フレームf1の階調がフレームf0の階調に影響を与えるときに、フレームf0及びf1の本来の明るさを探索するための第2の明るさレベル群である。
【0029】
このように、撮像装置14は表示画像F0のみを撮像するものの、フレームf0及びf1の階調の組み合わせを入れ替えることにより、第1及び第2の明るさレベル群の双方を得ることができる。
【0030】
図3において、ハッチングを付した明るさレベルβ(a,b)は、フレームf0の階調とフレームf1の階調とが同じであるときの明るさレベルβである。ハッチングを付した明るさレベルβ(a,b)は、フレームf0の階調がフレームf1の階調に影響を与えず、フレームf1の階調がフレームf0の階調に影響を与えない状態での明るさレベルβである。
【0031】
即ち、ハッチングを付した明るさレベルβ(a,b)における明るさレベルaは、フレームf1の階調に影響されることなくフレームf0の映像信号が本来の明るさで表示されたときの明るさレベルである。また、ハッチングを付した明るさレベルβ(a,b)における明るさレベルbは、フレームf0の階調に影響されることなくフレームf1の映像信号が本来の明るさで表示されたときの明るさレベルである。
【0032】
ここで、フレームf0及びf1が階調(192,64)である場合を例とする。フレームf0は階調192であるものの、フレームf1の階調64の影響を受けて、階調192の本来の明るさとはならない。フレームf1は階調64であるものの、フレームf0の階調192の影響を受けて、階調64の本来の明るさとはならない。フレームf0の階調192の本来の明るさは、明るさレベルβ(192,192)の明るさと同じであり、フレームf1の階調64の本来の明るさは、明るさレベルβ(64,64)の明るさと同じである。
【0033】
制御装置11は、次の式(1)により誤差D(a,b)を求める。式(1)において、β(a,b)は第1の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβであり、β(b,a)は第2の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβである。
D(a,b)=(β(a,b)-β(192,192))2+(β(b,a)-β(64,64))2 …(1)
【0034】
フレームf0の階調がフレームf1の階調より大きいとき、制御装置11は、a>bの関係を有する明るさレベルβである第1の明るさレベル群を探索して、誤差D(a,b)が最小となる最近傍明るさレベルβ(a,b)を求めればよい。
【0035】
フレームf0及びf1が階調(64,192)である場合を例とすれば、制御装置11は、次の式(2)により誤差D(a,b)を求める。式(2)において、β(a,b)は第2の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβであり、β(b,a)は第1の明るさレベル群のうちのいずれかの明るさレベルβである。
D(a,b)=(β(a,b)-β(64,64))2+(β(b,a)-β(192,192))2 …(2)
【0036】
フレームf1の階調がフレームf0の階調より大きいとき、制御装置11は、a<bの関係を有する明るさレベルβである第2の明るさレベル群を探索して、誤差Dが最小となる最近傍明るさレベルβ(a,b)を求めればよい。
【0037】
式(1)に基づく誤差D(a,b)の計算の結果、aが200、bが60のとき誤差Dが最小となったとする。即ち、フレームf0及びf1として階調(192,64)を表示したときの本来の明るさは、明るさレベルβ(192,64)ではなく、明るさレベルβ(200,60)が最も近いということである。このことは、フレームf0及びf1として階調(192,64)を表示したときの本来の明るさは、階調(200,60)を表示することによって得られることを意味する。
【0038】
制御装置11は、フレームf0及びf1の階調(192,64)に対応する補正階調α(192,64)として、階調(200,60)を記憶部12に記憶する。
【0039】
フレームf0及びf1の階調の任意の組み合わせを(x,y)とすれば、式(1)及び(2)は式(3)と一般化できる。
D(a,b)=(β(a,b)-β(x,x))2+(β(b,a)-β(y,y))2 …(3)
【0040】
制御装置11は、式(3)を用いて、フレームf0及びf1の全ての階調の組み合わせ(x,y)において誤差D(a,b)が最小となる最近傍明るさレベルβ(a,b)を求める。制御装置11は、最近傍明るさレベルβ(a,b)に対応する階調(x’,y’)を補正階調α(x,y)として記憶部12に記憶する。
【0041】
なお、フレームf0及びf1の階調(x,y)のxとyとが同じであるハッチングを付した明るさレベルβ(0,0)、β(1,1)、β(2,2)、…β(255,255)は本来の明るさレベルであるから、階調(x,y)がそのまま補正階調α(x,y)となる。
【0042】
式(3)の代わりに、式(4)によって誤差D(a,b)を求めてもよい。式(3)によると、階調(192,64)のように階調xが階調yより格段に大きいときには階調xの影響が大きくなる。式(4)による誤差D(a,b)は本来の明るさとの比率に基づくので、階調xと階調yとに大きな差があっても大きい方の階調の影響が大きくなることがない。
D(a,b)=(|β(a,b)-β(x,x)|)/β(x,x)+(|β(b,a)-β(y,y)|)/β(y,y) …(4)
【0043】
図4は、以上のようにして記憶部12に記憶させた補正階調α(x,y)を示している。上記のように、補正階調α(192,64)には、階調(200,60)が割り当てられる。
図4は、液晶プロジェクタ20に入力される映像信号を補正する補正テーブルとなる。制御装置11は、記憶部12に記憶された補正テーブルを補正テーブル記憶部22に供給して、補正テーブル記憶部22に補正テーブルを記憶させる。
【0044】
