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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-01-15
(45)【発行日】2024-01-23
(54)【発明の名称】バルブ装置
(51)【国際特許分類】
   F16K 5/00 20060101AFI20240116BHJP
【FI】
F16K5/00 Z
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2019202525
(22)【出願日】2019-11-07
(65)【公開番号】P2021076160
(43)【公開日】2021-05-20
【審査請求日】2022-08-10
(73)【特許権者】
【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
(74)【代理人】
【識別番号】110001128
【氏名又は名称】弁理士法人ゆうあい特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】能村 亮
【審査官】藤森 一真
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-194167(JP,A)
【文献】国際公開第2018/230644(WO,A1)
【文献】実開昭58-106503(JP,U)
【文献】特開2017-166569(JP,A)
【文献】特開2019-011869(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0175310(US,A1)
【文献】特開2006-009959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F01P 7/14
F16K 5/00 - 5/22
F16K 11/076
F16K 11/085- 11/087
F16K 27/00
F16K 27/04 - 27/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロータリ式のバルブ装置であって、
回転力を出力する駆動部(70)と、
前記駆動部が出力する前記回転力によって回転するシャフト(32)と、
前記シャフトの回転に伴って回転するとともに、前記シャフトよりも前記シャフトの径方向の外側に位置する外周部(331、341、351)を有し、前記外周部に外周開口部(334、344、354)が形成された筒状のバルブ(30)と、
前記バルブを収容するバルブ収容空間(23)が形成されるとともに、前記外周部に対向する位置に、前記バルブ収容空間の外部から前記バルブ収容空間へ流体を流入させる入口開口部(251、261A、262A、263A)および前記バルブ収容空間から前記バルブ収容空間の外部へ前記流体を流出させる出口開口部(251A、261、262、263)が形成されたハウジング(20)とを備え、
前記バルブは、前記バルブの内側に前記流体が流れる流路部(361、362、363)が形成され、前記シャフトの軸心方向において、前記ハウジングに対向するバルブ端面(333、352)に前記流路部に連通する端面開口部(338、356)が形成されるとともに、前記バルブの回転位置に応じて、前記入口開口部および前記出口開口部のうち、一方の開口部と、前記外周開口部とが重なる範囲を調整可能に構成されており、
前記ハウジングは、前記シャフトを支持する支持部(291、62)を有し、内側に、前記バルブ端面に対向する位置に配置されるハウジング側面(29、67)を有するとともに、前記バルブ端面と前記ハウジング側面との間に隙間(S1、S2)があいた状態で前記バルブが収容され、
前記ハウジング側面は、前記径方向において、前記シャフトおよび前記支持部に対して前記径方向の外側に前記軸心方向に突出する凸部(292、292A、613、613A)が設けられているバルブ装置。
【請求項2】
前記凸部は、少なくとも一部が、前記径方向において前記バルブ端面に対して前記径方向の外側に設けられている請求項1に記載のバルブ装置。
【請求項3】
ロータリ式のバルブ装置であって、
回転力を出力する駆動部(70)と、
前記駆動部が出力する前記回転力によって回転するシャフト(32)と、
前記シャフトの回転に伴って回転するとともに、前記シャフトよりも前記シャフトの径方向の外側に位置する外周部(331、341、351)を有し、前記外周部に外周開口部(334、344、354)が形成された筒状のバルブ(30)と、
前記バルブを収容するバルブ収容空間(23)が形成されるとともに、前記外周部に対向する位置に、前記バルブ収容空間の外部から前記バルブ収容空間へ流体を流入させる入口開口部(251、261A、262A、263A)および前記バルブ収容空間から前記バルブ収容空間の外部へ前記流体を流出させる出口開口部(251A、261、262、263)が形成されたハウジング(20)とを備え、
前記バルブは、前記バルブの内側に前記流体が流れる流路部(361、362、363)が形成され、前記シャフトの軸心方向において、前記ハウジングに対向するバルブ端面(333、352)に前記流路部に連通する端面開口部(338、356)が形成されるとともに、前記バルブの回転位置に応じて、前記入口開口部および前記出口開口部のうち、一方の開口部と、前記外周開口部とが重なる範囲を調整可能に構成されており、
前記ハウジングは、内側に、前記バルブ端面に対向する位置に配置されるハウジング側面(29、67)を有するとともに、前記バルブ端面と前記ハウジング側面との間に隙間(S1、S2)があいた状態で前記バルブが収容され、
前記ハウジング側面は、前記径方向において、前記シャフトに対して前記径方向の外側に前記軸心方向に突出する凸部(292、292A、613、613A)が設けられおり、
前記凸部は、少なくとも一部が、前記径方向において前記バルブ端面に対して前記径方向の外側に設けられているバルブ装置。
【請求項4】
前記凸部は、少なくとも一部が、前記径方向において前記バルブ端面に対して前記径方向の内側に設けられている請求項1ないし3のいずれか1つに記載のバルブ装置。
【請求項5】
前記凸部は、前記径方向において、前記バルブの少なくとも一部と重なるように形成されている請求項2ないし4のいずれか1つに記載のバルブ装置。
【請求項6】
前記バルブは、前記径方向において、前記凸部に対向する抵抗対向面(421、422、423、424)を有し、
前記凸部は、前記抵抗対向面に対向する流体抵抗面(411、412、413、414)を有し、前記径方向における前記抵抗対向面と前記流体抵抗面との間隔が、前記径方向における前記シャフトと前記流体抵抗面との間隔より小さくなるように配置されている請求項に記載のバルブ装置。
【請求項7】
ロータリ式のバルブ装置であって、
回転力を出力する駆動部(70)と、
前記駆動部が出力する前記回転力によって回転するシャフト(32)と、
前記シャフトの軸心(Axs)を中心に、前記シャフトの回転に伴って回転するとともに、前記シャフトよりも前記シャフトの径方向の外側に位置する外周部(331、341、351)を有し、前記外周部に外周開口部(334、344、354)が形成された筒状のバルブ(30)と、
前記バルブを収容するバルブ収容空間(23)が形成されるとともに、前記外周部に対向する位置に、前記バルブ収容空間の外部から前記バルブ収容空間へ流体を流入させる入口開口部(251、261A、262A、263A)および前記バルブ収容空間から前記バルブ収容空間の外部へ前記流体を流出させる出口開口部(251A、261、262、263)が形成されたハウジング(20)とを備え、
前記バルブは、前記バルブの内側に前記流体が流れる流路部(361、362、363)が形成され、前記シャフトの軸心方向において、前記ハウジングに対向するバルブ端面(333、352)に前記流路部に連通する端面開口部(338、356)が形成されるとともに、前記バルブの回転位置に応じて、前記入口開口部および前記出口開口部のうち、一方の開口部と、前記外周開口部とが重なる範囲を調整可能に構成されており、
前記ハウジングは、内側に、前記バルブ端面に対向する位置に配置されるハウジング側面(29、67)を有するとともに、前記バルブ端面と前記ハウジング側面との間に隙間(S1、S2)があいた状態で前記バルブが収容され、
前記ハウジング側面は、前記径方向において、前記シャフトに対して前記径方向の外側に前記軸心方向に突出する凸部(292、292A、613、613A)が設けられており、
前記凸部は、少なくとも一部が、前記径方向において前記バルブ端面に対して前記径方向の内側に設けられるとともに、前記径方向において、前記バルブの少なくとも一部と重なるように形成されており、前記バルブにおける前記径方向において前記凸部に対向する抵抗対向面(421、422、423、424)に対向する流体抵抗面(411、412、413、414)を有し、前記径方向における前記抵抗対向面と前記流体抵抗面との間隔が、前記径方向における前記シャフトと前記流体抵抗面との間隔より小さく、前記径方向における前記軸心と前記抵抗対向面との間隔に対して、前記径方向における前記抵抗対向面と前記流体抵抗面との間隔の比が0.15以下となる位置に配置されるバルブ装置。
【請求項8】
前記凸部は、前記径方向における前記抵抗対向面と前記流体抵抗面との間隔が、前記軸心方向における前記バルブ端面と前記ハウジング側面との間隔より小さくなるように配置されている請求項6または7に記載のバルブ装置。
【請求項9】
前記外周部は、前記外周開口部と前記バルブ端面との間に、前記ハウジング側面に向かって延びて形成されるバルブ延伸部(339、359)を有する請求項ないしのいずれか1つに記載のバルブ装置。
【請求項10】
前記凸部は、前記径方向において、前記外周開口部と重ならないように形成されている請求項ないしのいずれか1つに記載のバルブ装置。
【請求項11】
前記バルブは、前記バルブの回転方向における基準位置を決めるためのバルブ位置決め部(355)が設けられており、
前記バルブ位置決め部は、前記外周部の外周面および内周面の少なくとも一方から、前記径方向に沿って突出して形成されており、
前記凸部は、前記バルブ位置決め部に当接することで前記バルブの回転を前記基準位置で停止させるストッパ部(615)が、前記径方向において、前記バルブ位置決め部と重なるように前記バルブ位置決め部に向かって突出して形成されている請求項ないし10のいずれか1つに記載のバルブ装置。
【請求項12】
前記バルブは、前記シャフトが挿入されることによって前記シャフトと前記バルブとを接続させる筒状のシャフト接続部(316)を有し、
前記シャフト接続部は、前記シャフト接続部の内周側に、平面状に形成された接続平面部(317)が設けられており、
前記シャフトは、前記シャフトの外周部に、平面状に形成されたシャフト平面部(322)が設けられるとともに、前記シャフト平面部が前記接続平面部に当接するように配置されている請求項1ないし11のいずれか1つに記載のバルブ装置。
【請求項13】
前記バルブは、内側に前記シャフトが挿入されることによって前記シャフトと前記バルブとを接続させる筒状のシャフト接続部(316)を有し、
前記シャフト接続部は、前記シャフト接続部の内周側に、平面状に形成された接続平面部(317)が設けられており、
前記シャフトは、前記シャフトの外周部に、平面状に形成されたシャフト平面部(322)が設けられるとともに、前記シャフト平面部が前記接続平面部に当接するように配置されており、
前記接続平面部は、前記径方向において、前記バルブ位置決め部と重なるように配置されている請求項11に記載のバルブ装置。
【請求項14】
前記シャフトは、前記軸心方向の一方側の端部が前記駆動部に接続されており、
前記バルブは、前記軸心方向の一方側に配置された前記バルブ端面から前記接続平面部までの前記軸心方向の大きさが、前記バルブの前記軸心方向の大きさの半分以下になるように形成されている請求項12または13に記載のバルブ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ロータリ式のバルブ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回転可能な円筒状のロータの外周部に形成されたロータ外周開口部に、ケーシングに形成された流出側開口部を重ねることで、ロータの内部に流入した流体を流出側開口部から流出させるロータリ式バルブが知られている(例えば、特許文献1参照)。以下、特許文献1に記載のロータリ式バルブを単にロータリ式バルブと呼ぶ。
【0003】
ロータリ式バルブは、流出側開口部にロータの外周部に形成されたロータ外周閉塞面を重ねることで、ロータを閉塞状態にする。すなわち、ロータリ式バルブは、ロータを回転させることで、ロータの開閉を行う開閉弁である。
【0004】
また、ロータリ式バルブは、ロータの外周部とロータの外周部に対向するケーシングの内面との間や、ロータの端面開口部とロータの端面開口部に対向するケーシングの内面との間に、流体が流れるための充分な間隔があけられている。これによると、ケーシング内において、ロータの内部だけでなく、ロータの外部にも流体を流す流路を形成することで、ロータ外周開口部を介して流出側開口部から流体を流出する際、ロータの大きさに対して大きな流量で流体を流すことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2013-249904号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ここで、本発明者は、ロータリ式バルブについて、流出側開口部から流出する流体の流量を制御可能な流量調整弁として機能させることを検討した。具体的に、発明者は、ロータの回転位置を調整することによって、流出側開口部または流入側開口部のうちの一方の開口部とロータ外周開口部との重なる範囲を調整させることで流出側開口部から流出する流体の流量を制御することを検討した。
【0007】
しかしながら、ロータリ式バルブは、ロータの端面開口部とケーシングの内面との間に充分な間隔があけられているので、ロータの内部に流入した流体の一部が、ロータ外周開口部へ流れず、端面開口部からロータの外部へ流出する。すなわち、流出側開口部または流入側開口部とロータ外周開口部との重なる範囲を調整しても、端面開口部から流体が流出する。このため、流出側開口部から流出する流体の流量を制御する場合、流出側開口部から流出する流体の流量にバラツキが発生する。なお、ロータは、バルブ装置のバルブとして機能する。
【0008】
本開示は、流体の流出量を精度良く制御可能なロータリ式のバルブ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に記載の発明は、
ロータリ式のバルブ装置であって、
回転力を出力する駆動部(70)と、
駆動部が出力する回転力によって回転するシャフト(32)と、
シャフトの回転に伴って回転するとともに、シャフトよりもシャフトの径方向の外側に位置する外周部(331、341、351)を有し、外周部に外周開口部(334、344、354)が形成された筒状のバルブ(30)と、
バルブを収容するバルブ収容空間(23)が形成されるとともに、外周部に対向する位置に、バルブ収容空間の外部からバルブ収容空間へ流体を流入させる入口開口部(251、261A、262A、263A)およびバルブ収容空間からバルブ収容空間の外部へ流体を流出させる出口開口部(251A、261、262、263)が形成されたハウジング(20)とを備え、
バルブは、バルブの内側に流体が流れる流路部(361、362、363)が形成され、シャフトの軸心方向において、ハウジングに対向するバルブ端面(333、352)に流路部に連通する端面開口部(338、356)が形成されるとともに、バルブの回転位置に応じて、入口開口部および出口開口部のうち、一方の開口部と、外周開口部とが重なる範囲を調整可能に構成されており、
ハウジングは、シャフトを支持する支持部(291、62)を有し、内側に、バルブ端面に対向する位置に配置されるハウジング側面(29、67)を有するとともに、バルブ端面とハウジング側面との間に隙間(S1、S2)があいた状態でバルブが収容され、
ハウジング側面は、径方向において、シャフトおよび支持部に対して径方向の外側に軸心方向に突出する凸部(292、292A、613、613A)が設けられている。
また、請求項3に記載の発明は、
ロータリ式のバルブ装置であって、
回転力を出力する駆動部(70)と、
駆動部が出力する回転力によって回転するシャフト(32)と、
シャフトの回転に伴って回転するとともに、シャフトよりもシャフトの径方向の外側に位置する外周部(331、341、351)を有し、外周部に外周開口部(334、344、354)が形成された筒状のバルブ(30)と、
バルブを収容するバルブ収容空間(23)が形成されるとともに、外周部に対向する位置に、バルブ収容空間の外部からバルブ収容空間へ流体を流入させる入口開口部(251、261A、262A、263A)およびバルブ収容空間からバルブ収容空間の外部へ流体を流出させる出口開口部(251A、261、262、263)が形成されたハウジング(20)とを備え、
バルブは、バルブの内側に流体が流れる流路部(361、362、363)が形成され、シャフトの軸心方向において、ハウジングに対向するバルブ端面(333、352)に流路部に連通する端面開口部(338、356)が形成されるとともに、バルブの回転位置に応じて、入口開口部および出口開口部のうち、一方の開口部と、外周開口部とが重なる範囲を調整可能に構成されており、
ハウジングは、内側に、バルブ端面に対向する位置に配置されるハウジング側面(29、67)を有するとともに、バルブ端面とハウジング側面との間に隙間(S1、S2)があいた状態でバルブが収容され、
ハウジング側面は、径方向において、シャフトに対して径方向の外側に軸心方向に突出する凸部(292、292A、613、613A)が設けられおり、
凸部は、少なくとも一部が、径方向においてバルブ端面に対して径方向の外側に設けられている。
また、請求項7に記載の発明は、
ロータリ式のバルブ装置であって、
回転力を出力する駆動部(70)と、
前記駆動部が出力する前記回転力によって回転するシャフト(32)と、
前記シャフトの軸心(Axs)を中心に、前記シャフトの回転に伴って回転するとともに、前記シャフトよりも前記シャフトの径方向の外側に位置する外周部(331、341、351)を有し、前記外周部に外周開口部(334、344、354)が形成された筒状のバルブ(30)と、
前記バルブを収容するバルブ収容空間(23)が形成されるとともに、前記外周部に対向する位置に、前記バルブ収容空間の外部から前記バルブ収容空間へ流体を流入させる入口開口部(251、261A、262A、263A)および前記バルブ収容空間から前記バルブ収容空間の外部へ前記流体を流出させる出口開口部(251A、261、262、263)が形成されたハウジング(20)とを備え、
前記バルブは、前記バルブの内側に前記流体が流れる流路部(361、362、363)が形成され、前記シャフトの軸心方向において、前記ハウジングに対向するバルブ端面(333、352)に前記流路部に連通する端面開口部(338、356)が形成されるとともに、前記バルブの回転位置に応じて、前記入口開口部および前記出口開口部のうち、一方の開口部と、前記外周開口部とが重なる範囲を調整可能に構成されており、
前記ハウジングは、内側に、前記バルブ端面に対向する位置に配置されるハウジング側面(29、67)を有するとともに、前記バルブ端面と前記ハウジング側面との間に隙間(S1、S2)があいた状態で前記バルブが収容され、
前記ハウジング側面は、前記径方向において、前記シャフトに対して前記径方向の外側に前記軸心方向に突出する凸部(292、292A、613、613A)が設けられており、
前記凸部は、少なくとも一部が、前記径方向において前記バルブ端面に対して前記径方向の内側に設けられるとともに、前記径方向において、前記バルブの少なくとも一部と重なるように形成されており、前記バルブにおける前記径方向において前記凸部に対向する抵抗対向面(421、422、423、424)に対向する流体抵抗面(411、412、413、414)を有し、前記径方向における前記抵抗対向面と前記流体抵抗面との間隔が、前記径方向における前記シャフトと前記流体抵抗面との間隔より小さく、前記径方向における前記軸心と前記抵抗対向面との間隔に対して、前記径方向における前記抵抗対向面と前記流体抵抗面との間隔の比が0.15以下となる位置に配置される。
【0010】
このように、ハウジング側面において、シャフトに対して径方向の外側となる位置に軸心方向に突出する凸部を設ければ、凸部は、バルブ端面とハウジング側面との隙間に向かう流体の流れを阻害する抵抗体として機能する。これによると、バルブ装置は、バルブ端面とハウジング側面との隙間への流体の流入または隙間からの流体の流出を抑制できるので、バルブ端面とハウジング側面との隙間に流体が流入出することに起因する出口開口部からの流体の流出量のバラツキを抑制できる。
【0011】
なお、各構成要素等に付された括弧付きの参照符号は、その構成要素等と後述する実施形態に記載の具体的な構成要素等との対応関係の一例を示すものである。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】第1実施形態に係るバルブ装置を適用した冷却システムの概略図である。
図2】第1実施形態に係るバルブ装置の概略断面図である。
図3】第1実施形態に係る駆動部の概略構成図である。
図4】第1実施形態に係るバルブの一部断面図である。
図5】第1実施形態に係るバルブの一方側のバルブ端面を示す斜視図である。
図6】第1実施形態に係るバルブの他方側のバルブ端面を示す斜視図である。
図7図2のVII部分の拡大図である。
図8】第1実施形態に係るバルブのストッパ部を示す図である。
図9図2のIX-IX断面図である。
図10図2のX部分の拡大図である。
図11】第1実施形態に係るバルブ装置の動作を説明するための図である。
図12】第2実施形態に係るバルブ装置の概略断面図である。
図13図12のXIII部分の拡大図である。
図14図12のXIV部分の拡大図である。
図15】第3実施形態に係るバルブ装置を適用した冷却システムの概略図である。
図16】第3実施形態に係るバルブ装置の動作を説明するための図である。
図17】他の実施形態に係るバルブ装置の変形例において、図13に相当する断面図である。
図18】他の実施形態に係るバルブ装置の変形例において、図7に相当する断面図である。
図19】他の実施形態に係るバルブ装置部の変形例において、図13に相当する断面図である。
図20】他の実施形態に係るバルブ装置の変形例において、図13に相当する断面図である。
図21】他の実施形態に係るバルブ装置の変形例において、図13に相当する断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本開示の実施形態については図面を参照して説明する。なお、以下の実施形態において、先行する実施形態で説明した事項と同一もしくは均等である部分には、同一の参照符号を付し、その説明を省略する場合がある。また、実施形態において、構成要素の一部だけを説明している場合、構成要素の他の部分に関しては、先行する実施形態において説明した構成要素を適用することができる。以下の実施形態は、特に組み合わせに支障が生じない範囲であれば、特に明示していない場合であっても、各実施形態同士を部分的に組み合わせることができる。
【0014】
(第1実施形態)
本実施形態について、図1図11に基づいて説明する。本実施形態のバルブ装置10は、所謂ロータリ式のバルブ装置である。また、バルブ装置10は、車両のエンジン2を冷却する冷却水を循環させる冷却システム1に適用されるものであって、冷却システム1を循環する冷却水の流量を制御する。本明細書でいう冷却水とは、例えば、エチレングリコールを主成分とする流体のことである。なお、流体として、他の液体が用いられてもよい。
【0015】
図1に示すように、冷却システム1は、バルブ装置10と、エンジン2と、空調用熱交換器3と、オイルクーラ4と、ラジエータ5と、ウォータポンプ6とを含んで構成されている。
【0016】
エンジン2は、点火プラグ等を収容するシリンダヘッド501と、シリンダ等を収容するシリンダブロック502と、冷却水の通路であるウォータジャケット503を含んで構成されている。ウォータジャケット503を流れる冷却水は、シリンダ等を駆動させることで発生した熱と熱交換することで加熱される。ウォータジャケット503の出口には、バルブ装置10が接続されている。
【0017】
バルブ装置10は、ウォータジャケット503の出口が配置されているシリンダヘッド501に設けられており、ウォータジャケット503を通過することによって加熱された冷却水が流入される。バルブ装置10は、流入された冷却水を空調用熱交換器3と、オイルクーラ4と、ラジエータ5とのそれぞれに対して、必要な流量を流出可能に構成されている。
【0018】
空調用熱交換器3は、バルブ装置10から流出された冷却水と、車室内に送風する空気とを熱交換させることによって、冷却水を放熱するものである。空調用熱交換器3は、下流側にウォータポンプ6が接続されており、空調用熱交換器3を通過した冷却水がウォータポンプ6に流れるように構成されている。
【0019】
オイルクーラ4は、バルブ装置10から流出された冷却水をオイルと熱交換させることによって、オイルを冷却するものである。オイルクーラ4は、下流側にウォータポンプ6が接続されており、オイルクーラ4を通過した冷却水がウォータポンプ6に流れるように構成されている。
【0020】
ラジエータ5は、バルブ装置10から流出された冷却水を外気と熱交換させることによって、冷却水を放熱するものである。ラジエータ5は、下流側にウォータポンプ6が接続されており、ラジエータ5を通過した冷却水がウォータポンプ6に流れるように構成されている。
【0021】
ウォータポンプ6は、上流側に空調用熱交換器3と、オイルクーラ4と、ラジエータ5とが接続されており、下流側にウォータジャケット503の入口側が接続されている。ウォータポンプ6は、空調用熱交換器3と、オイルクーラ4と、ラジエータ5とのそれぞれから流入した冷却水を加圧して、ウォータジャケット503に流出可能に構成されている。
【0022】
このように、冷却システム1は、ウォータポンプ6が冷却水を循環させつつ、バルブ装置10が空調用熱交換器3と、オイルクーラ4と、ラジエータ5とのそれぞれに対して、必要な流量の冷却水を流出可能に構成されている。
【0023】
続けて、バルブ装置10について説明すると、バルブ装置10は、図2に示すように、ハウジング20、バルブ30、駆動部70、駆動部カバー80等を備えている。バルブ装置10は、バルブ30が後述するシャフト32の軸心Axsを中心に回転することで、バルブ装置10の開閉動作を行うボールバルブとして構成されている。なお、本実施形態は、シャフト32の軸心Axsに沿う方向を軸心方向DRa、当該軸心方向DRaに直交するとともに軸心方向DRaから放射状に延びる方向を径方向DRrとして各種構成等を説明する。
【0024】
ハウジング20は、バルブ30を収容する収容部である。ハウジング20は、例えば、樹脂部材によって形成されている。ハウジング20は、バルブ30が収容される中空形状のハウジング本体部21と、ハウジング本体部21から冷却水を流出させるパイプ部材50と、ハウジング本体部21に取り付けられる隔壁部60とを含んで構成されている。
【0025】
ハウジング本体部21は、外観が略直方体形状であって、軸心方向DRaの他方側に開口部を有する有底形状に形成されている。また、ハウジング本体部21は、ハウジング本体部21の外周部分を構成するハウジング外壁部22を有している。ハウジング外壁部22は、ハウジング本体部21の内部に、軸心方向DRaの軸心を有する円柱形状のバルブ収容空間23を形成している。
【0026】
ハウジング外壁部22は、ハウジング外壁部22の外側の面が、エンジン2を取り付けるためのエンジン取付面25と、パイプ部材50を取り付けるためのパイプ取付面26と、隔壁部60が取り付けられるハウジング開口面27とを含んで構成されている。エンジン取付面25およびパイプ取付面26は、略平行に配置されている。
【0027】
また、ハウジング外壁部22は、ハウジング外壁部22の内側の面が、バルブ収容空間23の側面部分を形成するハウジング内周面28と、底面部分を形成するハウジング内周底面29とを含んで構成されている。ハウジング内周底面29には、シャフト32を回転可能に支持するためのシャフト支持部291が配置されている。また、ハウジング内周底面29には、軸心方向DRaの他方側に向かって突出する底面突出部292が形成されている。
【0028】
エンジン取付面25は、略平面状であって、エンジン2に取り付けられる。また、エンジン取付面25には、バルブ収容空間23に冷却水を流入させるための入口ポート251が形成されている。入口ポート251は、円形状に開口して形成され、ウォータジャケット503が接続されている。本実施形態において、入口ポート251は、入口開口部に相当する。