制御装置11は、記憶部12または他の記憶媒体に記憶されているコンピュータプログラムである補正テーブル生成プログラムを実行して、上記のよう補正テーブルを生成して補正テーブル記憶部22に記憶させてもよい。記憶部12または他の記憶媒体は、補正テーブル生成プログラムを記憶する非一時的な記憶媒体である。補正テーブル生成プログラムは図示していないメインメモリにロードされ、制御装置11(または制御装置11が備えるCPU)が補正テーブル生成プログラムに記述されている各命令を実行する。
【0045】
図5に示すフローチャートを用いて、本実施形態の補正テーブル生成装置の動作、本実施形態の補正テーブル生成方法、制御装置11が本実施形態の補正テーブル生成プログラムに基づいて実行する処理を改めて説明する。
【0046】
制御装置11は、補正テーブルを生成する処理が開始されると、ステップS1にて、隣接する2フレームの階調の組み合わせを(0,0)から(255,255)まで順に変化させた測定用映像信号を液晶プロジェクタ20に供給するよう、信号発生器10を制御する。制御装置11は、ステップS2にて、撮像装置14が検出したスクリーン30に投影された画像の明るさレベルを取得する。制御装置11は、ステップS3にて、
図3に示す明るさ検出テーブルを生成する。
【0047】
制御装置11は、ステップS4にて、明るさ検出テーブルに基づいて、各階調の組み合わせの本来の明るさレベルを得ることができる補正階調α(x,y)を求めて、
図4に示す補正テーブルを生成する。制御装置11は、ステップS5にて、補正テーブルを液晶プロジェクタ20の補正テーブル記憶部22に記憶させて、処理を終了させる。
【0048】
図6は、以上のように生成された補正テーブルが補正テーブル記憶部22に記憶されている液晶プロジェクタ20を示している。一例として、液晶プロジェクタ20には、フレームシーケンシャル方式の3D映像信号を再生する3D映像信号再生装置40が接続されている。3D映像信号再生装置40は3D映像信号を再生して、液晶プロジェクタ20に供給する。なお、液晶プロジェクタ20によってスクリーン30に投影された画像を鑑賞するユーザは、映像信号処理部23から同期信号を得て、その同期信号に連動する3D眼鏡を装着して画像を鑑賞する。
【0049】
映像信号補正部21は、入力された3D映像信号の各画素の階調を、補正テーブル記憶部22に記憶されている補正テーブルを参照して補正して、映像信号処理部23に供給する。
【0050】
図7に示すように、隣接する2フレームの前のフレームf0と後のフレームf1において、所定の位置の画素がフレームf0で階調192、フレームf1で階調64であったとする。上記のように、補正テーブルには、補正階調α(192,64)として階調(200,60)が割り当てられているから、映像信号補正部21はフレームf0の階調192を階調200に補正し、フレームf1の階調64を階調60に補正する。映像信号補正部21は、入力された3D映像信号の各フレームの全画素を同様に補正する。
【0051】
3D映像信号再生装置40が再生して液晶プロジェクタ20に供給されるフレームは、f0、f1、f2、f3…のように、フレームが順に進行する。フレームf1及びf2を隣接する2フレームとすれば、フレームf1が補正テーブルにおける前のフレームf0に相当し、フレームf2が補正テーブルにおける後のフレームf1に相当する。フレームf2及びf3を隣接する2フレームとすれば、フレームf2が補正テーブルにおける前のフレームf0に相当し、フレームf3が補正テーブルにおける後のフレームf1に相当する。
【0052】
以降、同様に、液晶プロジェクタ20に供給される隣接する2フレームの前のフレームが補正テーブルのフレームf0、後のフレームが補正テーブルのフレームf1に割り当てられて、各フレームの各画素が補正される。
【0053】
以上のようにして、本実施形態の補正テーブル生成装置、補正テーブル生成方法、及び補正テーブル生成プログラムによれば、クロストークを少なくするよう映像信号を補正する補正テーブルを生成することができる。本実施形態の液晶表示装置によれば、クロストークを少なくするよう映像信号を補正することができる。
【0054】
補正テーブル生成装置は、液晶プロジェクタ20の製品ごとに補正テーブルを生成するのがよい。製品ごとに補正テーブルを生成すれば、製品の画像表示特性にばらつきがあっても製品ごとに最適な画像を表示することができる。補正テーブル生成装置は、液晶プロジェクタ20の機種ごとに補正テーブルを生成してもよい。補正テーブル生成装置は、液晶プロジェクタ20に搭載されている液晶パネルの製造ロットごとに補正テーブルを生成してもよい。
【0055】
本発明は以上説明した本実施形態に限定されることはなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
図4に示す補正テーブルは、隣接する2フレームの(0,0)から(255,255)までの全ての階調の組み合わせに対応して補正階調α(x,y)を設定している。簡略化のため、選択した部分的な階調の組み合わせに対応して補正階調α(x,y)を設定した補正テーブルとしてもよい。補正テーブルに補正階調α(x,y)が設定されていない階調の組み合わせにおいては、補間によって補正階調α(x,y)を求めればよい。
【0056】
液晶表示装置は液晶プロジェクタに限定されない。映像投影部24は液晶表示部の一例である。直視型の液晶表示装置であれば、映像投影部24の代わりに、直視型の液晶パネルを備える液晶表示部とすればよい。液晶表示装置に入力される映像信号は、赤外光用の映像信号のフレームと可視光用の像信号のフレームとを交互に繰り返すフレームシーケンシャル方式の映像信号であってもよい。
【符号の説明】
【0057】
10 信号発生器
11 制御装置
12 記憶部
13 トランスミッタ
14 撮像装置(明るさ検出器)
20 液晶プロジェクタ(液晶表示装置)
21 映像信号補正部
22 補正テーブル記憶部
23 映像信号処理部
24 映像投影部(液晶表示部)
30 スクリーン
240 液晶パネル