【0029】
パイプ取付面26は、略平面状であって、パイプ部材50が取り付けられる。パイプ取付面26には、入口ポート251を介してバルブ収容空間23に流入した冷却水をパイプ部材50に流出させるための第1出口ポート261と、第2出口ポート262と、第3出口ポート263とを有する。第1出口ポート261、第2出口ポート262、第3出口ポート263は、それぞれが円形状に開口して形成されている。本実施形態において、第1出口ポート261、第2出口ポート262、第3出口ポート263は、出口開口部に相当する。
【0030】
ハウジング開口面27は、略平面状であって、隔壁部60が取り付けられる。ハウジング開口面27は、ハウジング本体部21において、軸心方向DRaの他方側に配置されている。また、ハウジング開口面27は、バルブ収容空間23とハウジング本体部21の外部とを連通させるハウジング開口部271が形成されている。ハウジング開口部271は、ハウジング開口面27に隔壁部60が取り付けられることによって閉塞される。
【0031】
パイプ部材50は、バルブ収容空間23に流入した冷却水を空調用熱交換器3と、オイルクーラ4と、ラジエータ5とに流すためのものである。パイプ部材50は、それぞれが円筒状に形成された第1パイプ部51と、第2パイプ部52と、第3パイプ部53とを含んで構成されている。また、パイプ部材50は、第1パイプ部51と、第2パイプ部52と、第3パイプ部53とがパイプ連結部54によって連結されている。
【0032】
パイプ連結部54は、第1パイプ部51と、第2パイプ部52と、第3パイプ部53とを連結させるとともに、パイプ部材50をパイプ取付面26に取り付けるためのものである。パイプ連結部54は、パイプ取付面26に当接して固定される。また、パイプ連結部54とパイプ取付面26との間には、冷却水がバルブ装置10の外部に漏れることを抑制するためのガスケット55が配置されている。
【0033】
第1パイプ部51は、冷却水の流れ上流側が第1出口ポート261の内側に配置され、冷却水の流れ下流側が図示しないホースを介してラジエータ5に接続されている。第2パイプ部52は、冷却水の流れ上流側が第2出口ポート262の内側に配置され、冷却水の流れ下流側が図示しないホースを介して空調用熱交換器3に接続されている。第3パイプ部53は、冷却水の流れ上流側が第3出口ポート263の内側に配置され、冷却水の流れ下流側が図示しないホースを介してオイルクーラ4に接続されている。また、第1パイプ部51~第3パイプ部53と第1出口ポート261~第3出口ポート263とのそれぞれの間には、第1シールユニット561、第2シールユニット562、第3シールユニット563が配置されている。
【0034】
第1シールユニット561~第3シールユニット563は、第1出口ポート261~第3出口ポート263から流出した冷却水を第1パイプ部51~第3パイプ部53に導くものである。第1シールユニット561~第3シールユニット563は、円筒状に形成されており、内部を冷却水が流通可能に構成されている。また、第1シールユニット561~第3シールユニット563は、冷却水の流れ上流側がバルブ30の外周部に形成された開口部に連通可能に構成されている。第1シールユニット561~第3シールユニット563は、バルブ30の外周部と第1シールユニット561~第3シールユニット563とのそれぞれの間を塞ぐための第1バルブシール571、第2バルブシール572、第3バルブシール573が配置されている。
【0035】
第1バルブシール571~第3バルブシール573は、バルブ30の外周部と第1シールユニット561~第3シールユニット563とのそれぞれの間から冷却水が漏れることを抑制するためのものである。第1バルブシール571~第3バルブシール573は、冷却水の流れ上流側の面がバルブ30の外周部に当接する。第1バルブシール571~第3バルブシール573は、例えば、樹脂部材で略円環状に形成されている。第1バルブシール571~第3バルブシール573は、それぞれの内側に冷却水が流入するための第1シール開口部581、第2シール開口部582、第3シール開口部583が形成されている。
【0036】
隔壁部60は、ハウジング開口部271を閉塞するとともに、バルブ収容空間23に収容されたバルブ30を保持するためのものである。隔壁部60は、軸心方向DRaが板厚方向である円盤状であって、ハウジング開口部271に対して軸心方向DRaの他方側から一方側に向かって嵌め込まれるように配置されている。隔壁部60は、外径がハウジング開口部271の内径と略同じ大きさで形成されており、ハウジング開口部271に嵌め込まれた際に、隔壁部60の外周部がハウジング内周面28に当接することによって、ハウジング開口部271を閉塞する。
【0037】
また、隔壁部60は、隔壁部60の外周部における軸心方向DRaの他方側の端部に径方向DRrの外側に向かって突出して形成された板状の隔壁取付部61が設けられている。隔壁取付部61は、板厚方向が軸心方向DRaであって、軸心方向DRaの一方側の面がハウジング開口面27に当接して固定されている。
【0038】
また、隔壁部60は、軸心方向DRaに貫通するシャフト挿通穴62が形成されており、シャフト挿通穴62にシャフト32を挿通されている。シャフト挿通穴62は、シャフト挿通穴62にシャフト32が挿通された際にシャフト挿通穴62の軸心が軸心Axsと同一軸心上になるように配置されている。また、シャフト挿通穴62には、シャフト挿通穴62に挿通されたシャフト32を保持するための軸受部63および冷却水がシャフト挿通穴62に流れることを抑制するためのシャフトシール部材65が設けられている。
【0039】
軸受部63は、例えば、ボールベアリングで構成されており、シャフト挿通穴62に挿通されたシャフト32を回転自在に支持する。軸受部63は、シャフト挿通穴62における軸心方向DRaの他方側に配置されている。また、軸受部63は、外周部に軸受部63を配置するための金属環64が配置されている。金属環64は、例えば、金属部材で略円環状に形成されており、軸受部63を内部に圧入可能に構成されている。
【0040】
シャフトシール部材65は、例えば、樹脂部材で略円環状に形成されており、シャフト挿通穴62にシャフト32が挿入された際に、シャフト32の外周部に当接するように、内径がシャフト32の外径とほぼ同じ大きさで形成されている。
【0041】
また、隔壁部60は、シャフト挿通穴62に流れ込んだ冷却水を外部に排出するための隔壁貫通穴66が形成されている。隔壁貫通穴66は、シャフト挿通穴62から径方向DRrの外側に向かって隔壁部60の外周部まで延びており、隔壁部60を貫通して形成されている。隔壁貫通穴66は、ハウジング本体部21を貫通し、図示しないハウジング貫通穴に連通している。
【0042】
また、隔壁部60は、軸心方向DRaの一方側の面を形成する開口閉塞面67を有する。開口閉塞面67は、隔壁部60がハウジング開口部271を閉塞する際に、ハウジング内周面28と、ハウジング内周底面29と一緒にバルブ収容空間23を形成する。開口閉塞面67は、バルブ収容空間23におけるハウジング内周底面29の反対側に配置されている。開口閉塞面67の略中央には、シャフト挿通穴62が形成されている。
【0043】
また、開口閉塞面67には、シャフト挿通穴62を中心に、軸心Axsの周方向の全周に渡って凹んで形成される内側凹部611および外側凹部612が形成されている。内側凹部611は、径方向DRrにおいて、バルブ30の第3バルブ外側面352より径方向DRrの内側に形成されている。外側凹部612は、径方向DRrにおいて、内側凹部611より径方向DRrの外側であって、第3バルブ外側面352に対向する位置に形成されている。また、開口閉塞面67には、バルブ30およびシャフト32を支持するための接続支持部616が配置されている。
【0044】
内側凹部611および外側凹部612の間には、径方向DRrにおいて、軸心方向DRaの一方側に向かって突出して形成されるとともに、内側凹部611および外側凹部612を隔てる閉塞面突出部613が形成されている。
【0045】
隔壁部60の外周部とハウジング内周面28との間には、略円環状のハウジングシール部材68が配置されている。ハウジングシール部材68は、隔壁部60の外周部とハウジング内周面28との間に生じる隙間を塞ぎつつ、シャフト挿通穴62に挿通されたシャフト32の位置を調整する。
【0046】
ハウジングシール部材68は、外径がハウジング開口部271の内径より僅かに小さく、隔壁部60の外径より僅かに大きく形成されている。このため、ハウジングシール部材68は、ハウジング開口部271に隔壁部60が嵌め込まれた際に、径方向DRrに圧縮される。ハウジングシール部材68は、径方向DRrに圧縮されることによって発生する応力で隔壁部60を押圧し、隔壁部60の径方向DRrの位置をハウジング開口部271の略中央にする。すなわち、ハウジングシール部材68は、シャフト挿通穴62にシャフト32が挿通された際に、シャフト32の径方向DRrの位置をハウジング開口部271の略中央にする。
【0047】
なお、隔壁取付部61は、ハウジング開口面27が当接する面と反対側の面である軸心方向DRaの他方側の面に駆動部カバー80が配置されている。
【0048】
駆動部カバー80は、駆動部70を収容する。駆動部カバー80は、樹脂部材によって中空形状であって、内部に駆動部70を収容する駆動部空間81が形成されている。
【0049】
また、駆動部カバー80は、図示しないECUに接続するためのコネクタ部82を有している。コネクタ部82は、バルブ装置10をECUに接続させるものであって、駆動部70および後述する回転角センサ73が接続される端子83が挿入されている。
【0050】
駆動部70は、バルブ30を回転させるための回転力を出力するモータ71と、モータ71の出力をバルブ30に伝動するギア部72と、ギア部72の回転角度を検出する回転角センサ73を含んで構成されている。
【0051】
モータ71は、図3に示すように、モータ本体710と、モータシャフト711と、ウォームギア712と、モータ側端子713とを有しており、モータ側端子713に電力が供給されることでモータ本体710が動力を出力可能に構成されている。モータ本体710は、略円筒状に形成され、モータ本体710の他方側の端部からモータシャフト711が突出している。モータ本体710から出力した動力は、モータシャフト711およびウォームギア712を介して、ギア部72に出力される。
【0052】
ギア部72は、複数の樹脂製の歯車を有する減速機構で構成されており、ウォームギア712から出力された動力をシャフト32に伝動可能に構成されている。具体的には、ギア部72は、第1ギア721と、第1ギア721と噛み合うように構成された第2ギア722と、第2ギア722と噛み合うように構成された第3ギア723とで構成されており、第3ギア723にシャフト32が接続されている。ギア部72は、第1ギア721の外径に比較して第2ギア722の外径が大きく形成され、第2ギア722の外径に比較して第3ギア723の外径が大きく形成されている。
【0053】
また、第1ギア721~第3ギア723は、それぞれの軸心がウォームギア712の軸心に対して直交するように配置されている。また、第3ギア723は、第3ギア723の軸心が軸心Axsと同一軸心上になるように配置されている。また、第3ギア723は、シャフト32が接続されている。
【0054】
駆動部70は、ウォームギア712と、第1ギア721~第3ギア723と、バルブ30とが一体に回転するように構成されており、それぞれの回転が互いに相関関係を有する。すなわち、ウォームギア712と、第1ギア721~第3ギア723と、シャフト32とは、それぞれの回転角度が相関関係を有しており、相関関係を有するいずれか1つの構成品の回転角度を他の構成品の回転角度から算出可能に構成されている。
【0055】
本実施形態において、駆動部カバー80の内周部において、第3ギア723に対向する部位には、第3ギア723の回転角度を検出する回転角センサ73が取り付けられている。回転角センサ73は、ホール素子を内蔵したホール式センサであって、第3ギア723の回転角度を非接触で検出可能に構成されている。回転角センサ73は、コネクタ部82を介して図示しないECUに接続されており、検出した第3ギア723の回転角度をECUに送信可能に構成されている。ECUは、回転角センサ73から送信された第3ギア723の回転角度に基づいて、バルブ30の回転角度を算出可能に構成されている。
【0056】
なお、第3ギア723の回転角度を検出するためには、ホール式センサ以外に、MR式センサ、インダクティブ式センサ等の非接触式の角度センサやポテンショメータ式センサ等の接触式の角度センサが用いられてもよい。また、回転角センサ73は、ウォームギア712、第1ギア721、第2ギア722のうち、いずれか1つの回転角度を検出可能に構成されていてもよい。
【0057】
続いて、シャフト32およびバルブ30について図2および図4図10を参照して説明する。シャフト32は、駆動部70が出力する回転力によって、軸心Axsを中心に回転可能に構成されている。また、シャフト32は、図2に示すように、バルブ30が接続されており、シャフト32が回転する際に、バルブ30をシャフト32と一体に回転させることが可能に構成されている。
【0058】
シャフト32は、軸心Axsに沿って円柱状に延びて形成されており、バルブ30の一方側から他方側まで貫通している。また、シャフト32は、図4に示すように、シャフト32の外周部分を形成するシャフト外周部321に平面状に形成されたシャフト平面部322を有する。
【0059】
シャフト平面部322は、シャフト32の径方向断面におけるシャフト外周部321において、直線状になる部分を構成するものである。シャフト平面部322は、シャフト32の径方向断面における直線状の部分が、軸心方向DRaに沿って延びて形成されている。
【0060】
本実施形態において、シャフト32は、シャフト平面部322が形成される部位の径方向断面が六角形状である。そして、シャフト平面部322は、当該六角形状を構成する1つの辺が軸心方向DRaに沿って延びて形成されている。
【0061】
また、シャフト平面部322は、径方向DRrにおいて、後述する第3バルブ35に重なる位置に配置されている。また、シャフト平面部322の軸心方向DRaの大きさは、第3バルブ35の軸心方向DRaの大きさより小さく形成されている。シャフト平面部322の形成位置については、後述する。
【0062】
なお、シャフト32は、シャフト平面部322が設けられる部位の径方向DRrの断面形状が六角形状に限られるものでなく、四角形や八角形など、適宜、設計変更可能である。また、シャフト平面部322の軸心方向DRaの大きさは、第3バルブ35の軸心方向DRaの大きさより小さいものに限られず、第3バルブ35の軸心方向DRaの大きさより大きいものなど、適宜、設計変更可能である。
【0063】
図2に戻って、シャフト32は、軸心方向DRaの一方側がシャフト支持部291に接続され、他方側がギア部72に接続されている。また、シャフト外周部321には、バルブ30が固定されている。本実施形態において、シャフト32の他方側の部位がシャフト端部に相当する。
【0064】
バルブ30は、軸心Axsを中心に回転することで、出力する冷却水の流量を調整可能に構成されている。バルブ30は、内部にシャフト32が挿入されており、バルブ収容空間23においてシャフト32と一体に回転可能に収容されている。
【0065】
また、バルブ30は、軸心方向DRaに沿って延びる軸心を有する筒状であって、軸心方向DRaに沿って延びて形成されている。具体的に、バルブ30は、それぞれが筒状の第1バルブ33と、第2バルブ34と、第3バルブ35と、筒状接続部314と、筒状バルブ接続部315とが連なって形成されている。バルブ30は、第1バルブ33と、筒状接続部314と、第2バルブ34と、筒状バルブ接続部315と、第3バルブ35とが軸心方向DRaの一方側から他方側に向かって、この順に並んで配置されている。第1バルブ33および第2バルブ34は、筒状接続部314を介して接続されている。第2バルブ34および第3バルブ35は、筒状バルブ接続部315を介して接続されている。
【0066】
また、バルブ30は、バルブ収容空間23において、第2バルブ34および筒状接続部314が径方向DRrにおいて、入口ポート251に対向している。
【0067】
また、バルブ30は、中央にシャフト32が挿入される円筒状のシャフト接続部316を有する。バルブ30は、シャフト接続部316にシャフト32が挿入されることによって、シャフト32に接続される。
【0068】
バルブ30は、例えば、第1バルブ33と、第2バルブ34と、第3バルブ35と、筒状接続部314と、筒状バルブ接続部315と、シャフト接続部316とが、射出成形によって一体成形されている。
【0069】
バルブ30は、バルブ30に流入された冷却水を第1出口ポート261、第2出口ポート262、第3出口ポート263に流出させるための弁体である。バルブ30は、回転することで、第1バルブ33が第1出口ポート261を開閉し、第2バルブ34が第2出口ポート262を開閉し、第3バルブ35が第3出口ポート263を開閉する。
【0070】
第1バルブ33~第3バルブ35は、それぞれの軸心が軸心Axsと同一軸心上に配置されている。また、第1バルブ33~第3バルブ35のそれぞれは、軸心方向DRaにおける中央部分が軸心方向DRaにおける両端側に比較して径方向DRrの外側に膨らんでいる。また、第1バルブ33~第3バルブ35のそれぞれは、内側を冷却水が流通可能に構成されている。
【0071】
第1バルブ33は、図5および図6に示すように、第1バルブ33の外周部を形成する第1バルブ外周部331を有し、第1バルブ外周部331の内側に第1流路部361が形成されている。また、第1バルブ33は、冷却水を第1流路部361に流入させる第1内側開口部336が形成された第1バルブ内側面332と、軸心方向DRaにおける第1バルブ内側面332の反対側の面を形成する第1バルブ外側面333とを有する。第1バルブ33は、バルブ収容空間23に流入された冷却水が、第1内側開口部336を介して第1流路部361に流入する。本実施形態において、第1流路部361は、流路部に相当する。
【0072】
また、第1バルブ外周部331には、図2および図5に示すように、シャフト32が回転した際に第1シール開口部581を介して第1流路部361を第1出口ポート261に連通させる第1外周開口部334が形成されている。第1バルブ33は、第1外周開口部334が第1出口ポート261に連通することによって、第1流路部361に流入した冷却水を第1出口ポート261を介して、ラジエータ5に流出させる。本実施形態において、第1バルブ外周部331に形成される第1外周開口部334は、バルブ外周部に形成される外周開口部に相当する。
【0073】
また、第1外周開口部334は、第1バルブ外周部331において、軸心Axsの周方向に沿って延びて形成されている。第1バルブ33からラジエータ5へ流出する冷却水の流量は、シャフト32が回転した際における第1外周開口部334と第1シール開口部581とが重なる面積に応じて調整される。
【0074】
また、第1バルブ外周部331は、第1外周開口部334と第1バルブ外側面333との間に、第1バルブ延伸部339を有する。第1バルブ延伸部339は、軸心Axsに沿って延びる円筒状であって、第1バルブ外周部331の軸心方向DRaの一方側に形成されている。第1バルブ延伸部339は、ハウジング内周底面29に向かって延びて形成されている。
【0075】
また、第1バルブ延伸部339は、軸心方向DRaの一方側の端部に第1バルブ外側面333が配置されている。第1バルブ延伸部339は、軸心方向DRaの大きさが第1外周開口部334の軸心方向DRaの大きさより小さい。本実施形態において、第1バルブ延伸部339はバルブ延伸部に相当する。
【0076】
第1バルブ内側面332は、第1バルブ33において、軸心方向DRaの一方側の端部および他方側の端部に配置される面のうち、入口ポート251に近い側に配置されている。また、第1バルブ外側面333は、第1バルブ33において、軸心方向DRaの一方側の端部および他方側の端部に配置される面のうち、入口ポート251から遠い側に配置されている。
【0077】
第1バルブ内側面332は、図6に示すように、略中央に筒状接続部314に覆われたシャフト32が貫通している。また、第1バルブ内側面332は、複数の第1スポーク部337を介して筒状接続部314に接続されている。
【0078】
複数の第1スポーク部337は、筒状接続部314から径方向DRrに沿って放射状に延びて形成されている。また、複数の第1スポーク部337は、それぞれの第1スポーク部337の間に、第1内側開口部336を形成している。第1内側開口部336は、第1バルブ33の外部と第1流路部361とを連通させる連通路として機能する。
【0079】
第1バルブ外側面333は、ハウジング内周底面29に対向している。第1バルブ外側面333には、図5に示すように、円形状に開口する第1外側開口部338が形成されている。第1バルブ33は、第1バルブ外側面333がハウジング内周底面29に当接しないように配置されている。
【0080】
本実施形態において、第1バルブ外側面333は、バルブ30における軸心方向DRaの一方側の端部に配置されるバルブ端面に相当する。また、第1外側開口部338は、軸心方向DRaの一方側の端部に形成される端面開口部に相当する。
【0081】
また、本実施形態において、ハウジング内周底面29は、第1バルブ外側面333に対向する位置に配置されるハウジング側面に相当する。本実施形態において、バルブ30は、第1バルブ外側面333とハウジング内周底面29との間に、所定の空間を有する隙間S1があいた状態でバルブ収容空間23に収容されている。ハウジング内周底面29には、隙間S1を流れる冷却水の流れを抑制する底面突出部292が設けられている。
【0082】
底面突出部292は、軸心方向DRaに沿って環状に突出している。具体的に、底面突出部292は、図7に示すように、ハウジング内周底面29から第1バルブ33に向かって突出し、第1バルブ33の内部まで延びている。底面突出部292は、径方向DRrにおいて、第1バルブ延伸部339と重なっている。底面突出部292は、底面突出部292の外周部の先端側の部位が、径方向DRrにおいて、第1バルブ延伸部339の内周部の先端側の部位に対向している。本実施形態において、底面突出部292は、凸部に相当する。
【0083】
底面突出部292は、径方向DRrにおいて、第1バルブ延伸部339の内周部に対向する第1流体抵抗面411を有する。また、第1バルブ延伸部339は、径方向DRrにおいて、第1流体抵抗面411に対向する第1抵抗対向面421を有する。本実施形態において、第1流体抵抗面411は、流体抵抗面に相当する。また、本実施形態において、第1抵抗対向面421は、抵抗対向面に相当する。
【0084】
上述のように形成される底面突出部292は、底面突出部292と第1バルブ33との間に隙間S1に連通する流路を形成する。また、隙間S1に連通する流路と隙間S1とを含んで構成される流路は、ラビリンス構造を形成する。ラビリンス構造は、冷却水が流れる際に冷却水の流れの向きが変更させられるように形成される。ラビリンス構造は、径方向DRrにおいて、底面突出部292と第1バルブ延伸部339とが重なる部分を有することによって形成される。
【0085】
ラビリンス構造は、例えば、冷却水が第1外側開口部338を介して第1バルブ33の外部へ流出する場合、第1外側開口部338から流出した冷却水をハウジング内周底面29に衝突させることによって、冷却水の流れの向きを変更可能に構成されている。また、ラビリンス構造は、例えば、隙間S1を介して第1流路部361に冷却水が流入する場合、隙間S1から流出した冷却水を底面突出部292に衝突させることによって、冷却水の流れの向きを変更可能に構成されている。
【0086】
また、底面突出部292は、径方向DRrにおいて、第1外周開口部334と重ならない範囲内で、軸心方向DRaにおける大きさができるだけ大きく形成されることが望ましい。本実施形態において、底面突出部292は、径方向DRrにおいて、第1外周開口部334と重ならない大きさで形成されている。また、底面突出部292は、軸心方向DRaの大きさが、第1バルブ延伸部339の軸心方向DRaの大きさと略同じ大きさである。
【0087】
また、底面突出部292は、径方向DRrにおいて、シャフト32およびシャフト支持部291より径方向DRrの外側であって、第1バルブ外側面333より径方向DRrの内側に配置されている。具体的に、底面突出部292は、径方向DRrにおける第1抵抗対向面421と第1流体抵抗面411との間隔D1が、径方向DRrにおけるシャフト32と第1流体抵抗面411との間隔より小さくなる位置に配置されている。さらに、底面突出部292は、間隔D1が径方向DRrにおけるシャフト支持部291と第1流体抵抗面411との間隔より小さくなる位置に配置されている。また、底面突出部292は、間隔D1が、軸心方向DRaにおける第1バルブ外側面333とハウジング内周底面29との間隔より小さくなる位置に配置されている。なお、底面突出部292は、径方向DRrにおいて、シャフト32より径方向DRrの外側であって、シャフト支持部291より径方向DRrの内側に配置されていてもよい。
【0088】
また、底面突出部292は、径方向DRrにおける厚さが間隔D1より大きい。底面突出部292は、径方向DRrにおける厚さが根本側から先端側まで略一定で形成されている。また、底面突出部292は、内径および外径のそれぞれが根本側から先端側まで略同じ大きさで形成されている。また、底面突出部292は、間隔D1が、軸心方向DRaにおいて略一定となる位置に配置されている。
【0089】
底面突出部292は、間隔D1ができるだけ小さいことが望ましい。本実施形態において、底面突出部292は、間隔D1が、軸心方向DRaにおける第1バルブ外側面333とハウジング内周底面29との間隔の半分以下となる位置に配置されている。
【0090】
また、底面突出部292は、径方向DRrにおける軸心Axsと第1抵抗対向面421との間隔に対して、間隔D1の比が0.15以下となる位置に配置されることが望ましい。例えば、本実施形態において、第1バルブ33は、径方向DRrにおける軸心Axsと第1抵抗対向面421との間隔が約20mmで形成されている。これに対して、底面突出部292は、径方向DRrにおける軸心Axsと第1抵抗対向面421との間隔に対する間隔D1の比が約0.1となる位置に配置されている。具体的に、底面突出部292は、間隔D1が約2mmとなる位置に配置されている。
【0091】
また、底面突出部292と第1バルブ33との間の流路に冷却水が流れると、当該流路において、第1抵抗対向面421および第1流体抵抗面411に冷却水の流れを抑制する流体の境界層が発生する。
【0092】
ここで、流体の境界層とは、粘性のある流体が物体の表面の近傍を流れる際に、粘性の作用によって流体の速度が遅くなる領域をいう。なお、流体の境界層を流れる流体は、流れる位置が物体の表面に近いほど流体の速度が遅くなり、物体の表面から遠くなるほど速くなる。
【0093】
本実施形態において、底面突出部292と第1バルブ33との間の流路には、冷却水が流れることによって第1抵抗対向面421の近傍および第1流体抵抗面411の近傍のそれぞれに流体の境界層が発生する。このため、底面突出部292と第1バルブ33との間の流路を流れる冷却水のうち、第1抵抗対向面421の近傍を流れる冷却水は、第1抵抗対向面421に発生する流体の境界層によって流れが抑制される。また、底面突出部292と第1バルブ33との間の流路を流れる冷却水のうち、第1流体抵抗面411の近傍を流れる冷却水は、第1流体抵抗面411に発生する流体の境界層によって流れが抑制される。
【0094】
また、間隔D1が所定の大きさより小さい場合、底面突出部292と第1バルブ33との間の流路を流れる冷却水は、第1抵抗対向面421の近傍、且つ、第1流体抵抗面411の近傍を流れることになる。この場合、底面突出部292と第1バルブ33との間の流路を流れる冷却水の一部は、第1抵抗対向面421に発生する流体の境界層および第1流体抵抗面411に発生する流体の境界層の2つの境界層によって流れが抑制される。
【0095】
すなわち、間隔D1が所定の大きさより小さい場合、第1抵抗対向面421に発生する流体の境界層および第1流体抵抗面411に発生する流体の境界層は、それぞれが互いに重なる部分を有することになる。底面突出部292は、間隔D1が、第1抵抗対向面421に発生する流体の境界層および第1流体抵抗面411に発生する流体の境界層のそれぞれに互いに重なる部分を有するように配置されるのが望ましい。
【0096】
本実施形態において、底面突出部292は、間隔D1が約2mm以下になる位置に配置されるのが望ましい。これにより、底面突出部292は、底面突出部292と第1バルブ33との間の流路において、第1流体抵抗面411に発生する流体の境界層の一部を第1抵抗対向面421の一部に重ねることができる。
【0097】
続いて、第2バルブ34について説明すると、第2バルブ34は、図5および図6に示すように、第2バルブ34の外周部を形成する第2バルブ外周部341を有し、第2バルブ外周部341の内側に第2流路部362が形成されている。また、第2バルブ34は、軸心方向DRaの一方側に、冷却水を第2流路部362に流入させる第2内側開口部346が形成された第2バルブ内側面342を有する。第2バルブ34は、入口ポート251を介してバルブ収容空間23に流入された冷却水が第2内側開口部346を介して第2流路部362を流通可能に構成されている。本実施形態において、第2流路部362は、流路部に相当する。
【0098】
また、第2バルブ外周部341には、図2および図5に示すように、シャフト32が回転した際に第2シール開口部582を介して第2流路部362を第2出口ポート262に連通させる第2外周開口部344が形成されている。第2バルブ34は、第2外周開口部344が第2出口ポート262連通することによって、第2流路部362に流入した冷却水を第2出口ポート262を介して、空調用熱交換器3に流出させる。本実施形態において、第2バルブ外周部341に形成される第2外周開口部344は、バルブ外周部に形成される外周開口部に相当する。
【0099】
また、第2外周開口部344は、軸心Axsの周方向に延びるように形成されている。第2バルブ34から空調用熱交換器3へ流出する冷却水の流量は、シャフト32が回転した際における第2外周開口部344と第2シール開口部582とが重なる面積に応じて、調整される。
【0100】
第2バルブ内側面342は、第2バルブ外周部341の軸心方向DRaの一方側の端部に形成されている。第2バルブ内側面342は、図5に示すように、略中央に筒状接続部314に覆われたシャフト32が貫通している。また、第2バルブ内側面342は、複数の第2スポーク部347を介して筒状接続部314に接続されている。
【0101】
複数の第2スポーク部347は、筒状接続部314から径方向DRrに沿って放射状に延びて形成されている。また、複数の第2スポーク部347は、それぞれの第2スポーク部347の間に第2内側開口部346を形成している。第2内側開口部346は、第2バルブ34の外部と第2流路部362とを連通させる連通路として機能する。
【0102】
第2バルブ内側面342は、第1バルブ内側面332に対向している。また、第2内側開口部346は、第1内側開口部336に対向している。第2スポーク部347は、筒状接続部314を介して第1スポーク部337に接続されている。
【0103】
筒状接続部314は、第1バルブ33および第2バルブ34を接続するためのものである。筒状接続部314は、外径が第1バルブ内側面332の外径および第2バルブ内側面342の外径に比較して小さい。
【0104】
筒状接続部314は、図2に示すように、筒状接続部314の外周部とハウジング内周面28との間に第1バルブ間空間37を形成している。第1流路部361および第2流路部362は、第1バルブ間空間37を介して連通している。
【0105】
また、第2バルブ34は、内部の略中央にシャフト32の外周部を覆うシャフト接続部316が配置されている。また、第2バルブ34は、第2バルブ外周部341の軸心方向DRaの他方側に筒状バルブ接続部315が接続されている。第2バルブ34は、第2流路部362に流入された冷却水を筒状バルブ接続部315を介して、第3バルブ35に流入可能に構成されている。
【0106】
筒状バルブ接続部315は、内側に第2バルブ間空間38が形成されている。第2バルブ間空間38は、第2流路部362および第3流路部363に連通している。また、筒状バルブ接続部315は、軸心方向DRaの一方側の外径が第2バルブ34の軸心方向DRaの他方側の部位の外径と同じ大きさである。また、筒状バルブ接続部315は、軸心方向DRaの他方側の外径が第3バルブ35の軸心方向DRaの一方側の部位の外径と同じ大きさである。筒状バルブ接続部315は、第2バルブ外周部341および第3バルブ外周部351に連なって形成されている。
【0107】
続いて、第3バルブ35について説明すると、第3バルブ35は、図5および図6に示すように、第3バルブ35の外周部を形成する第3バルブ外周部351を有し、第3バルブ外周部351の内側に第3流路部363が形成されている。また、第3バルブ35は、第3バルブ外周部351における軸心方向DRaの一方側が筒状バルブ接続部315に接続されており、他方側に第3外側開口部356が形成された第3バルブ外側面352を有する。第3バルブ35は、第2流路部362に流入された冷却水が第2バルブ間空間38を介して第3流路部363に流入する。本実施形態において、第3流路部363は、流路部に相当する。
【0108】
また、第3バルブ外周部351には、図2および図5に示すように、シャフト32が回転した際に第3シール開口部583を介して第3流路部363を第3出口ポート263に連通させる第3外周開口部354が形成されている。第3バルブ35は、第3外周開口部354が第3出口ポート263に連通することによって、第3流路部363に流入した冷却水を第3出口ポート263を介してオイルクーラ4に流出させる。本実施形態において、第3バルブ外周部351に形成される第3外周開口部354は、バルブ外周部に形成される外周開口部に相当する。
【0109】
また、第3外周開口部354は、第3バルブ外周部351において、軸心Axsの周方向に沿って延びて形成されている。第3バルブ35からオイルクーラ4へ流出する冷却水の流量は、シャフト32が回転した際における第3外周開口部354と第3シール開口部583とが重なる面積に応じて、調整される。
【0110】
また、第3バルブ外周部351は、第3外周開口部354と第3バルブ外側面352との間に、第3バルブ延伸部359を有する。第3バルブ延伸部359は、軸心Axsに沿って延びる円筒状であって、第3バルブ外周部351の軸心方向DRaの他方側に形成されている。第3バルブ延伸部359は、開口閉塞面67に向かって延びて形成されている。
【0111】
また、第3バルブ延伸部359は、軸心方向DRaの他方側の端部に第3バルブ外側面352が配置されている。第3バルブ延伸部359は、軸心方向DRaの大きさが第3外周開口部354の軸心方向DRaの大きさより小さい。本実施形態において、第3バルブ延伸部359は、バルブ延伸部に相当する。
【0112】
第3バルブ外側面352は、開口閉塞面67に対向している。第3バルブ外側面352には、図6に示すように、円形状に開口する第3外側開口部356が形成されている。第3バルブ35は、第3バルブ外側面352が開口閉塞面67に当接しないように配置されている。また、第3バルブ35は、内部の略中央にシャフト接続部316が配置されている。
【0113】
また、第3バルブ35は、図8および図9に示すように、第3バルブ35の内部に、バルブ30の回転を規制するバルブ位置決め部355が設けられている。バルブ位置決め部355は、後述するストッパ部615に当接することによって、バルブ30の回転を規制する。
【0114】
バルブ位置決め部355は、筒状バルブ接続部315から第3バルブ35の内周面に向かって径方向DRrに棒状に延びて形成されている。また、バルブ位置決め部355は、径方向DRrの内側から外側に向かうにしたがい、シャフト32の周方向の大きさが大きく形成されている。
【0115】
バルブ位置決め部355は、第3バルブ外周部351の内周面において、第3外周開口部354が形成されていない部位に配置されている。また、バルブ位置決め部355は、軸心方向DRaにおいて、第1スポーク部337および第2スポーク部347と重ならない位置に配置されている。
【0116】
シャフト接続部316は、筒状であって、挿入されたシャフト32が固定されることによりバルブ30とシャフト32とを接続している。また、シャフト接続部316は、シャフト32が回転した際に、シャフト32の回転力をシャフト接続部316を介してバルブ30に伝動する。
【0117】
シャフト接続部316は、第2バルブ34から第3バルブ35まで軸心方向DRaの他方側に向かって延びて形成されている。また、シャフト接続部316は、軸心方向DRaの他方側の端部が開口閉塞面67に配置された接続支持部616に支持されている。
【0118】
また、シャフト接続部316は、内周部の形状がシャフト外周部321の形状に合わせて形成されており、シャフト接続部316の内周部がシャフト外周部321に当接している。シャフト接続部316は、図4に示すように、内径がシャフト外周部321の円柱部分における外径と略同じ大きさで形成されている。また、シャフト接続部316は、シャフト平面部322に当接する部位に、平面状に形成された接続平面部317が形成されている。
【0119】
具体的に、シャフト接続部316の内周部は、シャフト接続部316における接続平面部317が設けられる部位の径方向断面の形状が六角形状に形成されている。また、シャフト接続部316の内周部は、接続平面部317が設けられる部位の径方向断面の形状が、シャフト外周部321におけるシャフト平面部322が設けられる部位の径方向断面の形状に対応した形状に形成されている。
【0120】
接続平面部317は、シャフト接続部316の径方向断面において、シャフト接続部316の内周部を構成する部位が直線状になる部分を構成するものである。接続平面部317は、シャフト接続部316の内周部における直線状の部位が、軸心方向DRaに沿って延びて形成されている。
【0121】
また、接続平面部317は、径方向DRrにおいて、シャフト平面部322と重なる位置に配置されており、シャフト平面部322に当接している。また、接続平面部317は、径方向DRrにおいて、バルブ位置決め部355と重なる位置に配置されている。
【0122】
また、接続平面部317は、軸心方向DRaにおいて、バルブ30の軸心方向DRaの中心C2より第3バルブ外側面352に近い位置に形成されている。
【0123】
具体的には、接続平面部317は、軸心方向DRaにおける第3バルブ外側面352から接続平面部317の中心C1まで組付距離L1が、第3バルブ外側面352から第1バルブ外側面333までのバルブ30の全長L2の半分以下となる位置に形成されている。すなわち、組付距離L1は、軸心方向DRaにおける第3バルブ外側面352からバルブ30の中心C2までの距離であるバルブ中心距離L3以下となる位置に形成されている。
【0124】
接続平面部317は、できるだけシャフト32と駆動部70との接続部位に近い位置に配置されることが望ましい。本実施形態において、接続平面部317は、組付距離L1がバルブ中心距離L3の半分以下になる位置に形成されている。
【0125】
ここで、第3バルブ外側面352は、バルブ30における軸心方向DRaの他方側の端部に配置されるバルブ端面に相当する。また、第3バルブ外側面352に形成される第3外側開口部356は、軸心方向DRaの他方側の端部に形成される端面開口部に相当する。
【0126】
また、本実施形態において、開口閉塞面67は、第3バルブ外側面352に対向する位置に配置されるハウジング側面に相当する。本実施形態において、バルブ30は、第3バルブ外側面352と開口閉塞面67との間に、所定の空間を有する隙間S2があいた状態でバルブ収容空間23の内部に収容されている。
【0127】
開口閉塞面67には、隙間S2を流れる冷却水の流れを抑制する閉塞面突出部613が設けられている。本実施形態において、閉塞面突出部613は、凸部に相当する。
【0128】
閉塞面突出部613は、軸心方向DRaに沿って環状に突出している。具体的に、閉塞面突出部613は、図10に示すように、開口閉塞面67から第3バルブ35に向かって突出し、第3バルブ35の内部まで延びている。閉塞面突出部613は、径方向DRrにおいて、第3バルブ延伸部359と重なっている。閉塞面突出部613は、閉塞面突出部613の外周部の先端側の部位が、径方向DRrにおいて、第3バルブ延伸部359の内周部の先端側の部位に対向している。
【0129】
閉塞面突出部613は、径方向DRrにおいて、第3バルブ延伸部359の内周部に対向する第2流体抵抗面412を有する。また、第3バルブ延伸部359は、径方向DRrにおいて、第2流体抵抗面412に対向する第2抵抗対向面422を有する。本実施形態において、第2流体抵抗面412は、流体抵抗面に相当する。また、本実施形態において、第2抵抗対向面422は、抵抗対向面に相当する。
【0130】
上述のように形成される閉塞面突出部613は、閉塞面突出部613と第3バルブ35との間に隙間S2に連通する流路を形成する。隙間S2に連通する流路と隙間S2とを含んで構成される流路は、上述の隙間S1に連通する流路と隙間S1とによって構成される流路と同様に、ラビリンス構造を形成する。
【0131】
ラビリンス構造は、例えば、冷却水が第3外側開口部356を介して第3バルブ35の外部へ流出する場合、第3外側開口部356から流出した冷却水を開口閉塞面67に衝突させることによって、冷却水の流れの向きを変更可能に構成されている。また、ラビリンス構造は、例えば、隙間S2を介して第3流路部363に冷却水が流入する場合、隙間S2から流出した冷却水を閉塞面突出部613に衝突させることによって、冷却水の流れの向きを変更可能に構成されている。
【0132】
閉塞面突出部613は、径方向DRrにおいて、第3外周開口部354と重ならない範囲内で、軸心方向DRaにおける大きさができるだけ大きく形成されるのが望ましい。閉塞面突出部613は、径方向DRrにおいて、第3外周開口部354と重ならない大きさで形成されている。また、閉塞面突出部613は、軸心方向DRaの大きさが、第3バルブ延伸部359の軸心方向DRaの大きさより僅かに大きい。
【0133】
また、閉塞面突出部613は、径方向DRrにおいて、シャフト32および接続支持部616より径方向DRrの外側であって、内側凹部611と外側凹部612との間に配置されている。また、閉塞面突出部613は、第3バルブ外側面352より径方向DRrの内側に配置されている。具体的に、閉塞面突出部613は、径方向DRrにおける第2抵抗対向面422と第2流体抵抗面412との間隔である間隔D2が、径方向DRrにおけるシャフト32と第2流体抵抗面412との間隔より小さい。さらに、閉塞面突出部613は、間隔D2が径方向DRrにおける接続支持部616と第2流体抵抗面412との間隔より小さい。なお、閉塞面突出部613は、径方向DRrにおいて、シャフト32より径方向DRrの外側であって、内側凹部611より径方向DRrの内側に配置されていてもよい。
【0134】
また、閉塞面突出部613は、間隔D2が、軸心方向DRaにおける第3バルブ外側面352と開口閉塞面67との間隔より小さい。本実施形態において、第3バルブ外側面352は、軸心方向DRaにおいて、外側凹部612に対向している。このため、閉塞面突出部613は、間隔D2が軸心方向DRaにおける第3バルブ外側面352と外側凹部612との間隔より小さくなる位置に配置されている。
【0135】
また、閉塞面突出部613は、径方向DRrにおける厚さが間隔D2より大きい。閉塞面突出部613は、径方向DRrにおける厚さが根本側から先端側まで略一定で形成されている。また、閉塞面突出部613の内径および外径のそれぞれは、根本側から先端側まで略同じ大きさで形成されている。また、閉塞面突出部613は、間隔D2が、軸心方向DRaにおいて略一定である。
【0136】
閉塞面突出部613は、底面突出部292におけるD1と同様に、間隔D2ができるだけ小さくなる位置に設けられるのが望ましい。本実施形態において、閉塞面突出部613は、間隔D2が、軸心方向DRaにおける第3バルブ外側面352と外側凹部612との間隔の半分以下で形成されている。
【0137】
なお、径方向DRrにおける軸心Axsと第2抵抗対向面422との間隔に対する間隔D2の比は、径方向DRrにおける軸心Axsと第1抵抗対向面421との間隔に対する間隔D1の比の関係と同様に形成されている。このため、径方向DRrにおける軸心Axsと第2抵抗対向面422との間隔に対する間隔D2の比に関する説明を省略する。
【0138】
また、閉塞面突出部613と第3バルブ35との間の流路に冷却水が流れると、第1抵抗対向面421および第1流体抵抗面411と同様に、第2抵抗対向面422および第2流体抵抗面412に冷却水の流れを抑制する流体の境界層が発生する。本実施形態において、閉塞面突出部613は、間隔D1と同様に、間隔D2が約2mm以下になる位置に配置されるのが望ましい。これにより、閉塞面突出部613は、閉塞面突出部613と第3バルブ35との間の流路において、第2流体抵抗面412に発生する流体の境界層の一部を第2抵抗対向面422に発生する流体の境界層の一部に重ねることができる。本実施形態において、閉塞面突出部613は、間隔D2が約2mmになる位置に配置されている。
【0139】
また、閉塞面突出部613は、図2に示すように、軸心方向DRaの一方側の端部に、ストッパ部615が設けられている。ストッパ部615は、バルブ30が回転する際に、バルブ位置決め部355に当接することで、バルブ30の回転を規制するものである。
【0140】
ストッパ部615は、径方向DRrにおいて、バルブ位置決め部355と重なるように、軸心方向DRaの一方側に向かって延びて形成されている。また、ストッパ部615は、図9に示すように、筒状バルブ接続部315に向かって径方向DRrに棒状に延びて形成されている。ストッパ部615は、筒状バルブ接続部315に接続されている。
【0141】
続いて、バルブ装置10の作動について図11を参照して説明する。図示しないECUは、車両の運転状態に基づいて、空調用熱交換器3と、オイルクーラ4と、ラジエータ5とのそれぞれに対して供給が必要な冷却水の流量を算出する。そして、ECUは、空調用熱交換器3と、オイルクーラ4と、ラジエータ5とのそれぞれに対して必要な流量を流出するためのバルブ30の回転角度、すなわちモータ71の回転角度を算出する。そして、ECUは、算出したモータ71の回転角度の情報をバルブ装置10に送信する。
【0142】
バルブ装置10は、ECUから受信した回転角度の情報に基づいて、モータ71を回転させる。そして、バルブ装置10は、モータ71を回転させることで、ギア部72およびシャフト32を介してバルブ30を回転させ、第1外周開口部334~第3外周開口部354から必要な流量の冷却水を流出させる。
【0143】
具体的には、バルブ装置10は、第1外周開口部334からラジエータ5に冷却水を流出する場合、バルブ30を回転させることで、第1バルブ33の第1外周開口部334を第1出口ポート261に連通させる。また、バルブ装置10は、バルブ30の回転位置を調整することによって、ラジエータ5に必要な流量の冷却水が流出されるように第1外周開口部334と第1シール開口部581との重なる面積を調整する。そして、バルブ装置10は、図11に示すように、入口ポート251からバルブ収容空間23に流入した冷却水を第1内側開口部336を介して第1流路部361に流入させ、第1外周開口部334から第1出口ポート261へ流出させる。
【0144】
また、バルブ装置10は、第2外周開口部344から空調用熱交換器3に冷却水を流出する場合、バルブ30を回転させることで、第2バルブ34の第2外周開口部344を第2出口ポート262に連通させる。また、バルブ装置10は、バルブ30の回転位置を調整することによって、空調用熱交換器3に必要な流量の冷却水が流出されるように第2外周開口部344と第2シール開口部582との重なる面積を調整する。そして、バルブ装置10は、図11に示すように、入口ポート251からバルブ収容空間23に流入した冷却水を第2内側開口部346を介して第2流路部362に流入させ、第2外周開口部344から第2出口ポート262へ流出させる。
【0145】
また、バルブ装置10は、第3外周開口部354からオイルクーラ4に冷却水を流出する場合、バルブ30を回転させることで、第3バルブ35の第3外周開口部354を第3出口ポート263に連通させる。また、バルブ装置10は、バルブ30の回転位置を調整することによって、オイルクーラ4に必要な流量の冷却水が流出されるように第3外周開口部354と第3シール開口部583との重なる面積を調整する。そして、バルブ装置10は、図11に示すように、入口ポート251からバルブ収容空間23に流入した冷却水を第2バルブ34の第2流路部362を介して第3流路部363に流入させ、第3外周開口部354から第3出口ポート263へ流出させる。
【0146】
また、バルブ装置10は、回転角センサ73が第3ギア723の回転角度を検出し、検出した回転角度の情報をECUにフィードバックすることによって、モータ71の回転角度を調整する。
【0147】
以上説明した本実施形態のバルブ装置10によれば、バルブ装置10は、底面突出部292および閉塞面突出部613がシャフト32に対して径方向DRrの外側となる位置に、軸心方向DRaに突出して設けられている。すなわち、ハウジング内周底面29および開口閉塞面67には、隙間S1およびS2に向かう冷却水の流れを阻害する抵抗体として機能する底面突出部292および閉塞面突出部613が設けられている。
【0148】
これにより、バルブ装置10は、隙間S1および隙間S2への冷却水の流入または隙間S1および隙間S2からの冷却水の流出を抑制することができる。したがって、バルブ装置10は、隙間S1に冷却水が流入出することに起因する第1外周開口部334からの冷却水の流出量のバラツキを抑制できるので、第1外周開口部334からの冷却水の流出量を精度よく制御ができる。また、バルブ装置10は、隙間S2に冷却水が流入出することに起因する第3外周開口部354からの冷却水の流出量のバラツキを抑制できるので、第3外周開口部354からの冷却水の流出量を精度よく制御ができる。
【0149】
また、底面突出部292および閉塞面突出部613は、径方向DRrにおいて、シャフト32より径方向DRrの外側に設けられている。このため、バルブ装置10は、底面突出部292をハウジング内周底面29に近い位置に配置し易くできる。また、バルブ装置10は、閉塞面突出部613を開口閉塞面67に近い位置に配置し易くできる。
【0150】
したがって、バルブ装置10は、底面突出部292および閉塞面突出部613がシャフト32より径方向DRrの内側に設けられる場合に比較して、隙間S1および隙間S2への冷却水の流入出を抑制し易い。このため、バルブ装置10は、底面突出部292および閉塞面突出部613がシャフト32より径方向DRrの内側に設けられる場合に比較して、第1外周開口部334および第3外周開口部354から流出する冷却水の流量を精度よく制御ができる。
【0151】
また、バルブ装置10は、底面突出部292が径方向DRrにおいて、第1外側開口部338に対して径方向DRrの内側に設けられている。また、バルブ装置10は、閉塞面突出部613が径方向DRrにおいて、第3外側開口部356に対して径方向DRrの内側に設けられている。すなわち、底面突出部292は、第1バルブ33の外部から隙間S1を経由して第1外側開口部338に向かう冷却水が流れる流路において、隙間S1より冷却水流れ下流側に配置されている。また、閉塞面突出部613は、第3バルブ35の外部から隙間S2を経由して第3外側開口部356に向かう冷却水が流れる流路において、隙間S2より冷却水流れ下流側に配置されている。
【0152】
この場合、第1バルブ33の外部から第1外側開口部338に向かう冷却水は、隙間S1を通過した後に底面突出部292に衝突し易くなる。また、第3バルブ35の外部から第3外側開口部356に向かう冷却水は、隙間S2を通過した後に閉塞面突出部613に衝突し易くなる。このため、バルブ装置10は、第1外側開口部338からの冷却水の流入および第3外側開口部356からの冷却水の流入を抑制し易くなる。
【0153】
したがって、バルブ装置10は、第1外周開口部334に向かって第1流路部361を流れる冷却水と、第1外側開口部338から第1流路部361に流入した冷却水とが衝突することで発生する圧力損失を抑制できる。また、バルブ装置10は、第3外周開口部354に向かって第3流路部363を流れる冷却水と、第3外側開口部356から第3流路部363に流入した冷却水とが衝突することで発生する圧力損失を抑制できる。このため、バルブ装置10は、第1外周開口部334および第3外周開口部354から流出する冷却水の流量を精度よく制御ができる。
【0154】
また、バルブ装置10は、底面突出部292および閉塞面突出部613が環状に突出して形成されているので、円形状の第1外側開口部338および第3外側開口部356の周方向に沿って底面突出部292および閉塞面突出部613を配置することができる。このため、バルブ装置10は、底面突出部292および閉塞面突出部613が環状に形成されていない場合に比較して、第1外側開口部338および第3外側開口部356へ流入出する冷却水の流れを抑制し易い。
【0155】
また、バルブ装置10は、底面突出部292および閉塞面突出部613が配置された部位のハウジング20の壁の厚さを大きくできるので、底面突出部292および閉塞面突出部613が形成された部位のハウジング20の強度を向上させることができる。
【0156】
また、バルブ装置10は、径方向DRrにおいて、底面突出部292と第1バルブ延伸部339とが重なっており、隙間S1に連通する流路と隙間S1とによって構成される流路がラビリンス構造になっている。また、バルブ装置10は、径方向DRrにおいて、閉塞面突出部613と第3バルブ延伸部359都が重なっており、隙間S2に連通する流路と隙間S2とによって構成される流路がラビリンス構造になっている。
【0157】
このため、バルブ装置10は、底面突出部292と第1バルブ延伸部339とが重なっていない場合に比較して、第1外側開口部338に流入出する冷却水が流れる流路が長くなる。さらに、バルブ装置10は、隙間S1に連通する流路と隙間S1とによって構成される流路を流れる冷却水を底面突出部292およびハウジング内周底面29に衝突させることによって、冷却水の流れの向きを変更させることができる。したがって、バルブ装置10は、隙間S1に連通する流路と隙間S1とによって構成される流路の圧力損失を大きくすることができる。
【0158】
また、バルブ装置10は、閉塞面突出部613と第3バルブ延伸部359都が重なっていない場合に比較して、第3外側開口部356に流入出する冷却水が流れる流路が長くなる。さらに、バルブ装置10は、隙間S2に連通する流路と隙間S2とによって構成される流路を流れる冷却水を閉塞面突出部613および開口閉塞面67に衝突させることによって、冷却水の流れの向きを変更させることができる。したがって、バルブ装置10は、隙間S2に連通する流路と隙間S2とによって構成される流路の圧力損失を大きくすることができる。
【0159】
これにより、バルブ装置10は、隙間S1および隙間S2への冷却水の流入出を抑制できるので、第1外周開口部334および第3外周開口部354から流出する冷却水の流量を精度よく制御ができる。
【0160】
また、バルブ装置10は、間隔D1が、径方向DRrにおけるシャフト32と第1流体抵抗面411との間隔より小さくなる位置に配置されている。また、バルブ装置10は、間隔D2が、径方向DRrにおけるシャフト32と第2流体抵抗面412との間隔より小さくなる位置に配置されている。
【0161】
これによれば、第1流体抵抗面411と第1抵抗対向面421との間の流路は、間隔D1がシャフト32と第1流体抵抗面411との間隔より大きい場合に比較して、流路が狭くなり、圧力損失が大きくなる。また、第2流体抵抗面412と第2抵抗対向面422との間の流路は、間隔D2がシャフト32と第2流体抵抗面412との間隔より大きい場合に比較して、流路が狭くなり、圧力損失が大きくなる。
【0162】
このため、バルブ装置10は、間隔D1がシャフト32と第1流体抵抗面411との間隔より大きい場合に比較して、隙間S1への冷却水の流入出を抑制できるので、第1外周開口部334から流出する冷却水の流量を精度よく制御ができる。また、バルブ装置10は、間隔D2がシャフト32と第2流体抵抗面412との間隔より大きい場合に比較して、隙間S2への冷却水の流入出を抑制できるので、第3外周開口部354から流出する冷却水の流量を精度よく制御ができる。
【0163】
また、バルブ装置10は、間隔D1が、軸心方向DRaにおける第1バルブ外側面333とハウジング内周底面29との間隔より小さくなる位置に配置されている。また、バルブ装置10は、間隔D2が軸心方向DRaにおける第3バルブ外側面352と開口閉塞面67との間隔より小さくなる位置に配置されている。
【0164】
これによれば、第1バルブ33の外部から第1流路部361に向かう冷却水が流れる流路において、冷却水の流れ下流側である第1流体抵抗面411と第1抵抗対向面421との間の流路は、冷却水の流れ上流側の流路に比較して狭くなり、圧力損失が大きくなる。また、第3バルブ35の外部から第3流路部363に向かう冷却水が流れる流路において、冷却水の流れ下流側である第2流体抵抗面412と第2抵抗対向面422との間の流路は、冷却水の流れ上流側の流路に比較して狭くなり、圧力損失が大きくなる。
【0165】
このため、間隔D1が第1バルブ外側面333とハウジング内周底面29との間隔より大きい場合に比較して、第1外側開口部338からの冷却水の流入を抑制できるので、第1外周開口部334から流出する冷却水の流量を精度よく制御ができる。また、バルブ装置10は、間隔D2が第3バルブ外側面352と開口閉塞面67との間隔より大きい場合に比較して、第3外側開口部356からの冷却水の流入を抑制できるので、第3外周開口部354から流出する冷却水の流量を精度よく制御ができる。
【0166】
ところで、本実施形態において、バルブ30は、樹脂部材を金型に充填する射出成形によって成形されている。また、バルブ30を成形するための溶融された樹脂は、バルブ30を成形する際に金型の内部でガスが発生する。当該ガスは、金型に樹脂を充填して成形する際に金型の内部を樹脂と一緒に樹脂の流れ下流側に向かって流れるため、金型の内部において、バルブ30の軸心方向DRaの一方側の端部や他方側の端部を成形する部位に留まりやすい。
【0167】
金型の内部において、バルブ30の端部を成形する部位にガスが留まった状態でバルブ30を射出成形すると、ガスは、充填された樹脂部材によって圧縮されて発熱する。これは、バルブ30を樹脂成形する際のバルブ30の端部の表面に焼けが発生する成形不良の要因となる。
【0168】
これに対して、バルブ30は、バルブ30の軸心方向DRaの一方側の端部に第1バルブ延伸部339を有し、他方側の端部に第3バルブ延伸部359を有している。このため、成形時に発生するガスに起因する成形不良は、第1バルブ延伸部339の表面や第3バルブ延伸部359の表面に発生し易い。
【0169】
第1バルブ延伸部339は、第1流体抵抗面411と第1抵抗対向面421との間の流路を延長するためのものである。また、第3バルブ延伸部359は、第2流体抵抗面412と第2抵抗対向面422との間に形成される流路を延長するためのものである。このため、第1バルブ延伸部339および第3バルブ延伸部359の表面に発生する成形不良は、第1流体抵抗面411と第1抵抗対向面421との間の流路および第2流体抵抗面412と第2抵抗対向面422との間の流路の延長に対する影響がない。
【0170】
このため、バルブ装置10は、第1バルブ延伸部339が設けられていない場合に比較して、第1流体抵抗面411と第1抵抗対向面421との間の流路を充分に確保しつつ、成形時に発生するガスに起因する成形不良の影響を抑制することができる。また、バルブ装置10は、第3バルブ延伸部359が設けられていない場合に比較して、第2流体抵抗面412と第2抵抗対向面422との間の流路を充分に確保しつつ、成形時に発生するガスに起因する成形不良の影響を抑制することができる。
【0171】
また、底面突出部292は、径方向DRrにおいて、第1外周開口部334と重ならないように形成されている。また、閉塞面突出部613は、径方向DRrにおいて、第3外周開口部354と重ならないように形成されている。このため、バルブ装置10は、第1外周開口部334および第3外周開口部354から流出する冷却水の流れが底面突出部292および閉塞面突出部613に衝突することによって流れ難くなることを回避することができる。
【0172】
また、バルブ装置10は、バルブ位置決め部355がバルブ30の内部において、径方向DRrに沿って突出して形成されている。このため、バルブ装置10は、バルブ位置決め部355が、例えば、第3バルブ外側面352からシャフト32の軸心方向DRaに沿って突出して形成される場合に比較して、バルブ30の軸心方向DRaの大きさを小さくすることができる。
【0173】
また、閉塞面突出部613は、バルブ30の回転をバルブ30の回転方向における基準位置で停止させるストッパ部615が設けられている。このため、バルブ装置10は、閉塞面突出部613と異なるストッパ部615をハウジング20の内部に設ける場合に比較して、バルブ装置10の構造を簡略にできる。
【0174】
また、バルブ装置10は、シャフト外周部321にシャフト平面部322が設けられるとともに、シャフト接続部316にシャフト平面部322に当接する接続平面部317が設けられている。このため、バルブ装置10は、シャフト接続部316の内周部とシャフト外周部321との間に発生する摩擦力に加えて、シャフト平面部322が接続平面部317を押圧する力によって、バルブ30を回転させることができる。このため、バルブ装置10は、シャフト接続部316の内周部とシャフト外周部321との間に発生する摩擦力のみによってバルブ30を回転させる場合に比較して、バルブ30を回転させ易くできる。なお、バルブ装置10は、底面突出部292および閉塞面突出部613を設けない形態であっても、シャフト外周部321にシャフト平面部322を設け、シャフト接続部316に接続平面部317を設けることで、バルブ30を回転させ易くすることができる。
【0175】
ところで、バルブ30を回転させる力は、シャフト接続部316の内周部とシャフト外周部321との間に発生する摩擦力に比較して、シャフト平面部322がシャフト接続部316を押圧する力のほうが大きくなり易い。このため、バルブ30は、シャフト平面部322がシャフト接続部316を押圧する部分が、シャフト32から伝動される回転力によって、バルブ30の周方向に弾性変形する場合がある。当該弾性変形は、バルブ位置決め部355によって定めるバルブ30の回転方向の基準位置がずれる要因となる。また、基準位置のずれは、軸心方向DRaにおける弾性変形する部位とバルブ位置決め部355との間の距離が大きくなるにしたがい、大きくなる。
【0176】
これに対して、接続平面部317は、径方向DRrにおいて、バルブ位置決め部355と重なる位置に配置されている。このため、バルブ装置10は、径方向DRrにおいて、接続平面部317とバルブ位置決め部355とが重ならない場合に比較して、軸心方向DRaにおける接続平面部317とバルブ位置決め部355との間の距離を小さくできる。このため、バルブ装置10は、接続平面部317がシャフト平面部322から伝動される回転力によってバルブ30の周方向に弾性変形しても、接続平面部317の変形によるバルブ30の基準位置のずれを抑制し易くできる。なお、バルブ装置10は、底面突出部292および閉塞面突出部613を設けない形態であっても、接続平面部317が径方向DRrにおいて、バルブ位置決め部355と重なる位置に配置されることで、バルブ30の基準位置のずれを抑制し易くできる。
【0177】
また、本実施形態において、冷却水は、バルブ装置10が所定の温度より低い温度の環境下で使用される場合、エンジン2の動作開始からの経過時間が短いと、車両のエンジン2から放熱される熱が少ないため、冷却水の一部が凍り、氷になる場合がある。この場合、バルブ装置10は、冷却水と一緒に氷を循環させることになる。すると、バルブ30が回転する際に、第1バルブ外周部331~第3バルブ外周部351とハウジング内周面28との間に氷等の異物が挟まることによって、バルブ30が回転できなくなることがある。
【0178】
これに対して、バルブ装置10は、第1バルブ外側面333および第3バルブ外側面352のうち、駆動部70に近い側の面である第3バルブ外側面352から接続平面部317までの距離がバルブ30の全長L2の半分以下となる位置に配置されている。
【0179】
このため、バルブ装置10は、第3バルブ外側面352から接続平面部317までの距離がバルブ30の全長L2の半分より大きい場合に比較して、シャフト平面部322が接続平面部317に当接する部位を駆動部70の近くに位置付けすることができる。これにより、バルブ装置10は、駆動部70が出力する回転力がシャフト平面部322を介して接続平面部317に伝動される部位を駆動部70の近くに位置付けすることができる。
【0180】
このため、バルブ装置10は、第1バルブ外周部331~第3バルブ外周部351とハウジング内周面28との間に氷等の異物が挟まり、バルブ30が回転不能になった際に、駆動部70が出力する回転力を異物に伝動し易くなる。したがって、バルブ装置10は、氷等の異物が挟まった場合であっても、駆動部70が出力する回転力によって、氷等の異物の除去や破壊を行い易くできる。なお、バルブ装置10は、底面突出部292および閉塞面突出部613を設けない形態であっても、駆動部70に近い端面から接続平面部317までの距離をバルブ30の全長L2の半分以下にすれば、駆動部70が出力する回転力を異物も伝動し易くできる。
【0181】
(第2実施形態)
次に、第2実施形態について、図12図14を参照して説明する。本実施形態では第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
【0182】
図12および図13に示すように、本実施形態において、ハウジング内周底面29には、第1実施形態の底面突出部292に相当する底面突出部292Aが、径方向DRrにおいて、第1バルブ外側面333より径方向DRrの外側に配置されている。すなわち、本実施形態の底面突出部292Aは、径方向DRrにおけるシャフト32と底面突出部292Aとの間隔が径方向DRrにおけるシャフト32と第1バルブ外側面333との間隔に比較して大きくなる位置に配置されている。本実施形態において、底面突出部292Aは、凸部に相当する。
【0183】
底面突出部292Aは、底面突出部292Aの内周部の先端側の部位が、径方向DRrにおいて、第1バルブ延伸部339の外周部の先端側の部位に対向している。
【0184】
本実施形態において、底面突出部292Aは、径方向DRrにおいて、第1バルブ延伸部339の外周部に対向する第1流体抵抗面413を有する。また、第1バルブ延伸部339は、径方向DRrにおいて、第1バルブ延伸部339の外周部に、第1流体抵抗面413に対向する第1抵抗対向面423を有する。本実施形態において、第1流体抵抗面413は、流体抵抗面に相当する。また、本実施形態において、第1抵抗対向面423は、抵抗対向面に相当する。
【0185】
底面突出部292Aは、径方向DRrにおける第1抵抗対向面423と第1流体抵抗面413との間に間隔D3が設けられる位置に配置されている。底面突出部292Aは、径方向DRrにおける位置が第1実施形態の底面突出部292と異なるが、底面突出部292Aの形状、軸心方向DRaの大きさ、厚さが第1実施形態の底面突出部292と同様に設定されている。また、間隔D3は、第1実施形態の間隔D1と同様に設定されている。
【0186】
また、図12および図14に示すように、本実施形態において、開口閉塞面67には、第1実施形態の閉塞面突出部613に相当する閉塞面突出部613Aが、径方向DRrにおいて、第3バルブ外側面352より径方向DRrの外側に配置されている。すなわち、閉塞面突出部613Aは、径方向DRrにおけるシャフト32と閉塞面突出部613Aとの間隔が径方向DRrにおけるシャフト32と第3バルブ外側面352との間隔に比較して大きくなる位置に配置されている。本実施形態において、閉塞面突出部613Aは、凸部に相当する。
【0187】
また、閉塞面突出部613Aは、径方向DRrにおいて、外側凹部612より径方向DRrの外側に配置されており、開口閉塞面67の外縁部分が、軸心方向DRaの一方側に向かって突出している。
【0188】
閉塞面突出部613Aは、閉塞面突出部613Aの内周部の先端側の部位が、径方向DRrにおいて、第3バルブ延伸部359の外周部の先端側の部位に対向している。
【0189】
本実施形態において、閉塞面突出部613Aは、径方向DRrにおいて、第3バルブ延伸部359の外周部に対向する第2流体抵抗面414を有する。また、第3バルブ延伸部359は、径方向DRrにおいて、第2流体抵抗面414に対向する第2抵抗対向面424を有する。本実施形態において、第2流体抵抗面414は、流体抵抗面に相当する。また、本実施形態において、第2抵抗対向面424は、抵抗対向面に相当する。
【0190】
閉塞面突出部613Aは、径方向DRrにおける第2抵抗対向面424と第2流体抵抗面414との間に間隔D4が設けられる位置に配置されている。閉塞面突出部613Aは、径方向DRrにおける位置が第1実施形態の閉塞面突出部613と異なるが、閉塞面突出部613Aの形状、軸心方向DRaの大きさ、厚さが第1実施形態の閉塞面突出部613と同様に設定されている。また、間隔D4は、第1実施形態の間隔D4と同様に設定されている。
【0191】
以上説明した本実施形態のバルブ装置10によれば、底面突出部292Aは、径方向DRrにおいて、第1外側開口部338に対して径方向DRrの外側に設けられている。また、閉塞面突出部613Aは、径方向DRrにおいて、第3外側開口部356に対して径方向DRrの外側に設けられている。すなわち、底面突出部292Aは、第1外側開口部338から第1バルブ33の外部へ流出した冷却水が流れる流路において、隙間S1より冷却水流れ下流側に配置されている。また、閉塞面突出部613Aは、第3外側開口部356から第3バルブ35の外部へ流出した冷却水が流れる流路において、隙間S2より冷却水流れ下流側に配置されている。
【0192】
この場合、第1外側開口部338から流出した冷却水は、隙間S1を通過した後に底面突出部292Aに衝突し易くなる。また、第3外側開口部356から流出した冷却水は、隙間S2を通過した後に閉塞面突出部613Aに衝突し易くなる。このため、バルブ装置10は、第1外側開口部338からの冷却水の流出および第3外側開口部356からの冷却水の流出を抑制し易くなる。このため、バルブ装置10は、隙間S1および隙間S2への冷却水の流出を抑制できるので、第1外周開口部334および第3外周開口部354から流出する冷却水の流量を精度よく制御ができる。
【0193】
(第3実施形態)
次に、第3実施形態について、図15および図16を参照して説明する。本実施形態では第1実施形態と異なる部分について主に説明する。
【0194】
本実施形態において、図15に示すように、バルブ装置10は、冷却システム1において、ウォータジャケット503の入口側であって、ウォータポンプ6よりも冷却水の流れ上流側に配置されている。バルブ装置10は、上流側に空調用熱交換器3と、オイルクーラ4と、ラジエータ5とが接続されており、下流側にウォータポンプ6が接続されている。
【0195】
具体的に、バルブ装置10は、第1実施形態の第1出口ポート261に相当する第1出口ポート261Aがラジエータ5に接続されている。また、バルブ装置10は、第1実施形態の第2出口ポート262に相当する第2出口ポート262Aが空調用熱交換器3に接続されている。また、バルブ装置10は、第1実施形態の第3出口ポート263に相当する第3出口ポート263Aがオイルクーラ4に接続される。
【0196】
このように配置されるバルブ装置10は、バルブ30を回転させて、第1外周開口部334を第1出口ポート261Aに連通させることで、ラジエータ5から流出した冷却水を、第1外周開口部334から第1バルブ33の内部に流入させることができる。また、バルブ装置10は、バルブ30を回転させて、第2外周開口部344を第2出口ポート262Aに連通させることで、空調用熱交換器3から流出した冷却水を第2外周開口部344から第3バルブ35の内部に流入させることができる。また、バルブ装置10は、バルブ30を回転させて、第3外周開口部354を第3出口ポート263Aに連通させることで、オイルクーラ4からから流出した冷却水を第3外周開口部354から第3バルブ35の内部に流入させることができる。
【0197】
また、バルブ装置10は、第1バルブ33に流入した冷却水を第1内側開口部336から第1バルブ33の外部に流出させ、第1実施形態の入口ポート251に相当する入口ポート251Aからバルブ装置10の外部へ流出させることができる。また、バルブ装置10は、第2バルブ34および第3バルブ35に流入した冷却水を第2内側開口部346から第2バルブ34および第3バルブ35の外部に流出させ、入口ポート251Aからバルブ装置10の外部へ流出させることができる。
【0198】
本実施形態において、入口ポート251Aは、出口開口部に相当する。また、第1出口ポート261A、第2出口ポート262A、第3出口ポート263Aは、入口開口部に相当する。
【0199】
また、バルブ装置10は、バルブ30の回転位置を調整し、第1外周開口部334と第1シール開口部581との重なる面積を調整することによって、第1出口ポート261Aから第1バルブ33に流入させる冷却水の流量を制御できる。また、バルブ装置10は、バルブ30の回転位置を調整し、第2外周開口部344と第2シール開口部582との重なる面積を調整することによって、第2出口ポート262Aから第2バルブ34に流入させる冷却水の流量を制御できる。また、バルブ装置10は、バルブ30の回転位置を調整し、第3外周開口部354と第3シール開口部583との重なる面積を調整することによって、第3出口ポート263Aから第3バルブ35に流入させる冷却水の流量を制御できる。
【0200】
その他の構成は、第1実施形態と同様である。本実施形態のバルブ装置10は、第1実施形態と同様または均等となる構成から奏される作用効果を第1実施形態と同様に得ることができる。
【0201】
(他の実施形態)
以上、本開示の代表的な実施形態について説明したが、本開示は、上述の実施形態に限定されることなく、例えば、以下のように種々変形可能である。
【0202】
上述の実施形態では、底面突出部292Aが径方向DRrにおいて、第1バルブ延伸部339に対向する位置に配置されている例について説明したが、これに限定されない。例えば、底面突出部292Aは、軸心方向DRaにおいて、第1バルブ延伸部339よりも他方側まで延びて形成されていてもよい。具体的に、図17で示すように、底面突出部292Aは、第1バルブ外周部331において、軸心方向DRaにおける両端側に比較して径方向DRrの外側に膨らんでいる部位に対向する位置まで延びて形成されていてもよい。
【0203】
この場合、底面突出部292Aの先端部分は、第1バルブ外周部331の形状に沿って、内径が先端側に向かうにしたがい大きくなるとともに、径方向DRrにおける厚みが先端側に向かうにしたがい小さく形成されていてもよい。
【0204】
また、上述の実施形態では、底面突出部292、292Aの内径および外径が根本側から先端側まで同じ大きさで形成されている例について説明したが、これに限定されない。例えば、図18および図19に示すように、第1バルブ延伸部339が先端側に向かうにしたがい軸心Axsに近づくように形成されている場合、底面突出部292、292Aは、先端側に向かうにしたがい、軸心Axsから離れるように形成されていてもよい。
【0205】
具体的に、底面突出部292、292Aは、内径および外径が先端側に向かうにしたがい大きく形成されていてもよい。この場合、図18に示すように、底面突出部292は、第1実施形態と同様に第1バルブ外側面333に対して径方向DRrの内側に配置されていてもよい。また、図19に示すように、底面突出部292Aは、第2実施形態と同様に、第1バルブ外側面333に対して径方向DRrの外側に配置されていてもよい。また、底面突出部292、292Aは、底面突出部292、292Aと第1バルブ延伸部339との間隔が一定でもよく、底面突出部292、292Aと第1バルブ延伸部339との間隔が一定でなくてもよい。
【0206】
また、例えば、図20および図21に示すように、第1バルブ延伸部339の外径が先端側に向かうにしたがい小さく形成されている場合、底面突出部292Aは、先端側に向かうにしたがい、内径が大きく形成されていてもよい。
【0207】
例えば、底面突出部292Aは、外径が根本側から先端側まで同じ大きさで形成されるのに対し、内径の少なくとも一部が根本側から先端側まで同じ大きさで形成されていない形状であってもよい。具体的に、底面突出部292Aは、図20に示すように、外径が根本側から先端側まで同じ大きさで形成されるのに対し、内径が根本側から先端側に向かうにしたがい小さく形成されていてもよい。また、底面突出部292Aは、図21に示すように外径が根本側から先端側まで同じ大きさで形成されるのに対し、内径が根本側から先端側に向かって、一部が同じ大きさであって、一部が小さく形成されていてもよい。
【0208】
また、上述の実施形態では、底面突出部292、292Aがハウジング内周底面29に形成され、閉塞面突出部613、613Aが開口閉塞面67に形成されているに配置される例について説明したが、これに限定されない。例えば、バルブ装置10は、底面突出部292、292Aがハウジング内周底面29に形成され、閉塞面突出部613、613Aが開口閉塞面67に形成されていない構成であってもよい。また、バルブ装置10は、閉塞面突出部613、613Aが開口閉塞面67に形成され、底面突出部292、292Aがハウジング内周底面29に形成されていない構成であってもよい。
【0209】
また、上述の実施形態では、底面突出部292、292Aのうち、一方のみが設けられている例について説明したが、これに限定されない。また、上述の実施形態では、閉塞面突出部613、613Aのうち、一方のみが設けられている例について説明したが、これに限定されない。例えば、バルブ装置10は、底面突出部292、292Aのいずれも設けられている構成であってもよい。また、バルブ装置10は、閉塞面突出部613、613Aのいずれも設けられている構成であってもよい。
【0210】
また、上述の実施形態では、底面突出部292、292Aが径方向DRrにおいて、第1バルブ外側面333に対して径方向DRrの内側または外側に設けられている例について説明したが、これに限定されない。また、上述の実施形態では、閉塞面突出部613、613Aが径方向DRrにおいて、第3バルブ外側面352に対して径方向DRrの内側または外側に設けられている例について説明したが、これに限定されない。バルブ装置10は、底面突出部292、292Aが軸心方向DRaにおいて、第1バルブ外側面333と対向する位置に設けられていてもよい。また、バルブ装置10は、閉塞面突出部613、613Aが軸心方向DRaにおいて、第3バルブ外側面352と対向する位置に設けられていてもよい。
【0211】
また、上述の実施形態では、底面突出部292、292Aおよび閉塞面突出部613、613Aが径方向DRrにおいて、バルブ30の少なくとも一部が重なるように形成されている例について説明したが、これに限定されない。例えば、底面突出部292、292Aおよび閉塞面突出部613、613Aは、径方向DRrにおいて、バルブ30と重ならないように形成されていてもよい。
【0212】
また、上述の実施形態では、間隔D1が、径方向DRrにおけるシャフト32と第1流体抵抗面411との間隔より小さい例について説明したが、これに限定されない。また、上述の実施形態では、間隔D2が、径方向DRrにおけるシャフト32と第2流体抵抗面412との間隔より小さい例について説明したが、これに限定されない。
【0213】
例えば、バルブ装置10は、間隔D1が、径方向DRrにおけるシャフト32と第1流体抵抗面411との間隔より大きい構成であってもよい。また、バルブ装置10は、間隔D2が、径方向DRrにおけるシャフト32と第2流体抵抗面412との間隔より大きい構成であってもよい。
【0214】
また、上述の実施形態では、間隔D1および間隔D3が軸心方向DRaにおける第1バルブ外側面333とハウジング内周底面29との間隔より小さい例について説明したが、これに限定されない。また、上述の実施形態では、間隔D2および間隔D4が軸心方向DRaにおける第3バルブ外側面352と開口閉塞面67との間隔より小さい例について説明したが、これに限定されない。
【0215】
例えば、バルブ装置10は、間隔D1および間隔D3が軸心方向DRaにおける第1バルブ外側面333とハウジング内周底面29との間隔より大きい構成であってもよい。また、バルブ装置10は、間隔D2および間隔D4が軸心方向DRaにおける第3バルブ外側面352と開口閉塞面67との間隔より大きい構成であってもよい。
【0216】
また、上述の実施形態では、底面突出部292、292Aが、径方向DRrにおいて、第1外周開口部334と重ならない例について説明したが、これに限定されない。また、上述の実施形態では、閉塞面突出部613、613Aが、径方向DRrにおいて、第3外周開口部354と重ならない例について説明したが、これに限定されない。例えば、バルブ装置10は、底面突出部292、292Aが、径方向DRrにおいて、第1外周開口部334と重なる構成であってもよい。また、バルブ装置10は、閉塞面突出部613、613Aが、径方向DRrにおいて、第3外周開口部354と重なる構成であってもよい。
【0217】
また、上述の実施形態では、第1バルブ外周部331が第1バルブ延伸部339を有し、第3バルブ外周部351が第3バルブ延伸部359を有する例について説明したが、これに限定されない。例えば、バルブ装置10は、第1バルブ外周部331が第1バルブ延伸部339を有さず、第3バルブ外周部351が第3バルブ延伸部359を有さない構成であってもよい。
【0218】
また、上述の実施形態では、第3バルブ35にバルブ位置決め部355が設けられており、閉塞面突出部613にストッパ部615が設けられている例について説明したが、これに限定されない。例えば、バルブ装置10は、第1バルブ33にバルブ位置決め部355が設けられており、底面突出部292にストッパ部615が設けられている構成であってもよい。また、バルブ装置10は、バルブ位置決め部355およびストッパ部615が設けられていない構成であってもよい。
【0219】
また、上述の実施形態では、バルブ位置決め部355が、第3バルブ外周部351の内周面に形成されている例について説明したが、これに限定されない。例えば、バルブ装置10は、バルブ位置決め部355が第3バルブ外周部351の外周面に形成されていてもよい。また、バルブ装置10は、バルブ位置決め部355が第3バルブ外周部351の外周面および内周面の両面に形成されていてもよい。
【0220】
また、上述の実施形態では、シャフト接続部316に接続平面部317が設けられており、シャフト外周部321にシャフト平面部322が設けられている例について説明したが、これに限定されない。例えば、バルブ装置10は、接続平面部317およびシャフト平面部322が設けられていない構成であってもよい。
【0221】
また、上述の実施形態では、バルブ装置10が、底面突出部292、292Aおよび閉塞面突出部613、613Aを有し、接続平面部317およびシャフト平面部322が設けられている例について説明したが、これに限定されない。例えば、バルブ装置10は、底面突出部292、292Aおよび閉塞面突出部613、613Aを有さない構成において、接続平面部317およびシャフト平面部322が設けられている構成であってもよい。
【0222】
また、上述の実施形態では、接続平面部317が径方向DRrにおいて、バルブ位置決め部355と重なる例について説明したが、これに限定されない。例えば、バルブ装置10は、接続平面部317が径方向DRrにおいて、バルブ位置決め部355と重ならない位置に配置されていてもよい。
【0223】
また、上述の実施形態では、バルブ装置10が、底面突出部292、292Aおよび閉塞面突出部613、613Aを有し、接続平面部317が径方向DRrにおいて、バルブ位置決め部355と重なる例について説明したが、これに限定されない。
例えば、バルブ装置10は、底面突出部292、292Aおよび閉塞面突出部613、613Aを有さない構成において、接続平面部317が径方向DRrにおいて、バルブ位置決め部355と重なる位置に配置されている構成であってもよい。
【0224】
また、上述の実施形態では、組付距離L1が、バルブ30の軸心方向DRaの大きさの半分以下である例について説明したが、これに限定されない。例えば、バルブ装置10は、組付距離L1が、バルブ30の軸心方向DRaの大きさの半分より大きい構成であってもよい。
【0225】
また、上述の実施形態では、バルブ装置10が、底面突出部292、292Aおよび閉塞面突出部613、613Aを有し、組付距離L1が、バルブ30の軸心方向DRaの大きさの半分以下である例について説明したが、これに限定されない。接続平面部317が径方向DRrにおいて、バルブ位置決め部355と重なる例について説明したが、これに限定されない。
例えば、バルブ装置10は、底面突出部292、292Aおよび閉塞面突出部613、613Aを有さない構成において、組付距離L1が、バルブ30の軸心方向DRaの大きさの半分以下の位置に配置されている構成であってもよい。
【符号の説明】
【0226】
20 ハウジング
29、67 ハウジング側面
30 バルブ
32 シャフト
251、261A、262A、263A 入口開口部
251A、261、262、263 出口開口部
292、292A、613、613A 凸部
333、352 バルブ端面
334、344、354 外周開口部
338、356 端面開口部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
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